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特許7334226局所的かつ選択的に伸長可能な領域がある薄い壁があるファッションアイテム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-18
(45)【発行日】2023-08-28
(54)【発明の名称】局所的かつ選択的に伸長可能な領域がある薄い壁があるファッションアイテム
(51)【国際特許分類】
   A44C 5/00 20060101AFI20230821BHJP
   A44C 27/00 20060101ALI20230821BHJP
【FI】
A44C5/00 501A
A44C5/00 502Z
A44C27/00
A44C5/00 501Z
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021200652
(22)【出願日】2021-12-10
(65)【公開番号】P2022119711
(43)【公開日】2022-08-17
【審査請求日】2021-12-10
(31)【優先権主張番号】21155224.5
(32)【優先日】2021-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ・フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】ソフィ・ナーポリ
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】スイス国特許発明第711917(CH,A5)
【文献】国際公開第2006/057199(WO,A1)
【文献】特開2006-264309(JP,A)
【文献】登録実用新案第060886(JP,Z1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0250782(US,A1)
【文献】特開昭61-37164(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44C 5/00
A44C 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
局所的かつ選択的に伸長可能な領域があるフレキシブルな薄い壁があるファッションアイテム(100)であって、
前記薄い壁には、内部コア(30)、支持層(10)及び被覆層(20)があり、
前記内部コア(30)は、液体と接触して伸長することができるライニング材料によって作られており、
前記支持層(10)には、内面(12)及びその反対側の外面(11)があり、前記内面(12)上に前記内部コア(30)が配置されており、
前記支持層(10)は、前記ライニング材料の伸長が前記支持層(10)の変形を実質的に発生させないように構成しており、
前記被覆層(20)は、不浸透性であり、前記内部コア(30)を緊密に囲むように前記支持層(10)に取り付けられ、
前記被覆層(20)には、1つ又は複数の貫通穴(21)が局所的に形成されており、前記貫通穴(21)は、前記内部コア(30)の方に開いており、所定のパターンを形成するように互いに対して構成しており、
前記被覆層(20)は、前記ライニング材料の伸長が前記被覆層(20)の変形を実質的に発生させるように構成している
ことを特徴とするファッションアイテム(100)。
【請求項2】
前記ライニング材料は、親水性熱可塑性エラストマー材料、超吸収性繊維及び相溶化剤によって作られている
ことを特徴とする請求項1に記載のファッションアイテム(100)。
【請求項3】
前記ライニング材料は、硬度が約40ショアAに等しいポリウレタン、5重量%~45重量%の超吸収性繊維、及び相溶化剤によって作られている
ことを特徴とする請求項2に記載のファッションアイテム(100)。
【請求項4】
前記支持層(10)には、2つの側壁(14)を互いに接続する底壁(13)があり、
前記底壁(13)と前記側壁(14)は、前記内部コア(30)が載置される溝を形成する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のファッションアイテム(100)。
【請求項5】
前記支持層(10)は、弾性率が10MPaよりも大きく破断伸びが180%以下である材料によって作られている
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のファッションアイテム(100)。
