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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-18
(45)【発行日】2023-08-28
(54)【発明の名称】創傷ドレッシング材
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/12 20060101AFI20230821BHJP
   A61F 13/62 20060101ALI20230821BHJP
   A61F 13/64 20060101ALI20230821BHJP
   A61F 15/00 20060101ALI20230821BHJP
【FI】
A41D13/12 136
A61F13/62 100
A61F13/64
A61F15/00
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2020529812
(86)(22)【出願日】2018-07-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-08
(86)【国際出願番号】 EP2018069842
(87)【国際公開番号】W WO2019029978
(87)【国際公開日】2019-02-14
【審査請求日】2021-07-19
(31)【優先権主張番号】S2017/0161
(32)【優先日】2017-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IE
(73)【特許権者】
【識別番号】520048218
【氏名又は名称】ハイドラメッド・ソリューションズ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】スーザン・マリー・マロニー
【審査官】原田 愛子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06548728(US,B1)
【文献】米国特許第05456660(US,A)
【文献】米国特許第06932785(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/12
A61F 13/62
A61F 13/64
A61F 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
創傷上の位置にドレッシング材を固定するための創傷ドレッシングデバイスであって、
a. 身体の一部を取り囲むための保持デバイスと、
b. ドレッシング材と、
c. 前記ドレッシング材を所定の位置に固定することができる取付け要素と、
を備え、
前記取付け要素は、前記保持デバイスの少なくとも実質的に外側に構成され、前記ドレッシング材は、前記保持デバイスの少なくとも実質的に内側に構成され、
前記保持デバイスは有孔要素を備え、前記有孔要素には前記有孔要素を貫通する少なくとも1つの開口が形成されており、それによって、前記取付け要素および前記ドレッシング材は、前記ドレッシング材および前記取付け要素が前記少なくとも1つの開口を通じて共に付着することができるように、前記有孔要素内の少なくとも1つの開口を少なくとも部分的に覆うように構成され、前記ドレッシング材が前記保持デバイスを通して前記取付け要素に固定され得るようになっている創傷ドレッシングデバイス。
【請求項2】
前記創傷ドレッシングデバイスは、創傷ドレッシング用衣類であり、前記保持デバイスは、前記身体の一部を取り囲む衣類として着るためのものである、請求項1に記載の創傷ドレッシングデバイス。
【請求項3】
前記衣類は、ボディス、Tシャツ、パンツ、ズボン、靴下、袖、帽子、ベルト、ストッキング、ブラジャー、スポーツブラジャー、クロップトップ、バンド、または任意の身体に適合した衣類である、請求項2に記載の創傷ドレッシングデバイス。
【請求項4】
前記保持デバイスは、少なくとも1つの開口を内部貫通で画定する有孔要素を備える筒状の包帯である、請求項1に記載の創傷ドレッシングデバイス。
【請求項5】
前記保持デバイスの少なくとも一部は、弾性ファブリックから形成されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の創傷ドレッシングデバイス。
【請求項6】
前記有孔要素は、複数の穴を有するメッシュまたはファブリックから形成されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の創傷ドレッシングデバイス。
【請求項7】
前記有孔要素を通じて延びる前記穴は、行列状に配列されている、請求項6に記載の創傷ドレッシングデバイス。
【請求項8】
前記有孔要素の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%は空所である、請求項1から7のいずれか一項に記載の創傷ドレッシングデバイス。
【請求項9】
使用時に、前記有孔要素は、前記創傷に隣接して設けられるように配列されている、請求項1から8のいずれか一項に記載の創傷ドレッシングデバイス。
【請求項10】
使用時に、前記有孔要素は、前記創傷ドレッシングデバイスを着用する被治療対象の創傷によって影響を受ける内腿、股、脚の一部、腕の一部、胸部、ウエストラインもしくはウエスト、足、腋窩、胴体、一方もしくは両方の臀部、または前記身体の任意の部分に隣接して設けられるように配列されている、請求項1から9のいずれか一項に記載の創傷ドレッシングデバイス。
【請求項11】
前記有孔要素は、前記保持デバイスの一部を形成する、請求項1から10のいずれか一項に記載の創傷ドレッシングデバイス。
