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特許7334351超伝導体の可撓性相互接続のための支持構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-18
(45)【発行日】2023-08-28
(54)【発明の名称】超伝導体の可撓性相互接続のための支持構造
(51)【国際特許分類】
   H10N 60/81 20230101AFI20230821BHJP
【FI】
H10N60/81 ZAA
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022528055
(86)(22)【出願日】2020-10-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-27
(86)【国際出願番号】 US2020054257
(87)【国際公開番号】W WO2021118676
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-05-13
(31)【優先権主張番号】16/709,608
(32)【優先日】2019-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520128820
【氏名又は名称】ノースロップ グラマン システムズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャンセン、マーティン ブロクナー
(72)【発明者】
【氏名】ファースター、キャサリン クレイマー
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ダイク、ジョナサン フランシス
【審査官】石塚 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-508253(JP,A)
【文献】特開平2-98979(JP,A)
【文献】特開昭58-30174(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0027800(US,A1)
【文献】特開2007-294922(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10N 60/81
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超伝導システムの可撓性相互接続のための支持構造であって、
熱伝導性材料で形成された支持部材を備え、前記支持部材は、
複数の並列スロットと、各スロットは、前記支持部材の基部の第1の表面から前記基部の第2の表面まで延在し、前記基部の前記第1および第2の表面は、平行な平面上に位置しており、各スロットは、個々のコネクタアセンブリを前記支持部材に固定することを可能にする締結具の相対的な移動を可能にし、個々の前記コネクタアセンブリは、超伝導システムの可撓性相互接続に機械的支持を提供し、かつ、前記可撓性相互接続と前記支持部材との間に熱経路を確立し、
前記基部の前記第1の表面に対して横断方向に延在する壁と、を含み、前記壁は、複数の貫通孔を含む、支持構造。
【請求項2】
前記壁が第1の壁であり、前記支持部材は、
複数のボスと、各ボスは、前記支持部材の前記第1の表面に垂直に延在しており、
前記基部に対して横断方向に延在する第2の壁と、をさらに含み、前記第1の壁と前記第2の壁が前記支持部材の角部で交わっている、請求項1に記載の支持構造。
【請求項3】
前記第1の壁は、前記複数の貫通孔のうちの2つの間に配置された切欠部を含む、請求項2に記載の支持構造。
【請求項4】
前記支持部材は、1つの貫通孔をさらに含み、前記貫通孔は、前記複数の並列スロットの各々から離間されており、前記貫通孔は、丸い角部を有する正方形である、請求項1に記載の支持構造。
【請求項5】
各コネクタアセンブリは、熱伝導性材料で形成されたコネクタ支持ロッドを含み、前記コネクタ支持ロッドは、
前記支持部材の前記基部の前記第1の表面に沿って延在する第1の部分と、前記第1の部分は、前記コネクタ支持ロッドを前記支持部材の前記複数の並列スロットの個々のスロットに固定する締結具を受容するように形成された複数の貫通孔を含んでおり、ここで、前記コネクタ支持ロッドは、前記支持部材と熱的に連通しており、
前記コネクタ支持ロッドの前記第1の部分に対して横断方向に延在する第2の部分と、
前記コネクタ支持ロッドの前記第2の部分に平行に延在する第3の部分と、を含み、前記第3の部分は、熱伝導性材料で形成されたコネクタを前記コネクタ支持ロッドに固定するための複数の貫通孔を含み、ここで、前記コネクタは、前記支持部材と熱的に連通している、請求項1に記載の支持構造。
【請求項6】
前記コネクタが
第1のプレートであって、
前記コネクタ支持ロッドの前記第3の部分に前記第1のプレートを固定するための締結具用の第1の複数の貫通孔と、
第2の複数の貫通孔と、を含む前記第1のプレートと、
第2のプレートと、を含み、前記第2のプレートは、前記第2のプレートを前記コネクタの前記第1のプレートに固定するための締結具用の複数の貫通孔を含む、請求項5に記載の支持構造。
【請求項7】
前記超伝導システムの前記可撓性相互接続は、前記コネクタの前記第1のプレートと前記第2のプレートとの間にクランプされ、前記可撓性相互接続は、前記超伝導システムの第1のマルチチップモジュール(MCM)および第2のMCMに結合され、前記可撓性相互接続は、前記支持部材と熱的に連通している、請求項6に記載の支持構造。
【請求項8】
前記可撓性相互接続は、極低温環境で動作する超伝導材料から形成され、前記可撓性相互接続は、前記可撓性相互接続からの熱が熱経路を介して前記支持部材に放散されるように、前記コネクタよりも高い温度で動作する、請求項7に記載の支持構造。
