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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-21
(45)【発行日】2023-08-29
(54)【発明の名称】検出装置および状態特定装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 27/02 20060101AFI20230822BHJP
   B60R 22/48 20060101ALI20230822BHJP
   B60R 22/12 20060101ALI20230822BHJP
【FI】
G01R27/02 A
B60R22/48 106
B60R22/12
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020566016
(86)(22)【出願日】2019-01-16
(86)【国際出願番号】 JP2019001099
(87)【国際公開番号】W WO2020148827
(87)【国際公開日】2020-07-23
【審査請求日】2022-01-14
(73)【特許権者】
【識別番号】517457137
【氏名又は名称】POSH WELLNESS LABORATORY株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】根武谷 吾
【審査官】小川 浩史
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-136304(JP,A)
【文献】特開2017-19342(JP,A)
【文献】特開2011-33359(JP,A)
【文献】米国特許第4878226(US,A)
【文献】特開平11-295368(JP,A)
【文献】国際公開第2018/037855(WO,A1)
【文献】特開2014-185924(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0231207(US,A1)
【文献】特公昭51-29414(JP,B1)
【文献】特開平5-203512(JP,A)
【文献】特開2002-236059(JP,A)
【文献】国際公開第2009/144490(WO,A1)
【文献】特表2014-523606(JP,A)
【文献】特開2015-186394(JP,A)
【文献】特開2008-132010(JP,A)
【文献】特開2018-173305(JP,A)
【文献】国際公開第2020/148828(WO,A1)
【文献】特許第7240753(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 27/02
A61B 5/11
B60R 22/48
B60R 22/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列に接続された複数の抵抗体のそれぞれのインピーダンスを検出する検出装置であって、
長手方向において前記複数の抵抗体を有するように、一体の帯状に形成されている帯状抵抗体と、
長手方向において前記帯状抵抗体を前記複数の抵抗体に分割する位置に接続されている電気配線に接続されており、抵抗体毎に異なる共振周波数の共振回路を形成するように、前記複数の抵抗体のそれぞれと並列に接続される、複数の容量素子および複数のインダクタンス素子と、
前記複数の抵抗体を含む前記帯状抵抗体の一端と他端との間に予め定められた電気信号を供給する信号供給部と、
前記帯状抵抗体が前記電気信号に応じて出力する出力信号を、前記一端および前記他端から取得する取得部と、
前記出力信号を周波数解析することで、前記複数の抵抗体のそれぞれのインピーダンスを算出する解析部と
を備え、
前記帯状抵抗体が有する前記複数の抵抗体は、折り曲げ可能な基体に設けられ、前記基体の曲率に応じてインピーダンスがそれぞれ変化し、
前記基体、前記複数の容量素子、および前記複数のインダクタンス素子は、一体に形成された帯状構造体であり、
前記帯状構造体は、当該帯状構造体を座席に設けられているシートベルトに装着するための装着部を更に備え、前記シートベルトとは分離可能である、
検出装置。
【請求項2】
前記信号供給部は、予め定められた第1周波数から第2周波数までの間の複数の周波数に対応する複数の周波数の前記電気信号を出力する、請求項に記載の検出装置。
【請求項3】
前記解析部は、前記複数の容量素子および前記複数のインダクタンス素子によって形成された複数の共振回路の共振周波数のそれぞれと、前記電気信号の周波数とが一致している場合における前記出力信号の信号強度に基づき、前記インピーダンスを算出する、請求項に記載の検出装置。
【請求項4】
前記信号供給部は、予め定められたパルス幅のパルス信号を前記電気信号として出力する、請求項に記載の検出装置。
【請求項5】
前記解析部は、前記出力信号を周波数変換し、前記複数の容量素子および前記複数のインダクタンス素子によって形成された複数の共振回路の共振周波数における信号強度に基づき、前記インピーダンスをそれぞれ算出する、請求項に記載の検出装置。
【請求項6】
前記帯状構造体は、繊維で形成された布であり、
前記複数の抵抗体、前記複数の容量素子、前記複数のインダクタンス素子、および接続配線は、前記帯状構造体に織り込むことができる繊維で形成されている、
請求項1からのいずれか一項に記載の検出装置。
【請求項7】
前記複数の容量素子は、非導電性繊維と、前記非導電性繊維に設けられている導電性材料とを有し、
