(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-21
(45)【発行日】2023-08-29
(54)【発明の名称】ポンプ装置、制御盤及び制御基板
(51)【国際特許分類】
F04B 49/10 20060101AFI20230822BHJP
F04B 49/02 20060101ALI20230822BHJP
【FI】
F04B49/10 311
F04B49/02 311
(21)【出願番号】P 2019026857
(22)【出願日】2019-02-18
【審査請求日】2022-01-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】三輪 智志
(72)【発明者】
【氏名】高木 正志
【審査官】中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-107970(JP,A)
【文献】特開2015-097561(JP,A)
【文献】特開2016-174698(JP,A)
【文献】特開2012-040263(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 49/02
F04B 49/08
F04B 49/10
F04B 51/00
F04D 15/00
A62C 35/64
A62C 35/68
A62C 37/00
A62C 37/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ及びポンプを有し、末端又は中途部において閉鎖される配管に接続されるポンプユニットと、
前記モータに供給する電流値を過電流と判断する閾値を記憶する記憶部と、
前記モータに通電した電流値を検出するとともに、検出した前記電流値と前記閾値とを比較し、前記検出した電流値が前記閾値を超えた場合には、前記モータへの通電を停止する保護機能を有し、消火設備に設けられた火災判断機器から前記ポンプユニットの起動信号を受信した場合には、前記検出した電流値が前記閾値以上である場合であっても、前記モータへ通電を行う制御部と、
を備え、
前記火災判断機器は複数設けられるとともに、少なくとも2種類以上に分類され
前記制御部は、前記少なくとも2種類以上に分類された複数の前記火災判断機器のうち、所定の種類の前記火災判断機器から受信した前記起動信号により前記ポンプユニットを起動した場合であり、且つ前記検出した前記電流値が前記閾値を超えた場合に、前記モータへの通電を停止すると共に、外部へ警告を行う、ポンプ装置。
【請求項2】
前記記憶部は、電流値の異なる複数の前記閾値を含み、前記複数の閾値により異なる警告を行う、請求項1に記載のポンプ装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記検出した前記電流値が所定の前記閾値を超えた場合には前記保護機能として前記モータへの通電を停止し、前記検出した前記電流値が前記所定の閾値未満であり且つ前記所定の閾値よりも低い前記閾値を超えた場合には前記モータへの通電を維持する、請求項2に記載のポンプ装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記火災判断機器から前記起動信号を受信し、且つ前記検出した電流値が前記閾値を超えた場合に、前記モータへの通電及び停止を繰り返し行い、前記モータへの通電及び停止が所定の回数を超えるか、又は前記検出した電流値が前記閾値を下回る場合に前記モータへの通電を継続する、請求項1に記載のポンプ装置。
【請求項5】
前記警告は、前記起動信号を送った前記火災判断機器の情報を含むことを特徴とする、請求項1に記載のポンプ装置。
【請求項6】
前記記憶部は、異なる複数の圧力の前記閾値を更に有し、
前記制御部は、圧力検出器が検出した圧力が最も低い前記閾値を下回った場合に前記モータへ通電し、それ以外の前記閾値を下回った場合には前記モータへ通電をせず外部へ警告を行う、請求項1に記載のポンプ装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記火災判断機器からの前記起動信号を受信し、且つ前記検出した電流値が前記閾値を超えた場合に、前記モータへの通電及び停止を繰り返し行い、前記モータへの通電及び停止が所定の回数を超えた場合に前記モータへの通電を停止し、前記検出した電流値が前記閾値を下回る場合に前記モータへの通電を継続する、請求項1に記載のポンプ装置。
【請求項8】
圧力検出器が複数設けられ、
前記制御部は、一部の前記圧力検出器からのみ前記制御部へ前記起動信号が送られた場合に前記モータへの通電をせず前記外部へ警告を行い、全ての前記圧力検出器から前記制御部へ前記起動信号が送られた場合に前記モータへの通電を行う、請求項1に記載のポンプ装置。
【請求項9】
通信部を更に有し、
前記制御部は、前記モータへ通電しなかった情報を前記外部へ送信する、請求項6又は
請求項8に記載のポンプ装置。
【請求項10】
通信部を更に有し、
前記制御部は、前記火災判断機器から前記起動信号を受信した情報を外部へ送信する、請求項1に記載のポンプ装置
。
【請求項11】
前記記憶部は、異なる複数の圧力の前記閾値を更に有し、
前記制御部は、前記消火設備に設けられた圧力検出器が検出した圧力が、所定の圧力の前記閾値を下回った場合に前記モータへ通電し、前記検出した圧力が前記所定の閾値よりも高い前記閾値を超えた場合に前記モータへの通電を停止する、請求項1に記載のポンプ装置。
【請求項12】
モータ及びポンプを有し、末端又は中途部において閉鎖される配管に接続されるポンプユニットと、
前記モータに供給する電流値を過電流と判断する閾値を記憶する記憶部と、
前記モータに通電した電流値を検出するとともに、検出した前記電流値と前記閾値とを比較し、前記検出した電流値が前記閾値を超えた場合には、前記モータへの通電を停止する保護機能を有し、消火設備に設けられた火災判断機器から前記ポンプユニットの起動信号を受信した場合には、前記検出した電流値が前記閾値以上である場合であっても、前記モータへ通電を行う制御部と、
を備え、
前記記憶部は、複数の圧力の前記閾値を更に有し、
前記制御部は、前記消火設備に設けられた圧力検出器が検出した圧力が、所定の前記閾値を下回った場合に前記モータへ通電し、前記圧力が前記閾値を下回った状態が、あらかじめ前記記憶部に記憶された時間の閾値以上の時間継続された場合、若しくは電気的に接続したタイマーがあらかじめ設定した時間をカウントした場合に、前記モータへの通電を停止する、ポンプ装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記圧力検出器から受信した前記起動信号により前記ポンプユニットを起動した後、前記検出した電流値が前記閾値以上であり、且つ前記検出した圧力が所定の圧力の前記閾値以上である場合に、前記モータへの通電を停止する、請求項11又は請求項12に記載のポンプ装置。
【請求項14】
前記制御部は、前記圧力検出器から受信した前記起動信号により前記ポンプユニットを起動した後、前記消火設備に設けられた流水検知器から前記起動信号を受信した場合、前記検出した圧力が所定の圧力の前記閾値以上であれば、前記流水検知器からの前記起動信号は受け付けない、請求項11又は請求項12に記載のポンプ装置。
【請求項15】
モータ及びポンプを有し、末端又は中途部において閉鎖される配管に接続されるポンプユニットと、
前記モータに供給する電流値を過電流と判断する閾値を記憶する記憶部と、
前記モータに通電した電流値を検出するとともに、検出した前記電流値と前記閾値とを比較し、前記検出した電流値が前記閾値を超えた場合には、前記モータへの通電を停止する保護機能を有し、消火設備に設けられた火災判断機器から前記ポンプユニットの起動信号を受信した場合には、前記検出した電流値が前記閾値以上である場合であっても、前記モータへ通電を行う制御部と、
を備え、
前記記憶部は、異なる複数の圧力の前記閾値を更に有し、
前記制御部は、前記消火設備に設けられた圧力検出器が検出した圧力が、所定の圧力の前記閾値を下回った場合に前記モータへ通電し、前記検出した圧力が前記所定の閾値よりも高い前記閾値を超えた場合に前記モータへの通電を停止し、
前記制御部は、前記圧力検出器から受信した前記起動信号により前記ポンプユニットを起動した後、前記消火設備に設けられた流水検知器から前記起動信号を受信した場合、前記検出した圧力が所定の圧力の前記閾値以上であれば、前記流水検知器からの前記起動信号は受け付けない、ポンプ装置。
【請求項16】
前記制御部は、複数の端子を持つ端子部を有し、
前記火災判断機器を少なくとも2種類以上の種類に分類し、前記種類毎に前記火災判断機器を異なる前記端子へ繋げる、請求項1に記載のポンプ装置。
【請求項17】
前記制御部は、端子部若しくは通信部の少なくとも1つ以上を有し、
前記制御部は、前記火災判断機器から前記起動信号を受信した場合に、前記モータへの通電を行い、外部から停止信号を受信した場合に、前記モータへの通電を停止する、請求項1に記載のポンプ装置。
【請求項18】
モータ及びポンプを有し、末端又は中途部において閉鎖される配管に接続されるポンプユニットと、
前記モータに供給する電流値を過電流と判断する閾値を記憶する記憶部と、
前記モータに通電した電流値を検出するとともに、検出した前記電流値と前記閾値とを比較し、前記検出した電流値が前記閾値を超えた場合には、前記モータへの通電を停止する保護機能を有し、消火設備に設けられた火災判断機器から前記ポンプユニットの起動信号を受信した場合には、前記検出した電流値が前記閾値以上である場合であっても、前記モータへ通電を行う制御部と、
を備え、
前記制御部は、端子部若しくは通信部の少なくとも1つ以上を有し、
前記制御部は、前記火災判断機器から前記起動信号を受信した場合に、前記モータへの通電を行い、外部から停止信号を受信した場合に、前記モータへの通電を停止し
、
前記制御部は、前記検出した前記電流値が前記閾値を超えており、且つ外部から停止信号を受信した場合に、前記モータへの通電を停止し、前記検出した前記電流値が前記閾値を超えておらず、且つ外部から停止信号を受信した場合に、前記モータへの通電を継続する
、ポンプ装置。
【請求項19】
請求項1乃至請求項18のいずれか一項に記載のポンプ装置に用いられる制御盤であって、
前記モータ及び前記ポンプを有し、末端又は中途部において閉鎖される前記配管に接続される前記ポンプユニットの前記モータに供給する前記電流値を前記過電流と判断する前記閾値を記憶する前記記憶部と、
前記モータに通電した電流値を検出するとともに、検出した前記電流値と前記閾値とを比較し、前記検出した前記電流値が前記閾値以上である場合には、前記モータへの通電を停止する前記保護機能を有し、前記消火設備に設けられた前記火災判断機器から前記ポンプユニットの前記起動信号を受信した場合には、前記検出した前記電流値が前記閾値以上である場合であっても、前記モータへ通電を行う前記制御部と、
を備える制御盤。
【請求項20】
請求項1乃至請求項18のいずれか一項に記載のポンプ装置に用いられる制御基板であって、
前記モータ及び前記ポンプを有し、末端又は中途部において閉鎖される前記配管に接続される前記ポンプユニットの前記モータに供給する前記電流値を前記過電流と判断する前記閾値を記憶する前記記憶部と、
前記モータに通電した電流値を検出するとともに、検出した前記電流値と前記閾値とを比較し、前記検出した前記電流値が前記閾値以上である場合には、前記モータへの通電を停止する保護機能を有し、前記消火設備に設けられた前記火災判断機器から前記ポンプユニットの起動信号を受信した場合には、前記検出した前記電流値が前記閾値以上である場合であっても、前記モータへ通電を行う前記制御部と、
前記記憶部及び前記制御部が実装された基板と、
