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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-21
(45)【発行日】2023-08-29
(54)【発明の名称】検針装置及び検針方法
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/00 20220101AFI20230822BHJP
   G01F 1/06 20060101ALI20230822BHJP
   G01F 3/22 20060101ALI20230822BHJP
【FI】
G01F1/00 Y
G01F1/06 Z
G01F3/22 D
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019213841
(22)【出願日】2019-11-27
(65)【公開番号】P2021085724
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101133
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 初音
(74)【代理人】
【識別番号】100199749
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 成
(74)【代理人】
【識別番号】100197767
【弁理士】
【氏名又は名称】辻岡 将昭
(74)【代理人】
【識別番号】100201743
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 和真
(72)【発明者】
【氏名】小菅 博章
【審査官】羽飼 知佳
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-164544(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/00- 9/02
G01F 15/00-15/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信メータのメータ読み値を取得する取得部と、
現在のメータ読み値である現在値から前記取得部により取得されたメータ読み値である取得値への変化が、メータ読み値の増加による変化であるとした場合での増加変化量、及び、メータ読み値の減少による変化であるとした場合での減少変化量を算出する算出部と、
前記算出部により算出された増加変化量の絶対値と当該算出部により算出された減少変化量の絶対値とを比較する比較部と、
前記比較部により増加変化量の絶対値が減少変化量の絶対値以下であると判定された場合に取得値で現在値を更新し、当該比較部により増加変化量の絶対値が減少変化量の絶対値より大きいと判定された場合に現在値を更新しない更新部と
を備えた検針装置。
【請求項2】
取得部が、通信メータのメータ読み値を取得するステップと、
算出部が、現在のメータ読み値である現在値から前記取得部により取得されたメータ読み値である取得値への変化が、メータ読み値の増加による変化であるとした場合での増加変化量、及び、メータ読み値の減少による変化であるとした場合での減少変化量を算出するステップと、
比較部が、前記算出部により算出された増加変化量の絶対値と当該算出部により算出された減少変化量の絶対値とを比較するステップと、
更新部が、前記比較部により増加変化量の絶対値が減少変化量の絶対値以下であると判定された場合に取得値で現在値を更新し、当該比較部により増加変化量の絶対値が減少変化量の絶対値より大きいと判定された場合に現在値を更新しないステップと
を有する検針方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、通信メータの検針を行うための検針装置及び検針方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、通信メータの検針を行うための検針装置が知られている(例えば特許文献1,2参照)。通信メータは、通信方式の流量計である。この通信メータは、対象とする流体の流量に応じてメータ読み値を更新し、当該メータ読み値を示すデータを外部に送信する。そして、検針装置は、通信メータからのデータを受信して、当該データが示すメータ読み値を取得し、現在のメータ読み値の更新を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-278762号公報
【文献】国際公開第2019/107161号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、通信メータが対象とする流体は、通常では配管を一方向に流れるが、使用状況によっては配管を逆方向に流れる場合があり、すなわち逆流が生じる場合がある。逆流が生じた場合、従来の検針装置では、メータ読み値の更新に問題が生じる場合がある。
【0005】
