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▶ バイエル・ヘルスケア・エルエルシーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-18
(45)【発行日】2023-08-28
(54)【発明の名称】シリンジプランジャ係合機構
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/145 20060101AFI20230821BHJP
   A61M 5/315 20060101ALI20230821BHJP
【FI】
A61M5/145 500
A61M5/315 510
【請求項の数】 30
(21)【出願番号】P 2020542323
(86)(22)【出願日】2019-02-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-17
(86)【国際出願番号】 US2019019360
(87)【国際公開番号】W WO2019168776
(87)【国際公開日】2019-09-06
【審査請求日】2022-02-02
(31)【優先権主張番号】62/635,669
(32)【優先日】2018-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507021757
【氏名又は名称】バイエル・ヘルスケア・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Bayer HealthCare LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】シャハブ・タヘリ
(72)【発明者】
【氏名】ティム・ニューイング
(72)【発明者】
【氏名】グラント・カーステン
(72)【発明者】
【氏名】アイデン・サルム
(72)【発明者】
【氏名】ハン・ミン・トゥ
【審査官】上石 大
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-512109(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0326459(US,A1)
【文献】特表2004-501737(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/145
A61M 5/315
A61M 5/20
A61M 5/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピストンヘッドを有する少なくとも1つの往復動作可能なピストンと、
前記ピストンヘッドと関連付けられるプランジャ係合機構と
を備える流体注入器システムにおいて、
前記プランジャ係合機構は、
前記ピストンヘッドの内部に配置されると共に前記ピストンヘッドに対して移動可能とされるカムスリーブであって、カム面を形成する1つ以上のトラックを有し、ネジと螺合可能に相互作用するためのネジ付きインタフェースを有する前記カムスリーブと、
前記ピストンヘッドに対して前記カムスリーブを移動させるために前記ネジによって前記カムスリーブに動作可能に接続されるアクチュエータであって、前記アクチュエータは回転電気モータである前記アクチュエータと
前記カムスリーブの内部に少なくとも部分的に配置される1つ以上のピンであって、1つ以上の前記ピンが径方向において前記ピストンヘッドの内部に引き込まれる第1の離脱位置と1つ以上の前記ピンが前記ピストンヘッドの外面に対して径方向外側に突出する第2の係合位置との間における前記カムスリーブの移動に伴って、1つ以上の前記トラックの内部で移動可能である、1つ以上のピンとを備え、
前記アクチュエータの回転運動は、前記カムスリーブを前記ピストンヘッドの縦軸に沿った方向で軸方向に可逆的に移動させる、流体注入器システム。
【請求項2】
前記ピストンヘッドが1つ以上の開口を備え、1つ以上の前記開口を通じて1つ以上の前記ピンが前記第1の離脱位置と前記第2の係合位置との間で移動可能である、請求項1に記載の流体注入器システム。
【請求項3】
1つ以上の前記ピンが、1つ以上の前記ピンが前記第2の係合位置にあるときにプランジャの一部のピン係合面と係合するように構成される、請求項1又は2に記載の流体注入器システム。
【請求項4】
前記カムスリーブは、前記ピストンヘッドの縦軸に沿った方向で軸方向に移動可能である、請求項1から3のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【請求項5】
前記ネジ付きインタフェースが雌ネジ山又は雄ネジ山を有し、前記ネジが対応する雄ネジ山又は雌ネジ山を有する、請求項に記載の流体注入器システム。
【請求項6】
前記ネジが出力シャフトを介して前記アクチュエータと接続される、請求項に記載の流体注入器システム。
【請求項7】
1つ以上の前記トラックそれぞれは、前記トラックの遠位端が前記トラックの近位端よりもプランジャヘッドの縦軸から径方向に離れるように、近位-遠位方向において前記縦軸から逸れる、請求項1からのいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【請求項8】
1つ以上の前記ピンそれぞれが一の前記トラック又は1つ以上の前記トラックに受容される球状端部を有する、請求項1からのいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【請求項9】
1つ以上の前記トラックそれぞれが対角的に直線状の形状又は弓形形状を有する、請求項1からのいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【請求項10】
前記アクチュエータは、前記アクチュエータの回転運動を制御するためのコントローラに動作可能に接続される、請求項1からのいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【請求項11】
流体注入器のためのピストンであって、
ピストンヘッドと、
前記ピストンヘッドと関連付けられるプランジャ係合機構と、
を備える前記ピストンにおいて、
前記プランジャ係合機構は、
前記ピストンヘッドの内部に配置されると共に前記ピストンヘッドに対して移動可能なカムスリーブであって、カム面を形成する1つ以上のトラックを有し、ネジと螺合可能に相互作用するためネジ付きインタフェースを有する、前記カムスリーブと、
前記ピストンヘッドに対して前記カムスリーブを移動させるために前記ネジによって前記カムスリーブに動作可能に接続されるアクチュエータであって、前記アクチュエータは回転電気モータである前記アクチュエータと
前記カムスリーブの内部に配置される1つ以上のピンであって、1つ以上の前記ピンが径方向において前記ピストンヘッドの内部に引き込まれる第1の離脱位置と1つ以上の前記ピンが前記ピストンヘッドの外面に対して径方向外側に突出する第2の係合位置との間における前記カムスリーブの移動に伴って、1つ以上の前記トラックの内部で移動可能である、1つ以上のピンとを備え、
前記アクチュエータの回転運動は、前記カムスリーブを前記ピストンヘッドの縦軸に沿った方向で軸方向に可逆的に移動させる、ピストン。
【請求項12】
前記ピストンヘッドが1つ以上の開口を備え、1つ以上の前記開口を通じて1つ以上の前記ピンが前記第1の離脱位置と前記第2の係合位置との間で移動可能である、請求項11に記載のピストン。
【請求項13】
1つ以上の前記ピンが、1つ以上の前記ピンが前記第2の係合位置にあるときにプランジャの一部のピン係合面と係合するように構成される、請求項11又は12に記載のピストン。
【請求項14】
前記カムスリーブは、前記ピストンヘッドの縦軸に沿った方向で軸方向に移動可能である、請求項11から13のいずれか一項に記載のピストン。
【請求項15】
前記ネジ付きインタフェースが雌ネジ山又は雄ネジ山を有し、前記ネジが対応する雄ネジ山又は雌ネジ山を有する、請求項11に記載のピストン。
【請求項16】
前記ネジが出力シャフトを介して前記アクチュエータと接続される、請求項11に記載のピストン。
【請求項17】
前記アクチュエータは、前記アクチュエータの回転運動を制御するためのコントローラに動作可能に接続される、請求項11から16のいずれか一項に記載のピストン。
【請求項18】
シリンジプランジャを流体注入器システムのピストンヘッドと係合させるための方法であって、
前記ピストンヘッドをプランジャの内部キャビティの内部へ少なくとも部分的に前進させるステップと、
カムスリーブのネジ付きインタフェースと動作可能に接続されるネジを回転させることによって、前記ピストンヘッドの内部に配置される前記カムスリーブを前記ピストンヘッドに対して軸方向に前進させるステップであって、前記ネジは、出力シャフトによって前記ネジに接続された回転電気モータによって回転させられるステップと
を備えている前記方法において、
前記カムスリーブの前進により、前記カムスリーブの1つ以上のトラックの内部に少なくとも部分的に配置される1つ以上のピンが、前記1つ以上のピンが前記ピストンヘッドの内部に径方向で引き込まれる第1の離脱位置から、1つ以上の前記ピンが前記シリンジプランジャの少なくとも一部と係合するべく径方向外側に突出する第2の係合位置に移動する、方法。
【請求項19】
前記ピストンヘッドに対して前記カムスリーブを前進させるステップは、前記カムスリーブを前記ピストンヘッドの遠位端に向けて移動させることを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
1つ以上の前記ピンが前記第2の係合位置にあるときに、1つ以上の前記ピンを、前記シリンジプランジャの一部のピン係合面と係合させるステップをさらに備える、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
流体注入器システムのピストンヘッドのためのプランジャ係合機構であって、
前記ピストンヘッドに対して移動可能なカムスリーブであって、前記カムスリーブがカム面を形成する1つ以上のトラックを有し、ネジと螺合可能に相互作用するためのネジ付きインタフェースを有する、前記カムスリーブと、
前記ピストンヘッドに対して前記カムスリーブを移動させるために前記ネジによって前記カムスリーブに動作可能に接続されるアクチュエータであって、前記アクチュエータは回転電気モータである前記アクチュエータと
