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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-18
(45)【発行日】2023-08-28
(54)【発明の名称】薬剤作用装置
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/00 20060101AFI20230821BHJP
   B65D 85/00 20060101ALI20230821BHJP
   A61L 9/01 20060101ALI20230821BHJP
   A61L 9/012 20060101ALI20230821BHJP
   A61L 9/12 20060101ALI20230821BHJP
【FI】
B65D83/00 F
B65D85/00 A
A61L9/01 Q
A61L9/012
A61L9/12
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019237888
(22)【出願日】2019-12-27
(65)【公開番号】P2021104284
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2022-07-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000102544
【氏名又は名称】エステー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】水中 幹士
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-100435(JP,U)
【文献】特開2008-030828(JP,A)
【文献】特開2008-278770(JP,A)
【文献】特開平08-191884(JP,A)
【文献】特開2004-261151(JP,A)
【文献】特開2007-175310(JP,A)
【文献】特開2020-130549(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/00
B65D 85/00
A61L 9/00- 9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の薬剤を環状に保持した第1の保持部材と、
第2の薬剤を前記第1の薬剤の内側に配置可能に保持した第2の保持部材と、
前記第2の薬剤を前記第1の薬剤の内側に配置した第1の位置と、前記第2の薬剤を前記第1の位置から軸方向に移動して前記第1の薬剤から引き出した第2の位置と、の間で前記第1の保持部材及び前記第2の保持部材を相対的に移動可能に支持した支持手段と、
を有する薬剤作用装置。
【請求項2】
前記第1の保持部材は、前記第1の保持部材及び前記第2の保持部材を前記第1の位置に配置した状態で、前記第1の薬剤と前記第2の薬剤を非接触状態で区画する隔壁を有する、
請求項1の薬剤作用装置。
【請求項3】
前記第1の薬剤及び前記第2の薬剤は、固形或いはゲル状に形成されている、
請求項1又は請求項2の薬剤作用装置。
【請求項4】
前記第1の薬剤は、消臭剤であり、
前記第2の薬剤は、芳香剤である、
請求項3の薬剤作用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、薬剤を作用させる薬剤作用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、異なる2つの薬剤を作用させる薬剤作用装置として、第1の薬剤と第2の薬剤を隣接配置して容器に収容したものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-24322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
