(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-18
(45)【発行日】2023-08-28
(54)【発明の名称】車両用シート
(51)【国際特許分類】
B60N 2/90 20180101AFI20230821BHJP
B60N 2/68 20060101ALI20230821BHJP
A47C 27/15 20060101ALI20230821BHJP
A47C 7/18 20060101ALI20230821BHJP
【FI】
B60N2/90
B60N2/68
A47C27/15 A
A47C7/18
(21)【出願番号】P 2020046018
(22)【出願日】2020-03-17
【審査請求日】2022-08-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松山 浩二
(72)【発明者】
【氏名】飯村 一哉
(72)【発明者】
【氏名】清水 昇明
(72)【発明者】
【氏名】福田 修也
【審査官】松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-055687(JP,A)
【文献】特開2018-000351(JP,A)
【文献】特開2002-347496(JP,A)
【文献】特開2017-030383(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0232877(US,A1)
【文献】特開平08-322673(JP,A)
【文献】実開平06-058747(JP,U)
【文献】実開昭59-164541(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00-2/90
A47C 7/18,27/14-27/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の乗員に押圧されることで変形するシートパッドと、
前記シートパッド内に設けられたシートワイヤと、
前記シートパッドよりも剛性の高い部材を用いて形成され、前記シートパッドにおける乗員に押圧される側とは反対側に設けられていると共に少なくとも一部が前記シートパッドにおける乗員に押圧される側とは反対側に突出し、前記シートワイヤが係止される支持部と、
を備え
、
前記シートパッドには、乗員に押圧される側とは反対側に突出するパッド側突出部が設けられ、
前記パッド側突出部及び前記支持部の間には、前記シートパッドにおける乗員に押圧される側とは反対側のスペース内の空気が通過する通過経路が設けられている車両用シート。
【請求項2】
車両の乗員に押圧されることで変形するシートパッドと、
前記シートパッド内に設けられたシートワイヤと、
前記シートパッドよりも剛性の高い部材を用いて形成され、前記シートパッドにおける乗員に押圧される側とは反対側に設けられていると共に少なくとも一部が前記シートパッドにおける乗員に押圧される側とは反対側に突出し、前記シートワイヤが係止される支持部と、
を備え、
前記シートパッドには、乗員に押圧される側とは反対側に突出するパッド側突出部が設けられ、
前記パッド側突出部及び前記支持部の間には、前記シートパッドにおける乗員に押圧される側とは反対側のスペース内の配索部材が配索される配索経路が設けられている車両用シート。
【請求項3】
車両の乗員に押圧されることで変形するシートパッドと、
前記シートパッド内に設けられたシートワイヤと、
前記シートパッドよりも剛性の高い部材を用いて形成され、前記シートパッドにおける乗員に押圧される側とは反対側に設けられていると共に少なくとも一部が前記シートパッドにおける乗員に押圧される側とは反対側に突出し、前記シートワイヤが係止される支持部と、
を備え、
前記シートワイヤは、シート幅方向に掛け渡される横ワイヤを備えており、
乗員から前記シートパッドを介して前記横ワイヤに伝達された荷重が前記支持部で支持されるように、前記シートワイヤにおいて前記支持部に係止される位置が設定されており、
前記シートパッドにおける車幅方向の端部には、乗員に押圧される側とは反対側に突出するパッド側突出部が設けられ、
前記支持部は、前記シートパッドにおけるシート幅方向の中央部に設けられ、
前記横ワイヤが、前記パッド側突出部と前記支持部との間に掛け渡されてい
る車両用シート。
【請求項4】
前記シートワイヤは、シート幅方向に掛け渡される横ワイヤを備えており、
