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特許7334279シリコーン感圧接着剤組成物並びにその調製方法及びその使用
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  • 特許-シリコーン感圧接着剤組成物並びにその調製方法及びその使用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-18
(45)【発行日】2023-08-28
(54)【発明の名称】シリコーン感圧接着剤組成物並びにその調製方法及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C09J 183/07 20060101AFI20230821BHJP
   C09J 183/05 20060101ALI20230821BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20230821BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20230821BHJP
【FI】
C09J183/07
C09J183/05
C09J11/06
C09J7/38
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021577535
(86)(22)【出願日】2019-07-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-26
(86)【国際出願番号】 CN2019094498
(87)【国際公開番号】W WO2021000279
(87)【国際公開日】2021-01-07
【審査請求日】2022-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】チャン、チンクィ
(72)【発明者】
【氏名】リウ、チーホア
(72)【発明者】
【氏名】ホアン、フーミン
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ウェンジ
(72)【発明者】
【氏名】チュー、チョンロン
(72)【発明者】
【氏名】チュー、チアイン
【審査官】松原 宜史
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-139515(JP,A)
【文献】特開平01-033176(JP,A)
【文献】国際公開第2018/190047(WO,A1)
【文献】特表2015-512974(JP,A)
【文献】特開2001-081436(JP,A)
【文献】特開昭51-127132(JP,A)
【文献】特開平07-197008(JP,A)
【文献】特表2017-537177(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリジオルガノシロキサンガムと、(B)ポリオルガノシリケート樹脂と、(C)ヒドロシリル化反応触媒と、(D)ポリオルガノハイドロジェンシロキサンと、(E)アンカー添加剤と、(F)ヒドロシリル化反応抑制剤と、(G)溶剤と、を出発物質として含む、シリコーン感圧接着剤組成物であって、
(A)ポリジオルガノシロキサンガムが、単位式(A-1):(R SiO1/2(R SiO2/2(式中、各Rは、炭素原子1~30個の脂肪族不飽和を含まない独立して選択される一価炭化水素基であり、各Rは、炭素原子2~30個の独立して選択される一価脂肪族不飽和炭化水素基であり、下付き文字aは、前記ポリジオルガノシロキサンガムに≧500,000g/molの数平均分子量を与えるのに十分な値を有する)を有し、出発物質(A)~(F)を組み合わせた重量に基づいて18重量%~50重量%であり、
(B)ポリオルガノシリケート樹脂が、単位式(B-1):(R SiO1/2(SiO4/2(式中、下付き文字z及びoは、z>4、o>1であり、数量(z+o)は前記ポリオルガノシリケート樹脂に2,500g/mol~5,000g/molの数平均分子量を与えるのに十分な値を有するような値を有する)を有し、出発物質(A)~(F)を組み合わせた重量に基づいて50重量%~65重量%であり、出発物質(A)及び(B)は、重量比(B)/(A)(樹脂ガム比)が1.3超~2.8未満で存在し、
(C)ヒドロシリル化反応触媒が、出発物質(A)~(F)を組み合わせた重量に基づいて0.01重量%~5重量%であり、
(D)ポリオルガノハイドロジェンシロキサンが、単位式(D-1):(R SiO1/2(R SiO2/2(HR SiO2/2(式中、下付き文字eは≧0であり、下付き文字fは≧3であり、数量(e+f)は4~500である)を有し、出発物質(A)~(F)を組み合わせた重量に基づいて0.1重量%~5重量%であり、出発物質(A)及び(D)は、出発物質(D)中のケイ素結合水素原子の出発物質(A)中の脂肪族不飽和基に対するモル比(SiH/Vi比)が3.44.1であるような量で存在し、
(E)アンカー添加剤が、出発物質(A)~(F)を組み合わせた重量に基づいて0.1重量%~5重量%であり、
(F)ヒドロシリル化反応抑制剤が、出発物質(A)~(F)を組み合わせた重量に基づいて0重量%~5重量%であり、
(G)溶剤が、前記組成物中の全出発物質を組み合わせた重量に基づいて0重量%~60重量%であり、
ただし、前記シリコーン感圧組成物はフッ素化出発物質を含まない、組成物。
【請求項2】
出発物質(A)である前記ポリジオルガノシロキサンガムにおいて、各Rが、炭素原子1~10個の独立して選択されるアルキル基であり、各Rが、炭素原子2~10個の独立して選択されるアルケニル基であり、下付き文字aが、前記ポリジオルガノシロキサンガムに500,000g/mol~1,000,000g/molの数平均分子量を与えるのに十分な値を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
出発物質(B)である前記ポリオルガノシリケート樹脂において、各Rが、炭素原子1~10個の独立して選択されるアルキル基であり、下付き文字z及びoが、前記数量(z+o)が前記ポリオルガノシリケート樹脂に2900g/mol~4,700g/molの数平均分子量を与えるのに十分な値を有するような値を有する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
出発物質(C)である前記ヒドロシリル化反応触媒が、白金-オルガノシロキサン錯体を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
出発物質(D)である前記ポリオルガノハイドロジェンシロキサンにおいて、各Rが、炭素原子1~10個の独立して選択されるアルキル基であり、前記数量(e+f)が前記ポリオルガノハイドロジェンシロキサンに0.76重量%~1.6重量%のSiH含有量を与えるのに十分な値を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
各Rがメチルであり、各Rが、ビニル、アリル、及びヘキセニルからなる群から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
出発物質(E)である前記アンカー添加剤が、(E-1)ビニルトリアセトキシシラン、(E-2)グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、(E-3)(E-1)と(E-2)との組み合わせ、並びに(E-4)(E-3)と、ヒドロキシル基、メトキシ基で終端されたポリジメチルシロキサン、又はヒドロキシ基及びメトキシ基の両方で終端されたポリジメチルシロキサンとの組み合わせ、からなる群から選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
