(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-21
(45)【発行日】2023-08-29
(54)【発明の名称】スイッチ装置及びこれを備えた自動販売機
(51)【国際特許分類】
G07F 9/00 20060101AFI20230822BHJP
G07F 9/02 20060101ALI20230822BHJP
H01H 36/00 20060101ALI20230822BHJP
【FI】
G07F9/00 H
G07F9/02 B
H01H36/00 J
(21)【出願番号】P 2019142302
(22)【出願日】2019-08-01
【審査請求日】2022-07-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000153236
【氏名又は名称】株式会社光波
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】湊谷 晃浩
(72)【発明者】
【氏名】竹中 章
(72)【発明者】
【氏名】田中 博章
(72)【発明者】
【氏名】加藤 謙治
【審査官】平野 貴也
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-108190(JP,A)
【文献】特開2000-011244(JP,A)
【文献】特開2014-235952(JP,A)
【文献】特開2015-191433(JP,A)
【文献】特開2016-012237(JP,A)
【文献】特開平08-203402(JP,A)
【文献】登録実用新案第3021894(JP,U)
【文献】特開2007-220473(JP,A)
【文献】特開2003-317134(JP,A)
【文献】特開2002-158067(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07F 5/00 - 9/10
H01H 36/00 - 36/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
背面パネルに取り付けられ、展示用物品を載置する物品展示ユニットと、
前記物品展示ユニットに対し移動可能に支持されて連結され、利用者の手指の近接を静電容量値の変化によりスイッチ操作を検出する検出部を備えた操作検出ユニットと、を有し、
前記操作検出ユニットは、前記背面パネルから離間する方向に付勢力を受ける構成とされ
、前記利用者に必要な情報を表示するための情報表示ユニットを、着脱可能に収容する構成とされている、スイッチ装置。
【請求項2】
前記背面パネルは、前記物品展示ユニットの取付位置を選択又は変更可能とするための係止用の穴部を複数備える、請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記物品展示ユニット又は前記操作検出ユニットは、前記背面パネルに取り付けられた状態で、前記複数の穴部の少なくとも一部を塞ぐ形状とされている、請求項2に記載のスイッチ装置。
【請求項4】
前記操作検出ユニットは、前記検出部の基板に前記静電容量値を検出する検出電極を備えると共に、前記検出電極に近接して前記検出電極の検出感度を増加させるサブ電極を前記利用者側に備える、請求項1から3のいずれか1項に記載のスイッチ装置。
【請求項5】
前記検出部は、相互容量方式又は自己容量方式により、前記利用者の手指の近接を検出する、請求項4に記載のスイッチ装置。
【請求項6】
前記基板は、前記基板のグランド又はコモン端子に接続されたガードパターンを備え、
前記ガードパターンは前記検出電極の電極パターンの周辺に形成されている、請求項4又は5に記載のスイッチ装置。
【請求項7】
前記操作検出ユニットは、前記検出電極の位置に対応して設けられる補助ボタンの取付位置を規定する位置決め部を備える、請求項4から6のいずれか1項に記載のスイッチ装置。
【請求項8】
前記情報表示ユニットは、前記操作検出ユニットとスプリングコネク
タにより電気的に接続される、請求項
1に記載のスイッチ装置。
【請求項9】
前記スプリングコネクタは、抜き差し方向において先に接続する位置に電源系の接続端子が配置されている、請求項
8に記載のスイッチ装置。
【請求項10】
上記請求項1から
9のいずれか
1項に記載のスイッチ装置と、前記展示用物品に対応する販売用物品を払い出すための物品払出機構を内蔵する販売機本体とを備え、
前記操作検出ユニットは、前記検出部が、前記利用者が操作する前面パネルの内面に当接する状態で、前記背面パネルに取り付けられている、自動販売機。