を備える制御基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建造物に用いられるポンプ装置、制御盤及び制御基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従前から、建造物に給水するポンプ装置が知られている。このようなポンプ装置として、例えば、火災時にスプリンクラー等へ水を供給する消火ポンプ(例えば、特許文献1参照)が知られている。
【0003】
このようなポンプ装置は、停止時間が長いと、ポンプの金属材料により形成された部品に錆が生じる虞や、水中に含まれるカルシウム、マグネシウム及びシリカ等の無機塩類化合物が析出したスケールがポンプ内に生じる虞がある。これら錆やスケールがポンプ内に生じると、インペラや回転軸等の回転体がケーシング等の固定体に固着し、回転が阻害される虞がある。この状態でポンプ装置を駆動すると、モータに過電流が生じる虞がある。
【0004】
このため、回転体が固着することを防止し、ポンプ装置の故障等を検出する等のために、定期的な点検運転や維持運転が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、定期点検や維持運転を行った後に、次回の定期点検や維持運転を行うまでの期間が長いと、ポンプ装置の異常の発見が遅れることから、火災時にポンプ装置が運転できない虞がある。また、モータに過電流が生じた場合に通電を続けると、モータの損傷や発火の虞もある。しかしながら、火災時においては、モータに通電を行い、できる限りポンプを駆動する必要がある、という問題もある。
【0007】
そこで本発明は、モータの損傷を防止しつつ、火災時においてはポンプの駆動を優先できるポンプ装置、制御基板及び制御盤を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、ポンプ装置は、モータ及びポンプを有し、末端又は中途部において閉鎖される配管に接続されるポンプユニットと、前記モータに供給する電流値を過電流と判断する閾値を記憶する記憶部と、前記モータに通電した電流値を検出するとともに、検出した前記電流値と前記閾値とを比較し、前記検出した電流値が前記閾値を超えた場合には、前記モータへの通電を停止する保護機能を有し、消火設備に設けられた火災判断機器から前記ポンプユニットの起動信号を受信した場合には、前記検出した電流値が前記閾値以上である場合であっても、前記モータへ通電を行う制御部と、を備え、前記火災判断機器は複数設けられるとともに、少なくとも2種類以上に分類され前記制御部は、前記少なくとも2種類以上に分類された複数の前記火災判断機器のうち、所定の種類の前記火災判断機器から受信した前記起動信号により前記ポンプユニットを起動した場合であり、且つ前記検出した前記電流値が前記閾値を超えた場合に、前記モータへの通電を停止すると共に、外部へ警告を行う。
【0009】
本発明の一態様によれば、制御盤は、上述したポンプ装置に用いられる制御盤であって、前記モータ及び前記ポンプを有し、末端又は中途部において閉鎖される前記配管に接続される前記ポンプユニットの前記モータに供給する前記電流値を前記過電流と判断する前記閾値を記憶する前記記憶部と、前記モータに通電した電流値を検出するとともに、検出した前記電流値と前記閾値とを比較し、前記検出した前記電流値が前記閾値以上である場合には、前記モータへの通電を停止する前記保護機能を有し、前記消火設備に設けられた前記火災判断機器から前記ポンプユニットの前記起動信号を受信した場合には、前記検出した前記電流値が前記閾値以上である場合であっても、前記モータへ通電を行う前記制御部と、を備える。
【0010】
本発明の一態様によれば、制御基板は、上述したポンプ装置に用いられる制御基板であって、前記モータ及び前記ポンプを有し、末端又は中途部において閉鎖される前記配管に接続される前記ポンプユニットの前記モータに供給する前記電流値を前記過電流と判断する前記閾値を記憶する前記記憶部と、前記モータに通電した電流値を検出するとともに、検出した前記電流値と前記閾値とを比較し、前記検出した前記電流値が前記閾値以上である場合には、前記モータへの通電を停止する保護機能を有し、前記消火設備に設けられた前記火災判断機器から前記ポンプユニットの起動信号を受信した場合には、前記検出した前記電流値が前記閾値以上である場合であっても、前記モータへ通電を行う前記制御部と、前記記憶部及び前記制御部が実装された基板と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、モータの損傷を防止しつつ、火災時においてはポンプの駆動を優先できるポンプ装置、制御基板及び制御盤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る給水設備の構成を示す説明図。
【
図2】同給水設備に用いられるポンプ装置の構成を示す側面図。
【
図3】同ポンプ装置に用いられる制御盤の構成を示す正面図。
【
図5】本発明の変形例に係るポンプ装置の構成を示す側面図。
【
図6】本発明の変形例に係るポンプ装置の構成を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(一実施形態)
以下、本発明の一実施形態に係るポンプ装置1の構成を、
図1乃至
図4を用いて説明する。なお、本実施形態においては、ポンプ装置1は、給水設備として消火設備100に用いられる消火ポンプ装置の例を用いて説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係る消火設備100の構成を示す説明図、
図2は、ポンプ装置1の構成を示す側面図、
図3及び
図4は、ポンプ装置1に用いられる制御盤18の外観及び内部の構成それぞれ示す正面図である。
【0015】
図1に示すように、ポンプ装置1は、建造物に設けられた消火設備100に用いられる。まず、消火設備100の構成について説明する。
図1に示すように、消火設備100は、ポンプ装置1と、補助加圧装置101と、放水手段201と、火災判断機器301と、給水源401と、を備えている。
【0016】
補助加圧装置101は、放水手段201へ接続される配管501内の圧力が低下したときに、ポンプ装置1が始動する前に補助加圧装置101が自動運転し、配管501内の圧力を回復させるポンプ装置である。
【0017】
補助加圧装置101は、例えば、補助ポンプユニット111と、補助ポンプユニット111の二次側に設けられた圧力タンク112と、圧力タンク112に接続された圧力検出器113と、呼水槽114と、制御盤115と、を備えている。
【0018】
補助ポンプユニット111は、補助モータ121と、補助モータ121により駆動される補助ポンプ122と、補助ポンプ122に接続される連結管123と、を備えている。補助モータ121は、制御盤115に電気的に接続される。補助ポンプ122は、一次側が呼水槽114に接続され、二次側が連結管123に接続される。連結管123は、配管501に接続される。より具体的には、連結管123は、配管501であって、且つ、後述する流水検知器314の一次側に接続される。
【0019】
圧力タンク112は、連結管123に設けられる。
【0020】
圧力検出器113は、圧力タンク112内の圧力を検出する。圧力検出器113は、電気的に制御盤115に接続される。圧力検出器113は、検出した圧力値の信号を制御盤115に送信する。
【0021】
呼水槽114は、補助ポンプユニット111の水源である。
【0022】
制御盤115は、例えば、記憶部131及び制御部132を備える。記憶部131は、例えば、補助ポンプユニット111を起動する補助起動圧力、及び、補助ポンプユニット111を停止する補助停止圧力が記憶されている。補助起動圧力は、ポンプ装置1のポンプユニット12の起動圧力よりも高く設定される。また、補助停止圧力は、ポンプ装置1の締切圧力よりも低く設定される。
【0023】
制御部132は、圧力検出器113で検出した圧力が記憶部131に記憶された起動圧力以下と判断すると、補助ポンプユニット111を起動する。また、制御部132は、補助ポンプユニット111の運転中に圧力検出器113で検出した圧力が記憶部131に記憶された停止圧力以上と判断すると、補助ポンプユニット111を停止する。
【0024】
放水手段201は、例えば、建造物のフロア毎に設けられた複数の放水器や、他の放水装置に接続される配管等である。放水手段201は、火災時に開放されることで消火のために放水を行う。具体例として、放水手段201は、例えば複数のスプリンクラー211と、消火栓212と、連結送水管213と、を含む。
【0025】
スプリンクラー211は、配管501から分岐して接続され、各フロアに配設された配設管211aと、配設管211aに設けられたフロア毎に複数設けられたスプリンクラヘッド211bと、を備える。また、スプリンクラー211は、配設管211a及びスプリンクラヘッド211bの間に水量(流量)及び圧力の検出が可能な検出器を備えていてもよい。
【0026】
スプリンクラヘッド211bは、例えば、火災時の熱により開口し放水することで、建造物のフロアに放水可能な放水口を有している。また、スプリンクラヘッド211bは、例えば、同一フロアに設けられたスプリンクラヘッド211bのいずれかが開となり放水した場合に、同一フロア内に設けられた他のスプリンクラヘッド211bも開となり連動して放水可能に形成されている。
【0027】
消火栓212は、建造物の屋内及び屋外の少なくとも一方に設けられる。消火栓212は、例えば、屋内消火栓である。消火栓212は、例えば、消火栓箱212aと、消火栓箱212aに収容され、配管501に接続されるホース212bと、ホース212bに設けられたノズル212cと、ノズル212cに設けられた開閉弁と、を備えている。また、ホース212bと配管501との間には、開閉弁が設けられた放水口が設けられ、この放水口にホース212bが接続されることで、配管501にホース212bが流体的に接続される。
【0028】
連結送水管213は、例えば、建造物の屋内又は屋外に設けられる。連結送水管213は、いわゆる消防隊専用栓である。連結送水管213は、例えば、屋内に設けられる湿式の差込式放水口である。
【0029】
火災判断機器301は、ポンプ装置1を起動する起動装置である。例えば、火災判断機器301は、火災報知器311と、消火栓用手動起動装置312と、遠隔起動装置313と、流水検知器314と、消火栓用連動装置315と、圧力検出器33と、を含む。火災判断機器301は、例えば、信号線99を介して制御盤18に電気的に接続される。
【0030】
火災報知器311は、例えば、煙や熱を感知し、制御盤18にポンプユニット12の起動信号を発報する。
【0031】
消火栓用手動起動装置312は、例えば、消火栓212の消火栓箱212aに設けられる。消火栓用手動起動装置312は、手動により操作されることで、制御盤18にポンプユニット12の起動信号を発報する。
【0032】
遠隔起動装置313は、例えば、防災センター等からの遠隔操作されることで、制御盤18に、ポンプユニット12の起動信号を発報する。
【0033】
流水検知器314は、配管501内に所定の流量又は流速の水が流れた場合に、内部に設けられたスイッチが作動し、制御盤18にポンプユニット12の起動信号を発報する。流水検知器314の内部に設けられたスイッチとは、例えば、プッシュ式のマイクロスイッチや、パドルスイッチや、流水検知器314の内部に設けられた弁の二次側であり且つ流水検知器314に設けられた圧力スイッチである。
【0034】
消火栓用連動装置315は、例えば、消火栓212の消火栓箱212aに設けられる。消火栓用連動装置315は、例えば、ホース212bを手動で延ばした場合に、制御盤18にポンプユニット12の起動信号を発報する。