前記導電性材料は、前記非導電性繊維の延伸方向に延伸して対向する2つの電極を形成するように前記非導電性繊維に設けられている、
請求項6に記載の検出装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の検出装置と、
前記解析部が算出した前記インピーダンスの変化に基づき、前記シートベルトの曲率を算出する算出部と、
前記シートベルトの曲率に基づき、当該シートベルトを装着したユーザの状態を特定する特定部と
を備える、状態特定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出装置、状態特定装置、および測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、体表面の変位を複数のセンサで検出し、人の呼吸、心拍等の状態を検出する技術が知られている。特許文献1には、電気インピーダンストモグラフィ(EIT:Electrical Impedance Tomography)の技術をシートベルトに適用することにより、自動車の運転手の状態を監視することができる運転手監視装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-136304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術においては、複数のセンサをシートベルトに配列していたので、複数のセンサ毎に信号を授受するための配線を当該シートベルトに設けていた。しかしながら、シートベルトは長尺形状をしているので、絶縁性を保ちつつこのような配線を配置すると、複数のセンサおよび配線のレイアウトの自由度が限定されてしまうことがあった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、複数のセンサおよび各センサに接続される配線のレイアウトの自由度を向上できる検出装置、状態特定装置、および測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の検出装置は、直列に接続された複数の抵抗体のそれぞれのインピーダンスを検出する検出装置であって、抵抗体毎に異なる共振周波数の共振回路を形成するように、前記複数の抵抗体のそれぞれと並列に接続される、複数の容量素子および複数のインダクタンス素子と、前記複数の抵抗体を含む抵抗体群の一端と他端との間に予め定められた電気信号を供給する信号供給部と、前記複数の抵抗体が前記電気信号に応じて出力する出力信号を、前記一端および前記他端から取得する取得部と、前記出力信号を周波数解析することで、前記複数の抵抗体のそれぞれのインピーダンスを算出する解析部とを備える、検出装置を提供する。
【0007】
前記複数の抵抗体は、帯状に形成された帯状抵抗体が有する複数の領域に含まれており、前記信号供給部は、前記帯状抵抗体の前記一端と前記他端との間に前記電気信号を供給し、前記取得部は、前記帯状抵抗体の前記一端および前記他端から前記出力信号を取得してよい。
【0008】
前記信号供給部は、予め定められた第1周波数から第2周波数までの間の複数の周波数に対応する複数の周波数の前記電気信号を出力してよい。前記解析部は、前記複数の容量素子および前記複数のインダクタンス素子によって形成された複数の共振回路の共振周波数のそれぞれと、前記電気信号の周波数とが一致している場合における前記出力信号の信号強度に基づき、前記インピーダンスを算出してよい。
【0009】
前記信号供給部は、予め定められたパルス幅のパルス信号を前記電気信号として出力してよい。前記解析部は、前記出力信号を周波数変換し、前記複数の容量素子および前記複数のインダクタンス素子によって形成された複数の共振回路の共振周波数における信号強度に基づき、前記インピーダンスをそれぞれ算出してよい。
【0010】
前記複数の抵抗体は、折り曲げ可能な基体に設けられ、前記基体の曲率に応じてインピーダンスがそれぞれ変化し、前記基体、前記複数の容量素子、および前記複数のインダクタンス素子は、一体に形成された帯状構造体でよい。前記検出装置は、前記帯状構造体を、座席に設けられているシートベルトに装着するための装着部を更に備えてよい。前記帯状構造体は、座席に設けられているシートベルトに含まれてよい。
【0011】
本発明の第2の態様の状態特定装置は、前記検出装置と、前記解析部が算出した前記インピーダンスの変化に基づき、前記シートベルトの曲率を算出する算出部と、前記シートベルトの曲率に基づき、当該シートベルトを装着したユーザの状態を特定する特定部とを備える、状態特定装置を提供する。
【0012】
本発明の第3の態様の測定方法は、直列に接続された複数の抵抗体に共振回路がそれぞれ並列に接続されている状態において、それぞれの前記抵抗体のインピーダンスを測定する測定方法であって、前記複数の抵抗体を含む抵抗体群の一端と他端との間に予め定められた電気信号を供給するステップと、前記複数の抵抗体が前記電気信号に応じて出力する出力信号を、前記一端および前記他端から取得するステップと、前記出力信号を周波数解析することで、前記複数の抵抗体のそれぞれのインピーダンスを算出するステップとを備える、測定方法を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数のセンサおよび各センサに接続される配線のレイアウトの自由度を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態に係る状態特定装置10の構成例を示す。
図2】本実施形態に係るシートベルト100の構成例を示す。
図3】本実施形態に係る検出装置200の構成例を示す。
