(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-18
(45)【発行日】2023-08-28
(54)【発明の名称】マルチコンポーネントからなるリードレススタック
(51)【国際特許分類】
H01G 4/228 20060101AFI20230821BHJP
H01G 4/30 20060101ALI20230821BHJP
H01C 1/14 20060101ALI20230821BHJP
H01F 27/29 20060101ALI20230821BHJP
H05K 3/00 20060101ALN20230821BHJP
【FI】
H01G4/228 A
H01G4/228 F
H01G4/30 513
H01G4/30 516
H01G4/30 201F
H01G4/30 201G
H01C1/14 Z
H01F27/29 123
H05K3/00 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022024677
(22)【出願日】2022-02-21
(62)【分割の表示】P 2020506336の分割
【原出願日】2018-07-25
【審査請求日】2022-02-21
(32)【優先日】2017-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511231986
【氏名又は名称】ケメット エレクトロニクス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マコーネル ジョン イー.
(72)【発明者】
【氏名】レナー ギャリー エル.
(72)【発明者】
【氏名】バルチチュード ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ヒル アレン アール.
(72)【発明者】
【氏名】ミラー ガレン ダブリュー.
【審査官】田中 晃洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-208011(JP,A)
【文献】特開2015-216337(JP,A)
【文献】特開2016-072603(JP,A)
【文献】特開2012-043947(JP,A)
【文献】特開2001-044615(JP,A)
【文献】特表2016-502273(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/228
H01G 4/30
H01C 1/14
H01F 27/29
H05K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電性金属層および第2導電性金属層と、
前記第1導電性金属層上に形成されたギャップを含む第1非金属柔軟層と、
第1の極性を有する第1外部終端および第2の極性を有する第2外部終端を含む電子素子と、
前記第1外部終端および前記第1導電性金属層に電気的に接触する遷移的液相焼結接着剤と、
を含み、
前記遷移的液相焼結接着剤は、前記ギャップを通って延びている、電子部品。
【請求項2】
前記第1非金属柔軟層は、FR4、パーフロロエラストマー、ポリイミド、カプトン
(登録商標)、PEEK、および電子グレードセラミックスからなるグループから選択される、請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記第1非金属柔軟層は、前記ギャップを有するビアホールを含む、請求項1または2に記載の電子部品。
【請求項4】
前記第1非金属柔軟層は、ストリップを含み、前記ギャップは前記ストリップ間に存在する、請求項1、2または3に記載の電子部品。
【請求項5】
前記第1非金属柔軟層は、少なくとも25μmから1.575mmを超えない厚さを有している、請求項1~4のいずれかに記載の電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子部品及び電子部品を製造する方法に関する。より具体的には、本発明は電
子部品及び電子部品を製造する方法に関し、特に、少なくとも1つの積層セラミックコン
デンサ(MLCC)と好ましくは追加の受動又は能動電子素子を含む複数の電子素子から
なるスタック化されたリードレス電子部品に関する。電子部品がさまざまな二次的接続材
料及びプロセスによりその後電子回路に接続できるように、電子部品は、外部リードやリ
ードフレームの接続のために又は電子部品の直接的なリードレス接続のために、改善され
た終端部を有する。さらに具体的には、本発明はマイクロフォニックノイズが抑制された
、リードレスでかつスタック化が可能な、電子素子を含む、好ましくは少なくとも1つの
積層セラミックコンデンサを含む複数の電子部品からなるスタックに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的には、導電性終端部を形成する方法及び使用される材料は信頼できる性能を得る
ために非常に重要である。電子部品がその後電子回路にアセンブルされた場合、使用時の
性能は直接導電性終端部に関わるものとなる。歴史的には、電子部品を電子回路基板に実
装する場合や、外部リードを電子部品へ接続する場合には鉛(PB)ベースのハンダが使
われてきた。ごく最近になって、電気機器や電子機器の有害物質の使用が、代表的事例と
して欧州特定有害物質使用規制により規制され、ハンダの鉛(Pb)の使用が制限された
ため、産業界では様々な代替手段が模索されている。
【0003】
例えば、特許文献1には外部リードとメッキされた積層セラミックコンデンサ(MLC
C)のコンポーネントとを接触させるために10-30%のアンチモン(Sb)を含む錫
(Sn)ベースのハンダの使用を記載している。しかし、この記載されたハンダは液相線
が270℃未満である。比較のために挙げると、Sn10/Pb88/Ag2等の高濃度
鉛ハンダは約290℃の液相線を有する。外部リードの接続の信頼性を保証するためには
その後のどんな処理温度より少なくとも30℃高い融点が望ましいことが産業界では広く
認識されている。当該技術分野においてSACハンダと呼ばれているSn、Ag、Cuを
ベースとするハンダが現在は鉛フリー回路において接着のために一般的に選択されるため
、高い融点を達成できることが非常に重要になった。SACハンダは183℃の融点を有
するSn63/Pb37等の古いPbベースの代替品よりも高い温度である通常約260
℃でリフローされる必要がある。外部リードとの接点材料、即ち端子を形成する材料は重
大な信頼性に関わる問題を引き起こす溶融または部分溶融を発生させないために、これよ
りも十分に高い温度に耐えることができなければならない。SACハンダの融点よりも少
なくとも30℃高い温度が望ましい。半導体技術にかかわる材料適合性及び高処理温度に
応じて、基板にダイをアタッチするために金/ゲルマニウム、金/シリコン、金/錫の合
金が開発された。ダイとその接着面とは熱膨張率(CTE)の差が小さいので、これらの
合金は高温性能と20,000psiの範囲の引張強度と25,000psiの範囲の剪
断強度を有する高強度を提供した。しかし、これらの材料は一般的には350℃を超える
その高い融点のためにより高い処理温度も必要とする。その高い処理温度のためにエレク
トロニクス分野における幅広い使用を妨げてきた。高温無鉛ハンダを形成するために錫及
びインジウムがZn、AI、Ge、Mgのコンビネーションに添加されてきた。しかし亜
鉛及びアルミニウムのパウダーは表面に酸化膜を形成する傾向があるためにその後のハン
ダの濡れ性が悪くなり実用には適さない。錫、亜鉛、カドミウム、アルミニウムを有する
ハンダは利用可能ではあるが、それらの合金は共晶合金以外では50-175℃の広い塑
性範囲を有するのでエレクトロニクス分野以外の極めて特殊な用途にその使用が限定され
ており、通常は共晶合金のフォームで使用される。カドミウム、亜鉛、銀の合金はアルミ
ニウムをハンダ付けするのに適する。液相線温度が450℃を超えるとハンダは「硬ろう
」と称され、電気的な用途より通常はむしろ構造分野に使われる。従って、260℃以上
でその完全性を維持するとともに安価に製造できるコンデンサに対して鉛フリーの高温度
接着剤を形成する方法は、まだ実現されていない。
【0004】
以下の特許は導電性ボンドの形成について遷移的液相焼結法(TLPS)の材料やプロ
セスを記載している。特許文献2は、2つの接着面を一方はSn、他方はPbによりコー
ティングし、Snの融点よりも僅かに低い約183℃に処理温度を上げることで2つの接
着面を接合することを記載している。特許文献3に開示された遷移的液相焼結法(TLP
S)による調合はTLPSの材料を架橋ポリマーと結合させてTLPS プロセスにより
金属表面間に金属間化合物の界面が形成される結果として改善された導電性を有する導電
性接着剤を生成する。特許文献4には、2つの接着面のうち1つの面は低融点材料でスプ
レーし、その接着面は適合する高融点材料でスプレーしてそれらを該低融点材料の融点ま
で加熱して両面を接合することが記載されている。
【0005】
特許文献5は、TLPSプロセスを使って抵抗等の個別部品をプリント基板にハンダ付
けするためにSnBi又はSnInの使用を記載している。2つの接着面にコーティング
されたAg/Sn/Biを使用して電子モジュールを基板に実装することが特許文献6に
記載されている。特許文献7は、基板とフリップチップのバンプ表面の2つの接着面に材
料を堆積し、材料間の拡散が生じるまで温度を上げてTLPSに適合する合金を生成する
ことを記載している。特許文献8は、SiCを含むパッケージや他のコンポーネントや導
電面に接合される半導体デバイスの形成にTLPSを使うことを記載している。特許文献
9は、接着面にTLPS適合性材料を載置し、融点が比較的に低い材料をリフローした後
に温時効処理を行って拡散プロセスを終了させ、接合すべき2つのデバイスを超小型電子
回路に対する微小電気機械システム(MEMS)デバイスとすることを記載している。特
許文献10は、銅、ブラックダイアモンド、又は銅とブラックダイアモンドの複合材から
なるヒートスプレッダーをシリコンダイに接合するためにTLPSを利用することを記載
している。これらの特許や特許出願は基板にコンポーネントを接合するためのTLPSの
処理について記載しているが、電子部品の終端を形成するために、又はリードフレームへ
の電子部品の接続にTLPSを利用することに関しては何ら教示していない。
【0006】
最近の開発によれば、特許文献11は、リードを積層セラミックコンポーネントの内部
電極へ溶接する高温拡散ボンディングプロセスを記載している。相互に接合される接着面
の表面に熱を導入することによりTLPS材料がメッキされ拡散プロセスを開始する。こ
の場合、拡散を容易にするためにコンポーネントとリードフレーム間は表面に亘って相互
に密着させることが必要になる。これにより、アプリケーションが密着ラインを形成でき
る表面の接合に限定され、このアプリケーションではリードフレームに接続される長さの
異なるコンポーネントに対応できない。さらに、溶接された結合部を達成するために70
0-900℃の範囲の高温が記載されている。これらの高温を達成するには、積層セラミ
ックコンポーネントへの熱衝撃ダメージを避けるために、予熱ステージなど入念なプロセ
スデザインを必要とし、その場合でもそれが全ての材料に適切であるとは限らない。
【0007】
当該技術分野において開示されている他の鉛フリーの接着技術はいずれも適切ではない
。ハンダは唯一の融点を有する2以上の金属からなる合金であり、該融点は最も高い融点
を有する金属の融点よりも常に低く、一般的には合金に依存して310℃よりも低い融点
を有する。ハンダはリワークが可能であり、それはハンダが何度もリフローされ得ること