すなわち、通信メータは、仕様によっては、逆流が生じるとメータ読み値を減らしてしまう場合がある。また、メータ読み値のレンジ幅は有限であり、メータ読み値がレンジの最大値を上回ると最小値に戻り、メータ読み値がレンジの最小値を下回ると最大値に戻る。また、従来の検針装置は、メータ読み値が増え続けることを前提とし、メータ読み値の積算を行っている。そのため、通信メータでメータ読み値が減ったとしても、検針装置ではメータ読み値が減ったとは判定せず、メータ読み値が増えたものと判定してしまう。
そのため、僅かな逆流が生じても、検針装置は、大量の正流が生じたものと誤認識してしまう場合、又は、異常が発生したと誤認識してしまう場合がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、通信メータが対象とする流体に逆流が生じても、メータ読み値を正しく更新可能となる検針装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る検針装置は、通信メータのメータ読み値を取得する取得部と、現在のメータ読み値である現在値から取得部により取得されたメータ読み値である取得値への変化が、メータ読み値の増加による変化であるとした場合での増加変化量、及び、メータ読み値の減少による変化であるとした場合での減少変化量を算出する算出部と、算出部により算出された増加変化量の絶対値と当該算出部により算出された減少変化量の絶対値とを比較する比較部と、比較部により増加変化量の絶対値が減少変化量の絶対値以下であると判定された場合に取得値で現在値を更新し、当該比較部により増加変化量の絶対値が減少変化量の絶対値より大きいと判定された場合に現在値を更新しない更新部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、上記のように構成したので、通信メータが対象とする流体に逆流が生じても、メータ読み値を正しく更新可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る検針システムの構成例を示す図である。
図2】実施の形態1に係る検針装置の構成例を示す図である。
図3】実施の形態1に係る検針装置の動作例を示すフローチャートである。
図4図4A図4Fは、実施の形態1に係る検針装置の動作例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は実施の形態1に係る検針システムの構成例を示す図である。
検針システムは、図1に示すように、1つ以上の通信メータ1、1つ以上のコントローラ2、及び検針装置3を備えている。通信メータ1は、通信線を介してコントローラ2に接続されている。また、コントローラ2は、通信線を介して検針装置3に接続されている。図1では、1つの通信メータ1及び1つのコントローラ2を示している。
【0011】
通信メータ1は、対象とする流体の流量に応じてメータ読み値を更新し、当該メータ読み値を示すデータを外部に送信する通信方式の流量計である。流体としては、水又はガス等が挙げられる。図1における直線の矢印は、流体の正流方向を示している。
【0012】
通信メータ1は、例えば配管(不図示)を流れる流体により回転する歯車11を有している。そして、この通信メータ1は、流体に正流が生じて歯車11が正方向に1回転するとメータ読み値を1つ増やし、流体に逆流が生じて歯車11が逆方向に1回転するとメータ読み値を1つ減らすようにして、メータ読み値を更新する。ここで、メータ読み値のレンジ幅は有限であり、メータ読み値がレンジの最大値を上回ると最小値に戻り、メータ読み値がレンジの最小値を下回ると最大値に戻る。なお、メータ読み値が、レンジの最大値を上回って最小値に戻り、更に増えることを、ローテートという。そして、通信メータ1は、Modbus又はPLC(プログラマブルロジックコントローラ)等の通信により、例えばコントローラ2からの取得要求に応じ、現在のメータ読み値を示すデータを当該コントローラ2に送信する。
【0013】
コントローラ2は、対象とする通信メータ1の管理を行う。
コントローラ2は、例えば通信メータ1に対して所定周期(例えば5分周期)でメータ読み値の取得要求(通信メータ1が複数の場合にはスキャン等)を行うことにより通信メータ1からのデータを受信し、当該データが示すメータ読み値を取得する。そして、コントローラ2は、取得したメータ読み値で、現在のメータ読み値(現在値)を更新する。そして、コントローラ2は、BACnet(Building Automation and Control Network)等の通信により、例えば検針装置3からの取得要求に応じ、現在のメータ読み値を示すデータを当該検針装置3に送信する。
【0014】
なお上記では、通信メータ1が、メータ読み値として、歯車11が回転した回数を得る場合を示した。しかしながら、これに限らず、通信メータ1は、メータ読み値として、対象とする流体の流量に応じて変化するその他のパラメータ(例えば流量そのもの)を得るものであってもよい。
また、通信メータ1及びコントローラ2としては、既存の通信メータ(通信方式の流量計)及びコントローラを用いることができる。
【0015】
検針装置3は、コントローラ2を介して、対象とする通信メータ1の管理を行う。検針装置3は、図2に示すように、保持部31、取得部32、算出部33、比較部34、更新部35及び表示部36を備えている。
