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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-21
(45)【発行日】2023-08-29
(54)【発明の名称】手押し車
(51)【国際特許分類】
   B62B 3/02 20060101AFI20230822BHJP
   B62B 3/00 20060101ALI20230822BHJP
【FI】
B62B3/02 B
B62B3/00 F
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022008423
(22)【出願日】2022-01-24
(65)【公開番号】P2023107304
(43)【公開日】2023-08-03
【審査請求日】2022-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】500551677
【氏名又は名称】株式会社島製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(74)【代理人】
【識別番号】100171941
【弁理士】
【氏名又は名称】辻 忠行
(74)【代理人】
【識別番号】100150762
【弁理士】
【氏名又は名称】阿野 清孝
(72)【発明者】
【氏名】島 義弘
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-147189(JP,A)
【文献】特開2017-193338(JP,A)
【文献】特開2020-75664(JP,A)
【文献】特開2020-32917(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 1/00- 5/08
A61H 3/04
A61G 5/02, 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が両手でそれぞれ把持した状態で操舵する操舵部より下方へ延びる左右の操舵フレームと、この各操舵フレームの下端に連結され、前輪を転動自在に支持する左右の前輪脚部と、前記各操舵フレームの下端に連結され、後輪を転動自在に支持する左右の後輪脚部と、前記各後輪脚部の上端部同士及び下端部同士をそれぞれ連結する上下の連結フレームと、を備え、前記各後輪脚部と前記各前輪脚部とが互いに左右方向へ延びる水平軸回りで開脚位置から閉脚位置に折り畳み可能とされた手押し車であって、
前記各前輪脚部同士の間には、荷物を内部に収納する収納用バスケットが設けられ、
前記収納用バスケットの後端左右両位置には、上下方向へ延びる左右の後端フレームが設けられているとともに、
前記各後端フレームの上下両端には、前記収納用バスケットの上下両縁部の左右両端をそれぞれ前後方向へ延びる左右の上端側部フレーム及び下端側部フレームの後端がそれぞれ左右方向へ延びる水平軸回りに回転自在に支持されており、
前記各後端フレームは、それぞれの上端部が前記上側の連結フレームの左右両位置に固定されている一方、前記各後輪脚部の下部に後端を固定した状態で前方へ延びる左右の下端フレームの前端にのみそれぞれの下部が固定され、前記各後輪脚部と前記各下端フレームとによって側面視で変形不能な略三角形状の剛性体に形成されていることを特徴とする手押し車。
【請求項2】
前記各前輪脚部と前記各後輪脚部との間には、左右の連結リンクが設けられ、
前記各連結リンクは、前記各前輪脚部と前記各後輪脚部との折り畳み時に互いに中折れする前側リンク部材及び後側リンク部材を備え、
前記各前側リンク部材は、その前端が前記各前輪脚部の下部に左右方向へ延びる水平軸回りに回転自在に支持されているとともに、後端が前記後側リンク部材の前後方向途中位置に左右方向へ延びる水平軸回りに回転自在に支持されている一方、
前記各後側リンク部材は、その後端が前記各後輪脚部の下部に左右方向へ延びる水平軸回りに回転自在に支持されているとともに、前端が前記収納用バスケットの下端側部フレームの前部に左右方向へ延びる水平軸回りに回転自在にかつ前記各後側リンク部材の長手方向にスライド自在に支持されている請求項1に記載の手押し車。
【請求項3】
前記各後端フレームの上端部には、前記利用者が着座可能な座面部が左右方向へ延びる水平軸回りに回転自在に支持されている請求項1又は請求項2に記載の手押し車。
