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特許7335256シメチコン及びロペラミドのエマルションの医薬製剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-21
(45)【発行日】2023-08-29
(54)【発明の名称】シメチコン及びロペラミドのエマルションの医薬製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/48 20060101AFI20230822BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20230822BHJP
   A61K 31/445 20060101ALI20230822BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20230822BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20230822BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20230822BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20230822BHJP
   A61P 1/12 20060101ALI20230822BHJP
【FI】
A61K9/48
A61K9/107
A61K31/445
A61K47/34
A61K47/26
A61K47/14
A61K47/10
A61P1/12
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2020544833
(86)(22)【出願日】2019-02-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-03
(86)【国際出願番号】 US2019019564
(87)【国際公開番号】W WO2019165420
(87)【国際公開日】2019-08-29
【審査請求日】2022-02-16
(31)【優先権主張番号】62/635,138
(32)【優先日】2018-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501477831
【氏名又は名称】アール.ピー. シェーラー テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジン・リン
(72)【発明者】
【氏名】ヒュメラ・アーマッド
(72)【発明者】
【氏名】アシシュ・パテル
【審査官】新熊 忠信
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-182437(JP,A)
【文献】特開平03-206048(JP,A)
【文献】米国特許第05980944(US,A)
【文献】特表2017-500355(JP,A)
【文献】特開2016-000761(JP,A)
【文献】特開2013-241363(JP,A)
【文献】特開2011-201914(JP,A)
【文献】米国特許第3376199(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0279056(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
A61K 31/00-33/44
A61P 1/00
A61P 43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カプセルシェル及び充填組成物を含む、医薬製剤であって、
前記充填組成物が、(a)シメチコンと、(b)ロペラミド又はその薬学的に許容可能な塩と、(c)少なくとも2種の界面活性剤とのエマルションを含み、
前記エマルションが、9~12の範囲の親水性親油性バランスを有する、医薬製剤。
【請求項2】
前記薬学的に許容可能な塩が、ロペラミド塩酸塩である、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項3】
前記ロペラミド塩酸塩が、2mgの量で存在する、請求項2に記載の医薬製剤。
【請求項4】
前記シメチコンが、125mgの量で存在する、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項5】
前記少なくとも2種の界面活性剤が、少なくとも一種の親水性界面活性剤及び少なくとも一種の親油性界面活性剤を含む、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項6】
前記少なくとも一種の親水性界面活性剤が、ポリエチレン-グリコール(PEG)脂肪酸エステル、PEGエステル、PEGエーテル、PEGグリセリド、飽和ポリグリコール化グリセリド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項5に記載の医薬製剤。
【請求項7】
