(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-21
(45)【発行日】2023-08-29
(54)【発明の名称】非天然アマニチン類抗体複合物
(51)【国際特許分類】
C07K 7/64 20060101AFI20230822BHJP
A61K 38/12 20060101ALI20230822BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20230822BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20230822BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20230822BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230822BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20230822BHJP
C07K 16/00 20060101ALI20230822BHJP
C07K 16/46 20060101ALI20230822BHJP
【FI】
C07K7/64 ZNA
A61K38/12
A61K39/395 C
A61K39/395 L
A61K47/42
A61K47/68
A61P35/00
A61P35/02
C07K16/00
C07K16/46
(21)【出願番号】P 2020551476
(86)(22)【出願日】2018-08-18
(86)【国際出願番号】 CN2018101213
(87)【国際公開番号】W WO2019034175
(87)【国際公開日】2019-02-21
【審査請求日】2021-06-08
(31)【優先権主張番号】201710710293.6
(32)【優先日】2017-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522263714
【氏名又は名称】バイリ-バイオ(チェンドゥ)ファーマスーティカル シーオー.,エルティーディー.
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】朱義
(72)【発明者】
【氏名】李傑
(72)【発明者】
【氏名】余永国
(72)【発明者】
【氏名】万維李
(72)【発明者】
【氏名】劉威加
(72)【発明者】
【氏名】卓識
【審査官】松村 真里
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/115466(WO,A1)
【文献】特表2014-508767(JP,A)
【文献】特許第5977241(JP,B2)
【文献】特表2013-544231(JP,A)
【文献】国際公開第2017/149077(WO,A1)
【文献】国際公開第2007/121326(WO,A2)
【文献】特表2016-516010(JP,A)
【文献】LIANG ZHAO et al.,SYNTHESIS OF A CYTOTOXIC AMANITIN FOR BIORTHOGONAL CONJUGATION,CHEMBIOCHEM,ドイツ,2015年06月03日,Vol.16,pp.1420-1425,http://dx.doi.org/10.1002/cbic.201500226
【文献】Biochemistry 1983, Vol.22, No.5, pp.1264-1271
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 1/00-19/00
A61K 38/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式(I)で表される非天然アマニチン類抗体複合物またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される製剤成分。
【化1】
(式中、R
1はH、-OHまたは-O-L-Aであり、
R
2はHまたは-OHであり、
R
3はOC
1~6アルキル基であり、
R
4はHまたは-L-Aであり、
R
5は-NH
2、-OH、-NH-L-Aまたは-O-L-Aであり、
Aは標的部位に結合される生体高分子部分であり、
抗体またはその抗原結合断片、抗体様タンパク質を含み、
Oは酸素原子、Nは窒素原子、Hは水素原子であり、
R
1、R
4、R
5のうちの1つが-L-A構造を有し、
前記Lは、下式の構造を含み、
【化2】
式中、L
1は生体高分子Aに結合されるリンカーであり、
【化3】
から選択され、波線で生体高分子Aに結合され、
L
2はスペーサーであり、
置換または非置換のC1-C6アルキル基、置換または非置換のC5-C20ヘテロアリール基、-(CH
2
CH
2
O)a-(aは1~20の整数である)から選択される1種または複数種であり、スペーサーとスペーサーの間は化学結合により結合され、L
2はL
1とAAの間に結合される断片であり、mは1-6の整数であり
、
AAは1~6個のアミノ酸を含んでなる断片であり、
フェニルアラニン、シトルリン、バリン、リジン、セリン、グルタミン酸、アスパラギン酸又はグリシンから選択され、nは0または1であり
、
前記L
3
は、
【化4】
又は毒素に結合される任意の連結基から選択され、
波線はAAに結合され、アスタリスクは構造式(I)で表される毒素に結合され
前記L
4
は、カルボニル基または単結合であり、
前記L
5
はC2-C12アルキル基であり、
前記R
6
、R
7
は、それぞれ独立して水素、C1-C6アルキル基から選択される。)
【請求項2】
前記標的部位に結合される生体高分子は、抗体またはその抗原結合断片であり、キメラ抗体、脱免疫化抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、二重特異性抗体、四重特異性抗体およびナノ抗体から選択される、請求項
1に記載の非天然アマニチン類抗体複合物またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される製剤成分。
