(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-18
(45)【発行日】2023-08-28
(54)【発明の名称】液晶ディスプレイ・デバイス
(51)【国際特許分類】
G04G 9/00 20060101AFI20230821BHJP
G04B 19/06 20060101ALI20230821BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20230821BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20230821BHJP
G02F 1/1343 20060101ALI20230821BHJP
G02F 1/137 20060101ALI20230821BHJP
【FI】
G04G9/00 302Z
G04G9/00 301Z
G04G9/00 303D
G04B19/06 T
G02F1/13 505
G02F1/1335
G02F1/1335 510
G02F1/1343
G02F1/137
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022152746
(22)【出願日】2022-09-26
(62)【分割の表示】P 2020151791の分割
【原出願日】2020-09-10
【審査請求日】2022-09-26
(32)【優先日】2019-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【氏名又は名称】小池 勇三
(72)【発明者】
【氏名】ミシェル・サガルドワイビュリュ
(72)【発明者】
【氏名】ロイク・キュルショ
【審査官】菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-83607(JP,A)
【文献】特開2009-8710(JP,A)
【文献】特開2007-47030(JP,A)
【文献】特開昭55-60921(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04G 9/00
G04B 19/06
G02F 1/13
G02F 1/1335
G02F 1/1343
G02F 1/137
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶ディスプレイ・デバイスであって、
それぞれ前面基板および背面基板と呼ばれる2つの対向する透明な基板であって、前記前面基板は観察者側に配置される基板であり、前記前面基板および前記背面基板は、それらの内面に透明な構造化電極を
それぞれ備え、
これら構造化電極の重畳は、2つの光状態の間で切り換えることができる形状ピクセルを画定し、前記電極は、制御回路を介して電圧源に接続され、前記基板によって範囲が定められた空間に受け取るための密閉フレームによって閉ざされたセルを形成し、前記密閉フレームは液晶組成である、2つの対向する透明な基板と、
前記前面基板および/または前記背面基板と直接接触する装飾パターンと
を備え
、
前記装飾パターンは、複数の前記形状ピクセルが形作る画像と相補をなす画像のパターンである液晶ディスプレイ・デバイス。
【請求項2】
前記装飾パターンは、前記前面基板または前記背面基板の外部表面に配置されることを特徴とする請求項1に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項3】
前面基板および背面基板の少なくとも1つの厚みは、
50μm乃至300μmであることを特徴とする請求項1または2に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項4】
前記装飾パターンは前記構造化電極と整列されることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項5】
前記
形状ピクセルは、前記電極によって画定され
ることを特徴とする請求項4に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項6】
前記装飾パターンは、感光性または非感光性の少なくとも1つの構造化インク層、少なくとも1つの薄い構造化誘電体もしくは構造化金属層、または
これら層の組合せを備え、すべての前記装飾
パターンを形成する層は、前記前面基板または前記背面基板によって直接支持されることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項7】
前記前面基板は透過