【請求項12】
使用しているときに、前記ドレッシング材は、前記保持デバイスの完全に内側に設けられる、請求項1から11のいずれか一項に記載の創傷ドレッシングデバイス。
【請求項13】
使用時に前記保持デバイスの内面に示される前記ドレッシング材の面は、使用時に前記保持デバイスの外面に示される前記取付け要素の面と同じサイズおよび形状であり、またはより大きい、請求項1から12のいずれか一項に記載の創傷ドレッシングデバイス。
【請求項14】
前記ドレッシング材は、吸収性のパッドと、前記取付け要素の表面に付着する表面とを備える、請求項1から13のいずれか一項に記載の創傷ドレッシングデバイス。
【請求項15】
前記ドレッシング材および前記取付け要素は、前記ドレッシング材または前記取付け要素のうちの一方または両方の面に付着性層が施されることによって互いに付着するように適合されている、請求項1から14のいずれか一項に記載の創傷ドレッシングデバイス。
【請求項16】
前記ドレッシング材および前記取付け要素は、前記取付け要素から延びるホックまたは受けの一方と、前記ドレッシング材の表面から延びるホックおよび受けの他方とによって互いに付着するように適合されている、請求項1から15のいずれか一項に記載の創傷ドレッシングデバイス。
【請求項17】
使用しているときに、前記取付けデバイスは、前記保持デバイスの完全に外側にある、請求項1から16のいずれか一項に記載の創傷ドレッシングデバイス。
【請求項18】
前記保持デバイス、前記ドレッシング材、および前記取付け要素は、別個の構造である、請求項1から17のいずれか一項に記載の創傷ドレッシングデバイス。
【請求項19】
組み合わされたドレッシング材および取付け要素であって、前記ドレッシング材および取付け要素は、請求項1から18のいずれか一項に記載されたものである、組み合わされたドレッシング材および取付け要素。
【請求項20】
前記ドレッシング材は、血液または他の滲出液を吸収する吸収性のパッドである、請求項1から18のいずれか一項に記載の創傷ドレッシングデバイス
【請求項21】
前記創傷ドレッシングデバイスは、人間または動物の被治療対象の身体の治療対象部位にドレッシング材を保持するためのものである、請求項1から18のいずれか一項に記載の創傷ドレッシングデバイス
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人間または動物の被治療対象の身体の創傷上の位置にドレッシング材を固定するための創傷ドレッシングデバイスに関する。本発明は、人間または動物の被治療対象の身体の創傷にドレッシング材を保持する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
創傷を治療する際、血液または他の滲出液を共に吸収するが、この創傷の感染に対する物理的障壁としても働く吸収性ドレッシング材で創傷を覆うことが推奨されることが多い。しかしながら、創傷およびその周囲エリアは敏感であることが多く、したがって、ドレッシング材を用いた創傷ケアは、創傷および周囲エリアを刺激し、または実際には痛いものとなり得る。
【0003】
例えば、化膿性汗腺炎は、多くの人々に影響を及ぼす再発性疾患であり、結果として、定期的にドレッシング材を必要とする痛みの箇所(すなわち、創傷)となる。病気に関連している痛みの箇所は、被治療対象の腕の下に、例えば、被治療対象の腋の下に、被治療対象の臀部に、股エリアに隣接した被治療対象の内腿に発生する傾向がある。この病気の特定の問題は、患部の周辺周りの感染した被治療対象の皮膚も特に敏感になり、痛みの箇所が広がりやすいことである。したがって、一般に、患部を覆って設置されたドレッシング材を固定および保持するために、感圧接着性ドレッシング材、感圧テープ、または他のそのような感圧接着性固定手段を使用することは実用的でない。患部にドレッシング材を固定する接着性テープなどの感圧性接着剤を用いた任意の固定手段は、敏感な周辺エリアに接触すると、上記周辺エリアを刺激し、痛みを引き起こし、ならびに接着剤アレルギーに関連した痛みの箇所をもたらす。したがって、患部を覆って設置されたドレッシング材を保持する唯一の実際的な手法は、包帯を使用することである。しかしながら、痛みの箇所が発生する位置が理由で、一般に、包帯は、特に、被治療対象の腋の下、股エリアに隣接した内腿、またはさらに言えば被治療対象の臀部における患部では、患部を覆って設置されたドレッシング材を保持するのに適していない。さらに、特に、ドレッシング材は、比較的頻繁な交換を必要とし、交換は、被治療対象次第で、1時間ごとの頻度になる場合があり、ただし、一般には、1日に3~4回以上となることが理由で、より簡単にアクセス可能なエリアであっても、包帯は、患部を覆って設置されたドレッシング材を保持し得るが、不便であり、使用するのに時間を浪費する。
【0004】
同様の困難は、創傷ケアを火傷または熱傷に適用しようとするときにも生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、人間または動物の被治療対象の身体の治療対象部位にドレッシング材を保持する創傷ドレッシングデバイスが必要である。
【0006】
本発明は、そのようなデバイスを提供することに向けられており、本発明は、人間または動物の被治療対象の身体の治療対象創傷にドレッシング材を保持する方法を提供することにも向けられている。
【0007】
発明者は、保持デバイスおよび取付け要素をドレッシング材と共に使用することによって、創傷に面する粗面または接着面をなんら示す必要なく、創傷を覆う必要な位置にドレッシング材を固定することができることを意外にも発見した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