乗員から前記シートパッドを介して前記横ワイヤに伝達された荷重が前記支持部で支持されるように、前記シートワイヤにおいて前記支持部に係止される位置が設定されている請求項1
又は請求項2に記載の車両用シート。
【請求項5】
前記シートワイヤは、シート前後方向に掛け渡される前後ワイヤを備えており、
乗員から前記シートパッドを介して前記前後ワイヤに伝達された荷重が前記支持部で支持されるように、前記シートワイヤにおいて前記支持部に係止される位置が設定されている請求項1~請求項
4のいずれか1項に記載の車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、車両の乗員が着座する車両用シートが開示されている。この文献に記載された車両用シートでは、バッテリーへ向けて冷却用の空気を送るためのダクトがシートパッド内に設けられている。そして、ダクトがシートパッドを介して着座圧を受けた際に、ダクトが潰れにくくなるように当該ダクトの断面形状等が設定されている。これにより、車両用シートの不要な沈み込みが抑制され、乗り心地の悪化が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載された構成は、シートパッド内にダクト等の部材が設けられていることによる車両用シートの不要な沈み込みを抑制するという観点では有用な構成ではある。しかしながら、上記特許文献1に記載された構成は、シートパッドの下方側に車両を構成する部材や空気が流れるスペースを設けた構成において車両用シートの不要な沈み込みを抑制することを考慮した構成とはなっていない。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、シートパッドの下方側にスペースを設けた構成において不要な沈み込みを抑制することができる車両用シートを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の車両用シートは、車両の乗員に押圧されることで変形するシートパッドと、前記シートパッド内に設けられたシートワイヤと、前記シートパッドよりも剛性の高い部材を用いて形成され、前記シートパッドにおける乗員に押圧される側とは反対側に設けられていると共に少なくとも一部が前記シートパッドにおける乗員に押圧される側とは反対側に突出し、前記シートワイヤが係止される支持部と、を備え、前記シートパッドには、乗員に押圧される側とは反対側に突出するパッド側突出部が設けられ、前記パッド側突出部及び前記支持部の間には、前記シートパッドにおける乗員に押圧される側とは反対側のスペース内の空気が通過する通過経路が設けられている。
請求項2記載の車両用シートは、車両の乗員に押圧されることで変形するシートパッドと、前記シートパッド内に設けられたシートワイヤと、前記シートパッドよりも剛性の高い部材を用いて形成され、前記シートパッドにおける乗員に押圧される側とは反対側に設けられていると共に少なくとも一部が前記シートパッドにおける乗員に押圧される側とは反対側に突出し、前記シートワイヤが係止される支持部と、を備え、前記シートパッドには、乗員に押圧される側とは反対側に突出するパッド側突出部が設けられ、前記パッド側突出部及び前記支持部の間には、前記シートパッドにおける乗員に押圧される側とは反対側のスペース内の配索部材が配索される配索経路が設けられている。
請求項3記載の車両用シートは、車両の乗員に押圧されることで変形するシートパッドと、前記シートパッド内に設けられたシートワイヤと、前記シートパッドよりも剛性の高い部材を用いて形成され、前記シートパッドにおける乗員に押圧される側とは反対側に設けられていると共に少なくとも一部が前記シートパッドにおける乗員に押圧される側とは反対側に突出し、前記シートワイヤが係止される支持部と、を備え、前記シートワイヤは、シート幅方向に掛け渡される横ワイヤを備えており、乗員から前記シートパッドを介して前記横ワイヤに伝達された荷重が前記支持部で支持されるように、前記シートワイヤにおいて前記支持部に係止される位置が設定されており、前記シートパッドにおける車幅方向の端部には、乗員に押圧される側とは反対側に突出するパッド側突出部が設けられ、前記支持部は、前記シートパッドにおけるシート幅方向の中央部に設けられ、前記横ワイヤが、前記パッド側突出部と前記支持部との間に掛け渡されている。
【0007】