【請求項11】
前記前面パネルは、前記利用者が操作する外面において、前記検出部に対応する位置に取り付けられる補助ボタンを備える、請求項
10に記載の自動販売機。
【請求項12】
前記補助ボタンは、弾性部材で形成されている、請求項
11に記載の自動販売機。
【請求項13】
前記補助ボタンは、導電性を有する、請求項
11又は
12に記載の自動販売機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ装置及びこれを備えた自動販売機に関する。
【背景技術】
【0002】
静電容量型の近接スイッチの出力に基づき商品の払い出しを行う自動販売機のスイッチ装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この従来の自動販売機のスイッチ装置は、販売商品の選択を行う自動販売機のスイッチ装置であって、複数の単位表示領域の集合体として自動販売機に設けた表示スペースと、複数の単位表示領域にそれぞれの検出部を外方に向けた状態で配設した非接触式の近接スイッチと、各近接スイッチの検出部を覆い、かつ表示スペースの全面に亘る態様で自動販売機に配設した前面パネルと、前面パネルに着脱可能に配設して販売商品の表示を行う商品表示シートと、を備える構成とされている。
【0004】
この従来の自動販売機のスイッチ装置において、近接スイッチは、個々の検出部に対して物体が近接した場合に、静電容量の変化に基づいてこれを非接触で検出する静電容量型のものである。この近接スイッチは、検出部を外方に向けた状態、つまり自動販売機の表示スペースに近接した物体を検出できる状態で、予め表示スペースに設定した複数の単位表示領域にそれぞれ1個ずつ配置してある。前面パネルの板厚は、その外部から近接スイッチの検出部に手指を近接させた場合にこれを検出することのできる寸法に設定してある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1に記載された従来の自動販売機のスイッチ装置は、予め設定した表示スペースに、商品表示シート、近接スイッチ等が配置されており、スイッチ装置のレイアウト設計の自由度が制約されるという問題があった。
【0007】
従って本発明の目的は、自由度の高いレイアウト設計を可能とするスイッチ装置及びこれを備えた自動販売機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1]背面パネルに取り付けられ、展示用物品を載置する物品展示ユニットと、
前記物品展示ユニットに対し移動可能に支持されて連結され、利用者の手指の近接を静電容量値の変化によりスイッチ操作を検出する検出部を備えた操作検出ユニットと、を有し、
前記操作検出ユニットは、前記背面パネルから離間する方向に付勢力を受ける構成とされ、前記利用者に必要な情報を表示するための情報表示ユニットを、着脱可能に収容する構成とされている、スイッチ装置。
[2]前記背面パネルは、前記物品展示ユニットの取付位置を選択又は変更可能とするための係止用の穴部を複数備える、上記[1]に記載のスイッチ装置。
[3]前記物品展示ユニット又は前記操作検出ユニットは、前記背面パネルに取り付けられた状態で、前記複数の穴部の少なくとも一部を塞ぐ形状とされている、上記[2]に記載のスイッチ装置。
[4]前記操作検出ユニットは、前記検出部の基板に前記静電容量値を検出する検出電極を備えると共に、前記検出電極に近接して前記検出電極の検出感度を増加させるサブ電極を前記利用者側に備える、上記[1]から[3]のいずれか1に記載のスイッチ装置。
[5]前記検出部は、相互容量方式又は自己容量方式により、前記利用者の手指の近接を検出する、上記[4]に記載のスイッチ装置。
[6]前記基板は、前記基板のグランド又はコモン端子に接続されたガードパターンを備え、前記ガードパターンは前記検出電極の電極パターンの周辺に形成されている、上記[4]又は[5]に記載のスイッチ装置。
[7]前記操作検出ユニットは、前記検出電極の位置に対応して設けられる補助ボタンの取付位置を規定する位置決め部を備える、上記[4]から[6]のいずれか1に記載のスイッチ装置。
[8]前記情報表示ユニットは、前記操作検出ユニットとスプリングコネクタにより電気的に接続される、上記[1]に記載のスイッチ装置。
[9]前記スプリングコネクタは、抜き差し方向において先に接続する位置に電源系の接続端子が配置されている、上記[8]に記載のスイッチ装置。
