(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-21
(45)【発行日】2023-08-29
(54)【発明の名称】センサ装置、物品陳列棚及び生産管理システム
(51)【国際特許分類】
G01S 17/88 20060101AFI20230822BHJP
G01S 7/481 20060101ALI20230822BHJP
A47F 5/00 20060101ALI20230822BHJP
G05B 19/418 20060101ALN20230822BHJP
【FI】
G01S17/88
G01S7/481 A
A47F5/00 Z
G05B19/418 Z
(21)【出願番号】P 2018050908
(22)【出願日】2018-03-19
【審査請求日】2021-02-08
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(72)【発明者】
【氏名】内村 淳
(72)【発明者】
【氏名】高橋 博
【審査官】安井 英己
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-268024(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0208234(US,A1)
【文献】特開2013-052485(JP,A)
【文献】特開平05-225471(JP,A)
【文献】特開昭59-143982(JP,A)
【文献】特開昭61-272676(JP,A)
【文献】特開昭61-228594(JP,A)
【文献】特開2016-139306(JP,A)
【文献】特開2007-139648(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0254928(US,A1)
【文献】米国特許第05903355(US,A)
【文献】米国特許第05565686(US,A)
【文献】特開2014-098603(JP,A)
【文献】特開2010-151809(JP,A)
【文献】特開2006-029916(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48- 7/51,
G01S 17/00-17/95,
A47F 5/00,
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出されたレーザ光の少なくとも一部が所定の検出領域を含む領域を通過するように、前記レーザ光を所定の角度範囲にわたって回転走査させるレーザ測距装置と、
前記レーザ光の少なくとも一部を入射方向に対して非平行な方向に反射する反射鏡であって、反射後の前記レーザ光が前記検出領域を通過するように設けられた反射鏡と、
を備え、
前記反射鏡の反射面が前記回転走査の走査面に対して非垂直であることにより、前記検出領域において、反射後の前記レーザ光は、反射前の前記レーザ光が通過する面とは異なる面を通過し、
反射後の前記レーザ光による物体の検出タイミングと、反射前の前記レーザ光による前記物体の検出タイミングとの順序に基づいて前記検出領域にある前記物体の運動方向を検出する運動方向検出手段を更に備える
ことを特徴とするセンサ装置。
【請求項2】
反射後の前記レーザ光による物体の検出結果と、反射前の前記レーザ光による前記物体の検出結果が同一であるか否かに基づいて、前記物体の種類が台車であるか否かを判別する種類判別手段を更に備える
ことを特徴とする請求項
1に記載のセンサ装置。
【請求項3】
前記角度範囲の中の物体が検出された位置に基づいて、前記物体の位置を検出する位置検出手段を更に備える
ことを特徴とする請求項
1又は
2に記載のセンサ装置。
【請求項4】
請求項1乃至
3のいずれか1項に記載のセンサ装置と、
物品の出し入れを行うための開口部を有する陳列部と、
を備え、
前記センサ装置は、前記検出領域が前記開口部に配置されることを特徴とする物品陳列棚。
【請求項5】
請求項1乃至
3のいずれか1項に記載のセンサ装置を備え、
前記検出領域が、物品を運搬する運搬装置が通過し得る領域を含むように設けられている
ことを特徴とする生産管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ装置、物品陳列棚及び生産管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1にはレーザ光を用いて監視対象エリアを監視するエリア監視システムが開示されている。当該エリア監視システムは、レーザ光を放射する監視装置と、放射されたレーザ光を反射するリフレクタとを備える。リフレクタは、監視装置から放射されたレーザ光を監視装置に向けて反射させる機能を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているエリア監視システムにおいて、監視装置から放射されたレーザ光とリフレクタからの反射光とは同じ光路を通過する。したがって、特許文献1において、これらの光が通過する光路は、監視装置とリフレクタとを結ぶ直線上に限定されており、高機能化に限界があった。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであって、より高機能なセンサ装置並びにこれを備えた物品陳列棚及び生産管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一観点によれば、射出されたレーザ光の少なくとも一部が所定の検出領域を含む領域を通過するように、前記レーザ光を所定の走査範囲にわたって走査させるレーザ測距装置と、前記レーザ光の少なくとも一部を入射方向に対して非平行な方向に反射する反射鏡であって、反射後の前記レーザ光が前記検出領域を通過するように設けられた反射鏡と、を備えることを特徴とするセンサ装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、より高機能なセンサ装置並びにこれを備えた物品陳列棚及び生産管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る測距装置を含む物体検出システムの概略構成を示す模式図である。