前記少なくとも一種の親油性界面活性剤が、8未満のHLB値を有する非イオン性界面活性剤及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項5に記載の医薬製剤。
【請求項8】
前記少なくとも一種の親油性界面活性剤が、マクロゴルグリセリド、ソルビタンエステル、モノ-グリセリド及びジグリセリド、グリコールモノエステル及びグリコールジエステル、グリセリルエステル、PEGエステル、ラウリン酸プロピレングリコール、モノオレイン酸グリセリル、モノオレイン酸ソルビタン、中鎖モノ及びジグリセリド、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項7に記載の医薬製剤。
【請求項9】
前記少なくとも2種の界面活性剤が、ポリソルベート(Polysorbate)(登録商標)80及びモノオレイン酸ソルビタンである、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項10】
前記親水性親油性バランスが、9~11の範囲である、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項11】
前記充填組成物が、希釈剤、溶媒、香味剤、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される追加の成分を更に含む、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項12】
前記カプセルシェルが、ハードカプセルシェル又はソフトカプセルシェルである、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項13】
前記カプセルシェルが、ゼラチンベースのソフトカプセルシェルである、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項14】
前記カプセルシェルが、非ゼラチンベースのカプセルシェルである、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項15】
前記ロペラミド塩酸塩が、前記充填組成物中に約0.2質量%~約2.7質量%の量で存在する、請求項2に記載の医薬製剤。
【請求項16】
前記シメチコンが、前記充填組成物中に約4質量%~約66質量%の量で存在する、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項17】
(a)前記充填組成物を調製する工程;及び
(b)前記カプセルシェルに前記充填組成物をカプセル化する工程:
を含む、請求項1に記載の医薬製剤を調製する方法。
【請求項18】
工程(a)がエマルション製造工程を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
工程(a)が、ロペラミド又はその薬学的に許容可能な塩の溶液を製造する副工程(a1)を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記溶液が、ロペラミド又はその薬学的に許容可能な塩を、ポリエチレングリコール、グリセロール、プロピレングリコール、及びエチレングリコール、水、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される溶媒中に溶解させることにより製造される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記溶液に酸化防止剤を添加する工程を更に含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
工程(a)が、ミリスチン酸イソプロピルでシメチコンを希釈する副工程(a2)を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
前記エマルションが、高シェア混合の使用なしで製造される、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シメチコン及びロペラミドのエマルションを含む安定な医薬製剤、前記医薬製剤を調整する方法、及び腸の疾患及び胃腸の機能不全の治療において前記医薬製剤を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ソフトゼラチンカプセル又はソフトゲルは、液体充填材料を保持する能力のある製剤である。典型的には、ソフトゲルは、ビタミンなどの経口消費材料、及び液体賦形剤又は媒体中の医薬組成物を含むことに使用される。この種類の製剤は、カプセルは、飲み込むのに容易であり、活性剤のあらゆる好ましくない味を隠すために、風味付けされる必要がないため、患者により容易に受け入れられる。薬のソフトゲルのカプセル化は、医薬剤の生物学的利用能を向上させる可能性を、さらに提供する。例えば、活性原料は、ゼラチンシェルが破裂するとすぐに、液体形態で容易に放出され得る。
【0003】
