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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-21
(45)【発行日】2023-08-29
(54)【発明の名称】モータ駆動装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20230822BHJP
   H02K 9/02 20060101ALI20230822BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
H02K9/02 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019211105
(22)【出願日】2019-11-22
(65)【公開番号】P2021083270
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】山本 和弘
【審査官】麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-167953(JP,A)
【文献】実開平01-029895(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
H02K 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御盤に実装されるモータ駆動装置であって、
モータ駆動装置本体と、
前記モータ駆動装置本体の背面側に配置される放熱器と、
前記放熱器に隣接して配置され、前記モータ駆動装置本体の近傍を通って引き出し可能に設けられるファンモータユニットと、
前記ファンモータユニットを引き出す際に前記ファンモータユニットの引き出し経路に沿って、前記ファンモータユニットと前記モータ駆動装置本体との間に展開される敷板部材と、
を備える、モータ駆動装置。
【請求項2】
前記敷板部材の一方端部は、前記引き出し経路の始端近傍に取り付けられ、
前記敷板部材の他方端部側が前記引き出し経路に沿って展開されるように構成される、請求項1に記載のモータ駆動装置。
【請求項3】
前記敷板部材の他方端部は、展開状態を保持するための保持部材を有する、請求項1又は2に記載のモータ駆動装置。
【請求項4】
前記敷板部材の一方端部は、前記引き出し経路の始端近傍に取り付けられるとともに、前記敷板部材の他方端部は、前記ファンモータユニットにおける引き出し方向の前側の端部に着脱可能に取り付けられ、前記ファンモータユニットの引き出し動作に連動して、前記敷板部材が前記引き出し経路に沿って展開されるように構成される、請求項1に記載のモータ駆動装置。
【請求項5】
前記モータ駆動装置本体は、前記ファンモータユニットの前記引き出し経路を両側から挟むように配置される一対の壁板部材を有し、
前記一対の壁板部材の内面は、前記引き出し経路を構成する一対のレール部材をそれぞれ有し、
前記敷板部材は、前記一対のレール部材に沿って展開される、請求項1~4のいずれか1項に記載のモータ駆動装置。
【請求項6】
展開前の前記敷板部材は、ロール状、折り畳み状及び蛇腹状のうちのいずれかの形態である、請求項1~5のいずれか1項に記載のモータ駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、工作機械のようにモータによって駆動する産業機械の制御盤に実装されるモータ駆動装置は、モータ駆動装置本体と、モータ駆動装置本体の放熱のための放熱器と、放熱器を冷却するファンモータユニットと、を有する。ファンモータユニットは汚れの付着によって回転停止することが多く、回転停止するたびにモータ駆動装置から取り外されて交換される。そのため、ファンモータユニットの交換作業の効率化が求められている。
【0003】
従来、ファンモータユニットの交換作業を容易にするため、ファンモータユニットを正面側(制御盤に対して操作を行う側)の方向に着脱可能に設けることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4734299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、放熱器はモータ駆動装置本体の背面側に配置され、ファンモータユニットは放熱器の上方に配置される。そのため、ファンモータユニットを正面側に引き出して取り外す際、ファンモータユニットはモータ駆動装置本体の上方を通過する。このとき、モータ駆動装置本体の上部通気口からモータ駆動装置本体の内部に、ファンモータユニットに付着する汚れ、油等の汚染物質が落下し、モータ駆動装置本体の内部を汚染するおそれがある。