【請求項4】
前記各後輪脚部の下側の連結フレームは、前方へ凸状に突出しており、
前記各後端フレームの下端は、前記下側の連結フレームの前端左右両位置に対し非接触な状態で当該下側の連結フレームの前端左右両位置直上方に位置している請求項1~請求項3のいずれか1つに記載の手押し車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シルバーカーや歩行車などの手押し車に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の手押し車は、利用者が両手でそれぞれ把持した状態で操舵する操舵部より下方へ延びる左右の操舵フレームと、この各操舵フレームの下端に連結され、前輪を転動自在に支持する左右の前輪脚部と、各操舵フレームの下端に左右方向へ延びる水平軸回りに回転自在に支持され、後輪を転動自在に支持する左右の後輪脚部と、各後輪脚部の上端部同士及び下端部同士をそれぞれ連結する上下の連結フレームとを備えている。
【0003】
また、このような手押し車にあっては、荷物を内部に収納する収納用バスケットが各前輪脚部同士の間に設けられたものが従来より知られている(特許文献1参照)。そして、下側の連結フレームは前方へ凸状に突出しており、この下側の連結フレームの前端部左右両位置に、収納用バスケットの後端左右両位置を上下方向へ延びる左右の後端フレームの下端が固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-32917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、前記従来のものでは、前方へ凸状に突出する下側の連結フレームの前端部左右両位置に左右の後端フレームの下端が固定されているため、収納用バスケットの後端位置が下側の連結フレームの前方への突出量に応じて決まってしまう。このため、収納用バスケットの後端位置を下側の連結フレームの前端部よりも前方や後方へ位置付けることができず、収納用バスケットのレイアウトが制限されてしまう。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、収納用バスケットの後端位置が下側の連結フレームの前方への突出量に応じて決定されないようにして、収納用バスケットのレイアウトを拡張させることができる手押し車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明では、利用者が両手でそれぞれ把持した状態で操舵する操舵部より下方へ延びる左右の操舵フレームと、この各操舵フレームの下端に連結され、前輪を転動自在に支持する左右の前輪脚部と、前記各操舵フレームの下端に連結され、後輪を転動自在に支持する左右の後輪脚部と、前記各後輪脚部の上端部同士及び下端部同士をそれぞれ連結する上下の連結フレームと、を備え、前記各後輪脚部と前記各前輪脚部とが互いに左右方向へ延びる水平軸回りで開脚位置から閉脚位置に折り畳み可能とされた手押し車を前提とする。更に、前記各前輪脚部同士の間に、荷物を内部に収納する収納用バスケットを設け、前記収納用バスケットの後端左右両位置に、上下方向へ延びる左右の後端フレームを設ける。また、前記各後端フレームの上下両端に、前記収納用バスケットの上下両縁部の左右両端をそれぞれ前後方向へ延びる左右の上端側部フレーム及び下端側部フレームの後端をそれぞれ左右方向へ延びる水平軸回りに回転自在に支持する。そして、前記各後端フレームを、それぞれの上端部を前記上側の連結フレームの左右両位置に固定する一方、前記各後輪脚部の下部に後端を固定した状態で前方へ延びる左右の下端フレームの前端にのみそれぞれの下部を固定し、前記各後輪脚部と前記各下端フレームとによって側面視で変形不能な略三角形状の剛性体に形成することを特徴としている。
【0008】
また、前記各前輪脚部と前記各後輪脚部との間に、左右の連結リンクを設け、前記各連結リンクに、前記各前輪脚部と前記各後輪脚部との折り畳み時に互いに中折れする前側リンク部材及び後側リンク部材を設ける。そして、前記各前側リンク部材の前端を、前記各前輪脚部の下部に左右方向へ延びる水平軸回りに回転自在に支持するとともに、後端を、前記後側リンク部材の前後方向途中位置に左右方向へ延びる水平軸回りに回転自在に支持する。一方、前記各後側リンク部材の後端を、前記各後輪脚部の下部に左右方向へ延びる水平軸回りに回転自在に支持するとともに、前端を、前記収納用バスケットの下端側部フレームの前部に左右方向へ延びる水平軸回りに回転自在にかつ前記各後側リンク部材の長手方向にスライド自在に支持していてもよい。
