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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-21
(45)【発行日】2023-08-29
(54)【発明の名称】ネイルプリント装置
(51)【国際特許分類】
   A45D 29/18 20060101AFI20230822BHJP
   A45D 29/00 20060101ALI20230822BHJP
【FI】
A45D29/18
A45D29/00
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022120123
(22)【出願日】2022-07-28
(62)【分割の表示】P 2018083533の分割
【原出願日】2018-04-25
(65)【公開番号】P2022140586
(43)【公開日】2022-09-26
【審査請求日】2022-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】二渡 茂
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-176134(JP,A)
【文献】特開2016-120051(JP,A)
【文献】特開2013-192593(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D29/00-31/00
B41J 3/407
B41J29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
爪の表面に印刷を行うネイルプリント装置であって、
印刷対象である爪に対応する印刷指を載置する載置面を有し、前記載置面に載置された前記印刷指から生体情報パターンを取得する生体情報取得部と、
前記生体情報取得部を前記印刷指が前記載置面に載置された状態のまま面方向に移動または回転させることが可能な移動機構と、
前記生体情報取得部によって取得された生体情報パターンに基づいて、前記載置面に載置された状態の前記印刷指が所定の位置または向きとなるように、前記移動機構の動作を制御する機構制御部と、
を備えていることを特徴とするネイルプリント装置。
【請求項2】
前記生体情報取得部は、前記載置面の面積が前記印刷指における爪の面積よりも広く形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のネイルプリント装置。
【請求項3】
前記機構制御部は、前記生体情報パターンに対応付けて予め登録されている基準情報に基づいて前記移動機構の動作を制御する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のネイルプリント装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネイルプリント装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、指の爪等にネイルデザインの印刷を行う印刷装置(ネイルプリント装置)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
このような装置では、印刷対象である爪に対応する指を、爪に対する印刷に適した位置に配置させて印刷を行う。
このため、例えば装置内のカメラで爪の位置を撮影して、これを表示部等に表示させ、ユーザが表示部等で爪の位置を確認しながら指示された位置に指を合わせる位置合わせを行ったり、固定具等を用いて指をある程度強制的に固定して印刷に適した位置に配置させること等が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2003-534083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ユーザが自ら印刷に適した位置に正確に指を配置させることは難しく、正しく配置したつもりでも、位置や角度がずれてしまう場合もある。このような状態のまま印刷を行うと、爪の形状認識を精密に行うことができなかったり、印刷位置がずれてしまう等により、高精細な印刷を行うことができないおそれがある。
また、指をある程度強制的に正しい位置に固定すると、正しい位置で印刷を行うことはできたとしても、ユーザに無理な姿勢を強いる等の負担をかけるおそれがある。
【0005】
本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、ユーザに負担をかけることなく、印刷に適した位置に指を配置して爪にネイルデザインを印刷することのできるネイルプリント装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明のネイルプリント装置は、爪の表面に印刷を行うネイルプリント装置であって、印刷対象である爪に対応する印刷指を載置する載置面を有し、前記載置面に載置された前記印刷指から生体情報パターンを取得する生体情報取得部と、前記生体情報取得部を前記印刷指が前記載置面に載置された状態のまま面方向に移動または回転させることが可能な移動機構と、前記生体情報取得部によって取得された生体情報パターンに基づいて、前記載置面に載置された状態の前記印刷指が所定の位置または向きとなるように、前記移動機構の動作を制御する機構制御部と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザに負担をかけることなく、印刷に適した位置に指を配置して爪にネイルデザインを印刷することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態におけるネイルプリント装置の全体構成を示す斜視図である。
図2図1のネイルプリント装置の内部構成を示す要部斜視図である。
図3】本実施形態におけるセンサ部の一構成例を示す要部構成図である。
図4】(a)は、本実施形態における指紋読取部による指紋画像の読み取り動作を示す概念図であり、(b)は、指紋読取部により読み取られる指紋画像の一例を示した図である。
図5】本実施形態におけるネイルプリント装置の制御構成を示した要部ブロック図である。
