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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-21
(45)【発行日】2023-08-29
(54)【発明の名称】基板収容構造
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/14 20060101AFI20230822BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20230822BHJP
   H01Q 1/12 20060101ALI20230822BHJP
【FI】
H05K7/14 H
H05K5/02 L
H05K5/02 T
H01Q1/12 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020162747
(22)【出願日】2020-09-28
(65)【公開番号】P2022055257
(43)【公開日】2022-04-07
【審査請求日】2022-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100149249
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 慶一
【審査官】秋山 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-049497(JP,A)
【文献】特開2009-094142(JP,A)
【文献】特開平07-249879(JP,A)
【文献】特表2012-505594(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0135169(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/14
H05K 5/02
H01Q 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の位置を厚さ方向の両側から規制する厚さ方向規制部と、前記基板の位置を幅方向の両側から規制する幅方向規制部と、前記基板の位置を長さ方向の両側から規制する長さ方向規制部と、を備えるとともに前記基板を収容する筐体と、を有し、
前記筐体が、第1部分と、前記第1部分に連結される第2部分と、を有し、
前記第1部分が、前記厚さ方向規制部と、前記長さ方向規制部の一部と、を有し、
前記第2部分が、前記幅方向規制部と、前記長さ方向規制部の他の一部と、を有し、
前記第1部分は、前記長さ方向に延びる筒状壁を有し、
前記厚さ方向規制部は、前記筒状壁の端面から前記長さ方向に延びるスリットで構成され、
前記筒状壁の外周面は、前記スリットを横断して周方向に延びる周溝を有し、
前記基板収容構造は、前記周溝内に配置されることで前記基板を前記スリットに挿入された状態に保持する環状保持部材を有する、基板収容構造。
【請求項2】
前記厚さ方向規制部は、前記基板に前記厚さ方向の一方側から当接可能な第1当接面と、前記基板に前記厚さ方向の他方側から当接可能な第2当接面と、を有し、
前記幅方向規制部は、前記基板に前記幅方向の一方側から当接可能な第1当接面と、前記基板に前記幅方向の他方側から当接可能な第2当接面と、を有し、
前記長さ方向規制部の前記一部は、前記基板に前記長さ方向の一方側から当接可能な第1当接面を有し、
前記長さ方向規制部の前記他の一部は、前記基板に前記長さ方向の他方側から当接可能な第2当接面と、を有する、請求項1に記載の基板収容構造。
【請求項3】
前記長さ方向規制部の前記一部は、クッション部材で構成される、請求項1又は2に記載の基板収容構造。
【請求項4】
前記第2部分は、前記長さ方向に平行な軸線を中心とするねじ部を介して前記第1部分に連結される、請求項1~の何れか1項に記載の基板収容構造。
【請求項5】
前記第2部分は、先端に向けて拡径するとともに前記幅方向規制部を構成する内周面を備える筒状の幅方向規制壁を有する、請求項1~の何れか1項に記載の基板収容構造。
【請求項6】
前記第2部分は、一端が閉塞する有頂筒状をなすとともに他端が前記第1部分に連結され、且つ、前記一端から前記他端まで一体に連なる材料で形成される、請求項1~の何れか1項に記載の基板収容構造。
