(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-21
(45)【発行日】2023-08-29
(54)【発明の名称】電動圧縮機
(51)【国際特許分類】
F04B 39/00 20060101AFI20230822BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20230822BHJP
【FI】
F04B39/00 106A
H02M7/48 Z
(21)【出願番号】P 2019215191
(22)【出願日】2019-11-28
【審査請求日】2022-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】岡田 仁
(72)【発明者】
【氏名】多田 佳史
(72)【発明者】
【氏名】木下 雄介
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-175807(JP,A)
【文献】国際公開第2018/180897(WO,A1)
【文献】特開2013-027203(JP,A)
【文献】特開2019-143607(JP,A)
【文献】特開2010-183763(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 39/00
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モータと、
前記電動モータを駆動するモータ制御装置と、を備え、
前記モータ制御装置は、
スイッチング素子が実装された高電圧基板と、
前記スイッチング素子のスイッチング動作を制御する制御回路が実装された低電圧基板と、
前記高電圧基板と前記低電圧基板とを電気的に接続するとともに前記制御回路からの制御信号を前記スイッチング素子に入力するための入力用コネクタと、
前記電動モータへ出力電流を出力するとともに前記高電圧基板と電気的に接続された出力用コネクタと、
前記高電圧基板に実装されるとともに前記電動モータへの出力電流を検出する電流センサと、を備え、
前記高電圧基板と前記低電圧基板とが重なって配置されている電動圧縮機であって、
前記出力用コネクタには、前記高電圧基板と前記低電圧基板とを電気的に接続するとともに前記電流センサにより検出された前記出力電流に関する検出信号を前記制御回路に出力するための検出用バスバーが一体化されてい
て、
前記出力用コネクタには、前記低電圧基板を支持する金属製の支持部が一体化されており、
前記支持部は、前記低電圧基板を貫通して前記低電圧基板に対して半田付けされていることを特徴とする電動圧縮機。
【請求項2】
電動モータと、
前記電動モータによって駆動され、流体である冷媒を圧縮する圧縮部と、
前記電動モータを駆動するモータ制御装置と、を備え、
前記モータ制御装置は、
スイッチング素子が実装された高電圧基板と、
前記スイッチング素子のスイッチング動作を制御する制御回路が実装された低電圧基板と、
前記高電圧基板と前記低電圧基板とを電気的に接続するとともに前記制御回路からの制御信号を前記スイッチング素子に入力するための入力用コネクタと、
前記電動モータへ出力電流を出力するとともに前記高電圧基板と電気的に接続された出力用コネクタと、
前記高電圧基板に実装されるとともに
前記出力用コネクタから前記電動モータへの出力電流を検出する
第1電流センサ
及び第2電流センサと、を備え、
前記高電圧基板と前記低電圧基板とが重なって配置されている電動圧縮機であって、
前記出力用コネクタには、前記高電圧基板と前記低電圧基板とを電気的に接続するとともに前記
第1電流センサ
及び前記第2電流センサにより検出された前記出力電流に関する検出信号を前記制御回路に出力するための
第1検出用バスバー
及び第2検出用バスバーが一体化されてい
て、
前記出力用コネクタは、板状の樹脂本体部を有し、前記樹脂本体部は、薄板部と該薄板部の厚みよりも厚い厚板部とを有し、
前記薄板部は、厚み方向の一方の面が前記高電圧基板に対向する第1対向面となっていて、厚み方向の他方の面が前記低電圧基板に対向する第2対向面となっていて、
前記厚板部は、厚み方向の一方の面が前記第1対向面に連続していて、厚み方向の他方の面が第1段差面を介して前記第2対向面に連続していて、
前記低電圧基板は、前記薄板部の前記第2対向面に対して配置されていて、
前記第1検出用バスバー及び前記第2検出用バスバーは、前記薄板部を厚み方向に貫通した状態で、前記薄板部に一体化されていて、前記第1検出用バスバーの一端部及び前記第2検出用バスバーの一端部は、前記薄板部の前記第1対向面から突出していて、前記第1検出用バスバーの他端部及び前記第2検出用バスバーの他端部は、前記薄板部の前記第2対向面から突出していて、
前記低電圧基板は、前記第1検出用バスバーが挿通される第1バスバー挿通孔を有し、前記第1検出用バスバーの他端部が第1バスバー挿通孔に挿通された状態で前記低電圧基板に半田付けされていて、
前記低電圧基板は、前記第2検出用バスバーが挿通される第2バスバー挿通孔を有し、前記第2検出用バスバーの他端部が第2バスバー挿通孔に挿通された状態で前記低電圧基板に半田付けされていて、
前記高電圧基板は、前記第1電流センサの近傍に設けられているとともに前記第1検出用バスバーの一端部が挿通される第1バスバー挿通孔を有し、前記第1検出用バスバーの一端部が第1バスバー挿通孔に挿通された状態で前記高電圧基板に半田付けされていて、
前記高電圧基板は、前記第2電流センサの近傍に設けられているとともに前記第2検出用バスバーの一端部が挿通される第2バスバー挿通孔を有し、前記第2検出用バスバーの一端部が第2バスバー挿通孔に挿通された状態で前記高電圧基板に半田付けされていることを特徴とする電動圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