図4】本実施形態に係る取得部230が取得する抵抗体群206の出力信号の一例を示す。
図5】本実施形態に係る検出装置200の動作フローの一例を示す。
図6】本実施形態に係る検出装置200の動作フローの変形例を示す。
図7】本実施形態に係る検出回路208の変形例を示す。
図8】本実施形態に係る容量素子212の一例を示す。
図9】本実施形態に係るインダクタンス素子214の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<状態特定装置10の構成例>
図1は、本実施形態に係る状態特定装置10の構成例を示す。状態特定装置10は、座席20に座るユーザの身体の状態を特定する。状態特定装置10は、シートベルト100と、検出装置200と、算出部310と、特定部320と備える。
【0016】
シートベルト100は、座席20に設けられ、当該座席20に座るユーザの体に接するように固定される。シートベルト100は、例えば、ユーザに急激な加速または減速等が加わった場合に、当該ユーザを座席20に拘束するように機能する。シートベルト100は、ユーザの身体の状態を検出するための複数のセンサを有している。複数のセンサのそれぞれは、例えば、物体の歪を測定するためのセンサである。図1においては、複数のセンサを模式的にE1からE8として示す。このようなシートベルト100については、後に説明する。
【0017】
検出装置200は、シートベルト100に設けられた複数のセンサに接続され、当該複数のセンサと電気信号を授受する。検出装置200は、例えば、授受した電気信号に基づき、複数のセンサのそれぞれが有する抵抗体のインピーダンスの変化をそれぞれ検出する。検出装置200の少なくとも一部は、座席20およびシートベルト100に設けられてよい。検出装置200については、後に説明する。
【0018】
算出部310は、検出装置200が検出したインピーダンスの変化に基づき、ユーザの体に接しているシートベルト100の曲率を算出する。算出部310は、例えば、シートベルト100の時間的な変化を順次算出できることが好ましい。
【0019】
特定部320は、算出部310が算出したシートベルト100の曲率に基づき、シートベルト100を装着したユーザの状態を特定する。例えば、ユーザの呼吸および心拍等により、当該ユーザに接するシートベルト100の少なくとも一部の曲率が変動する。ユーザの呼吸および心拍等が正常であれば、シートベルト100の曲率の変動は、略一定の周期で略一定の振幅の範囲で変化することになる。
【0020】
そこで、特定部320は、複数のセンサに基づくシートベルト100の複数の位置の曲率を解析して、ユーザの呼吸および心臓の鼓動の状態を特定する。特定部320は、例えば、過去に取得したシートベルト100の曲率の変動と比較して、ユーザの状態を特定する。また、特定部320は、1つのまたは複数の閾値とシートベルト100の曲率の変動とを比較して、ユーザの状態を特定してもよい。
【0021】
以上の状態特定装置10は、座席20に座り、シートベルト100を装着したユーザの身体の状態を特定することができる。これにより、状態特定装置10は、ユーザの呼吸および心拍等の異常の発生等を特定できる。このような状態特定装置10は、例えば、車両等に搭載され、車両の座席20に座ったユーザの身体の状態を特定できる。この場合、状態特定装置10は、特定した状態に基づいて車両を制御する監視装置等に適用できる。状態特定装置10は、例えば、ユーザの心拍が停止したことを特定すると、車両のエンジンを停止させるように制御装置等を制御する。
【0022】
以上のように、状態特定装置10は、例えば、車、電車、飛行機等の乗り物に乗る人、映画館、劇場、遊戯場等の椅子に座る人、車椅子に乗る人、ベッド、寝台等で寝ている人等の身体の状態を特定し、異常の発生の有無等を監視できる。このような状態特定装置10のシートベルト100について次に説明する。
【0023】
<シートベルト100の構成例>
図2は、本実施形態に係るシートベルト100の構成例を示す。図2は、シートベルト100の平面図の一例である。シートベルト100は、ベルト部110と、帯状構造体120と、装着部130とを有する。
【0024】
ベルト部110は、帯状に形成され、ユーザに接するように装着される。ベルト部110の一端は、一例として、座席20または座席20が固定される車両等に固定されている。この場合、ベルト部110の他端は、座席20または座席20が固定される車両等に設けられている固定具等と脱着可能に嵌合する。ベルト部110は、例えば、繊維等を加工した布状の材料を有する。
【0025】
帯状構造体120は、ベルト部110に取り付けられている。帯状構造体120には、ユーザの身体の動きに応じたベルト部110の曲率の変化を測定するための複数のセンサが設けられている。また、帯状構造体120には、複数のセンサのそれぞれと電気信号を授受する配線および電子部品等が設けられている。帯状構造体120は、例えば、複数のセンサと電子部品等が一体に形成されたシート状のモジュールとして機能する。帯状構造体120については、後に説明する。
【0026】
装着部130は、座席20に設けられているシートベルト100に帯状構造体120を装着するための部位である。即ち、帯状構造体120は、シートベルト100とは分離可能に設けられている。装着部130は、帯状構造体120を当該ベルト部110に固定できればよく、例えば、このような帯状構造体120に設けられている。これに代えて、装着部130は、ベルト部110および帯状構造体120に分離して設けられてよく、また、ベルト部110に設けられてもよい。
【0027】