【0016】
なお、取得部32、算出部33、比較部34及び更新部35は、システムLSI(Large Scale Integration)等の処理回路、又はメモリ等に記憶されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等により実現される。
【0017】
保持部31は、現在のメータ読み値を示すデータを保持する。以下では、保持部31に保持されているデータが示す現在のメータ読み値を、現在値とも称す。保持部31は、HDD(Hard Disk Drive)、DVD(Digital Versatile Disc)又はメモリ等によって構成される。
【0018】
図2では、保持部31が検針装置3の内部に設けられた場合を示している。しかしながら、これに限らず、保持部31は検針装置3の外部に設けられていてもよい。
【0019】
取得部32は、例えばコントローラ2に対して所定周期(例えば5分周期)でメータ読み値の取得要求(コントローラ2が複数の場合にはスキャン等)を行うことによりコントローラ2からデータを受信し、当該データが示すメータ読み値を取得する。すなわち、取得部32は、通信メータ1のメータ読み値を取得する。以下では、取得部32により取得されたメータ読み値を、取得値とも称す。
【0020】
算出部33は、増加変化量及び減少変化量を算出する。増加変化量は、現在値から取得値への変化がメータ読み値の増加による変化であるとした場合での変化量である。減少変化量は、現在値から取得値への変化がメータ読み値の減少による変化であるとした場合での変化量である。
【0021】
比較部34は、算出部33により算出された増加変化量の絶対値と当該算出部33により算出された減少変化量の絶対値とを比較する。
【0022】
更新部35は、現在値の更新を行う。ここで、更新部35は、比較部34により増加変化量の絶対値が減少変化量の絶対値以下であると判定された場合には、取得値で現在値を更新する。一方、更新部35は、比較部34により増加変化量の絶対値が減少変化量の絶対値より大きいと判定された場合には、現在値は更新しない。
【0023】
表示部36は、現在値を表示するディスプレイである。
図2では、表示部36が検針装置3の内部に設けられた場合を示している。しかしながら、これに限らず、表示部36は検針装置3の外部に設けられていてもよい。
【0024】
なお図1では、検針システムにコントローラ2が設けられた場合を示している。しかしながら、これに限らず、検針システムにコントローラ2が設けられていなくてもよい。この場合、通信メータ1は、通信線を介して検針装置3に直接接続される。そして、通信メータ1は、Modbus又はPLC等の通信により、例えば検針装置3からの取得要求に応じ、現在のメータ読み値を示すデータを当該検針装置3に送信する。また、取得部32は、例えば通信メータ1に対してメータ読み値の取得要求(通信メータ1が複数の場合にはスキャン等)を行うことにより通信メータ1からデータを受信し、当該データが示すメータ読み値を取得する。
【0025】
次に、図1,2に示す検針装置3による1つの通信メータ1に対する動作例について、図3を参照しながら説明する。なお、保持部31は、現在のメータ読み値(現在値)を示すデータを保持している。なお、現在値の初期値は0であるとする。
【0026】
ここで、メータ読み値のレンジ幅は有限である。そのため、作業者等が検針装置3を用いて検針を行うまでの間にメータ読み値が何周も回ってしまうと、作業者等は正しく検針できない。そのため、通常、メータ読み値のレンジ幅は、検針装置3で1回に取得されるメータ読み値の大きさに対して十分大きな値に設定される。
そこで、実施の形態1に係る検針装置3では、上記のレンジ幅と1回に取得されるメータ読み値の大きさとの関係を利用し、増加変化量の絶対値及び減少変化量の絶対値のうちの小さい方にメータ読み値が変化したものと見做す。
また、正流に対して逆流が生じる回数はさほど多くはないと考えられる。そのため、実施の形態1に係る検針装置3では、増加変化量の絶対値と減少変化量の絶対値とが同値である場合には、メータ読み値が増加したものと見做す。
【0027】
図1,2に示す検針装置3の動作例では、図3に示すように、まず、取得部32は、通信メータ1のメータ読み値(取得値)を取得する(ステップST301)。この際、取得部32は、例えばコントローラ2に対して所定周期でメータ読み値の取得要求を行うことによりコントローラ2からデータを受信し、当該データが示すメータ読み値を取得する。
【0028】
次いで、算出部33は、増加変化量及び減少変化量を算出する(ステップST302)。
【0029】
次いで、比較部34は、算出部33により算出された増加変化量の絶対値が当該算出部33により算出された減少変化量の絶対値以下であるかを判定する(ステップST303)。これにより、検針装置3では、現在値から取得値への変化がメータ読み値の増加による変化であるのか(正流が生じているのか)、又は、現在値から取得値への変化がメータ読み値の減少による変化であるのか(逆流が生じているのか)を判定可能となる。
【0030】