電動圧縮機は、電動モータと、電動モータを駆動するモータ制御装置と、を備えている。また、例えば特許文献1の電動圧縮機において、モータ制御装置は、スイッチング素子が実装された高電圧基板(高放熱基板)と、スイッチング素子のスイッチング動作を制御する制御回路が実装された低電圧基板(制御基板)と、を備えている。高電圧基板と低電圧基板とは、互いに重なって配置されている。
【0003】
このような電動圧縮機のモータ制御装置は、高電圧基板と低電圧基板とを電気的に接続する入力用コネクタを備えている。入力用コネクタは、制御回路からの制御信号をスイッチング素子に入力する。また、モータ制御装置は、電動モータへ出力電流を出力するとともに高電圧基板と電気的に接続された出力用コネクタを備えている場合がある。
【0004】
そして、外部電源からの電流が、高電圧基板を流れて、出力用コネクタを介して出力電流として電動モータに出力されることにより、電動モータが駆動する。また、高電圧基板には、電動モータへの出力電流を検出する電流センサが実装されている。そして、制御回路は、電流センサにより検出された出力電流が要求電流となるようにスイッチング素子の駆動を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、入力用コネクタと、電流センサにより検出された出力電流に関する検出信号を制御回路に出力するための検出用コネクタは、それぞれスイッチング素子に対して異なる箇所に電気的に接続される。特に、電流センサはスイッチング素子から出力用コネクタまでの電流経路に設けられる必要があるため、入力用コネクタと検出用コネクタの基板上での実装される位置は通常異なり、その分モータ制御装置が大型化してしまう。一方で、入力用コネクタと検出用コネクタを一体化させる構造も考えられるが、その場合、スイッチング素子からいずれかのコネクタまでの配線パターンが長くなり、その分スイッチング素子からのノイズの影響を受けてしまう虜がある。特に、高電圧基板に形成された電流経路を高電圧基板上で配線パターンが横切る場合は特に大きなノイズの影響を受けてしまう。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、大型化を抑制しつつも、電流センサにより検出された出力電流に関する検出信号が、高電圧基板を流れる電流のノイズの影響を受けてしまうことを抑制することができる電動圧縮機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する電動圧縮機は、電動モータと、前記電動モータを駆動するモータ制御装置と、を備え、前記モータ制御装置は、スイッチング素子が実装された高電圧基板と、前記スイッチング素子のスイッチング動作を制御する制御回路が実装された低電圧基板と、前記高電圧基板と前記低電圧基板とを電気的に接続するとともに前記制御回路からの制御信号を前記スイッチング素子に入力するための入力用コネクタと、前記電動モータへ出力電流を出力するとともに前記高電圧基板と電気的に接続された出力用コネクタと、前記高電圧基板に実装されるとともに前記電動モータへの出力電流を検出する電流センサと、を備え、前記高電圧基板と前記低電圧基板とが重なって配置されている電動圧縮機であって、前記出力用コネクタには、前記高電圧基板と前記低電圧基板とを電気的に接続するとともに前記電流センサにより検出された前記出力電流に関する検出信号を前記制御回路に出力するための検出用バスバーが一体化されている。
【0009】
これによれば、高電圧基板と低電圧基板とを電気的に接続するとともに電流センサにより検出された出力電流に関する検出信号を制御回路に出力するための検出用バスバーを、既存の構成である出力用コネクタに一体化させたため、電流センサにより検出された出力電流に関する検出信号を制御回路に出力するための検出用コネクタを別途設ける必要が無い。そして、電流センサにより検出された出力電流に関する検出信号が検出用バスバーを介して低電圧基板の制御回路に出力される。このため、例えば、配線パターンを延ばすことで電流センサにより検出された出力電流に関する検出信号を、入力用コネクタを用いて低電圧基板の制御回路に出力しようとする場合のように電流センサから配線パターンを高電圧基板上にて延ばす必要が無い。したがって、電流センサにより検出された出力電流に関する検出信号が、スイッチング素子からのノイズの影響を受けたり、高電圧基板に形成された電流経路を高電圧基板上で配線パターンが横切ったりすることを回避することができる。以上により、電動圧縮機の大型化を抑制しつつも、電流センサにより検出された出力電流に関する検出信号が、高電圧基板を流れる電流のノイズの影響を受けてしまうことを抑制することができる。
【0010】
上記電動圧縮機において、前記出力用コネクタには、前記低電圧基板を支持する金属製の支持部が一体化されており、前記支持部は、前記低電圧基板を貫通して前記低電圧基板に対して半田付けされているとよい。
【0011】
これによれば、低電圧基板が支持部を介して出力用コネクタに支持されるため、低電圧基板の耐振性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、大型化を抑制しつつも、電流センサにより検出された出力電流に関する検出信号が、高電圧基板を流れる電流のノイズの影響を受けてしまうことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図3】ケース本体部及びモータ制御装置の分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、電動圧縮機を具体化した一実施形態を