を意味しており、それにより欠陥のあるコンポーネントを取り除いたり交換するための手
段を提供する。ハンダはさらにハンダが接合する表面との間に金属間の界面を形成するこ
とによって冶金結合をつくる。ハンダはその接合する表面を濡らすので、ハンダは事実上
外側へ流れて出て接合されるべき表面エリアに亘って広がる。
【0008】
MLCCは多様なアプリケーションで使用されている。一般的には、MLCC又はML
CCのスタックは個別のコンポーネントとして基板に実装される。MLCCに関わる特別
な問題は、基板の反り等のストレスを受けると割れる傾向があることである。このような
ストレスによる割れを避けるためにMLCCは、各極性の1つである、リードフレームの
間に実装され、リードフレームはその後ハンダ付け等で基板に実装される。リードフレー
ムは当該分野において必要不可欠と考えられており、基板の反りに関連したストレスをM
LCCへ伝えることなく該ストレスに耐えることができるリードフレームのデザインに多
大の努力が払われている。リードフレームのデザイン及び材料を決定することは、熱膨張
率や、等価直列抵抗(ESR)、インダクタンス、及びその他の寄生要素を抑制する要望
に違いがあるために特別に困難になる。リードフレームを取り除く要望があるものの、ど
んな基板の反りもMLCCにそのまま伝わって実質的にはMLCCの損害に保険をかける
ことになるので、当業者はそれを実行できないでいる。
【0009】
チタン酸バリウム等の分極した誘電体で製造される積層セラミックコンデンサ即ちML
CCはマイクロフォニックノイズを生じやすい。マイクロフォニックノイズは印加される
電界の存在の下で発生するセラミックの動きである、圧電効果とも呼ばれる電気ひずみに
よって引き起こされると考えられている。電界が印加されるとセラミックの動きはコンポ
ーネントが実装される基板によって増幅されて最終的には可聴ノイズを生成する。リード
はマイクロフォニックノイズを軽減する。リードレスコンデンサ、特に基板に実装される
リードレスのコンデンサスタックを使うと、マイクロフォニックノイズを強めることにな
り、それは特に携帯電話等の携帯デバイスにとって非常に望ましくない。したがって、リ
ードレスコンデンサ、特に少なくとも1つのコンデンサからなるリードレススタックの利
点を享受しつつマイクロフォニックノイズを除去又は抑制することが望まれている。
【0010】
絶え間のない取り組みが続けられているが、積層セラミックコンデンサや他のスタック
状の電子素子からなる適切な電子部品は現在も実現されていない。高温アプリケーション
の、特に鉛フリーで、特に積層セラミックコンデンサを含みマイクロフォニックノイズが
最小限又は除去された電子部品に対して、改善された信頼性を備えるリード接続の要望が
継続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】米国特許第6,704,189号
【文献】米国特許第5,038,996号
【文献】米国特許第5,853,622号
【文献】米国特許第5,964,395号
【文献】米国特許第5,221,038号
【文献】米国特許第6,241,145号
【文献】米国特許出願公開第2002/0092895号
【文献】米国特許出願公開第2006/0151871号
【文献】米国特許出願公開第2007/0152026号
【文献】米国特許第7,023,089号
【文献】米国特許出願公開第2009/0296311号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、リードフレームへの接続又はその後の電子回路へのアセンブリの際に
金属製外部リードやリードフレームの接続を損なうことなくリフローで接続が可能なML
CCを含む電子素子のリードレススタックとしての使用に適切な金属製外部端子を形成す
る改善された方法を提供することである。
【0013】
本発明の他の目的は、終端やリード接続インターコネクトを損なうことなくその後の電
子回路へのハンダリフロープロセスに耐えることができるリードフレームの接続又はリー
ドレスの終端として適切な終端を形成する改善された方法を提供することである。
【0014】
本発明の他の目的は、終端やリード接続インターコネクトを損なうことなくその後の電
子回路へのハンダリフロープロセスに耐えることができるリードフレームの接続又はリー
ドレスの終端として適切な終端を形成する改善された方法を提供することである。
【0015】
本発明の他の目的は、好ましくは少なくとも1つの電子素子はリードフレームなしで実
装可能なMLCCであり、基板の反りにより電子素子、特にMLCCの割れが予想される
ようなストレスを生じない、電子素子のスタックを含む電子部品を提供することである。
【0016】
本発明の他の目的は、鉛やカドミウム等の禁止された材料、又は多量の金等のコストの
かかる材料を使用することなく初期には低いプロセス温度であるがその後高温の融点温度
を有する利点を備えた終端又はインターコネクトを電子部品に形成することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の特徴は、好ましくは少なくとも1つのMLCCを含む電子素子のリードレスス
タックをマイクロフォニックノイズの伝搬を最小限にして提供できることである。
【0018】
好ましくは少なくとも1つの積層セラミックコンデンサを含む電子素子のスタックから
なる電子部品により、これらの及び他の利点を実現することが可能であり、各積層セラミ
ックコンデンサは各第1電極と各第1電極に隣接する第2電極との間に誘電体を挟んで交
互に積層された第1電極と第2電極とを含む。第1電極は第1側に終端し、第2電極は第
2側に終端する。第1遷移的液相焼結導電層は第1側にあって各第1電極と電気的に接触
し;第2遷移的液相焼結導電層は第2側にあって各第2電極と電気的に接触する。
【0019】
さらに提供される別の実施例である電子部品を形成する方法は:
各電子素子は第1側と第2側を有し、該電子素子のうちの少なくとも1つの電子素子は
積層セラミックコンデンサであり、各積層セラミックコンデンサは各第1電極と各第1電
極に隣接する第2電極との間に誘電体を挟んで交互に積層された第1電極と第2電極とを
含み、該第1電極はコンデンサの第1側に終端しかつ該第2電極はコンデンサの第2側に
終端する、電子素子を備え;
各第1側が平行になり、かつ各第2側が平行になるように該電子素子を積層し;
遷移的液相焼結導電層の第1コンポーネントの第1層を形成し;
遷移的液相焼結導電層の第1コンポーネントの第2層を形成し;
該第1層と該第2層を遷移的液相焼結導電層の第2コンポーネントと接触させ;
該第1コンポーネントと該第2コンポーネントを含む第1遷移的液相焼結導電層を形成
するために十分な第1温度まで加熱して、該第1遷移的液相焼結導電層が該第1電極に電
気的に接触して第1コンポーネントと第2コンポーネントを含む第2遷移的液相焼結導電
層を形成し、該第2遷移的液相焼結導電層が該第2電極に電気的に接触してそれによりス
タックコンデンサを形成する、ことを含む。
【0020】
さらに提供される別の実施例である積層セラミックコンデンサのスタックを形成する方
法は:
多数の電子素子を備え、該電子素子のうち少なくとも1つの電子素子は積層セラミック
コンデンサであり、各積層セラミックコンデンサは:
各第1電極と各第1電極に隣接する第2電極との間に誘電体を挟んで交互に積層される
第1電極と第2電極を含み、第1電極は第1の極性を有して積層セラミックコンデンサの
第1側に終端し及び第2電極は第2の極性を有して積層セラミックコンデンサの第2側に
終端し;
電子素子のスタックを形成し;
隣接の電子素子に電気的に接触する第1遷移的液相焼結導電層を形成し;及び
隣接の電子素子の第2電極に電気的に接触する第2遷移的液相焼結導電層を形成する、
ことを含む。
【0021】
さらに提供される別の実施例は電子部品スタックである。該スタックは少なくとも1つ
の積層セラミックコンデンサを含み、積層セラミックコンデンサは:隣接する第1電極と
第2電極との間に誘電体を挟んで第1電極と第2電極が交互に平行に配置され、第1電極
は第1の極性を有して積層セラミックコンデンサの第1側に終端し第2電極は第2の極性
を有して積層セラミックコンデンサの第2側に終端する、第1電極と第2電極を含む。第
1遷移的液相焼結適合材料が第1側にあり、各第1電極に電気的に接触する。第2遷移的
液相焼結適合材料が第2側にあり、各第2電極に電気的に接触する。電子素子がさらに設
けられ、該電子素子は:第1外部終端上に第3遷移的液相焼結適合材料を含む第1外部終
端と第2外部終端上に第4遷移的液相焼結適合材料を含む第2外部終端とからなる。第1
遷移的液相焼結適合材料と第3遷移的液相焼結適合材料との間に冶金結合部が生成される
。
【0022】
さらに提供される別の実施例はスタック化された電子部品であって、該スタック化され
た電子部品は各電子素子が第1の外部終端と第2の外部終端を含む少なくとも2つの電子
素子を含むスタックからなる。遷移的液相焼結接着剤が隣接する電子素子の各第1外部終
端の間で各第1外部終端に接触して設けられる。
【0023】
さらに提供される別の実施例はスタック化された電子部品である。該スタック化された
電子部品はMLCCを含み、該MLCCはコンデンサの第1外部終端とコンデンサの第2
外部終端を含む。少なくとも1つの電子素子が該MLCCと隣接し該MLCCと共にスタ
ックを形成し、各電子素子は第1素子外部終端と第2素子外部終端を含み、該電子素子は
抵抗、バリスタ、インダクタ、ダイオード、ヒューズ、過電圧放電デバイス、センサー、
スイッチ、静電気放電サプレッサー、半導体、及び集積回路から選択される。遷移的液相
焼結接着剤が第1コンデンサ外部終端と第1素子外部終端の間で第1コンデンサ外部終端
と第1素子外部終端に電気的に接触して設けられる。
【0024】
さらに提供される別の実施例は電子素子を形成する方法であって、該方法は:第1コン
デンサ外部終端と第2コンデンサ外部終端を含むMLCCを形成し;第1素子外部終端と
第2素子外部終端を含む電子素子を形成し;第1コンデンサ外部終端と第1素子外部終端
との間のTLPS接合によりMLCCと電子素子を積層して配置することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図11】スタック化された電子素子の側面概略図である。
【
図14】本発明の実施例に従って接合されたクーポンの断面の電子顕微鏡写真である。
【
図15】本発明の実施例に従って接合されたクーポンの断面の電子顕微鏡写真である。
【
図16】本発明の実施例に従って接合されたクーポンの断面の電子顕微鏡写真である。
【
図17】本発明の実施例に従って接合されたクーポンの断面の電子顕微鏡写真である。
【
図22】基板の反りの試験結果のグラフ表示である。
【
図23】基板の反りの試験結果のグラフ表示である。
【
図24】メッキされた表面を有する2枚のクーポンのせん断オーバラップジョイントの電子顕微鏡写真である。
【
図25】本発明の実施例に従ってTLPSペーストで接合された2枚のクーポンを表す。
【
図26】基板の反りの試験結果のグラフ表示である。
【
図27】基板の反りの試験結果のグラフ表示である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は外部リードまたはリードフレームへの接合が改善され、又はリードレス電子部
品として使用されるスタック状の電子素子の電子素子間の接合が改善された、少なくとも
その1つが好ましくはMLCCである電子素子からなる電子部品に関する。さらに該スタ
ックはマイクロフォニックノイズの伝搬を大幅に減少させる。
【0027】
電子素子は、好ましくはMLCC、抵抗、バリスタ、インダクタ、ダイオード、ヒュー
