(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-21
(45)【発行日】2023-08-29
(54)【発明の名称】モータの制御装置
(51)【国際特許分類】
B62D 6/00 20060101AFI20230822BHJP
B62D 5/04 20060101ALI20230822BHJP
G05B 11/36 20060101ALI20230822BHJP
G05B 11/32 20060101ALI20230822BHJP
H02P 29/00 20160101ALI20230822BHJP
B62D 101/00 20060101ALN20230822BHJP
B62D 113/00 20060101ALN20230822BHJP
B62D 119/00 20060101ALN20230822BHJP
【FI】
B62D6/00
B62D5/04
G05B11/36 G
G05B11/32 F
H02P29/00
B62D101:00
B62D113:00
B62D119:00
(21)【出願番号】P 2020039936
(22)【出願日】2020-03-09
【審査請求日】2023-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】位田 祐基
(72)【発明者】
【氏名】玉泉 晴天
【審査官】村山 禎恒
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-55603(JP,A)
【文献】特開2018-183046(JP,A)
【文献】特開2009-22149(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 6/00-6/10
B62D 5/04
G05B 11/36
G05B 11/32
H02P 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の転舵輪を転舵させるプラントの駆動源であるモータの制御装置であって、
前記転舵輪の転舵角に換算可能な角度を目標角度に追従させるフィードバック制御の実行を通じて前記モータに発生させるフィードバック制御トルクを演算する第1の処理部と、
前記目標角度に応じて前記モータに発生させるフィードフォワード制御トルクを演算する第2の処理部と、
前記プラントを模擬したモデルを使用して前記モータに発生させるトルク以外に前記転舵角に換算可能な角度に影響を及ぼす外乱トルクを演算する第3の処理部と、
前記フィードバック制御トルクに前記フィードフォワード制御トルクを加算した値から前記第3の処理部により演算される前記外乱トルクを減算することによって前記モータに発生させるトルクを補正する第4の処理部と、を有し、
前記第2の処理部は、前記外乱トルクが補償された車載状態の前記プラントを模擬したモデルの逆モデルを使用して前記フィードフォワード制御トルクを演算するモータの制御装置。
【請求項2】
前記第3の処理部により演算される外乱トルクは3次以上の多次遅れ系の外乱トルクであることを前提として、
前記第2の処理部は、前記外乱トルクが補償された車載状態の前記プラントの逆モデルを使用して前記目標角度に応じた前記フィードフォワード制御トルクを演算する演算部と、
前記演算部により演算される前記フィードフォワード制御トルクに対してフィルタリング処理を施すフィルタと、を有し、
前記フィルタの次数は、前記第3の処理部により演算される前記外乱トルクの次数と同じ次数に設定されている請求項1に記載のモータの制御装置。
【請求項3】
前記外乱トルクが補償された前記プラントを模擬したモデルは、慣性項、粘性項およびばね項を含んでいる請求項1または請求項2に記載のモータの制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動運転システム、運転支援システム、ステアバイワイヤシステムなどのステアリングシステムの制御に使用されるモータへの給電を制御する制御装置が知られている。たとえば特許文献1の制御装置は、自動運転制御用の制御装置によって設定される目標舵角に基づいて目標モータトルク(目標自動操舵トルク)を演算し、この演算される目標モータトルクをモータのトルク定数で徐算することにより目標モータ電流を演算する。モータの制御装置は、電流検出回路を通じて検出されるモータ電流を目標モータ電流に一致させるべくモータへ供給する電流をフィードバック制御する。
【0003】
特許文献1の制御装置は、外乱オブザーバを有している。外乱オブザーバは、回転角センサを通じて検出されるモータの回転角と、目標舵角に基づき演算される目標モータトルクとに基づいて外乱トルクおよび実舵角を推定する。外乱トルクとは、舵角に影響を及ぼすモータトルク以外のトルクをいう。
【0004】