および吸収
型の前面偏光子と関連付けられ、前記背面基板は吸収反射型背面偏光子と関連付けられ、前記装飾パターンは、前記背面基板と前記背面偏光子の間に配置される、請求項1~6のいずれか一項に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項8】
前記前面基板は透過
および吸収
型の前面偏光子と関連付けられ、前記背面基板は吸収反射型背面偏光子と関連付けられ、前記装飾パターンは、前記前面基板と前記前面偏光子の間に配置される、請求項1~6のいずれか一項に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項9】
前記前面基板は透過
および吸収
型の前面偏光子と関連付けられ、前記背面基板は反射体と関連付けられ、前記装飾パターンは、前記前面基板と前記前面偏光子の間に配置される、請求項1~6のいずれか一項に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項10】
前記液晶組成は二色性着色剤を含み、前記背面基板は反射体と関連付けられ、前記装飾パターンは、前記前面基板の外部表面、または前記背面基板と前記反射体の間のいずれかに配置される、請求項1~6のいずれか一項に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項11】
前記液晶組成は二色性着色剤を含み、前記前面基板は透過
および吸収
型の前面偏光子と関連付けられ、前記背面基板は反射体と関連付けられ、前記装飾パターンは、前記前面偏光子と前記前面基板の間、または前記背面基板と前記反射体の間のいずれかに配置される、請求項1~6のいずれか一項に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項12】
前記液晶組成は二色性着色剤を含み、前記背面基板は吸収反射型背面偏光子と関連付けられ、前記装飾パターンは、前記背面偏光子と前記背面基板の間に配置される、請求項1~6のいずれか一項に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項13】
前記背面偏光子が半透過型偏光子に置き換えられ、バック照明デバイスが前記半透過型偏光子の後方に配置される、請求項7、8または12のいずれか一項に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項14】
前記背面偏光子が透過型吸収偏光子に置き換えられ、バック照明デバイスが前記半透過型偏光子の後方に配置される、請求項7、8または12のいずれか一項に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項15】
前記バック照明デバイスは、色をモジュール化することができる光を放出する、請求項13または14に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項16】
少なくとも2つの相補パターン部分の一方が前記前面基板
と直接接触し、他方が前記背面基板と直接接触し、前記
少なくとも2つの相補パターン部分の並置
によって前記装飾パターン
が形成
されている、請求項1~15のいずれか一項に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項17】
文字盤および請求項1~16のいずれか一項に記載のディスプレイ・デバイスを備える時計のための文字盤アセンブリであって、前記文字盤は、前記ディスプレイ・デバイスの前記装飾パターンの静止画像と相補をなす静止画像を支持する、時計のための文字盤アセンブリ。
【請求項18】
請求項1~16のいずれか一項に記載のディスプレイ・デバイスを備える時計
または
宝飾品。
【請求項19】
前記パターンは天体の画像であり、前記ディスプレイ・デバイスは、前記透明な構造化電極によって画定される複数の切換え可能形状ピクセルを備え、また、前記天体の動画像を表すことができる形状セグメントを示すことを特徴とする請求項18に記載の時計
または
宝飾品。
【請求項20】
前記天体が月であること、また、前記複数の切換え可能形状ピクセルが前記透明な構造化電極によって画定され、月相を表す三日月形のセグメントを示すことを特徴とする請求項19に記載の時計
または
宝飾品。
【請求項21】
液晶ディスプレイ・デバイスを製造するための方法であって、
前面基板および背面基板を提供するステップであって、前記前面基板および前記背面基板は、それらの内面に透明な構造化電極を
それぞれ備え、
これら構造化電極の重畳は、2つの光状態の間で切り換えることができる形状ピクセルを画定する、ステップと、