【請求項3】
前記抗原結合断片は、Fab、F(ab')、Fd、Fv、一本鎖Fvおよびジスルフィド結合により連結されたFv(dsFv)からなる群より選択される、請求項
1または2に記載の非天然アマニチン類抗体複合物またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される製剤成分。
【請求項4】
前記置換基は、ヒドロキシル基、チオール基、ハロゲン、カルボキシル基、アミノ基、リン酸基、ニトロ、シアノ、スルホン酸基、置換または非置換のC1-C6アルキル基から選択される1種または複数種である、請求項
1に記載の非天然アマニチン類抗体複合物またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される製剤成分。
【請求項5】
請求項1から
4のいずれか1項に記載の非天然アマニチン類抗体複合物またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される製剤成分を含む、薬物組成物。
【請求項6】
抗腫瘍薬または抗がん薬の製造における請求項1から
4のいずれか1項に記載の非天然アマニチン類抗体複合物またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される製剤成分の使用。
【請求項7】
前記薬物組成物は、抗肺がん薬、抗腎臓がん薬、抗尿道がん薬、抗結腸直腸がん薬、抗前立腺がん薬、抗神経膠腫薬、抗卵巣がん薬、抗膵がん薬、抗乳がん薬、抗黒色腫薬、抗肝がん薬、抗膀胱がん治療薬、抗悪性リンパ腫薬、抗白血病薬、抗胃がん薬または抗食道がん薬である、請求項
5に記載の薬物組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二環式オクタペプチド系誘導体に関する。この化合物は、特殊な化学構造で対応する標的結合基に結合し、その構造が血漿において安定するが、特定の生物学的環境において有効成分の薬物に分解され、標的細胞に対する殺傷性の最大化および非標的細胞に対する有毒な副作用の最小化を達成し、多種類の悪性腫瘍の治療に適用できる。
【背景技術】
【0002】
アマニチン(amanitin)は、劇毒キノコから分離されたアマトキシンの一種であり、8つのアミノ酸から構成される二環式ペプチドである。分離精製された天然アマニチンには、α-アマニチン、β-アマニチン、γ-アマニチン、ε-アマニチン、アマニン(amanin)、アマニンアミド(amaninamide)、アマヌリン(amanullin)、アマヌリン酸(amanullinic acid)およびプロアマヌリン(proamanullin)の9種類がある。そのうち、α-アマニチンおよびβ-アマニチンは死亡を引き起こす主な毒素である。アマニチンは、遅効性毒素であり、真核生物のRNAポリメラーゼIIおよびRNAポリメラーゼIIIの転写を阻害し、タンパク質欠失および細胞死を引き起こすことができる。このような毒素は、RNAポリメラーゼIIに対する阻害性が極めて高く、KDが3nMに達することができ、消化管の腸肝循環により繰り返し体内に吸収され、人体の肝臓、腎臓、心臓、肺などの臓器に継続的で深刻な損傷を引き起こす。
【0003】
アマニチンは大きな生体分子担体(例えば、抗体分子)と結合した後、その毒性が大幅に低下するかまたは無毒になる。特定の生理的環境において生体分子担体が切除された後にのみ、アマニチンはその細胞毒性を示す。
【0004】
Theodor Wielandらの研究により、天然アマニチン中のスルホキシド構造を硫黄元素に変更した後、形成された非天然アマニチンの細胞に対する毒性の変化は大きくないことが分かった。ドイツのハイデルベルク製薬株式会社は、天然アマニチン分子をモノクローナル抗体と結合して抗腫瘍活性を有する薬物分子を得た。
【0005】
本発明では、毒性が天然アマニチンに類似した非天然アマニチンを、バイオ医薬品に許容される連結構造を通じて標的に結合可能な生物分子に結合することにより、血漿中で安定し、細胞中で腫瘍細胞を効率的に殺すことができる化合物が得られる。
【0006】
定義
この技術分野の標準的な慣行によれば、化学式および表に用いる符号
【化1】
は、部分または置換基として化合物構造の核心または核の結合部位との結合を示す。
【0007】
この技術分野の標準的な慣行によれば、ヘテロ(原子、アルキル基、アリール基、環式基)とは、炭素原子以外の他の原子を含む化学構造を指す。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、二環式オクタペプチド類アマニチン誘導体と生体高分子との複合体を提供する。この複合体は、血液循環システムにおいて安定し、標的細胞によりエンドサイトーシスされた後に切断され、RNAポリメラーゼ阻害剤であるアマニチン誘導体を放出し、真核生物mRNAの合成に対する特異的阻害により細胞に対する強い毒性を生じる。具体的には、構造式(I)の毒素複合体である。
【0009】
【0010】
式中、R1はH、-OHまたは-O-L-Aであり、
R2はH、-OHであり、
R3はOC1~6アルキル基であり、
R4はHまたは-L-Aであり、
R5は-NH2、-OH、-NH-L-Aまたは-O-L-Aである。
Oは酸素原子、Nは窒素原子、Hは水素原子である。
Aは標的部位に結合する生体高分子部分である。
【0011】
好ましい実施形態において、前記Lは以下の構造を含む。
【化3】
【0012】
式中、L1は生体高分子Aに結合されるリンカーであり、L2はスペーサーであって、L1とAAの間に結合される断片であり、mは1-6の整数であり、L3は構造式(I)で表される毒素に結合され、AAは1~6個のアミノ酸を含んでなる断片であり、nは0または1である。
【0013】
好ましい実施形態において、前記Aは、標的部位に結合される生体高分子部分であり、抗体またはその抗原結合断片、抗体様タンパク質、核酸アプタマーなどを含む。
【0014】