図1~
図6にしたがって説明する。本実施形態の電動圧縮機は、例えば、車両空調装置に用いられる。
図1に示すように、電動圧縮機10のハウジング11内には、流体である冷媒を圧縮する圧縮部12と、圧縮部12を駆動させる電動モータ13とが収容されている。圧縮部12は、例えば、ハウジング11内に固定された図示しない固定スクロールと、固定スクロールに対向配置される図示しない可動スクロールとから構成されるスクロール式である。
【0015】
ハウジング11には、吸入口11a及び吐出口11bが形成されている。また、ハウジング11内には、回転軸14が収容されている。回転軸14は、ハウジング11に回転可能に支持されている。電動モータ13は、回転軸14に固定されて回転軸14と一体的に回転するロータ13aと、ハウジング11の内周面に固定されるとともにロータ13aを取り囲むステータ13bとから構成されている。ステータ13bのティースには、モータコイル15が捲回されている。そして、モータコイル15に電力が供給されることによりロータ13a及び回転軸14が回転する。
【0016】
吸入口11aには外部冷媒回路16の一端が接続されている。吐出口11bには外部冷媒回路16の他端が接続されている。そして、外部冷媒回路16から吸入口11aを介してハウジング11内に冷媒が吸入され、ハウジング11内に吸入された冷媒は、圧縮部12によって圧縮される。そして、圧縮部12によって圧縮された冷媒は、吐出口11bを介して外部冷媒回路16に吐出され、外部冷媒回路16の熱交換器や膨張弁を経て、吸入口11aを介してハウジング11内に還流される。電動圧縮機10及び外部冷媒回路16は、車両空調装置17を構成している。
【0017】
ハウジング11の底壁11cには、ケース18が取り付けられている。ケース18は、有底筒状のケース本体部19と、ケース本体部19に取り付けられる有蓋筒状の蓋部20と、を有している。蓋部20は、ケース本体部19の開口を閉塞している。そして、ケース本体部19と蓋部20とによって収容空間21が区画されている。収容空間21には、電動モータ13を駆動するモータ制御装置22が収容されている。したがって、モータ制御装置22は、ケース18の内部に収容されている。圧縮部12、電動モータ13、及びモータ制御装置22は、この順で、回転軸14の回転軸線方向に並設されている。
【0018】
図2に示すように、電動モータ13のモータコイル15は、u相コイル15u、v相コイル15v、及びw相コイル15wを有する三相構造になっている。本実施形態において、u相コイル15u、v相コイル15v、及びw相コイル15wは、Y結線されている。
【0019】
モータ制御装置22は、複数のスイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2と、フィルタ回路23と、を有している。複数のスイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2は、電動モータ13を駆動させるためにスイッチング動作を行う。複数のスイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2は、IGBT(パワースイッチング素子)である。複数のスイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2には、ダイオードDu1,Du2,Dv1,Dv2,Dw1,Dw2がそれぞれ接続されている。
【0020】
各スイッチング素子Qu1,Qu2、各スイッチング素子Qv1,Qv2、及び各スイッチング素子Qw1,Qw2はそれぞれ直列に接続されている。各スイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2のゲートは、制御回路24に電気的に接続されている。各スイッチング素子Qu1,Qv1,Qw1のコレクタは、正極ラインL1を介して外部電源25の正極に電気的に接続されている。各スイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2のエミッタは、負極ラインL2を介して外部電源25の負極に電気的に接続されている。各スイッチング素子Qu1,Qv1,Qw1のエミッタ及び各スイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2のコレクタは、それぞれ直列に接続された中間点からu相コイル15u、v相コイル15v、及びw相コイル15wにそれぞれ電気的に接続されている。
【0021】
制御回路24は、電動モータ13の駆動電圧をパルス幅変調により制御する。具体的には、制御回路24は、搬送波信号と呼ばれる高周波の三角波信号と、電圧を指示するための電圧指令信号とによってPWM信号を生成する。そして、制御回路24は、生成したPWM信号を用いて各スイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2のオンオフ制御を行う。したがって、制御回路24は、各スイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2のスイッチング動作を制御する。これにより、外部電源25からの直流電流が交流電流に変換される。そして、変換された交流電流が出力電流として電動モータ13に出力されることにより、電動モータ13の駆動が制御される。
【0022】
また、制御回路24は、PWM信号を制御することにより、各スイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2のオンオフのデューティ比を可変制御する。これにより、電動モータ13の回転数が制御される。制御回路24は、空調ECU26と電気的に接続されており、空調ECU26から電動モータ13の目標回転数に関する情報を受信すると、その目標回転数で電動モータ13を回転させる。
