(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-18
(45)【発行日】2023-08-28
(54)【発明の名称】化学機械研磨パッドのコンディショナー及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B24B 53/12 20060101AFI20230821BHJP
B24D 3/00 20060101ALI20230821BHJP
B24D 7/00 20060101ALI20230821BHJP
B24D 7/02 20060101ALI20230821BHJP
B24B 53/017 20120101ALI20230821BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20230821BHJP
【FI】
B24B53/12 Z
B24D3/00 320B
B24D3/00 340
B24D3/00 310D
B24D7/00 P
B24D7/02 B
B24B53/017 A
H01L21/304 622M
(21)【出願番号】P 2021199258
(22)【出願日】2021-12-08
【審査請求日】2021-12-08
(32)【優先日】2021-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】506398139
【氏名又は名称】中國砂輪企業股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】周 瑞麟
(72)【発明者】
【氏名】呉 旻紘
(72)【発明者】
【氏名】周 至中
(72)【発明者】
【氏名】洪 ▲ゆ▼超
【審査官】大光 太朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-192611(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0283672(US,A1)
【文献】特開2004-098214(JP,A)
【文献】特表2011-507717(JP,A)
【文献】特開2018-022877(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 53/12
B24D 3/00
B24D 7/00
B24D 7/02
B24B 53/017
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部基板と、
前記下部基板に設けられた中間基板であって、空洞部と、前記空洞部を取り囲んだ環状部とを含み、前記環状部が、環状領域に沿って間隔を開けて配列した複数の第1研磨領域と、前記第1研磨領域の間に位置する複数の第2研磨領域とを含み、
前記第1研磨領域と前記第2研磨領域は高さの差を有し、前記第1研磨領域が前記中間基板の径方向に沿って延在する前記中間基板と、
前記中間基板に設けられ、前記第1研磨領域及び前記第2研磨領域を覆うダイヤモンド薄膜であって、前記第1研磨領域を覆う複数の第1表面と、前記第2研磨領域を覆う複数の第2表面とを有する前記ダイヤモンド薄膜とを含み、
前記ダイヤモンド薄膜は複数の立体的形状集合部が形成され、前記立体的形状集合部は前記第1研磨領域と第2研磨領域に形成され、
前記ダイヤモンド薄膜には前記第1表面から隆起した複数の第1研磨先端と前記第2表面から隆起した複数の第2研磨先端とが形成され、前記第1研磨先端は第1先端高さを有し、前記第2研磨先端は第2先端高さを有し、前記第1研磨領域は前記第1研磨先端の形態によって1μm~50μmの粗さを有し、前記第2研磨領域は前記第2研磨先端の形態によって1μm~50μmの粗さを有することを特徴とする化学機械研磨パッドのコンディショナー。
【請求項2】
前記第1研磨領域の粗さは前記第2研磨領域の粗さより大きい、等しい又は小さいことを特徴とする請求項1に記載の化学機械研磨パッドのコンディショナー。
【請求項3】
単独な前記第1研磨領域の粗さは少なくとも2つ以上の範囲を含むことを特徴とする請求項1に記載の化学機械研磨パッドのコンディショナー。
【請求項4】
単独な前記第2研磨領域の粗さは少なくとも2つ以上の範囲を含むことを特徴とする請求項1に記載の化学機械研磨パッドのコンディショナー。
【請求項5】
前記第1先端高さは前記第2先端高さより大きい、等しい又は小さいことを特徴とする請求項1に記載の化学機械研磨パッドのコンディショナー。
【請求項6】
前記複数の第1研磨先端は少なくとも2組以上の前記第1先端高さを含むことを特徴とする請求項1に記載の化学機械研磨パッドのコンディショナー。
【請求項7】