出発物質(F)である前記ヒドロシリル化反応抑制剤が存在し、(F-1)1-エチニル-1-シクロヘキサノール、(F-2)メチルブチノール、(F-3)マレイン酸ジアリル、並びに(F-4)(F-1)、(F-2)、及び(F-3)のうち2つ以上の組み合わせ、からなる群から選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
(G)前記溶剤が存在し、トルエン、キシレン、ヘプタン、エチルベンゼン、及びこれらの2つ以上の組み合わせ、からなる群から選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物を硬化させることにより調製されたシリコーン感圧接着剤。
【請求項11】
1)請求項10に記載のシリコーン感圧接着剤と、
2)第1の表面及び反対側の第2の表面を有する第1のポリマー基材であって、前記シリコーン感圧接着剤が前記第1の表面上に配置された、第1のポリマー基材と、
を含む、保護フィルム。
【請求項12】
保護フィルムを調製するための方法であって、
任意選択的に1)基材の表面を処理することと、
2)請求項1~9のいずれか一項に記載のシリコーン感圧接着剤組成物を、前記基材の前記表面上にコーティングすることと、
任意選択的に3)存在する場合、前記溶剤の一部又は全てを除去することと、
4)前記感圧接着剤組成物を硬化させることと、を含む、方法。
【請求項13】
ディスプレイガラス用の指紋防止コーティング上での、請求項11に記載の保護フィルム又は請求項12に記載の方法により調製された前記保護フィルムの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
なし
【0002】
シリコーン感圧接着剤(silicone pressure sensitive adhesive)組成物を基材上で硬化させて保護フィルムを形成することができる。保護フィルムは、表面に指紋防止コーティングを有するディスプレイガラス(AFガラス)を保護するための電子機器用途において有用である。
【背景技術】
【0003】
ディスプレイデバイスにより、ユーザは情報に容易にアクセスすることができる。しかしディスプレイデバイスには、ディプレイを損傷させ得る、又はディスプレイを見づらくし得る指紋及びその他の物質が蓄積するという欠点がある。これらの問題に対処するため、AFガラスの使用が提案されてきた。
【0004】
従来のシリコーン感圧接着剤は、AFガラスへの接着力が十分ではない場合がある。シリコーン感圧接着剤組成物中に接着を促進する添加剤を含めた場合、結果として得られるシリコーン感圧接着剤はその後、特定の基材上では、高すぎる接着力を有するためにディスプレイデバイスを作製するための効果的な加工が不可能となり得る。
【発明の概要】
【0005】
シリコーン感圧接着剤(Si-PSA)組成物及びその調製方法が開示される。Si-PSA組成物は硬化性であり、ディスプレイデバイス用の保護フィルムでの使用に好適なSi-PSAを形成する。基材の表面にSi-PSAを含む保護フィルムを、AFガラス上で使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】保護フィルム100の部分断面図を示す。 参照番号 100 保護フィルム 101 ポリマー基材 101b ポリマー基材101の表面 102 第2のSi-PSA 102a 第2のSi-PSA102の表面 102b Si-PSA102の反対側の表面 103 指紋防止ハードコーティング 103a 指紋防止ハードコーティング103の表面 103b 指紋防止ハードコーティング103の反対側の表面 104 基材 104a 基材104の表面 104b 基材104の反対側の表面 105 Si-PSA 105a Si-PSA105の表面 105b Si-PSA105の反対側の表面 106 指紋防止コーティング 106a 指紋防止コーティング106の表面 106b 指紋防止コーティング106の反対側の表面 107 ディスプレイカバーガラス 107a ディスプレイカバーガラス107の表面
【発明を実施するための形態】
【0007】
Si-PSA組成物は、(A)脂肪族不飽和基で終端されたポリジオルガノシロキサンガムと、(B)脂肪族不飽和基を含まないポリオルガノシリケート樹脂と、(C)ヒドロシリル化反応触媒と、(D)ポリオルガノハイドロジェンシロキサンと、(E)アンカー添加剤と、を含む。Si-PSA組成物は、任意選択的に、(F)ヒドロシリル化反応抑制剤、(G)溶剤、並びに(F)及び(G)の両方の組み合わせからなる群から選択される追加の出発物質を更に含んでもよい。Si-PSA組成物は、所望の基材への接着力に悪影響を及ぼし得るいずれの出発物質も含まなくてもよい。例えば、Si-PSA組成物は、アリール官能性シロキサン、フッ素化シロキサン、又はその両方を含まなくてもよい。
【0008】
出発物質(A)ポリジオルガノシロキサンガム
Si-PSA組成物は、(A)脂肪族不飽和基で終端されたポリジオルガノシロキサンガムを含む。ポリジオルガノシロキサンガムはMn≧500,000g/molを有する。ポリジオルガノシロキサンガムは、単位式(A-1):(R SiO1/2(R SiO2/2(式中、各Rは、炭素原子1~30個の脂肪族不飽和を含まない独立して選択される一価炭化水素基であり、各Rは、炭素原子2~30個の独立して選択される一価脂肪族不飽和炭化水素基であり、下付き文字aは、ポリジオルガノシロキサンガムに≧500,000g/mol、あるいは500,000g/mol~1,000,000g/mol、あるいは600,000g/mol~800,000g/molの数平均分子量を与えるのに十分な値を有する)を有し得る。
【0009】
単位式(A-1)において、各Rは、脂肪族不飽和を含まない炭素原子1~30個の独立して選択される一価炭化水素基である。あるいは、各Rは炭素原子1~12個、あるいは炭素原子1~6個を有し得る。Rに好適な一価炭化水素基は、アルキル基並びにアリール基及びアラルキル基などの芳香族基により例示される。「アルキル」は、環状、分岐状、又は非分岐状の飽和一価炭化水素基を意味する。アルキルは、メチル、エチル、プロピル(例えば、イソプロピル及び/又はn-プロピル)、ブチル(例えば、イソブチル、n-ブチル、tert-ブチル及び/又はsec-ブチル)、ペンチル(例えば、イソペンチル、ネオペンチル及び/又はtert-ペンチル)、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、並びにデシル、並びに炭素原子6個以上の分岐状アルキル基;並びにシクロペンチル及びシクロヘキシルなどの環状アルキル基、により例示されるが、これらに限定されない。「アリール」とは、完全に不飽和の環状炭化水素基を意味する。アリールは、シクロペンタジエニル、フェニル、アントラセニル及びナフチルによって例示されるが、これらに限定されない。単環式アリール基は、炭素原子5~9個、あるいは炭素原子6~7個、あるいは炭素原子5~6個を有し得る。多環式アリール基は、炭素原子10~17個、あるいは炭素原子10~14個、あるいは炭素原子12~14個を有し得る。「アラルキル」とは、ペンダント及び/若しくは末端アリール基を有するアルキル基、又はペンダントアルキル基を有するアリール基を意味する。例示的なアラルキル基としては、トリル、キシリル、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル及びフェニルブチルが挙げられる。あるいは、各Rは、アルキル及びアリールからなる群から独立して選択されてもよい。あるいは、各Rはメチル及びフェニルから独立して選択されてもよい。あるいは、各Rはアルキルであってもよい。あるいは、各Rはメチルであってもよい。