好ましい実施形態において、前記標的部位に結合される生体高分子は、抗体またはその抗原結合断片であり、キメラ抗体、脱免疫化抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、二重特異性抗体、四重特異性抗体およびナノ抗体から選択される。
【0015】
より好ましくは、前記抗原結合断片は、Fab、F(ab')、Fd、Fv、一本鎖Fvおよびジスルフィド結合により連結されたFv(dsFv)からなる群より選択される。
【0016】
好ましい実施形態において、前記R1、R4、R5のうちの1つのみが-L-A構造を有する。
【0017】
好ましい実施形態において、前記L
1は生体高分子Aに結合されるリンカーであり、
【化4】
などから選択され、波線で生体高分子Aに結合される。
【0018】
好ましい実施形態において、前記L2はスペーサーであり、置換または非置換のC1-C6アルキル基、置換または非置換のC3-C20シクロアルキル基、置換または非置換のC3-C20ヘテロシクロアルキル基、置換または非置換のC5-C20アリール基、置換または非置換のC5-C20ヘテロアリール基、-(CH2CH2O)a-(aは1~20の整数である)などから選択される1種または複数種の組み合わせであり、スペーサーとスペーサーの間は任意の化学結合により結合される。
【0019】
さらに好ましくは、前記置換基は、ヒドロキシル基、チオール基、ハロゲン、カルボキシル基、アミノ基、リン酸基、ニトロ、シアノ、スルホン酸基、置換または非置換のC1-C6アルキル基などから選択される1種または複数種の組み合わせである。
【0020】
さらに好ましくは、前記置換基は、ヒドロキシル基、チオール基、ハロゲン、カルボキシル基、アミノ基、リン酸基、ニトロ、シアノ、スルホン酸基などから選択される1種または複数種の組み合わせである。
【0021】
好ましい実施形態において、AAは1~6個のアミノ酸から構成される断片であり、前記アミノ酸はL-アミノ酸であり、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、プロリン、トリプトファン、セリン、チロシン、システイン、メチオニン、アスパラギン、グルタミン、トレオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニンおよびヒスチジンなどから選択される。
【0022】
さらに好ましくは、前記アミノ酸は、フェニルアラニン、シトルリン、バリン、リジン、セリン、グルタミン酸、アスパラギン酸またはグリシンである。
【0023】
好ましい実施形態において、前記L
3は、
【化5】
または毒素に結合される任意の連結基などから選択される。
波線はAAに結合され、アスタリスクは構造式(I)で表される毒素に結合される。
【0024】
さらに好ましくは、前記L4は、カルボニル基または単結合である。
【0025】
さらに好ましくは、前記R6、R7は、それぞれ独立して水素、C1-C6アルキル基などから選択される。
【0026】
さらに好ましくは、前記L5はC2-C12アルキル基である。
【0027】
好ましい実施形態において、前記薬物は、以上のいずれかの構造式(I)の構造を有する毒素複合体またはその塩を含む。
【0028】
好ましい実施形態において、抗腫瘍薬または抗がん薬の製造における以上のいずれかの構造式(I)の毒素複合体またはその塩の使用。
【0029】
好ましい実施形態において、前記抗腫瘍薬または抗がん薬は、抗肺がん薬、抗腎臓がん薬、抗尿道がん薬、抗結腸直腸がん薬、抗前立腺がん薬、抗神経膠腫薬、抗卵巣がん薬、抗膵がん薬、抗乳がん薬、抗黒色腫薬、抗肝がん薬、抗膀胱がん治療薬、抗悪性リンパ腫薬、抗白血病薬、抗胃がん薬または抗食道がん薬である。
【0030】
略語と符号
g:グラム
mg:ミリグラム
min:分間
mL:ミリリットル
mol:モル
℃:摂氏度
Boc:tert-ブトキシカルボニル
PyBOP:ヘキサフルオロリン酸(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリピロリジノホスホニウム
Cit:シトルリン
CO2:二酸化炭素
DCM:ジクロロメタン
DIPEA:ジイソプロピルエチルアミン
DMF:ジメチルホルムアミド
DMSO:ジメチルスルホキシド
DPBS:ダルベッコリン酸緩衝液
DTPA:ジエチルトリアミン五酢酸
DTT:ジチオスレイトール
EA:酢酸エチル
EDTA:エチレンジアミン四酢酸
FBS:胎児ウシ血清
HATU:O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩
H2O:水
HOBt:1-ヒドロキシルベンゾトリアゾール
mAb:モノクローナル抗体
MEM:最少必須培地
MTS:3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-5-(3-カルボキシメチル)-2-(4-スルホフェニル)-2H-テトラゾール、内塩
MTT:3-(4,5-ジメチルチアゾール-2)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド
PAB:p-アミノベンジルオキシ
PBS:リン酸緩衝液
Sodium Pyruvate:ピルビン酸ナトリウム
THF:テトラヒドロフラン
TLC:薄層クロマトグラフィー
Tris:トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン
Val:バリン
Trt-Cl:トリフェニルクロロメタン
TBTU:O-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート
HOBT:1-ヒドロキシルベンゾトリアゾール
TFA:トリフルオロ酢酸
TBS-Cl:tert-ブチルジメチルクロロシラン
HOSu:N-ヒドロキシルスクシンイミド
Na2CO3:炭酸ナトリウム
EDCI:1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩
CuBr:臭化第一銅
