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特許7334302触覚フィードバックがあるように計時器用ムーブメントを制御するための制御デバイス、及びこのような制御デバイスを備える計時器、特に携行型時計
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-18
(45)【発行日】2023-08-28
(54)【発明の名称】触覚フィードバックがあるように計時器用ムーブメントを制御するための制御デバイス、及びこのような制御デバイスを備える計時器、特に携行型時計
(51)【国際特許分類】
   G04B 3/04 20060101AFI20230821BHJP
【FI】
G04B3/04 D
G04B3/04 G
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022078566
(22)【出願日】2022-05-12
(65)【公開番号】P2022179380
(43)【公開日】2022-12-02
【審査請求日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】21174779.5
(32)【優先日】2021-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508289992
【氏名又は名称】メコ・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ステファーヌ・フルント
(72)【発明者】
【氏名】レミ・ティリ
(72)【発明者】
【氏名】サミュエル・ガイザー
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-190546(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02975468(EP,A2)
【文献】特開2015-230270(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 3/04
G04B 37/10
G04G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
計時器用ムーブメントを制御するための制御デバイス(10)であって、
前記制御デバイス(10)には、第1の部分(100)と、可動な第2の部分(200)があり、
前記第1の部分(100)には、前記計時器用ムーブメントに対して固定されるように意図されている摺動ガイド管(101)、及び活性化モジュール(120)があり、
前記第2の部分(200)は、前記第1の部分(100)に対して、前記摺動ガイド管(101)によって「軸方向」である方向にて活性位置と非活性位置の間を摺動可能にガイドされ、
前記活性位置においては、前記第2の部分(200)が調整ロッド(201)を用いて前記計時器用ムーブメントのコンポーネントと一体的であることができ、
前記非活性位置においては、前記調整ロッド(201)が前記計時器用ムーブメントの前記コンポーネントを解放するように意図されており、
前記第2の部分(200)には、前記調整ロッド(201)に固定されるスライダー(202)があり、
前記スライダー(202)は、前記第2の部分(200)が活性位置と非活性位置の間を動くときに、前記スライダー(202)と前記活性化モジュール(120)が互いに機械的応力を与え、かつ、前記機械的応力は、活性位置又は非活性位置のいずれに到達したときに前記第2の部分(200)が解放されるように、前記活性化モジュール(120)と連係し、
前記活性化モジュール(120)には、回転自由度がなく並進運動するように前記活性化モジュール(120)をガイドするように前記スライダー(202)と連係し前記摺動ガイド管(101)に固定されるシース(121)があり、
前記活性化モジュール(120)には、さらに、らせん接続によって前記シース(121)と運動学的に接続されるスリーブ(125)があり、
前記摺動ガイド管(101)の底壁(105)と前記スリーブ(125)の遠位端とは反対側のスリーブ(125)の近位端とを支持するように配置される弾性メンバー(130)があり、該弾性メンバー(130)の作用下で、前記スリーブ(125)を前記シース(121)の遠位端の方へ変位させるよう構成し
前記スリーブ(125)は、前記弾性メンバー(130)の作用下で、前記第2の部分(200)が活性位置と非活性位置の間を動くときに前記スライダー(202)に機械的応力を与えるように構成している
ことを特徴とする制御デバイス(10)。
