(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-18
(45)【発行日】2023-08-28
(54)【発明の名称】表示方法および表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20230821BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20230821BHJP
H04N 13/344 20180101ALI20230821BHJP
H04N 13/128 20180101ALI20230821BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G09G5/00 550C
G09G5/00 550H
G09G5/00 510V
H04N13/344
H04N13/128
(21)【出願番号】P 2020528399
(86)(22)【出願日】2019-01-02
(86)【国際出願番号】 CN2019070091
(87)【国際公開番号】W WO2019192229
(87)【国際公開日】2019-10-10
【審査請求日】2021-12-28
(31)【優先権主張番号】201810283223.1
(32)【優先日】2018-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(73)【特許権者】
【識別番号】507134301
【氏名又は名称】北京京東方光電科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING BOE OPTOELECTRONICS TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 8 Xihuanzhonglu, BDA, Beijing, 100176, P.R.CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】▲孫▼ 玉坤
(72)【発明者】
【氏名】王 雪▲豐▼
(72)【発明者】
【氏名】苗 京花
(72)【発明者】
【氏名】李 文宇
(72)【発明者】
【氏名】彭 金豹
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼ 斌
(72)【発明者】
【氏名】王 立新
(72)【発明者】
【氏名】李 茜
(72)【発明者】
【氏名】范 清文
(72)【発明者】
【氏名】索 健文
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ ▲亞▼▲麗▼
(72)【発明者】
【氏名】雷 雨
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲亜▼坤
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 浩
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ ▲麗▼莉
【審査官】近藤 幸浩
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0198809(US,A1)
【文献】国際公開第2018/008577(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/008530(WO,A1)
【文献】特開2005-208625(JP,A)
【文献】国際公開第2016/203654(WO,A1)
【文献】特開2014-109717(JP,A)
【文献】特開2010-230701(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/02
G02B 27/01
G09G 5/00
H04N 13/344
H04N 13/128
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常表示のときにレンズ手段と表示手段とを有する表示装置に用いられる表示方法であって、
測距手段によって、前記レンズ手段と前記表示手段との間の第1の距離を検出するステップと、
前記第1の距離に基づいて補正情報を算出して前記補正情報を前記表示手段に送信するステップと、
前記表示手段が前記補正情報に基づいて補正画像を表示することで、前記第1の距離に基づいて初期画像を補正することによって得られる補正画像を、前記レンズ手段を介してユーザの目に集光させるステップと、
を含み、
前記測距手段は、前記レンズ手段の縁部であって前記レンズ手段の直径の一端に配置され、所定方向に沿って前記表示手段に対して垂直に向かないように配置され、前記所定方向と前記第1の距離の方向とが角度θを形成し、前記測距手段は、距離センサと算出手段とを備え、
前記レンズ手段と前記表示手段との間の前記第1の距離を検出することは、
前記レンズ手段に固定接続された前記距離センサを用いて、前記レンズ手段の、前記所定方向における前記表示
手段との間の第2の距離を検出することと、
前記所定方向および前記第2の距離に基づいて前記第1の距離を算出することと、
を含み、
前記所定方向および前記第2の距離に基づいて前記第1の距離を算出することは、
dを前記第1の距離、Sを前記第2の距離、S0を前記所定方向における、前記距離センサの測距開始点と前記レンズ手段の中心面との間の距離とし、式d=(S+S0)*cosθにより前記第1の距離を、前記算出手段によって算出することを含む、
表示方法。
【請求項2】
前記第1の距離に基づいて補正情報を算出する前記ステップは、前記第1の距離および初期画像に基づいて補正画像を算出し、前記補正画像を前記補正情報とするステップを含み、
前記表示手段が前記補正情報に基づいて補正画像を表示するステップは、前記表示手段が前記補正画像を表示するステップを含む
請求項1に記載の表示方法。
【請求項3】
前記第1の距離に基づいて補正情報を算出する前記ステップは、前記第1の距離に基づいて補正指令を算出し、前記補正指令を前記補正情報とするステップを含み、
前記表示手段が前記補正情報に基づいて補正画像を表示するステップは、前記表示手段が前記補正指令に基づいて初期画像を補正して補正画像を取得し、前記補正画像を表示するステップを含む
請求項1に記載の表示方法。
【請求項4】
前記第1の距離に基づいて補正情報を算出して前記補正情報を前記表示手段に送信する前記ステップは、
前記第1の距離が前回の第1の距離に対して変化しているか否かを判定するステップと、
