(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-21
(45)【発行日】2023-08-29
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理装置、及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 9/50 20060101AFI20230822BHJP
G06F 3/12 20060101ALI20230822BHJP
H04L 67/00 20220101ALI20230822BHJP
【FI】
G06F9/50 150Z
G06F3/12 367
H04L67/00
(21)【出願番号】P 2019055310
(22)【出願日】2019-03-22
【審査請求日】2022-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本田 卓也
【審査官】坂庭 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-140132(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0212763(US,A1)
【文献】特開2017-058793(JP,A)
【文献】特開2004-157867(JP,A)
【文献】特開2002-251356(JP,A)
【文献】特開2009-093406(JP,A)
【文献】特開2017-091157(JP,A)
【文献】特開2017-027271(JP,A)
【文献】特開2015-133614(JP,A)
【文献】特開2009-187103(JP,A)
【文献】特開2012-039527(JP,A)
【文献】特開2017-040994(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0253942(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 9/50
G06F 3/12
H04L 67/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ネットワークに接続された第1情報処理装置と、
前記第1ネットワークとは異なる第2ネットワークに接続された第2情報処理装置と、
前記第1ネットワークに接続可能で
あり、前記第2ネットワークには接続不可能な利用者端末と、
前記第1情報処理装置及び前記第2情報処理装置と通信可能な記憶装置と、
を備え、
前記第1情報処理装置は、前記利用者端末から前記第1ネットワークを介して
、処理要求
及び前記利用者端末を識別する端末識別子を受信した後、前記利用者端末の前記第1ネットワークへの接続が解除された場合に、前記処理要求
と当該端末識別子とを
関連付けて前記記憶装置に送信
し、
前記第2情報処理装置は、当該端末識別子を受信した場合に、当該端末識別子に関連付けられた前記処理要求の転送依頼を前記記憶装置に送信し、
前記記憶装置は、前記転送依頼に応じて、前記第1情報処理装置から受信した、当該端末識別子に関連付けられた前記処理要求を前記第2情報処理装置に転送し、
前記第2情報処理装置は、前記記憶装置から受信した前記処理要求を実行する、
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記第2情報処理装置は、前記記憶装置から前記処理要求を受信した後に、前記利用者端末が自装置から所定距離離れた場合、当該処理要求を前記記憶装置に返送する、
ことを特徴とする請求項
1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記利用者端末は、さらに、各処理要求についての転送可否を示す情報を前記第1情報処理装置に送信し、
前記第1情報処理装置は、前記第1ネットワークへの接続が解除された利用者端末の端末識別子に関連付けられた処理要求のうち、転送が許可された処理要求を前記記憶装置に送信する、
ことを特徴とする請求項
1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記第1情報処理装置は、所定時間、第1ネットワークを介した前記利用者端末との通信ができなかった場合に、前記利用者端末の前記第1ネットワークへの接続が解除されたと判定する、
ことを特徴とする請求項1から
3のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記第1情報処理装置は、前記利用者端末の前記第1ネットワークへの接続が解除され、かつ、自装置と前記利用者端末との間の距離が所定距離以上であるという条件、及び、現在時刻が前記利用者端末を利用する利用者の業務時間内であるという条件の少なくとも一方の条件を満たした場合に、前記処理要求を前記記憶装置に送信する、
ことを特徴とする請求項1から
4のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記第1情報処理装置、前記第2情報処理装置、及び、前記記憶装置の少なくとも1つの装置は、他の装置に送信した処理要求を自装置の記憶部から削除する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記第1情報処理装置、前記第2情報処理装置、及び、前記記憶装置の少なくとも1つの装置は、他の装置に処理要求を送信した際に前記利用者端末に通知する、
ことを特徴とする請求項
6に記載の情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理装置、及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ネットワークに接続可能な画像形成装置が知られている。このような画像形成装置は、ネットワークを利用した機能を有している。
【0003】
例えば、特許文献1には、処理要求から取得されるIPアドレスと、画像形成装置のIPアドレスとに基づいて、処理要求の送信元端末が画像形成装置の遠方にあると判断した場合に、当該送信元端末に印刷の要否を確認する画像形成装置が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、画像形成装置のIPアドレスを含む処理要求を受信し、当該IPアドレス自装置のIPアドレスでない場合に、他の画像形成装置に当該処理要求を転送する画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第4411957号公報
【文献】特開2006-212898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
第1ネットワークに接続された第1情報処理装置と、第1ネットワークとは異なる第2ネットワークに接続された第2情報処理装置と、第1ネットワークと第2ネットワークとの両方に接続可能な利用者端末を有するシステムを考える。ここで、第1ネットワークと第2ネットワークとが異なるとは、例えば互いのネットワークがファイアウォールなどによって隔てられるなどして、第1ネットワークに接続された装置から第2ネットワークに接続された装置へアクセスできない状態を意味する。