【
図2】第1実施形態に係る測距装置の構造を示す正面模式図である。
【
図3】第1実施形態に係る測距装置の構造を示す側面模式図である。
【
図4】第1実施形態に係る測距装置による物体検出の例を示す図である。
【
図5】第1実施形態に係る測距装置による物体検出の例を示す図である。
【
図6】第1実施形態の変形例に係る測距装置の構造を示す側面模式図である。
【
図7】第2実施形態に係る物品陳列棚の構造を示す正面模式図である。
【
図8】第2実施形態に係る物品陳列棚の構造を示す断面模式図である。
【
図9】第2実施形態に係る物品陳列棚における物体検出の例を示す正面模式図である。
【
図10】第2実施形態に係る物品陳列棚における物体検出の例を示す断面模式図である。
【
図11】第3実施形態に係る三次元形状測定装置に用いられる三次元LiDAR装置を用いた測距の例を示す模式図である。
【
図12】第3実施形態に係る三次元形状測定装置の構造を示す上面模式図である。
【
図13】第3実施形態に係る三次元形状測定装置において、検出領域の手前に遮蔽物が存在する場合を示す上面模式図である。
【
図14】第3実施形態に係る三次元形状測定装置により取得される画像例である。
【
図15】第4実施形態に係る生産管理システムにおける台車検出機構の構成を示す正面模式図である。
【
図16】第4実施形態に係る生産管理システムにおける台車検出機構の構成を示す側面模式図である。
【
図17】第4実施形態に係る生産管理システムにおける台車検出機構の構成を示す上面模式図である。
【
図18】第4実施形態に係る生産管理システムにおける台車検出の例を示す上面模式図である。
【
図19】第4実施形態に係る生産管理システムにおける台車検出の変形例を示す上面模式図である。
【
図20】第5実施形態に係るセンサ装置の構造を示す正面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の例示的な実施形態を説明する。図面において同様の要素又は対応する要素には同一の符号を付し、その説明を省略又は簡略化することがある。
【0010】
[第1実施形態]
図1は、本実施形態に係る測距装置100を含む物体検出システムの概略構成を示す模式図である。物体検出システムは、測距装置100及び制御装置200を含む。
【0011】
測距装置100は、例えばLiDAR(Light Detection and Ranging)装置等のレーザ測距装置を含む装置である。測距装置100は、所定の範囲に光を射出し、対象物10からの反射光を検出することにより、測距装置100からの距離の分布を取得することができる。測距装置100はより一般的にセンサ装置と呼ばれることもある。
図1では1つの測距装置100が図示されているが、物体検出システムは複数の測距装置100を備える構成であってもよい。なお、本明細書において、光とは、可視光線に限定されるものではなく、赤外線、紫外線等の肉眼で視認できない不可視光線を含むものとする。
【0012】
制御装置200は、例えばコンピュータである。制御装置200は、インターフェース(I/F)210、制御部220、信号処理部230及び記憶部240を備える。インターフェース210は、制御装置200と測距装置100の間を有線又は無線により通信可能に接続する装置である。これにより、制御装置200と測距装置100の間は通信可能に接続される。インターフェース210は、例えば、イーサネット(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)等の規格に基づく通信装置であり得る。インターフェース210は、スイッチングハブ等の中継装置を含んでもよい。物体検出システムが複数の測距装置100を備えている場合には、スイッチングハブ等により中継を行うことにより、制御装置200が複数の測距装置100を制御することができる。
【0013】
制御部220は、測距装置100の動作を制御する。制御部220は、測距装置100の走査タイミングの制御、測定データの取得等の処理を行う。信号処理部230は、測距装置100から取得された信号を処理することにより、検出領域内の対象物10等の物体の距離情報を取得する。また、信号処理部230は、距離情報に基づいて、検出領域内の物体検出、物体の種類の判別、物体の運動方向の判別、画像の生成等の信号処理を行う。
【0014】
制御部220及び信号処理部230の機能は、例えば、制御装置200に設けられたCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサが記憶装置からプログラムを読み出して実行することにより実現され得る。記憶部240は、測距装置100により取得されたデータ、制御装置200の動作に用いられるプログラム、データ等を記憶する記憶装置である。これにより、制御装置200は、測距装置100を制御する機能及び、測距装置100で取得された信号を処理する機能を有する。
【0015】
上述の物体検出システムの構成は一例であり、物体検出システムは、測距装置100及び制御装置200を統括的に制御する装置を更に含んでもよい。また、物体検出システムは、測距装置100内に制御装置200の機能が組み込まれている一体型の装置であってもよい。測距装置100及び制御装置200を含む物体検出システム全体、あるいは、測距装置100及び制御装置200の機能を有する一体型装置が、より一般的にセンサ装置と呼ばれることもある。
【0016】
図2は、本実施形態に係る測距装置100の構造を示す正面模式図である。
図2には、x軸及びy軸の双方に垂直な座標軸であるz軸の正方向から見た測距装置100の構造が示されている。なお、各図においては、x軸、y軸及びz軸の三軸が相互に直交している右手系の座標軸が採用されている。また、各図に示されているx軸、y軸及びz軸は、あくまでも説明の補助のために付されたものであり、測距装置100の配置方向を限定するものではない。測距装置100は、検出領域R1内の物体を検出するためのLiDAR装置110を備える。LiDAR装置110は、レーザ光を射出するためのレーザ光源と、反射光を受けて電気信号に変換する光電変換素子と、測距方向の走査のための駆動装置とを備える。LiDAR装置110による距離検出手法の例としては、TOF(Time Of Flight)方式が用いられ得る。TOF方式とは、光を射出してから、反射光を受け取るまでの時間を計測することにより、距離を測定する方法である。
