(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-18
(45)【発行日】2023-08-28
(54)【発明の名称】多入力多出力アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
H01P 1/30 20060101AFI20230821BHJP
H01Q 23/00 20060101ALI20230821BHJP
【FI】
H01P1/30 Z
H01Q23/00
(21)【出願番号】P 2021122943
(22)【出願日】2021-07-28
(62)【分割の表示】P 2020530369の分割
【原出願日】2018-12-04
【審査請求日】2021-07-28
(31)【優先権主張番号】10-2017-0165352
(32)【優先日】2017-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516083818
【氏名又は名称】ケイエムダブリュ インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】KMW INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドゥク ヨン キム
(72)【発明者】
【氏名】ジュン ウー ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ジン ソー ヨ
(72)【発明者】
【氏名】チャン ウー ヨー
(72)【発明者】
【氏名】ミン シク パク
(72)【発明者】
【氏名】へー ヨン キム
【審査官】佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-259867(JP,A)
【文献】特開2017-046121(JP,A)
【文献】特表2014-532327(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 1/30
H01Q 23/00
H04B 1/04
H04B 1/38
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジングの長手方向の一側上面に結合されたレドームと、
前記ハウジングと前記レドームとの間に配置されたアンテナアセンブリと、
前記ハウジングの長手方向の他側上面に結合され、前記ハウジング内の他側に配置された電装部品から放出される熱を上面から放熱する上側放熱部と、
前記ハウジングの長手方向の他側側面に結合され、前記電装部品から放出される熱を側面から放熱する側面放熱部と、
前記電装部品の少なくとも一部と接触して熱を捕集する捕集部と、
前記捕集部に集められた熱のうち、一部を前記上側放熱部に伝達し、残部を側面放熱部に伝達する熱伝達部とを備える、多入力多出力アンテナ装置。
【請求項2】
前記ハウジングの下面には、前記ハウジングの長手方向に長く形成され、前記ハウジングの幅方向に所定距離離隔して配置された複数の下側放熱リブが備えられる、請求項1に記載の多入力多出力アンテナ装置。
【請求項3】
前記上側放熱部の上面には、前記ハウジングの長手方向に長く形成され、前記ハウジングの幅方向に所定距離離隔して配置された複数の上側放熱リブが備えられる、請求項1に記載の多入力多出力アンテナ装置。
【請求項4】
前記側面放熱部は、
前記ハウジングの幅方向の一側に突出配置された一側放熱部と、前記ハウジングの幅方向の他側に突出配置された他側放熱部とを含む、請求項1に記載の多入力多出力アンテナ装置。
【請求項5】
前記電装部品は、FPGAアセンブリを含み、
前記捕集部は、前記FPGAアセンブリの上面に備えられた単位発熱素子からの熱を捕集し、
前記側面放熱部は、
前記ハウジングの幅方向の一側および他側に突出して備えられ、前記ハウジングの上下方向に所定距離離隔して配置された複数の側面放熱リブを含む放出部と、
一端部が前記捕集部に連結され、他端部が前記放出部に連結されることで、前記捕集部で捕集した熱を前記放出部に伝達する熱伝逹部とを含む、請求項4に記載の多入力多出力アンテナ装置。
【請求項6】
前記捕集部は、前記単位発熱素子の上面に密着する、請求項5に記載の多入力多出力アンテナ装置。
【請求項7】
前記熱伝逹部は、
前記捕集部で捕集した熱を前記上側放熱部に伝達す
る内側部と、前記内側部から延びて前記放出部に挿入され、前記上側放熱部に伝達された熱以外の残熱を前記放出部に伝達する外側部とを含む、請求項5に記載の多入力多出力アンテナ装置。
