(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-18
(45)【発行日】2023-08-28
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/306 20060101AFI20230821BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20230821BHJP
【FI】
H01L21/306 R
H01L21/304 643A
H01L21/304 643C
(21)【出願番号】P 2022116429
(22)【出願日】2022-07-21
(62)【分割の表示】P 2021126457の分割
【原出願日】2017-05-18
【審査請求日】2022-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】太田 喬
(72)【発明者】
【氏名】相原 友明
(72)【発明者】
【氏名】林 昌之
(72)【発明者】
【氏名】奥田 次郎
(72)【発明者】
【氏名】山田 邦夫
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-186357(JP,A)
【文献】特開2009-231620(JP,A)
【文献】特開2015-084380(JP,A)
【文献】特開2002-177840(JP,A)
【文献】特開平11-226474(JP,A)
【文献】特開平11-226476(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0011978(KR,A)
【文献】特開平09-017761(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/306
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を水平に保持する基板保持ユニットと、
処理液を吐出する処理液ノズルを有し、前記基板の上面に処理液を供給する処理液供給ユニットと、
前記処理液ノズルが前記基板の上面に対向する処理位置と、前記処理液ノズルが前記基板の上面に対向する位置から退避した退避位置との間で前記処理液供給ユニットを移動させる移動ユニットとを備え、
前記処理液供給ユニット
が、前記処理液ノズルが延びる方向に沿って配列され、前記基板の上面へ向けて処理液を吐出する複数の吐出口と、
前記複数の吐出口に処理液を供給する処理液流路と、前記処理液ノズルを取り囲み、前記処理液ノズルの周囲の雰囲気から前記処理液ノズルを断熱する断熱部材とを含み、
前記処理液流路は、
前記吐出口に供給する処理液を前記処理液供給ユニット内に溜める液溜まり部と、
前記液溜まり部から側方に延び、各前記吐出口と前記液溜まり部とを連結し
前記液溜まり部から各前記吐出口に処理液を供給する吐出流
路とを含む、基板処理装置。
【請求項2】
前記処理液流路は、前記基板の上面と平行に延びる、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記処理液流路内の処理液を吸引する吸引ユニットをさらに備える、請求項1または2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記移動ユニットが、鉛直方向に沿う旋回軸線まわりに前記処理液供給ユニットを旋回させる旋回ユニットをさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記処理液流路は、前記処理液供給ユニットが前記処理位置に位置する状態で、一端部が前記基板の中央領域に対向し、かつ、他端部が前記基板の外周領域に対向するように構成されており、
複数の前記吐出口は、前記基板の上面において前記処理液流路の前記他端部付近に対向する領域に供給される処理液の流量の方が、前記基板の上面において前記処理液流路の前記一端部付近に対向する領域に供給される処理液の流量よりも大きくなるように設けられている、請求項1~4のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記処理液流路内の処理液を吸引する吸引ユニットをさらに備え、
前記吸引ユニットは、前記処理液流路の前記一端部の近傍に連結された吸引流路と、前記吸引流路を介して前記処理液流路の内部を吸引する吸引装置とを含む、請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記吐出流路が、前記吐出口から上方に延びる鉛直流路と、前記鉛直流路と前記液溜まり部とを連結し、前記液溜まり部から前記鉛直流路に向かうにしたがって上方に向かうように水平方向に対して傾斜する傾斜流路とを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記吐出口が、前記液溜まり部の底部よりも上方に位置する、請求項1~7のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記吐出流路の流路断面積が、前記液溜まり部の流路断面積よりも小さい、請求項1~8のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項10】
基板を水平に保持する基板保持ユニットと、
処理液を吐出する処理液ノズルを有し、前記基板の上面に処理液を供給する処理液供給ユニットと、
前記処理液ノズルが前記基板の上面に対向する処理位置と、前記処理液ノズルが前記基板の上面に対向する位置から退避した退避位置との間で前記処理液供給ユニットを移動させる移動ユニットとを備え、
前記処理液供給ユニットは、
前記処理液ノズルが延びる方向に沿って配列され、前記基板の上面へ向けて処理液を吐出する複数の吐出口と、前記複数の吐出口に処理液を供給する処理液流路とを含み、
前記処理液流路は、
前記吐出口に供給する処理液を前記処理液供給ユニット内に溜める液溜まり部と、
前記液溜まり部から側方に延び、各前記吐出口と前記液溜まり部とを連結し前記液溜まり部から各前記吐出口に処理液を供給する吐出流路とを含み、
前記吐出流路が、前記吐出口から上方に延びる鉛直流路と、前記鉛直流路と前記液溜まり部とを連結し、前記液溜まり部から前記鉛直流路に向かうにしたがって上方に向かうように水平方向に対して傾斜する傾斜流路とを含み、
前記吐出口が、前記液溜まり部の底部よりも上方に位置し、前記鉛直流路の下端において下方に向かって開口している、基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板を処理する基板処理装置に関する。処理対象になる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板などの基板が含まれる。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1では、基板の上面を薬液で処理する基板処理を実行することができる基板処理装置が開示されている。この基板処理装置は、薬液を吐出する吐出口が複数形成された薬液吐出ヘッドを有する。薬液吐出ヘッドは、アームに取り付けられており、アームは、支持軸に結合されている。支持軸が揺動駆動機構によって鉛直軸線まわりに回動されることによって、基板の回転中心の直上の位置と基板の周縁の一部の直上の位置との間で薬液吐出ヘッドが移動する。薬液吐出ヘッドには、アームの内部から薬液が供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明の1つの目的は、処理液の供給を停止した後に、処理液ノズルから基板上への処理液の意図しない落下を抑制することができる基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、基板を水平に保持する基板保持ユニットと、処理液を吐出する処理液ノズルを有し、前記基板の上面に処理液を供給する処理液供給ユニットと、前記処理液ノズルが前記基板の上面に対向する処理位置と、前記処理液ノズルが前記基板の上面に対向する位置から退避した退避位置との間で前記処理液供給ユニットを移動させる移動ユニットとを備え、前記処理液供給ユニットは、前記処理液ノズルが延びる方向に沿って配列され、前記基板の上面へ向けて処理液を吐出する複数の吐出口と、前記複数の吐出口に処理液を供給する処理液流路とを含む。前記処理液流路は、前記吐出口に供給する処理液を前記処理液供給ユニット内に溜める液溜まり部と、前記液溜まり部から側方に延び、各前記吐出口と前記液溜まり部とを連結し前記液溜まり部から各前記吐出口に処理液を供給する吐出流路とを有する。
【0006】
この構成によれば、処理液流路へ供給された処理液は、液溜まり部および吐出流路を順に経由して吐出口から吐出される。そのため、処理液供給ユニットを処理位置に移動させた状態で吐出口から処理液を吐出させることで基板の上面に処理液を着液させることができる。
【0007】
ここで、処理液流路へ処理液が供給されていないときには、処理液流路内の処理液は、液溜まり部および吐出流路内に残る。吐出流路は、液溜まり部から側方に延びているため、吐出流路内の処理液は、吐出流路が液溜まり部から下方に延びる構成と比較して、液溜まり部内の処理液の重量を受けにくい。したがって、処理液の供給を停止した後に、処理液ノズルから基板上への処理液の意図しない落下を抑制することができる。
【0008】
この発明の一実施形態では、前記処理液流路は、前記基板の上面と平行に延びる。そのため、吐出口と基板の上面と間の距離の、複数の吐出口間での差を低減することができる。したがって、処理液が吐出口から吐出されてから基板の上面に着液するまでに処理液が失う熱量の差を、複数の吐出口間で低減することができる。これにより、基板の上面の処理むらを低減することができる。
【0009】
この発明の一実施形態では、前記基板処理装置が、前記処理液流路内の処理液を吸引する吸引ユニットをさらに備える。
【0010】
処理液流路内に処理液が残った状態で移動ユニットが処理液供給ユニットを移動させると、処理液流路内に残った処理液は、液滴となって、基板の上面に落下することがある。このような意図しない処理液の落下によって、基板の上面にパーティクルが発生するおそれがある。そこで、吸引ユニットに処理液流路内の処理液を吸引させることで、処理液の供給の停止時に処理液流路内に処理液が残ることを防止できる。したがって、基板上への処理液の落下を抑制することができる。
