(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-21
(45)【発行日】2023-08-29
(54)【発明の名称】操作つまみ装置、取付治具、及び操作つまみ装置ユニット
(51)【国際特許分類】
G06F 3/03 20060101AFI20230822BHJP
G06F 3/0362 20130101ALI20230822BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20230822BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20230822BHJP
H01H 25/00 20060101ALI20230822BHJP
H01H 25/06 20060101ALI20230822BHJP
A63F 13/2145 20140101ALI20230822BHJP
【FI】
G06F3/03 400F
G06F3/0362 461
G06F3/044 Z
G09F9/00 366A
H01H25/00 L
H01H25/06 E
A63F13/2145
(21)【出願番号】P 2020059302
(22)【出願日】2020-03-30
【審査請求日】2023-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000138462
【氏名又は名称】株式会社ユーシン
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 健二
【審査官】佐々木 祐
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/174092(WO,A1)
【文献】特開2012-035782(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0378480(US,A1)
【文献】国際公開第2019/073541(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/03 - 3/047
G09F 9/00
H01H 25/00 - 25/06
A63F 13/00 - 13/98
A63F 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状で、軸線が表示パネルと交差するように配置されるホルダと、
前記ホルダ内に配置された導電性を有する伝達部材と、
前記ホルダを取り囲む筒状の外壁部を有し、前記ホルダに対して前記軸線に沿った方向の相対移動が許容され、前記表示パネルに対して前記伝達部材を接近及び離間させる操作部材と、
前記ホルダのうち、前記外壁部の前記表示パネル側の端部から突出した部分に設けられ、取付治具を係止可能な係止部と
を備える、操作つまみ装置。
【請求項2】
前記操作部材は、前記表示パネルに対して前記端部が離間した非操作位置と、前記表示パネルに対して前記端部が接近した操作位置とに直動可能であり、
前記非操作位置では、前記操作部材の前記端部から前記取付治具までの間隔は、前記伝達部材の前記表示パネル側の端面から前記ホルダの前記表示パネル側の端部までの間隔よりも小さい、請求項1に記載の操作つまみ装置。
【請求項3】
前記係止部は、前記軸線を中心として周方向に間隔をあけて複数設けられている、請求項1に記載の操作つまみ装置。
【請求項4】
前記ホルダは、上下方向に延びる前記表示パネルに配置され、
前記係止部は、前記ホルダの下端側で内面から外面にかけて貫通する貫通孔を含む、
請求項3に記載の操作つまみ装置。
【請求項5】
前記係止部は、前記ホルダの外面から内向きに窪む溝を含む、請求項3又は4に記載の操作つまみ装置。
【請求項6】
前記係止部は、前記表示パネルに沿って延び、前記取付治具が面接触する平面部を有する、請求項1から5のいずれか1項に記載の操作つまみ装置。
【請求項7】
前記表示パネル側に位置する第1面と、前記第1面に対して前記表示パネルとは反対側に位置する第2面とを有し、前記ホルダ内に位置する基板を備え、
前記伝達部材は、前記第1面側に配置され、
前記操作部材は、前記基板に対して前記軸線に沿った方向の相対移動が許容されるように、前記第2面側に配置されている、
請求項1から6のいずれか1項に記載の操作つまみ装置。
【請求項8】
前記基板は、前記軸線周りの回転が許容されるように前記ホルダ内に配置され、
前記操作部材は、前記軸線を中心とする周方向の相対移動が規制されるように前記基板に配置され、
前記基板の前記第1面には、前記基板と一体に回転するように、前記伝達部材とは異なる伝達部材が取り付けられている、
請求項7に記載の操作つまみ装置。
【請求項9】
筒状のホルダを取り囲む筒状の外壁部を有し、前記ホルダの軸線に沿って移動可能な操作部材によって、表示パネルに対して伝達部材を接近又は離間させる操作つまみ装置を取り付けるための取付治具であって、
前記ホルダを挿通可能な挿通溝と、前記挿通溝の縁から内向きに突出した係止片とを有し、前記挿通溝内への前記ホルダの挿通によって、前記ホルダのうち、前記外壁部の前記表示パネル側の端部から突出した部分に位置する係止部に前記係止片を係止可能な第1部材と、
前記第1部材のうちの前記挿通溝の開口部を塞ぐ第2部材と
を備える、操作つまみ装置の取付治具。
【請求項10】
前記第1部材及び前記第2部材は、それぞれ板状であり、
前記第1部材の前記表示パネル側の面には、前記表示パネルから離れる向きに窪む凹部が設けられている、請求項9に記載の操作つまみ装置の取付治具。
【請求項11】
筒状で、軸線が表示パネルと交差するように配置されるホルダと、
前記ホルダ内に配置された導電性を有する伝達部材と、
前記ホルダを取り囲む筒状の外壁部を有し、前記ホルダに対して前記軸線に沿った方向の相対移動が許容され、前記表示パネルに対して前記伝達部材を接近及び離間させる操作部材と、
前記ホルダを前記表示パネルに取り付けるための取付治具と
を備え、
前記ホルダは、前記外壁部の前記表示パネル側の端部から突出した部分に係止部を有し、
前記取付治具は、
前記ホルダを挿通可能な挿通溝と、前記挿通溝の縁から内向きに突出し、前記挿通溝内への前記ホルダの挿通によって前記係止部に係止可能な係止片とを有する第1部材と、
前記第1部材のうちの前記挿通溝の開口部を塞ぐ第2部材と
を有する、操作つまみ装置ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作つまみ装置、取付治具、及び操作つまみ装置ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーション装置又はセンターディスプレイ等の車載製品には、静電容量方式のタッチ検出機能を備えた表示パネルが搭載されている。車載製品を操作する場合、凹凸がない表示パネルの定められた操作領域に指を当てる必要があるため、ユーザは操作領域の位置を目で確認する必要がある。
【0003】
特許文献1には、表示パネルの表面に配置する操作つまみ装置が開示されている。操作つまみ装置は、表示パネルに固着されるホルダ、プッシュ式のボタン、及び回転式のノブを備える。ボタン内の伝達部材の接近によって表示パネルの静電容量が変化することで、表示パネルはボタンのプッシュ操作を検出できる。ノブ内の伝達部材によって静電容量が変化する位置が移動することで、表示パネルはノブの回転操作を検出できる。操作つまみ装置が表示パネルから突出しているため、ユーザは表示パネルを見ることなく車載製品を操作できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の操作つまみ装置は、両面テープ等の接着部材を用いて表示パネルに貼着されるが、接着部材が配置されるホルダは、ボタンで覆われているため直接操作できない。よって、接着部材による表示パネルへの接着が不十分になる虞があるため、特許文献1の操作つまみ装置には、表示パネルへの取付性について改善の余地がある。
【0006】
