(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-18
(45)【発行日】2023-08-28
(54)【発明の名称】オゾン発生体、及びオゾン発生器
(51)【国際特許分類】
C01B 13/11 20060101AFI20230821BHJP
【FI】
C01B13/11 F
C01B13/11 G
(21)【出願番号】P 2022113588
(22)【出願日】2022-07-15
【審査請求日】2022-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】拮石 真一郎
(72)【発明者】
【氏名】服部 洋一
(72)【発明者】
【氏名】上山 剛
(72)【発明者】
【氏名】市村 彦幸
(72)【発明者】
【氏名】西山 寛幸
【審査官】廣野 知子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-190259(JP,A)
【文献】特開2008-108720(JP,A)
【文献】国際公開第2013/051097(WO,A1)
【文献】特開2006-181458(JP,A)
【文献】国際公開第2019/225426(WO,A1)
【文献】特開2008-251521(JP,A)
【文献】国際公開第2006/103945(WO,A1)
【文献】特開平10-245204(JP,A)
【文献】実開昭61-2423(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 13/00-13/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックを主成分とする第1誘電体部と、
前記第1誘電体部に埋設される第1導体部と、
セラミックを主成分とし、前記第1誘電体部に対し第1方向の一方側に間隔をあけて配置される第2誘電体部と、
前記第2誘電体部に埋設され、前記第1方向において前記第1導体部と対向して配置される第2導体部と、
前記第1方向において、前記第1誘電体部と前記第2誘電体部との間に配置されるスペーサ部と、
前記第1導体部よりも前記第1方向の他方側において前記第1誘電体部に設けられ、電源部に接続される第3導体部と、
前記第2導体部よりも前記第1方向の一方側において前記第2誘電体部に設けられ、前記電源部に接続される第4導体部と、
前記第1方向において前記第1導体部と前記第3導体部との間に設けられ、前記第3導体部を前記第1導体部に電気的に接続する第1接続部と、
前記第1方向において前記第2導体部と前記第4導体部との間に設けられ、前記第4導体部を前記第2導体部に電気的に接続する第2接続部と、を有し、
前記スペーサ部は、前記第1方向における前記第1誘電体部と前記第2誘電体部との間の領域において、前記第1方向と直交する第2方向の一方側に配置され、
前記第3導体部及び前記第4導体部は、それぞれ前記第1方向から見て前記スペーサ部と重なる位置に配置され、
前記第1導体部及び前記第2導体部は、それぞれ前記スペーサ部よりも前記第2方向の他方側に配置される
オゾン発生体。
【請求項2】
前記第1接続部は、前記第1方向から見て前記第3導体部及び前記スペーサ部と重なる位置から前記第1導体部と重なる位置に延設される第1延設部を有し、
前記第2接続部は、前記第1方向から見て前記第4導体部及び前記スペーサ部と重なる位置から前記第2導体部と重なる位置に延設される第2延設部を有し、
前記第1延設部は、前記第1方向から見て前記スペーサ部と前記第1導体部との間に配置される第1中間延設部を有し、
前記第2延設部は、前記第1方向から見て前記スペーサ部と前記第2導体部との間に配置される第2中間延設部を有し、
前記第1中間延設部及び前記第2中間延設部は、前記第1方向から見て互いに重ならない位置に配置される
請求項1に記載のオゾン発生体。
【請求項3】
前記第1延設部と前記第2延設部が、前記第1方向から見て互いに重ならない位置に配置される
請求項2に記載のオゾン発生体。
【請求項4】
前記スペーサ部は、前記第1誘電体部及び前記第2誘電体部のうち少なくとも一方とは別体として構成される
請求項3に記載のオゾン発生体。
【請求項5】
前記スペーサ部は、前記第1誘電体部と前記第2誘電体部のうち少なくとも一方と一体に形成される
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のオゾン発生体。
【請求項6】
前記スペーサ部は、前記第1誘電体部及び前記第2誘電体部のうち少なくとも一方とは別体として構成される
請求項1又は請求項2に記載のオゾン発生体。
【請求項7】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のオゾン発生体と、
前記電源部と、を備える
オゾン発生器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オゾン発生体、及びオゾン発生器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、プラズマ発生電極が開示されている。このプラズマ発生電極は、互いに対向する電極を有する。電極は、誘電体であるセラミック体と、このセラミック体の内部に配設された導電膜と、を有する。互いに対向する電極は、それぞれ保持部材によって支持される。保持部材の一部は、互いに対向する電極間に配置され、スペーサとして機能する。これにより、互いに対向するセラミック体間に、放電領域が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の構成では、放電に起因して、セラミック体間の隙間に硝酸化合物が析出する。この硝酸化合物は、潮解したときに、スペーサの表面を介して互いに対向するセラミック体同士をつないでしまうおそれがある。潮解した硝酸化合物がセラミック体同士をつなぐと、両電極に印加される電圧の低下が懸念される。
【0005】
本発明は、硝酸化合物に起因する印加電圧の低下を抑えやすい技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のオゾン発生体は、
セラミックを主成分とする第1誘電体部と、
前記第1誘電体部に埋設される第1導体部と、
セラミックを主成分とし、前記第1誘電体部に対し第1方向の一方側に間隔をあけて配置される第2誘電体部と、
前記第2誘電体部に埋設され、前記第1方向において前記第1導体部と対向して配置される第2導体部と、
前記第1方向において、前記第1誘電体部と前記第2誘電体部との間に配置されるスペーサ部と、
前記第1導体部よりも前記第1方向の他方側において前記第1誘電体部に設けられ、電源部に接続される第3導体部と、
前記第2導体部よりも前記第1方向の一方側において前記第2誘電体部に設けられ、前記電源部に接続される第4導体部と、
