(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-21
(45)【発行日】2023-08-29
(54)【発明の名称】凹状側面を有する三角形の割り出し可能な切削インサートおよび回転切削工具
(51)【国際特許分類】
B23C 5/20 20060101AFI20230822BHJP
B23C 5/06 20060101ALI20230822BHJP
【FI】
B23C5/20
B23C5/06 A
(21)【出願番号】P 2020522701
(86)(22)【出願日】2018-10-22
(86)【国際出願番号】 IL2018051126
(87)【国際公開番号】W WO2019097505
(87)【国際公開日】2019-05-23
【審査請求日】2021-09-08
(32)【優先日】2017-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514105826
【氏名又は名称】イスカル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】メン ユリ
【審査官】中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-226827(JP,A)
【文献】特開2003-275919(JP,A)
【文献】特開2006-075913(JP,A)
【文献】特表2012-531318(JP,A)
【文献】特表2016-539010(JP,A)
【文献】特表2017-502848(JP,A)
【文献】米国特許第06527485(US,B1)
【文献】欧州特許出願公開第02213399(EP,A1)
【文献】中国特許出願公開第103506680(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23C 1/00-9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
割り出し可能な三角形の切削インサート(20、120)であって、
対向する上面および下面(22、24)と、それらの間に延在する周面(26)と、それらに貫通延在する中心軸線(A1)とを備え、
前記下面(24)は、前記中心軸線(A1)に垂直な第1水平面(PH1)によって画成された下向きの平坦な底面(36)を有し、
前記周面(26)は、前記上面(22)と交わって一続きの上側周縁(30)を形成し、3つのコーナー面(34)と周方向に交互に配置された3つの側面(32)を有し、
各コーナー面(34)は前記上面(22)と交わって上側コーナー周縁(38)を形成し、各上側コーナー周縁(38)は、第1端点(N1)から第2端点(N2)まで延在する一次切刃(40)を有し、
前記中心軸線(A1)に垂直な、前記3つの側面(32)に交差する第2水平面(PH2)に沿った断面図において、前記3つの側面(32)は、第1仮想三角形(T1)の3つの辺と第1仮想正六角形(Hl)の3つの非隣接辺とを画成し、
前記切削インサート(20、120)の上面図において、
前記第1仮想三角形(T1)の各辺は、2つの上側コーナー周縁(38)を横切り、
各一次切刃(40)に、その第1および第2端点(N1、N2)において、それぞれ正接する第1および第2仮想直線(Ll、L2)は同一直線上にある、または175度より大きい鈍角の一次曲げ角度(α1)を形成する、のどちらかであり、
各一次切刃(40)は、その第1および第2端点(N1、N2)の間に、前記第1仮想正六角形(Hl)の六角形の辺の長さ(LH)の半分より大きい一次長さ(LP)を有し、
各一次切刃(40)は、前記第1仮想三角形(T1)の少なくとも1つの辺によって横切られている、切削インサート(20、120)。
【請求項2】
前記切削インサート(20、120)の前記上面図において、
前記第1仮想三角形の3つの角は、前記上側周縁(30)の外側に位置する、
請求項1に記載の切削インサート(20、120)。
【請求項3】
前記切削インサート(20)の前記上面図において、
前記第1仮想正六角形の6つの角は、前記上側周縁(30)の内側に位置する、
請求項1または2に記載の切削インサート(20、120)。
【請求項4】
前記第1仮想三角形(T1)は3本の第1仮想二等分線(LB1)を有し、第1仮想二等分線(LB1)の各々は前記第1仮想三角形の3つの角のうちの1つを含み、その非隣接辺を二等分し、
前記切削インサート(20、120)の前記上面図において、
各第1仮想二等分線(LB1)は、前記上側コーナー周縁(38)のうちの1つに交差し、
各上側コーナー周縁(38)は、その対応付けられた第1仮想二等分線(LB1)を中心に鏡面対称を示さない、
請求項1~3のいずれか一項に記載の切削インサート(20、120)。
【請求項5】
各一次切刃(40)は、その第1端点(N1)からその第2端点(N2)まで下方に傾斜する、請求項1~4のいずれか一項に記載の切削インサート(20、120)。
【請求項6】
前記一次長さ(LP)は、前記第1仮想正六角形の辺の長さ(LH)の3分の2より大きい、請求項1~5のいずれか一項に記載の切削インサート(20、120)。