前記第1の距離が前回の第1の距離に対して変化した場合、変化後の第1の距離に基づいて前記補正情報を更新して更新後の補正情報を表示手段に送信するステップと、
前記第1の距離が前回の第1の距離に対して変化していない場合、前回の第1の距離に基づいて補正情報を取得して当該補正情報を表示手段に送信するステップと、
を含む
請求項3に記載の表示方法。
【請求項5】
前記表示手段が前記補正指令に基づいて初期画像を補正して補正画像を取得する前記ステップは、
前記表示手段を通じて、受信した補正指令が前回の補正指令に対して更新があるか否かを判定するステップと、
受信した補正指令が、前回の補正指令に対して更新がある場合、更新後の補正指令に基づいて初期画像を補正して補正画像を取得するステップと、
受信した補正指令が、前回の補正指令に対して更新がない場合、前回の補正指令に基づいて初期画像を補正して補正画像を取得するステップと、
を含む
請求項3に記載の表示方法。
【請求項6】
前記第1の距離に基づいて初期画像を補正することによって前記補正画像を得るステップは、
前記第1の距離に基づいて、前記第1の距離に対応する予め記憶された補正情報を検索するステップと、
当該補正情報に基づいて前記初期画像を補正して補正画像を得るステップと、
を含む
請求項1に記載の表示方法。
【請求項7】
表示手段から出射した光をユーザの目に集光させるレンズ手段と、
前記レンズ手段と前記表示手段との間の第1の距離を調整する調整手段と、
前記第1の距離を検出する測距手段と、
前記第1の距離に基づいて補正情報を算出して前記補正情報を前記表示手段に送信し、初期画像を前記第1の距離に基づいて補正して得た補正画像を、前記補正情報に基づいて前記表示手段に表示させるように制御する補正手段と、
を備え、
前記測距手段は、前記レンズ手段の縁部であって前記レンズ手段の直径の一端に配置され、所定方向に沿って前記表示手段に対して垂直に向かないように配置され、前記所定方向と前記第1の距離の方向とが角度θを形成し、前記測距手段は、距離センサと算出手段とを備え、
前記距離センサは、前記レンズ手段に固定接続され、所定方向において前記レンズ手段と前記表示手段との間の第2の距離を検出するように構成され、
前記算出手段は、dを前記第1の距離、Sを前記第2の距離、S0を前記所定方向における、前記距離センサの測距開始点と前記レンズ手段の中心面との間の距離とし、式d=(S+S0)*cosθにより前記第1の距離を算出するように構成されている、
表示装置。
【請求項8】
前記表示装置は、第1のサブ表示手段および第2のサブ表示手段を含む仮想現実表示装置であり、
前記レンズ手段は、
前記第1のサブ表示手段から出射された光を前記ユーザの左眼に集光させる第1のサブレンズ手段と、
前記第2のサブ表示手段から出射された光を前記ユーザの右眼に集光させる第2のサブレンズ手段と、
を含む
請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記調整手段は、前記第1のサブレンズ手段と前記第1のサブ表示手段との間の第1のサブ距離を調整し、前記第2のサブレンズ手段と前記第2のサブ表示手段との間の第2のサブ距離を調整することに用いられ、第1のサブ距離と第2のサブ距離の調整は互いに独立しており、
前記補正手段は、前記第1のサブ距離に基づいて第1の補正情報を算出して当該第1の補正情報を前記第1のサブ表示手段に送信し、第1の初期画像を前記第1のサブ距離に基づいて補正して得た第1の補正画像を、前記第1の補正情報に基づいて前記第1のサブ表示手段に表示させるように制御することに用いられ、前記補正手段はさらに、前記第2のサブ距離に基づいて第2の補正情報を算出して当該第2の補正情報を前記第2のサブ表示手段に送信し、第2の初期画像を前記第2のサブ距離に基づいて補正して得た第2の補正画像を、前記第2の補正情報に基づいて前記第2のサブ表示手段に表示させるように制御することに用いられる
請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記調整手段は、ガイドレールを有する第1の調整手段と、ガイドレールを有する第2の調整手段と、を有し、
前記第1のサブ表示手段および前記第1のサブレンズ手段の少なくとも一方は、留め具を介して前記第1の調整手段に取り付けられ、
前記第2のサブ表示手段と前記第2のサブレンズ手段の少なくとも一方は、留め具を介して前記第2の調整手段に取り付けられる
請求項9に記載の表示装置。
【請求項11】
前記補正情報は補正指令を含み、
前記補正手段は、前記第1の距離が前回の第1の距離に対して変化したか否かをさらに判定することに用いられ、
前記第1の距離が前回の第1の距離に対して変化した場合に、前記補正手段が変化後の第1の距離に基づいて前記補正情報を更新して更新後の補正情報を前記表示手段に送信し、
前記第1の距離が前回の第1の距離に対して変化していない場合に、前記補正手段が前回の第1の距離に基づいて補正情報を取得して当該補正情報を前記表示手段に送信する
請求項7に記載の表示装置。
【請求項12】
前記補正情報は補正指令を含み、
前記表示手段はさらに、受信した補正指令が前回の補正指令に対して更新されたか否かを判定することに用いられ、
受信した補正指令が、前回の補正指令に対して更新があった場合に、前記表示手段が更新後の補正指令に基づいて初期画像を補正して補正画像を取得し、
受信した補正指令が、前回の補正指令に対して更新がなかった場合に、前記表示手段が前回の補正指令に基づいて初期画像を補正して補正画像を取得する
請求項7に記載の表示装置。
【請求項13】
前記補正手段と電気的に接続される前記表示手段をさらに備える
請求項7から12のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項14】
表示手段を着脱可能に装着するための装着手段をさらに備える
請求項7から12のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項15】
前記補正手段は、前記補正情報を無線形式で前記表示手段に送信することに用いられる
請求項14に記載の表示装置。
【請求項16】
前記距離センサは赤外線距離センサである
請求項7に記載の表示装置。
【請求項17】
複数の第1の距離、複数の補正指令、および前記複数の第1の距離と前記複数の補正指令との対応関係が予め記憶された記憶手段をさらに備え、
前記補正手段は、現在の第1の距離に基づいて前記記憶手段に予め記憶され、現在の第1の距離に対応する補正指令を検索し、検索された補正指令に基づいて初期画像を補正して補正画像を取得する