【0007】
このようなシステムにおいて、第1ネットワークに接続した利用者端末が第1情報処理装置に処理要求を送信した後、利用者端末(及び利用者)が移動するなどして、利用者が先に送信した処理要求を第2情報処理装置で処理したい場合がある。このような場合、第1情報処理装置から第2情報処理装置に当該処理要求を転送することができないため、利用者は、改めて、第2情報処理装置に当該処理要求を送信しなければならなかった。
【0008】
本発明の目的は、第1ネットワーク内で利用者端末から第1情報処理装置に向けて処理要求を送信した後に、改めて利用者が処理要求を送信する必要なく、第1ネットワークとは異なる第2ネットワーク内にある第2情報処理装置において当該処理要求を実行可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、第1ネットワークに接続された第1情報処理装置と、前記第1ネットワークとは異なる第2ネットワークに接続された第2情報処理装置と、前記第1ネットワークに接続可能であり、前記第2ネットワークには接続不可能な利用者端末と、前記第1情報処理装置及び前記第2情報処理装置と通信可能な記憶装置と、を備え、前記第1情報処理装置は、前記利用者端末から前記第1ネットワークを介して、処理要求及び前記利用者端末を識別する端末識別子を受信した後、前記利用者端末の前記第1ネットワークへの接続が解除された場合に、前記処理要求と当該端末識別子とを関連付けて前記記憶装置に送信し、前記第2情報処理装置は、当該端末識別子を受信した場合に、当該端末識別子に関連付けられた前記処理要求の転送依頼を前記記憶装置に送信し、前記記憶装置は、前記転送依頼に応じて、前記第1情報処理装置から受信した、当該端末識別子に関連付けられた前記処理要求を前記第2情報処理装置に転送し、前記第2情報処理装置は、前記記憶装置から受信した前記処理要求を実行する、ことを特徴とする情報処理システムである。
【0012】
請求項2に係る発明は、前記第2情報処理装置は、前記記憶装置から前記処理要求を受信した後に、前記利用者端末が自装置から所定距離離れた場合、当該処理要求を前記記憶装置に返送する、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理システムである。
【0014】
請求項3に係る発明は、前記利用者端末は、さらに、各処理要求についての転送可否を示す情報を前記第1情報処理装置に送信し、前記第1情報処理装置は、前記第1ネットワークへの接続が解除された利用者端末の端末識別子に関連付けられた処理要求のうち、転送が許可された処理要求を前記記憶装置に送信する、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理システムである。
【0015】
請求項4に係る発明は、前記第1情報処理装置は、所定時間、第1ネットワークを介した前記利用者端末との通信ができなかった場合に、前記利用者端末の前記第1ネットワークへの接続が解除されたと判定する、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理システムである。
【0016】
請求項5に係る発明は、前記第1情報処理装置は、前記利用者端末の前記第1ネットワークへの接続が解除され、かつ、自装置と前記利用者端末との間の距離が所定距離以上であるという条件、及び、現在時刻が前記利用者端末を利用する利用者の業務時間内であるという条件の少なくとも一方の条件を満たした場合に、前記処理要求を前記記憶装置に送信する、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理システムである。
【0017】
請求項6に係る発明は、前記第1情報処理装置、前記第2情報処理装置、及び、前記記憶装置の少なくとも1つの装置は、他の装置に送信した処理要求を自装置の記憶部から削除する、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理システムである。
【0018】
請求項7に係る発明は、前記第1情報処理装置、前記第2情報処理装置、及び、前記記憶装置の少なくとも1つの装置は、他の装置に処理要求を送信した際に前記利用者端末に通知する、ことを特徴とする請求項6に記載の情報処理システムである。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に係る発明によれば、第1ネットワーク内で利用者端末から第1情報処理装置に向けて処理要求を送信した後に、改めて利用者が処理要求を送信する必要なく、第1ネットワークとは異なる第2ネットワーク内にある第2情報処理装置において当該処理要求を実行可能とすることができる。
【0024】
請求項2に係る発明によれば、処理要求が第2情報処理装置内に残ってしまうことを防止することができる。
【0026】
請求項3に係る発明によれば、転送不可とされた処理要求を第1情報処理装置が記憶装置へ送信しないようにすることができる。
【0027】
請求項4に係る発明によれば、第1情報処理装置と利用者端末との通信ができなかった場合に直ちに処理要求を記憶装置に送信する場合に比して、利用者端末の第1ネットワークへの接続が解除されたことをより確実に確認した上で、処理要求を記憶装置に送信することができる。
【0028】
請求項5に係る発明によれば、第1情報処理装置と利用者端末との接続が解除された場合であっても、利用者が第2情報処理装置で処理要求を実行しないと判断される場合に、処理要求を第1情報処理装置が記憶装置へ送信しないようにすることができる。
【0029】
請求項6に係る発明によれば、複数の装置に処理要求が記憶されている状態を避けることができる。
【0030】
請求項7に係る発明によれば、利用者は、処理要求がどこに記憶されているのかを把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本実施形態に係る情報処理システムの構成概略図である。
【
図2】本実施形態に係るユーザ端末の構成概略図である。
【
図3】本実施形態に係る第1情報処理装置の構成概略図である。
【
図5】本実施形態に係る第2情報処理装置の構成概略図である。
【
図6】本実施形態に係る情報処理システムの処理の流れを示す第1のフローチャートである。
【
図7】本実施形態に係る情報処理システムの処理の流れを示す第2のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、本実施形態に係る情報処理システム10の構成概略図である。情報処理システム10は、利用者(すなわちユーザ)が利用するユーザ端末12、第1情報処理装置14、第2情報処理装置16、及び、記憶装置としてのストレージ18を含んで構成されている。なお、
図1には、ユーザ端末12が1つのみ示されているが、情報処理システム10は、複数のユーザが利用する複数のユーザ端末12を含んでいてもよい。
【0033】
第1情報処理装置14は、例えばLANにより構成されている第1ネットワーク20に接続されており、第1ネットワーク20に接続された他の装置から処理要求(すなわちジョブ)を受信し、当該ジョブを実行することができる。
【0034】