装着部130は、ユーザの身体の動きに応じたベルト部110の曲率の変化を、帯状構造体120に設けられた複数のセンサが検出できるように、当該帯状構造体120を固定する。装着部130は、ベルト、ボタン、ファスナー等の帯状構造体120を固定するための部材を含む。また、装着部130は、ベルト部110の短手方向に当該ベルト部110の周囲を覆うようなベルト状の形状を有してもよい。
【0028】
以上のシートベルト100は、帯状構造体120をユーザに直接的または間接的に接触させて、当該ユーザの身体の状態を検出可能とする。帯状構造体120は、例えば、ユーザの胸に接触する。このような帯状構造体120は、ユーザの身体の異なる複数の個所にセンサを接触させることが望ましい。この場合、それぞれのセンサは、電源等を受け取るための配線と、検出結果を外部に出力するための配線とが、他の配線と絶縁を保ちつつ接続されることになる。
【0029】
しかしながら、帯状構造体120は、幅がベルト部110の幅程度の長尺構造なので、複数のセンサと、複数のセンサのそれぞれに接続する配線とをレイアウトすることが困難になることがあった。そこで、本実施形態に係る検出装置200は、直列に接続された複数のセンサを用い、複数のセンサのうち当該接続の両端部のセンサと電気的に接続して信号を授受することにより、複雑な電気配線を省略しつつ、複数のセンサのそれぞれの検出結果を算出する。このような検出装置200について次に説明する。
【0030】
<個別の抵抗体202を用いた検出装置200の構成例>
図3は、本実施形態に係る検出装置200の構成例を示す。検出装置200は、帯状構造体120に設けられている複数の抵抗体202のインピーダンスをそれぞれ検出する。図3は、帯状構造体120の複数のセンサを、複数の抵抗体202とした例を示す。帯状構造体120は、例えば、基体204を有し、複数の抵抗体202は、当該基体204に形成されている。複数の抵抗体202は、基体204の一方の面に設けられてよく、これに代えて、基体204の両方の面に設けられていてもよい。ここで、複数の抵抗体202の個数をn、それぞれのインピーダンスをRとする。
【0031】
基体204は、折り曲げ可能な材質で形成されている。基体204は、絶縁性の材質で形成されていることが望ましい。基体204は、例えば、フレキシブル基板である。このような基体204は、帯状構造体120がユーザに接触すると、ユーザの身体の形状に応じた曲率に曲げられる。また、基体204は、ユーザの呼吸等で身体の表面が変動すると、当該変動に応じた曲率になるように曲げられる。例えば、ユーザの呼吸および心臓の鼓動によって当該ユーザの胸が変位し、基体204は、当該変位に応じた曲率になるように曲げられる。そして、基体204に設けられた複数の抵抗体202は、直流信号を印加した場合、このような基体204の曲率に応じて抵抗値がそれぞれ変化するように形成されている。また、抵抗体202は、交流信号を印加した場合、インピーダンスがそれぞれ変化するように形成されている。抵抗体202は、例えば、主に抵抗成分を有する素子である。
【0032】
複数の抵抗体202は、例えば、基体204に設けられた薄膜等であり、基体204が曲がって歪が発生することに応じてインピーダンスが変化する。複数の抵抗体202は、金属または半導体等を含む。なお、複数の抵抗体202は、基体204の歪を検出できる歪ゲージであることが望ましい。複数の抵抗体202のそれぞれは、直列に接続されている。検出装置200は、このような直列に接続された複数の抵抗体202のそれぞれのインピーダンスを検出する。検出装置200は、複数の容量素子212と、複数のインダクタンス素子214と、信号供給部220と、取得部230と、記憶部240と、解析部250と、制御部260とを備える。
【0033】
複数の容量素子212および複数のインダクタンス素子214は、複数の抵抗体202のそれぞれと並列に接続されている。例えば、1つの容量素子212および1つのインダクタンス素子214は、1つの共振回路を形成するように、1つの抵抗体202に並列に接続されている。この場合、複数の容量素子212は、直列に接続されている。同様に、複数のインダクタンス素子214も直列に接続されている。ここで、複数の容量素子212の個数をn、それぞれの容量値をCとする。また、複数のインダクタンス素子214の個数をn、それぞれのインダクタンス値をLとする。
【0034】
図3は、1つの容量素子212および1つのインダクタンス素子214の組が、抵抗体202毎に設けられ、n個の抵抗体202と同数のn個の共振回路を形成している例を示す。この場合、n個の抵抗体202と同様に、n個の容量素子212は直列に接続され、n個のインダクタンス素子214も直列に接続されている。この場合、それぞれn番目の抵抗体202、容量素子212およびインダクタンス素子214で形成されたn個の共振回路が、直列に接続されることになる。このような直列に接続されたn個の共振回路を検出回路208とする。なお、検出回路208は、樹脂等の保護膜で覆われていてもよい。
【0035】
ここで、複数の容量素子212および複数のインダクタンス素子214は、抵抗体202毎に異なる共振周波数の共振回路を形成するように、素子定数等が予め定められている。例えば、複数の容量素子212および複数のインダクタンス素子214は、n個の共振周波数を有するように、n個の共振回路を形成する。ここで、n個の共振周波数をfRESnとする。このような複数の容量素子212および複数のインダクタンス素子214は、帯状構造体120に形成されることが望ましい。この場合、帯状構造体120は、例えば、基体204、複数の容量素子212、および複数のインダクタンス素子214が一体に形成されているモジュールとして機能する。