[10]上記[1]から[9]のいずれか1に記載のスイッチ装置と、前記展示用物品に対応する販売用物品を払い出すための物品払出機構を内蔵する販売機本体とを備え、
前記操作検出ユニットは、前記検出部が、前記利用者が操作する前面パネルの内面に当接する状態で、前記背面パネルに取り付けられている、自動販売機。
[11]前記前面パネルは、前記利用者が操作する外面において、前記検出部に対応する位置に取り付けられる補助ボタンを備える、上記[10]に記載の自動販売機。
[12]前記補助ボタンは、弾性部材で形成されている、上記[11]に記載の自動販売機。
[13]前記補助ボタンは、導電性を有する、上記[11]又は[12]に記載の自動販売機。
【発明の効果】
【0009】
本発明のスイッチ装置及びこれを備えた自動販売機によれば、自由度の高いレイアウト設計を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の形態に係るスイッチ装置を備えた自動販売機を模式的に示す正面図である。
【
図2】
図2(a)は、本発明の代表的な実施の形態に係るスイッチ装置を備えた自動販売機の背面パネルを示す正面図であり、
図2(b)は、背面パネルに形成された係止用の穴部に物品展示ユニットが取り付けられた図であって、6物品で1つのユニットを形成する物品展示ユニットが、右側に3列、左側に1列取り付けられた状態を示す正面図である。
【
図3】
図3は、
図1で示す自動販売機を右側面から見た、物品展示ユニット、操作検出ユニットの部分を示す部分側面図であり、
図3(a)は、操作検出ユニットが前面パネルに当接していない側面図であり、
図3(b)は、操作検出ユニットが前面パネルに当接している状態を示す側面図である。
【
図4】
図4(a)は、
図3(a)をA方向(上方向)から見た上平面図であり、
図4(b)は、
図3(b)をA方向(上方向)から見た上平面図であり、
図4(c)は、
図4(a)、
図4(b)を操作者、利用者側から見た正面図である。
【
図5】
図5(a)は、情報表示ユニットが組み込まれた状態の操作検出ユニットが物品展示ユニットに移動可能に支持されて連結された立体斜視図であり、
図5(b)は、情報表示ユニットが組み込まれる前の状態の操作検出ユニットが物品展示ユニットに移動可能に支持されて連結された立体斜視図であり、
図5(c)は、物品展示ユニットの上平面図であり、
図5(d)は、情報表示ユニットが組み込まれた状態の操作検出ユニットの正面図であり、
図5(e)は、情報表示ユニットの取り付けを説明するための
図5(a)で示すC部詳細図であり、
図5(f)は、情報表示ユニットの組み込み開始時のスプリングコネクタ部の接続を示す図であり、
図5(g)は、情報表示ユニットを組み込んだときのスプリングコネクタ部の接続を示す図である。
【
図6】
図6(a)は、
図5(a)で示すD-D断面図であり、
図6(b)は、
図5(a)で示すE-E断面図であり、
図6(c)は、
図5(a)で示すF-F断面図である。
【
図7】
図7は、基板の表面に形成された配線パターン、ガードパターンの例を示す図である。
【
図8】
図8(a)は、補助ボタンを前面パネルの外面に取り付けた状態を示す立体斜視図の一部部分を示す図であり、
図8(b)は、
図8(a)の正面図である。
【
図9】
図9(a)から
図9(d)は、補助ボタンの形状の例をそれぞれ示すものであり、それぞれにおいて、上段に補助ボタンの平面図、下段に立体斜視図を示す図である。
【
図10】
図10(a)は、取付け治具を示す立体斜視図であり、
図10(b)は、取付け治具のテンプレート穴に補助ボタンを配置する例を示す立体斜視図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施の形態に係るスイッチ装置を備えた自動販売機の制御装置の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(自動販売機1の全体構成)
図1において、全体を示す符号1は、各種の飲料を販売する自動販売機を示している。図示例による自動販売機1は、上下方向に長い直方型の筐体からなる販売機本体2を備えている。この販売機本体2は、前方に開口する箱体2aと、その箱体2aの前方開口部を開閉する扉体2bとにより構成されている。この扉体2bの前面上部は、前面パネル11を備えている。前面パネル11の材質は、例えば透明なアクリル板等の樹脂材からなる。
【0012】
この扉体2bの前面下部には、
