(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-18
(45)【発行日】2023-08-28
(54)【発明の名称】油面用粘着シート
(51)【国際特許分類】
C09J 7/26 20180101AFI20230821BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20230821BHJP
C09J 11/08 20060101ALI20230821BHJP
C09J 153/02 20060101ALI20230821BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20230821BHJP
【FI】
C09J7/26
C09J7/38
C09J11/08
C09J153/02
B32B27/00 M
(21)【出願番号】P 2019200797
(22)【出願日】2019-11-05
【審査請求日】2022-08-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】河村 明
【審査官】小久保 敦規
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-116904(JP,A)
【文献】特開平07-157723(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00 - 201/10
B32B 1/00 - 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着剤を含む粘着剤組成物から形成されてなる粘着剤層と、
油剤に浸漬した際の重量増加率が
10%以上である、空隙を有する樹脂基材と、
を含
み、
前記樹脂基材は紙を含まない、油面用粘着シート。
【請求項2】
前記粘着剤層は、顔料を含まない、請求項1に記載の油面用粘着シート。
【請求項3】
前記樹脂基材において、粘着剤層側の表層~基材厚さ1/4
の空隙面積率が5%以上である、請求項1または2に記載の粘着シート。
【請求項4】
前記粘着剤組成物が、さらに粘着付与剤を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の油面用粘着シート。
【請求項5】
前記粘着付与剤が、脂環族系石油樹脂、テルペン系樹脂および重合ロジン系エステル樹脂からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項
4に記載の油面用粘着シート。
【請求項6】
前記粘着剤が、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体およびアクリル系共重合体から選択される少なくとも1種である、請求項1~
5のいずれか1項に記載の油面用粘着シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油面用粘着シートに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用途などの機械加工された金属製品には、防錆や潤滑を目的として油が金属表面に塗布されていることが多い。油が塗布された金属表面に工程管理用として必要な情報を記載した粘着シートを貼付することが行われる。しかしながら、金属表面に存在する油の影響で粘着シートの粘着性が著しく低下し、貼付後に粘着シートが剥がれ落ちるといった事象が見られることがあった。
【0003】
このため、溶剤を浸み込ませた布などで油面を拭くなどして金属表面の脱脂を行った後、粘着シートを貼付することが行われてきた。このような脱脂作業により作業効率が低下するため、油面に対しても粘着性の低下しない油面用粘着シートが求められている。
【0004】
特許文献1には、表面基材、粘着剤層、および剥離紙(剥離ライナー)を積層した粘着シートにおいて、粘着剤層の吸油量が0.1g/g以上、かつ、粘着剤層の油滴下直後の油接触角が30~60°である、粘着シートが開示されている。そして、かような粘着剤層を構成するアクリル系重合体の単量体成分として2-エチルヘキシルアクリレートを70重量%以上用い、さらにイソシアネート系架橋剤を用いた粘着剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載の粘着剤から形成される粘着シートは、油面に対する粘着力は十分なものとは言えないため、油面に対する粘着性のさらなる向上が望まれていた。
【0007】
そこで本発明は、油面に対する粘着性に優れた油面用粘着シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、粘着剤を含む粘着剤組成物から形成されてなる粘着剤層と、油剤に浸漬した際の重量増加率が3%以上である、空隙を有する樹脂基材と、を含む油面用粘着シートである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、油面に対する粘着性に優れた油面用粘着シートを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】粘着シートの一実施形態を示す断面模式図である。