【請求項9】
前記コネクタは、
第1のプレートであって、第1の複数の貫通孔と、当該第1のプレートを前記コネクタ支持ロッドの前記第3の部分に固定するための締結具用の第2の複数の貫通孔とを含む、前記第1のプレートと、
第2のプレートであって、当該第2のプレートを前記コネクタの前記第1のプレートに固定する締結具用の第1の複数の貫通孔を含む、前記第2のプレートと、
第3のプレートであって、第1の複数の貫通孔と、当該第3のプレートを前記コネクタ支持ロッドの前記第3の部分に固定するための締結具用の第2の複数の貫通孔とを含む、前記第3のプレートと、
第4のプレートであって、当該第4のプレートを前記コネクタの前記第3のプレートに固定する締結具用の複数の貫通孔を含む、前記第4のプレートと、を含む、請求項5に記載の支持構造。
【請求項10】
前記超伝導システムの前記可撓性相互接続は、
前記コネクタの前記第1のプレートと前記第2のプレートとの間にクランプされる第1の可撓性相互接続と、
前記コネクタの前記第3のプレートと前記第4のプレートとの間にクランプされる第2の可撓性相互接続と、を含み、前記第1の可撓性相互接続は、第1のマルチチップモジュール(MCM)および第2のMCMに結合され、前記第2の可撓性相互接続は、前記第1のMCMおよび第3のMCMに結合される、請求項9に記載の支持構造。
【請求項11】
延長アームをさらに備え、前記延長アームが
前記支持部材の前記壁に平行な方向に延在する基部と、
前記延長アームの前記基部に対して横断方向に、かつ前記支持部材の前記基部に平行に延在する支柱と、を含む、請求項10に記載の支持構造。
【請求項12】
前記延長アームの前記支柱が複数の貫通孔を含み、前記支持構造が
前記支柱に固定される複数の並列位置合わせコネクタを含み、各並列位置合わせコネクタは、超伝導MCM用のヒートスプレッダをそれぞれが提供する一対のブレードに接続するための複数のピンを含む、請求項11に記載の支持構造。
【請求項13】
所与の位置合わせコネクタに結合された所与の一対のブレードの第1のブレードは、第1の極低温で動作するように構成され、前記所与の一対のブレードの第2のブレードは、第2の極低温で動作するように構成され、前記第2の極低温は、前記第1の極低温よりも高い、請求項12に記載の支持構造。
【請求項14】
前記支持部材は、複数のボビン孔をさらに含み、前記複数のボビン孔の各々は、貫通孔を含む、請求項1に記載の支持構造。
【請求項15】
システムであって、
第1の超伝導システムであって、
複数のブレードと、
複数の超伝導回路と、を含み、各超伝導回路が前記第1の超伝導システムの個々のブレード上に搭載され、前記第1の超伝導システムにおける前記複数の超伝導回路の各々が低温超伝導材料を含む、前記第1の超伝導システムと、
第2の超伝導システムであって、
複数のブレードと、
複数の超伝導回路、とを含み、前記第2の超伝導システムにおける各超伝導回路が前記第2の超伝導システムの個々のブレード上に搭載され、前記第2の超伝導システムにおける前記複数の超伝導回路の各々が高温超伝導材料を含む、前記第2の超伝導システムと、
支持構造であって、
熱伝導性材料で形成された支持部材であって、
複数の並列スロットと、各スロットは、前記支持部材の基部の第1の表面から前記基部の第2の表面まで延在し、前記第1および第2の表面は、平行な平面上に位置しており、
前記基部の前記第1の表面に対して横断方向に延在する壁と、を含み、前記壁は、前記壁の第1の表面から前記壁の第2の表面まで延在する複数の貫通孔を含んでいる、前記支持部材と、
複数のコネクタアセンブリであって、
個々のスロットを介して前記支持構造の前記基部に固定されるコネクタ支持ロッドと、
個々のコネクタ支持ロッドに固定されるコネクタと、を含み、前記コネクタは、前記第1の超伝導システムの個々のブレード上に搭載された少なくとも2つの超伝導回路間の可撓性相互接続に対する機械的支持を提供する、前記複数のコネクタアセンブリと、を含む前記支持構造と、
延長アームであって、
前記支持部材の前記壁の表面に平行な方向に延在する基部と、
前記基部に対して横断方向に延在する支柱と、
前記延長アームの前記支柱に固定される複数の位置合わせコネクタと、を含み、各位置合わせコネクタは、前記第1の超伝導システムの所与のブレードを前記第2の超伝導システムの対応するブレードに機械的に結合する、前記延長アーム、とを備える、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は超伝導に関するものである。より具体的には、本開示は、超伝導システムの可撓性相互接続(flexible interconnect)のための支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
超伝導は、特定の材料に見られる一連の物理的特性であり、電気抵抗がもはや存在せず、そこから磁束場が放出される。これらの特性を示す材料は、超伝導体である。絶対零度近くまで温度が下がると抵抗が徐々に減少する通常の金属導体とは異なり、超伝導体は、臨界温度以下で抵抗が急激にゼロになる特性臨界温度を有する。超伝導配線のループを流れる電流は、電源がなくても無期限に持続することができる。
【0003】
一部の銅酸化物-ペロブスカイトセラミック材料は、90K(-183°C)を超える臨界温度を有していることが発見された。このような高い転移温度は、従来の超伝導体では理論的に不可能であり、この材料は高温超伝導体と呼ばれている。容易に利用できる冷却剤液体窒素は77Kで沸騰するため、これよりも高い温度で超伝導が存在すると、低温では実用的ではない多くの実験や応用が容易になる。
【0004】