それゆえ、本発明の第1の態様では、創傷上の位置にドレッシング材を固定するための創傷ドレッシングデバイスであって、
a. 身体の一部を取り囲む保持デバイスと、
b. ドレッシング材と、
c. ドレッシング材を所定の位置に固定することができる取付け要素と、
を備え、
ドレッシング材が保持デバイスを介して取付け要素に固定され得るように、取付け要素は、保持デバイスの少なくとも実質的に外側に構成され、ドレッシング材は、保持デバイスの少なくとも実質的に内側に構成される、創傷ドレッシングデバイスが提供される。
【0009】
ドレッシング材は、様々な手法で保持要素を介して取付け要素に固定することができる。例えば、ドレッシング材および取付け要素は、磁気引力によって互いに固定されてもよい。代替としてまたは加えて、保持デバイスは、少なくとも1つの開口を内部貫通で画定する有孔要素を備えてもよい。したがって、ドレッシング材および取付け要素は、少なくとも1つの開口を通じて共に付着することができる。
【0010】
創傷上の位置にドレッシング材を固定する能力は、ドレッシング材が創傷を覆う位置にあるまで身体と保持デバイスの間の間隙にドレッシング材を配置および再配置することに由来する。ある程度まで、ドレッシング材は、創傷と取り囲む保持デバイスの間で補強されることによって所定の位置に保持され得るが、この位置は、保持デバイスを介して取付け要素にドレッシング材を固定することによってより確かに固定される。そのような保持の形態は、ドレッシング材が保持デバイスに対して移動できないことを確実にし、保持デバイスが、創傷が生じている身体の部分を取り囲むように着用されるとき、それによって、ドレッシング材は、創傷上の位置に固定される。そのような固定なしで、ドレッシング材は、特に身体の移動中に、および最も特にドレッシング材が関節、股、または腋窩(すなわち、かなり局所的な移動のエリア)で創傷を覆って設置されているときに、位置から移動し得る。
【0011】
創傷上にあるようにドレッシング材を再配置し、次いで保持デバイスを介して取付け要素に固定されることによってその位置を固定することを可能にするために、ドレッシング材および取付け要素は、創傷を覆う保持デバイスの少なくとも一部に対して自由移動が可能であるべきである。それゆえ、保持デバイスへの接続がある場合、ドレッシング材および取付け要素の一方または両方は、可撓性接続部(例えば、保持デバイスに対してドレッシング材および/または取付け要素の全ての方向の移動を可能にするもの)を介して接続されてもよい。再配置能力を最適化するために、ドレッシング材、取付け要素、またはこれらの両方は、保持デバイスとは別個の構造である。
【0012】
ドレッシング材は、所定の位置に固着式に固定または着脱可能に固定されてもよく、したがって保持デバイスを介して固着要素に固着式にまたは着脱可能に固定される。ドレッシング材を着脱可能な手法で固定する利点は、保持デバイスを介して取付け要素にドレッシング材を固定することによって、それが、使用者がドレッシング材を配置し、それを所定の場所に固定することを可能にすることであるが、これが正確に配置されない場合、それは、その固定位置から着脱し、より正確な位置に再固定することができる。
【0013】
ドレッシング材が保持デバイスを介して取付け要素に固定され得るように、取付け要素は、使用しているときに、保持デバイスの少なくとも実質的に外側にあるように構成され、ドレッシング材は、使用しているときに、保持デバイスの少なくとも実質的に内側にあるように構成される。使用されていないときに、ドレッシング材、取付け要素、および保持要素は、任意の手法で、例えば別々に、販売のためにひとまとめにされてもよく、あるいはドレッシング材および取付け要素は、着脱可能につなぎ合わされてひとまとめにされるとともに保持デバイスから分離されてもよい。
【0014】
保持デバイス
保持デバイスは、使用時に、ドレッシング材が滑り込まされ得る身体と保持デバイスの間の間隙をそれが画定するように、創傷を含む身体の一部を取り囲むことによってその機能を実行する。
【0015】
したがって、そのような保持デバイスがとり得るいくつかの形態が存在する。
【0016】
例えば、創傷ドレッシングデバイスが、創傷ドレッシング用衣類であるとき、保持デバイスは、身体の一部を取り囲む衣類として着るためのものである。衣類のタイプは、創傷が見つけられる身体上の場所に依存する。詳細には、衣類は、ドレッシング材の使用者の身体に適合するものあり得、すなわち、ドレッシング材が覆うように設計されている身体の一部に設置されるようにそれが伸ばされた後に、ドレッシング材は、身体のその一部を抱き込み、それによって身体のその一部の形状に適合するように弾性が備えられている衣類であり得る。例えば、衣類は、ボディス、Tシャツ、パンツ、レギンス、靴下、袖、帽子、ベルト、ブラジャー、スポーツブラジャー、クロップトップ、バンド、または任意の身体に適合した衣類であり得る。特に、保持デバイスがボディスまたはパンツの形態をとる創傷ドレッシングデバイスが例示されている。
【0017】
保持デバイスは、筒状の包帯などの包帯または身体の一部の周りで巻き付けられ得る巻き包帯から形成することもできる。
【0018】
