(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-21
(45)【発行日】2023-08-29
(54)【発明の名称】モジュールおよび時計
(51)【国際特許分類】
G04C 3/00 20060101AFI20230822BHJP
G04G 9/00 20060101ALI20230822BHJP
【FI】
G04C3/00 A
G04G9/00 303C
(21)【出願番号】P 2020197015
(22)【出願日】2020-11-27
【審査請求日】2021-09-13
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】遠田 良彦
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】特開昭55-96480(JP,A)
【文献】特開昭55-54485(JP,A)
【文献】実公昭61-8394(JP,Y2)
【文献】実開昭60-122887(JP,U)
【文献】特開2004-199874(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0029829(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 1/00 - 99/00
G04C 1/00 - 99/00
G04G 3/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の指針を運針させる駆動部と、
前記駆動部を保持する保持部材と、
前記駆動部が配置される開口部を有して前記駆動部と並列に配置された表示部と、
前記表示部を収納する第1のハウジングと、
を備え、
前記
複数の指針のうち最も長い第1の指針は、所定のタイミングにおいて、前記表示部の表示領域と重畳し、前記表示部の表示領域を跨いで配置され、前記
第1の指針の先端は、前記表示部の表示領域と重畳した領域の外側に位置していることを特徴とするモジュール。
【請求項2】
請求項1に記載のモジュールにおいて、
前記開口部は、前記表示部の中心部付近に前記中心部を含んで設けられている
ことを特徴とするモジュール。
【請求項3】
請求項2に記載のモジュールにおいて、
前記表示部の前記中心部には、前記駆動部の前記
複数の指針が取り付けられる指針軸が配置されている
ことを特徴とするモジュール。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれかに記載のモジュールにおいて、
前記表示部には、複数の表示領域が前記開口部を除いて設けられている
ことを特徴とするモジュール。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれかに記載のモジュールにおいて、
前記表示部は、前記モジュールとほぼ同じ大きさであって、前記表示部の表示領域は、前記開口部を除いた領域である
ことを特徴とするモジュール。
【請求項6】
請求項1~請求項5のいずれかに記載のモジュールにおいて、
前記表示部は、液晶表示パネルである
ことを特徴とするモジュール。
【請求項7】
請求項1~請求項6のいずれかに記載のモジュールにおいて、
前記第1のハウジングは、前記駆動部を収納し、
前記第1のハウジングの下側に回路基板が配置されて、前記回路基板に搭載された電子部品が前記表示部の下側に配置されている
ことを特徴とするモジュール。
【請求項8】
請求項7に記載のモジュールにおいて、
前記回路基板を介して前記第1のハウジングの下側に配置され、且つ電池を収納する第2のハウジングを備えている
ことを特徴とするモジュール。
【請求項9】
請求項1~請求項8の何れかに記載のモジュールにおいて、
前記第1のハウジングは、前記保持部材を収納し、
前記保持部材と前記表示部との間には緩衝体を備えている
ことを特徴とするモジュール。
【請求項10】
請求項1~請求項9のいずれかに記載されたモジュールを備えている