薬剤は、空気に触れる表面積が大きいほど機能する。しかし、上述した特許文献1のように2種類の薬剤を互いに接触させて隣接配置した場合、接触した面の分だけ各薬剤の持つ機能を低下させてしまい、本来発揮できる機能が低下してしまう。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、2つの異なる薬剤の収容場所を分離することができ、薬剤を効果的に機能させることができる薬剤作用装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の薬剤作用装置の一態様は、第1の薬剤を環状に保持した第1の保持部材と、第2の薬剤を第1の薬剤の内側に配置可能に保持した第2の保持部材と、第2の薬剤を第1の薬剤の内側に配置した第1の位置と、第2の薬剤を第1の位置から軸方向に移動して第1の薬剤から引き出した第2の位置と、の間で第1の保持部材及び第2の保持部材を相対的に移動可能に支持した支持手段と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、2つの異なる薬剤の収容場所を分離することができ、薬剤を効果的に機能させることができる薬剤作用装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1の実施形態に係る薬剤作用装置を示す外観斜視図である。
図2図2は、図1の薬剤作用装置をF2-F2で切断した断面図である。
図3図3は、図2の薬剤作用装置の蓋体を閉じた状態を示す断面図である。
図4図4は、第2の実施形態に係る薬剤作用装置を示す外観斜視図である。
図5図5は、第3の実施形態に係る薬剤作用装置を示す外観斜視図である。
図6図6は、第4の実施形態に係る薬剤作用装置を示す外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1に示すように、第1の実施形態の薬剤作用装置10は、第1の薬剤Y1を収容した容器本体1(第1の保持部材)、および第2の薬剤Y2を保持した蓋体2(第2の保持部材)を有する。蓋体2は、容器本体1の開口部1aを開放する図1および図2に示す開位置(第2の位置)と、開口部1aを塞ぐ図3に示す閉位置(第1の位置)と、の間で容器本体1に対して移動可能に取り付けられている。本実施形態では、一例として、容器本体1に収容する第1の薬剤Y1を消臭剤とし、蓋体2に保持せしめる第2の薬剤Y2を芳香剤とした。第1の薬剤Y1および第2の薬剤Y2は、固形或いはゲル状に形成されている。
【0011】
容器本体1は、例えば、ポリプロピレン(PP)樹脂により形成されている。蓋体2は、例えば、ポリエチレン(PE)樹脂により形成されている。容器本体1および蓋体2の材質は、上記のものに限定されるものではなく、例えば、ポリエチレンテフタレート(PET)樹脂やポリスチレン(PS)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂やポリメタクリル酸メチル(PMMA)樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂などの合成樹脂、または合成樹脂以外にもガラスや金属など種々変更が可能である。
【0012】
また、容器本体1内に収容した消臭剤は、例えば、ユーカリオイルや緑茶ポリフェノールなどの植物抽出消臭剤や重曹やクエン酸などのイオン化合物消臭剤、シリカゲルやゼオライトなどの鉱物系消臭剤やヤシガラ活性炭などの微多孔消臭剤が挙げられ、これら消臭剤をゲル状にしたり合成樹脂に練り込み固形状としたものである。蓋体2が保持した芳香剤は、例えば、天然香料や合成香料をゲル状にしたり合成樹脂に練り込み固形状としたものである。
【0013】
本実施形態では、容器本体1内に消臭剤を収容し、蓋体2に芳香剤を保持させたが、これに限らず、容器本体1内に芳香剤を収容し、蓋体2に消臭剤を保持させてもよい。また、第1および第2の薬剤Y1、Y2を両方とも消臭剤にしたり芳香剤にしたりすることも可能である。また、消臭剤や芳香剤以外にも除菌剤、抗菌剤、防腐剤、酸化防止剤など様々な薬剤を使用、或いは混合することができる。
【0014】
容器本体1は、略円筒形の周壁1bと、周壁1bの軸方向の一端(図示下端)を塞いだ略円形の底壁1cと、を有する。容器本体1の形状は、本実施形態のような円筒形に限らずあらゆる形状とすることができる。底壁1cの内面には、周壁1bより小径な略円筒形の隔壁3が一体に突設されている。隔壁3は、周壁1bの内側で周壁1bと同軸に配置されている。隔壁3の軸方向の高さは、周壁1bの軸方向の高さと略同じ高さに形成されている。第1の薬剤Y1は、周壁1bの内面と隔壁3の外面との間の円環状の収容空間4内に収容配置される。第1の薬剤Y1の上面は、容器本体1の周壁1bの上端1dよりわずかに低い位置にあり、隔壁3の上端3aよりわずかに低い位置にある。