胃腸の機能不全は、本発明の目的のため、下痢及び/又は鼓腸若しくはおならの症状によって特徴づけられる腸の疾患と関連される不快症状として定義される。下痢は、水っぽい糞便の異常な頻度の排便である。下痢は、バクテリア又はウイルスを含む、さまざまな原因を有し得る。旅行者の下痢は、例えば、微生物起源であると考えられている。下痢は、投薬、特に抗生剤の副作用でもあり得る。下痢は、アレルギーあるいは過度に脂肪過多、香辛料の効いた食物、又は発酵性の炭水化物、食物繊維若しくは多くの種を高い割合で含む食物の摂取によって引き起こされる、食物過敏症により誘導され得る。食物過敏症は、食物中の前もって作られた毒によってもたらされ、従って食中毒を引き起こし得る。他の条件及び病気も下痢を引き起こし、下痢が、主要な病気と関連する多くの症状のうちのただ一つでもあり得る。鼓腸又は腸のおならは、特に下痢の間の胃腸の機能不全に寄与するもう一つの腸の疾患である。そのようなおならは、腹部内の痛み、鼓腸の感覚及び筋けいれんを発症する捕捉された気泡として存在する。
【0004】
ロペラミド又はその薬学的に許容可能な塩は、下痢止めである。ロペラミドは、腸の運動性を遅くし、腸内の水及び電解質の移動を正常化することにより作用する。したがって、ロペラミドは、腸の内容物の輸送時間を長引かせ、毎日の糞便の体積を減少させ、排せつ物の粘度及びかさ密度を増加させ、それにより体内から食物及び電解質の損失を減少させ得る。加えて、ロペラミドは、腸壁の丸い長手方向の筋肉に直接影響することにより、蠕動運動を阻害し得る。
【0005】
シメチコンは、整腸剤/消泡剤である。シメチコンは、ポリジメチルシロキサン及び二酸化ケイ素の混合物である粘凋液である。シメチコンは、消泡剤又は泡に癒着する能力がある、泡の表面張力を変化させることによって気泡の分散剤として作用する界面活性剤である。シメチコンの消泡作用は、胃腸管内で粘液におおわれた気孔の形成を消失及び抑制することにより、鼓腸を緩和させる。気泡の大きさを減少させることにより、おならは、腸内ガスの噴出又は排出による放出のために、胃腸管を自由に移動できる。したがってこの放出は、胃腸管内のおならの存在と一般的に関連する、痛み及び圧力を緩和させる。
【0006】
ロペラミド及びシメチコンの組み合わせは、ロペラミドの下痢止め効果をシメチコンの抗鼓腸効果と組み合わせることによって、胃腸の機能不全を治療するために医薬組成物内に使用されてきた。しかしながら、ロペラミドに接触したシメチコンは、シメチコンの高い疎水性により、ロペラミドの溶解性に不利に影響し得る。
【0007】
例えば、米国特許第6,024,980号明細書は、ロペラミド塩酸塩及びシメチコンを含む医薬品を記載している。ロペラミド塩酸塩及びシメチコンの本質的な混合物は、ロペラミド塩酸塩の溶解性への有害な効果をもたらす。素早い放出性能を提供するために、この医薬品は、別々の領域に配置され、互いに少なくとも一つの接触面を有する、第一及び第二相から形成される。しかしながら、この処方は、両方の相中に(ポリエチレングリコールなどの)共通の成分の存在により、物理的及び科学的に不安定であり、一つの相から他の相へロペラミドの進行性の移動を導き、溶解性の減少をもたらすため、実行可能ではない。また、処方内の二つの異なる相の必要条件は、回転の型打ち機の方法を使用する処方からソフトゲルカプセルを製造する課題を示す。
【0008】
米国特許第5,980,944号明細書は、胃腸の機能不全の治療のため、即時放出性能を有する固体経口製剤を記載している。この固体経口製剤は、ジフェノキシレート、ロペラミド、ロペラミド-N-オキシド、その薬学的に許容可能な塩、又はそれらの組み合わせであってもよい、薬剤の顆粒、及び薬学的に有効な量のシメチコンを含む。薬剤及びシメチコンは、実質的にシメチコンの不浸透性である顆粒上の保護膜によって互いに分けられる。
【0009】
ロペラミドHCl及びシメチコンの組み合わせの固定容量は、特定の形態(Johnson & Johnson Consumer IncからのImodium(登録商標)Multi-Symptom Reliefカプレット並びにImodium(登録商標)Duoカプレット及びチュアブルタブレット-2mgロペラミド、125mgシメチコン)で利用可能である。これらの固体製剤は、ロペラミドのすばやい溶解速度を提供する利点を有するが、少なくともロペラミドの存在ゆえの、好ましくない苦い味を多少有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】米国特許第6,024,980号明細書
【文献】米国特許第5,980,944号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
カプセル、好ましくはソフトゲルカプセル中に容易に処方され、ロペラミドが溶解形態で、ロペラミドの均一性及び溶解要件を満たし、飲み込むのに容易な、ロペラミド及びシメチコンの物理的及び科学的に安定な医薬処方のニーズがあるままである。ロペラミドの溶解性に不利に影響を与える、シメチコンの高い疎水性により、そのような処方を提供することは定められた通りの事柄ではない。したがって、本発明の目的は、例えば、米国特許第6,024,980号明細書に記載されるような処方と比較して、物理的及び科学的に安定であり、優れたロペラミド溶解速度を有する、ロペラミド及びシメチコンの両方を含む処方を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、カプセルシェル及び(a)シメチコンと(b)ロペラミド又はその薬学的に許容可能な塩と(c)少なくとも2種の界面活性剤とのエマルションを含む充填組成物を含む医薬製剤を対象にする。エマルションは、約8~約12、より好ましくは約9~約11、最も好ましくは約10~約11の範囲で、親水性親油性バランス(「HLB」)を有する。