前記2つの基板のうちの一方の前記内面に密閉フレームを配置するステップと、
前記
2つの基板によって範囲が定められた空間を画定するために前記2つの基板
のうちの他方の前記内面に前記密閉フレームを配置して前記空間を密閉するステップと、
前記基板によって範囲が定められた前記空間に液晶組成を充填するステップと、
複数の前記形状ピクセルが形作る画像と相補をなす画像のパターンをもつ装飾パターンを前記構造化電極と整列させるように、前記前面基板または前記背面基板
に前記装飾パターンを直接接触
させる装飾パター
ン適用ステップと
を含む方法。
【請求項22】
前記装飾パター
ン適用
ステップは、
○ 前記装飾パターンをデジタル的に印刷するステップか、
○ また
は感光性樹脂を加えるステップおよび構造化するステップか、
○ また
は薄い金属層および/もしくは誘電体層を物理的または化学的に蒸着させ、かつ、堆積された前記薄い層を構造化するステップか、
○ または前記
ステップの組合せ
のいずれかを含む、請求項21に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイ・デバイス、文字盤およびこのようなディスプレイ・デバ
イスを備える時計のための文字盤アセンブリに関する。また、本発明は、このようなディ
スプレイ・デバイスを備える時計および/または宝石類、ならびにこのような液晶ディス
プレイ・デバイスを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ・デバイスは、1960年代から腕時計製造分野においてよく知られ
ている。当時、液晶ディスプレイ・デバイスは、例えば時刻を示すための数字と共に形成
された様々なセグメントを表示または非表示にするために使用された。
【0003】
現在、液晶ディスプレイ・デバイスによって提供される可能性は十分に発達している。
例えばディスプレイの偏光子の間に、プラスチック・フィルムの上に印刷された装飾を置
くことができる。このディスプレイによって、印刷された装飾の様々な部分を選択的に示
すことができる。透明なプラスチックでできたフィルムは、インク・ジェットによってデ
ジタル的に印刷された装飾を受け取ることができる。画像のインクは、色フィルタを製造
するために不透明または半透明であってもよい。フィルムおよびその印刷は、液晶セルの
背面の光学的に透明な接着膜によって積層される。また、フィルムおよびその印刷を液晶
セルの前面に積層することも可能である。接着膜は、典型的には15μmと100μmの
間の高さを有している。
【0004】
別の可能性は、インク印刷によって、ほとんどの場合シルクスクリーンによって上部偏
光子の前面を装飾することである。インク印刷によって、同じくほとんどの場合シルクス
クリーンによって後部偏光子の背面を装飾することも可能であることは明らかである。
【0005】
他方では、色行列液晶ディスプレイが存在している。前記色行列液晶ディスプレイは、
色フィルタ(赤、緑、青および黒)を使用して、行列(赤、緑または青)のピクセルの色
をフィルタリングし、あるいはピクセル間の領域をマスキングしている(黒で)。前記色
フィルタは、通常、透明な電極の下方の液晶セルの前面基板の内面に置かれる。前記フィ
ルタは、デジタル印刷によって、またはフォトリソグラフィ方法によって構造化される化
学槽である光構造化可能樹脂を加えることによって製造される。電極の下方のセルにフィ
ルタを導入することは、前記複数の色フィルタを製造した後に、透明な電極がその上に堆
積される平坦化層を追加する必要があるという意味において、方法に技術的な複雑性を追
加している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の一態様は液晶ディスプレイ(LCD)デバイスに関しており、ディスプ
レイ・デバイスは、それぞれ前面基板および背面基板と呼ばれる2つの対向する透明な基
板であって、前面基板は観察者側に配置される基板であり、前面基板および背面基板は、
それらの内面に透明な構造化電極を備え、その重畳は、2つの光状態の間で切り換えるこ
とができる形状ピクセルを画定し、電極は、制御回路を介して電圧源に接続され、基板に
よって範囲が定められた空間に受け取るための密閉フレームによって閉ざされたセルを形
成し、密閉フレームは液晶組成である、2つの対向する透明な基板を備える。さらに、デ
バイスは、前面基板および/または背面基板と直接接触する装飾パターンを備える。
【0007】
装飾パターンと基板のうちの一方との間を直接接触させることにより、複数の利点を可