【0009】
また、前記各後端フレームの上端部に、前記利用者が着座可能な座面部を左右方向へ延びる水平軸回りに回転自在に支持していてもよい。
【0010】
更に、前記各後輪脚部の下側の連結フレームを前方へ凸状に突出させるとともに、前記各後端フレームの下端を、前記下側の連結フレームの前端左右両位置に対し非接触な状態で当該下側の連結フレームの前端左右両位置直上方に位置させていてもよい。
【発明の効果】
【0011】
以上、要するに、各前輪脚部同士の間に設けた収納用バスケットの後端左右両位置を上下方向へ延びる左右の後端フレームの上下両端に、収納用バスケットの上下両縁部の左右両端を前後方向へ延びる左右の上端側部フレーム及び下端側部フレームの後端をそれぞれ回転自在に支持することで、各後輪脚部と各前輪脚部との折り畳み時に収納用バスケットも折り畳まれる。
【0012】
その場合、各後端フレームの上端部を上側の連結フレームの左右両位置に固定する一方、各後輪脚部の下部に後端を固定した状態で前方へ延びる左右の下端フレームの前端にのみそれぞれの下部を固定し、各後端フレームと各後輪脚部と各下端フレームとによって側面視で変形不能な略三角形状の剛性体に形成することで、各後端フレームに掛かる荷重を各下端フレームから各後輪脚部に伝達させて耐荷重性能を十分に確保することができる。
【0013】
このため、下側の連結フレームの前端部左右両位置に左右の後端フレームの下端を固定する必要がなく、収納用バスケットの後端位置が下側の連結フレームの前方への突出量に応じて決定されることがない。これにより、収納用バスケットの後端位置を下側の連結フレームの前端部よりも前方や後方へ位置付けることも可能となり、収納用バスケットのレイアウトを拡張させることができる。
【0014】
また、各前輪脚部と各後輪脚部との間の左右の連結リンクの各前側リンク部材の前端を各前輪脚部の下部に回転自在に支持するとともに、後端を後側リンク部材の前後方向途中位置に回転自在に支持する一方、各後側リンク部材の後端を各後輪脚部の下部に回転自在に支持するとともに、前端を収納用バスケットの下端側部フレームの前部に回転自在にかつ各後側リンク部材の長手方向にスライド自在に支持している。これにより、各後輪脚部と各前輪脚部との折り畳み時に収納用バスケットをスムーズに折り畳むことができる。
【0015】
また、各後端フレームの上端部に座面部を回転自在に支持することで、各後端フレームと各後輪脚部と各下端フレームとからなる略三角形状の剛性体及び上側の連結フレームによって、座面部の剛性を十分に確保した状態で支持することができる。
【0016】
更に、各後輪脚部の下側の連結フレームを前方へ凸状に突出させるとともに、各後端フレームの下端を下側の連結フレームの前端左右両位置に対し非接触な状態で当該下側の連結フレームの前端左右両位置直上方に位置させている。このため、左右の後端フレームの下端が下側の連結フレームの前端部左右両位置に合致するような収納用バスケットのレイアウトを採用した場合であっても、各後端フレームの下端を下側の連結フレームの前端左右両位置に対し非接触な状態とすることが可能となり、耐荷重性能を十分に確保し得る各後端フレームのレイアウトをさらに拡張することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態に係る手押し車を各前輪脚部と各後輪脚部との開脚位置で斜め後方から見た斜視図である。
図2図1の手押し車を斜め前方から見た斜視図である。
図3図1の手押し車を側方から視た側面図である。
図4図1の手押し車を上方から視た平面図である。
図5図1の手押し車を前方から視た正面図である。
図6図1の手押し車を後方から視た背面図である。
図7図1の手押し車を各前輪脚部と各後輪脚部との閉脚位置で斜め後方から見た斜視図である。
図8図7の手押し車を斜め前方から見た斜視図である。
図9図7の手押し車を側方から視た側面図である。
図10図7の手押し車を上方から視た平面図である。
図11図7の手押し車を前方から視た正面図である。