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、具体的な実施例により本発明をさらに説明する。これらの実施例は本発明を説明するものにすぎず、本発明の範囲を制限しない。別段の定義がない限り、本明細書で使用される専門用語および科学用語はすべて、当業者によく知られている用語と同じ意味を持っている。さらに、記載される内容と類似または同等の任意の方法および材料は本発明の方法に適用することができる。本明細書に記載の好ましい実施方法と材料は例示的なものに過ぎない。
【0032】
実施例1:低分子payload ama-0301の合成
【化6】
【0033】
1)中間体08の固相合成
N-フルオレニルメトキシカルボニル-O-tert-ブチル-L-ヒドロキシプロリンプリロード樹脂を出発原料とし、20%ピペリジン(1g樹脂に20mlの20%ピペリジンが添加されている)で保護基Fmocを脱保護した後、PHが中性になるまでDMFで5回洗浄し、DMFを溶液(20ml/g)とし、順にFmoc-N-プロピニル-L-アスパラギン(Fmoc-Asn(Trt)-OH)(3eq)、TBTU(2.5eq)、HOBT(1.8eq)、DIPEA(6eq)を加え、室温(28℃)で2時間反応させた後、DMF(毎回1g樹脂あたり20mlDMF)で3回洗浄し、さらに上記操作で次のアミノ酸を結合し、完全に結合した後、1%TFAジクロロメタン溶液(毎回1g樹脂あたり20mlの1%TFA 5min、3回繰り返し)で樹脂から切断し、回転蒸留により溶液を除去し、メチルtert-ブチルエーテルを加え、撹拌して晶析させ、化合物08を得た。総収率は約43%であり、HPLC純度は81.3%であった。MS:[M+H]+1244.6521
【0034】
【0035】
2)化合物09の合成
8g化合物08の粗生成物をTFA(10ml/g)で溶解した後、室温で5時間撹拌しながら反応させ、50℃でTFAを減圧除去し、分取液体クロマトグラフィーにより精製し、純粋な化合物09を約3.8g得た。収率は71%、純度は96.4%であった。MS:[M+H]+828.3241
【0036】
3)化合物14の合成
250mlの一口フラスコに(4S)-ヒドロキシルイソロイシン2.94g、1,4-ジオキサン40ml、飽和炭酸ナトリウム溶液を加え、均一に撹拌し、Fmoc-OSuをバッチで加え、10min後に、引き続き室温で12時間撹拌しながら反応させ、原料が完全に反応した後、反応液に50ml水を加え、5%のクエン酸溶液でPHを約4に調整し、酢酸エチルで3回抽出し(毎回50ml)、有機層を収集し、飽和食塩水50mlで1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して淡黄色油状物を得た。精製せずにそのまま次の反応に供した。収率>100%であった。
【0037】
4)化合物15の合成
前記化合物13の粗生成物を40mlDMFで溶解させた後、イミダゾール2.68g(2eq)を加え、TBS-Clをバッチで加えた後、室温で12時間撹拌し、原料が完全に反応した後、水50ml、酢酸エチル50mlを加え、撹拌し、有機層を分離し、水層を酢酸エチルで2回抽出し(毎回50ml)、有機層を収集し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、淡黄色油状物を得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:PE:EA=5:1)により精製し、油状物4.5gを得た。二段階収率は約46.6%であった。
【0038】
5)化合物10の合成
250ml一口フラスコに順に化合物14、HOSu(1.23g,1.15eq)、DCC(2.23g,1.15eq)、THF50mlを加え、窒素ガスの保護下で、室温で6時間撹拌し、完全に反応した後、水50ml、酢酸エチル50mlを加え、10min撹拌した後、有機層を分離し、水層を酢酸エチルで2回抽出し(毎回50ml)、有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、淡黄色油状物を得た。分取液体クロマトグラフィーにより精製し、白色泡沫状固体約3.24gを得た。収率は60%であった。1H-NMR(400MHz,DMSO-d6):0.08(s,6H),0.86(s,9H),0.98(d,3H,J=8.0Hz),1.06(d,3H,J=5.6),1.95(t,J=10.8),2.83(s,4H),4.21(dd,1H,J=16.8Hz,8.0Hz),4.34(dd,1H,J=12Hz,4Hz),4.67~4.73(m,1H),7.31(d,2H,J=8.0Hz),7.34~7.46(m,2H),7.70~7.76(m,2H),7.89(t,2H,J=12.0),8.24(d,1H,J=8.8Hz);MS:581.34[M+H]
【0039】
6)化合物11の合成
0.5g化合物09を乾燥DMF1.5mlで溶解させた後、化合物10(701mg,2eq)、DIPEAを加えてpHを8~9に調整し、窒素ガスの保護下で、室温で5時間反応させ、HPLCにより反応をモニタリングし、原料09は基本的に完全に反応した。生成物を後処理せずにそのまま次の反応に供することができる。
【0040】
7)化合物12の合成
前記反応液にピペリジン0.3ml(20%)を加え、室温で2時間撹拌しながら反応させ、HPLCにより原料が完全に反応したことを確認した後、反応を停止させ、分取液体クロマトグラフィー(中性、アセトニトリル/純水系)により精製し、目的ピーク留分を収集し、アセトニトリルを減圧除去した後、凍結乾燥させ、白色粉末状固体277mgを得た。二段階収率は約42.8%であった。MS:[M+H]+1071.5120.
【0041】
8)化合物13の合成
270mg化合物12を乾燥DMFで溶解させた後、EDCI(96.6mg,2eq)、HOBT(170mg,5eq)、DIPEA(0.22ml,5eq)を加え、室温で4時間撹拌した後、HPLCにより完全に反応したことを確認した後、分取液体クロマトグラフィー(中性、アセトニトリル/純水系)により精製し、目的ピーク留分を収集し、アセトニトリルを減圧除去した後、凍結乾燥させ、白色粉末状固体約136.4mgを得た。収率は約51.4%であった。MS:[M+H]+1053.4908.