【請求項8】
前記上側放熱部の下面には、前記内側部の外周面の一部が密着する熱接触溝部が形成される、請求項7に記載の多入力多出力アンテナ装置。
【請求項9】
前記内側部と前記外側部とが分けられる境界部位は、前記ハウジングと前記上側放熱部の境界の間で折り曲げられる、請求項7に記載の多入力多出力アンテナ装置。
【請求項10】
前記放出部は、
前記熱伝逹部が挿入される挿入スロットが形成され、前記複数の側面放熱リブが前記ハウジングの一側面または他側面に向かって突出して形成された内側放熱端と、
前記内側放熱端の外側面と面接触して備えられ、前記内側放熱端との間に挿入された前記熱伝逹部が配置される熱収容溝が形成された外側放熱端とを含む、請求項5に記載の多入力多出力アンテナ装置。
【請求項11】
前記熱伝逹部は、内部に熱伝逹流体が充填された多数のヒートパイプ群からなる、請求項5から請求項10のいずれか一項に記載の多入力多出力アンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多入力多出力アンテナ装置(MULTIPLE‐INPUT AND MULTIPLE‐OUTPUT ANTENNA APPARATUS)に関し、より詳細には、放熱性能を向上させることができる多入力多出力アンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
MIMO(Multiple‐Input and Multiple‐Output)技術は、多数のアンテナを使用してデータの伝送容量を著しく増加させる技術であり、送信機では、それぞれの送信アンテナを介して互いに異なるデータを伝送し、受信機では、適切な信号処理により送信データを区分する空間多重化(Spatial multiplexing)技法である。したがって、送受信アンテナの個数を同時に増加させることに伴いチャンネル容量が増加し、より多いデータを伝送することができる。例えば、アンテナ数を10個に増加させると、現在の単一アンテナシステムに比べて、同一の周波数帯域を使用して約10倍のチャンネル容量を確保することになる。
【0003】
4G LTE‐advancedでは、8個のアンテナまで使用しており、現在、pre‐5G段階で、64または128個のアンテナを装着した製品が開発されており、5Gでは、はるかに多い数のアンテナを有する基地局装備が使用されることが予想され、これをMassive MIMO技術と言う。現在のセル(Cell)運営が2‐Dimensionであるのに対し、Massive MIMO技術が導入されると、3D‐Beamformingが可能となり、Massive MIMO技術は、FD‐MIMO(Full Dimension)とも称される。
【0004】
ところで、外観を形成するハウジング内に上述の多数のアンテナが配置される場合、これを処理するために備えられた制御PCBの電装素子および多数のFPGAのような発熱素子から非常に多い熱が発生し得る。
【0005】
従来、ハウジング内の空間に備えられ、この際、上述の発熱素子に直接接触する複数の放熱リブが備えられた放熱部が備えられ、別の送風ファンを用いてハウジング内の熱を外部に排気することで放熱するように構成されているが、これは、発熱素子に対する放熱部の熱接触面積に限界があるとともに、ハウジング内の熱を排気するための別の送風ファンを設けなければならないという問題がある。
【0006】
これは、単一の発熱素子が備えられた場合に適する方式ではあるが、上述のMIMOアンテナ装置のように、発熱素子が多数存在する場合には、発熱素子が固定された部位での内部放熱は、放熱性能を向上させることに限界がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の技術的な課題を解決すべくなされたものであって、多数の発熱素子から発生する熱の放熱性能を向上させることができる多入力多出力アンテナ装置を提供することを目的とする。
【0008】
本発明は、別の送風ファンを適用しなくても発熱箇所から外部に熱を迅速に放出することができる多入力多出力アンテナ装置を提供することを他の目的とする。
【0009】
本発明は、熱伝逹効率が良いヒートパイプ群を用いて、限定された空間内部の熱を外部の放熱部に迅速に伝達することができる多入力多出力アンテナ装置を提供することをさらに他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
