IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東洋紡株式会社の特許一覧

特許7335163生体情報計測用の電極部材、生体情報計測装置、生体情報計測用の電極部材の取り付け方法および生体情報計測方法
<>
  • 特許-生体情報計測用の電極部材、生体情報計測装置、生体情報計測用の電極部材の取り付け方法および生体情報計測方法 図1
  • 特許-生体情報計測用の電極部材、生体情報計測装置、生体情報計測用の電極部材の取り付け方法および生体情報計測方法 図2
  • 特許-生体情報計測用の電極部材、生体情報計測装置、生体情報計測用の電極部材の取り付け方法および生体情報計測方法 図3
  • 特許-生体情報計測用の電極部材、生体情報計測装置、生体情報計測用の電極部材の取り付け方法および生体情報計測方法 図4
  • 特許-生体情報計測用の電極部材、生体情報計測装置、生体情報計測用の電極部材の取り付け方法および生体情報計測方法 図5
  • 特許-生体情報計測用の電極部材、生体情報計測装置、生体情報計測用の電極部材の取り付け方法および生体情報計測方法 図6
  • 特許-生体情報計測用の電極部材、生体情報計測装置、生体情報計測用の電極部材の取り付け方法および生体情報計測方法 図7
  • 特許-生体情報計測用の電極部材、生体情報計測装置、生体情報計測用の電極部材の取り付け方法および生体情報計測方法 図8
  • 特許-生体情報計測用の電極部材、生体情報計測装置、生体情報計測用の電極部材の取り付け方法および生体情報計測方法 図9
  • 特許-生体情報計測用の電極部材、生体情報計測装置、生体情報計測用の電極部材の取り付け方法および生体情報計測方法 図10
  • 特許-生体情報計測用の電極部材、生体情報計測装置、生体情報計測用の電極部材の取り付け方法および生体情報計測方法 図11
  • 特許-生体情報計測用の電極部材、生体情報計測装置、生体情報計測用の電極部材の取り付け方法および生体情報計測方法 図12
  • 特許-生体情報計測用の電極部材、生体情報計測装置、生体情報計測用の電極部材の取り付け方法および生体情報計測方法 図13
  • 特許-生体情報計測用の電極部材、生体情報計測装置、生体情報計測用の電極部材の取り付け方法および生体情報計測方法 図14
  • 特許-生体情報計測用の電極部材、生体情報計測装置、生体情報計測用の電極部材の取り付け方法および生体情報計測方法 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-21
(45)【発行日】2023-08-29
(54)【発明の名称】生体情報計測用の電極部材、生体情報計測装置、生体情報計測用の電極部材の取り付け方法および生体情報計測方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/25 20210101AFI20230822BHJP
   A01K 13/00 20060101ALI20230822BHJP
   A01K 29/00 20060101ALI20230822BHJP
   A61B 5/263 20210101ALI20230822BHJP
【FI】
A61B5/25
A01K13/00 A
A01K29/00
A61B5/263
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019536760
(86)(22)【出願日】2018-08-10
(86)【国際出願番号】 JP2018030057
(87)【国際公開番号】W WO2019035420
(87)【国際公開日】2019-02-21
【審査請求日】2021-04-30
【審判番号】
【審判請求日】2022-12-14
(31)【優先権主張番号】P 2017157048
(32)【優先日】2017-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017223991
(32)【優先日】2017-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017223990
(32)【優先日】2017-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003160
【氏名又は名称】東洋紡株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小松 陽子
(72)【発明者】
【氏名】権 義哲
(72)【発明者】
【氏名】瀬口 真紀
【合議体】
【審判長】石井 哲
【審判官】樋口 宗彦
【審判官】渡戸 正義
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-89052(JP,A)
【文献】特開2016-7292(JP,A)
【文献】特表2005-518843(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/073131(US,A1)
【文献】国際公開第2017/122639(WO,A1)
【文献】特表2013-502278(JP,A)
【文献】国際公開第2017/007016(WO,A1)
【文献】特開2004-344581(JP,A)
【文献】特開2008-178643(JP,A)
【文献】国際公開第2016/093194(WO,A1)
【文献】特表2015-508314(JP,A)
【文献】米国特許第4540001(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B5/05-5/0538
A61B5/24-5/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブルな基板の第1の面に、フレキシブルな導電性素材からなる単一の電極部と、単極のコネクタ部と、前記電極部と前記コネクタ部を電気的に接続する配線部を少なくとも備え、前記フレキシブルな基板の第2の面に、衣類へ着脱可能に付着させるための部材を備え、前記部材は、面ファスナー、自着テープ、または粘着材であり、前記フレキシブルな基板は繊維素材からなる布帛であることを特徴とする生体情報計測用の電極部材。
【請求項2】
前記フレキシブルな導電性素材が、導電フィラーと柔軟性樹脂から少なくとも構成される伸縮性導体であることを特徴とする請求項1に記載の生体情報計測用の電極部材。
【請求項3】
前記フレキシブルな導電性素材が、導電性ファブリックであることを特徴とする請求項1に記載の生体情報計測用の電極部材。
【請求項4】
前記電極部と、前記配線部が同一素材である事を特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の生体情報計測用の電極部材。
【請求項5】
前記衣類へ着脱可能に付着させるための部材が面ファスナーのフック側部材である事を特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の生体情報計測用の電極部材。
【請求項6】
電位測定機能と、測定した結果を記憶およびまたは外部に送信する機能を少なくとも有する電子デバイスに、請求項1から請求項5のいずれかに記載の生体情報計測用の電極部材を複数接続し、生体電位を測定することを特徴とする生体情報計測装置。
【請求項7】
被検体である生体が着用している衣類の縁に、請求項1から請求項5のいずれかに記載の生体情報計測用の電極部材の取り付け方法において、前記第2の面が衣類に接する方向に折り曲げ、かつ、前記電極部が生体に接する側に、前記コネクタ部が衣類の外側に位置するように配置して挟み込んで取り付けることを特徴とする生体情報計測用の電極部材の取り付け方法。
【請求項8】
少なくとも請求項7に記載の方法で衣類に取り付けた生体情報計測用の電極部材を用いて、動物の生体情報を計測することを特徴とする生体情報計測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生体情報計測用の電極部材、生体情報計測装置、生体情報計測用の電極部材の取り付け方法および生体情報計測方法に関する。本発明における生体とは動物界に属する生体で有り、好ましくは脊椎動物全般を含み、さらに好ましくは主として陸上生活する脊椎動物である。
本発明は、詳しくは生体情報計測用電極を体に密着させるための最適位置に電極を設置することのできる取り外し式の電極部材に関する。更に詳しくは、既存のハーネス、ベルト、衣服等(以下、総じて衣類という)を用いることができ、生体情報計測用電極を体に密着させるための最適位置を探ることが出来、その最適位置に電極を設置することができ、高い測定精度を得ることができる生体情報計測用の電極部材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ペットの健康を重視する飼い主が増えてきており、ペットの生体情報を手軽に行うことへのニーズが高まっている。イヌやネコ、ウサギ、ヤギ、ミニブタ、ウマ等の被毛に覆われた動物の体に生体情報モニタ用センサ(電極)を密着させる場合、できる限り被毛をかき分けるか、毛刈りを行う必要がある。特許文献1では、生体情報モニタ用センサ(電極)部位を毛刈りせずとも、もしくは、毛刈りを行う必要があっても飼い主等の了解が得られる程度の最小限の大きさで済むように、電極を粘着パッドを利用して検出部位に接着するだけでなく、固定具により電極に外部から力を加えて、適度に圧迫することにより、イヌに不快感を与えず、長時間心電図計測を良好に行うことができるジャケットについて発明されている。
【0003】
特許文献2では、動物の腋窩に電極を押し付けて、長時間の生体情報の計測が可能な装着具を発明している。当該生体情報測定具は、当該動物の腋窩に測定部が密着するように、紐形状の引き上げバンドの長さを調節することができる。イヌの場合、腋窩は被毛の密度が低い場合が多いため、測定部が体に密着されやすいということが考えられる。