前記第1方向において前記第1導体部と前記第3導体部との間に設けられ、前記第3導体部を前記第1導体部に電気的に接続する第1接続部と、
前記第1方向において前記第2導体部と前記第4導体部との間に設けられ、前記第4導体部を前記第2導体部に電気的に接続する第2接続部と、を有し、
前記スペーサ部は、前記第1方向における前記第1誘電体部と前記第2誘電体部との間の領域において、前記第1方向と直交する第2方向の一方側に配置され、
前記第3導体部及び前記第4導体部は、それぞれ前記第1方向から見て前記スペーサ部と重なる位置に配置され、
前記第1導体部及び前記第2導体部は、それぞれ前記スペーサ部よりも前記第2方向の他方側に配置される。
【0007】
本発明のオゾン発生器は、本発明のオゾン発生体と、前記電源部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、硝酸化合物に起因する印加電圧の低下を抑えやすい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】
図3は、
図2のA-A線で切断したオゾン発生器の斜視図である。
【
図6】
図6は、第1導体部、第2導体部、第3導体部、第4導体部、第1接続部、及び第2接続部を第3方向の他方側から見た図である。
【
図7】
図7は、第1導体部、第1接続部、及び第3導体部を第1方向の他方側から見た図である。
【
図8】
図8は、第2導体部、第2接続部、及び第4導体部を第1方向の他方側から見た図である。
【
図9】
図9は、第1延設部及び第2延設部を第1方向の他方側から見た図である。
【
図10】
図10は、オゾン発生体が保持部に保持された状態を示す断面図である。
【
図11】
図11は、オゾン発生器の電気的構成を示すブロック図である。
【
図12】
図12は、第2実施形態における、第1導体部、第1接続部、及び第3導体部を第1方向の他方側から見た図である。
【
図13】
図13は、第2実施形態における、第2導体部、第2接続部、及び第4導体部を第1方向の他方側から見た図である。
【
図14】
図14は、第2実施形態における、第1延設部及び第2延設部を第1方向の他方側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、本開示の実施形態が列記されて例示される。
【0011】
〔1〕セラミックを主成分とする第1誘電体部と、
前記第1誘電体部に埋設される第1導体部と、
セラミックを主成分とし、前記第1誘電体部に対し第1方向の一方側に間隔をあけて配置される第2誘電体部と、
前記第2誘電体部に埋設され、前記第1方向において前記第1導体部と対向して配置される第2導体部と、
前記第1方向において、前記第1誘電体部と前記第2誘電体部との間に配置されるスペーサ部と、
前記第1導体部よりも前記第1方向の他方側において前記第1誘電体部に設けられ、電源部に接続される第3導体部と、
前記第2導体部よりも前記第1方向の一方側において前記第2誘電体部に設けられ、前記電源部に接続される第4導体部と、
前記第1方向において前記第1導体部と前記第3導体部との間に設けられ、前記第3導体部を前記第1導体部に電気的に接続する第1接続部と、
前記第1方向において前記第2導体部と前記第4導体部との間に設けられ、前記第4導体部を前記第2導体部に電気的に接続する第2接続部と、を有し、
前記スペーサ部は、前記第1方向における前記第1誘電体部と前記第2誘電体部との間の領域において、前記第1方向と直交する第2方向の一方側に配置され、
前記第3導体部及び前記第4導体部は、それぞれ前記第1方向から見て前記スペーサ部と重なる位置に配置され、
前記第1導体部及び前記第2導体部は、それぞれ前記スペーサ部よりも前記第2方向の他方側に配置される
オゾン発生体。
【0012】
〔1〕のオゾン発生体は、第3導体部及び第4導体部がいずれも第1方向から見てスペーサ部と重なる位置に配置されるため、第3導体部及び第4導体部を第2方向の一方側から電源部に接続しやすい。しかも、第1導体部及び第2導体部は、スペーサ部よりも第2方向の他方側に配置されるため、第1導体部と第2導体部との間で放電させても、スペーサ部の表面に硝酸化合物が発生することを抑えることができる。その結果、潮解した硝酸化合物がスペーサ部を介して第1誘電体部と第2誘電体部とがつながれることを防止しやすく、潮解した硝酸化合物に起因して印加電圧が低下することを抑えることができる。なお、「第1方向から見て」とは、第1方向の一方側又は他方側から第1方向に真っすぐに見た場合のことを意味する。
【0013】
〔2〕前記第1接続部は、前記第1方向から見て前記第3導体部及び前記スペーサ部と重なる位置から前記第1導体部と重なる位置に延設される第1延設部を有し、
前記第2接続部は、前記第1方向から見て前記第4導体部及び前記スペーサ部と重なる位置から前記第2導体部と重なる位置に延設される第2延設部を有し、
前記第1延設部は、前記第1方向から見て前記スペーサ部と前記第1導体部との間に配置される第1中間延設部を有し、
前記第2延設部は、前記第1方向から見て前記スペーサ部と前記第2導体部との間に配置される第2中間延設部を有し、
前記第1中間延設部及び前記第2中間延設部は、前記第1方向から見て互いに重ならない位置に配置される
〔1〕に記載のオゾン発生体。
【0014】
〔2〕のオゾン発生体は、第1方向から見て、スペーサ部と第1導体部との間に配置される第1中間延設部と、スペーサ部と第2導体部との間に配置される第2中間延設部とが、互いに重ならない位置に配置される。このため、第1中間延設部と第2中間延設部との間では、放電がより一層生じにくくなり、スペーサ部の表面に硝酸化合物が発生しにくくなる。その結果、潮解した硝酸化合物がスペーサ部を介して第1誘電体部と第2誘電体部とがつながれることをより一層防止しやすく、潮解した硝酸化合物に起因して印加電圧が低下することをより確実に抑えることができる。
また、放電によって生じた硝酸化合物が風で移動したり、潮解し液状化して流れたりして、スペーサ部の表面に付着することも想定される。しかし、第1方向から見てスペーサ部の表面に隣接する位置に配置される第1中間延設部と第2中間延設部とが、互いに重ならないように離間して配置されている。このため、第1中間延設部と第2中間延設部とが潮解した硝酸化合物を介して電気的に接続されることを防止しやすく、ひいては、第1接続部と第2接続部とが潮解した硝酸化合物を介して電気的に接続されることを防止しやすい。
【0015】
〔3〕前記第1延設部と前記第2延設部が、前記第1方向から見て互いに重ならない位置に配置される
〔2〕に記載のオゾン発生体。
【0016】
〔3〕のオゾン発生体は、第1延設部と第2延設部が、第1方向から見て互いに重ならない位置に配置されるため、第1延設部と第2延設部との間では、放電がより一層生じにくくなり、スペーサ部の表面に硝酸化合物が発生しにくくなる。その結果、潮解した硝酸化合物がスペーサ部を介して第1誘電体部と第2誘電体部とがつながれることをより一層防止しやすく、潮解した硝酸化合物に起因して印加電圧が低下することをより確実に抑えることができる。
