(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-18
(45)【発行日】2023-08-28
(54)【発明の名称】微生物による液化に耐性のある水で再構成可能な培養培地
(51)【国際特許分類】
C12M 1/34 20060101AFI20230821BHJP
【FI】
C12M1/34 A
(21)【出願番号】P 2020532797
(86)(22)【出願日】2018-12-12
(86)【国際出願番号】 IB2018059939
(87)【国際公開番号】W WO2019116259
(87)【国際公開日】2019-06-20
【審査請求日】2021-12-10
(32)【優先日】2017-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522464159
【氏名又は名称】ネオゲン フード セイフティ ユーエス ホルドコ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビョーク, ジェイソン ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】チャンドラパティ,サイラジャ
【審査官】福間 信子
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-525367(JP,A)
【文献】特表2014-511846(JP,A)
【文献】特表平11-506910(JP,A)
【文献】特開平03-015379(JP,A)
【文献】特表2017-506916(JP,A)
【文献】特開2014-090700(JP,A)
【文献】特開2012-080881(JP,A)
【文献】国際公開第2017/019345(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00-3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面及び下面を有する自己支持型の防水性基材を備える本体部材と、
前記基材の前記上面に配置された接着剤の層であって、前記接着剤は微生物の増殖に対して非阻害性である前記接着剤の層と、
前記接着剤に接着された冷水可溶性粉末であって、
冷水可溶性ゲル化剤、及び、
微生物を増殖させるための1種以上の栄養素、
を含む前記粉末と、
内向き面及び外向き面を有し、前記本体部材の少なくとも一部に接着されたカバーシートと、
前記カバーシートの前記内向き面又は底部基材の上面に接着された、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びグアーガムの混合物を含む乾燥組成物と、
を含む、微生物を増殖させるためのデバイスであって、
前記デバイスが、前記基材と前記カバーシートとの間に配置された微生物増殖ゾーンを含み、
前記微生物増殖ゾーンが、細菌コロニーの可視化を防止するマトリックスを含まず、
前記カバーシートが、前記基材の前記上面が前記カバーシートの前記内向き面に面するように、前記本体部材に接着されている、デバイス
(但し、硫酸塩還元菌による硫化水素の産生を検出するための指示試薬と乾燥した酸素消去試薬とを備える硫酸塩還元微生物用の培養デバイスを除く)。
【請求項2】
前記冷水可溶性粉末の前記冷水可溶性ゲル化剤が、グアーガム及びヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記冷水可溶性粉末の前記冷水可溶性ゲル化剤が、グアーガム及びヒドロキシプロピルメチルセルロースから本質的になる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びグアーガムが、1部以上のヒドロキシプロピルメチルセルロース対1部のグアーガムの質量比で、及び、3部以下のヒドロキシプロピルメチルセルロース対1部のグアーガムの質量比で、前記冷水可溶性粉末の前記冷水可溶性ゲル化剤中に存在する、請求項2に記載のデバイス。
【請求項5】
前記乾燥組成物が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びグアーガムから本質的になる、請求項1~4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びグアーガムが、1部以上のヒドロキシプロピルメチルセルロース対1部のグアーガムの質量比で、前記乾燥組成物中に存在する、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びグアーガムが、3部以下のヒドロキシプロピルメチルセルロース対1部のグアーガムの質量比で、前記乾燥組成物中に存在する、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
上面及び下面を有する自己支持型の防水性基材を備える本体部材と、
前記基材の前記上面に接着された冷水で再構成可能なコーティングであって、
冷水可溶性ゲル化剤、及び、
微生物を増殖させるための1種以上の栄養素、
を含む前記コーティングと、
内向き面及び外向き面を有し、前記本体部材の少なくとも一部に接着されたカバーシートと、
前記カバーシートの前記内向き面又は底部シートの上面に接着された、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びグアーガムの混合物を含む乾燥組成物と、
を含む、微生物を増殖させるためのデバイスであって、
前記デバイスが、前記基材と前記カバーシートとの間に配置された微生物増殖ゾーンを含み、
前記微生物増殖ゾーンが、細菌コロニーの可視化を防止するマトリックスを含まず、
前記カバーシートが、前記基材の前記上面が前記カバーシートの前記内向き面に面するように、前記本体部材に接着されている、デバイス
(但し、硫酸塩還元菌による硫化水素の産生を検出するための指示試薬と乾燥した酸素消去試薬とを備える硫酸塩還元微生物用の培養デバイスを除く)。
【請求項9】
前記冷水で再構成可能なコーティングが、グアーガム及びヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記冷水で再構成可能なコーティングが、グアーガム及びヒドロキシプロピルメチルセルロースから本質的になる、請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びグアーガムが、1部以上のヒドロキシプロピルメチルセルロース対1部のグアーガムの質量比で、及び、3部以下のヒドロキシプロピルメチルセルロース対1部のグアーガムの質量比で、前記冷水で再構成可能なコーティング中に存在する、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記乾燥組成物が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びグアーガムから本質的になる、請求項9に記載のデバイス。
【請求項13】
前記ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びグアーガムが、1部以上のヒドロキシプロピルメチルセルロース対1部のグアーガムの質量比で、前記乾燥組成物中に存在する、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びグアーガムが、3部以下のヒドロキシプロピルメチルセルロース対1部のグアーガムの質量比で、前記乾燥組成物中に存在する、請求項12に記載のデバイス。
【請求項15】
前記基材の前記上面に配置された接着剤の層を更に含み、前記接着剤が微生物の増殖に対して非阻害性であり、前記冷水で再構成可能なコーティングが前記接着剤の層に接着されている、請求項8~14のいずれか一項に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
微生物を培養するための培地は、一般的に、特定の微生物の増殖に必要な栄養素及び他の成分を含有する水溶液中に、凝固剤を分散させることによって調製する。寒天などの従来の凝固剤は、エンドユーザにとって不便であることが多い。寒天培地は、典型的には、バルクで調製し、滅菌し、次いで沸騰水中で、又は蒸気流への曝露によって融解させる。高温の寒天は、ペトリ皿に注がれ得る前に、約45℃に注意深く冷却しなければならない。冷却されたが依然液化している培地をアリコートし、微生物試料を含有するペトリ皿に注ぎ、試料と混合し、凝固させる。寒天が硬化した後、プレートを規定の温度で規定の時間、インキュベートする。インキュベーション後、各皿で増殖しているコロニーの数及び種類を、目視検査によって計測する。このようにして、水性試料中に存在する微生物の数及び種類又はコロニー形成単位を決定することができる。
【0002】
乾式培養培地デバイスは、「乾燥培養培地」と題され、ハンセンに与えられた米国特許第4,565,783号(’783号特許、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に開示されている。’783号特許のデバイスは、接着剤コーティングを有する底部部材と、接着剤コーティングに均一に接着された冷水可溶性粉末の更なるコーティングとを含む。粉末は、ゲル化剤、1種以上の栄養素、又はこれらの混合物などの1種以上の成分を含む。好ましい実施形態は、底部部材の少なくとも一部に剥離可能に接着されたカバーシートを更に含む。
