(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-21
(45)【発行日】2023-08-29
(54)【発明の名称】通信装置、通信システム、通信装置の制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 61/5014 20220101AFI20230822BHJP
H04L 61/5076 20220101ALI20230822BHJP
【FI】
H04L61/5014
H04L61/5076
(21)【出願番号】P 2022118618
(22)【出願日】2022-07-26
【審査請求日】2022-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(72)【発明者】
【氏名】石井 徹
【審査官】速水 雄太
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-274112(JP,A)
【文献】特開2005-303622(JP,A)
【文献】特開2018-007093(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 61/5014
H04L 61/5076
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバと、
WAN(Wide Area Network)のネットワーク障害を検出する障害検出部と、
パケットの転送処理を行う処理部と、
を備え、
一端がLAN(Local Area Network)に接続され、当該LANを介して端末と他の通信装置に接続されると共に、他端が前記WANに接続され、前記処理部が前記LANと前記WANとの間のパケット通信を処理する、通信装置において、
前記LANに接続されている一端にスイッチングハブを更に備え、
前記WANのネットワーク障害が検出されない場合に、
前記端末からのIP(Internet Protocol)アドレス要求に対し、
前記DHCPサーバが、
IPアドレスを前記端末に払出すと共に、
デフォルトゲートウェイアドレスとして自通信装置のIPアドレスを前記端末に通知し、
前記WANのネットワーク障害が検出された場合に、
前記端末に接続されている前記スイッチングハブのポートをリンクダウンさせ、
一定時間経過後に該ポートをリンクアップさせた後に、
前記端末からのIPアドレス要求に対し、
IPアドレスを前記端末に払出すと共に、
前記DHCPサーバが払い出したIPアドレスのリース期間が切れた前記端末からのIPアドレス更新要求に対し、
前記DHCPサーバが、
更新されたIPアドレスを前記端末に払出すと共に、
デフォルトゲートウェイアドレスとして前記他の通信装置のIPアドレスを前記端末に通知する、
通信装置。
【請求項2】
前記端末が通信を開始する前に前記WANのネットワーク障害が検出された場合に、
前記端末からのIPアドレス要求に対し、
前記DHCPサーバが、
IPアドレスを前記端末に払出すと共に、
デフォルトゲートウェイアドレスとして前記他の通信装置のIPアドレスを前記端末に通知する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記WANのネットワーク障害の復旧が検出された場合に、
前記端末に接続されている前記スイッチングハブのポートをリンクダウンさせ、
一定時間経過後に該ポートをリンクアップさせた後に、
前記端末からのIPアドレス要求に対し、
前記DHCPサーバが、
IPアドレスを前記端末に払出すと共に、
デフォルトゲートウェイアドレスとして自通信装置のIPアドレスを前記端末に通知する、
請求項
1に記載の通信装置。
【請求項4】
請求項1
から請求項3のうちのいずれか1項に記載の通信装置と、
LANを介して前記通信装置に接続される端末と、
前記LANを介して前記通信装置及び端末に接続される他の通信装置と、
を備える、通信システム。
【請求項5】
DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバ機能と、
WAN(Wide Area Network)のネットワーク障害を検出する機能と、
パケットの転送処理を行う機能と、
を備え、
一端がLAN(Local Area Network)に接続され、当該LANを介して端末と他の通信装置に接続されると共に、他端が前記WANに接続され、前記LANと前記WANとの間のパケット通信を処理する、通信装置の制御方法であって、
前記通信装置は前記LANに接続されている一端にスイッチングハブ機能を更に備え、
前記WANのネットワーク障害が検出されない場合に、
前記端末からのIP(Internet Protocol)アドレス要求に対し、
IPアドレスを前記端末に払出すと共に、
デフォルトゲートウェイアドレスとして自通信装置のIPアドレスを前記端末に通知し、
前記WANのネットワーク障害が検出されない場合に、
IPアドレスのリース期間が切れた前記端末からのIPアドレス更新要求に対し、
更新されたIPアドレスを前記端末に払出すと共に、
デフォルトゲートウェイアドレスとして前記他の通信装置のIPアドレスを前記端末に通知し、
前記WANのネットワーク障害が検出された場合に、
前記端末に接続されているポートをリンクダウンさせ、
一定時間経過後に該ポートをリンクアップさせた後に、
前記端末からのIPアドレス要求に対し、
IPアドレスを前記端末に払出すと共に、
デフォルトゲートウェイアドレスとして前記他の通信装置のIPアドレスを前記端末に通知する、
通信装置の制御方法。
【請求項6】
前記端末が通信を開始する前に前記WANのネットワーク障害が検出された場合に、
前記端末からのIPアドレス要求に対し、
IPアドレスを前記端末に払出すと共に、
デフォルトゲートウェイアドレスとして前記他の通信装置のIPアドレスを前記端末に通知する、
請求項
5に記載の通信装置の制御方法。
【請求項7】
前記WANのネットワーク障害の復旧が検出された場合に、
IPアドレスのリース期間が切れた前記端末からのIPアドレス更新要求に対し、
更新されたIPアドレスを前記端末に払出すと共に、
デフォルトゲートウェイアドレスとして自通信装置のIPアドレスを前記端末に通知する、
請求項
5に記載の通信装置の制御方法。
【請求項8】
メモリに格納された実行可能なプログラムを実行するプロセッサを備える通信装置に、
請求項
5から請求項
7のうちのいずれか1項に記載の通信装置の制御方法を、