前記複数の第2研磨先端は少なくとも2組以上の前記第2先端高さを含むことを特徴とする請求項1に記載の化学機械研磨パッドのコンディショナー。
【請求項8】
前記第1先端高さは5μm~300μmであることを特徴とする請求項1に記載の化学機械研磨パッドのコンディショナー。
【請求項9】
前記第2先端高さは5μm~300μmであることを特徴とする請求項1に記載の化学機械研磨パッドのコンディショナー。
【請求項10】
前記第1研磨領域と前記第2研磨領域は高さが同じであることを特徴とする請求項1に記載の化学機械研磨パッドのコンディショナー。
【請求項11】
前記第1研磨領域と前記第2研磨領域の高さの差は1μm~300μmであることを特徴とする請求項1に記載の化学機械研磨パッドのコンディショナー。
【請求項12】
前記第1研磨領域の形状は台形、扇形、円形、多角形を含むことを特徴とする請求項1に記載の化学機械研磨パッドのコンディショナー。
【請求項13】
前記第1研磨領域がバンプで、前記ダイヤモンド薄膜が前記第1研磨領域を覆って前記バンプに従って複数の研磨バンプを形成しており、隣接する前記研磨バンプは互いに距離を開けており、前記距離は前記バンプの幅の1倍~5倍であることを特徴とする請求項1に記載の化学機械研磨パッドのコンディショナー。
【請求項14】
前記第1研磨領域がバンプで、前記ダイヤモンド薄膜が前記第1研磨領域を覆って前記バンプに従って複数の研磨バンプを形成しており、前記研磨バンプは前記中間基板の前記径方向に対して弧度を有することを特徴とする請求項1に記載の化学機械研磨パッドのコンディショナー。
【請求項15】
前記第1研磨領域がバンプで、前記ダイヤモンド薄膜が前記第1研磨領域を覆って前記バンプに従って複数の研磨バンプを形成しており、前記研磨バンプは上面と、前記上面に形成された規則的に又は不規則的に配列した複数の立体的形状とを含むことを特徴とする請求項1に記載の化学機械研磨パッドのコンディショナー。
【請求項16】
各前記研磨バンプの前記上面は1平方ミリメートル当たり前記立体的形状の数量が10~250であることを特徴とする請求項15に記載の化学機械研磨パッドのコンディショナー。
【請求項17】
隣接する前記立体的形状の中心点の間には、前記立体的形状の幅の1倍~8.3倍となる第1距離を有することを特徴とする請求項15に記載の化学機械研磨パッドのコンディショナー。
【請求項18】
前記中間基板が、モリブデン、タングステン及び炭化タングステンからなる群から選ばれる導電性材料であることを特徴とする請求項1に記載の化学機械研磨パッドのコンディショナー。
【請求項19】
前記中間基板が、シリコン又は単結晶アルミナなる非導電性材料であることを特徴とする請求項1に記載の化学機械研磨パッドのコンディショナー。
【請求項20】
前記中間基板の材質は導電性の炭化ケイ素又は非導電性の炭化ケイ素であることを特徴とする請求項1に記載の化学機械研磨パッドのコンディショナー。
【請求項21】
前記下部基板と前記中間基板との間に設けられた接着層をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の化学機械研磨パッドのコンディショナー。
【請求項22】
前記第1研磨領域が1周であることを特徴とする請求項1に記載の化学機械研磨パッドのコンディショナー。
【請求項23】
前記第1研磨領域が2~20の周数を有することを特徴とする請求項1に記載の化学機械研磨パッドのコンディショナー。
【請求項24】
隣接する前記第1研磨領域は互い違いになることを特徴とする請求項23に記載の化学機械研磨パッドのコンディショナー。
【請求項25】
前記下部基板が平面の基板で、前記中間基板が前記平面の基板に設けられることを特徴とする請求項1に記載の化学機械研磨パッドのコンディショナー。
【請求項26】
前記下部基板が前記中間基板を収容する環状収容溝を有することを特徴とする請求項1に記載の化学機械研磨パッドのコンディショナー。
【請求項27】
前記環状部が、互いに隣接してつなぎ合わせる複数の構成部分を含むことを特徴とする請求項1に記載の化学機械研磨パッドのコンディショナー。
【請求項28】
前記構成部分の数量は2つ~6つであることを特徴とする請求項27に記載の化学機械研磨パッドのコンディショナー。
【請求項29】
前記中間基板が円形基板であることを特徴とする請求項1に記載の化学機械研磨パッドのコンディショナー。
【請求項30】
支持コラムと、前記支持コラムに設けられた研磨粒子と、前記支持コラムと前記研磨粒子とを接着させるための研磨材接着層とを含む、複数の研磨ユニットをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の化学機械研磨パッドのコンディショナー。
【請求項31】