しかしながら、いずれも電極の設置部位は腋窩といった胸部下部であるため、イヌが伏臥位となった場合に、電極やデバイスがイヌと床の間に挟まれて身体に強く押しつけられてしまうために、電極位置がずれやすく、また犬が不快感を示し、また強く接触する部位の皮膚に損傷を与えるなどの不都合があった。
さらに、対象とする生体のサイズは、愛玩動物を対象に考えた場合でも、小鳥、モルモットやチワワのような小型動物から、大型犬まで、対象とする生体のサイズのレンジは大きい。さらに動物園や野生動物に於けるモニタ調査などを想定した場合には、鳥類、トカゲ、ヘビ、カメ、イグアナ等の爬虫類、サンショウウオ、カエル等の両生類から、野生牛、象、キリン、鯨類などの超大型動物への適用も考えなければならない。また動物種類、固体差により生体情報計測のための最適な電極位置は異なる。万能のウェアラブル生体情報測定装置は存在せず、個々の動物についてウェアラブルな生体情報計測衣類を設計製作するのはサイズ的にも電極位置的にも、経済合理性的に非常に困難であると云わざるをえない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-141467
【文献】WO2017/026416
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、かかる従来技術の課題を背景になされたものである。すなわち、本発明の目的は、 既存のハーネス、ベルト、衣服等(以下、総じて衣類という)に着脱式に取り付けることが可能であり、生体情報計測用電極を体に密着させるための最適位置を探ることが出来、その最適位置に電極を設置することができ、高い測定精度を得ることができる生体情報計測用の電極部材を実現する事である。当該電極部材を使用すれば、体のサイズによらず、生体情報計測用電極を体に密着させるための最適位置に電極を設置することのできるため、高い測定精度を有する生体情報計測が可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは鋭意検討した結果、以下に示す手段により、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、以下の構成からなる。
[1] フレキシブルな基板の第1の面に、フレキシブルな導電性素材からなる単一の電極部と、単極のコネクタ部と、前記電極部と前記コネクタ部を電気的に接続する配線部を少なくとも備え、前記フレキシブルな基板の第2の面に、衣類への付着させるための部材を備えることを特徴とする生体情報計測用の電極部材。
[2] 前記フレキシブルな導電性素材が、導電フィラーと柔軟性樹脂から少なくとも構成される伸縮性導体であることを特徴とする[1]に記載の生体情報計測用の電極部材。
[3] 前記フレキシブルな導電性素材が、導電性ファブリックであることを特徴とする[1]に記載の生体情報計測用の電極部材。
[4] 前記電極部と、前記配線部が同一素材である事を特徴とする[1]から[3]のいずれかに記載の生体情報計測用の電極部材。
[5] 前記衣類への付着させるための部材が面ファスナーのフック側部材である事を特徴とする[1]から[4]のいずれかに記載の生体情報計測用の電極部材。
[6] 電位測定機能と、測定した結果を記憶およびまたは外部に送信する機能を少なくとも有する電子デバイスに、[1]から[5]のいずれかに記載の生体情報計測用の電極部材を複数接続し、生体電位を測定することを特徴とする生体情報計測装置。
[7] 被検体である生体が着用している衣類の縁に、[1]から[5]のいすれかに記載の生体情報計測用の電極部材の取り付け方法において、前記第2の面が衣類に接する方向に折り曲げ、かつ、電極部が生体に接する側に、コネクタ部が衣類の外側に位置するように配置して挟み込んで取り付けることを特徴とする生体情報計測用の電極部材の取り付け方法。
[8] 少なくとも[7]に記載の方法で衣類に取り付けた生体情報計測用の電極部材を用いて、動物の生体情報を計測することを特徴とする生体情報計測方法。
【0007】
[9]身体接触型の電極を有する動物用の生体情報計測用衣服において、身体接触型電極が動物の胸部の背面側に位置することを特徴とする生体情報計測用衣服。
[10]身体接触型の電極を有する動物用の生体情報計測用衣服において、身体接触型電極が、動物の棘突起、肋骨、肩甲骨から選択される少なくとも一個所に相当する体の部位に位置することを特徴とする[9]に記載の生体情報計測用衣服。
[11]前記電極が、導電フィラーと柔軟性樹脂から少なくとも構成される伸縮性導体にて構成されていることを特徴とする[9]または[10]に記載の生体情報計測用衣服。
[12]前記電極が、導電性繊維素材にて構成されている事を特徴とする[9]または[10]に記載の生体情報計測用衣服。
[13]前記電極と電気的に接続される配線、および着脱式の電子ユニットを接続するためのコネクタを有する事を特徴とする[9]から[12]のいずれかに記載の生体情報計測用衣服。
[14]前記電極、前記配線が同一素材で継ぎ目無く形成されていることを特徴とする[9]から[13]のいずれかに記載の生体情報計測用衣服。
[15]測定対象とする生体情報が、心電図におけるR波とR波との間隔であるRR間隔であることを特徴とする[9]から[14]のいずれかに記載の生体情報計測用衣服。
[16]前記[9]から[15]のいずれかに記載の生体情報計測用衣服を動物に着用させて生体情報を計測する生体情報計測方法。
[17]前記電極に導電性基材を塗布することを特徴とする[16]に記載の生体情報計測方法。
【0008】
[18] 身体接触型の電極、コネクタ、電極とコネクタを接続する電気配線を有する衣服本体と、前記コネクタに着脱可能な電子ユニットを少なくとも構成要素とする動物用の生体情報計測用衣服において、前記コネクタが動物の胸部の背面側にあり、前記電極と前記電気配線が衣服内面側の少なくとも胸部の背面側エリアの任意の位置に配置可能であり、かつ前記任意の位置に着脱可能に固定する機能を有することを特徴とする生体情報計測用衣服。
[19] 身体接触型の電極を有する動物用の生体情報計測用衣服において、前記「胸部の背面側エリアの任意の位置」が、動物の棘突起、肋骨、肩甲骨から選択される少なくとも一個所に相当する体の部位を含むことを特徴とする[18]に記載の生体情報計測用衣服。
[20] 前記電極およびまたは配線が、導電フィラーと柔軟性樹脂から少なくとも構成される伸縮性導体にて構成されていることを特徴とする[18]または[19]に記載の生体情報計測用衣服。
[21] 前記電極およびまたは配線が、導電性繊維素材にて構成されている事を特徴とする[18]または[19]に記載の生体情報計測用衣服。
[22] 前記電極と前記配線が同一素材で継ぎ目無く形成されていることを特徴とする[18]から[21]のいずれかに記載の生体情報計測用衣服。
[23] 測定対象である生体情報が、心電図におけるR波とR波との間隔であるRR間隔であることを特徴とする[18]から[22]のいずれかに記載の生体情報計測用衣服。
[24] 前記生体情報計測用衣服の内側または外側に、前記電子ユニットを支持するための電子ユニット支持部を有することを特徴とする[18]から[23]のいずれかに記載の生体情報計測用衣服。
[25] 前記電極およびまたは配線の衣服内側の任意の位置への着脱可能に固定する機能が、面ファスナーのフック側部材によることを特徴とする[18]から[24]のいずれかに記載の生体情報計測用衣服。
[26] 前記[18]から[25]のいずれかに記載の生体情報計測用衣服を動物に着用させて生体情報を計測する生体情報計測方法。
[27] 前記電極に導電性基材を塗布することを特徴とする[26]に記載の生体情報計測方法。
【0009】
本発明では、さらに以下の構成を含む事が好ましい。
[28]H型ハーネスの胸部に、前記[1]から[5]のいずれかに記載の本発明の電極部材を少なくとも2個取り付けて心電測定を行う事を特徴とする生体情報計測方法。
[29]電極配置が対象動物の体躯の方向に対して前後となる向きに取り付けられていることを特徴とする[9]に記載の生体情報測定方法。
[30]8の字型胴輪(ハーネス)に前記[1]から[5]のいずれかに記載の本発明の電極部材を少なくとも2個取り付けて心電測定を行う事を特徴とする生体情報計測方法。
[31]二足歩行動物の少なくとも胸部を覆う衣類に前記[1]から[5]のいずれかに記載の本発明の電極部材を少なくとも2個取り付けて心電測定を行う事を特徴とする生体情報計測方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明はウェアラブルな測定系により遠隔にて生体情報計測を行うために用いられる。本発明は、主に動物門の生体情報計測への適用を念頭に置き、好ましくは脊椎動物、さらに好ましくは陸上生活する脊椎動物への適用が好ましく。なお好ましくは哺乳類、爬虫類、両生類を含む四足歩行動物への適用が好ましい。ただし本発明は二足歩行動物(ヒト、類人猿、カンガルー、鳥類など)への適用を除外するものでは無い。本発明はハーネス、ベルト、衣服等(以下、総じて衣類という)を装着できる動物に適用される。衣類は本発明に適用しやすいように新たに設計されても良いが、既存の衣類を流用することも出来る。ハーネスとは、元々は馬具であるが、今日では犬などのペットに引き手などを取り付けるための装備の総称となっている。本発明は、一般に犬用として販売されているH型ハーネス、8の字型ハーネス等と組み合わせて用いる事ができる。犬用とされている衣類を他の動物に着用させ、本発明と組み合わせて用いる事もできる。さらに、ヒトに対してはベルト、ブラジャー、シャツ、パンツ等の下着類などと組み合わせて用いる事ができる。