【請求項7】
前記切削インサート(20、120)の前記上面図において、
前記第1仮想三角形(T1)の3つの辺の内の2つの辺は、各上側コーナー周縁(38)を一度だけ横切る、
請求項1~6のいずれか一項に記載の切削インサート(20、120)。
【請求項8】
前記上面(22)は、各一次切刃(40)に隣接するすくい面(42)と、各すくい面(42)と中心上面(46)との間の削り屑逸らせ面(44)とを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の切削インサート(20、120)。
【請求項9】
前記中心軸線(A1)と同軸の中心穴(28)が前記上面および下面(22、24)に交差し、
前記
中心上面(46)は、前記中心穴(28)の周囲全体を囲む、
請求項8に記載の切削インサート(20、120)。
【請求項10】
前記切削インサート(20、120)の前記上面図において、
各削り屑逸らせ面(44)は、少なくとも部分的に前記第1仮想正六角形(Hl)の内側に位置する、
請求項8または9に記載の切削インサート(20、120)。
【請求項11】
前記
中心上面(46)は平坦であり、前記中心軸線(A1)に垂直な第3水平面(PH3)によって画成される、請求項8~10のいずれか一項に記載の切削インサート(20、120)。
【請求項12】
前記切削インサート(20、120)の何れの部分も前記第3水平面(PH3)より上方に位置しない、請求項11に記載の切削インサート(20、120)。
【請求項13】
前記中心軸線(A1)と前記一次切刃(40)のうちの1つの一次切刃(40)の中点(N3)とを含む第1鉛直面(PV1)に沿った断面図において、
前記すくい面(42)は、前記一次切刃(40)から離れる方向に下方に傾斜し、
前記削り屑逸らせ面(44)は、前記
中心上面(46)に向かって上方に傾斜する、
請求項8~12のいずれか一項に記載の切削インサート(20、120)。
【請求項14】
前記第1鉛直面(PV1)に沿った断面図において、
前記中心軸線(A1)に垂直な第4仮想直線(L4)が前記すくい面(42)および前記削り屑逸らせ面(44)に、第1および第2交点(I1、I2)において、それぞれ交差し、
前記第1交点(I1)において前記すくい面(42)に正接する第5仮想直線(L5)が前記第4仮想直線(L4)と鋭角のすくい面角度(β1)を形成し、
前記第2交点(I2)において前記削り屑逸らせ面(44)に正接する第6仮想直線(L6)が前記第4仮想直線(L4)と鋭角の逸らせ面角度(β2)を形成し、
前記逸らせ面角度(β2)は、前記すくい面角度(β1)より大きい、
請求項13に記載の切削インサート(20、120)。
【請求項15】
前記逸らせ面角度(β2)は、前記すくい面角度(β1)より少なくとも5度大きい、請求項14に記載の切削インサート(20、120)。
【請求項16】
各上側コーナー周縁(38)は、ランピング用切刃(48)と湾曲したコーナー切刃(50)とを含み、
各湾曲したコーナー切刃(50)は、その対応付けられた一次切刃(40)の前記第1端点(N1)とその対応付けられたランピング用切刃(48)との間に延在する、
請求項1~15のいずれか一項に記載の切削インサート(20、120)。
【請求項17】
前記切削インサート(20、120)の前記上面図において、
各ランピング用切刃(48)に正接する第7仮想直線(L7)がその対応付けられた第1仮想直線(Ll)と鋭角のランプ角度(Ψ1)を形成し、
前記鋭角のランプ角度(Ψ1)は45度より大きい、
請求項16に記載の切削インサート(20、120)。
【請求項18】
前方-後方方向(DF、DR)を規定する工具軸線(AT)を中心に回転可能な回転切削工具(60)であって、
少なくとも1つのインサート収容ポケット(64)を有する切削体(62)と、
前記インサート収容ポケット(64)内に取り外し可能に固定される請求項1~17のいずれか一項に記載の少なくとも1つの切削インサート(20、120)と、
を備えた、回転切削工具(60)。
【請求項19】
各インサート収容ポケット(64)は、前記切削体(62)の前方端面(66)において開口し、
前記少なくとも1つの切削インサート(20、120)の前記3つの上側コーナー周縁(38)のうちの1つのみが有効な上側コーナー周縁(38’)として機能し、その対応付けられた上側周縁(30)の軸線方向最前方点(NA)を含む、
請求項18に記載の回転切削工具(60)。
【請求項20】
各上側コーナー周縁(38)は、ランピング用切刃(48)と湾曲したコーナー切刃(50)とを含み、
前記ランピング用切刃(48)は、その対応付けられた一次切刃(40)から、前記湾曲したコーナー切刃(50)によって離隔され、
前記軸線方向最前方点(NA)は、前記有効な上側コーナー周縁(38’)の前記湾曲したコーナー切刃(50)上に位置する、
請求項19に記載の回転切削工具(60)。
【請求項21】
前記有効な上側コーナー周縁(38’)の前記一次切刃(40)および前記ランピング用切刃(48)は、前記後方方向(DR)に向かうに従い互いに離間する、請求項20に記載の回転切削工具(60)。
【請求項22】