【0023】
フィルタ回路23は、複数のスイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2と外部電源25との間に設けられている。フィルタ回路23は、コンデンサ27及びコイル28を有している。コンデンサ27は、コイル28に電気的に接続されている。
【0024】
モータ制御装置22は、電動モータ13への出力電流を検出する電流センサ29u,29wを備えている。電流センサ29u,29wは、例えば、ホール素子を用いて構成されている。具体的には、電流センサ29uは、u相コイル15uへ出力される出力電流を検出し、電流センサ29wは、w相コイル15wへ出力される出力電流を検出する。出力電流とは、モータ制御装置22から電動モータ13へ出力される電流であり、電動モータ13に流れる電流であるモータ電流である。u相コイル15u、v相コイル15v、及びw相コイル15wへ出力される各出力電流の合計値はゼロであるため、電流センサ29u,29wの検出に基づき、v相コイル15vへ出力される出力電流の値を算出できる。
【0025】
また、モータ制御装置22は、シャント抵抗30を備えている。シャント抵抗30は、負極ラインL2に設けられている。そして、シャント抵抗30に電流が流れることにより、シャント抵抗30の両端に電位差が生じる。制御回路24は、シャント抵抗30の両端の間の電圧に基づいて、外部電源25からモータ制御装置22に入力される入力電流を検出する。
【0026】
図3及び
図4に示すように、モータ制御装置22は、高電圧基板41、低電圧基板51、及び出力用コネクタ60を備えている。高電圧基板41、低電圧基板51、及び出力用コネクタ60とは、高電圧基板41と低電圧基板51とが出力用コネクタ60を挟むように積層された状態で、ケース本体部19に取り付けられている。高電圧基板41と低電圧基板51とは、互いに重なって配置されている。出力用コネクタ60は、電動モータ13へ出力電流を出力するとともに高電圧基板41と電気的に接続されている。
【0027】
ケース本体部19は、板状の底壁19aと、底壁19aの外周部から立設される周壁19bと、を有している。周壁19bにおける底壁19aとは反対側の開口端面19cには、ケース本体部19及び蓋部20をハウジング11に取り付けるための図示しないボルトが挿通されるボルト挿通孔19dが複数形成されている。また、周壁19bの開口端面19cには、蓋部20をケース本体部19に取り付けるための図示しないボルトがねじ込まれる雌ねじ孔19eが複数形成されている。
【0028】
底壁19aの内底面には、ボス部19fが複数突設されている。ボス部19fにおける底壁19aとは反対側の端面は、周壁19bの開口端面19cよりも底壁19a側に位置している。各ボス部19fには、高電圧基板41をケース本体部19に取り付けるためボルト31がねじ込まれる雌ねじ孔19gが形成されている。周壁19bの開口端面19cには、低電圧基板51をケース本体部19に取り付けるためのボルト32がねじ込まれる雌ねじ孔19hが形成されている。周壁19bの開口端面19cには、出力用コネクタ60をケース本体部19に取り付けるためのボルト33がねじ込まれる一対の雌ねじ孔19kが形成されている。
【0029】
ケース本体部19には、外部電源25に接続される高電圧用コネクタ34が設けられている。高電圧用コネクタ34は、外部電源25と高電圧基板41とを電気的に接続する入力端子35を2つ有している。また、ケース本体部19には、図示しない低電圧電源に接続される低電圧用コネクタ36が設けられている。低電圧用コネクタ36は、低電圧電源と低電圧基板51とを電気的に接続するリード線37を有している。さらに、ケース本体部19には、電動モータ13へ出力電流を出力するための導電部材38が3つ設けられている。3つの導電部材38は、支持板38aを介してケース本体部19の底壁19aに支持されている。3つの導電部材38は、底壁19aを貫通している。
【0030】
図1に示すように、ケース本体部19の底壁19aを貫通する3つの導電部材38は、ハウジング11の底壁11cを貫通して、ハウジング11内に突出している。そして、3つの導電部材38は、ハウジング11内に配置されたクラスタブロック70を介して、電動モータ13から引き出された3つのモータ配線13cとそれぞれ電気的に接続されている。
【0031】
図3及び
図4に示すように、高電圧基板41は、略矩形平板状である。高電圧基板41の厚み方向の一方の面には、各スイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2、複数のコンデンサ27、コイル28、各電流センサ29u,29w、及びシャント抵抗30が実装されている。したがって、高電圧基板41の厚み方向の一方の面は、各スイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2、複数のコンデンサ27、コイル28、各電流センサ29u,29w、及びシャント抵抗30が実装される実装面41aになっている。
【0032】
複数のコンデンサ27は、高電圧基板41の長手方向の一端側に集約された状態で配置されている。各スイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2は、高電圧基板41の長手方向の他端側半分の領域に集約された状態で配置されている。コイル28及びシャント抵抗30は、高電圧基板41における複数のコンデンサ27が集約された領域の近傍に配置されている。
【0033】