図1に示すように、紙幣を挿入・排出する紙幣入出口3と、硬貨を投入する硬貨投入口4と、紙幣又は硬貨を返却する返却レバー5とが配設されている。この扉体2bの前面下部には更に、釣銭切れ表示や挿入された紙幣又は投入された硬貨の金額の表示を行う金額表示器6と、釣銭を返却する釣銭返却口7と、商品を取り出す商品取出口8と、扉体2bの開閉をロックするドアロック9とが配設されている。なお、符号10は、広告スペースである。
【0013】
この前面パネル11の背面部には、
図1及び
図2(a)、(b)に示すように、金属板材からなる背面パネル12が配設されている。前面パネル11の背面部及び背面パネル12の間に形成された空間16は、商品見本展示室とされている(以下、「商品見本展示室16」という。)。
【0014】
この商品見本展示室16には、
図1、
図2(b)、
図3(a)、(b)、
図4(c)に示すように、下方及び前方に開口した展示筐体を有する商品見本展示台14が、例えば、上段、中断、及び下段の三段に設置されており、その商品見本展示台14には、展示用物品である6個の商品見本15,…,15が二列に陳列されている。
【0015】
(スイッチ装置100)
本発明の実施の形態に係るスイッチ装置は、自動販売機において、自由度の高いレイアウト設計を可能とするスイッチ装置を実現するものである。このために、展示用物品である商品見本15を載置する物品展示ユニットとしての商品展示ユニット20をレイアウト自由に背面パネル12に取り付けられる構成としている。また、商品展示ユニット20に支持されて連結される操作検出ユニットとしての商品選択スイッチユニット30が備える検出部40は、利用者の手指の近接を静電容量値の変化により検出する方式とされて前面パネル11から独立しているので、商品選択スイッチユニット30のレイアウト自由な配置が確保される。また、検出部40の前部を前面パネル11の内面11aに当接させる構成としているので、利用者の手指の近接を確実に検出することができる。
【0016】
(スイッチ装置100の構成)
本発明の実施の形態に係るスイッチ装置100は、背面パネル12に取り付けられ、展示用物品である商品見本15を載置する物品展示ユニットとしての商品展示ユニット20と、商品展示ユニット20に対し移動可能に支持されて連結され、利用者の手指の近接を静電容量値の変化によりスイッチ操作を検出する検出部を備えた操作検出ユニットとしての商品選択スイッチユニット30と、を有し、商品選択スイッチユニット30は、背面パネル12から離間する方向(
図3(a)、(b)で示すB方向)に付勢力を受けるように構成されている。
【0017】
(商品展示ユニット20)
物品展示ユニットとしての商品展示ユニット20は、商品見本15を載置する商品見本展示台14を備え、背面パネル12への取り付けフック部14dを有して構成されている。本実施の形態では、商品展示ユニット20は、商品見本展示台14、フック部14dが板金構造により一体的に形成されたものとする。
【0018】
図2(a)、(b)に示すように、背面パネル12には、商品展示ユニット20の取付位置を選択又は変更可能とするための係止用の穴部13を複数備えている。穴部13には、商品展示ユニット20のフック部14dが挿入されて引掛けられることにより、
図2(b)、
図3(a)、(b)に示すように、商品見本展示台14が背面パネル12に係止されて固定される。
【0019】
背面パネル12の穴部13は、商品展示ユニット20を背面パネル12へレイアウト自由な配置を向上させるため、複数備えられている。これにより、商品展示ユニット20(商品見本展示台14)の背面パネル12への取り付け位置の自由度が増す。すなわち、商品展示ユニット20(商品見本展示台14)の取付位置を選択でき、また、変更可能となる。
【0020】
背面パネル12の穴部13は、レイアウト自由な配置をするために、商品展示ユニット20(商品見本展示台14)を取り付けた状態において、取り付けに使用されない穴部13が発生する。本実施の形態では、商品展示ユニット20又は商品選択スイッチユニット30が、背面パネル12に取り付けられた状態で、複数の穴部13の少なくとも一部を塞ぐ形状とされている。これにより、取り付けに使用されない穴部13が利用者から視認できない、又は視認しにくいようにすることができる。
【0021】
なお、本実施の形態では、後述する商品選択スイッチユニット30の筐体35は、取り付けに使用されない穴部13bを塞ぐ形状に構成されている。すなわち、
図2(a)に示す穴部13のうち、
図2(a)の右列に示す取り付けに使用されない穴部13bは、商品選択スイッチユニット30により塞がれて、利用者から視認できないようになっている。
【0022】
(商品選択スイッチユニット30)