【0035】
給水源401は、消火用の水槽である。給水源401は、ポンプ装置1の一次側に設けられる。
【0036】
配管501は、ポンプ装置1の二次側に設けられ、スプリンクラー211、消火栓212及び連結送水管213に接続される。配管501には、流水検知器314が設けられる。配管501は、末端又は中途部においてスプリンクラー211、消火栓212及び連結送水管213により閉鎖される。
【0037】
図1及び
図2に示すように、ポンプ装置1は、ベース11と、ポンプユニット12と、吐出管13と、圧力タンク14と、自動開閉弁15と、温度検出器16と、呼水槽17と、制御盤18と、を備えている。
【0038】
ベース11は、建造物のポンプ装置1の設置面に固定される。ベース11は、その上面にポンプユニット12、圧力タンク14、呼水槽17及び制御盤18を固定する。
【0039】
ポンプユニット12は、ポンプ21及びモータ22を備えている。ポンプ21は、吸込口21a及び吐出口21bを備えている。ポンプ21は、その内部に回転軸に固定されたインペラを収容する。ポンプ21は、増圧した水を二次側に吐出する。
【0040】
モータ22は、回転軸を回転可能に形成されている。モータ22は、回転軸を回転することで、ポンプ21のインペラを駆動する。モータ22は、信号線99を介して電気的に制御盤18に接続される。
【0041】
吐出管13は、一端がポンプ21の吐出口21bに接続されるとともに、他端が配管501に接続される。吐出管13は、逆止弁13a及び圧力検出器13bを有する。圧力検出器13bは、信号線99を介して制御盤18に接続されている。圧力検出器13bは、吐出管13内の圧力を検出し、制御盤18に送信可能に形成されている。
【0042】
圧力タンク14は、タンク31と、圧力計32と、圧力検出器33と、を備えている。タンク31は、ポンプ21から吐出された所定の圧力の水を貯留可能に形成されている。タンク31は、例えば、吐出管13に設けられる。圧力計32は、タンク31内の圧力を検出し、外部に表示可能に形成されている。圧力検出器33は、信号線99を介して制御盤18に接続されている。圧力検出器33は、タンク31内の圧力を制御盤18に送信可能に形成されている。
【0043】
自動開閉弁15は、例えば、ポンプユニット12の二次側であって、且つ、流水検知器314の一次側に設けられ、ポンプユニット12の二次側、且つ、流水検知器314の一次側に接続された分岐管15aを開閉する。ここで、分岐管15aは、例えば、排水口15b等に接続された排水管である。換言すると、自動開閉弁15は、ポンプユニット12の二次側の分岐管15aに設けられ、分岐管15aを開くことで、ポンプユニット12の二次側の水を排水口15bに排水する。
【0044】
自動開閉弁15は、信号線99によって制御盤18に電気的に接続される。自動開閉弁15は、常時閉であり、制御盤18からの信号によって開き、ポンプユニット12の二次側及び配管501に存する水を排水口15bに排水する。
【0045】
温度検出器16は、例えば、吐出管13又は配管501に設けられる。温度検出器16は、ポンプユニット12の二次側のいずれかの配管13、501内の水の温度、又は、いずれかの配管13、501の表面温度を検出する。温度検出器16は、信号線99を介して制御盤18に電気的に接続される。温度検出器16は、検出した温度情報を制御盤18に送信する。
【0046】
呼水槽17は、ポンプ21に呼び水を供給可能に、配管17aを介してポンプ21に接続される。また、呼水槽17は、ポンプ21の温度上昇を抑えるために、オリフィスが設けられ、ポンプ21で増圧された水の一部を絞り、呼水槽17に逃がす逃がし管17bを有する。
【0047】
制御盤18は、内部に制御部41を備えている。また、制御盤18は、入力装置42と、記憶部43と、報知部44と、通信部45と、端子部48と、を備えている。制御盤18は、また、例えば、制御基板46と、筐体47と、を備えている。
【0048】
制御基板46は、例えば、一枚の基板46aに、制御部41、記憶部43、通信部45及び端子部48が実装されることで構成される。筐体47は、内部に制御基板46を収容するとともに、外面の一部に入力装置42及び報知部44を配置する。また、筐体47は、内部に電源トランス、電流測定用変流器、電磁接触器、配線用遮断器等の複数の機器38を収容する。
【0049】
制御部41は、信号線99を介してモータ22及び圧力検出器33に接続される。制御部41は、入力装置42、記憶部43、報知部44及び通信部45と、バスライン等の信号線99を介して電気的に接続される。
【0050】
制御部41は、モータ22を駆動可能に形成されている。制御部41は、火災と判断したときに、モータ22を駆動可能に形成されている。具体例として、制御部41は、火災判断機器301から発報されたポンプユニット12の起動信号を受信すると、記憶部43に記憶されたプログラムに準じてモータ22を駆動する。制御部41は、モータ22に通電したときの電流値を検出する機能を有する。
【0051】
なお、火災判断機器301として用いられる圧力検出器33と流水検知器314と消火栓用連動装置315とは、火災が発生していない場合においても制御盤18へポンプユニット12の起動信号を送る場合がある。例えば、圧力検出器33は砂等の異物により検出部や検出部の一次側配管が目詰まりした場合に、検知部付近の圧力が徐々に低下し所定の圧力以下となり、制御盤18へポンプユニット12の起動信号を送る虞がある。例えば、圧力検出器33は、ポンプユニット12の二次側の配管から水が漏れていた場合に、圧力が徐々に低下し所定の圧力以下となり、制御盤18へポンプユニット12の起動信号を送る虞がある。例えば、圧力検出器33は、圧力タンク14に封入されている空気が水に溶け込んだ場合に、圧力が徐々に低下し所定の圧力以下となり、制御盤18へポンプユニット12の起動信号を送る虞がある。例えば、流水検知器314は、ポンプユニット12の二次側の配管から水が漏れている場合に流水を検知し、制御盤18へポンプユニット12の起動信号を送る虞がある。例えば、流水検知器314は、補助加圧装置101の設定が不適切な場合に、補助加圧装置101が起動し流れる水量により流水を検知し、制御盤18へポンプユニット12の起動信号を送る虞がある。例えば、消火栓用連動装置315は、消火訓練等でホース212bを使用した後、消火栓箱212aへの収納状態が悪い場合、ノズル212cが転落しホース212bが延びることによって制御盤18へポンプユニット12の起動信号を送る虞がある。
【0052】
また、上記の様に火災が発生していないにも関わらず火災判断機器301により制御盤18へポンプユニット12の起動信号が発報された場合においても、ポンプ装置1は防災センター等へ「火災判断機器301により制御盤18へポンプユニット12の起動信号が発報された情報」を、端子部48を介して送信する。即ち、防災センター等は火災が発生しているか否かはすぐに判断できず、情報を更に確認する必要がある。更に、前記送信と合わせて、火災発生を知らせるアラームが建物内に響き渡るため、火災時以外の火災判断機器301によるポンプユニット12の起動は避ける必要がある。
【0053】
制御部41は、日付を管理可能なカレンダー機能及び時刻を管理可能な時計機能を有している。制御部41は、ポンプユニット12の駆動後に経過した時間をカウントするカウンタ機能を有している。制御部41は、ポンプユニット12の駆動停止後にカウンタ機能でカウントしたポンプユニット12の停止時間の積算値、ポンプユニット12の駆動後の前記経過時間、制御部41及びモータ22の通電時間の積算値、各点検運転において検出される検出値、電流や圧力等の閾値、モータ22への通電及び停止の履歴、自動開閉弁の開閉履歴、外部の送信先情報等、を記憶部43に記憶する機能を有している。
【0054】
制御部41は、ポンプユニット12の異常発生時に、当該異常の情報を報知部44に送信する機能を有している。制御部41は、入力装置42により入力された指示に基づいて、カウンタ機能でカウントした時間、過去のポンプユニット12の駆動情報等の履歴情報を通信部45に送信可能に形成されている。
【0055】
入力装置42は、日時及び指令等の情報を入力可能に形成されている。入力装置42は、入力された情報を制御部41に送信可能に形成されている。
【0056】
記憶部43には、例えば、ポンプユニット12を起動する起動圧力、締切り運転時の締切揚程、並びに、火災発生時及び各点検運転におけるポンプユニット12の制御プログラム等が記憶されている。記憶部43は、制御部41のカウンタ機能のカウンタメモリとして機能する。
【0057】
また、記憶部43には、モータ22に通電したときに過電流と判断する電流値が閾値として記憶されている。例えば、閾値は、異なる電流値で複数記憶される。具体例として、閾値は、少なくとも第1閾値及び第2閾値を含む。
【0058】
第1閾値は、第2閾値よりも低い電流値である。なお、複数の閾値として第1閾値及び第2閾値を含めて3以上の閾値が記憶部43に記憶されている場合においては、第1閾値は、複数の閾値の中で、最も電流値が低い電流値に設定される。第1閾値は、モータ22に通電し、ポンプユニット12が定格運転及び締め切り運転したときにモータ22に流れる電流値よりも高い電流値に設定される。例えば、第1閾値は、固着等の異常によって、想定されるポンプユニット12の運転時に生じる電流値よりも高い過電流であって、且つ、当該過電流であっても、モータ22の損傷や発火等の二次的異常が生じにくい又は略生じない電流値に設定される。具体例として、第1閾値は、正常時のモータ22の定格運転及び締切り運転時に流れるモータ22の電流値よりも高く、且つ、メーカで設定されるモータ22の許容電流値以下に設定される。
【0059】
第2閾値は、第1閾値よりも高い電流値であり、例えば、ユーザによる変更が不可に設定される。複数の閾値として第1閾値及び第2閾値を含めて3以上の閾値が記憶部43に記憶されている場合においては、第2閾値は、複数の閾値の中で、最も電流値が高い電流値に設定される。第2閾値は、モータ22に通電し、ポンプユニット12が定格運転及び締め切り運転したときにモータ22に流れる電流値よりも高い電流値に設定される。例えば、第2閾値は、複数の閾値の中で最もモータ22の損傷や発火等の二次的異常が生じる虞のある電流値であり、具体例として、完全にポンプ21の回転体が固着等によって回転できない異常時にモータ22に生じる電流値である。
【0060】
さらに、記憶部43には、ポンプユニット12の識別番号、形式、位置情報等のポンプ装置1の情報、及び、ポンプユニット12の二次側の圧力が昇圧したときに警告を送信する外部に設けられたパーソナルコンピュータやタブレット端末等の外部端末90の情報等が記憶されている。
【0061】
報知部44は、ポンプユニット12の異常発生時に、制御部41から送信された情報に基づいて、当該異常を外部に報知可能に形成されている。報知部44は、情報を表示する表示部である。報知部44は、例えば、点灯又は点滅することで情報を表示するランプ、音により外部に情報を報知する音響及び情報を表示するディスプレイを含む。
【0062】
通信部45は、外部と情報を送受信可能に構成される。例えば、通信部45は、制御部41から送信された情報を無線又は有線により外部に出力する。例えば、通信部45は、外部端末90に情報を送信する。換言すると、制御部41は、通信部45を介して、インターネット、LAN(Local Area Network)等のネットワークや無線又は有線ケーブル等によりに外部端末90に情報を送信し、外部端末90に当該情報を表示させる。
【0063】