本発明は、かかる既存のハーネスを含む衣類に取り付け、取り外しが自在に可能な生体情報計測用の電極部材である。本発明の電極部材を用いれば、電極設置位置の自由度が非常に高く、かつ容易に位置を変更することができるため、生体情報計測のための最適位置を探りつつ用いる事が出来る。またサイズの自由度も大きいため、必要最低限のサイズの取りそろえにより、小鳥、ハムスター、小型犬などの小動物から、大型犬、羊、馬、牛、象などの大動物までをカバーすることができる。
本発明の電極部材は、生体に対する粘着剤を用いずに測定が可能であるため被験体に無理な負荷を与えること無く測定が可能で、なおかつ取り外しの際にも痛みを与えない。本発明は衣類形状を工夫すれば、イルカ、鯨、ワニ、亀、カバ、アシカ、トド、オットセイ、ペンギンなどの水中活動する動物の生体情報を測定することも可能である。
本発明は、かかるヒト以外の動物に限られず、ヒトにも用いる事が出来る。例えば女性用のブラジャー、あるいはシャツなどの下着の縁部分に本発明の電極部材を取り付ければ、普段着用している衣類を用いて生体状計測用の測定系を組むことができるため、自然な状態に於ける生体情報のモニターが可能となる。
本発明の電極部材は、着脱が容易であり、電極部材が損傷したり、機能不全になった場合には容易に取り替えることができる。
本発明において、特に伸縮性導体を電極に用いた場合には、電極部の生体へのフィッティングが優れ、かつ適度な保湿性を示すため、体毛が長い被検体であっても良好な生体情報計測が可能となる。
【0011】
本発明における第2および第3の発明はウェアラブルな測定系により生体情報計測を行うために用いられる。第2および第3の発明は、主に動物門の生体情報計測への適用を念頭に置き、好ましくは脊椎動物、さらに好ましくは陸上生活する脊椎動物への適用が好ましく。なお好ましくは哺乳類、爬虫類、両生類を含む四足歩行動物への適用が好ましい。第2および第3の発明は二足歩行動物(ヒト、類人猿、カンガルー、鳥類など)への適用を除外するものでは無い。第2および第3の発明はハーネス、ベルト、衣服等(以下、総じて衣服という)を装着できる動物に適用される。衣服は第2および第3の発明に適用しやすいように新たに設計されても良いが、既存の衣服を流用することも出来る。ハーネスとは、元々は馬具であるが、今日では犬などのペットに引き手などを取り付けるための装備の総称となっている。第2および第3の発明は、一般に犬用として販売されているH型ハーネス、8の字型ハーネス等と組み合わせて用いる事ができる。犬用とされている衣服を他の動物に着用させ、第2および第3の発明と組み合わせて用いる事もできる。
第2および第3の発明の生体情報計測用衣服は、胸部の背面側、具体的には、棘突起、及び/又は、肋骨、及び/又は、肩甲骨に相当する体の部位に電極を備えるため、動物が伏臥位、横臥位となった場合でも、電極が動物と床の間に挟まれることなく、電極と身体の接触状態が大きく変化せず、さらにズレにくい。そのため、安定した身体情報計測が可能となる。
第2および第3の発明におけるさらなる効果として、電極と接続される計測部本体(測定機能、外部との通信機能などを有する、好ましくは着脱可能な電子ユニット)を電極の近傍位置、すなわち動物の胸部の背面側に設置できるため、動物が伏臥位や横臥位となった場合に、電子ユニットの上に動物の体が覆いかぶさることがないため、電子ユニットからデータを精度よく送信することができ、日常生活における生体情報が精度よく測定できる生体情報計測用衣服、生体情報計測方法を提供することにある。
なお、さらに、動物の胸部の背面側に電子ユニットを装着しやすくなるために、動物の身体が情報受信の妨げとなることが無く、無線コントロールやGPS信号の受信なども妨害されることがなく、安定した通信状態を保つことが可能となる。
【0012】
本発明における本発明の生体情報計測用衣服は、胸部の背面側、具体的には、棘突起、及び/又は、肋骨、及び/又は、肩甲骨に相当する体の部位から選択される任意の位置に、着脱可能に電極を備えるため、動物が伏臥位、横臥位となった場合でも、電極が動物と床の間に挟まれることなく、電極と身体の接触状態が大きく変化せず、さらにズレにくい。そのため、安定した身体情報計測が可能となる。
【0013】
本発明におけるさらなる効果として、電極と接続される計測部本体(測定機能、外部との通信機能などを有する、好ましくは着脱可能な電子ユニット)を電極の近傍位置、すなわち動物の胸部の背面側に設置できるため、動物が伏臥位や横臥位となった場合に、電子ユニットの上に動物の体が覆いかぶさることがないため、電子ユニットからデータを精度よく送信することができ、日常生活における生体情報が精度よく測定できる生体情報計測用衣服、生体情報計測方法を提供することにある。
なお、さらに、動物の胸部の背面側に電子ユニットを装着しやすくなるために、動物の身体が情報受信の妨げとなることが無く、無線コントロールやGPS信号の受信なども妨害されることがなく、安定した通信状態を保つことが可能となる。
また、電極を、電極、配線、コネクタが一体化した電極部材として搭載することにより衣服本体から電気的要素を着脱することが可能となる。これは衣服本体部の洗濯の際に好都合である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は本発明における電極部材の構造の一例を示す上面図と断面図である。
図2図2は本発明における電極部材を着脱式の電子デバイス(デタッチャブルデバイス)に取り付けた様子を概略示す上面図と断面図である。
図3図3は本発明における電極部材と着脱式の電子デバイス(デタッチャブルデバイス)をベルト状の衣類に取り付けた様子を示す概略図である。
図4図4は、本発明における生体情報計測用衣服の一例の内側の面(生体に接する面)の展開図である。
図5図5は、本発明における生体情報計測用衣服の一例の外側の面(生体に接していない面)の展開図である。
図6図6は、図4図5に展開図を示した本発明の生体情報計測用衣服の一例を着用したイヌの図である。
図7図7は、本発明における生体情報計測用衣服の一例の内側の面(生体に接する面)の展開図である。
図8図8は、本発明における生体情報計測用衣服の一例の外側の面(生体に接していない面)の展開図である。
図9図9は、図7図8に展開図を示した本発明の生体情報計測用衣服の一例を着用したイヌの図である。
図10図10は、本発明における電極部材の構造の一例を示す上面図と断面図である。図1の例とはスナップホック(500)の向きが異なっている。
図11図11は、図10に示す電極部材を着脱式の電子ユニット(デタッチャブルデバイス)に取り付けた様子の一例を示す断面図である。
図12図12は電極部材と着脱式の電子ユニット(デタッチャブルデバイス)を衣服に取り付けた様子を示す概略図である。
図13図13は本発明における生体情報計測用衣服をイヌに着用させた様子を示す概略図である。
図14図14は本発明における実施例にて得られたイヌの心拍のRR間隔の時間推移を表すグラフである。
図15図15は本発明における比較例にて得られたイヌの心拍のRR間隔の時間推移を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を図によって説明する。
図4図7は、本発明における生体情報計測用衣服の一例における、動物の身体に接する面、つまり、内側の面の展開図である。動物の一例として犬を用いた場合、電極201、配線部202、スナップホック500が一体化したシート状の電極材101がイヌの胸部の背面側、具体的には、棘突起、及び/又は、肋骨、及び/又は、肩甲骨に相当する体の部位に位置する。
【0016】
図5図8は、本発明における生体情報計測用衣服の例における動物の身体に接していない面、つまり、外側の面の展開図である。生体情報計測用の衣服800の胸部の背面側、具体的には、棘突起、及び/又は、肋骨、及び/又は、肩甲骨に相当する体の部位に電子ユニット900が位置する。
【0017】
図6図9は本発明における生体情報計測用衣服の例をイヌが着用している図である。イヌの胸部の背面側、具体的には、棘突起、及び/又は、肋骨、及び/又は、肩甲骨に相当する体の部位に電子ユニット900が位置する。
【0018】
本発明における生体情報とは、電極及び/又はその他センサにより検知可能な心電、筋電、体温、衣服内温、呼吸数、呼吸状態、発汗量、発汗状態、関節角度、身体各部の変位量、身体各部の加速度、身体各部の位置情報等をさす。電極及び/又はその他センサは、計測対象となる生体情報により適宜選択される。このうち、本発明は少なくとも生体に接触する複数の電極を有する事が好ましい態様であり、さらに生体情報として心電を計測可能な電極を備えることが好ましい様態である。一般に心電の計測結果は一般的には横軸に時間を、縦軸に電位差をプロットした心電図、心電波形として記録される。心拍1回ごとに心電図に現れる波形は、P波、Q波、R波、S波、T波の代表的な5つの波により主に構成され、この他にU波が存在し、また、Q波の始めからS波の終わりまでをQRS波と称する場合がある。これらの波のうちで、少なくともR波を検知可能な電極を備えることが好ましい。R波は左右両心室の興奮を示し、最も電位差の大きな波である。また、R波の頂点と次のR波の頂点までの時間を一般にR-R時間(RRI)と称するが、(心拍数)=60/(R-R時間(秒))の式を用いて、1分間当りの心拍数を計算することができる。つまり、R波を検知可能な電極を備えてR波を検知することにより、心拍数を知ることができる。本発明においては特に注釈のない限り、QRS波もR波に含まれるものである。
【0019】
以下、特に断らない限り以下の説明は本発明の第1の発明、第2および第3の発明と共通である。