本発明は、操作部材の操作を表示パネルに伝達する操作つまみ装置における表示パネルへの取付性を向上することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、筒状で、軸線が表示パネルと交差するように配置されるホルダと、前記ホルダ内に配置された導電性を有する伝達部材と、前記ホルダを取り囲む筒状の外壁部を有し、前記ホルダに対して前記軸線に沿った方向の相対移動が許容され、前記表示パネルに対して前記伝達部材を接近及び離間させる操作部材と、前記ホルダのうち、前記外壁部の前記表示パネル側の端部から突出した部分に設けられ、取付治具を係止可能な係止部とを備える、操作つまみ装置を提供する。
【0008】
また、本発明の他の態様は、筒状のホルダを取り囲む筒状の外壁部を有し、前記ホルダの軸線に沿って移動可能な操作部材によって、表示パネルに対して伝達部材を接近又は離間させる操作つまみ装置を取り付けるための取付治具であって、前記ホルダを挿通可能な挿通溝と、前記挿通溝の縁から内向きに突出した係止片とを有し、前記挿通溝内への前記ホルダの挿通によって、前記ホルダのうち、前記外壁部の前記表示パネル側の端部から突出した部分に位置する係止部に前記係止片を係止可能な第1部材と、前記挿通溝の開口部を塞ぐ第2部材とを備える、取付治具を提供する。
【0009】
また、本発明の他の態様は、筒状で、軸線が表示パネルと交差するように配置されるホルダと、前記ホルダ内に配置された導電性を有する伝達部材と、前記ホルダを取り囲む筒状の外壁部を有し、前記ホルダに対して前記軸線に沿った方向の相対移動が許容され、前記表示パネルに対して前記伝達部材を接近及び離間させる操作部材と、前記ホルダを前記表示パネルに取り付けるための取付治具とを備え、前記ホルダは、前記外壁部の前記表示パネル側の端部から突出した部分に係止部を有し、前記取付治具は、前記ホルダを挿通可能な挿通溝と、前記挿通溝の縁から内向きに突出し、前記挿通溝内への前記ホルダの挿通によって前記係止部に係止可能な係止片とを有する第1部材と、前記挿通溝の開口部を塞ぐ第2部材とを有する、操作つまみ装置ユニットを提供する。
【0010】
これらの態様では、操作部材によってホルダが覆われているため、操作つまみ装置の操作性及びデザイン性が損なわれることを防止できる。また、ホルダの係止部に取付治具を係止できるため、取付治具を操作する力をホルダに直接伝達できる。よって、ホルダに配置した接着部材を表示パネルに押し付けることができる。そのため、表示パネルへの操作つまみ装置の取付性、及び接着部材による表示パネルへの接着性を向上できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、操作部材の操作を表示パネルに伝達する操作つまみ装置における表示パネルへの取付性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A】本発明の実施形態に係る操作つまみ装置を表示パネルに配置した斜視図。
【
図1B】取付治具によって操作つまみ装置を取り付ける状態を示す斜視図。
【
図2B】プッシュ操作した操作つまみ装置の断面図。
【
図4】
図3のホルダ、リング部材、及びフィルムの分解斜視図。
【
図7A】操作つまみ装置に取付治具を装着した状態の一部断面図。
【
図7B】操作つまみ装置に取付治具を装着した状態の他の一部断面図。
【
図8】
図3のロータ、第1伝達部材、第2伝達部材、及びノブの分解斜視図。
【
図9】ロータ、付勢部材、及びスタビライザの分解斜視図。
【
図10】ロータ、第1伝達部材、及び第2伝達部材を表示パネル側から見た分解斜視図。
【
図11】ノブに対するスタビライザの配置を示す側面図。
【
図13A】
図10の第1伝達部材、第2伝達部材、及び保持部材の前方分解斜視図。
【
図13B】
図10の第1伝達部材、第2伝達部材、及び保持部材を後方分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0014】
図1Aは、表示パネル1に配置した本発明の実施形態に係る操作つまみ装置10を示し、
図1Bは、操作つまみ装置10に取付治具5を装着した操作つまみ装置ユニットを示す。表示パネル1は、静電容量の変化によってユーザの操作を検出するタッチ検出機能を備え、ナビゲーション装置又はセンターディスプレイ等の車載製品に搭載され、表示面が上下方向に延びるように配置されている。
【0015】
図1Aに示すように、操作つまみ装置10は、表示パネル1の定められた操作領域に配置され、表示パネル1から車内側へ突出している。操作つまみ装置10は、全体として円環形状であり、鉛直方向に沿って配置される表示パネル1に対して、軸線Aが直交方向に延びるように配置されている。操作つまみ装置10は、1個のノブ(操作部材)30を備え、このノブ30のプッシュ操作及び回転操作を表示パネル1に伝達する。
【0016】
図2A及び
図3に示すように、操作つまみ装置10は、ホルダ20、ロータ(基板)25、ノブ30、付勢部材33、伝達部材35、リング部材45、及びフィルム50を備える。接着層52aを備えるフィルム(接着部材)50によって、操作つまみ装置10は表示パネル1の表面に固着されている。本実施形態の伝達部材35は、ノブ30のプッシュ操作を伝達する第1伝達部材36と、ノブ30の回転操作を伝達する第2伝達部材37とを備える。
【0017】
ホルダ20とリング部材45は、表示パネル1に隣接するようにフィルム50に固着されている。ロータ25は、軸線A周りの回転が許容されるようにホルダ20に配置されている。ノブ30は、軸線Aに沿った方向の直動が許容されるようにロータ25に取り付けられ、軸線Aを中心としてロータ25を一体に回転させる。付勢部材33は、ロータ25とノブ30の間に配置され、ノブ30を表示パネル1から離れる向きへ付勢する。第1伝達部材36は、ノブ30に取り付けられ、ノブ30の直動に連動して軸線Aに沿って移動する。第2伝達部材37は、ロータ25に取り付けられ、ロータ25と一体に回転する。
【0018】
図2Bに示すように、ノブ30を表示パネル1に向けてプッシュ操作すると、第1伝達部材36がフィルム50に向けて一体に直動する。表示パネル1は、導電性を有する第1伝達部材36の接近によって静電容量が変化することで、ノブ30のプッシュ操作を検出できる。ノブ30から手を離すと、ノブ30と第1伝達部材36は、付勢部材33によって表示パネル1から離れる向きへ移動(離間)する。表示パネル1は、第1伝達部材36による静電容量の変化が無くなることで、プッシュ操作の解除を検出できる。ノブ30のプッシュ操作では、第2伝達部材37は表示パネル1に接近した状態を維持し、表示パネル1において第2伝達部材37によって静電容量が変化する領域は変化(移動)しない。
【0019】
図2Aの状態でノブ30を回転操作すると、ロータ25と第2伝達部材37がノブ30と同じ向きへ一体に回転する。表示パネル1は、導電性を有する第2伝達部材37の回転によって静電容量が変化する位置が移動(回転)することで、ノブ30の回転操作を検出できる。回転操作が止められると、ロータ25と第2伝達部材37の回転も停止する。表示パネル1は、静電容量が変化する位置が止まることで、回転操作の停止を検出できる。表示パネル1は、静電容量の変化停止位置を検出することで、ユーザが希望する機能の実行、停止、或いは調整量を検出できる。ノブ30の回転操作では、第1伝達部材36は一体に回転するが、表示パネル1から離れた状態を維持するため、第1伝達部材36によって表示パネル1の静電容量は変化しない。
【0020】
ホルダ20にはフィルム50が貼着され、このフィルム50の接着層52aを表示パネル1に押し付けることによって、操作つまみ装置10が表示パネル1に固着される。ホルダ20はノブ30によって覆われているため、ホルダ20に直接力を加えることができない。そこで、
図1Bに示すように、ホルダ20(操作つまみ装置10)を表示パネル1に貼着するための取付治具5が設けられている。
【0021】
図3、
図5及び
図6に示すように、ホルダ20は、フィルム50の外周部に固着され、表示パネル1に対して操作つまみ装置10を構成する他の部品を内部に保持する。ホルダ20は、絶縁性を有する(つまり導電性がない)樹脂(例えばABS)からなる円筒体である。ホルダ20には、定められた位置に取付治具5を装着するための係止部22が設けられている。