【
図2】粘着シートの他の実施形態を示す断面模式図である。
【
図3】
図1の粘着シートにおいて、粘着剤層側の表層~基材厚さ1/4の領域と、粘着剤層側の表層~基材厚さ1/2の領域とを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の第一実施形態は、粘着剤を含む粘着剤組成物から形成されてなる粘着剤層と、
油剤に浸漬した際の重量増加率が3%以上である、空隙を有する樹脂基材と、を含む油面用粘着シートである。当該実施形態に係る油面用粘着シートは、油面に対する粘着性に優れる。
【0012】
油面に粘着シートを貼付すると、油面上の油を粘着剤層が吸収する。この吸油により、粘着剤層の粘着性が低下する。本実施形態では、一定以上の吸油性を有する空隙基材を用いることで、粘着剤層に吸油された油を毛細管現象により基材が吸収し、粘着剤層に存在する油量を低減することができ、粘着性の低下を顕著に抑制することができる。ゆえに、油面に対する粘着性に優れると推定される。
【0013】
なお、上記メカニズムは推測によるものであり、本発明は上記メカニズムに何ら限定されるものではない。
【0014】
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレートおよび/またはメタクリレート」を指し、「(メタ)アクリル酸」は、「アクリル酸および/またはメタクリル酸」を指す。
【0015】
本明細書において、範囲を示す「X~Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性等は、室温(20~25℃)/相対湿度45~55%の条件で測定する。
【0016】
<粘着シート>
図1は、粘着シートの一実施形態を示す断面模式図である。
図1において、粘着シート10は、樹脂基材11、粘着剤層12、および剥離ライナー13から構成される。樹脂基材11は、粘着剤層12に隣接して配置される。このように樹脂基材が粘着剤層に隣接して配置されることで、粘着剤層からの油の吸収を効率的に行うことができる。
【0017】
図2は、粘着シートの他の実施形態を示す断面模式図である。
図2において、粘着シート20は、樹脂基材21、粘着剤層22、および剥離ライナー23から構成される。
図2の実施形態においては、基材21の両面に粘着剤層22が配置され、さらにその外側に2つの剥離ライナー23が配置される。
【0018】
本明細書における「油面用」粘着シートとは、油分が付着している被着体表面に貼付される粘着シートを指す。
【0019】
粘着シートの粘着剤層面におけるSAE粘度分類で10W-30である鉱物油系潤滑油の油滴滴下直後の接触角(以下、単に接触角とする)が60°以下であることが好ましい。粘着剤層の接触角が上記範囲内であることで、油面に対する粘着剤としての機能が発揮されやすいため好ましい。接触角は45°以下であることがより好ましい。なお、接触角は小さければ小さいほど好ましいため、その下限は特に限定されないが、通常30°以上である。また、上記接触角は自動接触角計により測定された値を採用する。
【0020】
以下、粘着シートを構成する各構成部材について説明する。
【0021】
<樹脂基材>
樹脂基材(以下、単に基材とも称する)は重量増加率が3%以上である。樹脂基材の重量増加率が3%未満であると、油面に対する粘着性能が顕著に低下する(比較例参照)。
【0022】
重量増加率は、試験片を5cm×10cmの大きさに切断し、25℃のオリーブオイル中に16時間浸漬した際の重量増加率である。
【0023】
重量増加率としては、本願発明の効果が一層奏されることから、5%以上であることが好ましく、8%以上であることがより好ましく、10%以上であることがさらにより好ましい。重量増加率の上限は、特に限定されないが、基材としての強度の観点から、30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。
【0024】
樹脂基材としては、特に制限はなく、粘着シートの支持基材として用いられている各種の樹脂基材を使用することができる。このような樹脂基材を構成する樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、またはポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、フッ素樹脂、ポリアミド、アクリル樹脂、ノルボルネン系樹脂、シクロオレフィン樹脂等を挙げることができ、中でも、ポリエステルまたはポリプロピレンであることが好ましく、ポリプロピレンであることがより好ましい。なお、ここでいう樹脂基材には、樹脂から構成されるいわゆる合成紙も含まれ、本形態においては樹脂基材として合成紙を用いる形態も好適な形態である。