高密度集積型の極低温電子システムは、電気相互接続技術を採用している。特に、多重信号、高信号密度、低損失、低熱漏れ、および小断面積を備えた超伝導ケーブルが相互接続として動作するために必要である。薄膜ニオブ(Nb)の超伝導特性により、薄膜Nbが、高密度DCケーブル、およびマイクロストリップおよびストリップラインを含むRFケーブルなどの低温(4K以下)の超伝導ケーブルを実現するための実行可能な材料となる。ポリマー誘電体を組み込んだ薄膜可撓性超伝導リボンケーブルは、異なる基板間および/または異なる温度帯間で複数の相互接続を行う場合に特に有用である。
【発明の概要】
【0005】
一例は、熱伝導性材料で形成された支持部材を含むことができる超伝導システムのための支持構造に関する。支持部材は、複数の並列スロットを含むことができる。各スロットは、支持部材の基部の第1の表面から基部の第2の表面まで延在し、基部の第1および第2の表面は、平行な平面上に位置している。各スロットは、個々のコネクタアセンブリを支持部材に固定することを可能にする締結具の相対的な移動を可能にするように形成することができる。個々のコネクタアセンブリは、超伝導システムの可撓性相互接続に機械的支持を提供し、かつ可撓性相互接続と支持部材との間に熱経路を確立することができる。支持部材は、基部の第1の表面に対して横断方向に延在する壁をさらに含むことができ、壁は、複数の貫通孔を含むことができる。
【0006】
別の例は、超伝導システムのための支持構造に関する。支持構造は、熱伝導性材料で形成された支持部材を含むことができる。支持部材は、複数の並列スロットを含むことができ、各スロットは、支持部材の基部の第1の表面から基部の第2の表面まで延在し、第1および第2の表面は、平行な平面上に位置している。また、支持部材は、基部の第1の表面に対して横断方向に延在する壁を含むことができ、壁は、複数の貫通孔を含む。さらに、支持部材は、複数のコネクタ支持ロッドを含むことができる。複数のコネクタ支持ロッドの各々は、個々のスロットを介して支持部材の基部に固定することができる。さらに、支持構造は、複数のコネクタを含むことができ、各コネクタは個々のコネクタ支持ロッドに固定され、各コネクタは、超伝導システムの個々のブレード上に搭載された少なくとも2つの超伝導回路間の可撓性相互接続に対する機械的支持を提供する。
【0007】
さらに別の例は、第1の超伝導システムを含むことができるシステムに関する。第1の超伝導システムは、複数のブレードおよび複数の超伝導回路を含むことができる。各超伝導回路は、第1の超伝導システムの個々のブレード上に搭載することができ、第1の超伝導システムにおける複数の超伝導回路の各々は、低温超伝導材料を含む。また、システムは、第2の超伝導システムを含むことができ、第2の超伝導システムは、複数のブレードおよび複数の超伝導回路を含むことができる。第2の超伝導システムにおける各超伝導回路は、第2の超伝導システムの個々のブレード上に搭載され、第2の超伝導システムにおける複数の超伝導回路の各々は、高温超伝導材料を含む。システムは、支持構造をさらに含む。支持構造は、熱伝導性材料で形成することができる支持部材を含む。支持部材は、複数の並列スロットを含み、各スロットは、支持部材の基部の第1の表面から基部の第2の表面まで延在し、第1および第2の表面は、平行な平面上に位置している。また、支持部材は、基部の第1の表面に対して横断方向に延在する壁を含む。壁は、壁の第1の表面から壁の第2の表面まで延在する複数の貫通孔を含むことができる。支持部材は、複数のコネクタアセンブリをさらに含む。各コネクタアセンブリは、個々のスロットを介して支持構造の基部に固定されるコネクタ支持ロッドと、個々のコネクタ支持ロッドに固定されるコネクタとを含むことができ、コネクタは、第1の超伝導システムの個々のブレード上に搭載された少なくとも2つの超伝導回路間の可撓性相互接続に対する機械的支持を提供する。支持構造は、支持部材の壁の表面に平行な方向に延在する基部を有することができる延長アームをさらに含むことができる。また、延長アームは、基部に対して横断方向に延在する支柱を有することができる。延長アームの支柱には、複数の位置合わせコネクタを固定することができる。各位置合わせコネクタは、第1の超伝導システムの所与のブレードを第2の超伝導システムの対応するブレードに機械的に結合する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】超伝導システムの支持構造の一例を示す図である。
図2】超伝導システムの支持構造の支持部材の一例を示す図である。
図3】支持部材にプリント回路基板(PCB)が固定された超伝導システムの支持構造の支持部材の一例を示す図である。
図4】超伝導システムの支持構造の支持部材に固定することができるPCBの一例を示す図である。
図5】超伝導システムの支持構造用のコネクタ支持ロッドの一例を示す図である。
図6】超伝導システムの支持構造用のコネクタアセンブリの一例を示す図である。
図7】超伝導システムの支持構造用のコネクタアセンブリの別の一例を示す図である。
図8】可撓性相互接続と支持部材との間に熱経路を確立するコネクタアセンブリを含む支持構造の一例を示す図である。
図9】第2の超伝導システムと通信する第1の超伝導システム用の支持構造の一例の斜視図である。
図10】第2の超伝導システムと通信する第1の超伝導システムの支持構造の上面図である。
図11】延長アームを備えた支持構造の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書で説明される例は、シャーシ内に収容された第1の複数のブレードを備えた第1の超伝導システムを含むシステムに関連している。第1の複数のブレードの各々は、ブレード上に搭載された超伝導回路を有し、第1の超伝導システムにおける複数の超伝導回路の各々は、4K(ケルビン)以下の温度で超伝導となる材料(例えば、低温超伝導材料)を含む。また、システムは、第2の複数のブレードを有する第2の超伝導システムを含むことができ、第2の複数のブレードの各々は、ブレードの上に搭載された超伝導回路を有し、第2の超伝導システムの複数の超伝導回路の各々は、77K以下の温度で超伝導となる材料(例えば、高温超伝導材料)を含む。