特許文献1の制御装置は、目標舵角と外乱オブザーバによって推定される実舵角との差に対して所定のフィードバック演算を行うことによりフィードバック制御トルクを演算するとともに、目標舵角の二階微分値にステアリングシステムの慣性モーメントを乗算することによりフィードフォワード制御トルクを演算する。制御装置は、フィードバック制御トルクにフィードフォワード制御トルクを加算することにより目標モータトルクを演算する。フィードフォワード制御トルクを使用することによりステアリングシステムの慣性による応答性の遅れが補償される。また、制御装置は、外乱オブザーバにより演算される外乱トルクを使用して目標モータトルクを補正する。外乱トルクが補償されることにより、より精度の高いモータ制御が実現される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
フィードフォワード制御を行うためには、制御装置に制御対象であるプラントを模擬したモデルの逆モデルを持たせる必要がある。ただし、フィードフォワード制御用のモデルの特性と実際のプラントの特性との間に誤差が存在する場合、制御装置に要求される制御性能を確保することが困難となるおそれがある。同様の理由によって、特許文献1の制御装置においても目標舵角に対する実舵角の追従性能が低下するおそれがある。
【0007】
本発明の目的は、目標角度に対する実角度の追従性能を確保することができるモータの制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成し得るモータの制御装置は、車両の転舵輪を転舵させるプラントの駆動源であるモータの制御装置である。モータの制御装置は、前記転舵輪の転舵角に換算可能な角度を目標角度に追従させるフィードバック制御の実行を通じて前記モータに発生させるフィードバック制御トルクを演算する第1の処理部と、前記目標角度に応じて前記モータに発生させるフィードフォワード制御トルクを演算する第2の処理部と、前記プラントを模擬したモデルを使用して前記モータに発生させるトルク以外に前記転舵角に換算可能な角度に影響を及ぼす外乱トルクを演算する第3の処理部と、前記フィードバック制御トルクに前記フィードフォワード制御トルクを加算した値から前記第3の処理部により演算される前記外乱トルクを減算することによって前記モータに発生させるトルクを補正する第4の処理部と、を有している。前記第2の処理部は、前記外乱トルクが補償された車載状態の前記プラントを模擬したモデルの逆モデルを使用して前記フィードフォワード制御トルクを演算する。
【0009】
この構成によれば、第2の処理部では、外乱トルクが補償された車載状態のプラントを模擬したモデルの逆モデルが使用されることによってフィードフォワード制御トルクが演算される。このフィードフォワード制御トルクを使用することにより、目標角度に対する実角度の追従性能を確保することができる。
【0010】
上記のモータの制御装置において、前記第3の処理部により演算される外乱トルクは3次以上の多次遅れ系の外乱トルクであることを前提として、前記第2の処理部は、前記外乱トルクが補償された車載状態の前記プラントの逆モデルを使用して前記目標角度に応じた前記フィードフォワード制御トルクを演算する演算部と、前記演算部により演算される前記フィードフォワード制御トルクに対してフィルタリング処理を施すフィルタと、を有していてもよい。前記フィルタの次数は、前記第3の処理部により演算される前記外乱トルクの次数と同じ次数に設定されていることが好ましい。
【0011】
外乱トルクが3次以上の多次遅れ系となる場合、高周波領域では第3の処理部による外乱トルクの演算精度が低下することによって、第2の処理部および第3の処理部を通じて補償されるプラントの伝達関数(すなわち、目標角度から実角度までの伝達関数)が1でなくなるおそれがある。このため、第3の処理部による外乱トルクの演算精度が低下する高周波領域においては、第2の処理部によるフィードフォワード制御の影響も抑えることが好ましい。
【0012】
この点、上記の構成によれば、第2の処理部は、第3の処理部により演算される外乱トルクの次数と同じ次数のフィルタを有している。高周波領域ではフィードフォワード制御トルクに対してフィルタによる処理が施されることにより高周波の信号が除去される。このため、プラントを補償することが困難となる高周波領域における第2の処理部の影響を抑えることが可能である。
【0013】
また、第2の処理部では、外乱トルクが補償された車載状態のプラントを模擬したモデルの逆モデルが使用されることによってフィードフォワード制御トルクが演算される。このフィードフォワード制御トルクを使用することにより、第3の処理部では除去することが困難である高周波領域の外乱トルクが打ち消される。したがって、目標角度に対する実角度の追従性能を確保することができる。
【0014】
上記のモータの制御装置において、前記外乱トルクが補償された車載状態の前記プラントを模擬したモデルは、慣性項、粘性項およびばね項を含んでいてもよい。