能にすることは認識されよう。すなわちA)装飾および形状ピクセルがより接近している
ため、液晶ディスプレイの切換え可能形状ピクセルに対する装飾パターンのアライメント
がより良好である。一方では、様々な光学フィルムが導電経路の正確な表示を妨害する前
に、腕時計を製造するための方法の間の導電経路に対して、より容易にアライメントを生
成することができる(例えば光学的に)。B)他方では、視差が基板単体の厚さまで低減
される(例えば厚さが50μm乃至300μmの薄い基板が使用される場合、視差は極め
て小さく、結果として生じる光学的欠陥は、裸眼では見ることができない)。C)視差が
小さく、また、アライメントが正確であるため、LCDの形状ピクセルと良好に調和する
高度の細部で細かい画像を生成することができる。したがって漏話が存在せず、また、形
状ピクセルは、観察の角度に無関係に、装飾の所望の領域を厳密にカバーすることができ
、高い品質の動画像が得られる。D)装飾層はLCDの基板と直接接触し、支持膜がない
ため、装飾層は可能な限り反射体に近く、これは、より多くの光を反射させるための極め
て小さい開口を有する高解像度画像を可能にする。大きい入射角で反射した光線は吸収さ
れる可能性がより小さいため、したがって画像の反射率が改善される。
【0008】
透明な構造化電極は、酸化インジウム・スズ(ITO)で構築することができ、または
酸化インジウム亜鉛(IZO)、もしくは電子ディスプレイの製造に広く使用されている
任意の他の透明な電極で構築することができる。
【0009】
一実施形態によれば、液晶セルは、電極の上に配置された1つまたは複数の液晶アライ
メント層を備えることができる。1つまたは複数の液晶アライメント層は、ねじれネマチ
ック液晶モードまたは超ねじれネマチック液晶モードを液晶セル中の液晶に課すことが好
ましい。VA(垂直アライメント)モードまたはECB(電気制御複屈折)モード(ある
いは上記モードの組合せからの誘導である他の変化)などの他のモードを考慮することも
可能である。
【0010】
装飾パターンは、前面基板または背面基板の外部表面に配置することができる。装飾パ
ターンは、背面基板の外部表面に配置されることが好ましい。
【0011】
好ましい実施形態によれば、装飾パターンは構造化電極と整列される。
【0012】
装飾パターンは、電極によって画定される形状ピクセルと相補をなす画像であってもよ
い。
【0013】
装飾パターンは、任意選択でインク・ジェットによってデジタル的に印刷された装飾パ
ターンであってもよく、または構造化インク層を備えることができる。デジタル印刷は、
基板の上にデジタル画像を印刷するための方法を意味している。デジタル印刷方法の例に
は、インク・ジェット印刷およびレーザ印刷がある。インク・ジェット印刷方法では、画
像は、基板の上にインクの滴を射出することによって形成される。インクは、着色剤とし
て顔料および/または染料を含むことができる。インクは感光性であっても、または感光
性でなくてもよい。装飾パターンは、インク・ジェットによってデジタル的に印刷される
ことが好ましい。
【0014】
代替または追加として、装飾パターンは、構造化感光樹脂の1つまたは複数の装飾層、
および/または1つまたは複数の構造化装飾薄層(金属、吸収誘電体(例えばTiAlO
N、WO、TiN、等々)または誘電体ミラー)を含むことができる。
【0015】
装飾パターンを形成する層のセットは、前面基板または背面基板によって直接支持され
る。
【0016】
前面基板および/または背面基板は、50μm乃至1mmの範囲、好ましくは80μm
乃至0.5mmの範囲の厚さを有することができる。
【0017】
一実施形態によれば、前面基板は透過型吸収前面偏光子と関連付けられる。さらに、背
面基板は吸収反射型背面偏光子と関連付けられる。装飾パターンは、背面基板と背面偏光
子の間に配置される。
【0018】
一実施形態によれば、前面基板は透過型吸収前面偏光子と関連付けられる。さらに、背
面基板は吸収反射型背面偏光子と関連付けられる。装飾パターンは、前面基板と前面偏光
子の間に配置される。
【0019】
一実施形態によれば、前面基板は透過型吸収前面偏光子と関連付けられる。さらに、背
面基板は反射体と関連付けられる。装飾パターンは、前面基板と前面偏光子の間に配置さ
れる。
【0020】
液晶組成は二色性着色剤を含むことができる。この場合、背面基板は反射体と関連付け
られる。装飾パターンは、前面基板の外部表面、または背面基板と反射体の間のいずれか
に配置することができる。
【0021】
一実施形態によれば、液晶組成は二色性着色剤を含む。前面基板は透過型吸収偏光子と