端子部48は、火災判断機器301によるポンプユニット12の起動信号を受信する端子を複数有している。上述した通り、火災判断機器301は、例えば、信号線99を介して制御盤18に電気的に接続されるが、従来は火災判断機器301の識別が不要であったため、複数の火災判断機器301の信号線99を一つの端子に電気的に接続していた。本実施形態では、端子部48は、火災判断機器301によるポンプユニット12の起動信号を識別するために、複数の端子を有している。
【0064】
なお、例えば、外部端末90に情報を表示させる機能は、外部端末90のプロセッサが処理することで達成される。外部端末90は、例えば、異常昇圧等に関する情報を表示する表示部である。また、ここで、外部端末90は、例えば、ポンプ装置1から離れた場所にユーザが有する第1外部端末91と、ユーザ以外の管理者、具体例としてポンプ装置1の製造メーカ、建造物を管理する管理センター、及び、消防署や防災センター等の外部機関等のポンプ装置1や消火設備100を監督又は管理を行う管理者が有する第2外部端末92と、を含む。なお、従来は端子部48を介して有線により管理センター等へ通信を行っていた。この場合、例えば、2つの異なる端子を無電圧a接点とし、接点がONとなった場合に過電流を通知しているため、圧力不足や漏電等の他の事象を通知するためには、区別したい事象の数だけ端子を設ける必要があった。
【0065】
また、制御部41は、以下の(1)乃至(3)の機能を有している。
【0066】
(1)モータ22の過電流を判断する機能。
【0067】
(2)モータ22の過電流が生じているときに、モータ22を保護する機能。
【0068】
(3)モータ22の過電流が生じているときに、モータ22に通電を行う機能。
【0069】
次に、制御部41が有する(1)乃至(3)の機能について説明する。
(1)の機能は、検出したモータ22に通電しているときの電流値と閾値を比較して、モータ22に過電流が生じているか否かを判断する機能である。
【0070】
(1)の機能の具体例を以下説明する。(1)の機能の具体例として、先ず、制御部41は、モータ22に通電しているときの電流値を検出する。そして、制御部41は、検出した電流値と記憶部43に記憶された複数の閾値とを比較する。そして、検出した電流値が複数の閾値のうち最も小さい第1閾値以上であった場合には、制御部41は、モータ22に過電流が生じていると判断する。また、制御部41は、複数の閾値のそれぞれと比較し、検出した電流値が各閾値以上であるか否かを判断する。また、制御部41は、報知部44を制御し、音、光又は情報の表示によって、過電流の情報を周囲に警告する。さらに、制御部41は、当該過電流の情報を第1外部端末91及び第2外部端末92へ当該情報を送信し、外部への警告を行う。
【0071】
なお、過電流の情報は、例えば、記憶部43に記憶されたポンプ装置1の識別番号、形式及び位置情報、過電流を検出した日時、警告内容である。警告内容とは、例えば、複数の閾値に応じた内容であり、例えば、過電流と判断したときの電流値、当該電流値に対応する閾値、及び、過電流と判断したときの電流値に基づいて想定されるポンプ21やモータ22の状態である。また、外部端末90へ送信する過電流の情報のうち、警告内容は、過電流の電流値が超えた複数の閾値の中で最も値が高い閾値に対応する警告内容である。具体例として、検出した電流値が第2閾値以上である場合の警告の内容としては、例えば、検出した電流値、当該電流が第2閾値を超えた旨の情報、及び、ポンプ21が完全に固着していると想定される、等といったような、ユーザ及び管理者がポンプユニット12の状態を確認できる内容である。
【0072】
(2)の機能は、(1)の機能でモータ22にモータ22が損傷する虞のある過電流が生じていると判断した場合であって、且つ、火災判断機器301によるポンプユニット12の起動信号の発報がない場合、モータ22を保護する機能である。ここで、損傷とは、例えば、過電流がモータ22に生じ続けることによる焼損等である。
【0073】
(2)の機能の具体例を以下説明する。(2)の機能の具体例として、先ず、制御部41は、(1)の機能で、モータ22に過電流が生じていると判断した場合に、モータ22の過電流を確認する。例えば、制御部41は、モータ22に生じている過電流の電流値が、モータ22が損傷する虞があり、モータ22の保護が必要な電流値であるか否かを判断する。本実施形態においては、モータ22の保護が必要な電流値とは、過電流と判断した電流値が第2閾値以上である場合であり、第2閾値よりも低い値の閾値の場合を除く例を用いて説明する。
【0074】
例えば、制御部41は、(1)の機能で判断したモータ22の過電流が第2閾値未満であるか否かを判断する。制御部41は、モータ22の過電流の電流値が第2閾値未満である場合であって、且つ、火災判断機器301によるポンプユニット12の起動信号の発報がない場合には、制御部41は、モータ22の損傷の虞がないとして、モータ22への通電を継続する。次回以降、ポンプユニット12を運転する指令があった場合には、モータ22に通電を行い、ポンプユニット12を運転させる。ここで、モータ22に通電を行う指令とは、例えば、手動又はプログラム等による自動の指令の双方を含み、例えば、定期点検や維持運転等のポンプユニット12を運転するための指令である。
【0075】
制御部41は、モータ22の過電流の電流値が第2閾値未満以上である場合であって、且つ、火災判断機器301によるポンプユニット12の起動信号の発報がない場合には、モータ22の損傷の虞があるとして、モータ22への通電を停止する。次回以降、過電流が解決していない限り、火災判断機器301によるポンプユニット12の起動信号の発報がない場合には、ポンプユニット12を運転する指令があった場合であっても、モータ22への通電を行わない。
【0076】
(3)の機能は、(1)の機能でモータ22にモータ22が損傷する虞のある過電流が生じていると判断した場合であっても、火災が発生していると判断した場合にモータ22に通電を行う機能である。
【0077】
(3)の機能の具体例を以下説明する。(3)の機能の具体例として、先ず、制御部41は、(1)の機能でモータ22にモータ22が損傷する虞のある過電流が生じていると判断した場合であって、火災判断機器301から発報されたポンプユニット12の起動信号を受信している場合、過電流のレベルのいずれであっても、モータ22に通電を継続する。
【0078】
さらに、制御部41は、モータ22に過電流が生じた場合であって、且つ、検出した電流値が第2閾値以上であった場合には、ポンプ21の回転体が固着していると判断して、固着解除運転として、モータ22の通電及び通電の停止を繰り返し行う。例えば、モータ22の通電及び通電の停止は、モータ22の電流値が第2閾値よりも低くなるか、又は、記憶部43に予め記憶されたポンプ21の固着を解消させる運転におけるモータ22への通電及び停止の回数を超えるまで繰り返し行われ、第2閾値よりも低くなるか、又は、記憶部43に予め記憶されたポンプ21の固着を解消させる運転におけるモータ22への通電及び停止の回数を超えた場合には、制御部41は、モータ22へ通電を継続して行う。
【0079】
このように構成された消火設備100に用いられるポンプ装置1によれば、制御部41がモータ22に通電したときの電流値及び記憶部43に記憶された異常時にモータ22に生じる電流値である閾値と比較することで、モータ22に異常が生じているか否かを判断できる。また、制御部41は、モータ22に異常と判断したときであって、通電することで、モータ22に損傷が生じる虞がある場合には、換言すると、第2閾値以上の電流値である他の閾値の電流値がモータ22に流れた場合には、点検運転や維持運転等の運転を行わない。これにより、損傷の虞がある過電流がモータ22に流れることで、モータ22が損傷することや、モータ22から出火することを防止できる。
【0080】
また、制御部41は、火災判断機器301からポンプユニット12の起動信号が発報された場合、即ち、火災時においては、過電流がモータ22に流れる場合であっても、放水手段201へ水を供給することを優先する。これらのように、ポンプ装置1は、通常時は、モータ22の保護及び過電流による災害発生の防止を優先し、火災時にはモータ22の保護よりも消火を優先することができる。
【0081】
また、制御部41は、モータ22に生じた電流値が過電流である場合には、過電流の情報を報知部44及び外部端末90を介して警告することができる。このため、例えば、ユーザや管理者に、過電流が生じている旨及び過電流の状況によってはメンテナンスや修理の情報等を警告することができる。即ち、外部に異常状態及びその内容を報知することができることから、ポンプ装置1は、ポンプ21の回転体の固着によって、火災時にポンプユニット12の駆動ができないこと、及び、ポンプ21の回転体の固着時におけるモータ22への通電によりモータ22が損傷することを防止できる。
【0082】
また、例えば、制御部41は、モータ22の損傷の虞がないか、又は、少ない過電流、例えば第1閾値程度の過電流の場合には、運転可能としつつ、外部に対して警告を行うことから、検出した電流値と第1閾値に対応する情報として、モータ22やポンプ21の交換やメンテナンスの推奨時期を設定することで、ユーザや管理者のメンテナンス等の管理を容易とすることもできる。
【0083】
さらに、記憶部43に記憶された複数設けられた閾値のうち、最も高い値である第2閾値をユーザが変更できない構成とした。この構成とすることで、ポンプ21の回転体が固着しているといった状態で通電することでモータ22に過電流が生じ、モータ22の損傷や火災時のポンプユニット12の運転不可といった問題が発生することや、ユーザが誤った閾値を設定することを防止できる。
【0084】
また、制御部41は、過電流時における検出した電流値が第2閾値以上である場合に、ポンプ21が固着していると判断し、ポンプ21の固着解消運転として、モータ22に通電及び通電の停止を繰り返し行う。これにより、万が一ポンプ21が固着しているときであって、且つ、火災が発生したときに、自動でポンプ21の固着を極力解消し、ポンプユニット12の二次側に給水できる可能性を向上させることができる。
【0085】
上述したように本発明の一実施形態に係るポンプ装置1によれば、損傷する虞のある過電流がモータ22に生じていると判断した場合には、火災時のみモータ22に通電する構成とすることでモータ22の損傷を防止しつつ、火災時においてはポンプ21の駆動を優先することができる。
【0086】
(他の実施形態)
次に、本発明の他の実施形態に係るポンプ装置1を以下説明する。他の実施形態に係るポンプ装置1は、上述した一実施形態に係るポンプ装置1の制御部41が有する(1)乃至(3)の機能に加えて、さらに、以下の(4)乃至(6)の機能を有する。
【0087】
具体的には、記憶部43には、さらに、特定の運転である点検運転を行うまでの所定の時間、及び、点検運転時におけるポンプユニット12の評価を行う値が閾値として記憶されている。ここで、点検運転とは、ポンプユニット12の駆動停止を伴う定期的なポンプユニット12の点検である。ポンプユニットの点検運転は、例えば、複数設定される。よって、複数の点検運転を行うまでの所定の時間である閾値は、記憶部43に複数記憶される。
【0088】
具体例として、点検運転は、第1点検運転と、第2点検運転と、を含む。第1点検運転は、例えば、手動で行われる点検である。第1点検運転は、例えば、消火ポンプ装置に義務付けられた法定点検である。第1点検運転は、例えば、前回の第1点検運転から所定の時間経過したときに行うことが求められる。換言すると、一年に一回といったように、所定の期間毎に点検を行う回数が定められた法定点検である。または、第1点検運転は、例えば、前回の第1点検運転から、制御盤18に通電された時間の積算値が所定の時間を経過したときに行うことが定められる。例えば、第1点検運転は、ユーザが入力装置42を操作して第1点検運転の指令を入力する度行われる。例えば、第1点検運転は、ポンプユニット12を所定の時間駆動し、締切り運転時の締切揚程、締切り運転時のモータ22へ供給された電圧及び電流、定格負荷運転時の定格揚程、並びに、定格負荷運転時のモータ22へ供給された電圧及び電流を検出する。また、第1点検運転時において、例えば、定格負荷運転時に自動開閉弁15を開き、排水管15aを介して水を排水する。なお、第1点検運転の締切り運転の開始前及び終了後においても、自動開閉弁15を開き、水を排水してもよい。