この構成によれば、プラントに存在する慣性、粘性およびばね(剛性)の影響を打ち消すことが可能である。このため、目標角度に対する実角度の追従性能を確保することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のモータの制御装置によれば、目標角度に対する実角度の追従性能を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】モータの制御装置の第1の実施の形態が搭載される電動パワーステアリング装置の構成図。
【
図2】モータの制御装置の第1の実施の形態の構成を示すブロック図。
【
図3】第1の実施の形態における指令値演算部の構成を示すブロック図。
【
図4】角度フィードバック制御部の構成の一例を示すブロック図。
【
図5】(a)は第1の実施の形態のフィードバック制御系の構成を示すブロック線図、(b)は外乱オブザーバによってプラントが完全に補償されたと仮定した場合のフィードバック制御系のブロック線図。
【
図6】第1の実施の形態の角度フィードバック制御部の構成を示すブロック図。
【
図7】モータの制御装置の第2の実施の形態が搭載されるステアバイワイヤ方式の操舵装置の構成図。
【
図8】モータの制御装置の第2の実施の形態のブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、モータの制御装置をEPS(電動パワーステアリング装置)の制御装置に具体化した第1の実施の形態を説明する。
図1に示すように、EPS10は、ステアリングホイール11と転舵輪12,12との間の動力伝達経路として機能するステアリングシャフト13、ピニオンシャフト14および転舵シャフト15を有している。転舵シャフト15は車幅方向(
図1中の左右方向)に沿って延びている。転舵シャフト15の両端にはタイロッド16,16を介して転舵輪12,12が連結されている。ピニオンシャフト14は、転舵シャフト15に対して交わるように設けられている。ピニオンシャフト14のピニオン歯14aは、転舵シャフト15のラック歯15aに噛み合わされている。ステアリングホイール11の回転操作に連動して転舵シャフト15が直線運動する。転舵シャフト15の直線運動がタイロッド16を介して左右の転舵輪12,12に伝達されることにより、転舵輪12,12の転舵角θ
wが変更される。
【0018】
また、EPS10は、運転者による操舵を補助するための力であるアシスト力を生成する構成として、モータ21および減速機構22を有している。モータ21は、アシスト力の発生源であるアシストモータとして機能する。モータ21としては、たとえば三相のブラシレスモータが採用される。モータ21は、減速機構22を介してピニオンシャフト23に連結されている。ピニオンシャフト23のピニオン歯23aは、転舵シャフト15のラック歯15bに噛み合わされている。モータ21の回転は減速機構22によって減速されて、当該減速された回転力がアシスト力としてピニオンシャフト23を介して転舵シャフト15に伝達される。モータ21の回転に応じて、転舵シャフト15は車幅方向に沿って移動する。
【0019】
また、EPS10は、制御装置50を有している。制御装置50は、各種のセンサの検出結果に基づきモータ21を制御する。センサには、トルクセンサ51、車速センサ52および回転角センサ53が含まれている。トルクセンサ51は、ステアリングホイール11の回転操作を通じてステアリングシャフト13に加わる操舵トルクThを検出する。車速センサ52は、車速Vを検出する。回転角センサ53はモータ21に設けられている。回転角センサ53はモータ21の回転角θmを検出する。制御装置50は、モータ21に対する通電制御を通じて操舵トルクThに応じたアシスト力を発生させるアシスト制御を実行する。制御装置50は、トルクセンサ51を通じて検出される操舵トルクTh、車速センサ52を通じて検出される車速V、および回転角センサ53を通じて検出される回転角θmに基づき、モータ21に対する給電を制御する。
【0020】
つぎに、制御装置50について詳細に説明する。
図2に示すように、制御装置50は、ピニオン角演算部61、指令値演算部62、および通電制御部63を有している。
【0021】
ピニオン角演算部61は、回転角センサ53を通じて検出されるモータ21の回転角θmに基づき、ピニオンシャフト23の回転角であるピニオン角θpを演算する。ピニオン角演算部61は、たとえばモータ21の回転角θmを減速機構22の減速比で徐算することによりピニオン角θpを演算する。
【0022】
ちなみに、ピニオン角演算部61は、ピニオンシャフト14の回転角をピニオン角θpとして演算してもよい。この場合、ピニオン角演算部61は、たとえばモータ21の回転角θmをモータ21からピニオンシャフト14までの間の減速比で徐算することによりピニオンシャフト14の回転角であるピニオン角θpを演算する。
【0023】
指令値演算部62は、トルクセンサ51を通じて検出される操舵トルクThおよび車速センサ52を通じて検出される車速Vに基づき、アシスト指令値T*を演算する。アシスト指令値T*は、モータ21に発生させるべき回転力であるアシストトルクを示す。指令値演算部62は、操舵トルクThの絶対値が大きいほど、また車速Vが遅いほど、より大きな絶対値のアシスト指令値T*を演算する。