【0003】
’783特許はまた、基材の上面に取り付けられたスペーサを用いるデバイスの実施形態も開示している。スペーサはその中央に切削され、水和後の培養培地を閉じ込めるように設計された、所定のサイズ、形状、及び容積のウェルを形成する、開口部を有する。
【0004】
「エンテロトキシンを産生するブドウ球菌を検出するための物品及び方法」と題され、Machらに与えられた米国特許第6,022,682号(’682号特許、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)は、試料中の耐熱性ヌクレアーゼ陽性で、潜在的にエンテロトキシンを産生するブドウ球菌の存在を検出又は確認するための円盤形の物品の使用を教示している。物品は、特定の株のブドウ球菌の検出に特異的な化学組成物を含有する。物品は、特に、予め増殖させたゲル系細菌培養物において、黄色ブドウ球菌(S.aureus)などのエンテロトキシンを産生するブドウ球菌の存在を検出するように適合される。
【0005】
薄膜培養デバイスは、微生物を増殖させ、計数するための、従来の寒天培養培地への好都合な代替物を提供する。現行技術の薄膜培養デバイスに対して改善を有する薄膜培養デバイスが必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、一般に、試料材料中に存在する微生物を増殖、検出及び計数するための薄膜培養デバイスに関する。特に、本開示は、乾燥した冷水可溶性ゲル化剤、例えばグアーガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、又は前述のゲル化剤のうちのいずれか2つ以上の混合物などから形成されるポリマーハイドロゲルを崩壊させることが可能な(例えば加水分解酵素によって)少なくとも1種の微生物を含む試料中に存在する微生物を、検出及び計数するための物品及び方法に関する。本開示の物品は、特定の細菌によって産生される加水分解酵素による崩壊に対して実質的に耐性であり、試料材料中に見出される様々な微生物の増殖を実質的に阻害しないハイドロゲルを形成する、有効量の冷水可溶性ゲル化剤を含む。有利には、本開示の物品は、試料材料中に存在する微生物を計数する方法において使用する場合、改善された正確度及び精度を提供する。
【0007】
一態様では、本開示は物品を提供する。物品は、上面及び下面を有する自己支持型の防水性基材を備える本体部材と、基材の上面に配置された接着剤の層であって、接着剤は微生物の増殖に対して非阻害性である接着剤の層と、接着剤に接着された冷水可溶性粉末と、内向き面及び外向き面を有し、本体部材の少なくとも一部に接着されたカバーシートと、カバーシートの内向き面又は本体部材の上面に接着された、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びグアーガムの混合物を含む乾燥組成物と、を含み得る。冷水可溶性粉末は、冷水可溶性ゲル化剤、及び、微生物を増殖させるための1種以上の栄養素、を含み得る。デバイスは、基材とカバーシートとの間に配置された微生物増殖ゾーンを含む。微生物増殖ゾーンは、細菌コロニーの可視化を防止するマトリックスを含まない。カバーシートは、基材の上面がカバーシートの内向き面に面するように、本体部材に接着される。任意の実施形態では、冷水可溶性粉末は、グアーガム及びヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み得る。任意の実施形態では、冷水可溶性ゲル化剤は、グアーガム及びヒドロキシプロピルメチルセルロースから本質的になり得る。
【0008】
冷水可溶性粉末がヒドロキシプロピルメチルセルロース及びグアーガムを含む上記実施形態のいずれかでは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びグアーガムは、1部以上のヒドロキシプロピルメチルセルロース対1部のグアーガムの質量比で、冷水可溶性ゲル化剤中に存在し得る。冷水可溶性ゲル化粉末がヒドロキシプロピルメチルセルロース及びグアーガムを含む上記実施形態のいずれかでは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びグアーガムは、3部以下のヒドロキシプロピルメチルセルロース対1部のグアーガムの質量比で、冷水可溶性ゲル化剤中に存在し得る。
【0009】
別の態様では、本開示は物品を提供する。物品は、上面及び下面を有する自己支持型の防水性基材を備える本体部材と、基材の上面に接着された冷水で再構成可能なコーティングと、内向き面及び外向き面を有し、本体部材の少なくとも一部に接着されたカバーシートと、カバーシートの内向き面又は本体部材の上面に接着された、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びグアーガムの混合物を含む乾燥組成物と、を含み得る。冷水可溶性粉末は、冷水可溶性ゲル化剤、及び、微生物を増殖させるための1種以上の栄養素、を含み得る。デバイスは、基材とカバーシートとの間に配置された微生物増殖ゾーンを含む。微生物増殖ゾーンは、細菌コロニーの可視化を防止するマトリックスを含まない。カバーシートは、基材の上面がカバーシートの内向き面に面するように、本体部材に接着されている。任意の実施形態では、冷水で再構成可能なコーティングは、グアーガム及びヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み得る。任意の実施形態では、冷水で再構成可能なコーティングは、グアーガム及びヒドロキシプロピルメチルセルロースから本質的になり得る。冷水で再構成可能なコーティングがヒドロキシプロピルメチルセルロース及びグアーガムを含む上記実施形態のいずれかでは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びグアーガムは、1部以上のヒドロキシプロピルメチルセルロース対1部のグアーガムの質量比で、コーティング中に存在し得る。冷水で再構成可能なコーティング粉末がヒドロキシプロピルメチルセルロース及びグアーガムを含む上記実施形態のいずれかでは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びグアーガムは、3部以下のヒドロキシプロピルメチルセルロース対1部のグアーガムの質量比で、コーティング中に存在し得る。
【0010】
上記実施形態のいずれかでは、乾燥組成物は、グアーガムを更に含み得る。乾燥組成物がグアーガムを含む上記実施形態のいずれかでは、乾燥組成物は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びグアーガムから本質的になり得る。乾燥組成物がグアーガムを含む上記実施形態のいずれかでは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びグアーガムは、1部以上のヒドロキシプロピルメチルセルロース対1部のグアーガムの質量比で、乾燥組成物中に存在し得る。乾燥組成物がグアーガムを含む上記実施形態のいずれかでは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びグアーガムは、3部以下のヒドロキシプロピルメチルセルロース対1部のグアーガムの質量比で、乾燥組成物中に存在し得る。
【0011】
「好ましい」及び「好ましくは」という語は、ある特定の状況下である特定の利益をもたらし得る本発明の実施形態を指す。しかしながら、他の実施形態もまた、同じ又は他の状況において好ましい場合がある。更にまた、1つ以上の好ましい実施形態の記載は、他の実施形態が有用でないことを含意するものではなく、他の実施形態を本発明の範囲から排除することを意図するものでもない。
【0012】
本明細書で用いる場合、「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」、「少なくとも1つの(at least one)」、及び「1つ以上の(one or more)」は、互換的に用いられる。したがって、例えば、「1つの」ゲル化剤を含むコーティングとは、そのコーティングが「1つ以上の」ゲル化剤を含み得ることを意味するように解釈され得る。
【0013】
用語「及び/又は」は、列挙された要素のうちの1つ若しくは全て、又は列挙された要素のうちの任意の2つ以上の組み合わせを意味する。
【0014】
また、本明細書において、端点による数値範囲の記載は、その範囲内に包含される全ての数を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含む)。
【0015】
本発明の特徴及び利点は、発明を実施するための形態、及び添付の特許請求の範囲を考慮することで理解されるであろう。本発明のこれら並びに他の特徴及び利点は、本発明の様々な例証となる実施形態との関連で後述され得る。
【0016】
上記の本発明の概要は、本発明について開示される各実施形態又は全ての実施の記載を意図したものではない。以下の図面及び発明を実施するための形態は、例示的な実施形態をより具体的に例示する。他の特徴、目的及び利点は、説明及び図面から、かつ特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明は、添付図面を参照して更に説明され得る。
【0018】
【
図1】本発明の好ましい微生物増殖デバイスの上面斜視図、部分的に断面図である。