ことを特徴とする時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、時計や計測器などの機器に用いられるモジュールおよびそれを備えた時計に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、時計のモジュールにおいては、特許文献1に記載されているように、時刻などの情報を電気光学的に表示する表示パネルの下側に、指針を運針させる駆動部である時計ムーブメントを配置した構造のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
この種のモジュールは、時計ムーブメントに設けられた指針軸が表示パネルに設けられた軸孔に挿入されて表示パネルの上方に突出し、この突出した指針軸の上端部に指針が取り付けられ、この指針が表示パネルの上方で運針するように構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような時計のモジュールでは、表示パネルの下側に時計ムーブメントが重なって配置されているので、モジュール全体の厚みが厚くなり、時計全体の薄型化を図ることができないという問題がある。
【0006】
この発明が解決しようとする課題は、薄型化を図ることができるモジュールおよびそれを備えた時計を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、複数の指針を運針させる駆動部と、前記駆動部を保持する保持部材と、前記駆動部が配置される開口部を有して前記駆動部と並列に配置された表示部と、前記表示部を収納する第1のハウジングと、を備え、前記複数の指針のうち最も長い第1の指針は、所定のタイミングにおいて、前記表示部の表示領域と重畳し、前記表示部の表示領域を跨いで配置され、前記第1の指針の先端は、前記表示部の表示領域と重畳した領域の外側に位置していることを特徴とするモジュールである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、薄型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】この発明を適用した腕時計の一実施形態を示した拡大断面図である。
【
図2】
図1に示された腕時計の時計モジュールを示した拡大断面図である。
【
図3】
図2に示された時計モジュールの拡大正面図である。
【
図4】
図3に示された時計モジュールを3時方向から見た拡大側面図である。
【
図5】
図3に示された時計モジュールの拡大裏面図である。
【
図6】
図3に示された時計モジュールにおける液晶表示パネルの液晶セルを示し、(a)はその拡大正面図、(b)はその液晶セルを3時方向から見た拡大側面図である。
【
図7】
図3に示された時計モジュールの上部ハウジングを示し、(a)はその拡大正面図、(b)はその拡大裏面図である。
【
図8】
図7(b)に示された上部ハウジングに液晶セルを組み付けた状態を示し、(a)はその拡大裏面図、(b)はその液晶セルの下面に導光板を配置させた状態を示した拡大裏面図、(c)は導光板の下面に反射板を配置させた状態を示した拡大裏面図である。
【
図9】
図2に示された時計モジュールの保持部材に時計ムーブメントを組み付けた状態を示し、(a)はその拡大正面図、(b)はその拡大裏面図である。
【
図10】
図8(c)に示された上部ハウジング内の液晶表示パネルの開口部内に時計ムーブメントを保持部材と共に配置させた状態の拡大裏面図である。
【
図11】
図2に示された回路基板を示し、(a)はその拡大正面図、(b)はその回路基板を上部ハウジングの下側に配置させた状態を示した拡大裏面図である。
【
図12】
図11に示された回路基板の下側に下部ハウジングを配置させた状態を示した拡大裏面図である。
【
図13】
図2に示された時計モジュールの変形例を示した拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、
図1~
図12を参照して、この発明を適用した腕時計の一実施形態について説明する。
この腕時計は、
図1に示すように、腕時計ケース1を備えている。この腕時計ケース1は、本体ケース1aと外装ケース1bとを備え、本体ケース1aの上部外周に外装ケース1bを設けた構造になっている。
【0011】
この腕時計ケース1の上部開口部には、
図1に示すように、時計ガラス2が設けられている。この腕時計ケース1の下部には、裏蓋3が防水リング3aを介して取り付けられている。また、この腕時計ケース1の外周部には、複数の押釦スイッチ4が設けられている。この腕時計ケース1の内部には、時計モジュール5が中枠6を介して設けられている。この場合、時計モジュール5と時計ガラス2との間には、リング状の見切り部材7が配置されている。