【0024】
通電制御部63は、アシスト指令値T*に応じた電力をモータ21へ供給する。具体的には、つぎの通りである。すなわち、通電制御部63は、アシスト指令値T*に基づきモータ21へ供給すべき電流の目標値である電流指令値を演算する。また、通電制御部63は、モータ21に対する給電経路に設けられた電流センサ64を通じて、モータ21へ供給される電流Imを検出する。そして通電制御部63は、電流指令値と実際の電流Imの値との偏差を求め、当該偏差を無くすようにモータ21に対する給電を制御する(電流Imのフィードバック制御)。これにより、モータ21はアシスト指令値T*に応じたトルクを発生する。
【0025】
つぎに、指令値演算部62について詳細に説明する。
図3に示すように、指令値演算部62は、加算器70、目標操舵トルク演算部71、トルクフィードバック制御部72、目標角度演算部73、角度フィードバック制御部74、および加算器75を有している。
【0026】
加算器70は、トルクセンサ51を通じて検出される操舵トルクThとトルクフィードバック制御部72により演算される第1のアシストトルクT1
*とを加算することにより、ステアリングシャフト13に印加されるトルクとしての入力トルクTin
*を演算する。
【0027】
目標操舵トルク演算部71は、加算器70により演算される入力トルクTin
*に基づき目標操舵トルクTh
*を演算する。目標操舵トルクTh
*とは、ステアリングホイール11に印加すべき操舵トルクThの目標値をいう。目標操舵トルク演算部71は、入力トルクTin
*の絶対値が大きいほど、より大きな絶対値の目標操舵トルクTh
*を演算する。
【0028】
トルクフィードバック制御部72は、トルクセンサ51を通じて検出される操舵トルクTh、および目標操舵トルク演算部71により演算される目標操舵トルクTh
*を取り込む。トルクフィードバック制御部72は、トルクセンサ51を通じて検出される操舵トルクThを目標操舵トルクTh
*に追従させるべく操舵トルクThのフィードバック制御を実行することにより第1のアシストトルクT1
*を演算する。
【0029】
目標角度演算部73は、トルクセンサ51を通じて検出される操舵トルクTh、トルクフィードバック制御部72により演算される第1のアシストトルクT1
*、および車速センサ52を通じて検出される車速Vを取り込む。目標角度演算部73は、これら取り込まれる操舵トルクTh、第1のアシストトルクT1
*、および車速Vに基づき、ピニオンシャフト23の回転角の目標値である目標ピニオン角θp
*を演算する。
【0030】
目標角度演算部73は、たとえば次式(A)により表されるモデルを使用して目標ピニオン角θp
*を演算する。式(A)により表されるモデルは、第1のアシストトルクT1
*に相当するトルクがステアリングシャフト13に印加されたときのピニオン角θpをモデル化したものである。
【0031】
T1
*=Jθp
*′′+Cθp
*′+Kθp
* …(A)
ただし、「J」はEPS10の慣性モーメントをモデル化した慣性係数である。「C」はEPS10の摩擦などをモデル化した粘性係数である。「K」はEPS10が搭載される車両のサスペンションおよびホイールアライメントなどの仕様をばねとみなしてモデル化したばね係数である。
【0032】
角度フィードバック制御部74は、目標角度演算部73により演算される目標ピニオン角θp
*およびピニオン角演算部61により演算される実際のピニオン角θpをそれぞれ取り込む。角度フィードバック制御部74は、実際のピニオン角θpを目標ピニオン角θp
*に追従させるべくピニオン角θpのフィードバック制御を実行することにより第2のアシストトルクT2
*を演算する。
【0033】
加算器75は、トルクフィードバック制御部72により演算される第1のアシストトルクT1
*と、角度フィードバック制御部74により演算される第2のアシストトルクT2
*とを合算することによりアシスト指令値T*を演算する。アシスト指令値T*に基づく電流がモータ21へ供給されることにより、モータ21はアシスト指令値T*に応じたトルクを発生する。
【0034】
つぎに、角度フィードバック制御部74について詳細に説明する。
図4に示すように、角度フィードバック制御部74は、フィードバック制御部81、フィードフォワード制御部82、外乱オブザーバ83、および加算器84を有している。
【0035】
フィードバック制御部81は、外乱オブザーバ83によって演算されるピニオン角θpの推定値であるピニオン角推定値θpeを目標ピニオン角θp
*に近づけるために設けられている。フィードバック制御部81は、減算器81AおよびPD制御部(比例微分制御部)81Bを有している。減算器81Aは、目標ピニオン角θp
*と、外乱オブザーバ83により演算されるピニオン角推定値θpeとの偏差Δθp(=θp
*-θpe)を演算する。PD制御部81Bは、減算器81Aによって演算される偏差Δθpに対して比例微分演算を実行することにより、フィードバック制御トルクTfbを演算する。すなわち、フィードバック制御トルクTfbは、偏差Δθpを入力とする比例要素の出力値と微分要素の出力値との和である。