【0022】
前述のように、ノブ30は、表示パネル1から開放部(端部)30dが離間した非操作位置(
図2A参照)と、表示パネル1に開放部30dが接近した操作位置(
図2B参照)とに直動可能である。ノブ30の非操作状態では、ホルダ20は、開放部30dから表示パネル1側へ突出している。係止部22は、非操作位置ではノブ30から大部分が露出し、操作位置ではノブ30によって大部分が覆われるように、ホルダ20に設けられている。ここで、係止部22の大部分が露出した状態とは、取付治具5の装着が可能な状態を意味し、係止部22の大部分が覆われた状態とは、取付治具5の装着が不可能な状態を意味する。
【0023】
具体的には、係止部22は、
図2Aに示すノブ30の非操作状態で、ホルダ20のうち、ノブ30から表示パネル1側へ突出した部分に複数設けられている。これらの係止部22は、ホルダ20の軸線Aを中心として周方向に等間隔で配置されている。本実施形態の係止部22は、3つの係止溝22a~22cと、1つの貫通孔22dとによって構成されている。
【0024】
係止溝22a~22cは、ホルダ20の外面から内向きに窪むように設けられている。係止溝22aの溝底は、直線状をなし、取付治具5の差込方向Iに対して直交方向に延びている。係止溝22b,22cの溝底は、直線状をなし、差込方向Iに対して平行に延びている。係止溝22a~22cにおいて、表示パネル1側に位置する面は、表示パネル1に沿って延びる平面部22eである。
【0025】
貫通孔22dは、係止溝22aと径方向に対向するように、筒状をなすホルダ20の内面から外面にかけて貫通して設けられている。貫通孔22dは、矩形状をなし、差込方向Iに対して直交方向に延びている。貫通孔22dを画定する孔壁において、表示パネル1側に位置する面は、表示パネル1に沿って延びる平面部22fである。
図2Aに示すように、表示パネル1への取付状態では、貫通孔22dは鉛直方向の下端側に配置され、意図せずにホルダ20内に入り込んだ液体を外部へ排出する排出孔として機能する。
【0026】
引き続いて
図3、
図5及び
図6を参照すると、取付治具5は、全体として円環状であり、概ねU字形状の本体(第1部材)6と、本体6の開口部6jを塞ぐカバー(第2部材)7とを備える。円環状の取付治具5のうち、本体6が占める割合はカバー7が占める割合よりも多く、本実施形態では本体6が概ね70%の部分を占めている。本体6には、係止溝22a~22cに対応する係止片6l~6nがそれぞれ設けられ、カバー7には、貫通孔22dに対応する係止片7hが設けられている。以下、本体6とカバー7の構成を具体的に説明する。
【0027】
本体6は、バネ鋼及びSUS等の材料によって形成された板体である。本体6は、円環の一部を直線的に切断することによってC字形状に形成されている。
図7Aを併せて参照すると、本体6は、表示パネル1と対向する第1面6aと、第1面6aに対して表示パネル1とは反対側に位置する第2面6bとを備える。
【0028】
第1面6aには、外周部を除く中心側に、表示パネル1から離れる向きに窪む凹部6cが設けられている。凹部6cは、本体6の弾性的な変形を許容する空間を確保できる深さd1(例えば0.2~1.0mm)に設定されている。本実施形態の凹部6cは、本体6の外周に対して同心円弧状に形成されているが、その形状は必要に応じて変更が可能である。
【0029】
図6及び
図7Aに示すように、本体6は、ホルダ20の軸線Aが延びる方向から見て、ノブ30よりも外側に配置される外側部6dと、ノブ30内に配置される内側部6eとを備える。内側部6eは、第2面6bにおいて表示パネル1側にU字形状に窪んだ部分である。つまり、外側部6dと内側部6eとの間にはU字形状の段部6fが形成されている。段部6fにおける半円部分の直径、及び段部6fにおける一対の直線部分の間隔は、いずれもノブ30の外径よりも大きい。
【0030】
凹部6cを含む外側部6dの厚みt1は、非操作状態のノブ30において、表示パネル1側の端部と表示パネル1との隙間Sよりも厚い。凹部6cを含む内側部6eの厚みt2はノブ30と表示パネル1との隙間Sよりも薄い。外側部6dの厚みt1及び内側部6eの厚みt2はいずれも、ホルダ20を表示パネル1に押し付けるための剛性と弾性を併せ持つことが可能な寸法である。例えば、外側部6dの厚みt1は、1.0mm以上2.0mm以下に設定することが好ましく、本実施形態では2.0mmに設定されている。内側部6eの厚みt2は、1.0mm以上1.5mm以下に設定することが好ましく、本実施形態では1.5mmに設定されている。
【0031】
図5に最も明瞭に示すように、内側部6eには、ホルダ20を挿通可能なU字形状の挿通溝6gが形成されている。挿通溝6gは、半円部6hと、半円部6hに連なる矩形部6iと、矩形部6iにおける半円部6hとは反対側の開口部6jとを備える。挿通溝6gを画定する縁6kのうち、半円部6hの内縁の直径、及び矩形部6iの一対の側縁の間隔は、ホルダ20を挿通できる範囲で可能な限り小さく設定されている。差込方向Iにおいて、半円部6hの頂部から開口部6jまでの寸法は、ホルダ20の外径よりも大きい。
【0032】
挿通溝6gの縁6kには、平板状をなすように内向きに突出し、係止溝22a~22cの平面部22eにそれぞれ面接触する3つの係止片6l~6nが設けられている。係止片6lは、半円部6hの縁から突出し、本体6の差込方向Iに対して直交する方向へ延びている。係止片6m,6nは、矩形部6iの縁から突出し、本体6の差込方向Iに沿って延びている。係止片6l~6nの厚みt3は、内側部6eの厚みt2よりも薄い。係止片6l~6nの厚みt3は、0.5mm以上1.0mm以下に設定することが好ましく、本実施形態では0.75mmに設定されている。また、内側部6eの第2面6b側と係止片6l~6nの第2面6b側とは面一に形成されている。
【0033】
図5、
図6及び
図7Bに示すように、カバー7は、本体6と同一の材料によって形成された板体である。カバー7は、挿通溝6gの開口部6jに内嵌めされる嵌入部7iを備え、概ね凸形状である。カバー7は、表示パネル1と対向する第1面7aと、第1面7aに対して表示パネル1とは反対側に位置する第2面7bとを備える。
【0034】
第1面7aには、表示パネル1から離れる向きに窪む凹部7cが設けられている。凹部7cの深さd2は本体6の凹部6cの深さd1と同一である。凹部7cは扇形状であり、本体6へのカバー7の組み付けによって凹部6c,7cが1つの円形状をなす。
【0035】
カバー7は、ホルダ20の軸線Aが延びる方向から見て、ホルダ20よりも外側に配置される外側部7dと、ホルダ20内に配置される内側部7eとを備える。内側部7eは、第2面7bにおいて円弧状に窪んだ部分であり、嵌入部7iの内周部に設けられている。外側部7dと内側部7eとの間には円弧状の段部7fが形成されている。段部7fの直径は、本体6の段部6fの半円部分の直径と同一である。
【0036】
凹部7cを含む外側部7dの厚みt4は、本体6の外側部6dの厚みt1と同一であり、非操作状態のノブ30と表示パネル1との隙間Sよりも厚い。凹部7cを含む内側部7eの厚みt5は、本体6の内側部6eの厚みt2と同一であり、ノブ30と表示パネル1との隙間Sよりも薄い。
【0037】
差込方向Iと直交する方向の距離である嵌入部7iの横幅は、本体6の挿通溝6g(矩形部6i)に内嵌めできる範囲で可能な限り大きく設定されている。嵌入部7iの内周に位置する内側部7eの縁7gは、本体6の半円部6hの縁6kと同一直径の円弧状であり、本体6へのカバー7の組み付けによって半円部6hの縁6kとで1つの円形状をなす。
【0038】
内側部7eの縁7gには、本体6とカバー7の組み付けによって挿通溝6g内に突出し、貫通孔22dの平面部22fに面接触(係止)する平板状の係止片7hが設けられている。係止片7hの先端縁は、差込方向Iに対して直交し、本体6の係止片6lの先端縁に対して平行に延びている。内側部7eの縁7gから係止片7hの先端縁までの突出寸法は、本体6の内側部6eの縁6kから係止片6lの先端縁までの突出寸法よりも大きい。係止片7hの厚みt6は、係止片6l~6nの厚みt3と同一であり、内側部7eの厚みt5よりも薄い。内側部7eの第2面7b側と係止片7hの第2面7b側とは面一である。