【請求項7】
前記基板を収容する内部空間への水の侵入を防止する防水構造を有する、請求項1~の何れか1項に記載の基板収容構造。
【請求項8】
前記基板は、無線通信用のアンテナを有する、請求項1~の何れか1項に記載の基板収容構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板収容構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、プラントなどで使用されるフィールド機器などの電子機器に無線通信機能を付加するために取り付けられる無線通信モジュールなどに設けられる基板収容構造が知られている(例えば非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】山本周二、稲垣哲朗、戸田秀之、北野欽一、望月聡、「無線の普及を促進するフィールド無線用通信モジュール(英題:Field Wireless Communication Module to Promote Field Wireless)」、横河電機株式会社、横河技報Vol.57No.1、2014年、p.3-6
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の基板収容構造は、主に筐体内に流し込んで硬化させるポッティング材によって基板を保持しているため、より簡易な組み立てが可能な基板収容構造が求められていた。
【0005】
本開示の目的は、簡易な組み立てを可能にすることができる基板収容構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
幾つかの実施形態に係る基板収容構造は、基板と、前記基板の位置を厚さ方向の両側から規制する厚さ方向規制部と、前記基板の位置を幅方向の両側から規制する幅方向規制部と、前記基板の位置を長さ方向の両側から規制する長さ方向規制部と、を備えるとともに前記基板を収容する筐体と、を有し、前記筐体が、第1部分と、前記第1部分に連結される第2部分と、を有し、前記第1部分が、前記厚さ方向規制部と、前記長さ方向規制部の一部と、を有し、前記第2部分が、前記幅方向規制部と、前記長さ方向規制部の他の一部と、を有する。このような構成によれば、筐体の第1部分と筐体の第2部分とを互いに連結させることで、基板の位置を厚さ方向の両側、幅方向の両側及び長さ方向の両側から規制し、それにより基板をしっかりと保持した状態で筐体内に収容することができる。したがって、簡易な組み立てを可能にすることができる。
【0007】
一実施形態において、前記厚さ方向規制部は、前記基板に前記厚さ方向の一方側から当接可能な第1当接面と、前記基板に前記厚さ方向の他方側から当接可能な第2当接面と、を有し、前記幅方向規制部は、前記基板に前記幅方向の一方側から当接可能な第1当接面と、前記基板に前記幅方向の他方側から当接可能な第2当接面と、を有し、前記長さ方向規制部の前記一部は、前記基板に前記長さ方向の一方側から当接可能な第1当接面を有し、前記長さ方向規制部の前記他の一部は、前記基板に前記長さ方向の他方側から当接可能な第2当接面と、を有する。このような構成によれば、筐体の構造を簡素化し、より一層簡易な組み立てを可能にすることができる。
【0008】
一実施形態において、前記第1部分は、前記長さ方向に延びる筒状壁を有し、前記厚さ方向規制部は、前記筒状壁の端面から前記長さ方向に延びるスリットで構成される。このような構成によれば、筐体の構造を簡素化し、より一層簡易な組み立てを可能にすることができる。
【0009】
一実施形態において、前記筒状壁の外周面は、前記スリットを横断して周方向に延びる周溝を有し、前記基板収容構造は、前記周溝内に配置されることで前記基板を前記スリットに挿入された状態に保持する環状保持部材を有する。このような構成によれば、基板をより一層しっかりと保持することができる。
【0010】
一実施形態において、前記長さ方向規制部の前記一部は、クッション部材で構成される。このような構成によれば、基板の長さのばらつきが大きい場合でも簡易な組み立てを可能にすることができる。
【0011】
一実施形態において、前記第2部分は、前記長さ方向に平行な軸線を中心とするねじ部を介して前記第1部分に連結される。このような構成によれば、ねじ部によって、より一層簡易な組み立てを可能にすることができる。
【0012】