図12図7の手押し車を後方から視た背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態に係る手押し車を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1は本発明の第1の実施の形態に係る手押し車を各前輪脚部と各後輪脚部との開脚位置で斜め後方から見た斜視図、図2図1の手押し車を斜め前方から見た斜視図をそれぞれ示している。また、図3図1の手押し車を側方から視た側面図、図4図1の手押し車を上方から視た平面図をそれぞれ示している。更に、図5図1の手押し車を前方から視た正面図、図6図1の手押し車を後方から視た背面図をそれぞれ示している。
【0020】
図1図6に示すように、この手押し車1は、歩行車として用いられ、左右一対の前輪脚部11,11と、左右一対の後輪脚部12,12と、ハンドルフレーム13とを備えている。
【0021】
左右の前輪脚部11,11は、後述する左右のハンドル支柱部18,18の下端にそれぞれの上端が連結され、それぞれの下端に転動自在に支持された前輪14,14を備えている。一方、左右の後輪脚部12,12は、それぞれの下端に転動自在に支持された後輪15,15を備えている。また、左右の後輪脚部12,12の下端部には、各後輪15をそれぞれ制動するブレーキ16が回動自在に支持されている。
【0022】
ハンドルフレーム13は、操舵部としての略コの字状のハンドル17と、このハンドル17の両端(図では下端)を下方から支持する操舵フレームとしての左右のハンドル支柱部18,18とで構成されている。ハンドル17は、その底部(図では前端部)を左右方向に延びたのちにその両端より後方へ延びるハンドル部材21と、このハンドル部材21の左右の角部よりそれぞれ下方へ延びるハンドル支持部材22,22とを備えている。
【0023】
また、ハンドル17は、ハンドル部材21の左右の角部より後方へ延びる把持部23,23を備え、この各把持部23を利用者が両手で把持した状態で操舵される。各把持部23の下側には、それぞれ前後方向へ延びるブレーキレバー24,24が設けられている。各ブレーキレバー24は、その前端がハンドル部材21の左右の角部に支持され、操作時にブレーキ操作ワイヤー(図示せず)を介してブレーキ16を回動させて後輪15を制動するようになっている。各ブレーキ16は、左右方向へ延びるブレーキフレーム19により連結され、各ブレーキレバー24のうちの一方のブレーキレバー24の操作により各後輪15の制動を可能にしている。
【0024】
また、左右のハンドル支持部材22,22は、略円筒状に形成され、各ハンドル支柱部18の上端に取り付けられている。各ハンドル支柱部18は、各前輪脚部11の上部を内壁面でガイドしながら上下方向へスライド自在に支持している。そして、各ハンドル支柱部18は、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、又は鉄鋼等を押出成形したパイプから形成されている。
【0025】
左右の前輪脚部11,11の上端(各ハンドル支柱部18の下端)には、それぞれ左右個別のブラケット25,25が固着されている。各ブラケット25は、断面略U字状に形成され、この各ブラケット25の後方に開口する取付部には、左右の後輪脚部12,12の上端がそれぞれ左右方向へ延びる水平軸26を介して回転自在に支持されている。また、各前輪脚部11の下端部は、左右方向へ延びる前部連結フレーム27により連結されている。
【0026】
左右の後輪脚部12,12の上端部同士及び下端部同士は、左右方向へ延びる上下両側の連結フレームとしての後部上下両側の連結フレーム28,29によりそれぞれ連結されている。後部上側の連結フレーム28は、左右方向へ直線状に延びている一方、後部下側の連結フレーム29は、前方へ凸状に突出するように平面視で後方へ開口する略コの字状に形成されている。
【0027】
左右の前輪脚部11,11の間には、荷物を内部に収納する収納用バスケット3が設けられている。この収納用バスケット3は、その後端左右両位置においてそれぞれ上下方向へ延びる左右の後端フレーム31,31を備えている。各後端フレーム31の上端部は、後部上側の連結フレーム28の左右両端部(左右両位置)にそれぞれ固定されている。この場合、左右の後端フレーム31,31の下端が後部下側の連結フレーム29の前端部左右両位置に合致するようなレイアウトが採用されている。
【0028】