【0011】
この発明の一実施形態では、前記移動ユニットが、鉛直方向に沿う旋回軸線まわりに前記処理液供給ユニットを旋回させる旋回ユニットを含む。そのため、旋回軸線まわりの旋回という簡易な動作によって、処理位置と退避位置との間で処理液供給ユニットを移動させることができる。
【0012】
この発明の一実施形態では、前記処理液流路は、前記処理液供給ユニットが前記処理位置に位置する状態で、一端部が前記基板の中央領域に対向し、かつ、他端部が前記基板の外周領域に対向するように構成されている。また、複数の前記吐出口は、前記基板の上面において前記処理液流路の前記他端部付近に対向する領域に供給される処理液の流量の方が、前記基板の上面において前記処理液流路の前記一端部付近に対向する領域に供給される処理液の流量よりも大きくなるように設けられている。
【0013】
この構成により、基板の上面の外周領域に供給される処理液の流量を、基板の上面の中心領域に供給される処理液の流量よりも一層増大させることができる。これにより、基板の上面の外周領域における処理液の温度の低下を抑制することができるので、基板の上面の外周領域におけるエッチングレートの低下を防止できる。
【0014】
この発明の一実施形態では、前記基板処理装置が、前記処理液流路内の処理液を吸引する吸引ユニットをさらに備える。そして、前記吸引ユニットは、前記処理液流路の前記一端部の近傍に連結された吸引流路と、前記吸引流路を介して前記処理液流路の内部を吸引する吸引装置とを含む。
【0015】
この構成により、吸引装置は、処理液流路内の処理液を効率良く吸引することができる。
【0016】
この発明の一実施形態では、前記吐出流路が、前記吐出口から上方に延びる鉛直流路と、前記鉛直流路と前記液溜まり部とを連結し、前記液溜まり部から前記鉛直流路に向かうにしたがって上方に向かうように水平方向に対して傾斜する傾斜流路とを含む。そのため、吐出流路内に処理液が残った場合であっても、その処理液は、傾斜流路を介して液溜まり部に戻りやすい。したがって、吐出流路内の処理液が受ける重量を一層低減できる。
【0017】
この発明の一実施形態では、前記吐出口が、前記液溜まり部の底部よりも上方に位置する。そのため、吐出口が液溜まり部の下方に位置する構成と比較して、吐出流路を短くすることができる。よって、吐出流路内の処理液が受ける重量を一層低減することができる。
この発明の一実施形態では、前記吐出口が、前記鉛直流路の下端において下方に向かって開口している。
【0018】
この発明の一実施形態では、前記吐出流路の流路断面積が、前記液溜まり部の流路断面積よりも小さい。そのため、吐出流路内の処理液に作用する表面張力を増大させることができるので、処理液が吐出流路内に留まりやすい。したがって、処理液の供給の停止時に基板上に処理液の落下を抑制することができる。
【0019】
この発明の一実施形態では、前記処理液供給ユニットが、前記処理液ノズルを取り囲み、前記処理液ノズルの周囲の雰囲気から前記処理液ノズルを断熱する断熱部材を含む。そのため、処理液流路内の処理液を保温することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、この発明の第1実施形態に係る基板処理装置の内部のレイアウトを説明するための模式的な平面図である。
【
図2】
図2は、前記基板処理装置に備えられた処理ユニットの模式図である。
【
図3】
図3は、前記処理ユニットに備えられた処理液供給ユニットおよびその周辺の側面図である。
【
図4】
図4は、前記処理液供給ユニットの平面図である。
【
図6】
図6は、前記処理液供給ユニットに備えられた処理液ノズルおよびその周辺の下面図である。
【
図7】
図7は、
図5のVII-VII線に沿った断面図である。
【
図8】
図8は、前記基板処理装置の主要部の電気的構成を説明するためのブロック図である。
【
図9】
図9は、前記基板処理装置による基板処理の一例を説明するための流れ図である。
【
図10A】
図10Aは、前記基板処理のプリディスペンス(
図9のS2)を説明するための図解的な側面図である。
【
図10B】
図10Bは、前記基板処理のプリディスペンス(
図9のS2)を説明するための図解的な側面図である。
【
図11】
図11は、
図9に示す基板処理において処理液ノズルに供給される処理液の温度の時間的変化の一例を示すグラフである。
【
図12】
図12は、
図9に示す基板処理において処理液ノズルに供給される処理液の温度の時間的変化の別の例を示すグラフである。
【
図13】
図13は、本発明の第2実施形態に係る処理液ノズルの断面図である。
【
図14】
図14は、本発明の第3実施形態に係る処理液ノズルの下面図である。
【
図15】
図15は、本発明の第4実施形態に係る処理液供給ユニットおよびその周辺の側面図である。
【
図17】
図17は、本発明の第5実施形態に係る処理液ノズルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下では、この発明の実施の形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、この発明の第1実施形態に係る基板処理装置1の内部のレイアウトを説明するための図解的な平面図である。
【0022】
基板処理装置1は、シリコンウエハなどの基板Wを一枚ずつ処理する枚葉式の装置である。この実施形態では、基板Wは、円板状の基板である。基板処理装置1は、薬液やリンス液などの処理液で基板Wを処理する複数の処理ユニット2と、処理ユニット2で処理される複数枚の基板Wを収容するキャリヤCが載置されるロードポートLPと、ロードポートLPと処理ユニット2との間で基板Wを搬送する搬送ロボットIRおよびCRと、基板処理装置1を制御する制御装置3とを含む。搬送ロボットIRは、キャリヤCと搬送ロボットCRとの間で基板Wを搬送する。搬送ロボットCRは、搬送ロボットIRと処理ユニット2との間で基板Wを搬送する。複数の処理ユニット2は、たとえば、同様の構成を有している。
【0023】
図2は、処理ユニット2の構成例を説明するための模式図である。
処理ユニット2は、一枚の基板Wを水平な姿勢で保持しながら基板Wの中央部を通る鉛直な回転軸線A1まわりに基板Wを回転させるスピンチャック5と、スピンチャック5を取り囲む筒状のカップ6と、基板Wの上面(表面)に薬液を供給する薬液供給ユニット7と、薬液供給ユニット7を少なくとも水平方向に移動させる移動ユニット8と、基板Wの上面に脱イオン水(Deionized Water:DIW)などのリンス液を供給するリンス液供給ユニット9と、平面視でカップ6のまわりに配置された待機ポット10とを含む。
【0024】
処理ユニット2は、カップ6を収容するチャンバ14(
図1参照)をさらに含む。チャンバ14には、チャンバ14内に基板Wを搬入したり、チャンバ14内から基板Wを搬出したりするための出入口(図示せず)が形成されている。チャンバ14には、この出入口を開閉するシャッタユニット(図示せず)が備えられている。
スピンチャック5は、チャックピン20と、スピンベース21と、スピンベース21の下面中央に結合された回転軸22と、回転軸22に回転力を与える電動モータ23とを含む。回転軸22は、回転軸線A1に沿って鉛直方向に延びている。回転軸22の上端に、スピンベース21が結合されている。
【0025】
スピンベース21は、水平方向に沿う円板形状を有している。スピンベース21の上面の周縁部に、複数のチャックピン20が周方向に間隔を空けて配置されている。スピンベース21およびチャックピン20は、基板Wを水平に保持する基板保持ユニットに含まれる。基板保持ユニットは、基板ホルダともいう。
電動モータ23によって回転軸22が回転されることにより、基板Wが回転軸線A1のまわりに回転される。電動モータ23は、基板Wを回転軸線A1のまわりに回転させる基板回転ユニットに含まれる。
【0026】
薬液供給ユニット7は、薬液を吐出する第1薬液ノズル30と、第1薬液ノズル30を支持する第1薬液配管31と、薬液を吐出する第2薬液ノズル40と、第2薬液ノズル40を支持する第2薬液配管41とを含む。第1薬液ノズル30は、基板Wの上面に向けて薬液を吐出する複数の第1吐出口30aを有する。第2薬液ノズル40は、基板Wの上面に向けて薬液を吐出する第2吐出口40aを有する。薬液供給ユニット7は、基板Wの上面に処理液を供給する処理液供給ユニットの一例であり、第1薬液ノズル30は、処理液供給ユニットに備えられた処理液ノズルの一例である。
【0027】
薬液は、たとえば、エッチング液の一例であるリン酸である。薬液は、リン酸以外の液体であってもよい。すなわち、薬液は、たとえば、硫酸、酢酸、硝酸、塩酸、フッ酸、リン酸、酢酸、アンモニア水、過酸化水素水、有機酸(たとえばクエン酸、蓚酸など)、有機アルカリ(たとえば、TMAH:テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドなど)、界面活性剤、および腐食防止剤の少なくとも1つを含む液であってもよい。
【0028】
第1薬液ノズル30には、第1薬液配管31を介して第1薬液供給管35が接続されている。第1薬液供給管35には、第1電動バルブ32、第1流量計33および第1温度センサ34が介装されている。第1薬液供給管35には、薬液供給源から、リン酸などの薬液が供給される。第1電動バルブ32は、第1薬液ノズル30への薬液の供給の有無の切り替えと、第1薬液ノズル30に供給される薬液の流量の変更とを行う。第1流量計33は、第1薬液供給管35を流れる薬液の流量を検出する。第1温度センサ34は、第1薬液供給管35内の薬液の温度を検出する。
【0029】
第2薬液ノズル40には、第2薬液配管41を介して第2薬液供給管45が接続されている。第2薬液供給管45には、第2電動バルブ42、第2流量計43および第2温度センサ44が介装されている。第2薬液供給管45には、薬液供給源から、リン酸などの薬液が供給される。第2電動バルブ42は、第2薬液ノズル40への薬液の供給の有無の切り替えと、第2薬液ノズル40に供給される薬液の流量の変更とを行う。第2流量計43は、第2薬液供給管45を流れる薬液の流量を検出する。第2温度センサ44は、第2薬液供給管45内の薬液の温度を検出する。
【0030】