【0010】
また、システムは、熱伝導性材料で形成することができる支持部材を有することができる支持構造を含む。支持部材は、複数の並列スロットを含むことができ、各スロットは、支持部材の基部の第1の表面から基部の第2の表面まで延在する(例えば、貫通孔)。また、支持部材は、基部の第1の表面に対して横断方向に延在する壁を含むことができる。壁は、支持部材を基板に固定するために使用可能な複数の貫通孔を含むことができる。
【0011】
支持部材は、複数のコネクタアセンブリをさらに含むことができ、各コネクタアセンブリは、支持部材の個々のスロットを介して支持部材の基部に固定されるコネクタ支持ロッドを有することができる。各コネクタアセンブリは、個々のコネクタ支持ロッドの端部に固定されるコネクタを含むことができ、コネクタは、第1の超伝導システムの個々のブレード上に搭載された少なくとも2つの超伝導回路間の可撓性相互接続に対する機械的支持を提供することができる。さらに、各コネクタアセンブリは、極低温環境で動作するときに熱を放散するために、可撓性相互接続と支持部材との間に熱経路を確立する。
【0012】
さらに、いくつかの例では、支持構造は、支持部材に取り外し可能に取り付けられた延長アームを含むことができる。延長アームは、支持部材の壁の表面に平行な方向に延在する基部と、基部に対して横断方向に延在する支柱とを含むことができる。支持構造は、延長アームの支柱に固定される複数の位置合わせコネクタを有することができる。各位置合わせコネクタは、第1の超伝導システムの対応するブレードを第2の超伝導システムの対応するブレードに機械的に結合することができる。このようにして、支持構造(延長アームを含む)を1つの軸(例えば、水平軸)上で移動させることができ、この移動により、位置合わせコネクタを介して支柱に固定されている第1の超伝導システムにおける第1の複数のブレードおよび第2の超伝導システムにおける第2の複数のブレードにおいて対応する移動が生じ、これは、相互接続構成要素の破損を防止する。
【0013】
図1は、超伝導システム52の支持構造50の一例を示す。超伝導システム52は、約4ケルビン(K)以下の温度の極低温環境の領域などの極低温環境で動作することができる。超伝導システム52は、シャーシ54の溝57内でスライド可能なM個(Mは、2つ以上の整数)のブレード56を収容するシャーシ54を含むことができ、図面では、そのような溝57のうちの2個のみに参照番号が付されている。M個のブレード56の各々は、対応する超伝導回路58(それらのうちのいくつかは隠れていて見えない)のためのヒートスプレッダとして作動することができる。いくつかの例では、各超伝導回路58またはそのいくつかの一部は、マルチチップモジュール(MCM:multi-chip module)として実装することができる。シャーシ54は、熱伝導性基板60(例えば、導電性材料の板状体)に固定することができる。
【0014】
各超伝導回路58は、4K以下で超伝導となる材料(例えば、低温超伝導材料)を含むことができる。所与のブレード56上の各超伝導回路58は、可撓性相互接続62を介して、別の超伝導回路58または複数の超伝導回路58と通信することができる。換言すれば、各可撓性相互接続62は、2つの超伝導回路58の間に超伝導通信経路を提供する。各可撓性相互接続62は、ポリ-オキシジフェニレン-ピロメリチミド(poly-oxydiphenylene-pyromellitimide)などの超伝導ポリイミドで形成することができる。
【0015】
不用意な損傷を避けるために、可撓性相互接続62は、室温(例えば、273Kより高い温度)と超伝導温度(例えば、4K以下)の両方で注意して取り扱う必要がある。さらに、超伝導システム52が室温(例えば、273Kより高い)から超伝導温度(例えば、4K以下)に移行するとき、超伝導システム52の異なる構成要素は、異なる熱膨張係数(CTE:coefficients of thermal expansion)を有する。従って、室温から極低温(例えば、77K以下)への移行中に、可撓性相互接続62は、超伝導システム52に対する構成要素間の相対的な移動によって(例えば、異なるCTEによって)、破損しやすい。さらに、超伝導システム52の構成要素間の異なるCTEの問題は、温度が極低温に向かって低下するにつれて増幅される。
【0016】
各可撓性相互接続62(またはそのいくつかの一部)は、支持構造50のコネクタ70によってクランプすることができる。各コネクタ70は、対応する可撓性相互接続62上のトレースを位置合わせして接続する。支持構造50は、K個のコネクタ70を含むことができ、ここで、Kは、1以上の整数である。コネクタ70は、支持構造50のコネクタ支持ロッド72に固定されている(例えば、搭載される)。コネクタ70およびコネクタ支持ロッド72は、アルミニウム6061などの熱伝導性材料で形成することができる。コネクタ支持ロッド72は、支持部材76上のスロット78を介して支持構造50の支持部材76(ペグボード(pegboard)と呼ばれ得る)に固定することができる。プリント回路基板(PCB)80は、支持部材76上に固定することができる。支持ロッド70および支持部材76は、各コネクタ70および各可撓性相互接続62に熱的サポートおよび構造的支持の両方を提供する。
【0017】