【0013】
本発明は、本発明の医薬製剤を調整する方法も対象にする。加えて、本発明は、下痢及び/又は鼓腸若しくはおならの症状によって特徴づけられる胃腸の機能不全の治療方法も対象にする。
【0014】
以下の記載は、典型的な方法、パラメーターなどを説明する。しかしながら、そのような記載は、本発明の範囲を限定する意図はなく、むしろ典型的な実施態様の記載として提供されることが認識されるべきである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、カプセル、好ましくはソフトゲルカプセルを使用して、シメチコン及びロペラミドのエマルションを向上させることにより、先行技術の状態を前進させ、有効成分を物理的に分離する必要なく、二つの異なる相を有する処方に関連する利点を達成する。
【0016】
本明細書内で使用される、「カプセル」は、カプセルシェル及びその中にカプセル化される充填物を含む、発明に関する完全な医薬製剤を表す。本明細書内で使用される、「カプセルシェル」は、ハードカプセルシェル及びソフトカプセルシェル両方を表し、既知の方法によって製造される、又は商業的な供給者から購入される。本明細書内で使用される、用語「ソフトゲル」又は「ソフトゲルカプセル」又は「ソフトカプセル」は、制限ないが、ゼラチンを使用しないソフトカプセル及び従来のゼラチンベースのソフトカプセルを含む。
【0017】
本明細書内で使用される、「充填材料」又は「充填物」は、少なくとも一つの有効成分を含むカプセルシェルによってカプセル化された組成物を表す。好ましくは、充填組成物は、シメチコンとロペラミド又はその薬学的に許容可能な塩とのエマルションを含む。
【0018】
本明細書内で使用される、「エマルション」は、既知の技術によって製造される油中水エマルションを表す。
【0019】
「薬学的に許容可能な塩」は、ロペラミド化合物の自由塩基の生物学的効果を保持し、生物学的に又は他の好ましい塩を意味する意図がある。ロペラミドは塩基性であるため、望ましい薬学的に許容可能な塩は、当技術分野で利用できる適切な方法、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸及びリン酸などの無機酸、又は酢酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、シュウ酸、グリコール酸、サリチル酸、グルクロン酸若しくはガラクツロン酸などのピラノース酸、クエン酸若しくは酒石酸などのα-ヒドロキシ酸、アスパラギン酸若しくはグルタミン酸などのアミノ酸、安息香酸若しくは桂皮酸などの芳香族酸、及びp-トルエンスルホン酸若しくはエタンスルホン酸などのスルホン酸などの有機酸と自由塩基の処理によって調製されてもよい。
【0020】
本明細書内で使用される、「約」は、±10%内の変位である、あらゆる値を表す。
【0021】
本明細書内で使用される、「ある」は、他で特定されない限り、1以上を表す。
【0022】
本明細書内で使用される、「治療に有効な量」は、望ましい生物学又は医学の反応を引き出すのに効果的であり得る量を表し、治療する条件の対象に投与される場合に、条件に対するそのような治療に影響をもたらすのに十分な量の化合物を含む。有効量は、条件及びその重症度、及び年齢、体重、対象の身体状況、及び治療の継続期間に依存して様々であり得る。
【0023】
本明細書内で使用される、用語「治療」は、本明細書で記載される治療及び/又は予防の治療を含む。胃腸の機能不全の治療に関しては、そのような治療は、限定されないが、腹部領域における痛み、鼓腸及び筋けいれんを含む、下痢及び/又は鼓腸若しくはおならと関連する症状の減少又は緩和を含む。
【0024】
あらゆる種類の界面活性剤は、HLB値を有する。例えば、ポリソルベート80(又はTween(登録商標)80)のHLBは15であり、モノオレイン酸ソルビタン(又はSpan(登録商標)80)のHLBは4.3である。HLBは、水又は油に対する界面活性剤又は界面活性剤の組み合わせの親和性を記載するのに使用される数値システムである。確立された原理によると、高いHLBの界面活性剤、及び低いHLBの界面活性剤の組み合わせは、単一の界面活性剤と比較してより効果的であり得る。2種の界面活性剤(例えばA及びB)の組み合わされたHLB値は、例えばGriffin式を使用して決定されてもよい:
X=HLB*A%+HLB*B%
【0025】
第一の実施態様によると、医薬製剤は、カプセルシェル及び充填組成物を含む。充填組成物は、(a)シメチコンと(b)ロペラミド又はその薬学的に許容可能な塩と(c)少なくとも2種の界面活性剤とのエマルションを含み、エマルションは、好ましくは約8~約12、より好ましくは約9~約11、最もこのましくは約10~約11のHLB値を有する。
【0026】
