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特許7334649情報処理装置、情報処理プログラム、及び情報処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-21
(45)【発行日】2023-08-29
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理プログラム、及び情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0484 20220101AFI20230822BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20230822BHJP
   G06F 3/042 20060101ALI20230822BHJP
   G06F 3/0346 20130101ALI20230822BHJP
【FI】
G06F3/0484
G06F3/041 630
G06F3/042 460
G06F3/0346 422
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020024492
(22)【出願日】2020-02-17
(65)【公開番号】P2021128698
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】箱田 有花
(72)【発明者】
【氏名】畑田 晃希
(72)【発明者】
【氏名】由良 淳一
(72)【発明者】
【氏名】松井 一樹
(72)【発明者】
【氏名】松本 達郎
(72)【発明者】
【氏名】野田 政秀
【審査官】木村 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0201636(US,A1)
【文献】特開2017-084146(JP,A)
【文献】特開2017-010241(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/0484
G06F 3/041
G06F 3/042
G06F 3/0346
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画面上に配置され、かつ複数の操作者により操作されうる複数のオブジェクトのうちの第1のオブジェクトと、前記第1のオブジェクトの後に操作された第2のオブジェクトとが連続的に操作されたか否か、及び前記第1のオブジェクトと前記第2のオブジェクトとの関係が近い範囲として予め定められた範囲内であるか否かの少なくとも一方を判定する判定部と、
前記判定部により前記連続的に操作されたと判定された場合、及び前記関係が前記予め定められた範囲内であると判定された場合の少なくとも一方の場合に、前記第1のオブジェクトの操作設定を前記第2のオブジェクトの操作設定として設定する設定部と、
を含み、
前記判定部は、前記第1のオブジェクトと前記第2のオブジェクトとの角度の差の絶対値が閾値以下の場合、前記関係が前記範囲内であると判定する
情報処理装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記第1のオブジェクトと前記第2のオブジェクトとの対応する位置間の距離が閾値以下の場合、前記関係が前記範囲内であると判定する
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記第1のオブジェクトと前記第2のオブジェクトとが同じ種類である場合、前記関係が前記範囲内であると判定する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記第1のオブジェクトへの操作終了と前記第2のオブジェクトへの操作開始との時間間隔が閾値以下の場合、前記第1のオブジェクトと前記第2のオブジェクトとが連続的に操作されたと判定する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記第1のオブジェクトへの操作が終了した位置と前記第2のオブジェクトへの操作が開始した位置との距離が閾値以下の場合、前記第1のオブジェクトと前記第2のオブジェクトとが連続的に操作されたと判定する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第1のオブジェクトの操作中に、前記予め定められた範囲を識別可能に表示する制御を行う表示制御部
を更に含む請求項1から請求項の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記判定部により前記連続的に操作されたとの判定、及び前記関係が前記予め定められた範囲内であるとの判定の少なくとも一方の判定がされた前記第1のオブジェクトが複数存在する場合、前記複数の前記第1のオブジェクトそれぞれの操作設定を表示する制御を行う表示制御部と、
前記操作者により選択された前記操作設定を受け付ける受付部と、
を更に含み、
前記設定部は、前記受付部により受け付けられた操作設定を前記第2のオブジェクトの操作設定として設定する
請求項1から請求項の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記設定部は、前記判定部により前記連続的に操作されたとの判定、及び前記関係が前記予め定められた範囲内であるとの判定の少なくとも一方の判定がされた前記第1のオブジェクトが複数存在する場合、前記複数の前記第1のオブジェクトそれぞれの操作設定の間の操作設定を前記第2のオブジェクトの操作設定として設定する
請求項1から請求項の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
画面上に配置され、かつ複数の操作者により操作されうる複数のオブジェクトのうちの第1のオブジェクトと、前記第1のオブジェクトの後に操作された第2のオブジェクトとが連続的に操作されたか否か、及び前記第1のオブジェクトと前記第2のオブジェクトとの関係が近い範囲として予め定められた範囲内であるか否かの少なくとも一方を判定し、
前記連続的に操作されたと判定した場合、及び前記関係が前記予め定められた範囲内であると判定した場合の少なくとも一方の場合に、前記第1のオブジェクトの操作設定を前記第2のオブジェクトの操作設定として設定する
処理をコンピュータに実行させるための情報処理プログラムであって、
前記第1のオブジェクトと前記第2のオブジェクトとの角度の差の絶対値が閾値以下の場合、前記関係が前記範囲内であると判定する
情報処理プログラム
【請求項10】
画面上に配置され、かつ複数の操作者により操作されうる複数のオブジェクトのうちの第1のオブジェクトと、前記第1のオブジェクトの後に操作された第2のオブジェクトとが連続的に操作されたか否か、及び前記第1のオブジェクトと前記第2のオブジェクトとの関係が近い範囲として予め定められた範囲内であるか否かの少なくとも一方を判定する判定部と、前記判定部により前記連続的に操作されたと判定された場合、及び前記関係が前記予め定められた範囲内であると判定された場合の少なくとも一方の場合に、前記第1のオブジェクトの操作設定を前記第2のオブジェクトの操作設定として設定する設定部と、を含み、前記判定部は、前記第1のオブジェクトと前記第2のオブジェクトとの角度の差の絶対値が閾値以下の場合、前記関係が前記範囲内であると判定する情報処理装置、