図2図7は、図1の支持構造50の構成要素およびアセンブリを示す。さらに、図2図7は、同じ構造を示すために同じ参照番号を使用する。さらに、説明を簡単にするために、全ての参照番号が図2図7の各々の説明に導入されているか、または含まれているわけではない。
【0018】
図2は、図1の支持部材76を実施するために使用可能な、支持構造(例えば、図1の支持構造50)の支持部材100の一例を示す。支持部材100は、ペグボードと呼ばれ得る。支持部材100は、アルミニウムなどの導電性材料で形成することができる。より具体的には、支持部材100は、アルミニウム6061で形成することができる。
【0019】
支持部材100は、第1の平面内に延在する基部102(例えば、プレート)を含むことができる。基部102は、直角プリズム様の形状を有することができる。基部102は、支持部材100の基部102の表面に対して垂直な方向に延在する複数のボス104(例えば、突起)を含むことができる。各ボス104は、円形を有するとともに、中心孔を有することができる。いくつかの例では、中心孔にはネジが切られていてもよい。各ボス104の中心孔は、PCB(例えば、図1のPCB80)を支持部材100に固定するために、締結具(例えば、ネジ、ボルト、または押さえ)を受容することができる。即ち、各ボス104は、PCBを支持部材100に固定するために使用可能な締結具用のレセプタクルとして実施することができる。図示されている例では、9個のボス104が設けられているが、他の例では、より多くの、またはより少ないボス104を設けることができる。
【0020】
基部102はまた、複数のスロット106を含むことができる。図示されている例では、12個のスロットが設けられているが、他の例では、より多くの、またはより少ないスロット106を設けることができる。複数のスロット106は、並列に配置することができる。さらに、各スロット106は、基部102の第1の表面から基部102の第2の表面まで延在する細長い貫通孔(例えば、楕円形の底面形状を有する)である。実際、本明細書で使用する場合、「貫通孔」という用語は、材料の所与の表面から材料の別の表面まで延在する孔を意味し、別の表面は所与の表面に対向する。
【0021】
本明細書で説明するように、スロット106は、コネクタ支持ロッド(例えば、図1のコネクタ支持ロッド72)を支持部材100に固定する締結具を受容するように形成されている。さらに、スロット106は、コネクタ支持ロッドの1つの軸(例えば、水平軸)における相対的な移動を可能にするように細長く形成されている。
【0022】
基部102は、一組の貫通孔108を含むことができる。2個の貫通孔108が設けられているが、他の例では、より多くの貫通孔108または単一の貫通孔108を設けることができる。貫通孔108は、PCBからのコネクタが通過できるように、丸い角部を有する正方形の孔として実施することができる。
【0023】
支持部材100はまた、基部102に対して横断方向に(例えば、90度の角度で)延在する第1の壁110を含むことができる。第1の壁110は、支持部材100を基板(例えば、図1の熱伝導性基板60)に固定することを可能にする締結具を受容することができる貫通孔112を含む。図示されている例では、4個の貫通孔112が設けられているが、他の例では、より多くの、またはより少ない貫通孔112を設けることができる。さらに、第1の壁110は、ハードウェア用の切欠部114(例えば、凹部)を含むことができる。
【0024】
支持部材100は、基部102に対して横断方向に延在する第2の壁120をさらに含むことができる。さらに、第2の壁120は、支持部材100の角部122で第1の壁110と交差することができる。いくつかの例では、角部122には抜き勾配角度(または曲線部)が設けられている。いくつかの例では、第2の壁120は三角柱の形状を有する。
【0025】
図3は、支持部材100の一例を示しており、ここで、PCB150が、締結具152(一部のみに参照番号が付されている)によって支持部材100の基部102に固定されている。締結具152は、ボルトまたはネジなどの機械式締結具として実施することができる。図示されている例では、各締結具152は六角頭付きボルトとして実施されている。さらに、各締結具152は、PCB150の貫通孔(隠れていて見えない)を貫通して、支持部材100のボス104(図2に示されている)内に延在する。
【0026】
PCB150は、PCB150上に搭載された複数のICチップ156を含むことができる。いくつかの例として、ICチップ156は、温度センサ、ヒータ、またはそれらの組み合わせとして実施することができる。各ICチップ156、またはそのいくつかの一部は、コネクタに結合することができる。図4は、図3では隠れていて見えないPCB150の一面(例えば、裏面)を示す。図4に示されるように、PCB150は、第1の組のコネクタ160および第2の組のコネクタ162を含む。第1の組のコネクタ160および第2の組のコネクタ162の各コネクタは、図1に示される支持構造の基部102の孔108の1つを貫通して突出することができる。コネクタは、ケーブル(図示せず)を介して外部システムに結合することができる。
【0027】
図5は、図1のコネクタ支持ロッド72を実施するために使用可能な、図1の支持構造50のためのコネクタ支持ロッド200の一例を示す。図に示すように、コネクタ支持ロッド200は、4つの部分、即ち第1の部分202、第2の部分204、第3の部分206、および第4の部分208を含む。
【0028】
第1の部分202は、複数の貫通孔220を含む。図示の例では、コネクタ支持ロッド200の第1の部分202に2個の貫通孔220が設けられている。しかしながら、他の例では、より多くの、またはより少ない貫通孔220が設けられてもよい。貫通孔220は、締結具(例えば、ボルトやネジ)を貫通させることが可能である。さらに、コネクタ支持ロッド200は、第1の部分202が、図2に示される基部102の表面上の平面に平行に延在するように構成される。このような状況では、締結具は貫通孔220を通過して、図1のスロット106のうちの1つに挿入される。スロット106のサイズにより、コネクタ支持ロッド200は、締結具が締め付けられるまで、図1の支持部材100に対して1つの軸(例えば、水平軸)上で移動することができる。