例えば、支持部においてシートパッドから突出している部分が車両のフロアに当接するような状態で、請求項1記載の車両用シートを車両のフロアに固定すると、シートパッドと車両のフロアの間にスペースが形成される。ここで、シートパッド内には、シートワイヤが設けられており、このシートワイヤは支持部に係止されている。これにより、車両の乗員によってシートパッドが押圧された際に、シートパッドに入力された荷重をシートワイヤを介して支持部によって支持することができる。また、支持部がシートパッドよりも剛性の高い部材を用いて形成されていることにより、上記荷重を支持する支持部の変形が抑制される。これにより、シートパッドの下方側にスペースを設けた構成において、車両用シートの不要な沈み込みを抑制することができる。
【0008】
請求項4記載の車両用シートは、請求項1又は請求項2に記載の車両用シートにおいて、前記シートワイヤは、シート幅方向に掛け渡される横ワイヤを備えており、乗員から前記シートパッドを介して前記横ワイヤに伝達された荷重が前記支持部で支持されるように、前記シートワイヤにおいて前記支持部に係止される位置が設定されている。
【0009】
請求項4記載の車両用シートによれば、乗員からシートパッドを介して横ワイヤに伝達された荷重が支持部で支持される。これにより、車両用シートの不要な沈み込みをシート幅方向にわたって抑制することができる。
【0011】
例えば、支持部においてシートパッドから突出している部分及びシートパッドのパッド側突出部が車両のフロアに当接するような状態で、請求項3記載の車両用シートを車両のフロアに固定すると、支持部においてシートパッドから突出している部分とシートパッドのパッド側突出部との間におけるシートパッドと車両のフロアの間にスペースが形成される。ここで、横ワイヤが、シートパッドのパッド側突出部と支持部との間に掛け渡されている。これにより、車両用シートのシート幅方向の中央部からシート幅方向の端部にかけての部分の不要な沈み込みを抑制することができる。
【0012】
請求項5記載の車両用シートは、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の車両用シートにおいて、前記シートワイヤは、シート前後方向に掛け渡される前後ワイヤを備えており、乗員から前記シートパッドを介して前記前後ワイヤに伝達された荷重が前記支持部で支持されるように、前記シートワイヤにおいて前記支持部に係止される位置が設定されている。
【0013】
請求項5記載の車両用シートによれば、乗員からシートパッドを介して前後ワイヤに伝達された荷重が支持部で支持される。これにより、車両用シートの不要な沈み込みをシート前後方向にわたって抑制することができる。
【0015】
請求項1記載の車両用シートによれば、シートパッドにおける乗員に押圧される側とは反対側のスペース内の空気を支持部に設けられた通過経路を通じて流すことができる。
【0017】
請求項2記載の車両用シートによれば、シートパッドにおける乗員に押圧される側とは反対側のスペース内の配索経路を通じて配索部材を配索することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る車両用シートは、シートパッドの下方側にスペースを設けた構成において不要な沈み込みを抑制することができる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本実施形態の車両用シートを示す斜視図である。
【
図2】本実施形態の車両用シートのシートクッションを車両上方側から見た平面図である。
【
図3】
図2に示された3-3線に沿って切断したシートクッション等を示す断面図である。
【
図4】
図2に示された4-4線に沿って切断したシートクッション等を示す断面図である。
【
図5】
図2に示された5-5線に沿って切断したシートクッション等を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1~
図5を用いて、本発明の実施形態に係る車両用シートについて説明する。なお、以下の説明において前後左右上下の方向を示して説明するときは、車両用シートに着座した乗員から見たシートの前後左右上下の方向を示すものとし、また各図に適宜示す矢印FRは前方向、矢印UPは上方向、矢印RHは右方向、矢印LHは左方向をそれぞれ示すものとする。また、左右の方向は、シート幅方向と一致している。また、矢印RH及び矢印LHは、シート幅方向外側と一致している。
【0021】