【0010】
単位式(A-1)において、各Rは、炭素原子2~30個の独立して選択される一価脂肪族不飽和炭化水素基である。あるいは、各Rは、炭素原子2~12個、あるいは炭素原子2~6個を有し得る。好適な一価脂肪族不飽和炭化水素基としては、アルケニル基及びアルキニル基が挙げられる。「アルケニル」とは、1つ以上の炭素-炭素二重結合を有する分岐状又は非分岐状の一価炭化水素基を意味する。好適なアルケニル基は、ビニル;アリル;プロペニル(例えば、イソプロペニル、及び/又はn-プロペニル)、並びにブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、及びヘプテニル(炭素原子4~7個の分岐状異性体及び直鎖状異性体を含む);及びシクロヘキセニルによって例示される。「アルキニル」とは、1つ以上の炭素-炭素三重結合を有する分岐状又は非分岐状の一価炭化水素基を意味する。好適なアルキニル基は、エチニル、プロピニル、及びブチニル(炭素原子2~4個の分岐状異性体及び直鎖状異性体を含む)によって例示される。あるいは、各Rは、ビニル、アリル、又はヘキセニルなどのアルケニルであってもよい。
【0011】
ポリジオルガノシロキサンガムは、当該技術分野において既知であり、対応するオルガノハロシランの加水分解及び縮合、又は環状ポリジオルガノシロキサンの平衡化などの方法により調製することができる。Si-PSA組成物で使用するための好適なポリジオルガノシロキサンガムの例は、
i)ジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、
ii)ジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニル)シロキサン、
iii)ジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/ジフェニル)シロキサン、
iv)フェニル、メチル、ビニル-シロキシ末端ポリジメチルシロキサン、
v)ジメチルヘキセニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、
vi)ジメチルヘキセニル-シロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニル)シロキサン、
vii)ジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/ジフェニル)シロキサン、
viii)i)~vii)のうちの2つ以上の組み合わせによって例示される。あるいは、ポリジオルガノシロキサンガムは、i)ジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、
v)ジメチルヘキセニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、並びにi)及びv)の組み合わせからなる群から選択されてもよい。
【0012】
Si-PSA組成物中のポリジオルガノシロキサンガムの量は、1.3超~2.8未満の重量比(B)(A)(すなわち、樹脂/ガム比)を提供するのに十分である。あるいは、樹脂/ガム比は、1.852.0、あるいは1.902.0、あるいは1.941.96であり得る。あるいは、出発物質(A)の量は、出発物質(A)~(F)の組み合わせた重量に基づいて(例えば、Si-PSA組成物中の溶剤を除く全出発物質を組み合わせた重量に基づいて)18重量%~50重量%であってもよい。あるいは、Si-PSA組成物中のポリジアルキルシロキサンの量は、同じ基準で、25重量%~35重量%、あるいは29重量%~31重量%であってもよい。
【0013】
出発物質(B)ポリオルガノシリケート樹脂
Si-PSA組成物は、出発物質(B)、式R SiO1/2(式中、Rは上記のとおりである)の一官能性単位(「M」単位)、及び式SiO4/2の四官能性シリケート単位(「Q」単位)を含む、ポリオルガノシリケート樹脂を更に含む。あるいは、R基の少なくとも1/3、あるいは少なくとも2/3はアルキル基(例えば、メチル基)である。あるいは、M単位は(MeSiO1/2)及び(MePhSiO1/2)により例示され得る。ポリオルガノシリケート樹脂は、ベンゼン、トルエン、キシレン、及びヘプタンなどの液体炭化水素によって例示される上記のものなどの溶剤に、又は低粘度の直鎖状及び環状ポリジオルガノシロキサンなどの液体有機ケイ素化合物に可溶性である。
【0014】
調製された場合、ポリオルガノシリケート樹脂は、上記のM単位及びQ単位を含み、ポリオルガノシロキサンはケイ素結合ヒドロキシル基を有する単位を更に含み、式Si(OSiR [式中、Rは上記のとおりである。]を含んでもよく、例えば、ネオペンタマーはテトラキス(トリメチルシロキシ)シランであってもよい。29SiNMRスペクトル法を用いて、M単位及びQ単位のヒドロキシル含有量及びモル比を測定することができ、この比は、M単位及びQ単位をネオペンタマーから外した{M(樹脂)}/{Q(樹脂)}として表される。M:Q比は、ポリオルガノシリケート樹脂における樹脂性部分のトリオルガノシロキシ基(M単位)の総数の、樹脂性部分中のシリケート基(Q単位)の総数に対するモル比を表す。M:Q比は、0.5:1~1.5:1であってもよい。
【0015】
ポリオルガノシリケート樹脂のMnは、存在するRによって表される炭化水素基の種類などの様々な要因によって異なる。ポリオルガノシリケート樹脂のMnは、ネオペンタマーを表すピークが測定値から除外されるとき、GPCを使用して測定される数平均分子量を指す。ポリオルガノシリケート樹脂のMnは、2,500g/mol~5,000g/mol、あるいは2,700g/mol~4,900g/mol、あるいは2,900g/mol~4,700g/molである。Mnを測定するための好適なGPC試験方法は、米国特許第9,593,209号第31欄の参考例1にて開示されている。
【0016】
米国特許第8,580,073号(第3欄5行目~第4欄31行目)、及び米国特許出願公開第2016/0376482号(段落[0023]~[0026])は、MQ樹脂を開示するために本明細書の一部を構成するものとして援用され、このMQ樹脂は本明細書に記載の感圧接着剤組成物での使用に好適なポリオルガノシリケート樹脂である。ポリオルガノシリケート樹脂は、対応するシランの共加水分解、又はシリカヒドロゾルキャッピング法などの任意の好適な方法によって調製することができる。ポリオルガノシリケート樹脂は、Daudtらの米国特許第2,676,182号、Rivers-Farrellの米国特許第4,611,042号、及びButlerらの米国特許第4,774,310号に開示されるものなどのシリカヒドロゾルキャッピングプロセスによって調製することができる。上記のDaudtらの方法は、酸性条件下でシリカヒドロゾルと、トリメチルクロロシランなどの加水分解性トリオルガノシラン、ヘキサメチルジシロキサンなどのシロキサン又はこれらの混合物とを反応させることと、M単位及びQ単位を有するコポリマーを回収することと、を伴う。得られるコポリマーは概して、2~5重量%のヒドロキシル基を含有する。
【0017】