前記操作者による前記複数のオブジェクトへの操作を検出する検出装置、及び
前記操作設定に応じて前記複数のオブジェクトへの前記操作者による操作結果を表示する表示装置
を備えた情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の技術は、情報処理装置、情報処理プログラム、及び情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、入力デバイス及び出力デバイスの種類及びスペックが異なる情報機器間において、搭載されたアプリケーションのグラフィカルユーザインタフェース(GUI:Graphical User Interface)を変換する技術が開示されている。この技術では、GUI領域に含まれるオブジェクトに対する操作タスクを完了させるために要する時間に応じて、GUIの操作性の評価尺度を算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-49661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、複数の人が参加する情報機器を用いた打ち合わせにおいて、画面上に配置された電子付箋紙等のオブジェクトに対して、操作者が文字及び図形等を書き込む操作を行う場合がある。特に、比較的大きい画面に複数のオブジェクトが配置されている場合、複数の操作者が略同じタイミングで異なるオブジェクトに対して操作を行う場合がある。
【0005】
操作者がオブジェクトに対して操作を行う場合、例えば、そのオブジェクトに対して書き込まれる線の色及び太さ等の操作設定が適用される。この操作設定は、例えば、オブジェクトに対して操作を行った操作者の判別、及び操作者の好みの反映等のために、操作者毎に設定されることが好ましい。すなわち、同じ操作者が異なる複数のオブジェクトに対して操作を行う場合、オブジェクト間で操作設定が引き継がれることが好ましい。
【0006】
操作者毎に操作設定を設定する場合、例えば、電子ペン等のオブジェクトへの操作を行う際に用いる機器の識別情報、又は操作者を撮影機器で撮影した画像に対する顔検出処理等によって操作者を特定し、特定した操作者毎に操作設定を設定することが考えられる。しかしながら、この場合、操作者を特定するための機器が必要となり、更に、操作者を特定するための処理も行うことになるため、操作設定を引き継ぐためのシステムの構成及び処理が複雑になってしまう、という問題点がある。前述したGUIを変換する技術では、そもそもオブジェクト間で操作設定を引き継ぐことについては考慮されていない。
【0007】
開示の技術は、一つの側面として、操作者を特定するための機器を用いずに、オブジェクト間で操作設定を引き継ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
開示の技術は、一つの態様として、画面上に配置され、かつ複数の操作者により操作されうる複数のオブジェクトのうちの第1のオブジェクトと、前記第1のオブジェクトの後に操作された第2のオブジェクトとについて以下の判定をする。すなわち、前記第1のオブジェクトと前記第2のオブジェクトとが連続的に操作されたか否か、及び前記第1のオブジェクトと前記第2のオブジェクトとの関係が近い範囲として予め定められた範囲内であるか否かの少なくとも一方を判定する。そして、前記連続的に操作されたと判定した場合、及び前記関係が前記予め定められた範囲内であると判定した場合の少なくとも一方の場合に、前記第1のオブジェクトの操作設定を前記第2のオブジェクトの操作設定として設定する。
【発明の効果】
【0009】
開示の技術は、一つの側面として、操作者を特定するための機器を用いずに、オブジェクト間で操作設定を引き継ぐことができる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】各実施形態に係る情報処理システムの概略構成を示すブロック図である。
図2】各実施形態に係るオブジェクトの操作設定の引き継ぎを説明するための図である。
図3】第1及び第3実施形態に係る情報処理装置の機能ブロック図である。
図4】各実施形態に係るオブジェクト情報テーブルの一例を示す図である。
図5】各実施形態に係る操作履歴テーブルの一例を示す図である。
図6】第1のオブジェクトへの操作終了と第2のオブジェクトへの操作開始との時間間隔を説明するための図である。
図7】第1のオブジェクトへの操作が終了した位置と第2のオブジェクトへの操作が開始した位置との距離を説明するための図である。
図8】第1のオブジェクトと第2のオブジェクトとの距離を説明するための図である。
図9】第1のオブジェクトと第2のオブジェクトとの角度の差を説明するための図である。
図10】第1のオブジェクトと第2のオブジェクトとの種類を説明するための図である。
図11】第1及び第3実施形態に係る情報処理装置として機能するコンピュータの概略構成を示すブロック図である。
図12】第1及び第3実施形態に係る設定引継処理の一例を示すフローチャートである。
図13】第1のオブジェクトが複数存在する例を説明するための図である。
図14】第2実施形態に係る情報処理装置の機能ブロック図である。
図15】第1のオブジェクトそれぞれの操作設定を表示する処理を説明するための図である。
図16】第2実施形態に係る情報処理装置として機能するコンピュータの概略構成を示すブロック図である。
図17】第2実施形態に係る設定引継処理の一例を示すフローチャートである。
図18】第1のオブジェクトが複数存在する場合の変形例を説明するための図である。
図19】操作中の第1のオブジェクトに対応する関係が近い範囲を表示する処理を説明するための図である。
図20】第3実施形態に係る範囲表示処理の一例を示すフローチャートである。
図21】第1のオブジェクトと第2のオブジェクトとの角度の差を用いることの効果を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、開示の技術の実施形態の例を詳細に説明する。
【0012】
[第1実施形態]
まず、図1を参照して、本実施形態に係る情報処理システム10の構成を説明する。図1に示すように、情報処理システム10は、情報処理装置12、表示装置14、及び撮像装置16を含む。情報処理装置12の例としては、パーソナルコンピュータ又はサーバコンピュータ等の情報処理装置が挙げられる。
【0013】
表示装置14は、情報処理装置12による制御によって、例えば、会議室の壁、ホワイトボード、又は机の天板の上面等の表示面に、画面を投影することにより表示する。表示装置14の例としては、プロジェクタ等が挙げられる。詳細は後述するが、表示装置14により表示される画面上には、操作者により操作される複数のオブジェクトが描画されることによって配置される。