請求項7から16のいずれか一項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本開示は、2018年4月2日に提出された中国特許出願No.201810283223.1の優先権を主張し、当該特許出願のすべての内容を参照により本願に援用する。
【0002】
本開示は、表示装置の技術分野に属し、具体的には表示方法および表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0003】
仮想現実(VR,Virtual Reality)表示技術は、近年急速な発展を遂げている。仮想現実表示装置は、通常の表示機能を実現する場合、表示手段とレンズ手段を含むことができる。様々なユーザ(例えば、近視者)のニーズに合わせて、表示手段とレンズ手段との距離(即ち、物体距離)は調整可能であってよい。このような状況において、表示される画像が固定的に表示される場合、表示効果が不十分となるおそれがあり、視覚疲労を招き、視聴体験に影響を与えることになる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の実施例では、表示方法および表示装置を提供する。
【0005】
本開示のある実施例では、通常表示のときにレンズ手段と表示手段とを有する表示装置に用いられる表示方法を提供し、前記表示方法は、前記レンズ手段と前記表示手段との間の第1の距離を検出するステップと、前記第1の距離に基づいて補正情報を算出して前記補正情報を前記表示手段に送信するステップと、前記表示手段が前記補正情報に基づいて補正画像を表示することで、前記第1の距離に基づいて初期画像を補正することによって得られる補正画像を、前記レンズ手段を介してユーザの目に集光させるステップと、を含む。
【0006】
一実施例において、前記第1の距離に基づいて補正情報を算出する前記ステップは、前記第1の距離および初期画像に基づいて補正画像を算出し、前記補正画像を前記補正情報とするステップを含み、前記表示手段が前記補正情報に基づいて補正画像を表示するステップは、前記表示手段が前記補正画像を表示するステップを含む。
【0007】
一実施例において、前記第1の距離に基づいて補正情報を算出する前記ステップは、前記第1の距離に基づいて補正指令を算出し、前記補正指令を前記補正情報とするステップを含み、
前記表示手段が前記補正情報に基づいて補正画像を表示するステップは、前記表示手段が前記補正指令に基づいて初期画像を補正して補正画像を取得し、前記補正画像を表示するステップを含む。
【0008】
一実施例において、前記第1の距離に基づいて補正情報を算出して前記補正情報を前記表示手段に送信する前記ステップは、
前記第1の距離が前回の第1の距離に対して変化しているか否かを判定するステップと、
前記第1の距離が前回の第1の距離に対して変化した場合、変化後の第1の距離に基づいて前記補正情報を更新して更新後の補正情報を表示手段に送信するステップと、
前記第1の距離が前回の第1の距離に対して変化していない場合、前回の第1の距離に基づいて補正情報を取得して当該補正情報を前記表示手段に送信するステップと、を含む。
【0009】
一実施例において、前記表示手段が前記補正指令に基づいて初期画像を補正して補正画像を取得するステップは、
前記表示手段を通じて、受信した補正指令が前回の補正指令に対して更新があるか否かを判定するステップと、
受信した補正指令が、前回の補正指令に対して更新がある場合、更新後の補正指令に基づいて初期画像を補正して補正画像を取得するステップと、
受信した補正指令が、前回の補正指令に対して更新がない場合、前回の補正指令に基づいて初期画像を補正して補正画像を取得するステップと、を含む。
【0010】
一実施例において、前記レンズ手段と前記表示手段との間の第1の距離を検出する前記ステップは、
前記レンズ手段に固定接続された距離センサを用いて、前記レンズ手段の、所定方向における前記表示部との間の第2の距離を検出するステップと、
前記所定方向および前記第2の距離に基づいて前記第1の距離を算出するステップと、を含む。
【0011】
一実施例において、前記所定方向および前記第2の距離に基づいて前記第1の距離を算出する前記ステップは、
dを前記第1の距離、Sを前記第2の距離、S0を前記所定方向における、前記距離センサの測距開始点と前記レンズ手段の中心面との間の距離、θを前記所定方向と前記第1の距離がある方向とがなす角度とし、式d=(S+S0)*cosθにより前記第1の距離を算出するステップを含む。
【0012】
一実施例において、前記第1の距離に基づいて初期画像を補正することによって前記補正画像を得るステップは、
前記第1の距離に応じて、前記第1の距離に対応する予め記憶された補正情報を検索するステップと、
当該補正情報に基づいて前記初期画像を補正して補正画像を得るステップと、を含む。
【0013】
本開示のある実施例では、
表示手段から出射した光をユーザの目に集光させるレンズ手段と、
前記レンズ手段と前記表示手段との間の第1の距離を調整する調整手段と、
前記第1の距離を検出する測距手段と、
前記第1の距離に基づいて補正情報を算出して前記補正情報を前記表示手段に送信し、初期画像を前記第1の距離に基づいて補正して得た補正画像を、前記補正情報に基づいて前記表示手段に表示させるように制御する補正手段と、を備える表示装置を提供する。
【0014】
一実施例において、前記表示装置は、第1のサブ表示手段および第2のサブ表示手段を含む仮想現実表示装置であり、
前記レンズ手段は、
前記第1のサブ表示手段から出射された光を前記ユーザの左眼に集光させる第1のサブレンズ手段と、
前記第2のサブ表示手段から出射された光を前記ユーザの右眼に集光させる第2のサブレンズ手段と、を含む。
【0015】
一実施例において、前記調整手段は、前記第1のサブレンズ手段と前記第1のサブ表示手段との間の第1のサブ距離を調整し、前記第2のサブレンズ手段と前記第2のサブ表示手段との間の第2のサブ距離を調整することに用いられ、第1のサブ距離と第2のサブ距離の調整は互いに独立しており、
前記補正手段は、前記第1のサブ距離に基づいて第1の補正情報を算出して当該第1の補正情報を前記第1のサブ表示手段に送信し、第1の初期画像を前記第1のサブ距離に基づいて補正して得た第1の補正画像を、前記第1の補正情報に基づいて前記第1のサブ表示手段に表示させるように制御することに用いられ、前記補正手段はさらに、前記第2のサブ距離に基づいて第2の補正情報を算出して当該第2の補正情報を前記第2のサブ表示部に送信し、第2の初期画像を前記第2のサブ距離に基づいて補正して得た第2の補正画像を、前記第2の補正情報に基づいて前記第2の表示手段に表示させるように制御することに用いられる。
【0016】
一実施例において、前記調整手段は、ガイドレールを有する第1の調整手段と、ガイドレールを有する第2の調整手段と、を有し、