【0036】
信号供給部220は、複数の抵抗体202を含む抵抗体群206の一端と他端との間に予め定められた電気信号を供給する。ここで、直列に接続された複数の抵抗体202を、抵抗体群206とした。信号供給部220は、例えば、直列に接続された複数の共振回路のうち、一端の共振回路と他端の共振回路に接続され、全ての共振回路に電気信号を供給する。図3は、信号供給部220が、直列に接続されたn個の共振回路のうち、1番目の共振回路とn番目の共振回路に接続された例を示す。このように、信号供給部220は、検出回路208に電気信号を供給する。
【0037】
信号供給部220は、例えば、予め定められた第1周波数から第2周波数までの間の複数の周波数の複数の電気信号を順次出力する。第1周波数および第2周波数は、複数の共振回路のそれぞれの共振周波数が当該第1周波数から当該第2周波数の間に含まれるように、予め定められている。したがって、第1周波数は、複数の共振周波数の最低周波数よりも低い周波数であり、第2周波数は、複数の共振周波数の最高周波数よりも高い周波数である。信号供給部220は、振幅強度の最大値および最小値が予め定められた値の電気信号を出力する。
【0038】
ここで、振幅強度は、電圧値または電流値である。例えば、信号供給部220が出力する電気信号の周波数をfINとすると、当該電信号は、IIN・cos(2π・fIN・t+θ)+C、または、VIN・cos(2π・fIN・t+θ)+Cと表現できる。ここで、IINは予め定められた電流値の振幅強度、VINは予め定められた電圧値の振幅強度、θ、θ、C、およびCは初期定数、tは時間を示す。
【0039】
取得部230は、複数の抵抗体202が電気信号に応じて出力する出力信号を、抵抗体群206の一端および他端から取得する。取得部230は、例えば、複数の抵抗体202が出力する第1周波数から第2周波数までの間の複数の周波数の出力信号を取得する。取得部230は、一例として、AD変換器を有し、出力信号の振幅値の情報を取得する。
【0040】
記憶部240は、取得部230が取得した信号を記憶する。また、記憶部240は、検出装置200の設定値等の情報を格納してもよい。また、記憶部240は、検出装置200の動作の過程で生成する(または利用する)中間データ、算出結果、閾値、およびパラメータ等をそれぞれ格納してもよい。また、記憶部240は、検出装置200内の各部の要求に応じて、格納したデータを要求元に供給してもよい。
【0041】
解析部250は、出力信号を周波数解析することで、複数の抵抗体202のそれぞれのインピーダンスを算出する。解析部250は、例えば、複数の容量素子212および複数のインダクタンス素子214によって形成された複数の共振回路の共振周波数のそれぞれと、取得部230が取得した出力信号の周波数とが一致している場合における出力信号の信号強度に基づき、インピーダンスを算出する。
【0042】
例えば、1番目の抵抗体202のインピーダンスをR、1番目の抵抗体202を含む1番目の共振回路の共振周波数をfRES1とする。この場合、信号供給部220が共振周波数fRES1に略一致する電気信号を抵抗体群206に供給した状態において、当該抵抗体群206が出力する周波数fRES1の出力信号に基づき、解析部250は、抵抗体202のインピーダンスRを算出する。信号供給部220は、電気信号の周波数fINを掃引するので、解析部250は、出力信号の周波数fINが複数の共振周波数fRESnのいずれかと一致する毎に、抵抗体群206の出力信号の強度に基づくインピーダンスを順次算出してよい。
【0043】
制御部260は、信号供給部220、取得部230、記憶部240、および解析部250の動作を制御する。制御部260は、例えば、信号供給部220が電気信号を抵抗体群206に供給するタイミング、取得部230が抵抗体群206から出力信号を取得するタイミング、解析部250が出力信号を解析するタイミングを制御する。制御部260は、一例として、CPU(Central Processing Unit)である。
【0044】
<抵抗体群206の出力信号の一例>
図4は、本実施形態に係る取得部230が取得する抵抗体群206の出力信号の一例を示す。図4は、横軸が周波数を示し、縦軸がインピーダンスを示す。例えば、信号供給部220が電流値の最大値および最小値が予め定められた値の電気信号IIN・cos(2π・fIN・t+θ)+Cを出力する場合、取得部230は、インピーダンスに応じた出力信号の電圧の振幅値を取得する。また、信号供給部220が電圧値の最大値および最小値が予め定められた値の電気信号VIN・cos(2π・fIN・t+θ)+Cを出力する場合、取得部230は、インピーダンスに応じた出力信号の電流の振幅値を取得する。図4は、取得部230が出力信号の電圧の振幅値を取得した例を示す。
【0045】
図4に示すように、取得部230が取得する出力信号は、複数の極値を有する。複数の極値は、複数の共振回路の共振周波数fRESnのそれぞれと略一致する周波数に発生する。例えば、信号供給部220が出力する電気信号の周波数fINが複数の共振周波数fRESnのいずれの周波数にも一致しない場合、電気信号のほとんどは、直列に接続された複数の容量素子212を通過する。即ち、複数の直列に並ぶ共振器回路全体のインピーダンスは低減し、抵抗体群206に流れる電流はほとんどなく、取得部230は振幅値が低減した出力信号を取得することになる。
【0046】