【0014】
本実施形態では、操作者は、先端部から赤外線を発する電子ペンや操作者の指等を用いて、オブジェクトに対して文字及び図形等の描画物を書き込む等の操作を行う。具体的には、操作者は、オブジェクトへの操作を開始する場合は、電子ペンや指等の先端部を画面に接する。そして、操作者は、電子ペンや指等の先端部が画面に接した状態でオブジェクトへの操作を行い、操作を終了する場合は、電子ペンや指等の先端部を画面から離す。
【0015】
撮像装置16は、赤外線を撮像可能な撮像部を備え、表示装置14により表示された画面を含む撮像領域を所定のフレームレートで撮像することにより、画面上に配置された複数のオブジェクトへの操作者による操作を検出する。そして、撮像装置16は、撮像により得られた画像を表す信号を情報処理装置12へ出力する。撮像装置16の例としては、赤外線を撮像可能なデジタルカメラ等が挙げられる。撮像装置16が開示の技術の検出装置の一例である。
【0016】
ところで、表示装置14により表示される画面上には、一例として図2に示すように、操作者により操作される複数のオブジェクトが描画されることによって配置される。この画面上において、複数の操作者が略同じタイミングで異なるオブジェクトに対して操作を行う場合がある。この場合、一人の操作者が異なる複数のオブジェクトに継続して操作を行う際に、オブジェクト間で操作設定が引き継がれると、打ち合わせを円滑に進めるうえで好ましい。
【0017】
そこで、本実施形態に係る情報処理装置12は、複数のオブジェクトに対する操作の連続性及び複数のオブジェクトの関係に基づいて、オブジェクト間で操作設定を引き継ぐか否かを判定する。
【0018】
次に、図3を参照して、本実施形態に係る情報処理装置12の機能的な構成を説明する。図3に示すように、情報処理装置12は、検出部20、判定部22、設定部24、及び表示制御部26を含む。また、情報処理装置12の所定の記憶領域には、オブジェクト情報テーブル30及び操作履歴テーブル32が記憶される。
【0019】
図4に、オブジェクト情報テーブル30の一例を示す。オブジェクト情報テーブル30は、表示装置14により表示される画面上に配置されるオブジェクトに関する情報が記憶されるテーブルである。
【0020】
図4に示すように、オブジェクト情報テーブル30には、オブジェクト毎に、オブジェクトの識別情報の一例としてのID、種類、位置、大きさ、及び角度が記憶される。また、オブジェクト情報テーブル30には、オブジェクト毎に、オブジェクトに設定される操作設定が記憶される。オブジェクトの種類の例としては、電子付箋紙等の矩形のカード、罫線が付されたノート、画像、及び電子模造紙等が挙げられる。
【0021】
また、本実施形態に係るオブジェクトの位置は、画面の四隅の何れか又は中心等の予め定められた位置を原点とした、オブジェクトの予め定められた位置(本実施形態では中心位置)の二次元座標(例えば、xy座標)で表される。また、本実施形態に係るオブジェクトの大きさは、オブジェクトの縦の長さ及び横の長さで表される。また、本実施形態に係るオブジェクトの角度は、画面上の一方向(例えば、x軸方向)に対するオブジェクトの一辺の角度で表される。
【0022】
また、オブジェクト情報テーブル30の操作設定は、操作者のオブジェクトへの操作により画面に描かれる線の色及び太さを含む。また、操作設定は、操作者のオブジェクトへの操作により描かれる手書きの文字を機械的な文字に変換する場合の変換モードと、機械的な文字のフォントの種類及びサイズとを含む。また、操作設定は、オブジェクトへのペースト操作が行われた場合にペーストするためのクリップボードに保持される情報を含む。なお、操作設定は、オブジェクト情報テーブル30とは別のテーブルに、オブジェクトのIDに対応付けて記憶してもよい。
【0023】
オブジェクトは、例えば、操作者により電子ペンや指等を用いて画面上で予め定められた図形(例えば、三角形)を描く操作や特定のメニューを選択する操作等が行われた場合に作成され、作成されたオブジェクトに関する情報がオブジェクト情報テーブル30に記憶される。なお、この場合のオブジェクトの操作設定は、予め定められた初期設定が設定されてもよいし、作成した操作者によって設定されてもよい。
【0024】
図5に、操作履歴テーブル32の一例を示す。操作履歴テーブル32は、1つの画面に対して操作を行う複数の操作者の各々によるオブジェクトに対する操作の履歴が記憶されるテーブルである。
【0025】
図5に示すように、操作履歴テーブル32には、オブジェクトのID、そのIDのオブジェクトへ操作者が操作を開始した時刻(以下、「操作開始時刻」という)、及びそのIDのオブジェクトへ操作者が操作を開始した位置(以下、「操作開始位置」という)が記憶される。更に、操作履歴テーブル32には、そのIDのオブジェクトへの操作者による操作が終了した時刻(以下、「操作終了時刻」という)、及びそのIDのオブジェクトへの操作者による操作が終了した位置(以下、「操作終了位置」という)が記憶される。
【0026】
本実施形態に係る操作開始位置及び操作終了位置は、前述したオブジェクトの位置と同様に、画面の四隅の何れか又は中心等の予め定められた位置を原点とした二次元座標で表される。
【0027】
検出部20は、撮像装置16から入力された信号に基づいて、操作開始時刻及び操作開始位置を検出する。また、検出部20は、撮像装置16から入力された信号に基づいて、操作終了時刻及び操作終了位置を検出する。また、検出部20は、操作開始位置から操作終了位置までの操作の軌跡も検出する。
【0028】
また、検出部20は、検出した操作開始位置と、オブジェクト情報テーブル30のオブジェクトの位置及び大きさとに基づいて、操作対象のオブジェクトを特定する。そして、検出部20は、特定したオブジェクトのIDと、検出した操作開始時刻、操作開始位置、操作終了時刻、及び操作終了位置とを対応付けて操作履歴テーブル32に記憶する。
【0029】
なお、検出部20は、操作開始位置が前回と同一のオブジェクト内で、かつ操作開始時刻が前回の操作終了時刻から所定期間(例えば、1秒)以内の場合、新たな操作開始として検出せずに、1つのレコードにまとめて操作履歴テーブル32に記憶してもよい。
【0030】
判定部22は、検出部20によりオブジェクトへの操作開始が検出された場合、そのオブジェクトよりも前に、そのオブジェクトと連続的に操作されたオブジェクトが存在するか否かを判定する。この操作開始が検出されたオブジェクトが開示の技術の第2のオブジェクトに相当する。
【0031】
具体的には、判定部22は、図6に示すように、操作履歴テーブル32を参照し、操作終了時刻t1が、操作開始が検出されたオブジェクトの操作開始時刻t2よりも前のオブジェクトについて、以下の判定を行う。すなわち、この場合、判定部22は、操作履歴テーブル32を参照し、操作開始時刻t2と操作終了時刻t1との時間間隔t(t=t2-t1)が閾値TH1(例えば、1秒)以下のオブジェクトが存在するか否かを判定する。この操作終了時刻t1が、操作開始が検出されたオブジェクトの操作開始時刻t2よりも前のオブジェクトが開示の技術の第1のオブジェクトに相当する。
【0032】