カプセルシェルは、既知の製造方法によって製造される又は、商業的に利用可能な調達元から購入され得る。上記の様に、本発明のカプセルシェルは、限定しないが、ゼラチン-フリーのソフトカプセルシェル、従来のゼラチンベースのソフトカプセルシェル、及びカラギーナンベースのカプセルシェル、並びにハードカプセルシェルを含む。本発明のカプセルシェルの使用に適した材料において限定されない。好ましくは、カプセルシェルは、ソフトカプセルシェル、より好ましくはゼラチンベースのカプセルシェル又はソフトゲルであり、既知の製造方法によって製造される。カプセルシェルのサイズは、典型的には、約3ミニム~約22ミニム、より好ましくは約3ミニム~約10ミニム、最も好ましくは約4ミニム~約6ミニムの範囲である。
【0027】
充填組成物は、すなわち、本発明によるカプセルシェル中に含まれることによってカプセル化され、少なくともシメチコン、ロペラミド又はその薬学的に許容可能な塩、及び少なくとも2種の界面活性剤を含む。充填組成物の量は、典型的には、約170mg~約1250mg、より好ましくは約170mg~約570mg、最も好ましくは約180mg~約290mgの範囲である。典型的には、充填組成物は、カプセルシェルの全体の内部体積を充填する。
【0028】
本発明の使用に適したシメチコンは、商業的に利用可能な調達元、例えばDow Cornigから購入され得る。一実施態様において、充填組成物中のシメチコンの量は、カプセル当たり約20mg~約500mg、より好ましくは約40mg~約240mg、最も好ましくは約125mgである。
【0029】
一実施態様において、シメチコンは、エマルション中に含まれる前に、溶媒で希釈される。適した溶媒は、制限しないが、ミリスチン酸イソプロピルなどの脂肪族エステルを含む低い極性の溶媒を含む。エマルション化の前の溶液中の、シメチコンの濃度は、典型的には、約5%~約80%、より好ましくは約20%~約75%、最も好ましくは約50%~約70%の範囲である。エマルション化後の充填組成物中のシメチコンの質量パーセントは、典型的には、約4質量%~約66質量%、より好ましくは約17質量%~約62質量%、最も好ましくは約41質量%~約57質量%の範囲である。
【0030】
本発明の使用に適した、ロペラミド、又はその薬学的に許容可能な塩は、既知の方法により製造される、又は商業的に利用可能な調達元から購入され得る。一実施態様において、ロペラミドの薬学的に許容可能な塩は、1種以上の塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、シュウ酸、グリコール酸、サリチル酸、ピラノース酸、α-ヒドロキシ酸、アミノ酸、芳香族酸、及びスルホン酸から形成される。一実施態様において、ロペラミドの薬学的に許容可能な塩はロペラミド塩酸塩である。一実施態様において、充填組成物中のロペラミド又はその薬学的に許容可能な塩の量は、カプセル当たり約0.5mg~約16mg、より好ましくは約1mg~約4mg、最も好ましくは約2mgである。
【0031】
一実施態様において、ロペラミド又はその薬学的に許容可能な塩は、エマルションに含まれる前に溶液である。適切な溶媒は、制限しないが、ポリエチレングリコール、グリセロ―ル、プロピレングリコール及びエチレングリコールなどのグリコール、水並びにそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施態様において、溶液は、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン又は記載される親水相に可溶である他の酸化防止剤などの酸化防止剤をさらに含む。エマルション化前の溶液中のロペラミド又はその薬学的に許容可能な塩の濃度は、典型的には、約1%~約15%、より好ましくは約2%~約10%、最も好ましくは、約3%~約6%の範囲である。エマルション化後の充填組成物中のロペラミドの質量パーセントは、典型的には、約0.2質量%~約2.7質量%、より好ましくは約0.4質量%~約1.8質量%、最も好ましくは約0.54質量%~約1.07質量%の範囲である。
【0032】
驚くことに、本発明のエマルションは、高濃度で高い疎水性のシメチコンの存在下でも申し分のないロペラミドの溶解速度を有することを見出した。結果的に、本発明による医薬製剤は、ロペラミドの溶解速度に著しい不利な影響を有さない。
【0033】
本発明の使用に適した界面活性剤は、制限ないが、親水性界面活性剤及び親油性界面活性剤を含む。一実施態様において、充填組成物のエマルションは、少なくとも1種の親水性界面活性剤及び少なくとも1種の親油性界面活性剤を含む。本発明のエマルションは、エマルションのHLBが、約8~約12、より好ましくは約9~約11、最も好ましくは約10~約11の範囲であるような、少なくとも2種の界面活性剤を必要とする。
【0034】
本発明に使用されてもよい親水性界面活性剤の例は、制限ないが、ポリエチレングリコール(PEG)脂肪酸エステル、PEGエステル、PEGエーテル、及びPEG35キャスターオイル(Etocas 35, Croda)、ポリソルベート(Polysorbate)(登録商標)85(又はCrillet 45, Croda)、ポリソルベート(Polysorbate)(登録商標)80(又はCrillet 4, Croda)、PEG40水素化キャスターオイル(例えば、Cremophor RH40, BASF)などのPEGグリセリド、並びに飽和ポリグリコール化グリセリド(Labrafac Hydro WL1219, Gattefosse, フランス)とそれらの組み合わせとを含む。