また、放電によって生じた硝酸化合物が風で移動したり、潮解し液状化して流れたりして、スペーサ部の表面に付着することも想定される。しかし、第1方向から見てスペーサ部の表面と重なる位置に配置される第1接続部と第2接続部とが、互いに重ならないように離間して配置されている。このため、第1接続部と第2接続部とが潮解した硝酸化合物を介して電気的に接続されることを防止しやすい。
【0017】
〔4〕前記スペーサ部は、前記第1誘電体部及び前記第2誘電体部のうち少なくとも一方とは別体として構成される
〔3〕に記載のオゾン発生体。
【0018】
第1誘電体部及び第2誘電体部のうち少なくとも一方をスペーサ部とは別体とすることで、第1誘電体部、第2誘電体部及びスペーサ部の製造が容易になる。しかし、第1誘電体部及び第2誘電体部のうち少なくとも一方がスペーサ部とは別体である場合、スペーサ部と上記少なくとも一方との間の隙間に硝酸化合物が発生しうる。スペーサ部と上記少なくとも一方との間の隙間に硝酸化合物が発生すると、この硝酸化合物が潮解したときに導電層が形成されて容量成分となり、印加電圧が想定値に対してずれるおそれがある。この点、〔4〕のオゾン発生体は、第1導体部及び第2導体部がスペーサ部よりも第2方向の他方側に配置されるため、スペーサ部と上記少なくとも一方との間の隙間に導電層が形成されにくい。しかも、このオゾン発生体は、第1延設部と第2延設部が、第1方向から見て互いに重ならない位置に配置されるため、第1延設部と第2延設部の間での放電に起因してスペーサ部と上記少なくとも一方との間の隙間に導電層が形成されることも防止しやすい。
また、放電によって生じた硝酸化合物、もしくは潮解した硝酸化合物がスペーサ部と上記少なくとも一方との間の隙間に導電層を形成したとしても、第1接続部と第2接続部が第1方向から見て互いに重ならない位置に配置されるため、容量成分を形成しにくい。このため、容量成分が形成されることに起因して印加電圧が想定値に対してずれるという事態が生じにくい。
【0019】
〔5〕前記スペーサ部は、前記第1誘電体部と前記第2誘電体部のうち少なくとも一方と一体に形成される
〔1〕から〔3〕のいずれかに記載のオゾン発生体。
【0020】
〔5〕のオゾン発生体は、上記少なくとも一方とスペーサ部との間の隙間に硝酸化合物が発生することを防止できる。このため、この硝酸化合物が潮解して、上記少なくとも一方とスペーサ部との間の隙間に導電層が形成されて容量成分となることを防止でき、その結果、容量成分が形成されることに起因して印加電圧が想定値に対してずれるという事態が生じにくい。
【0021】
〔6〕前記スペーサ部は、前記第1誘電体部及び前記第2誘電体部のうち少なくとも一方とは別体として構成される
〔1〕又は〔2〕に記載のオゾン発生体。
【0022】
第1誘電体部及び第2誘電体部のうち少なくとも一方をスペーサ部とは別体とすることで、第1誘電体部、第2誘電体部及びスペーサ部の製造が容易になる。しかし、第1誘電体部及び第2誘電体部のうち少なくとも一方がスペーサ部とは別体である場合、スペーサ部と上記少なくとも一方との間の隙間に硝酸化合物が発生しうる。スペーサ部と上記少なくとも一方との間の隙間に硝酸化合物が発生すると、この硝酸化合物が潮解したときに導電層が形成されて容量成分となり、印加電圧が想定値に対してずれるおそれがある。この点、〔6〕のオゾン発生体は、第1導体部及び第2導体部がスペーサ部よりも第2方向の他方側に配置されるため、スペーサ部と上記少なくとも一方との間の隙間に導電層が形成されにくい。
【0023】
〔7〕〔1〕から〔6〕のいずれかに記載のオゾン発生体と、
前記電源部と、を備える
オゾン発生器。
【0024】
1.第1実施形態
1-1.オゾン発生器100の構成
図1に示すオゾン発生器100は、外部の空気を吸い込み、放電(より具体的には、誘電体バリア放電)により空気中の酸素からオゾンを発生させ、外部に排出させる装置である。オゾン発生器100は、
図3に示すように、外殻部1と、流路2と、オゾン発生体3と、を備える。
【0025】
外殻部1は、
図3に示すように、オゾン発生器100の外殻をなしており、内部に空間が形成されている。外殻部1は、内部にオゾン発生体3を収容する。外殻部1は、第1ケース部11と、第2ケース部12と、吸気部13と、排気部14と、を有する。
【0026】
以下では、オゾン発生器100の軸方向をZ方向と称する。軸方向は、オゾン発生器100の上下方向である。上方側が、Z方向の一方側であり、下方側が、Z方向の他方側である。
【0027】
第1ケース部11は、載置面に載置される部位である。第1ケース部11は、
図3に示すように、載置面部11Aと、載置面部11Aの外周部から筒状に突出する筒部11Bと、を有する。載置面部11Aの外縁は、円形状をなしている。筒部11Bは、載置面部11Aの外周部からZ方向の一方側に突出している。筒部11Bは、円筒状をなしている。
【0028】
第2ケース部12は、
図3に示すように、周壁部12Aと、天壁部12Bと、を有する。周壁部12Aは、筒状、より具体的には円筒状をなしている。周壁部12Aは、Z方向と直交する平面方向において、筒部11Bより外側に配置されている。周壁部12AにおけるZ方向の他方側の端部は、吸気部13を介して筒部11BにおけるZ方向の一方側の端部に連結される。これにより、第2ケース部12は、載置面から浮いた状態で配置される。天壁部12Bは、周壁部12AにおけるZ方向の一方側の内周部から内側に突出している。天壁部12Bは、環状、より具体的には円環状をなしている。
【0029】
吸気部13は、環状、より具体的には、円環状をなしている。吸気部13には、流路2に空気を含む気体を取り込む吸気口13Aが形成されている。吸気口13Aは、環状、より具体的には、円環状をなしている。
【0030】
排気部14は、環状の天壁部12Bの内周部に取り付けられる。排気部14は、板状、より具体的には、円板状をなしている。排気部14には、流路2から気体を排出する排気口14Aが形成されている。排気口14Aは、スリット状に形成されている。排気部14は、流路2内に指が入ることを防ぐフィンガーガードとして構成されている。排気口14Aは、Z方向と直交する平面方向において、吸気口13Aよりも内側に配置されている。
【0031】
流路2は、第1流路2Aと、第2流路2Bと、を有する。第1流路2Aは、第2流路2Bよりも上流側に配置される。第2流路2Bは、排気口14Aに向けて直線状に延びている。第2流路2Bが伸びる方向は、オゾン発生器100の軸方向である。また、第2流路2Bに対する排気口14A側が、Z方向の一方側であり、その反対側が、Z方向の他方側である。第2流路2Bは、Z方向と直交する平面方向において、吸気口13Aよりも内側に配置されている。第1流路2Aは、吸気口13Aから取り込んだ気体を、Z方向と直交する平面方向において、吸気口13Aよりも内側に寄せて、第2流路2Bに導入させる。第2流路2Bに導入された気体は、第2流路2Bを通り、排気口14Aから排出される。