【0089】
第2点検運転は、手動又は自動で行われる点検であり、例えば、自主点検や維持運転である。第2点検運転は、例えば、前回の第2点検運転からのポンプユニット12の停止時間、より具体例としては、前回の第2点検運転からのモータ22へ通電していない時間の積算時間が所定の時間を経過する前に手動で行うか、又は、同積算時間が所定の時間を経過したときに自動で行うことが求められる。例えば、第2点検運転は、ユーザが入力装置42を操作してポンプユニット12を駆動するか、又は、制御部41がポンプユニット12を駆動することで行われる。例えば、第2点検運転は、締切り運転時の締切揚程、締切り運転時のモータ22へ供給された電圧及び電流を検出する運転である。なお、第2点検運転の締切り運転の開始前及び終了後において、自動開閉弁15を開き、水を排水してもよい。
【0090】
また、複数の点検運転を行うまでの所定の時間である複数の閾値は、第3閾値と、第4閾値と、第5閾値と、を含む。第3閾値は、前回の第1点検運転後から次の第1点検運転を行うまでのポンプユニット12の時間として設定される。第4閾値は、前回の第2点検運転後から次回の第2点検運転を行うまでのポンプユニット12の時間として設定される。
【0091】
第5閾値は、各点検運転において検出される検出値の正常値として設定される。例えば、第5閾値は、ポンプユニット12が正常時における締切り運転時の締切揚程、締切り運転時のモータ22へ供給された電圧及び電流、定格負荷運転時の定格揚程、並びに、定格負荷運転時のモータ22へ供給された電圧及び電流である。
【0092】
また、記憶部43は、例えば、複数の閾値のいずれかを書き換え不可として記憶する。例えば、記憶部43は、第3閾値がポンプ装置1を製造したメーカで記憶された後、書き換えが不可に設定され、そして、第4閾値が入力装置42で入力された値に書き換え可能に設定される。なお、記憶部43の第3閾値及び第4閾値の書き換えに関する設定は、例えば、記憶部43に記憶されたプログラム等を制御部41が処理することで設定される。
【0093】
記憶部43には、例えば、各点検運転におけるポンプユニット12の制御プログラム等が記憶されている。さらに、記憶部43には、各点検運転の情報及び結果、並びに、点検運転の警告を送信する外部に設けられた外部端末90の情報等が記憶されている。
【0094】
また、制御部41は、以下の(4)乃至(6)の機能を有している。
【0095】
(4)ポンプユニット12の第1点検運転を行い、外部に第1点検運転の状況を送信する機能。
【0096】
(5)ポンプユニット12の第2点検運転を行い、外部に第2点検運転の状況を送信する機能。
【0097】
(6)点検運転の警告を行う機能。
【0098】
次に、制御部41が有する(4)乃至(6)の機能について説明する。
(4)の機能は、入力装置42により第1点検運転を行う指令が入力されたときに、ポンプユニット12を所定の時間第1点検運転するとともに、ポンプユニット12の運転により検出された検出値と第5閾値に基づいて、ポンプユニット12が正常か否かを判断する機能である。また、(4)の機能は、第1点検運転の情報、及び、第1点検運転の結果等の第1点検運転の状況を外部端末90に送信する機能である。
【0099】
(4)の機能の具体例を以下説明する。(4)の機能の具体例として、先ず、制御部41は、入力装置42により第1点検運転を行う指令が入力されたか否かを判断する。そして、入力装置42により第1点検運転を行う指令が入力されたと判断した場合には、制御部41は、記憶部43に記憶されたポンプユニット12の制御プログラムに基づいて締切り運転及び定格負荷運転によりポンプユニット12を所定の時間運転する。
【0100】
そして、制御部41は、締切り運転時に圧力検出器13bで検出された締切揚程(圧力)、締切り運転時のモータ22へ供給された電圧及び電流、定格負荷運転時に圧力検出器13bで検出された定格揚程、並びに、定格負荷運転時のモータ22へ供給された電圧及び電流を検出する。そして、制御部41は、第5閾値と検出された各検出値とを比較し、検出値が正常値であるか否かを判断し、機器損傷の虞がある値、例えば電流が正常ではない場合にはモータ22への通電を停止する。
【0101】
制御部41は、第1点検運転の情報及び結果を記憶部43に記憶する。第1点検運転の情報とは、例えば、カレンダー機能及び時計機能で検出した第1点検運転を行った日時、前回第1点検運転を行ったときから第1点検運転を行うまでにカウンタ機能でカウントした時間の積算値、及び、前回第1点検運転を行った日からの経過日数等である。また、第1点検運転の結果とは、第1点検運転中に検出された圧力、電圧及び電流等の各検出値、検出値が正常値であるか否かの判断結果等である。
【0102】
制御部41は、第1点検運転の情報及び第1点検運転の結果を、通信部45により外部端末90へ送信する。具体例として、制御部41は、第1外部端末91及び第2外部端末92へ第1点検運転の情報及び第1点検運転の結果を送信する。
【0103】
また、制御部41は、第1点検運転を行うとき又は行った後に、前回第1点検運転を行ったときから第1点検運転を行うまでにカウンタ機能でカウントした前回の第1点検運転から経過した経過時間をリセットする。
【0104】
(5)の機能は、入力装置42により第2点検運転を行う指令が入力されるか、又は、カウンタ機能でカウントしたポンプユニット12の停止時間の積算値が第4閾値を超えたときに、ポンプユニット12を所定の時間第2点検運転するとともに、ポンプユニット12の運転により検出された検出値と第5閾値に基づいて、ポンプユニット12が正常か否かを判断し、機器損傷の虞がある値、例えば電流が正常ではない場合にはモータ22への通電を停止する機能である。また、(5)の機能は、第2点検運転の情報、及び、第2点検運転の結果等の第1点検運転の状況を外部端末90に送信する機能である。
【0105】
(5)の機能の具体例を以下説明する。(5)の機能の具体例として、先ず、制御部41は、入力装置42により第2点検運転を行う指令が入力されたか否かの判断をする。入力装置42により第2点検運転を行う指令が入力された場合には、制御部41は、記憶部43に記憶されたポンプユニット12の制御プログラムに基づいて締切り運転によりポンプユニット12を所定の時間運転する。
【0106】
また、入力装置42により第2点検運転を行う指令が入力されていないと判断した場合には、前回の第2点検運転後にカウンタ機能でカウントしたポンプユニット12の停止時間の積算値が第4閾値を超えたか否かの判断をする。前回の第2点検運転後にカウンタ機能でカウントしたポンプユニット12の停止時間の積算値が第4閾値を超えたと判断した場合には、制御部41は、記憶部43に記憶されたポンプユニット12の制御プログラムに基づいて締切り運転によりポンプユニット12を所定の時間運転する。
【0107】
そして、制御部41は、締切り運転時に圧力検出器13bで検出された締切揚程(圧力)、並びに、締切り運転時のモータ22へ供給された電圧及び電流を検出する。そして、制御部41は、第5閾値と検出された各検出値とを比較し、検出値が正常値であるか否かを判断する。
【0108】
制御部41は、第2点検運転の情報及び結果を記憶部43に記憶する。第2点検運転の情報とは、例えば、カレンダー機能及び時計機能で検出した第2点検運転を行った日時、前回第2点検運転を行ったときから第2点検運転を行うまでにカウンタ機能でカウントした停止時間の積算値、及び、前回第2点検運転を行った日からの経過日数等である。また、第2点検運転の結果とは、第2点検運転中に検出された圧力、電圧及び電流等の各検出値、検出値が正常値であるか否かの判断結果等である。
【0109】
制御部41は、第2点検運転の情報及び第2点検運転の結果を、通信部45により外部端末90へ送信する。具体例として、制御部41は、第1外部端末91へ第2点検運転の情報及び第2点検運転の結果を送信する。
【0110】
また、制御部41は、第2点検運転を行うとき又は行った後に、前回第2点検運転を行ったときから第2点検運転を行うまでにカウンタ機能でカウントした停止時間の積算値をリセットする。
【0111】
(6)の機能は、点検運転に関する警告を行う機能であり、具体的には、点検運転を所定の時間行っていない場合に、点検運転を促す情報を外部に報知する機能である。
【0112】
(6)の機能の具体例を以下説明する。(6)の機能として、先ず、制御部41は、手動で行う点検運転、具体例として、少なくとも、ユーザが変更できない第3閾値が設定された第1点検運転の前回第1点検運転を行ったときにポンプユニット12を停止してから、カウンタ機能でカウントした経過した経過時間、及び、当該積算値及び第3閾値から求められる第1点検運転を行うまでの残り時間の少なくとも一方、好ましくは双方を求める。そして、制御部41は、当該経過時間及び第1点検運転を行うまでの残り時間の少なくとも一方、好ましくは双方の情報を報知部44に表示する。
【0113】
また、制御部41は、前回第1点検運転を行ったときからカウンタ機能でカウントした経過時間が第3閾値を超えたか否かを判断する。前回第1点検運転を行ったときから、カウンタ機能でカウントした経過時間が第3閾値を超えた場合には、制御部41は、第1点検運転が必要と判断する。制御部41は、第1点検運転を行う旨の警告を報知部44により表示することで、警告を行う。
【0114】
加えて、制御部41は、第1点検運転を行う旨の警告及び記憶部43に記憶されたポンプ装置1の識別番号、形式、位置情報を、少なくとも第2外部端末92へ、好ましくは、第1外部端末91及び第2外部端末92へ当該情報を送信する。即ち、制御部41は、ユーザ及び管理者に、第1点検運転を行う必要がある旨の警告と、第1点検運転を行うポンプ装置1の情報を送信する。
【0115】
なお、制御部41が警告を行う警告先は、記憶部43にあらかじめ記憶された、外部端末90の情報に基づいて送信される。なお、制御部41が警告を行う警告先は、一部がユーザによる書き換えが不可に設定される。本実施形態においては、警告先として少なくとも管理者の第2外部端末92をユーザが書き換えることができないように設定される。
【0116】
このように構成されたポンプ装置1によれば、(4)乃至(6)の機能により、さらに、報知部44又は外部端末90に点検運転後のポンプユニット12の停止時間の積算値が閾値を超えた場合に制御部41が警告を表示させることで、点検運転を促すことができる。
【0117】
この効果を具体的に説明すると、ポンプ装置1は、手動で行われる第1点検機能を行った後、次回第1点検機能を行うまでの経過時間を積算する。そして、積算したポンプユニット12の経過時間が第3閾値を超えた場合に、ユーザの第1外部端末91及びメーカや管理機関等の管理者の第2外部端末92へ積算した経過時間が第3閾値を超えた情報を送信する。これにより、ユーザ並びにメーカ及び管理機関等の管理者へ、所定の時間が経過しても第1点検運転が未実施であり、第1点検運転を要する状態であることが警告できる。即ち、ユーザ及び管理者が第1点検機能の実施の有無を把握できる。特に第1点検運転は、手動で行われる点検運転であることから、点検運転の実施を忘れる虞があるところ、ポンプ装置1の構成によれば、点検運転の実施を啓蒙すること、及び、管理者が点検運転の遵守を指示することができる。
【0118】