関連付けられる。背面基板は反射体と関連付けられる。装飾パターンは、前面偏光子と前
面基板の間、または背面基板と反射体の間のいずれかに配置することができる。
【0022】
一実施形態によれば、液晶組成は二色性着色剤を含む。背面基板は吸収反射型背面偏光
子と関連付けられる。装飾パターンは、背面偏光子と背面基板の間に配置することができ
る。
【0023】
ディスプレイは、反射型、放出型または半透過型であってもよい。半透過型ディスプレ
イは、混成透過型および反射型ディスプレイを意味している。ディスプレイは、バックラ
イトが背面基板の後方に配置されるという意味で透過型である。また、ディスプレイは、
入射周辺光が背面基板の後方の半反射型および半透明反射体によって反射されるという意
味で反射型でもある。半透過型ディスプレイの場合、半反射型および半透明反射体は、周
辺光を反射する特性を合わせ持ち、その一方でバックライトの光の透過を可能にすること
になる。
【0024】
背面偏光子は半透過型偏光子に置き換えることができる。バック照明デバイスは、半透
過型偏光子の後方に配置することができる。
【0025】
背面偏光子は透明な吸収偏光子に置き換えることができる。バック照明デバイスは、半
透過型偏光子の後方に配置することができる。
【0026】
本発明の特定の一実施形態によれば、装飾パターンは、前面基板および背面基板と直接
接触し、装飾パターンは、互いに相補をなす少なくとも2つのパターン部分に生成され、
2つの相補パターン部分の並置が前記装飾パターンを形成している。
【0027】
本発明の第2の態様は、時計および/または宝石類(例えば腕時計)および/または携
帯型電子部品(例えばスマート・スポーツウェア、携帯型測定機器、等々)および/また
は上で説明した液晶ディスプレイ・デバイスなどの液晶ディスプレイ・デバイスを備える
非携帯型電子部品(例えば家庭自動化)に関している。
【0028】
本発明の第3の態様は、液晶ディスプレイ・デバイスを製造するための方法に関してい
る。方法は、
○ 前面基板および背面基板を提供するステップであって、前面基板および背面基板は
、それらの内面に透明な構造化電極を備え、その重畳は、2つの光状態の間で切り換える
ことができる形状ピクセルを画定する、ステップと、
○ 2つの基板のうちの一方の内面に密閉フレームを配置するステップと、
○ 基板によって範囲が定められた空間を画定するために2つの基板をまとめて密閉す
るステップと、
○ 基板によって範囲が定められた空間に液晶組成を充填するステップと、
○ 前面基板または背面基板と直接接触する装飾パターンを適用するステップと
を含む。
【0029】
装飾パターンの適用は、
○ 好ましくはインク・ジェットによって装飾パターンをデジタル的に印刷するステッ
プか、
○ または好ましくはフォトリソグラフィによって感光性樹脂を加えるステップおよび
構造化するステップか、
○ または好ましくはフォトリソグラフィによって、薄い金属層および/もしくは誘電
体層(典型的には10ミクロン未満、好ましくは1ミクロン未満)を物理的または化学的
に蒸着させ、かつ、堆積された薄い層を構造化するステップか、
○ または前記適用方法の組合せ
を含むことができる。
【0030】
前記適用方法の組合せにより、様々な程度の解像度すなわち細かさでより複雑な装飾を
生成するために複数の装飾層を加えることができる。
【0031】
また、別の態様によれば、本発明は、文字盤および液晶ディスプレイ・デバイスを備え
る時計のための文字盤アセンブリに関しており、ディスプレイ・デバイスは、それぞれ前
面基板および背面基板と呼ばれる2つの対向する透明な基板であって、前面基板は観察者
側に配置される基板であり、前面基板および背面基板は、それらの内面に透明な構造化電
極を備え、それらの重畳は、2つの光状態の間で切り換えることができる形状ピクセルを
画定し、電極は、制御回路を介して電圧源に接続され、基板によって範囲が定められた空
間に受け取るための密閉フレームによって閉ざされたセルを形成し、密閉フレームは液晶
組成である、2つの対向する透明な基板と、前面基板および/または背面基板と直接接触
する装飾パターンとを備え、前記文字盤は、ディスプレイ・デバイスの装飾パターンの静
止画像と相補をなす静止画像を支持する。したがって例えば固定された星を有する空を形
成する文字盤を有することが可能であり、また、装飾パターンは、液晶ディスプレイ・デ
バイスによって動的に示されることになる特定の惑星、彗星または他の天体対象(天然ま
たは人工の衛星)を表すことができる。
【0032】
本発明の他の特性および特徴は、例証として、添付の図面を参照して以下で提供される