【0032】
1-2.オゾン発生体3の構成
オゾン発生体3は、電圧が印加されることによって放電する。より具体的には、オゾン発生体3は、交流電圧が印加されることによって誘電体バリア放電を生じさせる。オゾン発生体3は、吸気口13Aから取り込まれた空気中の酸素を原料として流路2にオゾンを発生させる。
【0033】
オゾン発生体3は、
図4及び
図5に示すように、第1誘電体部21と、第2誘電体部22と、スペーサ部材23と、ホルダ24と、第1端子25と、第2端子26と、を有する。
【0034】
第1誘電体部21及び第2誘電体部22は、セラミックを主成分とする。第1誘電体部21及び第2誘電体部22は、本実施形態ではアルミナ(Al2O3)を材料として形成される。なお、第1誘電体部21及び第2誘電体部22は、アルミナに限らず、ガラス(SiO2)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化イットリウム(Y2O3)等の別のセラミックやそれらの混合物を材料として形成されてもよい。第1誘電体部21及び第2誘電体部22は、それぞれ板状をなしている。
【0035】
第1誘電体部21及び第2誘電体部22は、第1方向に互いに間隔をあけて配置される。第1方向は、第1誘電体部21及び第2誘電体部22の並び方向である。また、第1方向は、第1誘電体部21及び第2誘電体部22の厚さ方向である。第2誘電体部22は、第1誘電体部21に対し、第1方向の一方側に間隔をあけて配置されている。第1誘電体部21及び第2誘電体部22は、第1方向において、互いに対向する。第1誘電体部21及び第2誘電体部22の互いに対向する面は、平坦な面であり、矩形状をなしている。
【0036】
第1誘電体部21及び第2誘電体部22は、第1方向と直交する第2方向の一方側の端部が、スペーサ部材23及びホルダ24によって支持される。第1誘電体部21及び第2誘電体部22は、片持ち支持される。第2方向は、第1誘電体部21の長手方向であり、第2誘電体部22の長手方向である。
【0037】
第1誘電体部21は、第1誘電体本体31と、第1張出部32と、第1凹部33(
図10参照)と、を有する。第1誘電体本体31は、板状をなし、直方体形状をなす。第1張出部32は、第1誘電体部21における第2方向の一方側から、第1方向の他方側に張り出した形態をなしている。第1張出部32は、第1方向及び第2方向と直交する第3方向において、第1誘電体部21の全領域にわたって形成されている。第3方向は、第1誘電体部21の短手方向であり、第2誘電体部22の短手方向である。第1凹部33は、第1張出部32の一部を第1方向の他方側から凹ませた形態をなしている。第1凹部33は、第1誘電体部21の第2方向の一方側の端面に開口している。
【0038】
第2誘電体部22は、第2誘電体本体36と、第2張出部37と、第2凹部38と、を有する。第2誘電体本体36は、板状をなし、直方体形状をなす。第2張出部37は、第2誘電体部22における第2方向の一方側から、第1方向の一方側に張り出した形態をなしている。第2張出部37は、第3方向において、第2誘電体部22の全領域にわたって形成されている。第2凹部38は、第2張出部37の一部を第1方向の一方側から凹ませた形態をなしている。第2凹部38は、第2誘電体部22の第2方向の一方側の端面に開口している。
【0039】
スペーサ部材23は、第1方向において、第1誘電体部21と第2誘電体部22との間に配置される。スペーサ部材23は、第1誘電体部21と第2誘電体部22との間に配置されるスペーサ部23Aと、スペーサ部23Aから第2方向の一方側に延設されたスペーサ延設部23Bと、を有する。スペーサ部23Aは、スペーサ部材23のうち、第1方向において第1誘電体部21と第2誘電体部22との間に配置される部位である。スペーサ部23Aは、スペーサ部材23のうち、第1方向から見て、第1誘電体部21及び第2誘電体部22と重なる部位である。スペーサ延設部23Bは、スペーサ部材23のうち、第1方向から見て、第1誘電体部21及び第2誘電体部22との両方と重ならない部位である。スペーサ延設部23Bにおける第2方向の一方側の端部は、第1誘電体部21における第2方向の一方側の端部よりも第2方向の一方側に配置されており、第2誘電体部22における第2方向の一方側の端部よりも第2方向の一方側に配置されている。スペーサ部23A及びスペーサ延設部23Bは、それぞれ板状をなしている。スペーサ部23A及びスペーサ延設部23Bの厚さ方向は、第1方向に沿っており、より具体的には第1方向と平行である。スペーサ部23Aは、第3方向において、第1誘電体部21及び第2誘電体部22の両端よりも内側に配置されている。
【0040】
ホルダ24は、スペーサ部材23を挟んだ第1誘電体部21及び第2誘電体部22を保持する部材である。ホルダ24は、環状(具体的には角筒状)をなしており、スペーサ部材23を挟んだ第1誘電体部21及び第2誘電体部22の外周を囲むように配置される。ホルダ24は、ホルダ本体24Aと、係止部24Bと、を有する。
【0041】
ホルダ本体24Aは、環状(具体的には角筒状)をなしている。係止部24Bは、ホルダ本体24Aにおける第2方向の他方側の内周部から内側に突出する形態をなしている。係止部24Bは、第1方向の両側から突出している。
【0042】
ホルダ24は、スペーサ部材23を挟んだ第1誘電体部21及び第2誘電体部22に対し、第2方向の他方側から挿し通される。ホルダ24は、係止部24Bが第1誘電体部21の第1張出部32及び第2張出部37に接触することで、位置決めされる。
【0043】
第1端子25及び第2端子26は、それぞれ金属製であり、板状をなす。第1端子25は、第1凹部33に配置される。第1端子25は、第3導体部41(
図6参照)に接合され、第3導体部41に電気的に接続される。第2端子26は、第4導体部51(
図6参照)に接合され、第4導体部51に電気的に接続される。第1端子25及び第2端子26は、第3方向から見てL字状をなす。
【0044】
オゾン発生体3は、
図6から
図9に示すように、第1導体部40と、第3導体部41と、第1接続部42と、第2導体部50と、第4導体部51と、第2接続部52と、を有する。
【0045】
第1導体部40は、
図6及び
図7に示すように、第1誘電体部21に設けられる。第1導体部40は、第1誘電体部21に埋設される。第1導体部40は、第1誘電体部21における第2方向の他方側に埋設される。第1導体部40は、スペーサ部23Aよりも第2方向の他方側に配置される。
【0046】
第3導体部41は、
図6及び
