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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-21
(45)【発行日】2023-08-29
(54)【発明の名称】電話制御装置
(51)【国際特許分類】
   H04Q 3/58 20060101AFI20230822BHJP
   H04M 3/00 20060101ALI20230822BHJP
   H04M 3/22 20060101ALI20230822BHJP
【FI】
H04Q3/58 101
H04M3/00 B
H04M3/22 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019231308
(22)【出願日】2019-12-23
(65)【公開番号】P2021100195
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】304020498
【氏名又は名称】サクサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】平田 章紘
【審査官】横田 有光
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-182028(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2006-0023492(KR,A)
【文献】特開平11-331376(JP,A)
【文献】特開2008-135919(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q 3/58- 3/62
H04M 3/00
3/08- 3/58
7/00- 7/16
11/00-11/10
H04Q 1/20- 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の内線電話端末を電話網に交換接続する電話制御装置であって、
前記電話制御装置の動作を設定するための設定データと、前記電話制御装置が有する機能と前記設定データとの対応関係を示す機能対応データベースとを記憶する記憶部と、
前記設定データの変更内容に基づいて、前記機能対応データベースを参照することにより、前記変更内容を実際の動作でチェックするために必要となる機能を、実施すべき動作確認項目として特定して提示する制御部と
を備えることを特徴とする電話制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電話制御装置において、
前記機能対応データベースは、前記機能ごとに登録された、当該機能と対応する設定データのデータIDと設定値との組を含み、
前記制御部は、前記機能対応データベースのうち、データIDおよび設定値が、変更した前記設定データに関するデータIDおよび設定値と一致する機能を、前記動作確認項目として特定する確認項目特定部を備える
ことを特徴とする電話制御装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電話制御装置において、
前記制御部は、特定した前記動作確認項目をリスト化することにより未確認項目リストを生成し、前記未確認項目リストを設定用端末に提供して画面表示する動作確認処理部を備えることを特徴とする電話制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の電話制御装置において、
前記動作確認処理部は、実際に使用された機能の実行結果に基づいて、前記未確認項目リストのうち動作確認済みとなった動作確認項目を検出し、検出された前記動作確認項目を確認済みの動作確認項目として設定することを特徴とする電話制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話制御装置の動作を設定するための設定データを変更した際、変更内容を実際の動作によりチェックするための動作確認技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ビジネスホンシステムやPBXシステムなどの電話システムは、ISDN回線、アナログ回線、IP回線などの各種の電話回線を収容する機能を有しており、これら電話回線ごとに、相手電話番号通知など電話網から提供される各種サービスに対応する機能も有している。また、電話システムは、種類の異なる内線電話端末を混在させて内線収容でき、これら内線電話端末ごとに、通話や表示に関する機能やグループ割当などの制御に関する機能を個別に設定できる。さらには、ドアホン、カメラ、センサなど、内線電話端末以外の各種機器も収容する機能も有している(非特許文献1など参照)。