【請求項6】
前記支持層(10)は、前記内部コア(30)に対してオーバーモールドされている
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載のファッションアイテム(100)。
【請求項7】
前記被覆層(20)は、破断伸びが600%よりも大きく600%の伸びで測定される弾性率が20MPa以下であるフレキシブルな弾性膜と、及び延伸ポリテトラフルオロエチレン膜とによって作られている積層複合体によって作られている
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載のファッションアイテム(100)。
【請求項8】
前記被覆層(20)は、オーバーモールド又はエンボス加工によって前記内部コア(30)を覆うように構成している
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載のファッションアイテム(100)。
【請求項9】
前記貫通穴(21)は、微細穿孔によって形成される
ことを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載のファッションアイテム(100)。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載のファッションアイテムであるストランドを少なくとも1つ備える
ことを特徴とするブレスレット。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか一項に記載のファッションアイテム(100)を製造する方法であって、
前記ファッションアイテム(100)は、局所的かつ選択的に伸長可能な領域がある材料によって作られ、
前記方法は、
前記被覆層(20)と前記内部コア(30)を互いに接続する第1の取り付けステップと、及び
前記支持層(10)と前記被覆層(20)が前記内部コア(30)を緊密に囲むように、前記第1の取り付けステップにおいて得られたアセンブリーに前記支持層(10)を接続する第2の取り付けステップと
を備えることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1~9のいずれか一項に記載のファッションアイテム(100)を製造する方法であって、
前記ファッションアイテム(100)は、局所的かつ選択的に伸長可能な領域がある材料によって作られ、
前記方法は、
前記支持層(10)と前記内部コア(30)を互いに接続する第1の取り付けステップと、及び
前記支持層(10)と前記被覆層(20)が前記内部コア(30)を緊密に囲むように、前記第1の取り付けステップにおいて得られたアセンブリーに前記被覆層(20)を接続する第2の取り付けステップと
を備えることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄い壁があるファッションアイテムの分野に関し、より詳細には、ユーザーが着用することができるストリップ状のアイテムの分野、例えば、特に携行型時計又は宝飾品に取り付けるように意図された、ブレスレットの分野、ストラップ、ネックレスなどの分野、に関する。
【0002】
具体的には、本発明は、局所的かつ選択的に伸長可能な領域がある薄い壁があるファッションアイテムに関する。
【0003】
本明細書において、ストリップの形、特にユーザーの手首に着用されるように意図されたブレスレットの形、である好ましいアプリケーションの1つに基づいて本発明に係るファッションアイテムを説明する。
【背景技術】
【0004】
一般的に、フレキシブルな薄い壁があるファッションアイテム、特に、ストリップ状のもの、の作成に用いられる構造と材料は、所望の審美性、そして、前記ファッションアイテムに対して意図されている機能及び/又はアプリケーションに依存する。
【0005】
特に、携行型時計製造の分野又は宝飾品の分野において、全体的又は部分的に皮革、織物繊維、ゴムのようなポリマー、又は鋼、チタン又は金のような金属性材料によって作られたブレスレットがある。
【0006】
例えば、繊維やポリマーのような材料は、スポーツ活動のためのブレスレットにおいて用いられることが意図されていることが多く、金属性材料は水中や湿度が高い環境において用いられることが意図されていることが多い。
【0007】
