(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-18
(45)【発行日】2023-08-28
(54)【発明の名称】バッテリ筐体のための構造用複合体
(51)【国際特許分類】
H01M 50/242 20210101AFI20230821BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20230821BHJP
H01M 50/227 20210101ALI20230821BHJP
H01M 50/229 20210101ALI20230821BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20230821BHJP
H01M 50/271 20210101ALI20230821BHJP
H01M 50/278 20210101ALI20230821BHJP
H01M 50/28 20210101ALI20230821BHJP
H01M 50/289 20210101ALI20230821BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20230821BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20230821BHJP
H01M 10/6554 20140101ALI20230821BHJP
【FI】
H01M50/242
H01M50/204 401H
H01M50/227
H01M50/229
H01M50/249
H01M50/271 B
H01M50/278
H01M50/28
H01M50/289
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6554
(21)【出願番号】P 2022510967
(86)(22)【出願日】2020-07-07
(86)【国際出願番号】 US2020040982
(87)【国際公開番号】W WO2021034420
(87)【国際公開日】2021-02-25
【審査請求日】2022-02-17
(32)【優先日】2019-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522063723
【氏名又は名称】ブリヂストン アメリカズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブランドレー、マーク ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】フライベルガー、マルクス
(72)【発明者】
【氏名】カストロ、イニゴ イー.
(72)【発明者】
【氏名】デーン-ニーフ、サンドラ
(72)【発明者】
【氏名】ハルスバンド、アダム
【審査官】福井 晃三
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/202813(WO,A2)
【文献】特開2012-094476(JP,A)
【文献】特開2013-201112(JP,A)
【文献】特開2014-186970(JP,A)
【文献】特開2015-170452(JP,A)
【文献】特開2019-110003(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
H01M 10/52-10/667
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合バッテリ筐体であって、
a.成形された頂部複合カバーであって、
i.第1のポリマーに埋め込まれた繊維を含む
一体構造パネルであって、第1の表面及び第2の表面を備える、
一体構造パネルと、
ii.前記
一体構造パネルと接続された少なくとも1つの横方向の梁であって、第1の繊維層と接合された第1のコアを備える、少なくとも1つの横方向の梁と、を備える、成形された頂部複合カバーと、
b.成形された底部複合カバーであって、
i.第1の表面を備える第2のコアであって、前記第2のコアの前記第1の表面の一部分が、第2のポリマーに埋め込まれた第2の繊維層に接合されている、第2のコアと、
ii.少なくとも1つの外側クロス部材及び少なくとも1つの内側クロス部材と、を備える、成形された底部複合カバーと、を備え、
前記成形された頂部複合カバーが、前記成形された底部複合カバーに取り付けられ
、前記一体構造パネルが、前記少なくとも1つの外側クロス部材の上側表面と前記少なくとも1つの内側クロス部材の上側表面とに接触して固設されている、複合バッテリ筐体。
【請求項2】
前記成形された頂部複合カバーが、一対の横方向の梁を備え、前記一対の横方向の梁が、前記
一体構造パネルによって分離され、各横方向の梁が、前記第1の繊維層と接合された前記第1のコアを備える、請求項1に記載の複合バッテリ筐体。
【請求項3】
バッテリが、前記少なくとも1つの外側クロス部材と前記少なくとも1つの内側クロス部材との間に位置付けられており、前記バッテリが、前記成形された底部複合カバーに固設されている、請求項1に記載の複合バッテリ筐体。
【請求項4】
冷却デバイスが、前記バッテリと接触しており、前記冷却デバイスが、前記冷却デバイスを収容するための前記成形された底部複合カバーの凹部内の前記バッテリの下方に位置付けられている、請求項3に記載の複合バッテリ筐体。
【請求項5】
前記少なくとも1つの外側クロス部材及び前記少なくとも1つの内側クロス部材が、同じ高さであ
る、請求項1に記載の複合バッテリ筐体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バッテリ筐体として使用するためのモジュール式構造用複合体に関し、特に、電気自動車又は機器用のバッテリ筐体として使用するための補強された構造用複合体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今、電気バッテリによって給電される車両が、ユーザの間で人気を集めている。これらの車両により、ユーザが自宅又は充電ステーションでバッテリを充電することができるので、ガソリンを購入するコストを回避することができる。長距離移動に必要な電力を供給するために、これらの車両は大きい容量のバッテリを必要とする。しかしながら、これらの大きい容量のバッテリは、衝突時にバッテリが損傷した場合、乗員及び救急隊員の危険を増加させることになる。衝突時に発生する力からバッテリを保護するか、又は代替的にバッテリに著しい損傷を与えないように、バッテリに伝達されるあらゆる力を十分に低くしなければならない。
【0003】
本開示は、これまでに既知であるバッテリ筐体と比較して、強度が高く、軽量なバッテリ筐体を提供する。筐体は、車両に過大な重量を加えないように軽量である。車両に過大な重量が加わると、車両の性能に悪影響を与える可能性がある。筐体はまた、衝突時の大きい損傷からバッテリを保護するために強力である。
【発明の概要】
【0004】
第1の態様では、第1及び第2の表面を有し、第1のポリマーに埋め込まれた繊維で作製されたモノリシックパネルと、モノリシックパネルに接続された横方向の梁であって、第1の繊維層と接合された第1のコアで作製された横方向の梁と、を備える、成形された頂部複合カバーと、第1の表面を有する第2のコアと、第2のポリマーに埋め込まれた第2の繊維層に接合された第2のコアの第1の表面の一部分と、少なくとも1つの外側クロス部材及び少なくとも1つの内側クロス部材を備える成形された底部複合カバーと、を含み、成形された頂部複合カバーが、成形された底部複合カバーに取り付けられている、複合バッテリ筐体が開示されている。
【0005】