図6】印刷指を指置台上の印刷に適した位置に配置させた状態を示す上面板の上面図である。
図7】印刷指を指置台上であって印刷に適した位置からずれた位置に配置させた状態を示す上面板の上面図である。
図8図7に示す状態からX方向右側に指置台を移動させた状態を示す上面板の上面図である。
図9図8に示す状態からY方向奥側に指置台を移動させた状態を示す上面板の上面図である。
図10図9に示す状態から反時計回りに指置台を回転させた状態を示す上面板の上面図である。
図11】本実施形態に係るネイルプリント装置の印刷処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1から図11を参照しつつ、本発明に係るネイルプリント装置の一実施形態について説明する。
なお、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
また、以下の実施形態では、手の指の爪を印刷対象としてこれに印刷するネイルプリント装置を例に説明するが、本発明におけるネイルプリント装置の印刷対象は手の指の爪に限るものではなく、例えば足の指の爪等を印刷対象としてもよい。
【0010】
図1に示すように、本実施形態における印刷装置であるネイルプリント装置1は、ほぼ箱形に形成された装置筐体(以下、単に「筐体」)21を有している。
筐体21の上面(天板)には操作部22が設置されている。
操作部22は、ユーザが各種入力を行う入力部である。
操作部22には、例えば、ネイルプリント装置1の電源をONする電源スイッチボタン、動作を停止させる停止スイッチボタン等、各種の入力を行うための操作ボタンが配置されている。
また、本実施形態では、ユーザが操作部22を操作することで、爪Tに印刷するネイルデザインを選択すること等ができるようになっている。
【0011】
また、筐体21の上面(天板)には表示部23が設置されている。
表示部23は、例えば液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイその他のフラットディスプレイ等で構成されている。
本実施形態において、この表示部23には、例えば、各種の指示やメッセージ等が適宜表示される。
なお、表示部23の表面に各種の入力を行うためのタッチパネルが一体的に構成されていてもよい。この場合には、タッチパネルが操作部22として機能する。
【0012】
さらに、筐体21の前面側(図1において手前側)には、ネイルプリント装置1による印刷時に指を挿入する開口部である指挿入口28が形成されている。
指挿入口28の内部は、印刷時に挿入された指を受け入れる指受入部60となっている。
【0013】
図2は、図1に示すネイルプリント装置1から筐体21を外してネイルプリント装置1の内部構成を示した要部斜視図である。
図2に示すように、筐体21の内部には、印刷指U1の爪Tに印刷を施す印刷部40と、爪Tを含む印刷指U1の画像を取得する撮影部50と、基台63とが設けられている。
【0014】
印刷部40は、印刷部本体である印刷ヘッド41、印刷ヘッド41を支持するユニット支持部材42、印刷ヘッド41をX方向(図1等におけるX方向、ネイルプリント装置1の左右方向)に移動させるためのX方向移動ステージ45、X方向移動モータ46、印刷ヘッド41をY方向(図1等におけるY方向、ネイルプリント装置1の前後方向)に移動させるためのY方向移動ステージ47、Y方向移動モータ48等を備えて構成されている。本実施形態では、X方向移動モータ46とY方向移動モータ48等により、印刷ヘッド41を移動させるヘッド移動機構49(図5参照)が構成されている。
【0015】
本実施形態の印刷ヘッド41は、インクジェット方式で印刷を行うインクジェットヘッドである。
印刷ヘッド41は、例えば、イエロー(Y;YELLOW)、マゼンタ(M;MAGENTA)、シアン(C;CYAN)のインクに対応する図示しないインクカートリッジと各インクカートリッジにおける印刷対象(爪Tの表面)に対向する面(本実施形態では、図1及び図2における下面)に設けられた図示しないインク吐出部とが一体に形成されたインクカートリッジ一体型のヘッドである。インク吐出部は、それぞれの色のインクを噴射する複数のノズルからなるノズルアレイを備えており、印刷ヘッド41は、インクを微滴化し、インク吐出部から印刷対象(爪T)の被印刷面に対して直接にインクを吹き付けて印刷を行う。なお、印刷ヘッド41は、上記3色のインクを吐出させるものに限定されない。その他のインクを貯留するインクカートリッジ及びインク吐出部を備えていてもよい。
【0016】
また、ユニット支持部材42は、X方向移動ステージ45に取り付けられたX方向移動部451に固定されている。X方向移動部451は、X方向移動モータ46の駆動によりX方向移動ステージ45上を図示しないガイドに沿ってX方向に移動するようになっており、これにより、ユニット支持部材42に取り付けられている印刷ヘッド41が、X方向(図2におけるX方向、ネイルプリント装置1の左右方向)に移動するようになっている。
また、X方向移動ステージ45は、Y方向移動ステージ47のY方向移動部471に固定されている。Y方向移動部471は、Y方向移動モータ48の駆動によりY方向移動ステージ47上を図示しないガイドに沿ってY方向に移動するようになっており、これにより、ユニット支持部材42に取り付けられている印刷ヘッド41が、Y方向(図2におけるY方向、ネイルプリント装置1の前後方向)に移動するようになっている。
【0017】
印刷部40における印刷ヘッド41、X方向移動モータ46、Y方向移動モータ48は、後述する制御装置80の印刷制御部816(図5参照)に接続され、該印刷制御部816によって制御される。
【0018】
また、撮影部50は、撮像装置51と、照明装置52とを備えている。
この撮影部50は、後述する指置台65に配置された印刷指U1の爪Tを照明装置52によって照明する。そして、撮像装置51によってその印刷指U1を撮影して、印刷指U1の爪Tの画像である爪画像(爪画像を含む指の画像)を得るものである。
本実施形態では、印刷ヘッド41を支持するユニット支持部材42に撮影基板53が固定されており、撮影部50を構成する撮像装置51及び照明装置52は、この撮影基板53に搭載されている。撮影部50は、ヘッド移動機構49によってユニット支持部材42が移動することにより、XY方向に移動可能となっている。