各インサート収容ポケット(64)は、座面(68)と、前記座面(68)に直角の第1および第2ポケット壁(70、72)とを有し、前記第1および第2ポケット壁(70、72)は、前記インサート収容ポケット(64)の正面図において、ポケット外角(σ1)を形成し、
前記
切削インサートの下面(24)は、前記底面(36)の周囲に周方向に距離を置いて配置された3つの下側当接凹部(56)を有し、各下側当接凹部(56)は、半径方向外方に向いた下側当接面(58)を含み、
前記
切削インサートの底面(36)は、前記座面(68)に接触し、
前記
切削インサートの3つの側面(32)のうちの1つのみが有効な側面(32’)となり、前記第1ポケット壁(70)に接触し、
前記
切削インサートの3つの下側当接面(58)のうちの1つのみが有効な下側当接面(58’)となり、前記第2ポケット壁(72)に接触する、
請求項19~21のいずれか一項に記載の回転切削工具(60)。
【請求項23】
前記ポケット外角(σ1)は60度より大きく、90度以下である、請求項22に記載の回転切削工具(60)。
【請求項24】
前記中心軸線(A1)と前記有効な上側コーナー周縁(38’)の前記一次切刃(40)の中点(N3)とを含む第1鉛直面(PV1)が前記第1ポケット壁(70)に交差する、請求項
22~23のいずれか一項に記載の回転切削工具(60)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的には金属切削加工に使用される、特にフライス加工のための、切削工具と、そのための三角形の割り出し可能な切削インサートとに関する。
【背景技術】
【0002】
フライス加工に使用される切削工具の分野においては、切削体のインサート収容ポケット内に取り外し可能に保持される、凹状側面を有する、三角形の割り出し可能な切削インサートのいくつかの例が存在する。
【0003】
特許文献1は、対向する上端面および下端面と、それらの間に延在する周面とを有し、周面は3つの側面と3つのコーナー面とを含み、各コーナー面は上端面と交わって湾曲した上側切刃を形成し、各側面は凹状側面を有する、三角形の割り出し可能な切削インサートを開示している。
【0004】
特許文献2は、対向する上端面および下端面と、それらの間に延在する周面とを有し、周面は3つの側面と3つのコーナー面とを含み、各コーナー面は上端面と交わって上側切刃を形成する、三角形の割り出し可能な切削インサートを開示している。各上側切刃は、第1の端部と第2の端部とを有するアール状構成要素を含み、第1および第2の構成要素をアール状構成要素の第1および第2の端部にそれぞれ有する。第1および第2の構成要素の湾曲は、アール状構成要素の湾曲より小さい。下端面は、半径方向に延在する3つの取り付け溝を含み、各側面は、第1および第2の支持面によって形成された少なくとも1つのほぼV字形のくぼみを含む。
【0005】
特許文献3は、中間部によって離隔された3つの頭部を有する両側割り出し可能な切削インサートを開示している。各頭部は、その両側がノーズ稜線に収束する基本的に直線状の2つの切刃を有する前部と、2つの横接触面を有する後部とを有する。中間部は、切削インサートの上面図または底面図において、仮想三角形を画成する3つの「凹状」中間面を有する。仮想三角形の何れの仮想辺も切刃を一切横切らない。
【0006】
当該分野には、融通性のある取り付け手段を有する、改良された三角形の割り出し可能な切削インサートを提供するニーズが存在している。
【0007】
当該分野には、コンパクトな取り付け手段を有する、改良された三角形の割り出し可能な切削インサートを提供するニーズも存在する。
【0008】
当該分野には、更に、ランピング加工を含む、広範囲のフライス加工のために適した改良された切削工具を提供するニーズも存在する。
【0009】
当該分野には、更に、三角形の割り出し可能な切削インサートが切削体に高い安定度で取り外し可能に固定される、改良された切削工具を提供するニーズも存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】中国特許出願公開第103506680号明細書
【文献】米国特許出願公開第2016/0107248号明細書
【文献】米国特許出願公開第2010/0329800号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によると、当該分野における上記ニーズのうちの1つ以上を満たすための努力の一環として設計された諸特徴を有する、割り出し可能な三角形の切削インサートが提供される。本切削インサートは、本発明の一態様において、
対向する上面および下面と、それらの間に延在する周面と、それらに貫通延在する中心軸線とを備え、
下面は、中心軸線に垂直な第1水平面によって画成された下向きの平坦な底面を有し、
周面は、上面と交わって一続きの上側周縁を形成し、3つのコーナー面と周方向に交互に配置された3つの側面を有し、
各コーナー面は上面と交わって上側コーナー周縁を形成し、各上側コーナー周縁は第1端点から第2端点まで延在する一次切刃を有し、
中心軸線に垂直な、且つ3つの側面に交差する、第2水平面に沿った断面図において、3つの側面は、第1仮想三角形の3つの辺と第1仮想六角形の3つの非隣接辺とを画成し、