【0039】
図7A及び
図7Bに示すように、ノブ30の非操作状態で、ノブ30の開放部30dから内側部6e,7eまでの間隔S1はそれぞれ、第1伝達部材36の表示パネル1側の端面からホルダ20の表示パネル1側の端部までの間隔S2よりも小さい。つまり、取付治具5を装着した操作つまみ装置10において、ノブ30を押した際、第1伝達部材36が表示パネル1に接触する前に、ノブ30が取付治具5に当接するように構成している。これにより、取付治具5を介してノブ30の押圧力をホルダ20に伝達できる。なお、ホルダ20の表示パネル1側の端部には、接着層52bの厚みが含まれる。
【0040】
ここで、第1伝達部材36とホルダ20における表示パネル1側の端部(フィルム50)との間隔S2は、ノブ30と表示パネル1との隙間Sよりも狭く、0.5mm~1.5mmの範囲に設定され、本実施形態では1.0mmに設定されている。これに対して、ノブ30と内側部6e,7eの間隔S1は、0.1mm~0.4mmの範囲に設定され、本実施形態では0.2mmに設定されている。間隔S2を過度に大きくすると、ノブ30をプッシュ操作する際のストロークが長くなるため、操作性が悪くなる。間隔S2を過度に小さくすると、第1伝達部材36と表示パネル1の距離が近くなるため、振動等によって表示パネル1が誤検出する虞がある。ノブ30の操作性を確保し、表示パネル1の誤検出を防止するために、間隔S2は上記範囲に設定することが好ましく、間隔S1は間隔S2よりも小さく設定することが好ましい。この間隔S2を考慮したうえで、ノブ30からホルダ20の一部が突出するように隙間Sを設定し、ホルダ20の突出部分に係止部22が形成されている。
【0041】
次に、取付治具5を用いた表示パネル1への操作つまみ装置10の取り付けについて説明する。なお、以下では、作業者による手作業を例に挙げて説明するが、専用の組立装置による自動取り付けも可能である。
【0042】
まず、
図6に示すように、ホルダ20の鉛直方向下側にカバー7を配置し、ホルダ20の貫通孔22dに係止片7hを差し込んで係止する。これにより、内側部7eの縁7g上にホルダ20を保持する。
【0043】
続いて、ホルダ20の上側から本体6を差し込み、係止溝22a~22cに係止片6l~6nを差し込んで係止する。これにより、
図7A及び
図7Bに示すように、ホルダ20とノブ30の間に本体6とカバー7の一部を介在させ、操作つまみ装置10と取付治具5を一体化する(
図1B参照)。
【0044】
次に、接着層52aを被覆した剥離紙(図示せず)を剥離し、取付治具5を持って表示パネル1の定められた組付位置に操作つまみ装置10を配置する。この際、カバー7を鉛直方向の下端に位置させることで、貫通孔22dを鉛直方向の下端に配置する。
【0045】
続いて、取付治具5において、外側部6d,7dの内周側を表示パネル1に向けて押圧する。これにより、取付治具5を押す力が係止片6l~6n,7hを介してホルダ20に伝わり、接着層52aを表示パネル1に押し付けることができる。また、凹部6c,7cによる空間によって本体6及びカバー7が弾性的に変形するため、表示パネル1へのホルダ20の押付力を平均化できる。
【0046】
以上のように構成した操作つまみ装置ユニットは、以下の特徴を有する。
【0047】
ノブ30によってホルダ20が覆われているため、操作つまみ装置10の操作性及びデザイン性が損なわれることを防止できる。また、ホルダ20の係止部22に取付治具5を係止できるため、取付治具5を操作する力をホルダ20に直接伝達できる。よって、ホルダ20に配置したフィルム50の接着層52aを表示パネル1に押し付けることができる。そのため、表示パネル1への操作つまみ装置10の取付性、及び接着層52aによる表示パネル1への接着性を向上できる。
【0048】
係止部22は、軸線Aを中心として周方向に間隔をあけて複数設けられている。よって、ホルダ20に対して、取付治具5の装着性を向上できるとともに、取付治具5の操作力の伝達性を向上できる。
【0049】
ホルダ20は、軸線Aが鉛直方向に対して交差する姿勢で配置され、係止部22は、下端側に配置され、ホルダ20の内面から外面にかけて貫通する貫通孔22dを含む。よって、表示パネル1への操作つまみ装置10の取付性だけでなく、意図せずにホルダ20の内部に入り込んだ液体を容易に外部へ排出できる。
【0050】
係止部22は、ホルダ20の外面から内向きに窪む係止溝22a~22cを含む。よって、ホルダ20の姿勢と取付治具5の姿勢を規定できるため、表示パネル1に対してホルダ20が誤った姿勢で装着されることを抑制できる。
【0051】
係止片6l~6n,7hは平板状であり、係止部22は表示パネル1に沿って延びる平面を有する。つまり、係止部22に対して係止片6l~6n,7hが面接触する。よって、ホルダ20に対する取付治具5の操作力の伝達性を向上できる。
【0052】
ノブ30の非操作状態で、ノブ30から取付治具5までの間隔S1は、第1伝達部材36からホルダ20の表示パネル1側の端部までの間隔S2よりも小さい。よって、取付治具5を持った取り付けだけでなく、ノブ30を持って取付作業を行っても、取付治具5を介してホルダ20に操作力を伝達できる。その結果、表示パネル1に操作つまみ装置10を取り付ける作業の自由度を広げることができる。
【0053】
本体6及びカバー7は、それぞれ板状であり、本体6の表示パネル1側の面には、表示パネル1から離れる向きに窪む凹部6c,7cが設けられている。凹部6c,7cによって、表示パネル1へホルダ20を押し付けるためのスペース(押込領域)を確保できる。また、凹部6c,7cによって本体6及びカバー7が撓むことで、表示パネル1へのホルダ20の押付力を平均化できるため、表示パネル1に対して過度な押付力が加わることを抑制できる。
【0054】
次に、操作つまみ装置10の構成部品について具体的に説明する。なお、以下の説明では、表示パネル1に最も近いフィルム50側を車外側といい、表示パネル1から最も離れたノブ30の端壁部30c側を車内側ということがある。
【0055】
図3及び
図4に示すように、ホルダ20は、表示パネル1の一部を露出させる開口部(内部空間)21を画定する円筒状の本体20aを備える。本体20aの軸線Aが表示パネル1に対して直交方向に延びるように、ホルダ20が表示パネル1に配置される。
【0056】
図2Aを併せて参照すると、本体20aの内周面側には、ロータ25を保持するための保持部20b,20cが設けられている。第1保持部20bは本体20aにおいて車外側に設けられ、第2保持部20cは本体20aにおいて車内側の端部近傍に設けられている。第1保持部20bは、円環状をなすように本体20aから径方向内向きに突出し、ロータ25の外周部を回転可能に保持するするとともに、軸線Aに沿った車外側へのロータ25の移動を規制する。第2保持部20cは、本体20aの内周面の一部からなり、ロータ25の後述する摺接部25cを回転可能に保持するとともに、ロータ25の径方向の移動を規制する。
【0057】
第1保持部20bと第2保持部20cの間に位置するように、ホルダ20の内周部には、径方向内向きに突出する三角柱状の突起20dが周方向へ複数並設されている。周方向に隣り合う突起20d間は、後述する係合部材28を係合する係合溝20eを構成する。突起20dの車内側の端は、ホルダ20の車内側の端よりも車外側に位置し、これらによって段部20fが形成されている。
【0058】
図3及び
図8に示すように、ロータ25は、開口部21に連通する開口部(内部空間)26を備える。ロータ25は、軸線Aを中心としてホルダ20の内部に配置(内嵌め)される円環状の板体であり、絶縁性を有する樹脂(例えばPBT)からなる。
