IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社三井ハイテックの特許一覧

<>
  • 特許-加工装置及び加工方法 図1
  • 特許-加工装置及び加工方法 図2
  • 特許-加工装置及び加工方法 図3
  • 特許-加工装置及び加工方法 図4
  • 特許-加工装置及び加工方法 図5
  • 特許-加工装置及び加工方法 図6
  • 特許-加工装置及び加工方法 図7
  • 特許-加工装置及び加工方法 図8
  • 特許-加工装置及び加工方法 図9
  • 特許-加工装置及び加工方法 図10
  • 特許-加工装置及び加工方法 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-21
(45)【発行日】2023-08-29
(54)【発明の名称】加工装置及び加工方法
(51)【国際特許分類】
   B21D 28/02 20060101AFI20230822BHJP
   B21D 43/00 20060101ALI20230822BHJP
   B21D 28/00 20060101ALI20230822BHJP
   B21D 28/04 20060101ALI20230822BHJP
【FI】
B21D28/02 F
B21D28/02 Z
B21D43/00 E
B21D28/00 D
B21D28/04 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019237013
(22)【出願日】2019-12-26
(65)【公開番号】P2021104536
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2022-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000144038
【氏名又は名称】株式会社三井ハイテック
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(72)【発明者】
【氏名】中村 和泉
(72)【発明者】
【氏名】泉 智大
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-337606(JP,A)
【文献】実公昭56-34818(JP,Y2)
【文献】特公昭55-6016(JP,B2)
【文献】実開昭49-134395(JP,U)
【文献】実開昭48-15484(JP,U)
【文献】特公昭61-54491(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 28/02
B21D 43/00
B21D 28/00
B21D 28/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板を打抜加工する加工装置であって、
前記金属板を搬送方向に沿って間欠的に搬送するように構成された送出機構と、
前記金属板を打抜加工する打抜加工部と、
前記打抜加工部が通過可能な開口を含み、前記送出機構によって搬送される前記金属板を支持する平板状のリフタと、を有し、
前記リフタは、前記搬送方向に対して交差する幅方向への前記金属板の移動を規制する規制部を有する、加工装置。
【請求項2】
前記規制部は、前記幅方向の端部における前記金属板の上下方向の移動も規制する、請求項1に記載の加工装置。
【請求項3】
前記打抜加工部は、ダイホルダの表面に対して突出して設けられると共にダイ孔が設けられたダイと、前記ダイに対向して配置され、打抜加工時に前記ダイと共に前記金属板を挟持するストリッパと、をさらに含み、
前記ストリッパは、前記ダイとの対向面が前記ダイの端面に対応した形状を有する凸形状である、請求項1または2に記載の加工装置。
【請求項4】
前記リフタの厚さは、前記ダイホルダに対する前記ダイの突出量よりも小さく、
前記ダイは、前記リフタの上下方向の移動によって前記開口内を移動する、請求項3に記載の加工装置。
【請求項5】
前記リフタを上下方向に移動させる駆動機構を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の加工装置。
【請求項6】
前記リフタ上の前記金属板を覆うように配置されるカバー部をさらに有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の加工装置。
【請求項7】
金属板を打抜加工する加工方法であって、
打抜加工部が通過可能な開口を含む平板状のリフタによって、搬送方向に対して交差する幅方向への移動を規制した状態で前記金属板を支持しながら、前記金属板を間欠的に搬送し、
前記打抜加工部で前記金属板を打抜加工する、加工方法。
【請求項8】
前記リフタは、前記幅方向の端部における前記金属板の上下方向の移動も規制した状態で前記金属板を支持する、請求項7に記載の加工方法。
【請求項9】
ダイホルダの表面に対して突出するダイと、前記ダイとの対向面が前記ダイの端面に対応した形状を有する凸形状であるストリッパとで、前記金属板を挟持して打抜加工する、