【0017】
なお、LiDAR装置110から射出されるレーザ光は、可視光線であってもよいが、赤外線等の不可視光線であってもよい。後述する物品陳列棚の入出品検出用途等においては、利用者に不快感を与えないため、射出光が不可視光線であることが望ましい。当該レーザ光は、例えば、波長が約900nmの赤外線であり得る。
【0018】
LiDAR装置110は、レーザ光源及び光電変換素子を回転させることにより、走査範囲S1の角度範囲での回転走査を行う。すなわち、LiDAR装置110は、射出されたレーザ光の少なくとも一部が検出領域R1を含む領域を通過するように、レーザ光を走査範囲S1にわたって走査させる。
図2に示されている光路L1、L2、L3、L4は、種々の角度に射出されたレーザ光の光路を例示している。LiDAR装置110は回転走査を行いつつ距離を取得することから、角度と距離の二次元情報を取得する装置であり、二次元LiDAR装置と呼ばれることもある。また、LiDAR装置110は、光電変換素子で受け取ったレーザ光の強度に基づいて、輝度情報を取得することもできる。
【0019】
制御装置200の信号処理部230は、走査時の角度情報とレーザ光を反射した対象物まで距離情報とに基づいて、対象物の位置情報を取得する。これにより、物体検出システムは、検出領域内の物体の有無及び当該物体(対象物)の位置を検出することができる。
【0020】
検出領域R1は、例えば、店舗に設けられる物品陳列棚の開口部の前面等に設定され得る。この場合、LiDAR装置110は、顧客が開口部に手を差し込んで物品陳列棚から物品を取り出す動作又は物品を戻す動作を検出することができる。この検出により得られた情報は、店舗における欠品管理、盗難検出等に用いられ得る。なお、この検出時には、顧客の指、手、腕等を検出してもよく、顧客の手に握られている物品を検出してもよい。
【0021】
図2において、LiDAR装置110は、検出領域R1の上端の中央に配置されているがこれに限定されるものではなく、例えば、検出領域R1の側面の中央、検出領域R1の下端の中央、検出領域R1の四隅等に配置されていてもよい。
【0022】
測距装置100は、反射鏡120、121を更に備える。反射鏡120、121は、平面をなす反射面を有する。反射面が平面であることにより、レーザ光の入射方向と反射方向の関係が単純化され、光路設計及び測距装置100で得られたデータの解析が容易になる。なお、反射面の形状はこれに限定されるものではなく、凸面又は凹面であってもよい。また、反射面の断面が、例えば、円の一部、楕円の一部、放物線の一部、双曲線の一部等の曲線により構成されるものであってもよく、その場合、これらの曲線の性質を活かした光学設計が可能となる。
【0023】
反射鏡120は、検出領域R1を通過しない方向に射出された光路L1のレーザ光を入射方向に対して非平行な方向に反射させる。
図2に示されているように、反射鏡120での反射後のレーザ光は、検出領域R1を通過する。
【0024】
反射鏡121は、検出領域R1を通過する方向に射出された光路L2のレーザ光を入射方向に対して非平行な方向に反射させる。
図2に示されているように、反射鏡121での反射後のレーザ光は、検出領域R1を再び通過する。
【0025】
図2では光路L3、L4のレーザ光は、反射鏡120、121で反射されないように図示されているが、光路L1、L2と同様に、検出領域R1を通過するようにレーザ光を反射させる反射鏡を更に備えていてもよい。
【0026】
図3は、本実施形態に係る測距装置100の構造を示す側面模式図である。
図3には、x軸の負方向から見た測距装置100の構造が示されている。
図3に示されているようにLiDAR装置110は、物品陳列棚300の上部に配置されている。物品陳列棚300は物品を陳列する棚を有しており、棚の前面は物品を出し入れするための開口部となっている。
図3に示されているように検出領域R1は開口部の前面を横切るように配されている。なお、側面模式図において、説明に関連しない部材の図示は省略されていることがある。
【0027】
図3に示されているように、反射鏡120は、反射前の光路L1に対して傾けて配置されている。これにより、光路L1の反射後のレーザ光は反射前のレーザ光と異なる面を通過する。このような配置とすることで、光路L1と光路L3とは異なる面上を通過する線となる。
【0028】
図4及び
図5は、本実施形態に係る測距装置100による物体検出の例を示す図である。
図4及び
図5を参照して、本実施形態の測距装置100による物体検出手法を説明する。
【0029】
図4は、複数の顧客が同時に物品陳列棚300に手を差し込んでいる場合の検出例を示している。この場合、顧客の手が測距の対象物となる。
図4には2つの対象物11、12が示されている。
【0030】
LiDAR装置110から光路L3の向きに射出されるレーザ光は、対象物11によりLiDAR装置110に向けて反射される。これにより、測距装置100は対象物11を検出することができる。しかしながら、LiDAR装置110から光路L3の向きに射出されるレーザ光は、対象物11により遮られるため、対象物12には到達しない。このように、複数の顧客が同時に物品陳列棚300に手を差し込んだ場合など、検出領域R1内に同時に複数の対象物が存在する場合には、レーザ光が対象物に遮られ、影になる領域に位置する対象物の検出ができないことがある。
【0031】
これに対し、LiDAR装置110から光路L2の向きに射出されるレーザ光は、反射鏡121で反射され、対象物12に到達する。これにより、測距装置100は対象物12を検出することができる。したがって、本実施形態の測距装置100は、2つの対象物11、12の両方を検出することができる。
【0032】