第1ネットワーク20には、第1ファイアウォール22が設けられている。第1ファイアウォール22は、第1ネットワーク20の外部からのアクセスを監視し、許可されていないアクセスを遮断するものである。第1ファイアウォール22は、ユーザ端末12の第1ネットワーク20へのアクセスを許可しており、つまり、ユーザ端末12は、第1ネットワーク20に接続可能となっている。
【0035】
本実施形態では、第1情報処理装置14はシェアオフィスに設置され、第1ネットワーク20はシェアオフィス内に敷設されたネットワークである。第1ネットワーク20には、シェアオフィスを利用する、多種多様な業種のユーザが利用する複数のユーザ端末12が接続可能となっており、各ユーザは、第1情報処理装置14を共有して利用することができるようになっている。もちろん、第1情報処理装置14が設置されるのはシェアオフィスに限られず、例えば、ユーザが勤務する会社などであってもよい。
【0036】
第2情報処理装置16は、第1ネットワーク20とは異なる第2ネットワーク24に接続されている。第2ネットワーク24も、例えばLANにより構成されている。上述の通り、第1ネットワーク20と第2ネットワーク24とが異なるとは、第1ネットワーク20に接続された装置から第2ネットワーク24に接続された装置へアクセスできない状態を意味する。第2情報処理装置16も、第2ネットワーク24に接続された他の装置からジョブを受信し、当該ジョブを実行することができる。
【0037】
第2ネットワーク24には、第2ファイアウォール26が設けられている。第2ファイアウォール26は、第2ネットワーク24の外部からのアクセスを監視し、許可されていないアクセスを遮断するものである。第1ネットワーク20に設けられた第1ファイアウォール22、及び、第2ネットワーク24に設けられた第2ファイアウォール26により、第1ネットワーク20に接続された装置から第2ネットワーク24に接続された装置へのアクセスが遮断される。本実施形態では、第2ファイアウォール26は、ユーザ端末12の第2ネットワーク24へのアクセスを許可しておらず、つまり、ユーザ端末12は、第2ネットワーク24に接続不可となっている。なお、第2ファイアウォール26がユーザ端末12の第2ネットワーク24への接続を許可し、ユーザ端末12が第2ネットワーク24にも接続可能となっていてもよい。
【0038】
本実施形態では、第2情報処理装置16は、シェアオフィスの外に設置される。例えば、コンビニエンスストアなどである。この場合、第2ネットワーク24は、コンビニエンスストア内に敷設されたネットワークとなる。
【0039】
ストレージ18は、例えばサーバコンピュータにより構成される。ストレージ18は、例えば通信モジュールなどから構成される通信部と、ハードディスクなどのメモリから構成される記憶部と、CPUなどから構成される制御部とを含んで構成される。第1ファイアウォール22は、ストレージ18と第1情報処理装置14との通信を許可しており、第2ファイアウォール26は、ストレージ18と第2情報処理装置16との通信を許可している。つまり、ストレージ18は、インターネットあるいはLANなどを含む通信回線28を介して、第1情報処理装置14及び第2情報処理装置16と通信可能に接続されている。
【0040】
図2は、ユーザ端末12の構成概略図である。ユーザ端末12は、持ち運び可能な携帯端末であり、例えばラップトップPC、タブレット端末、あるいはスマートフォンなどである。もちろん、ユーザ端末12としては、このような装置に限られず、以下に説明する機能を発揮する限りにおいてどのような装置であってもよい。
【0041】
ネットワーク通信部30は、例えばLANカードなどを含んで構成される。ネットワーク通信部30は、第1ネットワーク20を介して第1情報処理装置14と通信する。ネットワーク通信部30は、第1情報処理装置14にジョブを送信する。
【0042】
近距離通信部32は、例えばブルートゥース(登録商標)モジュールなどを含んで構成される。近距離通信部32は、ユーザ端末12の近傍にある、同様に近距離通信部を持つ他の装置とぺアリングを行った上で、当該他の装置と直接無線通信する。また、近距離通信部32は、ユーザ端末12の近傍範囲内に、所定の情報を無線で発信する。
【0043】
表示部34は、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどで構成される。表示部34には、ユーザに対する種々の情報が表示される。
【0044】
入力部36は、例えばタッチパネル、ボタン、あるいはキーボードなどを含んで構成される。入力部36は、ユーザの指示をユーザ端末12に入力するために用いられる。
【0045】
記憶部38は、例えばROM、RAM、あるいはハードディスクなどを含んで構成される。記憶部38には、ユーザ端末12の各部を動作させるためのプログラムが記憶される。また、記憶部38には、端末識別子としての端末ID40が記憶される。端末ID40は、当該ユーザ端末12を一意に識別するものである。端末ID40は、例えば、当該ユーザ端末12のMACアドレスと、ユーザがユーザ端末12にログインしたときのログイン情報とを組み合わせて生成される。
【0046】
制御部42は、例えばCPUあるいはマイクロコントローラなどを含んで構成される。制御部42は、記憶部38に記憶されたプログラムに従って、ユーザ端末12の各部を制御する。また、
図2に示されるように、制御部42は、ジョブ生成部44及び発信制御部46としても機能する。
【0047】
ジョブ生成部44は、第1情報処理装置14又は第2情報処理装置16に処理を実行させるためのジョブを生成する。本実施形態では、ジョブ生成部44は、第1情報処理装置14又は第2情報処理装置16に印刷処理を実行させるための印刷ジョブを生成する。例えば、制御部42が文書作成アプリケーションを実行し、ユーザが、作成した文書の印刷指示を入力部36から入力すると、ジョブ生成部44は、当該文書を印刷するための印刷ジョブを生成する。なお、ジョブ生成部44が生成するジョブは、第1情報処理装置14又は第2情報処理装置16に何らかの処理を実行させるものであれば、その他のジョブであってもよい。
【0048】
ジョブ生成部44は、生成したジョブと端末ID40とを関連付けて、ネットワーク通信部30から第1ネットワーク20を介して第1情報処理装置14に送信する。本実施形態では、ジョブ生成部44は、端末ID40をジョブに含めて第1情報処理装置14に送信する。なお、端末ID40をジョブに含めずに、ジョブと端末ID40とを関連付けた上で別個に送信するようにしてもよい。
【0049】
好適には、ジョブ生成部44は、ユーザにより設定された、ジョブの転送可否を示す転送可否情報をジョブに関連付けて第1情報処理装置14に送信する。詳しくは後述するが、所定の条件を満たした場合に、ユーザ端末12から第1情報処理装置14に送信されたジョブは、第1情報処理装置14からストレージ18に送信される。転送可否情報とは、ジョブが第1情報処理装置14からストレージ18に送信されるのを許可するか否かを示す情報である。なお、本実施形態では、転送可否情報もジョブに含められるが、ジョブ生成部44は、ジョブと転送可否情報とを関連付けた上で別個に送信するようにしてもよい。
【0050】