ズ、過電圧放電デバイス、センサー、スイッチ、静電気放電サプレッサー、半導体、及び
集積回路からなるグループから選択される。ダイオードは発光ダイオードであってもよい
。より好ましくは、電子素子はMLCC、抵抗、バリスタ、インダクタ、ダイオード、ヒ
ューズ、過電圧放電デバイス、センサー、スイッチ、静電気放電サプレッサーからなるグ
ループから選択される。
【0028】
本発明は、電子素子の終端の形成や外部リードの電子素子への取り付けに遷移的液相焼
結法(TLPS)による接着剤を使用することに関する。この改善された終端は異なる表
面仕上げだけでなく長さが異なる電子素子に対しても対応できる利点がある。さらに、ハ
ンダボールが形成されないので、電子素子間にTLPSだけを介在させて、ハンダ付け技
術のようにクリーニングのために通常必要なギャップを設けることなく互いにそのトップ
に電子素子を積層することができる。電子素子がMLCCであれば、TLPSをその電子
素子の内部電極に直接接合でき、終端を低温度で形成できる。実施例によっては、熱圧接
プロセスを用いて改善された外部リード接着ボンドを形成することにより高密度の終端を
作ることができる。
【0029】
ハンダは最初のリフロー後その組成が変化することのない合金である。ハンダは唯一の
融点を有し、何度も繰り返して溶かすことができる。最も一般的なハンダは60%Sn4
0%Pbである。ハンダはエレクトロニクスにおいて自由に材料を選べて電子素子と回路
基板間の機械的及び電気的なインターコネクトを提供する。ハンダは大量生産の組み立て
プロセスでの使用に非常に適している。ハンダの物理的な特性は単にハンダ合金を生成す
るために使用される金属の比率を変更することにより変更が可能である。ハンダをこの点
から参照すると、それは何度も繰り返して溶かすことができる少なくとも2つの金属の合
金を意味するものとなる。
【0030】
導電性エポキシ接着剤は代表的な架橋ポリマーであり、通常、それに銀又は金フレーク
や金粒子の導電性フィラーを充填して導電性のエポキシ高分子結合を生成する。ハンダと
は異なり、導電性接着剤は一度しか硬化されずリワークされることはない。金属粒子は相
互に接触するとエポキシの中に蛇行する導電路を形成して2つ以上のコンポーネント間を
電気的に接続する。導電性エポキシ接着剤、ハンダ、エポキシハンダには315℃より低
い温度制限がある。
【0031】
別の材料としてポリマーハンダが2以上の適合性金属間の冶金的接合のために使われる
。ポリマーハンダは一般的にはハンダと架橋ポリマーとエポキシを結合させたものである
。ハンダは導電性と結合に機械的強度を与える容積を提供し、一方エポキシは高分子結合
を形成してそれによって付加的な機械的強度を提供し、ハンダ自体の温度性能を向上させ
る。ポリマーハンダはマイクロフォニックノイズ低減技術には使われないことが望ましい
。
【0032】
遷移的液相焼結法(TLPS)による接合はハンダとは区別される。高温にさらす前は
TLPS材料は2以上の金属の混合物又は合金であり、それによって材料の熱履歴を区別
している。TLPS材料は高温にさらされる前の融点は低いが、高温にさらされると融点
が高くなる。最初の融点は、低融点の金属又は2つの低融点の金属の合金に由来する。2
番目の融点は、低融点の金属又は合金が高温の融点を有する新たな合金を形成しそれによ
り高い融点を有する金属間化合物を生成するときに形成される金属間化合物の融点である
。TLPS材料は接合される金属表面間に冶金結合部を形成する。錫/鉛ハンダや鉛(P
b)フリーハンダとは異なり、TLPSが金属間化合物の接合を形成するときTLPSは
広がらない。TLPSシステムのリワークは高温の二次フロー温度のために非常に困難と
なる。遷移的液相焼結法とは2以上のTLPS適合材料を相互に接触させてその低融点金
属を溶かすのに十分な温度まで温度を上げたときにもたらされる冶金学的状態を表現する
、プロセスに与えられた専門用語である。TLPSプロセス即ちインターコネクトを形成
するにあたり、錫(Sn)やインジウム(In)等の低い融点を有する金属のファミリー
から少なくとも1つが選択され、銅(Cu)や銀(Ag)等の高い融点を有するファミリ
ーから第2の金属が選択される。SnとCuとを接触させて温度を上げると、SnとCu
によりCuSnの金属間化合物が形成されて、その結果低い融点を有する金属の融点より
も高い融点がもたらされる。InとAgの場合は、Inが十分に加熱されると溶けて実際
にはAgの中へ拡散していき、それによってIn自体よりも高い融点を有する固溶体を生
成する。TLPSはそのプロセスに一般的に言及する場合に使用され、TLPS適合材料
は2以上のLPS適合金属間で冶金結合部を形成する場合に使用される。TLPSは電気
的かつ機械的なインターコネクトを提供し、該インターコネクトは比較的低温(<300
℃)で作成が可能であり、しかも第2の再溶融温度>600℃を有する。上記の温度はT
LPS適合金属の異なる組み合わせにより決定される。一般的にTLPSはTLPSによ
る冶金結合即ちインターコネクトを形成するために使用されるプロセス及び材料に関係し
て利用される。
【0033】
TLPS接合は157℃の比較的低い初期のプロセス温度で実行が可能である。一旦T
LPS接合プロセスが完成すると、その結果もたらされる接合は初期のプロセス温度より
もはるかに高い溶融温度を有し、通常300℃以上高い、多数の材料のセットにおいて4
50℃を超える第2の融点を有することが一般的である。TLPSは、ハンダが2以上の
金属を一緒に溶かして特異性を有する合金を生成することで形成される点において従来の
ハンダとは異なる。そのような特異性は単に該合金にさらなる金属を付加することにより
、あるいは該合金を構成する金属の構成比を変えることによって変更できる。その後ハン
ダ合金は再度溶かされ固化されて2以上の表面を接合する。TLPSは、最初はハンダ合
金のような合金材料ではない。TLPSは2以上の金属の相互の拡散や焼結に基づく冶金
プロセスであり、特に2つの表面間の界面で進行する。一旦TLPSの界面が生成される
と低温で再度溶融されることはない。焼結又は拡散プロセスが完了すると、TLPSの高
い再溶融温度が多くの場合アセンブリのリワークを禁止する。このような高い温度では回
復不能のダメージを被るからである。TLPSプロセスはインジウムや錫等の低融点金属
を銀や銅などの高融点金属に接触させ、低融点金属が溶融して高融点材料へ拡散又は焼結
する温度まで温度を上げることによって達成される。拡散又は焼結スピードは時間温度関
数で表され、金属の組み合わせが異なることで異なる。結果として高融点金属の溶融温度
に近づいた新しい溶融温度を有する固溶体が得られる。
【0034】
ポロニウム等の低融点金属からなり、第2のファッションは銀、銅、アルミニウム、金
、プラチナ、パラジウム、ベリリウム、ロジウム、ニッケル、コバルト、鉄、モリブデン
等の高融点金属からなり、拡散された固溶体を生成する。
【0035】
接合部内に潜在するボイドを除去するにはフラックスフリーのプロセスを用いることが
非常に重要である。TLPSは焼結をベースとするプロセスなので、ボンドラインは一様
でボイドフリーである。ハンダにとって必要なフラックスは接合部に閉じ込められてその
後燃え尽きてボイドを残す。半導体産業の場合、特にダイアタッチプロセスにおいて、こ
れらのボイドは集積回路(I/C)内にホットスポットを形成し、早期故障や信頼性問題
を引き起こす。TLPSは焼結プロセスでありフラックスを使わないことでこの問題に対
処する。2つの金属を接触させて熱を加えると、低融点金属が高融点金属の中に拡散し接
着面エリアに亘って固溶体を形成する。固形化した一様のボンドラインを形成するために
は接着面がフラットで同一平面状にあり接着面の全体に亘って確実に密着していることが
必須要件である。要求される接着面の平面性はこの技術のアプリケーションを制限するも
のでもある。優れた接合をつくるために十分に平面にならない場合が多数あるからである
。
【0036】
TLPS適合金属粒子コアを液体キャリア材料と結合させてペーストを形成することに
よって平面ではなく一様でもない2つの表面間に塗布することができ、メッキ、焼結され
た厚膜、及び又はメッキされ焼結された厚膜等の混合表面処理技術を施した後、最も低い
融点を有する金属の溶融温度まで熱してその温度を接合が形成されるまでの十分な時間保
持する。単一金属の粒子コアはペーストの中に複数の金属を含める必要がないので金属比
率の考慮が不要である。さらに約960℃の高い融点を有する金属の銀をコア粒子として
用いて単一の粒子を生成し、その後157℃の融点を有するインジウム等の低融点金属の
金属シェルで該単一粒子をコーティングすることが可能である。インジウムを使う利点は
それが溶けて銀の中へ拡散することである。この銀とインジウムのバイメタル粒子がそれ
ぞれ銀でコーティングされた2つの表面の間に配置されるならば、インジウムは銀の表面
に拡散するとともに銀のコアにも拡散して固溶体接続を形成する。バイメタルの単一粒子
として考慮することが可能なインジウム等の低融点を有する他の金属には錫、アンチモニ
ー、ビスマス、カドミウム、亜鉛、ガリウム、テルリウム、水銀、タリウム、セレニウム
、ポロニウム、鉛があり、銀などの高融点を有する金属には銅、アルミニウム、金、プラ
チナ、パラジウム、ベリリウム、ロジウム、ニッケル、コバルト、鉄、モリブデンも可能
な組み合わせとして考慮することができる。
【0037】
インジウムパウダーをフラックス及び溶媒と混合してペーストを作成しこれを塗布して
、Niによりオーバーメッキされさらに約5ミクロン(200μインチ)の銀でオーバー
メッキされた銅のベースメタルを有する2つのクーポン間にTLPSの冶金結合部を形成
する。このサンプルは上記のようにメッキされた表面を有するクーポンの表面にインジウ
ムのペーストを施して作成され、その後2つクーポンを互いに接触させて150℃に熱し
て5秒間保持しさらに温度を320℃に上げて60秒間保持する。このように作成された
サンプルの結合力は4,177psiのせん断応力に該当する85-94ポンドの範囲の
引張重力を示し、平均7ポンドで5-9ポンドの範囲の引きはがし重力が達成される。こ
の強度はせん断強度が約3000psiであり、引きはがし強度が7-10ポンドの範囲
のSnPbハンダの強度に匹敵する。一つの大きな相違はAgIn接合が600℃を超え
る第2の溶融温度に耐えうることである。このような結果は、2つの銀メッキされたクー
ポンを接着するために使用するInペーストが現在のSnPbハンダと比べてより強いと
は言えないまでも少なくとも同等の強さがあり、さらにそれに比べるとはるかに高い第2
溶融温度を有するので、高温接続のアプリケーションに適するとともにさらに鉛フリーの
材料を提供できる。
【0038】
リードフレームを構造体に結合する方法は一般的に2つの接着面の1つを高融点金属で
コーティングし、他の接着面を低融点金属でコーティングすることを含む。コーティング
プロセスは蒸着やメッキから構成されても良い。2番目の方法は、低融点金属または2以
上の低融点金属の合金からなるプリフォームフィルムをAg、Cu、Au等の高融点金属
でコーティングされた2つの平面間に挟むことである。3番目の方法は銅等の高融点金属
の粒子からなるペーストを生成し、Sn-Bi等の2つの低融点金属の合金の粒子を加え
混合して、接着面を洗浄するとともに混合ペーストを形成するための金属粒子に対する液
体成分として作用する二重目的の液体を生成することである。
【0039】
規定のサイクルタイムに2つの金属の十分な拡散が完了しない場合及び最大限の第2リ
フロー温度に到達しない場合には、接合プロセスは第2の加熱プロセスに入る。この場合
、接合部即ちアセンブリは低融点材料の融点より高い温度にさらされて15分から2時間