したがって、ファンモータユニットを容易に交換可能であるとともに、ファンモータユニットの交換の際にモータ駆動装置本体の内部を汚染しないモータ駆動装置が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、制御盤に実装されるモータ駆動装置であって、モータ駆動装置本体と、前記モータ駆動装置本体の背面側に配置される放熱器と、前記放熱器に隣接して配置され、前記モータ駆動装置本体の近傍を通って引き出し可能に設けられるファンモータユニットと、前記ファンモータユニットを引き出す際に、前記ファンモータユニットの引き出し経路に沿って展開される敷板部材と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
一態様によれば、ファンモータユニットを容易に交換可能であるとともに、ファンモータユニットの交換の際にモータ駆動装置本体の内部を汚染しないモータ駆動装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】制御盤に実装されたモータ駆動装置の第1実施形態を示す側面図である。
図2】第1実施形態に係るモータ駆動装置の一部を拡大して示す側面図である。
図3】第1実施形態に係るモータ駆動装置においてロール状の敷板部材を展開する様子を示す側面図である。
図4】第1実施形態に係るモータ駆動装置のファンモータユニットを交換する様子を示す側面図である。
図5】第1実施形態に係るモータ駆動装置のファンモータユニットを交換する様子を示す斜視図である。
図6】第2実施形態に係るモータ駆動装置の一部を拡大して示す側面図である。
図7】第2実施形態に係るモータ駆動装置のロール状の敷板部材を拡大して示す側面図である。
図8】第2実施形態に係るモータ駆動装置のファンモータユニットを交換する様子を示す側面図である。
図9】第2実施形態に係るモータ駆動装置のファンモータユニットを交換する様子を示す側面図である。
図10】第3実施形態に係るモータ駆動装置の斜視図である。
図11】第3実施形態に係るモータ駆動装置の一部を拡大して示す側面図である。
図12】第3実施形態に係るモータ駆動装置のファンモータユニットを交換する様子を示す側面図である。
図13】他の実施形態に係る敷板部材を示す側面図である。
図14】更に他の実施形態に係る敷板部材を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1実施形態]
以下、本開示の一態様について図面を参照して説明する。図1は、制御盤に実装されたモータ駆動装置の第1実施形態を示す側面図である。図2は、第1実施形態に係るモータ駆動装置の一部を拡大して示す側面図である。
図1に示すように、モータ駆動装置1は制御盤100に実装される。制御盤100には、開閉可能な前面板101に対して平行に配置される後面板102に沿ってモータ駆動装置1のモータ駆動装置取付板103が取り付けられている。
【0010】
モータ駆動装置1は、前面板101と後面板102との間の制御盤100の内部において、モータ駆動装置取付板103よりも前面板101側に向けて突出するように設けられるモータ駆動装置本体11と、モータ駆動装置本体11の背面側(モータ駆動装置取付板103を挟んでモータ駆動装置本体11と反対側)に取り付けられる放熱器12と、放熱器12の上方に配置されるファンモータユニット13と、を有する。
【0011】
放熱器12は、例えば、上下方向に延びる複数の冷却フィンを備える。しかし、各図に示す放熱器12は、簡潔にするために冷却フィンを図示せず、矩形の箱型に図示している。放熱器12は、制御盤100の後面板102に形成される開口部(図示せず)を貫通して制御盤100の外部に突出している。そのため、放熱器12及びファンモータユニット13は制御盤100の外部に配置され、後面板102の背面側(制御盤100の外面側)に取り付けられた放熱器カバー200によって覆われている。
【0012】
図2に示すように、ファンモータユニット13は、ファンモータ131と、ファンモータ131を支持する支持板部132と、支持板部132に取り付けられてファンモータ131の前面側(前面板101側)に配置される前板部133と、を有する。支持板部132は、ファンモータ131の回転駆動によって放熱器12に風を流通させるための送風口(図示せず)を有する。
【0013】
モータ駆動装置取付板103は、モータ駆動装置本体11の上方に配置された開口部104を有する。開口部104は、ファンモータユニット13のファンモータ131及び支持板部132を挿通させるが、前板部133を挿通させない大きさを有する。図2に示すように、支持板部132に支持されたファンモータユニット13が放熱器12の上方に配置された取り付け状態において、前板部133は、モータ駆動装置取付板103に設けられた開口部104を制御盤100の内部から完全に覆うように配置される。
