(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-21
(45)【発行日】2023-08-29
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/54 20060101AFI20230822BHJP
【FI】
B65D5/54 301J
(21)【出願番号】P 2019158760
(22)【出願日】2019-08-30
【審査請求日】2022-01-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青野 典生
(72)【発明者】
【氏名】夏川 準司
(72)【発明者】
【氏名】中路 哲也
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-218762(JP,A)
【文献】特表2012-500754(JP,A)
【文献】登録実用新案第3217221(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状に形成される周壁と、前記周壁の軸方向の両端に設けられた一対の側壁を有し、
前記周壁が、互いに対向する底面および天面と、互いに対向する正面および裏面とを有し、
前記側壁が、前記天面の両端部に連接された第1フラップと、
前記正面の両端部に連接された第2フラップと、
前記底面の両端部に連接された第3フラップと、
前記裏面の両端部に連接された第4フラップとを折り重ねて形成されている包装箱において、
前記周壁のいずれかの面に、
一対の押込部を有する第1の切断線と、
前記第1の切断線の両端に接触し、前記第1の切断線の中心から点対称の位置に形成された一組の第2の切断線と、
が形成され,
前記一対の押込部は、前記第1の切断線の中心から点対称の位置に形成されることを特徴とする包装箱。
【請求項2】
天面部、正面部、底面部、裏面部を含む周壁部と、
前記周壁部の一方向の端部に設けられた継ぎ代と、
前記周壁部の他方向の端部に、
第1の罫線を介して前記天面部の両端部に連接する一対の第1フラップ部と、
第2の罫線を介して前記正面部の両端部に連接する一対の第2フラップ部と、
第3の罫線を介して前記底面部の両端部に連接する一対の第3フラップ部と、
第4の罫線を介して前記裏面部の両端部に連接する一対の第4フラップ部とを具えたブランクであって、
前記天面部、正面部、底面部、裏面部のいずれかの面において、
一対の押込部を有する第1の切断線と、
前記第1の切断線の両端に接触し、前記第1の切断線の中心から点対称の位置に形成された一組の第2の切断線と、
が形成され,
前記一対の押込部は、前記第1の切断線の中心から点対称の位置に形成されることを特徴とするブランク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱及びそのブランクに関する。
【背景技術】
【0002】
段ボール等により形成された包装箱は、荷物の輸送に多く用いられ、例えば、商品の製造メーカーから小売り店舗への商品の出荷等に用いられている。多くの場合、商品が店舗に届くと、店舗側では、包装箱を開封し、商品を店頭に並べる必要がある。そのため、包装箱は開封のしやすさおよび商品の取り出しやすさが求められている。
【0003】
包装箱の開封作業を容易にするため、引用文献1では、開封部を切り離すことで天面の固定を一部解除し、天面を持ち上げて開封することが開示されている。しかし、このように開封部の切り離しを伴う方法では、開封の際に端材が生成することとなり、その処理という問題が新たに発生する。さらに、開封の際には、開封部の切り離しと、続く天面の持ち上げとの2段階の動作が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、これらの課題に鑑み、本発明の目的は、端材を発生させず、また、より少ない手順で容易かつ迅速に開封できる包装箱およびそのブランクを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施態様は、筒状に形成される周壁と、前記周壁の軸方向の両端に設けられた一対の側壁を有し、前記周壁が、互いに対向する底面および天面と、互いに対向する正面および裏面とを有し、前記側壁が、前記天面の両端部に連接された第1フラップと、前記正面の両端部に連接された第2フラップと、前記底面の両端部に連接された第3フラップと、前記裏面の両端部に連接された第4フラップとを折り重ねて形成されている包装箱において、前記周壁のいずれかの面に、一対の押込部を有する第1の切断線と、前記第1の切断線の両端に接触し、前記第1の切断線の中心から点対称の位置に形成された一組の第2の切断線とが形成されている包装箱に関する。