また、判定部22は、図7に示すように、操作履歴テーブル32を参照し、時間間隔tが閾値TH1以下の第1のオブジェクトについて、その操作終了位置と第2のオブジェクトの操作開始位置との距離d1が閾値TH2(例えば、30cm)以下であるか否かを判定する。この距離d1は、以下の(1)式に従って算出される。なお、(1)式におけるx1及びy1は第1のオブジェクトの操作終了位置のx座標及びy座標を表し、x2及びy2は第2のオブジェクトの操作開始位置のx座標及びy座標を表す。
【0033】
【数1】
【0034】
そして、判定部22は、時間間隔tが閾値TH1以下で、かつ距離d1が閾値TH2以下の第1のオブジェクトと第2のオブジェクトとが連続的に操作されたと判定する。なお、判定部22は、時間間隔tが閾値TH1以下の場合か、又は距離d1が閾値TH2以下の場合に、第1のオブジェクトと第2のオブジェクトとが連続的に操作されたと判定してもよい。また、閾値TH1と閾値TH2とを比例させてもよい。この場合、例えば、閾値TH1の値が大きいほど閾値TH2の値を大きくする。
【0035】
また、判定部22は、オブジェクト情報テーブル30を参照し、連続的に操作されたと判定した第1のオブジェクトと第2のオブジェクトとの関係が、近い範囲として予め定められた範囲R内であるか否かを判定する。本実施形態に係る判定部22は、第1のオブジェクトと第2のオブジェクトとの位置関係及び種類に基づいて、関係が範囲R内であるか否かを判定する。
【0036】
具体的には、判定部22は、図8に示すように、第1のオブジェクトと第2のオブジェクトとの対応する位置(本実施形態では中心位置)間の距離d2が閾値TH3(例えば、30cm)以下であるか否かを判定する。この距離d2は、以下の(2)式に従って算出される。なお、(2)式におけるx3及びy3は第1のオブジェクトの中心位置のx座標及びy座標を表し、x4及びy4は第2のオブジェクトの中心位置のx座標及びy座標を表す。
【0037】
【数2】
【0038】
また、判定部22は、図9に示すように、第1のオブジェクトと第2のオブジェクトとの角度の差の絶対値(|θ2-θ1|)が閾値TH4(例えば、15°)以下であるか否かを判定する。なお、図9では、各オブジェクトの角度として、画面のx軸方向(図9の破線の矢印の方向)を基準としたオブジェクトの一辺(図9の例では長方形のオブジェクトの長辺)の角度を適用した例を示している。
【0039】
また、判定部22は、図10に示すように、第1のオブジェクトと第2のオブジェクトとが同じ種類であるか否かを判定する。
【0040】
そして、判定部22は、第1のオブジェクトと第2のオブジェクトについて、距離d2が閾値TH3以下で、角度の差の絶対値が閾値TH4以下で、かつ同じ種類である場合、第1のオブジェクトと第2のオブジェクトとの関係が範囲R内であると判定する。また、判定部22は、連続的に操作されたと判定し、かつ関係が範囲R内であると判定した第1のオブジェクトの操作設定を第2のオブジェクトに引き継ぐと判定する。なお、判定部22は、距離d2が閾値TH3以下の場合、角度の差の絶対値が閾値TH4以下の場合、及び同じ種類である場合の何れか1つ又は2つの組合せを満たす場合に、第1のオブジェクトと第2のオブジェクトとの関係が範囲R内であると判定してもよい。また、判定部22は、連続的に操作されたと判定した第1のオブジェクトの操作設定、又は関係が範囲R内であると判定した第1のオブジェクトの操作設定を第2のオブジェクトに引き継ぐと判定してもよい。
【0041】
設定部24は、判定部22により第1のオブジェクトの操作設定を第2のオブジェクトに引き継ぐと判定された場合、第1のオブジェクトの操作設定を第2のオブジェクトの操作設定として設定する。具体的には、この場合、設定部24は、オブジェクト情報テーブル30の第1のオブジェクトの操作設定を、第2のオブジェクトの操作設定へ上書きする。なお、この場合、設定部24は、操作設定を上書きする前に第2のオブジェクトの操作設定を退避しておき、第2のオブジェクトへの操作終了後に、オブジェクト情報テーブル30の第2のオブジェクトの操作設定を元に戻してもよい。
【0042】
表示制御部26は、オブジェクト情報テーブル30に記憶された情報に従って、オブジェクトを、表示装置14を介して表示する制御を行う。また、表示制御部26は、検出部20により検出されたオブジェクトへの操作者による操作結果を、オブジェクト情報テーブル30の対応するオブジェクトの操作設定に応じて表示装置14を介して表示する制御を行う。表示装置14は、表示制御部26による制御によって、オブジェクトの操作設定に応じてオブジェクトへの操作者による操作結果を投影することより表示する。
【0043】
情報処理装置12は、例えば図11に示すコンピュータ40で実現することができる。コンピュータ40は、Central Processing Unit(CPU)41、一時記憶領域としてのメモリ42、及び不揮発性の記憶部43を備える。また、コンピュータ40は、表示装置及び入力装置等の入出力装置44を備える。また、コンピュータ40は、表示装置14及び撮像装置16が接続される外部I/F45を備える。また、コンピュータ40は、記録媒体49に対するデータの読み込みと書き込みとを制御するRead/Write(R/W)部46、及びネットワークに接続されるネットワークI/F47を備える。CPU41、メモリ42、記憶部43、入出力装置44、外部I/F45、R/W部46、及びネットワークI/F47は、バス48を介して接続される。
【0044】
記憶部43は、Hard Disk Drive(HDD)、Solid State Drive(SSD)、フラッシュメモリ等によって実現することができる。記憶媒体としての記憶部43には、コンピュータ40を情報処理装置12として機能させるための情報処理プログラム50が記憶される。情報処理プログラム50は、検出プロセス51、判定プロセス52、設定プロセス53、及び表示制御プロセス54を有する。また、記憶部43は、オブジェクト情報テーブル30及び操作履歴テーブル32が記憶される情報記憶領域55を有する。
【0045】
CPU41は、情報処理プログラム50を記憶部43から読み出してメモリ42に展開し、情報処理プログラム50が有するプロセスを実行する。CPU41は、検出プロセス51を実行することで、図3に示す検出部20として動作する。CPU41は、判定プロセス52を実行することで、図3に示す判定部22として動作する。CPU41は、設定プロセス53を実行することで、図3に示す設定部24として動作する。CPU41は、表示制御プロセス54を実行することで、図3に示す表示制御部26として動作する。これにより、情報処理プログラム50を実行したコンピュータ40が、情報処理装置12として機能することになる。なお、情報処理プログラム50が有するプロセスを実行するCPU41は、ハードウェアである。
【0046】
また、情報処理プログラム50により実現される機能は、例えば半導体集積回路、より詳しくはApplication Specific Integrated Circuit(ASIC)等で実現することも可能である。
【0047】