の時間保持される。この時間と温度は第2アセンブリプロセス又は最終的な環境アプリケ
ーション要件によって決定された望ましい第2リフロー温度を設定するために変更できる
。インジウム/銀のTLPSの場合には、600℃を超える第2溶融温度を達成すること
ができる。
【0040】
低融点金属を溶かすのに十分な温度にアセンブリを加熱し、機械的結合を形成するため
に十分な時間、例えば5秒ないし30秒間保持することにより接合が作成される。その後
の第2加熱プロセスの間、接合部にはインジウムと銀を拡散させるのに十分な温度を加え
てそれを十分な時間保持することよって第2の高いリフロー温度を有する合金を生成する
。
【0041】
ペーストを塗布して適切な表面間にTLPS合金接合を形成するだけではなく、TLP
S合金接合はプリフォームにより形成されてもよい。最も簡単に言うならば、プリフォー
ムは低融点のTLPS成分の薄箔であってもよい。あるいは、プリフォームはペーストを
成型し乾燥させて溶媒を除去して生成してもよい。結果として得られた固体プリフォーム
は接着される表面間に配置してもよい。この場合、乾燥後に強度を付加するためにペース
トに適当なバインダを添加することが必要である。どのような場合も、接着面に適合でき
るようにプリフォームは可鍛性であることが重要である。
【0042】
インジウム等の単一の金属からなり、ペーストに含まれるインターコネクト材料は銀な
どの高融点金属でコーティングされた表面への結合を形成するために利用される。インジ
ウムの銀への拡散により低温遷移的液相が生じてそれがその後反応してより高温の結合部
を実現する。低融点ペーストの拡散スピードを高めるにはこのボンド形成が重要である。
ボイドを減少させて均質相とするなどの最終的な接続における望ましい特性を実現するた
めにペーストに他の金属を添加することが望ましい。しかし、低融点材料の高い拡散性を
維持することが重要である。このため、低融点金属に加えて1以上の金属が必要とされる
場合はペーストを形成する前にメタルパウダーをコーティングすることによりこれらの金
属を取り込むことが好ましい。融点が最も低い金属をより高い融点の金属にコーティング
することが活性表面を維持する上で好ましい。コーティングはさらにペーストの異なる金
属元素間の拡散距離を減少させる望ましい効果を有し、単に1以上の追加のメタルパウダ
ーを単一金属のペーストに混入させることとは対照的に好ましいフェーズをより簡単に形
成することができる。
【0043】
合金を含めないことが好ましい。合金はペーストの拡散活動を低下させる。コーティン
グされたメタルパウダーはペーストの中に取り込む前にメッキを使って形成されることが
好ましい。
【0044】
一般的に導電性接着剤は銀又は金の粒子で満たされた架橋ポリマーであり、特定の温度
範囲、一般的には150℃で硬化即ちクロスリンクして接続すべき材料に機械的結合を形
成する。それらの導電率はポリマーマトリックスの内部に閉じ込められ相互に密接する金
属粒子により創出され1の粒子から他の粒子への導電路を形成する。バインダは本来有機
体であるので、それらは通常約150℃ないし約300℃の範囲の比較的低温の温度性能
を示す。導電性エポキシは一旦硬化するとリワーク不能となる。TLPS接合とは異なり
、高温や腐食環境にさらすと高分子結合を分解し金属粒子を酸化して電気的特性を劣化さ
せることがある。インターコネクトの電気的及び機械的性能が共に損なわれることで結果
的にはESRを増加させ機械的強度を低下させることになる。
【0045】
ポリマーハンダはPb/Sn系合金をベースとする従来のハンダシステム又はSn/S
b等の鉛フリーシステムから構成され、それらは洗浄剤として機能する架橋ポリマーと結
合する。この架橋ポリマーはさらに、エポキシボンド等の架橋ポリマーボンドを形成する
能力があり、それは金属の融解相の期間に生成されてハンダ合金及び機械的な高分子結合
を形成する。ポリマーハンダの利点は高分子結合がハンダの融点を超える温度でさらなる
機械的な結合強度を提供する点にあり、このようにハンダ接合にハンダの融点を超える約
5ないし80℃の範囲のより高い操作温度を提供できる。ポリマーハンダは流通している
ハンダ合金を架橋ポリマーと同じペースト内で結合させて加熱等により硬化する際に冶金
結合部とともに機械的結合部TLPS技術は、特に両方を提供し、高温でさらに高いハン
ダ接合強度を提供する。しかし、温度の上限と接合強度はこれまでは単に材料の物理的特
性のみによって増加されてきた。実用的上限は300℃に留まっているのに対してTLP
Sにより生み出された接合はより高い温度を達成できる。
【0046】
TLPS技術は、特に比較的平面の2つの接着面間の機械的かつ電気的な導電性冶金結
合部を提供するのに適している。TLPSプロセスに通常使われる金属は2つの金属ファ
ミリーから選択される。第1のファミリーはインジウム、錫、鉛、アンチモニー、ビスマ
ス、カドミウム、亜鉛、ガリウム、テルリウム、水銀、タリウム、セレニウム、TLPS
ペーストは電子素子又は電子部品の終端を形成することができ、それはその後他の方法及
び/又は材料によって電子回路に接続できる。冶金的金属化合物ボンドを鉛フリーの状態
で形成し、それは鉛フリーハンダ等の他のタイプの材料と比較しても高温で改善された接
合強度を有する。TLPS接合は電子素子内に埋設された1以上の電極により又はこれら
の電極に接続された他の材料を介して作成されてもよい。TLPS接合は部品のエッジに
オーバーラップする必要がない。
【0047】
ペースト状のTLPSを使用することで不均一な表面の接合が可能になる。より具体的
には、ペースト状のTLPSを使用することで2つの凹凸形状の表面を、密着するあるい
は連続する接触ラインをつくることなく接合できる。このことは表面がそのプロセスの間
は密着かつ連続する接触ラインとなることが必要な、その後拡散接合されるメッキ面と比
較して特に有利である。これによって長さが異なる電子素子をスタック内で結合すること
ができ、又はリードフレーム内にスタックすることができる。TLPSはハンダボールを
形成しないので、スタックされる素子は相互にそのトップに積載可能であり、同一方向に
終端を向けることができ、ハンダを使う従来の接合に必要とされるような洗浄を要するギ
ャップも生じない。
【0048】
TLPSペーストは従来のハンダのように流れないのでリードフレームにハンダダムを
造る必要がない。このことは製造上大きなメリットを提供する。
【0049】
TLPSペーストは2以上の電子素子を相互に又は共通のリードフレーム内に接合する
場合に使用できる。リードフレームの場合は、異なる長さの電子素子を接続可能であり、
ハンダボールが発生しないのでハンダボールを洗浄するために電子素子間にギャップを設
ける必要がない。従ってそれにより得られるスタックは従来のハンダによって組み立てら
れるものより薄くなる。TLPSはハンダボールを除外する。
【0050】
TLPSペーストを用いた熱圧着接合はボンドの密度を高めるために利用され、それに
よって温度のみに依存する場合に比べて信頼性の高い接合を形成できる。機械的特性も電
気的特性も共に熱圧着接合により改善される。
【0051】
TLPSは直接内部電極や外部終端に接合を形成するために使用できる。MLCCにお
いて内部電極は高融点金属となり得る。低融点金属がMLCCのエッジとシート、又はク
ーポンの外部表面のような高融点金属層とにコーティングされる。低融点金属を加熱する
とき内部電極と混ざって合金にすることができ、それにより外部の金属は冶金結合を直接
内部電極に形成する。
【0052】
遷移的液相焼結導電接着剤と電子素子の間に初期の接合を形成するには低温にすること
が特に好ましい。初期接合の形成後に等温時効処理を行い高温に耐えることができる高温
接合を形成する。リフロー温度は二次的接続プロセスを用いて電子部品を回路に接続する
過程で発生し、最も高い融点を有する素子の溶融温度及び初期接合を形成するための加熱
の過程で形成された合金の溶融温度よりも低い。これは約260℃のリフローを必要とす
るSACタイプのハンダに比べて好ましい。
【0053】
さらに遷移的液相焼結プロセスは2ステップのリフローを使うことができ、第1のステ
ップにおいては導電性の冶金結合が、TLPSの合金プロセスに使われる金属に依存して
、5秒から5分の範囲の比較的短い時間サイクルかつ180℃から280℃の範囲の低温
で形成される。第2のステップではその一部が、それに限定されないが例えば5分から6
0分の比較的長い時間200℃から300℃の温度範囲を使って等温時効処理が行われる
。初期接合を形成するために必要とされる時間は短時間なので自動処理に非常に適する。
別の方法では、単一ステップのプロセスを行うことができる、その場合、TLPSは外部
リードと電子素子間に、例えば250℃ないし325℃の温度を、例えば10秒ないし3
0秒間保持して、ターミナル即ち導電性冶金結合部を形成する。175℃ないし210℃
のような低温の場合は、例えば10ないし30分の長い時間使用できる。このことは電子
部品自体が温度に対して影響を受ける場合に特に有用である。
【0054】
一般的には、終端は、好ましくは加熱することにより、1ステップの焼結プロセスを使
って、それに限定されない190℃ないし220℃の範囲の温度を、それに限定されない
10分ないし30分間保持して導電性の冶金結合をつくることによって形成される。第2
の溶融温度が第1の溶融温度を少なくとも80℃超えることがもっとも好ましい。金属結
合は450℃を超える第2溶融温度を有するので、この技術はその後の高温のアプリケー
ションの使用に適した低温処理鉛(Pb)フリーソリューションに対して実行可能なオプ
ションとなる。しかしながらこのタイプのプロセスは半導体処理やいくつかのPCB処理
に特有なバッチタイプのプロセスにより適しており、積層セラミックコンデンサを含む電
子素子へのハイボリュームの縦に並ぶ終端や外部リード接続に役に立たない。さらにこの
ようにTLPSを処理することは特に高レベルの有機含有量を伴う高度の気孔率をもたら
すこともある。
【0055】
TLPS材料を2ステップのプロセスを使って処理することで望ましい相互接続された
接合部を実現できる。第1のステップは30秒以下の比較的短いプロセス時間及び225
℃ないし300℃の温度範囲で強固な導電性接合を形成する。第2ステップは焼結ステッ
プであり、部品を200℃ないし250℃又はそれ以下の温度に5分ないし30分間さら
して合金プロセスを完成する。これらの2つのステップはハイボリュームのインラインア
センブリの要件を満たしその後のバッチ焼結プロセスを可能にするものである。しかし、
上記した単一ステップのプロセスと同様に多くの場合不必要に高い気孔率をもたらす。
【0056】
多くのアプリケーションにおいて高度の気孔率は容認される。しかし、高湿度の回路基
板の実装プロセスのような厳しい環境の下では水やその他の化学物質がボンドに侵入して
ボンドを不良にすることもある。従って、本発明の好ましい実施例は熱圧着接合プロセス
を使って遷移的液相焼結接合部内に低気孔率終端を形成することである。このプロセスは
、15ないし30秒の短いプロセス時間を使って225℃ないし300℃の範囲の温度で
単一のステップで行われ、自動化を容易にできる利点もある。1ステップの30秒未満の
低温でかつ熱圧着接合と組み合わせてリードが使われる場合、外部リードを電子素子へ接
続するアプリケーションのために強固な接合部を形成することが可能である。
【0057】
さらにポリマーハンダは接触面間の高密度冶金結合部の形成をアシストするのでポリマ
ーハンダを使用する場合には熱圧着接合が好ましい処理方法でもある。熱圧着の利点は2
次的接続プロセスに対してより強固なボンドを形成して高い強度の接続を達成できること