図1に示されるように、本実施形態の車両用シート10は、車両の後席として用いられる3人掛けの車両用シートである。この車両用シート10は、車両の乗員の臀部を支持すると共に車両のフロア12に固定されるシートクッション14と、車両の乗員の背部を支持するシートバック16と、を備えている。
【0022】
図2に示されるように、シートクッション14は、当該シートクッション14の骨格を構成するシートワイヤとしてのワイヤフレーム18と、ワイヤフレーム18の一部が係止される支持部としての第1支持部20及び第2支持部22と、ワイヤフレーム18の全体、第1支持部20の大部分及び第2支持部22の大部分がその内部に配置されたシートパッド24と、を備えている。なお、
図2においては、ワイヤフレーム18、第1支持部20、第2支持部22及びシートパッド24を実線で示している。
【0023】
ワイヤフレーム18は、棒状に形成された鋼材が所定の形状に屈曲及び湾曲されることによって形成された複数のワイヤ26が直接又は間接的に接続されること等により形成されている。
【0024】
ワイヤフレーム18は、シートパッド24内の前端部においてシート幅方向に延びると共にシート幅方向の両端部が後方側へ向けて屈曲された第1前ワイヤ26Aと、第1前ワイヤ26Aの左右の両側にそれぞれ接合された左右一対の前端ワイヤ26Bと、を備えている。また、ワイヤフレーム18は、シートパッド24内の前端部かつ第1前ワイヤ26Aの後方側においてシート幅方向に延びる第2前ワイヤ26Cを備えている。
【0025】
さらに、ワイヤフレーム18は、シートパッド24内の前端部のシート幅方向外側の部分からシート幅方向外側の部分に沿って後方側へ延びる左右一対の第1外側ワイヤ26Dを備えている。この左右一対の第1外側ワイヤ26Dの前方側は、第1前ワイヤ26Aのシート幅方向の両側部分にそれぞれ接合されている。また、この左右一対の第1外側ワイヤ26Dの前方側は、前方側が開放されたU字状に形成されたU字接続ワイヤ26Eを介して第1前ワイヤ26A及び第2前ワイヤ26Cのシート幅方向の両側部分にそれぞれ間接的に接合されている。
【0026】
ワイヤフレーム18は、シートパッド24内のシート幅方向外側の部分における前後方向の中央部から後方側へ延びる左右一対の第2外側ワイヤ26Fを備えている。左右一対の第2外側ワイヤ26Fの前端部は、左右一対の第1外側ワイヤ26Dの後端部にそれぞれ接合されている。
【0027】
ワイヤフレーム18は、シートパッド24内の後端部においてシート幅方向に延びると共にシート幅方向の両端部が前方側へ向けて屈曲された左右一対のサイド後ワイヤ26Gを備えている。この左右一対のサイド後ワイヤ26Gは、シートクッション14において左右の両側に着座する乗員と対応する位置にそれぞれ配置されている。左右一対のサイド後ワイヤ26Gのシート幅方向外側の前端部は、左右一対の第2外側ワイヤ26Fの後端部にそれぞれ接合されている。
【0028】
ワイヤフレーム18は、シートパッド24内のシート幅方向の中央部においてシート幅方向に間隔をあけて配置されていると共にシート前後方向に延びる左右一対の中央ワイヤ26Hを備えている。この左右一対の中央ワイヤ26Hは、シートクッション14において左右の中央に着座する乗員と対応する位置にそれぞれ配置されている。左右一対の中央ワイヤ26Hの前端部は、第1前ワイヤ26Aのシート幅方向の中央部及び第2前ワイヤ26Cのシート幅方向の中央部にそれぞれ接合されている。
【0029】
ワイヤフレーム18は、シートパッド24内の後端部のシート幅方向の中央部においてシート幅方向に延びると共にシート幅方向の両端部が前方側へ向けて屈曲された中央後ワイヤ26Iを備えている。この中央後ワイヤ26Iは、左右一対の中央ワイヤ26Hの後端部に接合されることで左右一対の中央ワイヤ26Hの後端部をシート幅方向につないでいる。
【0030】
ワイヤフレーム18は、シートパッド24内の前後方向の中央部においてシート幅方向に延びる第1中央接続ワイヤ26Jを備えている。この第1中央接続ワイヤ26Jは、左右一対の中央ワイヤ26Hの前後方向の中央部に接合されることで左右一対の中央ワイヤ26Hの中央部をシート幅方向につないでいる。
【0031】
ワイヤフレーム18は、シートパッド24内の後端部においてシート幅方向に延びると共に前後方向に間隔をあけて配置された第2中央接続ワイヤ26K及び第3中央接続ワイヤ26Lを備えている。この第2中央接続ワイヤ26K及び第3中央接続ワイヤ26Lは、左右一対の中央ワイヤ26Hの後端部に接合されることで左右一対の中央ワイヤ26Hの後端部をシート幅方向につないでいる。なお、本実施形態では、第2接続中央ワイヤ26Hは、中央後ワイヤ26Iよりも前方側に配置されている。また、第2接続中央ワイヤ26Hは、中央後ワイヤ26Iと対応する位置(中央後ワイヤ26Iに囲まれた位置)に配置されている。