態様1の例では、成形された頂部複合カバーは、一対の横方向の梁を有し、一対の横方向の梁は、モノリシックパネルによって分離され、各横方向の梁は、第1の繊維層と接合された第1のコアを有する。
【0006】
態様1の別の例では、成形された頂部複合カバーのモノリシックパネルは、第1のコアの一部分を有する。
【0007】
態様1の別の例では、少なくとも1つの横方向の梁の第1のコアは、ハニカム材料である。
【0008】
態様1の別の例では、バッテリは、少なくとも1つの外側クロス部材と少なくとも1つの内側クロス部材との間に位置付けられており、バッテリは、成形された底部複合カバーに固設されている。
【0009】
態様1の別の例では、冷却デバイスは、バッテリと接触している。
【0010】
態様1の別の例では、冷却デバイスは、バッテリの下に位置付けられ、冷却デバイスは、成形された底部複合カバーと接触している。
【0011】
態様1の別の例では、成形された底部複合カバーは、冷却デバイスを収容するための少なくとも1つの凹部を含む。
【0012】
態様1の別の例では、成形された底部複合カバーは、一対の外側クロス部材と、一対の外側クロス部材の間に位置付けられた2つ以上の内側クロス部材と、を含む。
【0013】
態様1の別の例では、少なくとも1つの外側クロス部材及び少なくとも1つの内側クロス部材は、同じ高さであり、成形された頂部複合カバーのモノリシックパネルに固設されている。
【0014】
態様1の別の例では、少なくとも1つの外側クロス部材及び少なくとも1つの内側クロス部材は、ハニカム材料を含む。
【0015】
態様1の別の例では、補強板は、少なくとも1つの内側クロス部材に隣接して位置付けられている。
【0016】
態様1の別の例では、補強板は、金属であり、成形された底部複合カバーにバッテリを固設するための取り付け固定具を収容するための開口部を有する。
【0017】
態様1の別の例では、封止部は、成形された頂部複合カバーと成形された底部複合カバーとの間に位置付けられ、成形された頂部複合カバーは、チャネルを含み、封止部が、チャネル内に配設されている。
【0018】
態様1の別の例では、成形された底部複合カバーの第2の繊維層の一部分は、第2のコアに隣接し、第2の繊維層は、一対の外側クロス部材間に位置し、成形された頂部複合カバーの少なくとも1つの横方向の梁と接触している。
【0019】
態様2においては、モノリシック繊維パネルを有する成形された頂部複合カバーであって、第1の頂部繊維層及び第1の底部繊維層を有し、第1の頂部繊維層及び第1の底部繊維層は、第1のポリマーに埋め込まれた繊維で作製されている、モノリシック繊維パネルと、第1のコア材料を含む一対の横方向の梁であって、第1のコア材料は、第1の頂部繊維層と第1の底部繊維層との間に挟まれている、一対の横方向の梁と、を有する、成形された頂部複合カバーと、成形された底部複合カバーであって、第2のコアであって、第2の頂部繊維層と第2の底部繊維層との間に挟まれており、第2の頂部繊維層及び第2の底部繊維層は、第2のポリマーに埋め込まれた繊維で作製されている、第2のコアと、バッテリ保持領域を画定するための一対の外側クロス部材及び複数の内側クロス部材と、を含む、成形された底部複合カバーと、を含み、成形された上側複合カバーは成形された底部複合カバーに取り付けられている、複合バッテリ筐体が存在する。
【0020】
態様2の例では、バッテリ保持領域は、冷却デバイスを収容するための凹部を含む。
【0021】
態様2の別の例では、複数の内側クロス部材は、第3のコア材料を含み、第3のコア材料は、第2のコアと接触している。
【0022】
態様2の別の例では、複数の内側クロス部材は、頂面を含み、複数の内側クロス部材の頂面は、成形された頂部複合カバーのモノリシック繊維パネルと接触している。
【0023】
態様2の別の例では、封止部は、成形された頂部複合カバーと成形された底部複合カバーとの間に位置付けられ、封止部は、一対の外側クロス部材及び複数の内側クロス部材によって画定されるバッテリ保持領域の外側にある。
【0024】
上記態様のうちのいずれか1つ(又はこれらの態様の例)は、単独で、又は上で考察される態様の例のうちの任意の1つ以上と組み合わせて提供され得、例えば、第1の態様は、単独で、又は上で考察される第1の態様の例のうちのいずれか1つ以上の例と組み合わせて提供され得、第2の態様は、単独で、又は上で考察される第2の態様の例のうちのいずれか1つ以上との例と組み合わせて提供され得る、などである。
【0025】
更なる特色及び利点は、以下の「発明を実施するための形態」に記載され、ある程度において、当業者はこの記載から容易に明らかであるか、又は、以下の「発明を実施するための形態」、「特許請求の範囲」及び「添付の図面」を含む、本明細書に記載の実施形態を実施することにより認識するであろう。
【0026】
前述の一般的な説明及び以下の「発明を実施するための形態」はいずれも単なる例示であり、「特許請求の範囲」の性質及び特徴を理解するための概要又はフレームワークを提供することを意図していることを理解されたい。添付の図面は、更なる理解を得るために含まれているものであり、本明細書の一部に組み込まれると共に本明細書の一部を構成するものである。図面は、1つ以上の実施形態を示し、本記載と共に様々な実施形態の原理及び操作を説明するのに役立つ。本明細書で使用される方向用語、例えば、上、下、右左、前側、後側、頂、底、などは描かれているような図面を参照してのみ使用され、絶対的な配向を示唆することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
添付図面を参照しつつ、以下の詳細な記載を読むと、本開示の態様又は例の上記及び他の特徴、例及び有益性がよりよく理解される:
【0028】
【
図1】成形された上側複合カバーと、バッテリ保持領域を備えた成形された底部複合カバーと、を含む、2分割に分解されたバッテリ筐体の斜視図を示す。
【0029】
【
図2】成形された上側複合カバーが成形された底部複合カバーに固設され、成形された底部複合カバーの保持領域に固設されたバッテリが見えるように、成形された上側複合カバーが部分的に取り外されている、
図1の2分割されたバッテリ筐体の斜視図を示す。
【0030】
【
図3】
図1の2分割されたバッテリ筐体の断面図を示す。
【0031】
【
図4】外側クロス部材及び複数の内側クロス部材を有するバッテリ筐体構造体の成形された底部複合カバーの斜視図を示す。
【0032】
【
図5】外側クロス部材及び複数の内側クロス部材を有するバッテリ筐体構造体の成形された底部複合カバーの断面図を示す。
【0033】
【
図6】内側クロス部材と、内側クロス部材の両端に沿って配設されたモノリシック繊維セクションと、を有する、バッテリ筐体構造体の成形された底部複合カバーの断面図を示す。
【0034】
【
図7】成形された底部複合カバーの内側クロス部材の側部の断面図を示し、この側部は補強板を含む。
【0035】
【
図8】内側クロス部材と外側クロス部材との間のバッテリ保持領域内に位置付けられたバッテリ及び冷却デバイスを有する成形された底部複合カバーの断面図を示す。バッテリは、冷却デバイスを収容する凹部に隣接する端部で成形された底部複合カバーに固設されている。
【0036】
【
図9】繊維層を通ってカバーのコア材料に延在する取り付け固定具でカバーに固設されたバッテリを有する成形された底部複合カバーの角部の断面図を示す。
【0037】
【
図10】内側クロス部材と外側クロス部材との間の凹部に位置付けられた冷却デバイスを有する成形された底部複合カバーの斜視図を示す。成形された底部複合カバーは、複合体バッテリ筐体内での動作のために、バッテリ又は冷却デバイスと関連付けられた他の機器を搭載するためのチャネルを更に含む。