また、ブレスレットは、その外面に装飾性要素を備えることができ、その形は、そのブレスレットの材料に依存する。例えば、装飾性要素は、材料の組み合わせの形、ブレスレットの外面のコーティングの特定の着色又は仕上げ、ブレスレットを構成している材料の機械加工又は成型によって得られるレリーフのような形であることができる。
【0008】
ブレスレットにおける装飾の作成は、各装飾に適した特定の製造手段を実装する専用の製造プロセスに依存する。例えば、装飾は、ファッションアイテムに特定の印象を与えるのに適したダイを備えるプレス、又は所与の形の型にしたがってベース層上に装飾層をオーバーモールドするように構成している射出プレスのような特定のツールを用いて作成することができる。
【0009】
したがって、装飾を変えると、その製造プロセスを変え、多くの場合、取り付けるツールを変えることになる。
【0010】
このように、ユーザーは、市場で提供されている範囲に属する装飾の選択肢のうちの特定の装飾があるブレスレットを選択することができるが、このブレスレットの装飾は、ブレスレットの装飾を変えることに起因する前記課題に起因して、カスタマイズされておらず、また、カスタマイズ可能でもない。
【0011】
したがって、シンプルで速く低コストでユーザーの希望に応じて装飾をカスタマイズできるブレスレットの必要性がある。
【0012】
ここで、「シンプルで速い」という用語は、ブレスレットの装飾のカスタマイズには、このブレスレットのプロセスや製造手段を変えることを伴わないことを意味する。
【0013】
前記課題は、従来技術によるファッションアイテムの形、例えば、ストラップ、ネックレス、バッグ、衣類の形、にかかわらず発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、ユーザーの希望に応じて特定の装飾を作成することを構造によって可能になるようなファッションアイテムを提供することによって、前記課題を解決する。すなわち、同じ特徴、すなわち、本発明の特徴、を満たすファッションアイテムに基づいて、製造プロセスも対応する作成手段も変えずに、前記ファッションアイテムの異なる装飾パターン、を提案することが可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
このために、本発明は、局所的かつ選択的に伸長可能な領域がある、好ましくはフレキシブルな、薄い壁があるファッションアイテムに関する。前記薄い壁には、内部コア、支持層及び被覆層があり、前記内部コアは、液体、例えば水、と接触して伸長することができるライニング材料によって作られており、前記支持層には、内面及びその反対側の外面があり、前記内面上に前記内部コアが配置されており、前記支持層は、前記ライニング材料の伸長が前記支持層の変形を実質的に発生させないように構成しており、前記被覆層は、不浸透性であり、前記内部コアを緊密に囲むように前記支持層に取り付けられ、前記被覆層には、1つ又は複数の貫通穴が形成されており、前記貫通穴は、前記内部コアの方に開いており、所定のマトリックスを形成するように互いに対して構成しており、前記被覆層は、前記ライニング材料の伸長が前記被覆層の変形を実質的に発生させるように構成している。
【0016】
ファッションアイテムが液体と接触すると、液体は内部コアと接触するまで穴内に浸透し、ライニング材料の伸長を局所的に発生させ、したがって、被覆層の変形を発生させる。
【0017】
この被覆層の変形は、ファッションアイテムの目に見える面にレリーフを発生させ、穴の群によって定められるマトリックスにしたがう任意の所望のグラフィック表現に対応するように、このレリーフの形を選択することができる。
【0018】
これらの特徴のおかげで、局所的かつ選択的に伸長可能な領域がある薄い材料の壁があるファッションアイテムを得ることができ、その美的外観が、前記ファッションアイテムの製造プロセス又は製造ツールを変えることなく、例えばユーザーの特定の要望に対応するように、独特であることができる。
【0019】
好ましいことに、ファッションアイテムの販売の直前に、末端顧客などによって選択されるマトリックスにしたがって、穴を開けることができる。
【0020】
特定の実施形態において、本発明は、さらに、単独で又は技術的に可能な任意の組み合わせによって、以下の特徴のうちの1つ又は複数を有することができる。
【0021】
特定の実施形態において、前記ライニング材料は、親水性熱可塑性エラストマー材料、超吸収性繊維及び相溶化剤によって作られている。
【0022】
特定の実施形態において、前記ライニング材料は、硬度が約40ショアAに等しいポリウレタン、5重量%~45重量%の超吸収性繊維、及び相溶化剤によって作られている。