前記カムスリーブの内部に少なくとも部分的に配置されると共に前記カムスリーブの1つ以上の前記トラックの内部で移動可能とされる1つ以上のピンと、
を備える前記プランジャ係合機構において、
前記カムスリーブの移動が、1つ以上の前記トラックの内部で1つ以上の前記ピンの移動を引き起こし、1つ以上の前記ピンは、1つ以上の前記ピンが前記ピストンヘッドの内部に径方向で引き込まれる第1の離脱位置と、1つ以上の前記ピンが前記ピストンヘッドの外面に対して径方向外側に突出する第2の係合位置との間で移動可能であり、
前記アクチュエータの回転運動は、前記カムスリーブを前記ピストンヘッドの縦軸に沿った方向で軸方向に可逆的に移動させる、プランジャ係合機構。
【請求項22】
前記ピストンヘッドが1つ以上の開口を備え、1つ以上の前記開口を通じて1つ以上の前記ピンが前記第1の離脱位置と前記第2の係合位置との間で移動可能である、請求項21に記載のプランジャ係合機構。
【請求項23】
1つ以上の前記ピンが、1つ以上の前記ピンが前記第2の係合位置にあるときにプランジャの一部のピン係合面と係合するように構成される、請求項21又は22に記載のプランジャ係合機構。
【請求項24】
前記カムスリーブは、前記ピストンヘッドの縦軸に沿った方向で軸方向に移動可能である、請求項21から23のいずれか一項に記載のプランジャ係合機構。
【請求項25】
前記ネジ付きインタフェースが雌ネジ山又は雄ネジ山を有し、前記ネジが対応する雄ネジ山又は雌ネジ山を有する、請求項21に記載のプランジャ係合機構。
【請求項26】
前記ネジが出力シャフトを介して前記アクチュエータと接続される、請求項21に記載のプランジャ係合機構。
【請求項27】
1つ以上の前記トラックそれぞれは、前記トラックの遠位端が前記トラックの近位端よりもプランジャヘッドの縦軸から径方向に離れるように、前記縦軸から近位-遠位方向に逸れる、請求項21から26のいずれか一項に記載のプランジャ係合機構。
【請求項28】
1つ以上の前記ピンそれぞれが一の前記トラック又は1つ以上の前記トラックに受容される球状端部を有する、請求項21から27のいずれか一項に記載のプランジャ係合機構。
【請求項29】
1つ以上の前記トラックそれぞれが対角的に直線状の形状又は弓形形状を有する、請求項21から28のいずれか一項に記載のプランジャ係合機構。
【請求項30】
前記アクチュエータは、前記アクチュエータの回転運動を制御するためのコントローラに動作可能に接続される、請求項21から29のいずれか一項に記載のプランジャ係合機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2018年2月27日に出願された米国仮出願第62/635,669号の優先権を主張し、その開示内容はその全体が本明細書中に組み入れられる。
【0002】
本開示は、医療分野で使用するためのシリンジ及び医療用注入器に関し、より詳細には、往復摺動可能なプランジャがシリンジバレル内に配置されるシリンジに関し、プランジャは、電動流体注入器のピストン上のシリンジプランジャ係合機構と解放可能に係合するように構成される係合部を有する。また、本開示は、少なくとも1つのシリンジのプランジャの係合部と係合するためのシリンジプランジャ係合機構を有する電動流体注入器に関する。
【背景技術】
【0003】
多くの医学診断及び治療処置では、医師などの開業医が患者に対して1つ以上の医用流体を注入する。近年、造影溶液(しばしば単に「造影剤」と称される)などの流体、生理食塩水などのフラッシング剤、及び、他の医用流体の加圧注入のための多くの医用流体送出システムが、血管造影法、コンピュータ断層撮影法(CT)、超音波、磁気共鳴イメージング(MRI)、陽電子放射断層撮影法(PET)、及び、他の分子撮像処置などの処置で使用するために開発されてきた。一般に、電動流体注入器などのこれらの医用流体送出システムは、事前に設定された流速で事前に設定された量の流体を送出するように設計される。
【0004】
一般に、電動流体注入器は、1つ以上のシリンジのプランジャに解放可能に接続する1つ以上のピストンを有する。プランジャは、ピストンがバレルの縦軸に対して近位及び/又は遠位方向にプランジャを駆動させて流体をシリンジバレルに引き込む又は流体をシリンジバレルから送出することができるようにバレル内に摺動可能に配置される。
【0005】
ピストンをプランジャに解放可能に接続するための様々なシリンジプランジャ係合機構が医療分野で知られているが、改良された係合機構が引き続き求められる。特に、ピストンの往復動作によるシリンジバレルの内部でのプランジャの往復動作を可能にするべくシリンジプランジャとの確実で強固な接続及び対応する取り外しを容易にするシリンジプランジャ係合機構を有する電動流体注入器の必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、一般に、シリンジバレル内に配置される往復摺動可能なプランジャを有するシリンジに関し、プランジャは、電動流体注入器の少なくとも1つのピストン上のプランジャ係合機構と解放可能に係合/離脱するように構成される係合部を有する。本開示は、更に、少なくとも1つのピストンを有する電動流体注入器に関し、少なくとも1つのピストンは、プランジャの係合部を選択的に係合/離脱させるためのプランジャ係合機構を有する。
【0007】
本開示の幾つかの例において、流体注入器システムは、ピストンヘッドを有する少なくとも1つの往復動作可能なピストンと、ピストンヘッドと関連付けられるプランジャ係合機構とを有してもよい。プランジャ係合機構は、ピストンヘッド内に配置されてピストンヘッドに対して移動可能なカムスリーブを含んでもよく、カムスリーブは、カム面を形成する1つ以上のトラックを有する。プランジャ係合機構は、ピストンヘッドに対してカムスリーブを移動させるためにカムスリーブに動作可能に接続されるアクチュエータと、カムスリーブ内に配置される1つ以上のピンとを更に有してもよい。1つ以上のピンは、1つ以上のピンがピストンヘッド内に径方向で引き込まれる第1の引き込み位置又は離脱位置と、1つ以上のピンがピストンヘッドの外面に対して径方向外側に突出する第2の延出位置又は係合位置との間でカムスリーブの可逆的な移動に伴って1つ以上のトラックの内部で可逆的に移動可能であってもよく、1つ以上のピンは、1つ以上のピンが第2の位置にあるときにプランジャの内部上の径方向内側に面する張出部などのピン係合面と係合するように構成される。
【0008】
本開示の他の例では、ピストンヘッドが1つ以上の開口を有してもよく、1つ以上の開口を通じて1つ以上のピンが第1の位置と第2の位置との間で可逆的に移動可能である。1つ以上のピンは、1つ以上のピンが第2の位置又は延出位置にあるとき又は1つ以上のピンが第1の引き込み位置に移動されるときにそれぞれプランジャのピン係合面と係合又は離脱するように構成されてもよい。カムスリーブは、ピストンヘッドの縦軸に沿った方向で軸方向に可逆的に移動可能であってもよい。カムスリーブは、アクチュエータと動作可能に接続されるネジと螺合可能に相互作用するためのネジ付きインタフェースを有してもよい。ネジ付きインタフェースは、雌ネジ山又は雄ネジ山を有してもよく、ネジは、対応する雄ネジ山又は雌ネジ山を有する。ネジは、出力シャフトを介してアクチュエータに接続されてもよい。アクチュエータは、回転電気モータ、リニア電気モータ、リニアアクチュエータ、又は、ソレノイドであってもよい。アクチュエータの回転運動は、カムスリーブを直線方向に可逆的に移動させてもよい。アクチュエータの直線運動は、カムスリーブをピストンヘッドの縦軸に沿う軸方向に移動させてもよい。アクチュエータは、アクチュエータの回転方向を含むアクチュエータの回転運動を制御するためのコントローラに動作可能に接続されてもよい。
【0009】
他の実施形態によれば、本開示は、流体注入器用のピストンを提供する。ピストンは、ピストンヘッドと、ピストンヘッドと関連付けられるプランジャ係合機構とを備えてもよい。プランジャ係合機構は、ピストンヘッド内に配置されてピストンヘッドに対して移動可能なカムスリーブを含んでもよく、カムスリーブは、カム面を形成する1つ以上のトラックを有する。プランジャ係合機構は、ピストンヘッドに対してカムスリーブを移動させるためにカムスリーブに動作可能に接続されるアクチュエータと、カムスリーブ内に少なくとも部分的に配置される1つ以上のピンとを更に有してもよい。1つ以上のピンは、1つ以上のピンがピストンヘッド内に径方向で引き込まれる第1の引き込み位置又は離脱位置と、1つ以上のピンがピストンヘッドの外面に対して径方向外側に突出する第2の延出位置又は係合位置との間でカムスリーブの可逆的な移動に伴って1つ以上のトラックの内部で可逆的に移動可能であってもよく、1つ以上のピンは、1つ以上のピンが第2の位置にあるときにプランジャの内部上の径方向内側に面する張出部などのピン係合面と係合するように構成される。
【0010】
本開示の他の例は、一般に、シリンジプランジャを流体注入器システムのピストンヘッドと係合させるための方法に関する。方法は、ピストンヘッドを少なくとも部分的にプランジャの内部キャビティの内部へ前進させるステップと、ピストンヘッド内に配置されるカムスリーブをピストンヘッドに対して軸方向に前進させるステップとを含んでもよい。カムスリーブの前進により、カムスリーブの1つ以上のトラック内に少なくとも部分的に配置される1つ以上のピンは、1つ以上のピンがピストンヘッド内に径方向で引き込まれる第1の位置又は引き込み位置から、1つ以上のピンがプランジャの少なくとも一部と係合するべく径方向外側に突出する第2の位置又は延出位置へ移動してもよい。
【0011】
本開示の他の例は、一般に、流体注入器システムのピストンヘッドのためのプランジャ係合機構に関する。プランジャ係合機構は、ピストンヘッドに対して移動可能なカムスリーブを含んでもよい。カムスリーブは、カム面を形成する1つ以上のトラックを有してもよい。プランジャ係合機構は、ピストンヘッドに対してカムスリーブを移動させるためにカムスリーブに動作可能に接続されるアクチュエータと、カムスリーブ内に少なくとも部分的に配置されてカムスリーブの1つ以上のトラックの内部で移動可能な1つ以上のピンとを更に有してもよい。カムスリーブの動作は、1つ以上のトラックの内部で1つ以上のピンの動作を引き起こしてもよい。1つ以上のピンは、1つ以上のピンがピストンヘッド内に径方向で引き込まれる第1の位置又は引き込み位置と、1つ以上のピンがピストンヘッドの外面に対して径方向外側に突出する第2の位置又は延出位置との間で移動可能であってもよい。