実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、通信システム、通信装置の制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数台のルータが収容される冗長化システムでは、VRRP(Virtual Router Redundancy Protocol)機能を使用するものが多い。このようなシステムでは、収容されるルータすべてにVRRP機能を具備する必要がある。例えば、特許文献1に記載の技術では、通常時にVRRP状態がマスターのVoIP(Voice over Internet Protocol)ルータを経由して処理を行い、WAN(Wide Area Network)に障害が発生した場合に、LAN(Local Area Network)間接続装置切替え方法により、VRRP状態がバックアップ状態で動作していたVoIPルータがVRRP状態をマスター状態に変更し、仮想IP(Internet Protocol)アドレス等を引き継ぎ動作させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、VRRP機能を有していないルータを使用する非冗長構成のシステムを冗長化構成に切り替える場合には、既存のルータもVRRP機能を有するものに置き換える必要がある。
【0005】
本発明の目的の一例は、上記の課題を解決する通信装置、通信システム、通信装置の制御方法及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る情報処理装置は、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバと、WAN(Wide Area Network)のネットワーク障害を検出する障害検出部と、パケットの転送処理を行う処理部と、を備え、一端がLAN(Local Area Network)に接続され、当該LANを介して端末と他の通信装置に接続されると共に、他端が前記WANに接続され、前記処理部が前記LANと前記WANとの間のパケット通信を処理する、通信装置において、前記LANに接続されている一端にスイッチングハブを更に備え、前記WANのネットワーク障害が検出されない場合に、前記端末からのIP(Internet Protocol)アドレス要求に対し、前記DHCPサーバが、IPアドレスを前記端末に払出すと共に、デフォルトゲートウェイアドレスとして自通信装置のIPアドレスを前記端末に通知し、前記WANのネットワーク障害が検出された場合に、前記端末に接続されている前記スイッチングハブのポートをリンクダウンさせ、一定時間経過後に該ポートをリンクアップさせた後に、前記端末からのIPアドレス要求に対し、IPアドレスを前記端末に払出すと共に、前記DHCPサーバが払い出したIPアドレスのリース期間が切れた前記端末からのIPアドレス更新要求に対し、前記DHCPサーバが、更新されたIPアドレスを前記端末に払出すと共に、デフォルトゲートウェイアドレスとして前記他の通信装置のIPアドレスを前記端末に通知する。
【0007】
本発明の第2の態様によれば、通信システムは、上記の通信装置と、LANを介して前記通信装置に接続される端末と、前記LANを介して前記通信装置及び端末に接続される他の通信装置と、を備える。
【0008】
本発明の第3の態様によれば、通信装置の制御方法は、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバ機能と、WAN(Wide Area Network)のネットワーク障害を検出する機能と、パケットの転送処理を行う機能と、を備え、一端がLAN(Local Area Network)に接続され、当該LANを介して端末と他の通信装置に接続されると共に、他端が前記WANに接続され、前記LANと前記WANとの間のパケット通信を処理する、通信装置の制御方法であって、前記通信装置は前記LANに接続されている一端にスイッチングハブ機能を更に備え、前記WANのネットワーク障害が検出されない場合に、前記端末からのIP(Internet Protocol)アドレス要求に対し、IPアドレスを前記端末に払出すと共に、デフォルトゲートウェイアドレスとして自通信装置のIPアドレスを前記端末に通知し、前記WANのネットワーク障害が検出されない場合に、IPアドレスのリース期間が切れた前記端末からのIPアドレス更新要求に対し、更新されたIPアドレスを前記端末に払出すと共に、デフォルトゲートウェイアドレスとして前記他の通信装置のIPアドレスを前記端末に通知し、前記WANのネットワーク障害が検出された場合に、前記端末に接続されているポートをリンクダウンさせ、一定時間経過後に該ポートをリンクアップさせた後に、前記端末からのIPアドレス要求に対し、IPアドレスを前記端末に払出すと共に、デフォルトゲートウェイアドレスとして前記他の通信装置のIPアドレスを前記端末に通知する。
【0009】
本発明の第4の態様によれば、プログラムは、メモリに格納された実行可能なプログラムを実行するプロセッサを備える通信装置に、上記の通信装置の制御方法を、実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、VRRPに準拠していない安価なルータで、冗長化されたデフォルトゲートウェイシステムを構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態による通信システムの概略構成例を示す図である。
【
図2】実施形態による通信装置の概略構成例を示す図である。
【
図3】第1実施形態に係る第1通信装置の構成例を示す図である。
【
図4】第1実施形態に係る第2通信装置の構成例を示す図である。
【
図5】第1実施形態に係る第1通信装置と第2通信装置を備える通信システムの構成例と、通信経路例を示す図である。
【
図6】第1実施形態に係る第2接続部側障害が発生していない場合の処理例を示すシーケンス図である。
【
図7】第1実施形態に係る端末の通信開始前から第2接続部側障害が発生している場合の処理例を示すシーケンス図である。
【
図8】第1実施形態に係る通信中に障害が検出された場合の処理例を示すシーケンス図である。
【
図9】第1実施形態に係る障害が復旧した場合の処理例のシーケンス図である。
【
図10】第2実施形態に係る第1通信装置の構成例を示す図である。
【
図11】第2実施形態に係る第1通信装置と第2通信装置を備える通信システムの構成例と、通信経路例を示す図である。
【
図12】第2実施形態に係る通信中に障害が検出された場合の処理例を示すシーケンス図である。
【
図13】第2実施形態に係る障害検出後に障害復旧が検出された場合の処理例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0013】
[通信システムの概略構成例]