次に、本実施形態に係る情報処理装置12の作用を説明する。情報処理装置12が情報処理プログラム50を実行することで、図12に示す設定引継処理を実行する。図12に示す設定引継処理は、例えば、情報処理装置12の電源がオン状態とされた場合、又は情報処理プログラム50の実行指示が入力された場合等に実行される。なお、ここでは、オブジェクトが画面上に表示された後に、設定引継処理が実行されるものとする。
【0048】
図12のステップS10で、検出部20は、撮像装置16から入力された信号に基づいて、操作開始時刻及び操作開始位置を検出するまで待機する。検出部20が操作開始時刻及び操作開始位置を検出すると、ステップS10の判定が肯定判定となり、処理はステップS12に移行する。
【0049】
ステップS12で、検出部20は、ステップS10の処理により検出した操作開始位置と、オブジェクト情報テーブル30のオブジェクトの位置及び大きさとに基づいて、操作対象のオブジェクトを特定する。そして、検出部20は、特定したオブジェクトのIDと、検出した操作開始時刻及び操作開始位置とを対応付けて操作履歴テーブル32に記憶する。
【0050】
ステップS14で、判定部22は、前述したように、ステップS10の処理により操作開始が検出された第2のオブジェクトよりも前に、その第2のオブジェクトと連続的に操作された第1のオブジェクトが存在するか否かを判定する。この判定が否定判定となった場合は、処理はステップS24に移行し、肯定判定となった場合は、処理はステップS16に移行する。
【0051】
ステップS16で、判定部22は、前述したように、ステップS14の処理により連続的に操作されたと判定された第1のオブジェクトと第2のオブジェクトについて、距離d2が閾値TH3以下であるか否かを判定する。この判定が否定判定となった場合は、処理はステップS24に移行し、肯定判定となった場合は、処理はステップS18に移行する。
【0052】
ステップS18で、判定部22は、前述したように、ステップS14の処理により連続的に操作されたと判定された第1のオブジェクトと第2のオブジェクトについて、角度の差の絶対値が閾値TH4以下であるか否かを判定する。この判定が否定判定となった場合は、処理はステップS24に移行し、肯定判定となった場合は、処理はステップS20に移行する。
【0053】
ステップS20で、判定部22は、前述したように、ステップS14の処理により連続的に操作されたと判定された第1のオブジェクトと第2のオブジェクトについて、同じ種類であるか否かを判定する。この判定が否定判定となった場合は、処理はステップS24に移行し、肯定判定となった場合は、処理はステップS22に移行する。
【0054】
ステップS22で、設定部24は、前述したように、第1のオブジェクトの操作設定を第2のオブジェクトの操作設定として設定する。ステップS24で、表示制御部26は、オブジェクト情報テーブル30を参照し、ステップS10の処理により操作開始が検出されたオブジェクトの操作設定に従って、そのオブジェクトに対する操作者による操作の軌跡に従った操作結果を表示する制御を行う。
【0055】
ステップS26で、検出部20は、撮像装置16から入力された信号に基づいて、操作終了時刻及び操作終了位置を検出したか否かを判定する。この判定が否定判定となった場合は、処理はステップS24に戻り、肯定判定となった場合は、処理はステップS28に移行する。
【0056】
ステップS28で、検出部20は、ステップS26の処理により検出した操作終了時刻及び操作終了位置を、ステップS12の処理により特定したオブジェクトのIDに対応付けて操作履歴テーブル32に記憶する。ステップS28の処理が終了すると、処理はステップS10に戻る。なお、図12に示す設定引継処理は、例えば、情報処理装置12の電源がオフ状態とされた場合、又は情報処理プログラム50の終了指示が入力された場合等に終了する。
【0057】
以上説明したように、本実施形態によれば、第1のオブジェクトと第2のオブジェクトとが連続的に操作され、かつその関係が範囲R内である場合に、第1のオブジェクトの操作設定を第2のオブジェクトの操作設定として設定している。従って、操作者を特定するための機器を用いずに、オブジェクト間で操作設定を引き継ぐことができる。
【0058】
また、本実施形態によれば、時間間隔tが閾値TH1以下で、かつ距離d1が閾値TH2以下の場合に、第1のオブジェクトと第2のオブジェクトとが連続的に操作されたと判定している。また、本実施形態によれば、距離d2が閾値TH3以下で、角度の差の絶対値が閾値TH4以下で、かつ同じ種類である場合に、第1のオブジェクトと第2のオブジェクトとの関係が範囲R内であると判定している。従って、第1のオブジェクトと第2のオブジェクトとが同じ操作者により操作されたか否かを精度良く判定することができる。
【0059】
[第2実施形態]
開示の技術の第2実施形態を説明する。なお、本実施形態に係る情報処理システム10の構成は、第1実施形態と同一であるため、説明を省略する。
【0060】
本実施形態では、第2のオブジェクトへ操作設定を引き継ぐ引き継ぎ元の第1のオブジェクトが複数存在する場合の形態例を説明する。このような状況としては、例えば、図13に示すように、オブジェクトAに対して操作者Aが操作を行い、オブジェクトCに対して操作者Bが操作を行い、それぞれの操作が略同じタイミングで終了した場合が挙げられる。この場合に、例えば、操作者Aが、オブジェクトAへの操作終了直後にオブジェクトBへの操作を開始すると、オブジェクトAとオブジェクトB、及びオブジェクトCとオブジェクトBとがそれぞれ連続的に操作されたと判定される。更に、オブジェクトAとオブジェクトBとの関係が範囲R内で、かつオブジェクトBとオブジェクトCとの関係が範囲R内であるとする。
【0061】
この場合、第2のオブジェクトであるオブジェクトBへ操作設定を引き継ぐ引き継ぎ元と判定される第1のオブジェクトは、オブジェクトA及びオブジェクトCの2つとなる。そこで、本実施形態に係る情報処理装置12Aは、このような場合に、オブジェクトA及びオブジェクトCの何れのオブジェクトの操作設定をオブジェクトBに引き継ぐかを決定する機能を有する。なお、第1のオブジェクトの数は、2つに限定されず、3つ以上でもよい。
【0062】
図14を参照して、本実施形態に係る情報処理装置12Aの機能的な構成を説明する。なお、第1実施形態に係る情報処理装置12の機能部と同一の機能を有する機能部については、同一の符号を付して説明を省略する。図14に示すように、情報処理装置12Aは、検出部20、判定部22、設定部24A、表示制御部26A、及び受付部28を含む。
【0063】
表示制御部26Aは、第1実施形態に係る表示制御部26が有する機能に加え、以下の機能を有する。表示制御部26Aは、判定部22により操作設定を第2のオブジェクトに引き継ぐと判定された第1のオブジェクトが複数存在する場合、オブジェクト情報テーブル30を参照し、その複数の第1のオブジェクトそれぞれの操作設定を表示する制御を行う。具体的には、図15に示すように、表示制御部26Aは、複数の第1のオブジェクトそれぞれの操作設定を表す情報を、第2のオブジェクトに表示する制御を行う。
【0064】