【0023】
好ましいことに、前記ライニング材料は、液体と接触しなくなったときに、初期状態、すなわち、伸長する前に占めていた状態、に戻るものを選択することができる。
【0024】
特定の実施形態において、前記支持層には、2つの側壁を互いに接続する底壁があり、前記底壁と前記側壁は、前記内部コアが載置される溝を形成する。
【0025】
特定の実施形態において、前記支持層は、弾性率が10MPaよりも大きく破断伸びが180%以下である材料によって作られている。
【0026】
特定の実施形態において、前記支持層は、前記内部コアに対してオーバーモールドされている。
【0027】
特定の実施形態において、前記被覆層は、破断伸びが600%よりも大きく600%の伸びで測定される弾性率が20MPa以下であるフレキシブルな弾性膜と、及び延伸ポリテトラフルオロエチレン膜とによって作られている積層複合体によって作られている。
【0028】
特定の実施形態において、前記被覆層は、オーバーモールド又はエンボス加工によって前記内部コアを覆うように構成している。
【0029】
特定の実施形態において、前記貫通穴は、微細穿孔、特にレーザー加工、によって形成される。
【0030】
特定の実施形態において、前記ファッションアイテムは、ストラップ、衣服、バッグ又はその他のフレキシブルな又はフレキシブルではない容器、ブレスレット、又はネックレスによって構成している。
【0031】
別の目的によると、本発明は、上記のファッションアイテムの特徴を有する少なくとも1つのストランドを備えるブレスレットに関する。
【0032】
本発明の別の態様は、局所的かつ選択的に伸長可能な領域がある材料によって作られる薄いフレキシブルな壁がある上記のファッションアイテムを製造する方法に関し、前記方法は、前記被覆層と前記内部コアを互いに接続する第1の取り付けステップと、及び前記支持層と前記被覆層が前記内部コアを緊密に囲むように、前記第1の取り付けステップにおいて得られたアセンブリーに前記支持層を接続する第2の取り付けステップとを備える。
【0033】
本発明のさらに別の態様は、局所的かつ選択的に伸長可能な領域がある材料によって作られる薄いフレキシブルな壁がある上記のファッションアイテムを製造する方法に関し、前記方法は、前記支持層と前記内部コアを互いに接続する第1の取り付けステップと、及び前記支持層と前記被覆層が前記内部コアを緊密に囲むように、前記第1の取り付けステップにおいて得られたアセンブリーに前記被覆層を接続する第2の取り付けステップとを備える。
【0034】
添付の図面を参照しながら例として与えられる以下の詳細な説明を読むことによって、本発明の他の特徴及び利点が明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の好ましい例示的な実施形態に係るブレスレットの一部の斜視図を概略的に示している。
図2図1の断面軸A-Aに沿った断面図を示している。
図3図1の断面軸B-Bに沿った断面図を示している。
図4】本発明の変異形態の1つにしたがって組み付けられた図1のブレスレットの断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、本発明にしたがって、薄い壁、好ましくは、フレキシブルであり局所的かつ選択的に伸長可能な領域、があるファッションアイテム100の好ましい例示的な実施形態の概略斜視図を示している。前記ファッションアイテム100は、携行型時計のブレスレットの形態である。
【0037】
なお、局所的かつ選択的に伸長可能な領域があるファッションアイテム100を、その技術的特徴を変更せずに、他のアプリケーションにおいて有利に用いることができる。例として、ファッションアイテム100は、ストラップ、バッグ、ネックレス、衣服、又は薄い、好ましくはフレキシブルな、壁がある他の任意のファッションアイテムの形であることができる。なお、これに限定されない。
【0038】
図1は、ライニング材料によって作られた内部コア30を緊密に囲むように被覆層20が密封形態で接続される支持層10があるような本発明の好ましい例示的な実施形態に係るブレスレットのストランドを示している。
【0039】
「接続される」という用語は、本明細書において関連する要素の間のいかなる度合いの相対的な運動をも禁止するように「取り付けられる」ことを意味する。
【0040】
好ましいことに、前記ライニング材料は、液体と接触して伸長可能である。
【0041】