【0014】
ファンモータユニット13は、交換作業時に、この取り付け状態から前板部133を前面板101側の方向に引き出すことによって、モータ駆動装置本体11の近傍を通って引き出し可能に設けられている。具体的には、ファンモータユニット13は、モータ駆動装置本体11の上方を通って引き出し可能である。このモータ駆動装置1において、モータ駆動装置本体11の上面11aの上方は、交換作業時のファンモータユニット13の引き出し経路を構成する。ファンモータユニット13の引き出し経路において、開口部104側が始端P1であり、前面板101側が終端P2である。なお、以下の説明において、ファンモータユニット13を引き出し経路に沿って始端P1側から終端P2側に向けて引き出す方向を「前方」という。
【0015】
引き出し経路の始端P1の近傍には、敷板部材2が配置されている。本実施形態の敷板部材2は、ロール状に巻回された帯状体によって構成され、開口部104に近接したモータ駆動装置本体11の上面11aに配置されている。展開状態の敷板部材2の長さ及び幅は、ファンモータユニット13の交換作業時に、ファンモータユニット13から落下した汚染物質Xがモータ駆動装置本体11の内部に侵入しないように、モータ駆動装置本体11の上面11aに設けられる上部通気口(図示せず)を覆うことができる長さ及び幅に設定される。
【0016】
敷板部材2の材質は、ファンモータユニット13の交換作業時に、ファンモータ131から落下する汚染物質を捕捉してモータ駆動装置本体11の内部への落下を阻止できるものであれば制限なく使用できる。具体的には、敷板部材2は、例えば、金属、樹脂、ゴム、紙、布のうちのいずれか1種からなるシート又は2種以上の複合材からなるシートであってよい。敷板部材2は伸縮性を有していてもよい。
【0017】
図2に示すように、敷板部材2の一方端部2a(引き出し経路の始端P1側の端部)は、引き出し経路の始端P1の近傍に取り付けられる。引き出し経路の始端P1の近傍とは、詳しくは、モータ駆動装置取付板103と、モータ駆動装置本体11の上面11aに配置される複数の上部通気口(図示せず)のうちの開口部104に最も近接した上部通気口との間である。敷板部材2の一方端部2aが、このような引き出し経路の始端P1の近傍に取り付けられることによって、敷板部材2が展開された際に、モータ駆動装置本体11の上面11aの上部通気口を漏れなく被覆することができる。本実施形態の敷板部材2の一方端部2aは取付部材21を有する。敷板部材2は、この取付部材21によって、開口部104の下方のモータ駆動装置取付板103に取り付けられている。
【0018】
取付部材21は、ねじ等の締結部材、接着剤等によってモータ駆動装置取付板103に対して着脱不能であってもよいし、モータ駆動装置取付板103に対して着脱可能であってもよい。取付部材21がモータ駆動装置取付板103に対して着脱可能である場合、取付部材21は、例えば、モータ駆動装置取付板103に設けられた被係止部(図示せず)に係止されるフック等の係止部材、モータ駆動装置取付板103に吸着する磁石等によって構成することができる。取付部材21が着脱可能であることによって、敷板部材2の交換が可能である。
【0019】
敷板部材2の他方端部2b(引き出し経路の終端P2側の端部)には、保持部材22が設けられている。保持部材22は、ロール状の敷板部材2がモータ駆動装置本体11の上面11aに展開された際に、その展開状態を保持するためのものである。保持部材22は、例えば、引き出し経路の終端P2に設けられた被係止部(図示せず)に係止されるフック等の係止部材、引き出し経路の終端P2に対応するモータ駆動装置本体11に吸着する磁石、面ファスナー等によって構成することができる。
【0020】
取付部材21によってモータ駆動装置取付板103に取り付けられた敷板部材2は、他方端部2b側を取付部材21に向けて巻き上げることによってロール状に巻回され、引き出し経路の始端P1に配置される。そのため、オペレータが、敷板部材2の他方端部2b側を前方に向けて巻き解くことによって、敷板部材2は、引き出し経路の始端P1から終端P2に亘って展開され、モータ駆動装置本体11の上面11aの全面を被覆することができる。
【0021】
次に、このように構成されるモータ駆動装置1におけるファンモータユニット13の交換作業について図3図5を用いて説明する。図3は、第1実施形態に係るモータ駆動装置においてロール状の敷板部材を展開する様子を示す側面図である。図4は、第1実施形態に係るモータ駆動装置のファンモータユニットを交換する様子を示す側面図である。図5は、第1実施形態に係るモータ駆動装置のファンモータユニットを交換する様子を示す斜視図である。