なお、撮像装置51及び照明装置52は、指置台65に載置された印刷指U1の爪Tと対向可能な位置に配置されていればよく、ここに示した例に限定されない。
例えば、撮影部50は筐体21の天面内側等に固定配置されていてもよい。
【0019】
撮像装置51は、例えば、200万画素程度以上の画素を有する固体撮像素子やレンズ等を備えて構成された小型カメラである。
撮像装置51は、爪Tを撮影して爪画像(印刷指U1を含む爪Tの画像)を取得し、この爪画像に基づいて、後述する爪情報検出部814が、爪Tの輪郭(爪Tの形状)や爪Tの湾曲形状(爪Tの曲率)、爪Tの垂直位置等の爪情報を検出する。
照明装置52は、例えば白色LED等の照明灯である。
照明装置52は、例えば、撮像装置51の手前側と奥側とに撮像装置51を挟むように2つの照明装置52が配置される。照明装置52は、下方に向けて光を照射して、撮像装置51の下方の撮影範囲を照明する。なお、照明装置52を設ける数や、その配置等は特に限定されない。
この撮影部50は、後述する制御装置80の撮影制御部811(図5参照)に接続され、該撮影制御部811によって制御されるようになっている。
なお、撮影部50によって撮影された画像の画像データは、後述する記憶部82に記憶されてもよい。
【0020】
基台63は、印刷ヘッド41のインク吐出部に対向するXY平面を構成する上面板61と、上面板61を所定の高さ位置に支持する一対の支持部62とを有している。
基台63は、指挿入口28の奥側、指受入部60に配置されており、指受入部60内は、上面板61によって上下に仕切られている。
上面板61の上側であってX方向のほぼ中央部には、印刷対象である爪Tに対応する印刷指U1を配置する指置台65が設けられている。
指置台65の上面側は、印刷指U1が載置される指載置面651となっている。
また、上面板61の下側は、印刷指U1以外の指を退避させておく空間となっている。なお、指置台65を設ける位置や形状等は図示例に限定されない。
【0021】
本実施形態では、指置台65を印刷指U1が載置された状態のまま面方向に移動させることが可能な指置台移動機構660が設けられている。この指置台移動機構660によって、指置台65は、上面板61上をX方向,Y方向に移動可能となっている。
また、指置台は65、面方向に回転移動させることができるように構成されている。
すなわち、指置台65における面内方向のほぼ中心には、面内方向に直交する回転軸663が設けられており、この回転軸663は指置台65をX方向(図1等におけるX方向、ネイルプリント装置1の左右方向)に移動させるためのX方向移動ステージ661に回転可能に取り付けられている。
この回転軸663は、台回転用モータ667(図5参照)の駆動によって正逆回転自在に回転動作する。
また、X方向移動ステージ661は、指置台65をY方向(図1等におけるY方向、ネイルプリント装置1の前後方向)に移動させるためのY方向移動ステージ662に摺動可
能に係止されている。
Y方向移動ステージ662にはX方向に沿って図示しないガイドレールが設けられており、X方向移動ステージ661は、X方向移動モータ665の駆動により、Y方向移動ステージ662のガイドレールに沿ってX方向にスライド移動する。
さらに、上面板61上にはY方向に沿って図示しないガイドレールが設けられており、Y方向移動ステージ662は、Y方向移動モータ666の駆動により、上面板61上のガイドレールに沿ってY方向にスライド移動する。
【0022】
本実施形態では、X方向移動モータ665及びY方向移動モータ666により、指置台65をXY方向に移動させるXY移動部が構成されており、台回転用モータ667により指置台65を面方向に回転移動させる回転移動部が構成されている。そして、このXY移動部と回転移動部とにより指置台65をXY方向及び回転方向の3軸で移動させることのできる指置台移動機構660(図5参照)が構成される。
なお、指置台移動機構660の構成は、指置台65をXY方向及び回転方向に移動可能なものであればよく、ここに例示したものに限定されない。
指置台移動機構660としてのX方向移動モータ665、Y方向移動モータ666及び台回転用モータ667は、後述する制御装置80の指置台制御部813(図5参照)に接続され、該指置台制御部813によって制御される。
【0023】
指置台移動機構660によって指置台65をどの程度の範囲で移動可能とするかは装置の大きさ等に応じて適宜設定される。指置台65は、回転軸663を中心として回転動作した場合に装置の壁面や装置内部の各種部材に接触しない程度の範囲内で移動可能となっている。
なお、指置台65の大きさや形状は図示例に限定されない。例えば指置台65を円形状とすれば、矩形状である場合と比較して回転した際に周囲の部材等と接触しにくくなり、より広い範囲で移動させることも可能である。
【0024】
また、図2及び図6図10に示すように、指置台65の上面側(指載置面651)には、指紋読取部67(指紋センサ)が配置されている。
指紋読取部67は、指置台65(指置台65の指載置面651)に載置された印刷指U1から個人識別可能な生体情報パターンとしての指紋画像を取得する生体情報取得部である。
本実施形態では、指置台65の指載置面651内に印刷指U1を配置すれば、指紋読取部67により指紋画像の読み取りが可能となるように、指置台65の上面側(指載置面651)のほぼ全領域に指紋読取部67が設けられている。
なお、指紋読取部67が設けられる位置やその範囲等は図示例に限定されない。
【0025】
図3は、本実施形態に係るセンサ部211の一構成例を示す要部構成図であり、図4(a)は、本実施形態に係る指紋読取部67によって指紋画像の読み取りを行う様子を示す概念図であり、図4(b)は、指紋読取部67によって読み取られた指紋画像の一例である。
図4(a)に示すように、本実施形態において、指紋読取部67(指紋センサ)は、センサ部211とこのセンサ部211の下方に配置されているバックライトBLとを備えている。
【0026】