【請求項2】
前記活性化モジュール(120)は、前記第2の部分(200)が活性位置と非活性位置の間を動くときに前記スライダー(202)の変位に応答して前記スライダー(202)に機械的応力を与え、前記第2の部分(200)が非活性位置に到達したときに前記機械的応力を解放する
ことを特徴とする請求項1に記載の制御デバイス(10)。
【請求項3】
前記スリーブ(125)と前記シース(121)にはそれぞれ、前記第2の部分(200)が活性と非活性位置の間を動くときに前記スライダー(202)の半径方向ロッド(207)を受けるように意図している、軸方向に延在している少なくとも1つのスロット溝(123、128)がある
ことを特徴とする請求項1に記載の制御デバイス(10)。
【請求項4】
前記スリーブ(125)の前記スロット溝(128)は、前記スリーブ(125)の一端にて開口を通して開いており、この開口において前記スロット溝の断面が大きくなることによって形成されるガイドプロファイル(129)があり、
前記ガイドプロファイル(129)は、前記第2の部分(200)が非活性位置から活性位置へと変位するときに、前記半径方向ロッド(207)が前記ガイドプロファイル(129)に力を与えて、前記弾性メンバー(130)が与える力に対抗して前記スリーブ(125)を変位させるように構成している
ことを特徴とする請求項3に記載の制御デバイス(10)。
【請求項5】
前記シース(121)には、前記スロット溝(123)の続きが形成されている前記シース(121)の一端において半径方向フランジ(124)があり、
前記半径方向フランジ(124)には、前記第2の部分(200)が非活性位置にあるときに前記半径方向ロッド(207)を受けるように空欠部が形成されている
ことを特徴とする請求項に記載の制御デバイス(10)。
【請求項6】
前記シース(121)と前記摺動ガイド管(101)は、前記スリーブ(125)が中に配置される環状空間を形成する
ことを特徴とする請求項5に記載の制御デバイス(10)。
【請求項7】
前記スリーブ(125)には、前記シース(121)の方へと半径方向に延在している少なくとも1つの追従子(126)があり、
前記シース(121)には、前記追従子(126)を受け前記追従子(126)のための摺動経路を形成するように構成している少なくとも1つのらせん開口(127)がある
ことを特徴とする請求項1に記載の制御デバイス(10)。
【請求項8】
前記摺動ガイド管(101)は、第1の円筒状部分(102)と第2の円筒状部分(103)がある段付き円筒の形を有し、
前記第1の円筒状部分(102)の周壁が、前記摺動ガイド管(101)を覆う頭部(203)の非貫通空洞(204)にある周壁(206)によって並進運動をするようにガイドされ、
前記第2の円筒状部分(103)の周壁が、並進運動をするように前記調整ロッド(201)をガイドし、
前記活性化モジュール(120)は、前記第1の円筒状部分(102)の内側空間内に収容される
ことを特徴とする請求項1に記載の制御デバイス(10)。
【請求項9】
前記摺動ガイド管(101)には、前記第1の円筒状部分(102)と前記第2の円筒状部分(103)の間に肩部を形成する底壁(105)があり、
前記底壁(105)は、前記弾性メンバー(130)を支持して受ける
ことを特徴とする請求項8に記載の制御デバイス(10)。
【請求項10】
請求項1に記載の制御デバイス(10)と、及び計時器用ムーブメントが収容されるケースとを備える計時器であって、
前記制御デバイス(10)が前記ケースを通るように挿入され、
前記調整ロッド(201)が前記計時器用ムーブメントに接続される
ことを特徴とする計時器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携行型時計(例、腕時計、懐中時計)の製造の分野、特に、携行型時計のような計時器のためのムーブメントを制御するための制御デバイスに関する。
【0002】
本発明は、特に、触覚フィードバックがあるように計時器用ムーブメントを制御するための制御デバイス、及びこのような制御デバイスを備える計時器、特に携行型時計、に関する。
【背景技術】
【0003】
携行型時計の製造の分野において、押しボタンや押しリュウズのような制御デバイスによって、計時器、例えば携行型時計、のケース内に配置される機械式又は電子式の計時器用ムーブメント、の制御及び/又は調整が可能になる。
【0004】
特に、前記制御デバイスは、例えば、計時器用ムーブメントのワインド、時間設定又は任意の機能の調整を意図されたものであることができる。
【0005】