請求項7または8に記載の加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、加工装置及び加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、送り抜き型において、コイル材の貼り付きを生じない平板リフタを設ける構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-56509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、金属板の加工精度を高めると同時に生産性の向上を図ることが可能な加工装置及び加工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本開示の一形態に係る加工装置は、金属板を打抜加工する加工装置であって、前記金属板を搬送方向に沿って間欠的に搬送するように構成された送出機構と、前記金属板を打抜加工する打抜加工部と、前記打抜加工部が通過可能な開口を含み、前記送出機構によって搬送される前記金属板を支持する平板状のリフタと、を有し、前記リフタは、前記搬送方向に対して交差する幅方向への前記金属板の移動を規制する規制部を有する。
【0006】
また、本開示の一形態に係る加工方法は、金属板を打抜加工する加工方法であって、打抜加工部が通過可能な開口を含む平板状のリフタによって、搬送方向に対して交差する幅方向への移動を規制した状態で前記金属板を支持しながら、前記金属板を間欠的に搬送し、前記打抜加工部で前記金属板を打抜加工する。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る加工装置及び加工方法によれば、金属板の加工精度を高めると同時に生産性の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、金属製品の製造装置の一例を示す概略図である。
図2図2は、加工装置の一例を示す概略断面図である。
図3図3は、加工装置の下型及びリフタの一例を示す分解斜視図である。
図4図4は、加工装置の上型周辺の一例を示す斜視図である。
図5図5は、図2のV-V矢視図に相当する加工装置(プレス機を除く)の一例を示す断面図であり、パンチホルダが上死点にある状態を示す図である。
図6図6は、図2のV-V矢視図に相当する加工装置(プレス機を除く)の一例を示す断面図であり、パンチホルダが下死点にある状態を示す図である。
図7図7は、図6のリフタ周辺を拡大した概略図である。
図8図8は、加工装置の変形例を示す概略図である。
図9図9は、加工装置の変形例を示す概略図である。
図10図10は、図9に示す加工装置の動作例を示す概略図である。
図11図11は、図9に示す加工装置の動作例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本開示を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0010】
[金属製品の製造装置の構成]
まず、図1を参照して、金属製品の製造装置100の全体構成について説明する。製造装置100は、例えば、回転子積層鉄心、固定子積層鉄心、半導体パッケージの内部配線として用いられるリードフレーム、燃料電池用のセパレータなどの種々の金属製品1(図2参照)を、帯状の金属板MSから製造するように構成されている。製造装置100は、アンコイラー110と、送出装置120(送出機構)と、加工装置130と、コントローラCtr(制御部)とを備える。
【0011】
アンコイラー110は、コイル材111を回転自在に保持するように構成されている。コイル材111は、金属板MSがコイル状(渦巻状)に巻回されたものである。送出装置120は、金属板MSを上下から挟み込む一対のローラ121,122を含む。一対のローラ121,122は、コントローラCtrからの指示信号に基づいて回転及び停止し、金属板MSを加工装置130に向けて間欠的に順次送り出すように構成されている。
【0012】
加工装置130は、コントローラCtrからの指示信号に基づいて動作するように構成されている。加工装置130は、例えば、送出装置120によって送り出される金属板MSを複数のパンチにより順次打抜加工するように構成されていてもよい。
【0013】
コントローラCtrは、例えば、記録媒体(図示せず)に記録されているプログラム又はオペレータからの操作入力等に基づいて、送出装置120及び加工装置130を動作させるための指示信号を生成するように構成されている。コントローラCtrは、送出装置120及び加工装置130に当該指示信号をそれぞれ送信するように構成されている。
【0014】
[加工装置の詳細]
続いて、図2を参照して、加工装置130の詳細について説明する。加工装置130は、下型140と、上型150と、プレス機160とを含む。下型140は、ベース141と、ダイホルダ142と、複数のダイD1~D3と、複数のガイドポスト144と、搬送装置145とを含む。
【0015】
ベース141は、例えばプレスボルスタ(図示せず)上に固定されている。ダイホルダ142は、ベース141上に支持されている。ダイホルダ142には、複数の排出孔C1~C3が形成されている。複数の排出孔C1~C3は、ダイホルダ142の内部を鉛直方向に沿って延びていてもよい。複数の排出孔C1~C3には、金属板MSから打ち抜かれた材料(例えば、打抜部材、廃材等)が排出される。
【0016】
複数のダイD1~D3は、ダイホルダ142の表面142a上に支持されている。複数のダイD1~D3は、金属板MSの搬送方向において、上流側から下流側に向けてこの順に並んでいる。複数のダイD1~D3にはそれぞれ、上下方向に貫通するダイ孔が設けられている。
【0017】