【0035】
本発明に使用されてもよい親油性界面活性剤の例は、制限ないが、8未満のHLB値を有する非イオン性界面活性剤を含み、例えば、リノレオイルマクロゴルグリセリド(例えば、Labrafil M 2125 Gattefosse製, フランス)、オレオイルマクロゴルグリセリド(例えば、Labrafil M1944 Gattefosse製, フランス)、ラウリン酸プロピレングリコール(例えば、Lauroglycol FCC Gattefosse製, フランス)、モノオレイン酸グリセリル(Croda)、Span80(Croda)などのマクロゴルグリセリド、ソルビタンエステル、モノ-グリセリド及びジグリセリド、グリコールモノエステル及びグリコールジエステル、グリセリルエステル、PEGエステル、すなわち、モノオレイン酸ソルビタン、並びに中鎖モノグリセリド及び中鎖ジグリセリド(例えば、Capmul MCM C8 Abitec社製, コロンバス, オハイオ)とそれらの組み合わせとを含む。
【0036】
一実施態様において、充填組成物は、任意選択で、香味剤、安定剤、緩衝剤、pH調整剤、増粘剤、酸化防止剤、希釈剤又は溶媒などの追加の剤を含んでもよい。有効成分の望ましい量及び充填組成物のエマルションの望ましいHLBを前提として、香味剤、安定剤、緩衝剤、pH調整剤、増粘剤、酸化防止剤、希釈剤、(エマルション化前のシメチオン及びロペラミドと混合される溶媒を含む)溶媒及び界面活性剤の量は、当業者によって容易に決定される。
【0037】
充填組成物、すなわち、エマルションは、さらに下記に記載されるような既知のエマルション化の方法を使用して製造される。実際、本発明の使用に適したエマルションは、標準のメカニカルスターラー又は単純な撹拌装置などの基本的な装置で効果的に製造され得る。言い換えれば、(お好みで使用され得るが、)あらゆる種類のハイシェア混合装置を使用してエマルションを調整する必要がない。したがって、製造工程は、最も従来型のエマルション化方法と比較して、より経済的である。
【0038】
本発明の充填組成物は、最も好ましくは、半透明のエマルションである。言い換えれば、エマルションはほとんど透明に見える。半透明のエマルションは、ロペラミド溶液の非常に細かい液滴を含有し;カプセルシェルの破裂によってロペラミドの完全な放出を可能にする。一実施態様において、液滴は約100nm~約500nmのサイズ、すなわちナノエマルションである。充填組成物は、「乳白状の(milky)」外観を有するエマルションでもあり、形成される液滴のサイズに依存する。
【0039】
本発明の医薬製剤は化学的に安定である。医薬製剤及び/又は充填組成物の化学安定性は、ロペラミド又はその薬学的に許容可能な塩及びその分解生成物の含有量を測定することによって、追跡することができる。ロペラミドの主要な分解生成物は、N-オキシド型の分解生成物であり、その濃度は、医薬品規制調和国際会議(ICH)で認められた安定性試験方法により測定される場合、例えば相対湿度60%及び温度25℃、相対湿度75%及び温度30℃、相対湿度75%及び温度40℃での貯蔵での、処方中のロペラミド分解の濃度を決定する既知の試験方法によって決定される。
本発明に従って、化学的に安定な処方は、約2.0%未満、より好ましくは約1.0%未満、更により好ましくは約0.5%未満、最も好ましくは約0.2%未満のN-オキシド形態の分解生成物を含有する。一実施態様において、エマルション、及び医薬製剤は、25℃で測定した場合、少なくとも180日、好ましくは少なくとも一年、より好ましくは少なくとも2年、最も好ましくは少なくとも3年の期間、化学的に安定である。一実施態様において、エマルション、及び医薬製剤は、30℃で測定した場合、少なくとも180日、好ましくは少なくとも一年、より好ましくは少なくとも2年、最も好ましくは少なくとも3年の期間、化学的に安定である。
【0040】
一実施態様において、2週間25℃60%RHで、本発明による充填組成物中の、特定される不純物、例えば、N-オキシドシス体及びトランス体の(ロペラミド質量%としての)面積百分率は、約0.08%未満、より好ましくは約0.06%未満、最も好ましくは約0.04%未満である。2週間30℃75%での、面積百分率は、約0.1%未満、より好ましくは約0.08%未満、最も好ましくは約0.06%未満である。2週間40℃75%での、面積百分率は、約0.06%未満、より好ましくは約0.04%未満、最も好ましくは約0.02%未満である。
【0041】
一実施態様において、2週間25℃60%での本発明による充填組成物中の、特定されない不純物の合計の面積百分率は、約0.09%未満、より好ましくは、約0.07%未満、最も好ましくは0.05%未満である。2週間30℃75%での、面積百分率は、約0.13%未満、より好ましくは約0.11%未満、最も好ましくは0.09%未満である。2週間40℃75%での面積百分率は、約0.17%未満、より好ましくは約0.15%未満、最も好ましくは約0.13%未満である。
【0042】