これに対し、信号供給部220が出力する電気信号の周波数fINがk番目の共振周波数fRESkに略一致する場合を考える。ここで、各共振回路が抵抗、容量、およびインダクタンスをそれぞれ1つずつ有するRCL並列共振回路を構成するので、k番目の共振回路の共振周波数fRESkは、1/{2π・(L・C1/2}となる。周波数fINがこのような共振周波数fRESkに略一致する場合、k番目の共振回路においては、電気信号のほとんどが抵抗体202を通過する。
【0047】
なお、k番目の共振回路以外のn-1個の共振回路においては、共振周波数が電気信号の周波数fINと一致しないので、それぞれの共振器に含まれる抵抗体202にはほとんど電流が流れずに容量素子212を通過する。したがって、複数の直列に並ぶ共振器回路全体のインピーダンスは、k番目の共振回路に含まれるk番目の抵抗体202のインピーダンスRESと略等しくなる。即ち、取得部230は、振幅値がインピーダンスRESに応じた値となる出力信号を取得することになる。取得部230は、例えば、振幅値がIIN・RESに応じた極値を取得する。したがって、解析部250は、当該振幅値に基づき、k番目の抵抗体202のインピーダンスRESを算出できる。
【0048】
例えば、n個の共振回路の共振周波数fRESnが全て異なる周波数の場合、信号供給部220が第1周波数から第2周波数までの周波数を掃引して電気信号を生成することにより、取得部230が取得する出力信号にはn個の極値が観測される。したがって、解析部250は、n個の極値の振幅値に基づき、n個の抵抗体202のインピーダンスRをそれぞれ算出できる。
【0049】
以上のように、本実施形態に係る検出装置200は、n個の抵抗体202のそれぞれが共振回路の一部となるように、容量素子212およびインダクタンス素子214を抵抗体202毎に並列に配置する。これにより、本実施形態に係る検出装置200は、n個の抵抗体202のそれぞれにインピーダンスを検出するための配線を設けなくても、n個の抵抗体202のインピーダンスRをそれぞれ検出することができる。したがって、このような検出装置200によれば、センサとして機能する複数の抵抗体202が実装される基体204におけるレイアウトの自由度を向上させ、シートベルト100に装着可能な帯状構造体120を容易に実現できる。このような検出装置200の動作について次に説明する。
【0050】
<検出装置200の動作フローの第1例>
図5は、本実施形態に係る検出装置200の動作フローの一例を示す。検出装置200は、図5のS410からS450の動作を実行することにより、帯状構造体120に設けられている複数の抵抗体202のインピーダンスをそれぞれ検出する。なお、検出装置200の検出動作の前に、シートベルト100に装着された帯状構造体120の少なくとも一部がユーザに接触するように、座席20に座ったユーザがシートベルト100を締めているものとする。
【0051】
まず、S410において、制御部260は、信号供給部220から検出回路208に電気信号を供給させる。なお、検出装置200が検出を開始した時点での、電気信号の周波数は、第1周波数となる。
【0052】
次に、S420において、制御部260は、取得部230に検出回路208からの出力信号を取得させる。取得部230は、取得した出力信号を記憶部240に記憶する。なお、取得部230は、出力信号の周波数の情報に対応付けて出力信号を記憶することが望ましい。
【0053】
次に、S430において、制御部260は、信号供給部220が出力する電気信号の周波数が第2周波数であるか否かを確認する。制御部260は、周波数が第2周波数ではない場合(S430:No)、S440に進み、信号供給部220の周波数掃引を継続させる。
【0054】
即ち、S440において、制御部260は、信号供給部220が出力する電気信号の周波数を第1周波数から第2周波数に向けて掃引するように変化させる。ここで、周波数の変化量は、例えば、予め定められた変化量である。予め定められた変化量は、一定の値でよく、これに代えて、共振回路の共振周波数fRESnのいずれかに近づくと変化量が小さくなるように定められてもよい。そして、制御部260は、S410に戻り、検出回路208への電気信号の供給と抵抗体群206からの出力信号の取得とを繰り返す。
【0055】
また、S430において、制御部260は、周波数が第2周波数の場合(S430:Yes)、周波数の掃引と出力信号の取得を終了させ、S450に進む。この場合、記憶部240には、図4に示すような複数の極値を有する出力信号の情報が記憶されることになる。
【0056】
次に、S450において、制御部260は、解析部250に出力信号を周波数解析させる。解析部250は、出力信号の極値毎に、対応する抵抗体202のインピーダンスを算出する。なお、解析部250による周波数解析については、図4等で説明したので、ここでは説明を省略する。
【0057】
以上のように、本実施形態に係る検出装置200は、直列に接続されている複数の抵抗体202を有する検出回路208に電気信号を供給して周波数解析することで、簡素な配線で接続された抵抗体202のインピーダンスをそれぞれ検出できる。なお、図5において、制御部260が、信号供給部220に周波数を掃引しつつ電気信号を出力させ、取得部230に出力信号を取得させる例を説明したが、これに限定されることはない。これに代えて、制御部260は、信号供給部220に周波数を掃引させつつ電気信号を出力させ、当該電気信号に基づく出力信号が1つの共振周波数と略一致したこと、または、出力信号にピークが検出されたことに応じて、解析部250に出力信号を解析させてもよい。
【0058】
<電気信号がパルス信号である例>