図3に示すように、本実施形態におけるセンサ部211は、例えば特開2005-242841号公報において開示されているようなダブルゲート型の薄膜トランジスタ構造を有するフォトセンサPS(ダブルゲート型フォトセンサ)を適用したものである。センサ部211は、大別して、多数のフォトセンサ(読取画素)PSを、透明な基板SUB(図4(a)参照)の上に、例えば、n行×m列(n、mは任意の自然数)のマトリクス状に2次元配列したフォトセンサアレイ110と、各フォトセンサPSのトップゲート端子TGを行方向に接続して伸延するトップゲートラインLtと、各フォトセンサPSのボトムゲート端子BGを行方向に接続して伸延するボトムゲートラインLbと、各フォトセンサPSのソース端子S(図4(a)においてソース電極102)を列方向に接続して伸延するソースライン(データライン)Lsと、ドレイン端子D(図4(a)においてドレイン電極103)を所定の低電位電圧(例えば、接地電位)Vssに共通に接続するドレインライン(コモンライン)Ldと、各トップゲートラインLtに接続されたトップゲートドライバ120と、各ボトムゲートラインLbに接続されたボトムゲートドライバ130と、各ソースラインLsに接続されたソースドライバ140と、を備えて構成されている。
本実施形態のセンサ部211において、トップゲートドライバ120、ボトムゲートドライバ130及びソースドライバ140は、各々ドライバICチップ(集積回路チップ)の形態を有し、フォトセンサアレイ110が形成された透明な基板SUB上であって、該フォトセンサアレイ110近傍の周辺領域に配置、実装されている。
【0027】
ここで、指紋読取部67により印刷指U1の指紋を読み取る手法について、図4(a)及び図4(b)を参照しつつ説明する。
指紋の読み取りを行う場合には、ユーザは印刷指U1を指置台の65上に置き、印刷指U1の腹部分がフォトセンサアレイ110の上面の検知面DTC上に密着するように載置する。
そして、まず、トップゲート制御信号に基づいてトップゲートドライバ120によりトップゲート端子TGにローレベル(例えば、トップゲート電圧Vtg=-15V)のバイアス電圧φTiが印加され、これにより、電荷蓄積動作(キャリヤ蓄積動作)が開始される。
すなわち、フォトセンサPSが形成された透明な基板SUBの下方に設けられたバックライトBLから、検知面DTCの上に載置されている印刷指U1に対して照射光Lxが照射されると、その反射光Lyが透明電極層からなるトップゲート電極TGxを通過して半導体層101に入射する。これにより、半導体層101に入射した光量に応じて、半導体層101の入射有効領域(キャリヤ発生領域)で電子-正孔対が生成され、半導体層101とブロック絶縁膜104との界面近傍(チャネル領域周辺)に正孔が蓄積される(電荷の蓄積)。
また、この電荷蓄積動作と並行して、ソースゲート制御信号に基づいてソースドライバ140によりソース端子Sにプリチャージパルス(例えば、プリチャージ電圧Vpg=+5V)が印加され、ソース電極102に電荷を保持させるプリチャージ動作が実行される。
この電荷蓄積動作とプリチャージ動作とを行った後、ボトムゲート制御信号に基づいてボトムゲートドライバ130によりボトムゲートラインLbを介して、ボトムゲート端子BGに読み出しパルス(例えば、ボトムゲート電圧(=読み出しパルス電圧)Vbg=+10Vのハイレベル)φBiが印加される。これにより、電荷蓄積動作においてチャネル領域に蓄積されたキャリヤ(正孔)に応じたソースライン電圧VD(データ電圧Vrd;電圧信号)をソースドライバ140により読み出す読み出し動作が実行される。
ここで、読み出しパルスφBiの印加期間(読み出し期間)におけるソースライン電圧VD(データ電圧Vrd)の変化傾向は、電荷蓄積動作において蓄積されたキャリヤが多い場合(明状態)には、電圧が急峻に低下する傾向を示し、一方、蓄積されたキャリヤが少ない場合(暗状態)には緩やかに低下する傾向を示すので、例えば、読み出し動作の開始から所定の時間経過後のデータ電圧Vrdを検出することにより、フォトセンサPSに入射した光の量、すなわち、被写体の明暗パターンに対応した明度データ(明暗情報)を検出することができる。
そして、このような特定の行(i行目)に対する一連の明度データ検出動作を1サイクルとして、上述したフォトセンサアレイ110の各行(i=1、2、・・・n)に対して、同様の動作処理を繰り返すことにより、図4(b)に示すような印刷指U1の指紋FPの2次元画像(指紋画像)を明度データとして読み取ることができる。
【0028】
なお、本実施形態では、指紋FPのXY平面上の位置のみならず、指置台65上における指紋FPの向きも含めた指紋FPのパターンを正確に検出できるようになっており、指紋読取部67によって読み取られた指紋画像のデータは、後述する指紋照合部812において指紋FPのXY平面上の位置及び向きを、他の指紋画像のデータにおける指紋FPのXY平面上の位置及び向きと照合することが可能な程度に精緻なデータとなっている。
指紋読取部67によって読み取られた指紋画像のデータは、後述する記憶部82の指紋情報記憶領域822に記憶される。
特に、本実施形態では、印刷部40による印刷に適した位置に爪Tが配置された状態の印刷指U1の指紋画像(生体情報パターン)を指紋読取部67によって予め取得し、当該指紋画像を基準パターンとして指紋情報記憶領域822に記憶させるようになっている。
基準パターンとしての指紋画像を取得する際には、例えば撮影部50によって印刷指U1や爪Tを撮影して、その撮影画像を表示部23等に表示させ、印刷指U1や爪Tが印刷に適した所定の位置や向きで配置されるように、ユーザをガイドするようになっていてもよい。また、指載置面651に印刷指U1を配置すべき位置を枠や各種マーク等により示すようになっていてもよい。
【0029】
制御装置80は、例えば筐体21天面の下面側等に配置された図示しない基板等に設置されている。
図5は、本実施形態における制御構成を示す要部ブロック図である。
制御装置80は、図5に示すように、図示しないCPU(Central Processing Unit)により構成される制御部81と、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等(いずれも図示せず)で構成される記憶部82とを備えるコンピュータである。
【0030】
記憶部82には、ネイルプリント装置1を動作させるための各種プログラムや各種データ等が格納されている。