【0012】
他の例によれば、本出願の開示は、以下の項のうちの1つ以上によって特徴付けられてもよい。
【0013】
[項1]ピストンヘッドを有する少なくとも1つの往復動作可能なピストンと、ピストンヘッドと関連付けられるプランジャ係合機構とを備え、プランジャ係合機構が、ピストンヘッド内に配置されてピストンヘッドに対して移動可能なカムスリーブであって、カムスリーブがカム面を形成する1つ以上のトラックを有する、カムスリーブと、ピストンヘッドに対してカムスリーブを移動させるためにカムスリーブに動作可能に接続されるアクチュエータと、カムスリーブ内に少なくとも部分的に配置される1つ以上のピンであって、1つ以上のピンがピストンヘッド内に径方向で引き込まれる第1の離脱位置と1つ以上のピンがピストンヘッドの外面に対して径方向外側に突出する第2の係合位置との間でカムスリーブの移動に伴って1つ以上のトラックの内部で移動可能である、1つ以上のピンとを備える、流体注入器システム。
【0014】
[項2]ピストンヘッドが1つ以上の開口を備え、1つ以上の開口を通じて1つ以上のピンが第1の離脱位置と第2の係合位置との間で移動可能である、項1に記載の流体注入器システム。
【0015】
[項3]1つ以上のピンが第2の係合位置にあるときに1つ以上のピンがプランジャの一部のピン係合面と係合するように構成される、項1又は2に記載の流体注入器システム。
【0016】
[項4]カムスリーブは、ピストンヘッドの縦軸に沿った方向で軸方向に移動可能である、項1から3のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0017】
[項5]カムスリーブは、アクチュエータと動作可能に接続されるネジと螺合可能に相互作用するためのネジ付きインタフェースを有する、項1から4のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0018】
[項6]ネジ付きインタフェースが雌ネジ山又は雄ネジ山を有し、ネジが対応する雄ネジ山又は雌ネジ山を有する、項5に記載の流体注入器システム。
【0019】
[項7]ネジが出力シャフトを介してアクチュエータと接続される、項5又は6に記載の流体注入器システム。
【0020】
[項8]1つ以上のトラックそれぞれは、プランジャヘッドの縦軸から近位-遠位方向に逸れ、それにより、トラックの遠位端がトラックの近位端よりも縦軸から径方向に離れている、項1から7のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0021】
[項9]1つ以上のピンそれぞれが一のトラック又は1つ以上のトラックに受容される球状端部を有する、項1から8のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0022】
[項10]1つ以上のトラックそれぞれが対角的に直線状の形状又は弓形形状を有する、項1から9のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0023】
[項11]アクチュエータは、回転電気モータ、リニア電気モータ、リニアアクチュエータ、及び、ソレノイドのうちの少なくとも1つである、項1から10のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0024】
[項12]アクチュエータの回転運動は、カムスリーブをピストンヘッドの縦軸に沿った方向で軸方向に可逆的に移動させる、項1から11のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0025】
[項13]アクチュエータの直線運動は、カムスリーブをピストンヘッドの縦軸に沿った方向で軸方向に移動させる、項1から11のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0026】
[項14]アクチュエータは、アクチュエータの回転運動を制御するためのコントローラに動作可能に接続される、項1から12のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0027】
[項15]流体注入器のためのピストンであって、ピストンは、ピストンヘッドと、ピストンヘッドと関連付けられるプランジャ係合機構とを備え、プランジャ係合機構が、ピストンヘッド内に配置されてピストンヘッドに対して移動可能なカムスリーブであって、カムスリーブがカム面を形成する1つ以上のトラックを有する、カムスリーブと、ピストンヘッドに対してカムスリーブを移動させるためにカムスリーブに動作可能に接続されるアクチュエータと、カムスリーブ内に少なくとも部分的に配置される1つ以上のピンであって、1つ以上のピンがピストンヘッド内に径方向で引き込まれる第1の離脱位置と1つ以上のピンがピストンヘッドの外面に対して径方向外側に突出する第2の係合位置との間でカムスリーブの移動に伴って1つ以上のトラックの内部で移動可能である、1つ以上のピンとを備える、ピストン。
【0028】
[項16]ピストンヘッドが1つ以上の開口を備え、1つ以上の開口を通じて1つ以上のピンが第1の離脱位置と第2の係合位置との間で移動可能である、項15に記載のピストン。
【0029】
[項17]1つ以上のピンが第2の係合位置にあるときに1つ以上のピンがプランジャの一部のピン係合面と係合するように構成される、項15又は16に記載のピストン。
【0030】
[項18]カムスリーブは、ピストンヘッドの縦軸に沿った方向で軸方向に移動可能である、項15から17のいずれか一項に記載のピストン。
【0031】
[項19]カムスリーブは、アクチュエータと動作可能に接続されるネジと螺合可能に相互作用するためのネジ付きインタフェースを有する、項15から18のいずれか一項に記載のピストン。
【0032】
[項20]ネジ付きインタフェースが雌ネジ山又は雄ネジ山を有し、ネジが対応する雄ネジ山又は雌ネジ山を有する、項19に記載のピストン。
【0033】
[項21]ネジが出力シャフトを介してアクチュエータと接続される、項19又は20に記載のピストン。
【0034】
[項22]アクチュエータは、回転電気モータ、リニア電気モータ、リニアアクチュエータ、又は、ソレノイドである、項15から21のいずれか一項に記載のピストン。
【0035】
[項23]アクチュエータの回転運動は、カムスリーブをピストンヘッドの縦軸に沿った方向で軸方向に可逆的に移動させる、項15から22のいずれか一項に記載のピストン。
【0036】
[項24]アクチュエータの直線運動は、カムスリーブをピストンヘッドの縦軸に沿った方向で軸方向に移動可能な状態で移動させる、項15から22のいずれか一項に記載のピストン。
【0037】
[項25]アクチュエータは、アクチュエータの回転運動を制御するためのコントローラに動作可能に接続される、項15から23のいずれか一項に記載のピストン。
【0038】
[項26]シリンジプランジャを流体注入器システムのピストンヘッドと係合させるための方法であって、方法は、ピストンヘッドを少なくとも部分的にプランジャの内部キャビティの内部へ前進させるステップと、ピストンヘッド内に配置されるカムスリーブをピストンヘッドに対して軸方向に前進させるステップとを含み、カムスリーブの前進により、カムスリーブの1つ以上のトラック内に少なくとも部分的に配置される1つ以上のピンが、1つ以上のピンがピストンヘッド内に径方向で引き込まれる第1の離脱位置から、1つ以上のピンがシリンジプランジャの少なくとも一部と係合するべく径方向外側に突出する第2の係合位置へ移動する、方法。
【0039】
[項27]ピストンヘッドに対してカムスリーブを前進させるステップは、カムスリーブのネジ付きインタフェースと動作可能に接続されるネジを回転させるステップを含む、項26に記載の方法。
【0040】
[項28]ネジが回転電気モータによって回転される、項27に記載の方法。
【0041】
[項29]ピストンヘッドに対してカムスリーブを前進させるステップは、カムスリーブをピストンヘッドの遠位端に向けて移動させるステップを含む、項26から28のいずれか一項に記載の方法。
【0042】
[項30]1つ以上のピンが第2の係合位置にあるときに1つ以上のピンがシリンジプランジャの一部のピン係合面と係合する、項26から29のいずれか一項に記載の方法。
【0043】
[項31]流体注入器システムのピストンヘッドのためのプランジャ係合機構であって、プランジャ係合機構は、ピストンヘッドに対して移動可能なカムスリーブであって、カムスリーブがカム面を形成する1つ以上のトラックを有する、カムスリーブと、ピストンヘッドに対してカムスリーブを移動させるためにカムスリーブに動作可能に接続されるアクチュエータと、カムスリーブ内に少なくとも部分的に配置されてカムスリーブの1つ以上のトラックの内部で移動可能な1つ以上のピンとを備え、カムスリーブの移動が1つ以上のトラックの内部で1つ以上のピンの移動を引き起こし、1つ以上のピンは、1つ以上のピンがピストンヘッド内に径方向で引き込まれる第1の離脱位置と、1つ以上のピンがピストンヘッドの外面に対して径方向外側に突出する第2の係合位置との間で移動可能である、プランジャ係合機構。
【0044】
[項32]ピストンヘッドが1つ以上の開口を備え、1つ以上の開口を通じて1つ以上のピンが第1の離脱位置と第2の係合位置との間で移動可能である、項31に記載のプランジャ係合機構。
【0045】
[項33]1つ以上のピンが第2の係合位置にあるときに1つ以上のピンがプランジャの一部のピン係合面と係合するように構成される、項31又は32に記載のプランジャ係合機構。
【0046】
[項34]カムスリーブは、ピストンヘッドの縦軸に沿った方向で軸方向に移動可能である、項31から33のいずれか一項に記載のプランジャ係合機構。
【0047】
[項35]カムスリーブは、アクチュエータと動作可能に接続されるネジと螺合可能に相互作用するためのネジ付きインタフェースを有する、項31から34のいずれか一項に記載のプランジャ係合機構。
【0048】
[項36]ネジ付きインタフェースが雌ネジ山又は雄ネジ山を有し、ネジが対応する雄ネジ山又は雌ネジ山を有する、項35に記載のプランジャ係合機構。
【0049】
[項37]ネジが出力シャフトを介してアクチュエータと接続される、項36に記載のプランジャ係合機構。