本発明の構成の一例を図によって説明する。図1は本発明における電極部材100の構造の一例を示す上面図と断面図である。電極部材100は、フレキシブル基材150の第1の面に電極部201と配線部202、コネクタとして使用されるスナップホック500が取り付けられている。本図では電極部と配線部が同一のフレキシブル導体200により連続的に形成されている例である。配線部にはフレキシブル絶縁体300により絶縁が施されている。電極部材の第2の面には係合部材として、本図では面ファスナーが取り付けられている。
【0020】
本発明におけるフレキシブル基材150としては、PETフィルム、PENフィルム、ポリイミドフィルム、合成ゴム、天然ゴム、シリコーンゴム、ウレタンフィルムなどのエラストマーのフィルム、その他の高分子フィルム、あるいは繊維素材からなるファブリック(布帛)を用いる事ができる。布帛としては織物、編み物、不織布を例示することができ、さらにこれらに樹脂コート、樹脂含浸したコート布などもフレキシブル基材として用いることができる。また、クロロプレンに代表される合成ゴムシート等もフレキシブル基材として用いることができる。本発明で用いられる布帛は繰り返し10%以上の伸縮が可能なストレッチャビリティを有する事が好ましい。また本発明の基材は50%以上の破断伸度を有する事が好ましい。本発明のフレキシブル基材は布元反でもよく、また、リボン、テープ状でも良く、組紐、網組でもよく、元反からカットされた枚葉の布でも良い。
【0021】
布帛が織物の場合、例えば平織、綾織、朱子織、等を例示できる。布帛が編み物の場合、例えば平編み、およびその変形、鹿の子編、アムンゼン編、レース編、アイレット編、添え糸網、パイル編、リブ網、リップル編、亀甲編、ブリスター編、ミラノ・リブ編、ダブルピケ編、シングル・ピケ編み、斜文編、ヘリボーン編、ポンチローマ編、バスケット編、トリコット編、ハーフ・トリコット編、サテントリコット編、ダブルトリコット編、クインズコード編、ストライプ・サッカー編、ラッセル編、チュールメッシュ編、およびこれらの変形・組み合わせを例示できる。布帛はエラストマー繊維などからなる不織布であっても良い。
【0022】
本発明における繊維素材とは、特に限定されるものではなく、天然繊維であれば、綿、ウール、麻などがあり、化学繊維であれば、ナイロン、アクリル、ポリエステル、ポリウレタンなどがある。これらは、それぞれ単体で用いることもでき、任意の割合で混紡することもできる。本願の生体情報計測用衣類の繊維素材は、綿素材を重量比率25%以上混紡することが好ましい。より好ましくは、伸縮性を有する素材を重量比率5%以上混紡することが好ましい。好ましい混紡素材は綿とポリウレタンとの混紡素材、綿、ポリエステル、ポリウレタンの混紡素材である。特に前記電極支持部の繊維素材は、綿を重量比率35%以上含有する素材とすることが好ましい。
また本発明の衣類を構成する繊維素材による生地としては織物、編物(ニット)いずれでも良い。
【0023】
本発明における電気配線およびまたは電極に用いられる素材はとしては、金属箔、導電性ファブリック、伸縮性導体シートなどを用いる事ができる。これらは単独で、または適宜組み合わせて用いることができる。電極部分においては必要に応じて電極表面層が設けられる場合もある。配線部分は絶縁カバー層、好ましくは伸縮性の絶縁カバー層で覆われること好ましい。また電極、配線共に布帛との境界に接着性改善や絶縁性を担うための下地層を設けても良い。
【0024】
本発明における電気配線として用いられる金属箔とは、厚さが50μm以下、好ましくは25μm以下、さらに好ましくは15μm以下、なお好ましくは8μm以下、なおさらに好ましくは4μm以下であり、かつ0.08μm以上である、銅箔、りん青銅箔、ニッケルメッキ銅箔、錫めっき銅箔、ニッケル/金めっき銅箔、アルミニウム箔、銀箔、金箔から選択される少なくとも一種以上の金属箔であることが好ましい。
これら金属箔は、電解法、無電解法、圧延法、蒸着法、スパッタリング法、などの常法にて製造可能である。かかる金属箔はエッチング法、リフトオフ法、アディティブ法、打ち抜き法、レーザーカッティング法などにより所定のパターン形状に加工することができる。
【0025】
本発明に於ける幾何学的冗長性とは、空間中に、点A、点Bの二点を定義した際に、二点間の最短距離Xに対して、最短距離よりも長い経路Yを用いて2点を結ぶことにより、二点間の距離が伸びた際にも余裕をもって接続状態が維持されることを云う。
ここに冗長係数は、
冗長係数=Y/X
にて定義される。ここでの長さは、幅を持った導体パターンであれば、その中央を通るラインの長さである。
本発明における冗長係数は1.41.以上が好ましく、1.8以上がさらに好ましく2.2以上がなお好ましく、2.8以上がさらに好ましい。冗長係数を大きくするには、端的には金属箔をジグザクないし正弦波形状、繰り返し馬蹄形状に配置すれば良い。
【0026】
かかる好ましくはジグザグパターンを有する金属箔は、一例としてゴムシート、ウレタンシート、シリコーンゴムシートなどの伸縮可能なシートと金属箔とのラミネートを形成後、金属箔をサブトラクティブ法にて不要部分を除去して所定のパターンと加工することができる。サブトラクティブ法とは一般的なプリント配線板製法に用いられるエッチング法と同義である。伸縮可能なシートは下地層を兼ねても良く、下地層の一部として機能してもよい。
【0027】
本発明において金属箔を電極として用いる場合には、好ましくは金属箔表面を金、銀、白金、ロジウム、ルテニウムなどの貴金属メッキあるいは不動態形成により酸化劣化が生じにくい金属、例えばクロム、モリブデン、タングステン、ニッケル、あるは耐食性合金などのメッキにより保護することが出来る。また電極表面にカーボンペーストなどを印刷することにより電極表面保護層を設ける事も出来る。あるいは導電性粒子と柔軟性樹脂などから構成される伸縮性導電組成物で覆うこともできる。
【0028】
本発明では電極または電気配線として導電糸(導電性糸、導電性繊維を含む)を用いる事ができる。導電糸による配線は導電性ファブリックを用いた電極と組み合わせてもちいることが好ましい。本発明における導電糸とは、繊維長1cmあたりの抵抗値が100Ω以下の糸を云う。ここに導電糸とは導電繊維、及び導電繊維の繊維束、導電繊維を含む繊維から得られる撚糸、組み糸、紡績糸、混紡糸の総称である。本発明の導電糸として、金属被覆された化学繊維、金属被覆された天然繊維、導電性酸化物がより被覆された化学繊維、導電性酸化物により被覆された天然繊維、カーボン系導電性材料(グラファイト、カーボン、カーボンナノチューブ、グラフェンなど)により被覆された化学繊維、カーボン系導電性素材により被覆された天然繊維、導電性高分子により被覆された化学繊維、導電性高分子により被覆された天然繊維などから得られる導電糸を例示できる。かかるタイプの導電糸には、高分子フィルムに金属、カーボン系導電性素材、導電性金属酸化物、導電性高分子から選択される一種以上の導電性素材を被覆した高分子フィルムを800μm幅以下に細くスリットした導電性極細スリットフィルムが含まれる。
本発明における導電糸としては、金属、カーボン系導電性素材、導電性金属酸化物、導電性高分子から選択される一種以上の導電性素材を練り込んだ高分子を紡糸して得られる導電繊維から得られる導電糸を用いることができる。
さらに本発明では。太さが250μm以下、好ましくは120μm以下、さらに好ましくは80μm以下、なおさらに好ましくは50μm以下の金属微細線を導電繊維ないし導電糸として用いる事ができる。さらに本発明ではマイクロファイバーナノファイバーなどの繊維束に導電性粒子、導電性高分子等を担持、含浸させて得られる導電糸を用いる事ができる。
本発明では特に、金属被覆された化学繊維、導電性高分子を含浸させた繊維束、太さが50μm以下の金属微細線、から選択される少なくとも一種以上の導電糸を用いる事が好ましい。
導電糸による配線は冗長性を有することが好ましい。冗長性は導電糸を例えばジグザグに刺繍する、あるいは導電糸をニットに組み込み、導電糸部分にループを作って冗長性を確保し、ニット生地そのものを配線的に用いる等の方法により与えることができる。
【0029】
本発明では電極または電気配線として導電性ファブリックを用いる事ができる。本発明における導電性ファブリックは導電性を有する繊維構造体の総称である。本発明の導電性ファブリックの一例として、導電糸(導電性糸、導電性繊維を含む)を含む繊維から構成される織物、編物、不織布を用いる事ができる。また本発明では非導電性の布帛に、導電糸を刺繍することにより導電性ファブリックとすることができる。また非導電性の布帛に導電性高分子の溶液、あるいは導電性粒子とバインダ樹脂を含む組成物の溶液を含浸、乾燥して得られる繊維構造体を用いる事ができる。
【0030】
本発明における導電性ファブリックとして導電性高分子を含浸させた繊維構造物を用いる事が好ましい。また、本発明の導電性ファブリックは、溶媒中に導電性高分子とバインダとを分散した分散液をファブリックに塗布することにより、前記繊維構造物に前記導電性高分子を含浸させた導電性ファブリックを用いる事が好ましい。発明において、前記導電性高分子は、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸との混合物を好ましく用いる事ができる。本発明において、前記電極に用いる導電市得ファブリックが織編物からなり、前記織編物の目付けが50g/m2未満であるか、ないしは、300g/m2を越える目付である事が好ましい。本発明の電極に用いるファブリックは合成繊維マルチフィラメントからなり、合成繊維マルチフィラメントの少なくとも一部が、繊度が30dtex未満の極細フィラメントであるか、ないしは400dtexを越える繊度を有し、かつ単糸繊度が0.2dtex以下である合成繊維マルチフィラメントであることが好ましい。
【0031】