発信制御部46は、近距離通信部32からの情報発信に関する制御を行う。具体的には、発信制御部46は、第1情報処理装置14にジョブを送信し、第1情報処理装置14からジョブ受理したことを示す受信確認情報をネットワーク通信部30が受信すると、近距離通信部32に端末ID40の発信を開始させる。これは、ユーザ端末12の近接を第1情報処理装置14又は第2情報処理装置16に知らせるためである。また、後述するように、発信制御部46は、所定の条件を満たした場合に、近距離通信部32に、端末ID40に代えて、ジョブの実行指示を示す実行指示情報の発信を開始させる。
【0051】
図3は、第1情報処理装置14の構成概略図である。本実施形態に係る第1情報処理装置14は、印刷処理が可能な画像形成装置であるが、第1情報処理装置14としては、ユーザ端末12から送信されてきたジョブを実行可能な限りにおいて、その他の装置であってもよい。
【0052】
ネットワーク通信部50は、例えばLANカードなどを含んで構成される。ネットワーク通信部50は、第1ネットワーク20を介して、ユーザ端末12及びストレージ18と通信する。ネットワーク通信部50は、ユーザ端末12からジョブを受信する。また、ネットワーク通信部50は、ユーザ端末12からジョブを受信した際に、受信確認情報をユーザ端末12に送信する。さらに、ネットワーク通信部50は、所定の条件を満たした場合に、ユーザ端末12から受信したジョブをストレージ18に送信する。
【0053】
近距離通信部52は、例えばブルートゥースモジュールなどを含んで構成される。近距離通信部52は、第1情報処理装置14の近傍にある、同様に近距離通信部を持つ他の装置とペアリングを行った上で、当該他の装置と直接無線通信するために用いられる。特に、近距離通信部52は、ユーザ端末12との間で近距離通信を行う。また、近距離通信部52は、ユーザ端末12の近距離通信部32が発信した情報を受信する。
【0054】
表示部54は、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどで構成される。表示部54には、第1情報処理装置14に関する種々の情報が表示される。
【0055】
入力部56は、例えばタッチパネルあるいはボタンなどを含んで構成される。入力部56は、ユーザの指示を第1情報処理装置14に入力するために用いられる。
【0056】
記憶部58は、例えばROM、RAM、あるいはハードディスクなどを含んで構成される。記憶部58には、第1情報処理装置14の各部を動作させるための情報処理プログラムが記憶される。また、記憶部58は、受信したジョブと、当該ジョブに関するジョブ情報を保持するジョブ保持部60を有する。
【0057】
図4は、ジョブ情報の内容例が示されている。ジョブ情報は、ジョブ保持部60に保持されたジョブを一意に識別するジョブIDと、当該ジョブを送信したユーザ端末12の端末ID40と、当該ジョブの転送可否とが互いに関連付けられて記憶される。ジョブIDは、ユーザ端末12からジョブを受信した際に、後述の制御部64によってジョブに付与される。端末ID40及び転送可否は、当該ジョブに関連付けられてユーザ端末12から送信されたものである。
【0058】
ジョブを受信する度に、ジョブ保持部60にジョブ及びジョブ情報が保持され、ジョブが実行されるか、あるいはジョブがストレージ18に送信されると、当該ジョブ及び当該ジョブに対応するジョブ情報がジョブ保持部60から削除される。
【0059】
画像形成部62は、感光体ドラム、トナー、あるいは記録媒体搬送装置などを含んで構成される。画像形成部62は、ジョブ保持部60に保持されたジョブに応じて、画像を記録媒体上に形成する印刷処理を実行する。
【0060】
制御部64は、例えばCPUあるいはマイクロコントローラなどを含んで構成される。制御部64は、記憶部58に記憶された情報処理プログラムに従って、第1情報処理装置14の各部を制御する。また、
図3に示されるように、制御部64は、接続解除検出部66、ジョブ送信処理部68、ジョブ実行部70、及び、通知処理部72としての機能を有する。
【0061】
接続解除検出部66は、ユーザ端末12からジョブを受信した後、当該ユーザ端末12の第1ネットワーク20への接続が解除されたか否かを検出する。ユーザ端末12の第1ネットワーク20への接続が解除されたか否かは、種々の方法で検出することができる。
【0062】
例えば、接続解除検出部66は、ジョブを受信したことをトリガとして、ジョブを送信したユーザ端末12に対して、第1ネットワーク20を介して接続確認情報を間欠的に送信する。例えば、接続解除検出部66は、ユーザ端末12に対してPingを定期的に送信する。なお、接続確認情報の送り先は、ユーザ端末12からジョブと共に受信するジョブの送信元を示す情報(例えば送信元IPアドレス)に基づいて特定することができる。そして、接続解除検出部66は、所定時間、第1ネットワーク20を介したユーザ端末12との通信ができなかった場合に、ユーザ端末12の第1ネットワーク20への接続が解除されたと判定する。例えば、送信したPingに対する応答がユーザ端末12から所定時間返って来なかった場合に、ユーザ端末12の第1ネットワーク20への接続が解除されたと判定する。
【0063】
また、上述のように、ユーザ端末12は、第1情報処理装置14から受信確認情報を受信すると、端末ID40の発信を開始するから、接続解除検出部66は、ジョブを送信したユーザ端末12から近距離通信部52が受信した端末ID40を示す電波の電波強度が、所定の強度以下となった場合に、ユーザ端末12の第1ネットワーク20への接続が解除されたと判定するようにしてもよい。
【0064】
また、端末ID40と、当該端末ID40が示すユーザ端末12を利用するユーザを識別するユーザIDとを関連付けて記憶部58に記憶しておいた上で、接続解除検出部66は、第1ネットワーク20が敷設されたエリアに対するユーザの入退場を管理する入退場管理システムからの情報に基づいて、ユーザ端末12の第1ネットワーク20への接続が解除されたか否かを判定するようにしてもよい。例えば、接続解除検出部66は、ジョブを送信したユーザ端末12を利用するユーザが退場したことを入退場管理システムが検出した場合に、入退場管理システムから当該ユーザが退場したことを通知してもらい、当該通知を受けた場合に、ユーザ端末12の第1ネットワーク20への接続が解除されたと判定するようにしてもよい。
【0065】
さらに、接続解除検出部66は、上記の複数の判定方法を組み合わせて、ユーザ端末12の第1ネットワーク20への接続が解除されたか否かを判定するようにしてもよい。
【0066】
ジョブ送信処理部68は、第1情報処理装置14にジョブを送信したユーザ端末12の第1ネットワーク20への接続が解除されたことを接続解除検出部66が検出した場合に、当該ジョブと当該ユーザ端末12の端末ID40とを関連付けてストレージ18に送信する。その上で、ジョブ送信処理部68は、送信したジョブと、当該ジョブのジョブ情報をジョブ保持部60から削除する。
【0067】
第1情報処理装置14にジョブを送信したユーザ端末12の第1ネットワーク20への接続が解除された場合、当該ユーザ端末12を利用するユーザが、第1ネットワーク20が敷設されたエリア(本実施形態ではシェアオフィス)から離れた可能性がある。この場合、当該ユーザは、既に第1情報処理装置14に送信したジョブを第1情報処理装置14で実行しない可能性がある。さらに言えば、当該ユーザは、当該ジョブを他の情報処理装置、例えばコンビニエンスストアに設置された第2情報処理装置16で実行したいと考える場合がある。