薬液供給ユニット7は、移動ユニット8によって、第1薬液ノズル30が基板Wに対向する処理位置と、第1薬液ノズル30が基板Wに対向する位置から退避した退避位置との間で移動される。薬液供給ユニット7が処理位置に位置する状態で、第1薬液ノズル30と同様に第2薬液ノズル40も基板Wに対向している。薬液供給ユニット7が退避位置に位置する状態で、第2薬液ノズル40も基板Wと対向する位置から退避している。
【0031】
移動ユニット8は、鉛直方向に延びる旋回軸25と、旋回軸25に連結されたホルダ26と、旋回軸25に旋回軸線A2まわりの駆動力を付与する旋回ユニット27とを含む。ホルダ26は、旋回軸線A2に直交する方向に延びるアーム26aと、第1薬液配管31および第2薬液配管41を支持する支持部26bとを含む。旋回ユニット27が旋回軸25を旋回させることによって、ホルダ26、第1薬液配管31および第2薬液配管41が旋回軸線A2まわりに旋回する。これにより、第1薬液ノズル30および第2薬液ノズル40が旋回軸線A2まわりに旋回する。旋回ユニット27は、たとえば、電動モータである。
【0032】
移動ユニット8は、旋回軸25を昇降させるボールねじ(図示せず)と、当該ボールねじに駆動力を付与する電動モータ(図示せず)とを含んでいてもよい。移動ユニット8が旋回軸25を昇降させることによって、ホルダ26、第1薬液配管31および第2薬液配管41が昇降する。これにより、第1薬液ノズル30および第2薬液ノズル40が昇降する。
【0033】
リンス液供給ユニット9は、基板Wの上面にリンス液を供給するリンス液ノズル50を含む。リンス液ノズル50には、リンス液配管51が接続されている。リンス液配管51には、リンス液バルブ52が介装されている。リンス液配管51には、リンス液供給源から、DIWなどのリンス液が供給されている。リンス液バルブ52は、リンス液の流路を開閉する。リンス液ノズル50は、固定ノズルである。本実施形態とは異なり、リンス液ノズル50は、水平方向および鉛直方向に移動可能な移動ノズルであってもよい。
【0034】
リンス液とは、DIWに限られず、炭酸水、電解イオン水、オゾン水、希釈濃度(たとえば、10ppm~100ppm程度)の塩酸水、アンモニアなどを含むアルカリイオン水、還元水(水素水)であってもよい。
待機ポット10は、基板Wの上面から退避している第1薬液ノズル30および第2薬液ノズル40から吐出される薬液を受け止めるためのポットである。待機ポット10は、有底筒状の形態を有する。薬液供給ユニット7が退避位置にある状態で、第1薬液ノズル30および第2薬液ノズル40は、待機ポット10の上方に位置する。待機ポット10の底部には、待機ポット10内の薬液を排出するための排液管55が接続されている。排液管55には、排液管55内の薬液の流路を開閉する排液バルブ56が介装されている。
【0035】
次に、
図3~
図6を用いて、薬液供給ユニット7の構成について詳細に説明する。
図3は、薬液供給ユニット7およびその周辺の側面図である。
図4は、薬液供給ユニット7の平面図である。
図5は、
図4のV-V線に沿った断面図である。
図6は、第1薬液ノズル30およびその周辺の下面図である。
図3を参照して、第2薬液配管41は、旋回軸線A2から離れる方向に水平に延びる水平部41aと、水平部41aに連結され、旋回軸線A2から離れるにしたがって下方に向かうように水平方向に対して傾斜して延びる垂下部41bとを含む。第2薬液ノズル40は、垂下部41bに連結され、旋回軸線A2から離れるにしたがって下方に向かうように水平方向に対して傾斜して延びる。第2薬液ノズル40は、第2吐出口40aが形成された吐出部40bをその先端に有している。
【0036】
第1薬液ノズル30は、水平に延びる。第1薬液ノズル30は、旋回軸線A2側とは反対側の一端部30bと、旋回軸線A2側の他端部30cとを有する。第1薬液配管31は、第1薬液ノズル30の一端部30bから折り返して水平に延びている。第1薬液配管31は、旋回軸線A2から離れる方向に水平に延びる上水平部31aと、上水平部31aから下方に延びる垂下部31bと、垂下部31bの下端から旋回軸線A2に近づく方向に水平に延びる下水平部31cを含む。上水平部31aおよび下水平部31cは、第1薬液ノズル30と平行に延びている。垂下部31bは、鉛直方向に延びている。下水平部31cは、第1薬液ノズル30の一端部30bに連結されている。
【0037】
第1薬液ノズル30は、第1薬液配管31の上水平部31aから下方に延びるブラケット28を介して第1薬液配管31に固定されている。
図4を参照して、処理ユニット2は、第1薬液ノズル30内の薬液を吸引する吸引ユニット11をさらに含む。吸引ユニット11は、第1薬液配管31に分岐接続された吸引配管65と、吸引配管65内に形成された吸引流路65aを介して第1流路70の内部を吸引する吸引装置60とを含む。吸引装置60は、真空ポンプなどである。吸引配管65には、吸引流路65aを開閉する吸引バルブ66が介装されている。吸引配管65は、第1薬液配管31の上水平部31aと垂下部31bとの連結部分31dに連結されている。吸引配管65は、第1薬液配管31および第2薬液配管41と共にホルダ26の支持部26bによって支持されている。
【0038】
図5を参照して、第1薬液ノズル30内には、第1薬液ノズル30が延びる方向と同じ水平方向に延びる第1流路70が形成されている。第1流路70は、基板Wの上面と平行に延びている。第1流路70が延びる方向を長手方向Lという。第1流路70は、旋回軸線A2側とは反対側の一端部70aと、旋回軸線A2側の他端部70bとを有する。
第1薬液配管31内には、第1流路70の一端部70aから折り返して延びる第2流路80が形成されている。詳しくは、第1薬液配管31の上水平部31aには、第2流路80が形成されており、第1薬液配管31の垂下部31bおよび下水平部31cには、第1流路70の一端部70aおよび第2流路80を連結する折り返し流路85が形成されている。第1薬液配管31は、第2流路80が形成された流路形成配管の一例である。第1流路70では、処理液は、一端部70a側から他端部70b側に向けて流れる。処理液が流れる方向において、一端部70aは、他端部70bよりも上流側である。
【0039】
第2流路80は、水平に延びている。第2流路80は、第1流路70と平行に延びており、かつ、折り返し流路85を介して第1流路70に連結されている。そのため、第2流路80は、平面視で第1流路70と重なっている。吸引流路65aは、第2流路80と折り返し流路85とが交差する部分(第1流路70の一端部70aの近傍80a)に連結されている。
【0040】
第1薬液ノズル30は、薬液供給ユニット7が処理位置に位置する状態(
図3および
図4に示す状態)で、基板Wの上面に対向する。詳しくは、
図3を参照して、第1薬液ノズル30の一端部30bが基板Wの上面の中央領域に対向し、第1薬液ノズル30の他端部30cが基板Wの上面の外周領域に対向する。そのため、薬液供給ユニット7が処理位置に位置する状態では、第1流路70が、基板Wの上方に配置される。また、第1流路70の一端部70aは、基板Wの上面の中央領域に対向し、第1流路70の他端部70bは、基板Wの上面の外周領域に対向する。
【0041】
基板Wの上面の中央領域とは、基板Wの上面の回転中心を含む領域のことである。基板Wの上面の回転中心とは、基板Wの上面において回転軸線A1とが交差する位置のことである。基板Wの上面の外周領域とは、基板Wの上面の周縁付近の領域のことである。
図6に示すように、複数の第1吐出口30aは、第1薬液ノズル30の下面30dに形成されている。複数の第1吐出口30aは、長手方向Lに沿って配列されている。詳しくは、複数の第1吐出口30aは、互いに等間隔を隔てている。薬液供給ユニット7が処理位置に配置されているとき、一端部70a付近の第1吐出口30aは、第1流路70内の薬液を基板Wの上面の中央領域に向けて吐出し、他端部70b付近の第1吐出口30aは、第1流路70内の薬液を基板Wの上面の外周領域に向けて吐出する。
【0042】
第1流路70の他端部70b付近の第1吐出口30a同士の間の距離(第2ピッチP2)は、第1流路70の一端部70a付近の第1吐出口30a同士の間の距離(第1ピッチP1)よりも小さい。すなわち、複数の第1吐出口30aは、基板Wの上面において第1流路70の他端部70b付近に対向する領域(基板Wの上面の外周領域)に供給される薬液の流量の方が、基板Wの上面において第1流路70の一端部70a付近に対向する領域(基板Wの上面の中央領域)に供給される薬液の流量よりも大きくなるように構成されている。なお、ピッチP1,P2は、隣り合う第1吐出口30a同士の中心間距離である。本実施形態では、第1吐出口30aは、合計で12箇所に設けられている。最も他端部70b側から数えて4つ目までの第1吐出口30aの合計4つの第1吐出口30aの間のピッチP2のみが、他の第1吐出口30aの間のピッチP1よりも小さい。
【0043】
この実施形態とは異なり、第1流路70の一端部70a付近には、第1吐出口30aが一つだけ設けられていてもよい。また、第1流路70の他端部70b付近には、第1吐出口30aが一つだけ設けられていてもよい。
次に、
図7を用いて第1流路70の構成について詳細に説明する。
図7は、
図5のVII-VII線に沿った断面図である。
【0044】
図7を参照して、第1流路70は、第2流路80から供給された薬液を溜める液溜まり部71と、複数の第1吐出口30aおよび液溜まり部71を連結する複数の吐出流路72とを含む。液溜まり部71は、複数の第1吐出口30aの側方で第1流路70の長手方向Lに延びる円筒状の形態を有している。各吐出流路72は、液溜まり部71から側方に延びている。吐出流路72は、各第1吐出口30aに1つずつ接続されている。
【0045】
各吐出流路72は、対応する第1吐出口30aから上方に延びる円筒状の鉛直流路72aと、対応する鉛直流路72aおよび液溜まり部71を連結する傾斜流路72bとを含む。第1吐出口30aは、鉛直流路72aの下端において、下方に向かって開口している。傾斜流路72bは、液溜まり部71から対応する鉛直流路72aに向かうにしたがって上方に向かうように水平方向に対して傾斜する。傾斜流路72bは、円筒状である。鉛直流路72aの直径D1および傾斜流路72bの直径D2は、液溜まり部71の直径D3よりも小さい。そのため、吐出流路72の流路断面積は、液溜まり部71の流路断面積よりも小さい。
【0046】
第1薬液ノズル30の下面30dは、液溜まり部71の下方に位置する第1面30eと、段差30gを介して第1面30eに連結された第2面30fとを含む。第2面30fは、液溜まり部71の底部71a(下端)よりも上方に位置する。第2面30fは、平坦面である。第1吐出口30aは、第2面30fに形成されている。そのため、第1吐出口30aは、液溜まり部71の底部71a(下端)よりも上方に位置している。