【0003】
電話システムでは、前述したような各種機能をニーズに合わせてカスタマイズするため、電話制御装置の動作内容を特定するための設定データを、電話制御装置のメモリに予め登録している。このため、電話システムの設置時やシステム構成の変更時に、これら設定データを変更する必要がある。しかし、前述したように、電話システムは多くの機能を備えており、設定データの変更作業は極めて複雑かつ煩雑である。
【0004】
従来、このような設定データの変更作業を支援するための技術として、設定データの変更時にその機能に関する取扱説明書を画面表示する技術(特許文献1など参照)や、オンラインで設定操作を可視表示する技術(特許文献2など参照)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平8-182028号公報
【文献】特開2012-039426号公報
【非特許文献】
【0006】
【文献】「PLATIA II・システム構成」、サクサ株式会社、[online]、[2019年11月29日検索、インターネット<URL:https://www.saxa.co.jp/product/business/platia2/system.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前述した従来技術は、いずれについても電話システムでの設定データの変更時における設定操作を支援するための技術であり、変更内容に誤りがないかどうかを実際の動作でチェックするための動作確認を支援することができないという問題点があった。
【0008】
電話システムは、前述したように数多くの機能を有しており、設定データの項目数も膨大となるため、変更内容の誤りをチェックする必要がある。一般的には、電話システムにおいて、設定データを変更した場合、作業者により実際の動作で動作確認を行うことにより、変更内容の誤りをチェックしている。したがって、動作確認作業の効率化の観点からすると、ある設定データを変更した場合にどの機能を動作確認すべきかを、容易かつ正確に特定する必要がある。通常、どの機能を動作確認すべきかについては、作業者が特定することになるが、機能の増大や複雑化などによって、どの機能を動作確認すべきかを容易かつ正確に特定することは難しい。
【0009】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、設定データの変更時に動作確認すべき機能を正確に特定できる動作確認技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような目的を達成するために、本発明にかかる電話制御装置は、複数の内線電話端末を電話網に交換接続する電話制御装置であって、前記電話制御装置の動作を設定するための設定データと、前記電話制御装置が有する機能と前記設定データとの対応関係を示す機能対応データベースとを記憶する記憶部と、前記設定データの変更内容に基づいて、前記機能対応データベースを参照することにより、前記変更内容を実際の動作でチェックするために必要となる機能を、実施すべき動作確認項目として特定して提示する制御部とを備えている。
【0011】
また、本発明にかかる上記電話制御装置の一構成例は、前記機能対応データベースが、前記機能ごとに登録された、当該機能と対応する設定データのデータIDと設定値との組を含み、前記制御部は、前記機能対応データベースのうち、データIDおよび設定値が、変更した前記設定データに関するデータIDおよび設定値と一致する機能を、前記動作確認項目として特定する確認項目特定部を備えている。
【0012】
また、本発明にかかる上記電話制御装置の一構成例は、前記制御部が、特定した前記動作確認項目をリスト化することにより未確認項目リストを生成し、前記未確認項目リストを設定用端末に提供して画面表示する動作確認処理部を備えている。
【0013】
また、本発明にかかる上記電話制御装置の一構成例は、前記動作確認処理部が、実際に使用された機能の実行結果に基づいて、前記未確認項目リストのうち動作確認済みとなった動作確認項目を検出し、検出された前記動作確認項目を確認済みの動作確認項目として設定するようにしたものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、設定データの変更時に動作確認すべき機能を正確に特定することができる。したがって、変更した設定データに対応して確認すべき機能のみを動作確認することができ、動作確認に要する作業負担や作業時間を大幅に短縮することが可能となる。また、動作確認漏れを防止することができ、設定データの変更に伴う不具合発生を回避することが可能となる。さらに、作業者は、設定データと動作確認すべき機能との関係を把握していなくても、設定データの変更作業を実施することができ、経験の浅い作業者でも、極めて効率よくかつ正確に設定データの変更作業を実施することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】電話システムの構成を示すブロック図である。