具体的には、記憶部82のROMには、印刷指U1の指紋の位置や向き等を検出するための指紋照合プログラム、指置台65を印刷に適した位置まで移動させる指置台制御プログラム、爪画像から爪Tの形状や爪Tの輪郭、爪Tの幅、爪Tの面積等の各種の爪情報を検出するための爪情報検出プログラム、印刷用データを生成するための印刷データ生成プログラム、印刷処理を行うための印刷プログラム等の各種プログラムが格納されており、これらのプログラムが制御装置80によって実行されることによって、ネイルプリント装置1の各部が統括制御されるようになっている。
また、本実施形態において記憶部82には、爪Tに印刷されるネイルデザインの画像データを記憶するネイルデザイン記憶領域821、指紋読取部67によって印刷指U1の指紋画像が読み取られたときに当該指紋画像のデータが記憶される指紋情報記憶領域822、及び爪情報検出部814によって検出された爪情報(爪Tの輪郭や爪Tの傾斜角度等)が記憶される爪情報記憶領域823等が設けられている。
なお、記憶部82に記憶される情報はこれらに限定されず、例えば、撮影部50によって取得されたユーザの印刷指U1の爪Tの爪画像等が記憶されるようにしてもよい。
【0031】
ここで、指紋情報記憶領域822に記憶される指紋画像(生体情報パターン)のデータについて詳説する。
本実施形態では、印刷部40による印刷に適した位置に爪Tが配置された際の印刷指U1の指紋画像(生体情報パターン)が指紋読取部67によって予め取得されるようになっており、指紋情報記憶領域822は、当該指紋画像を基準パターンとして記憶する記憶部である。
図6は、基準パターンを取得する際における指置台と印刷指との位置関係を示す模式的な平面図である。なお、図6図7から図10も共通)は、指置台65及び印刷指U1を
爪Tのある側(すなわち装置における上側)から見た図となっており、印刷指U1の腹側にある指紋FPは本来露出しないが、説明の便宜上指紋FPもともに図中に示している。
本実施形態では、破線で示す十字の中心に爪Tの幅方向及び長さ方向の中心位置がある状態が、印刷部40による印刷に適した位置に爪Tが配置された状態であるとする。そして、図6における指紋FP(生体情報パターン)は、この状態における指紋FPの位置及び向きを表している。
本実施形態では、図6に示す状態において取得された指紋FPの画像が基準パターンとしての指紋画像データとして指紋情報記憶領域822に予め記憶されている。
基準パターンとしての指紋画像データは、印刷が予定される全ての指について予めそれぞれ取得される。
【0032】
なお、この基準パターンとしての指紋画像データには、指種(すなわち、例えば「右手の中指」等、手の左右の別と各指の種類)が対応付けられて記憶されていてもよい。
また、ネイルプリント装置1を複数のユーザが使用する場合には、基準パターンとしての指紋画像データに、指種の他、ユーザを識別可能な情報も対応付けられて記憶されてもよい。
このような情報を基準パターンに対応付けて記憶させておくことにより、指置台65に印刷指U1をセットし指紋画像を読み取らせることで、誰のどの指がセットされたのかを装置側において自動的に認識することも可能となる。
【0033】
制御部81は、機能的に見た場合、撮影制御部811、指紋照合部812、指置台制御部813、爪情報検出部814、印刷データ生成部815、印刷制御部816、表示制御部817等を備えている。これら撮影制御部811、指紋照合部812、指置台制御部813、爪情報検出部814、印刷データ生成部815、印刷制御部816、表示制御部817等としての機能は、制御部81のCPUと記憶部82のROMに記憶されたプログラムとの協働によって実現される。
【0034】
撮影制御部811は、撮影部50の撮像装置51及び照明装置52を制御して撮像装置51により、指置台65上に載置された印刷指U1を撮影して印刷指U1の爪Tの画像を含む指の画像(以下「爪画像」という。)を取得させるものである。
撮影部50により取得された爪画像の画像データは、記憶部82に記憶されてもよい。
【0035】
指紋照合部812は、指紋読取部67によって生体情報パターンである指紋画像が取得されると、この指紋画像と、指紋情報記憶領域822に予め記憶されている基準パターンとを照合する。
具体的には、指紋照合部812は、指紋読取部67によってユーザの現状(印刷時)における指紋画像が取得されると、同一のユーザについて予め取得され、基準パターンとして指紋情報記憶領域822に記憶されている指紋画像データを読み出して、指紋のパターンを比較・照合させる。そして、ユーザの現状(印刷時)における指紋画像が基準パターンからどれだけずれているかを検出するようになっている。
【0036】
例えば、印刷時において、ユーザが図7に示すような位置及び向きに印刷指U1を配置して、その指紋FPの画像が指紋読取部67によって取得された場合、指紋照合部812は、指紋情報記憶領域822から指紋FPのパターン(すなわち指紋FPの模様)が上記現状(印刷時)における指紋画像と一致する基準パターンを検索してこれを読み出す。これにより例えば図6に示すような指紋FPの基準パターンが読み出され、指紋照合部812は、当該基準パターンと指紋読取部67によって取得されたユーザの現状(印刷時)における指紋画像(例えば図7参照)とを照合させる。
なお、指紋照合部812による照合の手法は特に限定されない。例えば、パターンマッチング等により印刷時における指紋画像を基準パターンと重ね合わせ、基準パターンと重
なり合う位置までの移動量(ずれ量)を検出するとしてもよい。パターンマッチングを行う場合の手法は特に限定されないが、例えば複数の特徴点について対応する点を探索することにより、照合を行う。
図7に示す位置及び向きの指紋画像が取得された場合、指紋照合部812は、印刷指U1が印刷に適した位置よりもX方向における左側にずれ、Y方向における装置手前側(図7等において下側)にずれていると検出する。また、指紋照合部812は、印刷指U1が印刷に適した位置から時計回り方向に傾いていると検出する。
指紋照合部812によって検出されたXY方向におけるずれ量と印刷指U1の傾き量は、指置台制御部813に送られる。
【0037】
指置台制御部813は、指紋照合部812の照合結果に基づいて、ユーザの現状(印刷時)における指紋画像(生体情報パターン)と基準パターンとが一致する位置まで指置台65を移動させるように指置台移動機構660の動作を制御する。