このように、本実施形態の測距装置100は、反射鏡120、121により、レーザ光を異なる向きから検出領域R1に入射させる構造となっている。そのため、複数の対象物11、12が存在する場合にも対象物によりレーザ光が遮られにくくなり、検出漏れの可能性を低減させることができる。
【0033】
また、本実施形態の測距装置100は、対象物に複数の方向からレーザ光が照射され得る構造となっている。そのため、複数のレーザ光に基づく距離情報の取得が可能となる。これにより、検出精度が向上し得る。
【0034】
図5は、顧客が物品陳列棚300に差し込んだ手の運動方向を検出する例を示している。この場合も、顧客の手が測距の対象物となる。
図5には対象物13が示されている。上述のように、光路L1と光路L3とは異なる面上を通過する。顧客が物品を取ろうとして物品陳列棚300に手を差し込むときには、対象物13は、まず光路L1を横切り、次に光路L3を横切る。そのため、光路L1を通過したレーザ光に基づいて対象物13が検出され、その後に、光路L3を通過したレーザ光に基づいて対象物13が検出される。
【0035】
一方、顧客が物品を取り出すために物品陳列棚300から手を出すときには対象物13は、まず光路L3を横切り、次に光路L1を横切る。そのため、光路L3を通過したレーザ光に基づいて対象物13が検出され、その後に、光路L1を通過したレーザ光に基づいて対象物13が検出される。
【0036】
制御装置200の信号処理部230は、光路L1を通過したレーザ光に基づく検出タイミングと光路L3を通過したレーザ光に基づく検出タイミングとの時間的な順序を判定し、この順序に基づいて対象物13の運動方向を検出することができる。すなわち、信号処理部230は、運動方向検出手段として機能する。この運動方向検出により、信号処理部230は、例えば、顧客が物品陳列棚300から物品を取ろうとしているのか、それとも物品陳列棚300に物品を戻そうとしているのかを判定することができる。
【0037】
このように、本実施形態の測距装置100は、反射鏡120、121により、反射前のレーザ光と異なる面を通過するように反射後のレーザ光を検出領域R1に入射させる構造となっている。そのため、反射後のレーザ光に基づく検出と、反射前のレーザ光に基づく検出との時間的な順序により対象物13の運動方向を検出することができる。
【0038】
以上のように、本実施形態では、反射鏡120、121により、LiDAR装置110と対象物10-13との間の光路を多様化させることができる。したがって、より高機能な測距装置100が提供される。
【0039】
また、
図2に示されているように、180度を超える走査範囲S1を有するLiDAR装置110を検出領域R1の端部に配置すると、走査範囲S1の一部は検出領域R1の外部に及ぶ。しかしながら、検出領域R1の外部を走査したとしても、検出領域R1内の対象物の検出には有効ではなく、無駄になることがある。これに対し、本実施形態では、検出領域R1の外に射出されたレーザ光を反射鏡120、121で検出領域R1に戻すことができるため、検出領域R1外に及ぶ余分な走査範囲を有効活用することができる。
【0040】
次に、第1実施形態の変形例を説明する。
図6は、本実施形態の変形例に係る測距装置100の構造を示す側面模式図である。
図6の変形例における
図3との違いは、光路L1のレーザ光を反射させる反射鏡が、互いに垂直に配置された2つの反射鏡120a、120bにより構成されている点である。
図6に示されているように、LiDAR装置110から射出されたレーザ光は、反射鏡120aで右方(z軸正方向)に反射され、その後反射鏡120bで下方(y軸負方向)に反射される。これにより、検出領域R1において、光路L1が通過する面と光路L3が通過する面とは互いに平行になる。
【0041】
本変形例によれば、検出領域R1において光路L1が通過する面と光路L3が通過する面との間隔を一定にすることができる。したがって、対象物13の運動方向の検出精度が向上する。また、2つの反射鏡120a、120bの間隔を適宜設定することで、光路L1が通過する面と光路L3が通過する面との間隔を変えることができるため、想定される検出状況に応じて適切な光路設計を行うことができる。
【0042】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態として、第1実施形態の測距装置を適用した物品陳列棚のより具体的な構成例を説明する。第1実施形態と共通する要素についての説明は省略又は簡略化する。
【0043】
図7は、本実施形態に係る物品陳列棚301の構造を示す正面模式図であり、
図8は、
図7のA-A’線断面における物品陳列棚301の断面模式図である。
図7及び
図8を参照しつつ物品陳列棚301の構成を説明する。
【0044】
物品陳列棚301は、棚302、棚302に固定された複数の反射鏡121a-126a、121b-126b、131、132、133、134及びLiDAR装置110を備える。棚302には、物品304を陳列するための陳列部303が設けられている。陳列部303は物品304の出し入れを行うための開口部が設けられている。LiDAR装置110の検出領域R1は、開口部に配置されている。より具体的には、検出領域R1は、物品304の出し入れの際に、物品304が検出領域R1を通過するような位置に配置されている。
【0045】
物品陳列棚301は、例えば、店舗において販売される商品を陳列する商品陳列棚であり得る。この場合、物品304は商品であり得る。店舗を訪れた顧客は、物品陳列棚301に陳列されている複数の物品304のうちから購入しようとする物品304を選択して陳列部303の前面の開口部から取り出す。その後、顧客は取り出した物品304を持って店舗のキャッシュレジスタ等の精算場所に移動し、物品304の代金の精算を行い、購入手続を完了する。
【0046】
反射鏡121a-126a、121b-126b、131、132、133、134は、
図7に示されているように、正面視において陳列部303を囲うように配されている。
図7において、反射鏡を122a、122bは1つの部材として図示されているが、実際には、
図8に示されるように互いに垂直に配置された1組の反射鏡122a、122bにより構成される。反射鏡121a、123a-126a、121b、123b-126bについても同様である。