図2】設定データの構成例を示す説明図である。
図3】機器対応DBの構成例を示す説明図である。
図4】動作確認リストの構成例を示す説明図である。
図5】動作確認処理を示すフローチャートである。
図6】電話回線の回線種別の変更に関する動作確認項目特定例を示す説明図である。
図7】電話回線の回線種別の変更に関する動作確認リストを示す説明図である。
図8】電話回線の発信種別の変更に関する動作確認項目特定例を示す説明図である。
図9】電話回線の発信種別の変更に関する動作確認リストを示す説明図である。
図10】電話回線の回線種別・発信種別・所属グループの変更に関する動作確認項目特定例を示す説明図である。
図11】電話回線の回線種別・発信種別・所属グループの変更に関する動作確認項目特定例(続き)を示す説明図である。
図12】電話回線の回線種別・発信種別・所属グループの変更に関する動作確認リストを示す説明図である。
図13】未確認項目リストの画面表示例を示す説明図である。
図14】未確認項目リストの他の画面表示例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
[電話システム]
まず、図1を参照して、本実施の形態にかかる電話システム1について説明する。図1は、電話システムの構成を示すブロック図である。
電話システム1は、全体として一般的なビジネスホンシステムやPBXシステムからなり、図1に示すように、電話制御装置10と複数の内線電話端末20から構成されている。
【0017】
電話制御装置10は、ビジネスホンシステムの主装置やPBXシステムのPBX装置からなり、通信回線L1を介して電話網NWに接続されて、内線回線L2を介して配下に内線収容した複数の内線電話端末20を電話網NWに交換接続する装置である。
本発明は、設定データの変更時、作業者操作に応じて変更した設定データの変更内容に基づいて、変更内容に誤りがないかを確認するための動作確認項目を特定し、作業者に提供するようにしたものである。
【0018】
[電話制御装置]
電話制御装置10は、図1に示すように、網インターフェース部(以下、網I/F部という)11、内線インターフェース部(以下、内線I/F部という)12、端末インターフェース部(以下、端末I/F部という)13、記憶部14、および制御部15を備えている。
【0019】
網I/F部11は、通信回線L1を介して電話網NWと接続し、各種の呼制御メッセージや音声を送受信する部である。網I/F部11と電話網NWとの間には、オプションとして、各種の電話回線を利用するための回線機器(ゲートウェイ:GW)が接続される場合がある。アナログ回線GW31は、電話網NWからのアナログ回線を電話制御装置10で利用するためのゲートウェイである。ISDN回線GW32は、電話網NWからのISDN回線を電話制御装置10で利用するためのゲートウェイである。
【0020】
以下では、通信回線L1がIP電話回線であるものとし、電話網NWは、IP電話網であるものとする。なお、電話網NWには、PSTN(Public Switched Telephone Network)や、ISDN(Integrated Services Digital Network)も含まれるものとする。また、電話回線は、単に回線という場合がある。
【0021】
内線I/F部12は、内線回線L2を介して複数の内線電話端末20との間で各種の制御コマンドや音声を送受信する部である。内線電話端末20は、ビジネスホンシステムやPBXシステムの内線子機として用いられる一般的な電話端末である。内線電話端末20のいずれかは、設定データの変更を行う設定用端末として用いられる場合がある。本発明では、未確認項目リストを作業者に提供するため、設定用端末として用いる内線電話端末20には、LCDなどの画面表示装置が搭載されているものとする。
【0022】
端末I/F部13は、LANやUSBなどの一般的なデータ通信用のインターフェース部からなり、設定用端末30などの外部装置と接続して、各種データを送受信する機能を有している。設定用端末30は、PC、スマートフォン、タブレットなどの電子機器からなり、設定データの変更時に接続されて設定データの変更を行う端末として用いられる。設定用端末30のブラウザ機能により、電話制御装置10との間で設定データの変更内容や未確認項目リストがやり取りされる。