【0029】
第2の部分204は、第1の部分202に対して横断方向に延在する。さらに、第3の部分206は、第2の部分204に対して横断方向に、かつ第1の部分202とは反対の方向に延在する。第4の部分208は、第3の部分206に対して横断方向に延在し、かつ第2の部分204の表面の平面に平行な平面上に延在する。
【0030】
第4の部分208は、複数の貫通孔222を含む。図5に示す例では、4個の貫通孔222が設けられているが、他の例では、より多くの、またはより少ない貫通孔222が設けられてもよい。貫通孔222は、第4の部分208にコネクタを固定することを可能にする。
【0031】
図6は、コネクタアセンブリ250の一例を示しており、ここで、コネクタ251は、図5のコネクタ支持ロッド200の第4の部分208に固定される。コネクタ251は、第1のプレート252および第2のプレート254を含む。
【0032】
第1のプレート252は、コネクタ支持ロッド200の第4の部分208の複数の孔(図5の場合は222)を通過する締結具256を受容する第1の組の貫通孔(隠れていて見えない)を含む。さらに、第1のプレート252は、第2の組の孔を含み、締結具256が第2の組の孔を通過して、第2のプレート254の隠れていて見えない貫通孔に挿入される。このようにして、コネクタ251の第2のプレート254は、コネクタ251の第1のプレート252に固定される。
【0033】
第1のプレート252と第2のプレート254の間には、可撓性相互接続260を挟み込むことができる。このようにして、コネクタ251の第1のプレート252および第2のプレート254は、可撓性相互接続260をクランプして、可撓性相互接続260を保持する。可撓性相互接続260は、図1の可撓性相互接続62の一例を代表するものとすることができる。
【0034】
図7は、コネクタアセンブリ300の一例を示しており、ここで、コネクタ301は、図5のコネクタ支持ロッド200の第4の部分208に固定されている。コネクタ301は、第1のプレート302、第2のプレート304、第3のプレート306、および第4のプレート308を含む。コネクタ301は、図6のコネクタ251の2つの例として実施することができ、ここで、締結具320は、コネクタ301をコネクタ支持ロッド200に固定する。さらに、コネクタ301は、互いに平行な位置に保持され得る2個の可撓性相互接続260をクランプすることができる。
【0035】
図1に戻ると、機械的支持に加えて、各可撓性相互接続62(またはそのいくつかの一部)を個々のコネクタ70にクランプすることによって、熱経路が可撓性相互接続62と支持構造50の支持部材76との間に確立される。より具体的には、可撓性相互接続62は、コネクタ支持ロッド72に固定されたコネクタ70によってクランプされ、ここで、コネクタ支持ロッド72が支持部材76に固定されている。さらに、可撓性相互接続62、コネクタ70、コネクタ支持ロッド72、および支持構造50の支持部材76は、熱的に連通している。従って、結果として形成される熱経路により、(2つの超伝導回路62間の通信に起因して)可撓性相互接続62上に蓄積された熱が支持部材76において放散することができる。
【0036】
さらに、前述したように、各可撓性相互接続62(またはそのいくつかの一部)をクランプすることによって、クランプされた可撓性相互接続62は比較的静止した状態に保持され、それにより、そうでなければ接続された超伝導回路58に加えられ、部品の障害につながり得る張力(例えば、重力に起因する)が緩和される。
【0037】
図8は、超伝導システム402の支持構造400の別の一例を示す。超伝導システム402は、図1の超伝導システム52と同様の方法で実施することができ、ここで、視覚的に分かり易くするためにシャーシが省略されている。
【0038】
支持構造400は、支持部材406を含む。支持部材406は、アルミニウム(例えば、アルミニウム6061)などの熱伝導性材料で形成することができる。支持部材406は、並列に配置された複数のスロット410を含み、1つのスロットのみに参照番号が付されている。複数のスロット410は、図1に示されている複数のスロット78かつ/または図2のスロット106と同様の方法で実施することができる。さらに、支持部材406は、ヒータおよび/または温度センサ(図示せず)などの電気部品を取り付ける複数のボビン孔414(例えば、貫通孔)を含む。
【0039】
超伝導システム402および支持構造400は、約4K以下の温度を有する極低温環境の領域などの極低温環境で動作することができる。超伝導システム402は、M個のブレード420を収容するシャーシ(分かり易くするために省略されている)を含むことができる。M個のブレード420の各々は、対応する超伝導回路422用のヒートスプレッダとして機能することができる。いくつかの例では、各超伝導回路58またはそのいくつかの一部は、MCMとして実施することができる。
【0040】
超伝導回路422は、図1の可撓性相互接続62として実施することができる可撓性相互接続424を介して接続することができる。各可撓性相互接続424は、対応するコネクタアセンブリによってクランプされる。図8は、個々のスロット410を介して支持部材406に固定されている3個のコネクタアセンブリを示す。より具体的には、支持構造400は、第1のコネクタアセンブリ430、第2のコネクタアセンブリ432、および第3のコネクタアセンブリ434を含む。第1のコネクタアセンブリ430および第3のコネクタアセンブリは、図6のコネクタアセンブリ250として実施することができる。第2のコネクタアセンブリ432は、図7のコネクタアセンブリ300として実施することができる。