【0047】
反射鏡121a-126a、121b-126b、132、133は、平面をなす反射面を有する。反射鏡131、134は、反射面の断面が楕円の一部をなしている。楕円面用いた反射鏡131、134は、一方の焦点から射出された光を他方の焦点に集める性質を有する。したがって、反射鏡131、134の一方の焦点にLiDAR装置110を配置することにより、他方の焦点にレーザ光を集めることができ、対称性が高く単純化された光路設計が可能となる。
【0048】
図9は、本実施形態における物体検出の例を示す正面模式図であり、
図10は、
図7のA-A’線断面における物体検出の例を示す断面模式図である。
図9及び
図10を参照しつつ物品陳列棚301の光路設計及び物体検出を説明する。
【0049】
図9及び
図10は、顧客が陳列部303の物品304を取ろうとして手を差し込んでいることの検出、及び手が検出された場合にその運動方向の検出を行う例を示している。この場合、顧客の手が測距の対象物14となる。
【0050】
図9には、LiDAR装置110から射出され対象物14に到達するレーザ光の光路として、光路L5、L6、L7、L8の4種類が例示されている。
図10を更に参照して各光路の詳細を説明する。光路L5において、LiDAR装置110から検出領域R1外に向けて射出されたレーザ光は、反射鏡122a、122bで順次反射されて、検出領域R1に至り、対象物14に到達する。ここで、反射鏡122aで反射される前のレーザ光は、物品陳列棚301に近い検出面p1を通過し、反射鏡122bで反射された後のレーザ光は、物品陳列棚301から検出面p1よりも遠い検出面p2を通過する。したがって、レーザ光は、検出面p2上で対象物14に到達する。
【0051】
光路L6において、LiDAR装置110から検出領域R1内に向けて射出されたレーザ光は、反射鏡131、133で順次反射されて、再び検出領域R1に至り、対象物14に到達する。
図10に示されるように、レーザ光は、検出面p1上で対象物14に到達する。なお、反射鏡131は、反射面の断面が楕円の一部をなしており、LiDAR装置110はその楕円の一方の焦点に設けられているため、反射鏡131で反射されたレーザ光は、他方の焦点において集光する。これにより対称性が高い光路設計が可能となる。
【0052】
光路L7において、LiDAR装置110から検出領域R1内に向けて射出されたレーザ光は、反射鏡で反射されることなく対象物14に到達する。この場合も、
図10に示されるように、レーザ光は、検出面p1上で対象物14に到達する。
【0053】
光路L8において、LiDAR装置110から検出領域R1内に向けて射出されたレーザ光は、反射鏡132で反射されて対象物14に到達する。この場合も、光路L6の場合と同様に、レーザ光は、検出面p1上で対象物14に到達する。
【0054】
以上のように、LiDAR装置110から射出されたレーザ光は、複数の方向から対象物14に到達する。これにより、第1実施形態と同様に、対象物によりレーザ光が遮られることに起因する検出漏れのおそれを低減させることができる。また、レーザ光が複数の検出面上で対象物14に到達する構成となっているため、第1実施形態と同様に、運動方向検出手段として機能する信号処理部230は、対象物14の運動方向を検出することができる。したがって、信号処理部230は、顧客が物品陳列棚301から物品を取ろうとしているのか、それとも物品陳列棚301に物品を戻そうとしているのかを判定することができる。
【0055】
以上のように、本実施形態では、反射鏡121a-126a、121b-126b、131、132、133、134により、LiDAR装置110と対象物14との間の光路を多様化させることができる。このようにして、より高機能な測距装置100が実現されるため、本実施形態によれば、物品304の出し入れの検出精度が高い物品陳列棚301が提供される。
【0056】
図7に示されている例では、棚302の外形には楕円が採用されており、陳列部303の外形には長方形が採用されている。しかしながら、これらの形状は図示されているものに限定されず、物品陳列棚301のデザインに応じて適宜変更することが可能である。
【0057】
また、
図7において、LiDAR装置110は、陳列部303の上端の中央に配置されているがこれに限定されるものではなく、例えば、陳列部303の側面の中央、陳列部303の下端の中央、陳列部303の四隅等に配置されていてもよい。また、LiDAR装置110は、陳列部303から離れた位置に配置されていてもよいが、LiDAR装置110の走査範囲を有効に活用するため、LiDAR装置110は、陳列部303に近い位置に設けられていることが望ましい。
【0058】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態として、第1実施形態の測距装置と同様の手法を適用した三次元形状測定装置の構成例を説明する。第1実施形態と共通する要素についての説明は省略又は簡略化する。なお、三次元形状測定装置はより一般的にセンサ装置と呼ばれることもある。
【0059】
本実施形態の三次元形状測定装置は、三次元LiDAR装置111を備える。まず、三次元LiDAR装置111について説明する。
図11は、本実施形態に係る三次元形状測定装置に用いられる三次元LiDAR装置111を用いた測距の例を示す模式図である。
【0060】
三次元LiDAR装置111は、レーザ光源及び光電変換素子を回転又は移動させることにより、図中のx方向及びy方向に二次元走査を行う。この走査により三次元LiDAR装置111は、三次元LiDAR装置111からの距離を計測することができる。したがって、三次元LiDAR装置111は、x方向、y方向及びz方向の三次元情報を得ることができる。また、三次元LiDAR装置111は、光電変換素子で受け取ったレーザ光の強度に基づいて、輝度情報を取得することもできる。
【0061】
三次元LiDAR装置111は、
図11に示されている検出領域R2と領域R3、R4の範囲内を走査できるように構成されている。言い換えると三次元LiDAR装置111の最大画角は、検出領域R2と領域R3、R4の範囲内である。