図3に示すように、ファンモータユニット13を交換する際、まず、オペレータは、引き出し経路の始端P1にロール状に巻回されている敷板部材2の他方端部2b側を、前方に向けて巻き解きながら引き出すことによって展開していく。
【0022】
敷板部材2が完全に展開された後、オペレータは、保持部材22を、例えばモータ駆動装置本体11に引っ掛けて係止する。これによって、敷板部材2は、展開状態が保持され、モータ駆動装置本体11の上面11aの全体を被覆した状態を維持することができる。
【0023】
その後、オペレータがファンモータユニット13の前板部133を前方に向けて引き出すことによって、図4及び図5に示すように、ファンモータユニット13を開口部104から引き出し経路に沿って終端P2に向けて前方に引き出していく。このとき、図4に示すように、ファンモータ131に付着した汚染物質Xが下方に落下する場合がある。しかし、落下した汚染物質Xは、ファンモータユニット13の引き出し経路に沿って展開された敷板部材2によって捕捉されるため、モータ駆動装置本体11の内部に侵入することはない。
【0024】
したがって、このモータ駆動装置1によれば、ファンモータユニット13の交換の際に、モータ駆動装置本体11の内部を汚染することはない。しかも、ファンモータユニット13は、開口部104から前方に引き出すだけで取り外すことができるため、ファンモータユニット13の交換が容易である。敷板部材2は、新たなファンモータユニットが開口部104を通して取り付けられた後、再びロール状に巻回される。
【0025】
本実施形態において、ロール状の敷板部材2は、他方端部2bに設けられた保持部材22側を取付部材21側に向けて巻き上げることによって構成されている。しかし、図示しないが、ロール状の敷板部材2は、取付部材21側を保持部材22側に向けて巻き上げることによって構成されてもよい。これによれば、保持部材22を前方に向けて引き出すだけで敷板部材2を展開させることができる。この場合、敷板部材2の取付部材21側をばね等の弾発部材によって巻回方向に付勢しておくことによって、展開状態の敷板部材2を元のロール状態に簡単に復帰させることができる。
【0026】
[第2実施形態]
図6は、第2実施形態に係るモータ駆動装置の一部を拡大して示す側面図である。図7は、第2実施形態に係るモータ駆動装置のロール状の敷板部材を拡大して示す側面図である。第1実施形態に係るモータ駆動装置1と同一符号の部位は同一構成の部位であるため、それらの説明については上記説明を援用し、以下の説明では省略する。
第2実施形態に係るモータ駆動装置1Aにおいて、敷板部材2の他方端部2bが、ファンモータユニット13に着脱可能に取り付けられている点で、第1実施形態に係るモータ駆動装置1と相違している。
【0027】
本実施形態における敷板部材2の一方端部2aも、引き出し経路の始端P1の近傍に取り付けられている。詳しくは、敷板部材2の一方端部2aは、引き出し経路の始端P1の近傍に配置された巻回軸23に固定されている。巻回軸23の両端部は、モータ駆動装置取付板103に前方に向けて突出するように設けられた一対の軸支持板24,24の間に回転可能に保持されている。巻回軸23は、軸支持板24,24に対して着脱可能であってもよい。
【0028】
本実施形態における敷板部材2の他方端部2bは、係着部材25を有する。敷板部材2の他方端部2bは、この係着部材25によって、ファンモータユニット13の前板部133に対して着脱可能に取り付けられている。係着部材25は、例えば、前板部133に設けられた被係止部(図示せず)に係止されるフック等の係止部材、前板部133に吸着する磁石、面ファスナー等によって構成することができる。
【0029】
次に、このように構成されるモータ駆動装置1Aにおけるファンモータユニット13の交換作業について図8及び図9を用いて説明する。図8は、第2実施形態に係るモータ駆動装置のファンモータユニットを交換する様子を示す側面図である。図9は、第2実施形態に係るモータ駆動装置のファンモータユニットを交換する様子を示す側面図である。
本実施形態において、ファンモータユニット13を交換する際、図8に示すように、オペレータは、ファンモータユニット13の前板部133を前方に向けて引き出していく。
【0030】
敷板部材2の他方端部2bは、係着部材25によってファンモータユニット13の前板部133に取り付けられているため、ファンモータユニット13が前方に向けて引き出されると、巻回軸23の回転によって敷板部材2が巻き解かることによって、敷板部材2の他方端部2bもファンモータユニット13と一緒に引き出されていく。その結果、図9に示すように、敷板部材2は、ファンモータユニット13の引き出し動作に連動して、次第に引き出し経路に沿って展開される。
【0031】