従来技術の制御デバイスは、ハウジングに対して、活性な、調整かつ/又は制御位置と、非活性な待機位置との間で、少なくとも並進運動を行うように動くことができる。このために、このような制御デバイスには、一般的に、ユーザーが取り扱うことができるようにハウジングの外側まで半径方向に延在している頭部がある。
【0006】
典型的には、このような頭部は調整ロッドに接続され、この調整ロッドは、前記頭部の変位の間に計時器用ムーブメントに対して直接的又は間接的に作用するように構成している。
【0007】
頭部を操作してコントローラーの位置を変えるときに、ユーザーが感じる必要性がある。この必要性は、計時器が電子式のムーブメントを備える場合には一層顕著になる。
【0008】
実際に、一般的に、機械式の計時器用ムーブメントを制御するための制御デバイスは、活性位置及び/又は非活性位置に到達したときにそのデバイスの可動機構をアクチュエートして、わずかな抵抗の形態で触覚フィードバックをユーザーが感じるようにする。
【0009】
しかし、このような抵抗は、ユーザーに顕著な触覚フィードバックを与えるためには十分ではない可能性がある。すなわち、このような抵抗をユーザーが感じない可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、ユーザーが制御デバイスの位置を変えるときにユーザーが感じるために十分な強さである触覚フィードバックをユーザーに与えるような計時器用ムーブメントを制御するための制御デバイスのための手法を提供することによって、前記必要性を満足させる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
具体的には、本発明は、計時器用ムーブメントを制御するための制御デバイスに関し、前記制御デバイスには、第1の部分と、可動な第2の部分があり、前記第1の部分には、前記計時器用ムーブメントに対して固定されるように意図されている摺動ガイド管、及び活性化モジュールがあり、前記第2の部分は、前記第1の部分に対して、前記摺動ガイド管によって「軸方向」である方向にて活性位置と非活性位置の間を摺動可能にガイドされ、前記活性位置においては、前記第2の部分が調整ロッドを用いて前記計時器用ムーブメントのコンポーネントと一体的であることができ、前記非活性位置においては、前記調整ロッドが前記計時器用ムーブメントの前記コンポーネントを解放するように意図されており、前記第2の部分には、前記調整ロッドに固定されるスライダーがあり、前記スライダーは、前記第2の部分が活性位置と非活性位置の間を動くときに、前記スライダーと前記活性化モジュールが互いに機械的応力を与え、かつ、前記機械的応力は、活性位置又は非活性位置のいずれに到達したときに前記第2の部分が解放されるように、前記活性化モジュールと連係する。
【0012】
この第2の部分を変位させるときの応力状態と非応力状態の変化によって、触覚フィードバックの感覚、特にインデクシングの感覚、がユーザーにおいて発生する。
【0013】
特定の実施形態において、本発明は、さらに、以下の特徴のうちの1つ又は複数を、単独で又は任意の技術的に可能な組み合わせによって組み合わせて、有することができる。
【0014】
特定の実施形態において、前記活性化モジュールは、前記第2の部分が活性位置と非活性位置の間を動くときに前記スライダーの変位に応答して前記スライダーに機械的応力を与え、前記第2の部分が非活性位置に到達するときに機械的応力を解放する。
【0015】
本発明の特定の実施形態において、前記活性化モジュールには、回転自由度がなく並進運動するように前記活性化モジュールをガイドするように前記スライダーと連係し前記摺動ガイド管に固定されるシースがあり、前記活性化モジュールには、さらに、らせん接続によって前記シースと運動学的に接続されるスリーブがあり、前記スリーブは、弾性メンバーの作用下で、前記第2の部分が活性位置と非活性位置の間を動くときに前記スライダーに機械的応力を与えるように構成している。
【0016】
本発明の特定の実施形態において、前記スリーブと前記シースにはそれぞれ、前記第2の部分が活性と非活性位置の間を動くときに前記スライダーの半径方向ロッドを受けるように意図している、軸方向に延在している少なくとも1つのスロット溝がある。
【0017】
本発明の特定の実施形態において、前記スリーブの前記スロット溝は、前記スリーブの一端にて開口を通して開いており、この開口において前記スロット溝の断面が大きくなることによって形成されるガイドプロファイル(ガイド用輪郭)があり、前記ガイドプロファイルは、前記第2の部分が非活性位置から活性位置へと変位するときに、前記半径方向ロッドが前記ガイドプロファイルに力を与えて、前記弾性メンバーが与える力に対抗して前記スリーブを変位させるように構成している。