図1は、実施形態による通信システムの概略構成例を示す図である。
図1のように、通信システム1は、第1通信装置2(通信装置)と、第2通信装置3(他の通信装置)を備える。第1通信装置2は、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバ21を備える。
【0014】
端末4は、ネットワークに接続される接続機器であり、例えば、パーソナルコンピュータ、携帯端末等である。端末4は、LAN(Local Area Network)5を介して第1通信装置2または第2通信装置3に接続される。また、端末4は、LAN5と、第1通信装置2または第2通信装置3を介してネットワークNWに接続される。
【0015】
LAN5は、例えばEthernet(登録商標)等の有線LANネットワーク、または例えばWi-Fi(登録商標)規格等の無線LANネットワーク等である。
【0016】
第1通信装置2は、例えばマスターのルータである。第1通信装置2は、一端がLAN5を介して端末4が接続され、他端が例えばインターネットなどの広域ネットワークWAN(Wide Area Network)が接続される。第1通信装置2は、WAN側に障害が発生していない通常時、IP(Internet Protocol)パケットの転送を行う。DHCPサーバ21は、LAN5側からの要求に従い、IPアドレスやゲートウェイアドレスなどを通知する。第1通信装置2は、常時あるいは一定時間ごとに第1通信装置2がネットワークNWと正常に通信ができるか否かの検査を行う。第1通信装置2は、通常時にデフォルトゲートウェイアドレスとして第1通信装置2の一端に付与されているIPアドレスを端末4に通知する。第1通信装置2は、障害時にデフォルトゲートウェイアドレスとして第2通信装置3の一端に付与されているIPアドレスを端末4に通知する。
【0017】
第2通信装置3は、例えばバックアップ用のルータである。第2通信装置3は、一端がLAN5を介して端末4が接続され、他端が例えばインターネットなどの広域ネットワークWANが接続される。第2通信装置3は、第1通信装置2がWAN側に障害を検出した場合に、第1通信装置2に変わって、端末4が送受信するIPパケットの転送を行う。
【0018】
このように本実施形態の通信システム1は、通信装置(第1通信装置2)と、LAN5を介して第1通信装置2と接続される端末4と、LAN5を介して第1通信装置2と接続される他の通信装置(第2通信装置3)を備える。
【0019】
[通信装置の概略構成例]
図2は、実施形態による通信装置の概略構成例を示す図である。
図2のように、通信装置2Bは、DHCPサーバ21と、障害検出部22と、処理部23を備える。なお、
図2に示した通信装置2Bの構成例は一例であり、これに限らない。
【0020】
通信装置2Bの一端は、LAN5に接続され、LAN5を介して端末4と他の通信装置3に接続される。また、通信装置2Bの他端と他の通信装置3の他端は、WAN6に接続される。
【0021】
障害検出部22は、WAN側のネットワーク障害を検出する。
処理部23は、パケットの転送を行う。
【0022】
WAN6のネットワーク障害が検出されない場合に、端末4からのIPアドレス要求に対し、DHCPサーバ21が、IPアドレスを端末4に払出すと共に、デフォルトゲートウェイアドレスとして自通信装置2BのIPアドレスを端末4に通知する。WAN6のネットワーク障害が検出された場合に、DHCPサーバ21が払い出したIPアドレスのリース期間が切れた端末4からのIPアドレス更新要求に対し、DHCPサーバ21が、更新されたIPアドレスを端末4に払出すと共に、デフォルトゲートウェイアドレスとして他の通信装置3のIPアドレスを端末4に通知する。
【0023】
<第1実施形態>
[第1通信装置の構成例]
図3は、本実施形態に係る第1通信装置の構成例を示す図である。第1通信装置2は、例えば、DHCPサーバ21と、障害検出部22と、処理部23と、データベース24と、第1接続部25と、第2接続部26を備える。なお、
図3に示した構成は一例であり、これに限らない。
【0024】
第1接続部25には、例えばLANが接続される。
第2接続部26には、例えばインターネットなどの広域ネットワークWANが接続される。
【0025】
DHCPサーバ21は、処理部23に接続され、LAN側からの要求に従い、IPアドレスやゲートウェイアドレスなどを通知する。
【0026】
処理部23は、第1接続部25と第2接続部26の間でIPパケットの転送を行う。
【0027】
障害検出部22は、DHCPサーバ21と第2接続部26に接続され、第2接続部26より外部の通信経路の切断や通信時間の遅延などの障害を検出する。検出の方法としては、例えばインターネット上の到達性のあるIPアドレスへ定期的にICMP Echo-Requestを送信し、その応答を受信できるか確認したり、その遅延時間を算出したりすることで行う。インターネットへの接続がLTE(Long Term Evolution)などの携帯電話網の場合には、電波レベルなどの回線品質を取得することで行って検出するようにしてもよい。障害検出部22は、これらの処理により、第2接続部26側接続の障害を検出した場合に、DHCPサーバ21へ障害を検出したことを示す障害情報を通知する。また、障害検出部22は、第2接続部26側接続の障害が復旧した場合に、DHCPサーバ21へ復旧を通知する。
【0028】
データベース24は、LAN側へ通知するIPアドレスやゲートウェイアドレスを保持する。
【0029】
[第2通信装置の構成例]
図4は、本実施形態に係る第2通信装置の構成例を示す図である。第2通信装置3は、例えば、処理部33と、第1接続部35と、第2接続部36を備える。なお、
図4に示した構成は一例であり、これに限らない。
【0030】
処理部33は、第1接続部35と第2接続部36の間でIPパケットの転送を行う。
第1接続部35には、例えばLANが接続される。
第2接続部36には、例えばインターネットなどの広域ネットワークWANが接続される。
【0031】
[通信システムの構成例]
次に、第1通信装置2と第2通信装置3を備える通信システム1の構成例と、通信経路例を説明する。
図5は、本実施形態に係る第1通信装置と第2通信装置を備える通信システムの構成例と、通信経路例を示す図である。
【0032】
第1通信装置2は、第1接続部25がLAN5に接続され、第2接続部26がネットワークNWに接続され、通常時にIPパケットの転送を行う。
第2通信装置3は、第1接続部35がLAN5に接続され、第2接続部36がネットワークNWに接続され、障害時にIPパケットの転送を行う。
【0033】
なお、
図5では、LAN側に接続される機器の例として1つの端末4を示したが、接続される数は2つ以上であってもよい。