ポリオルガノシリケート樹脂を調製するために使用される中間体は、4つの加水分解性置換基を有するトリオルガノシラン及びシラン又はアルカリ金属シリケートであってもよい。トリオルガノシランは、式R SiX(式中、Rは上記のとおりであり、Xは、ハロゲン、アルコキシ、アシルオキシ、ヒドロキシル、オキシモ、又はケトキシモなどの加水分解性置換基、あるいはハロゲン、アルコキシ、又はヒドロキシルなどの加水分解性置換基を表す)を有し得る。4つの加水分解性置換基を有するシランは、式SiX [式中、各Xは、ハロゲン、アルコキシ、又はヒドロキシルである。]を有することができる。好適なアルカリ金属シリケートとしては、ナトリウムシリケートが挙げられる。
【0018】
上記のように調製されたポリオルガノシリケート樹脂は、典型的には、ケイ素結合ヒドロキシル基、すなわち、式HOSi3/2及び/又はHOR SiO1/2を含有する。ポリオルガノシリケート樹脂は、FTIR分光法によって測定される、最大2%のケイ素結合ヒドロキシル基を含んでもよい。特定の用途では、ケイ素結合ヒドロキシル基の量は、0.7%未満、あるいは0.3%未満、あるいは1%未満、あるいは0.3%~0.8%であることが望ましい場合がある。ポリオルガノシリケート樹脂の調製中に形成されるケイ素結合ヒドロキシル基は、シリコーン樹脂を、適切な末端基を含有するシラン、ジシロキサン又はジシラザンと反応させることによってトリ炭化水素シロキサン基又は異なる加水分解性基に変換することができる。加水分解性基を含有するシランは、ポリオルガノシリケート樹脂のケイ素結合ヒドロキシル基と反応させるのに必要な量のモル過剰量で添加することができる。
【0019】
あるいは、ポリオルガノシリケート樹脂は、2%以下、あるいは0.7%以下、あるいは0.3%以下、あるいは0.3%~0.8%の、式XSiO3/2及び/又はXR SiO1/2(式中、Rは上記のとおりであり、Xは、Xについて上述した加水分解性置換基を表す)で表される単位を更に含んでもよい。ポリオルガノシロキサン中に存在するシラノール基の濃度は、FTIR分光法を使用して測定することができる。
【0020】
あるいは、ポリオルガノシリケート樹脂は、単位式(B-1):(R SiO1/2(SiO4/2(式中、Rは上記のとおりであり、下付き文字z及びoは、o>1、及び下付き文字z>4であり、数量(z+o)はポリオルガノシリケート樹脂に上記のMnを与えるのに十分な値を有するような値を有する)を含み得る。
【0021】
Si-PSA組成物は、出発物質(A)~(F)の組み合わせた重量に基づいて(例えば、Si-PSA組成物中の溶剤を除く全出発物質を組み合わせた重量に基づいて)、出発物質(B)を、50重量%~65重量%の量で含む。あるいは、出発物質(B)の量は、同じ基準で、55重量%~65重量%、あるいは55重量%~61重量%、あるいは58重量%~61重量%であり得る。
【0022】
出発物質(C)ヒドロシリル化反応触媒
Si-PSA組成物中の出発物質(C)は、ヒドロシリル化反応触媒である。ヒドロシリル化反応触媒は、当該技術分野において既知であり、市販されている。ヒドロシリル化反応触媒としては、白金族金属触媒が挙げられる。このようなヒドロシリル化反応触媒は、(C-1)白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、オスミウム、及びイリジウムから選択される金属であり得る。あるいは、ヒドロシリル化反応触媒は、(C-2)このような金属の化合物、例えば、クロリドトリス(トリフェニルホスファン)ロジウム(I)(Wilkinsonの触媒)、[1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ジクロロジロジウム又は[1,2-ビス(ジエチルホスピノ(diethylphospino))エタン]ジクロロジロジウムなどのロジウムジホスフィンキレート、塩化白金酸(Speierの触媒)、塩化白金酸六水和物、二塩化白金であってもよい。あるいは、ヒドロシリル化反応触媒は、(C-3)白金族金属化合物と低分子量オルガノポリシロキサンとの錯体、又は(C-4)マトリックス若しくはコアシェル型構造中にマイクロカプセル化された白金族金属化合物であってもよい。白金と低分子量オルガノポリシロキサンとの錯体としては、1,3-ジエテニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンの白金錯体(Karstedtの触媒)が挙げられる。あるいは、ヒドロシリル化触媒は、(C-5)樹脂マトリックス中にマイクロカプセル化された錯体を含んでもよい。例示的なヒドロシリル化反応触媒は、米国特許第3,159,601号、同3,220,972号、同3,296,291号、同3,419,593号、同3,516,946号、同3,814,730号、同3,989,668号、同4,784,879号、同5,036,117号、及び同5,175,325号、並びに欧州特許第0347895(B)号に記載されている。マイクロカプセル化されたヒドロシリル化反応触媒及びその調製方法は、米国特許第4,766,176号及び同5,017,654号に例示されているとおり、当該技術分野において既知である。ヒドロシリル化反応触媒は市販されており、例えば、SYS-OFF(商標)4000 Catalyst及びSYL-OFF(商標)2700が、Dow Silicones Corporation(Midland,Michigan,USA)から入手可能である。
【0023】
本明細書で使用されるヒドロシリル化反応触媒の量は、出発物質(D)及び(A)の選択、並びにこれらそれぞれの、ケイ素結合水素原子(SiH)及び脂肪族不飽和基の含有量、並びに選択された触媒中の白金族金属の含有量をはじめとする様々な要因によって異なる。しかし、ヒドロシリル化反応触媒の量は、SiHと脂肪族不飽和基とのヒドロシリル化反応を触媒するのに十分である、あるいは、触媒の量は、ケイ素結合水素原子及び脂肪族不飽和炭化水素基を含有する出発物質を組み合わせた重量に基づいて、1ppm~6,000ppmの白金族金属を与えるのに十分である、あるいは、同じ基準の下で1ppm~1,000ppm、あるいは1ppm~100ppmの白金族金属を与えるのに十分である。あるいは、ヒドロシリル化反応触媒が白金-オルガノシロキサン錯体を含む場合、ヒドロシリル化反応触媒の量は、出発物質(A)~(F)を組み合わせた重量に基づいて(例えば、Si-PSA組成物中の溶剤を除く全出発物質を組み合わせた重量に基づいて)、0.01重量%~5重量%であってもよい。
【0024】
出発物質(D)ポリオルガノハイドロジェンシロキサン
Si-PSA組成物中の出発物質(D)は、単位式(D-1):(R SiO1/2(R SiO2/2(HR SiO2/2(式中、Rは上記のとおりであり、下付き文字eは≧0であり、下付き文字fは≧3であり、数量(e+f)は4~500である)のポリオルガノハイドロジェンシロキサンである。あるいは、数量(e+f)は、ポリオルガノハイドロジェンシロキサンの重量に基づいて、0.5重量%~2重量%、あるいは0.75重量%~1.75重量%、あるいは0.76重量%~1.6重量%のSiH含有量を有するポリオルガノハイドロジェンシロキサンを与えるのに十分である。
【0025】
オルガノヒドリドハロシランの加水分解及び縮合といったポリオルガノハイドロジェンシロキサンの調製方法は、当該技術分野において公知である。好適なポリオルガノハイドロジェンシロキサンは、
i)トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチル/メチルハイドロジェン)シロキサン、
ii)トリメチルシロキシ末端ポリメチルハイドロジェンシロキサン、
iii)i)及びii)の両方の組み合わせによって例示される。
【0026】
