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<図1>
  • 特許-加熱調理器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-21
(45)【発行日】2023-08-29
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   A47J 37/06 20060101AFI20230822BHJP
【FI】
A47J37/06 371
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019229080
(22)【出願日】2019-12-19
(65)【公開番号】P2021094309
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-10-13
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 展示会名:「2019国際食品工業展」 開催日:令和1年7月9日から令和1年7月12日まで
(73)【特許権者】
【識別番号】000242415
【氏名又は名称】北沢産業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】517174795
【氏名又は名称】吉田 正幸
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 正幸
【審査官】吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-186413(JP,A)
【文献】特許第142921(JP,C2)
【文献】特開2006-021001(JP,A)
【文献】特開2019-005383(JP,A)
【文献】特開平08-298925(JP,A)
【文献】特開2005-245588(JP,A)
【文献】実開昭53-138390(JP,U)
【文献】実公昭48-006306(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 37/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続的に搬送される被調理物を加熱すると共に任意な風味に風味付けをおこなう加熱調理器であって、
該加熱調理器は、
風味材を収納するホッパーと、
該ホッパーの内部に設けられ風味材を上方から下方へ流動させるスクリュー羽と、
該スクリュー羽で流動させた風味材を搬送する風味材搬送コンベアと、
該風味材搬送コンベアで搬送される風味材を加熱して風味煙を発生させるための風味材加熱ヒーターと、
前記風味材搬送コンベアの上方に設けられて被調理物を搬送する被調理物搬送コンベアと、
該被調理物搬送コンベアの上側に設けられて被調理物を上から加熱する上側ヒーターと、
該被調理物搬送コンベアの下側に設けられて被調理物を下から加熱する下側ヒーターと、
を少なくとも備え、
前記ホッパーの内部には、収納された風味材に振動を与えて連続的に流動させるための振動発生手段が設けられていること
を特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記振動発生手段は、前記スクリュー羽に突設され当該スクリュー羽の回転に伴って回転移動するフックと、前記ホッパーの内部に延出し端部近傍に回転移動する前記フックが当接するスプリング棒とからなり、
回転移動する前記フックが当接した前記スプリング棒が、やがて当接状態が外れてその弾性により振動する仕組みであること
を特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続的に搬送される被調理物を加熱すると共に炭などの任意な風味に風味付けをおこなう加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の加熱調理器としては、図12に示す構成のものが知られている。この加熱調理器1は、被調理物2が載置される網部3と、網部3の下方に配置され、網部3に載置された被調理物2を加熱する加熱部4と、加熱部4の下方に配置されたセラミック炭5とから構成される(特許文献1参照)。
【0003】
このような構成の加熱調理器1は、加熱部4による加熱によって被調理物2が加熱され、加熱された被調理物2から落下した食品脂6がセラミック炭5に付着し、その食品脂6が加熱されて脂湯気7となり、被調理物2に対して炭の風味付けをすることができるのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-192243
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この従来例の加熱調理器1においては、調理人が網部3の上で一つひとつの被調理物2を調理するのには適しているが、例えば食材の加工工場や給食センター等のように多量の被調理物を連続的に調理する必要がある施設等においては適さないという問題点を有している。
【0006】
また、被調理物2から落下した食品脂6がセラミック炭5に付着して脂湯気7を発生させることにより、被調理物2に炭の風味付けをするが、それ以外の風味、例えば松、杉、桜などの風味付けについては対応できないという欠点を有している。
【0007】