例えば、基準パターンが図6に示すものであり、ユーザの現状(印刷時)における指紋画像が図7に示すようなものである場合、指置台制御部813は、X方向移動モータ665を動作させ、図8に示すように、指紋照合部812によって検出されたずれ量の分だけX方向における右側に指置台65を移動させる。また、指置台制御部813は、Y方向移動モータ666を動作させ、図9に示すように、指紋照合部812によって検出されたずれ量の分だけY方向における装置奥側(図9等において上側)に指置台65を移動させる。さらに、指置台制御部813は、台回転用モータ667を動作させ、図10に示すように、指紋照合部812によって検出されたずれ量の分だけ反時計回り(図10において黒矢印方向)に回転軸663を中心として指置台65を回転移動させる。
これにより、図10に示すように、図6に示す基準パターンと同様、破線で示す十字の中心に爪Tの幅方向及び長さ方向の中心位置がある印刷に適した位置に爪Tが配置された状態となる。
【0038】
爪情報検出部814は、撮像装置51によって撮影された印刷指U1の爪Tの画像(爪画像)に基づいて、印刷指U1の爪Tについての爪情報を検出するものである。
ここで、爪情報とは、例えば、爪Tの輪郭(爪形状、爪Tの水平位置のXY座標等)、爪Tの高さ(爪Tの垂直方向の位置、以下「爪Tの垂直位置」又は単に「爪Tの位置」ともいう。)、爪Tの表面の、XY平面に対する傾斜角度(爪Tの傾斜角度、爪曲率)等である。
爪情報検出部814が画像から爪情報を検出する手法は特に限定されず、各種の手法を用いることができる。
【0039】
印刷データ生成部815は、爪情報検出部814により検出された爪情報に基づいて、印刷ヘッド41により印刷指U1の爪Tに施される印刷用のデータを生成する。
具体的には、印刷データ生成部815は、爪Tに印刷するものとして選択されたネイルデザインの画像データをネイルデザイン記憶領域821から読み出し、爪情報検出部814により検出された爪Tの形状等に基づいて当該ネイルデザインの画像データを拡大、縮小、切出し等することにより爪Tの形状に合わせ込む合せ込み処理を行う。
また、印刷データ生成部815は、爪情報検出部814により検出された爪情報に応じて、画像データに適宜曲面補正等を行う。
これにより、印刷ヘッド41によって印刷されるネイルデザインの印刷用データが生成される。
【0040】
印刷制御部816は、印刷データ生成部815によって生成された印刷用データに基づいて印刷部40に制御信号を出力し、爪Tに対してこの印刷用データにしたがった印刷を施すように印刷部40のX方向移動モータ46、Y方向移動モータ48、印刷ヘッド41等を制御する制御部である。
【0041】
表示制御部817は、表示部23を制御して表示部23に各種の表示画面を表示させるものである。本実施形態では、表示制御部817は、例えばネイルデザインの選択画面やデザイン確認用のサムネイル画像、印刷指U1を撮影して取得した爪画像、各種の指示画面、操作画面等を表示部23に表示させるようになっている。
【0042】
次に、図11等を参照しつつ、本実施形態におけるネイルプリント装置1の作用について説明する。
なお、図示は省略するが、本実施形態のネイルプリント装置1では、実際に爪Tに対する印刷を行う前のいずれかの時点で、以後印刷を行う予定のある全指(例えばユーザの左右の10指)について、予め基準パターンを指紋情報記憶領域822に記憶させておく。
具体的には、指置台65上であって印刷部40による印刷に適した位置に爪Tが配置された際の印刷指U1の位置(本実施形態では図6に示すように、図中破線で示す十字の中心に爪Tの幅方向及び長さ方向の中心位置がくるような位置)に順次1本ずつ印刷指U1を載置し、当該位置に印刷指U1が配置されたときの指紋画像(生体情報パターン)を指紋読取部67によって取得し、予め基準パターンとして指紋情報記憶領域822に記憶させておく。
【0043】
本実施形態におけるネイルプリント装置1を用いて爪Tにネイルデザインを印刷する場合には、まず爪Tに印刷したいネイルデザインをユーザが操作部22からの入力操作等により選択する。これにより操作信号が制御装置80に送られて、図11に示すように、所望のネイルデザインが爪Tに印刷するデザインとして選択される(ステップS1)。
【0044】
描画したいネイルデザイン等の選択が行われた後、ユーザは印刷指U1を指置台65に載置する。
印刷指U1が指置台65に載置されると、指紋読取部67が印刷指U1の指紋画像を読み取る(ステップS2)。
なお、印刷指U1が指置台65の外に配置されたり、指紋読取部67が読み取ることのできない範囲まで大きくずれて配置された場合や、一定時間印刷指U1の載置が検出できないときには、印刷指U1を検出できない旨のエラーメッセージや、「指を正しく配置してください。」等のメッセージを表示部23等に表示させてユーザに印刷指U1を載置し直すよう促してもよい。なお、ネイルプリント装置1がスピーカ等を備えている場合は、メッセージは音声出力によって行われてもよい。
【0045】
指紋読取部67によって印刷指U1の指紋画像が読み取られると、読み取られた指紋画像のデータが、記憶部82の指紋情報記憶領域822に記憶される(ステップS3)。
指紋照合部812は、指紋読取部67により読み取られた印刷指U1の指紋画像(例えば図7参照)が予め指紋情報記憶領域822に記憶されている何れかの基準パターン(例えば図6参照)と一致するか否かを判断する(ステップS4)。当該判断は例えばパターンマッチング等の手法により行われるが、具体的な手法は特に限定されない。
指紋読取部67により読み取られた印刷指U1の指紋画像(例えば図7参照)が指紋情報記憶領域822に記憶されている基準パターン(例えば図6参照)の何れとも一致しない場合(ステップS4;NO)には、「基準パターンの登録を行ってください。」等のメッセージを表示部23に表示させる等してユーザに基準パターンの登録を促し(ステップS5)、印刷処理を終了する。この場合には、ユーザは印刷指U1の指紋画像を基準パターンとして指紋情報記憶領域822に登録する処理を行う。
【0046】