【0015】
図2および図3に示すように、容器本体1は、隔壁3の内側で隔壁3から径方向に離間した位置に、隔壁3よりさらに小径な略円筒形のスライドスリーブ5を有する。スライドスリーブ5は、隔壁3と同軸に配置され、周壁1bと同軸に配置されている。スライドスリーブ5の一端(図示下端)は、底壁1cと一体にされている。底壁1cの中央には、スライドスリーブ5の内面に連続する貫通孔1eが設けられている。スライドスリーブ5の高さも、周壁1bや隔壁3の高さと同じである。スライドスリーブ5の他端(図示上端)近くには、円環状の係合段部5aが突設されている。係合段部5aは、スライドスリーブ5の内面側に設けられている。スライドスリーブ5の外面と隔壁3の内面との間には、略円筒状の移動空間6が設けられている。
【0016】
蓋体2は、容器本体1の開口部1aを塞ぐ略円形の天壁2aおよび略円筒形の周壁2bを一体に有する。天壁2aの外面には、つまみ2cが突設されている。天壁2aおよび周壁2bの直径は、容器本体1の底壁1cの直径よりわずかに大きく、開口部1aをカバーする大きさを有する。このため、蓋体2を図3に示す閉位置に配置すると、蓋体2の周壁2bが容器本体1の周壁1bの外側に同軸に重ねて配置され、蓋体2の天壁2aの内面(図示下面)が容器本体1の周壁1bの上端1dに当接する。このとき、容器本体1の隔壁3の上端3aも蓋体2の天壁2aの内面に当接する。
【0017】
蓋体2は、天壁2aの内面に、周壁2bより小径な略円環状の突起11を一体に有する。突起11の内径は、容器本体1の隔壁3の外径よりわずかに大きい。突起11は、蓋体2を容器本体1の開口部1aを塞ぐ閉位置に配置した状態(図3)で、隔壁3の上端3aをその内側に受け入れる。このように、容器本体1の隔壁3の上端3aを受け入れる円環状の突起11を蓋体2の天壁2aの内面に設けたことで、蓋体2を図3の閉位置に配置した状態で、第1の薬剤Y1を収容するための収容空間4とその内側の移動空間6を確実に区画することができる。つまり、隔壁3および突起11は、蓋体2を閉位置に配置した状態で、第1の薬剤Y1と第2の薬剤Y2を非接触状態で区画する。
【0018】
蓋体2は、突起11の径方向の内側に離間した位置で突起11と同軸に配置した突起11より小径な略円筒形の保持スリーブ12を有する。保持スリーブ12は、天壁2aと略直交する方向に突設されている。保持スリーブ12の軸方向の一端(図示上端)は、蓋体2の天壁2aの内面に一体にされている。保持スリーブ12の突出高さは、容器本体1の隔壁3やスライドスリーブ5の高さと略同じ高さに設定されている。
【0019】
保持スリーブ12の外周面12aには、第2の薬剤Y2が保持されている。つまり、第2の薬剤Y2は、保持スリーブ12の外周面12aに沿って円筒状に設けられている。第2の薬剤Y2は、保持スリーブ12の略全長にわたって設けられている。保持スリーブ12と第2の薬剤Y2は、蓋体2を閉位置に配置した状態で、容器本体1の隔壁3とスライドスリーブ5の間の移動空間6内に配置される。保持スリーブ12と第2の薬剤Y2は、蓋体2の開閉動作に従って移動空間6内で移動可能となっている。言い換えると、第2の薬剤Y2の厚みは、第2の薬剤Y2の外周面と隔壁3の内面との間にわずかな隙間を介して、移動空間6内で保持スリーブ12と第2の薬剤Y2が移動可能となる厚みに設定されている。
【0020】
蓋体2は、保持スリーブ12のさらに内側に、保持スリーブ12より小径な略円筒形のスライド軸13を有する。スライド軸13は、保持スリーブ12と同軸に配置されている。スライド軸13の一端(図示上端)は、蓋体2の天壁2aの内面に一体にされている。スライド軸13は、天壁2aの内面から垂直に延設されている。スライド軸13は、容器本体1のスライドスリーブ5よりわずかに短い。スライド軸13は、スライドスリーブ5の内径よりわずかに小さな外径を有する。スライド軸13の外周面と保持スリーブ12の内周面との間には略円筒状の隙間14が設けられている。
【0021】