【0050】
[項38]1つ以上のトラックそれぞれは、プランジャヘッドの縦軸から近位-遠位方向に逸れ、それにより、トラックの遠位端がトラックの近位端よりも縦軸から径方向に離れている、項31から36のいずれか一項に記載のプランジャ係合機構。
【0051】
[項39]1つ以上のピンそれぞれが一のトラック又は1つ以上のトラックに受容される球状端部を有する、項31から37のいずれか一項に記載のプランジャ係合機構。
【0052】
[項40]1つ以上のトラックそれぞれが対角的に直線状の形状又は弓形形状を有する、項31から38のいずれか一項に記載のプランジャ係合機構。
【0053】
[項41]アクチュエータは、回転電気モータ、リニア電気モータ、リニアアクチュエータ、又は、ソレノイドである、項31から40のいずれか一項に記載のプランジャ係合機構。
【0054】
[項42]アクチュエータの回転運動がカムスリーブを直線方向に移動させる、項31から41のいずれか一項に記載のプランジャ係合機構。
【0055】
[項43]アクチュエータの直線運動がカムスリーブを直線方向に移動させる、項31から41のいずれか一項に記載のプランジャ係合機構。
【0056】
[項44]アクチュエータは、アクチュエータの回転運動を制御するためのコントローラに動作可能に接続される、項31から42のいずれか一項に記載のプランジャ係合機構。
【0057】
シリンジプランジャ係合機構のこれらの及び他の特徴及び特性、並びに、構造の関連要素及び部品の組み合わせの動作方法及び機能、及び、製造の経済性は、添付図面に関連する以下の説明及び添付の特許請求の範囲を考慮すると更に明らかとなり、添付図面の全てはこの明細書の一部を形成する。しかしながら、言うまでもなく理解できるように、図面は単に例示及び説明の目的のためにすぎない。
【図面の簡単な説明】
【0058】
図1A】本開示の1つの例に係る多流体送出システムの斜視図である。
図1B】アクセスパネルが開位置にある図1Aの多流体送出システムの斜視図である。
図2図1Aの多流体送出システム内の様々な流体経路の概略図である。
図3A】多流体送出システムの受け入れスロットに挿入されるときの多目的使い捨てシステムの斜視図である。
図3B図3Aの多目的使い捨てシステムの側面図である。
図4A図3Aの多流体送出システムの受け入れスロットに設置される多目的使い捨てシステムの斜視図である。
図4B図4Aの多目的使い捨てシステムの側面図である。
図4C図4Aの多目的使い捨てシステムの側断面図である。
図5】本開示の1つの例に係る多目的使い捨てシステムのシリンジと共に用いるためのプランジャの側断面図である。
図6】本開示の1つの例に係る多流体送出システムのピストンの斜視図である。
図7図6に示されるピストンの側断面図である。
図8A】ピストンのプランジャ係合機構が離脱位置で示されるピストン及びプランジャの側断面図である。
図8B】プランジャ係合機構が係合位置で示される図8Aに示されるピストン及びプランジャの側断面図である。
図9】本開示の他の例に係る多流体送出システムのピストンの側断面図である。
図10】本開示の他の例に係る多流体送出システムのピストンの分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
例図は、一般に、本開示のシステム及び方法の好ましい非限定的な態様を示す。説明は装置の様々な態様を提示するが、それが決して開示を限定するものとして解釈されるべきでない。更に、本開示の態様の改変、概念、及び、用途は、当業者により、本明細書中の例図及び説明に包含されるがこれらに限定されないものとして解釈されるべきである。
【0060】
以下の説明は、当業者が本開示を実行するために考えられる説明された態様を作り出して使用できるようにするために与えられる。しかしながら、様々な改変、等価物、変形、及び、代替が、当業者に依然として容易に明らかなままである。そのような改変、変形、等価物、及び、代替のありとあらゆるものが、本開示の思想及び範囲内にあることが意図される。
【0061】
以下の説明の目的で、「上」、「下」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「上端」、「下端」、「横」、「縦」という用語及びそれらの派生語は、それが図面中で方向付けられる際の開示に関連するものとする。複数患者使い捨てセットのシリンジに関して使用される場合、「近位」という用語は、シリンジから流体を送出するためのピストンに最も近いシリンジの部分を指す。複数患者使い捨てセットのシリンジに関して使用される場合、「遠位」という用語は、送出ノズルに最も近いシリンジの部分を指す。複数患者使い捨てセットのシリンジに関して使用される場合、「径方向」という用語は、近位端と遠位端との間で延びるシリンジの縦軸に対して垂直な断面内の方向を指す。複数患者使い捨てセットのシリンジに関して使用される場合、「周方向」という用語は、シリンジの側壁の内面又は外面の周りの方向を指す。複数患者使い捨てセットのシリンジに関して使用される場合、「軸方向」という用語は、近位端と遠位端との間で延びるシリンジの縦軸に沿った方向を指す。本明細書中で使用される場合、「~のうちの少なくとも1つ」という用語は、「~のうちの1つ以上」と同義である。
【0062】
また、添付図面に示されて以下の明細書に記載される特定の装置及びプロセスが本開示の単なる典型的な態様であることも理解されるべきである。したがって、本明細書中に開示される例に関連する特定の寸法及び他の物理的特性は、限定的であると見なされるべきでない。
【0063】
同様の参照文字がその幾つかの図の全体にわたって同様の部分を指す図面を参照すると、本開示は、一般に、単一使用使い捨てセット(SUDS)コネクタを使用して患者に流体を送出するように構成される複数患者使い捨てセット(MUDS)130を有する多流体医療用注入器/注入システム100(以下、「流体注入器システム100」)に関する。本開示の流体注入器システム100の実施形態に適したMUDS130構成及びSUDS構成の例は、PCT出願国際公開第2016/112163号パンフレット及び国際公開第2105/106107号パンフレットに記載されており、それぞれの開示内容は、これを参照することによりその全体が本明細書中に組み入れられる。流体注入器システム100は、本明細書中に個別に記載される複数の構成要素を含む。一般に、流体注入器システム100は、本明細書中に記載されるように、電動注入器管理部又は装置、及び、1つ以上の流体を加圧下で1つ以上の多用量容器から患者に送出するために注入器と関連付けられるようになっている流体送出セットを有する。流体注入器システム100の様々な装置、構成要素、及び、特徴、並びに、それらと関連付けられる流体送出セットは、同様に本明細書中で詳細に記載される。
【0064】
図1Aを参照すると、流体注入器システム100は、対向する側面104、遠位端又は上端106、及び、近位端又は下端108を有する注入器ハウジング102を含む。幾つかの例において、ハウジング102は、床面上でハウジング102を回転可能及び移動可能に支持するための1つ以上のホイール112を有するベース110上に支持されてもよい。1つ以上のホイール112は、ハウジング102が所望の位置に位置決めされた時点で不用意に移動するのを防止するべくロック可能であってもよい。少なくとも1つのハンドル114が、流体注入器システム100の移動及び位置決めを容易にするために設けられてもよい。他の例において、ハウジング102は、床、天井、壁、又は、他の構造体などの固定表面に取り外し可能に又は取り外し不能に固定されてもよい。ハウジング102は、様々な機械的駆動構成要素、機械的駆動構成要素を駆動させるために必要な電気的及び電力構成要素、並びに、本明細書中に記載される流体注入器システム100と関連付けられる往復移動可能なピストン103(図2に示される)の動作を制御するために使用される電子メモリ及び電子制御装置などの制御構成要素(以下、電子制御装置)を収容する。そのようなピストン103は、モータによって駆動されるボールネジシャフト、ボイスコイルアクチュエータ、ラックアンドピニオンギアドライブ、リニアモータなどの電気機械駆動構成要素を介して往復動作可能であってもよい。幾つかの例では、機械的駆動構成要素、電気的及び電力構成要素、及び、制御構成要素のうちの少なくとも幾つかがベース110上に設けられてもよい。
【0065】
図1Bを参照し及び引き続き図1Aを参照すると、流体注入器システム100は、機械的駆動構成要素、電気的及び電力構成要素、及び、制御構成要素のうちの少なくとも幾つかを収容する少なくとも1つのドア116を有する。ドア116は、望ましくは、開位置(図1Bに示される)と閉位置(図1Aに示される)との間で移動可能である。幾つかの例では、ドア116がロック可能であってもよい。
【0066】
流体注入器システム100は、少なくとも1つのバルク流体源120と接続するための少なくとも1つのバルク流体コネクタ118を更に含む。幾つかの例では、複数のバルク流体コネクタ118が設けられてもよい。例えば、図1A及び図1Bに示されるように、3つのバルク流体コネクタ118が並んで又は他の配列で設けられてもよい。幾つかの例において、少なくとも1つのバルク流体コネクタ118は、バイアル、ボトル、又は、バッグなどの少なくとも1つのバルク流体源120に取り外し可能に接続するように構成されるスパイクであってもよい。少なくとも1つのバルク流体コネクタ118は、それぞれの新しいバルク流体源120との再利用可能な又は再利用不可能なインタフェースを有してもよい。少なくとも1つのバルク流体コネクタ118は、本明細書中に記載されるように、複数患者使い捨てセットに形成されてもよく又は複数患者使い捨てセットとチューブにより取り付けられてもよい。少なくとも1つのバルク流体源120は、流体注入器システム100に送出するための生理食塩水、撮像造影溶液、又は、他の医用流体などの医用流体を受けるように構成されてもよい。ハウジング102は、それが流体注入器システム100に接続された時点で少なくとも1つのバルク流体源120を支持するための少なくとも1つの支持部材122を有してもよい。
【0067】