また、収納用バスケット3は、その上下両端において互いに対峙するように配置され、かつ上方へ起立する起立位置と略水平に倒伏する倒伏位置とに変換される倒伏自在な上下の起伏フレーム32,33を備えている。この上下の起伏フレーム32,33は、それぞれ後方へ開口する略U字状に形成されている。そして、上端の起伏フレーム32は、収納用バスケット3の上縁部の左右両端をそれぞれ前後方向へ延びる左右の上端側部フレーム34,34を備えている一方、下端の起伏フレーム33は、収納用バスケット3の下縁部の左右両端をそれぞれ前後方向へ延びる左右の下端側部フレーム35,35を備えている。
【0029】
上端の起伏フレーム32の両端(後端)は、各後端フレーム31の上端をそれぞれ貫通して左右方向へ延びる水平軸部材36(水平軸)の両端に回転自在に支持されている。一方、下端の起伏フレーム33の両端(後端)は、各後端フレーム31の下端をそれぞれ左右方向へ延びる水平軸37回りに回転自在に支持されている。
【0030】
収納用バスケット3は、その前端部において上下両端の起伏フレーム32,33同士の間を上下方向へ延びて連結する左右一対の前端フレーム38,38を備え、この各前端フレーム38に対し上下両端の起伏フレーム32,33を水平軸回りに回転自在に支持している。また、収納用バスケット3は、上下の起伏フレーム32,33間において当該各起伏フレーム32,33とほぼ同一形状で細くかつ上下方向に略等間隔置きに配置された5本の柵状部材39,39,…を備えている。各柵状部材39は、それぞれの後端同士が左右方向に延びて環状を呈する形状に連結され、各後端フレーム31及び各前端フレーム38に対しそれぞれ左右方向へ延びる水平軸回りに回転自在に支持されている。
【0031】
更に、各後端フレーム31の下端部は、各後輪脚部12の下部に後端を左右方向へ延びるボルト部材41により固定された状態で前方へ延びる左右の下端フレーム42,42の前端に対してのみそれぞれ固定されている。この場合、各後端フレーム31は、それぞれの上端部が後部上側の連結フレーム28の左右両位置に固定されている一方、各後輪脚部12の下部に後端を固定した状態で前方へ延びる左右の下端フレーム42,42の前端にのみそれぞれの下部が固定され、各後輪脚部12と各下端フレーム42とによって側面視で変形不能な略三角形状の剛性体に形成されている。
【0032】
上端の起伏フレーム32には、収納用バスケット3の開口縁つまり上側の対峙フレーム32の周縁を開閉可能に閉塞する蓋体43が設けられている。この蓋体43は、上端の起伏フレーム32の各上端側部フレーム34の後端部に左右方向へ延びる水平軸を介して回転自在に支持されている。また、下端の起伏フレーム33には、当該起伏フレーム33に周縁を則した形状の底板44が取り付けられている。蓋体43及び底板44は、硬質樹脂により成形されている。
【0033】
図7図1の手押し車1を各前輪脚部11と各後輪脚部12との閉脚位置で斜め後方から見た斜視図、図8図7の手押し車1を斜め前方から見た斜視図をそれぞれ示している。また、図9図7の手押し車1を側方から視た側面図、図10図7の手押し車1を上方から視た平面図をそれぞれ示している。更に、図11図7の手押し車1を前方から視た正面図、図12図7の手押し車1を後方から視た背面図をそれぞれ示している。
【0034】
図7図12に示すように、各前輪脚部11及び各後輪脚部12は、後輪脚部12,12の上端が各ブラケット25の水平軸26回りに回転することで、使用状態の開脚位置(図1図6に示す位置)から折り畳み状態の閉脚位置に変換されるようになっている。
【0035】
前部連結フレーム27の直上方に対応する各前輪脚部11の下部対応位置と、後部下側の連結フレーム29の直上方に対応する各後輪脚部12の下部対応位置との間には、当該各前輪脚部11と各後輪脚部12との間を前後方向へ延びて連結する左右の連結リンク45,45が設けられている。
【0036】
各連結リンク45は、各前輪脚部11の下部対応位置に前端(図3では右端)が左右方向へ延びる水平ピン461(水平軸)に回転自在に支持されて後方(図3では左側)へ延びる前側リンク部材46と、各後輪脚部12の下部対応位置に後端(図3では左端)がボルト部材41に回転自在に支持されて前方(図3では右側)へ延びる後側リンク部材47とを備えている。左右の前側リンク部材46,46の後端は、左右の後側リンク部材47,47の長手方向途中位置に左右方向へ延びる水平ピン48(水平軸)を介して回転自在に支持されている。この場合、ボルト部材41は、後側リンク部材47の後端を回転自在に支持する水平軸として兼用されている。
【0037】