ダイD1のダイ孔は、排出孔C1と連通しており、後述するパンチP1と共に、金属板MSをプレス加工(例えば、打抜加工、半抜き加工)するための第1の加工ユニットを構成している。ダイD1のダイ孔内にパンチP1が挿抜されることにより、ダイD1のダイ孔の輪郭に沿った形状で金属板MSがプレス加工される。金属板MSから打ち抜かれた金属片は、排出孔C1を通じて加工装置130の外部に排出される。
【0018】
ダイD2のダイ孔は、排出孔C2と連通しており、後述するパンチP2と共に、金属板MSをプレス加工(例えば、打抜加工、半抜き加工)するための第2の加工ユニットを構成している。ダイD2のダイ孔内にパンチP2が挿抜されることにより、ダイD2のダイ孔の輪郭に沿った形状で金属板MSがプレス加工される。金属板MSから打ち抜かれた金属片は、排出孔C2を通じて加工装置130の外部に排出される。
【0019】
ダイD3のダイ孔は、排出孔C3と連通しており、後述するパンチP3と共に、金属板MSを打抜加工するための第3の加工ユニットを構成している。ダイD3のダイ孔内にパンチP3が挿抜されることにより、ダイD3のダイ孔の輪郭に沿った形状で金属板MSが打抜加工される。金属板MSからプレス加工によって得られた金属製品1は、排出孔C3を通じて加工装置130の外部に排出される。
【0020】
複数のガイドポスト144は、ダイホルダ142から上方に向けて直線状に延びている。複数のガイドポスト144は、ガイドブッシュ151a(後述する)と共に、上型150を上下方向に案内するように構成されている。なお、複数のガイドポスト144は、上型150から下方に向けて延びるように上型150に取り付けられていてもよい。
【0021】
搬送装置145は、コントローラCtrからの指示に基づいて動作し、金属板MSからプレス加工によって得られた金属製品1を後続の装置に送り出すように構成されている。搬送装置145の一端は排出孔C3内に位置しており、搬送装置145の他端は加工装置130の外部に位置している。搬送装置145は、例えばベルトコンベアであってもよい。
【0022】
ダイホルダ142の表面は平坦とされている。また、ダイホルダ142には、その表面から上方へ突出する平板状のリフタ146が設けられている。
【0023】
平板状のリフタ146は、ダイホルダ142上を搬送される金属板MSをダイホルダ142及びダイホルダ142上のダイD1~D3の上面から離間した状態で支持するように設けられる。リフタ146は、上下方向に延びる支持部材148によって支持されている。
【0024】
リフタ146は、図3に示すように、金属板MSの搬送方向Xに沿って延びる長尺平板状の部材である。また、搬送方向Xに沿って延びる両端部には、それぞれ上方へ延びる側壁部146aと、側壁部146aの上端からリフタ146の中央方向へ対向して突出するフランジ部146bと、が設けられる(図5も参照)。側壁部146a及びフランジ部146bは、リフタ146によって支持する金属板MSの搬送方向Xとは異なる方向への移動を規制する規制部としての機能を有する。なお、金属板MSは、リフタ146の本体部分の上面146cに載置される。側壁部146aは、上面146cから上方に突出している。
【0025】
リフタ146の上面146cは、平坦であってもよいし、金属板MSを安定して載置可能な範囲で凹凸が形成されていてもよい。例えば、上面146cの表面に搬送方向Xまたは搬送方向Xに対して交差する方向に沿って延びる溝を設けることで、打抜加工時に供給されるスタンピングオイルがリフタ146の上面146cに滞留することを防ぐ構成としてもよい。このような構成とした場合、スタンピングオイルによって金属板MSがリフタ146の上面146cに滞留することによる動作不良(例えば、金属板MSの貼り付き等)を防ぐことができる。
【0026】
また、リフタ146には、ダイD1~D3に対応する位置に複数の開口147a~147cが設けられる。リフタ146を取り付けた際には、開口147a~147c内をダイD1~D3(及び後述のパンチP1~P3)が上下方向に相対移動可能とされる。
【0027】
リフタ146の開口147a~147cは、その上面146c側が面取りされていてもよい。この場合、リフタ146上で搬送される金属板MSが開口147a~147cの内面とリフタ146の上面146cとの角の部分に引っかかることを防ぐことができる。このように、開口147a~147cの上面146c側は、金属板MSとの当接し得る領域であるため、金属板MSとの干渉を防ぐための形状変更等を行ってもよい。特に、開口147a~147cの上面を通過した後の金属板MSは、開口147a~147cの内面とリフタ146の上面146cとの角に当接しやすいため、搬送方向Xに沿って下流側(例えば、開口147bの場合は開口147c側)の内面について、金属板MSとの干渉を防ぐための形状変更等を行ってもよい。
【0028】
リフタ146は、支持部材148を介してダイホルダ142と接続されている。図5に示すように、支持部材148は、長尺状の本体部148aと、本体部の下端に設けられたストッパ部148bとを含む。支持部材148の本体部148aは、ダイホルダ142に形成された上下方向の貫通孔142bに挿通されていて、貫通孔142b内を上下動可能である。支持部材148の本体部148aの上端は、リフタ146に固定されている。支持部材148の本体部148aの周囲には、リフタ146とダイホルダ142との間に位置するように、例えば圧縮コイルばね等の付勢部材149が取り付けられていてもよい。この場合、リフタ146は、付勢部材149によって、ダイホルダ142から離間する方向(図5における図示上方)に付勢される。なお、また、ダイホルダ142に形成される貫通孔142bの上端が貫通孔142bよりも内径が大きくされていて、付勢部材149を収容可能とされていてもよい。