操作検出ユニットとしての商品選択スイッチユニット30は、商品展示ユニット20に対し移動可能に支持されて連結され、利用者の手指の近接を静電容量値の変化によりスイッチ操作を検出する検出部40を備えて構成されている。
【0023】
また、商品選択スイッチユニット30は、利用者に必要な情報を表示するための情報表示ユニットとしての価格表示ユニット50を、着脱可能に収容する構成とされている。価格表示ユニット50は、オプションとして商品選択スイッチユニット30に装着されるものであるが、以下の説明では、商品選択スイッチユニット30は、検出部40、及び価格表示ユニット50を備えたものとして説明する。
【0024】
図3(a)示すように、商品選択スイッチユニット30は、商品展示ユニット20に対し移動可能に支持されて連結されている。商品選択スイッチユニット30の筐体35は、商品見本展示台14の下面14bに当接し、背面パネル12から離間する方向Bに移動可能に支持されている。具体的には、
図3(a)、
図4(a)に示すように、筐体35から立設されピン37が、商品見本展示台14の長穴部14aにスライド可能に支持されている。また、ピン37の頭部37aが長穴部14aよりも大きく形成されていることにより、商品選択スイッチユニット30が商品展示ユニット20(商品見本展示台14)により上下方向に支持される。
【0025】
図3(a)、(b)に示すように、商品見本展示台14と背面パネル12との間には、バネ70が装着されている。バネ70は、例えば、圧縮コイルバネであって、
図3(b)に示すように、バネ70が自由長に戻ろうとして伸張することにより、商品選択スイッチユニット30を背面パネル12から離間する方向Bに付勢する。
【0026】
商品選択スイッチユニット30は、
図3(b)、
図4(b)に示すように、自動販売機1に組み込まれた状態では、バネ70による付勢力により、利用者が操作する前面パネル11の内面11aに当接する。
図4(a)~(c)に示すように、商品選択スイッチユニット30の前面38の両側端部には、上記の当接箇所を特定し、かつ、当接時の衝撃を緩和するものとして、当接部材80が貼り付けられている。この当接部材80は、例えば、ゴム等の弾性を有する部材が好ましい。当接部材80が前面パネル11の内面11aに当接した状態では、
図4(b)に示すピン37は、商品見本展示台14の長穴部14aの前側端部には当っていない。
【0027】
商品選択スイッチユニット30は、
図4(a)~(c)、
図5(a)~(d)に示すように、内部に装着される電気基板、回路、照明等の電源、信号等の接続を行なうコネクタ21、22を備えている。例えば、
図1、
図2に示すように、商品選択スイッチユニット30が二列に配置される場合は、コネクタ21とコネクタ22は互いオスメスとして接続される。また、コネクタ21は、販売機本体2に設けられた接続部(図示省略)に接続される。
【0028】
図5(a)に示す商品選択スイッチユニット30のD-D断面は、
図6(a)に示す断面図である。このD-D断面は、利用者の手指の近接を静電容量値の変化によりスイッチ操作を検出する検出部40を示すものである。
図6(a)に示すように、商品選択スイッチユニット30の筐体35には、基板71が備えられている。基板71には、
図7に示す、静電容量を検出するための検出電極72、73が形成されている。この検出電極72、73は、例えば、
図7に示すように、基板71上に形成された同心円状の電極パターンとして構成されている。検出電極72、73は、図示省略する静電容量検出回路に接続されている。
【0029】
検出部40は、検出電極72、73に所定のタイミングで電荷をチャージして、検出電極72、73間に形成される静電容量値を検出することにより利用者の手指の近接、あるいは、接触を検出する相互容量方式又は自己容量方式の近接センサである。なお、近接センサとしては、他に、例えば測距センサ、光電センサ、高周波発振型近接センサ、磁気近接センサや赤外線近接センサなどの人感センサが使用可能である。
【0030】
図6(a)において、検出電極72に接触又は近接して、円筒状の金属リング75が商品選択スイッチユニット30の前面38に向かって設けられている。また、検出電極73に接触又は近接して、円筒状の金属リング76が商品選択スイッチユニット30の前面38に向かって設けられている。これらの金属リング75、76は、検出電極72、73と利用者の手指200との間に配置されることにより、検出電極を手指に近づける役割をはたし検出電極の検出感度を増加させるサブ電極として機能する。
【0031】