切削インサートの上面図において、
第1仮想三角形の各辺は、2つの上側コーナー周縁を横切り、
各一次切刃に、その第1および第2端点において、それぞれ正接する第1および第2仮想直線は、同一直線上にある、または175度より大きい鈍角の一次曲げ角度を形成する、のどちらかであり、
各一次切刃は、その第1および第2端点の間に、第1仮想六角形の六角形の辺の長さの半分より大きい一次長さを有し、
第1仮想三角形の少なくとも1つの辺は、各一次切刃を横切る。
【0012】
更に、本発明によると、前方-後方方向を規定する工具軸線を中心に回転可能な回転切削工具であって、少なくとも1つのインサート収容ポケットを有する切削体と、インサート収容ポケット内に取り外し可能に固定される上記種類の少なくとも1つの切削インサートとを備えた、回転切削工具が提供される。
【0013】
以下においては、より良好な理解のために、添付の図面を参照して、本発明を単なる例として説明する。図面において、鎖線は、一部材の部分図のためのカットオフ境界を表している。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1の実施形態による切削インサートの斜視図である。
【
図2】
図1に示されている切削インサートの上面図である。
【
図3】
図1に示されている切削インサートの側面図である。
【
図4】
図1に示されている切削インサートの底面図である。
【
図5】
図3に示されている切削インサートの線V-Vに沿った断面図である。
【
図6】
図2に示されている切削インサートの線VI-VIに沿った断面図である。
【
図7】
図2に示されている切削インサートの線VII-VIIに沿った部分断面図である。
【
図8】
図3に示されている切削インサートの線VIII-VIIIに沿った断面図である。
【
図9】本発明の第2の実施形態による切削インサートの斜視図である。
【
図10】
図9に示されている切削インサートの上面図である。
【
図11】
図9に示されている切削インサートの側面図である。
【
図12】
図9に示されている切削インサートの底面図である。
【
図13】
図11に示されている切削インサートの線XIII-XIIIに沿った断面図である。
【
図14】
図10に示されている切削インサートの線XIV-XIVに沿った断面図である。
【
図15】
図10に示されている切削インサートの線XV-XVに沿った部分断面図である。
【
図16】
図11に示されている切削インサートの線XVI-XVIに沿った断面図である。
【
図17】その切削インサートのうちの1つが取り外された、本発明の一部の実施形態による切削工具の斜視図である。
【
図20】その切削インサートが取り外された、
図17に示されている切削工具のインサート収容ポケットの正面図である。
【
図21】その切削インサートが取り付けられた、
図20に示されているインサート収容ポケットの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1~
図4および
図9~
図12に示されているように、本発明の第1の態様は、対向する上面および下面22、24と、それらの間に延在する周面26と、それらに貫通延在する中心軸線A1とを有する、割り出し可能な三角形の切削インサート20、120に関する。
【0016】
図1~
図4は、高い送り速度でのフライス加工に適した第1の実施形態の切削インサート20を示す。
【0017】
図9~
図12は、被削材のスクエア肩削りフライス加工(milling a square shoulder)に適した第2の実施形態の切削インサート120を示す。
【0018】
本願明細書および特許請求の範囲の全体にわたって、第1および第2の実施形態の切削インサート20、120の両方に共通な特徴に同じ参照符号が使用されていることを理解されたい。
【0019】
本発明の一部の実施形態において、切削インサート20、120は、中心軸線A1を中心に割り出し可能であり得る。
【0020】
更に、本発明の一部の実施形態において、切削インサート20、120は、中心軸線A1を中心に3重の回転対称を示し得る。
【0021】
更に、本発明の一部の実施形態において、中心軸線A1と同軸の中心穴28が上面および下面22、24に交差し得る。
【0022】
更に、本発明の一部の実施形態において、切削インサート20、120は、タングステンカーバイドなどの超硬合金を型押しおよび焼結することによって製造され得ることが好ましい。切削インサート20、120は、コーティングされても、されなくてもよい。
【0023】
図1、
図2、
図9、および
図10に示されているように、周面26は上面22と交わって一続きの上側周縁30を形成する。周面26は、3つのコーナー面34と周方向に交互に配置された3つの側面32を有する。
【0024】
本発明の一部の実施形態において、各側面32は、平坦で中心軸線A1に平行であり得る。
【0025】
図3および
図11に示されているように、下面24は、中心軸線A1に垂直な第1水平面PH1によって画成された下向きの平坦な底面36を有する。
【0026】