【0038】
【
図11】封止材料によって、成形された底部複合カバーの頂面と共に封止された成形された頂部複合カバーの底面の断面図を示す。
【0039】
【
図12】成形された頂部複合カバーで封止するための内側クロス部材の隆起セクション上にOリング封止部を有する成形された底部複合カバーの斜視図を示す。成形された底部複合カバーの外周部分はまた、成形された頂部複合カバーと接触するための封止材料を含む。
【0040】
【
図13】成形された頂部複合カバーの各側面の内縁に沿って位置付けられたコア材料の2つの横方向の梁を備えるモノリシック繊維パネルセクションを有する成形された頂部複合カバーの底面側を示す。モノリシック繊維パネルは、成形された頂部複合カバーを成形された底部複合カバーの一部分に固設するためのタップ開口部を含む。
【0041】
【
図14】両端にコア材料の2つの横方向の梁を有する中央モノリシック繊維パネルセクションを有する成形された頂部複合カバーの断面図を示す。
【0042】
【
図15】厚さが増加した挟持型複合体のコア材料を有する横方向の梁セクションと接続された中央挟持型複合体を有する成形された頂部複合カバーの部分断面図を示す。
【0043】
【
図16】端部にモノリシック繊維セクションを備えるコア材料を有する横方向の梁に移行するモノリシック繊維パネルを備える成形された頂部複合カバーの部分断面図を示す。
【0044】
【
図17】成形された頂部複合カバーのモノリシック繊維パネルの一部分に固設された隆起セクションを有する成形された底部複合カバーの内側クロス部材の部分断面図を示す。
【0045】
【
図18】成形された底部複合カバーの縁部を成形された頂部複合カバーの縁部に固設し、成形された底部複合カバーの基部セクション上に冷却デバイスを載置した状態を示す部分断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本明細書に記載される用語は、実施形態を説明するためだけのものであり、全体として本発明を限定すると解釈すべきではない。
【0047】
本明細書では、5~25(又は5~25)などの範囲が与えられた場合、この範囲は、好ましくは、少なくとも5又は5より大きいことを意味し、これとは別個に、独立して、好ましくは、25未満又は25以下であることを意味する。一例では、このような範囲は、独立して、5以上、これとは別個にかつ独立して、25以下を規定する。
【0048】
本明細書で使用される「実質的な(substantial)」、「実質的に(substantially)」という用語、及びそれらの変形形態は、記載された特徴が値又は説明と等しいか等しいことに言及することが意図されている。例えば、「実質的に平面状の」表面は、平面状であるかほぼ平面状である表面を意味することが意図されている。更に、「実質的に」及び「約」という用語は、本明細書では、任意の定量的な比較、値、測定、又は他の表現に起因し得る固有の不確実性の程度を表すために利用され得ることに留意されたい。これらの用語はまた、本明細書において、問題の対象物の基本的機能の変化をもたらすことなく、記述された基準から定量的表現が変化し得る程度を表すためにも利用される。
【0049】
本開示は、様々な用途において使用することができる複合バッテリ筐体に関する。例えば、複合バッテリ筐体を使用して、機械機器及び自動車用途(例えば、乗用車、自動車、トラック、バス、トラクタ、全地形車両)用のバッテリシステム及び関連付属品を収容することができる。いくつかの実施形態では、複合バッテリ筐体は、電気自動車及びハイブリッド車のためのバッテリシステムを収容することができる。複合バッテリ筐体は、モジュール式であり、互いに接続され又は取り付けられて完全な筐体又はボックスを形成する複数の部品を含むことができる。
【0050】
複合バッテリ筐体は、一般的に、構造体の曲げ及びねじりに耐えられるように増加された全体的な剛性を有し、比較的軽量にすることができる。1つ以上の実施形態では、複合バッテリ筐体は、衝突に対する強度及び完全性を提供するためのエネルギー吸収構成要素、例えば、繊維とポリマーシートとの間に挟まれた圧潰可能な熱可塑性コアを有することができる。複合構造体は、機械的衝撃及び石片及び飛来物からの衝撃に耐えることができる。エネルギー吸収体の構成要素は、好ましくは、エネルギーを吸収し、それが筐体内のバッテリシステム又は他の構造体の構成要素(例えば、冷却デバイス、配線)に送られないように偏向するだけの十分な強度を持つことが望ましい。複合バッテリ筐体はまた、ノイズ、振動、又はそれらの組み合わせを効果的に減衰させ、望ましい熱伝導率及び電磁適合性特性を提供する1つ以上の構成要素を有することができる。複合バッテリ筐体は、耐火特性を有することができ、例えば、耐火シールド又はコーティング(例えば、耐火性を有するセラミック、テキスタイル)を筐体の外面に塗布することができ、又は、頂部又は底部複合カバーの外面を形成する外側繊維層に使用することができる。複合バッテリ筐体の他の利点としては、好ましくは低又は中程度の圧力及び熱を使用する従来の成形方法によって、望ましい形状に容易に成形することができ、構造体を製造するための時間及びコストを有利に低減することができる。
【0051】
個々の複合構造体は、例えば、接着剤又はエポキシ、締結具(例えば、ねじ、ボルト、クリップ)、又は溶接などの従来の方法で互いに取り付けることができる。形成された複合構造体は、互いに取り付けられるか、又は結合されて、モジュール式複合バッテリ筐体を形成することができる。任意の好適な接着剤、例えば、エポキシを使用することができる。接着剤は、複合カバーの外面、例えば外周フランジセクションなどの繊維層の露出する表面に塗布される。複合カバーは、使用中のモジュール式複合構造体の構造的完全性を確保するために、互いに恒久的に取り付けられていることが好ましい。接着剤の代わりに、ねじ、スナップ嵌め、リベット、クランプ、ボルト、又はクリップなどの他の締結具又は取り付け固定具を使用することができる。ローカルインサート又はオンサートは、剛性を提供するために取り付け位置に提供することができる。
【0052】
成形された底部及び頂部複合カバーなどの個々の複合構造体は、同じ又は同様の材料で作製することができる同様の構成要素を有することができる。例えば、複合カバーは、コア構造体又は材料に少なくとも部分的に接着された繊維含有層を有することができ、これは任意選択的に、補強領域又はその上の区域を選択することができる。様々な個々の複合カバーの繊維層及び繊維補強区域は、材料及び製造コストを低減するために同じ又は同様の材料で作製することができる。同様に、例えば、繊維層の繊維をリサイクル材料で代用できる場合は、そのような材料を使用して、製造コストを更に低減し、持続可能性を促進することができる。
【0053】
1つ以上の実施形態は、個別及びモジュール式複合バッテリ筐体を作製及び製造するための方法を更に含む。例えば、コア材料(例えば、第1の表面)の表面又は複数の表面に繊維層を位置付けられ又は適用し、ブランクを形成することができる。第2の繊維層は、コア材料の第2の表面上に位置付けることができる。取り付けデバイスは、任意選択的に、繊維層の下方又は上に、例えば、繊維層内の切り取られた領域に位置付けられ得る。硬化性材料(例えば、樹脂)を、繊維層及び補強繊維層上に噴霧、注入、散布、圧延、ブラッシング、又はカレンダ処理して、硬化性材料に繊維をコーティングして埋め込み、プリフォーム複合体を形成することができる。加熱された条件下で、プリフォーム複合体を(例えば、圧縮金型又はプレス金型又は同様の器具設備などで)成形して、複合バッテリ筐体の最終形状を形成することができる。
【0054】