身体の周りのきついフィットは、保持デバイスがドレッシング材を所定の位置に保持する能力を強化する。しかしながら、よりきつくフィットするにつれて、身体と保持デバイスの間の空間内にドレッシング材を配置および再配置するのがより困難になり得る。それゆえ、保持デバイスの少なくとも一部は、弾性であり得る。包帯の十分な移動は、例えば、保持デバイスの長さに沿って延びるストリップ(例えば、保持デバイスによって取り囲まれた身体の一部が通過するアパーチャの間に延びるストリップ)だけが弾性であるときに実現され得る。代替として、保持デバイス全体は、弾性であってもよい。それゆえ、保持デバイスの一部または全部は、弾性材料から形成されてもよい。この材料は、一方向だけに伸縮可能であってもよい。上記材料は、二方向(適宜直交方向)に伸縮可能であってもよい。上記材料は、全ての方向に伸縮可能であってもよい。この弾性は、保持デバイスを作製するために使用される材料、または弾性である部分に由来し得る。例えば、保持デバイスは、弾性高分子であってもよく、および/または材料は、織物であってもよい。例えば、適切な材料は、セルロース繊維、タンパク質繊維、ライクラ(登録商標)(例えば、スパンデックス、エラステイン)、またはファブリックブレンドから作製されるもののような身体に衣服を抱え込ませるために従来から使用されているもののいずれかである。
【0019】
セルロース繊維から作製されるとともに本発明における使用に適している天然素材には、木綿およびリネンが含まれる。タンパク質繊維から作製されるとともに本発明における使用に適している天然素材には、絹または羊毛が含まれる。セルロース繊維から作製されるとともに本発明における使用に適している合成材料は、レーヨン(例えば、リヨセル/テンセルまたはモダール、マイクロモダールブレンド、マイクロテンセル)を含む。(前述のものの任意のブレンドを含む)混紡布を使用することもできる。
【0020】
上述したように、保持デバイスは、少なくとも1つの開口を内部貫通で画定する有孔要素を備えることができる。有孔要素は、メッシュとして形成することができる。代替として、有孔要素は、穿孔がシート材料を貫く開口(例えば、鑚孔開口)を画定するシート材料を形成してもよい。優れたレベルの保持を実現するために、保持デバイスは、複数の開口、例えば、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、10個以上、20個以上、または30個以上を有することができる。結果として、取付け要素およびドレッシング材は、ドレッシング材および取付け要素が少なくとも1つの開口を通じて共に付着することができるように、有孔要素内で、少なくとも1つの開口(および適宜1個以上の開口、例えば2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、10個以上、20個以上、または30個以上)を少なくとも部分的に覆うように構成されてもよい。したがって、開口は、ドレッシング材の取付け要素への付着を可能にするサイズであるべきである。しかしながら、それは、開口が創傷ドレッシングデバイスによって取り囲まれる身体の一部は、それらの開口を通過するまたはそれを通じて突出することができるほど大きくない場合に有益である。例えば、開口によって画定された各空所は、約25から200mm2、25から180mm2、または60から180mm2の面積を有することができる。各空所は、3から12mm、6から9mmだけ隔てられてもよい。例えば、各空所は、9mmの直径を有する円形であってもよく、各空所は、6mmだけ隔てられている。複数の開口は、ドレッシング材が取付け要素に付着するように配置され得るより大きい面積を与えることができ、ドレッシング材が取付け要素に付着するためにより大きい表面積も与える。それゆえ、十分な個数の開口は、空所であるエリアによって有孔要素の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または98%を有する有孔要素を与えるように設けられ得る。例えば、有孔要素は、少なくとも10%、20%、30%、または40%を有することができる。例えば、面積による穿孔要素の15%から35%までは、空所である。有孔要素を通じて延びるこれらの開口は、行列状に配列され得る。
【0021】
保持デバイス全体は、有孔要素によって形成されてもよく、それゆえにドレッシング材を設置および固定するために最大の可撓性を与える。
【0022】
しかしながら、有孔要素は、代わりに、保持デバイスの一部だけに、例えば、人が創傷を覆うことを知る保持デバイス上の領域、および適宜創傷を囲む局所エリアに設けられるだけでもよい。それゆえ、使用しているときに、有孔要素は、創傷に隣接して設けられるように配列されている。例えば、化膿性汗腺炎を患う被治療対象によって示された創傷などの創傷は、内腿、股、腕の一部、および/または脚、腋窩、胴体、あるいは一方または両方の臀部に一般に形成される。それゆえ、有孔要素は、内腿、股、脚の一部、腕の一部、胸部、ウエストもしくはウエストライン(すなわち、ウエストの最も細い部分)、足、腋窩、胴体、および/または一方もしくは両方の臀部、あるいはデバイスを着用する被治療対象の創傷によって影響を受ける身体の任意の部分に隣接して設けられるように配列され得る。保持デバイスが特許の形態にあるとき、有孔要素は、パンツの股領域および/または一方もしくは両方の臀部領域を覆って、場合によってそのような領域だけ覆って延びることができる。保持デバイスがボディスの形態にあるとき、有孔要素は、ボディスの腋窩の領域を覆って、場合によってそのような領域だけを覆って延びることができる。
【0023】
保持デバイスは、継ぎ目がないもの、または少なくとも、創傷を覆う部分にわたって継ぎ目がないものであり得る。
【0024】
ドレッシング材
保持デバイスが有孔要素を備えないとき、ドレッシング材は、使用しているときに、保持デバイスの完全に内側に設けられる。創傷ドレッシングデバイスが有孔要素を備えるときでも、ドレッシング材は、保持デバイスの完全に内側にあり得る。ドレッシング材の一部は、有孔要素における開口を通じて延びることが可能であるが、ドレッシング材の小さい方の部分だけである。ドレッシング材が保持デバイスの身体側に実質的に留まっていることが要求され、それによりドレッシング材は、上述したように所定の位置に固定することができる。例えば、ドレッシング材の20、10、5、2、または1%未満が、保持デバイスの外部に設けられ得る。