多入力多出力アンテナ装置は、ハウジングと、前記ハウジングの長手方向の一側上部に結合されたレドームと、前記ハウジングと前記レドームとの間に配置されたアンテナアセンブリと、前記ハウジングの長手方向の他側上部に結合され、前記ハウジング内の電装部品から放出される熱を上側に放熱する上側放熱部と、前記ハウジングの長手方向の他側側部に結合され、前記電装部品から発生した熱を前記ハウジングの幅方向の側部に熱移動させて放熱する側面放熱部とを含む。
【0011】
本発明に係る多入力多出力アンテナ装置の一つの実施形態は、ハウジングと、前記ハウジングの長手方向の一側上部に結合し、前記ハウジングとの間にアンテナアセンブリが配置されるレドームと、前記アンテナアセンブリの下部に配置されたPCBアセンブリと、前記ハウジングの長手方向の他側上部に結合し、前記ハウジングとの間にバッテリーおよびFPGAアセンブリが配置され、前記FPGAアセンブリから放出される熱を上側に放熱する上側放熱部と、前記ハウジングと前記上側放熱部との間の幅方向の一側および幅方向の他側に突出して結合し、前記FPGAアセンブリから発生した熱を前記ハウジングの幅方向の一側および他側に熱移動させて放熱する側面放熱部とを含む。
【0012】
ここで、前記ハウジングの下面には、下方に所定長さ突出し、且つ前記ハウジングの長手方向に長く形成され、前記ハウジングの幅方向に所定距離離隔して配置された複数の下側放熱リブが備えられ得る。
【0013】
レドーム(radome)は、ハウジングの上面に設置されたアンテナアセンブリを外部から保護するためのものであって、別の放熱部が備えられていない。そのため、第1設置空間S1の発熱素子から発生した熱は、ハウジングの下側放熱リブを介して外部に全部が放熱されるように備えられることが好ましい。
【0014】
また、上側放熱部は、第2設置空間S2に備えられたFPGAアセンブリを外部から保護するとともに、第2設置空間S2から発生した熱を外部に一部放熱する役割を果たす。
【0015】
より詳細には、上側放熱部の上面には、上側に所定長さ突出し、且つハウジングの長手方向に長く形成され、ハウジングの幅方向に所定距離離隔して配置された複数の上側放熱リブが備えられ得る。
【0016】
一方、上側放熱部の下面には、第2設置空間S2に備えられたFPGA素子などを含む複数の単位発熱素子に直接面接触する熱伝逹ブロックが複数の単位発熱素子の位置に対応するように下方に突出形成され得る。
【0017】
側面放熱部は、ハウジングの幅方向の一側に突出配置された一側放熱部と、ハウジングの幅方向の他側に突出配置された他側放熱部とを含むことができる。
【0018】
また、前記側面放熱部は、前記FPGAアセンブリの上面に備えられた単位発熱素子から熱を捕集する捕集部と、前記ハウジングの幅方向の一側および他側に突出して備えられ、この際、前記ハウジングの長手方向に長く形成され、前記ハウジングの上下方向に所定距離離隔して配置された複数の側面放熱リブが備えられた放出部と、一端部は前記捕集部に連結され、他端部は前記放出部に連結されて、前記捕集部から捕集した熱を前記放出部に伝達する熱伝逹部とを含むことができる。
【0019】
また、前記捕集部は、前記単位発熱素子の上面に密着し得る。
【0020】
また、前記熱伝逹部は、前記ハウジングと前記上側放熱部との間に配置され、前記捕集部から捕集した熱を前記上側放熱部に伝達する内側部と、前記内側部から延び、前記放出部に挿入されて、前記上側放熱部に伝達された熱以外の残熱を前記放出部に伝達する外側部とを含むことができる。
【0021】
また、前記上側放熱部の下面には、前記内側部の外周面の一部が密着する熱収容溝が形成され得る。
【0022】
また、前記内側部と前記外側部の中間部位は、前記ハウジングと前記上側放熱部の境界の間で折り曲げられ得る。
【0023】
また、前記放出部は、前記熱伝逹部が挿入される挿入スロットが形成され、前記複数の側面放熱リブが前記ハウジングの一側面または他側面に向かって突出して形成された内側放熱端と、前記内側放熱端の外側面と面接触して備えられ、この際、前記内側放熱端との間に挿入された前記熱伝逹部が配置される熱収容溝が形成された外側放熱端とを含むことができる。
【0024】
また、前記熱伝逹部は、内部に熱伝逹流体が充填された多数のヒートパイプ群からなり得る。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る多入力多出力アンテナ装置の実施形態によると、ハウジングと上側放熱部との間の限定された発熱空間内に備えられた多数の発熱素子から、別の送風ファンを備えることなく、容易に外部に放熱することができ、放熱性能を向上させる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明に係る多入力多出力アンテナ装置の実施形態を示す斜視図である。