図1Aを参照すると、流体注入器システム100は、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)表示ウィンドウなどの1つ以上のユーザインタフェース124を含む。ユーザインタフェース124は、現在の流量、流体圧力、及び、流体注入器システム100に接続される少なくとも1つのバルク流体源120に残っている量など、流体注入器システム100にかかわる流体注入手順に関する情報を表示してもよく、また、オペレータが流体注入器システム100の動作のためのコマンド及び/又はデータを入力できるようにするタッチスクリーンGUIであってもよい。ユーザインタフェース124は、流体注入器システム100の制御要素及び機械的要素と共に、注入器ハウジング102上に示されるが、幾つかの例において、ユーザインタフェース124は、ハウジング102に取り外し可能に接続されてハウジング102と有線又は無線リンク通信状態にあるタブレットであってもよい。更に、流体注入器システム100及び/又はユーザインタフェース124は、流体注入器システム100の付き添いオペレータによる触覚操作のための少なくとも1つの制御ボタン126を含んでもよい。特定の例において、少なくとも1つの制御ボタン126は、オペレータによりコマンド及び/又はデータを入力するためのキーボードの一部であってもよい。少なくとも1つの制御ボタン126は、電子制御装置に直接的な入力を行うために流体注入器システム100と関連付けられる電子制御装置に配線で接続されてもよい。また、少なくとも1つの制御ボタン126は、タッチスクリーンなどのユーザインタフェース124のグラフィック部分であってもよい。いずれの構成においても、少なくとも1つの制御ボタン126は、望ましくは、(1)複数患者使い捨てセットが装填された又は取り外されたことを認識すること、(2)複数患者使い捨てセットのロック/ロック解除、(3)流体注入器システム100の充填/パージを開始すること及び/又は確認すること、患者及び/又は注射手順に関連する情報及び/又はデータを入力すること、及び、(4)注入手順を開始する/停止すること、などを含むがこれらに限定されない特定の個々の制御機能を流体注入器システム100の付き添いオペレータに与える。ユーザインタフェース124及び/又は流体注入器システム100と関連する任意の電子処理ユニットは、病院ネットワークシステムなどの操作及び/又はデータ記憶システムに有線又は無線で接続されてもよい。
【0068】
図1Bを参照すると、流体注入器システムは、1つ以上の流体を1つ以上のバルク流体源120から患者に送出するために流体注入器システム100に取り外し可能に接続されるMUDS130を含む。流体注入器システム100は、本明細書中に記載されるように、単一使用使い捨てセットをMUDS130に解放可能に接続するための少なくとも1つのスロット又はアクセスポート128(図1Aに示される)を含む。MUDS130は、1つ以上のシリンジ又はポンプ132を含んでもよい。幾つかの例では、シリンジ132の数がバルク流体源120の数に対応してもよい。例えば、図1Bを参照すると、特定の実施形態において、MUDS130は、各シリンジ132がバルク流体源120のうちの1つに流体接続可能であるように並んだ配列を成す3つのシリンジ132を有する。幾つかの例において、1つ又は2つのバルク流体源120は、MUDS130の1つ以上のシリンジ132に接続されてもよい。各シリンジ132は、対応するバルク流体コネクタ118及び関連するMUDS流体経路134によってバルク流体源120のうちの1つに流体接続可能であってもよい。MUDS流体経路134は、バルク流体コネクタ118に接続するスパイク要素を有してもよい。幾つかの例では、バルク流体コネクタ118がMUDS 130上に直接に設けられてもよい。
【0069】
図3Aを更に参照すると、MUDS130は、流体注入器システム100のハウジング102に取り外し可能に接続可能である。MUDS130は、1つ以上のシリンジ132を支持するためのフレーム154を含んでもよい。シリンジ132は、フレーム154に取り外し可能に又は取り外し不能に接続されてもよい。特定の例において、少なくとも1つのシリンジ132は、フレーム154と共成形されてもよく、或いは、フレーム154に接着又は溶着されてもよい。図3Bを更に参照すると、各シリンジ132は、前端又は遠位端140及び後端又は近位端142を有する長尺で略円筒状のシリンジ本体138を有する。シリンジプランジャ144は、シリンジ本体138内に配置されると共に、流体注入器システム100と関連するピストン103の動きに起因してシリンジ本体138の内部で往復移動できる。シリンジ本体138の遠位端140は、本明細書中に記載されるように、略円錐形状であると共に、流体注入器システム100内に形成される凹部に形成される対応する頂点曲線と適合するようになっている頂点又は円錐点へと先細る。シリンジの頂点又は円錐点は、シリンジ本体138の中心縦軸Lに沿って位置される。各シリンジ132は、頂点又は円錐点の末端に排出出口又は排出導管146を有する。各シリンジ132の排出出口146は、マニホールド148及びバルク流体コネクタ118との流体連通をもたらす弁136(図2に示される)と流体連通している。また、マニホールド148は、シリンジ132を単一の一体構造として取り扱うことができるようにフレーム154と共にシリンジ132を支持してもよい。幾つかの例では、マニホールド148が各シリンジ132の遠位端140を支持し、一方、フレーム154が各シリンジ132の近位端142を支持する。シリンジ132は、並んだ向き又はシリンジ132の相対的な位置決めを保持する他の向きで配置されてもよい。
【0070】
特に図2を参照すると、流体注入器システム100の様々な流体経路の概略図が与えられる。MUDS130は、どの医用流体又は医用流体の組み合わせが多用量バルク流体源120から引き出されるか及び/又は各シリンジ132を介して患者に送出されるかを制御するためのストップコック弁などの1つ以上の弁136を含んでもよい。幾つかの例において、1つ以上の弁136は、複数のシリンジ132の遠位端140又はマニホールド148に設けられてもよい。マニホールド148は、弁136及び/又はシリンジ132を介して、各シリンジ132を対応するバルク流体源120に接続するMUDS流体経路134の第1の端部と流体連通してもよい。MUDS流体経路134の反対側の第2の端部は、バルク流体源120と流体接続するように構成されるそれぞれのバルク流体コネクタ118に接続されてもよい。1つ以上の弁136の位置に応じて、流体が1つ以上のシリンジ132に引き込まれてもよく又は流体が1つ以上のシリンジ132から送出されてもよい。シリンジ132の充填中などの第1の位置において、1つ以上の弁136は、流体がMUDS流体経路134などの流体入口ライン150を介してバルク流体源120から所望のシリンジ132へと流れるように方向付けられる。充填手順の間にわたって、1つ以上の弁136は、1つ以上の流体出口ライン152又はマニホールド148を通じた流体の流れが遮断されるように位置決めされる。流体送出手順中などの第2の位置において、1つ以上のシリンジ132からの流体は、1つ以上の流体出口ライン152又はシリンジ弁出口ポートを介してマニホールド148に送出される。第3の位置において、1つ以上のシリンジ132への全ての流体の流入及び1つ以上のシリンジ132からの全ての流体の流出は、例えばシリンジ132の内部と流体入口ライン150又は1つ以上の流体出口ライン152/マニホールド148との間が流体連通しない位置へと1つ以上の弁136を切り換えることによって遮断されてもよい。送出手順の間にわたって、1つ以上の弁136は、1つ以上の流体入口ライン150を通じた流体の流れが遮断されるように位置決めされる。1つ以上の弁136、流体入口ライン150、及び/又は、流体出口ライン152は、マニホールド148に組み込まれてもよい。1つ以上の弁136は、手動又は自動の処理によって第1、第2、又は、第3の位置に選択的に位置決めされてもよい。例えば、オペレータは、1つ以上の弁136を充填又は流体送出のための所望の位置に位置決めしてもよい。他の例において、流体注入器システム100の少なくとも一部は、本明細書中に記載されるように、オペレータによる入力に基づいて1つ以上の弁136を充填又は流体送出のための所望の位置に自動的に位置決めするように動作可能である。
【0071】
引き続き図2を参照すると、幾つかの例において、流体出口ライン152は、流体注入器システム100上の廃棄物リザーバ156に接続されてもよい。廃棄物リザーバ156は、汚染を防ぐためにシリンジ132とは別個であることが望ましい。幾つかの例において、廃棄物リザーバ156は、例えばプライミング動作中にシリンジ132から排出される廃棄物流体を受けるように構成される。廃棄物リザーバ156は、廃棄物リザーバ156の内容物を処分するためにハウジング102から取り外し可能であってもよい。他の例において、廃棄物リザーバ156は、廃棄物リザーバ156をハウジング102から取り外すことなく廃棄物リザーバ156の内容物を空にするための排出ポート(図示せず)を有してもよい。幾つかの例では、廃棄物リザーバ156がMUDS130とは別個の構成要素として設けられる。
【0072】
流体注入器システム100及びMUDS130の前述の説明を念頭に置き、ここで、ハウジング102上の受け入れ空間158(図3Aに示される)の内部へのMUDS130の典型的な装填について図3A図4Bを参照して説明する。以下の説明では、MUDS130が単一又は複数の患者により使用するために流体注入器システム100に接続されて流体注入器システム100との接続が外されてもよいことが想定される。最初に図3Aを参照すると、受け入れ空間158は、後部側壁164によって上端プレート162から分離される下端プレート160を有する。下端プレート160は複数の開口166を有し、これらの開口166を通じて流体注入器システム100のピストン103(図2に示される)がMUDS130それぞれのプランジャ144と係合するように延在する。MUDS130が流体注入器システム100に装填されるときにMUDS130のフレーム154を案内するために、少なくとも1つの下端ガイド168が下端プレート160上に形成される。幾つかの例において、下端ガイド168は、下端プレート160に対して隆起して後部側壁164に向かって挿入方向に狭くなる一対の壁として構成されてもよい。矢印Bの方向でのMUDS130の挿入中、下端ガイド168は、MUDS130のフレーム154を位置決めしてフレーム154を受け入れ空間158の後部側壁164に向けて案内する案内面を形成する。このようにすると、MUDS130が最初に受け入れ空間158との位置がずらされるときであっても、MUDS130を受け入れ空間158の内部へと位置合わせすることができる。