【0025】
ドレッシング材は、薄層の形態で設けられてもよい。その最も簡単な形態では、ドレッシング材は、吸収性のパッドと、取付け要素の表面に付着する表面とを備えるまたはこれらからなることができる。取付け要素の表面に付着する表面の場所では、ドレッシング材は、保持デバイスによる取付け要素の引き付けを可能にするために、少なくとも1つの磁石、または磁力によって引きつけられる強磁性金属(またはその合金)(例えば、鉄、ニッケル、コバルト、ガドリニウム、ジスプロシウム、および鋼鉄などの合金)を含むことができる。
【0026】
吸収性のパッドは、血液および他の創傷滲出液を吸収するのに使用される任意の従来の材料で作製され得る。最も一般的には、吸収性のパッドは、ガーゼパッドであり、適宜、木綿ガーゼパッド、レーヨンガーゼパッド、木綿およびレーヨンブレンドのガーゼパッド、ポリウレタンパッド、またそれらの混合である。パッドは、ゲル、フォーム、ハイドロコロイド、アルギン酸塩、ヒドロゲル、および多糖類ペースト、顆粒、ならびにビーズのうちのいずれか1つまたは複数などの他の材料で作製されてもよく、または他の材料をさらに含んでもよい。
【0027】
最近位層(すなわち、取付け要素に付着する表面に対向している身体に面する層)は、治療活性剤(例えば、抗生物質、抗真菌剤、抗ウイルス剤、凝固因子、および創傷治癒促進剤のうちのいずれか1つまたは複数)の層、またはこれらが混ぜられているフィルムであり得る。例えば、治療活性剤は、銀またはアルギン酸塩、あるいはそれらの混合物であり得る。この層は、木炭などの臭気低減化合物が混ぜられているものとすることもできる。さらにまたは代替として、そのような薬剤は、ドレッシング材の任意の他の層に混ぜられてもよい。
【0028】
治療活性剤の層は、非粘着層に直接施されてもよく、これは、治療活性剤の層と吸収性のパッドの間に設けられ得る。代替として、非粘着層は、ドレッシング材の最近位(すなわち、身体に面する)層として設けられてもよい。本発明の特徴の1つは、創傷に面する潜在的に痛い付着性層を施すことなく、創傷を覆ってそれ自体を位置付けるように設計されていることであるので、そのような付着性層がドレッシング材の近位側に施されなくてもよいことが好ましい。
【0029】
ドレッシング材の遠位接面は、付着性層をやはり有さなくてもよく、例えば、単純に吸収性のパッドの遠位表面である。そのような例では、固着要素の近位面は、付着性層を有さなければならない。しかしながら、付着性層がドレッシング材の遠位表面上に設けられている利点は、それが創傷および皮膚から見て外方を向き、しがたって、固着要素の近位接面が付着されることを必要としないことである。付着性層は、固着要素と接触しているときに、ドレッシング材を固着要素に一緒にくっつけることを可能にする層の任意に形態であり得る。それゆえ、付着性層は、にかわ、のり、感圧性接着剤、または2つの表面を互いに付着させるのに使用される機械的機構とすることができ、例えば、その材料(例えば、VELCRO(登録商標))の表面からホックもしくは受けを提示する材料の一方もしくは他方、またはスタッドファスナーの一部(固着要素上に設けられた対応する部分)である。付着性層が、ホックまたは受けを提示する材料のどちらかであるとき、それは、取付け要素の遠位接面上に設けられるものに対応する1つである。そのような粗面の材料が創傷から離れるように示されるとともに柔らかい組織を囲むことが好ましいので、ドレッシング材の近位面は、ホックを提示する材料であることが好ましい。
【0030】
適宜、付着性層は、使用前に、剥離容易なフィルムによって近位側で覆われる。このフィルムは、使用中に、剥離されて付着性層を現す。
【0031】
適宜、使用時に保持要素の内面に示されるドレッシング材の面(すなわち、遠位表面)は、使用時に保持デバイスの外面に示される取付け要素の面(すなわち、近位面)と同じサイズおよび形状であり、またはより好ましくは、より大きい。正しく配置されるときに、それはドレッシング材によって身体から完全に遮断されるので、これは、固着要素の任意の付着性面または粗面が皮膚または創傷に接触するのを防ぐのを助けるという利点を有する。
【0032】
取付け要素
取付け要素は、ドレッシング材の材料に引き寄せられるまたは付着できる対応する材料を含むことができ、または最も単純にはそれらからなり得る。これは、使用しているときに取付け要素に提示されるドレッシング材の表面の性質であるものに依存する。例えば、(1)ドレッシング材が磁石を含むとき、取付け要素は、相補的な磁石または強磁性金属あるいその合金を含んでもよくまたはそれらからなることができ、(2)ドレッシング材が、強磁性金属またはその合金を含むとき、取付け要素は、磁石を含んでもよくまたは磁石からなってもよく、(3)ドレッシング材の近位面が付着性層を含むとき、取付け要素は、さらなる付着性層、または好ましくは接着剤がくっつくフィルム(適宜、剥離容易なフィルム、すなわち、付着性層は付着するが、容易に剥離できるフィルム)とすることができる。ドレッシング材の近位面がフィルム(例えば、剥離容易なフィルム)であるとき、取付け要素は、付着性層を含んでもよくまたは付着性層からなることができる。
【0033】
保持デバイスが有孔要素なしで設けられるとき、取付け要素は、使用しているときに、保持デバイスの完全に外側に設けられる。創傷ドレッシングデバイスが有孔要素を含むときでも、取付け要素は、保持デバイスの完全に外側にあり得る。取付け要素の一部が有孔要素における開口を通じて延びることが可能であるが、取付け要素の小さい方の部分だけである。取付け要素は、上述したように、保持デバイスがドレッシング材を所定の位置に固定することができるように、保持デバイスの実質的に遠位側のままであることが必要とされる。例えば、取付け要素の20、10、5、2、または1%未満は、保持デバイスの内側に設けられてもよい。