前記第1のサブ表示手段および前記第1のサブレンズ手段の少なくとも一方は、留め具を介して前記第1の調整手段に取り付けられ、
前記第2のサブ表示手段と前記第2のサブレンズ手段の少なくとも一方は、留め具を介して前記第2の調整手段に取り付けられる。
【0017】
一実施例において、前記補正情報は補正指令を含み、
前記補正手段は、前記第1の距離が前回の第1の距離に対して変化したか否かをさらに判定することに用いられ、
前記第1の距離が前回の第1の距離に対して変化した場合に、前記補正手段が変化後の第1の距離に基づいて前記補正情報を更新して更新後の補正情報を前記表示手段に送信し、
前記第1の距離が前回の第1の距離に対して変化していない場合に、前記補正手段が前回の第1の距離に基づいて補正情報を取得して当該補正情報を前記表示手段に送信する。
【0018】
一実施例において、前記補正情報は補正指令を含み、
前記表示手段はさらに、受信した補正指令が前回の補正指令に対して更新されたか否かを判定することに用いられ、
受信した補正指令が、前回の補正指令に対して更新があった場合に、前記表示手段が更新後の補正指令に基づいて初期画像を補正して補正画像を取得し、
受信した補正指令が、前回の補正指令に対して更新がなかった場合に、前記表示手段が前回の補正指令に基づいて初期画像を補正して補正画像を取得する。
【0019】
一実施例において、前記表示装置は、
前記補正手段と電気的に接続される前記表示手段をさらに備える。
【0020】
一実施例において、前記表示装置は、
表示手段を着脱可能に装着するための装着手段をさらに備える。
【0021】
一実施例において、前記補正手段は、前記補正情報を無線形式で前記表示手段に送信することに用いられる。
【0022】
一実施例において、前記測距手段は、
前記レンズ手段に固定接続され、所定方向において前記レンズ手段と前記表示手段との間の第2の距離を検出する距離センサと、
前記所定方向および前記第2の距離に基づいて、前記第1の距離を算出する算出手段と、を備える。
【0023】
一実施例において、前記距離センサは赤外線距離センサである。
【0024】
一実施例において、前記表示装置は、
複数の第1の距離、複数の補正指令、および前記複数の第1の距離と前記複数の補正指令との対応関係が予め記憶された記憶手段をさらに備え、
前記補正手段は、現在の第1の距離に基づいて前記記憶手段に予め記憶され、現在の第1の距離に対応する補正指令を検索し、検索された補正指令に基づいて初期画像を補正して補正画像を取得する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本開示の実施例による仮想現実表示装置の構造概念図である。
【
図2】本開示の実施例による実際に表示される画像とユーザの目に見える画像との対応関係の概念図である。
【
図3】本開示の実施例による物体距離が変化する際の表示効果の変化を示す原理概念図である。
【
図4】本開示の実施例による表示装置の構造概念図である。
【
図5】本開示の実施例による表示装置が第1の距離を測定する原理概念図である。
【
図6】本開示の実施例による表示方法のフロー概念図である。
【
図7】本開示の実施例による表示装置の構成ブロック図である。
【
図8】本開示の実施例によるもう1つの表示装置の構成ブロック図である。
【
図9】本開示の実施例による測距手段の構成ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本開示の技術案を当業者がより明確に理解できるよう、以下では図面と具体的な実施形態を組み合わせて、本開示をさらに詳細に説明する。
【0027】
図1に示すように、本開示の実施例は、仮想現実(VR,Virtual Reality)表示装置を提供し、当該VR表示装置は、VR眼鏡、VRヘルメットなどであってよい。VR表示装置は、表示手段1およびレンズ手段2を含むことができる。表示手段1の異なる領域(例えば、左右領域)に表示された異なる画像が、レンズ手段2を通過してユーザの左右の目にそれぞれ入ることで、両目が異なる画像を見られるようにし、ユーザに立体画像(仮想イメージ)を見ているように感じさせる。1つの実施例において、レンズ手段2は、1つまたは複数のレンズを含んでよい。レンズ手段2の異なる位置は、これらの位置を通過する光線の伝達方向が異なるように変化させ、すなわち、レンズ手段2の異なる位置は異なる歪み係数を有する。画像がレンズを通過した後にユーザの目において正確な画像を形成するためには、逆歪みを加える必要があり、即ち、表示手段1に表示される画像は表示待ちの画像(或いは、初期画像と称される)に対して歪んでいる。表示手段1に表示される画像における歪みと、表示される画像がレンズ手段2を通過して生じる歪みとが互いに打ち消され、ユーザが最終的に目にするものが正確な初期画像になる。例えば、
図2に示すように、ユーザに正方形格子の画像(即ち、初期画像)を見せたい場合、表示手段1が実際に表示する格子画像は歪んでいる。
【0028】
一実施例において、前記VR表示装置は記憶手段をさらに含んでよく、当該記憶手段には、各物体距離(以下では、「第1の距離」と称してもよい)の状況下での、初期画像(例えば、
図2の右側部分に示す通りである)と、表示装置1に実際に表示される画像(例えば、
図2の左側部分に示す通りである)との間の対応するマッピング関係(以下では、「補正指令」と称してもよい)が予め記憶されている。つまり、補正指令は、初期画像(または、表示待ち画像)のデータと画面座標のマッピング関係であってよい。これで、異なる物体距離において、表示手段1に表示される画像の歪みも異なることにより、表示画像がレンズ手段2を通過して生じる歪みが互いに打ち消されるため、ユーザは異なる物体距離でも正確な初期画像を目にすることができる。一実施例において、前記記憶手段は、表示手段1における記憶手段(例えば、不揮発性メモリ、フラッシュメモリなど)であってよい。一実施例において、各前記マッピング関係(または、各前記補正指令)は、事前の実験で取得でき、前記記憶手段に予め記憶してもよい。
【0029】
一実施例において、前記VR表示装置は調整手段4をさらに備えてよい。調整手段4は、ガイドレール(guide rail)を有する支持体であってよい。表示手段1は、留め具(例えば、クリップ、ボルトなど)を介して調整手段4に取り付けられ、留め具を調整することにより、表示手段1が調整手段4のガイドレールに沿ってレンズ手段2に対して接近するか、或いはレンズ手段2から離れることで、表示手段1とレンズ手段2との間の距離(即ち、物体距離)を調整する。これで、前記VR表示装置は、異なるユーザ(例えば、近視者)に適用され、ユーザは調整手段4を用いて、表示手段1とレンズ手段(例えば、レンズ)2との間の距離(即ち、物体距離)を調整することができる。