本発明の一部の実施形態において、各側面32は底面36と交わり得る。
【0027】
本発明の他の複数の実施形態において(図示せず)、底面36は、複数の部分底面を同一平面上に含み得る。
【0028】
図1~
図3および
図9~
図11に示されているように、各コーナー面34は上面22と交わって上側コーナー周縁38を形成する。各上側コーナー周縁38は、第1端点N1から第2端点N2まで延在する一次切刃40を有する。
【0029】
本発明の一部の実施形態において、各一次切刃40は、その第1端点N1からその第2端点N2まで下方へ傾斜し得る。
【0030】
更に、本発明の一部の実施形態において、各一次切刃40は、その第1端点N1からその第2端点N2まで連続的に下方に傾斜し得る。
【0031】
更に、本発明の一部の実施形態において、下面24には切刃がなくてもよく、切削インサート20、120は「片面」と描写され得る。
【0032】
図5および
図13に示されているように、中心軸線A1に垂直な、3つの側面32に交差する第2水平面PH2に沿った断面図において、3つの側面32は、第1仮想三角形T1の3つの辺と、第1仮想六角形H1の3つの非隣接辺とを画成する。
【0033】
また、
図5および
図13に示されているように、第1仮想三角形T1は3本の第1仮想二等分線LB1を有する。各第1仮想二等分線LB1は、第1仮想三角形の3つの角のうちの1つを含み、その非隣接(対向)辺を二等分する。
【0034】
第1仮想三角形T1は、その中心が中心軸線A1に含まれている正三角形であることを理解されたい。
【0035】
第1仮想六角形H1は、その中心が中心軸線A1に含まれている、6つの辺の長さが等しい六角形であることも理解されたい。
【0036】
本発明の第1の態様によると、
図2および
図10に示されているように、切削インサート20、120の上面図において、第1仮想三角形T1の各辺は2つの上側コーナー周縁38を横切る。
【0037】
第1仮想三角形T1の各辺が2つの上側コーナー周縁38を横切ることにより、3つの側面32は凹状であり、ひいては切削インサート20、120を取り付けるためのコンパクトな手段を提供する。
【0038】
本発明の一部の実施形態において、
図2および
図10に示されているように、切削インサート20、120の上面図において、第1仮想三角形の3つの角は上側周縁30の外側に位置し得る。
【0039】
更に、本発明の一部の実施形態において、
図2および
図10に示されているように、切削インサート20、120の上面図において、第1仮想三角形T1の同じ辺は、各上側コーナー周縁38を一度だけ横切り得る。
【0040】
更に、本発明の一部の実施形態において、
図2および
図10に示されているように、切削インサート20、120の上面図において、第1仮想六角形の6つの角は、上側周縁30の内側に位置し得る。
【0041】
第1仮想六角形の6つの角が上側周縁30の内側に位置する本発明の実施形態のために、各上側コーナー周縁38の長さは有利に増加されることを理解されたい。
【0042】
本発明の一部の実施形態において、
図2および
図10に示されているように、切削インサート20、120の上面図において、第1仮想二等分線LB1の各々は、上側コーナー周縁38のうちの1つに交差し得る。各上側コーナー周縁38は、その対応付けられた第1仮想二等分線LB1を中心として鏡面対称を示さなくてもよい。
【0043】
本発明の第1の態様によると、
図2および
図10に示されているように、切削インサート20、120の上面図において、各一次切刃40に、その第1および第2端点N1、N2で、それぞれ正接する第1および第2仮想直線L1、L2は、同一直線上にある、または175度より大きい鈍角の一次曲げ角度α1、すなわち175°<α1<180°、を形成する、のどちらかである。
【0044】
図2に示されているような第1の実施形態の切削インサート20の上面図において、例えば、第1および第2仮想直線L1、L2が同一直線上にある本発明の実施形態のために、各一次切刃40は直線状でもよい。
【0045】
図10に示されているような第2の実施形態の切削インサート120の上面図において、例えば、第1および第2仮想直線L1、L2が175度より大きい鈍角の一次曲げ角度α1を形成する本発明の実施形態のために、各一次切刃40は僅かに凸状でもよい。
【0046】
切削インサート120が被削材に対して傾斜しているとき、有効な一次切刃40が被削材にスクエア肩削りフライス加工を行えるように、第2の実施形態の切削インサート120の上面図において、各一次切刃40は僅かに凸状であり得ることを理解されたい。
【0047】
本発明の第1の態様によると、
図2および
図10に示されているように、切削インサート20、120の上面図において、各一次切刃40は、その第1および第2端点N1、N2の間に、一次長さLPを有する。一次長さLPは、第1仮想六角形H1の六角形の辺の長さLHの半分より長い、すなわちLP>LH*l/2である。第1仮想三角形T1の少なくとも1つの辺は、各一次切刃40を横切る。
【0048】
本発明の一部の実施形態において、
図2および