【0036】
フィードフォワード制御部82は、たとえばEPS10の慣性による応答性の遅れを補償して、制御の応答性を向上させるために設けられている。一例としてのフィードフォワード制御部82は、角加速度演算部82A、乗算部82Bおよび三次のローパスフィルタ(LPF)82Cを有している。角加速度演算部82Aは、目標ピニオン角θp
*を2階微分することにより、目標ピニオン角加速度αp(=d2θp
*/dt2)を演算する。乗算部82Bは、角加速度演算部82Aにより演算される目標ピニオン角加速度αpにEPS10の慣性Jを乗算することにより、慣性補償値としてのフィードフォワード制御トルクTff(=J・αp)を演算する。慣性Jは、たとえばEPS10の物理モデルから求められる。ローパスフィルタ82Cは、乗算部82Bにより演算されるフィードフォワード制御トルクTffに対してフィルタリング処理を施すことによって、フィードフォワード制御トルクTffに含まれる雑音を除去する。
【0037】
外乱オブザーバ83は、外乱トルクを推定して補償するために設けられている。外乱トルクは、制御対象であるプラント(EPS10)に外乱として発生する非線形のトルクであって、モータ21が発生するトルク以外のピニオン角θpに影響を及ぼすトルクである。外乱オブザーバ83は、プラントの目標値である第2のアシストトルクT2
*とプラントの出力である実際のピニオン角θpとに基づいて、外乱トルク補償値としての外乱トルク推定値Tlde、およびピニオン角推定値θpeを演算する。ちなみに、外乱オブザーバ83は、第2のアシストトルクT2
*に代えてアシスト指令値T*を使用して外乱トルク推定値Tlde、およびピニオン角推定値θpeを演算するようにしてもよい。
【0038】
加算器84は、フィードバック制御トルクTfbにフィードフォワード制御トルクTffを加算した値から外乱トルク推定値Tldeを減算することにより第2のアシストトルクT2
*(=Tfb+Tff-Tld)を演算する。これにより、慣性および外乱トルクが補償された第2のアシストトルクT2
*が得られる。この第2のアシストトルクT2
*に基づくアシスト指令値T*が使用されることにより、より精度の高いモータ制御を実行することが可能となる。
【0039】
つぎに、フィードフォワード制御部82にローパスフィルタ82Cが設けられている理由を説明する。
フィードフォワード制御部82は、実際の制御対象であるプラントPを模擬したモデルであるノミナルプラントPnの逆モデル1/Pnを有している。すなわち、フィードフォワード制御部82は「1/Pn」を補償する。ここでは前述したように、ノミナルプラントPnにおいて慣性系のみが適用されている場合を例に挙げて検討する。この場合、ノミナルプラントPnの伝達関数は「1/Js2」となる。また、フィードフォワード制御部82の伝達関数は「Js2」となる。
【0040】
外乱オブザーバ83によって外乱が完全に推定され、その推定された外乱によってプラントPが完全に補償されたと仮定する場合、目標ピニオン角θp
*からプラントPの出力であるピニオン角θpまでの伝達関数は「1」となる。
【0041】
ここで、外乱オブザーバ83により演算される外乱トルク推定値Tldeと実際の外乱トルクTldとの関係は、次式(B1),(B2)で表される。
Tlde=α・Tld ………(B1)
α=ω3/(s+ω)3 …(B2)
ただし、「ω」は周波数である。
【0042】
式(B1),(B2)から分かるように、プラントPを補償するための外乱オブザーバ83が推定する外乱は3次遅れ系となる。このため、外乱オブザーバ83の外乱推定精度は周波数が高くなるほどより低下する。したがって、高周波数領域においては、目標ピニオン角θp
*からピニオン角θpまでの伝達関数、すなわちフィードフォワード制御部82と外乱オブザーバ83とで補償されたプラントPの伝達関数が「1」とならないおそれがある。このため、外乱オブザーバ83における外乱の演算精度が低下してプラントPを補償することが困難となる高周波数領域では、フィードフォワード制御による影響についてもより小さくすることが好ましい。そこで、フィードフォワード制御部82として、外乱オブザーバ83により演算される外乱と同じ次数である三次のローパスフィルタ82Cを有する構成が採用されている。ローパスフィルタ82Cにより高周波の信号が除去される。
【0043】
さらに本実施の形態では、外乱オブザーバ83を通じて除去することが困難である高周波領域の外乱を打ち消すために、フィードフォワード制御部82として、つぎの構成を採用している。
【0044】
すなわち、フィードフォワード制御部82は、外乱オブザーバ83により完全に補償されたプラントP′を模擬したモデルの逆モデル、換言すればプラントP′の逆プラント1/P′を模擬したモデルを有している。プラントP′を模擬したモデルは、プラントの慣性項、粘性項およびばね項を含んでいる。
【0045】
プラントP′は、つぎのようにして得られる。