特定の有利な実施形態についての詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の一実施形態による腕時計の液晶ディスプレイ・デバイスの横断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態による腕時計の液晶ディスプレイ・デバイスのための電極の上面図である。
【
図3】本発明の一実施形態による腕時計の液晶ディスプレイ・デバイスの横断面図である。
【
図4】本発明による文字盤および液晶ディスプレイ・デバイスを備える時計のための文字盤アセンブリの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、本発明の一実施形態による腕時計の反射型液晶ディスプレイ・デバイス10を
示したものである。ディスプレイ・デバイス10は、透過型吸収(光の偏光のための吸収
および直交偏光のための透過型)前面偏光子12、透明な前面基板14、構造化透明前面
電極16、前面アライメント層18、液晶組成20、背面アライメント層22、構造化透
明背面電極24、背面基板26、装飾パターン28、透過型および反射型背面偏光子30
およびブラック・バック32(または別の実施形態によれば着色されている)を備えてい
る。別法としては、背面偏光子30は、反射体と関連付けられた透過型吸収偏光子であっ
てもよい。ディスプレイ・デバイス10は、周囲の入射光34が表示のための光源として
使用されるという意味で反射型である。ディスプレイ・デバイス10の様々な層を上で言
及した順序で通過する周囲の入射光34は、背面偏光子30で反射してユーザの目に戻る
。構造化電極16、24の重畳は、2つの光状態の間で切り換えることができる形状ピク
セルのセットを画定している。電極16、24は制御回路(図示せず)を介して電圧源(
図示せず)に接続されている。電圧を印可する(または印可しない)ことにより、液晶2
0の2つの光状態の間での切換えを生成することができる。
【0035】
前面基板14および背面基板26は、ガラスまたはプラスチックでできていてもよい。
基板14、26は、前面基板と背面基板の間に液晶セル36を生成するために互いに反対
側に配置されている。液晶セル36は、前面電極16、前面アライメント層18、液晶組
成20、背面アライメント層22および背面電極24を備えている。アライメント層18
、22は、電極16、24によって電界が印可されていない場合、ねじれ構成を取るよう
に液晶20を強制する。アライメント層18、22は、例えばポリイミドでできていても
よい。ディスプレイ・デバイス10は、偏光子12、30の配向に従って、「通常ホワイ
ト」モード、すなわち電界が液晶に印可されていない場合、光が反射されるモードで動作
することができ、または「通常ブラック」モード、すなわち電界が液晶に印可されていな
い場合、光が反射されないモードで動作することができる。電極16と24の間に電界が
印可されている場合、もう一方の光状態が得られる。
【0036】
ディスプレイ・デバイス10の液晶20は、構造化電極16、24によって画定される
、第1の形状ピクセルの光状態がその第1の形状ピクセルのすぐ隣の第2の形状ピクセル
の光状態に影響を及ぼさないという意味で独立して切り換えることができる複数のユニッ
ト(形状ピクセルとも呼ばれる)に従って配置される。構造化電極16、24によって引
き渡される電圧によって様々な形状ピクセルが切り換えられる。
図2は、電極16、24
の可能な構造化を示したものである。前面電極16と背面電極24の間の形状ピクセル3
8
iに位置している液晶の状態を選択的に切り換えることができるようにするために、三
日月形の形状ピクセル38
i(
図2では黒で示されている)が画定されている。切換え形
状ピクセル38
iは、装飾層の1つまたは複数の要素をカバーすることができる。前記要
素は、高解像度画像の場合、前記装飾パターンを形成している装飾パターンおよび/また
はピクセルの連続部分であってもよい。形状ピクセルは、一様な方法(例えば行列ディス
プレイの場合)で配置しても、または一様な方法で配置しなくてもよい。形状ピクセルの
形は制限されない。上で示したように、形状ピクセルは、例えば三日月の形を有すること
ができ、または形状ピクセルがディスプレイの頂部から観察される場合、もっと単純に長
方形または正方形の形を有することができる。
【0037】
前面基板14および/または背面基板26は、50μm乃至1mmの範囲、好ましくは
80μm乃至0.5mmの範囲の厚さを有している。第1の実施形態によれば、装飾パタ
ーン28は、背面基板26の外部表面にインク・ジェットによってデジタル的に直接印刷
