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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-21
(45)【発行日】2023-08-29
(54)【発明の名称】揮発性組成物を空気中に送出する方法
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/02 20060101AFI20230822BHJP
   A01M 1/20 20060101ALI20230822BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20230822BHJP
   B65D 85/00 20060101ALI20230822BHJP
【FI】
A61L9/02
A01M1/20 F
B65D83/00 F
B65D85/00 A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020538891
(86)(22)【出願日】2019-01-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-13
(86)【国際出願番号】 US2019013427
(87)【国際公開番号】W WO2019143548
(87)【国際公開日】2019-07-25
【審査請求日】2020-07-17
(31)【優先権主張番号】62/618,644
(32)【優先日】2018-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100212657
【弁理士】
【氏名又は名称】塚原 一久
(72)【発明者】
【氏名】ターナー、デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ディートン、レズリー・ローゼル
【審査官】河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-522617(JP,A)
【文献】国際公開第2010/036377(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0294852(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0132992(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0076429(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/00 - 9/22
A01M 1/20
B65D 85/00
B65D 83/00
B01J 4/00
B05B 7/00 - 7/32
B05B 12/00 - 12/36
A45D 34/00
F24F 8/50
A61M 21/02
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
揮発性組成物を分散させる方法であって、前記方法が、
揮発性組成物ディスペンサを提供する工程であって、前記揮発性組成物ディスペンサが、前記揮発性組成物を含むリザーバと、前記リザーバと流体連通している送出エンジンと、前記送出エンジンと流体連通している蒸発面と、前記蒸発面の少なくとも一部に隣接する蒸発支援要素と、を備え、前記蒸発支援要素が最大電力出力を画定する、工程と、
前記揮発性組成物ディスペンサの総放出プログラムを開始する工程と、
前記蒸発支援要素によって印加されるエネルギーを第1のエネルギーブースト期間に第1のエネルギーまで増加させる工程であって、前記第1のエネルギーが、前記総放出プログラムを開始する最初の24時間内の最高エネルギーである、工程と、
前記蒸発支援要素によって印加されるエネルギーを増加させる工程の後に、第1の延長放出期間にわたって前記第1のエネルギー未満で前記蒸発支援要素を動作させる工程と、
前記蒸発支援要素によって印加されるエネルギーを第2のエネルギーブースト期間に第2のエネルギーまで増加させる工程であって、前記第2のエネルギーが前記第1のエネルギー未満である、工程と、
前記蒸発支援要素を第2の延長放出期間にわたって前記第2のエネルギー以下で動作させる工程であって、前記第2のエネルギーブースト期間の長さが、前記第2の延長放出期間の長さの半分以下である、工程と、
前記蒸発支援要素によって印加されるエネルギーを、第3のエネルギーブースト期間に第3のエネルギーまで増加させる工程であって、前記第3のエネルギーが前記第1のエネルギーより大きい、工程と、を含む、方法。
【請求項2】
前記第2のエネルギーブースト期間が、前記第2の延長放出期間の長さの1/3以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記蒸発支援要素が、ヒーターを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記蒸発支援要素によって印加されるエネルギーを前記第2のエネルギーブースト期間に前記第2のエネルギーまで増加させる工程が、前記蒸発支援要素によって印加されるエネルギーを第2のエネルギーブースト期間に前記第2のエネルギーまで少なくとも5%増加させる工程を更に含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記揮発性組成物ディスペンサが、複数のユーザー制御電力設定を更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記リザーバが第1のリザーバであり、前記揮発性組成物が第1の揮発性組成物であり、前記送出エンジンが第1の送出エンジンであり、前記蒸発面が第1の蒸発面であり、前記蒸発支援要素は、第1の蒸発支援要素であり、前記揮発性組成物ディスペンサが、第2の揮発性組成物を含む第2のリザーバと、前記第2のリザーバと流体連通している第2の送出エンジンと、前記第2の送出エンジンと流体連通している第2の蒸発面と、前記第2の蒸発面にエネルギーを適用する第2の蒸発支援要素と、を更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の延長放出期間が複数の別個の放出期間を含み、前記複数の別個の放出期間のそれぞれが、前記第1の蒸発支援要素がオフにされる、又は前記電力が前記最大電力出力の20%未満に低減される期間によって分離され、前記方法が、
第1の別個の放出期間後に前記第1の蒸発支援要素をオフにする工程と、
前記第1の蒸発支援要素がオフにされると同時に又は時間をおいて、前記第2の蒸発支援要素をオンにして前記第2の蒸発面にエネルギーを印加する工程と、
を更に含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記複数の別個の放出期間のそれぞれの時間の長さが、乱数発生器又は候補リストからランダムに選択される、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のエネルギーブーストによる温度の上昇は、40℃~80℃の範囲の温度であり、
前記第2のエネルギーブーストによる温度の上昇は、50℃~90℃の範囲の温度であり、
前記第3のエネルギーブーストによる温度の上昇は、60℃~100℃の範囲の温度である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
揮発性組成物を分散させる方法であって、前記方法が、
揮発性組成物ディスペンサを提供する工程であって、前記揮発性組成物ディスペンサが、第1の組成物を収容する第1のリザーバと、第2の組成物を収容する第2のリザーバと、前記第1のリザーバと流体連通している第1の送出エンジンと、前記第2のリザーバと流体連通している第2の送出エンジンと、前記第1の送出エンジンと流体連通している第1の蒸発面と、前記第2の送出エンジンと流体連通している第2の蒸発面と、前記第1の蒸発面の少なくとも一部に隣接する第1の蒸発支援要素と、前記第2の蒸発面の少なくとも一部に隣接する第2の蒸発支援要素と、を備え、前記第1及び第2の送出エンジンが芯を備え、前記第1及び第2の蒸発支援要素がヒーターを備え、前記第1及び第2の蒸発支援要素がそれぞれ最大電力出力を画定する、工程と、
前記揮発性組成物ディスペンサの総放出プログラムを開始する工程であって、前記総放出プログラムが、
前記第1又は第2の蒸発支援要素によって印加されるエネルギーを第1のエネルギーブースト期間に第1のエネルギーまで増加させる工程であって、前記第1のエネルギーが、前記総放出プログラムを開始する最初の24時間内の最高エネルギーである、工程と、
前記第1又は第2の蒸発支援要素によって印加されるエネルギーを増加させる工程の後に、第1の延長放出期間にわたって前記第1のエネルギー未満で前記第1又は第2の蒸発支援要素を動作させる工程と、
前記第1又は第2の蒸発支援要素によって印加されるエネルギーを第2のエネルギーブースト期間に第2のエネルギーまで増加させる工程であって、前記第2のエネルギーが前記第1のエネルギー未満である、工程と、
前記第1又は第2の蒸発支援要素を第2の延長放出期間にわたって前記第2のエネルギー以下で動作させる工程であって、前記第2のエネルギーブースト期間の長さが、前記第2の延長放出期間の長さの半分以下である、工程と、
前記第1又は第2の蒸発支援要素によって印加されるエネルギーを、第3のエネルギーブースト期間に第3のエネルギーまで増加させる工程であって、前記第3のエネルギーが前記第1のエネルギーより大きい、工程と、
前記第1及び第2の蒸発支援要素の動作を総放出プログラムにわたって複数の別個の放出期間において交互に行う工程であって、前記第1の蒸発支援要素に関する前記別個の放出期間が、前記第1の蒸発支援要素がオフであり、前記第2の蒸発支援要素がオンである期間によって分離され、前記第2の蒸発支援要素に関する前記別個の放出期間が、前記第2の蒸発支援要素がオフであり、前記第1の蒸発支援要素がオンである期間によって分離される、工程と、
を含む、方法。
【請求項11】
前記第1及び第2の蒸発支援要素の動作を同時にオフにして、前記揮発性組成物の放出における間隙を引き起こす工程を更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記複数の別個の放出期間のそれぞれの時間の長さが、乱数発生器又は候補リストからランダムに選択される、請求項10又は11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揮発性組成物の認知性を持続させるために様々なエネルギーレベルを使用して、揮発性組成物を空気中に送出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
揮発性組成物ディスペンサは、清涼組成物などの様々な揮発性組成物を空気中に送出するために存在する。このような揮発性組成物ディスペンサは、例えば、揮発性組成物を空気中に揮発させるのを支援する1つ以上のヒーターを有する芯ベースの電気ディスペンサの形態をとることができる。消費者は、揮発性組成物ディスペンサが、数週間又は数ヶ月にわたって認知可能な強度の揮発性組成物を提供することを望む。しかしながら、認知性は、慣れ及び/又は揮発性組成物ディスペンサからの揮発性組成物の蒸発速度の低下によって影響され得る。認知性を高める試みがなされてきたが、こうした試みは結果的に揮発性組成物のより迅速な蒸発をもたらす可能性がある。したがって、消費者の持続的認知性をもたらす揮発性組成物ディスペンサを提供する必要性が未だ存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の態様は、以下の組み合わせを含む。