ファンモータユニット13を引き出す過程(敷板部材2が展開される過程)で、図9に示すように、ファンモータ131に付着した汚染物質Xが下方に落下する場合がある。しかし、落下した汚染物質Xは、ファンモータユニット13の引き出し動作に連動して展開される敷板部材2によって捕捉されるため、モータ駆動装置本体11の内部に侵入することはない。
【0032】
したがって、このモータ駆動装置1Aも、第1実施形態に係るモータ駆動装置1と同様の効果を奏する。しかも、敷板部材2は、ファンモータユニット13の引き出し動作に連動して展開されるため、ファンモータユニット13の交換作業に先立って敷板部材2を展開させる作業の必要はなく、敷板部材2を展開し忘れることもない。
【0033】
ファンモータユニット13を引き出し終えたら、オペレータは、係着部材25とファンモータユニット13との係着を解除することによって、ファンモータユニット13を取り外す。その後、敷板部材2は、再び巻回軸23に巻き取られることによってロール状に巻回される。図示しないが、巻回軸23は、ばね等の弾発部材によって巻回方向に付勢しておくことによって、ファンモータユニット13との係着が解除された敷板部材2を巻回軸23に簡単に巻き取ることができるように構成されてもよい。
【0034】
[第3実施形態]
図10は、第3実施形態に係るモータ駆動装置の斜視図である。図11は、第3実施形態に係るモータ駆動装置の一部を拡大して示す側面図である。第1実施形態に係るモータ駆動装置1と同一符号の部位は同一構成の部位であるため、それらの説明については上記説明を援用し、以下の説明では省略する。
第3実施形態に係るモータ駆動装置1Bにおいて、モータ駆動装置本体11は、ファンモータユニット13の引き出し経路を両側から挟むように配置される一対の壁板部材111,111を有する。
【0035】
壁板部材111,111は、図10に示すように、モータ駆動装置本体11におけるファンモータユニット13の引き出し方向に沿う両側面11b,11bを、上面11aよりも上方に延長することによって形成されている。モータ駆動装置取付板103の開口部104は、壁板部材111,111の間に配置されている。
【0036】
一対の壁板部材111,111の内面111a,111aには、それぞれレール部材112,112が設けられる。一対のレール部材112,112は同一構造であり、開口部104から前方に引き出されたファンモータユニット13の両端部の下面に当接するように、壁板部材111,111の内面111a,111aから板状に突出している。
【0037】
図11に示すように、レール部材112,112の一方端部112a,112a(引き出し経路の始端P1側の端部)は、モータ駆動装置取付板103に近接している。レール部材112,112は、この一方端部112a,112aから前方に配置される他方端部112b,112b(引き出し経路の終端P2側の端部)に行くに従って、モータ駆動装置本体11の上面11aから上方に離隔するように形成されている。
【0038】
このレール部材112,112は、ファンモータユニット13の引き出し経路を構成する。したがって、開口部104から前方に引き出されたファンモータユニット13は、レール部材112,112に沿って案内され、徐々にモータ駆動装置本体11の上面11aから上方に離隔する。そのため、ファンモータユニット13は容易に取り外し可能であり、交換作業は一層容易になる。
【0039】
このモータ駆動装置1Bにおいて、引き出し経路の始端P1の近傍には、第1実施形態と同じ構成を有する敷板部材2が配置されている。なお、モータ駆動装置取付板103aに近接するモータ駆動装置本体11の上面11aには、複数の上部通気口113が設けられている。
【0040】
次に、このように構成されるモータ駆動装置1Bにおけるファンモータユニット13の交換作業について図12を用いて説明する。図12は、第3実施形態に係るモータ駆動装置のファンモータユニットを交換する様子を示す側面図である。
ファンモータユニット13を交換する際は、第1実施形態と同様に、まず、オペレータは、敷板部材2の他方端部2b側を前方に向けて巻き解きながら引き出すことによって、一対のレール部材112,112に沿って敷板部材2を展開する。
【0041】
敷板部材2が完全に展開されると、敷板部材2は、レール部材112,112上に沿ってモータ駆動装置本体11の上面11aを被覆する。敷板部材2の保持部材22は、レール部材112,112の他方端部112b,112bに対して係止等することによって、敷板部材2の展開状態を保持する。
【0042】
その後、オペレータがファンモータユニット13の前板部133を前方に向けて引き出すことによって、ファンモータユニット13を開口部104からレール部材112,112によって構成される引き出し経路に沿って徐々に上方に引き出していく。この場合も、ファンモータ131から落下した汚染物質X(図12においては図示せず)は、敷板部材2によって捕捉されるため、モータ駆動装置本体11の内部に侵入することはない。