【0068】
したがって、ジョブ送信処理部68は、第1情報処理装置14にジョブを送信したユーザ端末12の第1ネットワーク20への接続が解除された場合、第2情報処理装置16と通信可能であるストレージ18に、当該ジョブと端末ID40を送信する。ストレージ18は、受信したジョブと端末IDとを関連付けてストレージ18の記憶部に保持する。これにより、ユーザが第2情報処理装置16で当該ジョブを実行したい場合、ストレージ18が第2情報処理装置16に当該ジョブを転送できるから、第2情報処理装置16において当該ジョブを実行可能となる。
【0069】
また、ジョブ保持部60に保持されたジョブに関する情報が表示部54に表示され得るならば、第1情報処理装置14で処理しない可能性があるジョブをジョブ保持部60に残しておくと、当該ジョブを送信したユーザ以外の他のユーザに当該ジョブに関する情報(例えばファイル名や送信ユーザ名など)を見られてしまう可能性がある。特に、本実施形態のように第1情報処理装置14がシェアオフィスに設置されている場合には、ジョブに関する情報が多種多様な業種の複数のユーザに見られてしまう可能性がある。したがって、ジョブ送信処理部68が、ストレージ18に送信したジョブ及び当該ジョブのジョブ情報をジョブ保持部60から削除することで、当該ジョブに関する情報を他人に見られることを防止することができる。
【0070】
複数のユーザ端末12から送信された複数のジョブがジョブ保持部60に保持されている場合、ジョブ送信処理部68は、ジョブ保持部60に保持された複数のジョブの中から、第1ネットワーク20への接続が解除されたユーザ端末12の端末IDに関連付けられたジョブをストレージ18に送信する。例えば、ジョブ保持部60に
図4に示すようなジョブ情報が保持されている状態において、第1ネットワーク20への接続が解除されたユーザ端末12の端末IDが「D0001」である場合、ジョブID「J0001」及び「J0003」が示す2つのジョブをストレージ18に送信し、ジョブID「J0002」及び「J0004」が示すジョブはストレージ18に送信しない。
【0071】
さらに、第1ネットワーク20への接続が解除されたユーザ端末12の端末IDに関連付けられたジョブのうち、転送可否情報において転送が許可されたジョブのみをストレージ18に送信するようにしてもよい。例えば、ジョブ保持部60に
図4に示すようなジョブ情報が保持されている状態において、第1ネットワーク20への接続が解除されたユーザ端末12の端末IDが「D0001」である場合、端末ID「D0001」に関連付けられ、かつ、転送可否情報が「可」、つまり転送が許可された、ジョブID「J0001」が示すジョブをストレージ18に送信し、端末ID「D0001」に関連付けられてはいるが、転送可否情報が「否」、つまり転送が許可されていない、ジョブID「J0003」はストレージ18に送信しないようにしてもよい。
【0072】
また、ジョブ送信処理部68は、第1情報処理装置14にジョブを送信したユーザ端末12の第1ネットワーク20への接続が解除されたことを接続解除検出部66が検出し、かつ、第1情報処理装置14と当該ユーザ端末12との間の距離が所定距離以上であるという距離条件を満たした場合に、当該ジョブと当該ユーザ端末12の端末IDとを関連付けてストレージ18に送信するようにしてもよい。
【0073】
第1ネットワーク20への接続が解除されたことを接続解除検出部66が検出するのみならず、第1情報処理装置14と当該ユーザ端末12との間の距離が所定距離以上となれば、より、当該ユーザ端末12を利用するユーザが第1ネットワーク20が敷設されたエリアから離れた可能性が高くなる。したがって、ジョブ送信処理部68は、第1ネットワーク20への接続が解除されたことを接続解除検出部66が検出するのみならず、さらに上記距離条件を満たす場合に当該ジョブと端末IDとをストレージ18に送信することで、第1ネットワーク20が敷設されたエリアから当該ユーザが離れた可能性がより高い場合、つまり、当該ジョブを第1情報処理装置14で実行しない可能性がより高い場合に、当該ジョブと端末ID40とをストレージ18に送信することができる。
【0074】
なお、第1情報処理装置14とユーザ端末12との間の距離は、例えば以下のように取得することができる。ユーザ端末12に現在位置取得部(例えばGPS)を設けておき、ユーザ端末12が、ネットワーク通信部30あるいは近距離通信部32から、ユーザ端末12の現在位置を示す現在位置情報を定期的に第1情報処理装置14に送信する。第1情報処理装置14は、受信した現在位置情報と、既知である自装置の現在位置に基づいて、第1情報処理装置14とユーザ端末12との間の距離を取得する。
【0075】
また、ジョブ送信処理部68は、第1情報処理装置14にジョブを送信したユーザ端末12の第1ネットワーク20への接続が解除されたことを接続解除検出部66が検出し、かつ、現在時刻が当該ユーザ端末12を利用するユーザの業務時間内であるという時間条件を満たした場合に、当該ジョブと当該ユーザ端末12の端末IDとを関連付けてストレージ18に送信するようにしてもよい。
【0076】
ユーザの業務時間外の時刻において、当該ユーザのユーザ端末12の第1ネットワーク20への接続が解除された場合、それは、単に当該ユーザが帰宅することを意味する可能性がある。この場合、当該ユーザは、次の日に再度第1ネットワーク20が敷設されたエリアに来て、当該ジョブを第1情報処理装置14において実行する可能性がある。一方、ユーザの業務時間内の時刻において、当該ユーザのユーザ端末12の第1ネットワーク20への接続が解除された場合、当該ユーザは、他の場所で業務を続ける可能性が高く、そうであるならば、当該ユーザが当該ジョブを他の情報処理装置で設置された第2情報処理装置16で実行したい場合が考えられる。したがって、ジョブ送信処理部68は、第1ネットワーク20への接続が解除されたことを接続解除検出部66が検出するのみならず、さらに上記時間条件を満たす場合に当該ジョブと端末IDとをストレージ18に送信することで、当該ジョブを第1情報処理装置14で実行しない可能性がより高い場合に、当該ジョブと端末ID40とをストレージ18に送信することができる。
【0077】
さらに、ジョブ送信処理部68は、第1情報処理装置14にジョブを送信したユーザ端末12の第1ネットワーク20への接続が解除されたことを接続解除検出部66が検出し、かつ、上記距離条件及び時間条件の両方を満たした場合に、当該ジョブと当該ユーザ端末12の端末IDとを関連付けてストレージ18に送信するようにしてもよい。
【0078】
仮に、第1情報処理装置14がストレージ18にジョブを送信した後に、ユーザが当該ジョブを第1情報処理装置14にて実行しようとした場合、第1情報処理装置14は、当該ジョブを保持していないため、ストレージ18から当該ジョブを返送してもらう必要がある。この場合、本来不要だった第1情報処理装置14とストレージ18との間の余分な通信が生じてしまう。上述のように、ジョブ送信処理部68がジョブをストレージ18に送信する条件を厳しくして、当該ジョブを第1情報処理装置14で実行しない可能性がより高い場合に、当該ジョブと端末ID40とをストレージ18に送信することで、上記のような余分な通信が生じることを抑制することができる。