中間基板を提供するステップであって、前記中間基板が空洞部と、前記空洞部を取り囲んだ環状部とを含み、前記環状部が、環状領域に沿って間隔を開けて配列した複数の第1研磨領域と、前記第1研磨領域の間に位置する複数の第2研磨領域とを含み、
前記第1研磨領域と前記第2研磨領域は高さの差を有し、前記第1研磨領域が前記中間基板の径方向に沿って延在するステップと、
前記中間基板にダイヤモンド薄膜を形成させるステップであって、前記ダイヤモンド薄膜が前記第1研磨領域及び前記第2研磨領域を覆い、前記ダイヤモンド薄膜が前記第1研磨領域を覆う複数の第1表面と、前記第2研磨領域を覆う複数の第2表面とを有
し、前記ダイヤモンド薄膜は複数の立体的形状集合部が形成され、前記立体的形状集合部は前記第1研磨領域と第2研磨領域に形成されるステップであって、前記ダイヤモンド薄膜には前記第1表面から隆起した複数の第1研磨先端と前記第2表面から隆起した複数の第2研磨先端とが形成され、前記第1研磨先端は第1先端高さを有し、前記第2研磨先端は第2先端高さを有し、前記第1表面は前記第1研磨先端の形態によって1μm~50μmの粗さを有し、前記第2表面は前記第2研磨先端の形態によって1μm~50μmの粗さを有するステップと、
前記中間基板を下部基板に設けるステップとを含むことを特徴とする化学機械研磨パッドのコンディショナーの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンディショナーに関し、特に化学機械研磨パッドのコンディショナー及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハーの製造プロセスでは、ウェハーの表面の平坦化を実現するために、一般に化学機械研磨プロセスが用いられる。回転定盤に固定された研磨パッドをウェハーに当てて研磨を行う。研磨で生成した屑とスラリーが研磨パッドの孔に蓄積するため、使用時間が長くなると研磨パッドが損なわれて研磨効果が悪化する。そのため、一般にはコンディショナーを用いて研磨パッドに残っている屑とスラリーを除去する。
【0003】
従来の化学機械研磨パッドのコンディショナーは、主に、ダイヤモンド粒子を研磨材とするものと、化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition、CVD)によって堆積されたダイヤモンド薄膜を研磨材とするものの2種類である。
【0004】
化学気相成長法によって堆積されたダイヤモンド薄膜を研磨材とする化学機械研磨パッドのコンディショナーの場合は、例えば、従来技術として特許文献1のような化学機械研磨パッドの調整具がある。当該調整具は、セラミック材料と好ましくは未反応の炭化物形成材料から形成された基材に施されたCVDダイヤモンド被覆を含み、しかも使用しやすさのために、確定した又は確定しない隆起した特徴的構造を備える。前記隆起した特徴的構造は同心円、切れた又は交差した同心円、らせん、切れたらせん、長方形、切れた長方形などを含む。
【0005】
本願に先立って出願人が提出した特許文献2には、化学機械研磨パッドのコンディショナーが開示される。下部基板と、中間基板と、研磨層とを含み、当該中間基板は当該下部基板に設けられ、且つ空洞部と、当該空洞部を取り囲んだ環状部と、当該下部基板から離間し当該環状部から隆起した少なくとも1つの隆起環とを含み、当該隆起環は環状領域に沿って間隔を開けて配列した複数のバンプを含み、当該バンプは当該中間基板の径方向に沿って延在し、ダイヤモンド層は当該中間基板に設けられ、当該バンプに従って複数の研磨バンプが形成され、当該研磨バンプの上面は平坦でもよいし粗くてもよい。
【0006】
他にも特許文献3の平坦化化学機械研磨パッドのコンディショナーがあり、第1組の隆起部と第2組の隆起部とを有する基板を含み、当該第1組の隆起部は第1平均高さを有し当該第2組の隆起部は第1平均高さと異なる第2平均高さを有し、且つ当該第1組の隆起部及び当該第2組の隆起部の上部にはいずれも多結晶ダイヤモンドが被覆されている。当該出願の説明書の記載によると、第1組の隆起部の1つ又は複数の隆起部の遠位端の表面は不規則的で又は粗くてもよく且つ第2組の隆起部の各隆起部の遠位端の表面は不規則的で又は粗くてもよく、別の実施例では、第1組の隆起部の1つ又は複数の隆起部の上部は平坦な表面を有し、且つ第2組の隆起部の各隆起部の上部は平坦な表面を有してもよい。
【0007】
CVDダイヤモンド薄膜を研磨材とする前記化学機械研磨パッドのコンディショナーには研磨粒子が接着されてもよく、本願に先立って出願人が提出した特許文献4には化学機械研磨用コンディショナーが開示されている。同心円のように形成された中心面と外周面が画成された表面を備える基台を含み、当該中心面が陥没して陥没部が形成され、当該外周面は中心面を取り囲み且つ陥没して複数の装着孔が形成され、複数のスライドブロックが装着孔の間に分布するよう外周面に設けられ、各スライドブロックはスライドブロック修整面を有する。当該化学機械研磨用コンディショナーは当該装着孔に対応して設けられた複数の修整コラムをさらに有し、当該修整コラムはコラム部と、当該コラム部の上面に装着された研磨材とを含む。