温度及び圧力などの成形条件は、必要に応じて調整することができるが、複合バッテリ筐体の製造にかかる時間やコストを低減するために、低~中程度であることが好ましい。例えば、筐体は、成形中に、約100℃~約200℃、約110℃~約190℃、約120℃~約180℃、又は約130℃~約160℃の範囲の温度まで加熱することができる。別の例では、筐体は、成形中に、約0.1メガパスカル(MPa)~約1MPa、約0.15~約0.8MPa、又は約0.2~約0.6MPaの範囲内の圧力を受けることができる。
【0055】
成形プロセスは、複合バッテリ筐体の中に、厚さの異なる領域を形成することができ、コア材料の厚さを選択的に低減させて、例えば、曲げ部分又は凹部に、窪み、チャネル、又は溝を形成する。コア材料としてハニカムを含む実施形態では、ハニカムコアのセクションは、厚さが低減されるところ(例えば、角部、縁部、移行領域、凹部、チャネルなど)で圧潰又は部分的に圧潰することができる。1つ以上の実施形態では、コア材料として熱可塑性材料(例えば、ポリカーボネート)を利用することが望ましい。例えば、熱可塑性コア材料は、加熱された金型条件下で溶融され得、材料の完全性を変化させることなく、様々な厚さが実現され得る。
【0056】
1つ以上の実施形態では、複合バッテリ筐体(例えば、成形カバーを共に結合したもの)を成形後にトリミングして研磨し、望ましくない表面の不完全さ、例えば、別のバッテリ筐体複合ピースに連結する前に構造体に残されたバリ又は盛り上がった縁部又は材料の一部分を除去することができる。バリ又は不完全な部分は、手動又は機械的に除去することができ、例えば、複合カバーの表面を機械的に研削又は研磨することができる。必要に応じて、トリミング工程に続いて、複合カバーを洗浄して、表面から破片又はいかなる余分な材料も除去することができる。洗浄は、従来の方法で実行することができ、例えば、加圧ガス又は空気を複合カバー上に吹き付けて、表面に付着している粉塵又は粒子などの破片を除去することができる。複合カバーをブラッシングしたり拭き取りしたりして、不要な材料を除去することもできる。別の実施例では、カバーを洗浄溶液と接触させ、カバーの表面から残留物(例えば、離型剤)を溶解することができる。例えば、洗浄剤(例えば、界面活性剤)を含む水溶液を使用することができる。洗浄溶液は、噴霧、浸漬、又はブラッシングなどの任意の好適な方法によって、複合カバーの表面に塗布され得る。
【0057】
トリミング及び洗浄の工程においては、必要に応じて、下流プロセスのため複合バッテリ筐体の下準備も行う。いくつかの実施形態では、複合バッテリ筐体は、オーバーコーティング又は保護コーティング(耐火、耐煙、及び耐毒性の材料であるFST材料(a fire,smoke and toxicity material、FST)、耐火性材料、又は樹脂)などのその表面に塗布される追加のコーティングを有することができる。他の実施形態では、複合バッテリ筐体は、その最終用途、例えば、電気又はハイブリッド車両への据え付けのために塗装することができる。
【0058】
一実施形態では、製造方法は、一連のロボットワークセル又は製造ステーションで実行することができる。第1のワークセルでは、ブランク又はビスケットは、2つのフェイスシート(繊維層)間にコア材料(例えば、ハニカム又は熱可塑性材料)を挟むことによって形成され、任意選択的に、熱硬化性樹脂の初期層がフェイスシートに塗布される。フェイスシートは、繊維を含み得るか、又はガラス繊維材料であり得る。任意選択的な第2のワークセルにおいて、補強材料(例えば、補強板)又は取り付けデバイス/一体型締結具(例えば、インサート、オンサート、リベット、カップリング)は、フェイスシート上の1つ以上の選択領域、例えば、湿潤面シート上に塗布され得る。補強材料はまた、一方向性ガラス、アラミド、炭素繊維、又はそれらの組み合わせを含み得る。第3のワークセルでは、熱硬化性樹脂を補強材部分に塗布するか、代替的にフェイスシート全体に塗布して、補強材及び/又はフェイスシートを樹脂材料に埋め込む。補強されたプリフォーム複合体は、鋼又はアルミニウム工具を使用して、低圧加熱プレスで成形される。第4のワークセルでは、必要に応じて複合バッテリ筐体又は部品(カバー)を最終形状にトリミングし、別の複合カバーへの取り付けを容易にするために縁領域に1つ以上の締結具を適用して、モジュール式複合バッテリ筐体を形成する。
【0059】
複合バッテリ筐体及び関連する構成要素の組み立ては、底部複合カバーを位置付けし、次いで冷却デバイス又はシステムを挿入することによって実行することができる。バッテリセルを冷却システムの上に搭載することができ、続いてすべての電気ケーブルを接続することができる。頂部複合カバーを底部カバーの上に配置する前に、底部複合カバー上に外周封止部を位置付ける。取り付け固定具(例えば、ねじ)は、組み立てられた複合バッテリ筐体を電気自動車などの所望の用途に搭載する前に、頂部及び底部複合体カバーを一緒に固設するために使用される。
【0060】
図を参照すると、
図1及び
図2は、成形された頂部複合カバー10と、成形された底部複合カバー20と、を含む、2分割された複合バッテリ筐体40を示し、これらはバッテリ筐体領域を提供するために互いに取り付けられ得る。図示されているように、成形された底部複合カバー20は、複数の並列のバッテリ30を含むバッテリシステムを収容するように設計することができる。筐体40は、筐体40が車両の他の部分又は部品、例えばフレーム構造体に固設されるような車両の構成要素であり得る。頂部及び底部複合カバー10、20は、2つの繊維層の間に配設されたコアセクションを有する。コアセクションは、図示されているように、その全長に沿ってカバーの中央領域に延在することができ、又は衝撃保護を提供するために、例えば、周縁部に沿って、選択区域に位置付けることができる。
【0061】
1つ以上の実施形態では、個々の複合カバーのコアは、セル壁によって画定された複数の開放セル又はガス充填セルであり得る。セルは、任意の好適な断面形状(例えば、円形、六角形、正方形など)を有することができる。例えば、コアは、多数の個々の開放セルを横に並べて含み、セル壁が複合構造体又は隣接する繊維層の長手方向の軸に垂直になるように複合構造体に配設されたハニカム構造体とすることができる。代替的に、セル壁は、他の角度、例えば、複合構造体の長手方向軸に対して平行又は角度をつけて配設することができる。セル壁は、プラスチック、例えば、熱可塑性材料又は熱硬化性材料で作製することができる。一例では、ポリプロピレン又はポリカーボネートをコア及び/又はセル壁の材料として使用することができる。複数のセルは、所望の形状を形成するために成形することができ、任意選択的に、セルの一部分を圧力、及び任意選択的に熱の下で変形させて、コア材料の初期厚さを低減することができる。
【0062】
1つ以上の実施形態では、コアは、非セル材料であり得、任意の好適な熱可塑性材料で構成される。熱可塑性材料の例としては、ポリプロピレン及びポリカーボネートが挙げられるが、これらに限定されない。熱可塑性コアは、セルのような開口部のない固体構造体とすることができる。熱可塑性コア材料は、適度な熱及び圧力下で成形されて材料を軟化させ、様々な厚さを有する所望の形状にそれを形成することができる。一例では、熱可塑性材料は、構造体の所望の形状を形成するための成形プロセスにおいて、そのガラス転移温度を上回って加熱される。熱可塑性材料は、例えば、金型内で加熱されて、約100℃~約200℃、約110℃~約190℃、約120℃~約180℃、又は約130℃~約160℃の範囲の温度を有することができる。コアの所望の構造形状を形成した後、熱可塑性材料を室温まで冷却することができる。1つ以上の実施形態では、コアの平均厚さは、約5~約250ミリメートル(mm)、約5~約100mm、又は約10~約50mmの範囲であり得る。