【0034】
創傷ドレッシング材は、保持デバイス、ドレッシング材、または取付け要素のいずれかに埋め込まれるセンサを備えることができる。いくつかの特徴を検出するのに適しているセンサ、例えば、温度センサ、水分センサ、pHセンサ、細菌センサなどが用いられ得る。創傷の治癒の経過に関するデータを取得するためにセンサが設けられるとき、センサはドレッシング材に設けることができる。このセンサは、使用時に創傷に面するドレッシング材の表面上に設けられてもよい。センサは、デバイスを着用する被治療対象または被治療対象のケアに責任を負うヘルスケア提供者にフィードバック(すなわち、センサによって測定された特性に関して、適宜、その特性に関しての定量的フィードバック)を送るように装備され得る。例えば、センサが、水分レベルが予め決定されたレベルに到達していると判定するとき、センサは、被治療対象またはそのヘルスケア提供者に、ドレッシング材が交換される必要があることを警告するように構成することができる。そのようなフィードバックは、(例えば、標準的な期間にわたって次のドレッシング材において感知される水分の減少によって決定されるような創傷滲出液の生産量の減少によって)ドレッシング材の交換の回数および/または頻度、ならびに/あるいは創傷の改善を追跡するために、ヘルスケア提供者によって監視されていてもよい。センサから被治療対象またはヘルスケア提供者への情報のフィードバックは、例えば、遠隔コンピュータまたは携帯電話へのBluetooth(登録商標)によって遠隔であってもよい。
【0035】
創傷は、熱または冷たさの適用によって有効に治療することができる。それゆえ,創傷ドレッシング材は、1つまたは複数の温湿布または冷湿布を備えることができる。この湿布は、保持デバイス、ドレッシング材、または取付け要素のいずれかに設けられたポケットの中に組み込むことができる。好ましくは、湿布は、使用時に湿布が創傷に近くなるように(すなわち、熱または冷たさが創傷に直接伝達されるように十分近くに)配置される。したがって、湿布は、ドレッシング材に組み込まれてもよい。
【0036】
創傷ドレッシングデバイスが、解除可能に共に付着されたドレッシング材および取付け要素を備えてもよいので、本発明のさらなる態様は、組み合わされたドレッシング材および取付け要素であり、ドレッシング材の一方の面は、取付け要素の対応する面に付着する。上述されたドレッシング材および取付け要素の全ての特徴は、本発明のこのさらなる態様に適用され得る。例えば、ドレッシング材の面は、取付け要素の面と同じサイズおよび形状であり、または好ましくは、より大きい。ドレッシング材が取付け要素よりも大きいとき、ドレッシング材は、任意の付着性層から創傷を遮断することができる。
【0037】
本発明のさらなる態様では、上述したような創傷ドレッシングデバイスを身体に施す方法であって、
a. 創傷上にドレッシング材を設置するステップと、
b. 創傷が位置する身体の一部を取り囲むように身体上に保持デバイスを設置するステップと、
c. ドレッシング材を覆う保持デバイスの一部を覆って取付け要素を設置し、それによって創傷を覆ってドレッシング材を所定の位置に固定するステップと、を含む方法が提供される。
【0038】
保持デバイスが、有孔要素を備えるとき、ステップb.は、創傷を覆って保持デバイスの有孔要素を配置するステップを含み、ステップc.は、ドレッシング材を覆う有孔要素の一部を覆って取付け要素を設置し、それによって創傷を覆ってドレッシング材を所定の位置に固定するステップを含む。それによって、これは、創傷を覆って位置する保持デバイスにドレッシング材を固定する。ステップa.は、ステップbの前に実行され得る。代替として、ステップb.は、ステップaの前に実行されてもよい。この後者の順序では、ドレッシング材は、身体と保持デバイスの間に形成された間隙に滑り込ませられる。
【0039】
方法は、ドレッシング材を再配置するステップと、例えば、ドレッシング材を覆う有孔要素の一部を覆って取付け要素を配置することによってそれを再固定するステップとを含むこともできる。これは、使用者が、ドレッシング材が最適な位置にない場合に、保持デバイスを移動させる必要なく、ドレッシング材を再配置することを可能にする。
【0040】
創傷ドレッシング材は、任意の動物の身体、例えば、人間の身体に適用されてもよい。しかしながら、創傷ドレッシング材は、獣医学の内容で使用されてもよく、したがって、伴侶動物(例えば、猫、犬など)、または家畜(例えば、牛、羊、山羊など)のような非人間の動物に適用され得る。
【0041】
当業者は、創傷によって意味されるものを理解するであろう。例えば、創傷は、何らかのけがであり得、身体の皮膚への損傷という結果になる。例えば、これは、切断または強打による、あるいは熱傷または火傷によるものであり得る。創傷は、化膿性汗腺炎によって引き起こされる創傷の場合にあるように、病気によって引き起こされる場合もある。
【0042】
本発明は、添付の図面を参照して、単に例として与えられる、本発明のいくつかの実施形態の以下の説明から、より明確に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】被治療対象の人間または動物の身体の治療対象部位にドレッシング材を保持する、使用時における、本発明による保持デバイスの斜視図である。
図2図1の保持デバイスの一部の斜視図である。
図3図1の保持デバイスの、図2の一部の別の斜視図である。
図4図1の保持デバイスの一部の拡大断面側面図である。