なお、図15では、オブジェクトA及びオブジェクトCが第1のオブジェクトであり、オブジェクトBが第2のオブジェクトである場合の例を示している。また、図15では、オブジェクトAの操作設定に含まれる色が赤であり、オブジェクトCの操作設定に含まれる色が青の場合の例を示している。
【0065】
操作者は、表示された複数の第1のオブジェクトそれぞれの操作設定から、自身が使用する操作設定を選択する。例えば、図15では、操作者Aは「赤」を選択する。受付部28は、操作者により選択された操作設定を受け付ける。
【0066】
設定部24Aは、第1実施形態に係る設定部24が有する機能に加え、以下の機能を有する。設定部24Aは、受付部28により受け付けられた操作設定を第2のオブジェクトの操作設定として設定する。
【0067】
情報処理装置12Aは、例えば図16に示すコンピュータ40で実現することができる。図16における図11と同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。コンピュータ40の記憶部43には、コンピュータ40を情報処理装置12Aとして機能させるための情報処理プログラム50Aが記憶される。情報処理プログラム50は、検出プロセス51、判定プロセス52、設定プロセス53A、表示制御プロセス54A、及び受付プロセス56を有する。
【0068】
CPU41は、情報処理プログラム50Aを記憶部43から読み出してメモリ42に展開し、情報処理プログラム50Aが有するプロセスを実行する。CPU41は、検出プロセス51を実行することで、図14に示す検出部20として動作する。CPU41は、判定プロセス52を実行することで、図14に示す判定部22として動作する。CPU41は、設定プロセス53Aを実行することで、図14に示す設定部24Aとして動作する。CPU41は、表示制御プロセス54Aを実行することで、図14に示す表示制御部26Aとして動作する。CPU41は、受付プロセス56を実行することで、図14に示す受付部28として動作する。これにより、情報処理プログラム50Aを実行したコンピュータ40が、情報処理装置12Aとして機能することになる。なお、情報処理プログラム50Aが有するプロセスを実行するCPU41は、ハードウェアである。
【0069】
また、情報処理プログラム50Aにより実現される機能は、例えば半導体集積回路、より詳しくはASIC等で実現することも可能である。
【0070】
次に、本実施形態に係る情報処理装置12Aの作用を説明する。情報処理装置12Aが情報処理プログラム50Aを実行することで、図17に示す設定引継処理を実行する。図17に示す設定引継処理は、例えば、情報処理装置12Aの電源がオン状態とされた場合、又は情報処理プログラム50Aの実行指示が入力された場合等に実行される。なお、ここでは、オブジェクトが画面上に表示された後に、設定引継処理が実行されるものとする。また、図17における図12と同一の処理を実行するステップについては、同一の符号を付して説明を省略する。
【0071】
図17のステップS20の判定が肯定判定となった場合、処理はステップS30に移行する。ステップS30で、表示制御部26Aは、第2のオブジェクトと連続的に操作され、距離d2が閾値TH3以下で、角度の差の絶対値が閾値TH4以下で、かつ同じ種類であると判定された第1のオブジェクトが複数存在するか否かを判定する。この判定が否定判定となった場合は、処理はステップS22に移行し、肯定判定となった場合は、処理はステップS32に移行する。
【0072】
ステップS32で、表示制御部26Aは、前述したように、オブジェクト情報テーブル30を参照し、複数の第1のオブジェクトそれぞれの操作設定を表示する制御を行う。操作者は、ステップS32の処理により表示された複数の第1のオブジェクトそれぞれの操作設定から、自身が使用する操作設定を選択する。ステップS34で、受付部28は、操作者により選択された操作設定を受け付ける。
【0073】
ステップS36で、設定部24Aは、ステップS34の処理により受け付けられた操作設定を第2のオブジェクトの操作設定として設定する。ステップS36の処理が終了すると、処理はステップS24に移行する。
【0074】
以上説明したように、本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、本実施形態によれば、複数の第1のオブジェクトそれぞれの操作設定を表示し、操作者により選択された操作設定を受け付け、受け付けた操作設定を第2のオブジェクトの操作設定として設定している。従って、第1のオブジェクトが複数存在する場合でも、適切な操作設定を第2のオブジェクトに設定することができる。
【0075】
なお、設定部24Aは、図18に示すように、第1のオブジェクトが複数存在する場合、複数の第1のオブジェクトそれぞれの操作設定の間(例えば、中間)の操作設定を第2のオブジェクトの操作設定として設定してもよい。図18では、オブジェクトA及びオブジェクトCが第1のオブジェクトであり、オブジェクトBが第2のオブジェクトである場合の例を示している。また、図18では、オブジェクトAの操作設定に含まれる色が赤であり、オブジェクトCの操作設定に含まれる色が青の場合の例を示している。また、図18では、設定部24が、赤と青との中間の色である紫をオブジェクトBの操作設定として設定する例を示している。
【0076】
また、設定部24は、複数の第1のオブジェクトのうち、距離d1又は距離d2が最も短い第1のオブジェクトの操作設定を第2のオブジェクトの操作設定として設定してもよい。また、設定部24は、複数の第1のオブジェクトのうち、時間間隔tが最も短い第1のオブジェクトの操作設定を第2のオブジェクトの操作設定として設定してもよい。
【0077】
[第3実施形態]
開示の技術の第3実施形態を説明する。なお、本実施形態に係る情報処理システム10の構成は、第1実施形態と同一であるため、説明を省略する。本実施形態では、第1のオブジェクトの操作中に、範囲Rを識別可能に表示する形態例を説明する。
【0078】
図3を参照して、本実施形態に係る情報処理装置12Bの機能的な構成を説明する。なお、第1実施形態に係る情報処理装置12の機能部と同一の機能を有する機能部については、同一の符号を付して説明を省略する。図3に示すように、情報処理装置12Bは、検出部20、判定部22、設定部24、及び表示制御部26Bを含む。
【0079】
表示制御部26Bは、第1実施形態に係る表示制御部26が有する機能に加え、以下の機能を有する。表示制御部26Bは、第1のオブジェクトの操作中に、その第1のオブジェクトに対応する範囲Rを識別可能に表示する制御を行う。具体的には、表示制御部26Bは、一例として図19に示すように、操作中の第1のオブジェクトの中心位置からの距離が閾値TH3の範囲内の領域を網掛けして表示する制御を行う。
【0080】
なお、表示制御部26Bは、操作中の第1のオブジェクトに対して、距離d2が閾値TH3以下で、角度の差の絶対値が閾値TH4以下で、かつ同じ種類である第2のオブジェクトを特定してもよい。この場合、表示制御部26Bは、特定した第2のオブジェクトを第1のオブジェクトとは異なる色で表示する形態、又は特定した第2のオブジェクトを点滅させて表示する形態等が例示される。