図7に示すように、基板71は、基板71のグランド又はコモン端子に接続されたガードパターン74を備え、ガードパターン74は検出電極72、73の電極パターンの周辺に形成されている。また、
図5(a)等に示したように、複数の商品選択スイッチ(複数の検出部40)がある場合には、各検出部40と検出部40の間にガードパターン74が形成されている。ガードパターン74は、例えば、メッシュ状のグランドプレーンとされている。これにより、耐ノイズ性が向上し、隣の検出部40との間での誤動作を抑制することができる。
【0032】
図6(a)、
図7に示すように、検出部40の中央部には、商品選択スイッチ(検出部40)の位置を照明する発光素子81が実装されている。また、商品見本展示台14の穴部14cを通して商品15を照明するための発光素子84が実装されている。これらの発光素子81、84は、例えば、LEDが使用できる。
【0033】
図5(a)に示す商品選択スイッチユニット30のE-E断面は、
図6(b)に示す断面図である。このE-E断面は、情報表示ユニットとしての価格表示ユニット50を示すものである。商品選択スイッチユニット30は、利用者に必要な情報を表示するための価格表示ユニット50を、着脱可能に収容する構成とされている。
図3(a)、
図5(b)に示すように、価格表示ユニット50は、価格表示を切り替えて表示することができるユニットであり、オプションとして、商品選択スイッチユニット30に装着することができる。
【0034】
図6(b)に示すように、価格表示ユニット50は、筐体35の価格表示ユニット収容部39に収容可能とされている。
図5(e)、
図6(b)に示すように、価格表示ユニット50の両端部には係合部51が形成され、また、価格表示ユニット収容部39にはこれに対応した係合部39aが形成されている。価格表示ユニット50が筐体35の価格表示ユニット収容部39に収容されると、係合部51と係合部39aが係合して、価格表示ユニット50が価格表示ユニット収容部39内に装着されて固定される。
【0035】
価格表示ユニット50は、商品選択スイッチユニット30とスプリングコネクタ52により電気的に接続される。
図5(f)に示すように、価格表示ユニット50側にスプリングコネクタ52が設けられ、スプリングコネクタ52の接触ピン52a、52bと、スイッチユニット30側の基板71に形成されたランド部72a、72bと、が接触することにより電気的に接続される。
【0036】
図5(f)、
図5(g)に示すように、スプリングコネクタ52は、抜き差し方向において先に接続する位置に電源系の接続端子が配置されている。すなわち、抜き差し方向において先に接続する位置に、スプリングコネクタ52の接触ピン52bと基板71に形成されたランド部72bが電源系の接続端子として設けられている。また、抜き差し方向において後に接続する位置に、スプリングコネクタ52の接触ピン52aと基板71に形成されたランド部72aが信号系の接続端子として設けられている。これにより、価格表示ユニット50の着脱において、先に、電源系の接続、接続解除が行われるので、接続時等における故障等を抑制することができる。
【0037】
図6(b)に示すように、価格表示ユニット50には表示装置82が実装されている。表示装置82により、例えば、
図5(a)に示すように、価格表示部53に所定の価格表示等を行なうことができる。
【0038】
図5(b)に示す商品選択スイッチユニット30のF-F断面は、
図6(c)に示す断面図である。このF-F断面は、「HOT」及び「COLD」を表示する冷温表示、「売切」を表示する売切表示、「準備中」を表示する等の商品情報表示部33を示すものである。商品情報表示部33は、上記の売切、準備中等を印刷した印刷プレート34を基板71上に実装した発光素子83により照明することにより所定の表示を行なう。
【0039】
図8(a)、(b)に示すように、前面パネル11は、利用者が操作する外面11bにおいて、検出部40に対応する位置に取り付けられる補助ボタン90、91、92、93を備えることができる。
図8(a)、(b)では、補助ボタン92を装着したものとして図示している。これにより、検出部40の位置を認識しやすくでき、商品選択の操作性を向上させることができる。また、
図8(a)、(b)で示す補助ボタン92は、例えば、グミのような触感を有するシリコン材料等の弾性部材で形成されている。また、補助ボタン90、91、92、93は、高誘電率材料又は導電性材料を混ぜることにより、近接、接触検出の感度を向上させることができる。
【0040】