【0030】
図3に示すように、物体距離が変化した後、表示手段1の同一点からの同一角度の光がレンズに入射する位置が変化し、すなわち、それに対応する歪み係数が変化する。また、当該光がレンズを通過した後の角度(画角)も変化し、当該点によって形成される仮想イメージの位置が変化する。これにより、当該物体距離が変化する際に、ユーザが実際に目にする仮想イメージ上の各点が変位する。本実施例によるVR表示装置において、異なる物体距離では、表示手段1に表示される画像の歪みも異なるため、表示画像がレンズ手段2を通過することで生じる歪みが互いに打ち消され、被写界深度、視差などの変化を防止し、表示効果を改善させることができる。また、ユーザの目は、物体距離の変化を調整する必要が一切なく、視覚的な疲労が軽減または防止され、ユーザの視聴体験を向上させている。
【0031】
図6に示すように、本開示の実施例では、通常表示のときにレンズ手段2と表示手段1とを有する表示装置(例えば、VR表示装置)に用いられる表示方法を提供する。
図4~
図8を参照すると、前記表示方法は、以下のステップS61、ステップS62A、およびステップS63Aを含むことができる。
【0032】
ステップS61は、レンズ手段2と表示手段1との間の第1の距離(例えば、現在の第1の距離)を検出するステップを含む。上述のように、第1の距離は物体距離であってよい。
【0033】
ステップS62Aは、第1の距離に基づいて補正情報を算出して当該補正情報を表示装置1に送信するステップを含む。一実施例において、前記補正情報は前記補正指令であってよい(すなわち、初期画像(または、表示待ち画像)と表示手段1に実際に表示される画像との間のマッピング関係)。或いは、前記補正情報は、補正後の画像(すなわち、表示装置1に実際に表示される画像であり、以下では、「補正画像」と称してもよい)のデータであってよい。ステップS61において、現在の第1の距離が前回の第1の距離と同じである場合、補正情報は更新する必要がないため、前記方法は、
図6におけるステップS63Aを直接実行することができると理解されたい。
【0034】
ステップS63Aは、表示手段1が補正情報に基づいて補正画像を表示することで、第1の距離に基づいて初期画像を補正することによって得られる補正画像を、レンズ手段2を介してユーザの目に集光させるステップを含む。
【0035】
本実施例の表示方法が適用される表示装置では、表示手段1に表示された画像が、レンズ手段2(1つまたは複数のレンズを含む)によってユーザの目に集光される。
【0036】
当該方法では、レンズ手段2と表示手段1との間の第1の距離(即ち、物体距離)をリアルタイムで検出し、第1の距離に基づいて補正情報を取得し、表示手段1は、補正情報に基づいて補正画像を表示し、当該補正画像は実質的には、初期画像を第1の距離に基づいて補正して得られるものである。すなわち、上記補正により、第1の距離変化に起因して発生するユーザの目における画像の歪みが解消される。つまり、同じ初期画像に対して、異なる第1の距離においてそれぞれ得られる補正画像がレンズ手段2を通過した後に形成される仮想イメージは同じである(例えば、仮想イメージの形状が同じ)か、或いは、ユーザの目におけるイメージは同じである。例えば、第1の距離(即ち、物体距離)は、レンズ手段2の主面と表示手段1の出光面との間の距離であってよい。レンズ手段2の主面は、レンズ手段2の光中心を通過し、且つレンズ手段2の光軸に垂直な平面である。
【0037】
本実施例の表示方法では、表示手段1とレンズ手段2との間の第1の距離(即ち、物体距離)をリアルタイムで検出でき、第1の距離に基づいて補正情報を取得して、表示手段1が補正情報に基づいて補正画像を表示する。当該補正画像は実質的には、第1の距離に基づいて初期画像を補正することによって得られるものであるため、第1の距離(即ち、物体距離)の特定値に相関する。これにより、物体距離が変化する際、補正画像も相応に変化することができ、補正画像が、異なる第1の距離でレンズ手段2を通過した後に正確な画像を形成することを保証でき、ユーザが目にする画像には変化が生じず(または、変化が少なく)、視覚疲労を回避し、視聴体験を向上できる。
【0038】
任意で、本実施例における一態様として、第1の距離に基づいて補正情報を算出するステップ(即ち、ステップS62A)は、第1の距離および初期画像に基づいて(例えば、予め記憶されたマッピング関係を使用する)補正画像を算出し、補正画像を補正情報とするステップを含む。表示手段1が補正情報に基づいて補正画像を表示するステップは、表示手段1が補正情報における補正画像を表示するステップを含む。
【0039】
つまり、補正情報を算出する際に、第1の距離に基づいて、初期画像を如何に補正すべきかを算出することができ、当該方法に従って初期画像を補正して補正画像を取得し(即ち、初期画像における各点の位置を変更する)、当該補正画像をそのまま補正情報として表示手段1に供給して表示させる。例えば、記憶手段から、予め記憶された、当該第1の距離に対応するマッピング関係を検索し、当該マッピング関係を用いて初期画像を補正して補正画像を取得してもよい。
【0040】
任意で、本実施例におけるさらなる一態様として、第1の距離に応じて補正情報を算出するステップ(即ち、ステップS62A)は、第1の距離に応じて補正指令を算出し、補正指令を補正情報とするステップを含む。例えば、当該補正指令には、予め記憶された、当該第1の距離に対応するマッピング関係が含まれる。表示手段1が補正情報に基づいて補正画像を表示するステップ(即ち、ステップS63A)は、前記補正情報が補正指令であるか否かを判定するステップ(即ち、ステップS65)を含む。判定結果がYESである場合、前記方法はステップS66に進む。判定結果がNOである場合は、前記補正情報が補正画像であることを示しており、このような場合、前記方法はステップS69に進む。表示手段1が補正情報に基づいて補正画像を表示するステップ(即ち、ステップS63A)は、表示手段1が補正情報における補正指令に基づいて初期画像を補正して補正画像を取得し、補正画像を表示するステップ(即ち、ステップS66~ステップS69)を含む。
【0041】
つまり、補正情報は、第1の距離に基づいて算出される相応の補正方法(即ち、補正指令)であってよく、当該補正指令が表示手段1に送信された後、表示手段1によって(例えば、表示手段1の中央処理装置CPUおよび/またはグラフィックプロセッサGPUによって)、当該補正指令に基づいて初期画像が補正される。
【0042】