【0041】
図示のように、支持構造400は、可撓性相互接続424の各々に対して機械的支持を提供する。さらに、第1のコネクタアセンブリ430、第2のコネクタアセンブリ432、および第3のコネクタアセンブリ434は、対応する各可撓性相互接続424から支持部材406への熱経路を提供する。
【0042】
図9は、第2の超伝導システム520に通信可能に結合された第1の超伝導システム510に対する支持構造500の一例の斜視図を示す。第1の超伝導システム510は、約4K以下である第1の極低温帯で動作することができ、第2の超伝導システム520は、約77Kから約75Kである第2の極低温帯で動作することができる。即ち、第1の超伝導システム510は、第2の超伝導システム520よりも低い温度で動作する。
【0043】
第1の超伝導システム510は、図1の超伝導システム52および/または図8の超伝導システム402と同様のものとすることができる。第2の超伝導システム520は、シャーシ522を含むことができ、シャーシ522内にはJ個のブレード524が設置され、ここで、Jは、1以上の整数である。各ブレード524は、超伝導回路526(1つの超伝導回路のみに参照番号が付されている)のヒートスプレッダとして機能することができる。各超伝導回路526は、高温超伝導(HTS:high temperature superconducting)材料により実現されたMCMを含むことができる。同様に、第1の超伝導システム510は、図1に関して説明したように、超伝導回路532(例えば、MCM)をそれぞれが含む複数のブレード530を収容するシャーシ528を含むことができる。
【0044】
さらに、図10は、第2の超伝導システム520に通信可能に結合された第1の超伝導システム510の支持構造500の上面図を示す。図10および図11は、同じ構造を示すために同じ参照番号を使用する。さらに、図10では、視覚的に分かり易くするために、第1の超伝導システム510のシャーシ528および第2の超伝導システム510のシャーシ522の上部が除去されている。
【0045】
第1の超伝導システム510および第2の超伝導システム520は、通信チャネル536および538を介して通信することができる。いくつかの例では、通信チャネル536および538は、配線および/または可撓性相互接続(例えば、超伝導可撓性相互接続)から形成することができる。
【0046】
支持構造500は、図1の支持構造50および/または図8の支持構造400の特徴を含むことができる。従って、支持構造500は、支持部材540を含む。支持部材540は、図2の支持部材100および/または図8の支持部材406により実施することができる。さらに、コネクタアセンブリ542は、本明細書で説明される方法で(例えば、図1および9に示されるように)、第1の超伝導システム510の可撓性相互接続544をクランプして保持する。
【0047】
さらに、支持構造500は、支持構造500に取り外し可能に接続された延長アーム550を含むことができる。延長アーム550は、支持部材540の壁552の表面に平行な方向に延在する基部551を含む。延長アーム550は、延長アーム550の基部551に対して横断方向に延在する支柱554を含むことができる。複数の位置合わせコネクタ558を支柱554に固定することができる(図10には1つのコネクタのみが示されている)。各位置合わせコネクタ558は、第1のピン対560および第2のピン対562を含むことができる。第1のピン対560は、第1の超伝導システム510のブレード530に含まれる貫通孔564および貫通スロット566(例えば、楕円形の底面形状を有する貫通孔)内に突出するピンとして実施される。同様に、第2のピン対562は、第2の超伝導システム520のブレード524に含まれる貫通孔568および貫通スロット570(例えば、楕円形の底面形状を有する貫通孔)内に突出するピンとして実施される。従って、第1の超伝導システム510の各ブレード530(またはそのいくつかの一部)は、第2の超伝導システム510の対応するブレード524に堅固に接続されている。さらに、第1の超伝導システム510の各ブレード530(またはそのいくつかの一部)および第2の超伝導システム520の各ブレード524は、支持構造500の支柱554に堅固に接続されている。このようにして、室温(例えば、273Kを超える温度)での設置中に、支持構造500は、矢印574によって示される方向(例えば、水平方向)に移動することができる。
【0048】
図11は、図10の支持構造500を実施するために使用可能な支持構造600の一例を示す。さらに、分かり易くするために、第1の超伝導システム510および第2の超伝導システム520は図示されていない。
【0049】
支持構造600は、支持部材610を含む。図11に示されている支持部材610は、図8の支持部材406を用いて実施される。しかしながら、他の例では、図2の支持部材100などの別の支持部材も支持部材610として使用することができる。支持部材610は、支持部材610の基部614に対して横断方向に延在する壁612を含む。
【0050】
支持部材610の壁612は、第1の平面上に延在する表面を含む。さらに、延長アーム620は、壁612の表面と同じ平面である第1の平面内に延在する基部622を含む。さらに、支柱624は、第1の平面に対して横断方向に延在し、かつ支持部材610の基部614の表面に平行である。図11の支柱554を実施するために支柱624を使用することができる。
【0051】