A.揮発性組成物を分散させる方法であって、該方法が、
揮発性組成物ディスペンサを提供する工程であって、揮発性組成物ディスペンサが、揮発性組成物を含むリザーバと、リザーバと流体連通している送出エンジンと、を備え、送出エンジンと流体連通している蒸発面と、蒸発面の少なくとも一部に隣接する蒸発支援要素と、を備え、蒸発支援要素が最大電力出力を画定する、工程と、
揮発性組成物ディスペンサの総放出プログラムを開始する工程と、
蒸発支援要素によって印加されるエネルギーを第1のエネルギーブースト期間に第1のエネルギーまで増加させる工程であって、第1のエネルギーが、総放出プログラムを開始する最初の24時間内の最高エネルギーである、工程と、
蒸発支援要素によって印加されるエネルギーを増加させる工程の後に、第1の延長放出期間にわたって第1のエネルギー未満で蒸発支援要素を動作させる工程と、
蒸発支援要素によって印加されるエネルギーを第2のエネルギーブースト期間に第2のエネルギーまで増加させる工程であって、第2のエネルギーが第1のエネルギー未満である、工程と、
蒸発支援要素を第2の延長放出期間にわたって第2のエネルギー以下で動作させる工程であって、第2のエネルギーブースト期間の長さが、第2の延長放出期間の長さの半分以下である、工程と、
蒸発支援要素によって印加されるエネルギーを第3のエネルギーブースト期間に第3のエネルギーまで増加させる工程であって、第3のエネルギーが第1のエネルギーより大きい、工程と、を含む、方法。
B.第2のエネルギーブースト期間が、第2の延長放出期間の長さの1/3以下である、段落Aに記載の方法。
C.第1、第2、及び第3のエネルギーを印加する工程が、最大電力出力に対して蒸発支援要素への電力を増加させる工程を更に含む、段落A又はBに記載の方法。
D.蒸発支援要素が、ヒーターを含む、段落A~Cのいずれか一項に記載の方法。
E.蒸発支援要素によって印加されるエネルギーを第2のエネルギーブースト期間に第2のエネルギーまで増加させる工程が、蒸発支援要素によって印加されるエネルギーを第2のエネルギーブースト期間に第2のエネルギーまで少なくとも5%増加させる工程を更に含む、段落A~Dのいずれかに記載の方法。
F.揮発性組成物ディスペンサが、複数のユーザー制御電力設定を更に含む、段落A~Eのいずれかに記載の方法。
G.リザーバが第1のリザーバであり、揮発性組成物が第1の揮発性組成物であり、送出エンジンが第1の送出エンジンであり、蒸発面が第1の蒸発面であり、揮発性組成物ディスペンサが、第2の揮発性組成物を含む第2のリザーバと、第2のリザーバと流体連通している第2の送出エンジンと、第2の送出エンジンと流体連通している第2の蒸発面と、第2の蒸発面にエネルギーを適用する第2の蒸発支援要素と、を更に備える、段落A~Fのいずれかに記載の方法。
H.第2の延長放出期間が複数の別個の放出期間を含み、複数の別個の放出期間のそれぞれが、第1の蒸発支援要素がオフにされる、又は電力が最大電力出力の20%未満に低減される期間によって分離され、方法が、
第1の別個の放出期間後に第1の蒸発支援要素をオフにする工程と、
第1の蒸発支援要素がオフにされると同時に又は時間をおいて、第2の蒸発支援要素をオンにして第2の蒸発面にエネルギーを印加する工程と、
を更に含む、段落に記載の方法。
I.複数の別個の放出期間のそれぞれの時間の長さが、乱数発生器又は候補リストからランダムに選択される、段落G又は段落Hに記載の方法。
J.蒸発支援要素によって印加されるエネルギーを第3のエネルギーブースト期間に第3のエネルギーまで増加させる工程が、蒸発支援要素によって印加されるエネルギーを第3のエネルギーブースト期間に第3のエネルギーまで少なくとも200%増加させる工程を更に含む、段落A~Iのいずれかに記載の方法。
K.第1のエネルギーが約40℃~約80℃の範囲の温度であり、第2のエネルギーが約50℃~約90℃の範囲の温度であり、第3のエネルギーが約60℃~約100℃の範囲の温度である、段落A~Jのいずれかに記載の方法。
L.揮発性組成物を分散させる方法であって、該方法が、
揮発性組成物ディスペンサを提供する工程であって、揮発性組成物ディスペンサが、第1の組成物を収容する第1のリザーバと、第2の組成物を収容する第2のリザーバと、第1のリザーバと流体連通している第1の送出エンジンと、第2のリザーバと流体連通している第2の送出エンジンと、第1の送出エンジンと流体連通している第1の蒸発面と、第2の送出エンジンと流体連通している第2の蒸発面と、第1の蒸発面の少なくとも一部に隣接する第1の蒸発支援要素と、第2の蒸発面の少なくとも一部に隣接する第2の蒸発支援要素と、を備え、第1及び第2の送出エンジンが芯を備え、第1及び第2の蒸発支援要素がヒーターを備え、第1及び第2の蒸発支援要素がそれぞれ最大電力出力を画定する、工程と、
揮発性組成物ディスペンサの総放出プログラムを開始する工程であって、総放出プログラムが、
第1又は第2の蒸発支援要素によって印加されるエネルギーを第1のエネルギーブースト期間に第1のエネルギーまで増加させる工程であって、第1のエネルギーが、総放出プログラムを開始する最初の24時間内の最高エネルギーである、工程と、
第1又は第2の蒸発支援要素によって印加されるエネルギーを増加させる工程の後に、第1の延長放出期間にわたって第1のエネルギー未満で第1又は第2の蒸発支援要素を動作させる工程と、
第1又は第2の蒸発支援要素によって印加されるエネルギーを第2のエネルギーブースト期間に第2のエネルギーまで増加させる工程であって、第2のエネルギーが第1のエネルギー未満である、工程と、
第1又は第2の蒸発支援要素を第2の延長放出期間にわたって第2のエネルギー以下で動作させる工程であって、第2のエネルギーブースト期間の長さが、第2の延長放出期間の長さの半分以下である、工程と、
第1又は第2の蒸発支援要素によって印加されるエネルギーを、第3のエネルギーブースト期間に第3のエネルギーまで増加させる工程であって、第3のエネルギーが第1のエネルギーより大きい、工程と、
第1及び第2の蒸発支援要素の動作を総放出プログラムにわたって複数の別個の放出期間において交互に行う工程であって、第1の蒸発支援要素に関する別個の放出期間が、第1の蒸発支援要素がオフであり、第2の蒸発支援要素がオンである期間によって分離され、第2の蒸発支援要素に関する別個の放出期間が、第2の蒸発支援要素がオフであり、第1の蒸発支援要素がオンである期間によって分離される、工程と、
を含む、方法。
M.第1及び第2の蒸発支援要素の動作を同時にオフにして、揮発性組成物の放出における間隙を引き起こす工程を更に含む、段落Lに記載の方法。
N.複数の別個の放出期間のそれぞれの時間の長さが、乱数発生器又は候補リストからランダムに選択される、段落L~Mのいずれかに記載の方法。
O.揮発性組成物を分散させる方法であって、該方法が、
揮発性組成物ディスペンサを提供する工程であって、揮発性組成物ディスペンサが、揮発性組成物を含むリザーバと、リザーバと流体連通している送出エンジンと、を備え、送出エンジンと流体連通している蒸発面と、蒸発面の少なくとも一部に隣接する蒸発支援要素と、を備え、蒸発支援要素が最大電力出力を画定する、工程と、
揮発性組成物ディスペンサの総放出プログラムを開始する工程と、
第1のエネルギーブースト期間に蒸発面からの揮発性組成物の蒸発速度を第1の蒸発速度まで増加させる工程であって、第1の蒸発速度が、総放出プログラムを開始する最初の24時間内の最高蒸発速度である、工程と、
蒸発速度を第1の蒸発速度まで増加させる工程後、第1の延長放出期間にわたって第1の蒸発速度未満で蒸発面から揮発性組成物を蒸発させる工程と、
第2のエネルギーブースト期間に蒸発速度を第2の蒸発速度まで増加させる工程と、
蒸発速度を第2の蒸発速度まで増加させる工程後、第2の延長放出期間にわたって第2の蒸発速度未満で蒸発面から揮発性組成物を蒸発させる工程であって、第2のエネルギーブースト期間の長さが、第2の延長放出期間の長さの半分以下である、工程と、
蒸発速度を第3のエネルギーブースト期間に第3の蒸発速度まで増加させる工程であって、蒸発速度が総放出プログラムにわたって15mg/時~50mg/時である、工程と、
を含む、方法。
P.第2のエネルギーブースト期間が、第2の延長放出期間の長さの1/3以下である、段落Oに記載の方法。
Q.蒸発支援要素がヒーターを含み、送出エンジンが芯を備える、段落O又は段落Pに記載の方法。
R.第2のエネルギーブースト期間に蒸発速度を増加させる工程が、蒸発速度を第2のエネルギーブースト期間に第2の蒸発速度まで少なくとも5%増加させる工程を更に含む、パラグラフO~Qのいずれかに記載の方法。
S.リザーバが第1のリザーバであり、揮発性組成物が第1の揮発性組成物であり、送出エンジンが第1の送出エンジンであり、蒸発面が第1の蒸発面であり、揮発性組成物ディスペンサが、第2の揮発性組成物を含む第2のリザーバと、第2のリザーバと流体連通している第2の送出エンジンと、第2の送出エンジンと流体連通している第2の蒸発面と、第2の蒸発面にエネルギーを適用する第2の蒸発支援要素と、を更に備える、段落O~Rのいずれかに記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】芯の形態の2つの送出エンジンを備える揮発性組成物ディスペンサを示す部分断片概略正面図である。
図2図1に示される装置を示す部分断片概略側面図である。
図3図1に示される装置を示す概略上面図である。
図4】送出エンジンとして膜を備えるカートリッジを有する揮発性組成物ディスペンサを示す概略分解図である。
図5図4のカートリッジを示す概略分解図である。
図6図1~3に示される揮発性組成物ディスペンサを制御するために使用することができるプリント回路基板と、そこに取り付けられたヒーター及びプラグとを示す概略斜視図である。
図7図6に示される回路を示す概略図である。
図8】経時的な最大ヒーター電力のパーセントとして表される、揮発性組成物ディスペンサの総放出プログラムを示すグラフである。
図9図8の総放出プログラムで動作する揮発性組成物ディスペンサの蒸発速度を示すグラフである。
図10】現在の市販装置の蒸発速度のグラフを重ねた図9の揮発性組成物ディスペンサの蒸発速度を示すグラフである。
図11】経時的な最大ヒーター電力のパーセントとして表される、高、中、及び低電力設定を有する揮発性組成物ディスペンサの総放出プログラムを示すグラフである。
図12図11の総放出プログラムの高、中、及び低設定の蒸発速度を示すグラフである。
図13】ヒーターのオン時間の長さとして表される、高、中、及び低電力設定を有する揮発性組成物ディスペンサの総放出プログラムを示すグラフである。
図14】例示的な揮発性組成物ディスペンサからの経時的な例示均一蒸発速度プロファイルを示すグラフである。
図15】例示的な揮発性組成物ディスペンサからの経時的な例示蒸発速度プロファイルを示すグラフである。
図16】例示的な揮発性組成物ディスペンサからの経時的に横ばいである例示的なランダム蒸発プロファイルのグラフである。
図17】例示的な揮発性組成物ディスペンサからの経時的に平均して増加する例示的なランダム蒸発プロファイルのグラフである。
図18】蒸発が、例示的な揮発性組成物ディスペンサからの揮発性組成物の臭気検出閾値を下回るようにヒーター温度を低下させる揮発性組成物ディスペンサの2つのヒーターの例示的なエネルギープロファイルを示すグラフである。
図19】本発明の蒸発支援要素用の例示的な総放出プログラムを示すグラフである。