【0023】
記憶部14は、ハードディスクや半導体メモリなどの記憶装置からなり、電話制御装置10での呼制御処理や設定データ変更処理に用いる各種の処理データやプログラム14Pを記憶する。
プログラム14Pは、制御部15のCPUと協働することにより、呼制御処理や設定データ変更処理に用いられる各種の処理部を実現するプログラムである。プログラム14Pは、電話制御装置10に接続された外部装置や記録媒体から読み出されて、予め記憶部14に格納される。
【0024】
記憶部14で記憶される主な処理データとして、呼制御データ14A、設定データ14B、機能対応データベース(以下、機能対応DBという)14C、および動作確認リスト14Dがある。
呼制御データ14Aは、内線電話端末20に関する発着信や通話などの呼制御を行うための制御用データである。呼制御データ14Aには、電話制御装置10に接続されている電話回線の状態や内線電話端末20の状態を示すステータス情報のほか、電話制御装置10に接続されている回線機器を示す収容情報も含まれているものとする。収容情報の詳細について後述する。
【0025】
設定データ14Bは、電話システム1の各種機能をニーズに合わせてカスタマイズするため、電話制御装置10の動作内容を設定するためのデータである。図2は、設定データの構成例を示す説明図である。図2に示すように、設定データ14Bには、設定項目ごとに、当該設定項目の種別を示す種別ID、当該設定項目を識別するためのデータID、および当該設定項目の値を示す設定値が、組としてそれぞれ登録されている。図2には、電話回線1の発信種別を示す設定データが例として示されており、種別IDには当該設定項目が電話回線1に関するものであることを示す「回線1」が設定され、データIDには当該設定項目が回線種別に関するものであることを示す「b-a」が設定され、設定値には電話回線1の回線種別を示す「アナログ回線」が設定されている。
【0026】
機能対応DB14Cは、電話制御装置10が有する機能と設定データとの対応関係が予め登録されているデータベースである。
図3は、機器対応DBの構成例を示す説明図である。図3に示すように、機能対応DB14Cには、機能ごとに、当該機能を識別するための機能ID、当該機能を利用するために必要となる必須機器、当該機能と対応する設定データを示すデータID、当該機能と対応する設定データの設定値、および当該機能と関連する機能を示す関連IDが、組としてそれぞれ登録されている。図3には、着信B-2という機能について、必須機器が「A/I/ひかり」であり、対応する設定データのデータIおよび設定値が「b-a」および「ナンバーディスプレイ回線」であり、関連する機能の機能IDが「a-c」であることが登録されている。
【0027】
動作確認リスト14Dは、変更した設定データの変更内容に誤りがないかどうかを確認するための動作確認項目を示すリストである。図4は、動作確認リストの構成例を示す説明図である。図4に示すように、動作確認リスト14Dには、機能を識別するための機能IDと設定項目の種別を示す種別IDとの組合せごとに、動作確認の要/不要が設定されている。初期状態において、設定データが変更されていない組合せについては動作確認が不要であることを示す「不要」が設定されている。
【0028】
また、設定データが変更された組合せのうち、動作確認がまだ行われていない組合せについては、動作確認の確認状況が未確認であることを示す「未確認」が設定されており、動作確認が既に行われた組合せについては、動作確認の確認状況が確認済みであることを示す「確認済」が設定されている。動作確認リスト14Dのうちから、確認状況が「未確認」を示す動作確認項目を抽出してリスト化したものが未確認項目リストである。
【0029】
制御部15は、CPUとその周辺部を有し、記憶部14から読み出したプログラム14Pを実行して、CPUとプログラム14Pとを協働させることにより、呼制御処理や設定データ変更処理に用いられる各種の処理部を実現する。
制御部15で実現される主な処理部として、呼制御部15A、変更データ取得部15B、確認項目特定部15C、および動作確認処理部15Dを備えている。
【0030】
呼制御部15Aは、網I/F部11を介して電話網NWとの間で呼制御メッセージをやり取りするとともに、記憶部14で記憶されている呼制御データ14Aや設定データ14Bに基づいて、内線電話端末20に関する発着信や通話などの呼制御を行う機能を有している。呼制御部15Aで実行される呼制御については一般的なビジネスホンシステムやPBXシステムと同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0031】