【0012】
時計モジュール5は、
図1および
図2に示すように、第1のハウジングである上部ハウジング8と、第2のハウジングである下部ハウジング9とを備えている。上部ハウジング8の上部には、文字板10が配置されている。この上部ハウジング8の内部には、表示部である表示パネルである液晶表示パネル11と保持部材12に保持された駆動部である時計ムーブメント13とが並列に配置されている。液晶表示パネル11は、
図1~
図3に示すように、上部ハウジング8とほぼ同じ大きさであって、上部ハウジング8の内部いっぱいに設けられている。よって、液晶表示パネル11は、時計モジュール5とほぼ同じ大きさである。
【0013】
下部ハウジング9は、
図1および
図2に示すように、上部ハウジング8の下部に回路基板14を介して配置されている。この下部ハウジング9には、大容量の電池15を収納する電池収納部9aが設けられている。この場合、上部ハウジング8と下部ハウジング9とは、
図1~
図5に示すように、これらの間に回路基板14を挟んだ状態で、地板と称する回路押え板16の複数のフック部16aによって相互に取り付けられている。
【0014】
すなわち、回路押え板16は、
図1~
図5に示すように、ステンレスなどの厚さの薄い金属板であり、下部ハウジング9の下面に配置されている。複数のフック部16aは、回路押え板16の外周部から下部ハウジング9および回路基板14の各外周面を経て上部ハウジング8の外周面に延び、この延びた上端部が上部ハウジング8の外周面に設けられた複数の係止突起8aにそれぞれ係止されるように構成されている。
【0015】
これにより、上部ハウジング8と下部ハウジング9とは、
図1~
図5に示すように、下部ハウジング9の下面に配置された回路押え板16の複数のフック部16aが上部ハウジング8の複数の係止突起8aにそれぞれ係止された際に、回路基板14を挟み付けた状態で相互に取り付けられるように構成されている。
【0016】
ところで、上部ハウジング8内の液晶表示パネル11は、
図1および
図2に示すように、液晶セル17と照明装置18とを備えている。液晶セル17は、
図2および
図6に示すように、上下一対の透明な電極基板17a、17b間に液晶(図示せず)が封入され、上側の電極基板17aの上面に上側偏光板17cが配置され、下側の電極基板17bの下面に下側偏光板17dが配置された構造になっている。
【0017】
これにより、液晶セル17は、
図1および
図2に示すように、一対の透明な電極基板17a、17b間に電圧が選択的に印加されると、電圧が印加された部分の液晶分子の配列が変化し、この液晶分子の配列の変化に応じて光の透過状態が変わることにより、時刻、日付、曜日などの各種の情報を電気光学的に表示するように構成されている。この場合、液晶セル17には、
図3および
図6(a)に示すように、時刻、日付、曜日などの各種の情報を表示する複数の表示領域Eが設けられている。
【0018】
この液晶セル17は、
図1、
図2、および
図6に示すように、上側の電極基板17aにおける12時側と6時側との両端部の下面に電極部17eが設けられ、これらの電極部17eがインターコネクタ19によって
図11(a)に示された回路基板14の電極端子部14aと電気的に接続された状態で、上部ハウジング8の内部に保持されるように構成されている。
【0019】
照明装置18は、
図1、
図2および
図7に示すように、液晶セル17の下面を照明するためのものであり、光源部18aと導光板18bと反射板18cとを備えている。光源部18aは、高輝度の発光ダイオード(LED)であり、上部ハウジング8の外周部における4時側と10時側との2か所に対向して配置されている。
【0020】
導光板18bは、
図1および
図2に示すように、光源部18aの光を導いて液晶セル17の下面に照射させるものであり、液晶セル17の下面に配置されている。反射板18cは、導光板18bから下面側に漏れた光を導光板18bの内部に反射させるものであり、導光板18bの下面に設けられている。
【0021】
時計ムーブメント13は、
図1および