図20】消費者調査#1の比較総放出プログラムのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本発明は、揮発性組成物ディスペンサ、及び揮発性組成物ディスペンサを使用して揮発性組成物を空気中に送出する方法に関する。揮発性組成物ディスペンサは、リザーバ内に収容された揮発性組成物の耐用期間にわたって高い認知性で揮発性組成物を空気中に送出するように構成される。放出サイクル全体にわたって揮発性組成物に印加されるエネルギーを変化させる工程は、時間の経過と共に揮発性組成物に関する消費者の認知性に影響を及ぼし得ることが分かっている。具体的には、揮発性組成物に印加される初期エネルギーブースト期間後、延長放出期間にエネルギーを低減させることで、一定期間にわたる連続的なエネルギーブースト及びエネルギーの変動の結果、ユーザーによる揮発性組成物の認知性が高まる。
【0006】
「揮発性組成物」という用語は、本明細書で使用するとき、蒸発可能な物質を指す。したがって、「揮発性組成物」という用語には、単一の揮発性物質のみから成る組成物が包含されるが、これに限定されない。「揮発性物質」、「アロマ」、「芳香」、「香り」という用語は、本明細書で使用するとき、心地良い香り又は快い香りを含むが、これには限定されず、殺虫剤、エアフレッシュナー、脱臭剤、アロマコロジー用物質、アロマセラピー用物質として機能する物質、あるいは雰囲気を調整、緩和、もしくは他の方法で変える、又は周囲環境を変える働きをする任意のその他の物質も含む。ただし、香水、アロマ物質、及び香り付き物質を含むがこれらに限定されない特定の揮発性組成物は、(揮発性物質の集合体で構成された特有の及び/又は別個の単位を形成し得る)1つ以上の揮発性物質を含む場合が多いと理解すべきである。「揮発性組成物」という用語は、少なくとも1つの揮発性成分を有する組成物を指し、揮発性組成物の全ての成分材料が揮発性である必要はないことを理解されたい。よって、本明細書に記述される揮発性組成物はまた、非揮発性構成成分を有してもよい。揮発性組成物が「放出される」と本明細書に記述されるとき、それは揮発性構成成分の揮発を指しており、該非揮発性構成成分が放出される必要はないと理解されるべきである。本明細書の当該揮発性組成物は、固体、液体、ゲル、カプセル、及びこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない任意の好適な形態をとり得る。
【0007】
揮発性組成物ディスペンサは、揮発性組成物を空気及び/又は最終的に表面に送出する様々な用途で使用されるように構成され得ることが想到される。揮発性組成物ディスペンサは様々に構成され得る。
【0008】
例えば、揮発性組成物ディスペンサは、ハウジングと、揮発性組成物を収容するリザーバと、揮発性組成物を蒸発面に移送するために使用される送出エンジンと、蒸発面からの揮発性組成物の揮発を支援する蒸発支援要素と、を有する電気壁プラグ又は電池式揮発性組成物ディスペンサとして構成されてもよい。蒸発支援要素は、蒸発面に隣接して配置されてもよい。
【0009】
リザーバは、いかなる好適な種類の容器も含むことができ、いかなる好適な材料で作製することもできる。リザーバに適した材料には、ガラス及びプラスチックが挙げられるが、これらに限定されない。リザーバは、揮発性組成物を保持するのに好適ないかなる種類の容器も含むことができる。リザーバはハウジングの一部であってもよく、又はハウジングなどの揮発性組成物ディスペンサの一部に脱着可能に結合された独立した構成要素であってもよい。単一のリザーバが2種類以上の揮発性組成物を保持することも可能である。そのようなリザーバは、例えば、揮発性物質用の2つ以上の区画を有することもできる。
【0010】
送出エンジンは、蒸発面を含んでもよい。かかる構成では、送出エンジンは、揮発性組成物を空気中に揮発させるために、ヒーター又はファンなどの1つ以上の蒸発支援要素の隣に配置され得る。蒸発支援要素は、蒸発面を取り囲む、又は少なくとも部分的に取り囲んでもよい。
【0011】
揮発性組成物を送出エンジンの蒸発面から蒸発させる代わりに、送出エンジンが揮発性組成物を別の蒸発面に移送してもよい。蒸発面は、多孔質又は半多孔質の基材、プラスチック、ガラス、又は金属のボウルもしくはプレートを含むボウル又はプレート、及びこれらの組み合わせとして構成されてよい。
【0012】
送出エンジンは、様々な様式で構成されてよい。例えば、送出エンジンは、芯、膜、ゲル、ワックス、フェルトパッドなどの多孔質又は半多孔質の基材の形態であってもよい。同じ又は異なるリザーバに関連付けられた2つ以上の送出エンジンを備える揮発性組成物ディスペンサでは、送出エンジンは同じであっても異なっていてもよい。
【0013】
揮発性組成物ディスペンサが送出エンジンとして芯を利用する場合、芯は様々な異なる形状及びサイズを有するように構成され得る。例えば、芯は、円筒形状又は細長い立方体形状を有してもよい。芯は、形状に依存して、長さ及び直径又は幅によって画定され得る。芯は、様々な長さを有し得る。例えば、芯の長さは、約1ミリメートル(「mm」)~約100mm、又は約5mm~約75mm、又は約10mm~約50mmの範囲であってよい。芯は、様々な直径又は幅を有し得る。例えば、芯の直径又は幅は、少なくとも1mm、又は少なくとも2mm、又は少なくとも3mm、又は少なくとも4mmであってよい。芯は、密度を呈してもよい。芯密度は、約0.100グラム/cm(「g/cc」)~約1.0g/ccの範囲であってよい。
【0014】
芯は、多孔質又は半多孔質の基材を含み得る。芯は、オーバーラップ(例えば、不織布シートオーバーラップ)を介して様々な形状に圧縮及び/もしくは形成されるか、又はPE、HDPE、もしくは他のポリオレフィンなどの焼結プラスチックで作製される束ね繊維が挙げられるがこれらに限定されない、様々な材料及び構築方法で構成され得る。芯は、ポリエチレン又はポリエチレン混合物などのプラスチック材料から作製され得る。
【0015】
蒸発支援要素は、蒸発面から揮発性組成物を蒸発させるために使用することができる。例えば、蒸発支援要素は、ヒーター、ファン、振動を生じさせる、動力付き撹拌器及び手動撹拌器の両方である撹拌部材若しくは撹拌器又はこれらの組み合わせから成る群から選択され得る。蒸発支援要素はまた、液体揮発性組成物を加熱するための加熱要素、蒸発もしくは蒸発速度を加速するための化学的成分、発熱反応を介して蒸発を増加させるための化学的に加熱された膜の使用、又はそれらの相乗作用の組み合わせを含み得る。蒸発支援要素はまた、蒸発支援要素に対して露出される送出エンジンの表面積の量を増加させることができ、圧力勾配、可変抵抗などを引き起こし得る。
【0016】
ヒーターの形態の蒸発支援要素を有する揮発性組成物ディスペンサは、蒸発面を様々な温度に加熱するように構成され得る。例えば、揮発性組成物ディスペンサは、ヒーターが蒸発面の温度を約30℃~約150℃の温度まで上昇させるように構成され得る。ヒーターは、任意の好適な種類のヒーターを含むことができ、揮発性組成物ディスペンサ内又は揮発性組成物ディスペンサに対して任意の好適な位置に配置することができる。蒸発支援要素は、蒸発面を取り囲む、又は少なくとも部分的に取り囲んでもよい。
【0017】
以下より詳細に説明するように、揮発性組成物ディスペンサは、蒸発支援要素を制御するための制御システムを含んでもよい。
【0018】
図1~3を参照すると、揮発性組成物ディスペンサ20は、電気壁プラグ型揮発性組成物ディスペンサの形態をとることができる。揮発性組成物ディスペンサ20はハウジング22を有してよく、ハウジング22は、ハウジング22と少なくとも間接的に接合された電源26によって電気コンセントに支持される。揮発性組成物ディスペンサ20は、例示のためにリザーバ28及び30として示される、揮発性組成物を収容するための少なくとも1つのリザーバを更に備える。ハウジング22は、リザーバ28並びに30、及び揮発性組成物ディスペンサ20の他の構成部品のいずれかのホルダとして機能することができる。揮発性組成物ディスペンサ20は、単に例示として図1~3に芯として示される1つ以上の送出エンジン38を備え、送出エンジンはそれぞれ一端で各リザーバ28、30内に延在し、他端で蒸発面48を有する。揮発性組成物ディスペンサは、単に例示のために図1~3に示されるようなヒーターなどの、蒸発面48からの揮発性組成物の蒸発を支援するための1つ以上の蒸発支援要素40、42を含む。リザーバ28及び30は、第1の揮発性組成物32及び第2の揮発性組成物34を含むことができる。
【0019】
揮発性組成物ディスペンサのいくつかの部分は接合されて、カートリッジ76を形成してもよい。例えば、リザーバ、送出エンジン(単数又は複数)、蒸発面(単数又は複数)、及び/又は蒸発支援要素は、1つ以上のカートリッジ76として共に接合されてもよい。図1を参照すると、リザーバ28又は30、送出エンジン38、及び蒸発面48は共に接続されて、カートリッジ76を形成する。図1に示す揮発性組成物ディスペンサは、例えば、2つのカートリッジ76を含む。
【0020】
カートリッジ又はリザーバは、新しい、異なる、又は交換用の揮発性組成物をリザーバに提供するために交換可能であってもよい。又は、リザーバは、新たな総放出プログラムにおいて揮発性組成物ディスペンサ内で再充填及び再利用されてもよい。
【0021】
単に例示のために図1~3に示されるヒーター40及び42などのヒーターは、揮発性組成物のボトルから突出する芯を少なくとも部分的に取り囲む円形リングの形態をとる加熱要素を含んでもよい。
【0022】
リザーバは、揮発性組成物を収容するための、図1に示すようなシール36を含んでもよい。揮発性組成物ディスペンサ20及び/又はリザーバ28並びに30は、揮発性組成物が放出されていないときに芯38を覆うための追加シールを更に含んでもよい。
【0023】
図1は、2つのリザーバ、2つの蒸発支援要素、及び2つの送出エンジンを示すが、揮発性組成物ディスペンサは、1つ、2つ、3つ、又はそれ以上のリザーバを含み得ることを理解されたい。揮発性組成物ディスペンサ内の各リザーバは、別個の送出エンジンを含んでもよい。単一の蒸発支援要素は、1つ以上の蒸発面に使用されてもよい、又は各蒸発面は、固有の蒸発支援要素に隣接してもよい。揮発性組成物ディスペンサが2つ以上のリザーバを含む場合、各リザーバは、異なる揮発性組成物を収容してもよい、又は同じ揮発性組成物を収容してもよい。
【0024】
図1~3では、揮発性組成物ディスペンサ20は2つのリザーバを含んでいるが、揮発性組成物ディスペンサは1つ又は2つ以上のリザーバを含んでもよいことを理解されたい。1つのリザーバが存在する場合、揮発性組成物ディスペンサは、1つのリザーバとそれぞれが流体連通している1つ、2つ、又は3つ以上の送出エンジンと、送出エンジンと流体連通している1つ、2つ、又は3つ以上の蒸発面と、を含み得る。このような構成では、揮発性組成物ディスペンサは、1つ以上の蒸発支援要素を含んでもよい。2つ以上の送出エンジンが単一のリザーバと流体連通している場合、各送出エンジンは、同じ揮発性組成物を揮発させるために使用され得る。この構成により、芯などの各送出エンジンは、蒸発支援要素が低エネルギーを送出する又はオフとなる延長期間を有して、揮発性組成物を送出エンジンから排出し、場合によっては取り除くための各送出エンジン時間を設けることができる。このような構成は、送出エンジンが、揮発性組成物の成分の芯詰まりが起こり得る芯の形態である場合に特に有用であり得る。
【0025】
芯の代わりに、送出エンジンは通気性膜から構成されてもよい。図4及び5を参照すると、揮発性組成物ディスペンサ70はカートリッジ76を含み得る。カートリッジ76は、揮発性組成物を収容するための液体リザーバ72と、米国特許第8,709,337号及び米国特許第8,931,711号に開示されているような液体リザーバ72を囲む通気性膜の形態の送出エンジン74と、を含んでもよい。揮発性組成物ディスペンサ70はまた、単に例示のために図5に示されるようなファンの形態の蒸発支援要素44を含んでもよい。本明細書で使用されるとき、通気性膜は、液体が自由に膜から流れ出るのを防止することで漏出の問題に対処する蒸気透過性膜である。