一実施態様において、3か月25℃60%での本発明によるカプセル組成物中の、特定の不純物、例えば、N-オキシドシス体及びトランス体の面積百分率は、約2%未満、より好ましくは約1%未満、最も好ましくは約0.03%未満である。3か月30℃75%での、面積百分率は、約2%未満、より好ましくは、約1%未満、最も好ましくは約0.05%未満である。
【0043】
一実施態様において、3か月25℃60%での本発明によるカプセル組成物中の、特定されない不純物の合計の面積百分率は、約3%未満、より好ましくは約1.5%未満、最も好ましくは約0.08%未満である。3か月30℃75%での、面積百分率は、約3%未満、より好ましくは、約1.5%未満、最も好ましくは約0.10%未満である。
【0044】
一実施態様において、6か月25℃60%での本発明による充填組成物を含むカプセル中の、特定の不純物、例えば、N-オキシドシス体及びトランス体の面積百分率は、約2%未満、より好ましくは約1%未満、最も好ましくは約0.2%未満である。6か月30℃75%での、面積百分率は、約2%未満、より好ましくは約1%未満、最も好ましくは約0.2%未満である。6か月40℃75%での面積百分率は、約2%未満、より好ましくは約1%未満、最も好ましくは約0.2%である。
【0045】
一実施態様において、6か月25℃60%での本発明による充填組成物を含むカプセル中の、特定されない不純物の合計の面積百分率は、約3%未満、より好ましくは、約1.5%未満、最も好ましくは約0.2%未満である。6か月30℃75%での、面積百分率は、約3%未満、より好ましくは約1.5%未満、最も好ましくは、約0.2%未満である。6か月40℃75%での、面積百分率は、約3%未満、より好ましくは約1.5%未満、及び最も好ましくは、0.3%未満である。
【0046】
一実施態様において、12か月25℃60%での本発明による充填組成物を含むカプセル中の、特定の不純物、例えば、N-オキシドシス体及びトランス体の面積百分率は、約2%未満、より好ましくは約1%未満、最も好ましくは約0.08%未満である。12か月30℃75%での、面積百分率は、約2%未満、より好ましくは約1%未満、最も好ましくは約0.16%未満である。
【0047】
一実施態様において、12か月25℃60%での本発明による充填組成物を含むカプセル中の、特定されない不純物の合計の面積百分率は約3%未満、より好ましくは約1.5%未満、最も好ましくは約0.13%未満である。12か月30℃75%での、面積百分率は、約3%未満、より好ましくは約1.5%未満、最も好ましくは約0.16%未満である。
【0048】
一実施態様において、24か月25℃60%での本発明による充填組成物を含むカプセル中の、特定の不純物、例えば、N-オキシドシス体及びトランス体の面積百分率は、約2%未満、より好ましくは約1%未満、最も好ましくは約0.07%未満である。24か月30℃75%での、面積百分率は、約2%未満、より好ましくは約1%未満、最も好ましくは約0.10%未満である。
【0049】
一実施態様において、24か月25℃60%での本発明による充填組成物を含むカプセル中の、特定されない不純物の合計の面積百分率は、約3%未満、より好ましくは約1.5%未満、最も好ましくは約0.07%未満である。24か月30℃75%での、面積百分率は、約3%未満、より好ましくは約1.5%未満、最も好ましくは約0.2%未満である。
【0050】
一実施態様において、医薬製剤及びエマルション中の、ロペラミド又はその薬学的に許容可能な塩の溶解速度は、45分で少なくとも75%(Q)、好ましくは30分で少なくとも85%である。本明細書で使用される、用語「溶解速度」又は「溶解像」は、処方中に含まれるロペラミド又はその薬学的に許容可能な塩の総質量に対して、規定された時間内に、溶媒中に溶解するロペラミド又はその薬学的に許容可能な塩の質量パーセントを表す。溶解速度は、典型的には、溶媒として0.1NのHClを使用して、100rpmで米国薬局方のUSP装置タイプIIを使用して測定される。カプセルを溶解フラスコの底から持ち上げるように、おもりが溶解速度の決定に使用されてもよい。
【0051】
本発明の別の実施態様は、本発明の第一の実施態様の医薬製剤を製造する方法である。この方法は、(a)充填組成物を調整する工程及び(b)カプセルシェル中に充填組成物をカプセル化する工程を含む。医薬製剤に関するすべての詳細は、上記第一の実施態様に関して説明されたものと同じである。
【0052】
充填組成物を調整する工程は、(a)シメチコン、(b)ロペラミド又はその薬学的に許容可能な塩、及び(c)少なくとも2種の界面活性剤を含むエマルションを調整する副工程を含んでもよい。追加の副工程は、ロペラミド又はその薬学的に許容可能な塩を、1種以上の溶媒、及び任意選択で酸化防止剤と混合して、溶液を形成する工程;シメチコン及び(複数の)溶媒を予備混合する工程;(複数の)溶媒と、又は溶媒なしで、シメチコン、及び少なくとも2種の界面活性剤を予備混合する工程;並びにロペラミド溶液をシメチコン予備混合物と混合してエマルションを形成する工程を含む。
【0053】
本方法は、ロペラミド又はその薬学的に許容可能な塩を1種以上の溶媒、及び任意選択で酸化防止剤と、約40℃~60℃で撹拌下、混合する副工程を含む。一度溶液が達したら、約20℃~30℃に冷却されてもよい。