例えば、前記ライニング材料は、熱可塑性エラストマー材料であることができる。
【0042】
本発明の好ましい例示的な実施形態において、前記ライニング材料は、好ましくは硬度が40ショアAに実質的に等しい、親水性熱可塑性ポリウレタンと、5重量%~45重量%、例えば、20重量%、の当業者に知られている超吸収性繊維と、そして、2重量%の、相溶化剤、例えば、ポリエチレングリコール、によって作られている。
【0043】
前記内部コア30は、成型によって直接得たり、又は予め製造されたライニング材料のプレート又はストリップから切断して得たりすることができる。
【0044】
図2及び3の断面図に示しているように、支持層10には、外面11と内面12があり、この外面11は、これらの図2及び3に示している本発明の適用例において、ブレスレットがユーザーによって着用されているときにユーザーの手首の方を向くように意図されており、内面12に対向するように内部コア30が配置される。
【0045】
特に、図1~3に示している本発明の好ましい例示的な実施形態において、支持層10には、2つの側壁14を相互接続する底壁13がある。側壁14は、底壁13が延在している方向に対して、同じ方向に、そして実質的に垂直な方向に、延在している。なお、側壁14は、底壁13から延在している任意の膨らみ、突起又はプロミナンスによって形成することができる。
【0046】
したがって、図2及び3に示しているように、底壁13は、各側壁14と組み合わさって、内部コア30を受ける溝を形成する。特に、内部コア30は、底壁13の内面12及び各側壁14に対向するように載置されるような寸法構成を有する。
【0047】
製造の容易さ及び機械的強度のために、底壁13の内面12と各側壁14の間にフィレットを形成することができる。
【0048】
好ましくは、支持層10は、ファッションアイテム100に剛性及び応力に対する機械的耐性を与えることを意図しているという意味で、ファッションアイテム100のフレームワークを構成するように意図されている。
【0049】
好ましいことに、支持層10は、ライニング材料の伸長が前記支持層10の変形を大きく発生させないように構成している。すなわち、支持層10は、このような内部コア30の体積の増加に起因する圧力に対する耐性を有し、ユーザーが知覚できるようには変形しない。
【0050】
好ましくは、支持層10は、100%の伸びで測定される弾性率が10MPaよりも大きく破断伸びが180%以下である材料によって作られている。
【0051】
このような材料は、天然皮革又は合成皮革、繊維、又はエラストマーであることができ、不織布繊維又は他の任意の適切な構成要素と組み合わさって、変形に対する機械的耐性を高めることができる。
【0052】
支持層10と被覆層20は、内部コア30を緊密に囲むように互いに接続される。
【0053】
この被覆層20には、ショック、衝撃又は摩擦、紫外線や湿度などへの曝露のような外部環境からの起こり得る攻撃から内部コア30を保護し、そして審美的な役割を果たすことに加えて、下で詳細に説明するように、前記課題の解決に寄与するという特定の目的がある。
【0054】
被覆層20は、好ましいことに、不浸透性であり、一方では内部コア30へと、他方では外部環境へと開く1つ又は複数の貫通穴21がある。貫通穴21は、所定のマトリックスを形成するように互いに対して配置される。ここで「マトリックス」という用語は、複数の穴が特定のパターンを形成することを意味する。このパターンは、ランダムに選択されたり発生したりすることができる。
【0055】
これらの貫通穴21は、好ましいことに、ファッションアイテム100の外側の環境に存在する液体が被覆層20を貫通して、その液体が内部コア30に局所的に接触することを可能にする。
【0056】
このために、貫通穴21は、好ましくは、適切な距離互いに離れるように、例えば約50μmの、微細な穿孔によって形成され、これによって、被覆層20は、内部コア30のライニング材料の伸長によって与えられる圧力に耐えるのに十分な機械的強度を維持する。このような距離は少なくとも500μmであることができる。例えば、微細な穿孔はレーザー加工によって形成される。
【0057】
また、被覆層20は、ライニング材料の伸長がその変形を相当に大きく発生させるように構成している。すなわち、被覆層20には、好ましいことに、ライニング材料の伸長によって局所的に発生する圧力が、ユーザーが知覚可能な形態で被覆層20を変形させるような相当に大きい弾性的な特徴がある。
【0058】