【0019】
【
図2】本発明の代替的な実施形態の上面斜視図である。
【0020】
【0021】
【
図4】基材上に印刷されたグリッドパターンを示す、
図2のデバイスの上面図である。
【0022】
上記で特定された図面は、本開示のいくつかの実施形態を説明するものであるが、本明細書で論議されるとおり、他の実施形態もまた企図される。全ての場合において、本開示は、限定ではなく代表例によって、本発明を提示する。当業者によって多数の他の改変及び実施形態が考案され得、それらは、本発明の原理の範囲内及び趣旨内に含まれることを理解されたい。図面は、縮尺どおりに描かれていない場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本開示のいずれかの実施形態の詳細な説明に先立ち、本発明はその適用において、以下の説明に記載又は以下の図面に例示の構成の詳細及び構成要素の配置に限定されるものではないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態も可能であり、様々な方法で実践又は実行することが可能である。また、本明細書において使用される語法及び専門用語は説明を目的としたものであり、限定するものとみなしてはならないことを理解されたい。本明細書における「含む(including)」、「含む(comprising)」、又は「有する(having)」、及びこれらの変化形の使用は、その後に列記される項目及びこれらの同等物、並びに追加的な項目を包含することを意味する。別途特定又は限定されない限り、「接続される(connected)」及び「連結される(coupled)」という用語、並びにそれらの変化形は、広い意味で使用されるものであり、直接的及び間接的な接続及び連結の両方を包含する。更に、「接続される」及び「連結される」は、物理的又は機械的な接続又は連結に制限されない。本開示の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用すること、及び構造的又は論理的な変更を行うことが可能であることを理解されたい。更に、「前」、「後」、「上」、「底」などの用語は、互いに関係する各要素を説明するためにのみ使用されるものであり、デバイスの特定の向きを示すこと、デバイスの必要若しくは必須な向きを指示若しくは示唆すること、又は本明細書に記載される発明が使用時にどのように使用、装着、表示、若しくは配置されるかを指定することを目的とするものでは決してない。
【0024】
本開示は、一般的に、試料材料中に存在する微生物を増殖、検出及び計数するための培養デバイス(例えば、薄膜培養デバイス)に関する。試料材料中に存在する微生物を増殖、検出及び計数する方法も提供される。
【0025】
好適な試料材料は、様々な供給源から得られるか、又は由来し得る。用語「供給源」は、一般的に、微生物について試験することが望ましい食品又は非食品を指すために使用される。供給源は、固体、液体、半固体、ゼラチン状材料、気体(例えば、空気)、及びこれらの組み合わせであり得る。いくつかの実施形態では、供給源は、例えば、対象の表面から又は空気から供給源を収集するために使用された捕捉要素によって提供され得る。いくつかの実施形態では、液体組成物は、供給源及び対象の任意の微生物の回収を増強させるために、(例えば、撹拌又は溶解プロセス中に)更に分離することができる捕捉要素を含むことができる。対象となる表面としては、壁(ドアを含む)、床、天井、排水管、冷蔵システム、ダクト(例えば、空気ダクト)、通気口、トイレシート、ハンドル、ドアノブ、ハンドレイル、カウンタートップ、卓上、食事用面(例えば、トレイ、皿など)、作業面、機器表面、衣類など、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない様々な表面の少なくとも一部を含み得る。供給源の全て又は一部を、本方法で使用することができる。供給源の一部が使用される場合、これは時として、供給源の「試料」と呼ばれ得る。しかしながら、用語「試料」は、一般的に、供給源から得られ、微生物の検出のための試験デバイスに導入される材料の体積又は質量の部分を指すために本明細書で使用される。
【0026】
用語「食品」は、一般的に、固体、液体(例えば、溶液、分散液、エマルジョン、懸濁液など、及びこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない)並びに/又は半固体の食用組成物を指すために使用される。食品の例としては、肉、鶏肉、卵、魚、魚介類、野菜、果物、加工食品(例えば、スープ、ソース、ペースト)、穀物製品(例えば、小麦粉、シリアル、パン)、缶詰、ミルク、その他の乳製品(例えば、チーズ、ヨーグルト、サワークリーム)、脂肪、油、デザート、香辛料、薬味、パスタ、飲料、水、ビール、動物用飼料、他の好適な食材、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
乾燥培養培地がそれらの間に接着された2枚の隣接するシートを含む、当該技術分野において既知の薄膜培養デバイスの一種が、米国特許第4,565,783号に記載されている。これらのデバイスは、例えば、全好気性細菌又は大腸菌群細菌を含む様々な微生物を増殖、検出及び計数するのに有用である。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第5,137,812号は、免疫特異的指示薬を使用して微生物(大腸菌(Escherichia coli)O157)を検出するための、薄膜培養デバイス、及びデバイスからコロニーブロットを導出する方法を記載している。
【0028】
図1及び
図4は、本開示によるデバイスの一実施形態を示す。微生物増殖デバイス10は、上面及び下面を有する自己支持型の防水性基材12を備える本体部材を含む。基材12は、好ましくは、水を吸着しないか又は他の方法で水の影響を受けない、ポリエステル、ポリプロピレン、又はポリスチレンなどの材料の比較的剛性のフィルムである。約0.1mm~0.18mmの厚さのポリエステルフィルム、約0.1mm~0.2mmの厚さのポリプロピレンフィルム、及び約0.38mmの厚さのポリスチレンフィルムが、良好に作用することが見出されている。他の好適な基材としては、米国特許第4,565,783号に記載されているように、ポリエチレン又は他の防水コーティングを有する光印刷用紙が挙げられる。基材12は、細菌コロニーを、基材を通して見ることを望むか否か次第で、透明又は不透明のいずれであってもよい。細菌コロニーの計測を促進するため、基材12は、
図4に示されるように、基材上に印刷されたパターン(例えば、正方形の格子パターン)を有してもよい。
【0029】
基材12は、上面が接着剤14の層でコーティングされ、これは冷水可溶性粉末16を、容易な水和のために均一な単層として基材上に保持する役割を果たす。接着剤14は、好ましくは、非水溶性であり、微生物の増殖に対して非阻害性である。好ましくは、接着剤は、接着剤でコーティングされたフィルムを通して細菌コロニーを見ることができるように濡れたとき、十分に透明である。接着剤14に使用するのに好適な接着剤としては、例えば、感圧接着剤が挙げられる。しかしながら、より融点の低い物質がより融点の高い物質の上にコーティングされている熱活性化接着剤を用いてもよい。ゴム糊などの水活性化接着剤も有用であり得る。
【0030】
接着剤14は、好ましくは、粉末状のゲル化剤及び/又は栄養素の粒子の直径未満の厚さで、基材12にコーティングするべきである。任意の実施形態では、基材に粒子を接着するのに十分な接着剤を付与することが好ましい場合があるが、粒子が接着剤中に完全に埋め込まれるほど多くはない。再水和培養培地の均一性を確保するために、粉末16の均一な単層が望ましい。乾燥粉末のコーティングは、使用中に水和させるため、微生物増殖ゾーンに十分な表面積を露出するべきである。一般的に、約5μm~約13μmの厚さ範囲の接着剤の層が好適である。
【0031】
微生物増殖ゾーンは、デバイスの接種中に試料が定置されるデバイス内の領域である。典型的には、微生物増殖ゾーンは、試料の汚染を防止するために、及び/又はデバイスから試料が漏れるのを防止するために、基材12の縁部及びカバーシート(本明細書に記載)から離れている。水性液体(例えば、試験される試料を含有する)が微生物増殖ゾーンに定置された後、液体によって、冷水可溶性粉末と乾燥組成物とが接触する。微生物増殖ゾーンは、細菌コロニーの可視化を防止するマトリックスを含まない。
【0032】
本開示のデバイスにおいて使用するのに好適な接着剤の非限定的な例は、イソオクチルアクリレート/アクリルアミド(94/6のモル比)のコポリマーである。使用され得る他の感圧接着剤としては、イソオクチルアクリレート/アクリル酸(95/5又は94/6のモル比)、及びシリコーンゴムが挙げられる。水への曝露時に白化する接着剤はあまり好ましくないが、不透明な基材と併せて、又はコロニーの視認が必要とされない場合に使用され得る。
【0033】
冷水可溶性粉末16の単層は、接着剤の層14に均一に接着される。粉末16は、冷水可溶性ゲル化剤、微生物を増殖させるための1種以上の栄養素、及び冷水可溶性ゲル化剤と微生物を増殖させるための1種以上の栄養素との混合物からなる群から選択される、少なくとも1種の成分、を含む。本明細書及び特許請求の範囲で使用されるとき、用語「粉末」は、400マイクロメートル未満の平均直径を有する微粒子状粒子物質を指す。本明細書及び特許請求の範囲で使用されるとき、用語「冷水可溶性」は、室温で水中の溶液を形成する材料を指す。