図2に示すように、時針および分針などの指針13aを運針させるものであり、図示しないが、ステップモータの回転を輪列機構によって指針車に伝達させて、指針軸13bを回転させ、この指針軸13bの回転によって指針13aを運針させるように構成されている。保持部材12は、時計ムーブメント13を収納して保持する収納保持部12aを備え、上部ハウジング8内に液晶表示パネル11と共に配置されるように構成されている。
【0022】
ところで、液晶表示パネル11には、
図1~
図3に示すように、時計ムーブメント13が保持部材12の収納保持部12aと共に配置される開口部11aが上下に貫通して設けられている。すなわち、この開口部11aは、液晶セル17、導光板18b、および反射板18cを貫いて設けられている。これにより、液晶セル17、導光板18bおよび反射板18cには、開口部11aが上下に対応して設けられている。
【0023】
この場合、液晶セル17は、
図6(a)および
図6(b)に示すように、開口部11aを有する一対の透明な電極基板17a、17b間に液晶を封入する際に、一対の電極基板17a、17b間における外周部と開口部11aの周縁部とに封止材(図示せず)を設け、この状態で一対の電極基板17a、17b間に液晶を注入し、上側の電極基板17aの上面に開口部11aを有する上側偏光板17cを設け、下側の電極基板17bの下面に開口部11aを有する下側偏光板17dを設けた構造になっている。
【0024】
これにより、液晶セル17には、
図1~
図3に示すように、複数の表示領域Eが開口部11aを除いて設けられている。つまり、開口部11aを除く領域が表示領域Eであって、開口部11aを除く領域は表示可能な領域である。また、時計ムーブメント13は、液晶表示パネル11の開口部11a内に配置されて、液晶表示パネル11と並列に配置されるように構成されている。この場合、保持部材12は、収納保持部12aが時計ムーブメント13と共に液晶表示パネル11の開口部11a内に配置された状態で、液晶表示パネル11の下側に配置されている。
【0025】
また、液晶表示パネル11の開口部11aは、
図1~
図3に示すように、液晶表示パネル11の中心部付近にその中心部を含んで設けられている。これにより、液晶表示パネル11の中心部には、時計ムーブメント13の指針軸13bが配置されている。この指針軸13bは、時計ムーブメント13が液晶表示パネル11の開口部11a内に配置されて、液晶表示パネル11と並列に配置されることにより、軸方向の長さつまり上下方向の長さが短く形成されている。
【0026】
一方、回路基板14の上面(表面)には、
図11(a)に示すように、大規模集積チップ(LSI)などの複数の電子部品14bが、
図2に示す時計ムーブメント13に対応する箇所、つまり液晶表示パネル11の開口部11aに対応する箇所を除いて搭載されている。また、この回路基板14の下面(裏面)には、
図11(b)に示すように、水晶振動子、コイルなどの複数の電子部品14cが、
図2に示す下部ハウジング9の電池収納部9aに対応する箇所を避けて搭載されている。
【0027】
これにより、回路基板14は、
図2、
図9(a)および
図11(a)に示すように、上部ハウジング8と下部ハウジング9との間に配置された際に、上面に設けられた複数の電子部品14bが、保持部材12に設けられた複数の部品収納部12b内に収納されて、液晶表示パネル11の下側に配置されるように構成されている。
【0028】
また、この回路基板14は、
図2および
図11(b)に示すように、上部ハウジング8と下部ハウジング9との間に配置された際に、下面に設けられた複数の電子部品14cが下部ハウジング9に設けられた複数の部品収納(図示せず)に収納されるように構成されている。この場合、複数の電子部品14cは、下部ハウジング9の電池収納部9aを避けて回路基板14の下面における外周部に設けられている。
【0029】
また、下部ハウジング9の電池収納部9aは、
図1、
図2および
図12に示すように、下部ハウジング9の中央部における広い領域に円形状に設けられて下側に開放されている。この電池収納部9aの内部には、電池15の電極に接触する一対の電極片20が設けられている。また、この電池収納部9aの外周部には、電池収納部9a内に収納された電池15を押える電池押え板21が設けられている。
【0030】
次に、このような腕時計を組み立てる場合について説明する。