従って、従来例における加熱調理器1においては、食材の加工工場等で多量の被調理物を連続的に調理することと、炭だけでなく、松、杉、桜などの様々な風味付けに対応することとに解決すべき課題を有している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記従来例の課題を解決するための本発明の要旨は、連続的に搬送される被調理物を加熱すると共に任意な風味に風味付けをおこなう加熱調理器であって、該加熱調理器は、風味材を収納するホッパーと、該ホッパーの内部に設けられ風味材を上方から下方へ流動させるスクリュー羽と、該スクリュー羽で流動させた風味材を搬送する風味材搬送コンベアと、該風味材搬送コンベアで搬送される風味材を加熱して風味煙を発生させるための風味材加熱ヒーターと、前記風味材搬送コンベアの上方に設けられて被調理物を搬送する被調理物搬送コンベアと、該被調理物搬送コンベアの上側に設けられて被調理物を上から加熱する上側ヒーターと、該被調理物搬送コンベアの下側に設けられて被調理物を下から加熱する下側ヒーターと、を少なくとも備え、前記ホッパーの内部には、収納された風味材に振動を与えて連続的に流動させるための振動発生手段が設けられていることである。
【0009】
また、前記振動発生手段は、前記スクリュー羽に突設され当該スクリュー羽の回転に伴って回転移動するフックと、前記ホッパーの内部に延出し端部近傍に回転移動する前記フックが当接するスプリング棒とからなり、回転移動する前記フックが当接した前記スプリング棒が、やがて当接状態が外れてその弾性により振動する仕組みであること、;
を含むものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る加熱調理器によれば、風味材を搬送する風味材搬送コンベアと、風味材を加熱して風味煙を発生させるための風味材加熱ヒーターとを備え、その上方には被調理物を搬送する被調理物搬送コンベアと、被調理物搬送コンベア上の被調理物を加熱する上側ヒーターと、下側ヒーターとを設けたことによって、多量の被調理物を連続的に加熱すると共に任意な風味に風味付けをすることができるという優れた効果を奏する。
従って、食材の加工工場や給食センター等のように多量の被調理物を連続的に加熱調理する必要がある施設等に最適である。
【0011】
風味材を収納するホッパーを備えることによって、ホッパーの内部に、例えば炭顆粒、松チップ、杉チップ、又は桜チップ等の任意の風味材を収納することができるので、被調理物に対して炭だけでなく、松、杉、桜などの様々な風味付けをすることができるという優れた効果を奏する。
【0012】
ホッパーの内部には、収納された風味材に振動を与えて連続的に流動させるための振動発生手段が設けられていることによって、風味材が撹拌状態になり連続的に流動することとなる。
従って、風味材搬送コンベアの周囲に空洞が発生して(空洞現象)風味材がホッパーの内部に残留したままの状態が回避できることとなり、風味材が連続的に安定した状態で流動するという優れた効果を奏する。
【0013】
振動発生手段は、スクリュー羽に突設され当該スクリュー羽の回転に伴って回転移動するフックと、ホッパーの内部に延出し端部近傍に回転移動するフックが当接するスプリング棒とからなり、回転移動するフックが当接したスプリング棒が、やがて当接状態が外れてその弾性により振動する仕組みであることによって、スクリュー羽の回転に伴ってスプリング棒が連続して振動するので、風味材が撹拌状態になり連続的に安定して流動するという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る加熱調理器の内部構造を示す正面図である。
図2】本発明に係る加熱調理器の内部構造の一部を示す斜視図である。
図3】ホッパーの内部構造を示す正面図である。
図4】ホッパーの内部構造を示す側面図である。
図5】振動発生手段が存在しないホッパーの内部を説明する説明図である。
図6】スクリュー羽と振動発生手段とを分離して示す説明図である。
図7】フックとスプリング棒との動作を説明する説明図である。
図8】フックとスプリング棒との動作を説明する説明図である。
図9】フックとスプリング棒との動作を説明する説明図である。
図10】フックとスプリング棒との動作を説明する説明図である。
図11】フックとスプリング棒との動作を説明する説明図である。
図12】従来例に係る加熱調理器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。まず、図1及び図2において、符号11は加熱調理器を示し、この加熱調理器11は、風味材を収納するホッパー12と、ホッパー12の内部に設けられ風味材を上方から下方へ流動させるスクリュー羽13と、ホッパー12の内部に設けられる振動発生手段24と、スクリュー羽13で流動させた風味材を搬送する風味材搬送コンベア14と、風味材搬送コンベア14で搬送される風味材を加熱して風味煙を発生させるための風味材加熱ヒーター15と、風味材搬送コンベア14の上方に設けられて被調理物16を搬送する被調理物搬送コンベア17と、被調理物搬送コンベア17の上側に設けられて被調理物16を上から加熱する上側ヒーター18と、被調理物搬送コンベア17の下側に設けられて被調理物16を下から加熱する下側ヒーター19とから構成される。
【0016】
ホッパー12は、図3及び図4に示すように、漏斗状に形成され、その上部に風味材の投入口20を有し、投入口20の側部には開閉蓋21を備えており、その内部に風味材を収納する構造になっている。
また、ホッパー12の内部には低速高トルクのモーター22が設けられており、モーター22の下部にはスクリュー羽13が連結している。
【0017】