【0042】
【0043】
9)化合物16の合成
1gの6-マレイミドヘキサン酸スクシンイミジルを10mlテトラヒドロフランで溶解させた後、0.678gの2-[2-(2-アジドエトキシ)エトキシ]エチルアミン(1.2eq)を加え、窒素ガスの保護下で、室温で4時間撹拌し、TLCにより完全に反応したことを確認した後、水を加え、EAで3回抽出し(毎回10ml)、有機層を合わせ、乾燥濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより精製し、目的製品約0.8gを得た。収率は84%であった。
【0044】
10)化合物17の合成
80mg化合物16をDMSO 5mlで溶解させた後、化合物13(114.7mg,0.5eq)、臭化第一銅44.7mg(1.5eq)、精製水0.2mlを加え、窒素ガスの保護下で、室温で3時間撹拌した後、HPLCにより化合物13が完全に反応したことを確認した後、分取液体クロマトグラフィーにより精製し、目的ピーク留分を収集し、有機溶媒を回転蒸留により除去した後、凍結乾燥させ、白色固体約50.5mgを得た。収率は32.6%であった。MS:[M+H]+1420.7031
【0045】
11)化合物ama-0301の合成
45mg化合物17を1mlの5%TFA/MeOHに加えて溶解し、窒素ガスの保護下で、室温で1時間反応させ、HPLCにより原料17が完全に反応したことを確認した後、溶媒を窒素パージして乾燥させ、分取液体クロマトグラフィーにより精製し、濃縮して有機溶媒を除去した後、凍結乾燥させ、白色固体15.4mgを得た。収率は37.2%であった。MS:[M+H]+1306.6013
【0046】
実施例2:低分子payload ama-0302の合成
【化9】
【0047】
1)主な中間体24の固相合成
化合物08の合成を参照し、メチルtert-ブチルエーテルを晶析させ、黄褐色固体約10.6gを得た。HPLC純度は約79.8%であった。
【0048】
【0049】
2)化合物25の合成
化合物09の合成を参照し、化合物24の粗生成物を50mlTFAで溶解させた後、窒素ガスの保護下で、室温で5時間撹拌した後、HPLCにより原料が完全に反応し、主な点が明らかであることを確認した後、分取液体クロマトグラフィーにより精製し、目的ピーク留分を収集し、減圧により有機溶媒を除去した後、凍結乾燥させ、白色固体2.38gを得た。MS:[M+H]+831.4251
【0050】
3)化合物26の合成
化合物11の合成を参照し、原料25を1.0g投入し、凍結乾燥させ、白色固体約820mgを得た。収率は52.5%であった。MS:[M+H]+1296.6431
【0051】
4)化合物27の合成
参考化合物12の合成を参照し、原料26を800mg投入し、凍結乾燥させ、白色固体約308.8mgを得た。収率は約46.6%であった。MS:[M+H]+1074.5184
【0052】
5)化合物28の合成
化合物13の合成を参照し、原料27を300mg投入し、凍結乾燥させ、白色固体約208.4mgを得た。収率は約70.6%であった。MS:[M+H]+1056.5243
【0053】
6)化合物29の合成
100mg化合物28を5%TFAのメタノール溶液1mlで溶解させた後、窒素ガスの保護下で、室温で2時間撹拌しながら反応させ、HPLCにより原料が完全に反応したことを確認した後、分取液体クロマトグラフィーにより精製し、目的ピーク留分を収集し、凍結乾燥させ、淡黄色固体約69.5mgを得た。収率は77.9%であった。MS:[M+H]+942.4571
【0054】
7)化合物30の合成
50mg化合物29を10ml反応フラスコに加え、窒素ガスの保護下で、テトラキス(トリフェニルホスフィンパラジウム)67.5mg(1.1eq)を加え、窒素ガスで空気を置換し、注射器で反応フラスコに5mlの乾燥テトラヒドロフラン、0.1mlの乾燥モルホリンを加え、原料を溶解し、引き続き室温で12時間撹拌し、HPLCにより原料が完全に反応したことを確認した後、分取液体クロマトグラフィーにより精製し、目的ピーク留分を収集し、凍結乾燥させ、淡黄色固体約35.2mgを得た。収率は73.5%であった。MS:[M+H]+902.4123
【0055】
【0056】
8)化合物31の合成
Fmoc-L-バリン(20g)、HoSu(7.46g,1.1eq)を200mlのTHFで溶解させた後、反応フラスコを氷塩浴に置き、0℃まで降温し、DCC縮合剤(14.6g,1.1eq)をゆっくりと加え、反応温度を0-5℃に制御し、3時間かけて加えた。その後、氷浴から取り外し、室温で12時間撹拌しながら反応させた。TLCによりFmoc-L-バリンが完全に反応したことを確認した後、反応を停止させた。減圧で吸引濾過し、100mlのTHFで濾過ケーキを洗浄し、回転蒸留により濾液を除去し、残留物に100mlのDCMを加え、撹拌して溶解させ(35℃で撹拌して溶解させ)、有機濾過膜で少量な不溶物を濾別した後、35℃の油浴に置き、撹拌しながら100mlの石油エーテルを加え、自然に降温して1時間晶析させた後、氷塩浴に置き、降温して2時間晶析させ、吸引濾過し、石油エーテルで固体を洗浄し、固体を40℃の真空乾燥オーブン中で乾燥させ、21.86gの白色粉末状固体を得た。収率は約85%であった。