一実施形態において、前記第2部分は、先端に向けて拡径するとともに前記幅方向規制部を構成する内周面を備える筒状の幅方向規制壁を有する。このような構成によれば、筐体の構造を簡素化し、より一層簡易な組み立てを可能にすることができる。
【0013】
一実施形態において、前記第2部分は、一端が閉塞する有頂筒状をなすとともに他端が前記第1部分に連結され、且つ、前記一端から前記他端まで一体に連なる材料で形成される。このような構成によれば、筐体の第2部分の構造を簡素化し、より一層簡易な組み立てを可能にすることができる。
【0014】
一実施形態において、前記基板を収容する内部空間への水の侵入を防止する防水構造を有する。このような構成によれば、防水構造とされた基板収容構造の簡易な組み立てを可能にすることができる。
【0015】
一実施形態において、前記基板は、無線通信用のアンテナを有する。このような構成によれば、無線通信用の基板収容構造の簡易な組み立てを可能にすることができる。
【0016】
一実施形態において、前記筐体の前記第1部分は、金属製の筐体本体部と、前記筐体本体部に保持されるクッション部材と、を有する。このような構成によれば、筐体の第2部分の構造を簡素化し、より一層簡易な組み立てを可能にすることができる。
【0017】
一実施形態において、前記第2部分は非導電性を有する。このような構成によれば、基板のアンテナによる良好な無線通信を可能にすることができる。
【0018】
一実施形態において、前記第2部分は樹脂製である。このような構成によれば、筐体の第1部分の構造を簡素化し、より一層簡易な組み立てを可能にすることができる。
【0019】
一実施形態において、前記第1部分に保持される第1コネクタを有し、前記基板は、基板本体と、前記基板本体に実装されるとともに前記第1コネクタに接続される第2コネクタと、を有する。このような構成によれば、基板のための配線構造を簡素化し、より一層簡易な組み立てを可能にすることができる。
【0020】
一実施形態において、前記基板収容構造は、電子機器に無線通信機能を付加するために前記電子機器に取り付けられる無線通信モジュールに設けられる。このような構成によれば、無線通信モジュールの簡易な組み立てを可能にすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本開示によれば、簡易な組み立てを可能にすることができる基板収容構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】一実施形態に係る基板収容構造の縦断面図である。
図2図1に示す基板収容構造の斜視図である。
図3図1の部分拡大図である。
図4図1に示す基板収容構造において、筐体の第1部分に基板を組み付けた時の状態を示す平面図である。
図5図4に示す状態から筐体の第2部分を組み付ける時の状態を示す斜視断面図である。
図6図5に示す状態から筐体の第2部分の組み付けを完了させた時の状態を示す斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本開示に係る実施形態について詳細に例示説明する。
【0024】
図1図3に示す本実施形態に係る基板収容構造1は、電子機器に無線通信機能を付加するために電子機器に取り付けられる無線通信モジュールMに設けられる。なお、基板収容構造1は、電子機器に直接設けてもよい。
【0025】
電子機器は、例えばフィールド機器である。フィールド機器は、プラントにおいて用いられる機器である。フィールド機器としては、例えば、温度計、圧力計、流量計、振動計等の測定機器、バルブやモータ等を駆動する駆動機器、プラント内の状況や対象物を撮影するカメラやビデオ等の撮像機器、プラント内の異音等を収集したり警報音等を発したりするマイクやスピーカ等の音響機器、各機器の位置情報を出力する位置検出機器等が挙げられる。プラントとしては、例えば、化学等の工業プラント、ガス田や油田等の井戸元やその周辺を管理制御するプラント、水力・火力・原子力等の発電を管理制御するプラント、太陽光や風力等の環境発電を管理制御するプラント、上下水やダム等を管理制御するプラント等が挙げられる。
【0026】
基板収容構造1は、基板2、筐体3及び基板用配線4を有する。筐体3は、第1部分3aと、第1部分3aに連結される第2部分3bと、を有する。
【0027】
第1部分3aは、金属製の筐体本体部5と、弾性を有する円環状のクッション部材6と、円環状の第1封止部材7と、円環状の第2封止部材8と、を有する。クッション部材6、第1封止部材7及び第2封止部材8は筐体本体部5に保持される。第1部分3aは、コネクタ部材9と、コネクタ部材9に第1ねじ部10を介して連結されるジョイント部材11と、を有する。コネクタ部材9は、第1封止部材7を有する。ジョイント部材11は、クッション部材6と第2封止部材8を有する。筐体本体部5は、コネクタ部材9における第1封止部材7を除いた金属製の部分と、ジョイント部材11におけるクッション部材6と第2封止部材8とを除いた金属製の部分と、で構成される。
【0028】
第2部分3bは、一端が閉塞する有頂筒状をなすとともに他端が第2ねじ部12を介してジョイント部材11に連結され、且つ、一端から他端まで一体に連なる樹脂材料で形成される。クッション部材6は、例えば、ゴム、エラストマー又はスポンジなどで形成される。基板用配線4は、ジョイント部材11に保持される第1コネクタ4aと、第1コネクタ4aに連なるケーブル4bと、を有する。コネクタ部材9は、無線通信機能を付加するために電子機器に接続される。
【0029】
コネクタ部材9における筐体本体部5を構成する部分は、2つの部品から構成される。ジョイント部材11における筐体本体部5を構成する部分は、1つの部品から構成される。第2部分3bは、1つの部品から構成される。
【0030】
基板2は、基板本体2aと、基板本体2aに実装されるとともに第1コネクタ4aに接続される第2コネクタ2bと、を有する。また、基板2は、図示しない無線通信用のアンテナを有する。基板2は、互いに垂直な厚さ方向Dt、幅方向Dw及び長さ方向Dlを規定する厚さ、幅及び長さを有する。
【0031】
第2部分3bは、長さ方向に平行な軸線Oを中心とする円筒状の周壁13と、周壁13の一端を閉塞する端壁14と、を有する。第1ねじ部10と第2ねじ部12は、それぞれ、軸線Oを中心とする回転操作によって螺合が行われるように形成されている。
【0032】
なお、本実施形態においては、説明の便宜のため、軸線Oに沿う方向を上下方向とも呼び、軸線Oに沿って第1部分3aから第2部分3bに向かう方向(図1での上方)を上方とも呼び、その反対方向を下方とも呼び、軸線Oを周回する方向を周方向とも呼び、軸線Oに直交する直線に沿う方向を径方向とも呼ぶ。
【0033】
第1封止部材7は、第1ねじ部10の内側に隣接して配置され、基板2が収容される内部空間Sへの第1ねじ部10を通じた水の侵入を防止する。第2封止部材8は、第2ねじ部12の外側に隣接して配置され、内部空間Sへの第2ねじ部12を通じた水の侵入を防止する。このように、基板収容構造1は、内部空間Sへの水の侵入を防止する防水構造を有する。第1封止部材7と第2封止部材8はそれれぞれ、例えば、ゴム又はエラストマーで形成される。
【0034】
第1ねじ部10は、コネクタ部材9の外周面に設けられる雄ねじと、ジョイント部材11の内周面に設けられる雌ねじと、で構成される。ジョイント部材11はコネクタ部材9の上方に配置された状態でコネクタ部材9に第1ねじ部10を介して連結される。
【0035】
第2ねじ部12は、ジョイント部材11の外周面に設けられる雄ねじと、第2部分3bの他端の内周面に設けられる雌ねじと、で構成される。第2部分3bはジョイント部材11の上方に配置された状態でジョイント部材11に第2ねじ部12を介して連結される。
【0036】
コネクタ部材9は軸線Oを中心とする略有頂筒状をなす。ジョイント部材11は軸線Oを中心とする筒状をなす。ジョイント部材11は、下端に第1ねじ部10の雌ねじを備えるとともに上端に第2ねじ部12の雄ねじを備える下周壁15と、下周壁15の上端から上方に延びるとともに下周壁15よりも小さい外径を備える筒状壁16と、を有する。
【0037】
筒状壁16の外周面と第2部分3bの内周面との間には隙間Gが形成され、この隙間G内にクッション部材6が配置される。クッション部材6の下面は下周壁15の上面に支持される。筒状壁16の外周面の下端には第1周溝16aが設けられ、クッション部材6の内周面は、第1周溝16aにおいて筒状壁16の外周面に支持される。したがって、クッション部材6は、ジョイント部材11に嵌合によって保持される。クッション部材6は周方向に亘って一定の矩形の断面形状を有する。
【0038】