任意で、第1の距離に基づいて補正情報を算出してこれを表示装置1に送信するステップ(即ち、ステップS62A)は、第1の距離が変化したか否かを判定する、即ち、現在の第1の距離が前回の第1の距離に対して変化したか否かを判定するステップ(即ち、ステップS62)を含み、判定結果がYESである場合、変化後の第1の距離に基づいて補正情報を更新して、更新後の補正情報を表示手段1に送信する(即ち、ステップS63)。例えば、前回の第1の距離は記憶手段に記憶してよい。判定結果がNOである場合、前回の第1の距離に基づいて補正情報を取得して、当該補正情報を表示手段1に送信する(ステップS64)。
【0043】
つまり、前記方法では、第1の距離が変化したか否かを常に判定し、第1の距離が変化した場合にのみ補正情報を再算出して、更新後の補正情報を表示装置1に送信する。一方、第1の距離が変化していない場合には、補正情報を更新せず、後続で、記憶手段に記憶されている前回の補正情報を表示手段1に送信することができる。前記方法の利点は、一方において、前記方法は演算量を低減し、処理速度を向上させることができる。もう一方において、上記方法は、補正情報を算出する工程を、第1の距離を測定するプロセスからある程度独立させる(即ち、補正情報を算出するプロセスを1つの単独のスレッドとする)ことにより、上記の距離測定が不測の事態により完了できなかったときには、補正指令(補正情報)を更新しないだけで、エラーが発生して機能しなくならないようにする。
【0044】
任意で、表示手段1が補正情報における補正指令に応じて初期画像を補正して補正画像を取得するステップ(即ち、ステップS66~ステップS68)は、表示手段1が、受信した補正指令に更新があるか否かを判定するステップ(即ち、ステップS66)を含み、判定結果がYESである場合には、更新後の補正指令に基づいて初期画像を補正して補正画像を取得する(即ち、ステップS67)。判定結果がNOである場合には、前回の補正指令に基づいて初期画像を補正して補正画像を取得する(即ち、ステップS68)。補正画像を取得した(即ち、ステップS67またはステップS68)後、補正画像を表示することができる(すなわち、ステップS69)。
【0045】
つまり、表示手段1は、補正情報が上記の補正指令である場合、前回の補正情報(補正指令)を記憶手段に記憶しておき、現在の補正情報が前回の補正情報に対して変化していなければ(補正情報を受信していない、或いは受信した補正情報が前回の補正情報と同じである)、記憶した前回の補正情報に従って初期画像を引き続き補正し、変化(または更新)後の補正情報を受信するまで、変化(または更新)後の補正情報を用いて初期画像を補正してもよい。上記の方法は、表示するプロセスを、補正情報を算出するプロセスとはある程度独立させ(即ち、表示するプロセスを1つの単独のスレッドとする)、新たな補正情報が不測の事態により速やかに算出できなかった場合でも、表示装置1は依然として前の補正情報に従って動作することができ、基本的な表示機能の実現に影響を与えることはない。
【0046】
任意で、レンズ手段2と表示手段1との間の第1の距離を検出するステップ(即ち、ステップS61)は、レンズ手段2に固定接続された距離センサ31を用いて、レンズ手段2の、所定方向における表示手段1との間の第2の距離Sを検出するステップと、所定方向および第2の距離Sに基づいて第1の距離dを算出するステップとを含む(
図5に示す通りである)。
【0047】
任意で、所定方向および第2の距離Sに基づいて第1の距離dを算出するステップは、
図5に示すように、dを第1の距離、Sを第2の距離、S
0を所定方向における、距離センサ31の測距開始点とレンズ手段2の中心面との間の距離、θを所定方向と第1の距離dがある方向とがなす角度とし、式d=(S+S
0)*cosθにより第1の距離dを算出するステップを含む。
【0048】
図5に示すように、一般的に、距離センサ31は、垂直方向(例えば、第1の距離dの方向)の距離を検出することに用いられる。ただし、表示手段1からレンズ手段2に向かう光を遮らないようにするために、表示手段1の各所から出射された光はみなレンズ手段2に入射することから、距離センサ31は表示手段1に対して垂直に向かなくてもよい。よって、距離センサ31をレンズ手段2と固定接続してもよく(例えば、レンズ手段2の縁部に設けられる)、特定の傾斜角度(即ち、所定方向)で表示手段1に向けることで、当該所定方向において、表示手段1との間の第2の距離Sをリアルタイムで測定する。その後、当該第2の距離Sと所定方向(即ち、角度θ)とに基づいて、レンズ手段2と表示手段1との間の現在の第1の距離dを算出する。一実施例において、角度θは、このように設けることができ、第1の距離dが最小値であるとき、距離センサ31は、例えば、レンズ手段2の一本の直径の一端を向き、第1の距離dが最大値であるとき、距離センサ31は、例えば、レンズ手段2の前記一本の直径の前記一端とは反対側の他端を向くようにする。
【0049】
図5に示すように、距離センサ31がリアルタイムで測定した第2の距離をSとし、当該所定方向において、距離センサ31の測距開始点(例えば、赤外線の出射レンズ)とレンズ手段2の中心面との間に距離S
0が存在し、距離センサ31とレンズ手段2に垂直な方向(即ち、第1の距離dが存在する方向)との間の角度をθとすると、以下の式でS
0およびθが算出される。
【0050】
【0051】
そのうち、d1、d2は、距離センサ31を取り付けた後に常規方法で測定して得られる第1の距離の2つの異なる値であり、S1、S2は、第1の距離の上記2つの異なる値で距離センサ31が測定する第2の距離の2つの値である。さらに、式d = ( S + S0 ) * cosθにより第1の距離dを算出することができる。
【0052】
任意で、第1の距離に基づいて初期画像を補正することによって補正画像を得るステップは、第1の距離に基づいて、当該第1の距離に対応する予め記憶された補正情報を検索し、補正情報に基づいて初期画像を補正して補正画像を得るステップを含む。例えば、複数の第1の距離と複数のマッピング関係(即ち、補正指令)との対応関係を予め記憶手段に記憶してもよい。
【0053】
光線は一般的にレンズを通過した後に歪みが存在するため、レンズを通過した後に画像が変形することになる。レンズ手段2を通過させた後に正常な画像を形成したい場合には、逆歪みを行う必要があり、即ち、表示手段1に実際に表示される画像(即ち、レンズ手段2を通過する前の画像)自体は実際には変形している。第1の距離の値が確定すれば、表示手段1によって表示される画像と、レンズ手段2を通過した後に形成される画像との関係は、実験によって確定でき、即ち、表示手段1が実際に表示する画像がどのように変形するかは、予め決定することができる。よって、異なる第1の距離に対応する逆歪みの態様(或いは、変形態様)を補正指令として記憶手段に予め記憶させておくことができる。現在の第1の距離が検出されると、現在の第1の距離に対応する補正指令を検索し、当該補正指令を用いて初期画像を補正することで補正画像を取得する。