高電圧基板41には、高電圧用コネクタ34の各入力端子35が挿通される入力端子挿通孔42が2つ形成されている。各入力端子挿通孔42は、高電圧基板41における複数のコンデンサ27が集約された領域よりも高電圧基板41の長手方向の一端寄りに位置している。そして、各入力端子35が各入力端子挿通孔42に挿入されることにより、各入力端子35と高電圧基板41とが電気的に接続されている。
【0034】
電流センサ29uは、高電圧基板41の長手方向で複数のコンデンサ27が集約された領域と各スイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2が集約された領域との間であって、且つ高電圧基板41の短手方向の一端寄りに配置されている。電流センサ29wは、高電圧基板41の長手方向の他端部であって、且つ高電圧基板41の短手方向の一端寄りに配置されている。電流センサ29wは、各スイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2が集約された領域よりも高電圧基板41の短手方向の一端寄りに配置されている。2つの電流センサ29u,29wは、高電圧基板41の長手方向で互いに対向している。このように、各電流センサ29u,29wは、高電圧基板41に実装されている。
【0035】
モータ制御装置22は、高電圧基板41と低電圧基板51とを電気的に接続する入力用コネクタ39を備えている。入力用コネクタ39は、高電圧基板41に実装されている。入力用コネクタ39は、高電圧基板41の長手方向の他端部であって、且つ高電圧基板41の短手方向の他端寄りに配置されている。入力用コネクタ39は、各スイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2が集約された領域よりも高電圧基板41の短手方向の他端寄りに配置されている。入力用コネクタ39は、低電圧基板51に電気的に接続される端子39aを複数有している。
【0036】
低電圧基板51には、制御回路24が実装されている。低電圧基板51には、低電圧用コネクタ36のリード線37が挿通されるリード挿通孔52が形成されている。そして、低電圧用コネクタ36のリード線37がリード挿通孔52に挿通された状態で、リード線37が低電圧基板51に半田付けされることにより、低電圧用コネクタ36が低電圧基板51に電気的に接続されている。
【0037】
低電圧基板51には、入力用コネクタ39の各端子39aがそれぞれ挿通される端子挿通孔53が複数形成されている。そして、入力用コネクタ39の各端子39aが各端子挿通孔53に挿通された状態で、各端子39aが低電圧基板51に半田付けされることにより、入力用コネクタ39が低電圧基板51に電気的に接続されている。入力用コネクタ39は、制御回路24からの制御信号を各スイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2に入力する。
【0038】
図5及び
図6に示すように、出力用コネクタ60は、板状の樹脂本体部61と、3つの接続端子62と、を有している。樹脂本体部61は、薄板部63、厚板部64、及び一対の取付板部65を有している。薄板部63の厚み方向の一方の面は、高電圧基板41に対向する第1対向面63aになっている。薄板部63の厚み方向の他方の面は、低電圧基板51に対向する第2対向面63bになっている。
【0039】
厚板部64の厚み方向は、薄板部63の厚み方向に一致している。厚板部64の厚みは、薄板部63の厚みよりも厚い。厚板部64の厚み方向の一方の面である第1面64aは、第1対向面63aと同一面上に位置しており、第1対向面63aに連続している。厚板部64の厚み方向の他方の面である第2面64bは、第1段差面66aを介して第2対向面63bに連続している。
【0040】
各取付板部65の厚みは、薄板部63の厚みよりも薄い。各取付板部65の厚み方向の一方の面である第1面65aは、第2段差面66bを介して厚板部64の第1面64aに連続している。各取付板部65の厚み方向の他方の面である第2面65bは、厚板部64の第2面64bと同一面上に位置しており、厚板部64の第2面64bに連続している。各取付板部65の第1面65aは、それぞれ同一面上に位置している。各取付板部65には、各ボルト33が挿通されるボルト挿通孔65hが形成されている。
【0041】
3つの接続端子62は、樹脂本体部61にインサート成形されることにより樹脂本体部61に一体化された状態で設けられている。したがって、モータ制御装置22は、3つの接続端子62が一体化された出力用コネクタ60を備えている。
【0042】
各接続端子62は、L字形状に屈曲形成された細長薄板状の第1接続部62aと、第1接続部62aの一端部に連続する円環状の第2接続部62bと、を有している。第1接続部62aにおける第2接続部62bとは反対側の部位は、樹脂本体部61の薄板部63から突出した後、薄板部63からの突出方向に対して直交する方向に屈曲した状態で延びている。第1接続部62aにおける第2接続部62b側の端部は、樹脂本体部61の厚板部64の内部に埋設されている。第2接続部62bは、第2接続部62bの軸心が延びる方向が、樹脂本体部61の厚板部64の厚み方向に一致した状態で、樹脂本体部61の厚板部64に埋設されている。
【0043】
樹脂本体部61の厚板部64には、樹脂本体部61の厚み方向に貫通する3つの貫通孔64hが形成されている。各貫通孔64hの軸心は、各接続端子62の第2接続部62bの軸心と一致している。そして、各第2接続部62bは、各貫通孔64hを介して樹脂本体部61の厚板部64の第1面64a及び第2面64bそれぞれから臨んでいる。各接続端子62の第2接続部62bには、各導電部材38が挿通可能になっている。各接続端子62は、各導電部材38が各第2接続部62bに挿通されることにより各導電部材38に電気的に接続されている。
【0044】
図3及び