出発物質(A)及び(D)は、Si-PSA組成物中のケイ素結合水素原子/ケイ素結合脂肪族不飽和基のモル比(SiH/Vi比と呼ばれる)3.44.1を与えるのに十分な量で存在する。あるいは、Si-PSA組成物は、出発物質(D)のポリオルガノハイドロジェンシロキサンを、出発物質(A)~(F)を組み合わせた重量に基づいて(例えば、Si-PSA組成物中の溶剤を除く全出発物質を組み合わせた重量に基づいて)、0.1重量%~5重量%含んでもよい。あるいは、出発物質(D)の量は、同じ基準で、2.5重量%~4重量%、あるいは2.8重量%~3.8重量%であってもよい。
【0027】
出発物質(E)アンカー添加剤
出発物質(E)は、Si-PSA組成物中のアンカー添加剤である。理論に束縛されるものではないが、アンカー添加剤は、本明細書に記載のSi-PSA組成物を硬化させることにより調製されたSi-PSAによる基材への結合を促進すると考えられる。しかし、アンカー添加剤の存在が、所望の剥離接着力に悪影響を及ぼすことはない。これにより、デバイスを損傷させることなく、又はあまり残留物を残すことなく、Si-PSAを電子デバイスから除去することが可能になる。
【0028】
好適なアンカー添加剤としては、シランカップリング剤(メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリメトキシシリル)プロパン、及びビス(トリメトキシシリルヘキサンなど);並びに上記シランカップリング剤の混合物又は反応混合物が挙げられる。あるいは、アンカー添加剤は、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、又は3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランであってもよい。
【0029】
あるいは、アンカー添加剤は、ビニルアルコキシシランとエポキシ官能性アルコキシシランとの反応生成物;ビニルアセトキシシランとエポキシ官能性アルコキシシランとの反応生成物;並びに1分子当たり少なくとも1個の脂肪族不飽和炭化水素基及び少なくとも1つの加水分解性基を有するポリオルガノシロキサンとエポキシ官能性アルコキシシランとの組み合わせ(例えば、物理的なブレンド及び/又は反応生成物)(例えば、ヒドロキシ末端ビニル官能性ポリジメチルシロキサンとグリシドキシプロピルトリメトキシシランとの組み合わせ)により例示される。好適なアンカー添加剤及びそれらの調製方法は、例えば、米国特許出願公開第2003/0088042号、同第2004/0254274号、同第2005/0038188号、同第2012/0328863号の段落[0091]、及び米国特許出願公開第2017/0233612号の段落[0041]、並びに欧州特許第0556023号に開示されている。
【0030】
アンカー添加剤は市販されている。例えば、SYS-OFF(商標)297及びSYL-OFF(商標)397が、Dow Silicones Corporation(Midland,Michigan,USA)から入手可能である。他の例示的なアンカー添加剤としては、(E-1)ビニルトリアセトキシシラン、(E-2)グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、(E-3)(E-1)と(E-2)との組み合わせ、並びに(E-4)(E-3)と、ヒドロキシル基、メトキシ基で終端されたポリジメチルシロキサン、又はヒドロキシ基及びメトキシ基の両方で終端されたポリジメチルシロキサンとの組み合わせ、が挙げられる。(E-3)と(E-4)との組み合わせは、物理的なブレンド及び/又は反応生成物であってもよい。
【0031】
アンカー添加剤の量は、Si-PSA組成物が適用される基材の種類、及びSi-PSA組成物の適用前にプライマー又は他の表面処理を使用するかどうか、をはじめとする様々な要因によって異なる。しかし、アンカー添加剤の量は、Si-PSA組成物中の出発物質(A)~(F)を組み合わせた重量に基づいて(例えば、Si-PSA組成物中の溶剤を除く全出発物質を組み合わせた重量に基づいて)、0.1重量%~5重量%、あるいは1重量%~5重量%、あるいは2重量%~4重量%、あるいは3.25重量%~4重量%、あるいは3.3重量%~3.5重量%であってもよい。
【0032】
(F)ヒドロシリル化反応抑制剤
出発物質(F)はヒドロシリル化反応抑制剤(抑制剤)であり、任意選択的に、Si-PSA組成物中のケイ素結合水素原子と他の出発物質の脂肪族不飽和炭化水素基との反応速度を、同じ出発物質であるが抑制剤を省略した場合の反応速度と比較して変更するために使用することができる。抑制剤は、アセチレン系アルコール、例えばメチルブチノール、エチニルシクロヘキサノール、ジメチルヘキシノール、及び3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、1-ブチン-3-オール、1-プロピン-3-オール、2-メチル-3-ブチン-2-オール、3-メチル-1-ブチン-3-オール、3-メチル-1-ペンチン-3-オール、3-フェニル-1-ブチン-3-オール、4-エチル-1-オクチン-3-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、及び1-エチニル-1-シクロヘキサノール、並びにこれらの組み合わせ;シクロアルケニルシロキサン、例えば1,3,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-テトラビニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-テトラヘキセニルシクロテトラシロキサンによって例示されるメチルビニルシクロシロキサン、並びにこれらの組み合わせ;エン-イン化合物、例えば3-メチル-3-ペンテン-1-イン、3,5-ジメチル-3-ヘキセン-1-イン、及びこれらの組み合わせ;トリアゾール、例えばベンゾトリアゾール;ホスフィン;メルカプタン;ヒドラジン;アミン、例えばテトラメチルエチレンジアミン、3-ジメチルアミノ-1-プロピン、n-メチルプロパルギルアミン、プロパルギルアミン、及び1-エチニルシクロヘキシルアミン;フマル酸ジアルキル、例えばフマル酸ジエチルなど、フマル酸ジアルケニル、例えば(フマル酸ジアリルなど、フマル酸ジアルコキシアルキル、マレイン酸エステル、例えばマレイン酸ジアリル及びマレイン酸ジエチルなど;ニトリル;エーテル;一酸化炭素;アルケン、例えばシクロオクタジエン、ジビニルテトラメチルジシロキサン;アルコール、例えばベンジルアルコール;並びにこれらの組み合わせによって例示される。
【0033】
あるいは、抑制剤は、シリル化アセチレン系化合物であってもよい。理論に束縛されるものではないが、シリル化アセチレン系化合物を添加すると、シリル化アセチレン系化合物を含有していない、又は上記したものなどの有機アセチレン系アルコール抑制剤を含有する出発物質のヒドロシリル化による反応生成物と比較して、ヒドロシリル化反応から調製される反応生成物の黄変が低減すると考えられる。
【0034】