【0025】
樹脂基材は、空隙を有する。空隙を有することで、空隙が毛細管現象により油剤を吸収しやすくなる。このような空隙を有する樹脂基材は、フィラーを含む樹脂を延伸する方法などにより製造することができる。
【0026】
空隙を有する樹脂基材(多孔体樹脂基材)としては、例えばポリプロピレンフィルムである合成紙ユポ(ユポ・コーポレーション社製)、アクアユポ(登録商標)(ユポ・コーポレーション社製);ポリエステル系フィルムである合成紙クリスパー(登録商標)(東洋紡社製)などを使用することができる。
【0027】
さらに空隙を有する樹脂基材において、粘着剤層側の表層~基材厚さ1/4の空隙面積率が0%を超え、かつ、粘着剤層側の表層~基材厚さ1/4の空隙面積率が粘着剤層側の表層~基材厚さ1/2の空隙面積率よりも低いことが好ましい。このような構成であることで、樹脂基材の機械的強度が担保されるとともに、粘着剤層側に空隙を有するために粘着剤層が吸収した油剤を樹脂基材が一層吸収しやすくなる。
図3において、粘着剤層側の表層~基材厚さ1/4がAで示され、粘着剤層側の表層~1/2がBで示される。空隙面積率は、断面を走査型電子顕微鏡で観察し、全体の断面積に対する空隙の総面積を求めることによって算出することができる。また、粘着剤層側の表層~基材厚さ1/4の空隙面積率は5%以上であることが好ましく、5~15%であることがより好ましい。粘着剤層側の表層~基材厚さ1/4の空隙面積率が5%以上であることで、粘着剤が吸収した油剤を吸収しやすくなる。また、粘着剤層側の表層~基材厚さ1/4の空隙面積率が15%以下であることで、樹脂基材の機械的強度がより担保される。粘着剤層側の表層~基材厚さ1/4の空隙面積率が5~15%で、かつ、粘着剤層側の表層~基材厚さ1/4の空隙面積率が粘着剤層側の表層~1/2の空隙面積率よりも低い樹脂基材としては、例えば、アクアユポ(登録商標)(ユポ・コーポレーション社製)などを使用することができる。
【0028】
樹脂基材の厚みについては、特に制限はないが、機械的特性の観点からは、10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましく、40μm以上であることがさらにより好ましい。また、薄膜化の観点からは、200μm以下であることが好ましく、150μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることがさらにより好ましい。
【0029】
<粘着剤層>
粘着剤層は粘着剤組成物から形成されてなる。粘着剤組成物は粘着剤を含む。
【0030】
粘着剤としては、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン・エチレン-ブチレン・スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン・エチレン-プロピレン・スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン・ブタジエンブロック共重合体(SB)、スチレン・イソプレン(SI)、スチレン・エチレン-ブチレン共重合体(SEB)、スチレン・エチレン-プロピレンブロック共重合体(SEP)、スチレン・ブタジエンラバー(SBR)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-エチルアクレート共重合体(EEA)、及びこれらの混合物などの熱可塑性エラストマー;イソプレンゴム、ポリブテンゴム、ブチルゴム、アクリルゴムなどの合成ゴム、天然ゴム、アクリル系共重合体、シリコーン系共重合体、ウレタン系共重合体、ポリエステル系共重合体、ビニルアルキルエーテル系共重合体、ポリアミド系共重合体、フッ素系共重合体などを用いることができる。上記粘着剤は1種単独で用いても2種以上併用してもよい。
【0031】
粘着剤としては、接着の信頼性の観点から、特にスチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体およびアクリル系共重合体から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0032】
アクリル系共重合体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを単量体主成分とし、必要に応じて(メタ)アクリル酸アルキルエステルに共重合可能な単量体(共重合性単量体)を用いることにより形成される。