変更データ取得部15Bは、作業者操作に応じて設定用端末30から出力された変更要求に応じて、設定データ14Bの変更内容を示す変更データを取得する機能を有している。変更データの取得方法については、端末I/F部13を介して設定用端末30から取得した変更後の新たな設定データと、記憶部14で記憶している変更前の設定データ14Bとを比較し、変更された部分だけを変更データとして抽出してもよい。また、設定用端末30から取得した変更後の新たな設定データのうち変更された部分だけを変更データとして抽出してもよい。
【0032】
確認項目特定部15Cは、機能対応DB14Cのうち、データIDおよび設定値が、変更した設定データに関するデータIDおよび設定値と一致する機能を、動作確認項目として特定する機能と、機能対応DB14Cのうち、データIDが空欄の機能については、データIDに代えて関連IDを設定データに関するデータIDと比較する機能とを有している。
【0033】
動作確認処理部15Dは、端末I/F部13での検出結果に基づいて、電話制御装置10に対する外部機器の接続を認識し、呼制御データ14Aの収容情報に登録する機能と、確認項目特定部15Cで特定した動作確認項目をリスト化することにより動作確認リスト14Dを生成する機能と、動作確認リスト14Dのうちから確認状況が「未確認」状態を示す動作確認項目を抽出してリスト化することにより未確認項目リストを生成し、作業者が操作する設定用端末30に提供して画面表示する機能と、作業者により実際に使用された機能の実行結果に基づいて、未確認項目リストのうち動作確認済みとなった動作確認項目を検出し、検出された動作確認項目に関する動作確認リスト14Dの確認状況を「未確認」状態から「確認済み」状態に変更する機能とを有している。
【0034】
[第1の実施の形態の動作]
次に、図5を参照して、本実施の形態にかかる電話制御装置10の動作について説明する。図5は、動作確認処理を示すフローチャートである。
電話制御装置10の制御部15は、作業者操作に応じた設定用端末30からの設定データの変更要求に応じて、図5の動作確認処理を実行する。なお、動作確認処理の実行時には、予め機能対応DB14Cが記憶部14に登録されているものとする。
【0035】
まず、動作確認処理部15Dは、電話制御装置10に外部機器が接続されたか確認し(ステップS100)、接続が確認されなかった場合(ステップS100:NO)、後述するステップS102へ移行する。接続が確認された場合(ステップS100:YES)、呼制御データ14Aの収容情報に接続確認された外部機器を登録し(ステップS101)、後述するステップS102へ移行する。
【0036】
続いて、確認項目特定部15Cは、変更データ取得部15Bにより設定データの変更内容を示す変更データが取得されたか確認し(ステップS102)、取得されていない場合(ステップS102:NO)、後述するステップS105へ移行する。
【0037】
ステップS102において、変更データが取得されている場合(ステップS102:YES)、確認項目特定部15Cは、変更データに基づいて機能対応DB14Cを参照して、機能対応DB14Cのうち、データIDおよび設定値が、変更した設定データに関するデータIDおよび設定値と一致する機能を、動作確認項目として特定する(ステップS103)。
動作確認処理部15Dは、確認項目特定部15Cで特定された動作確認項目を、記憶部14の動作確認リスト14Dに追加し(ステップS104)、後述するステップS105へ移行する。
【0038】
この後、動作確認処理部15Dは、作業者操作に応じて設定用端末30から設定データ変更完了通知が通知されたか確認し(ステップS105)、通知されていない場合(ステップS105:NO)、前述したステップS100へ戻る。
ステップS105において、変更完了通知が通知された場合(ステップS105:YES)、動作確認処理部15Dは、動作確認リスト14Dのうちから、動作確認が未確認状態である動作確認項目を抽出して未確認項目リストを生成し、端末I/F部13を介して設定用端末30に提示して画面表示する(ステップS110)。
【0039】
これにより、作業者は、画面表示された未確認項目リストに基づいて動作確認すべき項目を把握し、未確認項目リストのうちから任意の動作確認項目を1つ選択し、その動作確認項目と対応する機能を実際に使用することにより、動作確認を実施する(ステップS111)。これに応じて、呼制御部15Aでは、設定データを用いた呼制御が実行される。