【0073】
図3Bを参照すると共に引き続き図3Aを参照すると、上端プレート162は、少なくとも1つのシリンジ132の遠位端140を受けるように構成される。上端プレート162は、シリンジ132の遠位端140の少なくとも一部を受けるように形成される1つ以上のシリンジスロット170(図3Aに示される)を有する。幾つかの例では、MUDS130が受け入れ空間158に挿入されると、上端プレート162のシリンジスロット170が少なくとも1つのシリンジ132の遠位端140とマニホールド148との間に配置されてもよい。上端プレート162は、図3Bに示される回動点P1を中心に回転可能であってもよく、又は、MUDS130に対して垂直方向に移動可能であってもよい。受け入れ空間158の内部へのMUDS130の装填中などの第1の位置では、少なくとも1つのシリンジ132の頂点又は円錐点145が上端プレート162の下面を通過するように上端プレート162が上昇されてもよい。幾つかの例では、MUDS130が例えば付勢機構によって受け入れ空間158から取り外されるたびに上端プレート162が第1の位置に初期設定し得る。他の例では、少なくとも1つのシリンジ132の頂点又は円錐点145が少なくとも1つのシリンジスロット170と係合すると、上端プレート162を第1の位置に付勢することができる。
【0074】
例えば図4Aに示されるようにMUDS130が後部側壁164と係合すると、上端プレート162を第2の位置に移動させることによってMUDS130を受け入れ空間158にロックできる。第2の位置では、少なくとも1つのシリンジ132の頂点又は円錐点145が上端プレート162の下面と係合するように上端プレート162が下げられる。幾つかの例では、上端プレート162を付勢機構(図示せず)によって第2の位置に付勢できる。他の例では、上端プレート162を図4A図4Bに示される矢印Cの方向に回動させることによって上端プレート162を第1の位置と第2の位置との間で手動又は自動により移動させることができる。上端プレート162は、ラッチ172による受け入れ空間158からのMUDS130の取り外しを防止するためにMUDS130に対してロックされ得る。ラッチ172は、上端プレート162が回動点P1を中心に回転するのを防止するように動作可能であってもよい。ラッチ172は、図4Bに示される矢印Dの方向で回動点P2を中心に回動可能なバネ荷重ラッチであってもよい。幾つかの例において、ラッチ172は、回動点P2を中心に回動可能なオーバーセンターバネ荷重ラッチであってもよい。図4Cを参照すると、MUDS130が受け入れ空間158内にロックされると、上端プレート162の下面が少なくとも1つのシリンジ132の頂点又は円錐点145と係合する。ロック位置では、各シリンジ132の縦軸Lが各シリンジスロット170の中心と位置合わせされる。上端プレート162がロック位置にあるときの受け入れ空間158からのMUDS130の取り外しは、上端プレート162の下面と少なくとも1つのシリンジ132の頂点又は円錐点145との係合によって防止される。上端プレート162は、ロックされると、注入手順中にシリンジ132が軸方向に移動しないように実質的に保持する。
【0075】
図4Cを参照すると、注入手順中、流体注入器システム100の1つ以上のピストン103は、下端プレート160の開口166を通じて延在し、MUDS130それぞれのプランジャ144と係合する。各ピストン103は、各シリンジ132のバレルの内部でプランジャを近位方向及び遠位方向に移動できるようにするために、それぞれのプランジャ144に解放可能に接続するように構成される。本明細書中に記載されるように、ピストン103をそれぞれのプランジャ144に解放可能に接続するためにシリンジ係合機構が設けられてもよい。
【0076】
注入手順が完了した時点で、少なくとも1つのシリンジ132の頂点又は円錐点又は円錐部145から上端プレート162をロック解除することにより、MUDS130が受け入れ空間158から取り外されてもよい。幾つかの例において、上端プレート162は、回動点P2を中心とするラッチ172の回動動作によってラッチ172をラッチ解除することによってロック解除される。ラッチ172がラッチ解除されると、上端プレート162がMUDS130に対して上方に回動される。上端プレート162をロック解除することにより、上端プレート162をMUDS130に対して移動(すなわち、回動又は上昇)させて、少なくとも1つのシリンジ132の頂点又は円錐点又は円錐部145が上端プレート162のシリンジスロット170(図3Aに示される)を通過できるようにし得る。その後、MUDS130を後部側壁164(図3Aに示される)から離れるように移動させることによって挿入方向Bとは反対の方向にMUDS130を引き出すことができる。MUDSの例及び特徴は、2016年1月7日に出願された国際出願公開第2016/112163号パンフレットに更に記載されており、その開示内容は参照によりその全体が本願に組み入れられる。MUDS130の取り外しの前又はそれと同時に、注入器の1つ以上のピストン103が1つ以上のプランジャから離脱されて最初の近位位置に引き込まれる。
【0077】
図5を参照すると、本開示の1つの例に係るプランジャ144が示される。他の適切なプランジャ形態が米国出願公開第2017/0043082号明細書に記載されており、また、例えば、本開示のMUDS130で用いるのに適し得る動的なシールが2018年1月4日に出願された国際出願公開第2018/129116号パンフレットに記載され、その開示内容はこれを参照することによりその全体が本願に組み入れられる。明確にするために、シリンジ132のバレルが図5から省かれる。プランジャ144はプランジャ本体200を含み、プランジャ本体200は、プランジャ縦軸202、近位端204、遠位端206、及び、近位端204と遠位端206とを接続する周方向側壁208を有する。側壁208は、近位端204と遠位端206との間に均一又は不均一な厚さを有してもよい。側壁208は、連続の又は不連続の外面を有してもよい。プランジャ本体200は、医療グレードバージョンを含む、ガラス、金属、プラスチック、又は、他の適切な材料から形成されてもよい。
【0078】
引き続き図5を参照すると、プランジャ本体200は、プランジャ本体200の遠位端206の円錐形状部212とプランジャ本体200の近位端204の円筒形状部214とによって形成される内部キャビティ210を有する。円錐形状部212は円筒形状部214と一体に形成されてもよい。幾つかの例において、円錐形状部212は、例えば摩擦嵌合及び/又は接着、溶着を使用して又は成形によってプランジャ本体200の円筒形状部214に取り付けられ又はさもなければ固定されてもよい。円錐形状部212は、遠位端206で先が切り取られてもよい。
【0079】
引き続き図5を参照すると、プランジャ本体200は、プランジャ本体200の外面の少なくとも一部を覆う弾性プランジャカバー216を有してもよい。シール218が、プランジャカバー216とシリンジバレルの内面との間の界面でプランジャカバー216に設けられてもよい。シール218は、シール218がシリンジバレルの内容積を液密態様でシールするようにシリンジバレルの内面と係合する弾性及び可撓性のシールであってもよい。プランジャカバー216は、プランジャ本体200とは別個に設けられてもよく、又は、共成形などによってプランジャ本体200と一体的に形成されてもよい。幾つかの例において、プランジャ本体200の外面は、プランジャカバー216の少なくとも一部が周方向溝220内に保持されるように周方向溝220を有してもよい。
【0080】
引き続き図5を参照すると、プランジャ144は、少なくとも1つの径方向内側に面するピン係合面222(以下、「ピン係合面222」と称する)をその内面に有する。ピン係合面222は、プランジャ本体200の内面へと径方向外向きに凹まされる溝として形成されてもよい。ピン係合面222は、プランジャ本体200の内周の少なくとも一部の周りで延在してもよい。幾つかの例において、ピン係合面222は、プランジャ本体200の内周全体にわたって周方向に連続している。他の例において、ピン係合面222は、1つ以上の別個の周方向セグメントから構成されてもよい。ピン係合面222は、ピストン103の移動によってプランジャ144をシリンジ132のバレルの内部で往復駆動させることができるようにプランジャ144をピストン103と解放可能にロックできるようにするべく、本明細書中に記載されるプランジャ係合機構などのピストン103の少なくとも一部と相互作用するように構成される。特定の実施形態において、ピン係合面222は、ピストン103が近位方向に引き込まれるときに近位側の力に抗してピン係合面222を強化するために複数の補強機能部205を含んでもよい。
【0081】
図6図7を参照すると、ピストン103が流体注入器システム100(図1に示される)とは別個に示される。ピストン103は、ピストン103の移動によってプランジャ144をシリンジ132のバレルの内部で往復駆動させることができるようにプランジャ144を解放可能にロックするべくプランジャ144(図8A図8Bに示される)と相互作用するように構成される。ピストン103は、好ましくはハウジング102内に収容される電動手段(図示せず)を介して流体注入器システム100のハウジング102から伸縮可能である。電動手段は、例えば、適切な歯車装置(図示せず)を含む電気モータ、油圧システム、又は、空気圧システムを含んでもよい。
【0082】
引き続き図6図7を参照すると、ピストン103はステム300とピストンヘッド302とを含み、ピストンヘッド302は、ピストンヘッド302の少なくとも一部がステム300よりも遠位側に延びるようにステム300の遠位端に形成される。ピストン103は、変形に耐える金属又はプラスチックなどの硬質材料から構成される。ピストンヘッド302は、尖った遠位端306を伴う略円筒状の近位端304を有してもよい。近位端304及び遠位端306は、互いに取り外し可能に又は取り外し不能に接続されてもよい。例えば、図7に示されるように、近位端304は、遠位端との間に取り外し可能な接続をもたらすために遠位端306と螺合接続されてもよい。ピストンヘッド302の近位端304及び遠位端306は、プランジャ144(図5に示される)の内部キャビティ210の少なくとも一部の内側に受けられるように形成される。幾つかの例において、近位端304は、外側部分304b内に配置される内側部分304aを有してもよい。ピストン103は、内部キャビティ317がピストン103の少なくとも一部に形成されるように中空であってもよい。