このステップST303において比較部34により増加変化量の絶対値が減少変化量の絶対値以下であると判定された場合には、更新部35は、取得値で現在値を更新する(ステップST304)。これにより、対象とする流体に正流が生じた場合には、検針装置3は、従来通り、取得値により現在値の更新を行うことができる。
【0031】
一方、ステップST303において比較部34により増加変化量の絶対値が減少変化量の絶対値以下ではないと判定された場合、すなわち、増加変化量の絶対値が減少変化量の絶対値より大きいと判定された場合には、更新部35は、現在値を更新しない(ステップST305)。これにより、対象とする流体に逆流が生じた場合には、検針装置3は、現在値の更新は行わず、誤った現在値の増加を防げる。
【0032】
次いで、表示部36は、現在値を表示する(ステップST306)。
【0033】
なお上記では、検針装置3による1つの通信メータ1に対する動作例について示した。一方、検針システムに複数の通信メータ1が存在する場合には、検針装置3は、通信メータ1毎に上記のような動作を実施する。
【0034】
次に、検針装置3による1つの通信メータ1に対するメータ読み値の更新動作の具体例について、図4を参照しながら説明する。なお、メータ読み値のレンジ幅は10000(レンジの値の範囲は0~9999)であるとする。すなわち、レンジの最小値は0であり、最大値は10000である。
図4Aでは、現在値が9990であり、取得値が10である。この場合、現在値から取得値への変化がメータ読み値の増加による変化(図4A上段の矢印方向への変化)であるとした場合には、その変化はレンジの最大値を上回る変化である。よって、増加変化量は、最大値から現在値を差し引いた値と、取得値から最小値を差し引いた値との加算値であり、(10000-9990)+(10-0)=20である。また、現在値から取得値への変化がメータ読み値の減少による変化(図4A下段の矢印方向への変化)であるとした場合には、その変化はレンジの最大値を上回る変化ではなく最小値を下回る変化でもない。よって、減少変化量は、取得値から現在値を差し引いた値であり、10-9990=-9980である。そのため、増加変化量の絶対値は減少変化量の絶対値以下である。よって、検針装置3は、現在値を9990から10へと更新する。
【0035】
図4Bでは、現在値が9990であり、取得値が9900である。この場合、現在値から取得値への変化がメータ読み値の増加による変化(図4B上段の矢印方向への変化)であるとした場合には、その変化はレンジの最大値を上回る変化である。よって、増加変化量は、最大値から現在値を差し引いた値と、取得値から最小値を差し引いた値との加算値であり、(10000-9990)+(9900-0)=9910である。また、現在値から取得値への変化がメータ読み値の減少による変化(図4B下段の矢印方向への変化)であるとした場合には、その変化はレンジの最大値を上回る変化ではなく最小値を下回る変化でもない。よって、減少変化量は、取得値から現在値を差し引いた値であり、9900-9990=-90である。そのため、増加変化量の絶対値は減少変化量の絶対値より大きい。よって、検針装置3は、現在値を9990のままとして更新は行わない。
【0036】
図4Cでは、現在値が9990であり、取得値が4990である。この場合、現在値から取得値への変化がメータ読み値の増加による変化(図4C上段の矢印方向への変化)であるとした場合には、その変化はレンジの最大値を上回る変化である。よって、増加変化量は、最大値から現在値を差し引いた値と、取得値から最小値を差し引いた値との加算値であり、(10000-9990)+(4990-0)=5000である。また、現在値から取得値への変化がメータ読み値の減少による変化(図4C下段の矢印方向への変化)であるとした場合には、その変化はレンジの最大値を上回る変化ではなく最小値を下回る変化でもない。よって、減少変化量は、取得値から現在値を差し引いた値であり、4990-9990=-5000である。そのため、増加変化量の絶対値は減少変化量の絶対値以下(同値)である。よって、検針装置3は、現在値を9990から4990へと更新する。
【0037】
図4Dでは、現在値が9990であり、取得値が5000である。この場合、現在値から取得値への変化がメータ読み値の増加による変化(図4D上段の矢印方向への変化)であるとした場合には、その変化はレンジの最大値を上回る変化である。よって、増加変化量は、最大値から現在値を差し引いた値と、取得値から最小値を差し引いた値との加算値であり、(10000-9990)+(5000-0)=5010である。また、現在値から取得値への変化がメータ読み値の減少による変化(図4D下段の矢印方向への変化)であるとした場合には、その変化はレンジの最大値を上回る変化ではなく最小値を下回る変化でもない。よって、減少変化量は、取得値から現在値を差し引いた値であり、5000-9990=-4990である。そのため、増加変化量の絶対値は減少変化量の絶対値より大きい。よって、検針装置3は、現在値を9990のままとして更新は行わない。
【0038】