【0032】
ワイヤフレーム18は、シートパッド24内の前後方向の中央部よりも後端側においてシート幅方向に延びる左右一対の横ワイヤ26Mを備えている。この左右一対の横ワイヤ26Mの大部分は、シートクッション14において左右の両側に着座する乗員と対応する位置にそれぞれ配置されている。また、左右一対の横ワイヤ26Mのシート幅方向外側の端部は、左右一対の第2外側ワイヤ26Fにそれぞれ接合されている。また、左側の横ワイヤ26Mのシート幅方向内側の端部は、左側の中央ワイヤ26Hの前後方向の中央部に接続プレート28を介して接合されている。さらに、右側の横ワイヤ26Mのシート幅方向内側の端部は、右側の中央ワイヤ26Hの前後方向の中央部に接合されている。
【0033】
ワイヤフレーム18は、シートクッション14において左側に着座する乗員と対応する位置のシートパッド24内において前後方向に延びる2本の前後ワイヤ26Nを備えている。また、この2本の前後ワイヤ26Nはシート幅方向に間隔をあけて配置されている。さらに、2本の前後ワイヤ26Nの前端部は、第2前ワイヤ26Cにそれぞれ接合されており、2本の前後ワイヤ26Nの後端部は、左側のサイド後ワイヤ26Gにそれぞれ接合されている。
【0034】
ワイヤフレーム18は、シートクッション14において右側に着座する乗員と対応する位置のシートパッド24内において前後方向に延びる2本の前後ワイヤ26Nを備えている。また、この2本の前後ワイヤ26Nはシート幅方向に間隔をあけて配置されている。さらに、2本の前後ワイヤ26Nの前端部は、第2前ワイヤ26Cにそれぞれ接合されており、2本の前後ワイヤ26Nの後端部は、右側のサイド後ワイヤ26Gにそれぞれ接合されている。
【0035】
シートパッド24は、一例として車両の乗員に押圧されることで変形可能なウレタン等を用いて形成されている。このシートパッド24は、車両のフロア12側へ向けて突出すると共に突出方向の先端側の面(下面)が車両のフロア12に当接する複数のパッド側突出部30を備えている。なお、
図2においては、複数のパッド側突出部30において車両のフロア12に当接する面をハッチングで示している。
【0036】
具体的には、シートパッド24は、シートクッション14において左側に着座する乗員の臀部と対応する位置(いわゆるヒップポイントと対応する位置)に配置された左後パッド側突出部30Aを備えている。この左後パッド側突出部30Aは、横ワイヤ26Mと2本の前後ワイヤ26Nとが交わる位置の下方側に配置されている。
【0037】
また、シートパッド24は、シートクッション14において左側に着座する乗員の左側の大腿部と対応する位置に配置された左前パッド側突出部30Bを備えている。この左前パッド側突出部30Bは、2本の前後ワイヤ26Nのうち左側の前後ワイヤ26Nの前端部から左側の第1外側ワイヤ26Dの前端部にかけての位置の下方側に配置されている。
【0038】
さらに、シートパッド24は、シートクッション14において左側に着座する乗員の臀部の左側に配置された左横パッド側突出部30Dを備えている。この左横パッド側突出部30Cは、左側の横ワイヤ26Mのシート幅方向外側の端部の下方側に配置されている。
【0039】
また、シートパッド24は、シートクッション14において左側に着座する乗員の臀部の左側かつ左横パッド側突出部30Cよりも後方側に配置された2つの左後パッド側突出部30Dを備えている。この左後パッド側突出部30Dは、左側の第2外側ワイヤ26F及び左側のサイド後ワイヤ26Gのシート幅方向外側の端部の下方側に配置されている。
【0040】
シートパッド24は、シートクッション14において右側に着座する乗員の臀部と対応する位置(いわゆるヒップポイントと対応する位置)に配置された右後パッド側突出部30E(
図5参照)を備えている。この右後パッド側突出部30Eは、横ワイヤ26Mと2本の前後ワイヤ26Nとが交わる位置の下方側に配置されている。
【0041】
また、シートパッド24は、シートクッション14において右側に着座する乗員の右側の大腿部と対応する位置に配置された右前パッド側突出部30Fを備えている。この右前パッド側突出部30Fは、2本の前後ワイヤ26Nのうち右側の前後ワイヤ26Nの前端部から右側の第1外側ワイヤ26Dの前端部にかけての位置の下方側に配置されている。