である。0.5ないし4.5キログラム/cm2(7.1ないし64psi)の圧縮力、
より好ましくは0.6ないし0.8キログラム/cm2(8.5ないし11psi)の圧
縮力がここでは熱圧着について説明するための実例として十分である。約0.63キログ
ラム/cm2(9psi)が説明のための実例として特に適した圧力である。
【0058】
TLPS材料は銀、銅、アルミニウム、金、プラチナ、パラジウム、ベリリウム、ロジ
ウム、ニッケル、コバルト、鉄、モリブデン又はこれらを任意に組み合わせた混合物から
選択された高融点材料を含み、これらはTLPSプロセスでの使用に適する。鉛(Pb)
フリーのTLPS材料は高融点コンポーネントとして銀又は銅のいずれかを使うのが好ま
しく、低融点コンポーネントとしてインジウム、錫、又はビスマスを使うのが好ましい。
【0059】
さらにTLPS材料は錫、アンチモニー、ビスマス、カドミウム、亜鉛、ガリウム、イ
ンジウム、テルリウム、水銀、タリウム、セレニウム、ポロニウム又は任意の2以上のこ
れらの混合物又は合金から選択される低融点材料を含む。
【0060】
TLPS材料は、銀、錫、金、銅、プラチナ、パラジウム、ニッケル、又はこれらの組
み合わせを含む仕上剤と適合し、リードフレーム、部品の接合、又は内部電極のいずれか
に仕上げ剤として用いて2つの表面の間に導電性冶金結合部を形成する。外部リード又は
リードフレームの適切な材料はそれに限定されないがベリリウム銅、Cu194及びCu
192のようなリン青銅、銅、銅合金を含み、さらにリードフレームはそれに限定されな
いが42アロイ及びコバ-ル等の鉄合金からなる。
【0061】
加熱は当該技術分野において周知のいずれの方法によってなされてもよいが、対流加熱
、放射加熱、誘導加熱が最も好ましい。
【0062】
不可欠であるがそれに限定されない構成要素を開示する図面を参照して本発明を説明す
る。多様な図面に亘って同じ要素には同じ番号を付している。
【0063】
図1の概略断面側面図を参照して本発明の一実施例を説明する。
図1において電子素子
1は外部終端2を含み、それらはMLCCの内部電極又は電子素子の機能的要素にTLP
S接合を介して一体的かつ電気的に接触しており、これは以下の説明によってさらに容易
に理解されるであろう。この実施例の格別な利点は、少なくとも1つのそして好ましくは
MLCC、抵抗、バリスタ、インダクタ、ダイオード、ヒューズ、過電圧放電デバイス、
センサー、スイッチ、静電気放電サプレッサー、半導体、及び集積回路からなるグループ
から選択された好ましくは電子素子のスタックを、TLPS接合により形成された外部終
端にそれぞれの端部が電気的に接触するように接合させて、それによってハンダフィレッ
ト等の2次的接続材料3を使って電子回路基板5の導体パッド4に接続可能な、リードレ
ス実装される電子素子又はリードレス電子素子のスタックを形成する能力にある。このよ
うにTLPS接合により形成される多くの終端を備えた電子素子は個別に又はスタック状
にしてリードレスで回路に接続することができる。しかし、TLPS接合部のさらに高い
2次的な溶融温度によって2次的な接続材料を幅広く考慮できるので、それによりTLP
S接合がポリマーハンダよりもより好ましいものとされる。素子1Aは上記のような又は
リードレススタックの場合の追加される電子部品であり、反りを吸収する犠牲チップを表
している。犠牲チップは反りを吸収できるように十分に大きいサイズが好ましいが必要以
上には大きくない方がよい。犠牲チップは1インチの1000分の35-60の厚さがあ
れば十分である。犠牲チップは物理的には電子素子を代替する素子ではあるが、電子部品
に対し何ら電子的な機能を提供することはない。
【0064】
電子素子のリードレススタックは本発明では便宜上MLCCとして表され、
図2の概略
断面側面図で示されている。
図2においてリードレススタックは適切なTLPSペースト
又はプリフォーム18を隣接する電子素子の外部終端7の間に塗布し反応させて形成する
。ここで記載するプリフォームは好ましくは可鍛性を有し、それによりプリフォームは隣
接する表面に適合される。加熱されてプリフォームの低融点金属が外部終端の中へ拡散し
それによって冶金結合を形成する。プリフォームは好ましくは外部終端と同じ金属の高融
点金属を含有しても良く、加熱されると低融点金属がプリフォームの高融点金属の中へ拡
散して、それによってプリフォームの高融点金属と外部終端との間に冶金結合部を形成し
隣接する電子素子の外部終端間の適切な導電性を確実なものとする。外部終端は厚膜のペ
ーストを共焼成することにより、あるいは導電性接着剤を硬化させることにより形成され
、それによって内部電極9、10、及び該内部電極を分離する誘電体11として概略的に
表される電子素子の機能要素と電気的接触を形成する。
【0065】
TLPS接合を容易にするために外部終端が複数の層からなっても良い。本発明の実施
例では
図3の概略断面図に示されている。
図3において、外部終端は複数層からなり、第
1層7’はMLCCの内部電極9、10として概略的に表される電子素子の機能要素と直
接接触する。第1層は終端層7と直接接触し、終端層7はプリフォーム18に適合してそ
こにTLPS接合を形成することができる。ハンダ層又はメッキ層26が設けられて終端
層とプリフォームを包んで回路基板への2次的接続を容易にし、特にハンダ付け性を向上
させる。ハンダ層又はメッキ層には、本明細書の他の部分でも説明されるように、柔軟性
非金属が包含されてもよい。
【0066】
ここに記載する独創的な事例において、TLPS接合部は電気的及び機械的なボンドと
して機能する。従来技術において電気的接合は通常はエポキシであるポリマーの分解温度
に依存して導電接着剤としての性能が制限されていた。リードレススタック内の電子素子
を結合するためにハンダを使うことは通常不可能である。ハンダはリフローにより回路基
板への2次的接続の過程でスタックの電気的及び/又は機械的完全性を損なう傾向がある
からである。従来技術においてリードを使用すること、あるいはCTE不整合を減少する
ことにより基板の反りが原因の機械的不良を克服することは、熱サイクルの間に使用され
るインターコネクトの弱化のため制限される。これらのストレスの問題を低減して信頼で
きる性能を得るためにリード材料及びMLCCタイプの組み合わせが開発されたが、結果
としてこれらは他の制限をもたらした。例えば、42アロイがストレスを減少させるため
に使われたが、結果として得られたスタックのESRを不要に高める結果になった。焼成
されメッキされた終端にTLPSを使って電子部品を接合して製造されたリードレススタ
ックは基板の反りに起因する割れに対して高い耐性を有し、しかもその性能は個別の電子
部品の性能と比較しても見劣りしないので、その機械的性能に対してこの独創的な結合部
の堅牢性を裏付けることができる。TLPSは電子部品間に連続する高導電性の冶金的イ
ンターコネクト層を形成できるので、42アロイのリードを使って製造された前記リード
付きスタックよりも低いESRを達成できる。リードレススタックはスタックに関連する
かしめを必要としないので同じ数と種類の電子素子をより低背型スタックに形成できる。
低背のスタックはTLPS接合の比較的低い形成温度と相まって他のコンポーネントや追
加の回路をスタックに付加することを許容する。リードレススタックが非常に機械的に厳
しいアプリケーションで使用される場合、電気的機能のない機械的吸収部品をスタックの
底に付けることができる。
【0067】
TLPS終端を使って外部リードに対して導電性接合を形成することが
図4に示されて
おり、ここでは電子素子1が外部リード又はリードフレーム6に、好ましくは外部リード
フレームと外部終端7との間のTLPS8により、接続される。
【0068】
図5において、TLPS外部終端12が積層セラミックコンデンサの内部電極9、10
に直接接触する。交互に配され、交互の極性を有する平面状の内部電極は誘電体11によ
って分離され、交互の内部電極はTLPSによって形成された対向する外部終端12に直
接接触する。この構成によって電子部品に他の接続材料を形成することに関連する処理コ
ストを回避できる追加の利点がある。TLPS外部終端を使って
図5の実施例はその後T
LPS接合により同様の実施例によって積層されて連結される外部終端を形成し、それに
より
図1に示されるような、好ましくは少なくとも1つのMLCCを含む、電子部品のリ
ードレススタックを提供できる。
【0069】
本発明の実施例が
図6の概略分解断面に示されている。
図6において、電子素子は誘電
体11によって分離された内部電極9、10の交互の層を含む、モノリスとして概略が示
されたMLCCとして表され、隣接する内部電極は対向する端部に終端して電子素子の機
能要素を図式的に表している。少なくとも1つの電子素子が好ましくはMLCCであり、
抵抗、バリスタ、インダクタ、ダイオード、ヒューズ、過電圧放電デバイス、センサー、
スイッチ、静電気放電サプレッサー、半導体、及び集積回路からなるグループから選択さ
れた少なくとも1つの追加の素子を伴っている。一実施例において、内部電極即ち機能要
素はTLPS接合の高融点金属である。プリフォーム302がモノリスのエッジに塗布さ
れて外部終端を形成する。プリフォームは高融点金属303が低融点金属304と界面を
形成する層構造を有するコアからなる。電子部品は積層されプリフォームは電子部品に接
続されている状態において、低融点金属304は内部電極の中に拡散するとともに高融点
金属303に拡散し、それによってプリフォームと内部電極として表される電子素子の機
能要素との間に冶金結合部を形成する。プリフォームの高融点金属がリードフレームを形
成してもよい。別の実施例では、低融点金属を外部終端として電子素子の上に形成しても
よい。
【0070】
TLPS接合を形成する間、低融点金属の拡散はその反応性とともに接合形成プロセス
の時間と温度に依存する。高度の反応性を達成するには合金を回避する一方、個々の金属
とその厚さを、状態図を参照して選択し、2次的相の形成の可能性をなくすことが望まし
い。
【0071】
図7はMLCCとして概略図示された単一の電子素子を備えた実施例を示している。図
7においてTLPS終端14が外部リード15を内部電極9、10として概略図示された
電子素子の機能要素に接合し;TLPS終端14が電子素子体16のエッジ17を超えて
拡張することはない。この実施例は機械的なストレスが除去されるのでこの重複する領域
で生じる不良を低減する。
【0072】
図8は電子部品の断面図を示し、この場合、TLPS終端102を備え積層セラミック
コンデンサ100として概略図示された電子素子が導電性インターコネクトを介して外部
リード104に接触する。エッジ106は導電性接続と外部リード間に連続する密着ライ
ンを有さない。特別の利点は、外部リードと導電性インターコネクトの2つの表面は接着
されるとき連続する密着ラインを形成する必要がないことである。
【0073】
図9は本発明の一実施例を表す。
図9において、MLCCとして概略図示された2つの
電子素子200、200’がリードフレーム206間に配置され、多くの電子素子及び電
子素子の組み合わせが積層されるとの理解のもとで説明するために示されている。各電子
素子はTLPS終端202を備え、TLPS終端202は電子素子のエッジ108の一部
しかカバーしていない。これにより電子素子の表面間の間隔を最小限に狭めることができ
、又は間隔をゼロにできる。TLPS終端202を混合体又は層状構造体としてプリフォ
ームにして部品間に挿入し、その後単一の加熱ステップ又は複数の加熱ステップを加えて
も良い。あるいは、外部終端を内部電極即ち電子素子の機能要素に直接電気的に接触させ
て形成することもできる。
【0074】