また、以上の本実施形態に係る検出装置200は、信号供給部220が周波数の異なる複数の電気信号を出力する例を説明したが、これに限定されることはない。信号供給部220は、信号供給部220は、予め定められたパルス幅のパルス信号を電気信号として出力してもよい。ここで、パルス信号は、当該パルス信号をフーリエ変換等で周波数軸に変換すると、第1周波数から第2周波数までの間の周波数帯域に閾値以上の信号成分を有する程度に、パルス幅および波高値が予め定められることが望ましい。
【0059】
このようなパルス信号は、実質的に複数の周波数成分が含まれているので、例えば、1つのパルス信号を検出回路208に供給し、当該パルス信号に応じた検出回路208からの出力信号を周波数変換することで、図4に示すような複数の極値を有する出力信号を取得できる。そこで、解析部250は、出力信号を周波数変換してから、複数の共振回路の共振周波数における信号強度に基づき、複数の抵抗体202のインピーダンスをそれぞれ算出する。このような検出装置200の動作について次に説明する。
【0060】
<検出装置200の動作フローの第2例>
図6は、本実施形態に係る検出装置200の動作フローの変形例を示す。検出装置200は、図6のS510からS540の動作を実行することにより、帯状構造体120に設けられている複数の抵抗体202のインピーダンスをそれぞれ検出する。なお、変形例の動作フローにおいても、検出装置200の検出動作の前に、座席20に座ったユーザがシートベルト100を締めているものとする。
【0061】
まず、S510において、制御部260は、信号供給部220からパルス信号を電気信号として検出回路208に供給させる。次に、S520において、制御部260は、取得部230に検出回路208からの出力信号を取得させる。次に、S530において、制御部260は、解析部250に出力信号を周波数変換させる。解析部250は、例えば、取得部230が取得した検出回路208からの出力信号をFFTにより周波数変換してよい。次に、S540において、制御部260は、解析部250に出力信号を周波数解析させる。解析部250は、出力信号の極値毎に、対応する抵抗体202のインピーダンスを算出する。検出装置200は、このような有限のパルス幅を用いたインパルス応答により、検出回路208からの出力信号をより短い時間で取得できる。
【0062】
以上の本実施形態に係る検出装置200において、帯状構造体120がシートベルト100に装着される例を説明した。これにより、当該帯状構造体120を検出装置200としての機能を有さない従来の座席20のシートベルト100に装着することにより、当該座席20に座るユーザの状態を検出することが可能になる。なお、帯状構造体120がユーザの身体の変動を検出できれば、このような構成に限定されることはない。帯状構造体120は、座席20に設けられているシートベルト100に含まれていてもよい。
【0063】
帯状構造体120は、例えば、ベルト部110の一部として形成されてもよい。この場合、帯状構造体120は、ベルト部110に固定されてもよい。これに代えて、帯状構造体120を構成する部材がベルト部110に固定されてもよい。また、複数の抵抗体202、複数の容量素子212、複数のインダクタンス素子214、およびこれらを接続する配線がベルト部110に設けられてもよい。このように、センサとして機能する複数の抵抗体202がベルト部110に固定されることで、当該複数の抵抗体202をユーザの身体の変動を検出できる位置に容易に位置決めすることができる。
【0064】
また、以上の本実施形態に係る検出装置200において、複数の抵抗体202のそれぞれが別個独立の部材である例を説明したが、これに限定されることはない。抵抗体202のそれぞれは、1つまたは複数の集合抵抗体の一部であってもよい。例えば、複数の抵抗体202は、帯状に形成された帯状抵抗体が有する複数の領域に含まれてよい。
【0065】
<帯状抵抗体210を用いた検出回路208>
図7は、本実施形態に係る検出回路208の変形例を示す。図7に示す変形例の検出回路208において、図3に示された検出回路208の動作と略同一のものには同一の符号を付け、説明を省略する。変形例の検出回路208は、複数の抵抗体202を含む帯状抵抗体210を有する。
【0066】
帯状抵抗体210は、例えば、当該帯状抵抗体210の長手方向において、それぞれの抵抗体202を分割する位置に電気配線がそれぞれ接続される。そして、当該電気配線に、複数の容量素子212および複数のインダクタンス素子214が対応して接続される。これにより、図3に示す検出回路208と等価な回路を構成することができる。この場合、信号供給部220は、帯状抵抗体210の一端と他端との間に電気信号を供給し、取得部230は、帯状抵抗体210の一端および他端から出力信号を取得する。
【0067】
これにより、解析部250は、帯状抵抗体210を複数に分割した領域毎に、インピーダンスを算出することができる。即ち、複数の抵抗体202を対応する別個独立の素子とすることなく、例えば、1つの帯状抵抗体210として形成できるので、検出回路208をより簡便な構成にすることができる。
【0068】
また、図3および図7で説明した、本実施形態に係る検出回路208は、電源回路を必要としないので、検出装置200の設計の自由度を向上させることができる。例えば、帯状構造体120を別個独立のモジュールとして形成し、当該帯状構造体120と信号供給部220および取得部230とを有線で接続することにより、当該帯状構造体120は、電源回路を含まない簡便なモジュールとすることができる。
【0069】
これに代えて、例えば、帯状構造体120を別個独立のモジュールとして形成し、当該帯状構造体120と信号供給部220および取得部230とを無線で接続してもよい。この場合、当該帯状構造体120は、検出回路208に供給する電気信号および検出回路208からの出力信号を送受信するための回路を更に有すればよく、検出回路208は簡易な構成のままでよい。