図5(a)のブロック線図において外乱オブザーバ83によってプラントPが完全に補償されると仮定した場合、
図5(b)のブロック線図に示すように実際のプラントPをノミナルプラントP
neに置き換えることができる。ただし、ノミナルプラントP
neは、外乱オブザーバ83により推定される外乱によって車両に搭載された状態のプラントPが完全に補償されると仮定した場合において、車両に搭載された状態のプラントPを完全に模擬したモデルである。
【0046】
図5(a)のブロック線図から次式(C1),(C2)が導出される。
θ
p=P・T
2 ………………(C1)
T
2=T
fb-T
lde …………(C2)
図5(b)のブロック線図から次式(C3)が導出される。
【0047】
θp=Pne・(Tfb+Tld)…(C3)
フィードバック制御トルクTfbからピニオン角θpまでの伝達関数は、先の式(B1),(B2)および式(C1),(C2),(C3)に基づき、次式(D1)で表すことができる。
【0048】
θp=[1/{(1/P)・(1-α)+α/Pne}]・Tfb …(D1)
したがって、完全に補償されたプラントP′の伝達関数は次式(D2)で表される。
P′=1/{(1/P)・(1-α)+α/Pne}
=1/{(Js2+Cs+K)・(1-α)+Js2・α}…(D2)
ただし、「J」はEPS10の慣性モーメントをモデル化した慣性係数である。「C」はEPS10の摩擦などをモデル化した粘性係数である。「K」はEPS10が搭載される車両のサスペンションおよびホイールアライメントなどの仕様をばねとみなしてモデル化したばね係数である。
【0049】
完全に補償されたプラントP′の逆プラント1/P′の伝達関数は、先の式(D2)を変形することにより、次式(D3)で表される。
1/P′=(1/P)・(1-α)+(1/Pne)・α
=(Js2+Cs+K)・(1-α)+Js2・α……(D3)
したがって、フィードフォワード制御部82に先の式(D3)で表される完全に補償されたプラントP′の逆プラント1/P′を模擬したモデルを持たせることによって、目標ピニオン角θp
*からピニオン角θpまでの伝達関数は、次式(D4)で示されるように「1」となる。
【0050】
θ
p=(1/P′)・P′・θ
p
*=1・θ
p
* …………………(D4)
フィードフォワード制御部82の具体的な構成は、つぎの通りである。
図6に示すように、フィードフォワード制御部82は、演算部82Dおよびローパスフィルタ82Cを有している。演算部82Dは、外乱トルクが完全に補償された車載状態のプラントP′の逆プラント1/P′を模擬した式(D3)で表されるモデルを有している。演算部82Dは、式(D3)で表されるモデルを使用して目標ピニオン角θ
p
*に応じたフィードフォワード制御トルクT
ffを演算する。ローパスフィルタ82Cは、演算部82Dにより演算されるフィードフォワード制御トルクT
ffに対してフィルタリング処理を施す。
【0051】
したがって、第1の実施の形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)フィードフォワード制御部82は、外乱オブザーバ83により外乱トルクが完全に補償された車載状態のプラントP′を模擬したモデルの逆モデルを使用してフィードフォワード制御トルクTffを演算する。このフィードフォワード制御トルクTffを使用することにより、目標ピニオン角θp
*に対するピニオン角θpの追従性能を確保することができる。
【0052】
(2)フィードフォワード制御部82は、外乱オブザーバ83により演算される外乱トルク推定値Tldeと同じ次数である三次のローパスフィルタ82Cを有している。ローパスフィルタ82Cにより高周波の信号が除去される。このため、外乱の演算精度が低下してプラントPを補償することが困難となる高周波数領域におけるフィードフォワード制御の影響を抑えることが可能である。また、フィードフォワード制御部82により演算されるフィードフォワード制御トルクTffを使用することにより、外乱オブザーバ83では除去することが困難である高周波領域の外乱トルクであれ打ち消される。したがって、目標角度に対する実角度の追従性能を確保することができる。
【0053】
(3)外乱トルクが完全に補償された車載状態のプラントP′を模擬したモデルは、慣性項、粘性項およびばね項を含んでいる。このため、プラントPに存在する慣性、粘性およびばね(剛性)の影響を打ち消すことが可能である。
【0054】
<第2の実施の形態>
つぎに、モータの制御装置をステアバイワイヤ方式の操舵装置に適用した第2の実施の形態を説明する。なお、第1の実施の形態と同一の部材および構成については同一の符号を付し、その詳細な説明を割愛する。
【0055】
図7に示すように、車両の操舵装置90では、ステアリングシャフト13とピニオンシャフト14との間が機械的に分離されている。操舵装置90は、操舵反力を生成するための構成として、反力モータ91および減速機構92を有している。操舵反力とは、運転者によるステアリングホイール11の操作方向と反対方向へ向けて作用する力をいう。操舵反力をステアリングホイール11に付与することにより、運転者に適度な手応え感を与えることが可能である。