【0047】
第1薬液ノズル30には、長手方向Lに延びる補強部材36が挿通されている。補強部材36は、たとえば、ステンレス鋼材で形成された中空の棒である。
図8は、基板処理装置1の主要部の電気的構成を説明するためのブロック図である。制御装置3は、マイクロコンピュータを備えており、所定のプログラムに従って、基板処理装置1に備えられた制御対象を制御する。より具体的には、制御装置3は、プロセッサ(CPU)3Aと、プログラムが格納されたメモリ3Bとを含み、プロセッサ3Aがプログラムを実行することによって、基板処理のための様々な制御を実行するように構成されている。とくに、制御装置3は、搬送ロボットIR,CR、電動モータ23、移動ユニット8、吸引装置60、およびバルブ類32,42,52,56,66などの動作を制御する。
【0048】
図9は、基板処理装置1による基板処理の一例を説明するための流れ図である。
図9には、制御装置3がプログラムを実行することによって実行される基板処理が示されている。この基板処理では、基板Wが一枚ずつ連続処理される。各基板Wの基板処理では、たとえば、
図9に示すように、基板搬入(S1)、プリディスペンス(S2)、薬液処理(S3)、リンス処理(S4)、乾燥処理(S5)および基板搬出(S6)がこの順番で実行される。
【0049】
基板処理では、まず、未処理の基板Wが、搬送ロボットIR,CRによってキャリヤCから処理ユニット2に搬入され、スピンチャック5に渡される(S1)。この後、基板Wは、搬送ロボットCRによって搬出されるまでの間、チャックピン20によって、スピンベース21の上面から上方に間隔を空けて水平に保持される(基板保持工程)。
基板Wが搬入された後、基板Wの上面を薬液で処理する前に第1薬液ノズル30および第2薬液ノズル40から薬液を吐出させるプリディスペンス(S2)が開始される。処理ユニット2で基板Wを一枚ずつ連続処理する基板処理では、プリディスペンス(S2)を実行することによって、薬液処理(S3)において基板Wに供給される薬液の温度の、同一の処理ユニット2で処理される基板W間での差を低減することができる。そのため、基板W間での品質の差を低減することができる。第2薬液ノズル40の第2吐出口40aは、1つしか設けられていないのに対して、第1薬液ノズル30の第1吐出口30aは、複数設けられている。そのため、通常、第2薬液ノズル40から吐出される処理液の流量は、第1薬液ノズル30から吐出される処理液の流量よりも小さい。したがって、プリディスペンス(S2)による温度制御は、第1薬液ノズル30よりも第2薬液ノズル40において重要となる。
【0050】
図10Aおよび
図10Bは、基板処理のプリディスペンス(
図9のS2)を説明するための図解的な側面図である。
図10Cは、基板処理の薬液処理(
図9のS3)を説明するための図解的な側面図である。
プリディスペンス(S2)では、
図10Aに示すように、移動ユニット8が、薬液供給ユニット7を退避位置に配置する。そして、第1電動バルブ32および第2電動バルブ42が開かれる。これにより、第1薬液ノズル30の複数の第1吐出口30aおよび第2薬液ノズル40の第2吐出口40aから薬液が吐出される。第1吐出口30aおよび第2吐出口40aから吐出された薬液は、待機ポット10によって受けられる。排液バルブ56が開かれることによって待機ポット10内の薬液が待機ポット10から排除される。
【0051】
第1薬液ノズル30の複数の第1吐出口30aおよび第2薬液ノズル40の第2吐出口40aから薬液が所定時間吐出された後、第1電動バルブ32および第2電動バルブ42が閉じられる。これにより、
図10Bに示すように、第1薬液ノズル30の複数の第1吐出口30aおよび第2薬液ノズル40の第2吐出口40aからの薬液の吐出が停止される。
【0052】
そして、一定時間のプリディスペンス(S2)の後、薬液処理(S3)が開始される。具体的には、
図10Cに示すように、電動モータ23は、スピンベース21を回転させる。これにより、チャックピン20に水平に保持された基板Wが回転する(基板回転工程)。そして、移動ユニット8が薬液供給ユニット7を処理位置に移動させる。その後、第1電動バルブ32および第2電動バルブ42が開かれる。これにより、第1薬液ノズル30の複数の第1吐出口30aおよび第2薬液ノズル40の第2吐出口40aから薬液が吐出される。第1吐出口30aおよび第2吐出口40aから吐出された薬液は、基板Wの上面に着液する。供給された薬液は遠心力によって基板Wの上面の全体に行き渡る。これにより、基板Wの上面が薬液によって処理される。
【0053】
次に、一定時間の薬液処理(S3)の後、基板W上の薬液をDIWなどのリンス液に置換することにより、基板W上から薬液を排除するためのリンス処理(S4)が実行される。
具体的には、第1電動バルブ32および第2電動バルブ42が閉じられ、リンス液バルブ52が開かれる。これにより、リンス液ノズル50から基板Wの上面に向けてリンス液が供給(吐出)される。リンス液ノズル50から吐出されたリンス液は、基板Wの上面の中央領域に着液する。基板W上に供給されたリンス液は遠心力によって基板Wの上面の全体に行き渡る。このリンス液によって基板W上の薬液が洗い流される。この間に、移動ユニット8が、薬液供給ユニット7を退避位置へ退避させる。薬液供給ユニット7を移動させる前に、吸引装置60が第1薬液ノズル30の第1流路70内の薬液を吸引する。
【0054】
次に、基板Wを乾燥させる乾燥処理(S5)が行われる。具体的には、リンス液バルブ52が閉じられる。そして、電動モータ23が、高回転速度(たとえば3000rpm)で基板Wを回転させる。これにより、大きな遠心力が基板W上のリンス液に作用し、基板W上のリンス液が基板Wの周囲に振り切られる。このようにして、基板Wからリンス液が除去され、基板Wが乾燥する。そして、基板Wの高速回転が開始されてから所定時間が経過すると、電動モータ23が、スピンベース21による基板Wの回転を停止させる。
【0055】
その後、搬送ロボットCRが、処理ユニット2に進入して、スピンチャック5から処理済みの基板Wをすくい取って、処理ユニット2外へと搬出する(S6)。その基板Wは、搬送ロボットCRから搬送ロボットIRへと渡され、搬送ロボットIRによって、キャリヤCに収納される。そして、次の未処理の基板Wの基板処理が開始される。
次に、プリディスペンス(S2)の一例について
図11を用いて詳細に説明する。
図11は、
図9に示す基板処理において第1薬液ノズル30から吐出される薬液の温度の時間的変化の一例を示すグラフである。
図11では、横軸を処理時間tとし、縦軸を第1薬液ノズル30から吐出される薬液の温度、すなわち吐出温度Tとしている。吐出温度Tは、第1温度センサ34によって検出される温度である。そのため、吐出温度Tは、厳密には、第1薬液供給管35内の薬液の温度である。
図11では、基板Wを連続処理する基板処理において1枚目~3枚目に処理した基板Wのそれぞれについて、吐出温度Tの時間変化を示している。ここでは、第2薬液ノズル40の吐出温度の時間変化は、第1薬液ノズル30の吐出温度Tの時間変化とほぼ同様であるため、詳しい説明を省略する。
【0056】
プリディスペンス(S2)では、たとえば、薬液の吐出流量を、薬液処理(S3)における薬液の吐出流量(処理流量)に設定し、第1薬液ノズル30から待機ポット10への薬液の吐出を開始させる。つまり、薬液の吐出流量を一定にする。薬液の吐出流量は、第1流量計33が検出する流量のことである。薬液の吐出流量の設定は、第1電動バルブ32の開度が変更されることによって行われる。第1薬液ノズル30から待機ポット10への薬液の吐出を開始したときの時刻をt0とする(プリディスペンス開始工程)。
【0057】
薬液供給ユニット7には、新たな薬液が供給され続ける。そのため、処理時間tの経過とともに、薬液供給ユニット7(特に第1薬液ノズル30および第1薬液配管31の管壁)およびその周辺の部材の温度が上昇する。逆に言えば、薬液供給ユニット7およびその周辺の部材によって、第1薬液ノズル30および第1薬液配管31の内部を流れる薬液の熱が奪われる。そのため、プリディスペンスの開始時(時刻t0)に第1薬液ノズル30からの薬液の吐出温度Tは、薬液供給ユニット7およびその周辺の部材の温度と、第1薬液ノズル30および第1薬液配管31の内部を流れる薬液の温度とが平衡に達する温度(飽和温度T1)よりもかなり低い。
【0058】
第1薬液ノズル30からの薬液の吐出の続行に伴って薬液供給ユニット7およびその周辺の部材が昇温し、これにより、薬液供給ユニット7およびその周辺の部材によって奪われる熱量が減少する。第1薬液ノズル30からの薬液の吐出をさらに続行することにより、飽和温度T1の薬液が第1薬液ノズル30から吐出されるようになる。
吐出温度Tが飽和温度T1に達した時刻をt1とする。プリディスペンスの開始(時刻t0)から、飽和温度T1の薬液が第1薬液ノズル30から吐出されるようになるまで(時刻t1)の期間(以下、「到達期間」という)は、プリディスペンスの開始前の薬液供給ユニット7およびその周辺の部材の温度に依存する。プリディスペンスの開始前の薬液供給ユニット7およびその周辺の部材の温度と飽和温度T1との差が大きいほど、到達期間は長くなる。プリディスペンスの開始前の薬液供給ユニット7およびその周辺の部材の温度と飽和温度T1との差が小さいほど、到達期間は短くなる。
【0059】
処理ユニット2において基板Wを連続処理する場合において、連続処理の開始時(たとえば、1枚目や2枚目の基板Wに対する処理)においては、プリディスペンス開始前の薬液供給ユニット7およびその周辺の部材の温度が比較的低い。特に、1枚目の基板Wに対する処理においては、プリディスペンス開始前の薬液供給ユニット7およびその周辺の部材の温度がたとえば常温(たとえば約25℃)まで低下していることがある。
【0060】
図11に示す例では、プリディスペンスの開始から到達期間が経過して吐出温度Tが飽和温度T1に達すると、第1薬液ノズル30からの薬液の吐出を停止させる(プリディスペンス停止工程)。そして、移動ユニット8が、薬液供給ユニット7を処理位置に向けて移動させ始める(薬液供給ユニット移動工程)。薬液供給ユニット7が移動している間、薬液供給ユニット7には、新たな薬液が供給されないので、薬液供給ユニット7の温度が徐々に低下し、第1薬液ノズル30および第1薬液配管31内の薬液の温度が低下する。薬液供給ユニット7が処理位置に達すると、再び第1電動バルブ32が開かれる。これにより、第1薬液ノズル30から基板Wの上面への薬液の供給が開始される(薬液供給工程)。薬液供給ユニット7が処理位置に達する時刻をt2とする。