図4Eでは、現在値が10であり、取得値が9990である。この場合、現在値から取得値への変化がメータ読み値の増加による変化(図4E上段の矢印方向への変化)であるとした場合には、その変化はレンジの最大値を上回る変化ではなく最小値を下回る変化でもない。よって、増加変化量は、取得値から現在値を差し引いた値であり、9990-10=9980である。また、現在値から取得値への変化がメータ読み値の減少による変化(図4E下段の矢印方向への変化)であるとした場合には、その変化はレンジの最小値を下回る変化である。よって、減少変化量は、最小値から現在値を差し引いた値と、取得値から最大値を差し引いた値との加算値であり、(0-10)+(9990-10000)=-20である。そのため、増加変化量の絶対値は減少変化量の絶対値より大きい。よって、検針装置3は、現在値を10のままとして更新は行わない。
【0039】
図4Fでは、現在値が0であり、取得値が9999である。この場合、現在値から取得値への変化がメータ読み値の増加による変化(図4F上段の矢印方向への変化)であるとした場合には、その変化はレンジの最大値を上回る変化ではなく最小値を下回る変化でもない。よって、増加変化量は、取得値から現在値を差し引いた値であり、9999-0=9999である。また、現在値から取得値への変化がメータ読み値の減少による変化(図4F下段の矢印方向への変化)であるとした場合には、その変化はレンジの最小値を下回る変化である。よって、減少変化量は、最小値から現在値を差し引いた値と、取得値から最大値を差し引いた値との加算値であり、(0-0)+(9999-10000)=-1である。そのため、増加変化量の絶対値は減少変化量の絶対値より大きい。よって、検針装置3は、現在値を0のままとして更新は行わない。
【0040】
次に、1つの通信メータ1での現在のメータ読み値及び検針装置3での当該通信メータ1に対する現在のメータ読み値(現在値)の時系列な変化の具体例について説明する。
なお、通信メータ1での現在のメータ読み値の初期値及び検針装置3での現在値の初期値はともに0であるとする。
【0041】
まず、通信メータ1での現在のメータ読み値が0から10に増加したとする。この場合、検針装置3は、取得値として10を取得する。そして、検針装置3は、現在値から取得値への変化がメータ読み値の増加による変化であると判定し、現在値を0から10に更新する。
【0042】
その後、通信メータ1での現在のメータ読み値が10から5に減少したとする。この場合、検針装置3は、取得値として5を取得する。そして、検針装置3は、現在値から取得値への変化がメータ読み値の減少による変化であると判定し、現在値を10のままとする。すなわち、検針装置3は、取得値である5が現在値である10から減少した値であるため、現在値の更新を行わない。
【0043】
その後、通信メータ1での現在のメータ読み値が5から8に増加したとする。この場合、検針装置3は、取得値として8を取得する。そして、検針装置3は、現在値から取得値への変化がメータ読み値の減少による変化であると判定し、現在値を10のままとする。すなわち、検針装置3は、取得値が5から8に増加しているものの、取得値である8が現在値である10から減少した値であるため、現在値の更新は行わない。
【0044】
その後、通信メータ1での現在のメータ読み値が8から15に増加したとする。この場合、検針装置3は、取得値として15を取得する。そして、検針装置3は、現在値から取得値への変化がメータ読み値の増加による変化であると判定し、現在値を10から15に更新する。すなわち、検針装置3は、取得値である15が現在値である10から増加した値であるため、現在値の更新を再開する。
【0045】
以上のように、この実施の形態1によれば、検針装置3は、通信メータ1のメータ読み値を取得する取得部32と、現在のメータ読み値である現在値から取得部32により取得されたメータ読み値である取得値への変化が、メータ読み値の増加による変化であるとした場合での増加変化量、及び、メータ読み値の減少による変化であるとした場合での減少変化量を算出する算出部33と、算出部33により算出された増加変化量の絶対値と当該算出部33により算出された減少変化量の絶対値とを比較する比較部34と、比較部34により増加変化量の絶対値が減少変化量の絶対値以下であると判定された場合に取得値で現在値を更新し、当該比較部34により増加変化量の絶対値が減少変化量の絶対値より大きいと判定された場合に現在値を更新しない更新部35とを備えた。これにより、実施の形態1に係る検針装置3は、通信メータ1が対象とする流体に逆流が生じても、メータ読み値を正しく更新可能となる。
これにより、実施の形態1に係る検針装置3では、例えば流体が正流と逆流とを繰返した場合でも、誤った現在値の増加を防げる。また、実施の形態1に係る検針装置3では逆流による現在値の増加を防げるため、流体の使用者に対する正確な課金が可能となる。
【0046】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形、若しくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 通信メータ
2 コントローラ
3 検針装置
11 歯車
31 保持部
32 取得部
33 算出部
34 比較部
35 更新部
36 表示部
図1
図2
図3
図4