他方、指紋読取部67により読み取られた印刷指U1の指紋画像(例えば図7参照)が予め登録されている何れかの基準パターンと一致した場合(ステップS4;YES)には、指紋照合部812が、指紋読取部67により読み取られた印刷指U1の指紋画像(例えば図7参照)をこれと一致した基準パターン(例えば図6参照)と照合し、印刷指U1の指紋画像と基準パターンとのずれ量を検出する(ステップS6)。
指紋照合部812により印刷指U1の指紋画像と基準パターンとのずれ量が検出されると、指置台制御部813が、このずれ量に基づいて、適宜X方向移動モータ665、Y方向移動モータ666を駆動させ、指置台65をX方向・Y方向に移動させる(ステップS7、図8及び図9参照)。X方向・Y方向のずれが修正されると、さらに印刷指U1が指置台65上に傾いて配置されている場合には、指置台制御部813は、台回転用モータ667を駆動させて、指置台65ごと印刷指U1を時計回り又は反時計回りに回転させる(ステップS8、図10参照)。
これにより、図10に示すように、印刷指U1の指紋FPが基準パターンと同じ位置及び向きで配置され、印刷指U1のセットが完了する(ステップS9)。
【0047】
次に、操作部22等から印刷開始指示が入力されると、印刷動作を開始する前に、まず撮影制御部811が撮影部50の撮像装置51及び照明装置52を制御して、指置台65に配置された印刷指U1を撮像装置51により撮影させ、爪画像(爪Tを含む印刷指U1の画像)を取得させる(ステップS10)。爪画像が取得されると、爪情報検出部814は、爪画像に基づいて爪Tの外形形状である輪郭形状を検出する。また、爪情報検出部814は、爪画像に基づいて、爪Tの湾曲形状、その他の爪情報を検出する(ステップS11)。
次いで、印刷データ生成部815は、爪情報検出部814により検出された爪情報に基づいて、ユーザによって選択されたネイルデザインをユーザの爪Tに印刷するための印刷用データ(ネイルデザインの印刷データ)を生成する(ステップS12)。
印刷用データが生成されると、印刷制御部816は、印刷部40に印刷用データを出力するとともに、ヘッド移動機構49を動作させて印刷ヘッド41を適宜移動させながら印刷用データに基づく印刷処理を行わせる(ステップS13)。
【0048】
制御部81は、印刷が予定されている全ての指の爪Tについて印刷が完了したか否かを判断し(ステップS14)、印刷が終了したと判断される場合(ステップS14;YES)には印刷処理を終了する。
他方、未だ印刷の終了していない指の爪Tがある場合(ステップS14;NO)には、ユーザが次の指を指置台65に配置し、制御部81はステップS2に戻って処理を繰り返す。
【0049】
以上のように、本実施形態によれば、印刷対象である爪Tに対応する印刷指U1を指置台65上に載置して、生体情報取得部である指紋読取部67により印刷指U1から生体情報パターンである指紋画像を取得する。爪Tの表面に印刷を行うのに適した位置に爪Tが配置された際の印刷指U1の指紋情報が予め基準パターンとして指紋情報記憶部822に記憶されており、指紋照合部812が指紋読取部67により取得された指紋情報と予め記憶されている基準パターンとを照合した結果に基づいて、指紋情報と基準パターンとが一致する位置まで指置台65を印刷指U1が載置された状態のまま面方向に移動させるようになっている。
これにより、一旦基準パターンを装置側に記憶させておけば、印刷時においてユーザが正確な位置に印刷指U1を載置しなくても、指置台65が印刷を行うのに最適な位置に移動して爪Tに印刷を行うことができる。
このため、ネイルプリントを行う度に毎回ユーザが印刷指U1の位置合わせを正確に行うという手間を省くことができる。
また、固定具等を用いて強制的に印刷指U1を固定する場合と比較してユーザの負担を少なくすることができ、手軽に高精細なネイルプリントを行うことができる。
さらに、印刷指U1を正しい位置に正しい向きで配置させるという印刷指U1の位置ずれを補正する機能を設けることにより、ネイルデザインのデータを爪Tの位置や向きに合
せて回転させる補正等により対応する必要がなくなる。このため、爪Tとネイルデザインとのフィット率を向上させることができる。
【0050】
また本実施形態では、指置台移動機構660は、指置台65をXY方向に移動させるXY移動部としてのX方向移動モータ665及びY方向移動モータ666と、指置台65を面方向に回転移動させる回転移動部としての台回転用モータ667とを有している。
これにより、印刷指U1の位置がXY方向にずれている場合のみならず、指置台65の上に傾いて載置されている場合にも、回転移動部としての台回転用モータ667を動作させることで適切にずれを修正して正しい向きでネイルプリントを行うことができる。
また、このように印刷指U1を指挿入方向に沿って真っ直ぐに配置させることができることにより、爪形状の認識率を大幅に向上させることができる。
【0051】
また本実施形態では、指置台65上に載置された印刷指U1を撮影して爪画像を取得する撮影部50と、撮影部50により取得された爪画像から爪Tの形状を検出する爪情報検出部814とを備えている。
このため、印刷対象である爪Tの形状を正しく認識し、爪Tに高精細な印刷を行うことができる。
爪Tの位置や角度がずれていると、撮影部50による撮影を行った場合に陰影の出方に偏りが生じる等、正しく爪画像を取得できない可能性があるが、本実施形態では、印刷指U1の位置を正しい位置に修正してから爪情報の検出等を行うことができるため、より精度の高い爪認識を行うことができる。
【0052】
なお、以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
【0053】
例えば、本実施形態では、生体情報パターンが指紋画像であり、これを生体情報取得部としての指紋読取部67により取得する場合を例示したが、生体情報パターンは印刷指U1の位置や向きを読み取ることのできるものであればよく、指紋画像に限定されない。
例えば、生体情報パターンは印刷指U1の静脈を読み取るものであってもよく、この場合には生体情報取得部として静脈を認識可能なセンサ等を備える。
【0054】
また、本実施形態では、指置台65を移動させる指置台移動機構660が、X方向、Y方向への移動と面方向における回転を行うことのできる3軸の駆動機構である場合を例示したが、指置台移動機構660の構成はこれに限定されず、5軸や6軸の駆動機構であってもよい。
