(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-21
(45)【発行日】2023-08-29
(54)【発明の名称】制御装置
(51)【国際特許分類】
B60K 6/22 20071001AFI20230822BHJP
F02D 29/02 20060101ALI20230822BHJP
F02D 29/06 20060101ALI20230822BHJP
【FI】
B60K6/22 ZHV
F02D29/02 L
F02D29/06 D
(21)【出願番号】P 2020006513
(22)【出願日】2020-01-20
【審査請求日】2022-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】青木 一真
(72)【発明者】
【氏名】鉾井 耕司
(72)【発明者】
【氏名】古橋 雄介
【審査官】清水 康
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-171031(JP,A)
【文献】特開2003-217630(JP,A)
【文献】特開2008-137543(JP,A)
【文献】特開2015-217828(JP,A)
【文献】中国実用新案第204851452(CN,U)
【文献】特開2010-241190(JP,A)
【文献】特開2002-038947(JP,A)
【文献】特開2001-304004(JP,A)
【文献】特開平11-117799(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0146024(US,A1)
【文献】特開2002-089424(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 6/20 - 6/547
B60W 10/00 - 10/30
B60W 20/00 - 20/50
B60L 1/00 - 3/12
B60L 7/00 - 13/00
B60L 15/00 - 58/40
F02D 29/00 - 29/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力源としての内燃機関およびモータジェネレータと、前記内燃機関の動作状態を示す情報を表示する表示装置と、を有しており前記内燃機関への燃料供給を停止させた状態で前記モータジェネレータの動力によって走行できる車両に適用され、前記表示装置を制御する制御装置であって、
前記内燃機関の動作状態を取得する取得部と、
前記表示装置に表示させる情報として、前記内燃機関の動作中に前記内燃機関の暖機が行われていることを通知する暖機中表示と、前記内燃機関の動作中に前記内燃機関の暖機が完了していることを通知する暖機完了表示と、を切り換える表示制御部と、を備え、
前記表示制御部は、
前記内燃機関が動作中である場合に、前記内燃機関を暖機する要求である暖機要求があるときには、前記暖機中表示を前記表示装置に表示させ、
前記内燃機関が動作中である場合に、前記暖機要求がなくなると、再び前記暖機要求があるまで前記暖機完了表示を前記表示装置に表示させ、
前記暖機完了表示を前記表示装置に表示させているときには、前記暖機完了表示から前記暖機中表示への切り換えを禁止する
制御装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記表示装置の表示を、前記暖機中表示および前記暖機完了表示に加えて、前記内燃機関の動作が停止していることを通知する停止表示にも切り換えるものであり、
前記内燃機関の動作が停止中である場合に、前記停止表示を前記表示装置に表示させ
、
前記内燃機関が動作中である場合に、前記暖機要求がないときには、前記暖機完了表示を前記表示装置に表示させ、
前記内燃機関が動作中である場合に、前記暖機要求がないときであっても前記内燃機関の始動処理中であるときには、前記停止表示を前記表示装置に表示させる
請求項1に記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド車両が備える表示装置を制御する制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、内燃機関の暖機が行われているときに、内燃機関が暖機中であることを車両の運転者に通知するランプを点灯させる車両の制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