図5図1の保持デバイスの別の部分の斜視図である。
図6図1の保持デバイスのためのドレッシング材の斜視図である。
図7】化膿性汗腺炎を患う被治療対象のわきの下の斜視図である。
図8】本発明の別の実施形態による保持デバイスの一部の斜視図である。
図9】パンツの形態で示された、本発明のさらなる実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図面を参照し、まず、図面の図1から図5を参照すると、ある部位、本発明の本実施形態では被治療対象の腕7の下の腋の下6における部位5にドレッシング材3を保持する、参照番号1によって全体的に示された本発明による保持デバイスが示されている。部位5は、腋の下6における部位5で皮膚を突破した痛みの箇所9を含む。ドレッシング材3は、痛みの箇所9を治療するために、部位5に施されることになる。
【0045】
本発明による保持デバイス1は、衣類を含み、本発明の本実施形態では、この衣類は、ボディスタイプの衣類10によって与えられる。衣類10は、後部11と、その両側で後部11から延びる一対の前部12とを備え、被治療対象の胸部のすぐ下でつなぎ合わされるように構成されている。胴体の周りで被治療対象に衣類を固定するために、前部12の一方は、ホック14で末端をなし、このホック14は、他方の前部12における対応する受け15に係合するように構成されている。遠位端17で末端をなす一対の短い袖16は、衣類10から延びる。一対の有孔要素18は、後部11とそれぞれの前部12との間で衣類10の両側に設けられている。各有孔要素18は、内部を通じて延びる複数の開口20を備えるファブリックまたはテキスタイル材料の有孔シート19を備え、本発明のこの特定の実施形態では、複数の開口20は、横に4つで行列状に配列されている。各有孔シート19は、上向きにその両側で衣類10の下端21から延び、対応する袖16の遠位端17で末端をなす。有孔シート19は、縫い目24によって衣類10の後部11および対応する袖16の後部に固定されるとともに、縫い目25によって衣類10の対応する前部12および対応する袖16の前部に固定される。
【0046】
本発明の本実施形態において取付けパッド28を備える取付け要素は対応する有孔シート19にドレッシング材3を固定するために設けられ、この有孔シート19はドレッシング材3と取付けパッド28の間に挟まれ、ドレッシング材3は部位5に隣接して位置し、このドレッシング材3は、痛みの箇所9の治療のためにこの痛みの箇所9を覆って設置される。本発明の本実施形態における取付けパッド28は、ファブリックまたはテキスタイル材料のパッドで構成され、このパッドは、ドレッシング材3の面積と実質的に同様の面積である。取付け手段、本発明の本実施形態では、商標VELCROの名で販売されるタイプのホックおよび受けは、対応する有孔シート19内の開口20を通じて取付けパッド28にドレッシング材3を固定するために設けられる。本発明の本実施形態では、ホックおよび受けのホック30は、取付けパッド28から延び、有孔シート19内の開口20を通じてドレッシング材3から延びる受け31に係合する。したがって、衣類10は、部位5に隣接して対応する有孔シート19を固定するとともに、ドレッシング材3が取付けパッド28によって有孔シート19に固定されるときには、部位5に当接するドレッシング材3を固定する固定手段として働く。
【0047】
衣類10の後部11および前部12のファブリックまたはテキスタイル材料は、任意の適切な材料とすることができる。しかしながら、適切な材料は伸縮性の低アレルギー誘発性の木綿であると考えられる。有孔シート19に適切な材料は、孔の開いた低アレルギー誘発性の絹ファブリック、または実際は(好ましくは低アレルギー誘発性である)任意の他の適切なファブリックである。取付けパッドの材料も、テキスタイルまたはファブリック材料などの任意の適切な材料であり得るが、望ましくは、やはり低アレルギー誘発性の材料、例えば、低アレルギー誘発性の絹または木綿である。
【0048】
使用時に、典型的には、衣類10は、被治療対象の腕が袖16を通じて延びている状態で被治療対象に配置される。前部12は、ホック14および受け15を固定することによって一緒に固定される。次いで、ドレッシング材は、部位5で痛みの箇所9を覆って冒された腋の下6に配置される。次いで、取付けパッド28から対応する有孔シート19内の開口20を通じて延びるホック30が、ドレッシング材3の受け31に係合した状態で、取付けパッド28は、ドレッシング材3に固定される。ドレッシング材3が、取付けパッド28によって対応する有孔シート19に固定され、この有孔シート19は、ドレッシング材3と取付けパッド28の間に挟まれており、それによってドレッシング材3は、有孔シート19上の所定の位置にしっかりと保持され、ドレッシング材3は、部位5に隣接して保持されかつ衣類10によって痛みの箇所9を覆って設置される。
【0049】
次に、図8を参照すると、本発明の別の実施形態による保持デバイスの参照番号40によって全体的に示された衣類が示されている。衣類40は、保持デバイス1の衣類10と実質的に同様であり、同様の構成要素は、同じ参照番号によって特定されている。衣類40と保持デバイス1の衣類10との間の主な差異は、有孔シート42にある。本発明の本実施形態では、有孔シート42は、メッシュ材料で構成されている。有孔シート42を貫く開口43は、メッシュ材料の間隙によって形成される。さらに、本発明の本実施形態では、有孔シート42は、衣類40の下端21から対応する袖16の遠位端17まで延びず、むしろ、有孔シート42は、その両側に隣接して衣類40に形成されているとともに対応する袖16の下部に延びる対応する開口45内に位置する。
【0050】