【0083】
特定の実施形態において、ピストンヘッド302は、例えば図8A図8Bに示されるように、プランジャ144と相互作用してプランジャ144と解放可能に係合するように構成されるプランジャ係合機構308(図7に示される)を有してもよい。ピストン103をプランジャ144と係合させることにより、プランジャ144をシリンジ132のバレルの内部で往復駆動させることができる。プランジャ係合機構308は、ピストンヘッド302に対して径方向に可逆的に移動できる1つ以上のピン310を有してもよい。例えば、1つ以上のピン310は、1つ以上のピン310がピストンヘッド302の内部へと径方向に引き込まれる第1の位置又は引き込み位置と、1つ以上のピン310が近位端304の外面などのピストンヘッド302の外面に対して径方向外側に突出する第2の位置又は延出位置との間で移動可能であってもよい。1つ以上のピン310は、ピストンヘッド302の対応する開口312を通じて移動してもよい。係合機構への流体の進入を防ぐために1つ以上のOリング319が各ピンと関連付けられてもよい。係合機構の内部への流体進入を防止するために追加のOリング319a及びガスケット319bがピストンに沿う様々な位置と関連付けられてもよい(図10を参照)。例えば、1つ以上のピン310は、プランジャ144の離脱及び係合をそれぞれ行うために、ピストンヘッド302の近位端304の対応する開口312を通じて矢印Eの方向で径方向内側に及び矢印Fの方向で径方向外側に(図7)移動できてもよい。1つ以上のピン310は、1つ以上のピン310が第2の位置又は延出位置にあるときにプランジャ144のピン係合面222と係合するように構成される。幾つかの例では、1つ以上のピン310が略円形の断面形状を有する。他の例において、1つ以上のピン310は、任意の他の規則的な又は不規則な幾何学的形状、例えば、正方形の断面、長方形の断面、又は、任意の他の多面体の断面を有してもよい。更なる例において、各ピン310は、ピストン103内に受けられる球状の第1の端部310aと、ピストンヘッド302の対応する開口312を通じて延びるように形成される略角柱状の第2の端部310bとを有してもよい。
【0084】
図7を参照すると、特定の実施形態によれば、プランジャ係合機構308は、カム面314aに対して移動可能にピストン103の内部キャビティ317内に配置されるカムスリーブ314を有する。本明細書中に記載されるように、カムスリーブ314は、アクチュエータ324の作動に起因してピストン103の縦軸315に沿って近位方向又は遠位方向に移動可能である。カムスリーブ314は、ネジ付きインタフェース320を有する近位端318と、1つ以上のトラック316を有する遠位端322とを有する。ネジ付きインタフェース320は、雄ネジ山又は雌ネジ山を有してもよく、アクチュエータ324の雌ネジ山又は雄ネジ山の少なくとも一部とネジ係合するように構成される。カムスリーブ314は、近位端318上のネジ付きインタフェース320とアクチュエータ324の少なくとも一部との間の回転係合を介して内部キャビティ317の内部で直線的に可逆的に移動可能である。
【0085】
引き続き図7を参照すると、カムスリーブ314の各トラック316は、ピン310のうちの1つの少なくとも一部を受けるように構成されてもよい。例えば、各トラック316は、各ピン310の球状の第1の端部310aを受けてもよい。1つ以上のトラック316は、ピストン103の縦軸315に対して角度が付けられ、対応するピン310との係合のためのカム面を形成する。幾つかの例では、1つ以上のトラック316が対角的に直線状の形状を有する。他の例では、1つ以上のトラック316が弓形形状を有する。1つ以上のトラック316は、1つ以上のトラック316が近位-遠位方向で縦軸315から逸れるように配置される。すなわち、各トラック316の遠位端316aは、各トラック316の近位端316bよりも縦軸315から径方向に離れている。プランジャヘッド302に対するカムスリーブ314の縦軸315に沿う遠位方向での移動により、ピン310がプランジャヘッド302の開口312に引き込まれるようにピン310がトラック316の遠位端316aから近位端316bに向かって移動してもよい(図8A)。逆に、近位方向へのカムスリーブ314の移動により、ピン310がプランジャヘッド302の開口312から径方向外側に延在されるようにピン310がトラック316の近位端316bから遠位端316aに向かって移動してもよい(図8B)。他の実施形態では、1つ以上のトラック316の方向を近位-遠位方向で縦軸315から逆収束させることができることが理解されるべきである。プランジャヘッド302に対するカムスリーブ314の縦軸315に沿う近位方向での移動により、ピン310がプランジャヘッド302の開口312から延出されるようにピン310がトラック316の遠位端316aから近位端316bに向かって移動してもよい(図8A)。
【0086】
他の実施形態では、1つ以上のトラック316の方向を逆にして1つ以上のトラック316が近位-遠位方向で縦軸315へ向けて収束するようにし得ることが理解されるべきである。すなわち、各トラック316の遠位端316aは、各トラック316の近位端316bよりも径方向で縦軸315に近い。プランジャヘッド302に対するカムスリーブ314の縦軸315に沿う遠位方向での移動により、ピン310がプランジャヘッド302の開口312から径方向外側に延在されるようにピン310がトラック316の遠位端316aから近位端316bに向かって移動してもよい(図8A)。逆に、近位方向へのカムスリーブ314の移動により、ピン310がプランジャヘッド302の開口312に引き込まれるようにピン310がトラック316の近位端316bから遠位端316aに向かって移動してもよい。
【0087】
引き続き図7を参照すると、カムスリーブ314の近位端318は、アクチュエータ324によって駆動されるネジ326と螺合取り付け状態にある。ネジ326は、ネジ326のネジ山328がカムスリーブ314の近位端318のネジ付きインタフェース320と噛み合うように形成される。図7は、雌ネジ付きインタフェース320と螺合する雄ネジ付きネジ326を示すが、この構成は、ネジ付きインタフェース320が対応する雄ネジ山を有する状態でネジ326が雌ネジ式であるように逆にすることができる。ネジ326は、駆動シャフト330によってアクチュエータ324に接続され、駆動シャフト330は、アクチュエータ324の出力シャフト332に接続される。幾つかの例において、アクチュエータ324の出力シャフト332は、例えば近位端339を介してネジ326に直接接続されてもよい。アクチュエータ324の出力シャフト332の回転が縦軸315を中心にネジ326を回転させ、それにより、プランジャヘッド302の内部キャビティ317の内部でカムスリーブ314が直線的に移動する。このように、アクチュエータ324は、カムスリーブ314を第1の位置と第2の位置との間で移動させるように構成される(それぞれ図8A図8B)。幾つかの例では、アクチュエータ324が回転電気モータであってもよい。図7に示される例において、アクチュエータ324は、縦軸315を中心に回転可能な出力シャフト332を有する回転電気モータである。
【0088】
アクチュエータ324は、アクチュエータ324の回転運動を制御するためのコントローラ334に動作可能に接続される。例えば、アクチュエータ324は、アクチュエータ324の動作を制御するためにコントローラ334からアクチュエータ324に制御信号を送信する配線336によってコントローラ334に接続されてもよい。他の例では、アクチュエータ324がコントローラ334に無線で接続されてもよい。コントローラ334は、コントローラ334から受信される信号に応じてプランジャを係合させ又は離脱させるために、適切な方向、例えば時計回り又は反時計回りに回転するようにアクチュエータ324に指示してもよい。他の実施形態では、アクチュエータ324が一方向にのみ回転してもよく、また、ネジ326を時計回り又は反時計回りの方向に回転させるために歯車装置(図示せず)が使用されてもよい。
【0089】
図9を参照すると、ピストン103’の実施形態が他の例に従って示される。図9に示されるピストン103’の構成要素は、図6図8Bに関連して本明細書中に記載されるピストン103の構成要素とほぼ同様である。図9における参照番号は、図6図8Bにおける対応する参照番号の同一の構成要素を示すために使用される。図6図8Bに一般的に示されるピストン103に関する前述の議論は、図9に示されるピストン103’に適用可能であるため、以下、図6図8Bに示されるピストン103と図9に示されるピストン103’との間の相対的な違いのみについて説明する。
【0090】
図6図8Bに関連して本明細書中で説明されるプランジャ係合機構308は、回転運動のために構成されるアクチュエータ324を有するが、図9に示されるアクチュエータ324’は、縦軸315に沿った方向での直線運動のために構成される。幾つかの例において、アクチュエータ324’は、リニア電気モータ、リニアアクチュエータ、ソレノイド、ラックアンドピニオンなどであってもよい。アクチュエータ324’は、縦軸315に沿った方向でのアクチュエータ324’の直線運動がピストン103の内部キャビティ317の内部でのカムスリーブ314の対応する直線運動をもたらすようにカムスリーブ314に接続される。特に、カムスリーブ314は、アクチュエータ324’の直線運動に起因してピストン103の縦軸315に沿って近位/遠位方向に移動可能である。幾つかの例において、カムスリーブ314の近位端318は、螺合取り付けなどによって、アクチュエータ324’に取り外し可能に接続されてもよい。図6図8Bに関連して本明細書中に記載されるように、プランジャヘッド302に対するカムスリーブ314の縦軸315に沿う遠位方向での移動により、ピン310がプランジャヘッド302の開口312に引き込まれるようにピン310がトラック316の遠位端316aから近位端316bに向けて移動してもよい。逆に、近位方向でのカムスリーブ314の移動により、ピン310がプランジャヘッド302の開口312から径方向外側に延在されるようにピン310がトラック316の近位端316bから遠位端316aに向かって移動してもよい。前と同様に、他の実施形態では、1つ以上のトラック316の方向を逆にして1つ以上のトラック316が近位-遠位方向で縦軸315へ向けて収束するようにし得ることが理解されるべきである。その結果、そのような実施形態では、プランジャヘッド302に対するカムスリーブ314の遠位方向での移動により、ピン310が径方向外側に延在し、また、プランジャヘッド302に対するカムスリーブ314の近位方向での移動によりピン310が引き込まれる。