【0018】
本発明の特定の実施形態において、前記シースには、前記スロット溝の続きが形成されている前記シースの一端において半径方向フランジがあり、前記半径方向フランジには、前記第2の部分が非活性位置にあるときに前記半径方向ロッドを受けるように空欠部が形成されている。
【0019】
前記フランジは、好ましいことに、前記第2の部分が非活性位置にあるときに前記スリーブが当たる止めを構成していることができる。
【0020】
本発明の特定の実施形態において、前記シースと前記摺動ガイド管は、前記スリーブが中に配置される環状体積を形成する。
【0021】
本発明の特定の実施形態において、前記スリーブには、好ましくは、前記シースの方へと半径方向に延在している少なくとも1つの追従子があり、前記シースには、前記追従子を受け前記追従子のための摺動経路を形成するように構成している少なくとも1つのらせん開口がある。
【0022】
本発明の特定の実施形態において、前記摺動ガイド管は、第1の円筒状部分と第2の円筒状部分がある段付き円筒の形を有し、前記第1の円筒状部分の周壁が、頭部の非貫通空洞にある周壁によって並進運動をするようにガイドされ、前記第2の円筒状部分の周壁が、並進運動をするように前記調整ロッドをガイドし、前記活性化モジュールは、前記第1の円筒状部分の内側体積内に収容される。
【0023】
本発明の特定の実施形態において、前記摺動ガイド管には、前記第1の円筒状部分と前記第2の円筒状部分の間に肩部を形成する底壁があり、前記底壁は、前記弾性メンバーを支持して受ける。
【0024】
別の側面によると、本発明は、前記制御デバイスと、及び計時器用ムーブメントが収容されるケースとを備える計時器に関し、前記制御デバイスが前記ケースを通るように挿入され、前記調整ロッドが前記計時器用ムーブメントに接続される。
【0025】
添付の図面を参照しながら例として与えられる以下の詳細な説明を読むことによって、本発明の他の特徴及び利点が明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の好ましい例示的実施形態に係る計時器用ムーブメントを制御するための制御デバイスの縦方向の断面図を示しており、この制御デバイスには、非活性位置にある2つの部分がある。
図2図1の制御デバイスの縦方向の断面図を示しており、2つの部分は活性位置にある。
図3図1の制御デバイスのスライダーと連係する活性化モジュールの詳細な斜視図を示している。
図4図3の分解図を示している。
図5図2の制御デバイスのスライダーと連係する活性化モジュールの詳細な斜視図を示している。
図6図5の分解図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1及び2は、本発明に係る計時器用ムーブメントの制御デバイス10の好ましい例示的実施形態を示している。
【0028】
制御デバイス10は、ユーザーの圧力によって計時器用ムーブメントに作用することを可能にする、押しリュウズ、巻きリュウズ、又は任意のリュウズ又はボタンの形であることができる。
【0029】
制御デバイス10は、当業者に知られている形態で、計時器用ムーブメントが収容されている、計時器、特に携行型時計、のケース(図示せず)のケースミドル部を通り抜けて係合するように意図されている。
【0030】
具体的には、このために、本発明に係る制御デバイス10には、摺動ガイド管101がある第1の部分100があり、この摺動ガイド管101は、ケースミドル部において半径方向に形成されている貫通オリフィス内に入り込んで固定されるように係合されるように意図されている。すなわち、ガイド管101は、計時器用ムーブメントに対して固定されるように意図されている。
【0031】
第1の部分100には、さらに、図3~6に詳細に示している活性化モジュール120がある。この活性化モジュール120によって、後で詳細に説明するように、ユーザーに対して触覚フィードバックの感覚を発生させることが可能になる。
【0032】
また、制御デバイス10には、ガイド管101内を通るように延在している調整ロッド201を含む可動な第2の部分200がある。この調整ロッド201は、その一端において、ガイド管101を覆う頭部203にスライダー202を介して固定されている。
【0033】
調整ロッド201は、ガイド管101を通るように軸方向にて摺動可能に係合しており、第2の部分200が第1の部分100に対して、図2に示している活性位置と、図1に示している非活性位置との間を、摺動するようにする。活性位置においては、調整ロッド201が計時器用ムーブメントのコンポーネントと一体的であることができ、非活性位置においては、調整ロッド201が計時器用ムーブメントの前記コンポーネントを解放することができる。すなわち、調整ロッド201が前記コンポーネントと一体的ではない。