補助ボタン90、91、92、93は、利用者が操作する外面11bにおいて、検出部40の各位置に対応して取付けられる。このため、
図5(d)に示したように、商品選択スイッチユニット30に位置決めのための金属部材95を設けている。金属部材95は、検出電極72、73の位置に対応して設けられる補助ボタン92等の取付位置を規定する位置決め部として機能する。
【0041】
図10(a)に示す取付け治具300は、金属部材95に対応する位置に金属部材95に吸着して位置決めされる磁石310を備えている。取付け治具300は、補助ボタン90、91、92、93の形状に対応するテンプレート穴301を備えている。このテンプレート穴301は、貫通穴である。本実施の形態では、
図10(b)に示すように、いずれの補助ボタン90、91、92、93も位置決め可能に収容できるテンプレート穴形状とされている。
【0042】
取付け治具300を磁石310により位置決めした状態で前面パネル11上に配置し、テンプレート穴301に、所定の補助ボタン90、91、92、93を配置する。これにより、補助ボタン90、91、92、93を検出部40(検出電極72、73)の各位置に対応して、前面パネル11上に取付けることができる。
【0043】
補助ボタン90、91、92、93は、種々の形状が可能である。例えば、
図9(a)で示す円形、円盤形状、
図9(b)で示す王冠形状、
図9(c)で示す花柄形状、
図9(d)で示すくまの形状、等である。
【0044】
補助ボタン90、91、92、93は、例えば、透光性の材料で形成することにより、
図6(a)で示した商品選択スイッチ(検出部40)の位置を照明する発光素子81により照明されることにより、背面側から光が見えてきれいで、意匠的にも効果を有する。
【0045】
(商品選択スイッチユニット30の自動販売機1への組み込み)
図3(a)、
図4(a)、
図5(a)等のようにユニット化された商品展示ユニット20と商品選択スイッチユニット30を、レイアウト自由な配置で、背面パネル12に配置する。この状態で、前面パネル11をセットする。
【0046】
商品選択スイッチユニット30は、
図3(b)、
図4(b)に示すように、バネ70による付勢力により、利用者が操作する前面パネル11の内面11aに当接する。これにより、商品選択スイッチユニット30に備えられた検出部40(検出電極72、73、金属リング75、76)が前面パネル11の内面11aに接近した状態で組み込まれる。
【0047】
利用者の手指200が、
図3(b)に示すように、前面パネル11の外面11bに近接、接触すると、検出部40における静電容量分布が変化することにより、利用者の手指200が近接した検出部40により、例えば、商品選択がされたものとして検出することができる。
【0048】
(制御系統の構成)
図11を参照すると、同図には自動販売機1の制御ユニットの機能ブロック図が示されている。同図において、符号60は制御ユニットである。この制御ユニット60には、検出部40の検出電極72、73が図示しない静電検出回路等の回路パターンを介して電気的に接続されるとともに、代金と引き換えに指定の商品を外部に払い出すための複数の物品払出ユニット61と、照明装置としての発光素子81、83、84、表示装置82、図示を省略した電源部とが電気的に接続されている。
【0049】
この制御ユニット60は、
図11に示すように、検出部40による検出時において購入商品の払出機能を有している。商品購入者が選択した商品と対応する検出部40の前面に対応する前面パネル11の外面11bに手指を近接又は接触すると、検出部40に静電容量の変化が生じることで、商品見本15に対応する購入商品の選択が完了する。購入商品の選択が完了すると、物品払出ユニット61の駆動により購入商品の払い出しを行い、待機状態に復帰する。
【0050】
なお、制御ユニット60の各構成要素は、CPU、メモリ、各構成要素を実現する制御プログラム、制御プログラムを格納する記憶ユニット、外部接続用インターフェースを中心にハードウェアとソフトウェアの任意の組合せによって実現される。その方法や装置としては、従来周知の各種の方法や装置を使用することができることは当業者には理解されるところであり、上記実施の形態、及び図示例に特定されるものではない。
【0051】
(実施の形態の効果)