図10に示されているように、切削インサート20、120の上面図において、一次長さLPは、六角形の辺の長さLHの3分の2より大きくてもよい。すなわち、LP>LH*2/3でもよい。
【0049】
更に、本発明の一部の実施形態において、
図2および
図10に示されているように、切削インサート20、120の上面図において、切削インサート20、120の何れの部分も上側周縁30の外側に位置しなくてもよい。
【0050】
図1、
図2、
図9、および
図10に示されているように、上面22は、各一次切刃40に隣接するすくい面42と、各すくい面42と中心上面46との間の削り屑逸らせ面44とを含み得る。
【0051】
本発明の一部の実施形態において、中心上面46は、中心穴28の周囲全体を囲み得る。
【0052】
更に、本発明の一部の実施形態において、各削り屑逸らせ面44は、上面46の周方向範囲E1に沿って延在し得る。
【0053】
図3および
図11に示されているように、上面46は平坦でもよく、中心軸線A1に垂直な第3水平面PH3によって画成されてもよい。
【0054】
本発明の一部の実施形態において、切削インサート20、120の何れの部分も第3水平面PH3より上方に位置しなくてもよい。
【0055】
更に、
図3および
図11に示されているように、中心軸線A1に垂直な第4水平面PH4は、各削り屑逸らせ面44に、その周方向範囲E1全体に沿って、交差してもよい。第4水平面PH4は、3つの一次切刃40の何れにも交差しなくてもよい。
【0056】
第4水平面PH4が各削り屑逸らせ面44に交差し、3つの一次切刃40の何れにも交差しない本発明の実施形態のために、各削り屑逸らせ面44はその対応付けられた一次切刃40より上方に延在し、ひいては各削り屑の流れのより優れた制御をもたらすことを理解されたい。
【0057】
本発明の一部の実施形態において、各側面32は上面46と交わり得る。
【0058】
図6および
図14に示されているように、中心軸線A1と1つの一次切刃40の中点N3とを含む第1鉛直面PV1に沿った断面図において、すくい面42は一次切刃40から下方に傾斜し得る。削り屑逸らせ面44は上面46に向かって上方に傾斜し得る。
【0059】
切削インサート20、120の上面図において、各一次切刃40の中点N3は、その対応付けられた第1および第2端点N1、N2から等距離にあることを理解されたい。
【0060】
本発明の一部の実施形態において、
図6および
図14に示されているように、第1鉛直面PV1に沿った断面図において、中心軸線A1に平行な、底面36に交差する第3仮想直線L3は、すくい面42または削り屑逸らせ面44に交差し得る。
【0061】
図6に示されているように、第1の実施形態の切削インサート20の第3仮想直線L3は、削り屑逸らせ面44に交差する。
図14に示されているように、第2の実施形態の切削インサート120の第3仮想直線L3は、すくい面42に交差する。
【0062】
本発明の一部の実施形態において、
図2および
図10に示されているように、切削インサート20、120の上面図において、各削り屑逸らせ面44は、少なくとも部分的に第1仮想六角形H1の内側に位置し得る。
【0063】
各削り屑逸らせ面44が少なくとも部分的に第1仮想六角形H1の内側に位置する本発明の実施形態のために、各削り屑逸らせ面44の周方向範囲E1は六角形の辺の長さLHを有利に超え得るので、削り屑の流れのより優れた制御をもたらすことを理解されたい。
【0064】
図6および
図14に示されているように、第1鉛直面PV1に沿った断面図において、中心軸線A1に垂直な第4仮想直線L4は、第1および第2交点I1、I2において、すくい面42および削り屑逸らせ面44にそれぞれ交差し得る。
【0065】
また、
図6および
図14に示されているように、第1鉛直面PV1に沿った断面図において、第1交点I1においてすくい面42に正接する第5仮想直線L5は、第4仮想直線L4と鋭角のすくい面角度β1を形成し得る。第2交点I2において削り屑逸らせ面44に正接する第6仮想直線L6は、第4仮想直線L4と鋭角の逸らせ面角度β2を形成し得る。
【0066】
本発明の一部の実施形態において、逸らせ面角度β2は、すくい面角度β1より大きくてもよい。
【0067】
更に、本発明の一部の実施形態において、逸らせ面角度β2は、すくい面角度β1より少なくとも5度大きくてもよい。すなわち、β2≧β1+5°でもよい。
【0068】
図1、
図2、
図9、および
図10に示されているように、各上側コーナー周縁38は、ランピング用切刃48と湾曲したコーナー切刃50とを含み得る。ランピング用切刃48は、湾曲したコーナー切刃50によって、その対応付けられた一次切刃40から離隔され得る。
【0069】
本発明の一部の実施形態において、各湾曲したコーナー切刃50は、その対応付けられた一次切刃40の第1端点N1とその対応付けられたランピング用切刃48との間に延在し得る。
【0070】
更に、本発明の一部の実施形態において、各一次切刃40は、その第1端点N1において、その対応付けられた湾曲したコーナー切刃50に接線方向に隣接し得る。
【0071】