【0063】
コアは、複合カバーのための所望の形状を実現するために容易に成形可能であることが好ましい。1つ以上の実施形態では、コアは、その長さに沿って異なる厚さ及び角度の区域を有することができる。
図3に示されているように、成形された頂部複合カバー10は、実質的に均一な厚さを有し、縁部11の内面の実質的に全長に沿って延在する横方向の梁12の形状をした一対のコアを有する。横方向の梁12は、成形された頂部複合カバーに(例えば、接着剤を用いて)取り付けられた別個の構成要素であり得る。横方向の梁12は、本明細書で同様に記載されるように、2つの繊維層の間に挟まれたコア材料を含むことができる。代替的に、長方形の形状である梁のコア材料セクションは、製造時に繊維層の間に成形された頂部複合カバー10の反対側の縁部に沿って配設して、横方向の梁12を形成することができる。横方向の梁12は、約1mm~約10mmの範囲の厚さを有する中央モノリシックパネル区域13と、約1mm~約8mmの範囲の厚さを有し得るモノリシックエンドキャップ又はフランジ14(
図1)との間の平滑な移行部を形成するために、各端部近傍に部分的に圧潰されたコア材料セクションを有することができる。横方向の梁12は、パネル13の底面から下方に延在する方向に、測定では約40mm~約100mmの範囲の厚さを有することができる。
【0064】
成形された頂部複合カバー10は、中央モノリシックパネル13から下方に延在して、延長された平坦な中間セクションを備えるU字形状を形成する2つの対向する縁部11を含む。成形された頂部複合カバー10は、成形された底部複合カバー20を覆って、それに対して嵌合する。カバー10の中央モノリシックパネル13は、薄いプロファイルを有し、筐体40内のバッテリシステムを覆う頂部カバー区域を提供する。一例では、モノリシックパネル13は、ポリマー材料に埋め込まれた1つ以上の繊維層として形成される。パネル13の長さに沿って延びる両方の縁部11の間に位置付けられたモノリシックパネル13は、全体的な厚さを低減するためにコア材料を含まなくてもよい。別の例では、モノリシックパネル13は、繊維層の間に挟まれたコア材料を含むことができ、このため、コア材料が完全に又は実質的に圧縮又は圧潰されて、パネル13全体にわたって低減された厚さを提供する。
【0065】
成形された頂部複合カバー10は、縁部11の端部がカバー20のモノリシック繊維セクション又はフランジ23上に載置し、頂部複合カバー10のモノリシックエンドキャップ又はフランジ14が一対の外側クロス部材21の上側表面、及び任意選択的に内側クロス部材22の上側表面に載置するように、成形された底部複合カバー20に嵌合する。モノリシック繊維セクション又はフランジ23及びモノリシックエンドキャップ又はフランジ14は、頂部及び底部複合カバー10、20を一緒に取り付けるための剛性及び硬性を増加させるための繊維補強セクション又はパッチを更に含むことができる。カバー10、20の接触セクションでは、締結具、接着剤、又は取り付けデバイスを使用して、カバー10、20を一緒に固設して、複合バッテリ筐体40を形成することができる。一例では、カバー10、20は、接着剤、テープ、機械的締結具(例えば、リベット)などの従来の方法によって互いに取り付けることができる。
【0066】
成形された底部複合カバー20は、カバー10と同様の幅及び長さ寸法を有する。成形された底部複合カバー20は、その間に挟まれたコア材料を有する頂部及び底部繊維層で形成されている。底部複合カバー20の厚さは、コア材料を含むカバー20内の様々な構成要素及び区域にわたって約10~約40mmの範囲であり得る。底部カバー20は、基部セクションから上方に延在する外側クロス部材21によって2つの対抗する両端部に隣接している。基部セクションは、外側及び内側クロス部材21、22の下のカバー20の部分を含み、約8mm~約20mmの範囲の厚さを有することができる。他方の2つの端部では、カバー20は、周縁部として平坦なモノリシック繊維セクション又はフランジ23を有する。モノリシック繊維セクション又はフランジ23は、コア材料を含まない場合、約1mm~約5mmの範囲の厚さを有することができる。2つの外側クロス部材21間に配設されたカバー20は、例えば、外側クロス部材21の高さと同じかほぼ同じくらいの高さで、基部セクションから上方に延在する複数の内側クロス部材22を含む。約10mm~約40mmの範囲の厚さを有する外側及び内側クロス部材21、22は、底部複合カバー20に曲げ剛性及び構造的完全性を提供する。内側クロス部材22は、成形された底部複合カバー内にバッテリシステム又はアレイを位置付けするためのバッテリ保持領域を画定する。外側及び内側のクロス部材21、22は、コア材料の中央領域を含む。基部セクションのコア材料は、部材21、22内の同じコア材料であり得る。代替的に、部材21、22は、基部セクションのコア材料上に配設された追加のコア材から形成することができ、例えば、追加のコア材は、基部セクションと同じ材料であってもよく、又は異なる材料であってもよい。
【0067】
内側クロス部材22は、単一のコア材料を成形するか、又は上述したように追加のコア材料を提供して、上に重ねる繊維層及び樹脂を塗布する前に、底部複合カバーの残りの部分と一緒に形成することができる。代替的に、内側クロス部材22を別々に形成し、底部複合カバー20の外面に適用又は組み立てることができる。個々の内側クロス部材22は、底部複合カバー20に使用される材料と同様又は同じであるポリマー材料に埋め込まれた繊維層に包まれたコア材料を含むことができる。個々の内側クロス部材22は、底部複合カバー20上の選択的位置に接着されて、バッテリ保持領域を区画することができる。内側クロス部材22を個別に形成することにより、形状、設計、材料選択、及び製造工程に関する異なる可能性が可能になる。
【0068】
コア材料は、エネルギー吸収能力及び絶縁能力を提供する特性を有することができる。例えば、コアは、衝撃時に変形し、通常の動作において機械的完全性(例えば、剛性)を保持する低密度の圧潰可能なコアであり得る。ハニカムコアの開放セル及びセル壁は、セル壁が崩壊して壊れる際に衝撃エネルギーを吸収することができる。エネルギーを吸収することができる他の材料としては、エラストマー、熱可塑性材料、発泡体(例えば、開放セル、粘弾性など)、紙(例えば、厚紙)、又は成形樹脂を挙げることができる。これらの材料は、複数のセルと組み合わせることができ、例えば、セル又はその一部(例えば、衝撃又は絶縁が望まれる選択区域)を発泡体又はエラストマーで充填又は部分的に充填することができる。他の実施形態では、コア材料は、鋼などの他の従来の材料と比較して、導電率を低減することができる。1つ以上の実施形態では、本開示の複合構造体のコア材料は、複合構造体の電磁適合性又は挙動を提供するための導電性繊維(例えば、導電性)を含むことができる。例えば、導電性補強材(例えば、金属インレイ)又は導電性ワイヤは、挟持型複合体内に層化され得るか、又は頂部及び底部複合カバー10、20の繊維層内に織り込まれ得る。別の例では、アルミニウム箔又は金属(例えば、銅)ベールなどの外側遮蔽層などの遮蔽箔をバッテリ筐体40に適用することができる。
【0069】
図1及び
図2に示されているように、カバー10、20は、繊維層の間に挟まれ、かつ繊維層と直接接触しているコア材料を含むことができる。繊維層は、実質的に均一な厚さを有する層を形成するために、ポリマー材料に埋め込まれた連続繊維及び/又は不連続繊維を含有し得る。繊維は一緒に配設されて、コア材料上に位置付けられ得るシート又はマットを形成することができる。
【0070】