【0057】
9)化合物32の合成
20gの化合物31を200mL溶媒THFに溶解し、9.64g(1.2eq)L-シトルリンを加え、1M炭酸ナトリウムを加えてpHを8~9に調整し、完全に溶解させ、室温で48時間撹拌しながら反応させ、TLCにより完全に反応したことを確認した。氷浴で撹拌しながらクエン酸水溶液で反応液のpHを3-4に調整し、イソプロパノール:EA=1:5(40mlイソプロパノール+200ml EA)で3回抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、回転蒸留により乾燥させ、さらに200mlのメチルtert-ブチルエーテルを加えて撹拌し、2時間撹拌した後、吸引濾過し、濾過ケーキを収集し、45℃の真空乾燥オーブンに置き、乾燥させ、18.6g白色固体生成物を得た。収率は約81.7%であった。
【0058】
10)化合物33の合成
18g化合物32を500mLの反応フラスコに加え、200mLのDMFで溶解させた後、運に8g(1.0eq)4-[(N-tert-ブトキシカルボニル)アミノメチル]アニリン、HATU20g(1.5eq)、DIPEA(18ml,3eq)を加え、室温で24時間撹拌し、TLCにより原料が完全に反応したことを確認した後、水200mL、ジクロロメタン200mLを加え、10min撹拌した後、有機層を分離し、水で2回洗浄し(毎回50mL)、有機層を収集し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濾過し、濃縮し、褐色油状物を得た。油状物にメチルtert-ブチルエーテル200mlを加え、30min撹拌した後に固体が析出し、濾過し、濾過ケーキをメチルtert-ブチルエーテルで2回洗浄し(毎回50ml)、濾過ケーキを収集し、50℃の真空乾燥オーブンで乾燥させ、褐色固体18.9gを得た。収率は74.4%であった。
【0059】
11)化合物34の合成
15g化合物33を250ml反応フラスコに加え、20%ピペリジンのDMF溶液75mlを加え、室温で1時間撹拌した後、TLCにより原料が完全に反応したことを確認した後、オイルポンプにより溶媒を減圧蒸留して除去した後、メチルtert-ブチルエーテル200mlを加え、室温で2時間撹拌し、褐色固体が析出し、濾過し、濾過ケーキをメチルtert-ブチルエーテルで2回洗浄し(毎回50ml)、濾過ケーキを収集し、50℃の真空乾燥オーブンで乾燥させ、褐色固体6.8gを得た。収率は66.4%であった。
【0060】
12)化合物35の合成
1g化合物34を10mlのDMFで溶解させた後、6-マレイミドヘキサン酸スクシンイミジル773mg(1.2eq)を加え、室温で5時間撹拌し、TLCにより原料が完全に反応したことを確認した後、反応液に水10ml、酢酸エチル20mlを加え、10min撹拌した後、有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、カラムクロマトグラフィー (石油エーテル:酢酸エチル50:1) により精製し、淡黄色泡沫状固体956mgを得た。収率は68.3%であった。
【0061】
13)化合物36の合成
30mg化合物35を20%TFAのジクロロメタン溶液で溶解させた後、室温で2時間撹拌しながら反応させ、TLCにより完全に反応したことを確認した後、減圧で回転蒸留して溶媒を除去し、化合物36の粗生成物を得た。使用まで保存した。精製せずにそのまま次の反応に供した。
【0062】
【0063】
14)ama-0302の合成
得られた化合物36(1.2eq)の粗生成物を1mlのDMFで溶解させた後、32.5mg化合物30、HATU20.5mg(1.5eq)を加え、DIPEAでpHを8~9に調整し、窒素ガスの保護下で、室温で6時間撹拌し、HPLCにより原料30が完全に反応したことを確認した後、分取液体クロマトグラフィーにより精製し、目的ピーク留分を収集し、凍結乾燥させ、淡黄色固体15.3mgを得た。収率は29.1%であった。MS:[M+H]+1455.7011.
【0064】
実施例3:低分子payload ama-0303の合成
【化13】
【0065】
1)化合物37の合成
文献J.Am.Chem.Soc.2018,140,6513-6517の合成方法を参照。
【0066】
2)化合物38の合成
化合物11の合成を参照し、凍結乾燥させ、目的化合物約751.5mgを得た。収率は56.8%であった。MS:[M+H]+1426.6751
【0067】
3)化合物39の合成
化合物12の合成を参照し、化合物38を700mg投入し、凍結乾燥させ、白色固体約482.3mgを得た。収率は81.6%であった。MS:[M+H]+1205.6124
【0068】
4)化合物40の合成
化合物13の合成を参照し、化合物39を450mg投入し、分取精製した後、凍結乾燥させ、白色固体約384.2mgを得た。収率は86.7%であった。[M+H]+1186.6012
【0069】
5)化合物41の合成
化合物29の合成を参照し、化合物40を100mg投入し、分取精製した後、凍結乾燥させ、白色固体約54.2mgを得た。収率は約67.2%であった。[M+H]+958.4250.