内燃機関に加えてモータジェネレータを備えているハイブリッド車両は、内燃機関における燃焼を一時的に停止させて走行を行うことがある。このため、暖機の完了後に内燃機関の冷却水の温度または触媒の温度が低下して、走行中に暖機が再び行われる場合がある。暖機が再び行われることに基づいて特許文献1に開示されているように暖機中であることが運転者に通知されると、内燃機関が動作し続けていると運転者が認識していた場合には、暖機が完了したにもかかわらず再び暖機が行われていると運転者が感じるおそれがある。すなわち、運転者が認識している状態と運転者に通知される情報とが異なることによって、運転者に違和感を与えるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための制御装置は、動力源としての内燃機関およびモータジェネレータと、前記内燃機関の動作状態を示す情報を表示する表示装置と、を有しており前記内燃機関への燃料供給を停止させた状態で前記モータジェネレータの動力によって走行できる車両に適用され、前記表示装置を制御する制御装置であって、前記内燃機関の動作状態を取得する取得部と、前記表示装置に表示させる情報として、前記内燃機関の動作中に前記内燃機関の暖機が行われていることを通知する暖機中表示と、前記内燃機関の動作中に前記内燃機関の暖機が完了していることを通知する暖機完了表示と、を切り換える表示制御部と、を備え、前記表示制御部は、前記内燃機関が動作中である場合に、前記内燃機関を暖機する要求である暖機要求があるときには、前記暖機中表示を前記表示装置に表示させ、前記内燃機関が動作中である場合に、前記暖機要求がなくなると、再び前記暖機要求があるまで前記暖機完了表示を前記表示装置に表示させ、前記暖機完了表示を前記表示装置に表示させているときには、前記暖機完了表示から前記暖機中表示への切り換えを禁止することをその要旨とする。
【0006】
上記構成によれば、表示装置の表示は、暖機完了表示から暖機中表示に切り換えられることがない。このため、暖機が完了した後、内燃機関の動作中に再び暖機が要求されたとしても、表示装置は、暖機完了表示を表示し続けることになる。これによって、内燃機関が動作し続けていると運転者が認識しているにもかかわらず暖機の完了後に再び暖機が行われているような違和感を、運転者に与えることを抑制できる。
【0007】
上記制御装置の一例では、前記表示制御部は、前記表示装置の表示を、前記暖機中表示および前記暖機完了表示に加えて、前記内燃機関の動作が停止していることを通知する停止表示にも切り換えるものであり、前記内燃機関の動作が停止中である場合に、前記停止表示を前記表示装置に表示させ、前記内燃機関が動作中である場合に、前記暖機要求がないときには、前記暖機完了表示を前記表示装置に表示させ、前記内燃機関が動作中である場合に、前記暖機要求がないときであっても前記内燃機関の始動処理中であるときには、前記停止表示を前記表示装置に表示させる。
【0008】
仮に内燃機関への暖機要求の有無のみに基づいて表示装置の暖機中表示と暖機完了表示とを切り換えるようにした場合、内燃機関の始動処理中であり暖機が必要か否かの判定がなされておらず暖機要求が未だ発生していない場合でも暖機完了表示が表示されるという問題がある。
【0009】
この点、上記構成によれば、内燃機関が動作中の場合であり内燃機関の始動処理中には、停止表示を表示させることができる。このため、内燃機関の始動処理中に暖機完了表示が表示されることを抑制できる。また、始動処理中に暖機完了表示が表示されることなく停止表示が表示されるので、暖機要求が発生したときに暖機中表示への切り換えが禁止されることもない。すなわち、内燃機関の始動処理が終了してから暖機が要求されると、表示装置の表示を暖機中表示に切り換えることができる。これによって、運転者が認識している状態と運転者に通知される情報とが異なることに起因した違和感を運転者に与えることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】制御装置の一実施形態と、同制御装置を搭載する車両と、を示す模式図。
【
図2】同制御装置が表示装置を制御するために実行する処理の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、制御装置の一実施形態について、
図1~
図2を参照して説明する。
図1は、車両90と、車両90が備える表示装置91と、表示装置91の制御装置である表示制御装置10と、を示す。
【0012】
車両90は、走行用の動力源として内燃機関とモータジェネレータとを搭載する、いわゆるハイブリッド車両である。車両90は、内燃機関30と、内燃機関30のクランク軸31に接続されているモータジェネレータ50と、を備えている。モータジェネレータ50は、遊星歯車機構によって構成されている動力配分統合機構を介してクランク軸31と接続されている。
【0013】
モータジェネレータ50は、発電機として機能することができる。車両90では、内燃機関30の出力がクランク軸31を介してモータジェネレータ50に入力されることによって、モータジェネレータ50による発電を行うことができる。
【0014】
モータジェネレータ50は、電動機として機能することができる。モータジェネレータ50を電動機として機能させた場合、モータジェネレータ50の出力をクランク軸31に入力して、クランク軸31を回転させることができる。
【0015】