図2Aを併せて参照すると、ロータ25は、車外側に配置されてフィルム50(表示パネル1)と対向する第1面25aと、車内側に配置されてフィルム50とは反対側に位置する第2面25bとを備える。ロータ25がホルダ20に配置されることで、第1面25aが第1保持部20bに当接し、第2面25bがホルダ20の車内側端部と面一に位置する。ロータ25の外周部には、第1保持部20bにおける車外側の面に係止する係止片25pが設けられている。第1保持部20bへの係止片25pの係止によって、車内側へのロータ25の移動が規制される。
【0059】
ロータ25の外径は、第1保持部20bの内径よりも大きく、複数の突起20dの先端を結ぶ仮想円(図示せず)の直径よりも小さい。ロータ25の第2面25b側の端部には、径方向外向きに突出し、ホルダ20の段部20fに配置されるとともに、第2保持部20cに摺接する摺接部25cが設けられている。摺接部25cは、周方向に間隔をあけて突出する複数の円弧状の突部からなり、これらの外端を結ぶ仮想円(図示せず)の直径は、複数の突起20dの先端を結ぶ仮想円の直径よりも大きく、第2保持部20cの内径よりも小さい。これによりロータ25は、ホルダ20の内側で軸線Aを中心として回転できる。
【0060】
図3に示すように、ロータ25の外周には、径方向内向きに窪む断面円形状の空間からなる取付穴25dが設けられている。取付穴25d内には、スプリング27と球状の係合部材28とが配置されている。係合部材28の直径は、取付穴25dの直径よりも小さく、係合溝20eの径方向の溝深さよりも大きい。ホルダ20に対してロータ25が回転されると、突起20dの傾斜面によって係合部材28が取付穴25d内へ移動し、スプリング27を収縮させる。スプリング27によって外向きに付勢された係合部材28が係合溝20eに係合することで、ロータ25がホルダ20に対して所定の回転角度位置に保持される。
【0061】
図2Aを参照すると、ロータ25には、軸線Aに沿ってノブ30の移動を許容するための挿通孔25eが設けられている。
図9を参照すると、ロータ25の第2面25b側には、付勢部材33を配置する配置部25f、及び後述するスタビライザ55を配置するための凹部25lが設けられている。
図10を参照すると、ロータ25の第1面25a側には、保持部材42を支持するガイドリブ25h、及び保持部材42(第2伝達部材37)を取り付ける取付部25iが設けられている。これらについては後で詳述する。
【0062】
図3及び
図8に示すように、ノブ30は、開口部21に連通して表示パネル1の一部を視認可能な開口部31を備える環状体である。ノブ30は、軸線Aを中心とする円環状のカバーであり、絶縁性を有する樹脂(例えばPC/ABS)からなる。ノブ30は、ホルダ20及びロータ25に対して軸線Aに沿った方向の相対移動が許容され、ロータ25に対して軸線Aを中心とする周方向の相対移動が規制されるように、ロータ25の第2面25b側に配置されている。
【0063】
具体的には、
図2A及び
図8に示すように、ノブ30は、開口部31を画定する円錐筒状の内壁部30aと、内壁部30aの外側を取り囲む円錐筒状の外壁部30bとを備える。内壁部30aは、最も径方向内側に位置するように、リング部材45の内側に配置されている。外壁部30bは、最も径方向外側に位置するように、ホルダ20の外側に配置されている。これらは軸線Aを中心とする同心円筒状である。外壁部30bの外面には、回転操作時の滑止を図るための滑止部30iが設けられている。滑止部30iは、表面加工を施すことによって形成された多数の凹凸からなる。
【0064】
内壁部30a及び外壁部30bにおける車内側の端は、これらに連なる端壁部30cによって塞がれている。内壁部30a及び外壁部30bにおける車外側の端は、開放された開放部30dである。つまり、外壁部30bに連なる端壁部30cには、開口部21を通して表示パネル1の一部を視認可能な開口部31が形成され、この開口部31の縁に内壁部30aが連なって設けられている。本実施形態では、端壁部30cの外面側に、円環状の装飾板32が配置されている。
【0065】
内壁部30aと外壁部30bは、端壁部30cから開放部30dに向かうに従って、互いに離反するように傾斜している。開放部30d側に位置する内壁部30aの外端の直径はリング部材45の内径よりも小さく、内壁部30aの外端はロータ25よりも車外側に突出している。開放部30d側に位置する外壁部30bの外端の直径はホルダ20の外径よりも大きく、外壁部30bの外端はロータ25よりも車外側に突出している。内壁部30a、外壁部30b、及び端壁部30cの内部には、ホルダ20の大部分とロータ25とが収容されている。
【0066】
引き続いて
図2A及び
図8を参照すると、端壁部30cには、ロータ25を貫通して開放部30d側(車外側)へ突出する円筒状のボス(連結部)30eが設けられている。ボス30eは、端壁部30cに対して周方向に間隔をあけて複数(本実施形態では3個)設けられている。端壁部30c側の端から開放部30d側の端にかけたボス30eの全長は、第2面25bから第1面25aまでのロータ25の厚みよりも長く、内壁部30aの全長よりも短い。
【0067】
図2A及び
図10に示すように、ロータ25には、複数のボス30eにそれぞれ対応する挿通孔25eが設けられている。
図9を参照すると、挿通孔25eの車内側は、スタビライザ55を配置する凹部25lと空間的に連通している。挿通孔25eは、ボス30eの外径よりも大きく、ボス30eが挿通され、軸線Aに沿った方向のボス30eの移動を許容する。これにより、軸線Aに沿った方向において、ロータ25に対するノブ30の相対的な移動が許容される。
【0068】
図8及び
図11を参照すると、ノブ30には、ロータ25に対する軸線Aに沿った方向への移動ガイド、及びロータ25に対する軸線Aを中心とした周方向への移動規制の機能を兼ね備える規制部30hが更に設けられている。規制部30hは、90度間隔をあけてそれぞれ一対設けられている。一対の規制部30hはそれぞれ、互いに対向する向きに突出する概ね三角柱状のリブからなり、これらの間に
図9に示す配置部25fを有するブロック25oが挟み込まれる。
【0069】
図2A及び
図2Bに示すように、付勢部材33は、ロータ25とノブ30の間に配置され、軸線Aに沿ってロータ25から離れる向きへノブ30を付勢する。付勢部材33は、弾性を有するゴム(例えばシリコーンゴム)製であり、概ね円錐筒状に形成されている。但し、付勢部材33は、コイルスプリング又は板バネであってもよいし、ロータ25に設けた切起構造の樹脂バネであってもよい。
【0070】
具体的には、
図8及び
図9に示すように、付勢部材33は、ロータ25の第2面25b側に周方向へ等間隔で複数(本実施形態では4個)配置されている。個々の付勢部材33は、円環状の基部33aと、基部33aから円錐筒状に突出する突出部33bと、突出部33bの先端に設けられた円柱状の頭部33cとを備える。
【0071】
ロータ25の第2面25bには、付勢部材33を配置する配置部25fが設けられている。配置部25fは、基部33aを配置可能な断面円形状の窪みからなり、挿通孔25eとは異なる角度位置に設けられている。軸線Aが延びる方向における配置部25fの深さは、付勢部材33の全高よりも浅く、付勢部材33の頭部33cは第2面25bからノブ30側へ突出している。配置部25fの底には、第1面25aにかけて貫通する貫通孔25gが設けられている。貫通孔25gは、
図2A及び
図2Bに示す付勢部材33の弾性変形に伴う空気の流動を許容する。ノブ30の端壁部30cの内面には、円形状の窪みからなり、付勢部材33の頭部33cを保持する保持部30fが設けられている。
【0072】
図8及び
図10に示すように、伝達部材35を構成する第1伝達部材(第1導電部)36と第2伝達部材(第2導電部)37は、可撓性及び導電性を有する接続部38によって導通可能に接続されている。これらは、ホルダ20とリング部材45の間、かつロータ25の第1面25aとフィルム50との間に配置されている。
【0073】
第1伝達部材36はノブ30に取り付けられ、第2伝達部材37はロータ25に取り付けられている。ノブ30のプッシュ操作によって、第1伝達部材36はノブ30の移動に連動して軸線Aに沿って移動するが、第2伝達部材37は移動しない。ノブ30の回転操作によって、第1伝達部材36は一体に回転し、第2伝達部材37はロータ25を介して一体に回転する。つまり、第2伝達部材37に対して第1伝達部材36は、軸線Aに沿って相対移動するが、軸線Aを中心とした周方向には相対移動しない。