また、第1点検運転が法定点検運転のような義務化された運転である場合には、実施をユーザに通知できること、及び、管理者がユーザの管理又は監視を行うことができることから、点検運転を促すことができる。特に、ポンプ装置1が消火ポンプ装置である場合には、長時間の停止によりポンプ装置1が錆やスケール等によって固着し、火災時にポンプ装置1が起動できなくなることを抑制できる。また、ポンプ装置1が起動不可の状態となることを抑制できることから、過電流がモータ22に流れることを防止できる。
【0119】
また、制御部41は、第1点検運転及び第2点検運転の情報及び結果をユーザ及び管理者へ送信することから、ユーザ及び管理者が点検状況を把握できる。
【0120】
また、制御部41は、入力装置42により第2点検運転を行う指令が入力されるか、又は、前回の第2点検運転後にカウンタ機能でカウントしたポンプユニット12の停止時間の積算値が第4閾値を超えた場合には、第2点検運転を行う。特に、入力装置42により第2点検運転を行う指令が入力されなくても、前回の第2点検運転後にカウンタ機能でカウントしたポンプユニット12の停止時間の積算値が第4閾値を超えた場合に第2点検運転を行うことで、法定点検等の第1点検運転よりも短い期間でポンプ装置1を運転することになる。これにより、ポンプ21内に錆やスケール等が付着することを極力抑制できることから、ポンプユニット12の寿命を向上できるとともに、火災時にポンプ装置1が故障していることを極力抑制できる。
【0121】
さらに、制御部41は、第1点検運転及び第2点検運転等の点検運転が行われると、前回点検運転した後の経過時間又はポンプユニット12の停止時間の積算値をリセットすることから、積算値のリセット忘れを防止できる。
【0122】
上述したように、本発明の他の実施形態に係るポンプ装置1によれば、上述した一実施形態に係るポンプ装置1の効果に加えて、点検運転を促すことができる。
【0123】
なお、本発明は上述した2つの実施形態に限定されない。例えば、上述した例では、検出された電流値が第2閾値以上であって、且つ、火災判断機器301からポンプユニット12の起動信号が発報された場合に、モータ22に通電及び通電の停止を繰り返し行う例を説明したがこれに限定されない。例えば、検出された電流値が第2閾値以上であった場合であって、且つ、火災判断機器301からポンプユニット12の起動信号が発報されていないときに、ポンプ21の固着を解消させる運転としてモータ22への通電及び通電の停止を繰り返し行う構成としてもよい。このような構成とした場合には、ポンプ21の固着を解消させる運転を行うとともに、モータ22の電流値を検出し、検出した電流値が第2閾値よりも下がるか、又は、記憶部43に予め記憶されたポンプ21の固着を解消させる運転におけるモータ22への通電及び停止の回数を超えたら、ポンプ21の固着を解消させる運転を停止する構成としてもよい。モータ22への通電及び停止の回数を設定することで、固着した状態で通電時に発生する過電流によりモータ22が損傷することを防止できる。
【0124】
また、上述した例では、ポンプ装置1は、カレンダー機能、時計機能及びカウンタ機能を有する構成を説明したがこれに限定されない。例えば、カレンダー機能は、バッテリの電力消費量が増加し、また、ポンプ装置1のコストアップとなることから、ポンプ装置1は、カレンダー機能を有さない構成としてもよい。このようなポンプ装置1とした場合には、上述の過電流の情報、点検運転の情報及び結果等については、経過日数や点検日等については含めずに、時計機能及びカウンタ機能により求めた経過時間や停止時間等の時間の情報だけとすればよい。また、同様に、時計機能を有さずに、カウンタ機能によって、ポンプユニット12の停止時間の積算値のみを求める構成としてもよい。さらに、時計機能及びカウンタ機能を有さず、カレンダー機能のみを設け、停止時間の代わりに停止日数を積算するとともに、点検運転の情報及び結果は、経過日数、停止日数及び点検日といったように、日付だけの情報としてもよい。
【0125】
また、上述した例では、消火設備100としてスプリンクラー211が設けられる構成を説明したが、スプリンクラー211は、スプリンクラヘッド211bに閉塞弁が設けられ、火災時に開放する構成であっても、常時開放するいわゆる開放型であってもよい。例えば、開放型のスプリンクラヘッド211bを用いる場合には、開閉弁をスプリンクラー211に設け、そして、第1点検運転及び第2点検運転を手動により行い、点検運転を行うときに開閉弁を閉じる構成とすればよい。また、消火設備100はスプリンクラー211ではなく、泡消火設備や水噴霧消火設備を用いる構成であってもよい。
【0126】
また、上述した例では、自動開閉弁15を設け、開閉することで排水口15bに排水可能な例を説明したが、例えば、自動開閉弁15の開閉は、ウォーターハンマー防止のために、徐々に開度を増加又は減少させる開閉としてもよい。
【0127】
また、上述した例では、第1点検運転である定期点検を行う経過時間をカウンタ機能でカウントすることで求める構成を説明したが、経過時間のカウント方法は適宜設定可能である。例えば、法令で定められた期間内に定期点検を確実に行えれば経過時間は、制御部41への通電時間の積算値で推定してもよく、また、カレンダー機能によって日数をカウントする構成であってもよい。
【0128】
また、上述した例に加えて、予め締切時の電流値を記憶部43に記憶しておき、ポンプ21の回転体が固着している場合には、検出されたモータ22の電流値が記憶部43に記憶された電流値よりも大きな値となった場合に、ポンプ21が固着していると判断する機能を有していてもよい。また、例えば、ポンプ21の固着等の不具合を判断する機能として、自動開閉弁15を開放状態で運転し、徐々に自動開閉弁15を閉じるとともに、自動開閉弁15を閉じた状態で圧力を検出し、予め記憶部43に記憶された締切時の圧力よりも検出した圧力が低い場合には、ポンプ21の固着を判断する構成であってもよい。即ち、自動開閉弁15が閉じられていれば、ポンプ21の駆動に伴いポンプユニット12の二次側の圧力が上昇するため、ポンプ21の駆動の有無が確認できる。
【0129】
また、上述した例では、記憶部43に記憶された第3閾値が書き換え不可に設定される例を説明したがこれに限定されない。例えば、前回の第2点検運転後から次回の第2点検運転を行うまでのポンプユニット12の時間として設定された第4閾値を、例えば、メーカが所定の期間で必要と考える第2点検運転の回数として設定し、予め記憶部43に書き換えできないように記憶されていてもよい。
【0130】
また、上述した例では、流水検知器314は配管501に設ける例を説明したが、流水検知器314はポンプユニット12の二次側であれば良く、ポンプ装置1に設ける構成であっても良い。
【0131】
また、上述した例では、流水検知器314は、所定の流量又は流速の水が流れた場合に、内部に設けられたスイッチが作動し、制御盤18にポンプユニット12の起動信号を発報する例を説明したが、これに限定されない。例えば、所定の流量又は流速を差圧等により検出し、制御盤18に流量値の信号を送り、記憶部43に予め記憶された流量の閾値を超えた場合にポンプユニット12を起動する構成であっても良い。
【0132】
また、上述した例では、複数の電流値の閾値を記憶させる例を説明したが、モータ22に供給する電流値が前記閾値を超えた場合に警告を行い、閾値毎に異なる警告を行う構成としてもよい。これにより、過電流の程度が明確になり、モータ22が損傷する前に対策を講じることができる。
【0133】
また、上述した例では、火災判断機器301からポンプユニット12の起動信号が発報された場合、過電流がモータ22に流れる場合であっても、放水手段201へ水を供給することを優先する例を示したが、火災が発生していない場合でも起動信号を送る可能性が高い火災判断機器301に対しては、過電流によるモータ22の保護を行う構成としてもよい。例えば、火災判断機器301を、火災が発生していない場合に起動信号を送る可能性が高いものと、火災が発生していない場合に起動信号を送る可能性が低いものとに分け、火災が発生していない場合に起動信号を送る可能性が低い火災判断機器301から制御盤18へポンプユニット12の起動信号が送られ、過電流がモータ22に流れた場合、モータ22への通電を停止し保護を行い、制御部41により外部へ警告を行う構成としてもよい。また、例えば、火災判断機器301からの起動信号が、圧力検出器33のみ、又は、流水検知器314のみ、又は、圧力検出器33及び流水検知器314両方のいずれかであり、過電流がモータ22に流れた場合、モータ22への通電を停止し保護を行い、制御部41により外部へ警告を行う構成としてもよい。これにより、火災発生の可能性の低い場合において、過電流によるモータや制御盤の損傷や、過電流による火災の発生を防止することができると共に、過電流の発生を警告することでユーザや管理者へ注意を促すことができる。
【0134】
また、上述した例では、非火災時でも起動信号を送る可能性が高い火災判断機器301の起動信号によるポンプユニット12の起動に対し過電流保護を行う構成を説明したが、更に、どの火災判断機器301からの起動信号によりポンプユニット12が起動したかを警告することで、非火災時の起動信号発報の原因特定に活かすことができる。上述した例では、圧力検出器33や流水検知器314は信号線99を介して制御盤18に繋げる構成を説明したが、例えば、それぞれの信号線99を異なる端子部48に繋げ、どの端子からの起動信号によりポンプユニット12が起動したかを記憶部43で記憶することで、圧力検出器33と流水検知器314の起動信号を識別可能となり、起動信号の発生元を特定することができる。例えば、圧力検出器33や流水検知器314が起動信号を無線通信で行う場合には、起動信号に圧力検出器33や流水検知器314の識別情報を付加することで、起動信号の発生元を特定することができる。
【0135】
また、上述した例では、非火災時でも起動信号を送る可能性が高い火災判断機器301の起動信号によるポンプユニット12の起動に対し過電流保護を行う構成を説明したが、更に、モータ22への通電及び停止を繰り返す固着防止運転を組み合わせても良い。例えば、モータ22の通電及び通電の停止は、モータ22の電流値が記憶部43に予め記憶された閾値よりも低くなるか、又は、記憶部43に予め記憶されたポンプ21の固着を解消させる運転におけるモータ22への通電及び停止の回数を超えるまで行われ、制御部41は、モータ22の電流値が閾値よりも低くなる場合にはモータ22へ通電を継続し、予め記憶された通電及び停止の回数を超えてもモータ22の電流値が閾値よりも低くならない場合にはモータ22へ通電を停止する。これにより、非火災時でも起動信号を送る可能性が高い火災判断機器301の起動信号に対しても、できる限り過電流を解消し、ポンプユニット12を起動することができる。更に、制御部41は、通電及び停止により過電流が解消したか否かを外部へ警告することで、固着等が解消したか否かを外部へ伝えることができ、緊急度合いの把握や不具合の原因特定に活かすことができる。
【0136】
また、上述した例では、圧力検出器33をポンプ装置1に設ける例を説明したが、ポンプユニット12の二次側であり、且つ逆止弁13aの二次側であれば良く、配管501に設ける構成であっても良い。尚、圧力検出器33を圧力タンク14に設けた場合、圧力検出器33は流水の影響を受けにくいことから、より安定し精度の高い圧力検出が可能である。
【0137】
また、上述した例では、圧力検出器33を1つ設ける例を説明したが、圧力検出器33をタンク31へ複数並列に設ける構成としても良い。例えば、