拡散により駆動される接合プロセスはダイアタッチに見られるような平面間においては
うまく利用されてきたが、そういった平面をつくることが実用的ではないアプリケーショ
ンがある。このような場合、接合される接着面間のギャップやボイドを埋めることができ
る、一様ではない接着面の接合を許容する高温ソリューションが必要になる。TLPS技
術に一般的に使用される金属は2つの金属ファミリーから選択される。第1のファミリー
は低融点を備える金属からなり、第2のファミリーは高融点を備える金属からなる。低融
点金属ファミリーの金属が高融点金属ファミリーの金属と接触し熱にさらされると、低融
点金属が高融点金属へ拡散し焼結して高融点金属よりも低い融点を有する合金を生成する
。このプロセスは遷移的液相焼結(TLPS)と呼ばれ、TLPSの固溶体の形成によっ
て、比較的低温ではあるが、高融点金属の融点より低い高温の2次的リフロー温度でイン
ターコネクトをつくることができる。
【0075】
図10は本発明の一実施例を示し、2つの電子素子20、21が異なる幅を有する、ス
タックされた電子素子の側面の概略図を表している。TLPSの終端22は外部リード2
3と適切に接触した状態で異なる長さの電子素子を受け入れることができる。このように
、2.54mm(0.10インチ)までの長さの異なる部品を同じスタック内に接続する
ことができる。ただし、長さの違いは0.254mm(0.010インチ)を超えないこ
とが好ましい。メッキされた銀、焼結された銀、又は他のTLPS適合金属等の混合され
た技術が応用された表面金属を有する複数の一様ではない表面を接合することが多くの場
合に望まれている。
図10に記載のように接合される1つの面が銀などで電気メッキされ
、その接着面が厚膜銀ペーストでカバーされその後焼結される。その後ペースト状のイン
ジウム等の単一成分の低融点金属が、各々が銀コーティング又は他の適合性TLPS高融
点金属を有する接着されるべき2つの表面の間に配置される。該ペーストは異なるサイズ
の電子素子の一様ではない表面間のギャップを埋める機能がある。アセンブリはその後イ
ンジウムの融点157℃に加熱され、あるいはインジウム以外の別の適切な低融点金属の
融点に加熱され、液相温度に5秒ないし15分の間保持されて、冷却され、その後凝固さ
れる。結果として得られる接合用相互接続材料は低融点材料の融点よりも高い二次的リフ
ロー温度を有する。スタック内の隣接する素子間に配置されたオプションの絶縁層70は
外部リード間のアーク放電に対して保護を与える。絶縁層は200ボルト以上や250ボ
ルト以上の高電圧のアプリケーションに対してより好ましい。絶縁層はアクリル、ポリウ
レタン、ポリイミド、エポキシ、パリレン(パラキシレン)、シリコンを含む様々の化学
族に基づく多様なポリマーコンフォーマルコーティングによって実現される。TLPS終
端は不活性フィラー112を含んでも良い。
【0076】
TLPSペーストあるいはプリフォームはその中に不活性フィラーを含むことにより2
つの目的に役に立つ。第1の目的は高価な金属を使用することによるコストを削減するこ
とであり、第2の目的は電子素子の非終端部及び露出された内部電極に対し直接電気的及
び冶金的結合を作ることである。特に高融点金属成分の部分を不活性材料又は低コストの
導電性材料と置換することにより
図10に対して説明するようにギャップが埋められると
きコストを削減できる。高融点金属の代わりに使用するのに特に好ましいフィラーは、融
点が300℃を超えるセラミック及びガラス、又はガラス転移温度(T
g)>200℃の
高融点ポリマーのような非金属である。一例はポリイミド等の熱硬化性ポリマーである。
高融点金属をこれらの非金属の1つと置換することによる2つの格別な利点の第1は、T
LPSの活性低融点金属がTLPS接合を形成する間に拡散によって消耗されないことで
ある。不活性フィラーの第2の利点は、低融点を有するガラスのファミリーから選択され
る場合、TLPSペースト又はプリフォームの混合物の内部のガラスが非終端で露出した
MLCCのセラミック素地の露出ガラスフリットとの結合を形成することである。これら
の非金属をスプレーやメッキなどの方法により低融点金属でコーティングすることも可能
である。
【0077】
図11は2つの電子素子30,31のスタックの概略側面図を示し、電子素子は従来の
ハンダ34を使って外部リード32,33に接続されている。この場合、ハンダボールを
除去するポストアセンブリの洗浄のために部品間に少なくとも0.254mm(0.01
0”)のギャップGが必要になる。
【0078】
図12は概略側面断面図により本発明の実施例を示し、実施例は電子素子31,32が
TLPS35を使って外部リード32、33に接続されている。この場合、ハンダボール
が形成されず従って洗浄を必要としないので、部品間は0.254mm未満のギャップ、
又はノーギャップが好ましい。ギャップを除くことでスタックの高さを全体的に低減でき
、電子部品に必要な垂直方向のスペースを低減できる。さらに、2つ以上の部品からなる
スタックにとってスペースの節減はより大きなものとなる。
【0079】
最小の気孔率の接合を形成することが非常に望ましく、そのような接合は以下の特性を
示す:密着接触を形成するか又は0.015インチ以内のギャップを有する一様ではない
表面間に引っ張り剥離試験に対して5Lbs./インチを超える強い機械強度、張力、せ
ん断高導電率、150℃ないし225℃の範囲の低初期プロセス温度、300℃以上の二
次的リフロー温度を示す。
【0080】
図28-31は、図示のように、スタック、特にリードレススタックに使われるマイク
ロフォニックノイズ低減構造と共に使用するのに適した代表的なMLCC構造の概略断面
図を示し、MLCCは、本明細書の他の部分でも説明されるように、非金属の柔軟層又は
衝撃吸収導体等のマイクロフォニックノイズ低減構造19をさらに備えている。
図28に
おいて、異極性の内部電極9,10は対向する外部終端2に終端する。同一平面状の導体
401、402が設けられ、それらは対向する外部終端に終端する。図示のように、上部
導体401は隣接する異極性の内部電極に対して容量性オーバーラップとともにシールド
を与えるが、下部導体401′は隣接する電極と同じ極性であり、普通に終端され、従っ
て、下部導体401′はシールド電極として機能しない。上部導体402は隣接する電極
と同じ極性であり、普通に終端され、従って、上部導体402はシールド電極として機能
しないが、それに対し下部シールド電極402′は隣接する異極性の内部電極との容量性
オーバーラップを提供する。本願発明の目的のために、シールド電極は
図28に示す導体
401、402′によって表されるような容量性カップリングを提供する最外層の導体と
して定義される。
【0081】
図29は、ここに説明されるように、スタック状、特にリードレススタック状で使用さ
れるMLCCの実施例を断面概略図で示し、
図28の容量性構造が、内部導体9、10及
び同一平面状電極401、402のアセンブリで表されるメインの導電層に対して平行で
はあるがその外側の浮遊導体404である、追加の導体を有する。本発明の目的のために
、全ての内部導体を浮遊電極の内側に備える浮遊電極を外部浮遊電極と呼ぶ。本発明の目
的のために、浮遊電極は終端されることのない導体である。
【0082】
図30は、ここに説明されるように、スタック状、特にリードレススタック状で使用さ
れるMLCCの実施例を断面概略図で示す。
図30において、同一平面状の内部電極40
8、410は対向する外部終端2に終端し、従って該同一平面状の内部電極は反対の極性
を有する。同一平面状の内部電極の隣接する層の間にある内部浮遊電極412は容量性オ
ーバーラップ領域414を提供する。本発明の目的のために、少なくとも1つの内部導体
を浮遊電極の外側に備える浮遊電極を内部浮遊電極と呼ぶ。図示のように、
図30は2つ
の容量性オーバーラップ領域を有する。当業者であれば分かるように、浮遊電極は直列に
2つの容量性オーバーラップ領域を実現するために終端に接触する電極に対して対抗する
電極を形成する。
【0083】
図31は、ここに説明されるように、スタック状、特にリードレススタック状で使用さ
れるMLCCの実施例を断面概略図で示す。
図31において、活性平面は終端される内部
電極9、10と同一平面にある同一平面浮遊電極416からなる。内部電極は外部終端2
に終端するが同一平面浮遊電極はそれ自体が終端されない。隣接する活性平面の間の同一
平面内部浮遊電極412は複数の容量性オーバーラップ領域414を提供する。
【0084】
図32は本発明の電子デバイス701の一部分を概略側面図で示す。
図32において、
マイクロフォニックノイズ低減構造が導電性金属層504に積層される非金属柔軟層50
2により構成され設けられる。少なくともその1つが好ましくはMLCCである電子素子
1の外部終端2が、非金属柔軟層502のビアホール508を形成するギャップを通って
延長するTLPSインターコネクト506によって導電性金属層504に電気的に接触す
る。選択的に、本明細書の他の部分でも説明されるように、最も低層の電子部品の上に追
加の電子部品がスタックされプリフォーム等のTLPSインターコネクト118によって
接続されてもよい。導電性金属層はハンダフィレット等の2次的接続材料3により電気的
かつ機械的に電子回路基板5の導体パッド4に接続される。マイクロフォニックノイズを
引き起こす機械的エネルギーは、非金属柔軟層により及び非金属柔軟層はハンダに濡れな
いのでハンダフィレットのサイズを低減することにより振動エネルギーの伝達を低減する
ことで低減されることが、理論に縛られることなく、推定できる。非金属柔軟層は層形成
の製造能力によって定義される下限値で極めて薄くなり得るが、大規模な製造環境のもと
ではあまりにも薄過ぎて取り扱いが困難になる。非金属柔軟層は最も薄くは25.4μm
(0.0001インチ)の厚さ、より好ましくは少なくとも0.0254mm(0.00
1インチ)から1.575mm(0.062インチ)を超えない厚さ、好ましくは0.3
81mm(0.015インチ)を超えない厚さが本発明を実施するために適切である。
【0085】
図33は本発明の一実施例を概略上面図で示す。
図33において、電子素子1又は電子
素子のスタックが1以上のマイクロフォニックノイズ低減構造によって好ましくは外部終
端2のコーナーに接続され、それによって回路基板5上の導体パッド4に複数の電気的か
つ機械的接続をハンダフィレット等の2次的接続材料3により実現する。1つのターミナ
ルに1以上のマイクロフォニックノイズ低減構造を使用することで全体のハンダフィレッ
ト接続エリアをさらに低減でき、マイクロフォニックノイズ低減構造をマイクロフォニッ
クノイズが最小となるように配置できる。
【0086】
図34の概略上面図、
図35の概略側面図、及び
図36の概略底面図は一般的な回路基
板材料で形成されたマイクロフォニックノイズ低減構造の一実施例を示す。
図34-36
において、マイクロフォニックノイズ低減構造は、FR4、パーフロロエラストマー、ポ
リイミド、カプトン、PEEK、イットリア安定化ジルコニア又はAl
20
3(酸化アルミ
ニウム)等の電子グレードセラミックス等の、標準的な回路基板材料から製造された回路
基板340からなる。導体トレース342がハンダパッド344に電気的に接続され、そ
こに、
図32、33に関連して説明されるように、電子素子が電気的に接続される。ハン
ダパッド344上の非金属柔軟層としてのソルダーマスク346がハンダパットとの間に
ギャップを含んでおり、それによって電子素子の外部終端をハンダパッドへ電気的かつ機
械的に接続するために利用できる表面積が制限される。回路基板を貫通するビアホール3
48が、電子素子に対して回路基板の反対側にある導体ハンダパッド350への導電性を