特に、被覆層20は、好ましくは、破断伸びが600%よりも大きく600%の伸びで測定される弾性係数が20MPa以下であるエラストマー材料などによって作られた、少なくとも1つの弾性的なフレキシブルな膜と、延伸ポリテトラフルオロエチレン膜、例えば、「Gore-Tex」の商品名で知られる膜、とによって作られている積層複合体によって作られる。
【0059】
このように、これらの特徴のおかげで、支持層10と反対の方向における貫通穴21の分布にしたがって所定の領域にわたって、そして本発明の好ましい実施形態においてその延長領域にあるユーザーの手首にて、各貫通穴21に対向する箇所にて前記ライニング材料の伸長を局所的に発生させることが可能となる。これによって、例としてブレスレットであるファッションアイテム100上に、例えばロゴ、文字又は単語、又は他の任意のグラフィック表現などを表す、審美的又は有益な機能を有するレリーフを形成する。
【0060】
実際に、上記のように、支持層10と被覆層20は、ライニング材料の伸長が、支持層10の側と実質的に反対の1つ又は複数の方向においてのみ行われ、被覆層20の方に向けられるように構成している。これによって、レリーフがユーザーに見えるようになる。
【0061】
本発明の第1の変異形態において、本発明に係るファッションアイテム100の組み付けは、支持層10と内部コア30が互いに接続される第1の取り付けステップと、次に、第1の取り付けステップにおいて得られたアセンブリーに、被覆層20が、例えば接着によって、接続される第2の取り付けステップとによって行われる。
【0062】
図2及び3の断面図に、この変異形態にしたがって組み付けられたファッションアイテム100を示している。
【0063】
このようにして、被覆層20のみを見ることができるファッションアイテム100が得られる。
【0064】
この変異形態は、支持層10が皮革によって作られている場合に好ましい。
【0065】
本発明の別の変異形態において、本発明に係るファッションアイテム100の組み付けは、被覆層20と内部コア30が互いに接続される第1の取り付けステップと、次に、第1の取り付けステップにおいて得られたアセンブリーに、支持層10が、例えば接着によって、接続される第2の取り付けステップとによって行われる。
【0066】
このようにして、被覆層20と支持層10を見ることができるファッションアイテム100が得られる。図4の断面図に、この変異形態にしたがって組み付けられたファッションアイテム100を示している。
【0067】
この変異形態は、支持層10がゴムのようなエラストマー材料によって作られている場合に好ましい。
【0068】
また、被覆層20は、支持層10の外面11の全部又は一部を覆うこともでき、これによって、支持層10を摩擦、湿度のような外部の攻撃から保護することを可能にする。
【0069】
上記の関心事の変異形態において、好ましくは、内部コア30、又は被覆層20と内部コア30によって形成されるアセンブリーに対する、支持層10の取り付けは、オーバーモールド又は接着によって行われ、これによって、ライニング材料の伸長が、所望の方向、すなわち、支持層10とは反対の方向に、確実に行われるようにする。
【0070】
好ましくは、再び、上記の関心事の変異形態において、内部コア30への、又は支持層10と内部コア30によって形成されるアセンブリーへの、被覆層20の取り付けは、エンボス加工又はオーバーモールドによって行われる。
【0071】
ブレスレットの作成を完了した後に、すなわち、支持層10、内部コア30及び被覆層20のアセンブリーが完了した後に、所定のグラフィック表現に固有の貫通穴21のマトリックスを作るようにコンピュータによって運ばれる指示に基づいて、貫通穴21を形成する微細穿孔を作ることができる。
【0072】
代わりに、貫通穴21を、支持層10、内部コア30及び被覆層20を組み付ける前の上流において、被覆層20に形成することができる。
【0073】
このように、貫通穴21のマトリックスの形をファッションアイテム100ごとに変えることによって、すなわち、貫通穴21の数及び/又は貫通穴21の構成をファッションアイテム100ごとに変えることによって、前記ファッションアイテム100の製造プロセスも製造手段も変えることなく、各ブレスレットの装飾をカスタマイズすることが可能となる。
【符号の説明】
【0074】
10 支持層
11 外面
12 内面
13 底壁
14 側壁
20 被覆層
21 貫通穴
30 内部コア
100 ファッションアイテム
図1
図2
図3
図4