【0056】
反力モータ91は、操舵反力の発生源である。反力モータ91としてはたとえば三相のブラシレスモータが採用される。反力モータ91の回転軸は、減速機構92を介して、ステアリングシャフト13に連結されている。反力モータ91のトルクは、操舵反力としてステアリングシャフト13に付与される。反力モータ91には回転角センサ93が設けられている。回転角センサ93は、反力モータ91の回転角θmrを検出する。
【0057】
なお、トルクセンサ51は、ステアリングシャフト13における減速機構92とステアリングホイール11との間の部分に設けられている。また、モータ21は、転舵力の発生源である転舵モータとして機能する。転舵力とは、転舵輪12,12を転舵させるための駆動力をいう。
【0058】
つぎに、操舵装置90の制御装置100について詳細に説明する。
図8に示すように、制御装置100は、操舵角演算部101、指令値演算部102、および通電制御部103を有している。
【0059】
操舵角演算部101は、回転角センサ93を通じて検出される反力モータ91の回転角θmrに基づきステアリングホイール11の回転角である操舵角θsを演算する。
指令値演算部102は、操舵トルクTh、車速Vおよび操舵角θsに基づき操舵反力指令値Tr
*を演算する。指令値演算部102は、操舵トルクThの絶対値が大きいほど、また車速Vが遅いほど、より大きな絶対値の操舵反力指令値Tr
*を演算する。指令値演算部102は、操舵反力指令値Tr
*を演算する過程でステアリングホイール11の目標操舵角θs
*を演算する。
【0060】
通電制御部103は、操舵反力指令値Tr
*に応じた電力を反力モータ91へ供給する。具体的には、通電制御部103は、操舵反力指令値Tr
*に基づき反力モータ91に対する電流指令値を演算する。また、通電制御部103は、反力モータ91に対する給電経路に設けられた電流センサ104を通じて、当該給電経路に生じる電流Imrを検出する。そして通電制御部103は、電流指令値と実際の電流Imrの値との偏差を求め、当該偏差を無くすように反力モータ91に対する給電を制御する。これにより、反力モータ91は操舵反力指令値Tr
*に応じたトルクを発生する。
【0061】
また、制御装置100は、ピニオン角演算部61および通電制御部63の他、角度フィードバック制御部105を有している。
角度フィードバック制御部105は、先の
図4に示される第1の実施の形態の角度フィードバック制御部74と同様の処理機能を有している。角度フィードバック制御部105は、指令値演算部102により演算される目標操舵角θ
s
*を目標ピニオン角θ
p
*として取り込む。また、角度フィードバック制御部105は、ピニオン角演算部61により演算されるピニオン角θ
pを取り込む。角度フィードバック制御部105は、実際のピニオン角θ
pを目標ピニオン角θ
p
*(ここでは、目標操舵角θ
s
*に等しい。)に追従させるべくピニオン角θ
pのフィードバック制御を通じてピニオン角指令値T
p
*を演算する。通電制御部63は、ピニオン角指令値T
p
*に応じた電力を転舵モータとしてのモータ21へ供給する。これにより、モータ21はピニオン角指令値T
p
*に応じた角度だけ回転する。
【0062】
つぎに、指令値演算部102について詳細に説明する。
図3に括弧書きの符号を付して示すように、指令値演算部102は、基本的には第1の実施の形態の指令値演算部62と同様の処理機能を有している。ただし、指令値演算部102は、下記の点において第1の実施の形態の指令値演算部62と異なる。
【0063】
トルクフィードバック制御部72は、トルクセンサ51を通じて検出される操舵トルクTh、および目標操舵トルク演算部71により演算される目標操舵トルクTh
*を取り込む。トルクフィードバック制御部72は、操舵トルクThを目標操舵トルクTh
*に追従させるべく操舵トルクThのフィードバック制御を通じて第1の操舵反力指令値Tr1
*を演算する。
【0064】
目標角度演算部73は、トルクセンサ51を通じて検出される操舵トルクTh、トルクフィードバック制御部72により演算される第1の操舵反力指令値Tr1
*、および車速センサ52を取り込む。目標角度演算部73は、操舵トルクTh、第1の操舵反力指令値Tr1
*、および車速Vに基づき、ステアリングホイール11の目標操舵角θs
*を演算する。
【0065】
角度フィードバック制御部74は、操舵角演算部101により演算される操舵角θs、および目標角度演算部73により演算される目標操舵角θs
*を取り込む。角度フィードバック制御部74は、操舵角演算部101により演算される操舵角θsを目標操舵角θs
*に追従させるべく操舵角θsのフィードバック制御を通じて第2の操舵反力指令値Tr2
*を演算する。
【0066】
加算器75は、トルクフィードバック制御部72により演算される第1の操舵反力指令値Tr1
*と、角度フィードバック制御部74により演算される第2の操舵反力指令値Tr2