【0081】
情報処理装置12Bは、例えば図11に示すコンピュータ40で実現することができる。コンピュータ40の記憶部43には、コンピュータ40を情報処理装置12Bとして機能させるための情報処理プログラム50Bが記憶される。情報処理プログラム50Bは、検出プロセス51、判定プロセス52、設定プロセス53、及び表示制御プロセス54Bを有する。
【0082】
CPU41は、情報処理プログラム50Bを記憶部43から読み出してメモリ42に展開し、情報処理プログラム50Bが有するプロセスを実行する。CPU41は、検出プロセス51を実行することで、図3に示す検出部20として動作する。CPU41は、判定プロセス52を実行することで、図3に示す判定部22として動作する。CPU41は、設定プロセス53を実行することで、図3に示す設定部24として動作する。CPU41は、表示制御プロセス54Bを実行することで、図3に示す表示制御部26Bとして動作する。これにより、情報処理プログラム50Bを実行したコンピュータ40が、情報処理装置12Bとして機能することになる。なお、情報処理プログラム50Bが有するプロセスを実行するCPU41は、ハードウェアである。
【0083】
また、情報処理プログラム50Bにより実現される機能は、例えば半導体集積回路、より詳しくはASIC等で実現することも可能である。
【0084】
次に、本実施形態に係る情報処理装置12Bの作用を説明する。情報処理装置12Bが情報処理プログラム50Bを実行することで、図20に示す範囲表示処理を実行する。図20に示す範囲表示処理は、例えば、情報処理装置12Bの電源がオン状態とされた場合、又は情報処理プログラム50Bの実行指示が入力された場合等に実行される。なお、ここでは、オブジェクトが画面上に表示された後に、範囲表示処理が実行されるものとする。また、本実施形態に係る設定引継処理は、図12に示した第1実施形態に係る設定引継処理と同一であるため、説明を省略する。
【0085】
図20のステップS50で、検出部20は、撮像装置16から入力された信号に基づいて、操作開始時刻及び操作開始位置を検出するまで待機する。検出部20が操作開始時刻及び操作開始位置を検出すると、ステップS50の判定が肯定判定となり、処理はステップS52に移行する。
【0086】
ステップS52で、表示制御部26Bは、前述したように、ステップS50の処理により操作開始が検出された第1のオブジェクトに対応する範囲Rを識別可能に表示する制御を行う。
【0087】
ステップS54で、検出部20は、撮像装置16から入力された信号に基づいて、操作終了時刻及び操作終了位置を検出したか否かを判定する。この判定が否定判定となった場合は、処理はステップS52に戻り、肯定判定となった場合は、処理はステップS50に戻る。なお、図20に示す範囲表示処理は、例えば、情報処理装置12Bの電源がオフ状態とされた場合、又は情報処理プログラム50Bの終了指示が入力された場合等に終了する。
【0088】
以上説明したように、本実施形態によれば、第1のオブジェクトの操作中に、範囲Rを識別可能に表示している。従って、操作者は、第1のオブジェクトの操作中に、その第1のオブジェクトの操作設定が引き継がれる第2のオブジェクトを把握することができる。
【0089】
なお、上記各実施形態では、連続的に操作されたと判定された第1のオブジェクトと第2のオブジェクトとの関係が範囲R内であるか否かを判定する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、関係が範囲R内であると判定された第1のオブジェクトと第2のオブジェクトとが連続的に操作されたか否かを判定する形態としてもよい。
【0090】
また、上記各実施形態では、連続的に操作されたと判定され、かつ関係が範囲R内であると判定された場合に、第1のオブジェクトの操作設定を第2のオブジェクトに引き継ぐ場合について説明したが、これに限定されない。例えば、連続的に操作されたと判定された場合、及び関係が範囲R内であると判定された場合の何れかの条件を満たす場合に、第1のオブジェクトの操作設定を第2のオブジェクトに引き継ぐ形態としてもよい。この形態例において、連続的に操作されたか否かの判定に、時間間隔t及び距離d1の双方を用いることが好ましい。また、この形態例において、関係が範囲R内であるか否かの判定に、少なくとも距離d2を用いることが好ましい。また、表示面が机の天板の上面等の水平方向に沿った面の場合、関係が範囲R内であるか否かの判定に、角度の差の絶対値を用いることが好ましい。これにより、一例として図21に示すように、表示面の隣り合う辺のそれぞれに対向する位置の操作者A、Bが自身に正対する向きのオブジェクトを操作した場合に、オブジェクト間で操作設定が引き継がれることを抑制することができる。
【0091】
また、上記各実施形態において、閾値TH3を、第1のオブジェクトへの操作時間が長くなるほど大きい値としてもよい。また、この場合、操作者の体の動き(例えば、手の届く範囲)等の制約に応じて、閾値TH3の上限値を定めてもよい。
【0092】
また、上記各実施形態において、閾値TH3を、鉛直方向に対する画面の角度が小さいほど大きい値としてもよい。壁等の鉛直方向に沿った面に画面を表示する場合、机の天板の上面等の水平方向に沿った面に画面を表示する場合よりも操作者の可動範囲が大きくなることが多い。従って、画面が鉛直方向に沿っている場合は、画面が水平方向に沿っている場合よりも閾値TH3を大きくする形態が例示される。
【0093】
また、上記各実施形態において、表示装置14をタッチパネルと表示部とが一体化されたタッチパネルディスプレイとしてもよい。この場合、情報処理システム10は、撮像装置16を備えなくてもよい。また、この場合、タッチパネルディスプレイのタッチパネルが開示の技術の検出装置に相当し、タッチパネルディスプレイの表示部が開示の技術の表示装置に相当する。
【0094】
また、上記各実施形態では、情報処理プログラム50、50A、50Bが記憶部43に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。情報処理プログラム50、50A、50Bは、CD-ROM、DVD-ROM、USBメモリ、メモリカード等の記録媒体に記録された形態で提供することも可能である。
【0095】
以上の各実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0096】
(付記1)
画面上に配置され、かつ複数の操作者により操作されうる複数のオブジェクトのうちの第1のオブジェクトと、前記第1のオブジェクトの後に操作された第2のオブジェクトとが連続的に操作されたか否か、及び前記第1のオブジェクトと前記第2のオブジェクトとの関係が近い範囲として予め定められた範囲内であるか否かの少なくとも一方を判定する判定部と、
前記判定部により前記連続的に操作されたと判定された場合、及び前記関係が前記予め定められた範囲内であると判定された場合の少なくとも一方の場合に、前記第1のオブジェクトの操作設定を前記第2のオブジェクトの操作設定として設定する設定部と、