図7に示すように、第1誘電体部21に設けられる。第3導体部41は、第1導体部40よりも第1方向の他方側に配置される。第3導体部41は、第1誘電体部21における第1方向の他方側の面に配置される。第3導体部41は、第1凹部33の底面に配置される。第3導体部41は、第1誘電体部21の外部に露出する。第3導体部41は、第1方向から見てスペーサ部23Aと重なる位置に配置される。本実施形態では、第3導体部41の全体が、第1方向から見てスペーサ部23Aと重なる位置に配置される。なお、第3導体部41の一部のみが、第1方向から見てスペーサ部23Aと重なる位置に配置される構成であってもよい。
【0047】
第1接続部42は、
図6及び
図7に示すように、第1誘電体部21に設けられる。第1接続部42は、第1誘電体部21に埋設される。第1接続部42は、導電性を有する。第1接続部42は、第1方向において第1導体部40と第3導体部41との間に設けられ、第3導体部41を第1導体部40に電気的に接続する。第1接続部42は、第1延設部43と、第1ビア44と、第3ビア45と、を有する。第1延設部43は、第1方向から見て第3導体部41及びスペーサ部23Aと重なる位置から第1導体部40と重なる位置に延設される。第1延設部43は、第1基端側延設部46と、第1中間延設部47と、第1先端側延設部48と、を有する。第1基端側延設部46は、第1延設部43のうち、第1方向から見てスペーサ部23Aと重なる位置に配置される部位である。第1中間延設部47は、第1延設部43のうち、第1方向から見てスペーサ部23Aと第1導体部40との間に配置される部位である。第1中間延設部47における延設方向の長さは、第1延設部43における延設方向の長さ(第1延設部43の全長)の50%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましい。第1先端側延設部48は、第1延設部43のうち、第1方向から見て第1導体部40と重なる部位である。第1ビア44は、第1延設部43(より具体的には、第1先端側延設部48)を第1導体部40に電気的に接続する。第1ビア44は、第1方向に沿って延びている。第1ビア44は、複数(本実施形態では2つ)設けられている。第1ビア44は、第2方向に沿って並んで配置されている。第1ビア44は、第2方向に間隔をあけて配置されている。複数の第1ビア44は、それぞれ第1延設部43(より具体的には、第1先端側延設部48)を第1導体部40に電気的に接続する。第3ビア45は、第1延設部43(より具体的には、第1基端側延設部46)を第3導体部41に電気的に接続する。第3ビア45は、第1方向に沿って延びている。第3ビア45は、複数(本実施形態では2つ)設けられている。第3ビア45は、第2方向に沿って並んで配置されている。第3ビア45は、第2方向に間隔をあけて配置されている。複数の第3ビア45は、それぞれ第1延設部43(より具体的には、第1基端側延設部46)を第3導体部41に電気的に接続する。
【0048】
第2導体部50は、
図6及び
図8に示すように、第2誘電体部22に設けられる。第2導体部50は、第2誘電体部22に埋設される。第2導体部50は、第2誘電体部22における第2方向の他方側に埋設される。第2導体部50は、スペーサ部23Aよりも第2方向の他方側に配置される。
【0049】
第4導体部51は、
図6及び
図8に示すように、第2誘電体部22に設けられる。第4導体部51は、第2導体部50よりも第1方向の一方側に配置される。第4導体部51は、第2誘電体部22における第1方向の一方側の面に配置される。第4導体部51は、第2凹部38の底面に配置される。第4導体部51は、第2誘電体部22の外部に露出する。第4導体部51は、第1方向から見てスペーサ部23Aと重なる位置に配置される。本実施形態では、第4導体部51の全体が、第1方向から見てスペーサ部23Aと重なる位置に配置される。しかし、第4導体部51の一部のみが、第1方向から見てスペーサ部23Aと重なる位置に配置される構成であってもよい。
【0050】
第2接続部52は、第2誘電体部22に設けられる。第2接続部52は、第2誘電体部22に埋設される。第2接続部52は、導電性を有する。第2接続部52は、第1方向において第2導体部50と第4導体部51との間に設けられ、第4導体部51を第2導体部50に電気的に接続する。第2接続部52は、第2延設部53と、第2ビア54と、第4ビア55と、を有する。第2延設部53は、第1方向から見て第4導体部51及びスペーサ部23Aと重なる位置から第2導体部50と重なる位置に延設される。第2延設部53は、第2基端側延設部56と、第2中間延設部57と、第2先端側延設部58と、を有する。第2基端側延設部56は、第2延設部53のうち、第1方向から見てスペーサ部23Aと重なる位置に配置される部位である。第2中間延設部57は、第2延設部53のうち、第1方向から見てスペーサ部23Aと第2導体部50との間に配置される部位である。第2中間延設部57における延設方向の長さは、第2延設部53における延設方向の長さ(第2延設部53の全長)の50%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましい。第2先端側延設部58は、第2延設部53のうち、第1方向から見て第2導体部50と重なる位置に配置される部位である。第2ビア54は、第2延設部53(より具体的には、第2先端側延設部58)を第2導体部50に電気的に接続する。第2ビア54は、第1方向に沿って延びている。第2ビア54は、複数(本実施形態では2つ)設けられている。第2ビア54は、第2方向に沿って並んで配置されている。第2ビア54は、第2方向に間隔をあけて配置されている。複数の第2ビア54は、それぞれ第2延設部53(より具体的には、第2先端側延設部58)を第2導体部50に電気的に接続する。第4ビア55は、第2延設部53(より具体的には、第2基端側延設部56)を第4導体部51に電気的に接続する。第4ビア55は、第1方向に沿って延びている。第4ビア55は、複数(本実施形態では2つ)設けられている。第4ビア55は、第2方向に沿って並んで配置されている。第4ビア55は、第2方向に間隔をあけて配置されている。複数の第4ビア55は、それぞれ第2延設部53(より具体的には、第2基端側延設部56)を第4導体部51に電気的に接続する。
【0051】
第1導体部40、第3導体部41、第1延設部43、第2導体部50、第4導体部51、及び第2延設部53は、金属製であり、薄い金属層として構成される。第1導体部40、第3導体部41、第1延設部43、第2導体部50、第4導体部51、及び第2延設部53は、第1方向と直交する平面方向に沿って広がっている。
【0052】
第1導体部40及び第2導体部50は、
図6から
図8に示すように、第1方向に互いに対向する。第1導体部40及び第2導体部50は、第1方向から見て互いに重なる位置に配置される。第1導体部40及び第2導体部50は、第1方向から見て互いに一部のみが重なる。第1導体部40及び第2導体部50は、放電電極として機能する。第1導体部40及び第2導体部50は、本実施形態ではタングステン(W)を材料として形成される。なお、第1導体部40及び第2導体部50は、タングステンに限らず、例えばモリブデン(Mo)、銀(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)などを材料として形成されてもよい。