繊維は、ランダムなパターンで、又はより体系的な設計で絡み合うことができ、例えば、繊維は、繊物繊維シートの形態で一緒に織られ得る。他の例では、繊維は、一緒に緩く束ねられるか、又はマット状に押し固めて繊維シートを形成することができる。全繊維シートを使用して、コア材料表面(例えば、頂面)を覆うことができる。代替的に、繊維のストリップ又はセクションは、コア材料表面を覆うためにセグメント化された配置で並んで適用され得る。繊維層に使用することができる繊維の例としては、炭素繊維、ガラス繊維、プラスチック繊維などが挙げられる。一例では、安価なガラス繊維シートを、コア材料の第1の表面に適用することができる。
【0071】
繊維は、コア材料の表面に適用して、コア材料の表面全体又はその一部分を覆うことができる。1つ以上の実施形態では、繊維は、コア材料の表面を越えて延在して、コア材料を含まないモノリシック繊維セクション(例えば、フランジ)を形成することができる。そのようなセクションは、コア材料の対向する表面又はその一部分に適用される第2の繊維と組み合わせることができる。
【0072】
コア材料上に繊維を配設した後、ポリマー形成材料又は樹脂を繊維上に塗布することができる。ポリマー形成材料は、コア材料上に配設された繊維に浸透して浸漬することができる。本明細書に記載されているように、ポリマー形成材料は、成形工程中に繊維を埋め込むために繊維層に押し込みかつ強制的に押し込むことができ、例えば、プレス金型又は圧縮金型は、ポリマー樹脂を繊維に押し込んで、繊維をコーティングし、繊維層の空隙を充填し、コア材料に接触させることができる。繊維を埋め込み、かつコア材料に接触して、繊維を相互にかつコアに接着する、ポリマー層を形成するように、十分な量のポリマー形成材料を繊維に塗布することができる。1つ以上の実施形態では、ポリマーは、硬化性ポリマー樹脂又は組成物から形成され得る。組成物は、成分の混合物、例えば、熱硬化性材料、熱可塑性材料、硬化剤、触媒、充填剤、及びそれらの任意の組み合わせを含み得る。材料は、エポキシ、ポリウレタン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレン、又はそれらの組み合わせを含み得る。組成物は、好ましくは、1~20分の範囲、又は15分、10分、若しくは5分未満の低硬化期間を有する。一旦硬化したポリマー形成材料は、繊維層をコア材料に接合して、複合構造体としてラミネートを形成することができる。繊維層は、好ましくは、使用中のコアからの繊維層の層間剥離又は分離を防止するために、コアに接合又は接着する。
【0073】
繊維補強区域は、存在する場合、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維など、又はそれらの組み合わせで作製され得る。繊維は、任意の好適な長さを有することができ、一方向性の繊維の束で供給することができる。繊維の長さは、互いに実質的に等しくてもよく、又は長さが補強区域全体にわたってランダムになるように変化してもよい。繊維の長さは、増加された剛性を付与して、複合体の領域を選択するように、好ましくは50mm超である。補強繊維は、例えば、一方向性/整列された又は織物(例えば、バスケット織り)のパターンで、様々な方式で配設置され得る。一方向性繊維の複数の層を使用することができ、例えば、一方向性繊維の各層は、下地である繊維補強層に対して平行、角度付き、又は垂直な位置に配設することができる。代替的に、繊維は、不連続(例えば、異なる長さの繊維)であり、ランダム又は不均一なパターンとして発現され得る。
【0074】
繊維層又はコア材料に適用されるように、硬化性材料は、存在する場合、繊維補強区域又は区域上に適用され得る。硬化性材料は、繊維層の繊維を埋め込むために使用されるのと同じ硬化性材料であり得る。例えば材料は、例を挙げると、熱硬化性材料、熱可塑性材料、硬化剤、触媒、充填剤、及びそれらの任意の組み合わせを含み得る。硬化性材料としては、エポキシ、ポリウレタン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレン、又はそれらの組み合わせを含み得る。硬化性材料(例えば、樹脂)を、繊維補強区域上に噴霧、注入、散布、圧延、ブラッシング、又はカレンダ処理して、硬化性材料に繊維を埋め込み、プリフォーム複合体を形成することができる。加熱された条件下で、プリフォーム複合体を(例えば、圧縮)金型で成形して、複合構造体の最終形状を形成することができる。
【0075】
複合バッテリ筐体の中に、又はその上に、取り付けデバイス、締結具又は構成要素を成形して、他の構造体、例えば、車両のフレーム又はボディ、マルチピース複合バッテリ筐体の場合であれば隣接する複合カバーなどに取り付け又は固定することができる。1つ以上の取り付けデバイス、締結具、又はそれらの構成要素は、複合カバー及び任意の望ましい場所、例えば、端部区域の近く若しくは端部区域で、又はクロス部材の近くで成形することができる。インサートとして、1つ以上の取り付けデバイス又は構成要素をコア材料と繊維層又はスキンとの間に位置付け、複合構造体と一緒に成形して、複合材を別の構造体(別の複合カバー、バッテリ、又は冷却デバイス)に固設するための取り付け領域を提供することができる。一例として、コアの表面に繊維及び樹脂を塗布する前に、締結構成要素をコア材料上に位置付けて、複合構造体のインサートとして締結構成要素を配設することができる。オンサートとして、取り付け具、締結具、又はそれらの構成要素を、コア材料を覆う繊維層又は繊維補強区域の表面に位置付けて、取り付けデバイス又は構成要素が複合構造体の外面に形成されるようにすることができる。インサート又はオンサート取り付け構成要素の使用は、複合材カバーを他のパーツに固設するための接着剤の必要性を低減することができる。
【0076】
図3は、底部複合カバー20に固設された頂部複合カバー10の側面図を示す。バッテリ30及び冷却デバイス32(例えば、可撓性冷却システム又は冷却プレート)は、底部複合カバー20上に位置付けられる。バッテリ30は、互いに間隔を空けて配置されており、頂部複合カバーを覆っているモノリシック繊維パネル13からも間隔を空けて配置されている。バッテリ30及び冷却デバイス32は、衝撃エネルギーを吸収するための圧潰可能なコア材料を含む頂部複合カバーの横方向の梁12によって、異物からの衝撃から保護される。横方向の梁12のコア材料は、頂部複合カバー10の縁部11に位置付けられ、各コアは、横方向の梁12の各端部に結合する繊維層によって挟まれている。一方の端部では、繊維層が結合して、カバー10の中央領域にモノリシック繊維パネル13を形成し、他方の端部では、繊維層が結合して、カバー10の2つの端部の周縁部を構成する平坦なモノリシック繊維セクションを形成する。平坦なモノリシック繊維セクション(例えば、フランジ)は、2つのカバー10、20を一緒に接合するために、底部複合カバー20の周縁部で対向するモノリシック繊維セクションに対して載置する。繊維層のポリマー材料及び繊維は同じであり得、例えばカバー10、20のモノリシック繊維端部を形成するために、コア材料の端部で層を一緒に結合するのが好ましい。
【0077】
図4は、カバー20の2つの端部を形成する2つの外側クロス部材21を有する底部複合カバー20を示している。すなわち、外側クロス部材21は、カバー20の2つの端部の全長を形成する。頂部複合カバー10に取り付けるために、外側クロス部材21の頂面は、トップカバー10の各端部でモノリシックエンドキャップ14に接触する。外側クロス部材21は、バッテリ保持領域24から上方に延在し、それに隣接する2つの繊維層の間に挟まれたコア材料によって形成される。外側クロス部材21の頂面において、平坦なモノリシック繊維セクションは、バッテリ保持領域24から外側に離れて延在し、コア材料の頂部縁を囲むリップを形成することができる。外側クロス部材21の底部では、コア材料の厚さを低減して、複数のバッテリ保持領域24を含む基部セクションを形成することができる。バッテリ保持領域24の対向する端部、例えば外側クロス部材21に隣接して、モノリシック繊維セクション23は、コア材料を包むために一緒に結合する繊維層によって形成される。モノリシック繊維セクション23に隣接して、バッテリ保持領域24の残りの2つの端部は、外側クロス部材21及び内側クロス部材22又は2つの内側クロス部材22との組み合わせによって形成される。