車両90は、バッテリを備えている。モータジェネレータ50が発電機として機能する場合、バッテリは、モータジェネレータ50から供給された電力によって充電される。モータジェネレータ50が電動機として機能する場合、バッテリは、モータジェネレータ50に電力を供給する。
【0016】
内燃機関30は、燃焼室に吸気を導入する吸気通路32を備えている。内燃機関30は、燃料を噴射する燃料噴射弁を備えている。内燃機関30は、燃焼室に導入された燃料と吸気との混合気を燃焼させ、燃焼室で燃焼された混合気を排気として排出する排気通路33を備えている。排気通路33には、排気通路33を流れる排気を浄化する触媒装置34が配置されている。
【0017】
内燃機関30では、燃焼室の周囲に形成されているウォータージャケットに冷却水が循環する。内燃機関30は、冷却水を熱交換によって冷却するための冷却装置40を備えている。内燃機関30には、ウォータージャケットに冷却水を流入させる流入口43と、ウォータージャケットから冷却水を流出させる流出口44と、が設けられている。内燃機関30は、流入口43と流出口44とを接続する第1水路41を備えている。第1水路41には、車両90に搭載されているラジエータ45が配置されている。第1水路41におけるラジエータ45よりも流入口43側には、電子式のサーモスタット46と電動式のウォーターポンプ47とが順に配置されている。
【0018】
サーモスタット46が開弁している状態でウォーターポンプ47が駆動している場合、流出口44を介してウォータージャケットから第1水路41に冷却水が流出し、流入口43を介して第1水路41からウォータージャケットに冷却水が流入する流れが形成される。第1水路41を流れる冷却水がラジエータ45を通過することによって、外気と冷却水との間で熱交換が行われて冷却水が冷却される。一方、サーモスタット46が閉弁している場合には、ラジエータ45に冷却水が導入されない。
【0019】
また、冷却装置40では、第2水路42の一端が流出口44に接続されている。第2水路42の他端は、第1水路41におけるサーモスタット46とウォーターポンプ47との間に接続されている。ウォーターポンプ47が駆動している場合、サーモスタット46の開閉状態にかかわらず、流出口44を介してウォータージャケットから第2水路42に冷却水が流出し、流入口43を介してウォータージャケットに冷却水が流入する流れが形成される。
【0020】
車両制御装置20は、車両90を制御する電子制御装置である。車両制御装置20には、車両90が備える各種センサからの検出信号が入力される。たとえば、車両制御装置20は、水温センサからの検出信号に基づいて、ウォータージャケットを循環する冷却水の温度を算出する。また、たとえば、車両制御装置20は、排気温センサからの検出信号に基づいて、排気通路33に排出される排気の温度を算出する。車両制御装置20は、排気の温度に基づいて、触媒装置34の温度を算出する。車両制御装置20は、エアフロメータからの検出信号に基づいて、燃焼室への吸入空気量を算出する。車両制御装置20は、燃焼室への吸入空気量の積算値に基づいて、内燃機関30の機関温度を推定する。内燃機関30の機関温度は、吸入空気量の積算値が大きいほど高い温度になると推定することができる。
【0021】
車両制御装置20は、内燃機関30を制御する機能と、モータジェネレータ50を制御する機能と、を備えている。
車両制御装置20は、内燃機関30の運転を停止させている状態から内燃機関30を始動するときには、始動処理を実施する。車両制御装置20は、内燃機関30が自立運転を開始すると始動処理を終了する。
【0022】
車両制御装置20は、内燃機関30の暖機処理を実施する。暖機処理は、たとえば、点火時期を遅角させることによって混合気の燃焼に伴う熱量を増大させる処理である。車両制御装置20は、暖機要求がある場合に暖機処理を実施し、暖機要求の出力が停止するまで暖機処理を継続する。なお、暖機要求は、冷却水の温度が低い場合、触媒の温度が低い場合、または、機関温度が低い場合に出力される。たとえば、車両制御装置20は、冷却水の温度が規定の判定水温よりも低い場合に暖機要求を出力する。車両制御装置20は、触媒の温度が規定の判定温度よりも低い場合にも暖機要求を出力する。あるいは、車両制御装置20は、内燃機関30の機関温度が規定の判定機関温度よりも低い場合にも暖機要求を出力する。
【0023】
車両制御装置20は、車両90を走行させる走行モードによって車両90の動力源を切り換えることができる。たとえば、走行モードがEVモードであるとき、車両制御装置20は、内燃機関30の運転を停止させて、モータジェネレータ50を車両90の動力源とする。EVモードであるとき、内燃機関30は、動作が停止されている。また、走行モードがHVモードであるとき、車両制御装置20は、内燃機関30およびモータジェネレータ50を車両90の動力源とする。HVモードでは、車両制御装置20は、燃料噴射を一時的に停止させて内燃機関30の動作を停止させることができる。また、車両制御装置20は、燃料噴射を一時的に停止させた状態でモータジェネレータ50の出力によって内燃機関30のクランク軸31を回転させるモータリングを行うことができる。モータリングが行われているとき、内燃機関30は、混合気の燃焼が停止されているがクランク軸31が回転しており動作している状態となる。