動作確認処理部15Dは、呼制御部15Aで実行された呼制御の実行結果に基づいて、動作確認リスト14Dに含まれる未確認状態の動作確認項目のうち、動作確認済みとなった動作確認項目があるか確認し(ステップS112)、動作確認済みとなった動作確認項目が検出されなかった場合(ステップS112:NO)、後述するステップS114へ移行する。
【0040】
ステップS112において、動作確認済みとなった動作確認項目が検出された場合(ステップS112:YES)、動作確認処理部15Dは、動作確認リスト14Dのうち動作確認済みとなった動作確認項目の確認状況を、未確認状態から確認済み状態に設定する(ステップS113)。
【0041】
この後、動作確認処理部15Dは、動作確認リスト14Dに未確認状態の動作確認項目があるか確認し(ステップS114)、未確認状態の動作確認項目がある場合(ステップS114:YES)、ステッブS110へ移行して、動作確認リスト14Dのうちから、動作確認が未確認状態である動作確認項目を抽出して未確認項目リストを再生成し、端末I/F部13を介して設定用端末30に提示して画面表示し(ステップS110)、ステッブS111~ステップS114を繰り返し実行する。
【0042】
ステップS114において、未確認状態の動作確認項目がなく、すべての動作確認項目の動作確認が実施されて確認済み状態である場合(ステップS114:NO)、動作確認処理部15Dは、設定データの変更に伴う動作確認が完了したことを、端末I/F部13を介して設定用端末30に提示して画面表示し(ステップS115)、一連の動作確認処理を終了する。
【0043】
図5のステップS112~ステップS114では、動作確認の完了判定を制御部15により自動化する場合を例として説明したが、これに限定されるものではない。例えば、作業者が動作確認の完了判定を行って、設定用端末30を操作することにより、設定用端末30から電話制御装置10に対して動作確認の完了を通知するようにしてもよい。
【0044】
[動作例]
次に、図6図12を参照して、本実施の形態にかかる電話制御装置10の動作例について説明する。図6は、電話回線の回線種別の変更に関する動作確認項目特定例を示す説明図である。図7は、電話回線の回線種別の変更に関する動作確認リストを示す説明図である。図8は、電話回線の発信種別の変更に関する動作確認項目特定例を示す説明図である。図9は、電話回線の発信種別の変更に関する動作確認リストを示す説明図である。図10は、電話回線の回線種別・発信種別・所属グループの変更に関する動作確認項目特定例を示す説明図である。図11は、電話回線の回線種別・発信種別・所属グループの変更に関する動作確認項目特定例(続き)を示す説明図である。図12は、電話回線の回線種別・発信種別・所属グループの変更に関する動作確認リストを示す説明図である。
【0045】
[回線種別の変更例]
まず、図6および図7を参照して、電話回線の回線種別の変更に関する動作確認項目特定例について説明する。図6に示すように、作業者操作により電話制御装置10に対してアナログ回線GW31が接続された場合、電話制御装置10の制御部15は、電話制御装置10に対するアナログ回線GW31の収容を認識し、呼制御データ14Aの収容情報に登録する。図6に示すように、収容情報は、機器名ごとに、機器を識別するための機器IDと、当該機器で収容される電話回線を示す対応回線とが、組として登録されている。図6では、アナログ回線GW31を介して電話回線1,2が収容された例が示されている。
【0046】
続いて、作業者操作により電話回線1の回線種別に関する設定データの設定値が「ナンバーディスプレイ回線」に変更された場合、変更データ取得部15Bは、種別IDが「回線1」で、データIDが「b-a」で、設定値が「ナンバーディスプレイ回線」を示す変更データを取得する。
その後、確認項目特定部15Cは、機能対応DB14Cを参照して、変更データのデータIDおよび設定値と一致する機能として機能IDが「着信B-2」である機能を動作確認項目として特定する。
【0047】
この際、確認項目特定部15Cは、動作確認項目の必須機器「A/I/ひかり」を確認し、収容情報に基づいてこれら機器が電話制御装置10に接続されているか確認する。必須機器「A」、「I」、「ひかり」は、それぞれアナログ回線GW31、ISDN回線GW32、光回線GW(図示せず)を示している。
ここで、収容情報には、アナログ回線GW31が既に収容されていることが登録されている。これにより、変更データの種別IDで指定されている設定対象、すなわち電話回線1が使用可能であるため、電話回線1での機能ID「着信B-2」(ナンバーディスプレイ表示)の機能が、動作確認項目として動作確認リスト14Dに追加される。図7の例では、機能ID「着信B-2」と種別ID「回線1」の組合せが、「不要」から「未確認」状態に変更されている。