【0029】
また、ストッパ部148bは、貫通孔142bの下端に設けられた貫通孔142bよりも内径が大きい拡径部142cに収容されていてもよい。この場合、ストッパ部148bが拡径部142cの底部(貫通孔142bとの連通部)と当接することで、支持部材148の上方への移動が規制される。
【0030】
上型150は、パンチホルダ151と、ストリッパホルダ152と、複数のストリッパE1~E3と、複数のパンチP1~P3とを含む。パンチホルダ151は、ダイホルダ142と対面するようにダイホルダ142の上方に配置されている。パンチホルダ151は、その下面側において複数のパンチP1~P3を保持するように構成されている。
【0031】
パンチホルダ151には、複数のガイドブッシュ151aが設けられている。複数のガイドブッシュ151aはそれぞれ、複数のガイドポスト144に対応するように位置している。ガイドブッシュ151aは、円筒状を呈しており、ガイドポスト144がガイドブッシュ151aの内部空間をスライド可能に構成されている。なお、ガイドポスト144が上型150に取り付けられている場合には、ガイドブッシュ151aが下型140に設けられていてもよい。
【0032】
パンチホルダ151には、複数の貫通孔151bが設けられている。貫通孔151bの内周面には、階段状の段差が形成されている。そのため、貫通孔151bの上部の径は、貫通孔151bの下部の径よりも大きく設定されている。
【0033】
ストリッパホルダ152は、ストリッパE1~E3を支持する板状の部材である。ストリッパE1~E3は、ストリッパホルダ152の下面152aから下方に突出するように設けられる。ストリッパE1~E3は、パンチP1~P3で金属板MSを打ち抜く際に、金属板MSをダイD1~D3との間で挟持すると共に、パンチP1~P3に食いついた金属板MSをパンチP1~P3から取り除くように構成されている。ストリッパE1~E3は凸形状とされていて、その端面(ダイD1~D3と対向する対向面)が、対向配置されるダイD1~D3の端面と略同一形状とされている(図3及び図4参照)。
【0034】
金属板MSは、ストリッパホルダ152の下面152a(図4も参照)に対して固定されたストリッパE1~E3と、ダイホルダ142に対して固定されたダイD1~D3との間で挟持されることにより、プレス加工等の際の搬送方向における移動(位置ずれ)が規制される。ストリッパホルダ152は、ダイホルダ142上のダイD1~D3とパンチホルダ151との間に配置される。
【0035】
図4に示されるように、ストリッパホルダ152の下面152aには、下面152aから突出するようにストリッパE1~E3が設けられるほか、金属板MSの搬送方向Xに沿って延びる一対の凸部152bが形成される。凸部152bは、加工装置130を組み立てた際に、リフタ146の側壁部146aと対向する位置に設けられる。この点は後述する。
【0036】
また、ストリッパホルダ152には、上下方向に、複数のガイドポスト144を挿通させるための貫通孔152cが形成されていてもよい。
【0037】
ストリッパホルダ152は、接続部材153を介してパンチホルダ151と接続されている。接続部材153は、長尺状の本体部と、本体部の上端に設けられた頭部とを含む。接続部材153の本体部は、貫通孔151bの下部に挿通されており、貫通孔151b内を上下動可能である。接続部材153の本体部の下端は、ストリッパホルダ152に固定されている。接続部材153の本体部の周囲には、パンチホルダ151とストリッパホルダ152との間に位置するように、例えば圧縮コイルばね等の付勢部材154が取り付けられていてもよい。この場合、ストリッパホルダ152は、付勢部材154によって、パンチホルダ151から離間する方向に付勢される。
【0038】
接続部材153の頭部は、貫通孔151bの上部に配置されている。接続部材153の頭部の外形は、上方から見たときに、接続部材153の本体部の外形よりも大きく設定されている。そのため、接続部材153の頭部は、貫通孔151bの上部を上下動可能であるが、貫通孔151bの段差がストッパとして機能して、貫通孔151bの下部を通過できないようになっている。そのため、ストリッパホルダ152は、パンチホルダ151に対して相対的に上下移動可能となるように、接続部材153によってパンチホルダ151に対して吊り下げ保持されている。
【0039】
ストリッパE1~E3には、パンチP1~P3に対応する位置にそれぞれ、貫通孔が設けられている。各貫通孔は、鉛直方向に沿って延びている。各貫通孔は、上方から見たときに、対応するダイD1~D3のダイ孔と連通する。パンチP1~P3の下部はそれぞれ、対応する貫通孔内をスライド可能である。
【0040】
パンチP1~P3は、加工装置130の上流側から下流側に向けてこの順に並ぶように配置されている。パンチP1の下端部は、ダイD1のダイ孔に対応する形状を呈している。パンチP2の下端部は、ダイD2のダイ孔に対応する形状を呈している。パンチP3の下端部は、ダイD3のダイ孔に対応する形状を呈している。
【0041】
プレス機160は、上型150を上下動させるように構成されている。プレス機160は、クランクシャフト161と、固定部材162と、連結部材163と、駆動機構164とを含む。クランクシャフト161は、主軸(クランクジャーナル)と、主軸から偏心して位置する偏心軸(クランクピン)と、これらを接続する接続部材(クランクアーム)とを含む。
【0042】