シリル化アセチレン系化合物は、(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)トリメチルシラン、((1,1-ジメチル-2-プロピニル)オキシ)トリメチルシラン、ビス(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)ジメチルシラン、ビス(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)シランメチルビニルシラン、ビス((1,1-ジメチル-2-プロピニル)オキシ)ジメチルシラン、メチル(トリス(1,1-ジメチル-2-プロピニルオキシ))シラン、メチル(トリス(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ))シラン、(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)ジメチルフェニルシラン、(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)ジメチルヘキセニルシラン、(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)トリエチルシラン、ビス(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)メチルトリフルオロプロピルシラン、(3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オキシ)トリメチルシラン、(3-フェニル-1-ブチン-3-オキシ)ジフェニルメチルシラン、(3-フェニル-1-ブチン-3-オキシ)ジメチルフェニルシラン、(3-フェニル-1-ブチン-3-オキシ)ジメチルビニルシラン、(3-フェニル-1-ブチン-3-オキシ)ジメチルヘキセニルシラン、(シクロヘキシル-1-エチン-1-オキシ)ジメチルヘキセニルシラン、(シクロヘキシル-1-エチン-1-オキシ)ジメチルビニルシラン、(シクロヘキシル-1-エチン-1-オキシ)ジフェニルメチルシラン、(シクロヘキシル-1-エチン-1-オキシ)トリメチルシラン、及びこれらの組み合わせによって例示される。あるいは、シリル化アセチレン系化合物は、メチル(トリス(1,1-ジメチル-2-プロピニルオキシ))シラン、((1,1-ジメチル-2-プロピニル)オキシ)トリメチルシラン、又はこれらの組み合わせによって例示される。本明細書における抑制剤として有用なシリル化アセチレン系化合物は、当該技術分野において既知の方法により調製され得る。例えば、米国特許第6,677,740号では、酸受容体の存在下でクロロシランと反応させることにより上記のアセチレン系アルコールをシリル化することが開示されている。
【0035】
本明細書で添加される抑制剤の量は、所望の反応速度、使用される特定の抑制剤、並びに出発物質(A)及び(D)の選択及び量、をはじめとする様々な要因によって異なる。しかし、存在する場合、抑制剤の量は、Si-PSA組成物中の出発物質(A)~(F)を組み合わせた重量に基づいて(例えば、Si-PSA組成物中の溶剤を除く全出発物質を組み合わせた重量に基づいて)、>0重量%~5重量%、あるいは>0重量%~1重量%、あるいは0.001重量%~3重量%、あるいは0.01重量%~2重量%、あるいは0.5重量%~1重量%、あるいは0.65重量%~0.8重量%、あるいは0.65重量%~0.70重量%の範囲であってもよい。
【0036】
(G)溶剤
Si-PSA組成物は、出発物質(G)である溶剤を更に含んでもよい。溶剤は、炭化水素、ケトン、酢酸エステル、エーテル、及び/又は平均重合度が3~10の環状シロキサンなどの有機溶剤であってもよい。溶剤に好適な炭化水素は、(G-1)ベンゼン、トルエン、若しくはキシレンなどの芳香族炭化水素;(G-2)ヘキサン、ヘプタン、オクタン、若しくはイソパラフィンなどの脂肪族炭化水素;又は(G-3)これらの組み合わせ、であり得る。あるいは、溶剤は、プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールn-ブチルエーテルなどのグリコールエーテルであってもよい。好適なケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン、又はメチルイソブチルケトンが挙げられる。好適な酢酸エステルとしては、酢酸エチル又は酢酸イソブチルが挙げられる。好適なエーテルとしては、ジイソプロピルエーテル又は1,4-ジオキサンが挙げられる。重合度が3~10、あるいは3~6である好適な環状シロキサンとしては、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、及び/又はデカメチルシクロペンタシロキサンが挙げられる。あるいは、溶剤は、トルエン、キシレン、ヘプタン、酢酸エチル、及びこれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択されてもよい。
【0037】
溶剤の量は、選択される溶剤の種類、並びにSi-PSA組成物のために選択される他出発物質の量及び種類、をはじめとする様々な因子によって異なる。しかし、溶剤の量は、Si-PSA組成物中の全出発物質を組み合わせた重量に基づいて、0重量%~90重量%、あるいは0重量%~60重量%、あるいは20重量%~60重量%、あるいは45重量%~65重量%、あるいは50重量%~60重量%の範囲であってもよい。溶剤は、例えば混合及び送達を助けるために、Si-PSA組成物の調製中に添加することができる。溶剤の全て又は一部分を、他出発物質のうち1つ以上と共に添加してもよい。例えば、ポリオルガノシリケート樹脂及び/又は触媒を、Si-PSA組成物中の他出発物質と組み合わせる前に溶剤に溶解させてもよい。溶剤の全て又は一部分を、任意選択的に、Si-PSA組成物の調製後に除去してもよい。
【0038】
Si-PSA組成物の製造方法
Si-PSA組成物は、周囲温度又は高温における混合といった任意の都合のよい手法で上記の全出発物質を組み合わせることを含む方法により、調製することができる。ヒドロシリル化反応抑制剤は、ヒドロシリル化反応触媒の前、例えばSi-PSA組成物を高温で調製する際、及び/又はSi-PSA組成物を一部型組成物として調製する際に、添加してもよい。
【0039】
本方法は、溶剤中に1つ以上の出発物質(例えば、ヒドロシリル化反応触媒及び/又はポリオルガノシリケート樹脂)を送達することを更に含んでもよく、これら出発物質はSi-PSA組成物中の1つ以上の他出発物質と組み合わせる際に溶剤中に溶解させてもよい。当業者であれば、結果として得られるSi-PSA組成物が無溶剤である(すなわち、溶剤を含まない、又は出発物質の送達に由来する微量の残留溶剤を含み得る)ことが所望である場合、出発物質のうち2つ以上を混合した後で溶剤を除去してもよいことを理解するであろう。この実施形態では、溶剤は、Si-PSA組成物中に意図的には添加しない。
【0040】
あるいは、Si-PSA組成物は、例えばSi-PSA組成物を使用前に長期間、例えばSi-PSA組成物を基材上にコーティングする前に最大6時間保管する場合、複数部型組成物として調製してもよい。複数部型組成物において、ヒドロシリル化反応触媒は、ケイ素結合水素原子を有する任意の出発物質、例えばポリオルガノハイドロジェンシロキサンとは別個の部分に保存され、それらの部分はSi-PSA組成物の使用直前に組み合わされる。
【0041】
例えば、複数部型組成物は、混合といった任意の都合のよい手法により、ポリジオルガノシロキサンガム、ポリオルガノハイドロジェンシロキサン、及び任意選択的に、1つ以上のその他追加の上記出発物質のうち少なくともいくつかを含む出発物質を組み合わせて基部を形成することにより調製してもよい。硬化剤は、混合といった任意の都合のよい手法により、ポリジオルガノシロキサンガム、ヒドロシリル化反応触媒、及び任意選択的に、1つ以上のその他追加の上記出発物質のうち少なくともいくつかを含む出発物質を組み合わせることにより調製してもよい。出発物質は、周囲温度で組み合わせても高温で組み合わせてもよい。ヒドロシリル化反応抑制剤は、基部、硬化剤部、又は別個の追加部のうちの1つ以上に含まれてもよい。アンカー添加剤は基部に添加してもよく、又は別個の追加部として添加してもよい。ポリオルガノシリケート樹脂を、基部、硬化剤部、又は別個の追加部に添加することができる。あるいは、ポリオルガノシロキサン樹脂を基部に添加してもよい。溶剤を基部に添加してもよい。あるいは、ポリオルガノシリケート樹脂を含む出発物質、及び溶剤の一部又は全てを、別個の追加部に添加してもよい。二部型組成物を用いるとき、基部の量の、硬化剤部に対する重量比は、1:1~10:1の範囲とすることができる。Si-PSA組成物は、ヒドロシリル化反応を介して硬化し、Si-PSAを形成する。