【0034】
この書類において、「一体的」という用語は、一方の部分が他方の部分に運動又は力を伝達することができるようにこれら2つの部分が運動学的に相互に接続されていることを意味すると理解すべきである。言い換えると、調整ロッド201が計時器用ムーブメント側と一体的であるときには、調整ロッド201が計時器用ムーブメント側に作用することができる。
【0035】
具体的には、第2の部分200が活性位置にあるときには、図2に示しているように第2の部分200は引っ込んでおり、第2の部分200が非活性位置にあるときには、図1に示しているように展開されている。
【0036】
第2の部分200の位置は、ユーザーが軸方向に沿って頭部203を変位させることによって変わる。特に、本発明の好ましい例示的実施形態において、第2の部分200は、以下において詳細に説明する弾性メンバー208によって非活性位置に動かされ、そして、ユーザーが押すことによって活性位置に動かされるように意図されている。
【0037】
好ましいことに、スライダー202は、活性化モジュール120と連係して、第2の部分200が活性位置と非活性位置の間を動くときに、それらのスライダー202と活性化モジュール120が互いに機械的応力を与え合うようにし、そして、第2の部分200が、活性又は非活性位置のいずれか、特に本書類において説明する好ましい例示的実施形態においては非活性位置、に到達したときに前記機械的応力が解放されるようにする。
【0038】
この特徴のおかげで、ユーザーが頭部203を押して第2の部分200を活性位置に動かすときに、この第2の部分200は、スライダー202と活性化モジュール120が互いに作用する機械的応力によって発生する力に作用する。したがって、ユーザーは、第2の部分200の移動距離全体にわたって機械的抵抗を感じる。
【0039】
また、弾性戻しメンバーの有無に応じて、ユーザーが頭部203に与えている圧力を解放して又はこの頭部203を引っ張って、第2の部分200を非活性位置に変位させるときに、ユーザーは、第2の部分200が非活性位置に到達するまで、第2の部分200の移動距離全体にわたって抵抗を感じ、そして、機械的応力が突然解放されて、ユーザーはこれらの力の突然の解放を感じる。
【0040】
このように、制御デバイス10は、ユーザーが上記のように第2の部分200を扱うときに、ユーザーに対して触覚フィードバックの感覚を発生させ、より正確には、明確なインデクシングの感覚を発生させる。
【0041】
以下、図1~6に示している本発明の特定の例示的実施形態について、詳細に説明する。
【0042】
図1及び2に示しているように、頭部203には、奥壁205と周壁206によって定められる実質的に円筒状の回転体形状を有する非貫通空洞204がある。
【0043】
スライダー202は円筒状の回転体形状を有し、頭部203と調整ロッド201の端どうしを接続する。好ましいことに、スライダー202は、空洞204内に収容され、ねじ込み及び/又は接着によって、又は他の適切な手段によって、奥壁205に対して固定される。
【0044】
スライダー202には、活性化モジュール120の相補的な回転止めメンバーと連係するように構成している回転止めメンバーがあり、これによって、特に第2の部分200の変位中に、スライダー202の回転を防ぐ。
【0045】
図1~6に示している本発明の好ましい例示的実施形態において、回転止めメンバーは、少なくとも1つの半径方向ロッド207、好ましくは2つの直径的に反対方向の半径方向ロッド207、によって形成される。
【0046】
ガイド管101には、好ましくは、第2の部分200に対する並進をガイドする2つの並進ガイド面がある。
【0047】
特に、図1及び2に示している本発明の好ましい例示的実施形態において、ガイド管101は、第1の円筒状部分102及び第2の円筒状部分103がある段付き円筒の形を有する。図1及び2に示しているように、第1の円筒状部分102は、第2の円筒状部分103よりも大きな直径を有する。
【0048】
第1の円筒状部分102は、頭部203の空洞204内に入り込んで係合し、この第1の円筒状部分102には、周壁があり、この周壁の外面が、頭部203の周壁206の内面に対して摺動して嵌まり合うことによって摺動可能に連係する。特に、周壁には、頭部203の周壁206に対して摺動するように設計されている環状面104があることができる。
【0049】