【0033】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルの例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0034】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルに共重合可能な単量体(共重合性単量体)として、架橋性官能基を有する単量体を用いることが好ましく、具体的には、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルなどの水酸基含有単量体;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などのカルボキシル基含有単量体;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリロイルモルホリンなどのアミノ基含有単量体などを挙げることができる。
【0035】
その他の共重合性単量体としては、酢酸ビニル、スチレンなどを挙げることができる。
【0036】
アクリル系共重合体の重量平均分子量は特に限定されるものではないが、10万~100万であることが好ましい。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定したポリスチレン換算の値である。
【0037】
粘着剤組成物は、粘着剤の他、粘着付与剤を含むことが好ましい。粘着付与剤を含むことで、油面に貼付した場合の粘着性の低下が抑制される。粘着付与剤としては、特に制限されず、脂環族系石油樹脂、テルペン系樹脂、重合ロジン系エステル樹脂、スチレン系樹脂などが挙げられるが、油面粘着性向上の観点から、脂環族系石油樹脂、テルペン系樹脂および重合ロジン系エステル樹脂からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、脂環族系石油樹脂がより好ましい。
【0038】
粘着付与剤の含有量は、アクリル系共重合体100質量部に対して、油面に対する粘着性を考慮すると、5質量部以上であることが好ましく、10質量部以上であることがより好ましい。さらに、粘着付与剤の含有量は、アクリル系共重合体100質量部に対して、粘着剤への相溶性を考慮すると、40質量部以下であることが好ましく、35質量部以下であることがより好ましく、30質量部以下であることがさらに好ましい。
【0039】
(脂環族系石油樹脂)
石油樹脂とは、石油類のスチームクラッキングによるエチレン類の製造の際に副生する分解油の、留分中のジオレフィン及びモノオレフィン類を、公知の方法で重合して得られるものである。留分がイソプレン、1,3-ペンタジエン、シクロペンテン、シクロペンタジエンなどのC5留分を原料とするものがC5系石油樹脂であり、スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、インデン、アルキルインデン、ジシクロペンタジエンなどのC9留分を原料とするものがC9系石油樹脂である。
【0040】
脂環族系石油樹脂としては、例えば、C5系石油樹脂を環化二量体化した後重合させた脂環式炭化水素系樹脂、環状ジエン化合物(シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン、ジペンテン、エチリデンビシクロヘプテン、ビニルシクロヘプテン、テトラヒドロインデン、ビニルシクロヘキセン、リモネンなど)の重合体又はその水素添加物、C9系石油樹脂またはC5/C9系樹脂の芳香環を水素添加した脂環式炭化水素系樹脂などが挙げられる。
【0041】
中でも、脂環族系石油樹脂としては、C5系石油樹脂/C9系石油樹脂に水素添加して得られた脂環族系石油樹脂が好ましい。
【0042】
脂環族系石油樹脂は、市販品を用いてもよく、市販品としては、例えば、アルコン(登録商標)シリーズ(アルコン(登録商標)P-90、P-100、P-115、P-125、P-140、M-90、M-100、M-115、M-135(以上、荒川化学工業社製))、Quintone(登録商標)シリーズ(Quintone(登録商標)1105、1325、1340、TD-401、1500、1525L、1920、2940など)(以上、日本ゼオン社製)などが挙げられる。
【0043】
脂環族系石油樹脂は非極性であることが好ましい。ここで「非極性」とは、極性基である水酸基およびカルボキシル基を有しないことを指す。非極性であることで、架橋剤との反応点がなく、架橋剤が水酸基および/またはカルボキシル基を有するアクリル系共重合体に効率的に作用するため、粘着性が向上する。
【0044】
脂環族系石油樹脂の軟化点は、他の粘着剤組成物を構成する成分との相溶性ひいては粘着シートの透明性を高める観点から、140℃以下であることが好ましく、115℃以下であることがより好ましく、60~115℃であることがさらに好ましい。なお、軟化点は、JIS K5902-1969またはJIS K2207-1996に記載された環球法によって測定される。また、複数種の脂環族系石油樹脂を用いる場合には、軟化点は各樹脂の軟化点に配合質量比を掛けたものの和とする。例えば、軟化点a℃の脂環族系石油樹脂Aを50質量%、軟化点b℃の脂環族系石油樹脂Bを50質量%用いた場合には、脂環族系石油樹脂の軟化点(℃)=(a×50/100+b×50/100)とする。以下、テルペン系樹脂、重合ロジン系エステル樹脂の軟化点についても同様である。