図5に示すように、タンク31に圧力検出器33と異なる配管を介して圧力検出器34を取り付ける構成であっても良い。これにより、砂等の異物による目詰まりで圧力検出器33が発報したか否かを判断することができる。例えば、圧力検出器33からのみ圧力の低下を検出し制御盤18へポンプユニット12の起動信号を送った場合には、目詰まりが発生したと判断しモータ22への通電は行わず、圧力検出器33及び圧力検出器34から制御盤18へポンプユニット12の起動信号を送った場合には、火災が発生したと判断しモータ22へ通電を行う構成としてもよい。これにより、火災時以外の火災判断機器301によるポンプユニット12の起動を避けることができる。更に、モータ22へ通電しなかった情報を外部へ警告することにより、目詰まり等による圧力検出器33又は圧力検出器34の不具合を早期に発見することができる。
【0138】
また、上述した例では、電流の閾値を有する構成を記載したが、更に圧力の閾値を複数設けることで、非火災時に“火災判断機器301により制御盤18へポンプユニット12の起動信号が発報された情報”が防災センター等へ送られることを、できる限り抑制することができる。例えば、圧力の閾値において、最も低い圧力の閾値を下回った場合に起動信号を発報し、それ以外の閾値を下回った場合に起動信号を発報せず警告を行う構成としても良い。これにより、配管の漏水や異物の目詰まりによる緩やかな圧力低下をユーザや管理者に警告することができ、圧力低下により制御盤18へポンプユニット12の起動信号が入る前に異常を確認し対応することができる。また、複数の閾値と圧力検出器33が検出した圧力がいつ一致したかを記憶部43に記憶し、制御盤18に表示するか、外部へ警告することで、ユーザや管理者がその履歴を参照することができ、ユーザや管理者が圧力の低下傾向から漏水等の程度把握や原因特定に活かすことができる。
【0139】
また、上述した例では、“火災判断機器301により制御盤18へポンプユニット12の起動信号が発報された情報”を、端子部48を介して送信する例を示したが、これに限定されない。例えば、前述した情報を、通信部45を介して送信することで、より細かな状況を伝えることができると共に、使用する端子の数を減らすことができる。
【0140】
また、上述した例では、補助加圧装置101を有する構成を説明したがこれに限定されない。補助加圧装置101が無い場合には、配管からの漏水やタンク内の空気の溶け込みにより圧力が低下した場合、圧力検出器33が火災判断機器301として制御盤18へポンプユニット12の起動信号を送り、火災ではないにも関わらずポンプユニット12を起動してしまう虞がある。この場合、火災判断機器301の起動信号によりポンプユニット12が起動しているため、手動でポンプユニット12を停止させる必要があった。これを回避するため、制御盤18に複数の圧力の閾値を更に記憶させ、圧力検出器33が検出した圧力が、所定の圧力の閾値を下回った場合にモータ22へ通電し、配管内の圧力が上昇した後、圧力検出器33が検出した圧力が所定の閾値よりも高い閾値を超えた場合にモータ22への通電を自動で停止する構成としても良い。ここで、所定の閾値とは、例えば補助起動圧力と同じ値として設定される。また、所定の閾値よりも高い閾値とは、例えば補助停止圧力と同じ値として設定される。これにより、補助加圧装置101が無くとも配管の漏水やタンク内の空気の溶け込みによる圧力の低下を防ぐ、圧力維持運転を行うことができる。更に、火災判断機器301の一つである圧力検出器33から制御盤18へポンプユニット12の起動信号が発報され、モータ22への通電を行った場合において、圧力維持運転が行われたことを防災センター等の外部へ送信するか、送信自体を行わないことで、防災センター等が火災と誤認することを防ぐことができる。また、ポンプユニット12の起動頻度が増えることで、固着等による過電流の発生を少なくすることができる。また、圧力維持運転が行われたことを外部へ送信した場合、ユーザや管理者はポンプユニット12の圧力維持運転の頻度を把握することができ、頻度が高い場合には漏水の可能性が高い等、不具合の原因特定に活かすことができる。更に、圧力維持運転中であり、圧力検出器33により検出した圧力が所定の閾値以上の場合には火災が発生していないと判断し、モータ22の電流値が閾値よりも高い場合にモータ22への通電を停止させる構成としても良い。これにより、圧力維持運転中の過電流によるモータ22の損傷や発火等を防止することができる。尚、上述した圧力の所定の閾値はポンプ装置1が設置される現場毎に異なり、スプリンクラーや消火栓の仕様流量により異なる。このため、消火活動が行われるときに想定される流量とポンプ装置1の揚水性能から、圧力の所定の閾値を現場毎に決定することができる。
【0141】
また、上述した例では、補助加圧装置101を有さず、制御盤18に複数の圧力の閾値を更に記憶させる例を説明したがこれに限定されない。例えば、更に補助停止圧力まで回復すると想定される運転継続時間の閾値を記憶させる構成としても良い。即ち、圧力検出器33が検出した圧力が、所定の閾値を下回る場合にモータ22へ通電し、圧力維持運転が、あらかじめ記憶部43に記憶された時間の閾値以上の時間継続された場合に、モータ22への通電を停止する構成としても良い。これにより、補助加圧装置101が無くとも圧力維持運転を行うことができる。なお、所定の閾値とは、例えば補助起動圧力と同じ圧力として設定される。また、例えば、運転継続時間の閾値の代わりに、制御部41にタイマーを電気的に接続し、このタイマーによって設定されてもよい。
【0142】
また、上述した例では、補助加圧装置101が無く制御盤18に複数の圧力の閾値を更に記憶させ圧力維持運転を行う例を説明したが、この場合は圧力維持運転により流水検知器314が流水を検知する虞がある。このため、圧力検出器33と流水検知器314の起動信号を識別可能な構成とし、圧力維持運転中に圧力検出器33により検出した圧力が任意の閾値以上であれば、流水検知器314が流水を検知しても火災と判断せず、流水検知器314からの起動信号を受け付けない構成としても良い。
【0143】
これにより、漏水だけでなく、補助加圧装置101の不適切な設定による流水検知器314の誤検知も抑制することができる。尚、上述した圧力の任意の閾値はポンプ装置1が設置される現場毎に異なり、スプリンクラーや消火栓の仕様流量により異なる。このため、消火活動が行われるときに想定される流量とポンプ装置1の揚水性能から、圧力の任意の閾値を決定することができる。
【0144】
また、上述した例では、補助加圧装置101が無く制御盤18に複数の圧力の閾値を更に記憶させる例を説明したが、圧力検出器33が検出した圧力が最も低い圧力の閾値を下回る場合にはモータ22への通電を継続し、配管内の圧力が上昇した後も、モータ22への通電を自動では停止しない構成としても良い。即ち、圧力検出器33が検出した圧力が最も低い圧力の閾値を下回る場合は、火災が発生したと判断し、配管内の圧力が上昇してもポンプユニット12を停止させない。更に、上述した例では、圧力検出器33が検出した圧力が最も低い圧力の閾値と最も高い圧力の閾値以外を下回る場合にモータ22へ通電する例を説明したが、ポンプユニット12の起動に伴い配管内の圧力は上昇するため、このままでは圧力検出器33が検出した圧力が最も低い圧力の閾値まで下がることにより火災が発生したと判断することができない。このため、例えばタイマーを用いて数十秒間モータへの通電を遅らせる構成にすることで、最も低い圧力の閾値まで配管内の圧力が急速に下がるかどうかがわかり、火災による圧力低下かどうかを判断することができる。更に、圧力検出器33が検出した圧力が最も低い圧力の閾値を下回る場合には、“火災の理由で火災判断機器301により制御盤18へポンプユニット12の起動信号が発報された情報”を防災センター等の外部へ送信すると共に、過電流が発生したとしてもモータ22への通電を停止せず継続する構成としても良い。また、圧力検出器33が検出した圧力が最も低い圧力の閾値以外では過電流保護を行い、圧力検出器33が検出した圧力が最も低い圧力の閾値では過電流保護を行わない構成とすることで、漏水等による圧力低下時には過電流を防止しつつ配管の圧力を回復させると共に、起動頻度が増えるため固着等が防止でき、火災時には過電流保護よりも消火活動を優先した運転を行うことができる。
【0145】
また、上述した例では制御盤18が端子部48を有する構成を説明したが、端子部48が複数の異なる役割を持つ端子を有し、異なる火災判断機器301からの起動信号を異なる端子で受けることで、火災判断機器301からの起動信号を識別することができる。例えば、火災判断機器301を、火災が発生していない場合に起動信号を送る可能性が高いものと、火災が発生していない場合に起動信号を送る可能性が低いものとに分け、それぞれ異なる端子へ信号線99等を介して火災判断機器301に繋げることができる。これにより、例えば、圧力検出器33や流水検知器314等の、火災が発生していない場合に起動信号を送る可能性が高い火災判断機器301からの起動信号によるポンプユニット12の起動に対しては、過電流発生時にモータ22への通電を停止し、モータ22の損傷や発火を防止することができる。また、消火栓用手動起動装置312や遠隔起動装置313等の、火災が発生していない場合に起動信号を送る可能性が低い火災判断機器301からの起動信号によるポンプユニット12の起動に対しては、過電流発生時であってもモータ22への通電を継続し、できる限り消火活動を行うことができる。
【0146】
また、上述した例ではモータ22に通電したときに過電流と判断する電流値を閾値として記憶部43に記憶する例を説明したが、過電流と判断するまでの時間の閾値を更に設ける構成としても良い。例えば、時間の閾値をモータ22の始動電流が発生する時間より長くすることで、始動電流では検知せず固着等による過電流のみを検知することができる。
【0147】
また、上述した例では、火災判断機器301からの起動信号によりポンプユニット12が起動した後、手動でポンプユニット12を停止させる構成を説明したが、これに限定されない。例えば、管理センター等の外部から制御盤18へポンプユニット12の停止信号を送ることにより、モータ22への通電を停止し起動信号を解除させても良い。これにより、火災判断機器301からの起動信号が火災によるものではないと判明した場合に、できる限り早くポンプユニット12を停止させることができ、過電流等発生時にモータや制御盤の損傷や発火を防止することができる。また、管理センター等の外部からの停止信号によるモータ22への通電の停止は、モータや制御盤の損傷や発火の虞のある不具合が発生している場合にのみ行う構成であっても良い。これにより、管理センター等からの停止信号の誤送信に対し、ポンプユニット12の意図しない停止を極力減らすことができる。また、管理センター等の外部からの停止信号によるモータ22への通電の停止は、非火災時でも起動信号を送る可能性が高い火災判断機器301の起動信号によりポンプユニット12を起動した場合に限定しても良い。これにより、火災発生の可能性の低い場合において、過電流によるモータや制御盤の損傷や発火を防止することができる。
【0148】
また、上述した例では、点検運転の警告は、第1点検運転のみ行う構成を説明したがこれに限定されない。例えば、第2点検運転についても手動にて行う構成とし、第2点検運転を行った後ポンプユニット12の停止時間の積算値が第4閾値を超えたときに、(6)の機能により、制御部41が少なくともユーザの第1外部端末91へ、好ましくは第1外部端末91及び第2外部端末92へ、第2点検運転を行うことを要する旨の警告を行う構成としてもよい。
【0149】
また、上述した例では、点検運転として第1点検運転及び第2点検運転を含む例を説明したがこれに限定されず、点検運転は一つのみであってもよく、また、3以上の点検運転を含む構成であってもよい。また、特定の運転は点検運転に限定されず、また、手動で行う特定の運転を少なくとも一以上有するのであれば、特定の運転は自動による運転を含んでいても勿論よい。例えば、点検運転は、さらに第3点検運転を含む構成であってもよい。具体例として、第3点検運転は、外部端末90から点検運転を開始する指令が送信されると、通信部45が当該指令を受信し、制御部41がポンプユニット12を駆動する運転である。