【0070】
6)化合物42の合成
化合物30の合成を参照し、化合物41を50mg投入し、分取精製した後、目的ピーク留分を凍結乾燥させ、白色固体約28.6mgを得た。収率は59.7%であった。[M+H]+918.4413
【0071】
【0072】
7)化合物ama-0303の合成
化合物ama-0302の合成を参照し、化合物42を25mg投入し、分取精製した後、凍結乾燥させ、淡黄色固体約15.2mgを得た。収率は38%であった。[M+H]+1471.6820
【0073】
実施例4:低分子payload ama-0304の合成
【化15】
【0074】
1)化合物49の合成
合成方法は化合物08の合成と同様である。化合物49の粗生成物約2.4gを得た。純度は約86.2%であった。生成物を精製せずにそのまま次の反応に供した。。
【化16】
【0075】
2)化合物50の合成
化合物09の合成を参照し、分取精製した後、目的化合物1.1gを得た。[M+H]+790.4126
【0076】
3)化合物51の合成
化合物11の合成を参照し、化合物50を500mg投入し、分取精製した後、目的化合物341.5mgを得た。収率は43%であった。[M+H]+1255.6195
【0077】
4)化合物52の合成
化合物12の合成を参照し、化合物51を300mg投入し、分取精製した後、目的ピーク留分を凍結乾燥させ、白色固体約186.4mgを得た。収率は75.5%であった。[M+H]+1033.5013
【0078】
5)化合物53の合成
化合物13の合成を参照し、化合物52を150mg投入し、分取精製した後、目的ピーク留分を凍結乾燥させ、白色固体約86.5mgを得た。収率は58.7%であった。[M+H]+1015.5121
【0079】
【0080】
6)化合物54の合成
80mg化合物53を乾燥DMSOで溶解させた後、tert-ブチルN-(4-ブロモブチル)カルバミン酸159mg(8eq)、カリウムtert-ブトキシド88mg(10eq)を加え、室温で12時間撹拌しながら反応させ、tert-ブチルN-(4-ブロモブチル)カルバミン酸159mg(8eq)、カリウムtert-ブトキシド88mg(10eq)を加え、さらに室温で24時間撹拌しながら反応させ、HPLCにより原料がなくなったことを確認した後、分取液体クロマトグラフィーにより精製し、目的ピーク留分を収集し、製品18.2mgを得た。収率は19.5%であった。[M+H]+1186.6137.
【0081】
7)化合物55の合成
得られた18.2mg化合物54を0.1mLトリフルオロ酢酸で溶解させた後、室温で30min撹拌し、2mLジクロロメタンを加え、均一に撹拌した後、減圧で溶媒を回転蒸留により除去し、使用まで保存した。
【0082】
8)化合物ama-0304の合成
得られた化合物55の粗生成物を1mlのDMFで溶解させた後、6-マレイミドヘキサン酸スクシンイミジル9.5mg(2eq)を加え、DIPEAでpHを8~9に調整し、窒素ガスの保護下で、室温で5時間撹拌し、HPLCにより原料が完全に反応したことを確認した後、分取液体クロマトグラフィーにより精製し、目的ピーク留分を収集し、有機溶媒を回転蒸留により除去した後、凍結乾燥させ、類白色固体10.4mgを得た。収率は53%であった。[M+H]+1279.6537.
【0083】
実施例5:低分子payload ama-0305の合成
【化18】
【0084】
1)化合物56の合成
化合物11の合成を参照し、原料50を200mg投入し、凍結乾燥させ、白色固体約211.3mgを得た。収率は60.2%であった。[M+H]+1385.6713.
【0085】
2)化合物57の合成
化合物12の合成を参照し、原料56を200mg投入し、凍結乾燥させ、白色固体約114.8mgを得た。収率は68.3%であった。[M+H]+1163.5793.
【0086】
3)化合物58の合成
化合物13の合成を参照し、原料57を110mg投入し、凍結乾燥させ、類白色固体約72.5mgを得た。収率は66.9%であった。[M+H]+1145.5901
【0087】
4)化合物59の合成
得られた化合物58約70mgを0.5mLTFAのメタノール溶液で溶解させた後、室温で1時間撹拌しながら反応させ、HPLCにより原料が完全に反応したことを確認した後、分取液体クロマトグラフィーにより精製し、目的ピーク留分を収集し、回転蒸留により有機溶媒を除去し、凍結乾燥させ、類白色固体約45.7mgを得た。收率は81.6%であった。[M+H]+917.4013
【0088】
【0089】
5)化合物60の合成
国際出願WO2012041504に記載の方法を参照。
【0090】
6)化合物61の合成
原料59約42mgを1ml乾燥DMFで溶解させた後、22mg(2eq)化合物60、58mgジラウリン酸ジブチルスズを加えた後、窒素ガスの保護下で、室温で24時間撹拌し、22mg(2eq)化合物60を加え、室温で52時間撹拌し、HPLCにより原料59がなくなったことを確認した後、前記反応液に0.2mlメタノールを加えて反応を停止させ、分取液体クロマトグラフィーにより精製し、目的ピーク留分を収集し、回転蒸留により有機溶媒を除去し、凍結乾燥させ、淡黄色固体約9.6mgを得た。収率は18.1%であった。[M+H]+1159.5703.
【0091】
7)化合物62の合成
得られた9.6mg化合物61を0.1mlトリフルオロ酢酸で溶解させた後、室温で30min撹拌し、2mlジクロロメタンを加え、均一に撹拌した後、減圧で回転蒸留により溶媒を除去し、使用まで保存した。生成物を精製せずにそのまま次の反応に供した。。
【0092】
8)化合物ama-0305の合成
得られた化合物62を1mlの乾燥DMFで溶解させた後、6-マレイミドヘキサン酸スクシンイミジル5.1mg(2eq)を加え、窒素ガスの保護下で、室温で5時間撹拌し、HPLCにより原料が完全に反応したことを確認した後、分取液体クロマトグラフィーにより精製し、主ピーク留分を収集し、窒素パージして乾燥させ、類白色固体約4.6mgを得た。収率は44.4%であった。[M+H]+1252.6091.