【0079】
ジョブ実行部70は、ユーザ端末12から受信したジョブに基づいて、画像形成部62に印刷処理を実行させる。具体的には、まず、ジョブ実行部70は、ユーザ端末12からジョブを受信した後、接続解除検出部66が当該ユーザ端末12の第1ネットワーク20への接続解除を検出せずに、近距離通信部52が、ユーザ端末12が発信する端末ID40を受信した場合に、ジョブ保持部60に、受信した端末ID40に対応するジョブが保持されているか否かを確認する。
【0080】
受信した端末ID40に対応するジョブがジョブ保持部60に保持されている場合、ジョブ実行部70は、近距離通信部52からユーザ端末12に対して、受信した端末ID40に対応するジョブを保持していることの通知を送信する。当該通知には、当該ジョブのジョブIDが含まれている。なお、受信した端末ID40に対応するジョブが保持されていない場合、過去に当該ジョブをストレージ18に送信しているならば、ジョブ実行部70は、ストレージ18に当該ジョブの返送依頼を送信してストレージ18から当該ジョブを返送してもらった上で、ユーザ端末12に上記通知を送信する。受信した端末ID40に対応するジョブをユーザ端末12から受信したことがなければ、ジョブ実行部70はそれ以上の処理は実行しない。
【0081】
当該通知に基づいて、ユーザ端末12の表示部34には、ユーザにジョブの実行指示を第1情報処理装置14に送信するか否かを確認するための画面が表示される。ユーザが当該画面にて実行指示の送信を指示すると、ユーザ端末12の近距離通信部32からは、端末ID40に代えて、当該ジョブの実行指示を示す実行指示情報が発信される。実行指示情報には、実行指示の対象となるジョブのジョブIDが含まれている。第1情報処理装置14の近距離通信部52が当該実行指示情報を受信すると、ジョブ実行部70は、当該実行指示情報に含まれるジョブIDに対応するジョブを画像形成部62に実行させる。
【0082】
ジョブ実行部70は、ジョブの実行が完了した後、実行したジョブと、当該ジョブのジョブ情報をジョブ保持部60から削除する。
【0083】
なお、ユーザは、第1情報処理装置14を直接操作してジョブの実行指示を入力することができる。具体的には、ジョブ実行部70は、ユーザ端末12からジョブを受信した後に、当該ジョブを実行するか否かを確認するための画面を第1情報処理装置14の表示部54に表示させ、入力部56から当該ジョブの実行指示がユーザによって入力された場合に、画像形成部62に当該ジョブを実行させるようにしてもよい。また、ジョブ実行時のセキュリティを高める目的で、ユーザ端末12からジョブを第1情報処理装置14に送信する際にパスワードを設定しておき、入力部56から実行指示を入力する際に、ユーザにパスワードの入力を求め、先に設定したパスワードと入力したパスワードが一致する場合に、画像形成部62に当該ジョブを実行させるようにしてもよい。また、ジョブに関する情報(例えばファイル名や送信ユーザ名など)を他のユーザに見られないようにするために、表示部54にジョブを実行するか否かを確認するための画面を表示させる際、に関する情報を表示させないようにしてもよい。
【0084】
通知処理部72は、ジョブ実行部70がジョブの実行を完了したこと、及び、当該ジョブと当該ジョブに関するジョブ情報がジョブ保持部60から削除されたこと示す実行完了通知を、近距離通信部52からユーザ端末12に送信する。
【0085】
また、通知処理部72は、ジョブ送信処理部68によってジョブがストレージ18に送信された場合に、ジョブがストレージ18に送信されたこと、及び、当該ジョブと当該ジョブに関するジョブ情報がジョブ保持部60から削除されたこと示すジョブ送信通知をユーザ端末12に送信する。この場合、ユーザ端末12は、第1ネットワーク20に接続されておらず、また、第1情報処理装置14から離れた位置にある可能性が高いため、通知処理部72は、ジョブ送信通知を保持しておき、再度、ユーザ端末12が第1ネットワーク20に接続された際に、ジョブ送信通知をネットワーク通信部50からユーザ端末12に送信する。あるいは、第1情報処理装置14とユーザ端末12とが、インターネット回線あるいは携帯電話通信網などの別途の通信手段で通信可能な場合には、当該別途の通信手段にてジョブ送信通知を送信するようにしてもよい。この場合、ユーザ端末12に対するジョブ送信通知の送信先は、予めユーザに入力させる、あるいは、ジョブと共に受信するなどの方法で予め取得しておく。
【0086】
図5は、第2情報処理装置16の構成概略図である。第2情報処理装置16のハードウェア構成は、第1情報処理装置14と同様であるため、その説明は省略する。また、以下においては、第1情報処理装置14との間で機能の面で差異があるところのみを説明し、機能的に同様な構成要件については説明を省略する。
【0087】
ネットワーク通信部80は、第2ネットワーク24を介して、ストレージ18と通信する。ネットワーク通信部80は、ストレージ18からジョブを受信し、また、ストレージ18に対してジョブを送信する。
【0088】
ジョブ実行部94は、ユーザ端末12が第2情報処理装置16に近接した際に、当該ユーザ端末12が先に第1情報処理装置14に送信したジョブを実行する。具体的には、まず、ジョブ実行部94は、ユーザ端末12から発信される端末ID40を近距離通信部82が受信したか否かを判定する。端末ID40を発信しているユーザ端末12が第2情報処理装置16に近接し、近距離通信部82が当該端末ID40を受信すると、ジョブ実行部94は、第2情報処理装置16の記憶部88に、受信した端末ID40に対応するジョブが保持されているか否かを確認する。既にストレージ18から当該ジョブが転送されていなければ、記憶部88に当該ジョブは保持されていないから、ジョブ実行部94は、受信した端末ID40及びジョブの転送依頼をネットワーク通信部80からストレージ18に送信する。
【0089】
ストレージ18は、第2情報処理装置16から端末ID40と転送依頼を受信して、当該転送依頼に応じて、ストレージ18の記憶部に保持された、当該端末ID40に関連付けられたジョブを第2情報処理装置16に転送する。ストレージ18は、送信したジョブと、当該ジョブに関連付けられた端末ID40をストレージ18の記憶部から削除する。また、ストレージ18は、ジョブを第2情報処理装置16に送信したこと、及び、ストレージ18は、ジョブが第2情報処理装置16に送信されたこと、及び、当該ジョブと当該ジョブに関連付けられた端末ID40がストレージ18から削除されたこと示すジョブ送信通知をユーザ端末12に送信するようにしてもよい。ストレージ18からユーザ端末12へのジョブ送信通知は、インターネット回線あるいは携帯電話通信網などの通信手段を用いて行う。この場合、ユーザ端末12に対するジョブ送信通知の送信先は、ジョブ及び端末ID40と共に第1情報処理装置14から受信する。
【0090】
ストレージ18から送信されたジョブと、近距離通信部82が受信した端末ID40は、関連付けられて記憶部88に保持される。