第1の円筒状部分102には、底壁105があり、この底壁105によって第1の円筒状部分102が第2の円筒状部分103に接続する。この底壁105は、肩部を形成し、第1の円筒状部分102の周壁とともに内側体積を形成する。
【0050】
この例示的実施形態において、図1~6に示しているように、第1の円筒状部分102の内側体積内に活性化モジュール120が収容される。
【0051】
活性化モジュール120には、ガイド管101と同心的に固定され円筒状の回転体形状を有するシース121がある。シース121には、周壁122があり、この周壁122上に、スライダー202の回転止めメンバーと連係する相補的な回転止めメンバーがある。この相補的な回転止めメンバーは、図1~6に示している例示的実施形態において、軸方向に延在している、少なくとも1つのスロット溝123、好ましくは2つのスロット溝、の形態であり、これによって、第2の部分200が活性位置と非活性位置の間で変位する間に、半径方向ロッド207を摺動可能にガイドする。
【0052】
特に、半径方向ロッド207は、スロット溝123を通るように、そして、スロット溝123を越えるように延在している。
【0053】
好ましい例示的実施形態において、スロット溝123は、互いに直径的に反対側にあり、頭部203に対向するシース121の一端にて開いている。本書類の他の部分において、この端を「遠位端」と呼ぶ。
【0054】
「遠位」と「近位」という用語は、本書類において、計時器用ムーブメントからの遠隔性に関連するものである。
【0055】
遠位端は、ガイド管101に、具体的には底壁105に、固定される近位端の反対側にある。
【0056】
シース121には、肩部を形成する遠位端に半径方向フランジ124がある。図1及び3に示しているように、半径方向フランジ124には、スロット溝123の続きに、半径方向に空欠部が形成されており、これによって、第2の部分200が非活性位置にあるときに半径方向ロッド207を受ける。
【0057】
半径方向フランジ124、底壁105、及び第1の円筒状部分102とシース121の各周壁は、スリーブ125が中に配置される環状体積を形成する。
【0058】
スリーブ125は、らせん接続するようにシース121と運動学的に接続されている。特に、図4及び6の拡大図に示しているように、好ましくは、スリーブ125には、シース121の方へと半径方向に延在している、スタッドの形である、少なくとも1つの追従子(フォロワー)126がある。また、シース121には、その周壁に少なくとも1つのらせん開口127が形成されて、これによって、追従子126を受け、この追従子126の摺動経路を構成する。
【0059】
好ましくは、スリーブ125には、シース121の2つのらせん開口127にそれぞれ係合する2つの追従子126が直径的に反対側にある。
【0060】
2つのらせん開口127は、シース121の回転軸に対して互いに対称である。
【0061】
図1~6に示しているように、スリーブ125には、さらに、半径方向ロッド207を受けるように意図された、軸方向に延在している少なくとも1つのスロット溝128がある。この少なくとも1つのスロット溝128は、半径方向フランジ124に対向する、「遠位端」と呼ばれるスリーブ125の一端において開口において開いている。
【0062】
好ましくは、スリーブ125には、2つのスロット溝128が直径的に反対側にあり、このスロット溝128には、前記開口において、傾斜面ないしフィレットによって形成されるガイドプロファイル129がある。図3~6に示しているように、ガイドプロファイル129によって、前記スロット溝128が広げることができる。
【0063】
好ましいことに、スリーブ125には、このスリーブ125を半径方向フランジ124の方へと変位させる傾向がある、弾性メンバー130が発生させる弾性力が与えられる。すなわち、弾性メンバー130は、スリーブ125をシース121の遠位端の方へと変位させる傾向がある。この結果、前記らせん接続によって、弾性力がスリーブ125を回転させる傾向も発生させて、これによって、スロット溝128がシース121のスロット溝123に対して角度的にずれるようにされ、したがって、スロット溝128とスロット溝123どうしが対向しないようにされる。
【0064】
弾性メンバー130は、ガイド管101の底壁105、及びスリーブ125の遠位端とは反対側のスリーブ125の近位端を支持するように構成している。弾性メンバー130は、圧縮されることで機能し、好ましくは、らせんばねによって形成される。
【0065】