【0061】
図11に示すように、時刻t1および時刻t2は、処理の順番が後の基板Wほど早くなる。図示しないが、4枚目以降の基板Wの処理における時刻t1および時刻t2は、3枚目の基板Wの処理の時刻t1および時刻t2とそれぞれほぼ等しい。
すなわち、
図11に示す例では、1枚目の基板Wのプリディスペンスの期間を2枚目の基板Wのプリディスペンスの期間よりも長くし、2枚目の基板Wのプリディスペンスの期間を3枚目の基板Wのプリディスペンスの期間よりも長くしている。4枚目以降の基板Wのプリディスペンスの期間は、3枚目の基板のプリディスペンスの期間とほぼ同じである。
【0062】
この方法でプリディスペンスを実行することによって、薬液処理開始時の吐出温度Tの、基板処理毎の差を確実に低減することができる。
次に、プリディスペンス(S2)の別の例について
図12を用いて詳細に説明する。
図12は、
図9に示す基板処理において第1薬液ノズル30から吐出される薬液の温度の時間的変化の別の例を示すグラフである。
図12では、横軸を処理時間tとし、縦軸を吐出温度Tとしている。
図12では、基板Wを連続処理する基板処理において1枚目~3枚目に処理した基板Wのそれぞれについて、吐出温度Tの時間変化を示している。ここでは、第2薬液ノズル40の吐出温度の時間変化は、第1薬液ノズル30の吐出温度Tの時間変化とほぼ同様であるため、詳しい説明を省略する。
【0063】
第1薬液ノズル30から待機ポット10への薬液の吐出を開始したときの時刻、すなわちプリディスペンスの開始時刻をt0とする。そして、プリディスペンスの終了後に薬液供給ユニット7が処理位置に移動した後、第1薬液ノズル30から基板Wの上面への薬液の供給が開始される時刻をt3とする。何枚目の基板Wの処理であるかにかかわらず、時刻t0から時刻t3までの間の時間が一定になるように薬液供給を開始する時間が設定される(薬液供給時刻設定工程)。そして、プリディスペンスの開始から一定期間が経過した時点(時刻t3になった時点)で、第1薬液ノズル30から吐出される薬液の吐出温度Tが飽和温度T1よりも低い目標温度T2となるように、第1電動バルブ32の開度が調整され、吐出流量が制御される。吐出流量を低減されると、薬液供給ユニット7に供給される薬液全体の薬液の熱量が少なくなるので、吐出温度Tが低下する。一方、吐出流量を増大させると、薬液供給ユニット7に供給される薬液全体の熱量が多くなるので、吐出温度Tが増大する。
【0064】
前述したように、処理ユニット2において基板Wを連続処理する場合において、連続処理の開始時(たとえば、1枚目や2枚目の基板Wに対する処理)においては、プリディスペンス開始前の薬液供給ユニット7およびその周辺の部材の温度が比較的低い。そのため、1枚目の基板Wのプリディスペンスにおける吐出流量を2枚目の基板Wのプリディスペンスにおける吐出流量よりも大きくし、2枚目の基板Wのプリディスペンスにおける吐出流量を3枚目の基板Wのプリディスペンスにおける吐出流量よりも大きくしている。4枚目以降の基板Wのプリディスペンスにおける吐出流量は、3枚目の基板のプリディスペンスにおける吐出流量とほぼ同じである。
【0065】
第1薬液ノズル30から基板Wの上面への薬液の供給が開始された後は、たとえば、基板処理毎の吐出温度Tの差が低減されるように、制御装置3が第1電動バルブ32の開度を調整する(開度調整工程)。制御装置3は、第1流量計33が検出する流量に基づいてフィードバック制御を実行する。
図12では、薬液処理(S3)において処理時間tの経過に伴って、薬液供給開始後の目標温度T3を変化させる例を示している。この場合であっても、第1流量計33によって流量を常時検出し、第1電動バルブ32の開度を常時調整することによって、基板処理毎の吐出温度Tの差を低減することができる。
【0066】
この方法によれば、目標温度T2および目標温度T3が飽和温度T1よりも低いので、プリディスペンス(S2)の時間を短縮することができる上に、薬液の消費量を低減することができる。さらに、フィードバック制御を実行することによって、基板処理毎の吐出温度Tの差を一層低減することができる。
ここで、一般に、一端が閉塞した流路を有するノズルでは、流路の一端付近における処理液の圧力が、流路におけるその他の部分と比較して大きくなる。そのため、流路の先端付近に位置する吐出口から吐出される処理液の流量が、流路の基端付近に位置する吐出口から吐出される処理液の流量よりも多くなる傾向にある。
【0067】
第1実施形態によれば、第2流路80から第1流路70の一端部70aに薬液が供給される。また、第1流路70が延びる方向(長手方向L)に複数の第1吐出口30aが配列されている。したがって、第1薬液ノズル30では、第1流路70の他端部70b付近に位置する第1吐出口30aの流量の方が第1流路70の一端部70a付近に位置する第1吐出口30aの流量よりも大きくなる。
【0068】
一方、薬液供給ユニット7が処理位置に位置する状態では、第1流路70の一端部70aは基板Wの中央領域に対向し、第1流路70の他端部70bは基板Wの外周領域に対向している。そのため、基板Wの上面の外周領域に供給される薬液の流量を、基板Wの上面の中心領域に供給される薬液の流量よりも増大させることができる。したがって、基板Wの上面の処理むらを低減することができる。
【0069】
さらに、第1流路70の一端部70aに薬液を供給する第2流路80は、第1流路70の一端部70aから折り返して延びているため、第1流路70と第2流路80とを互いに近接した位置に配置することができる。さらに、薬液供給ユニット7は、その全体が移動ユニット8によって移動されるため、第1流路70と第2流路80とが互いに近接した状態が、薬液供給ユニット7の移動中も維持される。そのため、第2流路80内の処理液によって第1流路70内の処理液を保温することができる。したがって、第1吐出口30aへ向かう薬液の温度の低下を抑制することができる。その結果、第1吐出口30aから吐出されて基板Wの上面に着液する処理液の温度を高温に維持することができるので、所期の高温の処理液で基板Wの上面を処理することができる。
【0070】
以上のように、所期の高温の処理液で基板Wの上面を処理し、かつ、基板Wの上面の処理むらを低減することができる。
また第1実施形態によれば、第1流路70は、基板Wの上面と平行に延びる。そのため、第1吐出口30aと基板Wの上面と間の距離の、複数の第1吐出口30a間での差を低減することができる。したがって、処理液が第1吐出口30aから吐出されてから基板Wの上面に着液するまでに処理液が失う熱量の差を、複数の第1吐出口30a間で低減することができる。これにより、基板Wの上面の処理むらを低減することができる。
【0071】
また第1実施形態によれば、第2流路80が第1流路70と平行に延びる。そのため、第1流路70が延びる方向(長手方向L)の全域において第1流路70と第2流路80とを近接させることができる。これにより、第1流路70内の処理液が第2流路80内の処理液によって効率良く保温される。さらに、第1流路70と第2流路80とが平行に延びることによって、第1流路70内の処理液が長手方向Lの全域において満遍なく保温される。言い換えると、第1流路70内の処理液が部分的に保温されないという状況が発生することを防止することができる。そのため、第1吐出口30a間の吐出薬液の温度差を低減することができる。したがって、基板Wの上面の処理むらを低減することもできる。
【0072】
また、第1流路70と第2流路80とを近接させることで、薬液供給ユニット7の小型化を図ることができる。
また、第2流路80が、第1流路70の一端部70aから折り返されており、かつ、第1流路70と平行に延びている。そのため、第1流路70の他端部70bの周辺を流れる薬液は、第2流路80において上流側の部分を流れる薬液によって保温される。つまり、第1流路70の他端部70bの周辺を流れる薬液は、第1流路70の一端部70aの周辺を流れる薬液と比較して、高温の薬液によって保温される。これにより、第1流路70内での薬液の温度差を低減することができる。
【0073】
また第1実施形態によれば、薬液供給ユニット7が、第2流路80が形成された第1薬液配管31(流路形成配管)をさらに含む。第1薬液配管31は、第1薬液ノズル30を支持する。すなわち、第2流路80が形成された第1薬液配管31が、第1薬液ノズル30を支持する部材を兼ねている。したがって、薬液供給ユニット7の小型化を図ることができる。
【0074】
また第1実施形態によれば、移動ユニット8が、鉛直方向に沿う旋回軸線A2まわりに薬液供給ユニット7を旋回させる旋回ユニット27を含む。そのため、旋回軸線A2まわりの旋回という簡易な動作によって、処理位置と退避位置との間で薬液供給ユニット7を移動させることができる。
また第1実施形態によれば、複数の第1吐出口30aは、基板Wの上面において第1流路70の他端部70b付近に対向する領域に供給される処理液の流量の方が、基板Wの上面において第1流路70の一端部70a付近に対向する領域に供給される処理液の流量よりも大きくなるように設けられている。そのため、基板Wの上面の外周領域に供給される薬液の流量を、基板Wの上面の中心領域に供給される薬液の流量よりも一層増大させることができる。これにより、基板Wの上面の外周領域における処理液の温度の低下を抑制することができるので、基板Wの上面の外周領域におけるエッチングレートの低下を防止できる。
【0075】
また第1実施形態によれば、処理ユニット2が、第1流路70内の薬液を吸引する吸引ユニット11を含む。ここで、第2流路80から第1流路70へ薬液を供給している状態から、第2流路80から第1流路70への薬液の供給が停止された状態に切り替えた場合などに第1流路70内に薬液が残る。この状態で移動ユニット8が薬液供給ユニット7を移動させると、第1流路70内に残った薬液が、液滴となって、基板Wの上面に落下することがある。このような意図しない薬液の落下によって、基板Wの上面にパーティクルが発生するおそれがある。そこで、吸引ユニット11に第1流路70内の薬液を吸引させることで、薬液の供給の停止時に第1流路70内に薬液が残ることを防止できる。したがって、薬液の供給の停止時に基板W上に薬液の落下を抑制することができる。