【0150】
また、上述した例では、報知部44及び外部端末90へ点検運転の情報及び結果、並びに、警告を表示又は送信する構成を説明したがこれに限定されず、他の機器に警告を行う構成であってもよい。即ち、点検運転についての情報を、外部へ伝達可能であれば、その態様は適宜設定可能である。
【0151】
また、上述した例では、第2点検運転時に締切り運転を行う構成を示したが、これに限定されない。例えば、
図6に示すように、分岐管(排水管)15aに流量を検出可能な流量検出器61を設け、分岐管15aの流量を検出する構成としても良い。このような構成とすることで、流量検出器61により流量を検知し、所定の流量になるよう自動開閉弁15を開閉することができ、所定の流量における揚程、並びに、所定の流量におけるモータ22へ供給された電圧及び電流を検出することができる。
【0152】
また、上述した例では、第5閾値は、ポンプユニット12が正常時における締切り運転時の締切揚程、締切り運転時のモータ22へ供給された電圧及び電流、定格負荷運転時の定格揚程、並びに、定格負荷運転時のモータ22へ供給される電圧及び電流としたが、これに限定されない。即ち、第5閾値は、締切り運転時、及び、定格負荷運転時に限定されない。例えば、第5閾値は、ポンプユニット12が正常時における所定の流量で運転した場合の揚程、所定の流量で運転した場合のモータ22へ供給された電圧及び電流としても良い。
【0153】
また、上述した例では、第5閾値によりポンプユニット12が正常か否かを判断する構成としたが、第5閾値と異なる低い第6閾値を更に設けても良い。このような構成とする場合には、例えば、第5閾値は、ポンプユニット12が異常であるときに検出される値に設定され、そして、第6閾値は、点検運転は継続するが、将来的に異常となる虞のある値、換言すると、第5閾値よりも前記ポンプユニットの運転状況より正常である値に近く、例えば、電流に対しては第5閾値よりも小さい値に設定される。そして、制御部41は、検出された検出値が第5閾値を満たした場合には、ポンプユニット12が正常でなく、異常であると判断し、ポンプユニット12を停止させる。また、制御部41は、検出された検出値が第6閾値を満たさないか、又は、第6閾値を満たすとともに第5閾値を満たさない場合には点検運転を継続し、点検運転の結果等の点検運転の状況を外部端末90に送信しても良い。また、第6閾値を満たす場合には、報知部44及び外部端末90へ第6閾値を超えたことを示す情報、及び警告を表示し送信しても良い。例えば、圧力検出器33は、砂等の異物により検出部や検出部の一次側配管が目詰まりした場合や、ポンプユニット12の二次側の配管から水が漏れていた場合に、圧力が徐々に低下し所定の圧力以下となり、制御盤18へポンプユニット12の起動信号を送る虞がある。例えば、流水検知器314は、ポンプユニット12の二次側の配管から水が漏れている場合に流水を検知し、制御盤18へポンプユニット12の起動信号を送る虞がある。第6閾値を設けることにより、点検運転を継続しつつ、ポンプユニット12に異常が発生する前にユーザや管理者へ警告することができる。
【0154】
即ち、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明と同等の記載を付記する。
[1] モータ及びポンプを有し、末端又は中途部において閉鎖される配管に接続されるポンプユニットと、
前記モータに供給する電流値を過電流と判断する閾値を記憶する記憶部と、
前記モータに通電した電流値を検出するとともに、検出した前記電流値と前記閾値とを比較し、前記検出した電流値が前記閾値を超えた場合には、前記モータへの通電を停止する保護機能を有し、消火設備に設けられた火災判断機器から前記ポンプユニットの起動信号を受信した場合には、前記検出した電流値が前記閾値以上である場合であっても、前記モータへ通電を行う制御部と、
を備えるポンプ装置。
[2] 前記記憶部は、電流値の異なる複数の前記閾値を含み、前記複数の閾値により異なる警告を行う、[1]に記載のポンプ装置。
[3] 前記制御部は、前記検出した前記電流値が所定の前記閾値を超えた場合には前記保護機能として前記モータへの通電を停止し、前記検出した前記電流値が前記所定の閾値未満であり且つ前記所定の閾値よりも低い前記閾値を超えた場合には前記モータへの通電を維持する、[2]に記載のポンプ装置。
[4] 前記制御部は、前記火災判断機器から前記起動信号を受信し、且つ前記検出した電流値が前記閾値を超えた場合に、前記モータへの通電及び停止を繰り返し行い、前記モータへの通電及び停止が所定の回数を超えるか、又は前記検出した電流値が前記閾値を下回る場合に前記モータへの通電を継続する、[1]に記載のポンプ装置。
[5] 前記火災判断機器は複数設けられるとともに、少なくとも2種類以上に分類され、
前記制御部は、前記少なくとも2種類以上に分類された複数の前記火災判断機器のうち、所定の種類の前記火災判断機器から受信した前記起動信号により前記ポンプユニットを起動した場合であり、且つ前記検出した前記電流値が前記閾値を超えた場合に、前記モータへの通電を停止すると共に、外部へ警告を行う、[1]に記載のポンプ装置。
[6] 前記警告は、前記起動信号を送った前記火災判断機器の情報を含むことを特徴とする、[5]に記載のポンプ装置。
[7] 前記記憶部は、異なる複数の圧力の前記閾値を更に有し、
前記制御部は、圧力検出器が検出した圧力が最も低い前記閾値を下回った場合に前記モータへ通電し、それ以外の前記閾値を下回った場合には前記モータへ通電をせず外部へ警告を行う、[1]に記載のポンプ装置。
[8] 前記制御部は、前記火災判断機器からの前記起動信号を受信し、且つ前記検出した電流値が前記閾値を超えた場合に、前記モータへの通電及び停止を繰り返し行い、前記モータへの通電及び停止が所定の回数を超えた場合に前記モータへの通電を停止し、前記検出した電流値が前記閾値を下回る場合に前記モータへの通電を継続する、[5]に記載のポンプ装置。
[9] 圧力検出器が複数設けられ、
前記制御部は、一部の前記圧力検出器からのみ前記制御部へ前記起動信号が送られた場合に前記モータへの通電をせず前記外部へ警告を行い、全ての前記圧力検出器から前記制御部へ前記起動信号が送られた場合に前記モータへの通電を行う、[5]に記載のポンプ装置。
[10] 通信部を更に有し、
前記制御部は、前記モータへ通電しなかった情報を前記外部へ送信する、請求項7又は[9]に記載のポンプ装置。
[11] 通信部を更に有し、
前記制御部は、前記火災判断機器から前記起動信号を受信した情報を外部へ送信する、[1]に記載のポンプ装置。
[12] 前記記憶部は、異なる複数の圧力の前記閾値を更に有し、
前記制御部は、前記消火設備に設けられた圧力検出器が検出した圧力が、所定の圧力の前記閾値を下回った場合に前記モータへ通電し、前記検出した圧力が前記所定の閾値よりも高い前記閾値を超えた場合に前記モータへの通電を停止する、[1]に記載のポンプ装置。
[13] 前記記憶部は、複数の圧力の前記閾値を更に有し、
前記制御部は、前記消火設備に設けられた圧力検出器が検出した圧力が、所定の前記閾値を下回った場合に前記モータへ通電し、前記圧力が前記閾値を下回った状態が、あらかじめ前記記憶部に記憶された時間の閾値以上の時間継続された場合、若しくは電気的に接続したタイマーがあらかじめ設定した時間をカウントした場合に、前記モータへの通電を停止する、[1]に記載のポンプ装置。
[14] 前記制御部は、前記圧力検出器から受信した前記起動信号により前記ポンプユニットを起動した後、前記検出した電流値が前記閾値以上であり、且つ前記検出した圧力が所定の圧力の前記閾値以上である場合に、前記モータへの通電を停止する、[12]又は[13]に記載のポンプ装置。
[15] 前記制御部は、前記圧力検出器から受信した前記起動信号により前記ポンプユニットを起動した後、前記消火設備に設けられた流水検知器から前記起動信号を受信した場合、前記検出した圧力が所定の圧力の前記閾値以上であれば、前記流水検知器からの前記起動信号は受け付けない、[12]又は[13]に記載のポンプ装置。
[16] 前記制御部は、複数の端子を持つ端子部を有し、
前記火災判断機器を少なくとも2種類以上の種類に分類し、前記種類毎に前記火災判断機器を異なる前記端子へ繋げる、[1]に記載のポンプ装置。
[17] 前記制御部は、端子部若しくは通信部の少なくとも1つ以上を有し、
前記制御部は、前記火災判断機器から前記起動信号を受信した場合に、前記モータへの通電を行い、外部から停止信号を受信した場合に、前記モータへの通電を停止する、[1]に記載のポンプ装置。
[18] 前記制御部は、前記検出した前記電流値が前記閾値を超えており、且つ外部から停止信号を受信した場合に、前記モータへの通電を停止し、前記検出した前記電流値が前記閾値を超えておらず、且つ外部から停止信号を受信した場合に、前記モータへの通電を継続する、[17]に記載のポンプ装置。
[19] モータ及びポンプを有し、末端又は中途部において閉鎖される配管に接続されるポンプユニットの前記モータに供給する電流値を過電流と判断する閾値を記憶する記憶部と、
前記モータに通電した電流値を検出するとともに、検出した前記電流値と前記閾値とを比較し、前記検出した前記電流値が前記閾値以上である場合には、前記モータへの通電を停止する保護機能を有し、消火設備に設けられた火災判断機器から前記ポンプユニットの起動信号を受信した場合には、前記検出した前記電流値が前記閾値以上である場合であっても、前記モータへ通電を行う制御部と、
を備える制御盤。
[20] モータ及びポンプを有し、末端又は中途部において閉鎖される配管に接続されるポンプユニットの前記モータに供給する電流値を過電流と判断する閾値を記憶する記憶部と、
前記モータに通電した電流値を検出するとともに、検出した前記電流値と前記閾値とを比較し、前記検出した前記電流値が前記閾値以上である場合には、前記モータへの通電を停止する保護機能を有し、消火設備に設けられた火災判断機器から前記ポンプユニットの起動信号を受信した場合には、前記検出した前記電流値が前記閾値以上である場合であっても、前記モータへ通電を行う制御部と、
前記記憶部及び前記制御部が実装された基板と、
を備える制御基板。
【符号の説明】
【0155】
1…ポンプ装置、11…ベース、12…ポンプユニット、13…吐出管、13a…逆止弁、13b…圧力検出器、14…圧力タンク、15…自動開閉弁、15a…分岐管(排水管)、15b…排水口、16…温度検出器、17…呼水槽、17a…配管、17b…逃がし管、18…制御盤、21…ポンプ、21a…吸込口、21b…吐出口、22…モータ、31…タンク、32…圧力計、33…圧力検出器、34…圧力検出器、41…制御部、42…入力装置、43…記憶部、44…報知部、45…通信部、46…制御基板、47…筐体、48…端子部、90…外部端末、91…第1外部端末、92…第2外部端末、99…信号線、100…消火設備、101…補助加圧装置、111…補助ポンプユニット、112…圧力タンク、113…圧力検出器、114…呼水槽、115…制御盤、121…補助モータ、122…補助ポンプ、123…連結管、131…記憶部、132…制御部、201…放水手段、211…スプリンクラー、211a…配設管、211b…スプリンクラヘッド、212…消火栓、212a…消火栓箱、212b…ホース、212c…ノズル、213…連結送水管、301…火災判断機器、311…火災報知器、312…消火栓用手動起動装置、313…遠隔起動装置、314…流水検知器、315…消火栓用連動装置、401…給水源、501…配管。