【0042】
上記の方法は、1つ以上の追加の工程を更に含んでもよい。上記のように調製したSi-PSA組成物を使用して、基材上に接着剤物品、例えば、Si-PSA(上記のSi-PSA組成物を硬化させることにより調製する)を形成してもよい。したがって、本方法は、Si-PSA組成物を基材に適用することを更に含んでもよい。
【0043】
Si-PSA組成物を基材に適用することは、任意の都合のよい手法により実施することができる。例えば、Si-PSA組成物は、グラビアコーター、コンマコーター、オフセットコーター、オフセットグラビアコーター、ローラーコーター、リバースローラーコーター、エアナイフコーター、又はカーテンコーターにより基材上に適用され得る。
【0044】
基材は、感圧接着剤組成物を硬化させて基材上に感圧接着剤を形成するために使用する硬化条件(後述)に耐えることができる任意の材料であることができる。例えば、120℃以上、あるいは150℃以上の温度での熱処理に耐えることができる、任意の基材が好適である。このような基材に好適な材料の例としては、ポリイミド(PI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、液晶ポリアリレート、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルスルフィド(PES)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリエチレン(PE)、又はポリプロピレン(PP)などのポリマーフィルムが挙げられる。あるいは、基材はガラスであってもよい。基材の厚さは重要ではないが、厚さは、5μm~300μm、あるいは50μm~250μm、あるいは50μmであってもよい。あるいは、基材は、PET、TPU、PC、及びガラスからなる群から選択されてもよい。あるいは、基材は、PETなどのポリマー基材であってもよい。
【0045】
Si-PSAの基材への結合を向上させるために、接着剤物品の形成方法は、Si-PSA組成物を適用する前に基材を処理すること、を任意選択的に更に含んでもよい。基材の処理は、Si-PSA組成物を基材に適用する前に、プライマーを適用すること、又は基材をコロナ放電処理、エッチング、若しくはプラズマ処理に供することなどの任意の都合のよい手法により実施してもよい。
【0046】
フィルム又はテープなどの接着剤物品は、上記のSi-PSA組成物を上記の基材上に適用することにより調製され得る。Si-PSA組成物が溶剤を含有する場合、本方法は、硬化前及び/又は硬化中に溶剤の全て又は一部分を除去することを更に含んでもよい。溶剤の除去は、Si-PSA組成物を完全には硬化させずに溶剤を気化させる温度で加熱すること、例えば70℃~120℃、あるいは50℃~100℃、あるいは70℃~80℃の温度で、溶剤の全て又は一部分を除去するのに十分な時間(例えば30秒間~1時間、あるいは1分間~5分間)加熱すること、などの任意の都合のよい手法で実施してもよい。
【0047】
Si-PSA組成物の硬化は、Si-PSA組成物を硬化させるのに十分な時間(例えば、30秒間~1時間、あるいは1分間~5分間)、80℃~200℃、あるいは90℃~180℃、あるいは100℃~160℃、あるいは110℃~150℃の温度で加熱することにより実施してもよい。硬化速度を速める必要がある場合、又はプロセスオーブンの温度を下げる必要がある場合は、触媒濃度を上げることができる。これにより、基材上に感圧接着剤が形成される。硬化は、基材をオーブン内に入れることによって行うことができる。基材に適用するSi-PSA組成物の量は具体的な用途によって異なるが、硬化後、感圧接着剤の厚さが5μm~100μmとなり得るのに十分な量であり得る。保護フィルムの場合、厚さは5μm~50μm、あるいは10μm~40μm、あるいは15μm~40μmとなり得る。
【0048】
本明細書に記載の方法は、例えば、接着剤物品の使用前にSi-PSAを保護するために、基材の反対側のSi-PSAに除去可能な剥離ライナーを適用すること、を任意選択的に更に含んでもよい。剥離ライナーは、Si-PSA組成物の硬化前、硬化中、又は硬化後に、あるいは硬化後に、適用することができる。接着剤物品は、ディスプレイデバイスに使用するための保護フィルムであってもよい。
【0049】
保護フィルムにおける使用
図1は、指紋防止コーティング(106)の反対側の表面(106b)がディスプレイカバーガラス(107)の表面(107a)に接触するようにしてディスプレイカバーガラス(107)の表面(107a)を覆う指紋防止コーティング(106)の表面(106a)を覆う、保護フィルム(100)の部分断面図を示す。保護フィルム(100)は、表面(105a)及び反対側の表面(105b)を有するSi-PSA(105)を含む。Si-PSA(105)の反対側の表面(105b)は、以下の参考例Cによる測定で剥離接着力が>30g/inである状態でAFコーティングの表面(106a)に接着している。Si-PSAは、15μm~40μmの厚さを有してもよい。Si-PSA(105)は、表面(104a)及び反対側の表面(104b)を有する基材(104)上に担持されている。Si-PSA(105)の表面(105a)は、基材(104)の反対側の表面(104b)に接触している。基材(104)は、PET、TPU、PC、及びガラスからなる群から選択されてもよく、50μm~250μmの厚さを有していてもよい。
【0050】
保護フィルム(100)は、表面(103a)、及び指紋防止ハードコーティング(103)の反対側の表面(103b)が基材(104)の表面(104a)に接触するようにして基材(104)を覆う反対側の表面(103b)を有する指紋防止ハードコーティング(103)、を更に含んでもよい。
【0051】
保護フィルム(100)は、表面(102a)及び反対側の表面(102b)を有する第2のSi-PSA(102)、並びに表面(101b)を有するポリマー基材(101)を更に含んでもよい。第2のSi-PSA(102)は、第2のSi-PSA(102)の表面(102a)がポリマー基材(101)の表面(101b)に接触するように、ポリマー基材(101)上にコーティングされる。第2のSi-PSA(102)の反対側の表面(102b)は、指紋防止ハードコーティング(103)の表面(103a)に接触している。第2のSi-PSA(102)は10μmの厚さを有していてもよく、ポリマー基材(101)は50μmの厚さを有していてもよい。第2の基材(101)はPETであってもよい。
【0052】
上記のSi-PSA組成物及び方法を、保護フィルム(100)の作製に使用してもよい。Si-PSA組成物を基材(104)の反対側の表面(104b)に適用し、硬化させてSi-PSA(105)を形成してもよい。あるいは、本明細書に記載のSi-PSA組成物をポリマー基材(101)の表面(101b)に適用し、硬化させて第2のSi-PSA(102)を形成してもよい。理論に束縛されるものではないが、上記のSi-PSA組成物を硬化させることにより調製したSi-PSAは、以下の参考例Cに記載された方法による測定で、指紋防止コーティング(106)の表面(106a)上で>30g/inの接着力、及びステンレス鋼上で<800g/inの接着力を有し得ると考えられる。