を含む情報処理装置。
【0097】
(付記2)
前記関係は、前記第1のオブジェクトと前記第2のオブジェクトとの位置関係である
付記1に記載の情報処理装置。
【0098】
(付記3)
前記判定部は、前記第1のオブジェクトと前記第2のオブジェクトとの対応する位置間の距離が閾値以下の場合、前記関係が前記範囲内であると判定する
付記2に記載の情報処理装置。
【0099】
(付記4)
前記判定部は、前記第1のオブジェクトと前記第2のオブジェクトとの角度の差の絶対値が閾値以下の場合、前記関係が前記範囲内であると判定する
付記2に記載の情報処理装置。
【0100】
(付記5)
前記判定部は、前記第1のオブジェクトと前記第2のオブジェクトとが同じ種類である場合、前記関係が前記範囲内であると判定する
付記1に記載の情報処理装置。
【0101】
(付記6)
前記判定部は、前記第1のオブジェクトへの操作終了と前記第2のオブジェクトへの操作開始との時間間隔が閾値以下の場合、前記第1のオブジェクトと前記第2のオブジェクトとが連続的に操作されたと判定する
付記1に記載の情報処理装置。
【0102】
(付記7)
前記判定部は、前記第1のオブジェクトへの操作が終了した位置と前記第2のオブジェクトへの操作が開始した位置との距離が閾値以下の場合、前記第1のオブジェクトと前記第2のオブジェクトとが連続的に操作されたと判定する
付記1に記載の情報処理装置。
【0103】
(付記8)
前記第1のオブジェクトの操作中に、前記予め定められた範囲を識別可能に表示する制御を行う表示制御部
を更に含む付記1から付記7の何れか1項に記載の情報処理装置。
【0104】
(付記9)
前記判定部により前記連続的に操作されたとの判定、及び前記関係が前記予め定められた範囲内であるとの判定の少なくとも一方の判定がされた前記第1のオブジェクトが複数存在する場合、前記複数の前記第1のオブジェクトそれぞれの操作設定を表示する制御を行う表示制御部と、
前記操作者により選択された前記操作設定を受け付ける受付部と、
を更に含み、
前記設定部は、前記受付部により受け付けられた操作設定を前記第2のオブジェクトの操作設定として設定する
付記1から付記8の何れか1項に記載の情報処理装置。
【0105】
(付記10)
前記設定部は、前記判定部により前記連続的に操作されたとの判定、及び前記関係が前記予め定められた範囲内であるとの判定の少なくとも一方の判定がされた前記第1のオブジェクトが複数存在する場合、前記複数の前記第1のオブジェクトそれぞれの操作設定の間の操作設定を前記第2のオブジェクトの操作設定として設定する
付記1から付記8の何れか1項に記載の情報処理装置。
【0106】
(付記11)
画面上に配置され、かつ複数の操作者により操作されうる複数のオブジェクトのうちの第1のオブジェクトと、前記第1のオブジェクトの後に操作された第2のオブジェクトとが連続的に操作されたか否か、及び前記第1のオブジェクトと前記第2のオブジェクトとの関係が近い範囲として予め定められた範囲内であるか否かの少なくとも一方を判定し、
前記連続的に操作されたと判定した場合、及び前記関係が前記予め定められた範囲内であると判定した場合の少なくとも一方の場合に、前記第1のオブジェクトの操作設定を前記第2のオブジェクトの操作設定として設定する
処理をコンピュータに実行させるための情報処理プログラム。
【0107】
(付記12)
前記関係は、前記第1のオブジェクトと前記第2のオブジェクトとの位置関係である
付記11に記載の情報処理プログラム。
【0108】
(付記13)
前記第1のオブジェクトと前記第2のオブジェクトとの対応する位置間の距離が閾値以下の場合、前記関係が前記範囲内であると判定する
付記12に記載の情報処理プログラム。
【0109】
(付記14)
前記第1のオブジェクトと前記第2のオブジェクトとの角度の差の絶対値が閾値以下の場合、前記関係が前記範囲内であると判定する
付記12に記載の情報処理プログラム。
【0110】
(付記15)
前記第1のオブジェクトと前記第2のオブジェクトとが同じ種類である場合、前記関係が前記範囲内であると判定する
付記11に記載の情報処理プログラム。
【0111】
(付記16)
前記第1のオブジェクトへの操作終了と前記第2のオブジェクトへの操作開始との時間間隔が閾値以下の場合、前記第1のオブジェクトと前記第2のオブジェクトとが連続的に操作されたと判定する
付記11に記載の情報処理プログラム。
【0112】
(付記17)
前記第1のオブジェクトへの操作が終了した位置と前記第2のオブジェクトへの操作が開始した位置との距離が閾値以下の場合、前記第1のオブジェクトと前記第2のオブジェクトとが連続的に操作されたと判定する
付記11に記載の情報処理プログラム。
【0113】
(付記18)
前記第1のオブジェクトの操作中に、前記予め定められた範囲を識別可能に表示する制御を行う
処理を更に前記コンピュータに実行させるための付記11から付記17の何れか1項に記載の情報処理プログラム。
【0114】
(付記19)
画面上に配置され、かつ複数の操作者により操作されうる複数のオブジェクトのうちの第1のオブジェクトと、前記第1のオブジェクトの後に操作された第2のオブジェクトとが連続的に操作されたか否か、及び前記第1のオブジェクトと前記第2のオブジェクトとの関係が近い範囲として予め定められた範囲内であるか否かの少なくとも一方を判定する判定部と、前記判定部により前記連続的に操作されたと判定された場合、及び前記関係が前記予め定められた範囲内であると判定された場合の少なくとも一方の場合に、前記第1のオブジェクトの操作設定を前記第2のオブジェクトの操作設定として設定する設定部と、を含む情報処理装置、
前記操作者による前記複数のオブジェクトへの操作を検出する検出装置、及び
前記操作設定に応じて前記複数のオブジェクトへの前記操作者による操作結果を表示する表示装置
を備えた情報処理システム。
【0115】
(付記20)
画面上に配置され、かつ複数の操作者により操作されうる複数のオブジェクトのうちの第1のオブジェクトと、前記第1のオブジェクトの後に操作された第2のオブジェクトとが連続的に操作されたか否か、及び前記第1のオブジェクトと前記第2のオブジェクトとの関係が近い範囲として予め定められた範囲内であるか否かの少なくとも一方を判定し、
前記連続的に操作されたと判定した場合、及び前記関係が前記予め定められた範囲内であると判定した場合の少なくとも一方の場合に、前記第1のオブジェクトの操作設定を前記第2のオブジェクトの操作設定として設定する
処理をコンピュータに実行させるための情報処理プログラムを記憶した記憶媒体。
【符号の説明】
【0116】
10 情報処理システム
12、12A、12B 情報処理装置
14 表示装置
16 撮像装置
20 検出部
22 判定部
24、24A 設定部
26、26A、26B 表示制御部
28 受付部
30 オブジェクト情報テーブル
32 操作履歴テーブル
40 コンピュータ
41 CPU
42 メモリ
43 記憶部
49 記録媒体
50、50A、50B 情報処理プログラム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21