左右の後側リンク部材47,47の前端には、当該各後側リンク部材47の長手方向へ長い長孔472が設けられている。この長孔472には、下側の起伏フレーム33の各下端側部フレーム35の前後方向略中間位置より外方へ略水平に突出する水平ピン475(水平軸)がスライド自在に挿通されている。この場合、各後側リンク部材47の一端から長孔472を含む前後方向中途部(各前側リンク部材46の後他端の水平ピン48まで部位)は、上下の起伏フレーム47,47の倒伏位置から起立位置への変換動作に伴い各前輪脚部11及び各後輪脚部12が使用状態の開脚位置から折り畳み状態の閉脚位置に変換可能となるように各起伏フレーム32,33と各連結リンク45の前側リンク部材46とにそれぞれ左右方向へ延びる水平ピン461,48回りに回転自在に連結された左右の連結アームとしての機能を有している。
【0038】
そして、各連結リンク45の前側リンク部材46及び後側リンク部材47は、上下の起伏フレーム32,33の倒伏位置から起立位置への動作に伴い前側リンク部材46後端の水平ピン48回りに中折れするように構成されている。
【0039】
各前側リンク部材46と各後側リンク部材47との間には、各前輪脚部11及び各後輪脚部12を開脚位置と閉脚位置とにそれぞれ保持するように付勢する伸縮部材49が設けられている。この伸縮部材49は、伸縮可能な伸縮スプリングにより構成されている。そして、伸縮部材49(伸縮スプリング)の両端は、各前側リンク部材46の後端部寄りから上方へ突出する突片462の突出端と、各前側リンク部材46の後端よりも後方に位置する各後側リンク部材47の軸線方向略中間位置より外方へ突出する突起部473とに係止されている。
【0040】
この場合、伸縮部材49は、各前輪脚部11及び各後輪脚部12の開脚位置と閉脚位置との変換途中において、その伸縮軸線上に前側リンク部材46後端の水平ピン48の軸芯が位置する際に最も伸長し、この位置を越えると収縮による付勢力によって、開脚位置側又は閉脚位置側へ付勢される。要するに、伸縮部材49は、各前輪脚部11及び各後輪脚部12を開脚位置(図1図6に示す位置)へ変換した状態、並びに各前輪脚部11及び各後輪脚部12を閉脚位置(図7図12に示す位置)へ変換した状態にあるときに、最も収縮し、各前輪脚部11及び各後輪脚部12を開脚位置又は閉脚位置に付勢力によって保持するようにしている。
【0041】
更に、各後部上側の連結フレーム28と水平軸部材36との間に位置する各後端フレーム31の上端部には、後方へ突出するブラケット51,51がそれぞれ設けられている。この各ブラケット51の先端(後端)には、略コの字状の着座部5の両端がそれぞれ左右方向へ延びる水平軸52を介して回転自在に支持されている。また、各後端フレーム31の下部には、左右一対のリンク53,53の基端がそれぞれ左右方向へ延びる水平軸54回りに回転自在に支持されている。各リンク53の先端には、左右方向へ延びるロッド部材55が取り付けられている。
【0042】
また、着座部5の基部側(両端部側)の下面には、ロッド部材55の両端部を着座部51の基部側に沿ってそれぞれスライド自在に支持する支持板56,56が取り付けられている。各支持板56は、着座部5の下面に対しロッド部材55のスライド可能な隙間を存して着座部5の基端側位置と先端側位置とに両端が取り付けられている。そして、着座部5は、ロッド部材55の両端部が各支持板56の先端側位置に当接した際に着座可能な略水平な着座位置(図1図6に示す位置)に変換される一方、ロッド部材55の両端部が各支持板56の基端側位置に当接した際に格納可能に倒伏する倒伏位置(図7図12に示す位置)に変換される。
【0043】
したがって、本実施の形態では、左右の前輪脚部11,11同士の間に設けた収納用バスケット3の後端左右両位置を上下方向へ延びる左右の後端フレーム31,31の上下両端に、収納用バスケット3の上下両縁部の左右両端を前後方向へ延びる上端の起伏フレーム32の左右の上端側部フレーム34,34及び下端の起伏フレーム33の左右の下端側部フレーム35,35の後端がそれぞれ回転自在に支持されている。このため、各後輪脚部12と各前輪脚部11との折り畳み時に各前端フレーム38に対し上下両端の起伏フレーム32,33が水平軸回りに回転して収納用バスケット3も折り畳まれる。
【0044】