例えば、印刷指U1がロールしている場合についても印刷指U1のあおり方向の傾きを修正することができるように指置台移動機構を構成してもよい。この場合には、例えば、生体情報取得部としての指紋読取部67が指紋の右側又は左側を読み取ることができない場合に、当該読み取りのできない部分が指置台65の指載置面651から浮き上がっていると判断する。そして、印刷指U1の腹全体が指載置面651に接触し、指紋全体を読み取ることができるような位置まで印刷指U1を指の軸周りに回転させることができるように構成する。
【0055】
また、本実施形態では、予め登録させた指紋画像を印刷指U1の位置を正しい位置に合わせるための基準パターンとして用いる場合を例示したが、予め指紋画像の初期登録を行う際に、取得された指紋画像を各指の指種やユーザの識別情報等と対応付けて記憶させてもよい。
そして、各ユーザごと、各指種ごとに指紋画像を登録させる場合、当該指紋画像にユーザの爪情報を対応付けて記憶させたり、ユーザが過去に選択したネイルデザインを対応付けて記憶させておいてもよい。
このように、指紋読取部67によって指紋画像が読み取られたときに、当該指紋画像に爪の曲率等の爪情報やネイルデザインの情報が対応付けられていれば、改めて爪Tの曲率を検出したり、ユーザにネイルデザインの選択を行わせる手間を省いて、登録済みの情報に基づいて簡易にネイルプリントを行うことも可能となる。
【0056】
また、本実施形態では、ネイルデザインの画像データを格納するネイルデザイン記憶領域821がネイルプリント装置1の記憶部82に設けられている場合を例示したが、ネイルデザインの画像データはネイルプリント装置1の記憶部82に保存されている場合に限定されない。
例えば、ネットワーク回線等を介して接続可能なサーバ装置等にネイルデザインの画像データを記憶させておき、サーバ装置等にアクセスしてネイルデザインの画像データを参照可能に構成してもよい。
このようにすることで、より多くのネイルデザインの中から印刷するデザインを選択することが可能となる。
【0057】
また、本実施形態では、ネイルプリント装置1の印刷ヘッド41として、インクジェット方式の印刷ヘッド41を備える構成としたが、印刷ヘッド41の構成はこれに限定されない。
例えば、爪Tの表面にペン先を付けて印刷を行う印刷用のペンを保持するペンホルダを備え、ペンを用いて印刷を行うようにしてもよい。また、本実施形態のようなインクジェット方式の印刷ヘッドと印刷用のペンを保持するペンホルダとを両方備えて、複数の印刷手段を用いて印刷を行う構成としてもよい。
【0058】
また、ネイルプリント装置1に、印刷後にインクを乾燥させるためのヒータやファンを備える乾燥部が設けられていてもよい。
【0059】
また、本実施形態では、指置台65に印刷指U1の爪Tを配置して撮影や印刷処理を行う場合を例示したが、本ネイルプリント装置1において印刷可能な対象は印刷指U1の爪Tに限定されない。
例えば、爪Tに貼り付けて用いられる爪チップ等、爪様の形状のものであっても、ネイルプリント装置1において印刷可能な「爪」とすることができる。
【0060】
以上本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
爪の表面に印刷を行う印刷部と、
印刷対象である爪に対応する印刷指を載置する指置台と、
前記指置台上に載置された前記印刷指から生体情報パターンを取得する生体情報取得部と、
前記印刷部による印刷に適した位置に前記爪が配置された際の前記印刷指の前記生体情報パターンを予め基準パターンとして記憶する記憶部と、
前記指置台を前記印刷指が載置された状態のまま面方向に移動させることが可能な指置台移動機構と、
前記生体情報取得部によって取得された前記生体情報パターンと予め記憶されている前記基準パターンとを照合する指紋照合部と、
前記指紋照合部の照合結果に基づいて、前記生体情報パターンと前記基準パターンとが一致する位置まで前記指置台上に載置された前記印刷指を移動させるように前記指置台移動機構の動作を制御する指置台制御部と、
を備えていることを特徴とするネイルプリント装置。
<請求項2>
前記指置台移動機構は、前記指置台をXY方向に移動させるXY移動部と、前記指置台を面方向に回転移動させる回転移動部と、を有していることを特徴とする請求項1に記載のネイルプリント装置。
<請求項3>
前記指置台上に載置された前記印刷指を撮影して爪画像を取得する撮影部と、
前記撮影部により取得された前記爪画像から前記爪の形状を検出する爪情報検出部と、をさらに備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のネイルプリント装置。
<請求項4>
前記記憶部は、前記生体情報パターンに、前記印刷指の指種を示す情報を対応付けて前記基準パターンとして記憶することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のネイルプリント装置。
<請求項5>
前記記憶部は、前記生体情報パターンに、個人識別可能な情報を対応付けて前記基準パターンとして記憶することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のネイルプリント装置。
<請求項6>
印刷対象である爪に対応する印刷指を指置台上に載置して前記印刷指から生体情報パターンを取得する生体情報取得工程と、
爪の表面に印刷を行うのに適した位置に前記爪が配置された際の前記印刷指の前記生体情報パターンを予め基準パターンとして記憶する記憶工程と、
前記生体情報取得工程において取得された前記生体情報パターンと予め記憶されている前記基準パターンとを照合する指紋照合工程と、
前記指紋照合工程における照合結果に基づいて、前記生体情報パターンと前記基準パターンとが一致する位置まで前記指置台を前記印刷指が載置された状態のまま面方向に移動させる前記指置台の移動工程と、
を含んでいることを特徴とするネイルプリント方法。
【符号の説明】
【0061】
1 ネイルプリント装置
40 印刷部
50 撮影部
61 上面板
65 指置台
67 指紋読取部
81 制御部
82 記憶部
660 指置台移動機構
812 指紋照合部
813 指置台制御部
822 指紋情報記憶領域
T 爪
U1 印刷指
U2 非印刷指
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11