【0008】
従来の特許文献には粗い上面を有する研磨バンプの言及があるが、当該粗い上面の定義又は説明は見当たらなかった。特許文献3の明細書では、その粗さ又は不規則的な表面が、少なくとも炭化ケイ素に変わる多孔質グラファイト基板の粗さに関係すると記載している程度で、当該上面が粗くてもそうでなくても実施形態の範疇の問題で、別の実施例として平坦な上面であってもよい。そのため、当該研磨バンプの上面の形態は当該先行特許の技術要項ではないことが分かる。
【0009】
特許文献5は研磨パッド領域のコンディショナー及びその製造方法を開示している。コンディショナーは少なくとも片側に複数の幾何学的形状の隆起物を備えて形成された基板と、幾何学的形状の隆起物を備える当該基板の側縁の全面に形成された厚さが均一なダイヤモンド層とを含む。当該複数の幾何学的形状の隆起物は平坦な上面を有し、又は陥没した歯溝から形成された複数の小さな幾何学的形状の隆起物の上面を含む。
【0010】
特許文献6の化学機械研磨用コンディショナーの中間基板は空洞部と、当該空洞部を取り囲んだ環状部と、当該下部基板から離間し当該環状部から隆起した少なくとも1つの隆起環とを含む。当該隆起環は環状領域に沿って間隔を開けて配列した複数のバンプを含む。ダイヤモンド薄膜は当該中間基板に設けられ、当該ダイヤモンド薄膜は当該バンプに従って複数の研磨バンプを形成させている。
【0011】
上記の先行特許のように従来の化学機械研磨用コンディショナーの当該上面に対する改良で、複数の非平面のバンプを付与し、当該複数のバンプを特定の形状に配列させることによって、研磨又は切削の速度が一致し、除去性能が向上するなどの効果が得られるが、実際の加工に用いると、研磨パッドの細孔に残っている屑が依然として効果的に除去できないため、化学機械研磨用コンディショナーの耐用年数に影響がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】台湾特許公開第200948533号
【文献】台湾特許公開第201805117号
【文献】台湾特許公開第201249595号
【文献】台湾特許公開第201630689号
【文献】台湾特許登録第147104号
【文献】台湾特許登録第I616279号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、化学機械研磨パッドから不純物又は切削屑を効果的に除去でき、耐用年数が延長している化学機械研磨パッドのコンディショナーを提供する。
【0014】
本発明は、化学機械研磨パッドから不純物又は切削屑を効果的に除去でき、耐用年数が延長している化学機械研磨パッドのコンディショナーの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の化学機械研磨パッドのコンディショナーは、
下部基板と、
当該下部基板に設けられた中間基板であって、空洞部と、当該空洞部を取り囲んだ環状部とを含み、当該環状部が、環状領域に沿って間隔を開けて配列した複数の第1研磨領域と、当該第1研磨領域の間に位置する複数の第2研磨領域とを含み、当該第1研磨領域が当該中間基板の径方向に沿って延在する当該中間基板と、
当該中間基板に設けられ、当該第1研磨領域及び当該第2研磨領域を覆うダイヤモンド薄膜であって、当該第1研磨領域を覆う複数の第1表面と、当該第2研磨領域を覆う複数の第2表面とを有する当該ダイヤモンド薄膜とを含み、
当該ダイヤモンド薄膜には当該第1表面から隆起した複数の第1研磨先端と当該第2表面から隆起した複数の第2研磨先端とが形成され、当該第1研磨先端は第1先端高さを有し、当該第2研磨先端は第2先端高さを有し、当該第1研磨領域は当該第1研磨先端の形態によって1μm~50μmの粗さを有し、当該第2研磨領域は当該第2研磨先端の形態によって1μm~50μmの粗さを有する。
【0016】
本発明の化学機械研磨パッドのコンディショナーの製造方法は、
中間基板を提供するステップであって、当該中間基板が空洞部と、当該空洞部を取り囲んだ環状部とを含み、当該環状部が、環状領域に沿って間隔を開けて配列した複数の第1研磨領域と、当該研磨領域の間に位置する複数の第2研磨領域とを含み、当該第1研磨領域が当該中間基板の径方向に沿って延在するステップと、