【
図3】
図1の構成のうち、側面放熱部による放熱の様子を示す構造図である。
【
図4】
図1のA‐A線に沿って切断した断面図である。
【
図5】
図1のB‐B線に沿って切断した断面図である。
【
図6】
図1の構成のうち、上側放熱部の放熱の様子を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の一部の実施形態について例示的な図面により詳細に説明する。各図面の構成要素に参照符号を付けるに際し、同じ構成要素に対しては、仮に異なる図面上に示されていてもできるだけ同じ符号を有するようにしていることに留意すべきである。また、本発明を説明するにあたり、関連する公知の構成または機能に関する具体的な説明が本発明の要旨を不明瞭にし得ると判断した場合には、その詳細な説明は省略する。
【0028】
明細書の全体において、ある部分がある構成要素を「含む」、「備える」とした場合、これは、特に相反する記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。明細書で使用されている「発熱素子」という構成の用語は、電装素子の一種であって、作動時に所定の熱を発生するものであれば、如何なる構成での代替が可能であることは当然であると言える。
【0029】
図1は本発明に係る多入力多出力アンテナ装置の実施形態を示す斜視図であり、
図2は
図1の分解斜視図であり、
図3は
図1の構成のうち、側面放熱部による放熱の様子を示す構造図であり、
図4は
図1のA‐A線に沿って切断した断面図であり、
図5は
図1のB‐B線に沿って切断した断面図であり、
図6は
図1の構成のうち、上側放熱部の放熱の様子を示す分解斜視図である。
【0030】
本発明に係る多入力多出力(Multiple‐Input and Multiple‐Output)アンテナ装置1の実施形態は、
図1~
図6に示されているように、長手方向に長く配置されたハウジング10を含む。
【0031】
ここで、ハウジング10は、
図1および
図2に示されているように、概して上部が開口した形態であり、
図1および
図2の図面において、左側上端から右側下端に長く形成され得る。以下では、
図1および
図2の図面において、左側上端から右側下端の方向または右側下端の方向から左側上端の方向を「長手方向」と定義して説明し、長手方向に直交する方向を「幅方向」と定義して説明する。
【0032】
なお、本発明の一実施形態において、方向を指すために使用する用語である「上部」、「下部」、「左側」および「右側」などと類似した用語は、本発明の一実施形態をより明確に理解させるために、図面に示されているとおりに指すものであって、方向指示用語によって本発明の権利範囲が限定されてはならない。
【0033】
ハウジング10の長手方向の一側に相当する上面には、アンテナアセンブリ50(Antenna assembly)が設置され得る。アンテナアセンブリ50の上側には、レドーム20(Ray dome)が設置され得る。レドーム20は、ハウジング10の長手方向の一側を占めるように備えられたアンテナアセンブリ50を全部覆うように配置され、アンテナアセンブリ50を外部の風圧から保護する役割を果たす。
【0034】
レドーム20は、ハウジング10の上側にボルト結合し得る。このために、ハウジング10の縁部分にはボルト締結溝11が形成され、ハウジング10の縁部分にはボルト締結孔23が形成されて、上側から順に、ボルト締結孔23およびボルト締結溝11に締結ボルト21が締結されることで、レドーム20がハウジング10の一側上部に結合し得る。
【0035】
ハウジング10は、概して上部が開口した形態であり、長手方向の一側には、アンテナアセンブリ50が設置される第1設置空間S1が形成され、長手方向の他側には、FPGAアセンブリ(図面符号71参照)が設置される第2設置空間S2が形成され得る。
【0036】
アンテナアセンブリ50は、ハウジング10の内側に配置されたプリント基板(PCB)51と、プリント基板51の上面に設置された複数のアンテナ素子53と、プリント基板51の下面に配置されて、複数のアンテナ素子53を含む電装部品に動作電源を供給するパワーサプライユニット(PSU、Power Supply Unit)52とを含む。
【0037】