図4に示すように、高電圧基板41には、各接続端子62の第1接続部62aにおける第2接続部62bとは反対側の端部がそれぞれ挿通される端子挿通孔43が形成されている。各端子挿通孔43は、高電圧基板41の長手方向の他端部であって、且つ高電圧基板41の短手方向の一端寄りに配置されている。各端子挿通孔43は、各スイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2が集約された領域よりも高電圧基板41の短手方向の一端寄りに配置されている。各端子挿通孔43は、高電圧基板41の短手方向において、各スイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2が集約された領域に対して、入力用コネクタ39とは反対側に位置している。各端子挿通孔43と入力用コネクタ39とは、各端子挿通孔43と入力用コネクタ39とが高電圧基板41の短手方向で各スイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2が集約された領域を挟むように配置されている。各端子挿通孔43は、高電圧基板41の長手方向に並んで配置されている。各端子挿通孔43は、2つの電流センサ29u,29wに高電圧基板41の長手方向で挟まれた位置に配置されている。
【0045】
各接続端子62は、各接続端子62の第1接続部62aにおける第2接続部62bとは反対側の端部が各端子挿通孔43にそれぞれ挿通されることにより、高電圧基板41に電気的に接続されている。これにより、各接続端子62は、各導電部材38と高電圧基板41とを電気的に接続している。
【0046】
図5及び
図6に示すように、出力用コネクタ60は、検出用バスバーとしての第1検出用バスバー67及び第2検出用バスバー68を有している。第1検出用バスバー67及び第2検出用バスバー68は、樹脂本体部61の薄板部63を厚み方向に貫通した状態で、樹脂本体部61の薄板部63に一体化されている。第1検出用バスバー67の一端部及び第2検出用バスバー68の一端部は、薄板部63の第1対向面63aから突出している。第1検出用バスバー67の他端部及び第2検出用バスバー68の他端部は、薄板部63の第2対向面63bから突出している。第1検出用バスバー67及び第2検出用バスバー68は、樹脂本体部61の薄板部63にインサート成形されることにより樹脂本体部61の薄板部63に一体化された状態で設けられている。したがって、出力用コネクタ60には、第1検出用バスバー67及び第2検出用バスバーが一体化されている。
【0047】
図3及び
図4に示すように、高電圧基板41には、第1検出用バスバー67の一端部が挿通される第1バスバー挿通孔44uが形成されている。第1バスバー挿通孔44uは、高電圧基板41において、電流センサ29uの近傍であって、且つ電流センサ29uに対して高電圧基板41の短手方向の一端寄りに位置している。そして、第1検出用バスバー67の一端部が第1バスバー挿通孔44uに挿通された状態で、第1検出用バスバー67が高電圧基板41に半田付けされることにより、第1検出用バスバー67が高電圧基板41に電気的に接続されている。第1検出用バスバー67と電流センサ29uとは、高電圧基板41の配線パターンを介して電気的に接続されている。
【0048】
また、高電圧基板41には、第2検出用バスバー68の一端部が挿通される第2バスバー挿通孔44wが形成されている。第2バスバー挿通孔44wは、高電圧基板41において、電流センサ29wの近傍であって、且つ電流センサ29wに対して高電圧基板41の短手方向の一端寄りに位置している。そして、第2検出用バスバー68の一端部が第2バスバー挿通孔44wに挿通された状態で、第2検出用バスバー68が高電圧基板41に半田付けされることにより、第2検出用バスバーが高電圧基板41に電気的に接続されている。第2検出用バスバー68と電流センサ29wとは、高電圧基板41の配線パターンを介して電気的に接続されている。
【0049】
図5及び
図6に示すように、出力用コネクタ60は、低電圧基板51を支持する支持部としての支持用バスバー69を2つ有している。各支持用バスバー69は、金属製である。各支持用バスバー69は、樹脂本体部61の薄板部63の第2対向面63bから薄板部63の厚み方向に突出した状態で、薄板部63に一体化されている。各支持用バスバー69は、樹脂本体部61の薄板部63にインサート成形されることにより樹脂本体部61の薄板部63に一体化された状態で設けられている。したがって、出力用コネクタ60には、金属製の各支持用バスバー69が一体化されている。
【0050】
図3及び
図4に示すように、低電圧基板51には、第1検出用バスバー67の他端部が挿通される第1バスバー挿通孔54uが形成されている。そして、第1検出用バスバー67の他端部が第1バスバー挿通孔54uに挿通された状態で、第1検出用バスバー67が低電圧基板51に半田付けされることにより、第1検出用バスバー67が低電圧基板51に電気的に接続されている。これにより、第1検出用バスバー67は、高電圧基板41と低電圧基板51とを電気的に接続するとともに電流センサ29uにより検出された出力電流に関する検出信号を制御回路24に出力する。
【0051】
低電圧基板51には、第2検出用バスバー68の他端部が挿通される第2バスバー挿通孔54wが形成されている。そして、第2検出用バスバー68の他端部が第2バスバー挿通孔54wに挿通された状態で、第2検出用バスバー68が低電圧基板51に半田付けされることにより、第2検出用バスバー68が低電圧基板51に電気的に接続されている。これにより、第2検出用バスバー68は、高電圧基板41と低電圧基板51とを電気的に接続するとともに電流センサ29wにより検出された出力電流に関する検出信号を制御回路24に出力する。