当該中間基板にダイヤモンド薄膜を形成させるステップであって、当該ダイヤモンド薄膜が当該第1研磨領域及び当該第2研磨領域を覆い、当該第1研磨領域を覆う複数の第1表面と、当該第2研磨領域を覆う複数の第2表面とを有するステップであって、当該ダイヤモンド薄膜には当該第1表面から隆起した複数の第1研磨先端と当該第2表面から隆起した複数の第2研磨先端とが形成され、当該第1研磨先端は第1先端高さを有し、当該第2研磨先端は第2先端高さを有し、当該第1表面は当該第1研磨先端の形態によって1μm~50μmの粗さを有し、当該第2表面は当該第2研磨先端の形態によって1μm~50μmの粗さを有するステップと、
当該中間基板を下部基板に設けるステップとを含む。
【発明の効果】
【0017】
本発明の化学機械研磨パッドのコンディショナーはダイヤモンド薄膜に複数の第1研磨先端が、第2研磨領域に複数の第2研磨先端が形成されている。従来技術と比べて、本発明の化学機械研磨パッドのコンディショナーは均一性が向上しており、均一性がより優れた化学機械研磨パッドのコンディショナーを用いて修整を行う場合は、細孔に残っている屑でも支障なく除去できるため、除去性能が向上している。当該利点により、本発明の化学機械研磨用コンディショナーの耐用年数が延長する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は本発明の第1実施例の化学機械研磨パッドのコンディショナーを上から見た図である。
【
図2C】
図2Cは本発明の一実施例の化学機械研磨パッドのコンディショナーの断面模式図である。
【
図3B】
図3Bは本発明の一実施例の化学機械研磨パッドのコンディショナーの部分の立体的模式図である。
【
図4A】
図4Aは本発明の第2実施例の化学機械研磨パッドのコンディショナーを上から見た図である。
【
図5】
図5は本発明の第2実施例の別の態様の化学機械研磨パッドのコンディショナーを上から見た図である。
【
図6】
図6は本発明の第3実施例の化学機械研磨パッドのコンディショナーを上から見た図である。
【
図7】
図7は本発明の一実施例の化学機械研磨パッドのコンディショナーの模式図である。
【
図8】
図8は本発明の一実施例の化学機械研磨パッドのコンディショナーの模式図である。
【
図9】
図9は本発明の一実施例の化学機械研磨パッドのコンディショナーの製造方法のプロセスである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の上述した及び他の技術内容、特徴及び効果は、図面を添える次の好ましい実施例の詳細な説明から明らかになる。下記の実施例で使用する方向を表す用語、例えば、上、下、左、右、前、後などが、図面に準拠する方向である。そのため、方向を表す前記用語は本発明の限定ではなく、説明のために使用される。
【0020】
(第1実施例)
本発明の第1実施例の化学機械研磨パッドのコンディショナー1を上から見た図である
図1、A-A’方向の断面模式図である
図2A、B-B’方向の断面模式図である
図2Bを参照して説明する。
【0021】
本発明の化学機械研磨パッドのコンディショナー1は主に下部基板10と、中間基板20と、ダイヤモンド薄膜30とを含む。中間基板20は下部基板10に設けられ、ダイヤモンド薄膜30は中間基板20を覆う。
【0022】
中間基板20は空洞部21と、空洞部21を取り囲んだ環状部22とを含む。環状部22は環状領域に沿って間隔を開けて配列した複数の第1研磨領域221と、第1研磨領域221の間に位置する複数の第2研磨領域222とを含む。第1研磨領域221は中間基板20の径方向に沿って延在する。第1研磨領域221は複数の第1先端221aを含み、第2研磨領域222は複数の第2先端222aを含む。
【0023】
図2A及び
図2Bに示すとおり、本実施例では、ダイヤモンド薄膜30は中間基板20に設けられる。ダイヤモンド薄膜30は第1研磨領域221及び第2研磨領域222を覆う。ダイヤモンド薄膜30には第1表面31から隆起した複数の第1研磨先端311が形成される。第2表面32には第2表面32から隆起した複数の第2研磨先端321が形成される。本実施例では、第1研磨先端311及び第2研磨先端321はダイヤモンド薄膜30の中間基板20を覆う構造によって形成される。第1研磨先端311は第1先端高さH1を有し、第2研磨先端321は第2先端高さH2を有する。ダイヤモンド薄膜30は中間基板20に設けられる。ダイヤモンド薄膜30は第1研磨領域221を覆う。本実施例では、第1研磨領域221は第1研磨先端311の形態によって1μm~50μmの粗さ(surface roughness)を有し、第2研磨領域222は第2研磨先端321の形態によって1μm~50μmの粗さを有する。次に、構造の詳細を説明する。
【0024】