【0045】
脂環族系石油樹脂は、単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0046】
(テルペン系樹脂)
テルペン系樹脂としては、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、これらを水素化した水添テルペン樹脂などが挙げられ、中でも芳香族変性テルペン樹脂が好ましい。
【0047】
テルペン系樹脂は、市販品を用いてもよい。テルペン樹脂としては、YSレジン(登録商標)PX1250、PX1150、PX1000、PX800、PX1150N、PX300N(以上、ヤスハラケミカル社製)等が挙げられる。テルペンフェノール樹脂としては、YSポリスター(登録商標)U130、U115、T160、T145、T130、T115、T100、T80、T30、S145、G150、G125、N125、K125、TH130(以上、ヤスハラケミカル社製)等が挙げられる。芳香族変性テルペン樹脂としては、YSレジン(登録商標)TO125、TO115、TO105、TO85(以上、ヤスハラケミカル社製)等が挙げられる。水添テルペン樹脂としては、YSポリスター(登録商標)UH115(以上、ヤスハラケミカル社製)等が挙げられる。
【0048】
テルペン系樹脂は、単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0049】
(重合ロジン系エステル樹脂)
重合ロジン系エステル樹脂は、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジンなどのロジン類をメタノール、エタノール、グリセリン、ペンタエリスリトールなどのアルコール類でエステル化した硬質の樹脂であり、本発明ではいずれの重合ロジンを使用することもできる。また、これらを水添した重合水添ロジンも使用することができる。
【0050】
重合ロジン系エステル樹脂は市販品を用いてもよく、市販品としては、例えば、ペンセルD-125、ペンセルD-135、ペンセルD-160(以上、荒川化学工業社製)等が挙げられる。また、重合ロジン系エステル樹脂の軟化点は、他の粘着剤組成物を構成する成分との相溶性の観点からは、160℃以下であることが好ましく、100~160℃であることがより好ましい。
【0051】
重合ロジン系エステル樹脂は単独で用いても、2種以上組み合わせてもよい。
(スチレン系樹脂)
スチレン系樹脂としては、α-メチルスチレンの単一重合体、スチレン系単量体の単一重合体、α-メチルスチレンとスチレン系単量体の共重合体、α-メチルスチレンとスチレン系単量体と他の単量体の共重合体等が挙げられる。
【0052】
粘着剤組成物は、架橋剤を含んでいてもよい。架橋剤としては、公知の架橋剤が使用できる。例えば、以下に制限されないが、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート系架橋剤などが挙げられる。中でも、反応性の観点から、イソシアネート系架橋剤が好ましい。
【0053】
イソシアネート系架橋剤としては、トリメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、1,2-ブチレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6-ジイソシアネートメチルカプエート、リジンジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、1,3,6-ヘキサメチレントリイソシアネート、デカメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート;トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネートなどの脂環式ジイソシアネート;ならびに上記ジイソシアネート化合物とトリメチロールプロパン等のポリオール化合物とのアダクト体、上記ジイソシアネート化合物のビウレット体やイソシアヌレート体などのイソシアネート誘導体が挙げられる。
【0054】
また、エポキシ系架橋剤としてはポリグリシジルアミン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂、アルコール型エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0055】
金属キレート系架橋剤としては、アルミニウム、チタン、ニッケル、クロム、鉄、亜鉛、コバルト、マンガン、ジルコニウム等の金属のアセチルアセトネート錯体等が挙げられる。
【0056】