この場合には、予め、時計モジュール5を組み立てる。このときには、まず、
図7(a)および
図7(b)に示すように、上部ハウジング8の外周部における4時側と10時側との箇所に照明装置18の光源部18aを取り付ける。この状態で、
図8(a)に示すように、上部ハウジング8内に液晶セル17を配置する。
【0031】
このときには、予め、液晶セル17を製作する。すなわち、
図2に示すように、開口部11aが設けられた一対の透明な電極基板17a、17b間における外周部と開口部11aの周縁部とに封止材(図示せず)を設け、この状態で一対の電極基板17a、17b間に液晶(図示せず)を封入し、上側の電極基板17aの上面に上側偏光板17cを取り付け、下側の電極基板17bの下面に下側偏光板17dを取り付ける。これにより、液晶セル17が製作される。
【0032】
この液晶セル17は、
図6(a)および
図6(b)に示すように、中心部付近にその中心部を含んで開口部11aが設けられていると共に、この開口部11aを除く箇所に複数の表示領域Eが設けられている。この液晶セル17が上部ハウジング8内に配置された際には、
図2および
図8(b)に示すように、液晶セル17の下面に開口部11aを有する照明装置18の導光板18bを配置し、
図2および
図8(c)に示すように、導光板18bの下面に開口部11aを有する反射板18cを配置する。
【0033】
このときには、導光板18bの外周部の端面に光源部18aが対応し、この光源部18aで発光した光が導光板18b内に入射して液晶セル17の下面全体に導かれる状態になる。これにより、液晶表示パネル11が組み立てられて上部ハウジング8内に配置される。この状態では、液晶表示パネル11の中心部付近にその中心部を含んで開口部11aが上下に貫通して設けられていると共に、この開口部11aを除く箇所に複数の表示領域Eが設けられている。
【0034】
この状態で、上部ハウジング8内に時計ムーブメント13を保持した保持部材12を組み込む。このときには、予め、
図2および
図9に示すように、保持部材12の収納保持部12aに時計ムーブメント13を収納させて複数のビス12dによって取り付けると共に、保持部材12の上面における四隅に複数の緩衝体12cを配置する。そして、時計ムーブメント13が取り付けられた保持部材12を上部ハウジング8内に組み付ける。
【0035】
このときには、
図2および
図10に示すように、時計ムーブメント13を保持部材12の収納保持部12aと共に液晶表示パネル11の開口部11a内に配置させて、保持部材12を液晶表示パネル11の下面に複数の緩衝体12cを介して配置させる。これにより、時計ムーブメント13が液晶表示パネル11と並列に配置される。この状態で、
図2および
図10に示すように、液晶表示パネル11の液晶セル17の電極部17eにインターコネクタ19を配置させる。
【0036】
そして、
図2および
図11(b)に示すように、上部ハウジング8の下面および保持部材12の下面に回路基板14を配置する。このときには、
図11(a)に示すように、回路基板14の上面に設けられた電極端子部14aにインターコネクタ19を圧接させる。これにより、回路基板と液晶セル17とが電気的に接続される共に、液晶表示パネル11がインターコネクタ19によって上部ハウジング8内に保持される。
【0037】
また、このときには、
図2、
図9(b)および
図11(a)に示すように、回路基板14の上面に搭載された複数の電子部品14bが保持部材12の複数の部品収納部12b内に配置されて液晶表示パネル11の下側に配置される。この状態で、
図11(b)に示すように、回路基板14を保持部材12にビス14dによって取り付ける。
【0038】
そして、
図2および
図12に示すように、回路基板14の下側に下部ハウジング9を配置する。このときには、予め、下部ハウジング9の電池収納部9a内に一対の電極片20を取り付けると共に、電池収納部9aの外周部に電池押え板21を取り付ける。この状態で、下部ハウジング9を回路基板14の下側に配置すると、回路基板14の下面に搭載された水晶振動子、コイルなどの各種の電子部品14cが下部ハウジング9の部品収納部(図示せず)内に配置される。
【0039】