図3図4及び図6に示すように、筒状壁16は筒状壁16の上端面から長さ方向Dlに延びる一対のスリット17を有する。各々のスリット17には、基板2の下端が挿入され、基板2の下端面がクッション部材6の上面で支持される。またこの基板2の挿入により、基板2に保持された第2コネクタ2bが第1部分3aに保持された第1コネクタ4aに接続される。基板2の下端の位置は、各々のスリット17により、厚さ方向Dtの両側に規制される。
【0039】
筒状壁16の外周面は、一対のスリット17を横断して周方向に延びる第2周溝18を有し、基板収容構造1は、第2周溝18内に配置されることで基板2を一対のスリット17に挿入された状態に保持する環状保持部材19を有する。環状保持部材19は弾性を有し、例えば、ゴム又はエラストマーで形成される。基板2の下端には、幅方向Dwの両端面にそれぞれ切欠き2cが設けられ、環状保持部材19は、各々の切欠き2c内に配置される。
【0040】
したがって、第1部分3aの一対のスリット17に基板2を挿入し、その後に環状保持部材19を組み付けることで、基板2を第1部分3aに保持することができる。なお、環状保持部材19を先に組み付けておき、基板2を一対のスリット17に挿入する時に環状保持部材19を弾性変形させて基板2を組み付けてもよい。
【0041】
図5に示すように、第2部分3bは、先端(下端)に向けて拡径する円錐面状の内周面20aを備える筒状の幅方向規制壁20を有する。幅方向規制壁20は、端壁14から下方に延びる。また、第2部分3bは、幅方向規制壁20の内側で端壁14から下方に延びる突出部21を有する。突出部21は、軸線Oを中心とする柱状をなす。
【0042】
したがって、基板2を組み付けた状態の第1部分3aに第2部分3bを第2ねじ部12を介して組み付けることにより、突出部21の下端を基板2に上方から押し付けるとともに幅方向規制壁20の内周面20aを基板2に幅方向Dwの両側から押し付けることができる。これにより、幅方向Dwの基板2の上端の位置を規制することができる。またこの時、基板2はクッション部材6を弾性変形させて下方に沈み込むことができるので、長さ方向Dlの基板2の寸法のばらつきが大きい場合でも、そのばらつきをクッション部材6の弾性変形によって吸収し、長さ方向Dlの基板2の位置を規制することができる。そのために、図3図6に示すように、各々のスリット17は、クッション部材6の弾性変形前の状態での上面の位置よりも下方まで延びている。
【0043】
このような組み立てにより、図1に示すように、基板2を筐体3の内部空間Sに収容することができる。なお、内部空間Sは、第2部分3bの内面と、ジョイント部材11の内周面と、コネクタ部材9の上面と、を含む部分によって形成されている。
【0044】
上述したように、筐体3は、基板2の位置を厚さ方向Dtの両側、幅方向Dwの両側及び長さ方向Dlの両側に規制する。つまり、図3図5及び図6に示すように、筐体3は、基板2の位置を厚さ方向Dtの両側に規制する厚さ方向規制部22と、基板2の位置を幅方向Dwの両側に規制する幅方向規制部23と、基板2の位置を長さ方向Dlの両側に規制する長さ方向規制部24と、を有する。また、第1部分3aは、厚さ方向規制部22と、長さ方向規制部24の一部と、を有し、第2部分3bは、幅方向規制部23と、長さ方向規制部24の他の一部と、を有する。
【0045】
より具体的に、厚さ方向規制部22は、基板2に厚さ方向Dtの一方側から当接可能な第1当接面22aと、基板2に厚さ方向Dtの他方側から当接可能な第2当接面22bと、を有し、幅方向規制部23は、基板2に幅方向Dwの一方側から当接可能な第1当接面23aと、基板2に幅方向Dwの他方側から当接可能な第2当接面23bと、を有し、長さ方向規制部24の一部は、基板2に長さ方向Dlの一方側から当接可能な第1当接面24aを有し、長さ方向規制部24の他の一部は、基板2に長さ方向Dlの他方側から当接可能な第2当接面24bと、を有する。
【0046】
また、厚さ方向規制部22は一対のスリット17で構成される。長さ方向規制部24の一部(第1当接面24a)は、クッション部材6で構成される。長さ方向規制部24の他の一部(第2当接面24b)は、突出部21で構成される。幅方向規制部23は、幅方向規制壁20の内周面20aで構成される。
【0047】
本実施形態に係る基板収容構造1によれば、筐体3のみによって基板2の位置を厚さ方向Dtの両側、幅方向Dwの両側及び長さ方向Dlの両側に規制して基板2をしっかりと保持することができるので、ポッティング材を内部空間Sに流し込んで硬化させる必要がなく、簡易な組み立てを可能にすることができる。なお、本実施形態によればポッティング材を用いる必要はないが、更なる補強などの目的でポッティング材を追加的に用いても構わない。