【0053】
第1導体部40は、
図6から
図8に示すように、第1方向から見て第2導体部50と重なる位置に配置される第1重複部40Aと、第1方向から見て第2導体部50と重ならない位置に配置される第1非重複部40Bと、を有する。第1重複部40Aは、第2方向に沿って直線状に延びている。第1非重複部40Bは、第1先端側非重複部40Cと、第1基端側非重複部40Dと、を有する。第1先端側非重複部40Cは、第1重複部40Aにおける第2方向の一方側の端部から第3方向の一方側に延びている。第1基端側非重複部40Dは、第1先端側非重複部40Cにおける第3方向の一方側の端部から第2方向の一方側に延びている。第1基端側非重複部40Dと第1先端側延設部48は、第1方向から見て互いに重なる位置に配置され、第1ビア44を介して互いに電気的に接続される。
【0054】
第2導体部50は、
図6から
図8に示すように、第1方向から見て第1導体部40と重なる位置に配置される第2重複部50Aと、第1方向から見て第1導体部40と重ならない位置に配置される第2非重複部50Bと、を有する。第2重複部50Aは、第2方向に沿って直線状に延びている。第2非重複部50Bは、第2先端側非重複部50Cと、第2基端側非重複部50Dと、を有する。第2先端側非重複部50Cは、第2重複部50Aにおける第2方向の一方側の端部から第3方向の他方側に延びている。第2基端側非重複部50Dは、第2先端側非重複部50Cにおける第3方向の他方側の端部から第2方向の一方側に延びている。第2基端側非重複部50Dと第2先端側延設部58は、第1方向から見て互いに重なる位置に配置され、第2ビア54を介して互いに電気的に接続される。
【0055】
第3導体部41及び第4導体部51は、
図6から
図8に示すように、第1方向から見て互いに重なる位置に配置される。第3導体部41及び第4導体部51の第3方向の各々の幅寸法は、第1導体部40及び第2導体部50の各々の幅寸法(より具体的には、第1重複部40A及び第2重複部50Aの第3方向の幅寸法)の3倍以上である。
【0056】
第1延設部43及び第2延設部53は、
図9に示すように、第1方向から見て互いに重ならない位置に配置される。第1延設部43と第2延設部53との第3方向の最小の間隔は、第1導体部40及び第2導体部50の各々の幅寸法(より具体的には、第1重複部40A及び第2重複部50Aの第3方向の幅寸法)以上である。
【0057】
図6に示すように、第1誘電体部21には、放電する第1放電面21Aが形成されている。第2誘電体部22には、放電する第2放電面22Aが形成されている。第1放電面21Aと第2放電面22Aは、第1方向において、互いに対向する。第1放電面21Aは、第1誘電体部21の第1方向の一方側の面のうち、第1方向から見て第1導体部40及び第2導体部50の両方と重なる領域である。また、第1放電面21Aは、第1誘電体部21の第1方向の一方側の面のうち、第1方向から見て第1重複部40Aと重なる領域である。第2放電面22Aは、第2誘電体部22の第1方向の他方側の面のうち、第1方向から見て第1導体部40及び第2導体部50の両方と重なる領域である。また、第2放電面22Aは、第2誘電体部22の第1方向の他方側の面のうち、第1方向から見て第2重複部50Aと重なる領域である。
【0058】
1-3.オゾン発生器100のその他の構成
オゾン発生器100は、
図10に示すように、保持部70と、第1配線部71と、第2配線部72と、を備える。更に、オゾン発生器100は、
図11に示すように、電源部73を備える。
【0059】
保持部70は、オゾン発生体3を保持する部位である。保持部70は、
図10に示すように、収容部75を有する。収容部75は、オゾン発生体3における第2方向の一端側を収容する。収容部75は、底壁部76と、底壁部76の外周部から筒状に突出した筒状壁部77と、を有する。筒状壁部77は、底壁部76の外周部から第2方向の他方側に突出する。底壁部76には、第1端子固定部76A及び第2端子固定部76Bが設けられている。第1端子固定部76Aには、第1端子25がねじ78によって固定される。第2端子固定部76Bには、第2端子26がねじ78によって固定される。
【0060】
保持部70は、
図10に示すように、絶縁樹脂79を有する。底壁部76と筒状壁部77とによって囲まれる空間には、絶縁樹脂79が充填される。上述した第3導体部41、第4導体部51、第1端子25、及び第2端子26は、第1誘電体部21及び第2誘電体部22の外部に露出した部位が、絶縁樹脂79によって埋められる。オゾン発生体3は、スペーサ部23Aにおける第2方向の他方側の端部よりも第2方向の一方側の部位のみが、絶縁樹脂79によって埋められる。
【0061】
第1配線部71の一端は、
図10に示すように、第1端子25とともに第1端子固定部76Aに固定され、第1端子25と電気的に接続される。第1配線部71の他端は、電源部73に接続される。つまり、第3導体部41は、第1端子25及び第1配線部71を介して、電源部73に接続される。
【0062】
第2配線部72の一端は、
図10に示すように、第2端子26とともに第2端子固定部76Bに固定され、第2端子26と電気的に接続される。第2配線部72の他端は、電源部73に接続される。つまり、第4導体部51は、第2端子26及び第2配線部72を介して、電源部73に接続される。
【0063】
電源部73は、交流電源である。電源部73は、トランスを有し、交流電力を供給しうる。電源部73は、オゾン発生器100の外部の商用電源から供給される電力に基づいて所望の交流電力を生成し、オゾン発生体3等に供給する。
【0064】
保持部70は、
図13に示すように、流路2を構成する流路構成部80の外壁よりも外側に配置される。流路構成部80には、貫通孔81が形成されている。オゾン発生体3(より具体的には、第1誘電体部21及び第2誘電体部22)における第2方向の他方側は、貫通孔81を介して流路2(より具体的には、第2流路2B)内に突出する。
【0065】
オゾン発生器100は、
図3に示すように、ファン82を備える。ファン82は、オゾン発生体3よりも上流側に配置される。ファン82は、流路2内において、オゾン発生体3よりも吸気口13A側に配置される。ファン82は、オゾン発生体3よりも下方の位置に配置される。ファン82は、流路2内において、吸気口13A側から排気口14A側に送風する。ファン82は、軸流ファンである。ファン82は、回転方向Wに回転することで、流路2に回転方向Wの旋回流を生じさせる。回転方向Wは、本実施形態では、ファン82のZ方向の一方側(上方側)から見て時計回り方向である。
【0066】
オゾン発生体3は、