本発明の一実施例では、第1研磨領域221の粗さは第2研磨領域222の粗さより大きい、等しい又は小さい。本発明の一実施例では、単独な第1研磨領域221の粗さは少なくとも2つ以上の範囲を含み、単独な第2研磨領域222の粗さは少なくとも2つ以上の範囲を含み、例えば、単独な第1研磨領域221又は単独な第2研磨領域222の粗さは1μm~20μm及び21μm~50μmを含む。本発明の一実施例では、複数の第1研磨領域221の粗さは互いに同じでもよいし異なってもよく、複数の第2研磨領域222の粗さは互いに同じでもよいし異なってもよく、例えば、一部の第1研磨領域221又は第2研磨領域222の粗さは1μm~20μmで、また一部の第1研磨領域221又は第2研磨領域222の粗さは21μm~50μmである。本発明の一実施例では、第1先端高さH1は第2先端高さH2より大きい、等しい又は小さい。
【0025】
本発明の一実施例では、複数の第1研磨先端311の第1先端高さH1は少なくとも2つ以上の範囲を含み、複数の第2研磨先端321の第2先端高さH2は少なくとも2つ以上の範囲を含む。本発明の一実施例では、複数の第1先端高さH1は互いに同じでもよいし異なってもよく、複数の第2先端高さH2は互いに同じでもよいし異なってもよい。
【0026】
本発明の一実施例では、第1先端高さH1は5μm~300μmである。本発明の一実施例では、第2先端高さH2は5μm~300μmである。
【0027】
本発明の一実施例では、第1研磨領域221と第2研磨領域222の高さの差は1μm~300μmである。
図2Cは本発明の一実施例の化学機械研磨パッドのコンディショナーの断面模式図であり、第1研磨領域221と第2研磨領域222は高さが同じで、つまり高さの差は0μmである。
【0028】
本発明の一実施例では、第1研磨領域221はバンプ201で、ダイヤモンド薄膜30は第1研磨領域221を覆ってバンプ201に従って複数の研磨バンプ301を形成している。隣接する研磨バンプ301は互いに距離を開けており、当該距離はバンプ201の幅の1倍~5倍である。本実施例では、複数の研磨バンプ301は中間基板20の径方向に対して弧度を有する。つまり、
図1に示すように、第1研磨領域221は上からは湾曲する断片のように見える。別の実施例では、第1研磨領域221の形状は台形、扇形、円形、多角形又は他の形状で、第1研磨領域221は放射線又はらせんのように配置してもよい。
【0029】
詳しく言えば、下部基板10は平面の基板でもよいし中間基板20を収容する溝が設けられた非平面の基板でもよい。本実施例では、
図1に示すように、下部基板10は中間基板20を収容する環状収容溝10bを有する。本発明の下部基板10に相応しい材料は例えば、ステンレス鋼、金属材料、高分子材料、セラミック材料又はそれらの組み合わせである。中間基板20は下部基板10に設けられ、且つ中間基板20を構成する材料は導電性の炭化ケイ素でもよいし非導電性の炭化ケイ素でもよい。本発明の一実施例では、中間基板20は導電性材料で、当該導電性材料はモリブデン、タングステン、炭化タングステン又はそれらの組み合わせを含む。本発明の別の実施例では、中間基板20は非導電性材料で、当該非導電性材料はシリコン又は単結晶アルミナである。
【0030】
本実施例では、中間基板20は空洞部21と、空洞部21を取り囲んだ環状部22とを含む。環状部22にはレーザー加工によって複数のバンプ201が形成される。バンプ201が環状部22に沿って配列されて第1研磨領域221が形成される。場合によっては、バンプ201が空洞部21を中心に配列されて少なくとも1周の第1研磨領域221が形成される。例えば、1周~20周の第1研磨領域221で、好ましくは2周~20周の第1研磨領域221である。本実施例では、第1研磨領域221が2周であるのを例に説明する。この場合に、隣接する第1研磨領域221の1周目と2周目のバンプ201は互い違いになる。本発明の一実施例では、第1研磨領域221は2~20の周数を有し、別の実施例では、第1研磨領域221は1周としてもよい。バンプ201の形状は台形、扇形、円形、多角形又は他の形状である。本実施例では、バンプ201は当該レーザー加工によって切削して形成される。別の実施例では、放電加工又はダイカスト法などによってバンプ201が形成されてもよく、本発明ではこれについて特に限定されない。
【0031】
本実施例では、ダイヤモンド薄膜30は化学気相成長法によって形成される。当該化学気相成長法としては、熱フィラメント法(filament CVD)、プラズマ化学気相成長法(PECVD)、マイクロ波プラズマ化学気相成長法(MPCVD)、他の類似の方法が挙げられる。中間基板20のバンプ201に従って中間基板20の表面を覆って複数の研磨バンプ301を形成している。
【0032】