各一次切刃40に隣接するすくい面42は、ランピング用切刃48とこれに対応付けられた湾曲したコーナー切刃50とによって画定され得ることを理解されたい。
【0072】
図2および
図10に示されているように、切削インサート20、120の上面図において、各ランピング用切刃48に正接する第7仮想直線L7は、その対応付けられた第1仮想直線L1と鋭角のランプ角度Ψ1を形成し得る。
【0073】
本発明の一部の実施形態において、鋭角のランプ角度Ψ1は、45度より大きくてもよい。すなわち、45°<Ψ1<90°でもよい。
【0074】
図9~
図11に示されているように、第2の実施形態の切削インサート120の各上側コーナー周縁38は、直線状のワイパ縁52を含み得る。ワイパ縁52は、その対応付けられた湾曲したコーナー切刃50とその対応付けられたランピング用切刃48との間に延在する。
【0075】
各ワイパ縁52は、その対応付けられた湾曲したコーナー切刃50に接線方向に隣接し得る。
【0076】
図7および
図15に示されているように、ランピング用切刃48のうちの1つに沿った部分断面図において、各コーナー面34は、正勾配のランピング用逃げ面54をその対応付けられたランピング用切刃48に隣接して含み得る。
【0077】
用語「正勾配の」とは、隣接するすくい面42と、中心軸線A1に平行な基準線LVの同じ側で、対応付けられたランピング用切刃48を含む、ランピング用逃げ面54の延長を構成することを理解されたい。
【0078】
本発明の一部の実施形態において、下面24は、底面36の周囲に周方向に間隔を置いて配置された3つの下側当接凹部56を有し得る。各下側当接凹部56は、半径方向外方に向いた下側当接面58を含み得る。
【0079】
図8および
図16に示されているように、中心軸線A1に垂直な、且つ3つの下側当接面58に交差する第5の水平面PH5に沿った断面図において、3つの下側当接面58は、第2仮想三角形T2の3つの辺を画成し得る。
【0080】
また、
図8および
図16に示されているように、第2仮想三角形T2は3本の第2仮想二等分線LB2を有する。各第2仮想二等分線LB2は、第2仮想三角形の3つの角のうちの1つを含み、その非隣接辺を二等分する。
【0081】
第2仮想三角形T2は、その中心が中心軸線A1に含まれている正三角形であることを理解されたい。
【0082】
本発明の一部の実施形態において、各下側当接面58は、3つの側面32のうちの1つに交差し得る。
【0083】
更に、本発明の一部の実施形態において、各下側当接面58は平坦で、中心軸線A1に非平行であってもよい。
【0084】
図4および
図12に示されているように、切削インサート20、120の底面図において、各下側当接面58は、第1仮想三角形T1の外側に延在しなくてもよい。この場合、切削インサート20、120を取り付けるためのコンパクトな手段を提供する。
【0085】
図8および
図16に示されているように、第1および第2仮想三角形T1、T2は、それぞれの中心が中心軸線A1の中心に合わせられてもよい。更に、第2仮想三角形T2は、第1仮想三角形T1からオフセット角度δ1だけ回転方向にオフセットされ得る。したがって、3つの側面32のうちの少なくとも1つと3つの下側当接面58のうちの少なくとも1つとを使用すると、より広範囲な取り付け選択肢が提供される。
【0086】
本発明の一部の実施形態において、オフセット角度δ1は、30度以下でもよい。すなわち、δ1≦30°でもよい。
【0087】
更に、本発明の一部の実施形態において、オフセット角度δ1は、15度以上、且つ30度以下でもよい。すなわち、15°≦δ1≦30°でもよい。
【0088】
図17~
図20に示されているように、本発明の追加の態様は、切削体62と上記の割り出し可能な切削インサート20のうちの少なくとも1つとを備えた回転切削工具60に関する。各切削インサート20は、切削体62のインサート収容ポケット64内に取り外し可能に固定される。
【0089】
第1の実施形態の切削インサート20は
図17~
図19に示されている回転切削工具60に保持されるが、第2の実施形態の切削インサート120は、融通性のある取り付け手段が設けられているおかげで、切削インサート20との交換が可能であることを理解されたい。
【0090】
図17~
図19に示されているように、切削工具60は、前方-後方方向DF、DRを規定する工具軸線ATを中心に回転可能であり得る。各インサート収容ポケット64は、切削体62の前方端面66において開口し得る。
【0091】
本発明の一部の実施形態において、
図19に示されているように、各切削インサート20の3つの上側コーナー周縁38のうちの1つのみが有効な上側コーナー周縁38’として機能し得る。有効な上側コーナー周縁38’は、その対応付けられた上側周縁30の軸線方向最前方点NAを含み得る。
【0092】
更に、本発明の一部の実施形態において、有効な上側コーナー周縁38’の湾曲したコーナー切刃50は、軸線方向最前方点NAを含み得る。換言すると、組み立てられた切削工具60において、軸線方向最前方点NAは、有効な上側コーナー周縁38’に対応付けられた湾曲したコーナー切刃50上に位置し得る。
【0093】