【0074】
第1伝達部材36は、導電性を有するゴムからなるC字状の板体である。但し、第1伝達部材36は、導電性を有する材料であれば、金属(例えば真鍮)製又は樹脂製であってもよい。第1伝達部材36の第1端36aから第2端36bまでの周方向の角度は、概ね270度である。第1伝達部材36の径方向の幅は、後述する取付部材40の径方向の幅よりも狭い。第1伝達部材36の厚みは、静電容量を大きくするために可能な限り大きくすることが好ましい。本実施形態では生産性を考慮して、幅を5mm、厚みを1mmとしている。
【0075】
第1伝達部材36は、絶縁性を有する樹脂(例えばナイロン)からなる取付部材40を介してノブ30に取り付けられている。第1伝達部材36の内周部には、径方向内向きに突出し、取付部材40の定位置に配置するための位置決め突起36cが設けられている。取付部材40については後で詳述する。
【0076】
図10及び
図12に示すように、第2伝達部材37は、第1伝達部材36とは別体に形成され、接続部38を介して第1伝達部材36に一体化されている。第2伝達部材37は、導電性を有する金属(例えば真鍮)からなる概ね扇型状の板体である。但し、第2伝達部材37は、導電性を有する材料であればゴム製又は樹脂製であってもよい。
【0077】
第2伝達部材37は、第1伝達部材36と同心円上に位置するように両端36a,36b間に配置され、保持部材42を介して接続部38に接続されている。保持部材42に配置するために、第2伝達部材37には、矩形状をなすように切り欠いた切欠部37aと、ネジ44を貫通させる貫通部37bとが設けられている。なお、保持部材42については後で詳述する。
【0078】
引き続いて
図10及び
図12を参照すると、接続部38は、第1伝達部材36に一体に設けられ、第1端36a及び第2端36bから突出している。接続部38及び第2伝達部材37を重ね合わせた状態で保持部材42に配置することで、第1伝達部材36と第2伝達部材37が導通可能に接続される。但し、接続部38は、導電性ゴムによって構成した第2伝達部材37に一体に設けられてもよいし、電気的な導通が可能な材料によって第1伝達部材36及び第2伝達部材37とは別体で設けられてもよい。
【0079】
接続部38は、第1伝達部材36と同心円上に延びる曲率の円弧状に形成されている。径方向における接続部38の幅は、径方向における第1伝達部材36の幅よりも狭い。これにより、第1伝達部材36の弾性的な変形は抑制する一方、第1伝達部材36に連なる接続部38の弾性的な変形を許容している。本実施形態では、軸線Aに沿った方向における接続部38の厚みは、第1伝達部材36の厚みと同一にしているが、接続部38の弾性的な変形を促進するために、第1伝達部材36の厚みよりも薄くしてもよい。
【0080】
一対の接続部38の先端にはそれぞれ、第2伝達部材37に導通可能に接続するための接続端38aが設けられている。接続端38aは、軸線Aが延びる方向から見て円形状であり、その直径は接続部38の幅よりも大きい。接続端38aの中心には、厚さ方向に貫通した貫通孔38bが設けられている。
【0081】
第1伝達部材36の端36a,36bから接続端38aまでの長さは、ノブ30の非操作状態で、第1伝達部材36と第2伝達部材37の間に余剰(ゆとり)部分を確保できる寸法設定である。この余剰部分によって接続部38は、第2伝達部材37に対する第1伝達部材36の相対移動を許容する。
【0082】
図2A及び
図10に示すように、取付部材40は、第1伝達部材36を覆い隠すことが可能な大きさのC字状の板体である。取付部材40の径方向の幅は、ロータ25の径方向の幅よりも狭い。
【0083】
取付部材40のうちの表示パネル1と対向する面には、第1伝達部材36を配置する凹溝40aが設けられている。凹溝40aは、外側壁40b、内側壁40c、一対の端壁40dによって画定されている。外側壁40bは、第1伝達部材36よりも僅かに大きいC字状であり、第1伝達部材36の位置決め突起36cと対応する部分には位置決め溝40eが設けられている。内側壁40cは連続した無端状のリングである。一対の端壁40dにはそれぞれ、接続部38を挿通する挿通溝40fが設けられている。
【0084】
凹溝40aの深さは、軸線Aが延びる方向の第1伝達部材36の厚みよりも浅く、壁40b~40dの先端から第1伝達部材36が突出する。凹溝40aに第1伝達部材36を取り付ける取付手段には、両面テープ及び接着剤等の接着部材による方式、圧入及び固定片等の機械的構造による方式を用いることができる。
【0085】
図2A及び
図8に示すように、取付部材40には、ネジ(連結部材)41を貫通させる貫通部40gが設けられている。取付部材40には、ロータ25に向けて突出し、貫通孔25nを貫通した規制部30h間に配置されて、ノブ30に対する取付部材40の周方向の相対移動(回転を含む)を規制する位置決め凸部40hが設けられている。取付部材40の外周面には、径方向外向きに突出し、ノブ30の非操作状態で第1保持部20bに当接する当接部40iが設けられている。第1保持部20bへの当接部40iの当接によって、それ以上の車内側へのノブ30の移動、及び第1伝達部材36を含む取付部材40の移動が規制される。
【0086】
図2Aに示すように、貫通部40gを貫通させたネジ41をボス30eに締め付けることで、取付部材40を介して第1伝達部材36がノブ30に連結され、ロータ25に対するこれらの取付状態が維持される。ノブ30の非操作状態で第1伝達部材36は、付勢部材33の付勢によって当接部40iが第1保持部20bに当接することで、ロータ25の第1面25aに近接した位置に後退している。
図2Bに示すように、ノブ30のプッシュ操作によって第1伝達部材36は、軸線Aに沿ってフィルム50に接触する位置まで進出する。
【0087】
図10及び
図12を参照すると、保持部材42は、第2伝達部材37の形状に対応する扇型状の板体である。保持部材42は、ロータ25の第1面25aに配置され、スプリング43によって車外側へ付勢されることで、表示パネル1に第2伝達部材37が常に隣接した状態をなす。
【0088】
図13A及び
図13Bを併せて参照すると、保持部材42の車外側の面には、一対の接続部38の先端をそれぞれ配置する一対の窪み42aが設けられている。窪み42aは、接続端38aを配置する円形状部分と、円形状部分から保持部材42の両側面にかけて延びる矩形状部分とを備える。窪み42aの深さは、接続部38の厚みよりも浅く、保持部材42から接続部38が突出するように構成されている。窪み42aの円形状部分には、貫通孔38bを貫通する円柱状の突出部42bが設けられている。突出部42bの突出寸法は窪み42aの深さよりも小さい。
【0089】
保持部材42の車外側には更に、切欠部37aに位置する位置決め凸部42cがそれぞれ設けられている。位置決め凸部42cの突出寸法は第2伝達部材37の厚みよりも小さく、第2伝達部材37は保持部材42から突出している。保持部材42の中央には、第2伝達部材37をネジ止めするためのネジ孔42dが設けられている。
【0090】
窪み42aに接続端38aを配置した後、その車外側に第2伝達部材37を配置し、貫通部37bを貫通させたネジ44をネジ孔42dに締め付ける。これにより、第2伝達部材37と保持部材42の間に接続部38が圧接状態で挟み込まれることで、接続部38(第1伝達部材36)と第2伝達部材37の導通が確保される。
【0091】
保持部材42の車内側には、スプリング43の一端を配置する円筒状の凸部42eが設けられている。凸部42eは、ネジ孔42dの軸線と同軸に設けられている。保持部材42の周方向の両端には、ロータ25に向けて突出する一対の係止片42fが設けられている。係止片42fは、ロータ25に係止して、ロータ25からの離脱を防ぐための爪部42gを備える。
【0092】