さもなければ、本発明の本実施形態による衣類40および保持デバイスの残りは、保持デバイス1と同様である。ドレッシング材が有孔シート42上に位置する状態でドレッシング材を対応する有孔シート42に固定するために、ホック30がそこから延びる取付けパッド28と同様の取付けパッドが、保持デバイス1に関連して説明されたドレッシング材3と同様のドレッシング材の対応する受けに係合するように与えられ、それにより、衣類40が着用されるとき、ドレッシング材は、被治療対象の腋の下における痛みの箇所9を覆って延びる部位に隣接して位置する。
【0051】
したがって、衣類40の使用は、保持デバイス1の衣類10の使用と同様である。
【0052】
対応する有孔シート19がドレッシング材3と取付けパッド28との間に挟まれた状態で、ドレッシング材に取付けパッドを固定する取付け手段が、商標VELCRO(VELCROは、本出願全体にわたって述べられる場合、VELCROまたは互いに付着することができる任意の他のホックおよびループの機械的配列を意味すると理解されたい)の名で販売されているタイプのホックおよび受けを備えるものとして説明されてきたが、任意の他の適切な取付け手段が設けられてもよい。例えば、本発明のいくつかの実施形態では、取付けパッドまたはドレッシング材は、対応する有孔シート19における開口を通じて取付けパッドにドレッシング材を接合する感圧接着剤を備えることが想定され、この場合には、接着材は感圧接着剤であり、典型的には、ドレッシング材上に設けられることが想定される。
【0053】
さらに、任意の他の適切な1つまたは複数の材料が、衣類、有孔要素、および取付けパッドに用いられてもよいことを理解されたい。実際には、いくつかの場合には、有孔要素は、単一の開口だけを備えてもよく、取付けパッドは、有孔要素の残りがドレッシング材および取付けパッドのまわりに広がる周辺部分間に挟まれた状態で、この単一の開口を通じてドレッシング材に固定されることが想定される。いくつかの場合には、衣類は、有孔要素の有孔シート材料によって完全に形成されてもよいことも想定される。
【0054】
取付けパッドは、再利用可能または使い捨てであってもよく、取付けパッドが再利用可能である場合には、取付けパッドは、適切な洗濯できる材料、例えば、ソフトシリコーンストリップ型材料であることが理解されよう。言うまでもなく、任意の他の適切な取付け要素が、設けられてもよい。
【0055】
固定手段が衣類を備えるものとして説明されてきたが、任意の他の適切な固定手段が設けられてもよく、固定手段の形態は、ドレッシング材で治療される被治療対象の身体上の部位の位置によって大いに決定される。例えば、部位が、被治療対象の脚もしくは腕の比較的容易にアクセスできる部分に、または実際は、被治療対象の首にある場合には、衣類は、袖の形態で用意され得る。典型的には、袖は、拡張性および好ましくは通気性のファブリックまたはテキスタイル材料である。治療対象部位が被治療対象の首にある場合には、袖は、首の周りへの固定を容易にするために長手方向に分割されてもよく、袖の2つの自由縁は、ホックおよび受け、スタッドファスナー、または商標VELCROの名で販売されているタイプのホックおよび受けによって固定されてもよい。
【0056】
容易にアクセス可能な部位が被治療対象の胴体上にある場合には、固定手段は、袖の形態で設けることもできることも想定される。実際は、いずれの場合も、袖が有孔要素の有孔シート材料によって完全に形成されてもよく、または有孔要素とは異なる材料によって形成されてもよく、この有孔要素は、取付けパッドを用いて有孔要素にドレッシング材を固定することを容易にするように設けられ、それにより取付けパッドによってそこに固定されたドレッシング材を有する有孔要素は、固定手段の袖が被治療対象の胴体の周りに固定されるときに、治療対象部位を覆うように設けられることが、当業者には容易に明らかであろう。
【0057】
言うまでもなく、部位が股に隣接した被治療対象の大腿の内側上部ある場合には、衣類は、パンツの形態で、例えば、ショーツの形態で与えられてもよい。
【0058】
次に、図9を参照すると、本発明の別の実施形態による保持デバイス1の参照番号50で全体的に示される衣類が示されている。衣類50は、下半身のためのものであるが、上体衣類10および40と同様の構成要素は、同じ参照番号で特定されている。衣類50は、縫い目25によって有孔要素18に接続される前ファブリック部分12を備える。有孔要素18は、近位端51から衣類50の遠位端17へ延びる有孔シート19を備える。有孔要素18は、複数の開口20を備える。
【0059】
いくつかの場合には、保持デバイスがボディスの形態で設けられるとき、保持デバイスは、被治療対象の腋の下における部位に隣接してドレッシング材を保持するために設けられる1つの袖だけを備えてもよいことも理解されよう。保持デバイスがショーツまたはパンツの形態で提供される場合には、ショーツ/パンツは、被治療対象の大腿の上部で冒された部位に隣接してドレッシング材を保持するための1つの袖だけを備えてもよいことも想定される。
【0060】
本発明は、構成および細部が変化し得る上述の実施形態に限定されない。
【符号の説明】
【0061】
1 保持デバイス
3 ドレッシング材
5 部位
6 腋の下
7 腕
9 痛みの箇所
10 ボディスタイプの衣類、衣類
11 後部
12 前部
14 ホック
15 受け
16 短い袖、袖
17 遠位端
18 有孔要素
19 有孔シート
20 開口
21 下端
24 縫い目
25 縫い目
28 取付けパッド
30 ホック
31 受け
40 衣類
42 有孔シート
43 開口
45 開口
50 衣類
51 近位端
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9