この状態で、下部ハウジング9の下面に回路押え板16を配置させて、回路押え板16の複数のフック部16aを下部ハウジング9の外周面および回路基板14の外周面を経て上部ハウジング8の外周面に配置させ、複数のフック部16aを上部ハウジング8の外周部に設けられた複数の係止突起8aに係止させる。これにより、上部ハウジングと下部ハウジング9とが回路基板14を挟み付けた状態で、相互に取り付けられる。
【0040】
この状態で、上部ハウジング8の上面に文字板10を配置させる。このときには、文字板10の軸孔10aに時計ムーブメント13の指針軸13bを挿入させて文字板10の上方に突出させる。また、このときには、文字板10の表示開口部10bを液晶表示パネル11の複数の表示領域Eに対応させる。これにより、液晶表示パネル11の複数の表示領域Eに表示された情報が文字板10の表示開口部10bを通して見える。
【0041】
この状態で、文字板10の上方に突出した時計ムーブメント13の指針軸13bの上端部に指針13aを取り付ける。このときには、下部ハウジング9と回路基板14とに設けられた貫通孔22に針打ち治具(図示せず)を挿入させて時計ムーブメント13の下面に押し当て、この状態で指針軸13bの上端部に指針13aを上方から打ち込む。これにより、指針軸13bに指針13aが取り付けられる。
【0042】
そして、
図2および
図5に示すように、下部ハウジング9の電池収納部9aに電池15を収納する。このときには、一旦、電池押え板21を取り外す。この状態で、
図5および
図12に示すように、電池15を電池収納部9a内に配置させて、電池収納部9a内の一対の電極片20に電池15の電極を接触させて接続させる。この状態で、電池15を電池押え板21によって電池収納部9a内に押える。これにより、時計モジュール5が組み立てられる。
【0043】
次に、この時計モジュール5を腕時計ケース1内に組み込む場合について説明する。
この場合には、予め、腕時計ケース1を組み立てる。このときには、本体ケース1aの上部外周に外装ケース1bを取り付けて、腕時計ケース1を組み立てる。そして、腕時計ケース1の上部開口部に時計ガラス2を取り付け、この腕時計ケース1内に見切り部材7を挿入させて時計ガラス2の下側に配置させる。
【0044】
この状態で、腕時計ケース1の外周部に複数の押釦スイッチ4の釦部を取り付けて、腕時計ケース1内に時計モジュール5を中枠6と共に組み込む。すると、文字板10が見切り部材7の下面に押し当てられた状態で、時計モジュール5が腕時計ケース1内に配置される。そして、腕時計ケース1の下部に裏蓋3を防水リング3aと共に取り付ける。これにより、腕時計が組み立てられる。
【0045】
次に、このような腕時計の作用について説明する。
この腕時計は、通常の状態で、時計ムーブメント13の指針軸13bによって指針13aが文字板10の上方で運針して、時刻を指示する。また、このときには、液晶表示パネル11の複数の表示領域Eに時刻、日付、曜日などの各種の情報が表示され、これら表示された情報が文字板10の表示開口部10bおよび時計ガラス2を通して腕時計ケース1の外部から見える。
【0046】
このように、この腕時計の時計モジュール5によれば、指針13aを運針させる駆動部である時計ムーブメント13と、この時計ムーブメント13が配置される開口部11aを有して時計ムーブメント13と並列に配置された表示パネルである液晶表示パネル11と、を備えていることにより、時計モジュール5全体の薄型化を図ることができる。
【0047】
すなわち、この時計モジュール5では、液晶表示パネル11の開口部11a内に時計ムーブメント13が配置されて液晶表示パネル11と並列に配置されているので、時計ムーブメント13と液晶表示パネル11とが上下に重なり合うことがない。このため、時計モジュール5全体の薄型化を図ることができ、これにより腕時計全体の薄型化が図れる。
【0048】
この場合、この時計モジュール5では、時計ムーブメント13が保持部材12の収納保持部12a内に配置され、この状態で時計ムーブメント13が保持部材12の収納保持部12aと共に液晶表示パネル11の開口部11a内に配置されるので、時計ムーブメント13を液晶表示パネル11の開口部11a内に確実に且つ良好に配置させることができると共に、時計ムーブメント13の指針軸13bの軸方向の長さを短く形成することができる。
【0049】