【0024】
車両制御装置20は、内燃機関30の動作を停止させているときには、ウォーターポンプ47の駆動を停止させて、冷却水の循環を停止させる。
車両90は、内燃機関30の動作状態を示す情報を表示する表示装置91を備えている。表示装置91は、文字列および映像を表示可能な映像表示装置である。表示装置91は、車両90の車室内に配置されている。表示装置91は、表示制御装置10によって画面の表示が制御される。
【0025】
表示装置91は、内燃機関30の暖機が行われていることを通知する暖機中表示の一例として、「暖機中」という文字列を表示することができる。表示装置91は、内燃機関30の暖機が完了していることを通知する暖機完了表示の一例として、「暖機完了」という文字列を表示することができる。表示装置91は、内燃機関30の動作が停止していることを通知する停止表示の一例として、「停止」という文字列を表示することができる。表示装置91としては、表示装置91に表示されている情報が暖機中表示、暖機完了表示および停止表示のいずれを示しているかを車両90の運転者が判別できるように、各情報に対応した異なる色で内燃機関30の模式図を表示できるものでもよい。また、模式図に限らず抽象化した図形または記号などによって内燃機関30の動作状態を表示してもよい。
【0026】
なお、表示装置91は、内燃機関30の動作状態を示す情報に加えて他の情報を表示することもできる。たとえば、表示装置91は、モータジェネレータ50の動作状態を示す情報を表示することもできる。表示装置91は、選択されている走行モードを表示することもできる。
【0027】
車両90は、表示装置91を制御する制御装置である表示制御装置10を備えている。表示制御装置10は、機能部として、取得部11と、表示制御部12と、を備えている。
取得部11は、車両制御装置20から内燃機関30の動作状態を取得する。たとえば、取得部11は、内燃機関30の動作状態として、内燃機関30の動作が停止しているか否か、内燃機関30が始動処理中であるか否か、および暖機要求の有無を取得する。
【0028】
表示制御部12は、表示装置91に表示させる情報を切り換える機能を備えている。後述する
図2に示す処理ルーチンを実行することで、表示制御部12は、取得部11によって取得した内燃機関30の動作状態に応じて、暖機中表示、暖機完了表示および停止表示のうちいずれか一つを表示装置91に表示させる。
【0029】
なお、車両制御装置20および表示制御装置10は、以下(a)~(c)のいずれかの構成であればよい。
(a)コンピュータプログラムに従って各種処理を実行する一つ以上のプロセッサを備える。プロセッサは、CPU並びに、RAMおよびROM等のメモリを含む。メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリすなわちコンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。(b)各種処理を実行する一つ以上の専用のハードウェア回路を備える。専用のハードウェア回路は、たとえば、特定用途向け集積回路すなわちASIC(Application Specific Integrated Circuit)、または、FPGA(Field Programmable Gate Array)等である。(c)各種処理の一部をコンピュータプログラムに従って実行するプロセッサと、各種処理のうち残りの処理を実行する専用のハードウェア回路と、を備える。
【0030】
図2は、表示制御部12が実行する処理ルーチンを示す。表示制御装置10は、所定の周期毎に本処理ルーチンを繰り返し実行する。
表示制御部12は、本処理ルーチンを開始すると、まず、ステップS101において、内燃機関30の動作が停止中であるか否かを判定する。内燃機関30の動作が停止中である場合(S101:YES)、表示制御部12は、処理をステップS102に移行する。ステップS102では、表示制御部12は、表示装置91に「停止」を表示させる。その後、表示制御部12は、本処理ルーチンを終了する。
【0031】
一方、ステップS101の処理において、内燃機関30の動作が停止中ではない場合(S101:NO)、すなわち、内燃機関30のクランク軸31が回転している場合、表示制御部12は、処理をステップS103に移行する。
【0032】
ステップS103では、表示制御部12は、内燃機関30の始動処理が実行中であるか否かを判定する。内燃機関30の始動処理中である場合(S103:YES)、表示制御部12は、処理をステップS102に移行する。表示制御部12は、ステップS102において表示装置91に「停止」を表示させ、本処理ルーチンを終了する。
【0033】
一方、ステップS103の処理において、内燃機関30の始動処理中ではない場合(S103:NO)、すなわち、内燃機関30の始動処理が終了している場合、表示制御部12は、処理をステップS104に移行する。