スクリュー羽13は、図6に示すように、所用長さの回転軸13aの周囲に沿って羽部13bが螺旋状に設けられており、スクリュー羽13の回転によって、ホッパー12の内部の風味材が上方から下方に流動する仕組みになっている。
【0018】
次に、ホッパー12の内部に設けられる振動発生手段24の必要性について説明する。まず、振動発生手段24が存在しない場合は、図5に示すように、風味材搬送コンベア14の周囲に空洞27が発生して(空洞現象)、風味材23が流動せずにホッパーの内部に残留したままの状態となる問題点がある。その原因としては、風味材23の質量が軽量であることと、風味材23同士のブリッジ現象であると考えられる。しかし、振動発生手段24の存在によって以下に述べるようにその問題点が解消できる。
【0019】
振動発生手段24は、具体的には図6に示すように、フック25とスプリング棒26とから構成される。
フック25は、金属製の棒状部材で、スクリュー羽13の羽部13bに突設しており、スクリュー羽13の回転に伴って回転移動する。
スプリング棒26は、金属製の丸棒を折曲して形成し、一端部26a側がモーター22の下部に固定される。一端部26aには延出部26cが連接し、延出部26cはホッパー12の内部に拡開した状態に延出しており、さらに他端部26bの近傍に回転移動するフック25が当接するようになっている。
【0020】
このような構成の振動発生手段24は、図7に示す矢印方向へ回転移動するフック25がスプリング棒26の他端部26bの近傍に当接し、さらにスプリング棒26はフック25の回転移動に伴って矢印方向へ移動する(図8から図10参照)。このとき、スプリング棒26には徐々にトルクテンションが加わる状態になる。
やがてスプリング棒26は、フック25との当接状態が外れて、元の位置に戻るとともにその弾性により振動が発生する(図11参照)。その結果、ホッパー12の内部に収納された風味材が撹拌状態になり連続的に流動するのである。
なお、スプリング棒26は、図2及び図6に示すように、スクリュー羽13の周囲に所定の間隔を開けて3本設けられるが、図7から図11においては理解を容易にするために1本のスプリング棒26を示して説明している。
【0021】
風味材搬送コンベア14は、ホッパー12の排出口12aから搬入部14aへ排出された風味材を搬出部14bまで搬送する。なお、図1及び図2中の符号28は、風味材搬送コンベア14のスプロケットを示す。
【0022】
また、風味材搬送コンベア14の下方には、搬送方向に沿って水槽29が設けられており、搬送中の風味材の落下を受け止める。搬出部14bの下方には、消化ボックス30が設けられており、搬送が終了した風味材の落下を受け止める(いずれも図1参照)。
【0023】
風味材加熱ヒーター15は、搬入部14a近傍の風味材搬送コンベア14の上側に設けられており、風味材搬送コンベア14の上を搬送される風味材を加熱して風味煙を発生させる。
【0024】
被調理物搬送コンベア17は、風味材搬送コンベア14の上方に設けられると共に、図2に示すように、風味材搬送コンベア14の搬送方向と交差する方向に設置される。そして、搬入部17aに載置される被調理物を連続的に搬送し、その先の搬出部から被調理物を順次取り出すようになっている。なお、図2中の符号31はダクトパネルを示す。
【0025】
そして、被調理物搬送コンベア17で搬送される被調理物16が、被調理物搬送コンベア17の上側に設けられる上側ヒーター18と、下側に設けられる下側ヒーター19とによって上下両面から加熱されると共に、風味材搬送コンベア14から発生する風味煙によって風味付けがおこなわれる。
【0026】
以上のように構成される加熱調理器11は、風味材を搬送する風味材搬送コンベア14と、風味材を加熱して風味煙を発生させるための風味材加熱ヒーター15とを備え、その上方には被調理物16を搬送する被調理物搬送コンベア17と、被調理物搬送コンベア17上の被調理物16を加熱する上側ヒーター18と、下側ヒーター19とを設けたことによって、多量の被調理物16を連続的に加熱すると共に任意な風味に風味付けをすることができる。従って、食材の加工工場や給食センター等のように多量の被調理物を連続的に加熱調理する必要がある施設等に最適である。
【0027】
また、風味材を収納するホッパー12を備えることによって、ホッパー12の内部に、例えば炭顆粒、松チップ、杉チップ、又は桜チップ等の任意の風味材を収納することができるので、被調理物に対して炭だけでなく、松、杉、桜などの様々な風味付けをすることができる。
【0028】
更に、ホッパー12の内部には、収納された風味材に振動を与えて連続的に流動させるための振動発生手段24が設けられていることによって、風味材が撹拌状態になり連続的に流動する。
【符号の説明】
【0029】
1 加熱調理器
2 被調理物
3 網部
4 加熱部
5 セラミック炭
6 食品脂
7 脂湯気
11 加熱調理器
12 ホッパー
12a 排出口
13 スクリュー羽
13a 回転軸
13b 羽部
14 風味材搬送コンベア
14a 搬入部
14b 搬出部
15 風味材加熱ヒーター
16 被調理物
17 被調理物搬送コンベア
17a 搬入部
18 上側ヒーター
19 下側ヒーター
20 投入口
21 開閉蓋
22 モーター
23 風味材
24 振動発生手段
25 フック
26 スプリング棒
26a 一端部
26b 他端部
26c 延出部
27 空洞
28 スプロケット
29 水槽
30 消化ボックス
31 ダクトパネル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12