【0076】
また第1実施形態によれば、吸引ユニット11は、第1流路70の一端部70aの近傍80aに連結された吸引流路65aと、吸引流路65aを介して第1流路70の内部を吸引する吸引装置60とを含む。そのため、吸引装置60は、第1流路70内の処理液を効率良く吸引することができる。その一方で、第2流路80における処理液が必要以上に吸引されることを防止することができる。したがって、必要以上に薬液を吸引して薬液を無駄にすることを抑制でき、かつ、第1流路70内の薬液を効率良く除去することができる。
【0077】
また第1実施形態によれば、第1流路70は、第2流路80から供給された薬液が溜められる液溜まり部71と、液溜まり部71から側方に延びる吐出流路72とを含む。各吐出流路72は、対応する第1吐出口30aと液溜まり部71とを連結する。
そのため、第2流路80から第1流路70へ供給された薬液は、液溜まり部71および吐出流路72を順に経由して第1吐出口30aから吐出される。第2流路80から第1流路70への薬液の供給を停止すると、第1流路70内の薬液は、液溜まり部71および吐出流路72内に残る。吐出流路72は、液溜まり部71から側方に延びているため、吐出流路72内の処理液は、液溜まり部71内の処理液の重量を受けにくい。吐出流路72内の薬液は、吐出流路72が液溜まり部71から下方に延びる構成と比較して、液溜まり部71内の薬液の重量を受けにくい。したがって、薬液の供給の停止時に、薬液が吐出流路72を介して第1吐出口30aから基板W上に落下するのを抑制することができる。
【0078】
また第1実施形態によれば、吐出流路72が、第1吐出口30aから上方に延びる鉛直流路72aと、鉛直流路72aと液溜まり部71とを連結する傾斜流路72bとを含む。傾斜流路72bは、液溜まり部71から鉛直流路72aに向かうにしたがって上方に向かうように水平方向に対して傾斜している。そのため、吐出流路72内に薬液が残った場合であっても、その薬液は、傾斜流路72bを介して液溜まり部71に戻りやすい。したがって、吐出流路72内の薬液が受ける重量を一層低減できる。
【0079】
また第1実施形態によれば、第1吐出口30aが、液溜まり部71の底部71aよりも上方に位置する。そのため、第1吐出口30aが液溜まり部71の下方に位置する構成と比較して、吐出流路72を短くすることができる。よって、吐出流路72内の薬液が受ける重量を一層低減することができる。
また第1実施形態によれば、吐出流路72の流路断面積が、液溜まり部71の流路断面積よりも小さい。そのため、吐出流路72内の薬液に作用する表面張力を増大させることができるので、薬液が吐出流路72内に留まりやすい。したがって、薬液の供給の停止時に基板W上に薬液の落下を抑制することができる。
【0080】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図13は、第2実施形態に係る第1薬液ノズル30の断面図である。
図13は、長手方向Lに対して直交する平面に沿って、第1薬液ノズル30切断したときの断面図である。
図13では、今まで説明した部材と同じ部材には同じ参照符号を付して、その説明を省略する。
【0081】
第2実施形態に係る第1薬液ノズル30では、第1実施形態とは異なり、第1薬液ノズル30の下面30dには、段差30gが設けられておらず、下面30dが平坦面である。そして、第1吐出口30aは、下面30dに形成されている。そのため、第1吐出口30aが液溜まり部71の底部71aよりも下方に位置している。第1薬液ノズル30の下面30dが平坦面であるため、第1薬液ノズル30の加工(製造)工程を簡素化することができる。
【0082】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
図14は、第3実施形態に係る第1薬液ノズル30の下面図である。
図14では、今まで説明した部材と同じ部材には同じ参照符号を付して、その説明を省略する。
第3実施形態に係る第1薬液ノズル30では、第1実施形態とは異なり、第1流路70の他端部70b付近の第1吐出口30aが、第1流路70の一端部70a付近の第1吐出口30aよりも大きい。他端部70b付近の第1吐出口30aの直径d2は、第1流路70の一端部70a付近の第1吐出口30aの直径d1よりも大きい。すなわち、第1実施形態と同様に、複数の第1吐出口30aは、基板Wの上面の外周領域に供給される薬液の流量の方が、基板Wの上面の中央領域に供給される薬液の流量よりも大きくなるように構成されている。
【0083】
第3実施形態では、第1吐出口30aは、合計で11箇所に設けられている。最も他端部70b側から数えて3つ目までの第1吐出口30aの合計3つの第1吐出口30aの直径d2が、他の第1吐出口30aの直径d1よりも大きい。
第3実施形態によれば、基板Wの上面の外周領域に供給される薬液の流量を、基板Wの上面の中心領域に供給される薬液の流量よりも一層増大させることができる。これにより、基板Wの上面の外周領域における処理液の温度の低下を抑制することができるので、基板Wの上面の外周領域におけるエッチングレートの低下を防止できる。
【0084】
第3実施形態では、第1吐出口30a同士の間の距離は互いに等しい(P1=P2)。この実施形態においても、第1実施形態と同様に、第1流路70の他端部70b付近の第1吐出口30a同士の間の距離(ピッチP2)が、第1流路70の一端部70a付近の第1吐出口30a同士の間の距離(ピッチP1)よりも小さくてもよい(P2<P1)。それであれば、基板Wの上面の外周領域に供給される薬液の流量を、基板Wの上面の中心領域に供給される薬液の流量よりも一層増大させることができる。
【0085】
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
図15は、本発明の第4実施形態に係る薬液供給ユニット7およびその周辺の側面図である。
図16は、
図15のXVI-XVI線に沿った断面図である。
図15および
図16では、今まで説明した部材と同じ部材には同じ参照符号を付して、その説明を省略する。
図15では、説明の便宜上、第2薬液ノズル40および第2薬液配管41の図示を省略している。
【0086】
第4実施形態に係る薬液供給ユニット7は、第1実施形態の第1薬液ノズル30および第1薬液配管31の代わりに、内管91および外管92から構成される二重管構造を有する第1薬液ノズル90を含む。第1薬液ノズル90では、内管91によって第1流路70が区画され、内管91と外管92とによって第2流路80が区画されている。
外管92は、旋回軸線A2側とは反対側の一端部93aおよび旋回軸線A2側の他端部93bを有する円筒管93と、円筒管93の一端部93aを塞ぐ壁部94とを含む。円筒管93の他端部93bには、第1薬液供給管35が連結されている。外管92は、移動ユニット8のホルダ26によって支持されている。
【0087】
内管91は、液溜まり部71を区画する円筒管95と、円筒管95から外管92の外側まで延びる複数の突出管96と、第1流路70の他端部70bを区画する区画壁97とを含む。
突出管96は、吐出流路72を区画しており、先端を下方に向けるようにクランクしている。各突出管96の先端には、基板Wの上面に向けて薬液を吐出する複数の第1吐出口90aが形成されている。
【0088】
円筒管95の上部と壁部94との間には、隙間98が設けられている。この隙間98を介して、第2流路80は、第1流路70の一端部70aから折り返されている。
薬液供給ユニット7が処理位置に配置されているとき、複数の第1吐出口90aは、基板Wの上面に対向する。詳しくは、一端部70a付近の第1吐出口90aは、第1流路70内の薬液を基板Wの上面の中央領域に対向し、他端部70b付近の第1吐出口90aは、第1流路70内の薬液を基板Wの上面の外周領域に対向する。
【0089】
第4実施形態では、外管92の下端と内管91の下端との間には隙間が設けられていないが、外管92の下端と内管91の下端との間には隙間が設けられていて、この隙間が第2流路80の一部を構成していてもよい。
第4実施形態によれば、上述したように、第1薬液ノズル90が、内管91および外管92から構成される二重管構造を有する。また、内管91によって第1流路70が区画され、内管91と外管92とによって第2流路80が区画される。そのため、第1流路70に一層近接した位置に第2流路80を位置させることができる。これにより、第1流路70内の薬液が第2流路80内の薬液によって一層効率良く保温される。また、折り返された配管を有する構成と比較して、薬液供給ユニット7の小型化図ることができる。
【0090】
<第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態について説明する。
図17は、第5実施形態に係る第1薬液ノズル30の断面図である。
図17では、今まで説明した部材と同じ部材には同じ参照符号を付して、その説明を省略する。
第5実施形態に係る薬液供給ユニット7は、第1薬液配管31を含んでおらず、薬液供給ユニット7の第1薬液ノズル30には、第1流路70に加えて第2流路80および折り返し流路85が形成されている。折り返し流路85は、実際には
図17に示す断面には現れないため、二点鎖線で示している。そのため、第1流路70に一層近接した位置に第2流路80を位置させることができる。これにより、第1流路70内の薬液が第2流路80内の薬液によって一層効率良く保温される。また、折り返された配管を有する構成(たとえば、第1実施形態の構成)と比較して、薬液供給ユニット7の小型化を図ることができる。
【0091】
また、第5実施形態に係る薬液供給ユニット7は、第1薬液ノズル30を取り囲み、第1薬液ノズル30の周囲の雰囲気から第1薬液ノズル30を断熱する断熱部材100をさらに含む。そのため、第1流路70内の処理液を一層効率良く保温することができる。第1薬液ノズル30は、フッ素系樹脂などの比較的熱伝導性が高い材料で形成されていることが好ましい。フッ素系樹脂としては、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等が挙げられる。処理液の温度が100℃以下であれば、PE(ポリエチレン)等を用いることができる。断熱部材100は、必ずしも第1薬液ノズル30の全面を覆っている必要はない。
【0092】
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、さらに他の形態で実施することができる。