【0043】
したがって、このモータ駆動装置1Bも、ファンモータユニット13の交換の際に、モータ駆動装置本体11の内部を汚染することはない。しかも、ファンモータユニット13は、開口部104から前方に引き出すだけで、一対のレール部材112,112に案内されて上方に向けて取り外すことができるため、第1実施形態に比べて、ファンモータユニット13の交換を楽に行うことができる。
【0044】
なお、このモータ駆動装置1Bにおいて、ロール状の敷板部材2は、第2実施形態に示される巻回軸23に巻回された敷板部材2であってもよい。
【0045】
[敷板部材の他の実施形態]
図13は、他の実施形態に係る敷板部材を示す側面図である。図13において、開口部104及びファンモータユニット13の図示は省略している。
この敷板部材2Bは、折り畳み状の形態を有する。敷板部材2Bは、モータ駆動装置取付板103に近接したモータ駆動装置本体11の上面11aに折り畳まれ、上方に向けて積層されている。
【0046】
敷板部材2Aは、一方端部2aに設けられた取付部材21によってモータ駆動装置取付板103に取り付けられている。したがって、敷板部材2Aは、第1実施形態に示した敷板部材2と同様にして、オペレータが敷板部材2Aの他方端部2bを引き出すことによって展開することができる。この敷板部材2Aの他方端部2bは、第2実施形態と同様に、係着部材25によってファンモータユニット13に着脱可能に取り付けられてもよい。
【0047】
図14は、更に他の実施形態に係る敷板部材を示す側面図である。図14においても、開口部104及びファンモータユニット13の図示は省略している。
この敷板部材2Bは、蛇腹状の形態を有する。敷板部材2Bは、モータ駆動装置取付板103に近接したモータ駆動装置本体11の上面11aに折り畳まれ、前方に向けて積層されている。
【0048】
敷板部材2Bは、一方端部2aに設けられた取付部材21によってモータ駆動装置取付板103に取り付けられている。したがって、敷板部材2Bも、第1実施形態に示した敷板部材2と同様にして、オペレータが敷板部材2Bの他方端部2bを引き出すことによって展開することができる。この敷板部材2Bの他方端部2bも、第2実施形態と同様に、係着部材25によってファンモータユニット13に着脱可能に取り付けられてもよい。
【0049】
敷板部材2,2A,2Bの一方端部2aに設けられる取付部材21は、モータ駆動装置本体11の上面11aに取り付けられてもよい。
【0050】
以上説明した実施形態では、ファンモータユニット13は放熱器12の上方に配置されるが、ファンモータユニット13は放熱器12に隣接して配置されていればよい。ファンモータユニット13が放熱器12に隣接して配置されるとは、ファンモータユニット13が放熱器12に対して送風可能に配置されることであり、具体的には、放熱器12の上方、下方、側方、後方のいずれかであればよい。
【0051】
また、ファンモータユニット13は、モータ駆動装置本体11の上方を通って引き出し可能に設けられるものに制限されず、モータ駆動装置本体11の近傍を通って引き出し可能に設けられていればよい。ファンモータユニット13がモータ駆動装置本体11の近傍を通って引き出されるとは、ファンモータユニット13の引き出し経路が、少なくとも1つのモータ駆動装置本体11の外面に沿うように通過して引き出されることである。
【0052】
ファンモータユニット13が引き出される際の近傍のモータ駆動装置本体11は、ファンモータユニット13が取り付けられているモータ駆動装置本体11に限らず、ファンモータユニット13の周囲に隣接して配置される他のモータ駆動装置本体11であってもよい。例えば、ファンモータユニット13が放熱器12の下方に配置される場合、そのファンモータユニット13が引き出される際にファンモータユニット13から落下する汚染物質Xは、そのファンモータユニット13の更に下方に配置される他のモータ駆動装置本体11に落下する。従って、汚染物質Xが落下する他のモータ駆動装置本体11に、上述の敷板部材2,2A,2Bを設けることによって、他のモータ駆動装置本体11への汚染物質Xの侵入を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0053】
1,1A,1B モータ駆動装置
11 モータ駆動装置本体
11a (モータ駆動装置本体の)上面
111 壁板部材
111a (壁板部材の)内面
112 レール部材
12 放熱器
13 ファンモータユニット
2,2A,2B 敷板部材
2a (敷板部材の)一方端部
2b (敷板部材の)他方端部
22 保持部材
100 制御盤
P1 引き出し経路の始端
図1
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図14