【0026】
好適な膜としては、米国特許第7,498,369号に記載されるようなシリカが所望により充填されたUHMWPEタイプの膜が挙げられるが、これに限定されない。このようなUHMWPE膜としては、Daramicから入手可能なDaramic(商標)V5、DSM(Netherlands)から入手可能なSolupor(登録商標)、PPG Industriesから入手可能なTeslin(商標)SP1100HD、及びこれらの組み合わせが挙げられる。他の好適な通気性膜としては、単独の、共押出された、織布もしくは不織布の、エラストマー、ゴム、固体、シリカ、又はこれらの組み合わせと混合された又は組み合わされたアセタール、アクリル、セルロース、フッ素樹脂、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニル、ポリオレフィン、スチレンなどを含む、任意の透過性のポリマー、熱可塑性、又は熱硬化性の材料が挙げられる。また、Dupontから入手可能なHytrel(商標)又はArkemaから入手可能なLotryl(商標)も好適である。図5に示されるような送出エンジン74は、消費者が揮発性組成物ディスペンサを使用するときに破裂機構80が係合するまで揮発性組成物を液体リザーバ内に封入しておく破裂可能基材78を有してもよい。消費者が揮発性組成物ディスペンサを使用する準備が整った時点で、消費者は、破裂機構80を用いて破裂可能基材78を破裂させることによって、液体リザーバ72内の揮発性組成物を通気性膜と接触させることができる。
【0027】
図2を参照すると、揮発性組成物ディスペンサ20は、揮発性組成物ディスペンサ20によって放出される揮発性組成物を変更するスイッチ機構50を含んでもよい。スイッチ機構50は、揮発性組成物ディスペンサに、放出される揮発性組成物を変更させるいかなる好適な種類の機構も含むことができる。図示される実施形態では、スイッチ機構は、ヒーターなどの蒸発支援要素の作動を制御して、所望する揮発性組成物を放出させるためにヒーターをオンにする。好適なスイッチ機構として、アナログタイミング回路、デジタル回路、アナログ及びデジタル回路の組み合わせ、マイクロプロセッサ、及び形状記憶合金(NiTi線)又はバイメタルスイッチのような機械的作動スイッチが挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
図2及び6を参照すると、スイッチ機構50は、プリント回路基板(即ち、「PCB」)の形態のアナログ及びデジタル回路の組み合わせを含んでもよい。回路は、非限定的な例では、片面PC基板52と、コンデンサC1と、一対のダイオードD1及びD2と、3つのトランジスタQ1、Q2、及びQ3と、5つの抵抗器R1~R5と、3つのカウンタU1、U2、及びU3と、第3のダイオードZ1と、を含んでもよい。蒸発支援要素がヒーターである場合、抵抗ヒーター(いくつかの種類が市販されている)を含むがこれらに限定されない任意の好適な種類のヒーターを使用することができる。ヒーター40及び42、並びに図6で壁搭載型電源プラグとして示される電源26もまた、ワイヤ66によって回路基板52に接続される。回路の好適な構成要素を、以下の表に記載する。
【0029】
【表1】
【0030】
回路の構成要素は、貫通孔又は表面に実装されてもよい。図6に示される構成では、貫通孔構成要素を有する38×66mmの片面PC基板52が使用される。PC基板52を含む材料は、FR-4エポキシ基繊維ガラスなどの標準材料であってもよいが、任意のUL認定材料も許容可能である。図6に示す電源26は、PC基板内に約100mmのピグテールを有する成形壁プラグである。図7は、回路の一実施例の概略図である。この回路は、数十時間にわたって2つの経路間で電流を交番させるタイミング機能を提供し、各ヒーターが予め選択された時間でオン及びオフにされる。
【0031】
スイッチ機構としては、以下の代替種類のスイッチ機構:(1)一定の回転数後、揮発性組成物ディスペンサが1つの揮発性組成物から別の揮発性組成物へ切り換えるように、揮発性組成物(単数又は複数)を分散させるために使用されるファンのモータの回転数をカウントするピックアップ付き磁気センサ、(2)周囲温度で回路を完成して、次にある温度に到達したときに切断することができる二重形状記憶合金、又はバイメタルストリップもしくはスイッチを備える揮発性組成物ディスペンサ、が挙げられるが、これらに限定されない。温度が低下すると、材料が再び回路を完成し、ヒーターをオンに維持した後にオフにするサーモスタットとしての役割を果たすために、この二方向効果を利用することができる。形状記憶合金は、ヒーターとして、並びにパルス発生器として役立ててもよい。
【0032】
揮発性組成物ディスペンサ20は、多くの追加オプション機能を含むことができる。揮発性組成物ディスペンサは、放出される揮発性物質が変更されたことを人が更に認知できるように、インジケータを備えてもよい。このようなインジケータは、光又は音などの視覚的及び/又は音響的であってもよい。例えば、香り付き物質の場合、そのようなインジケータにより、人は所与のときにどの香りが放出されているかが分かり得る。図6~8を参照すると、インジケータは、光70及び72の形態であってもよい。別の例では、揮発性組成物ディスペンサ20(例えば、ハウジングの全部又は一部)又はリザーバの少なくとも一部は、加熱されたときに色が変わる種類のプラスチックで作製されてもよい。
【0033】
揮発性組成物ディスペンサには、追加のユーザー制御器を設けることができる。揮発性組成物ディスペンサは、ユーザーが電気ソケットから取り外さずに揮発性組成物ディスペンサをオンオフできるようにする電源スイッチを更に備えることができる。揮発性組成物ディスペンサには、1つ以上の揮発性組成物の別個の放出期間、及び/又は異なる揮発性組成物の放出時間又は同時の動作期間中の揮発性物質の放出時間、をユーザーが制御できるようにする制御器を設けることができる。例えば、1つの非限定的な実施形態では、揮発性組成物ディスペンサに、15分~48時間の期間中に各揮発性物質を放出する能力が設けられる場合、揮発性組成物ディスペンサには、ユーザーが1つ以上の揮発性組成物の別個の放出期間を、例えば30分間、45分間、72分間、又は1時間に設定できるようにする制御器を設けることができる。
【0034】
揮発性組成物ディスペンサには、追加のユーザー制御器を設けることができる。揮発性組成物ディスペンサは、ユーザーが1つ以上の揮発性組成物の熱源の温度設定を調節できるようにするサーモスタット又は他のスイッチを含むことができる。設定は、特定の揮発性組成物に対して定義されてもよい、又は芯に加えられる選択された温度に基づいて調節可能であってもよい。設定は、例えば、ユーザーが、揮発性組成物ディスペンサ上に直接、又は遠隔制御(コンピュータ、電話など)を通じて遠隔に設定することができる、低及び高設定、又は低、中、及び高設定を含んでもよい。装置は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、又はそれ以上の異なる強度設定を有してもよい。設定は、強度(即ち、高、中、低など)又は部屋型(即ち、浴室、寝室、リビング、台所など)として標示されてもよい。
【0035】
揮発性組成物ディスペンサはセンサも含んでもよく、センサの読み取り値を調整するようにプログラムされてもよい。例えば、揮発性組成物ディスペンサは、温度センサ、相対湿度センサ、揮発性材料センサ、光センサ(例えば、日/夜を検出する)などのセンサを含んでもよい。
【0036】
揮発性組成物ディスペンサは、無線通信リンクを使用して、センサ(単数又は複数)、蒸発支援要素、ユーザーインターフェースなどを含む、ディスペンサの様々な構成要素と通信可能に接続可能であってもよい。802.11(Wi-Fi)、802.15.4(ZigBee、6LoWPAN、Thread、JennetIP)、Bluetooth、これらの組み合わせなどを含む様々な無線通信リンクが使用され得る。接続は、アドホックメッシュネットワークプロトコルを介してもよい。コントローラは、コントローラを用いてシステムの各種構成要素との無線通信リンクを確立するために、無線通信モジュールを含んでもよい。このような通信リンクを確立するために、当該技術分野において既知な任意のモジュールを利用することができる。コントローラは、NEST(登録商標)学習サーモスタットなどの機械学習アルゴリズムを利用することを含んでもよい。
【0037】
カートリッジ又はリザーバは、RFIDタグなどの識別タグを含んでもよく、揮発性組成物ディスペンサのハウジングが、RFIDタグリーダーを含んでもよい。RFIDタグは、香りなどのカートリッジ又はリザーバに収容された揮発性組成物についてコントローラの詳細を試験するために使用されてもよい。揮発性組成物ディスペンサは、RFIDタグから読み取られた情報を考慮するように調節するプログラムを含んでもよい。
【0038】
揮発性組成物ディスペンサは、カートリッジ又はリザーバと接触すると、揮発性組成物が満杯の新たな又は再充填されたカートリッジ又はリザーバが挿入されていること、古いカートリッジ又はリザーバが取り外されていることなどを含むが、これらに限定されないことを示す信号を揮発性組成物ディスペンサに提供する触知スイッチ又は表示点を含んでもよい。PCBは、これらの信号を解釈し、例えば、揮発性組成物が「満杯」である新たな又は再充填されたカートリッジ用の総放出プログラムを開始するようにプログラムされた命令を、揮発性組成物ディスペンサに実行させる。
【0039】
揮発性組成物ディスペンサはまた、揮発性組成物ディスペンサと揮発性組成物の1つ以上のリザーバとを含むキットの形態で販売することができる。揮発性組成物ディスペンサ及び/又はキットはまた、所望の結果を生じるために使用され得る別個の放出期間についてユーザーに指示する使用命令、及び/又は揮発性組成物ディスペンサを所与の空間に配置する場所に関する命令を更に含むことができる。例えば、命令は、揮発性組成物ディスペンサが配置される部屋や車両などのサイズに基づいて揮発性組成物ディスペンサを設定するための命令を含んでもよい。このような命令は、香りにより気づきやすくなるように、香り付き物質の放出をより頻繁に行うユーザーへの命令も含み得る。また、命令は、揮発性組成物ディスペンサを他の揮発性組成物ディスペンサに対してどのように動作させるかを指定するために提供されてもよい。命令は、例えば、書面、音声、及び/又は映像などの任意の好適な形態で提供することができる。
【0040】
揮発性組成物ディスペンサは、プラグ又は電池などの電源を含んでもよい。揮発性組成物ディスペンサは、電気コンセントに差し込む必要がないように電池式であってもよい。プラグが電源として電気コンセントに接続される場合、プラグはコードを含んでもよい、又は壁搭載型プラグであってもよい。揮発性組成物ディスペンサはまた、電源に差し込まれ、電源から電力を供給されるように構成されてもよく、電池式であってもよい。揮発性組成物ディスペンサは、車両内のタバコ用ライターに差し込めるように、アダプタが設けられてもよい。また、揮発性組成物ディスペンサは、ユーザーが揮発性組成物ディスペンサに触ることなく揮発性組成物ディスペンサの放出特性のいずれか又は全てを制御できる(放出される揮発性物質の変更が挙げられるが、これに限定されない)ようにする遠隔制御器が設けられてもよい。
【0041】