【0070】
このように、帯状構造体120を別個独立のモジュールとした場合、信号供給部220、取得部230、記憶部240、解析部250、および制御部260等は、シートベルト100とは異なる位置に設けられてよい。このような検出装置200の少なくとも一部は、例えば、座席20の下部等に一体となって収容されていることが望ましい。また、図1で説明した状態特定装置10を構成する場合、信号供給部220、取得部230、記憶部240、解析部250、および制御部260のうち少なくとも一部は、算出部310および特定部320のうち少なくとも一部と一体に形成されてもよい。
【0071】
<繊維で形成された帯状抵抗体210の例>
以上の帯状構造体120が布等の繊維で形成されている場合、または、シートベルト100の繊維に含まれている場合、複数の抵抗体202、複数の容量素子212、複数のインダクタンス素子214、およびこれらを接続する配線の少なくとも一部は、繊維を含んでよい。例えば、抵抗体202は、抵抗材料が繊維に付着、吸着、結合、または印刷されて形成されていてよく、これに代えて、抵抗体202は、抵抗材料が付着、吸着、結合、または印刷された繊維が帯状構造体120の繊維に織り込まれていてもよい。
【0072】
また、例えば、容量素子212は、導電性材料が複数個所に付着、吸着、結合、または印刷された容量性を有する繊維が、布に織り込まれて形成されている。このような容量素子212の一例を図8に示す。容量素子212は、非導電性繊維332と、導電性材料334とを含む。非導電性繊維332は、例えば、ポリマー等である。これに代えて、非導電性繊維332は、ゴム等の弾性体でもよい。また、導電性材料334は、導電フィルム等である。これに代えて、導電性材料334は、導電性の材料を含む導電インク等が付着されて形成されていてもよい。また、容量素子212は、1または複数の非導電性繊維332と、1または複数の導電性の繊維とを組み合わせて形成されていてもよい。
【0073】
また、例えば、インダクタンス素子214は、導電性の繊維が絶縁性材料に巻き付けられた繊維が布に織り込まれて形成されている。導電性の繊維は、例えば、導電性材料が1つまたは複数個所に付着、吸着、結合、または印刷されて形成された繊維でよい。このようなインダクタンス素子214の一例を図9に示す。インダクタンス素子214は、非導電性繊維336と、導電性繊維338とを含む。非導電性繊維336は、ポリマーまたはゴム等の弾性体である。導電性繊維338は、導電性の材料が付着されて導電性を有する繊維である。インダクタンス素子214の定数は、導電性繊維338の巻き数、直径、長さ等に応じて定めることができる。
【0074】
また、例えば、配線は、導電性繊維である。導電性繊維は、導電性の材料が付着されて導電性を有する繊維である。以上のように、複数の抵抗体202、複数の容量素子212、複数のインダクタンス素子214、およびこれらを接続する配線の少なくとも一部は、繊維を用いて形成することができる。したがって、これらの素子は、帯状構造体120に織り込むことができるので、当該帯状構造体120を簡易に構成することができる。この場合、基体204は無くてもよい。また、帯状構造体120の少なくとも一部は、導電性の材料および非導電性の材料が印刷されて形成されていてもよい。
【0075】
以上の本実施形態に係る状態特定装置10の少なくとも一部は、一例として、コンピュータ等である。コンピュータは、例えば、プログラム等を実行することにより、本実施形態に係る取得部230、解析部250、制御部260、算出部310、および特定部320のうちの少なくとも一部として機能する。
【0076】
コンピュータは、CPU等のプロセッサを備え、記憶部240に記憶されたプログラムを実行することによって、取得部230、解析部250、制御部260、算出部310、および特定部320の少なくとも一部として機能する。コンピュータは、GPU(Graphics Processing Unit)等を更に備えてもよい。
【0077】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。例えば、装置の分散・統合の具体的な実施の形態は、以上の実施の形態に限られず、その全部又は一部について、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を合わせ持つ。
【0078】
例えば、以上の説明においては、シートベルト100に帯状構造体120を設けてユーザの身体の状態を特定する場合を例示したが、帯状構造体120の構成および用途はこれに限らない。本発明は、人体に装着可能な任意の態様の帯状構造体120に適用することができる。また、本発明は、直列に接続されたデバイスのインピーダンスを簡易な構成で測定する測定装置に適用することもできる。
【符号の説明】
【0079】
10 状態特定装置
20 座席
100 シートベルト
110 ベルト部
120 帯状構造体
130 装着部
200 検出装置
202 抵抗体
204 基体
206 抵抗体群
208 検出回路
210 帯状抵抗体
212 容量素子
214 インダクタンス素子
220 信号供給部
230 取得部
240 記憶部
250 解析部
260 制御部
310 算出部
320 特定部
332 非導電性繊維
334 導電性材料
336 非導電性繊維
338 導電性繊維
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9