スライド軸13の他端(図示下端)には、係合爪13aが設けられている。係合爪13aは、スライド軸13の外面に設けられている。また、スライド軸13の他端は、周方向に複数の部分に分割されており、係合爪13aも周方向に沿って複数部分に分割されている。容器本体1のスライドスリーブ5、蓋体2の保持スリーブ12、および蓋体2のスライド軸13は、容器本体1と蓋体2を相対的に軸方向に移動可能に支持した支持手段として機能する。
【0022】
上記構造の薬剤作用装置10を組み立てる場合、容器本体1のスライドスリーブ5の図示上端側から蓋体2のスライド軸13をスライドスリーブ5内に挿通する。このとき、蓋体2のスライド軸13と保持スリーブ12の間の隙間14内に容器本体1のスライドスリーブ5が挿通配置される。
【0023】
蓋体2のスライド軸13を容器本体1のスライドスリーブ5内に挿通すると、スライド軸13の他端が内側に湾曲するように弾性変形し、係合爪13aがスライドスリーブ5の係合段部5aを乗り越える。そして、スライド軸13をスライドスリーブ5内でさらに移動すると、弾性変形により内側にわずかに移動したスライド軸13の係合爪13aが元の位置に戻り、係合爪13aがスライドスリーブ5の係合段部5aに係合する。この状態(図2の状態)で、スライド軸13のスライドスリーブ5からの抜けを防止することができる。
【0024】
以下、上述した薬剤作用装置10の作用・効果について説明する。
薬剤作用装置10は、蓋体2を図3の閉位置に配置した状態で出荷される。この状態で、第1の薬剤Y1および第2の薬剤Y2は、外気に晒されていない。使用時には、利用者がつまみ2cを持って蓋体2を容器本体1から上方に引き上げ、第2の薬剤Y2を容器本体1の移動空間6から引き出す。この状態を図1および図2に示す。この動作により、容器本体1の開口部1aが開放されて第1の薬剤Y1の表面7(第1の表面)が大気に触れる。また、このとき、第2の薬剤Y2の表面8(第2の表面)が露出されて大気に触れる。つまり、蓋体2を容器本体1から離間させる動作により、第1および第2の薬剤Y1、Y2の表面7、8を同時に大気に触れさせることができる。
【0025】
このため、本実施形態によると、薬剤作用装置10の使用開始時に蓋体2を開けるだけで、第1の薬剤Y1を効果的に機能させることができるとともに、第2の薬剤Y2も効果的に機能させることができる。本実施形態では、容器本体1内に消臭剤を収容したため、蓋体2を開けることで消臭効果を発揮させることができる。また、本実施形態では、蓋体2に芳香剤を保持せしめたため、蓋体2を開けることで芳香成分の揮散を開始することができる。
【0026】
また、本実施形態によると、蓋体2の開度を調節することにより、第1および第2の薬剤Y1、Y2を機能させる度合いを調節することができる。例えば、蓋体2を大きく開ける(図2)ことで、容器本体1内に収容した第1の薬剤Y1の表面7に沿って多くの空気を流通させることができ、消臭効果を最大に高めることができる。一方、蓋体2を少し開けることで、第1の薬剤Y1の表面7に触れる空気の量を少なくすることができ、消臭効果を長く発揮するように設定することもできる。
【0027】
また、例えば、蓋体2を大きく開ける(図2)ことで、蓋体2側に保持した第2の薬剤Y2を容器本体1の移動空間6から大きく引き出すことができ、第2の薬剤Y2の表面8が大気に触れる表面積を大きくすることができ、芳香成分の揮散量を最大にすることができる。一方、蓋体2を少し開けることで、第2の薬剤Y2の引き出し量を少なくすることができ、第2の薬剤Y2の表面8が大気に触れる表面積を小さくすることができ、芳香成分の揮散量を少なくして香りだちを穏やかにすることもできる。
【0028】
以上のように、本実施形態によると、第1の薬剤Y1を保持した容器本体1と第2の薬剤Y2を保持した蓋体2を相対的に移動させることにより、第1の薬剤Y1の大気に触れる表面積を大きくすることができ、且つ第2の薬剤Y2の大気に触れる表面積を大きくすることができる。このため、本実施形態によると、第1の薬剤Y1および第2の薬剤Y2を双方とも同時に効果的に機能させることができる。
【0029】
なお、本実施形態では、容器本体1に隔壁3を設けて第1の薬剤Y1と第2の薬剤Y2が直接対向(或いは接触)しないようにしているが、必ずしも隔壁3は必要ではなく、例えば、第1の薬剤Y1を常温で形状を維持可能な固体或いはゲル状物により形成し、第1の薬剤Y1の中心に第2の薬剤Y2を挿通可能な孔を設け、第1の薬剤Y1の孔に第2の薬剤Y2を非接触状態で挿通配置するようにしてもよい。この場合、蓋体2を開けることにより、第2の薬剤Y2の表面が露出すると同時に、第1の薬剤Y1の孔の内面(第1の表面)も大気に触れることになり、第1の薬剤Y1をより効果的に作用させることができる。