また、この時計モジュール5では、液晶表示パネル11の開口部11aが液晶表示パネル11の中心部付近にその中心部を含んで設けられているので、時計ムーブメント13を液晶表示パネル11の中心部付近にその中心部を含んで配置させることができ、これにより時計ムーブメント13を最適な箇所に設置させることができる。
【0050】
また、この時計モジュール5では、液晶表示パネル11の中心部に時計ムーブメント13の指針13aが取り付けられる指針軸13bが配置されていることにより、液晶表示パネル11の中心部を中心に時計ムーブメント13の指針13aを良好に運針させることができる。
【0051】
この場合、指針軸13bは、時計ムーブメント13が液晶表示パネル11の開口部11a内に配置されて、液晶表示パネル11と並列に配置されることにより、時計ムーブメント13を腕時計ケース1内の時計ガラス2に近づけることができるので、指針軸13bの軸方向の長さつまり上下方向の長さを短く形成することができ、これによっても時計モジュール5全体の薄型化を図ることができる。
【0052】
また、この時計モジュール5では、液晶表示パネル11に複数の表示領域Eが開口部11aを除いて設けられていることにより、複数の表示領域Eに時刻、日付、曜日などの各種の情報を良好に表示させることができ、これにより各種の情報をユーザが確実に視認することができる。また、複数の表示領域Eに各種の多くの情報を良好に表示させることができる。
【0053】
また、この時計モジュール5では、表示パネルとして液晶表示パネル11を用いているので、開口部11aを有する液晶表示パネル11を容易に製作することができる。すなわち、液晶表示パネル11は、液晶セル17の下面に照明装置18の導光板18bと反射板18cとを配置した構造であるから、これら液晶セル17と導光板18bと反射板18cとに開口部11aを簡単に上下に貫通させて設けることができる。
【0054】
この場合、液晶セル17は、一対の透明な電極基板17a、17b間に液晶を封入する際に、開口部11aが設けられた一対の電極基板17a、17bの外周部と開口部11aの周縁部とに封止材(図示せず)を設け、この状態で一対の電極基板17a、17b間に液晶(図示せず)を封入し、上側の電極基板17aの上面に開口部11aを有する上側偏光板17cを設け、下側の電極基板17bの下面に開口部11aを有する下側偏光板17dを設けることにより、開口部11aを有する液晶セル17を容易に製作することができる。
【0055】
また、この時計モジュール5では、液晶表示パネル11と時計ムーブメント13とを収納する第1のハウジングである上部ハウジング8を備え、この上部ハウジング8の下側に回路基板14が配置され、この回路基板14に搭載された電子部品14bが液晶表示パネル11の下側に配置されているので、これによっても時計モジュール5全体の薄型化を図ることができる。
【0056】
すなわち、この時計モジュール5では、時計ムーブメント13を保持する保持部材12が液晶表示パネル11の下面に配置され、この保持部材12に回路基板14の上面に搭載された大規模集積チップなどの電子部品14bを収納する部品収納部12bが設けられているので、この保持部材12の部品収納部12bに回路基板14の電子部品14bを収納させて液晶表示パネル11の下側に確実に且つ良好に配置させることができる。
【0057】
さらに、この時計モジュール5では、回路基板14を介して上部ハウジング8の下側に配置され、且つ電池15を収納する第2のハウジングである下部ハウジング9を備えていることにより、下部ハウジング9の中央部に電池収納部9aを広い領域で設けることができ、これにより電池収納部9a内に収納される電池15を大型化することができ、電池15の大容量化を図ることができると共に、時計モジュール5全体の薄型化をも図ることができる。
【0058】
なお、上述した実施形態では、液晶表示パネル11の液晶セル17の照明装置18として、光源部18aと導光板18bと反射板18cとを備えた構造である場合について述べたが、この発明は、これに限らず、例えば照明装置としてEL(エレクトロ・ルミネッセンス)発光パネルやプラズマ発光パネルなどの平面型の発光装置を用いても良い。
【0059】
また、上述した実施形態では、表示パネルとして液晶表示パネル11を用いた場合について述べたが、この発明は、これに限らず、例えばEL(エレクトロ・ルミネッセンス)表示パネルやプラズマ表示パネルなどの平面型の表示パネルを用いても良い。