パワーサプライユニット52は、ハウジング10の内側面に形成されたドッキング孔を介してドッキング設置されるように、下面にドッキング突起が備えられ得る。パワーサプライユニット52の作動時に発生した熱は、ドッキング突起およびドッキング孔を介してハウジング10に伝達される。
【0038】
ハウジング10の下面には、下方に所定長さ突出し、且つハウジング10の長手方向に長く形成され、ハウジング10の幅方向に所定距離離隔して配置された複数の下側放熱リブ13が備えられ得る。
【0039】
したがって、パワーサプライユニット52から発生した熱がハウジング10に伝達されると、複数の下側放熱リブ13を介して外部への放熱が行われることで、アンテナアセンブリ50が備えられた第1設置空間S1を冷却することができる。
【0040】
一方、ハウジング10の第2設置空間S2には、上述のとおりFPGAアセンブリ(図面符号71参照)が設置される。FPGAアセンブリは、第2設置空間S2に配置されるFPGA用基板(以下、「F‐基板70」と略称する)と、F‐基板70の上面に設置された複数のFPGA71と、複数のDCDC‐DTA72とを含むことができる。
【0041】
一般的に、FPGA71およびDCDC‐DTA72は、電装部品の一種であり、放熱が必要な電装素子である。FPGA71は、
図2に示されているように、概してF‐基板70の中心を基準としてハウジング10の幅方向の端部に隣接して配置され、この際、斜めに傾斜した形態で多数個が所定距離離隔して配置され得る。DCDC‐DTA72は、端部に配置された複数のFPGA71の間に相当するF‐基板70の中心に長手方向に長く少なくとも2列に配置され得る。本発明の一実施形態においては、F‐基板70の中心を基準として幅方向の一側に3個のFPGA71が長手方向に所定距離離隔して配置され、且つ、これに対称して、F‐基板70の中心を基準として、幅方向の他側に3個のFPGA71が長手方向に所定距離離隔して配置されたものを採用した。しかし、実施形態によっては、FPGA71の個数がより増加し得ることは言うまでもなく、減少して設計し得ることは当前であると言える。
【0042】
ただし、本発明の一実施形態では、FPGA71が、実際、本発明に係るMIMOアンテナ装置1が設置されるときに、第1設置空間S1側が第2設置空間S2側よりも相対的に上部に位置する場合、後述する側面放熱部40のうちヒートパイプ群からなる熱伝逹部44の配置設計が容易になるように、斜めに傾斜した形態で配置され得る。これについては、以下でより詳細に説明する。
【0043】
本発明に係る多入力多出力アンテナ装置1の実施形態は、
図1および
図2に示されているように、FPGA71アセンブリから発生した熱を上側に放熱する上側放熱部30と、ハウジング10と上側放熱部30との間の幅方向の一側および幅方向の他側に突出して結合し、FPGA71アセンブリから発生した熱を一側および他側に熱移動させて放熱する側面放熱部40をさらに含んでもよい。
【0044】
上側放熱部30の上面には、上側に所定長さ突出し、且つハウジング10の長手方向に長く形成され、ハウジング10の幅方向に所定距離離隔して配置された複数の上側放熱リブ31が備えられ得る。
【0045】
ここで、上側放熱部30は、F‐基板70に備えられたFPGA71およびDCDC‐DTA72のような単位発熱素子から発生した熱の一部を上部に熱誘導して放熱する働きをする。
【0046】
より詳細には、上側放熱部30の下面には、
図5および
図6に示されているように、FPGA71およびDCDC‐DTA72のうちDCDC‐DTA72の上面に直接熱接触する熱接触突起33が下方に突出して形成され得る。熱接触突起33は、上側放熱部30がハウジング10の他側上面に完全に装着されるときに、DCDC‐DTA72の上面と熱接触するように設計され得る。
【0047】
なお、上側放熱部30の下面には、後述するように、FPGA71から発生した熱を上述の側面放熱部40に熱誘導する熱伝逹部44の一部が収容されて直接熱接触するように上側に窪んで形成された熱接触溝部35が形成され得る。熱接触溝部35も同様に、上側放熱部30がハウジング10の他側上面に装着されるときに、熱伝逹部44の上側面と型合わせ熱接触するように設計されることが好ましい。
【0048】
一方、側面放熱部40は、ハウジング10の幅方向の一側に突出配置された一側放熱部41と、ハウジング10の幅方向の他側に突出配置された他側放熱部42とを含むことができる。
【0049】
すなわち、側面放熱部40は、ハウジング10の長手方向の他側に形成され、この際、一側放熱部41および他側放熱部42が、それぞれ幅方向に翼状に備えられ、ハウジング10の長手方向の他側のFPGA71およびDCDC‐DTA72のような発熱素子から発生した熱を側方に誘導し放熱する役割を果たす。