【0034】
本開示のデバイスに用いる粉末の「冷水可溶性」は、例えば、これらの粉末中に、適切なゲル化剤を含むことから生じる場合がある。粉末16が含むのに好適なゲル化剤としては、室温で水中の溶液を形成する、天然ゲル化剤及び合成ゲル化剤の両方が挙げられる。ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリルアミド、ローカストビーンガム、及び寒天などのゲル化剤は、室温で水中の溶液を形成し、「冷水可溶性」である粉末をもたらすのに好適なゲル化剤である。任意の実施形態では、冷水可溶性ゲル化剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み得る。粉末16について好ましいゲル化剤としては、例えば、グアーガム及びキサンタンガムが挙げられ、これらのゲル化剤は、個々に又は互いに組み合わせて、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースと組み合わせて、有用である。微生物を増殖させるための栄養素は、室温で水中の溶液を形成する。
【0035】
特に好ましい実施形態では、冷水可溶性ゲル化剤は、グアーガム及びヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む。任意の実施形態では、冷水可溶性ゲル化剤は、グアーガム及びヒドロキシプロピルメチルセルロースから本質的になる場合がある。
【0036】
ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びグアーガムが冷水可溶性ゲル化剤中に存在する任意の実施形態では、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びグアーガムは、1部以下のヒドロキシプロピルメチルセルロース対1部のグアーガムの質量比で、冷水可溶性ゲル化剤中に存在し得る。ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びグアーガムが冷水可溶性ゲル化剤中に存在する任意の実施形態では、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びグアーガムは、3部以下のヒドロキシプロピルメチルセルロース対1部のグアーガムの質量比で、冷水可溶性ゲル化剤中に存在し得る。
【0037】
任意の実施形態では、冷水可溶性粉末は、約3部の栄養素:1部の冷水可溶性ゲル化剤の比で存在する、粉末状栄養素及び粉末状冷水可溶性ゲル化剤を含むことができる。
【0038】
指示されるように、冷水可溶性粉末16は、ゲル化剤のみを含んでもよい。製造時のデバイスが、ゲル化剤のみを含む粉末を含有する場合、エンドユーザは、増殖させることを望む微生物の種類に「合わせた」、独自の特別な栄養素を添加する。例えば、乾燥粉末状の栄養素を、エタノール又は「フレオン」のような迅速に蒸発する液体中に懸濁させてもよい。他の例では、乾燥粉末状の栄養素を、水溶液中に懸濁又は溶解させてもよい。液体のアリコートを、接着剤及びゲル化剤で予めコーティングされた基材12の表面に添加する。液体を蒸発させ、ゲル化剤と共に十分な栄養素が残る。他の例では、乾燥粉末状の栄養素を、乾燥粉末を水和させるために使用する水性液体中に、懸濁又は溶解させてもよい。これらの場合、使用前に液体を蒸発させない。試料は、乾燥粉末を水性液体で水和させる前又は直後に、水性液体と混合させてもよい。あるいは、ゲル化剤を水和させ、ハイドロゲルを形成させた後で、水和した乾燥粉末に試料を適用してもよい。
【0039】
ゲル化剤が粉末16に含まれる場合、基材上に定置した所定量の水又は水性試料、例えば1~3ミリリットルが、25℃において、Brookfield Model LVF粘度計によって60rpmで測定すると、約1500cps以上の粘度を有するゲルを形成するように、十分な量のゲル化剤を基材に接着させる。この粘度のゲルは、好都合な取り扱い及び積み重ねを可能にし、別個のコロニーの識別をもたらすであろう。大多数の場合、約20cm2の表面積における0.025~0.050グラムのグアーガムは、1~3ミリリットルの水性試料で水和させると、十分に粘稠なゲルをもたらすであろう。単位面積当たりのコーティング重量を制御するためには、粉末粒子のサイズを使用することができる。例えば、約100メッシュのグアーガムは約0.05グラム/5cm直径ディスクの重量にコーティングし、400メッシュのグアーガムは約0.025グラム/5cm直径ディスクの重量にコーティングする。更なる量のゲル化剤及び/又は栄養素が求められる場合、この実施形態の任意選択のカバーシートもコーティングされ得る。
【0040】
粉末16についてのコーティング混合物の一実施形態は、以下のとおりである。
15グラムのグアーガム又はキサンタンガム
5グラムのペプトン
2.5グラムの酵母抽出物
1グラムのデキストロース
0.06グラムの炭酸ナトリウム
0.12グラムの「Cab-0-Sil M-5」(ヒュームド二酸化ケイ素、Cabot Corporationから市販されている)
【0041】
前述の粉末混合物の構成成分は、例えば、米国特許第4,565,783号の実施例1に記載されているように、一緒にブレンドして、接着剤をコーティングした基材上に散布することができる。
【0042】
中性pHを呈する培地を提供するため、炭酸ナトリウムを用いる。「Cab-0-Sil M-5」は、加工助剤として用いる。当然のことながら、粉末16について使用する具体的なコーティング混合物は、増殖させる微生物の種類に依存し得る。
【0043】
上記成分を含むコーティング混合物の調製では、ペプトン、酵母抽出物、デキストロース、及び炭酸ナトリウムを水に溶解させ、得られた溶液を従来の手段によって噴霧乾燥させ、これらの成分の均質混合物を得ることができる。次いで、残りの成分を上記混合物と組み合わせて、最終的なコーティング混合物をもたらす。
【0044】
培地混合物に染料を組み込むことが望ましい場合がある。あるいは、接着剤14に染料を組み込んでもよい。好適な染料は、増殖する微生物によって代謝されるもの、及びより容易な可視化のためにコロニーを着色するものである。このような染料の例としては、トリフェニルテトラゾリウムクロリド、p-トリルテトラゾリウムレッド、テトラゾリウムバイオレット、ベラトリルテトラゾリウムブルー、及び関連染料が挙げられる。他の好適な染料は、pH変化に感度のよいもの(例えば、ニュートラルレッド、カルボキシフェノールレッド)、発色酵素基質、及び蛍光酵素基質である。
【0045】
粉末16が、特定の微生物学的試験を実行するために必要な試薬を任意選択で含んでもよいことも、本発明の範囲内で想到される。例えば、抗生物質感受性検査を実行するため、抗生物質を含んでもよい。微生物を同定するため、特定の種類の微生物の存在下で色の変化を起こすものなどの試薬を含んでもよい。
【0046】
図1のデバイスでは、本体部材は、基材12の上面に適用されたスペーサ要素を含み、スペーサ要素は、基材12上の粉末16を露出させるために、中央を通って切削された円形開口部20を有する1ピースのスペーサ18を含む。開口部20の壁は、水和後の培地を閉じ込めるための、所定のサイズ及び形状のウェルを提供する。スペーサ18は、所望の体積、例えば、1、2又は3ミリリットルのウェルを形成するのに十分な厚さであるべきである。独立気泡ポリエチレン発泡体は、スペーサ18のための好ましい材料であるが、疎水性(非湿潤性)であり、微生物に対して不活性であり、滅菌に耐えることができる任意の材料を使用してよい。これらの実施形態では、開口部20は、典型的には、培養デバイスにおける微生物増殖ゾーンの外周部を形成する。
【0047】
本体部材のスペーサ18の1つの縁部には、カバーシート22が接着する。カバーシート22は、好ましくは、細菌コロニーの計測を促進するために透明であり、細菌及び水蒸気に対して実質的に不透過性である。本明細書及び特許請求の範囲で使用されるとき、「細菌及び水蒸気に対して実質的に不透過性である」は、デバイスの輸送、保管及び使用中に脱水された培地の望ましくない汚染を防止し、インキュベーション期間中に微生物の増殖を支援することになる環境を提供するカバーシートを指す。一般的に、カバーシートは基材12と同じ特性を有するであろうが、同様の剛性である必要はない。カバーシート22は、増殖することが所望される微生物の種類に必要な酸素透過量をもたらすように、選択することができる。例えば、ポリエステルフィルムは、低い酸素透過性(0.025mmの厚さ当たり5g/645cm2/24時間未満)を有し、嫌気性細菌を増殖させるのに好適であろう。他方、ポリエチレンは、非常に高い酸素透過性(例えば、0.025mmの厚さ当たり約500g/645cm2/24時間)を有し、好気性微生物に好適であろう。目下、カバーシート22のための好ましい材料は、1.6milの二軸延伸ポリプロピレンフィルムである。図示されるように、カバーシート22は、接着剤14’及び粉末16’の任意選択の層でコーティングされる。カバーシート22は、代替的に、本体部材の基材12に接着されてもよく、いずれのコーティングも含まなくてもよく、又は感圧接着剤の層のみでコーティングしてもよいことを理解されたい。
【0048】
図2の実施形態は、スペーサ18が存在しないことを除いて、