【0060】
また、上述した実施形態では、
図2に示すように時計ムーブメント13は、液晶表示パネル11の開口部11a内に配置されて、液晶表示パネル11と並列に配置される場合について述べたが、例えば、
図13のように時計ムーブメント131の一部が液晶表示パネル11の下に入り込み、平面視で時計ムーブメント131と液晶表示パネル11が重なる部分があっても良い。つまり、時計ムーブメント131の少なくとも一部が液晶表示パネル11の開口部11a内に配置されて、時計ムーブメント131は、液晶表示パネル11と並列に配置されても良い。この場合も、時計モジュール5全体の薄型化を図ることができる。
【0061】
さらに、上述した実施形態では、指針式の腕時計に適用した場合について述べたが、この発明は必ずしも腕時計である必要はなく、例えばトラベルウオッチ、目覚まし時計、置き時計、掛け時計などの各種の指針式の時計にも適用することができる。また、この発明は、必ずしも時計である必要はなく、メータなどの計測器にも適用することができる。
【0062】
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は、これに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0063】
(付記)
請求項1に記載の発明は、指針を運針させる駆動部と、前記駆動部が配置される開口部を有して前記駆動部と並列に配置された表示部と、を備えていることを特徴とするモジュールである。
【0064】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のモジュールにおいて、前記開口部は、前記表示部の中心部付近に前記中心部を含んで設けられていることを特徴とするモジュールである。
【0065】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のモジュールにおいて、前記表示部の前記中心部には、前記駆動部の前記指針が取り付けられる指針軸が配置されていることを特徴とするモジュールである。
【0066】
請求項4に記載の発明は、請求項1~請求項3のいずれかに記載のモジュールにおいて、前記表示部には、複数の表示領域が前記開口部を除いて設けられていることを特徴とするモジュールである。
【0067】
請求項5に記載の発明は、請求項1~請求項4のいずれかに記載のモジュールにおいて、前記表示部は、前記モジュールとほぼ同じ大きさであって、前記表示部の表示領域は、前記開口部を除いた領域である。
【0068】
請求項6に記載の発明は、請求項1~請求項5のいずれかに記載のモジュールにおいて、前記表示部は、液晶表示パネルであることを特徴とするモジュールである。
【0069】
請求項7に記載の発明は、請求項1~請求項6のいずれかに記載のモジュールにおいて、前記表示部と前記駆動部とを収納する第1のハウジングを備え、前記第1のハウジングの下側に回路基板が配置されて、前記回路基板に搭載された電子部品が前記表示部の下側に配置されていることを特徴とするモジュールである。
【0070】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載のモジュールにおいて、前記回路基板を介して前記第1のハウジングの下側に配置され、且つ電池を収納する第2のハウジングを備えていることを特徴とするモジュールである。
【0071】
請求項9に記載の発明は、請求項1~請求項8のいずれかに記載されたモジュールを備えていることを特徴とする時計である。
【符号の説明】
【0072】
1 腕時計ケース
2 時計ガラス
3 裏蓋
4 押釦スイッチ
5 時計モジュール
8 上部ハウジング
8a 係止突起
9 下部ハウジング
9a 電池収納部
10 文字板
11 液晶表示パネル
11a 開口部
12 保持部材
12a 収納保持部
12b 部品収納部
13、131 時計ムーブメント
13a 指針
13b 指針軸
14 回路基板
14a 電極端子部
14b 14c 電子部品
15 電池
16 回路押え板
16a フック部
17 液晶セル
17a、17b 電極基板
17c 上側偏光板
17d 下側偏光板
18 照明装置
18a 光源部
18b 導光板
18c 反射板
19 インターコネクタ
20 電極片
21 電池押え板