可能にする。振動吸収エラストマ-352が振動の伝達を抑止し、それによってマイクロ
フォニックノイズをマイクロフォニックノイズ低減構造へと分離する。オプションとして
の機械的ハンダパッド354が、電子デバイスの後に続く基板へマイクロフォニックノイ
ズ低減構造を接続する際に適切な接着力を確実にするために設けられても良い。該機械的
実装パッドはマイクロフォニックノイズ低減構造の電子素子を接続する電気的導体パッド
の真下にならないように配置できる。導体トレースとハンダパッドはそれらの間のアーク
放電を避けるために十分な距離で分離される。
【0087】
図37は概略側面図により本発明の一実施例を示し、
図34-36に図示されそれに関
連して説明されたマイクロフォニックノイズ低減構造が好ましくはTLPSによりその上
に実装された少なくとも1つの電子素子1、好ましくは電子素子のスタックを含み、ソル
ダーマスクを間に挟んで外部終端をハンダパッド344に接着させている。ハンダパッド
350は電子回路基板5の上の導体パッド4に電気的に接触している。オプションとして
の機械的ハンダパッド354がダミートレース355に機械的に接続され、ダミートレー
スは導電性でなくとも電気的に接続されなくともよい。
【0088】
図38-40を参照して本発明の一実施例を記載し、マイクロフォニックノイズ低減構
造が遮断パッドの形で、説明の目的のためにその上に実装された2つの電子素子1ととも
に示されている。電子素子のうちの少なくとも1つがMLCCであることが望ましい。電
子素子の数は特に制限されず、列状の個別の電子素子であっても電子素子のスタックであ
ってもよい。
図38はマイクロフォニックノイズ遮断パッド600の上面概略図、
図39
は底面概略図、
図40は側面概略図である。
図38-40において、ストリップ状の回路
基板340が非金属柔軟層502のビアホールを通って延長するTLPSインターコネク
トによって導電性金属層に接続される。上記のように電子素子に対してマイクロフォニッ
クノイズ遮断パッドの反対側にあるハンダパッド350は電気トレースとビアホールによ
ってハンダパッドと電気的に接触される。ソルダーマスク即ち非金属柔軟層は電子素子の
外部終端と導電性金属層との間にあり、それによりマイクロフォニックノイズを抑制する
。マイクロフォニックノイズ遮断パッドはそれぞれの極性を異ならせてペアで使用される
ことが好ましい。
【0089】
図41を参照して本発明の一実施例を記載し、本明細書の他の場所でも記載のように、
マイクロフォニックノイズ低減構造が衝撃吸収導体702の形で電子素子1と電気的に接
触する外部終端2との間に実装される。衝撃吸収導体は、少なくとも1つの柔軟なストレ
ス開放部分706に連結してその間にスペースを備えたオフセット装着タブからなる形状
を備え、これにより振動を吸収できる。衝撃吸収構造体は“C”、“S”、又は“Z”等
のオープン形状や、円や四角のクローズド形状を有しても良い。非金属柔軟層704はプ
リフォーム又はフィラーとして衝撃吸収導体の隙間領域内に含めることができ、さらに機
械的振動を減衰させてそれによりさらにマイクロフォニックノイズを低減する。衝撃吸収
構造体は、本発明の実施に適切な鉄や非鉄の導電性材料や42アロイ、コバ-ル、インバ
ー、リン青銅、又は銅との合金でつくられる。衝撃吸収構造体の厚さは導電性や製造可能
性によって下限値が決まる。一実施例において、プリフォームはその上に導体をコーティ
ングして導電性に必要な原子層数に近づく厚さを可能にする。少なくとも25.4μm(
0.0001インチ)の厚さ、好ましくは0.0254mm(0.001インチ)から0
.127mm(0.005インチ)を超えない厚さ、そしてより好ましくは0.0635
mm(0.0025インチ)を超えない厚さが本発明を実施するために適切である。回路
基板に対して垂直に計測される衝撃吸収構造体の高さ即ちオフセット高さは好ましくは少
なくとも0.0254mm(0.001インチ)から0.127mm(0.005インチ
)を超えることがなく、より好ましくは0.0635mm(0.0025インチ)を超え
ることがない。
【0090】
基板即ち回路基板は本発明を実施するのに適したFR4、ポリイミド、カプトン、PE
EK、イットリア安定化ジルコニア又はAl203(酸化アルミニウム)又はイットリア安
定化ジルコニア等の電子グレードセラミックスを含む標準的なPCB材料であれば特に限
定されない。別のデザインフォームを考慮すれば42アロイ、インバー又はコバ-ル等の
鉄合金、あるいは銅、リン青銅、ベリリウム銅等の非鉄材料を使う。
特に好ましい非金属柔軟層はFR4、パーフロロエラストマー、ポリイミド、カプトン、
PEEK、イットリア安定化ジルコニア又はAl203(酸化アルミニウム)等の電子グ
レードセラミックスから選択される。
【実施例】
【0091】
スランプ試験は、好ましくは拡大による、眼視観測に基づいて行われ、MLCCがリー
ドフレームの中で、動いたか即ち流動したかを調べるための処理後に部品が検査される。
スランピングは、リフロープロセスによりリードフレームへの接合の完全性が損なわれる
ことを示す。リードフレームの中でのMLCCの動き、即ち接合の完全性が損なわれたこ
とが目視されて不良がわかる。
【0092】
(実施例1:ポリマーハンダの機械的堅牢性)
共通のリードフレームに実装されるケースサイズが5.6mm×5.1mm(0.22
×0.20インチ)のMLCCをそれぞれ2つ備えた68個の同一のスタックを製造した
。該スタックをそれぞれ34個の同数のセットに分けた。セット1において、91.5w
t%Snと8.5wt%Sbを含む1mgのSn/Sbハンダを用いてリードフレームを
各MLCCに取り付けた。セット2において、91.5wt%Snと8.5wt%Sbを
含む1mgの、Henkel10048-11Aポリマーハンダにより入手できる、Sn
/Sbポリマーハンダを用いてリードフレームを各MLCCに取り付けた。各部品を26
0℃のハンダリフロー炉に3回通過させて、通過ごとに流動したチップの数を測定した。
その結果を表1に示す。不良部品の累積数が通過ごとに記録される。
【0093】
【0094】
表1の結果は、セット1では1回目の通過で4個の部品が不良となり、後続する通過に
おいて1個の追加の部品が不良となったのに対し、セット2ではいずれも不良とはならな
かった。従ってポリマーハンダは対照サンプルのハンダと比べて高温で機械的強度が付加
されている。
【0095】
(実施例2:改善されたTLPSの機械的堅牢性)
同様のスタックが銀又は錫メッキされたリードフレームとともに製造されOrmet3
28として入手できるCu系遷移的液相焼結接着剤を用いて取り付けられた。該サンプル
はスランピング(流動)や外部リードの脱離等は示さなかった。その後米国特許第6,7
04,189号に記載の負荷試験を行い、30gの重りがMLCCにかけられスタックの
下方へ垂下された状態でスタックを炉に入れた。少なくとも10℃毎の各温度で10分の
滞留時間を設けて約260℃に温度を上昇させた。部品はその後流動及び又は外部リード
の離脱の不良について検査された。錫メッキされた外部リードフレームの不良が360℃
で検出されたが、銀メッキされたリードフレームについては最初の不良が検出されたのは
630℃であり、TLPSに対する超高温での機械的性能が実証された。
【0096】
(実施例3:ポリマーハンダの温度性能)
120個のJリード型スタックが同一のMLCC、同一のJリード、及び熱圧着プロセ
スを使って製造された。該サンプルは30個のグループに分割され、それぞれがHenk
el92ADA1OODAP85V EU 2460として入手可能な様々のボリューム
の91.5/8.5Sn/Sbハンダを使って接着され、セット3に対してはHenke
l20048-11Aとして入手可能なポリマーハンダを、セット4に対しては同じハン
ダ組成を用いた。サンプルはその後様々のハンダ炉へ送られて異なる温度で3回以上炉を
通過させた。サンプルはその後部品毎に検査された。その結果を
図13に示す。ポリマー
ハンダにおいてスランピングは検出されず、サンプルは試験された範囲で改善された高温
堅牢性を示した。ポリマーハンダは350℃を超える温度には耐性がない。
【0097】
(実施例4:高速二次的アセンブリプロセスに対するポリマーハンダの耐久性)
Jリード型スタックが同一のMLCC、同一のJリード、及び熱圧着プロセスを使って
製造された。対照サンプルがHenkel92ADA100DAP85V EU 246
0として入手可能な91.5/8.5 Sn/Sbハンダを用いて作成された。セット5
はHenkel20048-11Aとして入手可能な同じハンダ組成を含むポリマーハン
ダを使って作成された。その後サンプルは標準的なハンダを使ってFR4基板に取り付け
られ、リードフレームのハンダ付けに推奨されるものよりも速い温度傾斜率を使うIRリ
フロー炉に投入された。スランピング又はリードフレームの接触不良について検査された
。Sn/Sbハンダを含有するサンプルは15個のうち9個に不良があり、一方ポリマー
ハンダは15サンプル中不良はゼロで、高速アセンブリに対して堅牢性が高くなったこと
を実証した。部品は同じ高速アセンブリにかけられた。
【0098】
(実施例5:熱圧着接合)
図14、15はOrmet701シリーズとして入手可能なTLPS Ag/Sn/B
iとOrmet280CEシリーズとして入手可能なCu/Sn/Biを使った接合を明
示する顕微鏡写真であり、IRリフロープロセスを使って銀メッキされたリン青銅のクー
ポン間を接合するものである。ボイドの有意エリアが表示されている。
図16は熱圧着接
合プロセス後のTLPS Cu/Sn/Biの状態を示す顕微鏡写真であり、
図17は熱
圧着接合プロセス後のCu/Sn/Biの状態を示す顕微鏡写真である。両方の実施例に
おいて、ち密な微細構造が観察される。熱圧着接合は2-10ポンドの圧力で5分未満の
非常に短い時間で達成される。
【0099】
クーポンは実施例4と類似する形で作成された。30グラムの重りがデバイスからつる
されることで熱圧着接合にストレスをかけた。該接合は温度の上昇にさらされた。850
℃まで加熱したにもかかわらず不良が観察されなかった。
【0100】
Ormet701として入手可能なCu/Sn/Bi TLPSと10/88/2 S
n/Pb/Agハンダを使うリード接着の観察では、TLPSはそれが置かれた場所に留
まるが一方ハンダは加熱によって流れる。ハンダは外部リードの接着に使われるときハン
ダダムとレジストの使用が必要だが、一方TLPSはその必要がない。これは大きな製造
上の利点である。
【0101】
熱圧着を使ってポストキュアの有無にかかわらず様々の条件でマットメッキされた錫リ
ン青銅のクーポンを接合するためにOrmet701 Cu/Sn/Bi TLPSを使
用する。その結果を91.5Sn/8.5Sbハンダと比較する。
図18において、サン
プルA1はポスト焼結を行わず180℃で20秒加熱され、サンプルB1は180℃で1
5秒加熱され210℃で20分ポスト焼結を行った。サンプルC1は180℃で20秒加
熱され210℃で30分ポスト焼結を行った。サンプルD1は190℃で20秒加熱され
ポスト焼結を行なわなかった。サンプルE1は190℃で20秒加熱され210℃で15
分ポスト焼結を行った。サンプルF1は190℃で20秒加熱され210℃で30分ポス
ト焼結を行った。サンプルG1は200℃で20秒加熱されポスト焼結を行なわなかった
。サンプルH1は200℃で20秒加熱され210℃で15分ポスト焼結を行った。サン
プルI1は200℃で20秒加熱され210℃で30分ポスト焼結を行った。サンプルJ
1は200℃で10秒加熱されポスト焼結を行なわなかった。サンプルK1は230℃で
10秒加熱されポスト焼結を行なわなかった。サンプルL1は210℃で加熱され91.