【0052】
低電圧基板51には、各支持用バスバー69が挿通される支持用バスバー挿通孔55がそれぞれ形成されている。そして、各支持用バスバー69が各支持用バスバー挿通孔55に挿通された状態で、各支持用バスバー69が低電圧基板51に半田付けされることにより、各支持用バスバー69が低電圧基板51に接続されている。したがって、各支持用バスバー69は、低電圧基板51を貫通して低電圧基板51に対して半田付けされている。各支持用バスバー69は、低電圧基板51に半田付けされている状態において、低電圧基板51の配線パターンとは電気的に接続されていない。したがって、各支持用バスバー69には、電流は流れない。
【0053】
次に、高電圧基板41、低電圧基板51、及び出力用コネクタ60をケース本体部19に取り付ける際の手順を説明する。
まず、高電圧基板41の外周部を貫通する各ボルト31を各ボス部19fの雌ねじ孔19gにねじ込むことにより、高電圧基板41をケース本体部19に取り付ける。このとき、各入力端子35が各入力端子挿通孔42に挿入されて、各入力端子35と高電圧基板41とが電気的に接続されることにより、外部電源25と高電圧基板41とが各入力端子35を介して電気的に接続される。
【0054】
次に、各取付板部65が、周壁19bの開口端面19cにおける各雌ねじ孔19kの周囲にそれぞれ接触するとともに、樹脂本体部61の薄板部63の第1対向面63aが高電圧基板41に対向するように、出力用コネクタ60をケース本体部19に対して配置する。そして、各取付板部65のボルト挿通孔65hを通過した各ボルト33を各雌ねじ孔19kにねじ込むことにより、出力用コネクタ60をケース本体部19に取り付ける。
【0055】
このとき、各導電部材38が各貫通孔64hを介して各接続端子62の第2接続部62bにそれぞれ挿通され、各導電部材38と各接続端子62とが電気的に接続される。また、各接続端子62の第1接続部62aにおける第2接続部62bとは反対側の端部が高電圧基板41の各端子挿通孔43にそれぞれ挿通され、各接続端子62と高電圧基板41とが電気的に接続される。
【0056】
さらに、第1検出用バスバー67の一端部が第1バスバー挿通孔44uに挿通され、第1検出用バスバー67と高電圧基板41との半田付けを行うことにより、第1検出用バスバー67と高電圧基板41とが電気的に接続される。また、第2検出用バスバー68の一端部が第2バスバー挿通孔44wに挿通され、第2検出用バスバー68と高電圧基板41との半田付けを行うことにより、第2検出用バスバー68が高電圧基板41に電気的に接続される。
【0057】
さらに、第1検出用バスバー67の他端部が第1バスバー挿通孔54uに挿通されるとともに、第2検出用バスバー68の他端部が第2バスバー挿通孔54wに挿通され、各支持用バスバー69が各支持用バスバー挿通孔55に挿通されるように、低電圧基板51を樹脂本体部61の薄板部63の第2対向面63bに対して配置する。そして、第1検出用バスバー67と低電圧基板51との半田付けを行うことにより、第1検出用バスバー67と低電圧基板51とが電気的に接続される。また、第2検出用バスバー68と低電圧基板51との半田付けを行うことにより、第2検出用バスバー68と低電圧基板51とが電気的に接続される。さらに、各支持用バスバー69と低電圧基板51との半田付けを行うことにより、各支持用バスバー69が低電圧基板51に接続され、低電圧基板51が各支持用バスバー69を介して出力用コネクタ60に支持される。
【0058】
また、低電圧用コネクタ36のリード線37がリード挿通孔52に挿通され、低電圧用コネクタ36と低電圧基板51とが電気的に接続される。さらに、入力用コネクタ39の各端子39aが各端子挿通孔53に挿通され、入力用コネクタ39と低電圧基板51とが電気的に接続される。そして、低電圧基板51の外周部を貫通する各ボルト32を各雌ねじ孔19hにねじ込むことにより、低電圧基板51がケース本体部19に取り付けられる。
【0059】
次に、本実施形態の作用について説明する。
図4において矢印A1で示すように、外部電源25からの電流は、入力端子35を介して高電圧基板41の配線パターンに流れ込むとともに、フィルタ回路23を介して各スイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2に直流電流として入力される。各スイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2は、制御回路24から入力用コネクタ39を介して高電圧基板41に入力される制御信号に基づいてスイッチング動作を行うことにより、直流電流を交流電流に変換する。そして、変換された交流電流が、各接続端子62、各導電部材38、クラスタブロック70、各モータ配線13cを介して電動モータ13へ出力電流として出力される。これにより、電動モータ13が駆動し、電動モータ13の駆動に伴う回転軸14の回転によって、圧縮部12が駆動して冷媒が圧縮部12により圧縮される。なお、
図4に示す矢印A1は、高電圧基板41上で入力端子35から各接続端子62に向かって電流を流す電流経路を示している。
【0060】
電流センサ29u,29wは、出力電流を検出する。電流センサ29u,29wにより検出された出力電流に関する検出信号は、第1検出用バスバー67及び第2検出用バスバー68を介して低電圧基板51の制御回路24に出力される。そして、制御回路24は、電流センサ29u,29wにより検出された出力電流が要求電流となるように各スイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2の駆動を制御する。
【0061】