図1の実施形態と同一である。ゲルを特定の領域(すなわち、培養デバイスの微生物増殖ゾーン)に閉じ込めるため、カバーシート22を閉じた後、その外側に、加重した円形環などのテンプレートを一時的に適用してもよい。
【0049】
図面に示した実施形態の両方が、デバイスに取り付けられたカバーシート22を有するが、粉末含有実施形態が被覆されておらず、保管時及びインキュベーション時に、単純に滅菌環境に定置してもよいことも、本発明の範囲内で想到される。
【0050】
本発明による別のデバイス(図示せず)は、上面及び下面を有する自己支持型の防水性基材を備える底部部材を含む。実質的に水を含まず、かつ冷水可溶性ゲル化剤、微生物を増殖させるための1種以上の栄養素、及び冷水可溶性ゲル化剤と微生物を増殖させるための1種以上の栄養素との混合物からなる群から選択される少なくとも1種の成分、を含む、冷水で再構成可能な材料から本質的になるコーティングが、基材の上面の少なくとも一部にコーティングされる。本明細書及び特許請求の範囲で使用されるとき、「実質的に水を含まない」という表現は、コーティングを周囲環境と平衡化させると、脱水されたコーティングのおよその含水量以下の含水量を有するコーティングを指す。
【0051】
本実施形態における本体部材として用いるのに好適な基材としては、例示した実施形態に関連して上述したものが挙げられる。
【0052】
本実施形態はまた、底部部材の少なくとも一部に剥離可能に接着されたカバーシートを含み、カバーシートは、細菌及び水蒸気に対して実質的に不透過性である。カバーシートは、例えば、本実施形態における本体部材の基材にコーティングしたものなど、接着剤の層又はコーティングによってカバーシートに接着された、上記の冷水可溶性粉末の形態でゲル化剤及び/又は栄養混合物を含み得る乾燥組成物で、コーティングしてもよい。任意の実施形態では、カバーシートに接着された乾燥組成物は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み得る。あるいは、カバーシートを、感圧接着剤のみでコーティングしてもよく、又はいずれの種類のコーティングも含まなくてもよい。カバーシートに好適な材料としては、例示した実施形態に関連して上述したものが挙げられる。
【0053】
本開示によるデバイスの任意の実施形態では、カバーシートに接着された乾燥組成物は、第2の冷水可溶性ゲル化剤(例えば、グアーガム)を含んでもよい。これらの実施形態では、乾燥組成物は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース:第2の冷水可溶性ゲル化剤のある比を有し得る。
【0054】
本実施形態のコーティングに用いる材料は、冷水で再構成可能である。本明細書及び特許請求の範囲で使用されるとき、「冷水で再構成可能」とは、室温において水中で、溶液、ゾル又はゲルを形成する材料を指す。本実施形態のコーティングに含めるのに好適なゲル化剤としては(このようなものがコーティングに含有される場合)、室温で水中の溶液を形成する上記のゲル化剤が挙げられる。加えて、寒天は、沸騰水に溶解させ、コーティングとして堆積させた後は、「冷水で再構成可能」な材料であることが見出されている。
【0055】
本実施形態のコーティングを提供するための好ましいコーティング混合物は、以下の成分を混合することによって調製される。
15グラムの寒天
32.7グラムのペプトン
16.3グラムの酵母抽出物
6.5グラムのデキストロース
2.0グラムの「Guar M150」(多糖類、Celanese Corporationから市販されている)
0.1グラムの炭酸ナトリウム
0.2グラムの「TRITON X-100」(湿潤剤、Rohm and Haasから市販されている)
1000グラムの水
【0056】
前述の構成成分は、例えば、米国特許第4,565,783号の実施例12に記載されているように、一緒に混合して、基材上にコーティングし、乾燥させることができる。任意の実施形態では、冷水で再構成可能なコーティングは、約1部の栄養素:2部の冷水可溶性ゲル化剤の比で存在する、栄養素及び冷水可溶性ゲル化剤を含むことができる。任意の実施形態では、本明細書に記載するように、冷水で再構成可能なコーティングは、基材に接着された接着剤の層にコーティングを付与することによって、基材に接着され得る。
【0057】
コーティングは、任意選択で、染料、抗生物質及び架橋剤を含んでもよく、このような成分の例としては、本明細書で上記のものが挙げられる。
【0058】
本実施形態の本体部材は、任意選択で、基材に適用されるスペーサ要素を含んでもよく、好適なスペーサ要素の例としては、例示した実施形態に関連して上述したものが挙げられる。このようなスペーサ要素が存在する場合、カバーシートを、例えば、スペーサ要素に剥離可能に接着してもよい。
【0059】
本発明のデバイスの使用を、
図1及び
図3のデバイスを具体的に参照して論じる。
図1及び
図3のデバイスを混釈平板として使用するために、カバーシート22を引き戻し、所定量の水又は水性試験試料を、本体部材の基材12上に定置する。接着剤14によって基材12に接着されたゲル化剤及び/又は栄養素は、迅速に水和又は溶解し、栄養素ゲルが形成される。次いで、カバーシート22を基材の上に再び置き、加重したプレートを上部に定置して、試料を完全に広げる。次いで、所定の時間、デバイスをインキュベートする。培地中で増殖する任意の細菌コロニーを、透明なカバーフィルムを通して計測することができる。
【0060】
デバイスはまた、様々な対象の表面を検査して細菌汚染の程度を決定する「ロダック」試験にも、好都合に使用され得る。感圧接着剤のみをコーティングしたカバーシート22を引き戻し、試験する表面に接触させる。接着剤は、試験する表面から、いずれの微生物も拾い上げる。次いで、デバイスを水和させ、カバーシート22を再び置き、デバイスをインキュベートする。
【0061】
本開示による薄膜培養デバイスは、栄養素、指示薬、及び任意選択で、特定の微生物又は微生物の群を検出/計数するために選択した選択剤を含んでもよい。
【0062】
薄膜培養デバイスは、例えば、米国特許第4,565,783号に記載されているように、好気性細菌、嫌気性細菌、及び/又は乳製品試料からの細菌を増殖させ、計数するために使用されている。いくつかの実施形態では、材料の少なくとも一部として、デバイス内で水性溶媒と反応してデバイス内にハイドロゲルを形成するヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み、米国特許第4,565,783号に教示されている栄養素、選択剤、指示薬及びインキュベーション条件を用いる本開示による薄膜培養デバイスを、例えば、好気性細菌、嫌気性細菌、及び/又は乳製品試料からの細菌を増殖させ、計数するために使用することもできることが想到される。
【0063】
薄膜培養デバイスは、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第5,089,413号に記載されているように、酵母及びかびを含めた好気性微生物を増殖させ、計数するために使用されている。いくつかの実施形態では、材料の少なくとも一部として、デバイス内で水性溶媒と反応してデバイス内にハイドロゲルを形成するヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み、米国特許第5,089,413号に教示されている栄養素、選択剤、指示薬及びインキュベーション条件を用いる本開示による薄膜培養デバイスを、例えば、酵母及びかびを含めた好気性微生物を増殖させ、計数するために使用することもできることが想到される。
【0064】
薄膜培養デバイスは、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第5,137,812号に記載されているように、微生物のコロニー(例えば、大腸菌(E.coli)の種)を増殖させ、計数するために使用されており、続いてコロニーを、微生物の特定のための膜上に移動させている(例えば、「ブロットしている」)。いくつかの実施形態では、材料の少なくとも一部として、デバイス内で水性溶媒と反応してデバイス内にハイドロゲルを形成するヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み、米国特許第5,137,812号に教示されている栄養素、選択剤、指示薬及びインキュベーション条件を用いる本開示による薄膜培養デバイスを、例えば、細菌コロニーを増殖させ、計数するために使用し、続いてコロニーを、微生物の特定のための膜上に移動させる(例えば、「ブロットする」)こともできることが想到される。
【0065】
(例えば、)参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第5,232,838号に記載されている)水系接着剤組成物の層を含む薄膜培養デバイスは、大体積(例えば、>1mL)の水性試料中に存在する微生物を検出し、計数するために使用されている。いくつかの実施形態では、材料の少なくとも一部として、デバイス内で水性溶媒と反応してデバイス内にハイドロゲルを形成するヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み、米国特許第5,232,838号に教示されている栄養素、選択剤、指示薬及びインキュベーション条件を用いる本開示による薄膜培養デバイスを、例えば、大体積(例えば、>1mL)の水性試料中に存在する微生物のコロニーを増殖させ、計数するために使用することもできることが想到される。