中間基板20の表面はパターニング化した構造を有し、本実施例では、当該パターニング化した構造とは当該複数の先端から構成された形態で、当該パターニング化した構造はバンプ201と同じプロセス(例えば、当該レーザー加工)において形成されてもよい。当該パターニング化した構造はバンプ201の上面及び中間基板20の環状部22のバンプ201が形成されていない表面に形成される。
【0033】
図3Aが参照されるとおり、ダイヤモンド薄膜30は中間基板20の形状に従って形成され、研磨バンプ301の上面3011がバンプ201の当該パターニング化した構造に対応する形態を形成して、第1研磨先端311は定義され、且つ研磨バンプ301の間に第2研磨先端321が定義される。本発明の一実施例では、当該パターニング化した構造は規則的に又は不規則的に配列した複数の立体的形状3012を含む。別の実施例では、立体的形状3012は規則的に又は不規則的に配列した複数の三角錐、四角錐、五角錐、六角錐、七角錐、八角錐、三角柱、四角柱、五角柱、六角柱、七角柱、八角柱、円錐、円柱、楕円錐、楕円柱又はそれらの組み合わせで、当該パターニング化した構造により研磨バンプ301の上面3011は2~20の中心線平均粗さ(Ra)を有する。本発明の一実施例では、立体的形状3012の中心点と隣接する立体的形状3012の中心点とは第1距離D1を有し、第1距離D1は立体的形状3012の幅D0の1倍~8.3倍である。
【0034】
本実施例では、接着層40によって下部基板10と中間基板20が接着される。接着層40としては付着を実現できるものであれば、例えば樹脂など、任意の材料を使用できる。別の実施例では、ろう付け又は機械的結合によって中間基板20が下部基板10に固定されてもよい。
【0035】
図3Aが参照されるとおり、当該化学機械研磨パッドのコンディショナー1を上から見ると、複数の研磨バンプ301によって形成された第1研磨領域221及び2つの研磨バンプ301の間に形成された第2研磨領域222が見られ、第1研磨領域221と第2研磨領域222は高さの差を有し、第1研磨領域221は研磨パッドを修整する主な部位で、第2研磨領域222は屑の排出通路であり、修整時は、細孔に残っている屑でも支障なく除去できるため、除去性能が向上している。また、軟質の研磨パッドの修整の場合は、軟質の研磨パッドの表面が平坦でなく、軟質の研磨パッドがコンディショナー1に当てられると、低い方の第2研磨領域222は研磨パッドの修整の補助的な部位として効果的に機能できる。
【0036】
本実施例では、研磨バンプ301の1平方ミリメートル(mm
2)に含まれる立体的形状3012の数量は10~250である。上面3011又は第2研磨領域222における立体的形状3012の配列の形態は特に限定されない。例えば、
図3Aに示すとおり、研磨バンプ301の上面3011に2つの立体的形状集合部303が配列して形成される。立体的形状集合部303の間には少なくとも1つの平坦な領域304を有する。平坦な領域304には研磨バンプ301が含まれない。別の実施例では、上面3011は2つの以上の立体的形状集合部303を有する。別の実施例では、立体的形状3012は集まって立体的形状集合部303を形成しているのではなく、上面3011に均一に分布している。
【0037】
本発明の一実施例の化学機械研磨パッドのコンディショナーの部分の立体的模式図である
図3Bを参照する。本実施例では、ダイヤモンド薄膜30には異なる形態の立体的形状集合部303a、303b、303c、303dが形成され、立体的形状集合部303a、303bが第1研磨領域221に形成され、立体的形状集合部303c、303dが第2研磨領域222に形成される。
【0038】
一実施例では、
図3Bに示すとおり、第1研磨領域221の立体的形状集合部303a、303bはサイズが異なる隆起部である。また、第1研磨領域221の立体的形状集合部303aと第2研磨領域222の立体的形状集合部303cは先端高さが同じで且つ/又は同じ粗さであってもよく、つまり立体的形状集合部303aと303cは同じであり、第1研磨領域221の立体的形状集合部303bと第2研磨領域222の立体的形状集合部303dは先端高さが同じで且つ/又は同じ粗さであってもよく、つまり立体的形状集合部303bと303dは同じである。又は、第1研磨領域221の立体的形状集合部303aと第2研磨領域222の立体的形状集合部303cは先端高さが異なり且つ/又は粗さが異なってもよく、つまり立体的形状集合部303aと303cは異なり、第1研磨領域221の立体的形状集合部303bと第2研磨領域222の立体的形状集合部303dは先端高さが異なり且つ/又は粗さが異なってもよく、つまり立体的形状集合部303bと303dは異なる。
【0039】
(第2実施例)
本発明の化学機械研磨パッドのコンディショナー1の第2実施例を示す