【0091】
幾つかの例において、プランジャ係合機構は、その開示内容の全体が参照により本願に組み入れられる米国特許第8,945,051号の図46E及び図47Eに示されるプランジャ係合機構と同様又は同一であってもよい。例えば、プランジャ係合機構は、少なくとも1つのピンをシリンジプランジャとピストンとの間の干渉係合状態へと選択的に移動させるように構成される回転ソレノイド又はリニアソレノイドを有してもよい。
【0092】
少なくとも1つのピストン103及び対応するプランジャ係合機構308の構造、対応するプランジャ144に対する少なくとも1つのピストン103のロック又は係合、及び、対応するプランジャ144からの少なくとも1つのピストン103のロック解除又は離脱について説明してきたが、これらを図8A図8B及び図10の分解図を参照して1つの実施形態に従って説明する。
【0093】
MUDSが流体注入器システム100に装填された後にプランジャ144をピストン103と係合又はロックするために、ピストン103の遠位端がプランジャ144の遠位端の内面と接触するまでピストン103が縦軸315の方向で遠位側に前進される。プランジャ144は、シリンジバレルの近位端に、シリンジバレルの遠位端に、又は、シリンジバレルの近位端と遠位端との間の任意の軸方向位置に位置決めされてもよい。幾つかの態様において、ピストン103は、電気モータ(図示せず)などの電動手段を介してプランジャ144へ向けて遠位側に前進されもよい。他の態様では、手動操作によってピストン103がプランジャ144へ向けて遠位側に前進されてもよい。センサ(図示せず)を使用して、ピストン103がプランジャ144の遠位端と接触していることをセンサが検出した時点でピストン103の遠位側への移動を停止してもよい。或いは、ピストン103は、プランジャ144と接触して、プランジャ144がシリンジ132の遠位側円錐内面145と接触するまでプランジャ144を遠位側に前進されてもよく、プランジャ144とシリンジ132の遠位側円錐内面145との接触は、例えば、センサによって又はプランジャ144がシリンジ132の遠位側円錐内面145と接触する際の対抗力の増大によって感知されてもよい。ピストン103がプランジャ144とロックするように位置決めされた状態(図8A)で、アクチュエータ324は、出力シャフト332の移動によりネジ326を縦軸315に対して第1の方向(時計回り又は反時計回り)に回転させるなどしてネジ326を移動させるべく作動される。
【0094】
ネジ326の移動は、ネジ326のネジ山とカムスリーブ314上のネジ付きインタフェース320のネジ山との間の係合に起因してプランジャヘッド302の内部キャビティ317の内部でカムスリーブ314の対応する動きを引き起こす。特に、第1の方向でのネジ326の回転は、近位方向などの第1の方向でのカムスリーブ314の直線運動を引き起こし得る。逆に、縦軸315を中心とする反時計回り又は時計回りの方向など、第1の方向とは反対の第2の方向でのネジ326の回転は、遠位方向など、第1の方向とは反対の第2の方向でのカムスリーブ314の直線運動を引き起こし得る。
【0095】
例えば図9に示されるような回転運動ではなく直線運動のためにアクチュエータ324’が構成された例に関し、縦軸315に沿う遠位方向でのアクチュエータ324’の動作は、プランジャヘッド302に対してカムスリーブ314を遠位側に移動させ、それにより、ピン310が第1の引き込み位置又は離脱位置へとプランジャヘッド302の開口312内に引き込まれるようにピン310をトラック316の遠位端316aから近位端316bに向けて移動させる。逆に、縦軸315に沿う近位方向でのアクチュエータ324’の動作は、プランジャヘッド302に対してカムスリーブ314を近位側に移動させ、それにより、ピン310が第2の延出位置又は係合位置へとプランジャヘッド302の開口312から径方向外側に延在されるようにピン310をトラック316の近位端316bから遠位端316aに向けて移動させる。
【0096】
図8Bを参照すると共に引き続き図8Aを参照すると、ネジ付きインタフェース320とネジ326との相互作用に起因するプランジャヘッド302の内部キャビティ317の内部でのカムスリーブ314の近位側への動作により、ピン310がプランジャヘッド302の開口312から第2の延出位置又は係合位置へと径方向外側に延在されるようにピン310がトラック316の近位端316bから遠位端316aに向けて移動してもよい。図8Bに示される延出位置では、ピストン103の近位側への動作に伴ってプランジャ144を近位方向に移動できるように、ピン310がプランジャ144のピン係合面222と係合するように構成される。プランジャ検出ピン325が、プランジャの存在を検出するべく縦軸に沿って位置合わせされて遠位端306から突出してもよい。
【0097】
流体注入器システム100からMUDSを取り外すべくピストン103からプランジャ144を離脱させる又はロック解除するために、出力シャフト332の移動によりネジ326を第1の方向とは反対の第2の方向に回転させるなどしてネジ326を移動させるべくアクチュエータ324が作動される。ネジ326の移動は、ネジ326のネジ山とカムスリーブ314上のネジ付きインタフェース320のネジ山との間の係合に起因してプランジャヘッド302の内部キャビティ317の内部でカムスリーブ314の対応する動きを引き起こす。特に、第2の方向でのネジ326の回転は、遠位方向などの第2の方向でのカムスリーブ314の直線運動を引き起こし得る。ネジ付きインタフェース320とネジ326との相互作用に起因するプランジャヘッド302の内部キャビティ317の内部でのカムスリーブ314の遠位側への動作により、ピン310がプランジャヘッド302の開口312から第1の引き込み位置又は離脱位置へと径方向内側方向に引き込まれるようにピン310がトラック316の遠位端316aから近位端316bに向けて移動してもよい。図8Aに示される引き込み位置において、ピン310は、ピストン103がシリンジ132の内部から近位側に引き込まれた時点でMUDSの取り外しを可能にするべくプランジャ144をピストン103から取り外してプランジャ144をシリンジ132内に残したままにすることができるようにプランジャ144のピン係合面222から離脱される。
【0098】
例えば図9に示されるような回転運動ではなく直線運動のためにアクチュエータ324’が構成された例では、縦軸315に沿う遠位方向でのアクチュエータ324’の動作は、プランジャヘッド302に対してカムスリーブ314を遠位側に移動させ、それにより、ピン310が第1の引き込み位置又は離脱位置へとプランジャヘッド302の開口312内に引き込まれるようにピン310をトラック316の遠位端316aから近位端316bに向けて移動させる。逆に、縦軸315に沿う近位方向でのアクチュエータ324’の動作は、プランジャヘッド302に対してカムスリーブ314を近位側に移動させ、それにより、ピン310が第2の延出位置又は係合位置へとプランジャヘッド302の開口312から径方向外側に延在されるようにピン310をトラック316の近位端316bから遠位端316aに向けて移動させる。
【0099】
シリンジプランジャ係合機構の幾つかの例が添付図面に示されて詳しく前述したが、本開示の範囲及び思想から逸脱することなく他の例が当業者に明らかであり且つ当業者によって容易になされる。例えば、この開示が、可能な範囲で、任意の例の1つ以上の特徴を任意の他の例の1つ以上の特徴と組み合わせることができることを予期していることが理解されるべきである。したがって、前述の説明は、限定的ではなく例示的であるように意図される。
【符号の説明】
【0100】
100 流体注入器システム
102 注入器ハウジング/ハウジング
103 ピストン
103’ ピストン
104 側面
106 遠位端又は上端
108 近位端又は下端
110 ベース
112 ホイール
114 ハンドル
116 ドア
118 バルク流体コネクタ
120 バルク流体源
122 支持部材
124 ユーザインタフェース
126 制御ボタン
128 スロット又はアクセスポート
130 複数患者使い捨てセット(MUDS)
132 シリンジ又はポンプ
134 MUDS流体経路
136 弁
138 シリンジ本体
140 前端又は遠位端
142 後端又は近位端
144 シリンジプランジャ/プランジャ
145 頂点又は円錐点
146 排出出口又は排出導管
148 マニホールド
150 流体入口ライン
152 流体出口ライン
154 フレーム
156 廃棄物リザーバ
158 受け入れ空間
160 下端プレート
162 上端プレート
164 後部側壁
166 開口
168 下端ガイド
170 シリンジスロット
172 ラッチ
200 プランジャ本体
202 プランジャ縦軸
204 近位端
205 補強機能部
206 遠位端
208 周方向側壁
210 内部キャビティ
212 円錐形状部
214 円筒形状部
216 プランジャカバー
218 シール
220 周方向溝
222 ピン係合面
300 ステム
302 ピストンヘッド/プランジャヘッド
304 近位端
304a 内側部分
304b 外側部分
306 遠位端
308 プランジャ係合機構
310 ピン
310a 第1の端部
310b 第2の端部
312 開口
314 カムスリーブ
314a カム面
315 縦軸
316 トラック
316a 遠位端
316b 近位端
317 内部キャビティ
318 近位端
319 Oリング
319a Oリング
319b ガスケット
320 ネジ付きインタフェース
322 遠位端
324 アクチュエータ
324’ アクチュエータ
326 ネジ
328 ネジ山
330 駆動シャフト
332 出力シャフト
334 コントローラ
336 配線
339 近位端
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10