【0093】
実施例6:抗体-薬物複合体の製造
1)一般的な結合方法
予備精製されたモノマー比が95%超えの抗体分子を、限外濾過用遠沈管によりEDTAを含むリン酸緩衝液(濃度10mg/ml)に移す。抗体モル数の10倍のTCEPを加え、室温で2時間反応させる。限外濾過用遠沈管によりpH6.5のリン酸緩衝液に移し、抗体モル数の10倍のDHAAを加え、室温で2時間反応させた。そして、抗体モル数の3倍のpayloadを加え、室温で4時間反応させた。反応終了後、カットオフ分子量が30KDaの限外濾過用遠沈管によりPBSに移し、未結合のpayloadを除去した。
【0094】
2)抗体-薬物結合DARの検出
モノマー比の検出条件
サンプルを14000rpmで5分間遠心分離し、上清を取り、注入して分析する。
装置:Waters e2695(2489UV/Vis)
カラム:TSKgel G3000SWXL(7.8×300mm,5μm)
移動相A:50mM PB,300mM NaCl,200mM Arg,5%IPA,pH6.5
移動相A:30minイソクラティック溶離,流速:0.714ml/min,カラム温度25℃,検出波長:280nm。
DAR検出条件
サンプルを14000rpmで5分間遠心分離し、上清を取り、注入して分析する。
装置:Waters H-class(TUV)
カラム:Proteomix HICButyl-NP5(4.6×35mm,5μm)
移動相A:1.5M硫酸アンモニウム,0.025M無水リン酸ナトリウム,pH7.0
移動相B:0.025M無水リン酸ナトリウム,25%IPA,pH7.0
移動相Aでカラムを平衡化し、移動相A、Bでイソクラティック溶離し、流速0.8ml/min、カラム温度25℃、検出波長:214nm。
【0095】
【0096】
4)結論
ama-0301/ama-0302/ama-0303/ama-0304/ama-0305とTrastuzumabを結合した後、結合効率は高く、モノマー比は高かった。
【0097】
実施例7:血漿安定性
1)操作
所定量のADCサンプルを取り、ヒトIgGが除去されたヒト血漿に加え、各ADCについて3チューブずつ準備する。37℃の水浴でインキュベートする。それぞれ72時間、144時間後にADCサンプルを取り出し、各チューブにProteinA(MabSelect SuReTM LX Lot:#10221479 GE,PBSで洗浄済)100ulを加え、縦型混合器で2時間振盪しながら吸着させ、洗浄、溶離した後、インキュベートされたADCを得た。所定時間インキュベートされたADCサンプルをRP-HPLCにより検出した。
【0098】
【0099】
3)結論
ヒト血漿において、各抗体-薬物複合体は3日目および6日目にほとんど分解せず、安定性が良好であった。
【0100】
実施例8:体外活性試験
1)実験材料
細胞:中国科学院細胞バンク
腫瘍細胞培地:Gibco
FBS:BIOWEST
2)培地の調製
増殖培地(10%FBS,Penicillin/streptomycin(100U/ml)を含有)
検出培地(1%FBS,Penicillin/streptomycin(100U/ml)を含有)
【0101】
3)操作
生物学的安全キャビネットのUVランプを30min早くオンにして照射し、その後、換気を3minオンにした。増殖培地、検出培地、D-PBSおよびパンクレアチンを37℃恒温水槽中で予熱し、その後、アルコールで表面を消毒し、生物学的安全キャビネットに置いた。コンフルエンス率が約80%の細胞を選択し、生物学的安全キャビネットに置き、古い培地を吸い取って除去し、D-PBSで洗浄し、吸引して廃棄し、トリプシンで2~3min消化した後、増殖培地に加え、1200rpmで3min遠心分離した。遠心上清を吸い取り、4mlの検出培地で均一に混合し、100ulを取ってカウントした(50ul細胞液を取り出し、50ulのTrypan Blue Stainを加え、均一に混合した後、カウントした)。所定の細胞数でプレートをコーティングし、80ul/ウェルで96ウェルプレートに接種し、ウェルE11、F11、G11に80ul検出培地のみを加え、周りのウェルに150ulのDPBSを加えた。
抗体溶液の希釈
検出培地を用い、V型96ウェルプレートの第1列において初期濃度が5uMのテストソリューション300ulを調製し、次の第2から10列にそれぞれ210ulの検出培地を加え、均一に混合された第1列から30ulを取って第2列に加え、ピペットで10回均一に上下混合し、ピペットチップを廃棄し、次の7つの濃度について順番に操作した。プレートコーティング24時間後に、1ウェル/20ulで希釈抗体を加え、対照群を作り、第11列に20ulの検出培地のみを加え、各濃度について2回繰り返し、細胞渦発振器で均一に混合した(550rpm,3min)。
【0102】
4)検出
4日後、MTS試薬を取り出し、常温、暗所で解凍した後、十分に均一に混合した後、生物学的安全キャビネットに置き、ウェルの側壁に沿って100μL細胞培地あたり20μLのCellTiter96(登録商標)One Solution Reagen MTS試薬を加え、プレート面を軽く叩いてMTS溶液を均一に混合した後、細胞培養インキュベーターに入れ、暗所で2時間インキュベートした。反応終了後、96ウェルプレートを取り出し、マイクロプレートリーダー中でOD490nmでの吸光度を測定し、データを記録、整理、記憶した。
【0103】