図4Aを参照して説明する。第2実施例では、さらに複数の研磨ユニット50を含む以外は、当該化学機械研磨パッドのコンディショナー1の構造は前記第1実施例とほぼ同じである。
【0040】
図4AのC-C’方向の断面模式図である
図4Bも合わせて参照する。本発明の第2実施例の化学機械研磨パッドのコンディショナー1では、研磨ユニット50は支持コラム51と、支持コラム51に設けられた研磨粒子52と、支持コラム51と研磨粒子52を接着させるための研磨材接着層53とを含む。第2実施例では、研磨ユニット50は下部基板10の中間基板20の空洞部21に対応する位置に設けられる。本発明の第2実施例の別の態様の化学機械研磨パッドのコンディショナー1を上から見た図である
図5が参照されるとおり、研磨ユニット50は下部基板10の外周部10aに設けられる。
【0041】
図6は本発明の一実施例の化学機械研磨パッドのコンディショナーの模式図である。本実施例では、環状部22は互いに隣接してつなぎ合わせる複数の構成部分22a、22b、22c、22dを含む。一続きの環状の構造よりは複数の構成部分の方が量産しやすく、コストの大幅な削減と生産効率の向上に役立つ。本発明の一実施例では、当該構成部分の数量は2つ~6つで、最も好ましくは、当該構成部分の数量は4つである。
【0042】
図7は本発明の一実施例の化学機械研磨パッドのコンディショナーの模式図である。本実施例では、環状部22の第1研磨領域221(バンプ201)は扇形で、且つ互いに等距離に配列される。
図8は本発明の一実施例の化学機械研磨パッドのコンディショナーの模式図である。本実施例では、環状部22の第1研磨領域221(バンプ201)は短冊状で、放射線のように配列され、これにより当該化学機械研磨パッドのコンディショナー1の研磨の結果が様々である。別の実施例では、バンプ201はより多くの異なる形状の組み合わせに配列されてもよく、例えば同心円、切れた又は交差した同心円、らせん、切れたらせん、長方形、切れた長方形などのように配列される。
【0043】
上記の図に合わせて、当該化学機械研磨パッドのコンディショナー1の製造方法のプロセスである
図9が参照されるとおり、当該化学機械研磨パッドのコンディショナー1の製造方法は以下のステップを含む。
(S1)中間基板20を提供し、中間基板20は空洞部21と、空洞部21を取り囲んだ環状部22とを含む。
【0044】
(S2)中間基板20にダイヤモンド薄膜30を形成させ、ダイヤモンド薄膜30は第1研磨領域221及び第2研磨領域222を覆い、ダイヤモンド薄膜30には第1表面31から隆起した複数の第1研磨先端311と第2表面32から隆起した複数の第2研磨先端321とが形成される。
【0045】
本発明の一実施例では、環状部22には電気加工法(例えば、放電加工、レーザー加工)又はダイカスト法により複数のバンプ201が付与される。例えば、導電性材料を当該中間基板とする場合には、放電加工は適用する。非導電性材料を当該中間基板とする場合には、レーザー加工を用いて環状部22にバンプ201を形成させてもよい。また、ダイカスト法により成形時に直接的に上記の構造を得てもよい。例えば、粉末を所望の形状にして焼結成形を行う。
【0046】
(S3)中間基板20を下部基板10に設ける。
【0047】
本発明の化学機械研磨パッドのコンディショナー1はバンプ201に複数の第1研磨先端311が、第2研磨領域222に複数の第2研磨先端321が形成されている。従来技術と比べて、本発明の化学機械研磨パッドのコンディショナー1は均一性が向上しており、均一性がより優れた化学機械研磨パッドのコンディショナーを用いて修整を行う場合は、細孔に残っている屑でも支障なく除去できるため、除去性能が向上している。当該利点により、本発明の化学機械研磨用コンディショナーの耐用年数が延長する。
【0048】
上述したのが本発明の詳細な説明で、本発明の好ましい実施例に過ぎないため、本発明の実施の範囲を限定するものではない。本発明の請求範囲に基づく同等の変更と変形などは、いずれも本発明の範囲に含まれるものとして扱う。
【符号の説明】
【0049】
1 化学機械研磨パッドのコンディショナー
10 下部基板
10a 外周部
10b 環状収容溝
20 中間基板
21 空洞部
22 環状部
30 ダイヤモンド薄膜
31 第1表面
32 第2表面
40 接着層
50 研磨ユニット
51 支持コラム
52 研磨粒子
53 研磨材接着層
201 バンプ
221 第1研磨領域
221a 第1先端
222 第2研磨領域
222a 第2先端
301 研磨バンプ
303、303a、303b、303c、303d 立体的形状集合部
304 平坦な領域
311 第1研磨先端
321 第2研磨先端
3011 上面
3012 立体的形状
D1 第1距離
D0 幅
H1 第1先端高さ
H2 第2先端高さ