【0066】
薄膜培養デバイスは、例えば、参照によりそれぞれの全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第5,364,766号及び同第5,723,308号に記載されているように、大腸菌型細菌の迅速な検出及び計数のために使用されている。いくつかの実施形態では、材料の少なくとも一部として、デバイス内で水性溶媒と反応してデバイス内にハイドロゲルを形成するヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み、米国特許第5,364,766号及び同第5,723,308号に教示されている栄養素、選択剤、指示薬及びインキュベーション条件を用いる本開示による薄膜培養デバイスを、試料中に存在する大腸菌型微生物のコロニーを迅速に増殖させ、計数するために使用することもできることが想到される。
【0067】
参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第5,409,838号に記載されているように、デバイス内に配置された指示染料を安定化するための非水溶性有機酸を含む感圧接着剤コーティングを有する薄膜培養デバイスは、微生物の検出及び計数のために使用されている。いくつかの実施形態では、材料の少なくとも一部として、デバイス内で水性溶媒と反応してデバイス内にハイドロゲルを形成するヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み、米国特許第5,409,838号に教示されている栄養素、選択剤、指示薬、非水溶性有機酸を含む感圧接着剤、及びインキュベーション条件を用いる本開示による薄膜培養デバイスを、試料中に存在する微生物のコロニーを迅速に増殖させ、計数するために使用することもできることが想到される。
【0068】
参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第5,494,823号に記載されているように、その中に配置した液体試料を受け入れ、分布させるための吸収材繊維質シートを有する薄膜培養デバイスは、微生物を増殖させ、計数するために使用されている。いくつかの実施形態では、材料の少なくとも一部として、デバイス内で水性溶媒と反応してデバイス内にハイドロゲルを形成するヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み、米国特許第5,494,823号に教示されている吸収材繊維質シート、栄養素、選択剤、指示薬及びインキュベーション条件を用いる本開示による薄膜培養デバイスを、微生物を増殖させ、計数するために使用することもできることが想到される。
【0069】
薄膜培養デバイスは、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第5,601,998号に記載されているように、グラム陰性微生物の腸内細菌科(Enterobacteriaceae)の細菌を増殖させ、計数するために使用されている。いくつかの実施形態では、材料の少なくとも一部として、デバイス内で水性溶媒と反応してデバイス内にハイドロゲルを形成するヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み、米国特許第5,601,998号に教示されている栄養素、選択剤、指示薬及びインキュベーション条件を用いる本開示による薄膜培養デバイスを、グラム陰性微生物の腸内細菌科(Enterobacteriaceae)の細菌を増殖させ、計数するために使用することもできることが想到される。
【0070】
薄膜培養デバイスは、例えば、参照によりそれぞれの全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第5,635,367号及び同第7,087,401号に記載されているように、スタフィロコッカス属(Staphylococcus)の細菌を増殖させ、計数するために使用されている。いくつかの実施形態では、材料の少なくとも一部として、デバイス内で水性溶媒と反応してデバイス内にハイドロゲルを形成するヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み、米国特許第5,635,367号及び同第7,087,401号に教示されている栄養素、選択剤、指示薬及びインキュベーション条件を用いる本開示による薄膜培養デバイスを、スタフィロコッカス属(Staphylococcus)の細菌を増殖させ、計数するために使用することもできることが想到される。
【0071】
例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第5,681,712号に記載されているように、微生物コロニーをデバイス内の栄養培地の表面で増殖させるために構成された、ヘッドスペースを提供するように寸法決めされた非水溶性スペーサを有する薄膜培養デバイスは、微生物を増殖させ、計数するために使用されている。いくつかの実施形態では、材料の少なくとも一部として、デバイス内で水性溶媒と反応してデバイス内にハイドロゲルを形成するヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み、米国特許第5,681,712号に教示されている非水溶性スペーサ、栄養素、選択剤、指示薬及びインキュベーション条件を用いる本開示による薄膜培養デバイスを、微生物を増殖させ、計数するために使用することもできることが想到される。
【0072】
参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第5,869,321号に記載されている、粒状化培地粒子を含有する薄膜培養デバイスは、微生物の検出及び計数のために使用されている。いくつかの実施形態では、材料の少なくとも一部として、デバイス内で水性溶媒と反応してデバイス内にハイドロゲルを形成するヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み、米国特許第5,869,321号に教示されている栄養素、選択剤、指示薬、粒状化培地粒子及びインキュベーション条件を用いる本開示による薄膜培養デバイスを、試料中に存在する微生物のコロニーを迅速に増殖させ、計数するために使用することもできることが想到される。
【0073】
自動拡散型薄膜培養デバイスは、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,632,661号に記載されているように、微生物の検出及び計数のために使用されている。いくつかの実施形態では、材料の少なくとも一部として、デバイス内で水性溶媒と反応してデバイス内にハイドロゲルを形成するヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み、自動拡散型であり、米国特許第6,632,661号に教示されている栄養素、選択剤、指示薬、粒状化培地粒子及びインキュベーション条件を用いる本開示による薄膜培養デバイスを、試料中に存在する微生物のコロニーを増殖させ、計数するために使用することもできることが想到される。
【0074】
薄膜培養デバイスは、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,022,682号に記載されているように、エンテロトキシンを産生するスタフィロコッカス属(Staphylococcus)の細菌を増殖させるために使用され、トルイジンブルーO及び非加水分解ヌクレオチドを含むコーティングを有する乾燥物品と協調して、これを計数するために使用されている。いくつかの実施形態では、材料の少なくとも一部として、デバイス内で水性溶媒と反応してデバイス内にハイドロゲルを形成するヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み、米国特許第6,022,682号に教示されている栄養素、選択剤、指示薬、トルイジンブルーOを含む乾燥物品、及びインキュベーション条件を用いる本開示による薄膜培養デバイスを、エンテロトキシンを産生するスタフィロコッカス属(Staphylococcus)の細菌を増殖させ、計数するために使用することもできることが想到される。
【0075】
薄膜環境試料採取及び培養デバイスは、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第8,828,653号に記載されているように、環境試料中に存在する微生物を増殖させ、計数するために使用されている。いくつかの実施形態では、環境試料採取及び培養デバイスを、材料の少なくとも一部として、デバイス内で水性溶媒と反応してデバイス内にハイドロゲルを形成するヒドロキシプロピルメチルセルロースを含むように、本開示によって改変することができると想到される。改変された環境試料採取及び培養デバイスは、米国特許第8,828,653号によって教示されている栄養素、選択剤、指示薬、及びインキュベーション条件を用いて、環境試料中に存在する微生物を増殖させ、計数することができる。
【0076】