【0042】
さらに、シートパッド24は、シートクッション14において右側に着座する乗員の臀部の右側に配置された右横パッド側突出部30Gを備えている。この右横パッド側突出部30Gは、右側の横ワイヤ26Mのシート幅方向外側の端部の下方側に配置されている。
【0043】
また、シートパッド24は、シートクッション14において右側に着座する乗員の臀部の右側かつ右横パッド側突出部30Gよりも後方側に配置された2つの右後パッド側突出部30Hを備えている。この右後パッド側突出部30Hは、右側の第2外側ワイヤ26F及び右側のサイド後ワイヤ26Gのシート幅方向外側の端部の下方側に配置されている。
【0044】
シートパッド24は、シートクッション14において左右の中央の前端部に配置された中央前パッド側突出部30Iを備えている。この中央前パッド側突出部30Iは、左右一対の中央ワイヤ26Hの前端部と第1前ワイヤ26A及び第2前ワイヤ26Cとが交わる位置の下方側に配置されている。
【0045】
また、シートパッド24は、シートクッション14において左右の中央に着座する乗員の右側の大腿部と対応する位置に配置された中央右パッド側突出部30Jを備えている。この中央右パッド側突出部30Jの左側の端部は、右側の中央ワイヤ26Hの前後方向の中央部の下方側に配置されている。
【0046】
さらに、シートパッド24は、シートクッション14において左右の中央に着座する乗員の臀部の後方側に配置された2つの中央後パッド側突出部30Kを備えている。一方の中央後パッド側突出部30Kは、右側の中央ワイヤ26Hの後方側の端部の下方側に配置されている。また、他方の中央後パッド側突出部30Kは、中央後ワイヤ26Iの左側の端部の下方側に配置されている。
【0047】
図2~
図4に示されるように、第1支持部20及び第2支持部22は、一例としてシートパッド24よりも剛性の高い部材であるビーズ法発泡ポリプロピレン等を用いてブロック状に形成されている。なお、
図3、
図4及び
図5においては、図面の見易さを考慮して、各部材の断面のハッチングを省略している。
【0048】
第1支持部20は、シートクッション14において左右の中央に着座する乗員の臀部と対応する位置(いわゆるヒップポイントと対応する位置)に設けられている。この第1支持部20の上方側の部分20Aは、シートパッド24内に埋設されている。また、第1支持部20の上方側の部分20Aには、ワイヤフレーム18の左右一対の中央ワイヤ26Hの前後方向の中央部、右側の横ワイヤ26Mの車幅方向内側の端部及び第1中央接続ワイヤ26Jが係止される係止溝が形成されている。
図3に示されるように、第1支持部20の下方の部分20Bは、シートパッド24から下方側へ向けて突出している。具体的には、第1支持部20の下方の部分20Bには、シート幅方向に間隔をあけて配置された一対の第1支持部側脚部20Cが設けられている。この一対の第1支持部側脚部20Cの間は、後述する通過経路32Bとなっている。
【0049】
図2及び
図4に示されるように、第2支持部22は、前述の第1支持部20の後方側に設けられている。この第2支持部22の上方側の部分22Aは、シートパッド24内に埋設されている。また、第2支持部22の上方側の部分22Aには、ワイヤフレーム18の左右一対の中央ワイヤ26Hの後方側の端部、第2中央接続ワイヤ26K、第3中央接続ワイヤ26L及び中央後ワイヤ26Iが係止される係止溝が形成されている。また、第2支持部22の下方の部分22Bは、シートパッド24から下方側へ向けて突出している。具体的には、第2支持部22の下方の部分22Bには、前後方向に間隔をあけて配置された一対の第2支持部側脚部22Cが設けられている。この一対の第2支持部側脚部22Cの間は、後に詳述する通過経路32Bとなっている。
【0050】
(本実施形態の作用並びに効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0051】
図1~
図5に示されるように、以上説明した本実施形態の車両用シート10のシートクッション14は、車両のフロア12に固定される。このシートクッション14が車両のフロア12に固定された状態では、シートパッド24の各パッド側突出部30の下面、第1支持部20の第1支持部側脚部20Cの下面及び第2支持部22の第2支持部側脚部22Cの下面が車両のフロア12の上面に当接している。また、シートクッション14が車両のフロア12に固定された状態では、当該フロア12上におけるシートパッド24の各パッド側突出部30、第1支持部20の第1支持部側脚部20C及び第2支持部22の第2支持部側脚部22Cの間にスペース32が形成される。これにより、本実施形態では、このスペース32を、配線や配管などの配索部材34が配索される配索経路32Aとして利用することが可能となっている。また、このスペース32が形成されていることにより、配索部材34に外力が加わることが抑制され、配索部材34を保護することができる。また、このスペース32は、空気を流すための通過経路32Bにも利用することが可能となっている。