本発明では電極および電気配線の素材として伸縮性導体層(または伸縮性導体層シート、あるいは単に伸縮性導体層ともいう)を用いる事が出来る。伸縮性導体層は、伸縮性を有し、かつ比抵抗が1×100Ωcm以下の材料で構成されている層を云う。本発明の伸縮性導体層はストレッチャビリティを有する。本発明におけるストレッチャビリティとは、導電性を保った状態にて繰り返し10%以上の伸縮が可能であることを云う。さらに本発明の伸縮性導体層は、導体層単独で40%以上の破断伸度、好ましくは50%以上の破断伸度、さらに好ましくは80%以上の破断伸度を有する事が好ましい。さらに本発明の伸縮性導体層は引っ張り弾性率が10~500MPaであることが好ましい。このようなストレッチャビリティを有する伸縮性導体層を形成できる材料を伸縮性導体組成物と呼ぶ。
伸縮性導体組成物は、以下に述べる導電ペーストを介して得ることができる。以下、本発明の構成要素の実現手段の一つである導電性ペーストについて説明する。導電性ペーストは、少なくとも導電性粒子、柔軟性樹脂、溶剤から構成される。
【0032】
本発明の導電性粒子は、比抵抗が1×10-1Ωcm以下の物質からなる、粒子径が100μm以下の粒子である。比抵抗が1×10-1Ωcm以下の物質としては、金属、合金、カーボン、ドーピングされた半導体、導電性高分子などを例示することができる。本発明で好ましく用いられる導電性粒子は銀、金、白金、パラジウム、銅、ニッケル、アルミニウム、亜鉛、鉛、錫などの金属、黄銅、青銅、白銅、半田などの合金粒子、銀被覆銅のようなハイブリッド粒、さらには金属メッキした高分子粒子、金属メッキしたガラス粒子、金属被覆したセラミック粒子などを用いることができる。
【0033】
金属系の導電性粒子の好ましい形状としては、公知のフレーク状(リン片状)、球状、樹枝状(デンドライト状)、凝集状(球状の1次粒子が3次元状に凝集した形状)などを挙げることができる。これらの中で、フレーク状、球状、凝集状の金属粒子が特に好ましい。
【0034】
本発明では導電性粒子としてフレーク状銀粒子ないし不定形凝集銀粉を用いることが好ましい。フレーク状粉の粒子径は特に限定されないが、動的光散乱法により測定した平均粒子径(50%D)が0.5~20μmであるものが好ましい。より好ましくは3~12μmである。平均粒子径が15μmを超えると微細配線の形成が困難になり、スクリーン印刷などの場合は目詰まりが生じる。平均粒子径が0.5μm未満の場合、低充填では粒子間で接触できなくなり、導電性が悪化する場合がある。不定形凝集粉の粒子径は特に限定されないが、光散乱法により測定した平均粒子径(50%D)が1~20μmであるものが好ましい。より好ましくは3~12μmである。平均粒子径が20μmを超えると分散性が低下してペースト化が困難になる。平均粒子径が1μm未満の場合、凝集粉としての効果が失われ、低充填では良導電性を維持できなくなる場合がある。
【0035】
金属粒子の粒子径は、平均粒子径が0.5~10μmであることが好ましい。平均粒子径が大きすぎると、配線を微細なパターンで形成しようとする際に所望のパターン形状が形成し難くなる場合がある。一方、平均粒子径が小さすぎると、伸縮性導体層形成時に金属粒子が凝集し易くなり、また粒子径が小さくなるに伴い原料コストが上昇するため、好ましくない。
【0036】
導電性粒子中に占める金属粒子の割合は、80体積%以上が好ましく、より好ましくは85体積%以上、さらに好ましくは90体積%以上である。金属粒子の含有割合が少なすぎると、十分に高い導電性を発現させにくくなる場合がある。
なお、本発明において各成分の体積%は、ペーストに含まれる各成分の各固形分の質量を計測し、(各固形分の質量÷各固形分の比重)を計算して各成分の固形分の体積を算出することにより求められる。
【0037】
他の導電性粒子としては、例えば、カーボンナノチューブが好ましく挙げられ、特に、メルカプト基、アミノ基、ニトリル基を表面に有するか、または、スルフィド結合および/またはニトリル基を含有するゴムで表面処理されていることが好ましい。一般に導電材料自体は凝集力が強く、アスペクト比が高い導電材料は、樹脂中への分散性が低くなるが、表面にメルカプト基、アミノ基またはニトリル基を有するか、スルフィド結合および/またはニトリル基を含有するゴムで表面処理されていることにより、金属粒子に対する親和性が増して、金属粒子とともに有効な導電性ネットワークを形成でき、高導電性を実現できる。
【0038】
導電性粒子中に占める導電材料の割合は、20体積%以下が好ましく、より好ましくは15体積%以下、さらに好ましくは10体積%以下である。導電材料の含有割合が多すぎると、樹脂中に均一に分散させ難くなることがあり、また一般に上述のような導電材料は高価であることからも、上記範囲に使用量を抑えることが望ましい。
【0039】
金属ナノ粒子としては、銀、ビスマス、白金、金、ニッケル、スズ、銅、亜鉛等が挙げられ、その平均粒子径は2~100nmが好ましい。特に、導電性の観点からは、銅、銀、白金、金が好ましく、銀及び/又は銅を主成分(50質量%以上)とするものがより好ましい。金属ナノ粒子を含有させると、導電性の向上が期待できるとともに、伸縮性導体層の形成に用いる導電性ペーストのレオロジー調節に寄与し、印刷性を向上させることができる。
【0040】
導電性粒子中に占める金属ナノ粒子の割合は、20体積%以下が好ましく、より好ましくは15体積%以下、さらに好ましくは10体積%以下である。導電材料の含有割合が多すぎると、樹脂中で凝集し易くなることがあり、また一般に上述のような粒子径の小さい金属ナノ粒子は高価であることからも、上記範囲に使用量を抑えることが望ましい。
【0041】
伸縮性導体層に占める上記導電性粒子の量(換言すれば、伸縮性導体層形成用の導電性ペーストの全固形分中に占める導電性粒子の量)は、15~45体積%が好ましく、より好ましくは20~40体積%である。導電性粒子の量が少なすぎると、導電性は不十分になる虞があり、一方、多すぎると、伸縮性導体層の伸縮性が低下する傾向があり、得られた伸縮性電極および配線シートを伸長した際にクラック等が発生し、その結果、良好な導電性が保持できなくなる虞がある。
【0042】
本発明における柔軟性樹脂とは、弾性率が、1~1000MPaの、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ゴムなどが挙げられるが、硫黄原子を含有するゴムおよび/またはニトリル基を含有するゴムを少なくとも含有することが好ましい。硫黄原子やニトリル基は金属類との親和性が高く、またゴムは伸縮性が高く伸長時にもクラック等の発生を回避しうるので、電極および配線シートが伸長されても導電性粒子を均一な分散状態で保持し、優れた導電性を発現させることができる。伸長時の電気抵抗変化の観点からは、ニトリル基を含有するゴムがより好ましい。なお、伸縮性導体層を形成する樹脂は1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0043】
硫黄原子を含有するゴムは、硫黄を含有するゴムやエラストマーであれば特に限定されい。硫黄原子は、ポリマーの主鎖のスルフィド結合やジスルフィド結合、側鎖や末端のメルカプト基などの形で含有される。硫黄原子を含有するゴムとしては、具体的には、メルカプト基、スルフィド結合またはジスルフィド結合を含有する、ポリサルファイドゴム、ポリエーテルゴム、ポリアクリレートゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。特に、メルカプト基を含有する、ポリサルファイドゴム、ポリエーテルゴム、ポリアクリレートゴム、シリコーンゴムが好ましい。また、硫黄原子を持たないゴム中に、ペンタエリスリトールテトラキス(S-メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(S-メルカプトブチレート)、メルカプト基含有シリコーンオイルなどの硫黄含有化合物を配合した樹脂を用いることもできる。硫黄原子を含有するゴムとして用いることのできる市販品としては、液状多硫化ゴムである東レ・ファインケミカル社製の「チオコール(登録商標)LP」等が好ましく挙げられる。硫黄原子を含有するゴム中の硫黄原子の含有量は10~30質量%が好ましい。
【0044】
ニトリル基を含有するゴムとしては、ニトリル基を含有するゴムやエラストマーであれば特に限定されないが、ブタジエンとアクリロニトリルの共重合体であるアクリロニトリルブタジエン共重合体ゴムが好ましく挙げられる。ニトリル基を含有するゴムとして用いることのできる市販品としては、日本ゼオン社製の「Nipol(登録商標)1042」が好ましく挙げられる。ニトリル基を含有するゴム中のニトリル基量(特に、アクリロニトリルブタジエン共重合体ゴム中のアクリロニトリル量)は、18~50質量%が好ましく、28~41質量%がより好ましい。アクリロニトリルブタジエン共重合体ゴム中の結合アクリロニトリル量が多いと、金属類との親和性は増大するが、伸縮性に寄与するゴム弾性は逆に減少する。
【0045】
伸縮性導体層の構成成分である柔軟性樹脂は、硫黄原子を含有するゴムおよびニトリル基を含有するゴムのみで構成されることが望ましいが、導電性、伸縮性、伸縮性導体層形成時の塗布性などを損なわない範囲で、硫黄原子を含有するゴムおよびニトリル基を含有するゴム以外の樹脂を含んでいてもよい。他の樹脂をも含める場合、全樹脂中、硫黄原子を含有するゴムおよびニトリル基を含有するゴムの合計量が95質量%以上となるようにすることが好ましく、より好ましくは98質量%以上、さらに好ましくは99質量%以上となるようにするのがよい。
【0046】
伸縮性導体層に占める上記樹脂の量(換言すれば、伸縮性導体層形成用の導電性ペーストの全固形分中に占める樹脂固形分の量)は、55~85体積%が好ましく、より好ましくは60~80体積%である。樹脂の量が少なすぎると、導電性は高くなるが、伸縮性が悪くなる傾向がある。一方、樹脂の量が多すぎると、伸縮性は良くなるが、導電性は低下する傾向がある。