【0034】
ステップS104では、表示制御部12は、暖機要求があるか否かを判定する。暖機要求がない場合(S104:NO)、表示制御部12は、処理をステップS107に移行する。ステップS107では、表示制御部12は、表示装置91に「暖機完了」を表示させる。その後、表示制御部12は、本処理ルーチンを終了する。
【0035】
一方、ステップS104の処理において、暖機要求がある場合(S104:YES)、表示制御部12は、処理をステップS105に移行する。
ステップS105では、表示制御部12は、表示装置91に「暖機完了」を表示させているか否かを判定する。「暖機完了」を表示中ではない場合(S105:NO)、すなわち、「暖機中」または「停止」を表示中である場合、表示制御部12は、処理をステップS106に移行する。
【0036】
ステップS106では、表示制御部12は、表示装置91に「暖機中」を表示させる。その後、表示制御部12は、本処理ルーチンを終了する。
一方、ステップS105の処理において、「暖機完了」を表示中である場合(S105:YES)、表示制御部12は、処理をステップS107に移行する。すなわち、表示制御部12は、表示装置91に「暖機完了」を表示させる。ここでの処理は、暖機完了表示を表示させているときには暖機完了表示から暖機中表示への切り換えが表示制御部12によって禁止されると言い換えることができる。表示制御部12は、表示装置91に「暖機完了」を表示させると、本処理ルーチンを終了する。
【0037】
本実施形態の作用について説明する。
表示制御装置10によれば、内燃機関30の暖機要求の有無に基づいて、表示装置91の表示が「暖機中」または「暖機完了」に切り換えられる(S106,107)。
【0038】
ところで、車両90のように動力源として内燃機関30およびモータジェネレータ50を備えているハイブリッド車両では、内燃機関30の暖機が完了した後に再び暖機が要求される状況が生じることがある。
【0039】
たとえば、モータリングが行われているときには、混合気の燃焼に伴う熱が発生しないことに加えて、吸気通路32から燃焼室に導入された吸気が燃焼されることなく排気通路33に排出される。燃焼が行われているときと比較して温度の低い吸気が触媒装置34に到達することになり、触媒の温度が低下する場合がある。このため、内燃機関30の暖機が完了した後にモータリングが行われている期間が長くなると、冷却水の温度が低下したり触媒の温度が低下したりすることによって、暖機が要求されることがある。
【0040】
また、たとえば、内燃機関30の暖機が完了した後に内燃機関30の運転が停止されて車両90の動力源がモータジェネレータ50に切り換えられたとする。このとき、ウォーターポンプ47の駆動が停止されることによって第1水路41に滞留する冷却水は、ラジエータ45によって冷却されるため、温度が低下しやすい。その後、内燃機関30が再び始動されてウォーターポンプ47が駆動されると、ラジエータ45によって冷却された冷却水がウォータージャケットに流入する。この場合、内燃機関30の始動時にはウォータージャケット内の冷却水の温度が判定水温以上であるとしても、内燃機関30の始動後に第1水路41から冷却水がウォータージャケットに流入してくると、ウォータージャケット内の冷却水の温度が判定水温よりも低くなることがある。すなわち、内燃機関30の暖機が完了した後に内燃機関30の運転が停止され、その後、内燃機関30が再び始動されると、ウォータージャケット内の冷却水の温度が低下することによって、暖機が要求されることがある。
【0041】
上記のように内燃機関30の暖機が完了した後に再び暖機が行われる場合において、仮に、暖機要求の有無のみに基づいて表示装置91に表示する情報を切り換えるとする。モータリングが行われているときには内燃機関30が動作し続けていると車両90の運転者が認識している場合があり、モータリングの実行中に「暖機完了」から「暖機中」に表示が切り換わると、暖機が完了しているにもかかわらず再び暖機が行われていると運転者が感じるおそれがある。また、内燃機関30の始動後に温度の低い冷却水がウォータージャケットに流入する場合には、始動時には暖機要求がないことに基づいて「暖機完了」が表示されるおそれがあり、温度の低い冷却水の流入後に暖機要求が出力されることに基づいて「暖機完了」から「暖機中」に表示が切り換わるおそれがある。このように「暖機完了」から「暖機中」に表示が切り換わると、一旦は暖機の完了を認識した運転者に対して違和感を与えるという問題がある。すなわち、内燃機関30の暖機が完了した後に再び暖機が行われることによって暖機中であることが車両90の運転者に通知されると、運転者が認識している状態と運転者に通知される情報とが異なることによって、運転者に違和感を与えるおそれがある。
【0042】