図10を参照すると、ロータ25の第1面25aには、保持部材42の周方向の両端をそれぞれ規制するガイドリブ25hが設けられている。一対のガイドリブ25hはそれぞれ、周方向に延びるように設けられている。一対のガイドリブ25hの間には、保持部材42を取り付ける取付部25iが設けられている。
【0093】
取付部25iは、複数の配置部25fのうちの1つの車外側に隣接して設けられている。
図12を参照すると、取付部25iは、係止片42fが貫通される一対の貫通孔25jと、スプリング43を配置する凹部25kとを備える。貫通孔25jの車内側は、スタビライザ55を配置する凹部25lと空間的に連通している。凹部25kは、車外側から車内側へ窪むように、一対の貫通孔25j間に設けられている。第2面25b側に位置する貫通孔25jの縁と爪部42gとの間には、ロータ25に対する保持部材42の軸線Aに沿った方向の移動を許容する隙間が確保されている。
【0094】
図3及び
図4に示すように、リング部材45は、内壁部30aの外側に隣接して配置され、軸線Aを中心とする円環状の筒体である。リング部材45は、絶縁性を有する樹脂(例えばABS)からなる。
【0095】
リング部材45は、フィルム50の内周部に固着された基部45aと、基部45aの外周部からノブ30内へ突出する突出部45bとを備える。リング部材45の軸線方向の寸法は、ホルダ20の軸線方向の寸法よりも小さい。ノブ30の非操作状態で、リング部材45の先端は、開放部30dを構成する内壁部30aの縁に対して、表示パネル1とは反対側に位置している。つまり、車内側に位置する突出部45bの先端は、
図2Aに示すノブ30の非操作状態で、ノブ30の開放部30dよりも端壁部30c側へ位置している。
【0096】
引き続いて
図3及び
図4を参照すると、フィルム50は、表示パネル1の一部を露出させる開口部51を備え、軸線Aを中心とする円環状の部材である。フィルム50は、絶縁性、耐水性、及び耐熱性に優れた樹脂(例えばPET)からなる。フィルム50は、射出成形によって製造可能な樹脂成形品の壁の最小厚みよりも薄い厚みである。具体的には、フィルム50の厚みは、0.05mm以上0.2mm以下であることが好ましく、本実施形態では0.1mmである。フィルム50は、ホルダ20及びリング部材45の車外側端面に固着され、第1伝達部材36及び第2伝達部材37の表示パネル1側を覆う。
【0097】
フィルム50の外径はホルダ20の最大部分の外径と同一であり、フィルム50の内径はリング部材45の最小部分の内径と同一である。本実施形態のリング部材45の基部45aは、接着面積を確保するために突出部45bから径方向内向きに突設されているため、この基部45aの内径と同じ寸法にフィルム50の内径が設定されている。
【0098】
図2Aを併せて参照すると、フィルム50において、表示パネル1と対向する車外側の面には接着層52aが設けられている。フィルム50の車内側の面には、外周部にホルダ20を固着する接着層52bが設けられ、内周部にリング部材45を固着する接着層52cが設けられている。
【0099】
図8及び
図9に示すように、操作つまみ装置10は、プッシュ操作時にロータ25に対するノブ30の傾きを抑制するスタビライザ55を備える。スタビライザ55は、ロータ25とノブ30の端壁部30cとの間に複数配置されている。本実施形態では、4本のスタビライザ55が軸線Aを中心として周方向へ90度間隔で配置されている。
【0100】
個々のスタビライザ55は、本体55a、一対の基部55b、及び一対の腕部55cを備え、線材によって形成されている。
【0101】
図11に示すように、本体55aは、内壁部30aの径方向外側に隣接して配置されている。ロータ25及びノブ30の径方向に対向するスタビライザ55の本体55aは平行に延び、隣り合うスタビライザ55の本体55aは直交方向に延びている。
【0102】
本体55aは、端壁部30cに突設された保持部30gに回転可能に保持されている。個々の保持部30gは、本体55aの長手方向の両端近傍に位置する第1部分と第2部分をそれぞれ備えており、これらは基部(線材)55aの両側にそれぞれ位置し、本体55aを保持する一対の爪部を備える。
【0103】
基部55bは、腕部55cを介して本体55aに連続し、本体55aに対して平行に延びている。軸線Aが延びる方向から見て、隣り合うスタビライザ55の本体55aと基部55bとは、直交方向に交差している。つまり、第1のスタビライザ55の本体55aと、第1のスタビライザ55と隣り合う第2のスタビライザ55の基部55bとが交差している。
【0104】
図8及び
図9に示すように、基部55bは、ロータ25の第2面25bに形成された凹部25lに配置され、ロータ25の外周部に形成された保持溝25mに保持されている。
【0105】
凹部25lは、挿通孔25e及び配置部25fとは異なる角度位置の4カ所に設けられている。凹部25lは、車内側から車外側へ窪んでおり、基部55bの移動を許容する底面を備える。凹部25lの形成領域、挿通孔25eの形成領域、及び貫通孔25jの形成領域は、空間的に連通している。
【0106】
保持溝25mは、凹部25lと空間的に連通し、凹部25lからロータ25の外周面にかけて貫通した長穴からなる。保持溝25mは、1カ所の凹部25lに2個、合計で8個設けられている。1カ所の凹部25lに形成される一対の保持溝25mは直交方向に延びており、それぞれ異なるスタビライザ55の基部55bが配置される。基部55bの先端を保持溝25m内に配置することで、第2面25bに沿った基部55bの移動が許容されている。
【0107】
図9及び
図11に示すように、腕部55cは、本体55aの外端及び基部55bの内端に連続している。腕部55cは、本体55a及び基部55bに対して直交方向に延びている。前述のように、本体55aがノブ30に保持され、基部55bがロータ25に保持されているため、腕部55cは、凹部25lの底面に対して傾斜している。この傾斜によって、隣り合うスタビライザ55の腕部55cは、干渉することなく三次元的に配置されている。
【0108】
なお、本体55aを保持する保持部をロータ25に設け、基部55bを保持する保持溝をノブ30に設けてもよい。
【0109】
次に、操作つまみ装置10の動作について説明する。
【0110】
図2Aに示すように、ノブ30の非操作状態では、付勢部材33の付勢によってノブ30がロータ25から離反した位置に保持されている。これにより、ボス30eに連結された第1伝達部材36がフィルム50から離れて位置する。また、第2伝達部材37は、スプリング43の付勢によってフィルム50に当接した位置に保持されている。
【0111】
この非操作状態では、表示パネル1において、第1伝達部材36と対向する部分の静電容量は変化せず、第2伝達部材37と対向する部分の静電容量だけが変化する。但し、第2伝達部材37によって静電容量が変化する位置は、所定位置に維持されている。よって、表示パネル1は、ノブ30が操作されていないことを検出できる。
【0112】
ノブ30をプッシュ操作すると、付勢部材33の付勢力に抗してロータ25にノブ30が接近する。この際、ノブ30の直動によってスタビライザ55の本体55aが押圧され、基部55bが凹部25lの底面及び保持溝25mに沿って移動する。これにより、ロータ25に対してノブ30の傾きが抑制される。また、ノブ30の直動によってボス30eを介して第1伝達部材36がフィルム50に接近又は接触する。
【0113】
プッシュ操作によって表示パネル1の静電容量は、第2伝達部材37の対向部分に加え、第1伝達部材36と対向する部分も変化する。よって、表示パネル1の静電容量が変化する領域は、非操作状態と比較して広範囲になる。この静電容量の変化領域の増大によって、表示パネル1はノブ30のプッシュ操作を検出できる。
【0114】
プッシュ操作が止められると、付勢部材33の付勢力によって、ロータ25に対してノブ30と第1伝達部材36が車内側へ移動する。これにより、表示パネル1において、第1伝達部材36と対向する部分の静電容量の変化が無くなるため、静電容量が変化する領域はプッシュ操作状態と比較して局所的になる。この静電容量の変化領域の減少によって、表示パネル1はノブ30のプッシュ操作の解除を検出できる。