また、これらの他、ゴムとしては、ウレタンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴムや水素化ニトリルゴムなどのニトリル基含有ゴム、イソプレンゴム、硫化ゴム、スチレンブタジエンゴム、ブチルゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、エチレンプロピレンゴム、フッ化ビニリデンコポリマーなどを用いることができる。
【0047】
本発明では必要に応じて下地層を設ける事ができる。下地層は第1絶縁層とも呼ばれ、基材と伸縮性導体層との間にて位置する。本発明における下地層は、配線部の基材側の絶縁を担う層である。ここに絶縁とは電気絶縁に加え、機械的、化学的、生物学的な絶縁を含み、基材を透過してくる水分や化学物質、生体物質から導体層を絶縁する機能が必要である。
本発明の下地層は好ましくは、柔軟な高分子材料である。柔軟な高分子材料としては所謂ゴム、エラストマーと呼ばれる材料を使用できる。本発明のかかるゴム、エラストマーとしては、伸縮性導体組成物に用いられる柔軟性樹脂として例示された樹脂材料を好ましく使用することができる。
本発明の下地層は繰り返し10%以上の伸縮が可能なストレッチャビリティを有する事が好ましい。また本発明の下地層は50%以上の破断伸度を有する事が好ましい。さらに本発明の下地層は引っ張り弾性率が10~500MPaであることが好ましい。
本発明の下地層は、コーティング液、浸漬液、あるいは印刷インク、印刷ペースト等の液状形態、ないしスラリー状態を介して基材上に適用されることが好ましい。またあらかじめ別行程でシート化しておき、ホットプレスなどの手法で布帛と貼り合わせることも可能である。
【0048】
(第一絶縁層)
下地層(第一絶縁層)は、電極および配線シートを基材に積層する際の接着面であり、着用のときに第一絶縁層が積層された基材の反対側からの水分が伸縮性導体層に達することを防ぐ。また、本発明における後述の伸縮性導体層は良好な伸長性を有するものであるが、基材が伸縮性導体層の伸長性を超えた伸び性に富む素材である場合、基材の伸びに追随して伸縮性導体層が伸ばされ、その結果クラックが発生することも考えられる。第一絶縁層は、衣服に積層される様態においては、衣服の伸びを抑制し、伸縮性導体層が過度に伸長されるのを防ぐ、伸び止めの役割も担っている。
【0049】
第一絶縁層を形成する樹脂は、絶縁性を有する樹脂であれば、特に制限されるものではなく、例えば、ポリウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステルエラストマー等を好ましく用いることができる。中でも、ポリウレタン系樹脂が、伸縮性導体層との接着性の点から好ましい。なお、第一絶縁層を形成する樹脂は1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。また第1絶縁層としては、反応性ホットメルト材料を用いる事も出来る。例えばフレキシブルプリント配線板用に使われるBステージ状態の柔軟性エポキシ樹脂などを用いたボンディングシートを利用することもできる。
【0050】
本発明における第一絶縁層は、前記絶縁性樹脂を適当な溶剤(好ましくは、水)に溶解ないし分散させて、離型紙ないし離型フィルム上に塗布または印刷して塗膜を形成し、次いで塗膜に含まれる溶剤を揮散させ乾燥させることにより、形成することができる。また、後述する適度な物性を有する市販のシートないしフィルムを用いることもできる。
【0051】
第一絶縁層の膜厚は、5~200μmが好ましく、より好ましくは12~120μmである。第一絶縁層が薄すぎると、絶縁効果および伸び止め効果が不十分になり、一方、厚すぎると、衣服に積層される様態においては伸縮性の阻害と、電極および配線全体の厚さが分厚くなり着心地の阻害となる虞がある。
【0052】
(第二絶縁層)
本発明において、伸縮性導体層の表面を絶縁カバーする場合には、伸縮性導体層の上に第二絶縁層(絶縁カバー層とも云う)を形成することができる。これにより、伸縮性配線シートを用いて作製した生体情報計測用インターフェスを着用した際に、雨や汗などの水分が伸縮性導体層に触れるのを防ぐことができる。
【0053】
第二絶縁層を形成する樹脂としては、上述した第一の絶縁層を形成する樹脂と同様のものが挙げられ、好ましい樹脂も同様である。第二絶縁層を形成する樹脂も1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。第一の絶縁層を形成する樹脂と第二の絶縁層を形成する樹脂は、同一であってもよいし、異なっていてもよいが、同一であることが、伸縮性導体層の被覆性および配線シート伸縮時の応力の偏りによる伸縮性導体層の損傷の低減の点で好ましい。第二絶縁層は、上述したように第一絶縁層と同様にして形成することができる。また、後術する適度な物性を有する市販のシートないしフィルムを用いることもできる。
【0054】
第二絶縁層の膜厚は、5~200μmが好ましく、より好ましくは150~20μmである。第二絶縁層が薄すぎると、基材の繰り返し伸縮により劣化しやすく絶縁効果が不十分になり、一方、厚すぎると、配線シートの伸縮性の阻害および配線全体の厚さが分厚くなり着心地の阻害となるおそれがある。
【0055】
本発明の伸縮性導体層を生体接触電極に用いる場合、生体との接触インピーダンスを低減するために保湿層を設けても良い。またジェル電極の層などを設けて、さらに接触インピーダンスを低減、安定化させる操作を併用しても良い。
【0056】
本発明における係合部材は、電極部材を衣類に仮固定するための機能を有していれば特にその手段、材料は限定されない。例えば粘着テープ、面ファスナー、等を例示できる。また面で係合する機能を有する手段ではなく、ボタン、スナップホック、ファスナーなどを組み合わせて取り付けることも可能である。さらに単に紐などで結びつけたり、ゴム輪で留めるなどの手段を用いても良い。
【0057】
本発明の電気配線はフレキシブル絶縁層にて被覆されることが好ましい。フレキシブル絶縁層は絶縁性のカバーコート層による被覆である。カバーコート層は下地層と同様にストレッチャビリティのある樹脂材料などにより構成することができる。
【0058】
本発明のコネクタ部としては、本発明のフレキシブル基材に取り付けが可能で、かつ配線部と電気接続が可能なコネクタであれば特に限定はされない。本発明では金属製のスナップホックをコネクタとして用いる事ができる。本発明ではコネクタを介してデタッチャブルな電子デバイス900と接続される。本一例では、好ましい例として、スナップホックの台座部が配線部に接触し、スナップホックの凸部が着脱可能な電子デバイスと接続できるように構成されている。着脱電子デバイスは電子デバイスが十分な耐水性を有していない場合には、衣類の洗濯時などに取り外して洗濯に供されるが、電子デバイスの防水機能が十分な場合には、あえて取り外せるように設計しなくても良い。その場合にはコネクタ部の脱着を前提としない接続具にしてもよい。
【0059】
本発明における着脱式電子デバイス(デタッチャブルデバイス、着脱式の電子ユニットとも呼ぶ)とは、少なくとも生体に接する電極から得られる電気信号を配線ならびにコネクタを介して受けとって計測する機能を有し、さらに好ましくは演算機能、表示機能、記憶機能、通信機能を有する小型の電子ユニットである。本発明では生体信号をAD変換し、外部機器に通信する機能を有する着脱式の電子デバイスを用いる事が好ましい。
【0060】
本発明の電極部材は、図2および図10に例として示す形態でデタッチャブル電子デバイスと接続する。図中のブロック矢印に示すように、デタッチャブル電子デバイスに対する角度は自由に変えることができる。
【0061】
本発明の電極部材は、図3に一例として示すように、電極部材を折り、衣類の端を挟むようにして取り付けることが出来る。電極部材の折り方により、電極位置とデタッチャブル電子デバイスの取り付け位置を自在に調整出来るため、既存の衣類を用いて、適宜、生体情報計測に適切な電極位置を探りながら、同時にデタッチャブル電子デバイスの適切な装着位置を調整しつつ、生体情報計測システムを被検体に取り付けることができる。長さ、幅などの寸法が異なる電極部材を数種類準備しておけば、被検体が小動物である場合でも、あるいは比較的大きな体躯を有する動物であっても適宜対応することができる。もちろん、被検体がヒトである場合でも、既存の衣類(たとえば下着類)に同様に装着して生体情報を測定することができる。
【0062】
本発明の電極部材のサイズは特に限定されないが、長手方向の寸法にて20mm以上1500mm以下の範囲で適宜調整することができす。本発明の電極部材サイズの好ましい範囲は長手方向にて40mm以上300mm以下の範囲で有り、さらに好ましくは60mm以上200mm以下の範囲である。
本発明では、たとえば長手方向のサイズにて例えば80mm±10mm、120m±15mm、180mm±20mm程度の3サイズ程度を各2本ずつ、計6本をセットにすることで、犬、猫を中心とした一般的な愛玩動物の生体情報計測をカバーすることができる。
【0063】
本発明における第2および第3の発明は、身体接触型の電極を有する動物用の生体情報計測用衣服において、身体接触型電極が動物の胸部の背面側に位置することを特徴とする生体情報計測用衣服である。身体接触型電極は、動物の棘突起、肋骨、肩甲骨から選択される少なくとも一個所に相当する体の部位に位置することを特徴としており、電極位置に自由度を持たせる手段として本発明における第1の発明の電極部材を利用することができる。
【0064】
本発明における第3の発明は第2の発明をさらに改良した発明である。第2の発明に示した例では、電子ユニットが衣服お外側に露出していたが、本発明では衣服の内側に位置させることができる。