【0007】
また、本発明の一実施態様において、前記一対の押込部は、前記第1の切断線の中心から点対称の位置に形成することができる。
【0008】
また、本発明の一実施態様において、前記包装箱は一枚のシートから形成することができる。
【0009】
また、前記シートは段ボールを使用することができる。
【0010】
本発明の他の実施態様は、天面部、正面部、底面部、裏面部を含む周壁部と、前記周壁部の一方向の端部に設けられた継ぎ代と、前記周壁部の他方向の端部に、第1の罫線を介して前記天面部の両端部に連接する一対の第1フラップ部と、第2の罫線を介して前記正面部の両端部に連接する一対の第2フラップ部と、第3の罫線を介して前記底面部の両端部に連接する一対の第3フラップ部と、第4の罫線を介して前記裏面部の両端部に連接する一対の第4フラップ部とを具えたブランクであって、前記天面部、正面部、底面部、裏面部のいずれかの面において、一対の押込部を有する第1の切断線と、前記第1の切断線の両端に接触し、前記第1の切断線の中心から点対称の位置に形成された一組の第2の切断線と、が形成されているブランクに関する。
【0011】
また、本発明の一実施態様において、前記ブランクは段ボールから形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施例を示す包装箱の全体斜視図である。
【
図3】
図1の包装箱を開封した際の全体斜視図である。
【
図4】(a)本発明の他の実施例の上面図である。(b)本発明の他の実施例の全体斜視図である。
【
図5】(a)本発明の他の実施例の上面図である。(b)本発明の他の実施例の全体斜視図である。
【
図6】(a)本発明の他の実施例の上面図である。(b)本発明の他の実施例の全体斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明による包装箱100の一実施態様について、
図1~
図3を参照にしながら詳細に説明する。本発明の一実施態様において、包装箱100は、互いに対向する底面53および天面51と、互いに対向する正面52および裏面54とを含み筒状に形成された周壁と、前記周壁の軸方向の両端部に形成された側壁を有し、前記側壁が、前記天面51の両端部に連接されている第1フラップ61と、前記正面52の両端部に連接されている第2フラップ62と、前記底面53の両端部に連接されている第3フラップ63と、前記裏面54の両端部に連接されている第4フラップ64とを有する。第1フラップ61と第3フラップ63は、前記第2フラップと前記第4フラップの外側に折り重ねて貼合され、包装箱100の側壁を形成する(
図1参照)。本発明の一実施態様において、天面51、正面52、裏面54、および底面53のうち、いずれかの面において、一対の押込部10を有する第1の切断線20と、第1の切断線20の両端に接触し、第1の切断線20の中心から点対称の位置に形成された一組の第2の切断線30と、が形成されている。
【0014】
天面51は、一対の第1の罫線510を介して、一対の第1フラップ61と連接している。正面52は、第1の罫線510と直交する第5の罫線610を介して天面51と連接している。
【0015】
また、正面52は、一対の第2の罫線511を介して、一対の第2フラップ62と連接している。
【0016】
底面53は、第2の罫線511と直交する第6の罫線611を介して正面52と連接している。
【0017】
また、底面53は、一対の第3の罫線512を介して、一対の第3フラップ63と連接している。
【0018】
裏面54は、第3の罫線512と直交する第7の罫線612を介して、底面53と連接している。
【0019】
また、裏面54は、一対の第4の罫線513を介して、一対の第4フラップ64と連接している。裏面54は、第4の罫線513と直交する第8の罫線613を介して、継ぎ代55に連接している。そして、継ぎ代55と天面51を重ね合わせた状態で貼合することにより、天面51と裏面54が連接される。