固定部材162は、固定壁等に固定されており、クランクシャフト161の主軸を回転可能に保持するように構成されている。連結部材163は、クランクシャフト161とパンチホルダ151とを連結している。連結部材163の一端部には、クランクシャフト161の偏心軸が回転可能に接続されている。連結部材163の他端部には、スライド(図示せず)を介して、パンチホルダ151が接続されている。
【0043】
駆動機構164は、例えば、フライホイールやギアボックスなど(図示せず)を介して、クランクシャフト161の主軸に接続されている。駆動機構164は、コントローラCtrからの指示信号に基づいて動作し、クランクシャフト161の主軸を回転させる。クランクシャフト161の主軸が回転すると、偏心軸が主軸周りを円運動する。これに伴い、パンチホルダ151が上死点と下死点との間を上下に往復運動する。
【0044】
上記の加工装置130では、ダイD1~D3、パンチP1~P3、及びストリッパE1~E3が、金属板MSの打抜加工を行う打抜加工部として機能する。なお、打抜加工部の数は、金属製品の形状等に応じて適宜変更することができる。また、各加工ユニットにおける加工の内容に応じて、ダイ、パンチ、ストリッパの形状を適宜変更することができる。
【0045】
[金属製品の製造方法]
図2を参照して、金属製品1の製造方法(加工方法)について説明する。まず、図2に示されるように、金属板MSが送出装置120によって間欠的に加工装置130に送り出され、金属板MSの所定部位が第1の加工ユニットに到達すると、プレス機160が動作して、上型150を下型140に向けて下方に押し出す。上型150の押し出しに伴って、ストリッパホルダ152が下降する。これにより、ストリッパE1~E3も下降する。ストリッパホルダ152の凸部152bがリフタ146の上面(側壁部146aの上面)に到達すると略同時にストリッパE1~E3が金属板MSに到達する。その後も、プレス機160が上型150を下方に向けて押し出すため、金属板MSが載置された状態でリフタ146が下降する。そして、金属板MSの下面がダイD1~D3に当接すると、ストリッパE1~E3とダイD1~D3とで金属板MSが挟持された状態となる。その後も、プレス機160が上型150を下方に向けて押し出す。
【0046】
このとき、ストリッパE1~E3は移動しないが、パンチホルダ151及びパンチP1~P3は引き続き降下する。そのため、パンチP1~P3の先端部はそれぞれ、ストリッパE1~E3の各貫通孔内を下方に移動し、さらにダイD1~D3のダイ孔に到達する。この過程で、パンチP1が金属板MSをダイD1のダイ孔に沿って打抜加工が行われる。打ち抜かれた廃材は、排出孔C1から排出される。その後、プレス機160が動作して、上型150を上昇させる。
【0047】
次に、上型150を上昇させると、ストリッパE1~E3とダイD1~D3とによる金属板MSの挟持が解放される。さらに、ストリッパホルダ152の上昇に伴い、付勢部材149によって上方に付勢されているリフタ146も上昇し、支持部材148のストッパ部148bによって移動が規制される高さ位置まで移動する。さらに、ストリッパホルダ152は上昇するので、ストリッパホルダ152の凸部152bがリフタ146の上面から離間する。この状態で、送出装置120が動作し、金属板MSを搬送方向Xに沿って搬送する。
【0048】
次に、金属板MSが送出装置120によって間欠的に送り出され、金属板MSの所定部位が第2の加工ユニットに到達すると、上記と同様に、プレス機160によって上型150が上下動して、パンチP2による金属板MSの打抜加工が行われる。さらに、金属板MSが送出装置120によって間欠的に送り出され、金属板MSの所定部位が第3の加工ユニットに到達すると、上記と同様に、プレス機160によって上型150が上下動して、パンチP3による金属板MSの打抜加工が行われる。
【0049】
こうして、金属板MSから打抜加工を含むプレス加工によって得られた金属製品1は、排出孔C3を通じて加工装置130の外部に排出される。
【0050】
[打抜加工時のリフタ及びその周辺の動作の詳細]
上記の打抜加工時のパンチホルダ151の往復運動の際のリフタ146及びその周辺の動作について、図5及び図6を参照しながら説明する。図5は、上型150が最も上昇した状態、すなわち、パンチホルダ151が上死点となっている状態を示している。また、図6は、上型150が最も下降した状態、すなわち、パンチホルダ151が下死点となっている状態を示している。
【0051】
加工装置130において金属板MSを加工する際、金属板MSはリフタ146上に載置された状態で搬送方向Xに沿って搬送される。このとき、金属板MSの幅方向(搬送方向Xに対して交差する方向:Y方向に相当)の両端は、リフタ146のフランジ部146bの下方に入り込んだ状態とされる(図7も参照)。すなわち、金属板MSの幅方向の両端がそれぞれリフタ146の主面とフランジ部146bの下面との間に挟まれる状態で、搬送される。
【0052】
このとき、金属板MSは、側壁部146aによって、水平方向のうち特に幅方向(搬送方向に対して交差する方向)移動が規制された状態で搬送される。また、金属板MSは、フランジ部146bによって、特に幅方向の両端部の上下方向の移動が規制された状態で搬送される。金属板MSの幅方向の両端部は、反り返り等が生じやすい領域である。これに対してフランジ部146bが設けられることで、反り返しが防止されるため、変形が防がれながら金属板MSがリフタ146に支持される。
【0053】