図3に示すように、第2方向をZ方向と直交する方向に沿わせ、第3方向をZ方向に対して傾けた状態で配置される。オゾン発生体3は、Z方向と直交する平面方向において、流路2の中心よりも内壁側に配置される。オゾン発生体3は、第1誘電体部21と第2誘電体部22との間の領域が、排気口14A側(下流側)に向かうにつれて回転方向Wの前方側に向かうように傾斜している。このため、ファン82によって生成された旋回流が、第1誘電体部21と第2誘電体部22との間(より具体的には、第1放電面21Aと第2放電面22Aとの間)の空間に入り込みやすい。
【0067】
オゾン発生器100は、
図3に示すように、拡散板83を備える。拡散板83は、オゾン発生体3が発生させたオゾンを拡散させる。
【0068】
オゾン発生器100は、
図3に示すように、掃除部90と、掃除部90と連動する操作部91と、を備える。掃除部90は、第1誘電体部21と第2誘電体部22との間に配置される。掃除部90は、第1放電面21A及び第2放電面22Aに沿って変位し、第1放電面21A及び第2放電面22Aとの間に堆積する堆積物(例えば硝酸化合物)を除去する。掃除部90は、操作部91によってオゾン発生器100の外部から操作される。
【0069】
オゾン発生器100は、
図11に示すように、入力部130と、検知部131と、制御部132と、を備える。
【0070】
入力部130は、使用者からの入力操作(例えば電源のオンオフ操作)を検出し、操作結果を示す信号を出力する。
【0071】
検知部131は、掃除部90が放電領域に配置されていることを検知する。検知部131は、掃除部90が放電領域に配置されているか否かを示す信号を出力する。
【0072】
制御部132は、オゾン発生器100の動作を制御する。制御部132は、マイクロコンピュータを主体として構成され、CPU、ROM、RAM、駆動回路等を有する。
【0073】
制御部132は、電源部73を介して、オゾン発生体3の動作を制御しうる。制御部132は、オゾン発生体3に印加する交流電圧を制御することで、オゾン発生体3が発生させるオゾンの量を調整しうる。
【0074】
制御部132は、ファン82の動作を制御しうる。制御部132は、ファン82にPWM信号を与えることで、ファン82をPWM制御する。これにより、制御部132は、風量を調整しうる。
【0075】
制御部132には、入力部130から出力された信号が入力される。制御部132は、電源のオン操作が行われた場合に、オゾン発生体3によるオゾンを発生させる動作を開始させ、ファン82の動作を開始させる。制御部132は、電源のオフ操作が行われた場合に、オゾン発生体3によるオゾンを発生させる動作を停止させ、ファン82の動作を停止させる。
【0076】
制御部132には、検知部131から出力された信号が入力される。制御部132は、検知部131によって掃除部90が放電領域に配置されていると検知された場合に、オゾン発生体3による放電動作を制限する。
【0077】
1-4.効果の例
オゾン発生体3は、第3導体部41及び第4導体部51がいずれも第1方向から見てスペーサ部23Aと重なる位置に配置されるため、第3導体部41及び第4導体部51を第2方向の一方側から電源部73に接続しやすい。しかも、第1導体部40及び第2導体部50は、スペーサ部23Aよりも第2方向の他方側に配置されるため、第1導体部40と第2導体部50との間で放電させても、スペーサ部23Aの表面に硝酸化合物が発生することを抑えることができる。その結果、潮解した硝酸化合物がスペーサ部23Aを介して第1誘電体部21と第2誘電体部22とがつながれることを防止しやすく、潮解した硝酸化合物に起因して印加電圧が低下することを抑えることができる。
【0078】
更に、オゾン発生体3は、第1方向から見て、スペーサ部23Aと第1導体部40との間に配置される第1中間延設部47と、スペーサ部23Aと第2導体部50との間に配置される第2中間延設部57とが、互いに重ならない位置に配置される。このため、第1中間延設部47と第2中間延設部57との間では、放電がより一層生じにくくなり、スペーサ部23Aの表面に硝酸化合物が発生しにくくなる。その結果、潮解した硝酸化合物がスペーサ部23Aを介して第1誘電体部21と第2誘電体部22とがつながれることをより一層防止しやすく、潮解した硝酸化合物に起因して印加電圧が低下することをより確実に抑えることができる。
また、放電によって生じた硝酸化合物が風で移動したり、潮解し液状化して流れたりして、スペーサ部23Aの表面に付着することも想定される。しかし、第1方向から見てスペーサ部23Aの表面に隣接する位置に配置される第1中間延設部47と第2中間延設部57とが、互いに重ならないように離間して配置されている。このため、第1中間延設部47と第2中間延設部57とが潮解した硝酸化合物を介して電気的に接続されることを防止しやすく、ひいては、第1接続部42と第2接続部52とが潮解した硝酸化合物を介して電気的に接続されることを防止しやすい。
【0079】
更に、オゾン発生体3は、第1延設部43と第2延設部53が、第1方向から見て互いに重ならない位置に配置されるため、第1延設部43と第2延設部53との間では、放電がより一層生じにくくなり、スペーサ部23Aの表面に硝酸化合物が発生しにくくなる。その結果、潮解した硝酸化合物がスペーサ部23Aを介して第1誘電体部21と第2誘電体部22とがつながれることをより一層防止しやすく、潮解した硝酸化合物に起因して印加電圧が低下することをより確実に抑えることができる。
また、放電によって生じた硝酸化合物が風で移動したり、潮解し液状化して流れたりして、スペーサ部23Aの表面に付着することも想定される。しかし、第1方向から見てスペーサ部23Aの表面と重なる位置に配置される第1接続部42と第2接続部52とが、互いに重ならないように離間して配置されている。このため、第1接続部42と第2接続部52とが潮解した硝酸化合物を介して電気的に接続されることを防止しやすい。
【0080】
更に、オゾン発生体3は、第1誘電体部21及び第2誘電体部22がスペーサ部23Aとは別体であるため、第1誘電体部21、第2誘電体部22及びスペーサ部23Aの製造が容易である。しかし、この場合、スペーサ部23Aと第1誘電体部21及び第2誘電体部22との間の隙間に硝酸化合物が発生しうる。スペーサ部23Aと第1誘電体部21及び第2誘電体部22との間の隙間に硝酸化合物が発生すると、この硝酸化合物が潮解したときに導電層が形成されて容量成分となり、印加電圧が想定値に対してずれるおそれがある。この点、このオゾン発生体3は、第1導体部40及び第2導体部50がスペーサ部23Aよりも第2方向の他方側に配置されるため、スペーサ部23Aと第1誘電体部21及び第2誘電体部22との間の隙間に導電層が形成されにくい。しかも、このオゾン発生体3は、第1延設部43と第2延設部53が、第1方向から見て互いに重ならない位置に配置されるため、第1延設部43と第2延設部53の間での放電に起因してスペーサ部23Aと第1誘電体部21及び第2誘電体部22との間の隙間に導電層が形成されることも防止しやすい。