【0020】
本発明の一実施態様において、天面51、正面52、底面53、および裏面54のうち、いずれかの面において、一対の押込部10を有する第1の切断線20が形成される(
図1および
図2参照)。押込部10は、包装箱100の外側から内側に向けて押し込むことで、指を掛けられるような穴が形成されるように切込等が形成された部分である。押込部10は、手の親指が掛かる程度の大きさの穴が好ましい。
【0021】
本発明の一実施態様において、一対の押込部10は第1の切断線20の一部として形成され、好ましくは第1の切断線20の中心から点対称に形成される。一対の押込部10が点対称に形成されることにより、開封作業において、作業者は左右の親指をそれぞれの押込部10に掛けることで、包装箱に力を均等に加えて開封することができるため、より開封が容易となる。
【0022】
また、押込部10は、外側から押し込まれた際に、その部分が被包装物同士の隙間に入る位置に設けられることが好ましい。
【0023】
本発明の一実施態様において、第1の切断線20は、その両端が一組の第2の切断線30とそれぞれ接している(
図1および
図2参照)。このような構造により、作業者は、押込部10に指を押し込んだのち、左右に力を掛けることで、天面51を第1の切断線20に沿って破断し、第1の切断線20から生じた破断線が第2の切断線30に到達した後、第2の切断線30に沿って包装箱100を破断し開封することができる(
図3参照)。本発明の一実施態様において、第2の切断線30は、第1の切断線20の中心から、点対称となるように形成される。このような構造により、左右の手の力が均等に加えられ、第2の切断線30をより容易に破断することができる。
【0024】
第2の切断線30は、
図1~
図3、及び
図6に示すように、包装箱100の罫線とは離れて形成されてもよく、また
図4及び
図5に示すように、包装箱100の罫線上に形成されてもよい。
【0025】
図1~
図3、及び
図7で示される一実施態様において、第1の切断線20、第2の切断線30、及び、第5の罫線610で区画される部分と、第1の切断線20、第2の切断線30、及び、第8の罫線613で区画される部分は、開封後に一対の蓋部70となる(
図3参照)。開封後の一対の蓋部70は、各々第5の罫線610と第8の罫線613の一部、即ち、包装箱100の罫線の一部を軸として開閉が可能である。
【0026】
図4及び
図8で示される他の実施態様において、第2の切断線30が包装箱100の罫線上に形成されており、また、第2の切断線30に対して垂直方向に、一対の折り曲げ線40が形成されている。この場合、第1の切断線20、第2の切断線30、及び、折り曲げ線40で区画される部分は、開封後に一対の蓋部70(図示省略)となる。開封後の一対の蓋部70は、一対の折り曲げ線40を軸として開閉が可能である。
図5及び
図9で示される他の実施態様についても同様である。
【0027】
以上の通り、本発明における一対の蓋部の開閉の軸は、包装箱100の罫線上に形成されてもよく、包装箱100の罫線とは離れて折り曲げ線40として別途形成されてもよい。
【0028】
図6と
図10で示される他の実施態様において、第1の切断線20、第2の切断線30、及び、第5の罫線610で区画される部分と、第1の切断線20、第2の切断線30、及び、第8の罫線613で区画される部分は、開封後に一対の蓋部70(図示省略)となる。開封後の一対の蓋部70は、第5の罫線610、第8の罫線613の一部、即ち、包装箱100の罫線の一部を軸として開閉が可能である。さらに、
図6と
図10で示される他の実施態様においては、第2の切断線30が、第5の罫線610、第8の罫線613に達した後、さらに第5の罫線610、第8の罫線613上に、各々両側の側壁に達するまで設けられている。そのため、蓋部70を開封した後、包装箱100の罫線上に存在する第2の切断線30を、さらに側壁方向に向けて切断することによって、天面全体を開放することも可能である。
【0029】