【0115】
ノブ30を回転操作すると、ロータ25を介して第2伝達部材37が一緒に回転する。この際、付勢部材33によってノブ30は、ロータ25から離れた状態に保持されているため、第1伝達部材36もフィルム50から離れた状態に維持される。
【0116】
回転操作によって表示パネル1では、第1伝達部材36と対向する部分の静電容量は変化せず、第2伝達部材37と対向する部分の静電容量だけが変化するが、変化する位置が軸線Aを中心として回転する。よって、表示パネル1は、ノブ30が回転する向き(時計回りか反時計回りか)を含めて、ノブ30の回転操作を検出できる。
【0117】
回転操作が止められると、ロータ25及び第2伝達部材37の回転も停止する。これにより、表示パネル1では、静電容量が変化する位置の移動が停止する。よって、表示パネル1は、ノブ30の回転操作の停止を検出できる。
【0118】
ユーザの不注意によって操作つまみ装置10の周囲に飲料等の液体が零れた場合、ホルダ20によってノブ30内への液体の侵入が阻止される。阻止できなかった液体がホルダ20を越えてノブ30内に入り込んだ場合、その液体は、ホルダ20の内周面を伝って下向きに流れて、ホルダ20の内面下端に至る。リング部材45の外周面に付着した液体は、リング部材45を伝って下向きに流れ、リング部材45の下端から滴下してホルダ20の内面下端に至る。ホルダ20の下端に至った液体は、貫通孔22dを通してホルダ20の内方から外方へ、つまり操作つまみ装置10の外部へ流出する。
【0119】
以上のように構成した操作つまみ装置10は、以下の特徴を有する。
【0120】
ホルダ20、ロータ25、及びノブ30が環状に形成され、開口部21,31を通して表示パネル1の一部を視認できるため、表示パネル1の表示領域を確保できる。また、ノブ30の内壁部30aと外壁部30bの間に第1伝達部材36と第2伝達部材37が集約して配置されているため、操作つまみ装置10を小型化できる。
【0121】
ノブ30内に配置されたホルダ20の下端に位置するように貫通孔22dが設けられている。ホルダ20によって、外部から内部への液体及び埃の侵入を抑制できるとともに、内部から外部への潤滑用グリスの流出を抑制できる。また、侵入を阻止できなかった液体を自重によって貫通孔22dから外部へ排出できる。
【0122】
ホルダ20内にロータ25を備え、ロータ25の第1面25a側に第1伝達部材36が配置され、軸線Aに沿った方向の相対移動が許容されるようにロータ25の第2面25b側にノブ30が配置されている。よって、ロータ25を介してノブ30及び第1伝達部材36をホルダ20に対して確実に組み付けることができる。
【0123】
軸線A周りの回転が許容されるようにホルダ20内にロータ25が配置され、軸線Aを中心とする周方向の相対移動が規制されるようにロータ25にノブ30が配置され、ロータ25の第1面25aに第2伝達部材37が取り付けられている。よって、ノブ30のプッシュ操作だけでなく、ノブ30の回転操作を表示パネル1に伝達できる。
【0124】
なお、本発明の操作つまみ装置10は、前記実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。
【0125】
例えば、
図14及び
図15に示すように、取付治具5には、本体6にカバー7を連結する連結部8を設けてもよい。
【0126】
図14の変形例では、連結部8は、本体6の開口部6jの両側にそれぞれ突設した凸部8aと、カバー7に設けた凹部8bとで構成している。但し、凸部8aをカバー7に設け、凹部8bを本体6に設けてもよい。
【0127】
図15の変形例では、連結部8は、本体6の開口部6jの両側にそれぞれ配置した磁石8cと、カバー7に設けた磁性体8dとで構成されている。但し、磁石8cをカバー7に配置し、磁性体8dを本体6に配置してもよい。
【0128】
これらの変形例では、本体6とカバー7を連結部8によって連結できるため、操作つまみ装置10への取付治具5の取付性及び取付精度を向上できる。よって、取付治具5を介して表示パネル1に操作つまみ装置10を取り付ける作業性を向上できる。
【0129】
図16に示すように、ホルダ20の下側(つまり貫通孔22d側)に本体6を配置し、ホルダ20の上側にカバー7を配置してもよい。この場合、本体6には、貫通孔22dに係止する係止片6lと、係止溝22b,22cに係止する係止片6m,6nとが設けられ、カバー7には、係止溝22aに係止する係止片7hが設けられる。また、操作つまみ装置10への取付治具5の装着時、ホルダ20には、本体6が先に配置された後、カバー7が配置される。このようにすれば、本体6及びカバー7の一方(本体6)だけにホルダ20を配置した状態での安定性を向上できる。よって、取付治具5を操作つまみ装置10に装着する際の作業効率を向上できる。
【0130】
操作つまみ装置10は円環状に限られず、軸線Aが延びる方向から見て、開口部が無い円形状であってもよい。また、操作つまみ装置10の外形は多角形状であってもよい。また、プッシュ操作のみを伝達可能とする場合、ロータ25に相当する基板をホルダ20に一体に設けてもよい。
【0131】
ホルダ20には、貫通孔22dの代わりに係止溝を設けてもよい。係止片及び係止部の数は、4つに限られず、3つであってもよいし、5以上であってもよく、必要に応じて変更が可能である。特に係止部は、環状をなすように1つのみ設けられてもよい。
【0132】
取付治具5の撓み性を向上するために、第1面6a,7aから第2面6b,7bにかけて貫通した複数の抜き穴を外側部6d,7dに設けてもよい。また、本体6とカバー7はそれぞれ、外側部6d,7dと内側部6e,7eの厚みを異ならせたが、外側部6d,7dは内側部6e,7eと同一の厚みであってもよい。
【0133】
本発明の操作つまみ装置10は、タッチ検出機能を備える表示パネル1を搭載した製品であれば、車載製品以外にも用いることができる。
【符号の説明】
【0134】
1 表示パネル
5 取付治具
6 本体(第1部材)
6a 第1面
6b 第2面
6c 凹部
6d 外側部
6e 内側部
6f 段部
6g 挿通溝
6h 半円部
6i 矩形部
6j 開口部
6k 縁
6l~6n 係止片
7 カバー(第2部材)
7a 第1面
7b 第2面
7c 凹部
7d 外側部
7e 内側部
7f 段部
7g 縁
7h 係止片
7i 嵌入部
8 連結部
8a 凸部
8b 凹部
8c 磁石
8d 磁性体
10 操作つまみ装置
20 ホルダ
20a 本体
20b 第1保持部
20c 第2保持部
20d 突起
20e 係合溝
20f 段部
21 開口部
22 係止部
22a~22c 係止溝
22d 貫通孔
22e,22f 平面部
25 ロータ(基板)
25a 第1面
25b 第2面
25c 摺接部
25d 取付穴
25e 挿通孔
25f 配置部
25g 貫通孔
25h ガイドリブ
25i 取付部
25j 貫通孔
25k 凹部
25l 凹部
25m 保持溝
25n 貫通孔
25o ブロック
25p 係止片
26 開口部
27 スプリング
28 係合部材
30 ノブ(操作部材)
30a 内壁部
30b 外壁部
30c 端壁部
30d 開放部(端部)
30e ボス
30f 保持部
30g 保持部
30h 規制部
30i 滑止部
31 開口部
32 装飾板
33 付勢部材
33a 基部
33b 突出部
33c 頭部
35 伝達部材
36 第1伝達部材
36a 第1端
36b 第2端
36c 位置決め突起
37 第2伝達部材
37a 切欠部
37b 貫通部
38 接続部
38a 接続端
38b 貫通孔
40 取付部材
40a 凹溝
40b 外側壁
40c 内側壁
40d 端壁
40e 位置決め溝
40f 挿通溝
40g 貫通部
40h 位置決め凸部
40i 当接部
41 ネジ
42 保持部材
42a 窪み
42b 突出部
42c 位置決め凸部
42d ネジ孔
42e 凸部
42f 係止片
42g 爪部
43 スプリング
44 ネジ
45 リング部材
45a 基部
45b 突出部
50 フィルム
52a~52c 接着層
51 開口部
55 スタビライザ
55a 基部
55b スライド部
55c 腕部
A 軸線