【0078】
底部複合カバー20の内側クロス部材22は、隣接するバッテリ保持領域24に延在する頂部繊維層によって覆われたコア材料によって形成される。内側クロス部材22のコア材料は、
図5に示されているように、下地である基部セクションのコア材料26の上に位置付けられたカバー20又は追加のコア材料27の基部セクションのコア材料であり得る。図示されているように、内側クロス部材22は、基部セクション及びバッテリ保持領域24の上に延在して、バッテリ保持領域24の1つの壁を形成し、他の画定する壁は、外側クロス部材21又は内側クロス部材22と、頂部複合カバー10の縁部11又は横方向の梁12と、によって形成される。バッテリ保持領域24は、基部セクションの窪み部分又は沈み込み部分であり得、クロス部材21、22とモノリシック繊維セクション23との間に位置付けられ得る。バッテリ保持領域24は、低減された厚さを有し、これは、成形プロセス中にコア材料を部分的に圧潰することによって実現することができる。
【0079】
底部複合カバー20は、1つ以上の内側クロス部材22、例えば、2、3、4、5、又は6つの内側クロス部材22を含むことができる。内側クロス部材22は、一対の外側クロス部材21と同じ頂面高さを有するように上方に延在することができる。例えば、内側クロス部材22は、外側クロス部材21の頂面の同一平面上にピーク高さ領域を有して、頂部複合カバー10を底部複合カバー20に固設するための取り付け領域を提供することができる。
図5に示されているように、内側クロス部材22の頂面は、外側クロス部材21の頂面と同じである。
図4及び
図6は、内側クロス部材22が、外側クロス部材21の頂面と同じ高さであり得るピーク頂面25を有する複数の隆起セクションを含むことができることを示す。内側クロス部材22の隆起セクションは、頂部複合カバー10のモノリシックパネル13に接触する取り付け面を提供することができる。
【0080】
内側クロス部材22の底部セクションの各側面に隣接し、またバッテリ保持領域24に隣接して、補強板を使用して、カバーへのバッテリユニット接続のための取り付け支持体を提供することができる。補強板は、約1mm~約5mmの範囲の厚さを有することができる。
図7に示されているように、補強板50は、内側クロス部材22の基部に隣接する繊維層28と基部セクションコア材料26との間に位置付けることができる。補強板50は、任意の好適な材料、例えば、金属、プラスチック、又は補強繊維セクションで作製することができる。補強板50は、構成要素を底部複合カバー20に固設するための取り付け固定具(例えば、ねじ、ボルト、ロッド)を受け入れるための開口部を含むことができる。例えば、補強板50を使用して、バッテリ30又は冷却デバイス32をバッテリ保持領域24内に固設するための取り付け場所を提供することができる。例示的な補強板50は、バッテリユニットを取り付けるためのねじ又はボルトを受け入れるためのリベットナットを含むことができる。補強板50内、該当する場合には、その上を覆い、かつ下地になる材料(例えば、繊維層、コア材料)に、取り付け固定具を受け入れるための開口部が、パイロット穴を開けることによって作製され得る。複数の補強板50は、複数の構成要素を底部複合カバー20に固設することができるように、部材の長さに沿って内側クロス部材22の各底部側に位置付けることができる。例えば、2、3、4、5、又は6つの補強板50を、内側クロス部材22の各底縁部に沿って配設することができる。複数の補強板50は、好ましくは、互いに(例えば、等距離で)間隔を空けて配置されている。
【0081】
図8は、内側クロス部材22及び外側クロス部材21の底部に隣接して位置付けられた補強板52に固設された取り付け固定具を使用することによって、底部複合カバー20に固設されたバッテリ30を示す。補強板52は、バッテリ筐体40内のバッテリ位置の安定性を確保するために、取り付け固定具用の剛性の硬性板領域を提供する。補強板52は、下地のコア材料内に延在することができ、例えば、バッテリ30を底部複合カバー20に固設するために使用されるボルト又はねじのためのハウジングであり得る。図示されているように、底部複合カバー20は、上方に隆起する周囲で厚さが低減された盆地状のバッテリ保持領域24を含み、それはクロス部材21、22及び2つのモノリシック繊維セクション23によって囲まれている(
図10)。冷却デバイス32は、バッテリ保持領域24内のバッテリ30の直下に配設されている。バッテリ30を底部複合カバー20に、例えば補強板52で固設することで、冷却デバイス32は、バッテリ30の底面とバッテリ保持領域24の底部(すなわち、繊維層の頂面)に押し付けられる。冷却デバイス32は、バッテリ表面及び複合バッテリ筐体40内で一定の動作温度を確保するように機能する。1つ以上の冷却デバイス32は、必要に応じて、バッテリ保持領域24内に配設され得る。冷却デバイス32の代替的な位置付けは、バッテリ30の頂部に位置することを含み得る。バッテリ30から発生する上昇熱は、バッテリ30の頂部に固着された冷却デバイス32で効果的に吸収される。
【0082】
図9は、バッテリ30の底面の下に固設され、それと接触している
図8の冷却デバイス32を示す。バッテリ30は、外側クロス部材21(
図8)の底縁部で基部セクションコア材料26内に延在するハウジングを提供する補強板52に嵌合する取り付け固定具によって、底部複合カバー20に固設される。補強板52は、補強板52がバッテリ30と直接接触するように、繊維層28内にオンサートとして位置付けられる。冷却デバイス32は、冷却デバイス32を通過して、クロス部材21、22の各底部領域に隣接する補強板52を収容する搭載セクション上に延在するバッテリ30の下方に載置する。
図10は、底部複合カバー20のバッテリ保持領域24内に直列に配設された複数の冷却デバイス32を示す。
【0083】
一連の冷却デバイス32の1つ以上の端部では、冷却デバイス32に冷却流体を循環させるための入口及び出口を提供するために、冷却導管を底部複合カバー20に位置付けすることができる。冷却導管を位置付けるために、チャネル又は溝を底部複合カバー20に成形することができる。例えば、バッテリ保持領域24の底部と、カバー20の周縁部におけるモノリシック繊維セクション又はフランジ23との間の隆起セクションは、1つ以上の冷却導管を収容するためのチャネルを含むことができる。クロス部材(例えば、内側クロス部材22)は、バッテリ保持領域24内のある冷却デバイス32から第2のバッテリ保持領域24内の別の冷却デバイス32まで進む冷却導管(例えば、
図12に示すような冷却導管56)を搭載するための1つ以上のチャネルを有するように成形することができる。クロス部材(例えば、内側クロス部材22)バッテリ30に接続するための電気導管又はケーブルの位置付けのために、エンボス加工又は成形することもできる。一例では、クロス部材は、クロス部材を通して導管を通すための貫通路のための通路を含むことができる。バッテリ30に接続された複数の冷却導管及び電気導管並びに筐体40に収容された冷却デバイス32を収容するために、開口部が、底部複合カバー20内に形成され得る。開口部は、筐体40の内部にバッテリ30及び冷却デバイス32を収容する内部空洞に、筐体40の外部の環境条件へのいかなる曝露も低減するために、好ましくは封止される。従来の封止部を所望に応じて使用することができ、カバー10,20は、必要に応じて封止部を収容するように成形することができ、例えば、冷却及び/又は電気導管のためにカバーの外側の開口部にチャネル又はリップを成形することができる。