揮発性組成物ディスペンサは、アナログ回路と比べて構成部品が少なく、ロット毎の回路品質が向上したマイクロプロセッサを備えてもよい。マイクロプロセッサは、性能を変化させる変調によって、ユーザーが温度プロフィールをプログラミングしかつ制御できるようにすることが可能である。必要に応じて、マイクロプロセッサはユーザーインターフェースに接続されてもよい。これは、任意の好適なタイプのユーザーインターフェースであることができる。ユーザーインターフェースの種類の例としては、LCDスクリーン及びLED、ボタン(側方に移動するプッシュボタン又はボタン)、ダイヤルなどが挙げられるが、これらに限定されない。また、マイクロプロセッサの構成要素により、複数の揮発性組成物ディスペンサ(例えば、部屋の異なる部位、又は異なる部屋に配置された装置)は相互に通信することができる。例えば、マイクロプロセッサは、遠隔制御により、赤外線を介してデジタル信号を送信して、別の揮発性組成物ディスペンサをオン又はオフにすることができる。
【0042】
ヒーター又はファンなどの蒸発支援要素は、様々な動作条件で動作するようにプログラムされてもよい。以下でより詳細に説明するように、蒸発支援要素は、様々な別個の放出期間、任意の蒸発支援要素の放出間の間隙、経時的に変化するエネルギープロファイル、ランダム化されたエネルギープロファイル、同時放出期間、及びこれらの組み合わせを有するように構成されてもよい。これらの動作方法のそれぞれは、単独で又は組み合わせて、揮発性組成物のユーザーの認知性を促進する、及び/又は揮発性組成物の短期的又は長期的な慣れの可能性を低減することができる。
【0043】
本明細書で使用されるとき、「別個の放出期間」という用語は、所与の揮発性組成物が放出シーケンスで放出される個々の期間を指す。この期間は、一般に、蒸発支援要素が揮発性組成物の所与の充填のためにオンにされる期間に対応し得るが、蒸発支援要素の動作と揮発性組成物の放出との間にわずかな遅れが存在し得る。本明細書で使用されるとき、「延長放出期間」という用語は、蒸発支援要素がオフである動作中の間隙によって分離され得る複数の連続する別個の放出期間を含む。
【0044】
「総放出プログラム」は、エネルギーブースト及び延長放出期間を構成する、全ての別個の放出期間及び放出の間隙のためのオフ時間を含む、カートリッジ内の揮発性組成物の「充填」体積の開始時から終了時までのシーケンス全体を指す。本明細書で使用されるとき、「充填」又は「充填された」は、リザーバ内の利用可能な体積の全部又は略全部を占めることが意図される揮発性組成物の量を指し、これは、送出エンジンなどのリザーバ内に配置され得る揮発性組成物ディスペンサの任意の他の要素によって占められる任意の体積を除く。リザーバは、典型的には、リザーバの全利用可能容積の少なくとも80%、85%、90%、又は95%まで揮発性組成物によって占有又は充填される。次いで、総放出プログラムは、リザーバ内の揮発性組成物の全部又は略全部を蒸発させるように設計される。
【0045】
総放出プログラムは連続的であってもよい。「連続」という用語は、放出プログラムを参照して使用されるとき、いったんプログラムが開始されれば、全期間にわたる計画された放出シーケンスが存在することを意味する。この放出プログラムは、上述したように、放出中の間隙が存在する期間を含むことができる。これは、連続的な放出プログラムであると考えられるが、必ずしも揮発性組成物の連続的な放出が存在しなくてもよい。しかしながら、需要に応じて、放出プログラムがユーザーによって中断可能である(例えば、オフにされる)ことが可能であることを理解されたい。したがって、本方法は、ユーザーインターフェースを提供することができ、ユーザーインターフェースにより、ユーザーは放出プログラムを中断することができる。放出プログラムは、揮発性組成物の少なくとも1つがカートリッジから実質的に枯渇するまで連続的に、又は略連続的に動作するように設計されてもよい。放出プログラムは、揮発性組成物の全てが実質的に枯渇するまで連続的に実行され、このため、略同時に行われることが望ましい場合がある。
【0046】
総放出プログラムが中断される場合、ディスペンサは、揮発性組成物ディスペンサが電源から切り離されたときに開始された最後の放出シーケンスを記録するためのメモリを備えて構成されてもよい。揮発性組成物ディスペンサの動作が再開されると、最後に記録されたシーケンスのメモリは、総放出プログラムを正確な放出シーケンスに戻すように復活させる。総放出プログラムは、新たな又は再充填されたリザーバ/カートリッジがハウジング内に設置されるプログラムの開始時にのみ再起動することができる。
【0047】
総放出プログラムは、10日間、好ましくは15日間、好ましくは20日間、好ましくは25日間、好ましくは30日間、より好ましくは45日間、より好ましくは60日間、より好ましくは90日間、より好ましくは130日間、より好ましくは150日間、又はより短いもしくはより長い期間、又は30~150日の任意の期間を含み得るが、これらに限定されない。
【0048】
揮発性組成物ディスペンサ内の各蒸発支援要素の別個の放出期間は、2分~48時間、あるいは5分~48時間、あるいは10分~48時間、あるいは15分~48時間、あるいは20分~24時間、あるいは30分~8時間、あるいは45分~4時間の範囲であり得る。蒸発支援要素によって供給されるエネルギーが大きいほど、例えば、ヒーターによって与えられる温度が高いほど、空気中に認知可能な量の揮発性組成物を提供するために必要とされ得る別個の放出期間が短くなる。
【0049】
特定の蒸発支援要素の別個の放出期間中、蒸発支援要素は、連続的にオンになる。2つ以上の蒸発支援要素を備える揮発性組成物ディスペンサでは、蒸発支援要素は、交互に起こる別個の放出期間を有し得る。交互システムでは、1つの蒸発支援要素がオンにされる一方、他の蒸発支援要素(単数又は複数)がオフにされてもよい。又は、1つ以上の蒸発支援要素が所与の時間にオンにされてもよい。2つ以上の蒸発支援要素の動作は、ある期間にわたって重複し得る。各蒸発支援要素の別個の放出期間が長いほど、ユーザーの認知性を高めるために、周囲空間における揮発性組成物の濃度が高くなる可能性がある。また、全ての蒸発支援要素がオフにされる期間も存在し得る。各蒸発支援要素は、同じ別個の放出期間を有するように構成されてもよい、又は蒸発支援要素の一部又は全部が、異なる別個の放出期間を有するように構成されてもよい。
【0050】
蒸発面からの揮発性組成物の蒸発速度は、総放出プログラムにわたって5mg/時~200mg/時、好ましくは10mg/時~100mg/時、より好ましくは10mg/時~80mg/時、より好ましくは15mg/時~60mg/時、より好ましくは15mg/時~50mg/時、より好ましくは15mg/時~35mg/時であり得る。
【0051】
総放出プログラムの終了付近では、揮発性組成物ディスペンサは、プラグを抜かれて、新しいカートリッジ又はリザーバが設置されるまで、最高温度又はファン速度などの最大電力出力又はその付近で動作することができる。
【0052】
総放出プログラムは、揮発性組成物がリザーバから枯渇したときに蒸発支援要素をオフにするように構成されてもよい。例えば、蒸発支援要素は、所定の強度設定のための所定の期間後にオフになってもよい。蒸発支援要素をオフにすることによって、リザーバが再充填される、又は新たな揮発性組成物充填物と交換されるまで、エネルギーは蒸発支援要素から印加されない。
【0053】
変動エネルギー
総放出プログラムにわたって蒸発面によって印加されるエネルギーを変化させることは、揮発性組成物の消費者の認知性を向上させ、揮発性組成物の慣れを防止するのに役立てることができる。揮発性組成物ディスペンサから蒸発した揮発性組成物の認知性を高め、揮発性組成物ディスペンサ中の揮発性組成物の寿命にわたって認知性が継続的に低下することを防止するため、蒸発速度は、一定、略一定、漸増、又は可変であってもよい。一定、略一定、漸増、又は可変の蒸発速度を達成するために、蒸発支援要素によって蒸発面に印加されるエネルギーを変化させて、総放出プログラムにわたって所望の蒸発プロファイルを達成することができる。例えば、一定、略一定、又は漸増する蒸発速度を提供するため、蒸発支援要素の電力及び/又は蒸発支援要素のオン時間を、継続的に増加させることができる。蒸発速度を漸増させるために蒸発支援要素によって提供される電力及び/又は蒸発支援要素のオン時間は、一定又は略一定の蒸発速度を維持するようにプログラムされた蒸発支援要素の動作よりも、印加電力及び/又は蒸発支援要素のオン時間を大きくする必要があり得る。全放出サイクルにわたってランダム又は可変の蒸発速度を生成するために、蒸発支援要素によって印加される電力及び/又は蒸発支援要素のオン時間は、経時的に増加、維持、及び/又は減少させることができる。蒸発面に印加されるエネルギーは、様々な周波数で調節され得る。
【0054】
蒸発支援要素を介して蒸発面に印加されるエネルギーは、熱、発熱反応、空気流などの形態であってもよい。長期間にわたって蒸発支援要素を動作させることは、比較的短期間にわたって蒸発支援要素への電力を増加させるのと同じ、同様、又は追加の効果を揮発性組成物の蒸発に及ぼすことができる。単独で、又は蒸発支援要素の選択と組み合わせて、蒸発面に印加されるエネルギーを増加させるもう1つの方法は、蒸発支援要素に対して露出される蒸発面の表面積の量を調節することを含み得る。例えば、エネルギーブーストは、蒸発支援要素に対してより多くの蒸発面を露出させることを含み得る。同様に、エネルギーの減少も、蒸発面の露出表面積の減少に起因し得る。
【0055】
蒸発面に印加されるエネルギーは、総放出プログラム内の任意の所与の点で増加、減少、又は維持させることができる。エネルギーを増加させた(「エネルギーブースト」)、エネルギーを減少させた、及び/又はエネルギーを維持させた延長放出期間の組み合わせを有する総放出プログラムは、揮発性組成物ディスペンサに、市販の揮発性組成物ディスペンサよりも高い消費者の受容度を提供することが判明している。
【0056】
また、消費者はカートリッジの寿命開始時に、揮発性組成物の最小レベルの認知性を期待することが分かっている。寿命開始時のこの期待を満たす揮発性組成物ディスペンサは、実際に、寿命の開始時だけでなく総放出プログラムにおいて、揮発性組成物ディスペンサに対する消費者の受容度を向上させることができる。したがって、消費者の最小レベルの認知性要件を満たす又は超えるために、総放出プログラムの開始時には、比較的高いエネルギーのエネルギーブースト期間が望ましい場合がある。したがって、揮発性組成物ディスペンサの総放出プログラムの最初の24動作時間に蒸発面に印加される初期エネルギーブースト期間は、揮発性組成物の消費者の最小の所望蒸発速度を満たす又は超えるのに十分な長さであるべきである。
【0057】
リザーバ内の揮発性組成物の寿命全体での様々な延長放出期間におけるエネルギーブーストは、蒸発面からの揮発性組成物の蒸発速度を経時的に維持又は上昇させることによって、総放出プログラムにわたる揮発性組成物の認知性を高めることができる。
【0058】
総放出プログラムはまた、蒸発面に印加されるエネルギーを減少させた延長放出期間を含んでもよい。期間にわたって蒸発面に印加されるエネルギーを減少させることにより、揮発性組成物を節約することで、揮発性組成物が総放出プログラムの総時間を延長させることができる。蒸発面に印加されるエネルギーを減少させることはまた、後続のエネルギーブーストが、同じ期間にわたるエネルギーのより大きな変化をもたらし得るため、経時的な認知性を向上させることができる。
【0059】
総放出プログラムは、蒸発面に印加されるエネルギーを維持させた延長放出期間を含んでもよい。エネルギーブーストの期間の間に蒸発面に印加されるエネルギーを維持することで、揮発性組成物を節約して、カートリッジからの揮発性組成物の枯渇を先に延ばすことができる。消費者の認知性を高めるために必要とされるよりも高い頻度でエネルギーを印加することで、必要とされるよりも多くの揮発性組成物を揮発させることができる。
【0060】
延長放出期間は、エネルギーを減少させる期間、エネルギーを維持する期間、前のもしくは次のエネルギーブーストのエネルギー未満でエネルギーを比較的小さく増加させる期間、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0061】