また、放電によって生じた硝酸化合物、もしくは潮解した硝酸化合物がスペーサ部23Aと上記少なくとも一方との間の隙間に導電層を形成したとしても、第1接続部42と第2接続部52が第1方向から見て互いに重ならない位置に配置されるため、容量成分を形成しにくい。このため、容量成分が形成されることに起因して印加電圧が想定値に対してずれるという事態が生じにくい。
【0081】
2.第2実施形態
第2実施形態では、第1先端側延設部と第2先端側延設部が、第1方向から見て互いに重なる位置に配置される例を説明する。なお、第2実施形態の説明では、第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0082】
図12に示すように、第2実施形態の第1延設部143は、第1基端側延設部146と、第1中間延設部147と、第1先端側延設部148と、を有する。第1基端側延設部146は、第1方向から見てスペーサ部23Aと重なる位置に配置される。第1中間延設部147は、第1方向から見てスペーサ部23Aと第1導体部140との間に配置される。第1先端側延設部148は、第1方向から見て第1導体部140と重なる位置に配置される。第1先端側延設部148は、第1ビア144を介して第1導体部140に電気的に接続される。
【0083】
第1導体部140は、第2方向に沿って直線状に延びる形態をなしている。第1先端側延設部148も、第2方向に沿って直線状に延びる形態をなしている。第1中間延設部147は、第1方向から見て第1先端側延設部148から第3方向の一方側に延びてから第2方向の一方側に延びる形態をなしている。
【0084】
図13に示すように、第2実施形態の第2延設部153は、第2基端側延設部156と、第2中間延設部157と、第2先端側延設部158と、を有する。第2基端側延設部156は、第1方向から見てスペーサ部23Aと重なる位置に配置される。第2中間延設部157は、第1方向から見てスペーサ部23Aと第2導体部150との間に配置される。第2先端側延設部158は、第1方向から見て第2導体部150と重なる位置に配置される。第2先端側延設部158は、第2ビア154を介して第2導体部150に電気的に接続される。
【0085】
第2導体部150は、第2方向に沿って直線状に延びる形態をなしている。第2先端側延設部158も、第2方向に沿って直線状に延びる形態をなしている。第2中間延設部157は、第1方向から見て第2先端側延設部158から第3方向の他方側に延びてから第2方向の他方側に延びる形態をなしている。
【0086】
第1中間延設部147及び第2中間延設部157は、第1方向から見て第1導体部140及び第2導体部150から互いに離れる方向に延びてから、それぞれ第2方向の一方側に延びる形態をなしている。
【0087】
図14に示すように、第1先端側延設部148と第2先端側延設部158は、第1方向から見て互いに重なる位置に配置される。このような構成においても、第1中間延設部147と第2中間延設部157を、第1方向から見て互いに重ならない位置に配置させることができる。
【0088】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。また、上述した実施形態や後述する実施形態の様々な特徴は、矛盾しない組み合わせであればどのように組み合わされてもよい。
【0089】
上記実施形態では、Z方向が上下方向であったが、上下方向に限らない。例えば、Z方向は、上下方向に対して直交する方向であってもよいし、上下方向に対して傾斜する方向であってもよい。
【0090】
上記実施形態では、第3導体部が第1誘電体部に埋設される構成であったが、第3導体部が第1誘電体部の外部に露出する構成であってもよい。上記実施形態では、第4導体部が第2誘電体部に埋設される構成であったが、第4導体部が第2誘電体部の外部に露出する構成であってもよい。
【0091】
上記実施形態では、第1接続部が、第1延設部を有する構成であったが、第1延設部を有しない構成であってもよい。例えば、第1接続部は、ビアのみで構成されてもよい。上記実施形態では、第2接続部が、第2延設部を有する構成であったが、第2延設部を有しない構成であってもよい。例えば、第2接続部は、ビアのみで構成されてもよい。
【0092】
上記実施形態では、第1ビア、第2ビア、第3ビア、第4ビアがそれぞれ複数設けられる構成であったが、これらの全部又は一部が1つだけ設けられる構成であってもよい。
【0093】
上記実施形態では、スペーサ部が、第1誘電体部及び第2誘電体部のいずれとも別体として構成される。しかし、スペーサ部は、第1誘電体部及び第2誘電体部のうち少なくとも一方と一体に形成されてもよい。この構成によれば、上記少なくとも一方とスペーサ部との間の隙間に硝酸化合物が発生することを防止できる。このため、この硝酸化合物が潮解して、上記少なくとも一方とスペーサ部との間の隙間に導電層が形成されて容量成分となることを防止でき、その結果、容量成分が形成されることに起因して印加電圧が想定値に対してずれるという事態が生じにくい。
【0094】
なお、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、今回開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示された範囲内又は特許請求の範囲と均等の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0095】
3…オゾン発生体
21…第1誘電体部
22…第2誘電体部
23A…スペーサ部
40…第1導体部
41…第3導体部
42…第1接続部
43…第1延設部
47…第1中間延設部
50…第2導体部
51…第4導体部
52…第2接続部
53…第2延設部
57…第2中間延設部
73…電源部
90…掃除部
91…操作部
100…オゾン発生器
140…第1導体部
143…第1延設部
147…第1中間延設部
150…第2導体部
153…第2延設部
157…第2中間延設部
【要約】
【課題】硝酸化合物に起因する印加電圧の低下を抑える。
【解決手段】オゾン発生体3は、第1誘電体部21に埋設される第1導体部40と、第2誘電体部22に埋設される第2導体部50と、第1誘電体部21と第2誘電体部22との間に配置されるスペーサ部23Aと、を有する。オゾン発生体3は、第1導体部40よりも第1方向の他方側に設けられる第3導体部41と、第2導体部50よりも第1方向の一方側において第2誘電体部22に設けられる第4導体部51と、を有する。スペーサ部23Aは、第1方向における第1誘電体部21と第2誘電体部22との間の領域において、第1方向と直交する第2方向の一方側に配置される。第3導体部41及び第4導体部42は、それぞれ第1方向から見てスペーサ部23Aと重なる位置に配置される。第1導体部40及び第2導体部50は、それぞれスペーサ部23Aよりも第2方向の他方側に配置される。
【選択図】
図6