架橋剤は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
【0057】
架橋剤の添加量は、粘着剤(例えば、アクリル系共重合体)100質量部に対して、0.1~10質量部であることが好ましく、0.5~5質量部であることがより好ましい。
【0058】
粘着剤組成物は、従来公知のその他の添加剤をさらに含みうる。かような添加剤としては、例えば、充填剤、顔料、紫外線吸収剤などが挙げられる。充填剤としては、例えば、亜鉛華、シリカ、炭酸カルシウムなどが挙げられる。
【0059】
粘着剤層の形成方法は、特に限定されるものではないが、樹脂基材上に粘着剤組成物を直接塗工して粘着剤層を形成してもよく、また、剥離ライナー上に粘着剤層を形成した後、これを基材と貼合してもよい。具体的には、剥離ライナー上に粘着剤組成物を塗布し、粘着剤組成物からなる粘着剤層を樹脂基材に転写する方法が挙げられる。
【0060】
粘着剤組成物の樹脂基材または剥離ライナーへの塗布方法は特に限定されず、例えばロールコーター、ナイフコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、ブレードコーター、スロットダイコーター、リップコーター、グラビアコーターなどの公知の塗布装置を用いて塗布することができる。
【0061】
粘着剤層の厚み(乾燥後膜厚)は、通常5~100μm、好ましくは10~50μmである。
【0062】
(剥離ライナー)
剥離ライナーは、粘着剤層を保護し、粘着性の低下を防止する機能を有する部材である。そして、剥離ライナーは、油面に貼付する際に粘着シートから剥離される。このため、本発明における粘着シートは、剥離ライナーを有していないものも包含される。
【0063】
剥離ライナーとしては、特に限定されるものではないが、上質紙、グラシン紙、クレーコート紙、ポリエチレンラミネート紙などの紙;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィンフィルムなどのプラスチックフィルム;などが挙げられる。
【0064】
剥離ライナーの厚みは、通常10~400μm程度である。また、剥離ライナーの表面には、粘着剤層の剥離性を向上させるためのシリコーンなどから構成される剥離剤からなる層が設けられてもよい。かような層が設けられる場合の当該層の厚みは、通常0.01~5μm程度である。
【0065】
本発明の油面用粘着シートは、表面に油分が付着している被着体に粘着剤層面が貼付されて用いられる。
【0066】
被着体を形成する材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリスチレン、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)などのプラスチック、鉄、銅、ステンレスなどの金属、塗装金属板、炭素繊維などを挙げることができる。
【0067】
被着体表面に付着した油分としては、防錆油、切削油、エンジンオイル、ギヤ油、グリースなどの鉱物油、イソドデカン、イソヘキサデカン、軽質イソパラフィン、流動パラフィン、スクワラン、スクワレン、α-オレフィンオリゴマー、ポリブテン、流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、ポリイソブチレン、水添ポリイソブテン等の炭化水素類;アブラナ種子油、パーム油、アボカド油、アルモンド油、アンズ核油、エゴマ油、オレンジ油、オリーブ油、キウイ種子油、ゴマ油、小麦胚芽油、米胚芽油、コメヌカ油、サフラワー油、セージ油、大豆油、チャ種子油、トウモロコシ油、菜種油、月見草油、ツバキ油、パーシック油、ハトムギ油、ピーナッツ油、ひまわり油、ブドウ種子油、メドウフォーム油、ローズマリー油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、ラベンダー油、ローズヒップ油、ミンク油、ラード(豚脂)、ヘット(牛脂)、乳脂、魚油等の動植物油;トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソノニル、2-エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸-2-エチルヘキシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリオクタン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、デカイソステアリン酸デカグリセリル(デカイソステアリン酸ポリグリセリル-10)、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、トリイソステアリン酸ポリグリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、デカイソステアリン酸ポリグリセリル-10、テトライソステアリン酸ペンタエリトリット、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリトリット、ペンタイソステアリン酸ジペンタエリトリット、炭酸ジアルキル、トリメリト酸トリトリデシル、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール、ダイマージリノレイル水添ロジン縮合物等のエステル類;オレイン酸、イソステアリン酸等の脂肪酸類;オレイルアルコール、2-オクチルドデカノール、2-デシルテトラデカノール、イソステアリルアルコール、2-ヘキシルデカノール等の高級アルコール類;ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルトリメチコン、メチルフェニルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、テトラメチルテトラハイドロジェンシクロテトラシロキサン、テトラメチルテトラフェニルシクロテトラシロキサン、テトラメチルテトラトリフロロプロピルシクロテトラシロキサン、ペンタメチルペンタトリフロロプロピルシクロペンタシロキサン、ポリエーテル変性メチルポリシロキサン、オレイル変性メチルポリシロキサン、ポリビニルピロリドン変性メチルポリシロキサン等のシリコーン油類;パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン等のフッ素系油剤類;酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体類;パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、サリチル酸エチルヘキシル等の液状の紫外線吸収剤等の液状油;カカオ脂、シアバター、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、硬化ヤシ油、ワセリン、モノステアリン酸硬化ヒマシ油、モノヒドロキシステアリン酸硬化ヒマシ油、ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-ジ(オクチルドデシル/コレステリル/ベヘニル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)等のペースト状の油剤;パラフィンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、ステアリン酸、ベヘン酸、パルミチン酸セチル、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、トリベヘン酸グリセリル、コレステロール、フィトステロール、ステアリル変性ポリシロキサン、硬化油、ワセリン等の固形状の油剤が挙げられる。
【0068】
特に第一実施形態の油面用粘着シートは、油分が付着しているプラスチックに対する粘着性が高い。このため、本発明の他の実施形態は、油分が付着したプラスチック系被着体に上記油面用粘着シートが貼付して得られる積層体である。
【0069】
また、
図2の形態のように、粘着剤層が基材の両面に配置される形態においては、粘着シートの被着体が貼付されている側とは逆側に、他の被着体を設け、2つの被着体を接着することもできる。この際、他の被着体の粘着剤層貼付面は、油面であっても油剤が塗布されていない非油面であってもよい。
【0070】
粘着シートの非油面に対する粘着力(以下、非油面粘着力とも称する)は、10N/25mm以上であることが好ましく、15N/25mm以上であることがより好ましい。なお、非油面に対する粘着力は以下の方法により測定された値である;粘着シートを25mm幅、150mm長のサンプルとし、剥離ライナーを剥がした後、露出した粘着剤層をメラミン塗装板(パルテック社製、品番:SPCC-SD)に貼付し、JIS Z0237:2009に規定された質量2kgのローラを1往復させた後、23℃、50%RHの条件下で30分間放置する。引張試験機を用い、剥離速度300mm/min、剥離角度180°の条件で粘着力(N/25mm)を測定する。
【0071】
粘着シートの油面に対する粘着力(以下、油面粘着力とも称する)は、5N/25mm以上であることが好ましく、10N/25mm以上であることがより好ましい。なお、油面粘着力は、上記の非油面粘着力の測定において、メラミン塗装板の表面にエンジンオイル(SAE粘度分類で10W-30である鉱物油系潤滑油)を2g/m2で塗布したものを被着体とすること以外は同様にして測定し、チャートから得られる粘着力の平均値を指す。
【0072】
非油面粘着力に対する油面粘着力の割合は、50%以上であることが好ましく、65%以上であることがより好ましく、80%以上であることが特に好ましい。上記範囲であれば、油面に対する粘着性が良好であると言える。
【実施例】
【0073】