薄膜培養デバイスは、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第8,828,682号に記載されているように、溶血性微生物を増殖させ、計数するために使用されている。いくつかの実施形態では、材料の少なくとも一部として、デバイス内で水性溶媒と反応してデバイス内にハイドロゲルを形成するヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み、米国特許第8,828,682号に教示されている栄養素、選択剤、指示薬及びインキュベーション条件を用いる本開示による薄膜培養デバイスを、溶血性微生物を増殖させ、計数するために使用することもできることが想到される。
【0077】
薄膜培養デバイスは、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第8,846,334号に記載されているように、酸産生溶血性微生物を増殖させるために使用されている。いくつかの実施形態では、材料の少なくとも一部として、デバイス内で水性溶媒と反応してデバイス内にハイドロゲルを形成するヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み、米国特許第8,846,334号に教示されている栄養素、選択剤、指示薬及びインキュベーション条件を用いる本開示による薄膜培養デバイスを、溶血性微生物を増殖させ、計数するために使用することもできることが想到される。
【0078】
薄膜培養デバイスは、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第8,889,351号に記載されているように、微生物を増殖させるために使用され、メチルグリーン及びデオキシリボ核酸を含むコーティングを有する乾燥物品と協調して、DNase産生細菌を計数するために使用されている。いくつかの実施形態では、材料の少なくとも一部として、デバイス内で水性溶媒と反応してデバイス内にハイドロゲルを形成するヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み、米国特許第8,889,351号に教示されている栄養素、選択剤、指示薬、メチルグリーン及びデオキシリボ核酸を含む乾燥物品、並びにインキュベーション条件を用いる本開示による薄膜培養デバイスを、DNase産生細菌を増殖させ、計数するために使用することもできることが想到される。
【0079】
薄膜培養デバイスは、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第9,273,340号に記載されているように、腸内細菌科(Enterobacteriaceae)微生物を増殖させるために使用され、指示薬系を含むコーティングを有する検出物品と協調して、試料中のサルモネラ(Salmonella)菌を計数するために使用されている。いくつかの実施形態では、材料の少なくとも一部として、デバイス内で水性溶媒と反応してデバイス内にハイドロゲルを形成するヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み、米国特許第9,273,340号に教示されている栄養素、選択剤、指示薬、指示薬系を含む検出物品、及びインキュベーション条件を用いる本開示による薄膜培養デバイスを、サルモネラ(Salmonella)菌を増殖させ、計数するために使用することもできることが想到される。
【0080】
薄膜培養デバイスは、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、国際公開WO2015/134696号に記載されているように、好気性細菌の迅速な検出及び計数のために使用されている。いくつかの実施形態では、材料の少なくとも一部として、デバイス内で水性溶媒と反応してデバイス内にハイドロゲルを形成するヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み、国際公開WO2015/134686号に教示されている栄養素、選択剤、指示薬及びインキュベーション条件を用いる本開示による薄膜培養デバイスを、試料中に存在する好気性細菌のコロニーを迅速に増殖させ、計数するために使用することもできることが想到される。
【0081】
内蔵型薄膜培養デバイスは、例えば、参照によりそれぞれの全体が本明細書に組み込まれる、国際公開WO2015/061213号、同WO2016/176183号及び同WO2016/176176号に記載されているように、嫌気性細菌又は微好気性細菌の検出及び計数のため、低酸素環境をin situで発生させるために使用されている。いくつかの実施形態では、材料の少なくとも一部として、デバイス内で水性溶媒と反応してデバイス内にハイドロゲルを形成するヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み、国際公開WO2015/061213号、同WO2016/176183号及び同WO2016/176176号に教示されている栄養素、選択剤、指示薬及びインキュベーション条件を用いる本開示による薄膜培養デバイスを、嫌気性細菌又は微好気性細菌の検出及び計数のため、低酸素環境をin situで発生させるために使用することもできることが想到される。
【0082】
内蔵型薄膜培養デバイスは、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、国際公開WO2016/176178号に記載されているように、二酸化炭素要求性(capnophilic)細菌の検出及び計数のため、二酸化炭素濃縮環境をin situで発生させるために使用されている。いくつかの実施形態では、材料の少なくとも一部として、デバイス内で水性溶媒と反応してデバイス内にハイドロゲルを形成するヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み、国際公開WO2016/176178号に教示されている栄養素、選択剤、指示薬及びインキュベーション条件を用いる本開示による薄膜培養デバイスを、二酸化炭素要求性細菌の検出及び計数のため、二酸化炭素濃縮環境をin situで発生させるために使用することもできることが想到される。
【0083】
内蔵型薄膜培養デバイスは、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる国際公開WO2017/019345号に記載されているように、大体積の試料からより小体積に微生物を濃縮するため、及び試料中に存在する微生物を増殖させ、計数するために使用されている。いくつかの実施形態では、材料の少なくとも一部として、デバイス内で水性溶媒と反応してデバイス内にハイドロゲルを形成するヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み、国際公開WO2017/019345号に教示されている栄養素、選択剤、指示薬及びインキュベーション条件を用いる本開示による薄膜培養デバイスを、大体積の試料からより小体積に微生物を濃縮するため、及び試料中に存在する微生物を増殖させ、計数するために使用することもできることが想到される。
【0084】
本発明は、以下の非限定的な例を参照して更に説明され得る。別途指示がない限り、全ての部は重量部として表す。
【0085】
例示的な実施形態
実施形態Aは、
上面及び下面を有する自己支持型の防水性基材を備える本体部材と、
基材の上面に配置された接着剤の層であって、接着剤は微生物の増殖に対して非阻害性である接着剤の層と、
接着剤に接着された冷水可溶性粉末であって、
冷水可溶性ゲル化剤、及び、
微生物を増殖させるための1種以上の栄養素、
を含む粉末と、
内向き面及び外向き面を有し、本体部材の少なくとも一部に接着されたカバーシートと、
カバーシートの内向き面又は本体部材の上面に接着された、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びグアーガムの混合物を含む乾燥組成物と、を含む、微生物を増殖させるためのデバイスであって、
デバイスが、基材とカバーシートとの間に配置された微生物増殖ゾーンを含み、
微生物増殖ゾーンが、細菌コロニーの可視化を防止するマトリックスを含まず、
カバーシートが、基材の上面がカバーシートの内向き面に面するように、本体部材に接着されている、デバイスである。
【0086】
実施形態Bは、冷水可溶性粉末が、グアーガム及びヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、実施形態Aのデバイスである。
【0087】
実施形態Cは、冷水可溶性粉末が、グアーガム及びヒドロキシプロピルメチルセルロースから本質的になる、実施形態Aのデバイスである。
【0088】
実施形態Dは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びグアーガムが、1部以上のヒドロキシプロピルメチルセルロース対1部のグアーガムの質量比で、冷水可溶性粉末中に存在する、実施形態B又は実施形態Cのデバイスである。
【0089】
実施形態Eは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びグアーガムが、3部以下のヒドロキシプロピルメチルセルロース対1部のグアーガムの質量比で、冷水可溶性粉末中に存在する、実施形態B~Dのいずれか1つのデバイスである。
【0090】
実施形態Fは、乾燥組成物が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びグアーガムから本質的になる、実施形態B~Eのいずれか1つのデバイスである。