【実施例
【0053】
これらの実施例は、当業者に本発明を例示することを目的とするものであり、請求項に記載の本発明の範囲を制限するものとして解釈すべきではない。表1の材料を、これらの実施例で使用した。
【表1】
【0054】
DOWSIL(商標)、SILASTIC(商標)、及びSYL-OFF(商標)製品は、Dow Silicones Corporation(Midland,Michigan,USA)から市販されている。
【0055】
参考例A Si-PSA組成物の調製
出発物質を以下の表2に示す量(重量部)で組み合わせることにより、Si-PSA組成物のサンプルを調製した。溶剤型樹脂及びガム(並びに/又はポリマー)を、最初に組み合わせた。次に、架橋剤、アンカー添加剤、溶剤、及び触媒を添加した。全出発物質を室温で混合した。
【0056】
参考例B Si-PSAテープの調製
参考例Aで上記したように調製した各Si-PSA組成物を、PETフィルム上に厚さ40μm~60μmで適用し、150℃のオーブン内で2分間加熱した。加熱後、Si-PSAは25μm~35μmの厚さを有していた。
【0057】
得られたテープサンプルを、Si-PSAが基材と接触するようにして基材に適用した。基材はAFガラス及びSUSであり、Si-PSAを基材と接触させた後、試験前にサンプルをRTで30分間保持した。
【0058】
参考例C 接着力試験
上記のように調製した各テープサンプルを、各テープを基材から剥離させ、PETフィルムから基材上に移動したSi-PSAがいくらかでも存在するかを確認することにより、AFガラス及びSUS基材への接着力について試験した。接着力/剥離試験機AR-1500を使用した。各PETシートの幅は1インチであった。剥離速度及び剥離角度は、それぞれ0.3m/分及び180°であった。単位はグラム/inであった。結果を以下の表2に示す。
【表2】
【0059】
発明が解決しようとする課題
従来のシリコーン感圧接着剤は、ガラス上の指紋防止コーティングへの高い接着力及びステンレス鋼に対する低接着力などの、ディスプレイデバイスのAFガラスで使用される保護フィルムに所望の特性の組み合わせを欠いている。
【0060】
電子デバイス作製者は、AFガラス用の新しい保護フィルムを探し求めている。剥離接着力は、AFガラス上で>30g/in、及びSUS上で<800g/inである必要がある。異なる基材への選択的接着は、Si-PSA産業にとって課題である。従来のSi-PSAは、これらの剥離接着基準のうちの1つを満たすことが可能であるが、両方を満たすことは可能でない場合がある。
【0061】
産業上の利用可能性
上記の実施例では、硬化して、参考例Cの方法による剥離接着力測定値がAFガラス上で>30g/in及びSUS上で<800g/inであるSi-PSAを形成する、Si-PSA組成物が調製されたことが示された。例えば、実施例W1、W2、及びW3は、それぞれ31.2g/in(g/インチ)、40.5g/in(g/インチ)、及び44g/inのAFガラス上での剥離接着力を有していた。理論に束縛されるものではないが、本明細書に記載のSi-PSA組成物は、硬化して、>30g/in~45g/in、あるいは40g/in~45g/in、あるいは31g/in~44g/inのAFガラス上での剥離接着力を有するSi-PSAを形成し得ると考えられる。上記の実施例では、硬化して、参考例Cの方法による剥離接着力測定値がSUS上で<800g/inであるSi-PSAを形成する、Si-PSA組成物が調製されたことが更に示された。例えば、実施例W1、W2、及びW3は、それぞれ675g/in、758g/in、及び675g/inのSUS上での剥離接着力を有していた。理論に束縛されるものではないが、本明細書に記載のSi-PSA組成物は、硬化して、650g/in~<760g/in、あるいは650g/in~700g/inのSUS上での剥離接着力を有するSi-PSAを形成し得ると考えられる。
【0062】
本明細書に記載のSi-PSA組成物から調製されたSi-PSAのAFガラス及びSUSへの選択的接着力という特性により、保護フィルムが、携帯電話、モバイルテレビ受信機、ワイヤレスデバイス、スマートフォン、携帯情報端末、ワイヤレス電子メール受信機、ハンドヘルド又はポータブルコンピュータ、ネットブック、ノートブック、スマートブック、タブレット、全地球測位システムの受信機/ナビゲータ、カメラ、デジタルメディアプレーヤー、カムコーダー、ゲーム機、及び電子書籍リーダーなどのディスプレイデバイスで使用される2.5DAFガラス及び3DAFガラスでの使用に適したものになる。
【0063】
用語の定義及び用法
全ての量、比率、及び百分率は、特に指示しない限り、重量に基づく。発明の概要及び要約書は、参照により本明細書に組み込まれる。「含むこと(comprising)」又は「含む(comprise)」という用語は、本明細書において、それらの最も広い意味で、「含むこと(including)」、「含む(include)」、「から本質的になる(consist(ing) essentially of)」、及び「からなる(consist(ing) of)」)という見解を意味し、包含するように使用されている。実例を列記する「例えば(for example)」「例えば(e.g.,)」、「例えば(such as)」及び「が挙げられる(including)」の使用は、列記されている例のみに限定しない。したがって、「例えば(for example)」又は「例えば(such as)」は、「例えば、それらに限定されないが(for example,but not limited to)」又は「例えば、それらに限定されないが(such as,but not limited to)」を意味し、他の類似した、又は同等の例を包含する。本明細書で使用される略語は、表3の定義を有する。
【表3】
【0064】
本発明は、例示的な様式で説明されており、使用されている用語は限定目的よりも、むしろ説明のための言葉としての性質が意図されているものと理解されるべきである。本明細書で具体的な特徴又は態様の記述が依拠している任意のマーカッシュ群に関して、異なる、特殊な及び/又は不測の結果が、全ての他のマーカッシュ群の要素から独立して、それぞれのマーカッシュ群の各要素から得られる場合がある。マーカッシュ群の各要素は、個々に、及び、又は組み合わされて依拠とされ得、添付の特許請求の範囲内で、特定の実施形態に適切な根拠を提供し得る。
【0065】
更に、本発明を説明する際に依拠される任意の範囲及び部分範囲は、独立して及び包括的に、添付の特許請求の範囲内に入り、本明細書にその中の全部及び/又は一部の値が明記されていなくても、そのような値を包含する全範囲を説明及び想到するものと理解される。当業者であれば、列挙された範囲及び部分的範囲が、本発明の様々な実施形態を十分に説明し、可能にし、そのような範囲及び部分的範囲は、更に関連性がある2等分、3等分、4等分、5等分などに描かれ得ることを容易に認識する。ほんの一例として、範囲「1~30」は、下から3分の1、すなわち、1~10、中間の3分の1、すなわち、11~20、及び上から3分の1、すなわち、21~30と更に詳述でき、これらは、個別的かつ集合的に添付の特許請求の範囲内であり、添付の特許請求の範囲内の特定の実施形態が個別的及び/又は集合的に依拠することがあり、適切な根拠を提供し得る。更に、範囲を定義する、又は修飾する言葉、例えば「少なくとも」、「超」「未満」「以下」などに関して、そのような言葉は、部分範囲及び/又は上限若しくは下限を含むと理解されるべきである。
図1