端末4は、第1通信装置2の第2接続部26側で障害が発生していない場合に第1経路(通常経路)g11で通信を行い、第2接続部26側障害が発生している場合に第2経路(バックアップ経路)g12で通信を行う。
【0034】
[通常時の処理例]
次に、第2接続部26側障害が発生していない場合の処理例を説明する。
図6は、本実施形態に係る第2接続部側障害が発生していない場合の処理例を示すシーケンス図である。
なお、LAN5に接続される端末4は、ネットワーク接続の設定をDHCPでIPアドレスを自動的に取得する設定にしておく。この設定では、デフォルトゲートウェイアドレスもDHCPで取得する。
【0035】
端末4は、通信を開始する際に以下のステップS1~S4の処理を行う。
(ステップS1)端末4は、DHCPサーバを見つけIPアドレスを付与してもらうためにDHCPDISCOVERメッセージを送信する。DHCPサーバ21は、LAN5と第1接続部25を介してDHCPDISCOVERメッセージを取得する。なお、DHCPDISCOVERメッセージには、クライアントに固有の識別情報が入っている。
【0036】
(ステップS2)DHCPサーバ21は、取得したDHCPDISCOVERメッセージに応じて、DHCPOFFERメッセージを、第1接続部25を介して端末4へ送信する。端末4は、DHCPOFFERメッセージを取得する。DHCPOFFERメッセージには、使用可能なIPアドレスとデフォルトゲートウェイアドレスが含まれる。デフォルトゲートウェイアドレスは、第1通信装置2の第1接続部25に付与されているIPアドレスである。なお、この付与されるIPアドレスには、利用可能な所定の期間(リース期間)が設定されている。
【0037】
(ステップS3)端末4は、DHCPREQUESTメッセージを第1通信装置2へ送信する。DHCPサーバ21は、LAN5と第1接続部25を介してDHCPREQUESTメッセージを取得する。なお、DHCPREQUESTメッセージは、DHCPDISCOVERメッセージに含まれる割り当て候補のIPアドレスの正式取得要求である。
【0038】
(ステップS4)DHCPサーバ21は、取得したDHCPREQUESTメッセージに応じてIPアドレスを付与するDHCPACKメッセージを、第1接続部25を介して端末4へ送信する。端末4は、DHCPACKメッセージを取得する。
【0039】
これにより、端末4と第1通信装置2との間に通信が確立される。第2接続部26側障害が発生していない場合、端末4は、ネットワークNWと通信をしたい場合、自らが送信するIPパケットをデフォルトゲートウェイである第1通信装置2へ送信することで、第1経路を用いてネットワークNWへ送信される。そして、第1通信装置2は、端末4とネットワークNWとの間のIPパケットの転送を行う。
【0040】
(ステップS5)端末4は、リース期間が満了するまえに、再度DHCPREQUESTメッセージを第1通信装置2へ送信することでリース期間の更新を要求する。DHCPサーバ21は、LAN5と第1接続部25を介してDHCPREQUESTメッセージを取得する。
【0041】
(ステップS6)DHCPサーバ21は、取得したDHCPREQUESTメッセージに応じてDHCPACKメッセージを、第1接続部25を介して端末4へ送信することでリース期間を更新する。端末4は、DHCPACKメッセージを取得する。なお、障害検出部22が第2接続部26側接続の障害を検出していない状態において、DHCPサーバ21は、ステップS6のDHCPACKメッセージでもデフォルトゲートウェイアドレスとして第1通信装置2の第1接続部25に付与されているIPアドレスを通知する。
【0042】
(ステップS7)これにより、第2接続部26側接続の障害が発生していない状態では、LAN側からネットワークNWへの通信が継続して第1通信装置2を介す第1経路g11(
図5)で行われる。
【0043】
このように本実施形態では、WAN6のネットワーク障害が検出されない場合に、端末4からのIPアドレス要求に対し、DHCPサーバ21が、IPアドレスを端末4に払出すと共に、デフォルトゲートウェイアドレスとして自通信装置2BのIPアドレスを端末4に通知する。
【0044】
[端末の通信開始前から障害が発生している場合]
次に、端末4の通信開始前から第2接続部26側障害が発生している場合の処理について説明する。
図7は、本実施形態に係る端末の通信開始前から第2接続部側障害が発生している場合の処理例を示すシーケンス図である。
【0045】
(ステップS11)障害検出部22は、端末4が通信を開始する前に第2接続部26側(WAN側)障害が発生していることを検出し、障害情報をDHCPサーバ21へ通知する。
【0046】
(ステップS12)端末4は、DHCPDISCOVERメッセージを送信する。DHCPサーバ21は、DHCPDISCOVERメッセージを取得する。
【0047】
(ステップS13)DHCPサーバ21は、DHCPOFFERメッセージを、第1接続部25を介して端末4へ送信する。端末4は、DHCPOFFERメッセージを取得する。DHCPOFFERメッセージに含まれるデフォルトゲートウェイアドレスは、第2通信装置3の第1接続部35に付与されているIPアドレスである。
【0048】
(ステップS14)端末4は、DHCPREQUESTメッセージを第1通信装置2へ送信する。DHCPサーバ21は、LAN5と第1接続部25を介してDHCPREQUESTメッセージを取得する。
【0049】
(ステップS15)DHCPサーバ21は、DHCPACKメッセージを端末4へ送信する。端末4は、DHCPACKメッセージを取得する。
【0050】
(ステップS16)これにより、端末4は、ネットワークNWと通信をする場合、自らが送信するIPパケットをデフォルトゲートウェイである第2通信装置3へ送信することで、第2経路g12(
図5)を介すネットワークNWへ送信される。この結果、端末は、障害復旧まで第2通信装置3を介した第2経路を用いて通信を行う。
なお、DHCPサーバ21は、リース期間更新時のDHCPREQUESTメッセージに対しても、障害復旧までデフォルトゲートウェイアドレスとして第2通信装置3の第1接続部35のアドレスを端末4へ通知する。
【0051】
このように本実施形態では、端末4が通信を開始する前にWAN6のネットワーク障害が検出された場合に、端末4からのIPアドレス要求に対し、DHCPサーバ21が、IPアドレスを端末4に払出すと共に、デフォルトゲートウェイアドレスとして他の通信装置である第2通信装置3のIPアドレスを端末4に通知する。
【0052】
[通信中に障害が検出された場合]