【0030】
(第2の実施形態)
図4に示すように、第2の実施形態に係る薬剤作用装置20は、容器本体21と蓋体22を図示しないヒンジ機構(支持手段)により連結した構造を有する。本実施形態においても、容器本体21の形状および蓋体22の形状は任意に変更可能である。ここでは、上述した第1の実施形態と同様に機能する構成要素には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0031】
容器本体21の図示上面側には略長円形の開口部23が設けられている。蓋体22は、ヒンジ機構により、図示の開位置(第2の位置)と容器本体21の開口部23を塞ぐ不図示の閉位置(第1の位置)との間で回動可能に設けられている。蓋体22は、略長円形の板状に形成されている。
【0032】
容器本体21の内部空間は、互いに平行に離間した2つの隔壁24a、24bによって3つの領域に区画されている。2つの隔壁24a、24bの外側の2つの領域には、第1の薬剤Y1が収容配置されている。2つの領域には、同じ種類の第1の薬剤Y1を収容してもよく、異なる種類の第1の薬剤Y1を収容してもよい。第1の薬剤Y1の表面7(第1の表面)は、容器本体21の上端よりわずかに低い位置に設けられている。
【0033】
蓋体22の内面22aには、第2の薬剤Y2が設けられている。第2の薬剤Y2は、円柱を径方向に2分したかまぼこ形状を有し、蓋体22の内面22aに突設されている。一方、容器本体21の2つの隔壁24a、24bの間の領域には、第2の薬剤Y2の表面形状に略一致する形状の湾曲した底壁25が設けられている。第2の薬剤Yの表面をその回動方向に湾曲させたため、蓋体22を開閉する際に第2の薬剤Yが他の部材に干渉することを防ぐことができる。底壁25を設ける代わりに底壁25の形状と同一形状の上面を有する他の薬剤Y3をこの領域に収容配置してもよい。
【0034】
容器本体21の開口部23を蓋体22で閉じると、第2の薬剤Y2が容器本体21の中央の領域に入れ子状に挿入配置される。この状態で、第2の薬剤Y2の湾曲した外面26が容器本体21の底壁25に対向する。このため、蓋体22を閉じた状態では、容器本体21に収容配置した第1の薬剤Y1に外気が触れることはほとんどなく、且つ蓋体22が保持した第2の薬剤Y2の表面が外気に晒されることもない。
【0035】
この状態から、蓋体22を図示の状態まで回動させて開くと、容器本体21の開口部23が開放されて第1の薬剤Y1の表面7が外気に晒され、蓋体22の内面に設けた第2の薬剤Y2の外面26を含む表面(第2の表面)も外気に晒される。よって、本実施形態においても、蓋体22を開ける動作により、第1の薬剤Y1を効果的に機能させることができるとともに、第2の薬剤Y2を効果的に機能させることができる。
【0036】
容器本体21の中央の領域に底壁25を設けずに他の薬剤Y3(図示せず)を収容配置した場合、蓋体22を開けることで、他の薬剤Y3の湾曲した上面(第1の表面)を大気に露出させることができ、薬剤Y3を効果的に機能させることができる。なお、本実施形態では、第1乃至第3の薬剤Y1、Y2、Y3を特定の物質として説明していないが、第1乃至第3の薬剤Y1、Y2、Y3は、消臭剤や芳香剤などあらゆる薬剤を任意に組み合わせて用いることができる。
【0037】
(第3の実施形態)
図5に示すように、第3の実施形態に係る薬剤作用装置30は、第1の薬剤Y1を保持した第1の保持部材31と第2の薬剤Y2を保持した第2の保持部材32をヒンジ機構33(支持手段)を介して回動可能に連結した構造を有する。第1の保持部材31は、第2の保持部材32を収容可能な収容部31aを有する。第1の保持部材31は、第1の薬剤Y1を固形或いはゲル状に成型したものであってもよく、第2の保持部材32も、第2の薬剤Y2を固形或いはゲル状に成型したものであってもよい。
【0038】
第2の保持部材32を第1の保持部材31の収容部31a内に収容配置した状態(第1の位置)から、第2の保持部材32を図示の状態まで回動させて開く(第2の位置)と、第1の保持部材31の収容部31aの内面34(第1の表面)が外気に晒されるとともに、第2の保持部材32が収容部31aの内面に対向していた表面35(第2の表面)が露出される。