(1)本実施の形態に係るスイッチ装置100は、背面パネル12に取り付けられ、展示用物品である商品見本15を載置する物品展示ユニットとしての商品展示ユニット20と、商品展示ユニット20に対し移動可能に支持されて連結され、利用者の手指の近接を静電容量値の変化によりスイッチ操作を検出する検出部を備えた操作検出ユニットとしての商品選択スイッチユニット30と、を有し、商品選択スイッチユニット30は、背面パネル12から離間する方向に付勢力を受けるように構成されている。これにより、自由度の高いレイアウト設計を可能とするスイッチ装置及びこれを備えた自動販売機を提供することが可能となる。
(2)商品展示ユニット20に支持されて連結される操作検出ユニットとしての商品選択スイッチユニット30が備える検出部40は、利用者の手指の近接を静電容量値の変化により検出する方式とされて前面パネル11から独立している。これにより、商品選択スイッチユニット30のレイアウト自由な配置をすることができる。
(3)検出部40の前部を前面パネル11の内面11aに当接させる構成としているので、利用者の手指の近接を確実に検出することができる。
(4)商品展示ユニット20又は商品選択スイッチユニット30が、背面パネル12に取り付けられた状態で、複数の穴部13の少なくとも一部を塞ぐように構成されている。これにより、取り付けに使用されない穴部13が利用者から視認できない、又は視認しにくいようにすることができる。
(5)基板71において、各検出部40と検出部40の間にガードパターン74が形成されている。これにより、耐ノイズ性が向上し、隣の検出部40との間での誤動作を抑制することができる。
(6)スプリングコネクタ52は、抜き差し方向において先に接続する位置に電源系の接続端子が配置されている。これにより、価格表示ユニット50の着脱において、先に、電源系の接続、接続解除が行われるので、接続時等における故障等を抑制することができる。
(7)検出電極72に接触又は近接して、円筒状の金属リング75が商品選択スイッチユニット30の前面38に向かって設けられている。また、検出電極73に接触又は近接して、円筒状の金属リング76が商品選択スイッチユニット30の前面38に向かって設けられている。これらの金属リング75、76は、サブ電極として機能し、検出電極の検出感度を増加させることができる。
(8)前面パネル11は、利用者が操作する外面11bにおいて、検出部40に対応する位置に取り付けられる補助ボタン90、91、92、93を備えることができる。これにより、検出部40の位置を認識しやすくでき、商品選択の操作性を向上させることができる。
(9)補助ボタン90、91、92、93は、高誘電率材料又は導電性材料を混ぜることにより、近接、接触検出の感度を向上させることができる。
【0052】
以上、本発明のいくつかの実施の形態及び変形例を説明したが、これらの実施の形態及び変形例は、一例に過ぎず、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。これら新規な実施の形態及び変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。また、これら実施の形態及び変形例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない。さらに、これら実施の形態及び変形例は、発明の範囲及び要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0053】
1…自動販売機、2…販売機本体、2a…箱体、2b…扉体、3…紙幣入出口、4…硬貨投入口、5…返却レバー、6…金額表示器、7…釣銭返却口、8…商品取出口、9…ドアロック、10…広告スペース、11…前面パネル、11a…内面、11b…外面、12…背面パネル、13…穴部、13b…穴部、14…商品見本展示台、14a…長穴部、14b…下面、14c…穴部、14d…フック部、15…商品見本(展示用物品)、16…空間(商品見本展示室)、20…商品展示ユニット(物品展示ユニット)、21、22…コネクタ、30…商品選択スイッチユニット(操作検出ユニット)、33…商品情報表示部、34…印刷プレート、35…筐体、37…ピン、37a…頭部、38…前面、39…価格表示ユニット収容部、39a…係合部、40…検出部、50…価格表示ユニット(情報表示ユニット)、51…係合部、52…スプリングコネクタ、52a、52b…接触ピン、53…価格表示部、60…制御ユニット、61…物品払出ユニット、70…バネ、71…基板、72、73…検出電極、72a、72b…ランド部、74…ガードパターン、75、76…金属リング、80…当接部材、81、83、84…発光素子、82…表示装置、90、91、92、93…補助ボタン、95…金属部材、100…スイッチ装置、200…手指、300…取付け治具、301…テンプレート穴