エネルギーブースト期間の長さは、エネルギーを減少させる及び/又は維持する延長放出期間の長さの最大半分まで延長してもよい。又は、エネルギーブーストの長さは、エネルギーを減少させる及び/又は維持する延長放出期間の長さの最大3分の1まで延長してもよい。エネルギーブーストは、間に延長放出期間を挟んで、1日1回、1週間に1回、又は2週間に1回行われてもよい。
【0062】
蒸発支援要素(単数又は複数)がヒーターである構成では、エネルギーブーストは、温度の上昇を含み得る。このような構成では、1つのエネルギーブーストは、約40℃~約80℃の範囲の温度であってもよく、次のエネルギーブーストは、約50℃~約90℃の範囲の温度であってもよく、次のエネルギーブーストは、約60℃~約100℃の範囲の温度であってもよい。
【0063】
エネルギーが、蒸発支援要素(単数又は複数)の別個の放出期間の時間長をとおして調節される構成では、1つのエネルギーブーストは、20分~90分の別個の放出期間(単数又は複数)を有してもよく、次のエネルギーブーストは、40分~110分の別個の放出期間(単数又は複数)を有してもよく、次のエネルギーブーストは、60分~130分の別個の放出期間(単数又は複数)を有してもよい。
【0064】
エネルギーブースト期間は、エネルギーブースト期間の直前に印加されるエネルギーの少なくとも5%、又は少なくとも10%、又は少なくとも15%、又は少なくとも20%、又は少なくとも30%、又は少なくとも40%、又は少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも75%、又は少なくとも100%、又は少なくとも150%、又は少なくとも200%、エネルギーを増加させることができる。エネルギーブースト期間におけるエネルギーの増加が大きいほど、エネルギーブースト期間中及びエネルギーブースト期間後に、消費者にとって揮発性組成物の認知性が高まり得る。総放出プログラムにおける連続的なエネルギーブースト期間は、所望の均一又は上昇した蒸発速度を達成するために、前のエネルギーブースト期間よりも高いパーセントで増加し得る。
【0065】
エネルギーブースト期間は、エネルギーブースト期間前の蒸発速度の少なくとも5%、又は少なくとも10%、又は少なくとも15%、又は少なくとも20%、又は少なくとも30%、又は少なくとも40%、又は少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも75%、又は少なくとも100%、又は少なくとも150%、又は少なくとも200%、蒸発速度を上昇させ得る。
【0066】
エネルギーブースト期間は、リザーバ内の揮発性組成物の寿命を延ばすために、延長放出期間の時間長より短い時間長にわたって発生させ得る。したがって、エネルギーブースト期間の時間長は、延長放出期間の長さの半分以下であってもよい、又はエネルギーブースト期間の長さは、延長放出期間の長さの3分の1以下であってもよい。エネルギーブースト期間は、1日にわたって発生させてもよく、延長放出期間は、例えば2~6日間にわたって発生させてもよい。又は、エネルギーブーストは、2日間にわたって発生させてもよく、延長放出期間は、例えば4~6日間にわたって発生させてもよい。
【0067】
詳細な説明及び特許請求の範囲を通じて、エネルギーブーストは、「第1のエネルギーブースト」、「第2のエネルギーブースト」、「第3のエネルギーブースト」などと称される場合がある。「エネルギーブースト」という用語と共に使用される数字は、異なるエネルギーブースト間の差異に対してのみ使用され、エネルギーブーストが発生する順序を限定することを意図するものではないと理解されたい。即ち、追加のエネルギーブースト又は複数のエネルギーブーストが、2つの連続して番号付けされたエネルギーブースト間で発生してもよい。例えば、「第2のエネルギーブースト」及び「第3のエネルギーブースト」は、追加の1つ以上のエネルギーブーストによって分離されてもよい。
【0068】
総放出プログラムは、以下に記載され、図8に例示されるエネルギーブースト期間及び延長放出期間を有するプログラム1のような計画された放出シーケンスに従うことができる。
【0069】
プログラム1:
1.第1のエネルギーでの第1のエネルギーブースト、
2.第1のエネルギー未満にエネルギーを減少させる又はエネルギーを一定とする第1の延長放出期間、
3.第2のエネルギーでの第2のエネルギーブースト、
4.第2のエネルギーで動作する第2の延長放出期間、
5.第3のエネルギーブースト、
6.第3のエネルギーで動作する第3の延長放出期間、
7.第4のエネルギーブースト、
8.第4のエネルギーで動作する第4の延長放出期間、
9.第5のエネルギーブースト、
10.第5のエネルギーで動作する第5の延長放出期間。
【0070】
プログラム1におけるエネルギーは、所与の期間、蒸発支援要素が動作する最大電力出力に占めるパーセントを調節することによって変更した。最大電力出力に占める%を変更することは、単独で、又は2つ以上の蒸発支援要素を有するシステム内の別個の放出期間の調節と組み合わせて使用することができる。
【0071】
プログラム1の結果、図9に示す蒸発速度がもたらされる。概して、揮発性組成物の蒸発速度は、初期蒸発速度で開始し、徐々に低下し、印加されるエネルギーブースト毎に上昇し、次いで略一定となる又は非常に緩やかに低下する。エネルギーブーストは、総放出プログラムにわたって消費者の認知性を高める。総放出プログラムにわたるエネルギーブーストと、それに続きエネルギーが維持される延長放出期間の結果、図10に示されるように、経時的に蒸発速度が徐々に低下する現在の市販の制御装置と比較して、経時的に消費者にとって好ましい狭い蒸発速度範囲内での動作がもたらされる。
【0072】
プログラム1は、追加の延長放出期間を含む、又はより少ない延長放出期間を含むように修正されてもよい。プログラム1は、追加の又はより少ないエネルギーブースト期間を含むことができる。総放出プログラムの各延長放出期間は、異なる時間長にわたって持続し得る。例えば、エネルギーブーストは、1日又は2日間にわたって印加されてもよい。エネルギー及び/又はエネルギーを維持する期間を減少させる別個の放出工程は、少なくとも1日間、又は少なくとも2日間、又は少なくとも3日間、又は少なくとも4日間、又は少なくとも5日間、又は少なくとも6日間持続し得る。
【0073】
総放出プログラムは、以下に記載され、図11に例示されるエネルギーブースト及び延長放出期間を有するプログラム2のような計画された放出シーケンスに従うことができる。
【0074】
11.第1のエネルギーでの第1のエネルギーブースト、
12.第1のエネルギー未満にエネルギーを減少させる又はエネルギーを一定とする第1の延長放出期間、
13.第2のエネルギーでの第2のエネルギーブースト、
14.第2のエネルギーで動作する第2の延長放出期間、
15.第3のエネルギーブースト、
16.第3のエネルギーで動作する第3の延長放出期間、
17.第4のエネルギーブースト、
18.第4のエネルギーで動作する第4の延長放出期間、
19.第5のエネルギーブースト、
20.第5のエネルギーで動作する第5の延長放出期間。
【0075】
プログラム2におけるエネルギーは、所与の期間、蒸発支援要素が動作する最大電力出力に占めるパーセントを調節することによって変更した。最大電力出力に占める%を変更することは、単独で、又は2つ以上の蒸発支援要素を有するシステム内の別個の放出期間の調節と組み合わせて使用することができる。
【0076】
揮発性組成物ディスペンサは、例えば、高、中、及び低又は高及び低などの、複数のユーザー制御設定を有するように構成されてもよい。図12は、高、中、及び低設定を有する揮発性組成物ディスペンサ用のプログラム2の総放出プログラムを示す。高、中、及び低設定に関しては、蒸発面に印加されるエネルギーは、総放出プログラムにわたってプログラム2の同じ概略的な延長放出期間に従うが、エネルギーレベルが異なり、高は最も高いエネルギーレベルを使用し、低は最も低いエネルギーレベルを使用する。
【0077】
プログラム2は、追加のエネルギーブースト、又はエネルギーを減少させる、もしくはエネルギーを維持する追加の延長放出期間を含むように修正されてもよい。プログラム2はまた、示されるよりも少ない延長放出期間を含むように修正されてもよい。総放出プログラムの各延長放出期間は、異なる時間長にわたって持続し得る。例えば、エネルギーブーストは、1日又は2日間にわたって印加されてもよい。エネルギー及び/又はエネルギーを維持する期間を減少させる延長放出期間は、少なくとも1日間、又は少なくとも2日間、又は少なくとも3日間、又は少なくとも4日間、又は少なくとも5日間、又は少なくとも6日間持続し得る。
【0078】
総放出プログラムは、以下に記載され、図13に例示されるプログラム3のような計画された放出シーケンスに従うことができる。
【0079】
1.第1のエネルギーでの第1のエネルギーブースト、
2.第1のエネルギー未満にエネルギーを減少させる又はエネルギーを一定とする第1の延長放出期間、
3.第2のエネルギーでの第2のエネルギーブースト、
4.第2のエネルギーで動作する第2の延長放出期間、
5.第3のエネルギーでの第3のエネルギーブースト、
6.第3のエネルギー未満で動作する第3の延長放出期間、
7.第4のエネルギーでの第4のエネルギーブースト、
8.第4のエネルギー未満で動作する第4の延長放出期間、
9.第5のエネルギーでの第5のエネルギーブースト、
10.第5のエネルギー未満で動作する第5の延長放出期間、
11.第6のエネルギーでの第6のエネルギーブースト、
12.第6のエネルギー未満で動作する第6の延長放出期間、
13.第7のエネルギーでの第7のエネルギーブースト、
14.第7のエネルギー未満で動作する第7の延長放出期間。
【0080】
プログラム3のエネルギーは、蒸発支援要素の別個の放出期間の長さを調整することによって変更した。別個の放出期間の長さを変更することは、単独で、又は蒸発支援要素の最大電力出力に占めるパーセントの変更と組み合わせて使用することができる。
【0081】
揮発性組成物ディスペンサ用のプログラム3の総放出プログラムは、図13に示す高、中、及び低設定を有する。高、中、及び低設定では、蒸発面に印加されるエネルギーは、総放出プログラムにわたってプログラム3の同じ概略的な延長放出期間に従うが、蒸発支援要素の別個の放出期間の長さが異なり、高は最長の別個の放出期間を有し、低は最短の別個の放出期間を有する。
【0082】
プログラム3は、追加のエネルギーブースト、又はエネルギーを減少させる、もしくはエネルギーを維持する追加の延長放出期間を含むように修正されてもよい。プログラム3はまた、示されるよりも少ない延長放出期間を含むように修正されてもよい。総放出プログラムの各延長放出期間は、異なる長さの時間、持続し得る。例えば、エネルギーブーストは、1日又は2日間にわたって印加されてもよい。エネルギー及び/又はエネルギーを維持する期間を減少させる延長放出期間は、少なくとも1日間、又は少なくとも2日間、又は少なくとも3日間、又は少なくとも4日間、又は少なくとも5日間、又は少なくとも6日間持続し得る。
【0083】
プログラム1、2、及び3、又はそれらの任意の修正は、1つ以上の蒸発支援要素、蒸発面、及び/又はカートリッジを有する揮発性組成物ディスペンサに使用され得る。各蒸発支援要素は、プログラム1、2、3、もしくはその任意の修正に従うことができる、又は1つの蒸発支援要素が、プログラム1、2、3、もしくはその任意の修正に従い、任意の追加の蒸発支援要素が、プログラム1、2、3、もしくはその任意の修正下で動作する蒸発支援要素と共に、別の総放出プログラムに従うことができる。蒸発支援要素は、同じ又は異なる総放出プログラムの動作を交互に入れ替えてもよい。