【0050】
より詳細には、側面放熱部40は、
図3および
図4に示されているように、FPGA71アセンブリの上面に備えられた単位発熱素子から熱を捕集する捕集部43と、ハウジング10の幅方向の一側および他側に突出して備えられ、この際、ハウジング10の長手方向に長く形成され、ハウジング10の上下方向に所定距離離隔して配置された複数の側面放熱リブ42a、42bが備えられた放出部45と、一端部は捕集部43に連結され、他端部は放出部45に連結されて、捕集部43から捕集した熱を前記放出部45に伝達する熱伝逹部44とを含むことができる。
【0051】
特に、捕集部43は、その下面が複数個のFPGA71の上面にそれぞれ密着して熱接触配置され、その上面には、複数個のヒートパイプ群からなる上述の熱伝逹部44の下側の外周面が収容されるように半挿入された状態で熱接触配置され得る。これは、ヒートパイプそれぞれの捕集部43に対する熱接触面積を向上させるためである。複数個のヒートパイプ群からなる熱伝逹部44は、内部に熱伝逹流体が充填され得る。熱伝逹流体は、ヒートパイプの一側から熱が伝達されると、瞬間蒸発し、他側に迅速に伝達する役割を果たす。
【0052】
一方、複数個のヒートパイプ群からなる上述の熱伝逹部44の上側の外周面は、上述のとおり、上側放熱部30の下面に備えられた熱接触溝部35に型合わせ接触し、複数個のヒートパイプ群を完全に密閉することで、熱伝逹部44を介して伝達される熱が、第2設置空間S2の内部に再度伝達されないようにする。
【0053】
なお、捕集部43は、FPGA71がF‐基板70上に斜めに傾斜した形態で多数個が所定距離離隔して配置されたものに対応して配置され得る。
【0054】
より詳細には、捕集部43は、FPGA71の上面を覆うほどの面積を有する熱接触板の形態で備えられ、捕集部43の上面には、複数個のヒートパイプ群からなる熱伝逹部44の一端が半挿入された状態で配置され、この際、ヒートパイプ群の内部に充填された熱伝逹流体が気化し、自然に上側方向に容易に流動するように、ハウジング10の幅方向の一側に傾斜して配置され得る。
【0055】
したがって、熱伝逹部44の一端から捕集した熱によって熱伝逹流体が気化すると、熱伝逹部44の他端が相対的に上側に位置した場合、気化した熱伝逹流体が熱伝逹部44の他端側に自然に流動することで、熱伝逹効率が向上することができる。
【0056】
本発明の実施形態では、
図3および
図4に示されているように、一つの捕集部43の上面に4個のヒートパイプ群からなる熱伝逹部44が、所定距離離隔して平行配置されるものを採用した。
【0057】
一方、熱伝逹部44は、
図3に示されているように、ハウジング10と上側放熱部30との間に配置され、捕集部43から捕集した熱を、上側放熱部30または側面放熱部40に伝達する内側部44aと、内側部44aから延び、放出部45に挿入されて、上側放熱部30に伝達された熱以外の残熱を放出部45に伝達する外側部44bとを含むことができる。
【0058】
これについてより詳細に説明すると、単位発熱素子であるFPGA71から発生した熱は、捕集部43によって捕集された後、4個のヒートパイプ群からなる熱伝逹部44の内側部44aに伝達される。ここで、内側部44aは、
図6に示されているように、上側放熱部30の下面に形成された熱接触溝部35に上側の外周面が収容されて熱接触することから、捕集部43から伝達された熱の一部を直接接触した熱接触溝部35を介して上側放熱部30に伝達し放熱する。上側放熱部30に伝達された熱以外の残熱は、熱伝逹部44の外側部44bに伝達された後、放出部45を介してハウジング10の幅方向の一側または他側に放熱する。
【0059】
一方、内側部44aと外側部44bとが分けられる境界部位は、ハウジング10および上側放熱部30の境界の間で折り曲げられて形成され得る。ここで、外側部44bは、放出部45との熱接触面積が増加するように、前方または後方に下向きに傾斜して配置され得る。
【0060】
このように、外側部44bが内側部44aに対して前方または後方に下向きに傾斜して配置されることで、放出部45の上下高さを長く設計することなく、コンパクトに設計できるという利点を提供する。
【0061】
放出部45の上下高さは、概して、ハウジング10の長手方向の他側と上側放熱部30を合わせた高さよりも小さく形成されることが好ましい。
【0062】