次に、端末4が通信を開始した時点で第2接続部26側障害を検出しておらず、通信中に第2接続部26側障害を検出した場合の動作を説明する。
図8は、本実施形態に係る通信中に障害が検出された場合の処理例を示すシーケンス図である。
【0053】
端末4は、通信を開始する際に以下のステップS101~S104の処理を行う。
(ステップS101)端末4は、DHCPDISCOVERメッセージを送信する。DHCPサーバ21は、DHCPDISCOVERメッセージを取得する。
【0054】
(ステップS102)DHCPサーバ21は、DHCPOFFERメッセージを端末4へ送信する。端末4は、DHCPOFFERメッセージを取得する。DHCPOFFERメッセージに含まれるデフォルトゲートウェイアドレスは、第1通信装置2の第1接続部25に付与されているIPアドレスである。
【0055】
(ステップS103)端末4は、DHCPREQUESTメッセージを第1通信装置2へ送信する。DHCPサーバ21は、DHCPREQUESTメッセージを取得する。
【0056】
(ステップS104)DHCPサーバ21は、DHCPACKメッセージを、端末4へ送信する。端末4は、DHCPACKメッセージを取得する。
【0057】
(ステップS105)第1通信装置2は、第1経路を介してIPパケットの転送を行う。
【0058】
(ステップS106)障害検出部22は、第2接続部26側障害が発生していることを検出し、障害情報をDHCPサーバ21へ通知する。
【0059】
(ステップS107)端末4は、リース期間が満了するまえに、再度DHCPREQUESTメッセージを第1通信装置2へ送信することでリース期間の更新を要求する。DHCPサーバ21は、LAN5と第1接続部25を介してDHCPREQUESTメッセージを取得する。
【0060】
(ステップS108)DHCPサーバ21は、リース期間の更新を拒否するDHCPNAKメッセージを端末4へ送信する。端末4は、DHCPNAKメッセージを取得する。
【0061】
(ステップS109)端末4は、DHCPDISCOVERメッセージを送信する。DHCPサーバ21は、DHCPDISCOVERメッセージを取得する。
【0062】
(ステップS110)DHCPサーバ21は、DHCPOFFERメッセージを端末4へ送信する。端末4は、DHCPOFFERメッセージを取得する。DHCPOFFERメッセージに含まれるデフォルトゲートウェイアドレスは、第2通信装置3の第1接続部35に付与されているIPアドレスである。なお、DHCPサーバ21が付与するIPアドレスは、障害発生前のステップS104で付与したIPアドレスと同じである。
【0063】
(ステップS111)端末4は、DHCPREQUESTメッセージを第1通信装置2へ送信する。DHCPサーバ21は、LAN5と第1接続部25を介してDHCPREQUESTメッセージを取得する。
【0064】
(ステップS112)DHCPサーバ21は、DHCPACKメッセージを端末4へ送信する。端末4は、DHCPACKメッセージを取得する。なお、DHCPACKメッセージに含まれるIPアドレスは障害発生前と同じであり、ゲートウェイアドレスは第2通信装置3の第1接続部35に付与されているIPアドレスである。
【0065】
(ステップS113)これ以降、端末4は、第2通信装置3を介す第2経路g12を用いてネットワークNWと通信を行う。
【0066】
このように本実施形態では、WAN6のネットワーク障害が検出された場合に、DHCPサーバ21が払い出したIPアドレスのリース期間が切れた端末4からのIPアドレス更新要求に対し、DHCPサーバ21が、更新されたIPアドレスを端末4に払出すと共に、デフォルトゲートウェイアドレスとして他の通信装置3のIPアドレスを端末4に通知する。
【0067】
[障害復旧時の処理]
次に、障害発生後、障害が復旧した場合の処理例を説明する。
図9は、本実施形態に係る障害が復旧した場合の処理例のシーケンス図である。
【0068】
(ステップS201)障害検出部22は、端末4が通信を開始する前に第2接続部26側障害が発生していることを検出し、障害情報をDHCPサーバ21へ通知する。
【0069】
(ステップS202)端末4は、DHCPDISCOVERメッセージを送信する。DHCPサーバ21は、DHCPDISCOVERメッセージを取得する。
【0070】
(ステップS203)DHCPサーバ21は、DHCPOFFERメッセージを、第1接続部25を介して端末4へ送信する。端末4は、DHCPOFFERメッセージを取得する。DHCPOFFERメッセージに含まれるデフォルトゲートウェイアドレスは、第2通信装置3の第1接続部35に付与されているIPアドレスである。
【0071】
(ステップS204)端末4は、DHCPREQUESTメッセージを第1通信装置2へ送信する。DHCPサーバ21は、LAN5と第1接続部25を介してDHCPREQUESTメッセージを取得する。
【0072】
(ステップS205)DHCPサーバ21は、DHCPACKメッセージを端末4へ送信する。端末4は、DHCPACKメッセージを取得する。DHCPOFFERメッセージに含まれるデフォルトゲートウェイアドレスは、第2通信装置3の第1接続部35に付与されているIPアドレスである。なお、DHCPサーバ21が付与するIPアドレスは、障害発生前に付与したIPアドレスと同じである。
【0073】
(ステップS206)端末4は、第2通信装置3を介す第2経路g12を用いてネットワークNWと通信を行う。
【0074】
(ステップS207)障害検出部22は、第2接続部26側障害が復旧していることを検出し、復旧情報をDHCPサーバ21へ通知する。
【0075】
(ステップS208)端末4は、リース期間が満了するまえに、再度DHCPREQUESTメッセージを第1通信装置2へ送信することでリース期間の更新を要求する。DHCPサーバ21は、DHCPREQUESTメッセージを取得する。
【0076】
(ステップS209)DHCPサーバ21は、リース期間の更新を拒否するDHCPNAKメッセージを端末4へ送信する。端末4は、DHCPNAKメッセージを取得する。
【0077】
(ステップS210)端末4は、DHCPDISCOVERメッセージを送信する。DHCPサーバ21は、DHCPDISCOVERメッセージを取得する。
【0078】
(ステップS211)DHCPサーバ21は、DHCPOFFERメッセージを端末4へ送信する。端末4は、DHCPOFFERメッセージを取得する。DHCPOFFERメッセージに含まれるデフォルトゲートウェイアドレスは、第1通信装置2の第1接続部25に付与されているIPアドレスである。なお、DHCPサーバ21が付与するIPアドレスは、障害発生前に付与したIPアドレスと同じである。
【0079】