【0052】
ここで、シートパッド24内には、ワイヤフレーム18が設けられている。このワイヤフレーム18の一部は、第1支持部20及び第2支持部22に係止されることで当該第1支持部20及び第2支持部22に下方側から支持されている。これにより、車両の乗員によってシートパッド24が上方側から押圧された際に、シートパッド24に入力された荷重の一部をワイヤフレーム18を介して第1支持部20及び第2支持部22によって支持することができる。また、第1支持部20及び第2支持部22がシートパッド24よりも剛性の高い部材を用いて形成されていることにより、上記荷重を支持する第1支持部20及び第2支持部22の変形が抑制される。これにより、シートパッド24の下方側に前述のスペース32を設けた構成において、車両用シート10(シートクッション14)の不要な沈み込みを抑制することができる。
【0053】
詳述すると、シートクッション14において左右の中央に着座する乗員からの荷重の大部分を左右一対の中央ワイヤ26H、第1中央接続ワイヤ26J、第2中央接続ワイヤ26K、第3中央接続ワイヤ26L及び中央後ワイヤ26Iを介して第1支持部20及び第2支持部22によって支持することができる。これにより、シートクッション14の左右の中央部の不要な沈み込みを抑制することができる。
【0054】
また、シートクッション14において左側に着座する乗員からの荷重の一部を左側の横ワイヤ26M、左側の2つの前後ワイヤ26N、左側のサイド後ワイヤ26G、左側の第2外側ワイヤ26F、接続プレート28及び左側の中央ワイヤ26Hを介して第1支持部20及び左横パッド側突出部30Cに支持させることができる。これにより、シートクッション14の左側の不要な沈み込みを抑制することができる。特に、左側の横ワイヤ26Mが、第1支持部20と左横パッド側突出部30Cとの間に掛け渡されたような構成となっていることにより、シートクッション14の左側が左右どちらかに傾くような沈み込みをシート幅方向にわたって効果的に抑制することができる。また、2つの前後ワイヤ26Nからの荷重が、第1支持部20と左横パッド側突出部30Cに間接的に支持される構成とすることにより、シートクッション14の左側の不要な沈み込みをシート前後方向にわたって効果的に抑制することができる。
【0055】
さらに、シートクッション14において右側に着座する乗員からの荷重の一部を右側の横ワイヤ26M、右側の2つの前後ワイヤ26N、右側のサイド後ワイヤ26G、右側の第2外側ワイヤ26F、右側の中央ワイヤ26Hを介して第1支持部20及び右横パッド側突出部30Gに支持させることができる。これにより、シートクッション14の右側の不要な沈み込みを抑制することができる。特に、右側の横ワイヤ26Mが、第1支持部20と右横パッド側突出部30Gとの間に掛け渡されたような構成となっていることにより、シートクッション14の右側が左右どちらかに傾くような沈み込みをシート幅方向にわたって効果的に抑制することができる。また、2つの前後ワイヤ26Nからの荷重が、第1支持部20と右横パッド側突出部30Gに間接的に支持される構成とすることにより、シートクッション14の右側の不要な沈み込みをシート前後方向にわたって効果的に抑制することができる。
【0056】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【0057】
すなわち、シートパッド24の下方側のスペース32の形状や容積を考慮して、ワイヤフレーム18、シートパッド24及び支持部の構成を適宜設定すればよい。
【符号の説明】
【0058】
10 車両用シート
18 ワイヤフレーム(シートワイヤ)
20 第1支持部
22 第2支持部
24 シートパッド
26M 横ワイヤ
26N 前後ワイヤ
30 パッド側突出部
30C 左横パッド側突出部(パッド側突出部)
30G 右横パッド側突出部(パッド側突出部)
32 スペース
32A 配索経路
32B 通過経路
34 配索部材