本発明の構成の一例を図によって説明する。電極部材100は、フレキシブル基材150の第1の面に、フレキシブルな導電性素材からなる単一の電極部201とコネクタ部として使用されるスナップホック500を電気的に接続する配線部202と、前記フレキシブルな基板の第2の面に前記スナップホック500が取り付けられている。配線部にはフレキシブル絶縁体300により絶縁が施されている。電極部材には係合部材として、本図では面ファスナー700が取り付けられている。
【0065】
図10は本発明における電極部材100を着脱式の電子ユニット900に取り付けた様子の一例を示す断面図である。これを図11のように、動物の胸部の背面側、好ましくは、棘突起、及び/又は、肋骨、及び/又は、肩甲骨に相当する体の部位に位置するように、調整しながら衣服本体の内側に付着させ、図12に示すように動物に装着させることで、動物が伏臥位、横臥位となった場合でも、電極部と電子ユニットが動物と床の間に挟まれることなく、ずれにくいため、精度よく日常生活における生体情報が測定できる。さらには、動物が伏臥位や横臥位となった場合に、電子ユニットの上に動物の体が覆いかぶさることがないため、電子ユニットの送信手段である電波、赤外線通信などを精度よく送信することができる。
図10では電子ユニットと電極部材を直接接続した図であるが、電子ユニットと電極部材を、衣服本体に設けたコネクタを介して間接的に接続してもよい。衣服本体は電子ユニットの脱落を防止するためのポケットを有する事が好ましく、ポケットは衣服本体の外側でも内側(身体接触側)のどちらに設けても良い。ポケット内にコネクタ端子を設け、ポケットの外のコネクタ端子に電気接続し、ポケットの外のコネクタ端子と電極部材を接続しても良い。
【0066】
本発明に用いられるコネクタは、スナップホックのように回転自由度を有するコネクタが好ましい。電極部材がコネクタに回転自由度を持って取り付けられることにより、電極位置を円周方向に移動させることが可能となり、電極部材を撓ませるか、ないしは長さの異なる電極部材を用いる事により電極の設置位置を任意に操作することが可能となる。
【0067】
電極部材の電極とは反対側の面には面ファスナーのフック側を備えることが好ましい。このような形態とすることにより電極部材を着脱可能名上体で衣服本体の内側に固定する事が可能となる。なお、電共部材の固定手段は面ファスナーに限定されること無く自着テープや粘着材などを用いても良い。なお電極部材のコネクタ側を衣服本体に固定した形態も本発明の範囲内である。
【0068】
第1の発明、および第2および第3の発明における生体情報は、本発明と共通である。また、電極以外の計測機能、通信機能などを有する着脱可能な電子ユニットと組み合わせる事が好ましい点も同様である。
【0069】
本発明の生体情報計測用衣服は、衣服本体、導電性素材からなる単一の電極、単極のコネクタ部、前記電極と前記コネクタ部を電気的に接続する配線部を少なくとも備え、該電極と該配線は同じ材料で構成されている事が段差を減ずることと接続信頼性を確保する上で好ましい。特に制限されるものではないが、本発明の生体情報計測用衣服は、衣服本体のうち、生体に接する内側の面に電極を備え、生体に接していない外側の面にコネクタ部、電子ユニットを備え、該電極と該配線部を接続する配線部を備える。コネクタと電極間はできるだけ短くすることが好ましく、本発明では電極を胸部の背面側に設ける事によりコネクタ、ならびに電子ユニットも背面側に搭載することが容易になる。これにより、動物が伏臥位、横臥位となった場合でも、電極と電子ユニットが動物と床の間に挟まれることなく、ずれにくく、また動物が不快にならず、電極と身体の接触圧に大きな変化が生じず、さらには、動物が伏臥位や横臥位となった場合に、電子ユニットの上に動物の体が覆いかぶさることがないため、電子ユニットの送受信機能が阻害されにくくなる。
【0070】
本発明の生体情報計測用衣服は、衣服本体、導電性素材からなる単一の電極、単極のコネクタ部、前記電極と前記コネクタ部を電気的に接続する配線部を少なくとも備え、該電極と該配線は同じ材料で構成されている事が段差を減ずることと接続信頼性を確保する上で好ましい。特に制限されるものではないが、本発明の生体情報計測用衣服は、衣服本体のうち、生体に接する内側の面に電極を備え、生体に接していない外側の面にコネクタ部、電子ユニットを備え、該電極と該配線部を接続する配線部を備える。コネクタと電極間はできるだけ短くすることが好ましく、本発明では電極を胸部の背面側に設ける事によりコネクタ、ならびに電子ユニットも背面側に搭載することが容易になる。これにより、動物が伏臥位、横臥位となった場合でも、電極と電子ユニットが動物と床の間に挟まれることなく、ずれにくく、また動物が不快にならず、電極と身体の接触圧に大きな変化が生じず、さらには、動物が伏臥位や横臥位となった場合に、電子ユニットの上に動物の体が覆いかぶさることがないため、電子ユニットの送受信機能が阻害されにくくなる。
【0071】
本発明において電極は、生体の電気的情報を検知可能な導電性層を含み、さらに絶縁層を含むことが好ましい。電極は、心電図等生体の電気的情報を検知するために必要な面積を有するものであり、各電極の面積はいずれも1平方cm以上であることが好ましい。より好ましくは5平方cm以上、さらに好ましくは10平方cm以上である。上限値は特に限定されるものではないが、100cm以下が好ましい。電極の形状は、四角形、三角形、五角形以上の多角形、円形、楕円形等の任意の形状をとることができる。
【0072】
本発明における電極およびまたは配線は、被計測者の運動動作に追従できるように伸縮性を有することが好ましい。
本発明の生体情報計測用衣服における電極およびまたは電気配線の導体層としては、金属箔、導電性繊維ないし導電性糸、伸縮性導体層などを用いる事が出来る。金属箔としては銅箔、アルミニウム箔、ステンレススチール箔、金箔、銀箔などを用いる事が可能である。また導電性繊維ないし導電性糸としては金属の細線、金属コーティングした天然繊維または合成繊維、金属微粒子やカーボンナノファイバーなどの導電性粒子を含有する高分子材料からなる繊維、導電性高分子を被覆ないし含清させた繊維などを用いる事が出来る。また、これら導電性繊維ないし導電糸から構成されるフェルト、布地、編地、不織布などを電気配線の導体層として用いることもできる。
伸縮性は、導電性繊維、導電性糸からなるニット構造やジグザグ刺繍などにより実現できる。また織物であっても、縦糸/横糸のバイアス方向であれば伸縮性を有する。もちろん伸縮性のある糸で織物、編物、不織布などを構成すれば伸縮性を得ることができる。金属箔は波形形状に加工することにより擬似的に実現する事ができる。
本発明では、導電性粒子と伸縮性を含有する樹脂を含有する伸縮性導電性組成物から形成されたシート状電極およびまたは配線を用いる事により伸縮性を得ることが可能である。
前記、伸縮性導電性組成物から形成されたシート状電極は、金属粒子等の導電性が高い構成成分を用いることができるので、導電性高分子を使用する場合よりも低い電気抵抗値を得ることができ、微弱な電気信号を検知することができるので好ましい。電極表面の電気抵抗値はシート抵抗にて1000Ω以下が好ましく、300Ω以下がより好ましく、100Ω以下がさらに好ましく、30Ω以下が特に好ましい。前記導電性組成物から形成されたシート状電極においては、電極表面の電気抵抗値を300Ω以下の範囲に抑えることができる。
【0073】
また、前記導電性組成物から形成された電極は低い電気抵抗値を有するので、配線と電極を同一材料とすることが可能であり、これは本発明の好ましい一様態である。配線と電極を同一材料とする場合には、配線幅は1mm以上あればよく、5mm以上、10mm以下とすることがより好ましい。
【0074】
本発明においては、少なくとも2個以上の電極を備えた衣服により生体情報を計測することが好ましい。特に制限されるものではないが、電極は2個以上、15個以下が好ましい。該衣服の形態は特に限定されるものではなく、ハーネス、ベルト、衣服等(以下、総じて衣服という)の動物に装着できる衣服に適用される。衣服は本発明に適用しやすいように新たに設計されても良いが、既存の衣服を流用することも出来る。ハーネスとは、元々は馬具であるが、今日では犬などのペットに引き手などを取り付けるための装備の総称となっている。本発明は、一般に犬用として販売されているH型ハーネス、8の字型ハーネス等と組み合わせて用いる事ができる。犬用とされている衣服を他の動物に着用させ、本発明と組み合わせて用いる事もできる。該衣服に少なくとも2つ以上の電極を備え、それを着用することにより生体情報を計測する。
【0075】
本発明で使用する電極は、さらに絶縁層を有することが好ましい。例えば第一絶縁層と伸縮性導体層とを含むシート状の形態のものを用いることができる。また、本発明で使用する配線は、例えば第一絶縁層と伸縮性導体層と第二絶縁層とを含むシート状のものを用いることができる。
以下、本発明の好適な様態である、電極と配線を同一材料から作成して電極と配線が一体化したシート状の電極材を作成する例について述べる。
【0076】
本発明における伸縮性導体層は、上記各成分を適当な有機溶剤に溶解ないし分散させた組成物(導電性ペースト)を第一絶縁層上に直接、所望のパターンに塗布または印刷して塗膜を形成し、次いで塗膜に含まれる有機溶剤を揮散させ乾燥させることにより、形成することができる。または、導電性ペーストを離型シート等の上に塗布または印刷して塗膜を形成し、次いで塗膜に含まれる有機溶剤を揮散させ乾燥させることにより、予めシート状の伸縮性導体層を形成しておき、それを所望のパターンで第一絶縁層上に積層するようにしてもよい。
【0077】
導電性ペーストは、粉体を液体に分散させる従来公知の方法を適宜採用して樹脂中に導電性粒子を均一に分散することにより調製できる。例えば、金属粒子、導電材料の分散液、樹脂溶液を混合した後、超音波法、ミキサー法、3本ロールミル法、ボールミル法などで均一に分散すればよい。これらの手段は、複数を組み合わせて使用することも可能である。