更に、本発明の一部の実施形態において、有効な上側コーナー周縁38’の一次切刃40およびランピング用切刃48は、後方方向DRに開き得る(may diverge in the rearward direction)。
【0094】
図19に示されているように、切削工具60は、工具軸線ATに垂直な送り方向FDでの切削加工のために「セットアップ」され得る。有効な上側コーナー周縁38’の一次切刃40は、送り方向FDに対してリード角θ1だけ傾斜し得る。
【0095】
本発明の一部の実施形態において、リード角θ1は、少なくとも10度、且つ最大で90度、すなわち10°≦θ1≦90°、であり得るので、広範囲なフライス加工をもたらし得る。
【0096】
図19に示されているように、第1の実施形態の切削インサート20が回転切削工具60に保持される実施形態において、リード角θ1は15度、すなわちθ1=15°、であり得る。
【0097】
第2の実施形態の切削インサート120が回転切削工具60に保持される実施形態において(図示せず)、リード角θ1は90度、すなわちθ1=90°、であり得る。
【0098】
送り方向FDが工具軸線ATに垂直な切削加工の場合、有効な上側コーナー周縁38’のランピング用切刃48は不作動であることを理解されたい。
【0099】
有効な上側コーナー周縁38’のランピング用切刃48は、送り方向FDが
図18に示されている位置から下方に傾斜する切削加工のために有効になることも理解されたい。
【0100】
図18に示されているように、有効な上側コーナー周縁38’の一次切刃40は、工具軸線ATに対して正の軸方向すくい角μ1だけ傾斜し得る。
【0101】
図17および
図20に示されているように、各インサート収容ポケット64は、座面68と、座面68に斜めに置かれた(transverse to)、間隔を置いて配置された第1および第2ポケット壁70、72とを有し得る。
【0102】
本発明の一部の実施形態において、第1ポケット壁70は、半径方向外方に面し得るので、有効な上側コーナー周縁38’に作用する半径方向の切削力に対抗し得る。
【0103】
更に、本発明の一部の実施形態において、第2ポケット壁72は、軸線方向前方に面し得るので、有効な上側コーナー周縁38’に作用する軸線方向の切削力に対抗し得る。
【0104】
図17に示されているように、各インサート収容ポケット64の第1および第2ポケット壁70、72は、前方方向DFに開き得る。
【0105】
また、
図17に示されているように、工具軸線ATは回転方向Rを規定し得る。各インサート収容ポケット64の座面68は、回転方向Rに面し得る。
【0106】
本発明の一部の実施形態において、座面68は平坦であり得る。
【0107】
本発明の他の複数の実施形態において(図示せず)、座面68は、複数の部分座面を同一平面に含み得る。
【0108】
更に、本発明の一部の実施形態において、各切削インサート20は、その対応するインサート収容ポケット64に、中心穴28に貫通延在して座面68のねじ穴76に係合する締め付けねじ74によって、取り外し可能に固定され得る。
【0109】
インサート収容ポケット64の正面図において、
図20に示されているように、第1および第2ポケット壁70、72は、ポケット外角σ1を形成し得る。
【0110】
本願明細書および特許請求の範囲を通して用語「外角」の使用は、2つの平坦面構成要素の間の、これら平坦面構成要素がそこに形成されている部材の外面で測定された、角度を指すことを理解されたい。
【0111】
本発明の一部の実施形態において、ポケット角度σ1は60度より大きく、且つ90度以下、すなわち60°<σ1≦90°、であり得るので、切削インサート20をインサート収容ポケット64内に高い安定度で取り付けることができる。
【0112】
更に、本発明の一部の実施形態において、ポケット角度σ1は、75度以上、且つ90度以下、すなわち75°≦σ1≦90°、であり得る。
【0113】
その対応するインサート収容ポケット64内の各切削インサート20の各割り出し位置のために、
インサートの底面36は、座面68に接触し得る、
インサートの3つの側面32のうちの1つのみが有効な側面32’となって第1ポケット壁70に接触し得る、および、
インサートの3つの下側当接面58のうちの1つのみが有効な下側当接面58’となって第2ポケット壁72に接触し得る。
【0114】
これら前記の接触事例を除いては、各切削インサート20は、その対応するインサート収容ポケット64に更に接触し得ない。
【0115】
本発明の一部の実施形態において、有効な側面32’は、有効な上側コーナー周縁38’を形成するために、上面22と交わるコーナー面34に周方向に隣接しなくてもよい。
【0116】
更に、本発明の一部の実施形態において、
図21に示されているように、半径方向の切削力に対抗する第1ポケット壁の反力が中心軸線A1および締め付けねじ74を通して有利に方向付けられるように、有効な上側コーナー周縁38’に対応付けられた第1鉛直面PV1は、第1ポケット壁70に交差し得る。
【0117】
本発明を或る程度詳細に説明したが、特許請求の範囲に記載されている本発明の精神および範囲から逸脱せずに、さまざまな変更および修正を行えることを理解されたい。