たとえば、上述の各実施形態は、任意に組み合わせることが可能である。たとえば、第1実施形態~第4実施形態の薬液供給ユニット7が断熱部材100を含んでいてもよい。
また、薬液供給ユニット7の構成は、薬液以外の処理液(たとえばリンス液)を供給するユニットにも適用することができる。
【0093】
また、第2流路80は、必ずしも第1流路70と平行に設けられている必要はなく、第1流路70に対して傾斜して延びていてもよいし、湾曲して延びていてもよい。また、折り返し流路85が設けられておらず、第2流路80が第1流路70に直接接続された構成であってもよい。また、第1流路70は、必ずしも水平に延びている必要はなく、他端部70bが一端部70aよりも下方に位置するように水平方向に対して傾斜していてもよい。そうであるならば、第1流路70の他端部70b側の第1吐出口30aから吐出される薬液の流量を、第1流路70の一端部70a側の第1吐出口30aから吐出される薬液の流量よりも一層増大させることができる。
【0094】
また、移動ユニット8は、必ずしも旋回ユニット27を含んでいる必要はなく、薬液供給ユニット7を水平方向に直線的に移動させるボールねじ機構と、当該ボールねじ機構に駆動力を付与する電動モータとを含んでいてもよい。
また、基板処理では、基板搬入(S1)よりも前に、プリディスペンス(S2)が開始されていてもよい。そうすることによって、基板Wを処理ユニット2に搬入してから、基板Wの上面に薬液が供給され始めるまでの時間を短縮することができる。
【0095】
その他、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変更を行うことができる。
この明細書および添付図面からは、特許請求の範囲に記載した特徴以外にも、以下のような特徴が抽出され得る。これらの特徴は、課題を解決するための手段の項に記載した特徴と任意に組み合わせ可能である。
A1.基板を水平に保持する基板保持ユニットと、
処理液を吐出する処理液ノズルを有し、前記基板の上面に処理液を供給する処理液供給ユニットと、
前記処理液ノズルが前記基板の上面に対向する処理位置と、前記処理液ノズルが前記基板の上面に対向する位置から退避した退避位置との間で前記処理液供給ユニットを移動させる移動ユニットとをさらに含み、
前記処理液供給ユニットは、
前記処理液ノズルが延びる方向に配列された複数の吐出口と、
処理液を溜める液溜まり部、および、前記液溜まり部から側方に延び、各前記吐出口と前記液溜まり部とを連結する吐出流路を有する第1流路とをさらに有する、基板処理装置。
【0096】
A1に記載の発明によれば、第1流路へ供給された処理液は、液溜まり部および吐出流路を順に経由して吐出口から吐出される。そのため、処理液供給ユニットを移動させた状態で吐出口から処理液を吐出させることで基板の上面に処理液を着液させることができる。
ここで、第1流路へ処理液が供給されていないときには、第1流路内の処理液は、液溜まり部および吐出流路内に残る。吐出流路は、液溜まり部から側方に延びているため、吐出流路内の処理液は、液溜まり部内の処理液の重量を受けにくい。すなわち、吐出流路内の処理液は、吐出流路が液溜まり部から下方に延びる構成と比較して、液溜まり部内の処理液の重量を受けにくい。したがって、処理液の供給を停止した後に、処理液ノズルから基板上への処理液の意図しない落下を抑制することができる。
【0097】
A2. 前記第1流路は、前記処理液供給ユニットが前記処理位置に位置する状態で、一端部が前記基板の中央領域に対向し、かつ、他端部が前記基板の外周領域に対向し、
前記処理液供給ユニットが、前記第1流路の前記一端部から折り返して延び、前記第1流路の前記一端部に処理液を供給する第2流路をさらに含む、A1に記載の基板処理装置。
【0098】
A2に記載の発明によれば、第2流路から第1流路の一端部に処理液が供給される。また、第1流路が延びる方向に複数の吐出口が配列されている。そのため、処理液ノズルでは、第1流路の他端部付近の吐出口の流量の方が第1流路の一端部付近の吐出口の流量よりも大きい。一方、処理液供給ユニットが処理位置に位置する状態では、第1流路の一端部は基板の中央領域に対向し、第1流路の他端部は基板の外周領域に対向している。そのため、基板の上面の外周領域に供給される処理液の流量を、基板の上面の中心領域に供給される処理液の流量よりも増大させることができる。したがって、基板の上面の処理むらを低減することができる。
【0099】
さらに、第1流路の一端部に処理液を供給する第2流路は、第1流路の一端部から折り返して延びているため、第1流路と第2流路とを互いに近接した位置に配置することができる。さらに、処理液供給ユニットは、その全体が移動ユニットによって移動させるため、第1流路と第2流路とが互いに近接した状態が、処理液供給ユニットの移動中も維持される。そのため、第2流路内の処理液によって第1流路内の処理液を保温することができる。したがって、吐出口へ向かう処理液の温度の低下を抑制することができる。その結果、吐出口から吐出されて基板の上面に着液する処理液の温度を高温に維持することができるので、所期の高温の処理液で基板の上面を処理することができる。
【0100】
以上のように、所期の高温の処理液で基板の上面を処理し、かつ、基板の上面の処理むらを低減することができる。
【0101】
B1.基板を水平に保持する基板保持ユニットと、処理液を吐出する処理液ノズルを有し、前記基板の上面に処理液を供給する処理液供給ユニットと、前記処理液ノズルが前記基板の上面に対向する処理位置と、前記処理液ノズルが前記基板の上面に対向する位置から退避した退避位置との間で前記処理液供給ユニットを移動させる移動ユニットとを備え、前記処理液供給ユニットは、前記処理液ノズルに形成され、前記処理液供給ユニットが前記処理位置に位置する状態で、一端部が前記基板の中央領域に対向し、かつ、他端部が前記基板の外周領域に対向する第1流路と、前記第1流路の前記一端部から折り返して延び、前記第1流路の前記一端部に処理液を供給する第2流路と、前記処理液ノズルに形成され、前記第1流路が延びる方向に沿って配列され、前記第1流路内の処理液を前記基板の上面へ向けて吐出する複数の吐出口とをさらに有する、基板処理装置。
【0102】
この構成によれば、第2流路から第1流路の一端部に処理液が供給される。また、第1流路が延びる方向に複数の吐出口が配列されている。そのため、処理液ノズルでは、第1流路の先端付近(他端部付近)に位置する吐出口から吐出される処理液の流量が、第1流路の基端付近(一端部付近)に位置する吐出口から吐出される処理液の流量よりも大きくなる。そのため、処理液ノズルでは、第1流路の他端部側の吐出口の流量の方が第1流路の一端部側の吐出口の流量よりも大きい。一方、処理液供給ユニットが処理位置に位置する状態では、第1流路の一端部は基板の中央領域に対向し、第1流路の他端部は基板の外周領域に対向している。そのため、基板の上面の外周領域に供給される処理液の流量を、基板の上面の中心領域に供給される処理液の流量よりも増大させることができる。したがって、基板の上面の処理むらを低減することができる。
【0103】
さらに、第1流路の一端部に処理液を供給する第2流路は、第1流路の一端部から折り返して延びているため、第1流路と第2流路とを互いに近接した位置に配置することができる。さらに、処理液供給ユニットは、その全体が移動ユニットによって移動されるため、第1流路と第2流路とが互いに近接した状態が、処理液供給ユニットの移動中も維持される。そのため、第2流路内の処理液によって第1流路内の処理液を保温することができる。したがって、吐出口へ向かう処理液の温度の低下を抑制することができる。その結果、吐出口から吐出されて基板の上面に着液する処理液の温度を高温に維持することができるので、所期の高温の処理液で基板の上面を処理することができる。
【0104】
以上のように、所期の高温の処理液で基板の上面を処理し、かつ、基板の上面の処理むらを低減することができる。
【0105】
特許文献1の
図2に示す薬液吐出ヘッドのように、流路が延びる方向に複数の吐出口が配列されたノズルでは、流路の先端付近(アームから遠い位置)に位置する吐出口から吐出される液の流量が、流路の基端付近(アームに近い位置)に位置する吐出口から吐出される液の流量よりも多くなる傾向にある。
ここで、基板の周縁付近に対向する吐出口が単位時間あたりに回転方向に基板の上面を移動する距離は、基板の中心付近に対向する吐出口が単位時間あたりに回転方向に基板の上面を移動する距離よりも大きい。そのため、基板の周縁付近に供給する薬液の流量を、基板の中心付近に供給する薬液の流量よりも多くしなければ、基板の中心付近の処理が基板の周縁付近よりも進んでしまう。その結果、基板の上面が均一に処理されないおそれがある。
【0106】
したがって、特許文献1の
図7に示すように薬液吐出ヘッドの中心を基板の回転中心の直上に移動させても、基板の周縁付近に供給する薬液の流量を、基板の中心付近に供給する薬液の流量よりも多くすることができない。よって、特許文献1の薬液吐出ヘッドを用いた場合、基板の上面を均一に処理できないおそれがある。
また、アームや薬液吐出ヘッドの温度は周囲の空間と同程度の温度(常温程度)であるため、薬液は、アーム内や薬液吐出ヘッド内で冷却される。そのため、充分に加熱した薬液を薬液吐出ヘッドに向けて供給しても、吐出口から吐出されるまでに薬液の温度が低下するおそれがある。
【0107】
B2.前記第1流路は、前記基板の上面と平行に延びる、B1に記載の基板処理装置。
この構成により、吐出口と基板の上面と間の距離の、複数の吐出口間での差を低減することができる。したがって、処理液が吐出口から吐出されてから基板の上面に着液するまでに処理液が失う熱量の差を、複数の吐出口間で低減することができる。これにより、基板の上面の処理むらを低減することができる。
【0108】
B3.前記第2流路が前記第1流路と平行に延びる、B1またはB2に記載の基板処理装置。
この構成により、第1流路が延びる方向の全域において第1流路と第2流路とを近接させることができる。これにより、第1流路内の処理液が第2流路内の処理液によって効率良く保温される。さらに、第1流路と第2流路とが平行に延びることによって、第1流路内の処理液がその延びる方向の全域において満遍なく保温される。言い換えると、第1流路内の処理液が部分的に保温されないという状況が発生することを防止することができる。そのため、吐出口から吐出される処理液の、複数の吐出口間での温度差を低減することができる。したがって、基板の上面の処理むらを低減することもできる。