【0084】
均一な蒸発
総放出プログラムは、概して、経時的に均一な蒸発を達成するように構成され得る。蒸発面に印加されるエネルギーを増加させることで、リザーバ内の揮発性組成物の寿命全体にわたって平均的な蒸発速度がもたらされる。エネルギーは、複数の間隔にわたって3%~500%、好ましくは5%~300%、より好ましくは10%~200%、より好ましくは15%~100%増加させてもよい。間隔は、1~20日毎、好ましくは1~15日毎、より好ましくは1~10日毎、より好ましくは1~7日毎に、エネルギーブーストを含んでもよい。均一な蒸発速度のグラフを図14に示す。
【0085】
蒸発速度の上昇
別の操作方法は、蒸発面に印加されるエネルギーを経時的に増加させて、規則的に上昇する平均蒸発速度をもたらすことを含む。蒸発速度を上昇させるため、蒸発面に印加されるエネルギーは、規則的な間隔で3%~500%上昇させ得る。規則的な間隔は、1~20日毎、好ましくは1~15日毎、より好ましくは1~10日毎、より好ましくは1~7日毎にエネルギーを増加させ得る。新たに確立された各蒸発速度は、前の蒸発速度よりも1%~500%、より好ましくは前の蒸発速度よりも5%~400%、より好ましくは前の蒸発速度より10%~300%、より好ましくは前の蒸発速度の10%~250%、より好ましくは前の蒸発速度の10%~200%速い。平均蒸発速度の上昇を示すグラフを図15に示す。
【0086】
ランダム蒸発速度
別の操作方法は、蒸発面に印加されるエネルギーを規則的又は不規則的な間隔で3%~500%増加又は減少させて、不規則に上昇又は低下するように変化する平均蒸発速度をもたらすことを含む。新たに確立された各蒸発速度は、前の蒸発速度よりも1%~500%、より好ましくは前の蒸発速度よりも5%~400%、より好ましくは前の蒸発速度よりも10%~300%、より好ましくは前の蒸発速度よりも10%~250%、より好ましくは前の蒸発速度よりも10%~200%速い又は遅い。揮発性組成物の寿命全体にわたって横ばいであるランダム蒸発速度のグラフを図16に示す。揮発性組成物の寿命全体にわたって増加するランダム蒸発速度のグラフを図17に示す。蒸発速度を経時的に変化させることで、別個の放出期間がいつ開始又は停止するかをユーザーが予測できないため、ユーザーが揮発性組成物に慣れる可能性を低減することができる。
【0087】
蒸発面に印加されるエネルギーが経時的に増加する場合、該方法は、広いエネルギー範囲で動作することを含み得る。例えば、ヒーターとして構成された蒸発支援要素に関しては、各リザーバに収容された揮発性組成物の寿命全体にわたって、各蒸発支援要素は、約25℃で開始し約120℃で終了する、より好ましくは約35℃で開始し約110℃で終了する、より好ましくは約40℃で開始し約110℃で終了する、より好ましくは約40℃で開始し約100℃で終了する、より好ましくは約45℃で開始し約100℃で終了する、より好ましくは約50℃で開始し約90℃で終了する温度範囲にわたって動作するように構成されてもよい。
【0088】
各蒸発支援要素は、システム内の任意の他の蒸発支援要素とは異なる温度を有し得る。更に、これらの蒸発支援要素の温度(各蒸発支援要素の場合)は、新たな別個の放出期間が開始されるたびに、増加又は減少のいずれかで変更させることができる。
【0089】
揮発性組成物の寿命全体にわたって蒸発支援要素の温度を変化させることに加えて、又はこれとは別に、蒸発速度を交互にする他の方法は、送出エンジンの表面積を増加もしくは減少させること、又は蒸発支援要素に対して露出される蒸発面を増加又は減少させること、及び/又は送出エンジンもしくは蒸発面への空気流を増加もしくは減少させることを含み得る。温度、空気流、及び表面積の調節は、送出エンジン又は蒸発面からの揮発性組成物の蒸発速度を制御するために、個々に又は並列に行われてもよい。
【0090】
揮発性組成物ディスペンサの総放出プログラムは、エネルギー変更、間隙期間、ランダム放出期間、及び/又は1つ以上の蒸発面及び1つ以上の蒸発支援要素での同時放出を含む、1つ以上の方法を含んでもよい。エネルギー変更、間隙期間、ランダム放出期間、及び/又は同時放出期間は、空間内の揮発性組成物のユーザーの認知性を向上させる、及び/又はユーザーが1つ以上の揮発性組成物に慣れる可能性を低減させる方法をもたらし得る。
【0091】
間隙期間
総放出プログラムは、揮発性組成物ディスペンサの全ての蒸発支援要素がオフにされる間隙期間(「間隙期間」)を含んでもよい。間隙期間を導入することによって、空間内の揮発性組成物の認知性が低下して、ユーザーが揮発性組成物に慣れにくくなる。
【0092】
同等の結果を達成するために使用され得るもう1つの方法は、蒸発面に提供されるエネルギーが、揮発性組成物の臭気検出閾値(「ODT」)に十分なレベルで揮発性組成物を蒸発させるのに必要なエネルギーを下回るように、蒸発支援要素のエネルギーを定期的に減少させることである。蒸発速度の低下とODT未満のレベルでの動作は、感覚刺激からの遮断をもたらすことで、刺激が再導入されるときの認知性を増強させることができる。この動作はまた、次のサイクル相の開始時に定常状態に戻すため、周囲条件よりも増強された状態に蒸発面を維持して、反応時間を早める、及び/又はエネルギーを減少させることができる。蒸発支援要素をオフにする代わりに、放出を低下させて動作する実施例を図18に示す。
【0093】
揮発性組成物のODT未満で動作することは、換言すれば、蒸発支援要素を最大電力出力の30%未満、又は最大電力出力の25%未満、又は最大電力出力の20%未満、又は最大電力出力の15%未満、又は最大電力出力の10%未満で、動作させることであり得る。
【0094】
上記の様々な構成で動作させるようにヒーター及びファンなどの蒸発支援要素をプログラムするための多くの異なるアプローチが存在する。非限定的な例として、揮発性組成物ディスペンサが、ヒーターの形態で2つの蒸発支援要素、ヒーターA及びヒーターBを含む場合、ヒーターBのオフ時間は、ヒーターAの動作のオン時間に等しく、並列(例えば、ヒーターAが動作している間にヒーターBが同時にオフになる)又は直列(例えば、ヒーターAが30分間オンとなり、次いでヒーターBが30分間オフとなる)に発生する。各ヒーターのオフ時間は、0分~48時間、好ましくは5分~24時間、より好ましくは10分~24時間の期間であってもよい。蒸発支援要素のオフ時間をプログラミングするもう1つのアプローチは、以下のように定義され得る。
ヒーターB(又はヒーターC、ヒーターDなどの任意の追加のヒーターもしくは蒸発支援要素)のオフ時間=D1+A1+D2
式中、
A1=ヒーターAのオン時間
D1=0分間~ヒーターAの最大動作時間(例えば、ヒーターAが300分間オンである場合、D1=0分~300分の期間)の遮断係数及び
D2=時間の「候補リスト」(1分、2分......1440分)から選択される遮断係数。D2は、予め定義する、アレイから選択する、「候補リスト」からランダムに選択する、又は乱数発生器を介して選択することができる。
【0095】
揮発性組成物ディスペンサの例示的なプログラムは、次のように定義され得る。ヒーターAがオンとなり、最大60分間加熱する。ヒーターAがオンである間、(並列動作では)ヒーターBは時間全体にわたってオフである。次に、ヒーターAがオフになり、ヒーターBがオンになり、ヒーターAが動作したのと同じ時間、動作する(ヒーターBがオンである間、ヒーターAはオフである)。次いで、ヒーターBはオフになる。ヒーターA及びBの両方は、例えば、0分、5分、10分、又は15分間にわたってオフ状態を維持する。この時点で、次のヒーター(例えば、ヒーターA、又は後続のヒーターCのいずれか)が始動される。サイクルは、プログラムの終了に達するまで継続する(プログラムサイクルは、例えば、60日として定義される)。ヒーターA=60分オンにし、ヒーターB=60分オフにし、10分間静置する例は以下のとおりである。
ヒーターA:オン時間=60分
D1=60分
D2=ソフトウェアが候補リスト「P1」から乱数を選択する(P1はA~Gのいずれかから選択され、ただし、A=0分、B=5分、C=10分、D=15分、E=20分、F=25分、G=30分である)。
ヒーターBのオフ時間=60+60+P1。
【0096】
プログラミングの説明は、ヒーター又はファンなどの任意の形態の蒸発支援要素に適用することができる。プログラミングはまた、第1の蒸発支援要素としてヒーターと、第2の蒸発支援要素としてファンとを有する揮発性組成物ディスペンサにおいて使用することもできる。
【0097】
同時動作
総放出プログラムは、1つ以上の蒸発支援要素を同時に動作させることを含み得る。蒸発支援要素は、複数のエネルギーレベルで同時に動作させて、より認知性が高い新たな揮発性組成物経験を生成することができる。複数の揮発性組成物を組み合わせ、当該揮発性組成物の蒸発速度を変化させることによって、(強度と特性の両方の点で)慣れを抑制する継続的に変化する経験を生み出すことができる。複数の揮発性組成物を経時的に有することにより、常に認知性を有し得る独特で絶えず変化する刺激が可能になる。複数の揮発性組成物を同時に動作させることは、システムの揮発性組成物の総量を節約しながらも、単一の揮発性組成物を利用することによって達成可能な蒸発速度よりも速い蒸発速度を可能にする。蒸発支援要素は、同時に動作する場合、各蒸発支援要素の動作の一部だけで同時に動作することができる。例えば、1つの蒸発面要素が一度に稼働してもよく、その後、蒸発支援要素が1つ以上の他の蒸発支援要素と同時に稼働し得る期間が続き、任意で、第1の蒸発支援要素が作動する期間がオフになり、1つ以上の他の蒸発支援要素(単数又は複数)が単独で稼働し得る期間が続いてもよい。
【0098】
同時動作(即ち、例えば同時に稼働している2つ以上のヒーターなどの蒸発支援要素)において、蒸発面温度、例えば、同時に動作している蒸発面の芯温度は、一次動作蒸発面(一次動作蒸発面は、最初に作動を開始する蒸発面、又は全ての蒸発面が加熱サイクルを同時に開始する場合には、小さい番号の蒸発面として定義される)の蒸発面温度の10%~100%(「温度%」)となる。同時に動作する蒸発面の温度%は、予め定義する、アレイから選択する、「候補リスト」からランダムに選択する、又は10%~100%のこれらの既定の境界内で動作する乱数発生器を介して選択することができる。
【0099】
実施例#1-芯2は、芯1の10分前に開始され、芯1の温度=(.10~1.00)MaxProgrammedTempWICK2
【0100】
実施例#2-芯1及び芯2は同時に開始される。芯1は、80℃の最高温度に達するようにプログラムされる。芯2の温度=(.10~1.00)MaxProgrammedTempWICK1。
【0101】
実施例#3-芯1及び芯2が同時に開始されたとき、芯3は(90℃の最大温度を有する)30分サイクル中25分間既に動作している(3つのヒーター全てが5分間同時に重複する):
●一次芯は、90℃の最高温度を有する芯3である。
●ソフトウェアは、同時に動作する芯の芯温度が、一次芯の65%(.6590℃=58.5℃)であると判定した。
●芯1及び2は、このシナリオで同時に動作する芯である。
●揮発性組成物ディスペンサの動作は、以下のとおりである。
○ヒーター3(例示的な蒸発支援要素)は、25分間動作する。
○ヒーター1及び2は、ヒーター3の動作25分間後にオンになる。
○ヒーター3、1、及び2は、5分間同時に動作する-ヒーター3の最高温度=90℃、ヒーター1及びヒーター2の最高温度=58.5℃。
【0102】
同時動作(即ち、同時に動作する2つ以上のヒーター)において、任意の同時動作芯の芯動作時間(「オン時間」)(一次/二次芯の定義に関しては上記の温度の説明を参照)は、1分から一次芯動作時間が終了した時点までの範囲の期間SOT(「同時動作時間」)である。