される。パターンは、吸収領域および透明領域を含むことができ、背面偏光子30に到達
するよう、光を(部分的に)装飾パターンを通過させることができる。
【0038】
装飾層を基板26の上に直接印刷することにより、従来技術によって提案されている解
決法の複数の欠点を克服することは認識されよう。特に、装飾パターンの要素と切換えセ
グメント38iの間のアライメントがより正確である。装飾パターン28は、従来技術の
解決法に対して、構造化電極16、24によって画定される切換えセグメント38iに極
めて接近しているため、アライメントは、通常、5μm以下の精度で生成することができ
る。これは、ディスプレイ・デバイスの観察の角度に無関係に、切換えセグメント38i
が装飾パターンの所望の領域を厳密にカバーすることになる。「厳密に」とは、オフセッ
トが5μm未満であり、したがってユーザの裸眼には見えないことを意味している。完璧
な美学が出現することになる。他方では、アライメントは、他の層が電極、とりわけ電極
の構造の表示を妨害する前に、ディスプレイを製造している間に、切換えセグメント38
iに対して光学的に生成することができる。視差は、基板単体の厚さまで低減されること
に同じく留意されたい。薄い基板(50μm乃至300μm)を使用することにより、結
果として生じる光学的欠陥が裸眼には見えないよう、視差を小さくすることができる。さ
らに、装飾パターン28は基板の下側に直接配置され、また、装飾層と背面偏光子30の
間に支持膜がないため、装飾パターン28が極めて小さい透明開口を備えている場合であ
っても、より多くの光を反射させることができる。したがって大きい入射角で反射した光
線は吸収される可能性がより小さい。したがって装飾パターン28の反射率(延いては可
視度)が従来技術に対して改善される。
【0039】
本発明の第2の実施形態によれば、装飾パターン28は、背面基板26の外部表面に適
用する(第1の実施形態を参照されたい)代わりに、前面基板14の外部表面に適用する
ことも可能である。2つの装飾パターンを備えるディスプレイ・デバイスを得るために第
1の実施形態および第2の実施形態を組み合わせることができることは明らかである。
【0040】
本発明の第3の実施形態によれば、前面基板14の外部表面および/または背面基板2
6の外部表面へフォトリソグラフィによって1つまたは複数の光構造化可能樹脂を堆積さ
せ、かつ、構造化することができる。樹脂は着色することができ、またはブラックであっ
てもよく、また、堆積後に装飾パターン28を形成するように配置することができる。
【0041】
本発明の第4の実施形態によれば、装飾パターン28は、物理的または化学的蒸着によ
って堆積された薄い金属(例えばアルミニウムの層、金の層、銀の層、クロムの層)およ
び/または誘電体(例えば着色されたオキシ窒化物の層)層であってもよい。装飾パター
ン28は、とりわけフォトリソグラフィ-エッチングによって構造化することができる。
マスクを介した堆積による単一のステップで堆積および構造化を生成することも同じく可
能である。
【0042】
前面基板の外部表面および/または上で示したようにして生成された装飾パターンを備
える背面基板の外部表面に装飾パターン28を生成するために、上で説明した装飾パター
ン28を組み合わせることができることに留意されたい。
【0043】
他の実施形態によれば、偏光子および装飾パターンの他の配置を企図することができる
。例えば前面基板は透過型吸収前面偏光子と関連付けることができ、また、背面基板は反
射体と関連付けることができる。装飾パターンは、前面基板と前面偏光子の間に配置され
る。
【0044】
液晶組成は二色性着色剤を含むことができる。この場合、様々な配置を同じく企図する
ことができる。第1の例によれば、背面基板は反射体と関連付けられる。この場合、装飾
パターンは、前面基板の外部表面、または背面基板と反射体の間のいずれかに配置するこ
とができる。第2の例によれば、前面基板は透過型吸収偏光子と関連付けられ、また、背
面基板は反射体と関連付けられる。この場合、装飾パターンは、前面偏光子と前面基板の
間、または背面基板と反射体の間のいずれかに配置することができる。第3の例によれば
、背面基板は吸収反射型背面偏光子と関連付けられる。この場合、装飾パターンは、背面
偏光子と背面基板の間に配置することができる。
【0045】
本発明の一実施形態によれば、ディスプレイ・デバイス10は半透過型であってもよい
。この場合、ディスプレイ・デバイス10は、半透明ブラック・バック32の後方に配置
されたバックライト40を備える(
図3を参照されたい)。別の実施形態では、半透明ブ