上型150が上昇してパンチホルダ151が上死点にある状態では、図5に示されるように、リフタ146は支持部材148のストッパ部148bによって上方向への移動が規制される状態までリフタ146が上昇した状態とされる。これは、支持部材148に取り付けられた付勢部材149による付勢によるものである。なお、パンチホルダ151が上死点にある場合においても、ダイD1~D3の上端は、それぞれリフタ146の開口147a~147cに入り込んだ状態とされる。
【0054】
一方、上型150が下降し、パンチホルダ151が下死点になるまで下降すると、リフタ146は、パンチホルダ151の下降と共に下方へ移動するストリッパホルダ152により下方へ押し込まれる。リフタ146の側壁部146aの上面が、ストリッパホルダ152に設けられた凸部152bによって押し込まれることで、リフタ146は下方へ移動する。また、リフタ146の移動によって、支持部材148は貫通孔142b内を下方へ移動する。リフタ146は、付勢部材149によって上方へ付勢されているので、ストリッパホルダ152による押し込みの分(すなわち、ストリッパホルダ152の下方への移動分)だけリフタ146は下方へ移動する。
【0055】
リフタ146の下降に伴って、リフタ146上に載置された金属板MSも下方へ移動する。これにより、ダイD1~D3(図6ではダイD2)が金属板MSの下面と当接する。また、パンチホルダ151及びストリッパホルダ152が下降することにより、ストリッパE1~E3(図6ではストリッパE2)が金属板MSの上面と当接する。この結果、金属板MSがダイD1~D3とストリッパE1~E3によって挟み込まれた状態となる。この状態で、パンチP1~P3が下降し、金属板MSの加工が行われる。パンチホルダ151が下死点にある状態では、ダイD1~D3の上端は、それぞれリフタ146の上面146c(金属板MSの載置面)と同じ高さ位置もしくは上面146cに対して僅かに上方に突出する状態とされる。図6では、ダイD2の上端とリフタ146の上面146cとが同じ高さ位置にある状態を示している。このような構成を実現するため、ダイD1~D3の高さ(ダイホルダ142に対する突出量)は、リフタ146の厚さ(金属板MSが載置される本体部分の厚さ)よりも大きくされる。なお、ダイD1~D3の高さは、加工装置130の繰り返しの動作によるダイD1~D3の端面(特に内側)の研削量を考慮した高さとすることができる。
【0056】
パンチP1~P3によるプレス加工の後には、パンチホルダ151が再び上死点へ向けて上昇する。これにより、パンチP1~P3が上昇すると共に、ストリッパホルダ152も上昇する。この結果、ストリッパホルダ152によるリフタ146の押し込みも解除され、リフタ146は再び図5に示す状態へ向けて上昇する。また、金属板MSは、ダイD1~D3及びストリッパE1~E3による挟み込みから解放された状態となる。このように、金属板MSによる挟み込みが解除された状態とした後に、送出装置120(搬送装置)が動作することで、金属板MSが搬送方向Xへ搬送される。
【0057】
パンチホルダ151が上死点にある状態(図5)とパンチホルダ151が下死点にある状態(図6)との間でのリフタ146の移動量は、支持部材148のストッパ部148bの拡径部142c内での上下方向の移動量L1(図6参照)に相当する。
【0058】
リフタ146の厚さ(金属板MSが載置される本体部分の厚さ)は、リフタ146の上下方向の移動量L1よりも厚くすることができる。この場合、上記で説明したように、パンチホルダ151が上下方向に移動する間、ダイD1~D3の上端は、それぞれリフタ146の開口147a~147cに入り込んだ状態を保つ構成とすることができる。
【0059】
図7に示すように、ダイD1~D3(図7ではダイD2)とリフタ146の開口147a~147c(図7では開口147b)との間の距離L2は、金属板MSの厚さよりも小さくすることができる。このような構成とした場合、例えば、金属板MS(特に、プレス加工により発生した金属板の破片等)がダイD1~D3と開口147a~147cとの間に入り込むことを防ぐことができる。
【0060】
[作用]
上記実施形態で説明した加工装置130では、平板状のリフタ146は、搬送方向Xに対して交差する幅方向への金属板MSの移動を規制する規制部としての側壁部146aを有する。したがって、加工時の金属板MSの幅方向への移動が規制された状態で打抜加工を行うことができるため、加工精度を高めると同時に生産性の向上を図ることができる。また、上記の加工方法によれば、平板状のリフタ146によって、搬送方向Xに対して交差する幅方向への移動を規制した状態で金属板MSを支持しながら、金属板MSを間欠的に搬送し、打抜加工部で金属板を打抜加工する。そのため、加工時の金属板MSの幅方向への移動が規制された状態で打抜加工を行うことができ、加工精度を高めると同時に生産性の向上を図ることができる。
【0061】
積層鉄心等の製造に利用される加工装置では、打抜加工を行った後の金属板(「スケルトン」ともいう。)が下型140のダイまたはダイ孔に干渉する懸念がある。そのため、一般的には、バネを用いたリフトピン方式のリフタを設けて、金属板をダイ孔よりも高い位置で支持をしながら搬送することが行われる。しかしながら、リフトピン方式のリフタではある程度細長い形状を有する金属板の垂れ下がりが生じやすくなるため、リフタによって金属板をより高い位置で支持することが行われていた。これに対して、上記の加工装置130では、平板状のリフタ146を用いることで、リフトピン方式のリフタと比較して打抜加工を行った後の金属板MSからの垂れ下がりが防がれている。したがって、金属板MSの支持位置を低く、すなわち、ダイに近い位置とすることができる。この場合、上型150の動作によるストリッパE1~E3とダイD1~D3との挟持からの解放も早くなる。したがって、金属板MSの搬送時には金属板MSの加工速度をより高速化することが可能となる。その結果、金属製品1の生産性の向上を図ることが可能となる。