【0103】
実施例#4-(2つの蒸発面として2つの芯を備える揮発性組成物ディスペンサ):芯1は、60分サイクルのうち15分間動作している。(90分にプログラムされた)芯2は、一次芯(芯1)の15分を目印に同時動作に入る。芯1及び2は、次の45分間(同時動作時間)同時に動作し、芯1のサイクルを完了する。その後、芯1はオフになり、同時動作時間が終了する。芯2は、単独動作で45分間動作し続け、芯2の90分サイクルを完了する。
【0104】
実施例#5-(3つの蒸発面として3つの芯を備える揮発性組成物ディスペンサ):芯2は60分サイクルのうち15分間動作している。(90分にプログラムされた)芯3は、一次芯(芯2)の15分を目印に同時動作に入る。芯2及び3は、次の40分間(同時動作時間)に同時に動作する。(75分にプログラムされた)芯1は、この時点(芯2のサイクル55分及び芯3のサイクル40分)でオンになり、芯1、2及び3は同時動作モードで5分間動作し、芯2の同時動作が終了する。芯1及び3は、同時モードで45分間同時モードを継続し、芯3の同時モード(90分サイクルの終了)が終了する。芯1は、単独動作で25分間動作し続け、75分間の芯1のサイクルを完了する。
【0105】
図19は、エネルギーが低減又は維持される延長放出期間によって分離される複数のエネルギーブースト期間を有する、本発明の別の例示的な総放出プログラムを示す。
【0106】
揮発性組成物のODTの決定方法
ODTは、炎イオン化及び嗅ぎ口を装備する商用GCを用いて測定され得る。GCを較正して、シリンジにより注入される物質の正確な体積、正確なスプリット比、並びに既知の濃度及び鎖長分布の炭化水素標準物質を用いた炭化水素反応を決定する。空気流量を正確に測定し、人の吸息の時間が12秒間持続すると仮定して、サンプリングした体積を計算する。任意の時点における検出器での正確な濃度は既知であるので、吸入された体積当たりの質量も既知であり、物質の濃度を計算することができる。物質が50ppb未満の閾値を有するかどうかを決定するために、逆算された濃度で溶液を嗅ぎ口に送出させる。官能試験員は、GC溶出液の臭いを嗅ぎ、臭気が認められる保持時間を特定する。全官能試験員の平均から感知能の閾値を決定する。必要量の検体をカラムに注入して、検出器における濃度を50ppbにする。ODTを求めるための典型的なGCパラメータを以下に記載する。機器に関連付けられている指針に従って試験を実施する。
【0107】
装置:
GC:FID検出器を備える5890シリーズ(Agilent Technologies,Ind.,Palo Alto,California,USA);
7673オートサンプラー(Agilent Technologies,Ind.,Palo Alto,California,USA);
カラム:DB-1(Agilent Technologies,Ind.,Palo Alto,California,USA)
長さ30メートル、ID 0.25mm、フィルム厚1マイクロメートル(分離させるための選択的分割を提供する毛細管の内壁上のポリマー層)。
【0108】
方法のパラメータ:
スプリット注入:17/1スプリット比
オートサンプラー:1.13マイクロリットル/注入
カラム流量:1.10mL/分
空気流量:345mL/分
入口温度:245℃
検出器温度:285℃。
【0109】
温度情報:
初期温度:50℃
速度:5℃/分
最終温度:280℃
最終時間:6分
有力な仮定:(i)臭い嗅ぎ1回当たり12秒
(ii)GCの空気が試料の希釈に加わる。
【0110】
一日平均蒸発速度を判定する方法
1.揮発性組成物を収容するカートリッジ又はリザーバを揮発性組成物ディスペンサのハウジングに挿入して、揮発性組成物ディスペンサ全体の組立を完了する。カートリッジ又はリザーバを把持し、優しく引っ張ってハウジングとの確実な係合を確認することによって、カートリッジ又はリザーバがハウジング内に完全に挿入されるように確保する。
2.揮発性組成物ディスペンサ(ハウジング+カートリッジ/リザーバ)全体を化学てんびん上に置く。
3.化学てんびんを使用して、揮発性組成物ディスペンサの総重量を小数第二位(例えば、100.00g)まで測定し記録する。
4.揮発性組成物ディスペンサの強度を所望の試験条件(例えば、高、中、低)に調節する
5.揮発性組成物ディスペンサ上を始動又は電源を投入し(例えば、差込み式揮発性組成物ディスペンサの場合、揮発性組成物ディスペンサを適切な電圧に差し込む)、時間(時間及び分)を記録する。
6.揮発性組成物ディスペンサを、少なくとも24時間経過後に、動作を停止する、オフにする、プラグを抜くなどによって作動させなくする。時間(時間及び分)及び揮発性組成物ディスペンサの総重量を記録する。
7.システムの重量及び時間を記録したら、揮発性組成物ディスペンサを通常動作に戻す。工程6及び7は、15分以下とすべきである。
8.工程5~7を、~24時間以上の規則的な間隔で所望に応じて何度も繰り返す。
【0111】
蒸発速度計算:
蒸発速度を以下の式に従って計算する:
【0112】
【数1】
【0113】
消費者調査#1
試験対象の揮発性組成物ディスペンサ
製品A:2つのカートリッジと、各カートリッジ用の蒸発面と、各蒸発面用のヒーターの形態の蒸発支援要素と、を有する図1~3に示されるような揮発性組成物ディスペンサ。製品Aの総放出プログラムを図20に示す。
【0114】
製品B:製品Aと同じ揮発性組成物ディスペンサを製品Bに使用した。製品Bの総放出プログラムを図8に示す。
【0115】
比較製品1は、2つのカートリッジと、各カートリッジ用の蒸発面と、各蒸発面用のヒーターの形態の蒸発支援要素と、を有する市販の揮発性組成物ディスペンサ。
【0116】
比較製品2は、単一のカートリッジと、単一の蒸発面と、ヒーターの形態の蒸発支援要素と、を有する市販の揮発性組成物ディスペンサである。
【0117】
現在、様々なブランドの香り付きオイル製品を使用している消費者官能試験員(「官能試験員」)を募集した。
【0118】
試験員団1は、以下の9人の官能試験員を含む。あるブランドの市販香り付きオイル製品(以下、「比較製品1」)を現在使用している5人の消費者(「グループ1」)、別のブランドの市販香り付きオイル製品(以下、「比較製品2」)を現在使用している4人の消費者(「グループ2」)。官能試験員は製品Aを配置し、自宅で4週間使用した。4週間の最後に、訓練を受けた調査員が、自宅で消費者にインタビューを行った。製品Aが回収され、比較製品(グループ1の官能試験員には比較製品1、及びグループ2の官能試験員には比較製品2)が配置されて、4週間使用された。第2の4週間の最後に、訓練を受けた調査員が、自宅で消費者にインタビューを行った。比較製品が回収され、製品Bが4週間配置された。第3の4週間の最後に、訓練を受けた調査員が、自宅で消費者にインタビューを行った。官能試験員は、彼らの使用した3つの製品を比較する一連の質問に答えた。結果を下の表2に示す。
【0119】
【表2】
【0120】
群1の強制購入選択;製品Aを選択した官能試験員は0人だった。5人の官能試験員は、比較製品を選択した(ただし、5人のうち2人は、比較製品を選択させたのはその香りであり、比較製品の香りで製品Bの機能を有する揮発性組成物ディスペンサが好ましいと答えた)。4人の官能試験員が製品Bを選択した。製品Aは経時的にエネルギーを増加させるエネルギーブーストを行って、比較製品よりも安定した蒸発速度を提供したため、比較製品よりも製品Aを好まなかったのは驚くべきことである。しかしながら、消費者が総放出プログラムの開始時には、揮発性組成物の最小レベルの認知性を求め、製品Aは、最小レベルの認知性を達成するのに十分な速さの蒸発速度を提供しなかったことが分かった。したがって、製品Aが比較製品よりも総放出プログラム全体にわたって速い蒸発速度を有していたとしても、消費者は、製品Aよりも比較製品又は製品Bを好んだ。製品Bは、継時的なエネルギーの増加と組み合わせて初期のエネルギーブーストを提供したために、部屋への充満、香りの到達範囲、香りの一貫性、及び香りの持続性に関する消費者のニーズを製品A又は比較製品よりも満たしていた。
【0121】
消費者調査#2
検査対象の揮発性組成物ディスペンサ
製品C:製品Aと同じ揮発性組成物ディスペンサを製品Cに使用した。製品Cのプログラムを図11に示す。
【0122】
比較製品1は、消費者試験員団#1における比較製品1と同じである。
【0123】
比較製品2は、消費者試験員団#2における比較製品2と同じである。
【0124】
試験員団2も、試験員団1と同じ募集基準を使用して募集された。
【0125】
試験員団2は、以下の官能試験員10人を含む。比較製品1の現行ユーザー4人と、比較製品2の現行ユーザー6人。官能試験員は製品Cを配置し、自宅で4週間使用した。4週間の最後に、訓練を受けた調査員が、自宅で消費者にインタビューを行った。製品Cが回収され、比較製品(グループ1の官能試験員には比較製品1、及びグループ2の官能試験員には比較製品2)が配置されて、4週間使用された。第2の4週間の最後に、訓練を受けた調査員が、自宅で消費者にインタビューを行った。官能試験員は、彼らの使用した2つの製品を比較する一連の質問に答えた。結果を下の表3に示す。
【0126】
【表3】
【0127】
試験員団2の強制購入選択:8人の官能試験員が製品Cを選択した。2人の官能試験員が比較製品を選択したが、2人のうち1人は、香りは比較製品で、性能は製品Cであると答えた。官能試験員らは、比較製品よりも、初期エネルギーブースト及び後続のエネルギーブーストの後に、エネルギーを低減させる延長放出期間が続く製品Cを好んだ。
【0128】
本明細書にて開示された寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、このような寸法はそれぞれ、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図されている。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0129】
本明細書全体をとおして記載される全ての最大数値限定は、それよりも低い全ての数値限定を、かかるより低い数値限定があたかも本明細書に明確に記載されているかのように包含することを理解すべきである。本明細書の全体をとおして与えられる全ての最小数値限定は、それよりも高い全ての数値限定を、かかるより高い数値限定があたかも本明細書に明確に記載されているかのように含む。本明細書の全体をとおして与えられる全ての数値範囲は、かかるより広い数値範囲内に含まれるより狭い全ての数値範囲を、かかるより狭い数値範囲があたかも全て本明細書に明確に記載されているかのように含む。
【0130】
相互参照される又は関連する全ての特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本願に引用される全ての文書は、除外又は限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であるとは見なされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのような発明全てを教示、示唆又は開示するとは見なされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照することによって組み込まれた文書内の同じ用語の意味又は定義と矛盾する場合、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0131】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図されている。
図1
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