【0109】
B4.前記処理液供給ユニットが、前記第2流路が形成された流路形成配管をさらに含み、前記流路形成配管は、前記処理液ノズルと固定されている、B3に記載の基板処理装置。
すなわち、第2流路が形成された流路形成配管が、処理液ノズルを支持する部材を兼ねている。したがって、処理液供給ユニットの小型化を図ることができる。
B5.前記第2流路が、前記処理液ノズルに形成されている、B3に記載の基板処理装置。
この構成により、第1流路に一層近接した位置に第2流路を位置させることができる。これにより、第1流路内の処理液が第2流路内の処理液によって一層効率良く保温される。
【0110】
B6.前記処理液ノズルが、内管および外管から構成される二重管構造を有し、前記内管によって前記第1流路が区画され、前記内管と前記外管とによって前記第2流路が区画される、B1に記載の基板処理装置。
この構成により、第1流路に一層近接した位置に第2流路を位置させることができる。これにより、第1流路内の処理液が第2流路内の処理液によって一層効率良く保温される。
【0111】
B7.前記移動ユニットが、鉛直方向に沿う旋回軸線まわりに前記処理液供給ユニットを旋回させる旋回ユニットを含む、B1~B6のいずれか一項に記載の基板処理装置。
この構成により、旋回軸線まわりの旋回という簡易な動作によって、処理位置と退避位置との間で処理液供給ユニットを移動させることができる。
B8.複数の前記吐出口は、前記基板の上面において前記第1流路の前記他端部付近に対向する領域に供給される処理液の流量の方が、前記基板の上面において前記第1流路の前記一端部付近に対向する領域に供給される処理液の流量よりも大きくなるように設けられている、B1~B7のいずれか一項に記載の基板処理装置。
ここで、前述したように、処理液供給ユニットが処理位置に位置する状態では、第1流路の一端部は基板の中央領域に対向し、第1流路の他端部は基板の外周領域に対向している。そのため、基板の上面の外周領域に供給される処理液の流量を、基板の上面の中心領域に供給される処理液の流量よりも一層増大させることができる。これにより、基板の上面の外周領域における処理液の温度の低下を抑制することができるので、基板の上面の外周領域におけるエッチングレートの低下を防止できる。
【0112】
B9.前記第1流路内の処理液を吸引する吸引ユニットをさらに備える、B1~B8のいずれか一項に記載の基板処理装置。
ここで、第2流路から第1流路に処理液が供給されていないときには、複数の吐出口が形成された第1流路内に処理液が残ることがある。第1流路内には処理液が残った状態で移動ユニットが処理液供給ユニットを移動させた際には、第1流路内に残った処理液は、液滴となって、基板の上面に落下することがある。このような意図しない処理液の落下によって、基板の上面にパーティクルが発生するおそれがある。そこで、吸引ユニットに第1流路内の処理液を吸引させることで、処理液の供給の停止時に第1流路内に処理液が残ることを防止できる。したがって、処理液の供給の停止時に基板上に処理液の落下を抑制することができる。
【0113】
B10.前記吸引ユニットは、前記第1流路の前記一端部の近傍に連結された吸引流路と、前記吸引流路を介して前記第1流路の内部を吸引する吸引装置とを含む、B9に記載の基板処理装置。
この構成により、吸引装置は、第1流路内の処理液を効率良く吸引することができる。その一方で、第2流路における処理液が必要以上に吸引されることを防止することができる。したがって、必要以上に処理液を吸引して処理液を無駄にすることを抑制でき、かつ、第1流路内の処理液を効率良く除去することができる。
【0114】
B11.前記第1流路は、前記第2流路から供給された処理液を溜める液溜まり部と、前記液溜まり部から側方に延び、各前記吐出口と前記液溜まり部とを連結する吐出流路とを含む、B1~B10のいずれか一項に記載の基板処理装置。
この構成によれば、第2流路から第1流路に処理液が供給されていないときには、液溜まり部と吐出流路とに処理液が残ることがある。吐出流路が液溜まり部から側方に延びているため、吐出流路内の処理液は、液溜まり部内の処理液の重量を受けにくい。したがって、処理液の供給の停止時に、処理液が吐出流路を介して吐出口から基板上に落下するのを抑制することができる。
【0115】
B12.前記吐出流路が、前記吐出口から上方に延びる鉛直流路と、前記鉛直流路と前記液溜まり部とを連結し、前記液溜まり部から前記鉛直流路に向かうにしたがって上方に向かうように水平方向に対して傾斜する傾斜流路とを含む、B11に記載の基板処理装置。
この構成により、吐出流路内に処理液が残った場合であっても、その処理液は、傾斜流路を介して液溜まり部に戻りやすい。したがって、吐出流路内の処理液が受ける重量を一層低減できる。
【0116】
B13.前記吐出口が、前記液溜まり部の底部よりも上方に位置する、B11またはB12に記載の基板処理装置。
この構成により、吐出口が液溜まり部の下方に位置する構成と比較して、吐出流路を短くすることができる。よって、吐出流路内の処理液が受ける重量を一層低減することができる。
【0117】
B14.前記吐出流路の流路断面積が、前記液溜まり部の流路断面積よりも小さい、B11~B13のいずれか一項に記載の基板処理装置。
この構成により、吐出流路内の処理液に作用する表面張力を増大させることができるので、処理液が吐出流路内に留まりやすい。したがって、処理液の供給の停止時に基板上に処理液の落下を抑制することができる。
【0118】
B15.前記処理液供給ユニットが、前記処理液ノズルを取り囲み、前記処理液ノズルの周囲の雰囲気から前記処理液ノズルを断熱する断熱部材を含む、B1~B14のいずれか一項に記載の基板処理装置。
この構成により、第1流路内の処理液を一層保温することができる。
【0119】
C1.基板を水平に保持する基板保持ユニットと、
処理液を吐出する第1処理液ノズルと処理液を吐出する第2処理液ノズルとを有し、前記基板の上面に処理液を供給する処理液供給ユニットと、
前記第1処理液ノズルが前記基板の上面に対向する処理位置と、前記第1処理液ノズルが前記基板の上面に対向する位置から退避した退避位置との間で前記処理液供給ユニットを移動させる移動ユニットとを備え、
前記処理液供給ユニットは、
前記第1処理液ノズルに形成され、前記処理液供給ユニットが前記処理位置に位置する状態で、一端部が前記基板の中央領域に対向し、かつ、他端部が前記基板の外周領域に対向する第1流路と、
前記第1流路の前記一端部から折り返して延び、前記第1流路の前記一端部に処理液を供給する第2流路と、
前記第1処理液ノズルに形成され、前記第1流路が延びる方向に沿って配列され、前記第1流路内の処理液を前記基板の上面へ向けて吐出する複数の第1吐出口と、
前記第1流路および前記第2流路の側方に設けられ前記第2処理液ノズルに処理液を供給する側方配管とをさらに有し、
前記側方配管が、水平方向に延びる水平部と、前記水平部に連結され、前記水平部から離れるにしたがって下方に向かうように水平方向に対して傾斜して延びる垂下部とを有し、
前記垂下部の先端に前記第2処理液ノズルが連結されている、基板処理装置。
【0120】
C2.前記第1流路は、前記基板の上面と平行に延びる、C1に記載の基板処理装置。
【0121】
C3.前記第2流路が前記第1流路と平行に延びる、C1またはC2に記載の基板処理装置。
【0122】
C4.前記処理液供給ユニットが、前記第2流路が形成された流路形成配管をさらに含み、
前記流路形成配管は、前記第1処理液ノズルと固定されている、C3に記載の基板処理装置。
【0123】
C5.前記移動ユニットが、前記流路形成配管および前記側方配管を共通に支持するホルダをさらに含む、C4に記載の基板処理装置。
【0124】
C6.前記移動ユニットが、鉛直方向に沿う旋回軸線まわりに前記処理液供給ユニットを旋回させる旋回ユニットをさらに含む、C5に記載の基板処理装置。
【0125】
C7.前記第1流路の前記他端部側が前記旋回軸線側であり、前記第1流路の前記一端部側が前記旋回軸線側とは反対側であり、
前記処理液供給ユニットが前記処理位置に位置する状態で、前記第1流路の前記一端部および前記第2処理液ノズルが、前記基板の上面の前記中央領域に対向し、前記第1流路の前記他端部が、前記基板の上面の前記外周領域に対向する、C6に記載の基板処理装置。
【0126】
C8.前記移動ユニットが、前記鉛直方向に延びる旋回軸をさらに含み、
前記旋回ユニットが、前記旋回軸線まわりの駆動力を前記旋回軸に付与し、
前記旋回ユニットが前記旋回軸を旋回させることによって、前記ホルダ、前記流路形成配管および前記側方配管が前記旋回軸線まわりに旋回する、C6またはC7に記載の基板処理装置。
【0127】
C9.前記移動ユニットは、前記旋回軸を昇降させるボールねじと、前記ボールねじに駆動力を付与する電動モータとをさらに含む、C8に記載の基板処理装置。
【0128】
C10.前記第2流路が、前記第1処理液ノズルに形成されている、C3に記載の基板処理装置。
【0129】
C11.前記第2処理液ノズルは、前記処理液供給ユニットが前記処理位置に位置するときに、前記基板の上面に対向し、前記処理液供給ユニットが前記退避位置に位置するときに前記基板の上面に対向する位置から退避する、C1~C10のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【0130】
C12.前記第2処理液ノズルは、処理液を吐出する第2吐出口が形成された吐出部をその先端に有する、C1~C11のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【符号の説明】
【0131】
1 :基板処理装置
7 :薬液供給ユニット(処理液供給ユニット)
8 :移動ユニット
11 :吸引ユニット
20 :チャックピン(基板保持ユニット)
21 :スピンベース(基板保持ユニット)
25 :旋回軸
26 :ホルダ
30 :第1薬液ノズル(第1処理液ノズル)
30a :第1吐出口
31 :第1薬液配管(流路形成配管)
40 :第2薬液ノズル(第2処理液ノズル)
40a :第2吐出口
41 :側方配管
41a :水平部
41b :垂下部
60 :吸引装置
65a :吸引流路
70 :第1流路
70a :一端部
70b :他端部
80 :第2流路
90 :第1薬液ノズル(第1処理液ノズル)
90a :第1吐出口
A2 :旋回軸線
W :基板