(ステップS212)端末4は、DHCPREQUESTメッセージを第1通信装置2へ送信する。DHCPサーバ21は、DHCPREQUESTメッセージを取得する。
【0080】
(ステップS213)DHCPサーバ21は、DHCPACKメッセージを端末4へ送信する。端末4は、DHCPACKメッセージを取得する。なお、DHCPACKメッセージに含まれるIPアドレスは障害発生前と同じであり、ゲートウェイアドレスは第1通信装置2の第1接続部25に付与されているIPアドレスである。
【0081】
(ステップS214)これ以降、端末4は、第1通信装置2を介す第1経路g11を用いてネットワークNWと通信を行う。
【0082】
このように本実施形態では、WAN6のネットワーク障害の復旧が検出された場合に、DHCPサーバ21が払い出したIPアドレスのリース期間が切れた端末4からのIPアドレス更新要求に対し、DHCPサーバ21が、更新されたIPアドレスを端末4に払出すと共に、デフォルトゲートウェイアドレスとして自通信装置(第1通信装置2)のIPアドレスを端末4に通知する。
【0083】
なお、第1通信装置2が第2接続部26側障害を検出してから、LAN側に接続される機器のデフォルトゲートウェイアドレスが第2通信装置3に切り替わるまでの時間は、DHCPのリースタイムに依存する。このため、DHCPサーバ21は、リースタイムを短くしておくことで、第2接続部26側障害の検出や復旧から、実際に通信経路が切り替わるまでの時間を短くすることができる。
【0084】
なお、
図6~
図9で説明した各メッセージ(パケット)名等は一例であり、これに限らない。各メッセージ(パケット)は、上述した機能を有していればよく、通信プロトコルに応じたメッセージやパケットであればよい。
【0085】
本実施形態では、マスタールータである第1通信装置2のDHCP機能によりLAN側に接続される機器のデフォルトゲートウェイアドレスを切り替えるようにした。
これにより本実施形態によれば、バックアップルータである第2通信装置3に冗長化システムのための機能を具備しなくても、冗長化システムを構築することができる。
【0086】
<第2実施形態>
図10は、本実施形態に係る第1通信装置の構成例を示す図である。第1通信装置2Aは、例えば、DHCPサーバ21Aと、障害検出部22と、処理部23と、データベース24と、第1接続部25Aと、第2接続部26を備える。なお、
図10に示した構成は一例であり、これに限らない。なお、第2通信装置3の構成は、第1実施形態と同様である。
【0087】
第1接続部25Aは、スイッチングハブ251Aを備える。なお、スイッチングハブ251Aは、例えば複数のEthernetポートを有し、その任意のポートを電気的にリンクダウン、リンクアップさせる機能を有する。障害が発生していない場合、スイッチングハブ251Aは、処理部23の切り替えに応じて、第1通信装置2Aを介す第1経路での通信を行うように接続する。障害が発生している場合、スイッチングハブ251Aは、処理部23の切り替えに応じて、第2通信装置3を介す第2経路での通信を行うように接続する。
【0088】
DHCPサーバ21Aは、障害検出部22が検出した結果に基づいて、スイッチングハブ251Aを制御する。なお、スイッチングハブ251Aの制御は、処理部23が行ってもよい。
【0089】
[通信システムの構成例]
次に、第1通信装置2Aと第2通信装置3を備える通信システム1Aの構成例と、通信経路例を説明する。
図11は、本実施形態に係る第1通信装置と第2通信装置を備える通信システムの構成例と、通信経路例を示す図である。
【0090】
第2通信装置3と端末4は、スイッチングハブ251Aに直接接続される。
障害が発生していない場合、端末4は、第1通信装置2Aを介す第1経路g21によってネットワークNWに接続さる。
障害が発生している場合、端末4は、第1通信装置2Aのスイッチングハブ251Aと第2通信装置3を介す第2経路g22によってネットワークNWに接続さる。
なお、
図11において、接続される端末4の数は2つ以上であってもよい。
【0091】
[通信中に障害が検出された場合]
図10、
図11の構成例では、通信中に第2接続部26側障害が発生、または復旧した場合の動作が第1実施形態の処理と異なる。
図12は、本実施形態に係る通信中に障害が検出された場合の処理例を示すシーケンス図である。
【0092】
端末4は、通信を開始する際に以下のステップS301~S304の処理を行う。
(ステップS301)端末4は、DHCPDISCOVERメッセージを送信する。DHCPサーバ21Aは、DHCPDISCOVERメッセージを取得する。
【0093】
(ステップS302)DHCPサーバ21Aは、取得したDHCPDISCOVERメッセージに応じて、DHCPOFFERメッセージを端末4へ送信する。端末4は、DHCPOFFERメッセージを取得する。DHCPOFFERメッセージに含まれるデフォルトゲートウェイアドレスは、第1通信装置2Aの第1接続部25に付与されているIPアドレスである。DHCPサーバ21Aは、DHCPDISCOVERメッセージを受信したスイッチングハブ251Aのポート番号を記憶する。
【0094】
(ステップS303)端末4は、DHCPREQUESTメッセージを第1通信装置2Aへ送信する。DHCPサーバ21Aは、DHCPREQUESTメッセージを取得する。
【0095】
(ステップS304)DHCPサーバ21Aは、DHCPACKメッセージを端末4へ送信する。端末4は、DHCPACKメッセージを取得する。
【0096】
(ステップS305)端末4は、第1通信装置2Aを介す第1経路g21(
図11)を用いてネットワークNWと通信を行う。
【0097】
(ステップS306)障害検出部22は、第2接続部26側障害が発生していることを検出し、障害情報をDHCPサーバ21Aへ通知する。
【0098】
(ステップS307)DHCPサーバ21Aは、端末4が接続されているスイッチングハブ251Aのポートを制御して、Ethernetをリンクダウンさせ、一定時間(例えば3秒間程度)経過後リンクアップさせる。
【0099】
(ステップS308)これにより、端末4は、LANポートのリンクダウンを検出し、DHCPで取得済みの情報をクリアする。
【0100】
端末4は、通信を開始する際に以下のステップS309~S313の処理を行う。
(ステップS309)端末4は、再度IPアドレスを付与してもらうためにDHCPDISCOVERメッセージを送信する。DHCPサーバ21Aは、DHCPDISCOVERメッセージを取得する。
【0101】
(ステップS310)DHCPサーバ21Aは、DHCPOFFERメッセージを端末4へ送信する。端末4は、DHCPOFFERメッセージを取得する。DHCPOFFERメッセージに含まれるデフォルトゲートウェイアドレスは、第2通信装置3の第1接続部35に付与されているIPアドレスである。