さらに、本発明において、包装箱100は1枚のシートから形成することができる。シートの材質は切断や折り曲げ等により包装箱100を形成することができればよく、好ましくは板紙であり、段ボール、クラフト紙などを用いることができる。さらに好ましくは段ボールを用いることができる。本願発明において、板紙は収容される物品により強度や性質を適宜選択することができる。例えば、表面に撥水コーティングした段ボールをシートに用いてもよい。また、強化材や厚みを増加させた強化段ボールを用いてもよい。
【0030】
また本発明の他の実施態様は、包装箱100を形成するブランク200に関する。本発明のブランク200について、
図7を参照しながら、以下詳細に説明する。
【0031】
本発明の一実施態様において、天面部251は、第1の罫線510を介して一対の第1フラップ部261と連接している。正面部252は、第1の罫線510と直交する第5の罫線610を介して天面部251と連接している。
【0032】
正面部252は、第2の罫線511を介して、一対の第2フラップ部262と連接している。底面部253は、第2の罫線511と直交する第6の罫線611を介して正面部と連接している。
【0033】
底面部253は、第3の罫線512を介して、一対の第3フラップ部263と連接している。裏面部254は、第3の罫線512と直交する第7の罫線612を介して、底面部253と連接している。
【0034】
裏面部254は、第4の罫線513を介して、一対の第4フラップ部264と連接している。裏面部254は第4の罫線513と直交する第8の罫線613を介して、継ぎ代部255と連接している。
【0035】
さらに本発明の一実施態様において、ブランク200は、天面部251、正面部252、底面部253、および裏面部254のうち、いずれかの面において、一対の押込部となる部分210を有する第1の切断線220と、前記第1の切断線220の両端に接触し、前記第1の切断線220の中心から点対称の位置に形成された一組の第2の切断線230と、が形成されている。押込部となる部分210、第1の切断線220、および第2の切断線230は、上記包装箱100で説明したとおりである。
【0036】
本発明のブランク200に対し、折り曲げ加工、および接合加工を行うことにより、包装箱100を提供することができる。接合加工は任意の手段で行うことが可能であるが、接着剤での貼合による接合が一般的である。また、ブランクの折り曲げ加工、および接合加工は、手作業で行っても良く、また、製函機で機械的に行ってもよい。また、ラップラウンドケーサーを用いることで、本発明のブランクにより、内容物80の包装と製函を同時に行ってもよい。
【0037】
このように形成された本発明の包装箱は、任意の製品の輸送および/または保管に好ましく、特に、ペットボトルやドリンクカップ容器等のように、略円筒形状又は略円錐台形状を有していて包装された製品同士に隙間があり、開封の際に包装箱の外部から押込部を当該隙間に押込み可能な製品の輸送および/または保管に特に好適に用いられる。
【0038】
さらに、本発明の包装箱は、開封時に包装箱から分離する端材を発生させず、また、より少ない手順で容易かつ迅速に開封可能である。
【0039】
このように、本発明はその特許請求の範囲に記載された事項のみから解釈されるべきものであり、上述した実施態様においても本発明の概念に包含されるあらゆる変更や修正が記載した事項以外に可能である。つまり、上述した実施態様におけるすべての事項は、本発明を限定するためのものではなく、本発明とは直接的に関係のないあらゆる構成を含め、その用途や目的に応じて任意に変更し得るものである。
【符号の説明】
【0040】
10 押込部
20 第1の切断線
30 第2の切断線
40 折り曲げ線
51 天面
52 正面
53 底面
54 裏面
55 継ぎ代
61 第1フラップ
62 第2フラップ
63 第3フラップ
64 第4フラップ
70 蓋部
80 内容物
100 包装箱
200 ブランク
210 押込部となる部分
220 第1の切断線
230 第2の切断線
240 折り曲げ線
251 天面部
252 正面部
253 底面部
254 裏面部
255 継ぎ代部
261 第1フラップ部
262 第2フラップ部
263 第3フラップ部
264 第4フラップ部
510 第1の罫線
511 第2の罫線
512 第3の罫線
513 第4の罫線
610 第5の罫線
611 第6の罫線
612 第7の罫線
613 第8の罫線