これらの特徴のおかげで、第2の部分200が非活性位置から活性位置へと動くときに、半径方向ロッド207は、シース121の遠位端から、シース121のスロット溝123に沿って、かつ、スリーブ125のガイドプロファイル129に対向して、変位する。このガイドプロファイル129は、半径方向ロッド207をスリーブ125のスロット溝128内に徐々に動かして、ロッドがこのスロット溝128に沿って摺動するようにする。
【0066】
特に図3及び5に示しているように、ガイドプロファイル129に対向するように半径方向ロッド207を変位させることによって、スリーブ125が回転し、したがって、らせん開口127内にて追従子126が変位し、この結果、弾性メンバー130が発生させる弾性力に対抗しつつスリーブ125が並進運動を行う。
【0067】
したがって、弾性力は、スリーブ125がスライダー202に対して発生させる力の元となっている。すなわち、スライダー202は、シース121のスロット溝123内にて係合しており、スリーブ125が発生させる力に拮抗する力を発生させる。したがって、スライダー202と活性化モジュール120は、活性位置と非活性位置の間の第2の部分200の移動を遅くする傾向がある相互的な機械的応力を互いに与える。
【0068】
言い換えると、スリーブ125とシース121の間のらせん接続の目的は、弾性力の線形的な力を、第2の部分200の活性位置と非活性位置の間の移動を遅くする傾向があるねじり力へと変換することである。
【0069】
また、第2の部分200が活性位置から非活性位置へと動くときに、半径方向ロッド207は、シース121のスロット溝123及びスリーブ125のスロット溝128を通って、それらの各遠位端の方へと変位する。これは半径方向ロッド207がガイドプロファイル129に到達するまで行われ、半径方向ロッド207はガイドプロファイル129に対向して、弾性力の作用下でシース121と前記スリーブ125の間のらせん接続が発生させるスリーブ125の回転によって支持されながら動かされる。
【0070】
第2の部分200は、図示している例において圧縮ばねによって構成している、弾性メンバー208によって並進運動をして非活性位置へと動く。
【0071】
このために、調整ロッド201には、遠位止めがあり、この遠位止めは、本発明の好ましい例示的実施形態において、断面の減少によって発生する半径方向の肩部によって形成される。この断面の減少のおかげで、調整ロッド201とシース121の間に環状体積が形成され、これによって、圧縮ばねを配置することが可能になる。
【0072】
特に、底壁105と半径方向肩部に対向して支持するように圧縮ばねが配置されて、頭部203とスライダー202をガイド管101から離す傾向がある力を発生させる。
【0073】
調整ロッド201には、近位止めがあり、この近位止めは、本発明の好ましい例示的実施形態において、前記調整ロッド201内に半径方向に延在している環状溝に入り込む弾性リング209によって形成される。
【0074】
図1に示しているように、第2の部分200が非活性位置にあるときにガイド管101は弾性リング209に支持される。
【0075】
したがって、ユーザーが頭部203に与えていた圧力を解放すると、弾性メンバー208によって第2の部分200が非活性位置に動かされる。ユーザーが第2の部分200を非活性位置まで変位させているときに、ユーザーは、その移動の端において、スリーブ125とスライダー202の間に及ぼされる機械的応力の解放を感じ、この結果、ユーザーは、第2の部分200が非活性位置に到達したことをユーザーに伝える触覚フィードバックの感覚を感じる。
【0076】
ガイド管101の第2の円筒状部分103は、調整ロッド201を囲い、この第2の円筒状部分103には周壁116があり、摺動して嵌まり合うことによってこの周壁116の内面が前記調整ロッド201と摺動可能に連係する。
【0077】
また、第2の円筒状部分103には、第2の円筒状部分103の周壁116と調整ロッド201の間に挿入されるシールを受ける凹部131がある。
【0078】
最後に、第2の円筒状部分103には、第1の円筒状部分102とは反対側に自由端があり、これは、第2の部分200が非活性位置にあるときに調整ロッド201の遠位止めに支持されるように設けられる。
【符号の説明】
【0079】
10 制御デバイス
100 第1の部分
101 摺動ガイド管
102 第1の円筒状部分
103 第2の円筒状部分
105 底壁
120 活性化モジュール
121 シース
123、128 スロット溝
124 半径方向フランジ
125 スリーブ
126 追従子
127 らせん開口
129 ガイドプロファイル
130 弾性メンバー
200 第2の部分
201 調整ロッド
202 スライダー
203 頭部
204 非貫通空洞
206 周壁
207 半径方向ロッド
図1
図2
図3
図4
図5
図6