*とを合算することにより操舵反力指令値Tr
*を演算する。
【0067】
したがって、第2の実施の形態によれば、先の第1の実施の形態と同様に、目標ピニオン角θp
*に対するピニオン角θpの追従性能を確保することができる。
<他の実施の形態>
なお、第1および第2の実施の形態は、つぎのように変更して実施してもよい。
【0068】
・第1の実施の形態では、制御装置50の適用先として、転舵シャフト15にアシスト力を付与するタイプのEPS10を例に挙げたが、ステアリングシャフト13にアシスト力を付与するタイプのEPSであってもよい。
図1に二点鎖線で示すように、モータ21は、たとえば減速機構22を介してステアリングシャフト13に連結される。ピニオンシャフト23は割愛することができる。
【0069】
・第2の実施の形態において、操舵装置90にクラッチを設けてもよい。この場合、先の
図5に二点鎖線で示すように、ステアリングシャフト13とピニオンシャフト14とをクラッチ94を介して連結する。クラッチ94としては、励磁コイルに対する通電の断続を通じて動力の断続を行う電磁クラッチが採用される。制御装置100は、クラッチ94の断続を切り替える断続制御を実行する。クラッチ94が切断されるとき、ステアリングホイール11と転舵輪12,12との間の動力伝達が機械的に切断される。クラッチ94が接続されるとき、ステアリングホイール11と転舵輪12,12との間の動力伝達が機械的に連結される。
【0070】
・第1および第2の実施の形態において、外乱オブザーバ83がピニオン角推定値θpeを演算する際に積分演算を使用する場合、たとえば高周波領域においては離散化誤差に起因して外乱オブザーバ83の外乱推定性能が低下するおそれがある。この場合、離散系の積分演算には双一次変換の関係式を利用してもよい。
【0071】
・第1および第2の実施の形態において、指令値演算部62,102としてつぎの構成を採用してもよい。すなわち、指令値演算部62には、先の
図3に示される目標操舵トルク演算部71およびトルクフィードバック制御部72に代えて、操舵トルクT
hおよび車速Vに基づき第1のアシストトルクT
1
*を演算する演算部を設ける。この演算部は、操舵トルクT
hのフィードバック制御ではなく、たとえば操舵トルクT
hと第1のアシストトルクT
1
*との関係を車速Vに応じて規定する三次元マップを使用して、第1のアシストトルクT
1
*を演算する。
【0072】
・第1および第2の実施の形態において、指令値演算部62,102として先の
図3に示される加算器75を割愛した構成を採用してもよい。この場合、角度フィードバック制御部74により演算される第2のアシストトルクT
2
*がアシスト指令値T
*として使用される。
【0073】
・車両には、車両の安全性あるいは利便性をより向上させるための様々な運転支援機能あるいはシステムが運転を代替する自動運転機能を実現する自動運転システムが搭載されることがある。この場合、
図1および
図7に二点鎖線で示すように、車両には、各種の車載システムの制御装置を統括制御する上位制御装置500が搭載される。上位制御装置500は、その時々の車両の状態に基づき最適な制御方法を求め、その求められる制御方法に応じて各種の車載制御装置に対して個別の制御を指令する。
【0074】
上位制御装置500は、制御装置50,100による操舵制御に介入する。上位制御装置500は、たとえば車両に目標車線上を走行させるための指令値θ
*として付加角度指令値を演算する。付加角度指令値は、その時々の車両の走行状態に応じて車両を車線に沿って走行させるために必要とされるピニオン角θ
pあるいは操舵角θ
sの目標値(現在のピニオン角θ
pあるいは操舵角θ
sに付加すべき角度)である。
図3に二点鎖線で示すように、指令値θ
*は、目標角度演算部73により演算される目標ピニオン角θ
p
*あるいは目標操舵角θ
s
*に加算される。
【0075】
・第1および第2の実施の形態において、指令値演算部62,102は、上位制御装置500による自動運転制御の実行時、上位制御装置500によって演算される自動運転用の目標ピニオン角θp
*と、目標角度演算部73により演算される目標ピニオン角θp
*とを切り替えて使用するようにしてもよい。自動運転用の目標ピニオン角θp
*は、現在のピニオン角θpに付加すべき角度ではなく、車両の走行状態に応じた理想的な角度である。
【0076】
<他の技術的思想>
つぎに、第1および第2の実施の形態から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ)前記モータは、操舵を補助するための力であるアシスト力または転舵輪を転舵させるための力である転舵力の発生源であること。
【符号の説明】
【0077】
21…モータ
50,100…制御装置
81…フィードバック制御部(第1の処理部)
82…フィードフォワード制御部(第2の処理部)
82C…ローパスフィルタ
82D…演算部
83…外乱オブザーバ(第3の処理部)
84…加算器(第4の処理部)