支柱624は、J個の貫通孔630を含むことができ、ここで、Jは、1以上の整数である。J個の貫通孔630の各々は、位置合わせコネクタ634を支柱624に固定するための締結具(例えば、ボルトまたはネジ)を受容するように形成されている。図11は、J個の位置合わせコネクタ634を示しているが、いくつかの例では、より少ない位置合わせコネクタ634が設けられ得る。各位置合わせコネクタ634は、第1の一対のピン636および第2の組のピン638を含むことができ、ここで、図11は、位置合わせコネクタ634のうちの1つのピン対のみに参照番号が付されている。図10に詳細に示されているように、第1の一対のピン636および第2の組のピン638は、第1の超伝導システムのブレードおよび第2の超伝導システムのブレードを機械的に結合するために使用可能である。
【0052】
図10に戻ると、支持構造を方向574に移動させると、第1の超伝導システム510の各ブレード530(またはそのいくつかの一部)と、第2の超伝導システム520の各ブレード524(またはそのいくつかの一部)が協調して移動する。従って、第1の超伝導システム510と第2の超伝導システム520との間の通信チャネル536および538は、互いに相対的に移動しない。即ち、通信チャネル536および538はそれぞれ、第1の超伝導システム510の対応するブレード530および第2の超伝導システムの対応するブレード524と共に移動する。さらに、方向574に移動すると、第1の超伝導システム510の可撓性相互接続544も、個々のブレード530と協調して移動する。従って、支持構造500を(室温で)移動させることにより、ブレード530にアクセスすることが可能となり、さらに、可撓性相互接続544を損傷する可能性があるそのようなブレード530間の相対的な移動を防止する。
【0053】
設置後、第1の超伝導システム510と第2の超伝導システム520との間の望ましくない熱伝達を防止するために、支柱554を含む延長アーム550を除去することができる。従って、延長アーム550は、第1の超伝導システム510および第2の超伝導システム520の繊細な部品を乱すことなく、第1の超伝導システム510および第2の超伝導システム520の特定の部品へのアクセスを容易にする。
【0054】
上記した説明は、本例である。もちろん、構成要素または方法の考えられる全ての組み合わせを説明することは不可能であるが、当業者は、さらに多くの組み合わせおよび置換が可能であることを認識するであろう。従って、本開示は、添付の特許請求の範囲を含む本出願の範囲内にあるそのような全ての変更、修正、および変形を包含することを意図している。本明細書で使用される場合、「含む」という用語は、限定することなく含むことを意味する。「基づく(based on)」という用語は、少なくとも部分的に基づくことを意味する。さらに、開示または特許請求の範囲が「1つの(a,an)」、「第1の(a first)」、「もう一つの(another)」要素、またはそれらの均等物を記載する場合、1つまたは複数のそのような要素を含むと解釈されるべきであり、2つ以上のそのような要素を必要とも除外もしない。
以下に、上記実施形態から把握できる技術思想を付記として記載する。
[付記1]
超伝導システムの可撓性相互接続のための支持構造であって、
熱伝導性材料で形成された支持部材を備え、前記支持部材は、
複数の並列スロットと、各スロットは、前記支持部材の基部の第1の表面から前記基部の第2の表面まで延在し、前記基部の前記第1および第2の表面は、平行な平面上に位置しており、各スロットは、個々のコネクタアセンブリを前記支持部材に固定することを可能にする締結具の相対的な移動を可能にし、個々の前記コネクタアセンブリは、超伝導システムの可撓性相互接続に機械的支持を提供し、かつ、前記可撓性相互接続と前記支持部材との間に熱経路を確立し、
前記基部の前記第1の表面に対して横断方向に延在する壁と、を含み、前記壁は、複数の貫通孔を含み、
前記支持部材の前記基部に搭載されたプリント回路基板をさらに備える、支持構造。
[付記2]
プリント回路基板は、ヒータおよび温度センサのうちの少なくとも1つを含む、付記1に記載の支持構造。
[付記3]
超伝導回路のための支持構造であって、
熱伝導性材料で形成された支持部材を備え、前記支持部材は、
複数の並列スロットと、各スロットは、前記支持部材の基部の第1の表面から前記基部の第2の表面まで延在し、前記第1および第2の表面は、平行な平面上に位置しており、
前記基部の前記第1の表面に対して横断方向に延在する壁と、前記壁は、複数の貫通孔を含んでおり、
複数のコネクタ支持ロッドと、前記複数のコネクタ支持ロッドの各々が、個々のスロットを介して前記支持部材の前記基部に固定されており、
複数のコネクタと、を備え、各コネクタが個々のコネクタ支持ロッドに固定され、各コネクタが、超伝導システムの個々のブレード上に搭載された少なくとも2つの超伝導回路間の可撓性相互接続に対する機械的支持を提供する、支持構造。
[付記4]
前記超伝導システムが第1の超伝導システムであり、システムが
延長アームであって、
前記支持部材の前記壁の表面に平行な方向に延在する基部と、
前記延長アームの前記基部に対して横断方向に延在する支柱と、を含む、前記延長アームと、
前記延長アームの前記支柱に固定される複数の位置合わせコネクタと、をさらに備え、前記複数の位置合わせコネクタの各々は、第1の超伝導システムのブレードに接続するための第1の組のピンと、第2の超伝導システムのブレードに接続するための第2の組のピンとを含む、付記3に記載の支持構造。
[付記5]
前記延長アームの移動により、前記第1の超伝導システムの前記ブレードおよび前記第2の超伝導システムの前記ブレードの移動が生じる、付記4に記載の支持構造。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11