【0102】
(ステップS311)端末4は、DHCPREQUESTメッセージを第1通信装置2Aへ送信する。DHCPサーバ21Aは、DHCPREQUESTメッセージを取得する。
【0103】
(ステップS312)DHCPサーバ21Aは、DHCPACKメッセージを端末4へ送信する。端末4は、DHCPACKメッセージを取得する。
【0104】
(ステップS313)これ以降、端末4は、第1通信装置2Aのスイッチングハブ251Aと第2通信装置3を介す第2経路g22を用いてネットワークNWと通信を行う。
【0105】
なお、障害が復旧した場合の処理は、DHCPサーバ21Aが通知するデフォルトゲートウェイのアドレスが第1通信装置2Aとなる。
【0106】
このように本実施形態では、LAN5に接続されている一端にスイッチングハブ251Aを更に備え、WAN6のネットワーク障害が検出された場合に、端末4に接続されているスイッチングハブ251Aのポートをリンクダウンさせ、一定時間経過後に該ポートをリンクアップさせた後に、端末4からのIPアドレス要求に対し、DHCPサーバ21Aが、IPアドレスを端末4に払出すと共に、デフォルトゲートウェイアドレスとして他の通信装置(第2通信装置3)のIPアドレスを端末4に通知する。
【0107】
次に、WAN6のネットワーク障害の復旧が検出された場合の処理手順例を説明する。
図13は、本実施形態に係る障害検出後に障害復旧が検出された場合の処理例を示すシーケンス図である。
【0108】
(ステップS401)障害検出部22は、第2接続部26側障害が復旧していることを検出し、復旧情報をDHCPサーバ21Aへ通知する。
【0109】
(ステップS402)DHCPサーバ21Aは、端末4が接続されているスイッチングハブ251Aのポートを制御して、Ethernetをリンクダウンさせる。
【0110】
(ステップS403)DHCPサーバ21Aは、一定時間(例えば3秒間程度)経過後リンクアップさせる。
【0111】
(ステップS404)端末4は、IPアドレス要求を第1通信装置2Aへ送信する。
【0112】
(ステップS405)DHCPサーバ21Aは、IPアドレスを端末4に払い出すと共に、デフォルトゲートウェイアドレスとして自通信装置(第1通信装置2A)のIPアドレスを端末4に通知する。
【0113】
(ステップS406)端末4は、第1通信装置2Aを介す第1経路を用いてネットワークNWと通信を行う。
【0114】
このように本実施形態では、WAN6のネットワーク障害の復旧が検出された場合に、端末4に接続されているスイッチングハブ251Aのポートをリンクダウンさせ、一定時間経過後に該ポートをリンクアップさせた後に、端末4からのIPアドレス要求に対し、DHCPサーバ21Aが、IPアドレスを端末4に払出すと共に、デフォルトゲートウェイアドレスとして自通信装置(第1通信装置2A)のIPアドレスを端末4に通知する。
【0115】
これにより、本実施形態によれば、第2接続部26側障害の検出、障害が復旧した後、DHCPのリースタイムの満了を待たずにLAN側に接続される機器のデフォルトゲートウェイアドレスを切り替えることが可能となるという効果がある。
【0116】
<変形例>
第1実施形態の
図3、
図5の構成を第2実施形態の構成に併用することもできる。この場合は、第2接続部26側障害発生時、第1通信装置2Aのスイッチングハブ251Aに直結している端末を早いタイミングで切り替え、それ以外の端末をリース期間の満了をもって切り替えるといった、プライオリティを付けた運用も可能である。
【0117】
また、上述した各実施形態では、障害があった場合に使用する通信装置が1つで、通信経路が第2経路の例を説明したが、これに限らない。例えば第1実施形態の
図5において、LAN5に第3通信装置(不図示)が接続されていてもよい。この場合、第1通信装置2は、障害発生時に、第2通信装置3を経由する第2経路を用いてもよく、第3通信装置を経由する第3経路を用いてもよい。
【0118】
上述の第1通信装置2(または2A)は内部に、コンピュータシステムを有していてもよい。そして、第1通信装置2(または2A)に上述した各処理を行わせるためのプログラムは、当該第1通信装置2のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムを第1通信装置2(または2A)のコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われるようにしてもよい。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
また、上記プログラムは、前述した各処理部の機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0119】
第1通信装置2(または2A)のコンピュータシステムは、例えば、CPU(中央演算装置)と、主記憶装置と、補助記憶装置と、インタフェースと、不揮発性記録媒体とを備えるようにしてもよい。CPUは、プログラムに従って、第1通信装置2(または2A)が行う処理を行うようにしてもよい。
【0120】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0121】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0122】
<付記>
(付記1)
DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバと、
WAN(Wide Area Network)のネットワーク障害を検出する障害検出部と、
パケットの転送処理を行う処理部と、
を備え、
一端がLAN(Local Area Network)に接続され、当該LANを介して端末と他の通信装置に接続されると共に、他端が前記WANに接続され、前記処理部が前記LANと前記WANとの間のパケット通信を処理する、通信装置において、
前記WANのネットワーク障害が検出されない場合に、
前記端末からのIP(Internet Protocol)アドレス要求に対し、
前記DHCPサーバが、
IPアドレスを前記端末に払出すと共に、
デフォルトゲートウェイアドレスとして自通信装置のIPアドレスを前記端末に通知し、
前記WANのネットワーク障害が検出された場合に、
前記DHCPサーバが払い出したIPアドレスのリース期間が切れた前記端末からのIPアドレス更新要求に対し、
前記DHCPサーバが、
更新されたIPアドレスを前記端末に払出すと共に、