その場合、各後端フレーム31の上端部が後部上側の連結フレーム28の左右両位置に固定されている一方、各後輪脚部12の下部に後端を固定した左右の下端フレーム42,42の前端にのみ各後端フレーム31の下端部が固定され、各後端フレーム31と各後輪脚部12と各下端フレーム42とによって側面視で変形不能な略三角形状の剛性体が形成されている。このことから、各後端フレーム31に掛かる荷重を各下端フレーム42から各後輪脚部12に伝達させて耐荷重性能を十分に確保することができる。
【0045】
このため、左右の後端フレーム31,31の下端を後部下側の連結フレーム29の前端部左右両位置に固定する必要がなく、収納用バスケット3の後端位置が後部下側の連結フレーム29の前方への突出量に応じて決定されることがない。これにより、収納用バスケット3の後端位置を後部下側の連結フレーム29の前端部よりも前方や後方へ位置付けることも可能となり、収納用バスケット3のレイアウトを拡張させることができる。
【0046】
また、各前輪脚部11と各後輪脚部12との間の左右の連結リンク45の各前側リンク部材46の前端が各前輪脚部11の下部に回転自在に支持されているとともに、後端が後側リンク部材47の長手方向途中位置に水平ピン48の軸回りに回転自在に支持されている。一方、各後側リンク部材47の後端が各後輪脚部12の下部にボルト部材41の軸回りに回転自在に支持されているとともに、前端が収納用バスケット3の下端側部フレーム35の前部に水平ピン475を介して回転自在にかつ各後側リンク部材47の長手方向にスライド自在に支持されている。これにより、各後輪脚部12と各前輪脚部11との折り畳み時に収納用バスケット3をスムーズに折り畳むことができる。
【0047】
また、各後端フレーム31の上端部に座面部5が回転自在に支持されているので、各後端フレーム31と各後輪脚部12と各下端フレーム42とからなる略三角形状の剛性体及び後部上側の連結フレーム28によって、座面部5の剛性を十分に確保した状態で支持することができる。
【0048】
更に、各後輪脚部12の後部下側の連結フレーム29が前方へ凸状に突出しているとともに、各後端フレーム31の下端が後部下側の連結フレーム29の前端左右両位置に対し非接触な状態で当該後部下側の連結フレーム29の前端左右両位置直上方に位置している。このため、左右の後端フレーム31,31の下端が後部下側の連結フレーム29の前端部左右両位置に合致するような収納用バスケット3のレイアウトが採用されていても、各後端フレーム31,31の下端を後部下側の連結フレーム29の前端左右両位置に対し非接触な状態とすることが可能となり、耐荷重性能を十分に確保し得る各後端フレーム31のレイアウトをさらに拡張することができる。
【0049】
なお、本発明は本実施の形態に限定されるものではなく、その他種々の変形例を包含している。例えば、本実施の形態では、左右の後端フレーム31,31の下端が後部下側の連結フレーム29の前端部左右両位置に合致するような収納用バスケット3のレイアウトを採用したが、左右の後端フレームの下端が後部下側の連結フレームの前端部左右両位置よりも前方又は後方に位置するような収納用バスケットのレイアウトが採用されていてもよい。
【0050】
また、本実施の形態では、収納用バスケット3に上下の起伏フレーム32,33間において当該各起伏フレーム32,33とほぼ同一形状で細くかつ上下方向に略等間隔置きに配置された5本の柵状部材39,39,…を設けたが、各柵状部材の内側に周囲から目隠しする布製等の目隠し材や目隠し袋などが取り付けられていてもよい。
【0051】
更に、本実施の形態では、手押し車1を歩行車として用いた場合について述べたが、シルバーカーやショッピングカートなどの手押し車に適用してもよいのはいうまでもない。
【符号の説明】
【0052】
1 手押し車
11 前輪脚部
12 後輪脚部
14 前輪
15 後輪
17 ハンドル(操舵部)
18 ハンドル支柱部(操舵フレーム)
26 水平軸
28 後部上側の連結フレーム
29 後部下側の連結フレーム
3 収納用バスケット
31 後端フレーム
34 上端側部フレーム
35 下端側部フレーム
36 水平軸部材(水平軸)
37 水平軸
41 ボルト部材(水平軸)
42 下端フレーム
45 連結リンク
46 前側リンク部材
461 水平ピン(水平軸)
47 後側リンク部材
475 水平ピン(水平軸)
48 水平ピン(水平軸)
5 座面部
52 水平軸
図1
図2
図3
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