【0084】
頂部及び底部複合カバー10、20もまた、取り付け固定具によって一緒に固設されることに加えて、好ましくは封止される。
図11は、底部複合カバーの外側クロス部材21の頂面と頂部複合カバー10のモノリシックパネル13の底面との間に位置付けられた封止部54を示す。例えばエラストマー封止部である封止部54は、例えばモノリシック繊維セクション(例えば23、14、11a、21)によって形成されるフランジ領域で、頂部及び底部複合カバー10、20が合流する場所の周縁部の周りに延在するリングの形態であり得る。頂部及び底部複合カバー10、20の表面の間に位置付けられると、封止部54は、カバー10、20の間で圧搾又は圧縮されて、例えば、湿度、ダスト、破片、温度変動などの外部環境条件からバッテリ保持領域24を封止することができる。好ましくは、封止部54は、動作中の動きを低減又は排除するためにカバー10、20の間に十分な圧力に曝される。1つ以上の実施形態では、チャネルは、頂部複合カバー10の表面、底部複合カバー20、又はそれらの組み合わせの表面に成形されて、複合バッテリ筐体40の動作中に移動しないように、又は変位しないように封止部54の一部分を収容することができる。封止部54は、圧縮されるか又は平坦である封止部、例えば、頂部と底部複合カバー10、20との間の取り付け点を収容するための一体型の穴を有する平坦な封止部であり得る。封止部内の一体型の穴を使用して、カバーの接続点と位置合わせをしたときに封止部の適切な位置を確保することができる。
【0085】
図12は、外側クロス部材21の頂面に配設された外周封止部58と、底部複合カバー20のモノリシック繊維セクション23とを示す。外周封止部58は、複合バッテリ筐体40内に位置付けられたバッテリ保持領域24及び据え付け済みのバッテリ30及び冷却デバイス32を取り囲む。更に図示されているように、内側クロス部材22は、頂部複合カバー10のモノリシックパネル13の底面に接触するための封止部22aを含むピーク頂面を有する複数の隆起セクションを有する。封止部22aは、任意の所望の形状、例えばOリングであり得る。内側クロス部材22の隆起セクションは、頂部複合カバー10を底部カバー20に固設するために使用され得る取り付け固定具を収容するための補強材又は搭載板を含むことができる。
図17は、内側クロス部材22の頂面と、頂部複合カバー10のモノリシック繊維パネル13の底面との間の取り付け領域を示す。モノリシック繊維パネル13は、内側クロス部材22の繊維層の開口部に取り付けインサート53と位置合わせされた開口部を有する。取り付け固定具は、パネル13の開口部を通して取り付けインサート53内に挿入されて、2つのカバー10、20を一緒に固設することができる。
【0086】
図13は、カバー10を底部複合カバー20に取り付けるための複数の開口部13aを有するモノリシックパネル13を備えた上部複合カバー10の底面図を示す。図示されているように、底部複合カバー20の内側クロス部材22上の取り付け領域と並進して位置合わせするように配設された開口部13aの複数のアレイが提供される。例えば、開口部13aのアレイは、内側クロス部材22の頂面に沿った開口部(例えば、内側クロス部材22上の隆起セクションのピーク頂面領域)と整列することができる。カバー10のモノリシックエンドキャップ14は、底部カバー20の外側クロス部材21に取り付けるための開口部13aを含むことができる。カバー10内の開口部13aは、例えば、ドリリング又は穴あけ操作によって開口部を形成する前に、開口部で繊維補強インサート又はパッチを用いて局所的に補強することができる。
【0087】
図14~
図16は、頂部複合カバー10の複数の実施形態を示す。
図14及び
図16の頂部複合カバー10は、ポリマー材料と一緒に接合された2つの繊維層からなるモノリシック繊維パネル13を有する。繊維層は、各縁部11で分離して、パネル13の縁部から下方に延在する横方向の梁12を形成するコア材料16を収容する。カバー10の外縁は、横方向の梁12のコア材料16を内包し、かつポリマー材料と一緒に接合される繊維層から構成される繊維モノリシックセクション又はフランジ11aを含む。
【0088】
代替的に、
図15に示されているように、コア材料16は、頂部複合カバー10のセクション全体を通って延び、各端部で共に接合されている繊維層で冠される。コア材料16は、部分的に圧潰されて、横方向の梁12に対する厚さを低減して、モノリシック繊維パネルではなく複合パネルとしてパネル13のプロファイルを低減する。好ましくは、横方向の梁12のコア材料16は、パネル13のコアを形成するのと同じ材料である。パネル13におけるコア材料16を使用することで、モノリシック繊維パネルと比較して増加した曲げ剛性を提供するが、コア材16を有するパネル13のプロファイルがモノリシック繊維パネルよりも大きいため、複合バッテリ筐体40の空洞空間が低減される。
【0089】
図14~
図16の頂部複合カバー10は、パネル13の底面から下方に延在し、複合バッテリ筐体40のバッテリ保持領域24内に延在する長手方向又はクロス型梁17の組み込みを更に含むことができる。梁17は、底部複合カバー20の内側クロス部材22と同様に形成することができる。コア材料16は、組み立て中にモノリシック繊維パネルの繊維層間に挿入され、梁を形成するために所望の形状で所定の場所に成形することができる。代替的に、梁17は、カバー10とは別に形成され、その後、所望の場所でパネル13の底面に取り付けられ得る。梁17を使用すると、パネル13の曲げ剛性が増加し、圧潰可能なコア材を使用することで局所的な耐衝撃性が得られる可能性がある。梁17がパネル13全体に厚みを加えるので、その結果、複合バッテリ筐体40のバッテリ保持領域24内の利用可能な空間が低減する。
【0090】
図18は、底部複合カバー20のモノリシック繊維セクション又はフランジ23に固設された頂部複合カバー10の縁部11の繊維モノリシックセクション又はフランジ11aを示す。任意の望ましい取り付け固定具を使用して、2つのセクションを一緒に固設することができる。例えば、セクション11a、23には、カバー10、20の縁部を一緒に固設するためのねじ、ボルト、又はリベットのための開口部を提供する取り付けインサート又はオンサートを設けることができる。別の例では、ブッシングを使用して、繊維レイアップのクランプを防止することができる。更に別の例では、構造的支持体を提供するために、モノリシック繊維セクション又はフランジ11a、23の頂側及び底側に補強板を使用することができる。
【0091】
1つ以上の実施形態では、取り付け点は、繊維フランジ領域から離れ、頂部複合カバー10の横方向の梁12の下に位置することができる。取り付け固定具は、カバー10、20のモノリシック繊維セクション又はフランジ11a、23を通して、横方向の梁12のコア材料16に挿入することができる。インサートは、取り付け固定具を収容するために、横方向の梁12の底面に使用することができる。接続点を横方向の梁12の下まで内側に位置付けることで、複合バッテリ筐体の剛性を増加させることができる。
【0092】
組成物及び方法の様々な態様並びに実施形態を本明細書に開示してきたが、他の態様及び実施形態が、当業者には明らかであろう。本明細書で開示されている様々な態様及び実施形態は、例示目的であり、特許請求の範囲により示されている真の範囲及び趣旨を限定することを意図していない。