【0054】
上記の説明は、補正画像が初期画像から最終的に如何にして得られるかを示しているだけで、上記のプロセスが具体的にどのステップで行われるかを限定するものではない。例えば、補正情報を算出するステップにおいて補正指令を先に得て、補正指令に基づいて初期画像を補正して補正画像を取得してから、補正画像を補正情報として表示手段1に送信してもよい。或いは、補正指令は補正情報であってもよく、表示装置1が補正指令に基づいて補正画像を算出する。
【0055】
なお、第1の距離に基づいて初期画像を補正することによって補正画像を得るステップは、上記方法に限定されるのではなく(例えば、予め記憶された補正指令がなく、検出した第1の距離に基づいて対応する補正指令を毎回算出するようにしてもよい)、ここでは詳細な説明を省略する。
【0056】
本開示の実施例では、
図7に示すように、表示装置(例えば、VR表示装置)をさらに提供する。前記表示装置は、表示手段1と、レンズ手段2と、調整手段4と、測距手段3と、補正手段5とを備えることができる。
【0057】
表示手段1は、与えられた表示待ち画像(または、初期画像と称される)と、第1の距離dと、予め記憶されたマッピング関係とに基づいて、前記表示手段1の出光面に変形後の画像(例えば、
図2の左側部分に示す通りである)を表示して、表示画像がレンズ手段2を通過して、ユーザの目に正確な初期画像(例えば、
図2の右側部分に示す通りである)を形成するようにする。
【0058】
レンズ手段2は、表示手段1から出射された光をユーザの目に集光するためのものである。
【0059】
調整手段4は、レンズ手段2と表示手段1との間の第1の距離dを調整するためのものである。
【0060】
測距手段3は、第1の距離dをリアルタイムで検出するためのものである。
【0061】
補正手段5は、第1の距離dに基づいて補正情報を算出してこれを表示手段1に送信し、初期画像を第1の距離dに基づいて補正して得た補正画像を、補正情報に基づいて表示手段1に表示させるように制御するためのものである。補正手段5は、ハードウェア、ソフトウェア、または両者の組み合わせによって実現してもよい。一実施例において、補正手段5は、マイクロプロセッサ、中央処理装置(CPU)、上述機能を有する集積回路(IC)などであってもよく、このような場合、補正手段5は、有線通信機能または無線通信機能を有してもよい。一実施例において、補正手段5は、表示手段1の記憶手段(例えば、フラッシュメモリまたはその他の適切な不揮発性メモリ)にコンピュータプログラムを記憶することができ、当該コンピュータプログラムは、表示手段1の中央処理装置(CPU)によって実行される際に、表示手段1の中央処理装置(CPU)が補正手段5として同時に機能する。
【0062】
本実施例の表示装置は、レンズ手段2および/または表示手段1の位置を調整して、両者間の第1の距離dを変化させることに用いられ、ガイドレールを有する調整手段4を備える。また、表示装置には、測距手段3、補正手段5なども含まれるため、以上の表示方法を実現できる。
【0063】
上記の表示装置において、同じ初期画像に対して、異なる第1の距離でそれぞれ得られる補正画像がレンズ手段2を通過した後に形成される仮想イメージは同じである、或いは、ユーザが目にするイメージも同じであると理解される。
【0064】
任意で、前記表示装置は、
図4に示すように、仮想現実表示装置であり、表示装置1は、第1のサブ表示手段11と第2のサブ表示手段12とを備える。
【0065】
レンズ手段2は、
図4に示すように、第1のサブ表示手段11から出射された光をユーザの左眼に集光するための第1のサブレンズ手段(例えば、レンズ)21と、第2のサブ表示手段12から出射された光をユーザの右目に集光させる第2のサブレンズ手段(例えば、レンズ)22と、を含む。
【0066】
任意で、調整手段4は、第1のサブレンズ手段21と第1のサブ表示手段11との間の第1のサブ距離を調整し、第2のサブレンズ手段22と第2のサブ表示手段12との間の第2のサブ距離を調整することに用いられ、第1のサブ距離と第2のサブ距離の調整は互いに独立してもよい。一実施例において、調整手段4は、ガイドレールを有する第1の調整手段41と、ガイドレールを有する第2の調整手段42と、を有する。第1のサブ表示手段11および第1のサブレンズ手段21の少なくとも一方は、
図1で説明する方法と類似する方法で、第1の調整手段41に取り付けられ、第2のサブ表示手段12と第2のサブレンズ手段22の少なくとも一方は、
図1で説明する方法と類似する方法で、第2の調整手段42に取り付けられる。第1の調整手段41は、第1のサブレンズ手段21と第1のサブ表示手段11との間の第1のサブ距離を調整するためのものであり、第2の調整手段42は、第2のサブレンズ手段22と第2のサブ表示手段12との間の第2のサブ距離を調整するためのものである。このように、第1のサブ距離と第2のサブ距離の調整は互いに独立してもよい。
【0067】
補正手段5は、第1のサブ距離に基づいて第1の補正情報を算出してこれを第1のサブ表示手段11に送信し、第1の初期画像を第1の距離に基づいて補正して得た第1の補正画像を、第1の補正情報に基づいて第1のサブ表示手段11に表示させるように制御することに用いられる。補正手段5はさらに、第2のサブ距離に基づいて第2の補正情報を算出してこれを第2のサブ表示手段12に送信し、第2の初期画像を第2の距離に基づいて補正して得た第2の補正画像を、第2の補正情報に基づいて第2のサブ表示手段12に表示させるように制御することに用いられる。
【0068】
つまり、本実施例の表示装置は、仮想現実表示装置であってよく、例えば、VR眼鏡、VRヘルメットなどである。このような表示装置において、表示手段1およびレンズ手段2のそれぞれには2つのサブ手段を含んでよく、2つの表示手段から出射された光がそれぞれ2つのレンズ手段を通過した後にユーザの左右の目に届くことで、左右の目が異なる画像を受け取り、ユーザに立体的な画像として知覚させることができる。
【0069】
一実施例において、第1のサブ表示手段11および第2のサブ表示手段12は、2つの独立した表示画面であってもよい。或いは、第1のサブ表示手段11と第2のサブ表示手段12は、1つの表示画面(例えば、携帯電話機の表示画面)の異なる2部分であってもよい。
【0070】