【0048】
[発信種別の変更例]
次に、図8および図9を参照して、電話回線の発信種別の変更に関する動作確認項目特定例について説明する。ここでは、作業者操作により電話制御装置10に対してアナログ回線GW31が接続されており、収容情報には、アナログ回線GW31を介して電話回線1,2が収容された例が示されている。
【0049】
図8に示すように、作業者操作により電話回線2の発信種別に関する設定データの設定値が「PB発信」(PB:プッシュボタン/DTMF)から「DP発信」(DP:ダイヤルパルス)に変更された場合、変更データ取得部15Bは、種別IDが「回線2」で、データIDが「a-b」で、設定値が「DP発信」を示す変更データを取得する。
その後、確認項目特定部15Cは、機能対応DB14Cを参照して、変更データのデータIDおよび設定値と一致する機能として機能IDが「発信A-1」,「発信A-2」,「発信A-3」である3つの機能を動作確認項目として特定する。この際、機能対応DB14CのデータIDに代えて関連IDが参照され、関連IDと設定値が変更データと一致した機能が動作確認項目として特定されている。
【0050】
この際、確認項目特定部15Cは、動作確認項目の必須機器「A/I/ひかり」を確認し、収容情報に基づいてこれら機器が電話制御装置10に接続されているか確認する。ここで、収容情報には、アナログ回線GW31が既に収容されていることが登録されている。これにより、変更データの種別IDで指定されている設定対象、すなわち電話回線2が使用可能であるため、電話回線2での機能ID「発信A-1」,「発信A-2」,「発信A-3」(外線発信)の機能が、動作確認項目として動作確認リスト14Dに追加される。図9の例では、機能ID「発信A-1」,「発信A-2」,「発信A-3」と種別ID「回線2」の組合せが、それぞれ「不要」から「未確認」状態に変更されている。
【0051】
[回線種別・発信種別・所属グループの変更例]
次に、図10図11、および図12を参照して、電話回線の回線種別・発信種別・所属グループの変更に関する動作確認項目特定例について説明する。ここでは、作業者操作により電話制御装置10に対してアナログ回線GW31が接続されており、収容情報には、アナログ回線GW31を介して電話回線1,2が収容された例が示されている。
【0052】
まず、図10に示すように、作業者操作により電話回線3の回線種別に関する設定値が「i・ナンバー回線」に変更され、発信種別に関する設定データの設定値が「Dch発信」(Dチャンネル発信)に変更され、所属グループが「2」に変更されたものとする。この場合、変更データ取得部15Bは、種別IDが「回線3」で、データIDが「b-a」で、設定値が「i・ナンバー回線」を示す変更データと、種別IDが「回線3」で、データIDが「a-b」で、設定値が「Dch発信」を示す変更データと、種別IDが「回線3」で、データIDが「a-c」で、設定値が「所属グループ・2」を示す変更データとを取得する。
【0053】
その後、確認項目特定部15Cは、機能対応DB14Cを参照して、変更データのデータIDおよび設定値と一致する機能として機能IDが「着信B-3」である機能を動作確認項目として特定する。
この際、確認項目特定部15Cは、動作確認項目の必須機器「I」を確認し、収容情報に基づいてISDN回線GW32が電話制御装置10に接続されているか確認する。ここで、収容情報には、ISDN回線GW32が収容されていることが登録されていない。これにより、変更データの種別IDで指定されている設定対象、すなわち電話回線3が使用不可能であるため、機能ID「着信B-3」の機能は、動作確認項目として動作確認リスト14Dに追加されない。
【0054】
この後、図11に示すように、作業者操作により電話制御装置10に対してISDN回線GW32が接続された場合、電話制御装置10の制御部15は、電話制御装置10に対するISDN回線GW32の収容を認識し、呼制御データ14Aの収容情報に登録する。
これにより、変更データの種別IDで指定されている設定対象、すなわち電話回線3が使用可能であるため、電話回線3での機能ID「着信B-3」(i・ナンバー表示)の機能が、動作確認項目として動作確認リスト14Dに追加される。図12の例では、機能ID「着信B-3」と種別ID「回線3」の組合せが、「不要」から「未確認」状態に変更されている。
【0055】
図13は、未確認項目リストの画面表示例を示す説明図である。設定用端末30では、電話制御装置10から提示された未確認項目リストを、例えば設定用端末30に登載されているブラウザ機能で画面表示する。図13には、前述した図6図12の動作例で得られた未確認項目リストが画面表示されている。動作確認項目ごとに、実施すべき機能を示す確認機能と、確認対象となる電話回線の回線種別および対象回線と、動作確認の確認状況とが組として表示されている。