【0091】
以後のジョブ実行部94の処理は、第1情報処理装置14のジョブ実行部70の処理と同様である。すなわち、ジョブ実行部94は、近距離通信部82からユーザ端末12に対して、受信した端末ID40に対応するジョブを保持していることの通知を送信する。当該通知に対して、ユーザが実行指示の送信を指示すると、ユーザ端末12の近距離通信部32からは、端末ID40に代えて、当該ジョブの実行指示を示す実行指示情報が発信される。第2情報処理装置16の近距離通信部82が当該実行指示情報を受信すると、ジョブ実行部94は、当該実行指示情報に含まれるジョブIDに対応するジョブを画像形成部62に実行させる。そして、ジョブ実行部94は、ジョブの実行が完了した後、実行したジョブと、当該ジョブに関連付けられた端末ID40とを記憶部88から削除する。もちろん、ユーザは、第2情報処理装置16を直接操作してジョブの実行指示を入力することもできる。
【0092】
ユーザ端末12が、一旦は第2情報処理装置16に近接して、第2情報処理装置16がストレージ18からジョブを受信した後に、再度ユーザ端末12が第2情報処理装置16から離れる場合が考えられる。この場合、当該ユーザは、既に第2情報処理装置16に送信されたジョブを第2情報処理装置16で実行しない可能性がある。第2情報処理装置16に当該ジョブを残しておくと、当該ジョブを送信したユーザ以外の他のユーザに当該ジョブに関する情報を見られてしまう可能性がある。
【0093】
したがって、ジョブ送信処理部96は、第2情報処理装置16がストレージ18からジョブを受信した後に、ユーザ端末12が第2情報処理装置16から所定距離離れた場合、当該ジョブ及び当該ジョブに関連付けられた端末ID40をストレージ18に返送する。その上で、ジョブ送信処理部96は、送信したジョブと当該端末ID40とを記憶部88から削除する。
【0094】
なお、第2情報処理装置16とユーザ端末12との間の距離は、例えば以下のように取得することができる。ユーザ端末12に現在位置取得部を設けておき、ユーザ端末12は、近距離通信部32から、ユーザ端末12の現在位置を示す現在位置情報を定期的に第2情報処理装置16に送信する。ジョブ送信処理部96は、受信した現在位置情報と、既知である自装置の現在位置に基づいて取得することができる。
【0095】
通知処理部98は、ジョブ実行部94がジョブの実行を完了したこと、及び、当該ジョブと当該ジョブに関連付けられた端末ID40が記憶部88から削除されたこと示す実行完了通知を、近距離通信部82からユーザ端末12に送信する。
【0096】
また、通知処理部98は、ジョブ送信処理部96によってジョブがストレージ18に返送された場合に、ジョブがストレージ18に返送されたこと、及び、当該ジョブと当該ジョブに関連付けられた端末ID40が記憶部88から削除されたこと示すジョブ返送通知をユーザ端末12に送信する。第2情報処理装置16からユーザ端末12へのジョブ返送通知は、インターネット回線あるいは携帯電話通信網などの通信手段を用いて行う。この場合、ユーザ端末12に対するジョブ返送通知の送信先は、ジョブ及び端末ID40と共にストレージ18から受信する。
【0097】
ジョブ返送通知を受信すると、ユーザ端末12の近距離通信部32からは、再度、実行指示情報に代えて、端末ID40が発信される。その後、ユーザ端末12が第1情報処理装置14又は第2情報処理装置16に近接すれば、ユーザ端末12が近接した第1情報処理装置14又は第2情報処理装置16にストレージ18からジョブ及び端末ID40が転送され、当該情報処理装置で当該ジョブを実行することができる。
【0098】
本実施形態に係る情報処理システム10の構成概要は以上の通りである。以下、
図6及び
図7に示すフローチャートに従って、情報処理システム10の処理の流れを説明する。
【0099】
ステップS10において、ジョブ生成部44は、ジョブを生成し、生成したジョブと自装置の端末ID40とを関連付けて第1情報処理装置14に送信する。
【0100】
ステップS12において、制御部64は、ステップS10で受信したジョブ及び端末IDを関連付けてジョブ保持部60に保持する。
【0101】
ステップS14において、制御部64は、ユーザ端末12に受信確認情報を送信する。また、接続解除検出部66は、ステップS10で受信した端末ID40が示すユーザ端末12の第1ネットワーク20からの接続解除の検知を開始する。
【0102】
ステップS16において、発信制御部46は、第1情報処理装置14から受信確認情報を受信すると、近距離通信部32から端末ID40の発信を開始する。
【0103】
ステップS18において、ジョブ実行部70は、ユーザ端末12が発信する端末ID40を近距離通信部52が受信したか否かを判定する。受信した場合は、ステップS20に進む。以下、ステップS20~S34は、第1情報処理装置14にてジョブを実行する処理である。
【0104】
ステップS20において、ジョブ実行部70は、ステップS18で受信した端末ID40に対応するジョブを保持していることの通知を近距離通信部52からユーザ端末12に送信する。
【0105】
ステップS22において、制御部42は、ステップS20で受信した通知に基づいて、ユーザにジョブの実行指示を第1情報処理装置14に送信するか否かを確認するための画面を表示部34に表示する。そして、発信制御部46は、ユーザが当該画面にて実行指示の送信を指示したか否かを判定し、指示したならばステップS24に進む。ユーザ端末12は、ユーザからジョブの実行指示が入力されるまで、近距離通信部32からの端末ID40の発信を維持する。
【0106】
ステップS24において、発信制御部46は、端末ID40に代えて、当該ジョブの実行指示を示す実行指示情報を近距離通信部32から発信させる。
【0107】
ステップS26において、ジョブ実行部70は、ユーザ端末12が発信するジョブの実行指示情報を近距離通信部52が受信するまで待機し、受信した場合は、ステップS28に進む。
【0108】
ステップS28において、ジョブ実行部70は、当該ジョブを実行する。
【0109】
ステップS30において、ジョブ実行部70は、実行したジョブと、当該ジョブのジョブ情報をジョブ保持部60から削除する。
【0110】
ステップS32において、通知処理部72は、ジョブ実行部70がジョブの実行を完了したこと、及び、当該ジョブと当該ジョブに関するジョブ情報がジョブ保持部60から削除されたこと示す実行完了通知を、近距離通信部52からユーザ端末12に送信する。
【0111】
ステップS34において、発信制御部46は、ステップS32で受信した実行完了通知をトリガとして、近距離通信部32からの実行指示情報の発信を停止する。
【0112】
ステップS18で端末ID40を近距離通信部52が受信していないと判定された場合、ステップS36に進む。以下、ステップS36~S44は、第1情報処理装置14からストレージ18にジョブを送信する処理である。
【0113】
ステップS36において、接続解除検出部66は、ステップS10でジョブを送信したユーザ端末12の第1ネットワーク20への接続が解除されたか否かを判定する。接続解除が検知されなかった場合はステップS18に戻り、接続解除が検知された場合はステップS38に進む。
【0114】