この点、表示制御装置10によれば、表示装置91に「暖機完了」を表示させているときには、「暖機完了」から「暖機中」への切り換えが禁止される。具体的には、表示制御装置10は、内燃機関30の暖機が完了して暖機要求が出力されなくなると(S104:NO)、表示装置91に「暖機完了」を表示させる(S107)。その後に再び暖機要求が出力されると(S104:YES)、既に「暖機完了」を表示装置91に表示させているため(S105:YES)、表示制御装置10は、「暖機完了」から「暖機中」への切り換えを禁止して、表示装置91に「暖機完了」を表示させる(S107)。
【0043】
さらに、表示制御装置10は、内燃機関30が動作中の場合であり内燃機関30の始動処理中には(S103:YES)、表示装置91に「停止」を表示させる(S102)。すなわち、内燃機関30の暖機が完了した後に内燃機関30の運転が停止され、その後、内燃機関30が再び始動されるような場合に、内燃機関30が始動処理中である間は表示装置91に「暖機完了」を表示させることなく「停止」を表示させ続ける。表示制御装置10は、内燃機関30の始動処理が終了してから暖機要求が出力されると、「停止」を表示している表示装置91の表示を切り換えて「暖機中」を表示させる(S106)。
【0044】
本実施形態の効果について説明する。
(1)表示制御装置10によれば、内燃機関30が動作中である場合には、表示装置91の表示は、「暖機完了」から「暖機中」に切り換えられることがない。このため、内燃機関30の暖機が完了した後、内燃機関30の動作中に再び暖機が要求されたとしても、表示装置91は、「暖機完了」を表示し続けることになる。これによって、内燃機関30が動作し続けていると運転者が認識しているにもかかわらず暖機の完了後に再び暖機が行われているような違和感を、運転者に与えることを抑制できる。
【0045】
(2)表示制御装置10によれば、内燃機関30の始動処理中には、表示装置91に「停止」が表示される。すなわち、内燃機関30の始動処理中には、暖機要求がないときであっても「暖機完了」が表示されない。これによって、内燃機関30の始動処理中であり暖機が必要か否かの判定がなされておらず暖機要求が未だ発生していない場合に「暖機完了」が表示されることを抑制できる。これによって、内燃機関30の始動処理が終了してから、暖機要求の有無に基づいて表示装置91の表示を切り換えることができる。
【0046】
(3)表示制御装置10では、内燃機関30の始動処理中には表示装置91に「暖機完了」を表示させることなく「停止」を表示させる。表示制御装置10では、内燃機関30の暖機要求がある場合、表示装置91に「暖機完了」を表示中であれば「暖機中」への表示装置91の表示の切り換えが禁止される。一方で、表示装置91に「停止」を表示中であるときには、表示制御装置10は、暖機要求に基づいて表示装置91の表示を「暖機中」に切り換えることができる。このため、内燃機関30の始動後に温度の低い冷却水がウォータージャケットに流入することに起因して暖機要求が発生するような場合でも、暖機要求の出力に基づき表示装置91の表示を切り換えて「暖機中」を表示させることができる。内燃機関30の始動後に表示装置91の表示が「暖機完了」から「暖機中」に切り換えられることがないため、運転者が認識している状態と運転者に通知される情報とが異なることに起因した違和感を運転者に与えることを抑制できる。
【0047】
(4)表示制御装置10によれば、内燃機関30の動作が停止中である場合に表示装置91に「停止」を表示させることによって、内燃機関30の動作が停止していることを運転者に通知することができる。
【0048】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、内燃機関30の始動処理中には「停止」を表示させて「暖機完了」が表示されないようにしたが、必ずしも内燃機関30の始動処理が終了するまで「停止」を表示させ続けなくてもよい。内燃機関30が始動してから暖機要求が出力されるまでの期間において表示装置91に「暖機完了」を表示しないようにすれば、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0049】
・上記実施形態において
図1に示した冷却装置40は、内燃機関30のウォータージャケットを循環する冷却水を冷却させる構成の一例である。
・上記実施形態において
図1に示した車両90の構成は、一例である。内燃機関30、モータジェネレータ50および表示装置91を備えており、内燃機関30への燃料供給を停止させた状態でモータジェネレータ50の動力によって走行できる車両であれば、表示制御装置10を適用することができる。
【0050】
・上記実施形態における表示制御装置10に相当する機能を車両制御装置20が備えていてもよい。この場合、車両制御装置20が表示装置91を制御する制御装置である。
【符号の説明】
【0051】
10…表示制御装置
11…取得部
12…表示制御部
20…車両制御装置
30…内燃機関
31…クランク軸
32…吸気通路
33…排気通路
34…触媒装置
40…冷却装置
45…ラジエータ
47…ウォーターポンプ
50…モータジェネレータ
90…車両
91…表示装置