一方、放出部45は、熱伝逹部44が挿入される挿入スロット48が形成され、複数の側面放熱リブがハウジング10の一側面または他側面に向かって突出して形成された内側放熱端47と、内側放熱端47の外側面と面接触して備えられ、この際、内側放熱端47との間に挿入された熱伝逹部44が配置される熱収容溝が形成された外側放熱端46とを含むことができる。
【0063】
ここで、挿入スロット48は、上述の熱伝逹部44の内側部44aと外側部44bが備えられる部位であって、折り曲げられる前の内側部44aが挿入される部位である。挿入スロット48は、4個のヒートパイプ群からなる複数個の熱伝逹部44がいずれも挿入されるように、内側放熱端47の前後に機器が形成され得る。
【0064】
一方、内側放熱端47の外側面および外側放熱端46の内側面には、上述のとおり、挿入スロット48を介して外側に延びた後、折り曲げられて、前方または後方に下向きに傾斜して配置された熱伝逹部44のうち、外側部44bの外周面の一部がそれぞれマッチするように収容される内側熱収容溝49bおよび外側熱収容溝49aが形成され得る。
【0065】
ここで、内側放熱端47の外側面と外側放熱端46の内側面は、上述の内側熱収容溝49bおよび外側熱収容溝49a以外の残りの部位全体が互いに面接触して備えられ得る。
【0066】
内側放熱端47の内側面には、ハウジング10の側面と所定距離離隔して配置され、且つ、その離隔した空間にハウジング10の一側面および他側面に向かって突出して形成され、この際、ハウジング10の長手方向に長く複数個形成された複数の内側側面放熱リブ42aが備えられ得る。
【0067】
逆に、外側放熱端46の外側面には、外側に突出して形成され、この際、ハウジング10の長手方向に長く複数個形成された複数の外側放熱リブ42bが備えられ得る。
【0068】
内側放熱端47と外側放熱端46との間に位置した熱伝逹部44の外側部44bは、外周面の半分が内側熱収容溝49bに収容されるとともに、残りの外周面の半分が外側熱収容溝49aに収容され、内側放熱端47の外側面と外側放熱端46の内側面が互いに面接触することで、FPGA71から発生した熱が、熱伝逹部44によって放出部45に誘導され放熱され得る。
【0069】
したがって、第2設置空間S2の内部に別の送風ファンを備えなくても、多入力多出力(Multiple‐Input and Multiple‐Output、MIMO)アンテナシステムを構築する単位発熱素子から発生した熱を高い放熱性能で放熱できるという利点がある。
【0070】
前記のように構成される本発明の実施形態による多入力多出力アンテナ装置1の作用様子について簡単に説明すると、以下のとおりである。
【0071】
先ず、第1設置空間S1に備えられたアンテナアセンブリ50(特に、パワーサプライユニット(PSU))52から発生した熱は、ドッキング形式で結合したハウジング10を介して直接熱伝逹された後、外側に備えられた複数個の下側放熱リブ13を介して外部に放熱される。
【0072】
次に、第2設置空間S2に備えられた複数個の単位発熱素子から発生した熱は、DCDC‐DTA72の場合、上側放熱部30の熱接触突起33によって上側放熱部30に直接熱伝逹された後、外側に備えられた複数個の上側放熱リブ31を介して外部に放熱され、FPGA71の場合、側面放熱部40の構成のうち、捕集部43によってそれぞれ熱捕集された後、熱伝逹部44を介して放出部45に熱伝達される過程中に、一部の熱は上側放熱部30の熱接触溝部35を介して上側放熱部30によって放熱され、残りの残熱は熱伝逹部44を介して放出部45に熱伝逹された後、複数の内側放熱リブ42aおよび複数の外側放熱リブ42bを介して外部に放熱される。
【0073】
このように、本発明に係る多入力多出力アンテナ装置1の実施形態によると、アンテナの個数が増加することで、直接熱発生する固定点から外側に熱伝逹を誘導して、放熱性能を極大化できるという利点がある。
【0074】
以上、本発明に係る多入力多出力アンテナ装置の実施形態について添付の図面を参照して詳細に説明した。しかし、本発明の実施形態は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者による様々な変形および均等な範囲での実施が可能であることは当然であると言える。したがって、本発明の真の権利範囲は、後述する請求の範囲によって定められると言える。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、多数の発熱素子から発生する熱の放熱性能を向上させることができる多入力多出力アンテナ装置を提供する。