【0062】
しかしながら、本実施形態の三次元形状測定装置において、対象物15の輝度、距離等を取得することができる範囲は検出領域R2のみである。領域R3、R4に相当する三次元LiDAR装置111の画角に射出されたレーザ光は、反射鏡を用いることにより検出領域R2の検出に用いられる。
図12を参照してこの検出手法を実現する具体的構成を説明する。
【0063】
図12は、本実施形態に係る三次元形状測定装置の構造を示す上面模式図である。三次元形状測定装置は、三次元LiDAR装置111及び反射鏡135、136、137、138を備える。三次元LiDAR装置111の領域R3に相当する画角に射出されたレーザ光は、反射鏡135及び反射鏡138で順次反射され、検出領域R2内に入射される。また、三次元LiDAR装置111の領域R4に相当する画角に射出されたレーザ光は、反射鏡136及び反射鏡137で順次反射され、検出領域R2内に入射される。三次元LiDAR装置111の検出領域R2に相当する画角に射出されたレーザ光は、反射鏡135、136、137、138では反射されず、そのまま検出領域R2内に入射される。このように検出領域R2内には、3種類の光路を通過したレーザ光が入射される。
【0064】
上述のような構造を採用することの利点について、
図13、
図14(a)、
図14(b)及び
図14(c)を参照して説明する。
図13は、本実施形態に係る三次元形状測定装置において、検出領域の手前に遮蔽物30が存在する場合を示す上面模式図である。
図14(a)、
図14(b)及び
図14(c)は、本実施形態に係る三次元形状測定装置により取得される画像例である。
【0065】
図13において、反射鏡135、136、137、138と検出領域R2の間には遮蔽物30が存在している。この例は、例えば、反射鏡135、136、137、138と検出領域R2との間を人、車等の物体が横切った場合を想定したものである。
図14(a)、
図14(b)及び
図14(c)は、この場合に三次元形状測定装置で測定される画像の例である。
【0066】
図14(a)は、三次元LiDAR装置111の領域R3に相当する画角で取得される画像の例である。この光路では、反射鏡138と検出領域R2との間に遮蔽物30が存在しており、画像のほぼ全範囲が遮蔽物30で覆われている。
図14(b)は、三次元LiDAR装置111の検出領域R2に相当する画角で取得される画像の例である。この光路では、三次元LiDAR装置111と検出領域R2との間の一部に遮蔽物30が存在しており、画像の右半分が遮蔽物30で覆われている。
図14(c)は、三次元LiDAR装置111の領域R4に相当する画角で取得される画像の例である。この光路では、反射鏡137と検出領域R2との間に遮蔽物30は存在しないため、画像には遮蔽物30が存在せず、対象物15が検出されている。
【0067】
このように、本実施形態の三次元形状測定装置は、複数の光路を通過したレーザ光を異なる角度で検出領域R2内に入射させている。言い換えると、本実施形態では、反射鏡135、136、137、138により、三次元LiDAR装置111と対象物15との間の光路を多様化させることができる。これにより、複数の光路による形状測定により、遮蔽物30が存在しうるような測定環境においても遮蔽物30に起因する死角が生じにくく、高機能な三次元形状測定装置が提供される。
【0068】
なお、
図14(a)、
図14(b)、
図14(c)に相当する画像は、制御部220により並行して取得される。信号処理部230は、
図14(b)に相当する画像から対象物15を検出する第1の検出と、
図14(a)又は
図14(c)に相当する画像から対象物15を検出する第2の検出とを並行して行う。言い換えると、信号処理部230は対象物15を検出する物体検出手段として機能する。
図14(b)に基づく第1の検出と
図14(c)に基づく第2の検出とを対比すると遮蔽物30に起因する死角が生じていない第2の検出の方がより良好に対象物15を検出できる。そのため、本例では信号処理部230は、第1の検出と第2の検出の結果を比較して第2の検出の結果を採択する。
【0069】
上述の第1の検出と第2の検出の比較において適切な結果を採択するため、信号処理部230は、対象物15と遮蔽物30とを判別する遮蔽物判別手段としても機能する。この遮蔽物30の判別は、例えば、
図14(a)、
図14(b)、
図14(c)の画像中の物体の位置の違いに基づいて行われ得る。
図14(a)、
図14(b)、
図14(c)を対比すると、走査範囲の異なる各図で遮蔽物30の場所が異なっていることから、対象物15と遮蔽物30とを判別することができる。
【0070】
また、
図14(a)、
図14(b)、
図14(c)では距離情報が表現されていないが実際には画像を構成するピクセルの各点の距離情報が取得されている。そのため、信号処理部230は、第1の検出により得られた物体までの距離と、第2の検出により得られた物体までの距離とを比較することにより、対象物15と遮蔽物30とを判別してもよい。
【0071】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態として、第1実施形態の測距装置と同様の手法を適用した生産管理システムの構成例を説明する。第1実施形態と共通する要素についての説明は省略又は簡略化する。
【0072】
本実施形態の生産管理システムは、組立工場等の生産現場において、台車の搬入出を検出するシステムである。生産現場では、作業者又はロボットが、部品、原材料、半製品等を搭載した台車を押して生産ライン間を移動することがある。そのため、生産現場内の台車の位置を管理する必要があり、台車の搬入出を検出することができる生産管理システムが求められている。なお、本実施形態の生産管理システムにおける検出対象は台車に限られるものではなく、物品を運搬する運搬装置全般に適用され得る。例えば、検出対象である運搬装置は、手押しの台車ではなく、自走式の無人搬送車であってもよい。
【0073】
図15乃至
図17を参照しつつ本実施形態の生産管理システムにおける台車検出機構の構成を説明する。