【0062】
さらに、上記の加工装置130及び加工方法では、リフタ146に側壁部146aが設けられていることで、金属板MSの幅方向への移動が規制される。従来の加工装置においても、打抜加工時には位置決め用のピン等を用いて金属板MSの位置決めは行われるが、搬送時の金属板MSの位置ずれ等は生じる可能性がある。この点、上記の加工装置130では、側壁部146aによって搬送方向Xとは異なる方向への金属板MSの移動が規制されるため、意図しない位置ずれ等を防ぐことができ、加工精度を高めることができる。
【0063】
また、リフタ146には、フランジ部146bが設けられている。このため、金属板MSの幅方向の端部において上下方向への移動が規制される。そのため、打抜加工を行っている最中の金属板MSにおいて発生し得る反り返りを抑制することができるため、金属板の加工精度を高めることができる。
【0064】
また、上記の加工装置130及び加工方法では、打抜加工部として機能するダイD1~D3は、ダイホルダ143の表面に対して突出して設けられている。また、同じく打抜加工部として機能するストリッパE1~E3は、対向面が対向するダイD1~D3の端面に対応したと略同一形状とされていて、且つ、凸形状とされている。このような構成とすることで、ダイD1~D3及びストリッパE1~E3によって金属板MSを強固に挟持した状態で、パンチP1~P3による打抜加工を精度よく行うことができる。
【0065】
また、ダイD1~D3の高さ(すなわち、ダイホルダ142に対するダイD1~D3の突出量)は、リフタ146の厚さ(金属板MSが載置される本体部分の厚さ)よりも大きくされる。また、ダイD1~D3は、リフタ146の上下方向の移動によって開口147a~147c内を移動する。このような構成とすることで、リフタ146の開口147a~147cに対してダイD1~D3が位置ずれすることを防ぐことができるため、加工装置130の故障を防ぐことができると共に、加工装置130による打抜加工を高速且つ繰り返し行った場合であっても金属板MSを精度良く加工することができる。
【0066】
[変形例]
本明細書における開示はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特許請求の範囲及びその要旨を逸脱しない範囲において、以上の例に対して種々の省略、置換、変更などが行われてもよい。
【0067】
例えば、パンチP1~P3の数、その形状等は一例であり、上記実施形態で説明した構成に限定されない。また、パンチによる打抜形状に応じてダイD1~D3及びストリッパE1~E3の数及び形状も変更される。
【0068】
また、加工装置130では1つの平板状のリフタ146が設けられる場合について説明したが、一連の打抜加工を行う加工装置130内に複数の平板状のリフタ146が設けられていてもよい。一例としては、パンチP1~P3のそれぞれに対応して、搬送方向Xに沿って3つのリフタ146が設けられていてもよい。その場合、各リフタ146が上下方向に移動可能となるように、それぞれ支持部材148及び付勢部材149が設けられる。複数の平板状のリフタ146を組み合わせる構成とすることで、個々のリフタ146を小型化、軽量化することができる。そのため、リフタ146の応答性を高めることが可能となる。また、小型化することにより、リフタ146自体の反りが小さくなるため、加工装置130の組立精度が向上し、加工速度、加工精度をさらに高めることが可能となる。
【0069】
また、加工装置130では、平板状のリフタ146のみが設けられる場合について説明したが、例えば、リフトピン方式のリフタも併せて用いる構成としてもよい。例えば、金属板MSの打抜加工が少ない上流側の工程で金属板MSの剛性が十分であれば垂れ下がりが生じにくくなる。そのため、リフトピン方式のリフタであっても金属板MSの支持位置を低くできるので、リフトピン方式のリフタを使用する構成としてもよい。
【0070】
以下、リフタ146の周辺の変形例として図8図11を参照しながら2つの変形例について説明する。
【0071】
図8では、第1の変形例に係る加工装置の主要部(図5に対応する構成)を示している。リフタ146のフランジ部146bに代えて、リフタ146上にカバー部170を設けた変形例を示している。カバー部170は、平面視ではリフタ146と略同一形状の平板状の部材であり、リフタ146の開口147a~147cと略同一の開口171を有している。図8では、開口147bに対応する開口を開口171として示している。また、カバー部170は、リフタ146の側壁部146aと当接するように、リフタ146上に取り付けられている。したがって、カバー部170は、リフタ146の上面146c上に載置された金属板MSを覆うようにリフタ146上に取り付けられることになる。図8に示す構成の場合、パンチP1~P3及びストリッパE1~E3は、カバー部170の開口171を通過して金属板MSへ向けて加工することが可能である。
【0072】
また、ストリッパホルダ152の凸部152bの突出量は、リフタ146及びカバー部170の厚さに応じて適宜調整され得る。具体的には、凸部152bがカバー部170に当接する際に、ストリッパE1~E3が金属板MSに当接するように、凸部152bの高さが調整される。このような構成とすることで、上記実施形態で説明した加工装置130と同様に、ストリッパホルダ152の下降によってリフタ146及びカバー部170を下方へ移動させると共に、金属板MSがダイD1~D3及びストリッパE1~E3によって挟持される状態を形成することができる。