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
【0074】
<粘着シートの作製>
(実施例1)
還流器および攪拌機を備えたフラスコに、2-エチルヘキシルアクリレート80質量%、およびブチルアクリレート20質量%の単量体混合物(単量体混合物100質量%)、アゾ系重合開始剤およびトルエン(溶剤)を混合し、窒素置換を行いながら加温し、重合を行って、アクリル系共重合体を得た(重量平均分子量Mw=700,000)。
【0075】
上記アクリル系共重合体100質量部に対して、イソシアネート系架橋剤(商品名:コロネートL、東ソー社製、固形分75質量%)1質量部(固形分0.75質量部)、および脂環族系石油樹脂(アルコン(登録商標、以下同じ)P-100、荒川化学工業社製、軟化点100℃)10質量部を混合して粘着剤組成物を得た。
【0076】
得られた粘着剤組成物を剥離紙(厚さ170μm)にナイフコーターを用いて乾燥後膜厚が25μmとなるように塗工した。粘着剤層面をアクアユポ(登録商標)LAR75(ユポ・コーポレーション社製、厚さ75μm、油剤に浸漬した際の重量増加率 14.6%)上に転写して、23℃で1週間静置し、粘着シートを作製した。なお、粘着剤層の転写は、アクアユポ(登録商標)LAR75の空隙率の高い面(マット面)に対して行った。
【0077】
(実施例2)
実施例1のアクアユポ(登録商標)LAR75をニューユポFGS80(ユポ・コーポレーション社製、厚さ80μm、油剤に浸漬した際の重量増加率 3.6%)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
【0078】
(実施例3)
実施例1において、脂環族系石油樹脂(アルコンP-100)の代わりに、テルペン系樹脂(YSレジン(登録商標)TO105、ヤスハラケミカル社製、芳香族変性テルペン樹脂)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、粘着シートを作製した。
【0079】
(実施例4)
実施例1において、脂環族系石油樹脂(アルコンP-100)の代わりに、スチレン系樹脂(FTR(登録商標)7100、三井化学社製)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、粘着シートを作製した。
【0080】
(比較例1)
実施例1において、アクアユポ(登録商標)LAR75の代わりにポリエチレンテレフタレート基材(厚さ50μm、油剤に浸漬した際の重量増加率 0.0%)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、粘着シートを作製した。
【0081】
(比較例2)
実施例1において、アクアユポ(登録商標)LAR75の代わりにポリエチレン基材(厚さ50μm、油剤に浸漬した際の重量増加率 2.3%)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、粘着シートを作製した。
【0082】
<油面に対する粘着性(油面粘着性)の評価>
メラミン塗装板(パルテック社製、品番:SPCC-SD)にエンジンオイル(SAE粘度分類で10W-30である鉱物油系潤滑油)を滴下し、滴下したオイルをベンコット(旭化成社の登録商標)で広げ、2g/m2になるように重量で確認した被着体を準備した。粘着シートを25mm幅、150mm長のサンプルとし、剥離ライナーを剥がした後、露出した粘着剤層を上記被着体に貼付し、JIS Z0237:2009に規定された質量2kgのローラを1往復させた後、23℃、50%RHの条件下で30分間放置した。引張試験機を用い、剥離速度300mm/min、剥離角度180°の条件で油面粘着力(N/25mm)を測定した。なお、評価は添付時の位置ずれを修正することを考慮し、30分後を初期として粘着力を測定した。なお、油面粘着力の測定においては、油剤塗布の不均一性に起因して、得られるチャートが一定の幅をもって算出される。このため、チャートから得られる粘着力の平均値を油面粘着力(N/25mm)とした。
【0083】
また、エンジンオイルを表面に付していない上記メラミン塗装板を被着体として用い、上記の油面粘着力の測定と同様にして、非油面粘着力(N/25mm)を測定した。
【0084】
非油面粘着力に対する油面粘着力の割合(%)を算出し、下記基準に基づき判定した(C以上であれば、油面に対する粘着性が良好であると判断した)。
【0085】
A:80%以上
B:65%以上80%未満
C:50%以上65%未満
D:50%未満。
【0086】
【0087】
上記表1に示すように、実施例1~4の粘着シートは、油面に対する粘着性に優れていた。一方、比較例1および2の粘着シートは、油面に対する粘着性に乏しかった。
【符号の説明】
【0088】
10、20 粘着シート、
11、21 樹脂基材、
12、22 粘着剤層、
13、23 剥離ライナー。