図15は、本実施形態に係る生産管理システムにおける台車検出機構の構成を示す正面模式図である。
図16は、本実施形態に係る生産管理システムにおける台車検出機構の構成を示す側面模式図である。
図17は、本実施形態に係る生産管理システムにおける台車検出機構の構成を示す上面模式図である。
【0074】
台車検出機構は、LiDAR装置110及び反射鏡139、140を備える。LiDAR装置110及び反射鏡139、140は、生産現場内の天井梁401に取り付けられる。LiDAR装置110から射出されるレーザ光は、光路L9、L10、L11のいずれかを通って床面402に照射される。これにより、床面402の近傍には、台車を検出するための検出領域R5が形成される。検出領域R5は、台車が通過しうる領域を含むように設けられる。なお、検出領域R5の高さは、台車の高さを考慮して、例えば床面402から10cm程度上側であり得る。
【0075】
図15に示されるように、光路L9において、LiDAR装置110から床面402側に向けて射出されたレーザ光は、反射鏡139、140で反射されることなく、検出領域R5に至る。光路L10において、LiDAR装置110から天井梁401側に向けて射出されたレーザ光は、反射鏡139で反射され、検出領域R5に至る。光路L11において、LiDAR装置110から天井梁401側に向けて射出されたレーザ光は、反射鏡140で反射され、検出領域R5に至る。
【0076】
また、
図16に示されるように、反射鏡139、140は、x軸方向を回転軸として互いに異なる向きに傾けた配置となっている。これにより、光路L9、L10、L11は、異なる面を通過する。したがって、
図16及び
図17に示されるように検出領域R5において、光路L9、L10、L11は、z軸方向にずれた3つの検出ラインが形成される。
【0077】
図18及び
図19を参照して、台車検出の具体例を説明する。
図18は、本実施形態に係る生産管理システムにおける台車検出の例を示す上面模式図である。台車16が検出領域R5の外側にある区域Aから検出領域R5を含む区域Bに進入するときには、台車16は、光路L10、光路L9、光路L11の順に3つの光路内に進入する。これとは逆に、台車16が区域Bから区域Aに退出するときには、台車16は、光路L11、光路L9、光路L10の順に退出する。
【0078】
このように、進入時と退出時の両者では、光路L9、L10、L11における台車16の検出タイミングが異なる。そのため、制御装置200の信号処理部230は、光路L9、L10、L11のそれぞれによる検出タイミングに基づいて台車16の運動方向を検出する運動方向検出手段として機能することができる。なお、光路L9、L10、L11を横切った物体が台車16であるのかそれとも他の物体であるのかといった種類の判定は、図中x軸方向の幅に基づいて行われ得る。例えば、この判定アルゴリズムは、例えば、床面402から10cmの高さの位置に数cm以上の幅の物体が存在するときにその物体を台車16であると判定するというものであり得る。このように、制御装置200の信号処理部230は、物体の種類を判別する種類判別手段としても機能し得る。
【0079】
区域Aと区域Bは異なる場所であればよく、区域Aと区域Bの用途は特に限定されないが、例えば区域Aは生産区域であり、区域Bは台車16を保管するための台車保管区域であり得る。あるいは、区域Bは、台車16に搭載される部品、原材料、半製品等を保管する倉庫であり得る。これらの場合、本実施形態の生産管理システムは、台車保管区域又は倉庫への台車16の入出庫を管理することができる。
【0080】
図19は、本実施形態に係る生産管理システムにおける台車検出の変形例を示す上面模式図である。台車16は、区域Aから区域Bに進入した後、検出領域R5内に横向きに並べられる。
図19の例では、2個の台車16が検出領域R5内に並べられ得る。本変形例では、光路L9、L10、L11のいずれにおいても、台車16が2個検出される。そこで、本変形例では、制御装置200の信号処理部230は、光路L9、L10、L11に基づく検出結果が同一である場合に、検出領域R5内に置かれている物体が台車16であると判定することができる。このように、信号処理部230は、物体の種類を判別する種類判別手段としても機能し得る。この場合、検出領域R5内に置かれている物体の検出精度が向上するため、台車以外の物体が置かれている場合等に誤検出する可能性を低減することができる。
【0081】
なお、
図19の変形例において、制御装置200の信号処理部230は、検出領域R5内においてx方向に複数個の領域に分けて検出を行うことにより、台車16が置かれている位置等を更に検出してもよい。このように、信号処理部230は、物体の位置を検出する位置検出手段としても機能し得る。なお、この検出において、台車16が複数個検出される場合にはその個数を判別する処理が更に追加されてもよい。
【0082】
このように、本実施形態の生産管理システムは、複数の光路を通過したレーザ光を異なる角度で検出領域R5内に入射させている。言い換えると、本実施形態では、反射鏡139、140により、LiDAR装置110と対象物である台車16との間の光路を多様化させることができる。これにより、台車16の運動方向の検出、台車16の検出精度の向上等の高機能化が実現された生産管理システムが提供される。
【0083】
上述の実施形態において説明した装置等は以下の第5実施形態のようにも構成することができる。
【0084】
[第5実施形態]
図20は、第5実施形態に係るセンサ装置600の構造を示す正面模式図である。センサ装置600は、レーザ測距装置610及び反射鏡620を備える。レーザ測距装置610は、射出されたレーザ光の少なくとも一部が所定の検出領域R6を含む領域を通過するように、レーザ光を所定の走査範囲にわたって走査させる。反射鏡620は、レーザ光の少なくとも一部を入射方向に対して非平行な方向に反射する。また、反射鏡620は、反射後のレーザ光が検出領域R6を通過するように設けられる。
【0085】
本実施形態によれば、より高機能なセンサ装置600が提供される。
【0086】
[変形実施形態]
本発明は、上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0087】