【0073】
図8に示す変形例の場合、リフタ146はフランジ部146bを有していないが、フランジ部146bに代わってカバー部170が金属板MSの上方向への移動を規制している。また、金属板MSの上方をカバー部170で覆う構成とする場合、金属板MSの幅方向の端部だけでなく、他の場所でも金属板MSの移動を規制することができる。具体的には、ダイD1~D3及びストリッパE1~E3に対応して形成される開口171とは異なる位置においても、金属板MSの上方にカバー部170が設けられることになるため、金属板MSの反り返りや変形等を防ぐことができる。
【0074】
図9図11では、図8に示す第1の変形例と同様に、カバー部170を設けた構成に係る第2の変形例を示している。図9図11は、第2の変形例に係る同一の構成を示しているが、その動作の変化を示している。
【0075】
第2の変形例に係る構成は、カバー部170及びリフタ146が個別に動作可能である点が第1の変形例と相違する。具体的には、リフタ146を支持する支持部材148の下方に駆動機構180が設けられる。また、カバー部170に対しては、駆動機構180は独立して動作可能な駆動機構190が設けられる。駆動機構180,190は、図9に示されるように、ダイホルダ142の内部に収容されるように配置されていてもよいが、この構成は適宜変更できる。駆動機構180,190は、例えば、エアシリンダ等によって構成される。
【0076】
駆動機構180は、リフタ146を上下方向へ移動可能とされている。このとき、駆動機構180は、支持部材148を上下方向に移動させることで、リフタ146を上下方向に移動させる。このとき、リフタ146の上下方向の移動を支持しその移動方向を規制するための支持部材181が支持部材148とは別途設けられていてもよい。図9に示す例では、リフタ146の上方に支持部材148と同軸に延びる支持部材181が設けられている。また、支持部材181の上下方向の長さによっては、支持部材181とストリッパホルダ152とが干渉しないように、ストリッパホルダ152に凹部152dを設けてもよい。
【0077】
駆動機構190は、カバー部170を上下方向へ移動可能とされている。駆動機構190は、カバー部170に対して固定された支持部材191を上下方向に移動させることで、カバー部170を上下方向に移動させる。
【0078】
なお、図9に示す例では、カバー部170に貫通孔が設けられ、支持部材181が貫通孔内を上下方向に移動可能とされている。駆動機構180及び駆動機構190の位置関係に応じて、カバー部170に貫通孔を設けて支持部材181を通過させる構成、及び、リフタ146に貫通孔を設けて支持部材191を通過させる構成等適宜変更することができる。
【0079】
金属板MSを搬送して打抜加工を行う場合には、駆動機構180及び駆動機構190は動作しない状態としておき、主に支持部材148の周囲に取り付けられた付勢部材149による上方向への付勢と、ストリッパホルダ152による下方向への押し込みとによってリフタ146及びカバー部170を上下方向に移動させて、上述の加工装置と同様の動作を行うことができる。一方、駆動機構180及び駆動機構190は、例えば、加工装置の点検時等に使用することができる。
【0080】
図9に示す構成例では、駆動機構180によるリフタ146の上下方向の移動と、駆動機構190によるカバー部170の上下方向の移動とを独立して行うことができる。そのため、図10に示すように、例えば、カバー部170をリフタ146に対して上方に移動させることができる。このように動作させることで、通常は金属板MSが載置されるリフタ146の上面146c付近の点検・清掃等を行うことができる。さらに、図11に示すように、カバー部170及びリフタ146をダイホルダ142に対して上方に移動させることもできる。このように動作させることで、例えば、ダイホルダ142の表面142aやダイD1~D3付近の点検・清掃等を行うことができる。このように、駆動機構180,190を個別に動作させる構成とすることで、カバー部170及びリフタ146のそれぞれを独立して上下移動させることが可能となるため、点検・清掃等の作業性を向上させることができる。
【0081】
なお、駆動機構180,190の構成は適宜変更することができる。例えば、上記で説明した加工装置130の支持部材148の下方に駆動機構を設ける構成としてもよい。また、図8で示した第1の変形例の支持部材148の下方に駆動機構を設ける構成としてもよい。さらに、図9図11に示す構成に代えて、例えば、駆動機構190のみの構成として、カバー部170のみ上下方向に移動可能な構成としてもよい。このように駆動機構は、リフタ146及びカバー部170の少なくとも一方が上下方向に移動可能となるように配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0082】
100…製造装置、120…送出装置(送出機構)、130…加工装置、140…下型、142…ダイホルダ、146…リフタ、146a…側壁部、146b…フランジ部、148…支持部材、149…付勢部材、150…上型、152…ストリッパホルダ、170…カバー部、180,190…駆動機構、Ctr…コントローラ(制御部)、D1~D3…ダイ、E1~E3…ストリッパ、P1~P3…パンチ、MS…金属板。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11