【0078】
導電性ペーストの塗布または印刷する方法は、特に限定されないが、例えば、コーティング法、スクリーン印刷法、平版オフセット印刷法、インクジェット法、フレキソ印刷法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、スタンピング法、ディスペンス法、スキージ印刷などの印刷法などを採用することができる。
【0079】
導電性ペーストにより塗膜を形成した後、有機溶剤を揮散させ乾燥させるには、例えば、大気下、真空雰囲気下、不活性ガス雰囲気下、還元性ガス雰囲気下などで加熱を行えばよい。加熱温度は、例えば20~200℃の範囲で、要求される導電性、基材や絶縁層の耐熱性などを考慮して選択すればよい。
【0080】
伸縮性導体層の乾燥膜厚は、8~150μmが好ましく、より好ましくは12~90μmである。伸縮性導体層が薄すぎると、電極および配線シートの繰り返し伸縮により劣化しやすく導通が阻害ないし遮断される虞があり、一方、厚すぎると、基材の伸縮性の阻害と、電極および配線全体の厚さが分厚くなり着心地の阻害となる虞がある。
【0081】
本発明で用いる伸縮性電極および配線シートの好ましい態様において、伸長率10%の伸長時にかかる単位幅当りの荷重は100N/cm以下であり、より好ましくは80N/cm以下、さらに好ましくは50N/cm以下である。従来の導電性布帛や配線は、伸長率10%の伸長時にかかる単位幅当りの荷重は100N以上であり、基材の伸長に追従し難く、着用したときの着心地を阻害する原因となった。それに対して、本発明の伸縮性電極および配線シートは、伸縮性導体層を形成する樹脂として硫黄原子を含有するゴムおよび/またはニトリル基を含有するゴムを用いることにより、伸長率10%の伸長時にかかる単位幅当りの荷重を100N/cm以下に抑えることができるという特徴を奏する。なお、本発明における上記伸長―荷重試験の詳細は実施例に記載する。
【0082】
本発明の伸縮性電極および配線シートの好ましい態様において、20%伸長による電気抵抗の変化は5倍以下であり、より好ましくは4倍以下、さらに好ましくは3倍以下である。従来の導電性布帛や配線は、通常、伸長率20%になるまでの段階で断線したり、伸長率20%まで伸長できたとしても、抵抗変化倍率が10倍を超えるほど著しい導電性の低下を生じる。それに対して、本発明の伸縮性電極および配線シートは、伸縮性導体層を形成する樹脂として硫黄原子を含有するゴムおよび/またはニトリル基を含有するゴムを用いることにより、20%まで伸長しても抵抗変化率を5倍以下に抑えることができるという特徴を奏する。なお、本発明における上記伸長試験の詳細は実施例に記載する。
【0083】
本発明の伸縮性電極および配線シートの好ましい態様において、厚さは400μm以下であり、より好ましくは300μm以下、さらに好ましくは200μm以下である。従来の導電性布帛や配線の厚さは400μm以上であり、皮膚側に接したとき着用者に異物感を与える傾向がある。それに対して、本発明の伸縮性電極および配線シートは、金属粒子を主とする導電性粒子と、樹脂として硫黄原子を含有するゴムおよび/またはニトリル基を含有するゴムで形成される伸縮性導体層により、高い導電性を有しながらも厚さを400μm以下に抑えることができるという特徴を奏する。
【0084】
本発明の電極および配線シートは、衣服等の基材に積層することが可能である。基材に対して絶縁第一層側を積層することが好ましく、積層する方法としては、接着剤による積層や熱プレスによる積層など、従来公知の積層方法であれば特に制限されるものではないが、生体情報の計測のために着用時の身体へのフィット性や運動時・動作時の追従性などの観点から、電極および配線シートの伸縮性を妨げない積層方法が好ましい。
【0085】
(生体情報計測用衣服)
本発明の生体情報計測用衣服は、動物が着用時に、電極、及び/又は、電子ユニットが動物の胸部の背面側、好ましくは、棘突起、及び/又は、肋骨、及び/又は、肩甲骨に相当する体の部位に位置するように備えられ、前記電極と電子ユニットが配線とコネクタを介して繋がれる。
【0086】
本発明の生体情報計測方法及び生体情報計測用衣服は、前記の電極による被計測者の生体情報を計測する電子ユニットを備えると共に、該計測した情報を解析する機構を備えたものであることが好ましい。
【0087】
計測した情報を解析する機構としては、目的に応じた従来公知の分析装置(心拍計、心電計、筋電計等)を採用すればよく、外部の分析装置に情報を伝送する手段を含む。
【0088】
本発明の生体情報計測方法及び生体情報計測用衣服は、収集された生体情報をもとに、また本発明と異なる生体情報計測方法及び生体情報計測用衣服によって収集された生体情報と組合わせて、動物の生理状態や心理状態を把握する技術への応用も可能である。例えばリラックスの度合いの計測による動物の精神神経状態の管理、心拍数の計測による健康状態の管理等が挙げられる。
【0089】
本発明、第2および第3の発明の生体情報計測方法及び生体情報計測用衣服は、生体情報計測用衣服を動物に着用させ、前記電極に導電性基材を塗布し、動物の体に密着させることで生体情報を計測することができる。導電性基材とは、特に制限されないが、導電性のゲル、導電性のペースト、導電性のジェル、があり、例えば市販品として、singa gel(Parker Laboratories, INC)、Ten20(Weaver and Company)が挙げられる。本発明の電極には、生体との接触インピーダンスを低減するために保湿層を設けても良い。
【実施例
【0090】
以下に実施例を示す。
[実施例1]
図10に示す電極部材を用いて、図11のように、WHS-1(ユニオンツール社製)互換の電気仕様を持つ脱着ユニットを図11の様に接続し、図12に示す生体情報計測用衣服に取り付け、電極部にsinga gel(Parker Laboratories, INC)を塗布し、チワワ(メス、3歳)に着用させて、日常生活におけるRR間隔を測定した。その結果を図14に示す。図の横軸は時間(時刻)を示し、縦軸はRR間隔(ms)を示す。結果、図14に示すとおり、測定開始日の14時~21時まで連続して、RR間隔の変化を安定に測定することができた。
【0091】
[比較例1]
比較例として、電極部を腋窩とした生体情報計測用衣服を作製し、電極部にsinga gel(Parker Laboratories, INC)を塗布し、チワワ(メス、3歳)に着用させて、日常生活におけるRR間隔を測定した。その結果を図15に示す。図15に示すとおり、測定の初期はRR間隔を計測できているが、16時を過ぎたころから測定不能な時間帯や、ノイズが多く記録されている。チワワの行動を観察していると、16時を過ぎたころから伏臥位や横臥位となる時間帯が増加した。そのため、チワワが伏臥位や横臥位となることで電極や電子ユニットが生体からずれたために、計測不可な時間帯やノイズが多く記録されたと考えられる。
【0092】
[実施例2]
図4図5に示す生体情報計測用衣服を作製し、電極にsinga gel(Parker Laboratories, INC)を塗布し、チワワ(メス、3歳)に図6の様に着用させて、電子ユニットとしてWHS-1(ユニオンツール社製)と電気仕様が互換の脱着ユニットを用いて日常生活におけるRR間隔を測定した。その結果、測定開始日の14時~21時まで連続して、RR間隔の変化を安定に測定することができた。
【0093】
[実施例3]
図7図8に示す生体情報計測用衣服を作製し、電極にsinga gel(Parker Laboratories, INC)を塗布し、チワワ(メス、3歳)に図9の様に着用させて、以下、実施例2と同様に日常生活におけるRR間隔を測定した。その結果、測定開始日の14時~21時まで連続して、RR間隔の変化を安定に測定することができた。
【産業上の利用可能性】
【0094】
以上述べてきたように、本発明の電極部材は、被検体の大小や形状にかかわらず、既存の衣類の任意の位置に装着することで、適切な電極位置、電子デバイスの装着部を探りながら生体情報計測に最適なシステムを組むことが容易な優れた特性を有する電極部材である。本発明はマウス、ハムスター、犬、猫、広くは、爬虫類、両生類、鳥類などの愛玩動物、馬、牛、羊などの家畜、さらには野生動物、加えてヒトにも適用可能である。
さらに本発明を適用した生体情報計測用衣服、生体情報計測方法は、動物が伏臥位、横臥位となった場合でも、電極と電子ユニットが動物と床の間に挟まれることなく、ずれにくいため、精度よく日常生活における生体情報が測定でき、さらには、動物が伏臥位や横臥位となった場合に、電子ユニットの上に動物の体が覆いかぶさることがないため、電子ユニットからデータを精度よく送信することができ、生体情報を高精度に得ることができる。
本明細書では便宜上、主として犬を例に説明を行ったが、本発明は犬に限定されず、好ましくは水生哺乳類、水生爬虫類、魚類、を含む脊椎動物、さらに好ましくは陸上生活する脊椎動物に広くて起用することが可能であり、好ましくは哺乳類、爬虫類、両生類を含む四足歩行動物への適用が可能であり、さらに本発明は二足歩行動物(ヒト、類人猿、カンガルー、鳥類など)への適用を除外せず、被検体(被験者)の健康管理や野生動物の調査研究、ペットとのコミュニケーション手段など広く用いる事が可能である。

【符号の説明】
【0095】
100:電極部材
150:フレキシブル基材
200:フレキシブル導体
201:電極部
202:配線部
300:フレキシブル絶縁体
500:スナップホック
700:面ファスナー
800:衣類
900:電子デバイス(デタッチャブルデバイス)

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15