ステップS38において、ジョブ送信処理部68は、ステップS36で接続解除が検知されたユーザ端末12の端末ID40と、ステップS12でジョブ保持部60に保持された、当該端末ID40に関連付けられたジョブをストレージ18に送信する。
【0115】
ステップS40において、ジョブ送信処理部68は、ステップS38で送信したジョブと、当該ジョブに関するジョブ情報をジョブ保持部60から削除する。
【0116】
ステップS42において、通知処理部72は、ジョブがストレージ18に送信されたこと、及び、当該ジョブと当該ジョブに関するジョブ情報がジョブ保持部60から削除されたこと示すジョブ送信通知をユーザ端末12に送信する。
【0117】
ステップS44において、第1情報処理装置14からジョブと端末ID40を受信したストレージ18は、当該ジョブと当該端末ID40とを関連付けて、ストレージ18の記憶部に保持する。
【0118】
第1情報処理装置14からストレージ18にジョブが送信され、ストレージ18がジョブと端末ID40とを関連付けて保持された状態、及び、ユーザ端末12から端末ID40が発信された状態で
図7のフローチャートに進む。以下、ステップS46~S60は、ストレージ18から第2情報処理装置16にジョブを転送する処理である。
【0119】
ステップS46において、ジョブ実行部94は、ユーザ端末12が発信する端末ID40を近距離通信部52が受信するまで待機し、受信した場合はステップS48に進む。
【0120】
ステップS48において、ジョブ実行部94は、ステップS46で受信した端末ID40と共に、ジョブの転送依頼をネットワーク通信部80からストレージ18に送信する。
【0121】
ステップS50において、ストレージ18は、ステップS48で受信した端末ID40に関連付けられて保持されたジョブを第2情報処理装置16に転送する。
【0122】
ステップS52において、ストレージ18は、ステップS50で送信したジョブと、当該ジョブに関連付けられた端末ID40をストレージ18から削除する。
【0123】
ステップS54において、ストレージ18は、ジョブが第2情報処理装置16に送信されたこと、及び、当該ジョブと当該ジョブに関連付けられた端末ID40がストレージ18から削除されたこと示すジョブ送信通知をユーザ端末12に送信する。
【0124】
ステップS56において、ジョブ実行部94は、ステップS46で受信した端末ID40に対応するジョブを保持していることの通知を近距離通信部82からユーザ端末12に送信する。
【0125】
ステップS58において、制御部42は、ステップS56で受信した通知に基づいて、ユーザにジョブの実行指示を第2情報処理装置16に送信するか否かを確認するための画面を表示部34に表示する。そして、発信制御部46は、ユーザが当該画面にて実行指示の送信を指示したか否かを判定し、指示したならばステップS60に進む。ユーザ端末12は、ユーザからジョブの実行指示が入力されるまで、近距離通信部32からの端末ID40の発信を維持する。
【0126】
ステップS60において、発信制御部46は、端末ID40に代えて、当該ジョブの実行指示を示す実行指示情報を近距離通信部32から発信させる。
【0127】
ステップS62において、ジョブ実行部94は、ユーザ端末12が発信するジョブの実行指示情報を近距離通信部82が受信したか否かを判定し、受信した場合は、ステップS64に進む。以下、ステップS64~S72は、第2情報処理装置16にてジョブを実行する処理である。
【0128】
ステップS64において、ジョブ実行部94は、当該ジョブを実行する。
【0129】
ステップS66において、ジョブ実行部94は、実行したジョブと、当該ジョブに関連付けられた端末ID40を記憶部88から削除する。
【0130】
ステップS68において、通知処理部98は、ジョブ実行部94がジョブの実行を完了したこと、及び、当該ジョブと当該ジョブに関する端末ID40が記憶部88から削除されたこと示す実行完了通知を、近距離通信部82からユーザ端末12に送信する。
【0131】
ステップS70において、発信制御部46は、第2情報処理装置16から実行完了通知を受信したか否かを判定する。ステップS64で第2情報処理装置16にてジョブが実行された場合は、実行完了通知を受信するから、ステップS72に進む。
【0132】
ステップS72において、発信制御部46は、近距離通信部32からの実行指示情報の発信を停止する。
【0133】
後述のステップS76~S84の処理で、第2情報処理装置16からストレージ18に返送された場合、ユーザ端末12は、第2情報処理装置16から実行完了通知を受信しないので、ステップS72に進む。
【0134】
ステップS72において、発信制御部46は、実行指示情報に代えて、端末ID40を近距離通信部32から発信させ、ステップS46に戻る。
【0135】
ステップS62で実行指示情報を近距離通信部82が受信していないと判定された場合、ステップS76に進む。以下、ステップS76~S84は、第2情報処理装置16からストレージ18にジョブを返送する処理である。
【0136】
ステップS76において、ジョブ送信処理部96は、ユーザ端末12が第2情報処理装置16から所定距離離れたか否かを判定する。ユーザ端末12が第2情報処理装置16から所定距離内にある場合はステップS62に戻り、ユーザ端末12が第2情報処理装置16から所定距離離れた場合はステップS78に進む。
【0137】
ステップS78において、ジョブ送信処理部96は、ステップS50でストレージ18から受信したジョブと、当該ジョブに関連付けられた端末ID40をストレージ18に返送する。
【0138】
ステップS80において、ジョブ送信処理部96は、ステップS78で返送したジョブと、当該ジョブに関連付けられた端末ID40を記憶部88から削除する。
【0139】
ステップS82において、通知処理部98は、ジョブがストレージ18に返送されたこと、及び、当該ジョブと当該ジョブに関連付けられた端末ID40が記憶部88から削除されたこと示すジョブ返送通知をユーザ端末12に送信し、ステップS46に戻る。
【0140】
ステップS84において、ストレージ18は、第2情報処理装置16からジョブが返送されたか否かを判定し、ジョブが返送されなかった場合は処理を終了し、ジョブが返送された場合はステップS44(
図6参照)に戻り、ストレージ18は、再度、返送されたジョブと端末ID40とを関連付けて、ストレージ18の記憶部に保持する。
【0141】
以上、本発明に係る実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0142】
10 情報処理システム、12 ユーザ端末、14 第1情報処理装置、16 第2情報処理装置、18 ストレージ、20 第1ネットワーク、22 第1ファイアウォール、24 第2ネットワーク、26 第2ファイアウォール、28 通信回線、30,50,80 ネットワーク通信部、32,52,82 近距離通信部、34,54,84 表示部、36,56,86 入力部、38,58,88 記憶部、40 端末ID、42,64,92 制御部、44 ジョブ生成部、46 発信制御部、60 ジョブ保持部、62,90 画像形成部、66 接続解除検出部、68,96 ジョブ送信処理部、70,94 ジョブ実行部、72,98 通知処理部。