【0039】
よって、本実施形態においても、第2の保持部材32を図示の位置まで回動させる動作により、第1の薬剤Y1を効果的に機能させることができるとともに、第2の薬剤Y2を効果的に機能させることができる。また、ヒンジ機構33の角度調整ができるようにすることで、効果を段階的に発揮させることができる。
【0040】
(第4の実施形態)
図6に示すように、第4の実施形態に係る薬剤作用装置40は、第1の薬剤Y1を保持した第1の保持部材41と第2の薬剤Y2を保持した第2の保持部材42をスライド機構43(支持手段)を介して摺動可能に連結した構造を有する。スライド機構43は、例えば、第1の保持部材41の収容部41aの内面に設けたスライドレール43aと、第2の保持部材42の表面に設けたスライド溝43bと、を含む。
【0041】
第1の保持部材41は、第2の保持部材42を収容可能な収容部41a(支持手段)を有する。第1の保持部材41は、第1の薬剤Y1を固形或いはゲル状に成型したものであってもよく、第2の保持部材42も、第2の薬剤Y2を固形或いはゲル状に成型したものであってもよい。
【0042】
第2の保持部材42を第1の保持部材41の収容部41a内に収容配置した状態(第1の位置)から、第2の保持部材42を図示の状態まで引き出す(第2の位置)と、第1の保持部材41の収容部41aの内面44(第1の表面)が外気に触れるとともに、第2の保持部材42が収容部41aの内面に対向していた表面45(第2の表面)が露出される。
【0043】
よって、本実施形態においても、第2の保持部材42を図示の位置まで引き出す動作により、第1の薬剤Y1を効果的に機能させることができるとともに、第2の薬剤Y2を効果的に機能させることができる。また、スライド機構43によって第1の保持部材41に対する第2の保持部材42の相対位置を調整可能とすることで、効果を調整することができる。
【0044】
以上、いくつかの実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
第1の薬剤を保持した第1の保持部材と、
第2の薬剤を保持した第2の保持部材と、
前記第1の薬剤が前記第2の薬剤および/或いは前記第2の保持部材に対向する第1の表面を前記第2の薬剤および/或いは前記第2の保持部材により覆うとともに、前記第2の薬剤が前記第1の薬剤および/或いは前記第1の保持部材に対向する第2の表面を前記第1の薬剤および/或いは前記第1の保持部材により覆う第1の位置と、前記第1の薬剤の前記第1の表面を開放するとともに、前記第2の薬剤の前記第2の表面を開放する第2の位置と、の間で前記第1の保持部材および前記第2の保持部材を相対的に移動可能に支持した支持手段と、
を有する薬剤作用装置。
[2]
前記第1の保持部材は、前記第1の保持部材および前記第2の保持部材を前記第1の位置に配置した状態で、前記第1の薬剤と前記第2の薬剤を非接触状態で区画する隔壁を有する、
[1]の薬剤作用装置。
[3]
前記第1の薬剤および前記第2の薬剤は、固形或いはゲル状に形成されている、
[1]または[2]の薬剤作用装置。
[4]
前記第1の薬剤は、消臭剤であり、
前記第2の薬剤は、芳香剤である、
[3]の薬剤作用装置。
[5]
第1の薬剤を保持した第1の保持部材と、
第2の薬剤を保持し、前記第1の保持部材に対して相対的に移動可能に設けられ、前記第1の保持部材に対して相対的に移動することにより前記第1の薬剤が大気に触れる表面積および前記第2の薬剤が大気に触れる表面積を移動前より大きくする第2の保持部材と、
を有する薬剤作用装置。
[6]
前記第1の保持部材は、前記移動前の状態で、前記第1の薬剤と前記第2の薬剤を非接触状態で区画する隔壁を有する、
[5]の薬剤作用装置。
[7]
前記第1の薬剤および前記第2の薬剤は、固形或いはゲル状に形成されている、
[5]または[6]の薬剤作用装置。
[8]
前記第1の薬剤は、消臭剤であり、
前記第2の薬剤は、芳香剤である、
請求項7の薬剤作用装置。
【符号の説明】
【0045】
1…容器本体、 2…蓋体、 3…隔壁、 4…収容空間、 5…スライドスリーブ、 6…移動空間、 7、8…表面、 10、20、30、40…薬剤作用装置、 12…保持スリーブ、 13…スライド軸、 14…隙間、 Y1…第1の薬剤、 Y2…第2の薬剤。
図1
図2
図3
図4
図5
図6