5Sn/8.5Sbハンダを使って30分ポスト焼結を再現した。これらの例は初期の接
合を比較的低い温度で形成でき、接合強度をポスト焼結で大幅に増加できることを実証し
た。
【0102】
(実施例6)
実施例5と同様な一組の実験がOrmet280CE Ag/Sn/Biを銀メッキさ
れたクーポンに用いて行われた。その結果を
図19のバーグラフに示す。この実施例にお
いて、外部リードは、不良に至る最大引っ張り力(Kg単位で)測定すると、熱圧着プロ
セスでポストキュアが使われなかったにもかかわらずハンダを超えるせん断強度を示す。
サンプルはいずれの場合も第1温度で第1の時間予熱され、その後3秒かけて第2温度へ
と温度が上げられて、一定時間第2温度が保持された。
図19において、サンプルA2は
140℃で10秒間予熱され、温度は300℃へ上げられて20秒間保持された。サンプ
ルB2は140℃で10秒間予熱され、温度は300℃へ上げられて10秒間保持された
。サンプルC2は140℃で10秒間予熱され、温度は300℃へ上げられて5秒間保持
された。サンプルD2は140℃で3秒間予熱され、温度は300℃へ上げられて20秒
間保持された。サンプルE2は140℃で3秒間予熱され、温度は300℃へ上げられて
10秒間保持された。サンプルF2は140℃で3秒間予熱され、温度は300℃へ上げ
られて5秒間保持された。サンプルG2は140℃で10秒間予熱され、温度は280℃
へ上げられて20秒間保持された。サンプルH2は140℃で10秒間予熱され、温度は
280℃へ上げられて10秒間保持された。サンプルI2は140℃で10秒間予熱され
、温度は280℃へ上げられて5秒間保持された。サンプルJ2は140℃で3秒間予熱
され、温度は280℃へ上げられて20秒間保持された。サンプルK2は140℃で3秒
間予熱され、温度は280℃へ上げられて10秒間保持された。サンプルL2は140℃
で3秒間予熱され、温度は280℃へ上げられて5秒間保持された。サンプルM2は14
0℃で10秒間予熱され、温度は260℃へ上げられて20秒間保持された。サンプルN
2は140℃で10秒間予熱され、温度は260℃へ上げられて10秒間保持された。サ
ンプルO2は140℃で10秒間予熱され、温度は260℃へ上げられて5秒間保持され
た。サンプルP2は140℃で3秒間予熱され、温度は260℃へ上げられて20秒間保
持された。サンプルQ2は140℃で3秒間予熱され、温度は260℃へ上げられて10
秒間保持された。サンプルR2は140℃で3秒間予熱され、温度は260℃へ上げられ
て5秒間保持された。サンプルS2は140℃で10秒間予熱され、温度は240℃へ上
げられて20秒間保持された。サンプルT2は140℃で10秒間予熱され、温度は24
0℃へ上げられて10秒間保持された。サンプルU2は140℃で10秒間予熱され、温
度は240℃へ上げられて5秒間保持された。サンプルV2は140℃で3秒間予熱され
、温度は240℃へ上げられて20秒間保持された。サンプルW2は140℃で3秒間予
熱され、温度は240℃へ上げられて10秒間保持された。サンプルX2は140℃で3
秒間予熱され、温度は240℃へ上げられて5秒間保持された。サンプルY2は140℃
で10秒間予熱され、温度は220℃へ上げられて20秒間保持された。サンプルZ2は
140℃で10秒間予熱され、温度は220℃へ上げられて10秒間保持された。サンプ
ルAA2は140℃で10秒間予熱され、温度は220℃へ上げられて5秒間保持された
。サンプルBB2は140℃で3秒間予熱され、温度は220℃へ上げられて20秒間保
持された。サンプルCC2は140℃で3秒間予熱され、温度は220℃へ上げられて1
0秒間保持された。サンプルDD2は140℃で3秒間予熱され、温度は220℃へ上げ
られて5秒間保持された。実施例6の結果は、ポスト焼結を行うことのないTLPSプロ
セスについて時間温度効果を実証する。
【0103】
(実施例7:TLPS終端)
Ormet701として入手可能なTLPS Cu/Sn/Biをニッケル系金属電極
のMLCCに硬化させてニッケルの内部電極に直接終端を形成した。平均的容量は0.3
2μFで標準的な高燃焼終端材料と類似し、連続的な導電路を備えた接合が内部電極に対
して形成されたことを示した。
【0104】
(実施例8:温度耐性試験)
接着剤の接合強度を試験するために、特許文献1に従って、外部リードを備えた部品が
底部の外部リードに取り付けた30グラムの重りで空中に吊り下げられる負荷試験が実施
された。吊り下げられた部品と重りは外部リードワイヤが離脱して不良が検出されるまで
温度上昇にさらされた。その結果が
図20に示されており、ポリマーハンダが温度を関数
として88Pb/10Sn/2Agハンダよりも非常に優れた接合強度を示した。
図20
において、セット6が88Pb/10Sn/2Agハンダを使って接合された。セット7
ではニッケル/錫リードが導電性接着剤により接合された。セット8は導電性接着剤を使
ってニッケル/金リードに接合された。セット9は95Sn/5Agハンダドットを中心
部に導電性接着剤をネールヘッドに使ってニッケル/銀リードに接合された。
【0105】
同様のサンプルがMIL-STD-202G,Method211,Test Con
dition A,Pr℃edure3.1.3に従って実施されたせん断強度試験にか
けられ、コンデンサ端子の軸方向に負荷がかけられて、デバイスが不良となるまで力が加
えられた。
図21にその結果を示す。
図21において、セット10はSn95/Ag5の
ポリマーハンダのドットを使い、それはリフローされた後で導電性接着剤により銀メッキ
されたネールヘッドに接合され、ポストリフローキュアにかけられた。セット11はSn
95/Ag5ハンダを使い、セット12は導電性接着剤を使って銀メッキされたリードワ
イヤに接合した。導電性エポキシは3 lbs未満の劣ったせん断保持力を示し、処理す
るには不適切な取扱い強さとなることが実証された。
【0106】
独創的なサンプルは400℃を超える温度で外部リードワイヤから吊り下げられた30
グラムの重りに耐える。導電性接着剤だけで400℃を超える温度に耐えたが
図21に示
すように室温で不十分なせん断保持力を示した。このことは、サブコンポーネントや電子
デバイスの接合の間に普通に行われる、接合後の部品の処理や取扱いには許容されない。
せん断試験は室温で許容できる3 lbsを超えるせん断強度を示した。
【0107】
(実施例9)
ジルコン酸カルシウムとニッケルの内部電極に基づくC0G誘電体セラミックを備えた
ケースサイズ2220、定格0.47μF、50VのMLCCが従来技術で周知のプロセ
スで製造された。これらMLCCはガラスフリットを含む銅の厚膜ペーストを使って終端
された。サンプルは異なる2種類の電界メッキにより作られた。ニッケルメッキが焼成さ
れた銅の終端に施され、その後1つのケースには銅メッキが他のケースには銀メッキが施
された。全てのメッキ層は最小5ミクロン(200μインチ)の厚さにされた。両方のメ
ッキタイプのMLCCに対して銅と錫の金属粒子を主に含有するTLPSペーストのOr
met CS510を使ってリードレススタックが製造された。スタックは接合されるメ
ッキされた終端の上面に沿ってTLPSペーストの薄いビーズを施して製造された。この
ように、隣接するコンデンサの終端に沿ってOrmet CS510で4チップのスタッ
クがアセンブルされた。これらのスタックは1つのアセンブリにクランプされ窒素雰囲気
下でヘラーのリフロー炉を使って330℃のピーク温度まで加熱され300℃以上を90
秒保持した。これらのリードレススタックのサンプルの基板曲げ性能は、AEC-Q20
0-005 Rev Aに記載の試験方法を使って10mmまで曲げることにより単一M
LCCと比較された。曲げは不良として記録される1mm/秒のスピードで2%のキャパ
シタンス損失で加えられた。サンプルはリフローされた錫-鉛(SnPb)ハンダを使っ
て試験用回路基板へ接続された。これらの結果は、銅及び銀メッキされた部品に対するワ
イブルグラフとして
図22、23にそれぞれ示される。スタックの性能は単一MLCCと
比べてわずかに劣るが、両タイプのメッキで作られたリードレススタックに対する曲げ不
良はC0GタイプのMLCCに対しAECによって求められる最小3mmを十分に超えて
いる。
【0108】
(実施例10)
チタン酸バリウムとニッケルの内部電極に基づくX7R誘電体セラミックを備えたケー
スサイズ2220、定格0.50μF、500VのMLCCが従来技術で周知のプロセス
で製造された。これらMLCCはガラスフリットを含む銅の厚膜ペーストを使って終端さ
れた。その後サンプルは電界ニッケル(最小50μインチ)で、そして錫(最小100μ
インチ)でメッキされた。2つのMLCCのリードレススタックはTLPSペーストのO
rmet CS510を使って接合されるメッキされた終端の上面に沿ってTLPSペー
ストの薄いビーズを施して製造された。これらのスタックは1つのアセンブリにクランプ
され窒素雰囲気下でヘラーのリフロー炉を使って330℃のピーク温度まで加熱され30
0℃以上を90秒保持した。これらのリードレススタックの基板曲げ性能は、AEC-Q
200-005 Rev Aに記載の試験方法を使って10mmまで曲げることにより単
一MLCCと比較された。曲げは不良として記録される1mm/秒のスピードで2%のキ
ャパシタンス損失で加えられた。サンプルはリフローされた錫-銀-銅(SAC)ハンダ
を使って試験用回路基板へ接続された。これらの結果は、ワイブルグラフとして
図26に
示される。リードレススタックの性能は単一MLCCと同様であり、両方共にX7Rタイ
プMLCCのAECによって求められる最小2mmを十分超える。
図27はある曲げ条件
を加えた2チップリードレススタックの曲げに対するある曲げ条件を加えた単一チップの
曲げ、及び6mmを優に超える曲げの分布の大きさ示している。
リード付きスタック間のさらなる比較は例11に見ることができ、それはSnSbハンダ
で相互接続されたリード付きスタックの対照グループの高温性能とTLPS(CS510
)を使って相互接続されたリード付きスタックの高温性能とを比較する。
【0109】
(実施例11)
表2はTLPS材料CS510の高温性能を、標準的なCu/Ni/Sn終端、錫のリ
ード仕上げ、及びコンデンサスタックを有するキャップによってつくられ、リードフレー
ムが標準的なSnSbハンダで終端された対照グループの高温性能とともに表す。試験グ
ループは金属被覆やさまざまのリードフレーム表面仕上げ、さらに無終端コンデンサ、及
びCS510TLPSを使った相互接続等の多様なコンデンサ終端を使って、内部電極と
リードフレーム間の電気的及び機械的接続を行った結果を示す。過熱され30グラムの重
りを付けて吊り下げられると対照グループは230から235℃の温度範囲で不良となっ
たことが表2からわかる。Ormet CS510を使って作られたサンプルは無終端の
コンデンサを含んでコンデンサ終端の金属皮膜のタイプに関わらず600℃の試験限界に
達しても不良は起こらなかった。唯一の例外は終端とリードフレーム表面の両方に錫を使
った試験グループが420-450℃の範囲で不良を示した。
【0110】
【0111】
(実施例12)
図25は本発明の実施例の比較を表し、
図24で示された2つのメッキされたクーポン
を比較している。
図24において、2つの銅のクーポンが、一枚はニッケルメッキされた
上に銀メッキされ、二枚目の銅のクーポンはニッケルメッキされた上に銀メッキされその
後インジウムでメッキされる。2つのクーポンはその後向かい合うように置かれ、加熱し
てインジウムの拡散を開始させる。加工処理を経て、2つのクーポンはせん断試験にかけ
られ、接合不良が生じるまで引っ張られた。その結果、最大の接合力と一様な拡散を確実
にするには接合部間の密着表面が欠かせないことを実証した。
図24矢印は拡散が生じた
接合エリア内の孤立した接触点を示す。接合の表面積は3.81×3.81mm(0.1
50” ×0.150”)平方あるいは14.52mm
2(0.0225インチ
2)であり
、接合せん断強度は266psiである。しかし、接触表面積は20%と推定される。こ
のことは接合強度を最大化するには接合表面間を密着させることが必要であることを明確
に示している。
【0112】
図25は2.5ミクロン(100マイクロインチ)のニッケルと5ミクロン(200マ
イクロインチ)の銀でメッキされ、インジウムのペーストを使って第2のクーポンへ接合
される、
図24で示されたクーポンと同じ種類のクーポンを示す。表面被覆率は100%
で一様に被覆されせん断強度は9000psiを記録した。アセンブリ、加工、せん断方
法は全く同じなので2つの非平面を接合することと、インジウムペーストを使って2つの
非平面を接合することとの違いを明示した。
【0113】
本発明は好ましい実施例を参照して説明したが、それらに限定されることはない。当業
者はここに具体的に述べられなかった付加的な実施例や変更に気づくかもしれないが、そ
れらはここに添付され本願に欠くことのできない部分を構成する特許請求の範囲に含まれ
る。