【0054】
本方法は、シメチコン及び(複数の)溶媒及び/又は少なくとも2種の界面活性剤を約20℃-30℃で撹拌下、少なくとも10分、好ましくは少なくとも15分混合する副工程を含んでもよい。
【0055】
本方法は、シメチコン、(複数の)溶媒、及び少なくとも2種の界面活性剤を、同時に又は順番に、ロペラミド又はその薬学的に許容可能な塩を含む溶液に添加する工程、及び約20℃-35℃で撹拌を継続してエマルションを形成する工程を更に含んでもよい。一実施態様において、ロペラミド又はその薬学的に許容可能な塩を含有する溶液は、シメチコン、(複数の)溶媒及び少なくとも2種の界面活性剤を含む溶液に添加される。
【0056】
上記の様に、全体のエマルションは、任意の既知のエマルション化方法を使用して製造される。実際、本発明の使用に適したエマルションは、標準のメカニカルスターラー又は単純な撹拌装置などの基本的な装置で効果的に製造され得る。言い換えれば、(お好みで使用され得るが、)あらゆる種類のハイシェア混合装置を使用してエマルションを調整する必要がない。したがって、製造工程は、最も従来型のエマルション化方法と比較して、より経済的である。
【0057】
充填材料のカプセル化は、あらゆる従来の方法で達成され得るのがよい。例として、回転の型打ち機のカプセル化が使用されてもよい。既知の回転の型打ち機の方法は、粘凋である、例えばゼラチン又はカラギーナンベースを有する溶融されたかたまりからカプセルシェル材料の終わりのない小片を形成することからなる。ゼラチン小片の厚さは、もちろん、カプセルの最終的な使用目的によって選択され得る。ゼラチンのかたまりは、例えばゼラチン又はカラギーナンのそれ自身のベース材料、グリセリン又はソルビトールなどの可塑剤、及びポリソルブ(Polysorb)(登録商標)活性剤などのソルビタン水溶液可塑剤、及び水を、カプセル化される最終用途及び処方に依存して様々な割合で、含む。カプセルシェル中に使用される可塑剤の量及び種類は、シェルの安定性を維持するため及び/又は、特に本発明の充填処方を提供するために当業分野で知られる方法を使用し得て調製され得る。
【0058】
本発明の別の実施態様は、下痢及び/又は鼓腸又はおならの症状によって特徴づけられる胃腸の機能不全を有するヒトの治療方法であり、本発明の第一の実施態様による医薬製剤、すなわち、(a)シメチコン、(b)ロペラミド又はその薬学的に許容可能な塩、及び(c)少なくとも2種の界面活性剤を含む処方、約8~約12、より好ましくは約9~約11、及び最も好ましくは約10~11のHLB値を有するエマルションを治療に有効な量でヒトに経口投与することを含む。医薬製剤に関するすべての詳細は、上記第一の実施態様に関して説明されたものと同じである。
【0059】
適切な投薬レジメン及び薬学的な有効量は、当業者によって容易に決定され得る。一実施態様において、薬学的な有効量は、本発明による単一の製剤中に含まれ、より好ましくは約125mgのシメチコン、及び約2mgのロペラミド、最も好ましくはロペラミド塩酸塩である。
【0060】
本発明の特定の実施態様は、下記実施例を参照して示され得る。これらの実施例は、本発明を説明する目的で単に記載されると理解され、本発明の範囲を限定する目的で扱われるべきでない。
【実施例
【0061】
実施例1-3
充填組成物を、下記表1に示される組成物を有するように調整した。実施例1の充填組成物を、その後に、従来法によってゼラチンベースのソフトゲルカプセルにカプセル化した。充填組成物について、ロペラミド塩酸塩、プロピレングリコール、水及び(存在する場合)ブチルヒドロキシアニソールの予備撹拌物を小さなジャケット付き容器に作成した。混合物を50℃~60℃に加熱し、30分間撹拌した。混合物が透明の溶液になった時点で、溶液を20℃~30℃へ冷却した。メインの容器中に、シメチコン、ミリスチン酸イソプロピル、モノオレイン酸ソルビタン、(存在する場合)ポリエチレングリコール及びポリソルベート80を添加し、温度20℃~30℃で約15分間撹拌した。ロペラミド溶液をメインの容器に添加し、温度20℃~30℃で約30分間撹拌し、その後ソフトゲルカプセルにカプセル化した。
【0062】
【表1】
【0063】
実施例1のサンプルを、ガラス瓶中の非カプセルエマルション(表2)及び本発明による製剤、すなわちエマルションを含有する乾燥カプセル(表3)として、両者を不純物試験に供した。
【0064】
【表2】
【0065】
【表3】
【0066】
実施例4並びに比較例A及びB
充填組成物を、以下の表4に示される組成物を有するように、実施例1~3に記載された同様の方法で調製した。
【0067】
【表4】
【0068】
実施例4とは異なって、1週間で分離した比較例Aでの充填組成物、及び2週間で分離した比較例Bでの充填組成物については;安定なエマルションが形成されなかった。実施例4は、半透明なエマルションであり、安定であり、顕著な分離はなかった。加えて、最終カプセル中で18か月間以上、分離が観察されなかった。
【0069】
実施例5-10
追加の充填組成物を、以下の表5に示される組成物を有するように、実施例1~3に記載された同様の方法で調製した。
【0070】
【表5】