【0056】
作業者により実際に使用された機能の実行結果に基づいて、未確認項目リストのうち動作確認済みとなった動作確認項目が電話制御装置10で検出された場合、電話制御装置10で動作確認リスト14Dが更新されるとともに未確認項目リストが再生成されて、設定用端末30で画面表示される。これにより、動作確認済みとなった動作確認項目の確認状況が「未確認」状態から「確認済み」状態に変更され、未確認項目リストから除外される。なお、「確認済み」状態に変更された動作確認項目については、未確認項目リストに含めて設定用端末30で画面表示してもよい。
【0057】
図14は、未確認項目リストの他の画面表示例を示す説明図である。設定用端末30として内線電話端末20を用いた場合、画面表示エリアの面積が狭いため、未確認項目リストを一括表示することはできない。このため、図14に示すように、動作確認項目ごとに複数の画面に分割して表示してもよい。
【0058】
[本実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、機能と設定データとの対応関係を示す機能対応DB14Cを記憶部14で記憶しておき、制御部15が、作業者操作に応じて変更した設定データの変更内容に基づいて、機能対応DB14Cを参照することにより、変更内容を実際の動作でチェックするために必要となる機能を、実施すべき動作確認項目として特定して作業者に提示するようにしたものである。
【0059】
具体的には、機能対応DB14Cは、機能ごとに登録された、当該機能と対応する設定データのデータIDと設定値との組を含み、制御部15の確認項目特定部15Cが、機能対応DB14Cのうち、データIDおよび設定値が、変更した設定データに関するデータIDおよび設定値と一致する機能を、動作確認項目として特定するようにしたものである。
【0060】
これにより、設定データの変更時に動作確認すべき機能を正確に特定することができる。したがって、変更した設定データに対応して確認すべき機能のみを動作確認することができ、動作確認に要する作業負担や作業時間を大幅に短縮することが可能となる。また、動作確認漏れを防止することができ、設定データの変更に伴う不具合発生を回避することが可能となる。さらに、作業者は、設定データと動作確認すべき機能との関係を把握していなくても、設定データの変更作業を実施することができ、経験の浅い作業者でも、極めて効率よくかつ正確に設定データの変更作業を実施することが可能となる。
【0061】
また、本実施の形態において、制御部15の動作確認処理部15Dが、特定した動作確認項目をリスト化することにより未確認項目リストを生成し、未確認項目リストを作業者が操作する設定用端末30に提供して画面表示するようにしてもよい。
これにより、作業者は、設定用端末30に画面表示された未確認項目リストを確認しつつ、動作確認作業を行うことができ、極めて効率よく動作確認を行うことが可能となる。
【0062】
また、本実施の形態において、動作確認処理部15Dが、作業者により実際に使用された機能の実行結果に基づいて、未確認項目リストのうち動作確認済みとなった動作確認項目を検出し、検出された動作確認項目を確認済みの動作確認項目として設定するようにしてもよい。
これにより、動作確認項目ごとの動作確認の完了判定を自動化することができ、作業者の動作確認に要する作業負担や作業時間を大幅に短縮することが可能となる。
【0063】
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0064】
1…電話システム、10…電話制御装置、11…網I/F部(網インターフェース部)、12…内線I/F部(内線インターフェース部)、13…端末I/F部(端末インターフェース部)、14…記憶部、14A…呼制御データ、14B…設定データ、14C…機能対応DB(機能対応データベース)、14D…動作確認リスト、14P…プログラム、15…制御部、15A…呼制御部、15B…変更データ取得部、15C…確認項目特定部、15D…動作確認処理部、20…内線電話端末、30…設定用端末、31…アナログ回線GW、32…ISDN回線GW、L1…通信回線、L2…内線回線、NW…電話網。
図1
図2
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図10
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