ここで、例えば、電流センサ29u,29wにより検出された出力電流に関する検出信号を、入力用コネクタ39を用いて低電圧基板51の制御回路24に出力しようとする場合を考える。この場合のように、電流センサ29u,29wから配線パターンを高電圧基板41上にて延ばす必要が無い。したがって、電流センサ29u,29wにより検出された出力電流に関する検出信号が、各スイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2からのノイズの影響を受けたり、高電圧基板41に形成された電流経路を高電圧基板41上で配線パターンが横切ったりすることが回避されている。
【0062】
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)高電圧基板41と低電圧基板51とを電気的に接続するとともに電流センサ29u,29wにより検出された出力電流に関する検出信号を制御回路24に出力する第1検出用バスバー67及び第2検出用バスバー68を、既存の構成である出力用コネクタ60に一体化させた。このため、電流センサ29u,29wにより検出された出力電流に関する検出信号を制御回路24に出力するための検出用コネクタを別途設ける必要が無い。また、例えば、配線パターンを延ばすことで電流センサ29u,29wにより検出された出力電流に関する検出信号を、入力用コネクタ39を用いて低電圧基板51の制御回路24に出力しようとする場合のように、電流センサ29u,29wから配線パターンを高電圧基板41上にて延ばす必要が無い。したがって、電流センサ29u,29wにより検出された出力電流に関する検出信号が、各スイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2からのノイズの影響を受けたり、高電圧基板41に形成された電流経路を高電圧基板41上で配線パターンが横切ったりすることを回避することができる。以上により、電動圧縮機10の大型化を抑制しつつも、電流センサ29u,29wにより検出された出力電流に関する検出信号が、高電圧基板41を流れる電流のノイズの影響を受けてしまうことを抑制することができる。
【0063】
(2)出力用コネクタ60には、低電圧基板51を支持する金属製の支持用バスバー69が一体化されている。支持用バスバー69は、低電圧基板51を貫通して低電圧基板51に対して半田付けされている。これによれば、低電圧基板51が支持用バスバー69を介して出力用コネクタ60に支持されるため、低電圧基板51の耐振性を向上させることができる。
【0064】
(3)出力用コネクタ60は、各取付板部65のボルト挿通孔65hを通過した各ボルト33が各雌ねじ孔19kにねじ込まれることにより、ケース本体部19に取り付けられている。これによれば、出力用コネクタ60におけるケース本体部19に対する位置決め精度を向上させることができる。
【0065】
(4)本実施形態のように、u相コイル15u、v相コイル15v、及びw相コイル15wへ出力される各出力電流を検出するために、少なくとも2つの電流センサ29u,29wが必要な構成においては、これらの電流センサ29u,29wに対応する複数の検出用コネクタと入力用コネクタ39とを一体化させることは難しい。したがって、本実施形態の電動圧縮機10の大型化を抑制する効果は、より顕著となる。
【0066】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0067】
○ 実施形態において、支持用バスバー69の数は特に限定されるものではなく、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
○ 実施形態において、出力用コネクタ60は、支持用バスバー69が一体化されていない構成であってもよい。
【0068】
○ 実施形態において、モータ制御装置22は、例えば、v相コイル15vへ出力される出力電流を検出する電流センサをさらに備えた構成であってもよい。この場合、出力用コネクタ60には、v相コイル15vへ出力される出力電流を検出する電流センサと低電圧基板51とを電気的に接続する検出用バスバーがさらに一体化されている。
【0069】
○ 実施形態において、出力用コネクタ60の樹脂本体部61は、薄板部63及び厚板部64を有しておらず、厚みが一定である形状であってもよい。
○ 実施形態において、各スイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2は、IGBTであったが、これに限らず、MOSFETなど他のパワー半導体デバイスであってもよい。
【0070】
○ 実施形態において、電動圧縮機10は、例えば、モータ制御装置22が、ハウジング11に対して回転軸14の径方向外側に配置されている構成であってもよい。要は、圧縮部12、電動モータ13、及びモータ制御装置22が、この順で、回転軸14の回転軸線方向に並設されていなくてもよい。
【0071】
○ 実施形態において、圧縮部12は、スクロール式に限らず、例えば、ピストン式やベーン式等であってもよい。
○ 実施形態において、電動圧縮機10は、車両空調装置17を構成していたが、これに限らず、例えば、電動圧縮機10は、燃料電池車に搭載されており、燃料電池に供給される流体としての空気を圧縮部12により圧縮するものであってもよい。
【符号の説明】
【0072】
Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2…スイッチング素子、10…電動圧縮機、13…電動モータ、22…モータ制御装置、24…制御回路、29u,29w…電流センサ、39…入力用コネクタ、41…高電圧基板、51…低電圧基板、60…出力用コネクタ、67…検出用バスバーとしての第1検出用バスバー、68…検出用バスバーとしての第2検出用バスバー、69…支持部としての支持用バスバー。