つまり、表示装置が通常の表示時に上記のサブ表示手段とサブレンズ手段を有する場合、2つのサブレンズ手段と対応するサブ表示手段との間の距離(第1の距離)をそれぞれ個別に調整できるため、2つの互いに独立したサブ距離を得ることができる。さらに、2つの独立した補正情報を算出し、これらの2つの補正情報がそれぞれ2つのサブ表示手段のそれぞれに表示された画像を補正することで、2つのサブ表示手段がそれぞれ表示する画像が対応するサブレンズ手段を通過した後に生成する仮想イメージが変わらないようにする、或いは、ユーザが目にするイメージが同じになるよう保証する。
【0071】
任意で、補正情報には補正指令が含まれ、補正手段5は、第1の距離dが変化したか否かを判定するためにも用いられる。判定結果がYESであれば、変化後の第1の距離dに基づいて新たな補正情報を算出して表示手段1に送信する。
【0072】
任意で、補正情報は補正指令を含み、表示装置1はさらに、補正情報が更新されたか否かを判定するためにも用いられる。判定結果がYESであれば、更新後の補正指令に基づいて初期画像を補正して補正画像を取得する。判定結果がNOであれば、前回最後に受信した補正指令に基づいて初期画像を補正して補正画像を取得する。例えば、表示手段1は、その製造業者のウェブサイトに接続することができ、初期画像から補正画像への新たなマッピング関係の有無を検出することに用いられる。このような新たなマッピング関係が存在する場合、それをダウンロードして表示手段1の記憶手段に保存し、更新後の補正指令とする。
【0073】
つまり、補正情報が補正指令を含む場合に、補正手段5と表示手段1とを上記の「シングルスレッド」の方法で動作させて、システムの信頼性を向上させることができる。
【0074】
任意で、本実施例の一態様として、表示装置は、補正手段5と電気的に接続される表示手段1をさらに備える。例えば、当該表示装置は、VRヘルメットであってもよい。
【0075】
つまり、
図7に示すように、表示装置には表示手段1が内蔵されてよく、例えば、表示装置はVRヘルメットである。例えば、表示手段1は、当該VRヘルメットに取り付けられた2つのミニディスプレイであってもよく、このとき、表示手段1は補正手段5と直接電気的に接続してもよい。
【0076】
任意で、本実施例のさらなる一態様として、表示装置は、表示手段(例えば、携帯電話)を着脱可能に装着するための装着手段6をさらに備える。例えば、当該表示装置はVR眼鏡であってもよい。ユーザは、映像視聴前に携帯電話などの表示手段を装着手段6に装着し、映像視聴終了後に携帯電話を装着手段6から取り出す。
【0077】
任意で、補正手段5はハードウェア部品あり、表示手段1から分離されている場合、補正手段5は、無線形式で補正情報を表示手段に1に送信することに用いられる。或いは、補正手段5は、ソフトウェア部品であってもよく、表示手段1に位置し、このような場合、補正手段5は、表示手段1のバスを介して補正情報を表示手段1に送信することができる。
【0078】
つまり、
図8に示すように、表示装置自体は、表示手段1を備えなくてもよく(ただし、この場合も表示手段1は上記のように動作することが求められる)、別途の表示手段1を取り付けるための装着手段6のみを有していてもよい。例えば、表示装置はVR眼鏡であってもよく、表示手段1を取り付けるための装着手段(またはスタンド)6などを有し、表示手段1は、上記スタンドに設置可能な携帯電話などである。一実施例において、装着手段6は
図1で説明した方法と類似の方式を参照して調整手段4に装着することで、調整手段4によって装着手段6(即ち、表示手段1)とレンズ手段2との間の第1の距離(すなわち、物体距離)dを調整することができる。このとき、表示手段1は表示装置から取り外すことができるため、補正手段5との有線接続が不便であれば、補正手段5と表示手段1とは無線形式(例えば、wifi、Bluetooth(登録商標)など)で接続してデータを伝達することができる。
【0079】
任意で、測距手段3は、
図9に示すように、レンズ手段2に固定接続され、所定方向における表示手段1との第2の距離Sを検出するための距離センサ31と、所定方向および第2の距離Sに応じて、上記で説明した式を用いて第1の距離dを算出する算出手段(例えば、マイクロプロセッサ)32とを備える。
【0080】
任意で、距離センサ31は赤外線距離センサである。
【0081】
つまり、測距手段3は上記距離センサ31を備えてよい。なお、上記第1の距離dは通常小さいので、汎用性、コストなどの多くの点を考慮して、距離センサ31には、赤外距離センサを採用することができる。
【0082】
任意で、各第1の距離dに対応する補正指令(例えば、マッピング関係)と、正常な表示を実現するために必要な他のプログラムとデータとが予め記憶された記憶手段7をさらに備えてよい。記憶手段7は、表示手段1とは異なる記憶手段であってよく、表示手段1と分離されてもよい。記憶手段7は、ハードディスク、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリであってもよい。記憶手段7は、補正手段5および表示手段1に接続してもよい。或いは、記憶手段7は表示手段1の記憶手段であってもよい。第1の距離dに基づいて初期画像を補正することにより補正画像を得るステップは、補正手段5によって、第1の距離dに基づいて、それに対応する予め記憶された補正情報を検索し、補正情報に基づいて初期画像を補正して補正画像を得るステップを含む。当該補正画像は、表示手段1に直接送信してもよく、記憶手段7に予め記憶しておき、それから表示手段1に送信してもよい。
【0083】
つまり、表示装置は、複数の第1の距離および複数の補正指令並びに、これらの対応関係を記憶する記憶部7を備えることで、初期画像から上記の方式に沿って補正画像を取得することができる。
【0084】
本開示の実施例による表示装置は、物体距離が変化した場合に、一定の被写界深度を表示することができ、ユーザは同一の画像を目にすることができ、ユーザの視覚疲労を招くという問題を回避することができる。
【0085】
以上の実施形態は本開示の原理を説明するために用いた例示的な実施形態に過ぎず、本開示はこれに限定されない。当業者にとって、本開示の精神と実質的な状況を逸脱しない範囲で種々の変形と改良が可能であり、本開示の請求範囲には、これらの変形と改良も含まれる。
【符号の説明】
【0086】
1 表示手段
2 レンズ手段
3 測距手段
4 調整手段
5 補正手段
6 装着手段
7 記憶手段
11 第1のサブ表示手段
12 第2のサブ表示手段
21 第1のサブレンズ手段
22 第2のサブレンズ手段
31 距離センサ
32 算出手段
41 第1の調整手段
42 第2の調整手段