ラック・バック32は吸収/透明偏光子と置き換えることができる。半透過型ディスプレ
イ・デバイスの別の実施形態では、背面偏光子30は、反射型/透過型偏光子と置き換え
ることができ、その反射機能は部分的に有効であり、また、ブラック・バック32は、吸
収/透過型偏光子または半吸収バックと置き換えられることになる。別の実施形態では、
背面偏光子30およびブラック・バック32アセンブリは半透過型偏光子と置き換えられ
ることになる。バックライトは光42を放出し、また、1つまたは複数の無機エレクトロ
ルミネセンス・ダイオードおよび/または複数の有機エレクトロルミネセンス・ダイオー
ドを備えることができる。
【0046】
本発明の一実施形態によれば、ディスプレイ・デバイス10は透過型であってもよい。
この場合、ディスプレイ・デバイス10は、ディスプレイ・デバイスの後方に配置された
バックライト40を備え、背面偏光子30が吸収/透過型偏光子であり、また、ブラック
・バックはもはや存在しないことを特徴とする。
【0047】
腕時計の製造または宝石類の製造におけるこのようなディスプレイ・デバイスのアプリ
ケーションの例は、月の高解像度装飾パターンと液晶セルの組合せによる月相の生成にあ
り、液晶セルの電極のセグメントは、多数の三日月(
図2を参照されたい)を形成するよ
うに配置され、月の装飾パターンと整列されると、月の相の進展を表示することができる
。液晶ディスプレイ・デバイスは、地球の影によって現在隠されている月の部分を隠すた
めに使用される。電極が、時刻、日付、日、気象情報、気圧情報、高度情報などの追加情
報を表示するための、または装飾を動画化、もしくは月の周りの星空のきらめく星などの
面白い要素を動画化するための他のセグメントを備えることも同じく可能である。本発明
は、スポーツウェア・タイプの製品に対する興味を同じく有していることに留意されたい
。
【0048】
本発明の一変形態様によれば、日食または月食を使用して同じことをすることを同じく
想定することができ、パターンは天体の画像であり、ディスプレイ・デバイスは、透明な
構造化電極によって画定される複数の切換え可能形状ピクセルを備え、前記食を表すため
に前記天体の動画像を表すことができる形状セグメントを示す。当然、彗星、天然または
人工の衛星などの他の天体対象を同様の方法でディスプレイ上に動的に示すことができる
。
【0049】
デバイスが後方で半透過体と組み合わされる場合、関連するバック照明デバイスは、表
されるパターンの対象の色の現実性とより良好に一致させるために、とりわけ部分食また
は皆既食の間、モジュール化することができる色を放出することができることに留意され
たい。
【0050】
図4には、
図1乃至
図3に関連して説明したものと同じタイプの文字盤46および液晶
ディスプレイ・デバイス48を備える時計(図示せず)のための文字盤アセンブリ44が
示されている。ディスプレイ・デバイス48は、文字盤46の中に提供されている窓50
を通して見ることができる。図に示されている例では、文字盤46は、固定された星52
を有する空を形成している固定画像を備えており、また、ディスプレイの装飾パターンは
、
図2に関連して既に説明したように複数の形状ピクセル38iの形態の月を表しており
、前記パターンは、月の相の進展を動的に示すことができる。別法としては、装飾パター
ンは、形状ピクセルのセットの形態で、液晶ディスプレイ・デバイスによって動的に示さ
れることになる特定の惑星、彗星または他の天体対象(天然または人工の衛星)を表すこ
とができる。
【0051】
以上、特定の実施形態について詳細に説明したが、当業者は、本発明の本開示によって
提供される総合的な情報に鑑みて、特定の実施形態に対する様々な変更および代替を開発
することができることを認識するであろう。したがって本明細書において説明されている
配置および/または特定の方法には、例証として与えられたものにすぎないことが意図さ
れており、添付の特許請求の範囲によって決定される本発明の範囲を限定することは意図
されていない。
【符号の説明】
【0052】
10 反射型液晶ディスプレイ・デバイス
12 透過型吸収前面偏光子
14 透明な前面基板
16 構造化透明前面電極
18 前面アライメント層
20 液晶組成
22 背面アライメント層
24 構造化透明背面電極
26 背面基板
28 装飾パターン
30 透過型および反射型背面偏光子
32 ブラック・バック
34 周囲の入射光
36 液晶セル
38i 形状ピクセル
40 バックライト
42 光
44 文字盤アセンブリ
46 文字盤
48 液晶ディスプレイ・デバイス
50 窓
52 星