上述の実施形態において述べた制御装置200の機能は以下のように実現されるものであってもよい。
【0088】
上述の実施形態の機能を実現するように該実施形態の構成を動作させるプログラムを記憶媒体に記録させ、記憶媒体に記録されたプログラムをコードとして読み出し、コンピュータにおいて実行する処理方法も各実施形態の範疇に含まれる。すなわち、コンピュータ読取可能な記憶媒体も各実施形態の範囲に含まれる。また、上述のプログラムが記録された記憶媒体だけでなく、そのプログラム自体も各実施形態に含まれる。また、上述の実施形態に含まれる1又は2以上の構成要素は、各構成要素の機能を実現するように構成されたASIC、FPGA等の回路であってもよい。
【0089】
該記憶媒体としては例えばフロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD(Compact Disk)-ROM(Read Only Memory)、磁気テープ、不揮発性メモリカード、ROMを用いることができる。また該記憶媒体に記録されたプログラム単体で処理を実行しているものに限らず、他のソフトウェア、拡張ボードの機能と共同して、OS(Operating System)上で動作して処理を実行するものも各実施形態の範疇に含まれる。
【0090】
上述の各実施形態の機能により実現されるサービスは、SaaS(Software as a Service)の形態でユーザに対して提供することもできる。
【0091】
なお、上述の実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【0092】
上述の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0093】
(付記1)
射出されたレーザ光の少なくとも一部が所定の検出領域を含む領域を通過するように、前記レーザ光を所定の走査範囲にわたって走査させるレーザ測距装置と、
前記レーザ光の少なくとも一部を入射方向に対して非平行な方向に反射する反射鏡であって、反射後の前記レーザ光が前記検出領域を通過するように設けられた反射鏡と、
を備えることを特徴とするセンサ装置。
【0094】
(付記2)
前記走査範囲の少なくとも一部において、前記レーザ光は、前記反射鏡で反射される前に前記検出領域を通過しない
ことを特徴とする付記1に記載のセンサ装置。
【0095】
(付記3)
前記反射鏡は、前記検出領域を通過していない前記レーザ光を反射させることにより前記検出領域を通過させる
ことを特徴とする付記1又は2に記載のセンサ装置。
【0096】
(付記4)
前記反射鏡は、前記検出領域を通過した前記レーザ光を反射させることにより前記検出領域を再び通過させる
ことを特徴とする付記1乃至3のいずれか1項に記載のセンサ装置。
【0097】
(付記5)
前記反射鏡は、平面をなす反射面により前記レーザ光を反射させる
ことを特徴とする付記1乃至4のいずれか1項に記載のセンサ装置。
【0098】
(付記6)
前記反射鏡は、楕円の一部をなす反射面により前記レーザ光を反射させる
ことを特徴とする付記1乃至4のいずれか1項に記載のセンサ装置。
【0099】
(付記7)
前記検出領域において、反射後の前記レーザ光は、反射前の前記レーザ光と異なる面を通過する
ことを特徴とする付記1乃至6のいずれか1項に記載のセンサ装置。
【0100】
(付記8)
反射後の前記レーザ光による物体の検出タイミングと、反射前の前記レーザ光による前記物体の検出タイミングとの順序に基づいて前記物体の運動方向を検出する運動方向検出手段を更に備える
ことを特徴とする付記7に記載のセンサ装置。
【0101】
(付記9)
反射後の前記レーザ光による物体の検出結果と、反射前の前記レーザ光による前記物体の検出結果が同一であるか否かに基づいて、前記物体の種類を判別する種類判別手段を更に備える
ことを特徴とする付記7又は8に記載のセンサ装置。
【0102】
(付記10)
前記走査範囲の中の物体が検出された位置に基づいて、前記物体の位置を検出する位置検出手段を更に備える
ことを特徴とする付記7乃至9のいずれか1項に記載のセンサ装置。
【0103】
(付記11)
物体に対して反射前の前記レーザ光による第1の検出と、反射後の前記レーザ光による第2の検出とを並行して行う物体検出手段を更に備える
ことを特徴とする付記1乃至10のいずれか1項に記載のセンサ装置。
【0104】
(付記12)
前記第1の検出により得られた前記物体までの距離と、前記第2の検出により得られた前記物体までの距離と、を比較することにより、前記物体に対する遮蔽物を判別する遮蔽物判別手段を更に備える
ことを特徴とする付記11に記載のセンサ装置。
【0105】
(付記13)
前記第1の検出における前記走査範囲と、前記第2の検出における前記走査範囲とを比較することにより、前記物体に対する遮蔽物を判別する遮蔽物判別手段を更に備える
ことを特徴とする付記11に記載のセンサ装置。
【0106】
(付記14)
付記1乃至13のいずれか1項に記載のセンサ装置と、
物品の出し入れを行うための開口部を有する陳列部と、
を備え、
前記センサ装置は、前記検出領域が前記開口部に配置されることを特徴とする物品陳列棚。
【0107】
(付記15)
付記1乃至13のいずれか1項に記載のセンサ装置を備え、
前記検出領域が、物品を運搬する運搬装置が通過し得る領域を含むように設けられている
ことを特徴とする生産管理システム。
【符号の説明】
【0108】
10-15 対象物
16 台車
30 遮蔽物
100 測距装置
110 LiDAR装置
111 三次元LiDAR装置
120、121 反射鏡
121a-126a 反射鏡
121b-126a 反射鏡
131-140 反射鏡
200 制御装置
210 インターフェース
220 制御部
230 信号処理部
240 記憶部
300、301 物品陳列棚
302 棚
303 陳列部
304 物品
401 天井梁
402 床面
600 センサ装置
610 レーザ測距装置
620 反射鏡
L1-L11 光路
p1、p2 検出面
R1、R2、R5、R6 検出領域
R3、R4 領域
S1 走査範囲