【0091】
実施形態Gは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びグアーガムが、1部以上のヒドロキシプロピルメチルセルロース対1部のグアーガムの質量比で、乾燥組成物中に存在する、実施形態Fのデバイスである。
【0092】
実施形態Hは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びグアーガムが、3部以下のヒドロキシプロピルメチルセルロース対1部のグアーガムの質量比で、乾燥組成物中に存在する、実施形態F又は実施形態Gのデバイスである。
【0093】
実施形態Iは、
上面及び下面を有する自己支持型の防水性基材を備える本体部材と、
基材の上面に接着された冷水で再構成可能なコーティングであって、
冷水可溶性ゲル化剤、及び、
微生物を増殖させるための1種以上の栄養素、
を含むコーティングと、
内向き面及び外向き面を有し、本体部材の少なくとも一部に接着されたカバーシートと、
カバーシートの内向き面又は本体部材の上面に接着された、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びグアーガムの混合物を含む乾燥組成物と、を含む、微生物を増殖させるためのデバイスであって、
デバイスが、基材とカバーシートとの間に配置された微生物増殖ゾーンを含み、
微生物増殖ゾーンが、細菌コロニーの可視化を防止するマトリックスを含まず、
カバーシートが、基材の上面がカバーシートの内向き面に面するように、本体部材に接着されている、デバイスである。
【0094】
実施形態Jは、冷水で再構成可能なコーティングが、グアーガム及びヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、実施形態Iのデバイスである。
【0095】
実施形態Kは、冷水で再構成可能なコーティングが、グアーガム及びヒドロキシプロピルメチルセルロースから本質的になる、実施形態Iのデバイスである。
【0096】
実施形態Lは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びグアーガムが、1部以上のヒドロキシプロピルメチルセルロース対1部のグアーガムの質量比で、冷水で再構成可能なコーティング中に存在する、実施形態J又は実施形態Kのデバイスである。
【0097】
実施形態Mは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びグアーガムが、3部以下のヒドロキシプロピルメチルセルロース対1部のグアーガムの質量比で、冷水で再構成可能なコーティング中に存在する、実施形態J~Lのいずれか1つのデバイスである。
【0098】
実施形態Nは、乾燥組成物が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びグアーガムから本質的になる、実施形態I~Mのいずれか1つのデバイスである。
【0099】
実施形態Oは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びグアーガムが、1部以上のヒドロキシプロピルメチルセルロース対1部のグアーガムの質量比で、乾燥組成物中に存在する、実施形態Nのデバイスである。
【0100】
実施形態Pは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びグアーガムが、3部以下のヒドロキシプロピルメチルセルロース対1部のグアーガムの質量比で、乾燥組成物中に存在する、実施形態N又は実施形態Oのデバイスである。
【0101】
実施形態Qは、基材の上面に配置された接着剤の層を更に含み、接着剤が微生物の増殖に対して非阻害性であり、冷水で再構成可能なコーティングが接着剤の層に接着されている、実施形態I~Pのいずれか1つのデバイスである。
【0102】
本開示の利点及び実施形態は、以下の実施例によって更に例示されるが、これらの実施例に記載される特定の材料及びその量、並びに他の条件及び詳細は、本開示を不当に限定するものと解釈されるべきではない。別途記載されるか又は明らかでない限り、全ての材料は、市販されているか又は当業者に既知である。
【実施例】
【0103】
実施例1 薄膜培養デバイスの調製
【0104】
PETRIFILM Aerobic Count(PFAC)プレートは、3M Company(St.Paul MN)から入手した。二軸延伸ポリプロピレンフィルム(約0.04mm厚)は、3M Companyから入手した。トリフェニルテトラゾリウムクロリド(TTC、パート番号17779)は、Sigma(St.Louis,MO)から入手した。ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)粉末(Fortefiber HB Ultra,Fortefiber,ロット#WK201907F1) は、Dow-Wolff(Bomlitz,DE)から入手した。この実施例で使用した接着剤は、米国特許第4,565,783号の実施例1に記載されるとおりである。
【0105】
市販のPFACから取り付けられていた上部フィルムを取り外し、接着剤と混合した20μg/mLのトリフェニルテトラゾリウムクロリド(TTC、Sigma #17779)を含むRD-1273接着剤(3M 927接着剤転写接着剤)を有する、二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)上部フィルムと取り替えた。μ接着剤を0.2g/24in2までコーティングした。次いで、接着剤を、ヒドロキシプロピルメチルセルロース粉末/繊維(Fortefiber、ロット#WK201907F1;Dow-Wolff Cellulosics;Bomlitz,DE)によって、容量一杯まで粉末コーティングした。
【0106】
実施例2 薄膜培養デバイスにおける試験微生物の増殖
【0107】
実施例1で調製したこれらの培養デバイスを、様々な種の細菌の増殖を支援する能力について試験した(表1に示す)。各微生物の純粋培養物を、トリプティックソイブロス中で一晩増殖させ、Butterfield緩衝液中で1ミリリットル当たり約50~150CFUに希釈した。実施例1の薄膜培養デバイスに、1mLの得られた細菌懸濁液を個々に接種した。対照として、1ミリリットルアリコートの各懸濁液も、個々のPFACプレートに接種した。培養デバイスの全てについて、接種手順は、3M Companyから入手可能なPETRIFILM Aerobic Count Platesの使用についての指示に記載されているとおりであった。接種した培養デバイスを32℃で24時間インキュベートした。
【0108】
【0109】
インキュベーション期間の後、各デバイスの接種領域における赤色着色コロニーの存在(及びモルフォロジー)について、各培養デバイスを観察した。表2に列挙する各微生物について、対照プレートで観察されたものと量及び外観において類似する(例外は下に注記する)赤色着色コロニーが観察された。
【0110】
【0111】
バチルスアミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquifaciens)及びリシニバチルススフェリカス(Lysinibacillus sphaericus)の懸濁液を接種したPFACプレートは、接種領域全体に分布した観測可能な濃赤色のコロニーによる、領域全体に広がった、散在性のピンク色又は赤色の着色を有することが観察された。加えて、接種領域内のゲル化剤は液体であり、場合によっては、液体は、接種領域を越えてプレートの縁部まで広がっていた。これらの観察結果は、PFACプレートにおいて微生物がゲル化剤を加水分解し、それによって細菌が接種領域全体に広がることが可能になったことと整合する。対照的に、バチルスアミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquifaciens)及びリシニバチルススフェリカス(Lysinibacillus sphaericus)の懸濁液を接種した実施例1の培養デバイスは、接種領域における個々のコロニーの増殖を示し、接種領域全体には散在性のピンク色-赤色の着色を有さず、接種領域における冷水可溶性ゲル化剤の粘度の有意な減少を示さなかった。
【0112】
本明細書で言及した全ての特許、特許出願、及び公報、並びに電子的に入手可能な資料の全開示内容が、参照により組み込まれる。本出願の開示内容と参照により本明細書に組み込まれたいずれかの文書の開示内容との間に何らかの矛盾が存在する場合には、本出願の開示内容が優先するものとする。上記の詳細な説明及び実施例は、理解しやすいように示したものにすぎない。これによって不必要な限定がなされるものではない。本発明は図示及び記載された細部そのものに限定されず、当業者に明白なバリエーションは、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内に含まれる。
【0113】
全ての見出しは読者の便宜のためのものであり、明記しない限り、見出しに続く文言の意味を限定するために用いられるものではない。
【0114】
本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく、様々な変更を行うことができる。これらの実施形態及び他の実施形態は、以下の特許請求の範囲に含まれる。