デフォルトゲートウェイアドレスとして前記他の通信装置のIPアドレスを前記端末に通知する、
通信装置。
【0123】
(付記2)
前記端末が通信を開始する前に前記WANのネットワーク障害が検出された場合に、
前記端末からのIPアドレス要求に対し、
前記DHCPサーバが、
IPアドレスを前記端末に払出すと共に、
デフォルトゲートウェイアドレスとして前記他の通信装置のIPアドレスを前記端末に通知する、
(付記1)に記載の通信装置。
【0124】
(付記3)
前記WANのネットワーク障害の復旧が検出された場合に、
前記DHCPサーバが払い出したIPアドレスのリース期間が切れた
前記端末からのIPアドレス更新要求に対し、
前記DHCPサーバが、
更新されたIPアドレスを前記端末に払出すと共に、
デフォルトゲートウェイアドレスとして自通信装置のIPアドレスを前記端末に通知する、
(付記1)または(付記2)に記載の通信装置。
【0125】
(付記4)
前記LANに接続されている一端にスイッチングハブを更に備え、
前記WANのネットワーク障害が検出された場合に、
前記端末に接続されている前記スイッチングハブのポートをリンクダウンさせ、
一定時間経過後に該ポートをリンクアップさせた後に、
前記端末からのIPアドレス要求に対し、
前記DHCPサーバが、
IPアドレスを前記端末に払出すと共に、
デフォルトゲートウェイアドレスとして前記他の通信装置のIPアドレスを前記端末に通知する、
(付記1)から(付記3)のうちのいずれか1つに記載の通信装置。
【0126】
(付記5)
前記WANのネットワーク障害の復旧が検出された場合に、
前記端末に接続されている前記スイッチングハブのポートをリンクダウンさせ、
一定時間経過後に該ポートをリンクアップさせた後に、
前記端末からのIPアドレス要求に対し、
前記DHCPサーバが、
IPアドレスを前記端末に払出すと共に、
デフォルトゲートウェイアドレスとして自通信装置のIPアドレスを前記端末に通知する、
(付記4)に記載の通信装置。
【0127】
(付記6)
(付記1)から(付記5)のうちのいずれか1つに記載の通信装置と、
LANを介して前記通信装置に接続される端末と、
前記LANを介して前記通信装置及び端末に接続される他の通信装置と、
を備える、通信システム。
【0128】
(付記7)
DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバ機能と、
WAN(Wide Area Network)のネットワーク障害を検出する機能と、
パケットの転送処理を行う機能と、
を備え、
一端がLAN(Local Area Network)に接続され、当該LANを介して端末と他の通信装置に接続されると共に、他端が前記WANに接続され、前記LANと前記WANとの間のパケット通信を処理する、通信装置の制御方法であって、
前記WANのネットワーク障害が検出されない場合に、
前記端末からのIP(Internet Protocol)アドレス要求に対し、
IPアドレスを前記端末に払出すと共に、
デフォルトゲートウェイアドレスとして自通信装置のIPアドレスを前記端末に通知し、
前記WANのネットワーク障害が検出された場合に、
IPアドレスのリース期間が切れた前記端末からのIPアドレス更新要求に対し、
更新されたIPアドレスを前記端末に払出すと共に、
デフォルトゲートウェイアドレスとして前記他の通信装置のIPアドレスを前記端末に通知する、
通信装置の制御方法。
【0129】
(付記8)
前記端末が通信を開始する前に前記WANのネットワーク障害が検出された場合に、
前記端末からのIPアドレス要求に対し、
IPアドレスを前記端末に払出すと共に、
デフォルトゲートウェイアドレスとして前記他の通信装置のIPアドレスを前記端末に通知する、
(付記7)に記載の通信装置の制御方法。
【0130】
(付記9)
前記WANのネットワーク障害の復旧が検出された場合に、
IPアドレスのリース期間が切れた前記端末からのIPアドレス更新要求に対し、
更新されたIPアドレスを前記端末に払出すと共に、
デフォルトゲートウェイアドレスとして自通信装置のIPアドレスを前記端末に通知する、
(付記7)または(付記8)に記載の通信装置の制御方法。
【0131】
(付記10)
前記LANに接続されている一端にスイッチングハブ機能を更に備える、(付記7)から(付記9)のうちのいずれか1つに記載の通信装置の制御方法において、
前記WANのネットワーク障害が検出された場合に、
前記端末に接続されているポートをリンクダウンさせ、
一定時間経過後に該ポートをリンクアップさせた後に、
前記端末からのIPアドレス要求に対し、
IPアドレスを前記端末に払出すと共に、
デフォルトゲートウェイアドレスとして前記他の通信装置のIPアドレスを前記端末に通知する、
通信装置の制御方法。
【0132】
(付記11)
前記WANのネットワーク障害の復旧が検出された場合に、
前記端末に接続されているポートをリンクダウンさせ、
一定時間経過後に該ポートをリンクアップさせた後に、
前記端末からのIPアドレス要求に対し、
IPアドレスを前記端末に払出すと共に、
デフォルトゲートウェイアドレスとして自通信装置のIPアドレスを前記端末に通知する、
(付記10)に記載の通信装置の制御方法。
【0133】
(付記12)
メモリに格納された実行可能なプログラムを実行するプロセッサを備える通信装置に、
(付記7)から(付記11)のうちのいずれか1つに記載の通信装置の制御方法を、
実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0134】
1…通信システム、
2,2A…第1通信装置、
2B…通信装置、
3…第2通信装置、
21,21A…DHCPサーバ、
22…障害検出部、
23…処理部、
24…データベース、
25,25A…第1接続部、
26…第2接続部、
251A…スイッチングハブ
【要約】
【課題】VRRPに準拠していない安価なルータで、冗長化されたデフォルトゲートウェイシステムを構築することができるようにする。
【解決手段】通信装置は、DHCPサーバと、WANのネットワーク障害を検出する障害検出部と、パケットの転送処理を行う処理部と、を備え、WANのネットワーク障害が検出されない場合に、端末からのIPアドレス要求に対し、DHCPサーバが、IPアドレスを端末に払出すと共に、デフォルトゲートウェイアドレスとして自通信装置のIPアドレスを端末に通知し、WANのネットワーク障害が検出された場合に、DHCPサーバが払い出したIPアドレスのリース期間が切れた端末からのIPアドレス更新要求に対し、DHCPサーバが、更新されたIPアドレスを端末に払出すと共に、デフォルトゲートウェイアドレスとして他の通信装置のIPアドレスを端末に通知する。
【選択図】
図2