【0048】
前述した実施形態は本開示の一例であり、種々変更可能であることはいうまでもない。
【0049】
例えば、前述した実施形態に係る基板収容構造1は、以下に述べるような種々の変更が可能である。
【0050】
前述した実施形態に係る基板収容構造1は、基板2と、基板2の位置を厚さ方向Dtの両側から規制する厚さ方向規制部22と、基板2の位置を幅方向Dwの両側から規制する幅方向規制部23と、基板2の位置を長さ方向Dlの両側から規制する長さ方向規制部24と、を備えるとともに基板2を収容する筐体3と、を有し、筐体3が、第1部分3aと、第1部分3aに連結される第2部分3bと、を有し、第1部分3aが、厚さ方向規制部22と、長さ方向規制部24の一部と、を有し、第2部分3bが、幅方向規制部23と、長さ方向規制部24の他の一部と、を有する限り、種々の変更が可能である。
【0051】
しかし、厚さ方向規制部22は、基板2に厚さ方向Dtの一方側から当接可能な第1当接面22aと、基板2に厚さ方向Dtの他方側から当接可能な第2当接面22bと、を有し、幅方向規制部23は、基板2に幅方向Dwの一方側から当接可能な第1当接面23aと、基板2に幅方向Dwの他方側から当接可能な第2当接面23bと、を有し、長さ方向規制部24の一部は、基板2に長さ方向Dlの一方側から当接可能な第1当接面24aを有し、長さ方向規制部24の他の一部は、基板2に長さ方向Dlの他方側から当接可能な第2当接面24bと、を有することが好ましい。また、第1部分3aは、長さ方向にDl延びる筒状壁16を有し、厚さ方向規制部22は、筒状壁16の端面から長さ方向Dlに延びるスリット17で構成されることが好ましい。筒状壁16の外周面は、スリット17を横断して周方向に延びる周溝(第2周溝18)を有し、基板収容構造1は、周溝(第2周溝18)内に配置されることで基板2をスリット17に挿入された状態に保持する環状保持部材19を有することが好ましい。長さ方向規制部24の一部は、クッション部材6で構成されることが好ましい。第2部分3bは、長さ方向Dlに平行な軸線Oを中心とするねじ部(第2ねじ部12)を介して第1部分3aに連結されることが好ましい。第2部分3bは、先端に向けて拡径するとともに幅方向規制部23を構成する内周面20aを備える筒状の幅方向規制壁20を有することが好ましい。第2部分3bは、一端が閉塞する有頂筒状をなすとともに他端が第1部分3aに連結され、且つ、一端から他端まで一体に連なる材料で形成されることが好ましい。基板2を収容する内部空間Sへの水の侵入を防止する防水構造を有することが好ましい。基板2は、無線通信用のアンテナを有することが好ましい。
【0052】
また、第1部分3aは、金属製の筐体本体部5と、筐体本体部5に保持されるクッション部材6と、を有することが好ましい。第2部分3bは非導電性を有することが好ましい。第2部分3bは樹脂製であることが好ましい。第1部分3aに保持される第1コネクタ4aを有し、基板2は、基板本体2aと、基板本体2aに実装されるとともに第1コネクタ4aに接続される第2コネクタ2bと、を有することが好ましい。基板収容構造1は、電子機器に無線通信機能を付加するために電子機器に取り付けられる無線通信モジュールMに設けられることが好ましい。
【符号の説明】
【0053】
1 基板収容構造
2 基板
2a 基板本体
2b 第2コネクタ
2c 切欠き
3 筐体
3a 第1部分
3b 第2部分
4 基板用配線
4a 第1コネクタ
4b ケーブル
5 筐体本体部
6 クッション部材
7 第1封止部材
8 第2封止部材
9 コネクタ部材
10 第1ねじ部
11 ジョイント部材
12 第2ねじ部
13 周壁
14 端壁
15 下周壁
16 筒状壁
16a 第1周溝
17 スリット
18 第2周溝
19 環状保持部材
20 幅方向規制壁
20a 内周面
21 突出部
22 厚さ方向規制部
22a 第1当接面
22b 第2当接面
23 幅方向規制部
23a 第1当接面
23b 第2当接面
24 長さ方向規制部
24a 第1当接面
24b 第2当接面
G 隙間
Dl 長さ方向
Dt 厚さ方向
Dw 幅方向
M 無線通信モジュール
O 軸線
S 内部空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6