(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-21
(45)【発行日】2023-08-29
(54)【発明の名称】吸入のための界面活性剤製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 47/24 20060101AFI20230822BHJP
A61K 9/12 20060101ALI20230822BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20230822BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20230822BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20230822BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20230822BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20230822BHJP
【FI】
A61K47/24
A61K9/12
A61K9/14
A61K47/02
A61K47/26
A61K47/42
A61P11/00
(21)【出願番号】P 2020554389
(86)(22)【出願日】2018-12-19
(86)【国際出願番号】 US2018066435
(87)【国際公開番号】W WO2019126289
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-12-06
(32)【優先日】2017-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520220881
【氏名又は名称】キウィタス セラピューティクス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100095832
【氏名又は名称】細田 芳徳
(74)【代理人】
【識別番号】100187850
【氏名又は名称】細田 芳弘
(72)【発明者】
【氏名】リップ,マイケル,エム.
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ホリー
【審査官】篭島 福太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2006/055532(WO,A1)
【文献】特表2003-507412(JP,A)
【文献】特表2000-503976(JP,A)
【文献】特表2003-507410(JP,A)
【文献】国際公開第2009/026434(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 47/24
A61K 9/12
A61K 9/14
A61K 47/02
A61K 47/26
A61K 47/42
A61P 11/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
i) 粒子の少なくと
も30重量%のDPPC;
ii) 粒子の少なくと
も10重量%のPOPG;
iii) 粒子の
0.1~3重量
%のNaCl;
iv) トレハロース、ラクトース、またはマルチトールなどの糖アルコールのいずれか1つ以上からなる群より選択される賦形剤
;ならびに
v) 粒子の1重量%~10重量%の、SP-A、SP-B、SP-CおよびSP-Dまたはそれらの任意の活性な断片からなる群より選択される界面活性剤タンパク質
からなる、肺系送達のための呼吸可能な乾燥粉末粒子界面活性剤製剤であって、
乾燥粉末粒子の全ての構成要素が100重量パーセントに達する、製剤。
【請求項2】
界面活性剤タンパク質が、配列番号:1~21またはアミノ酸レベルで少なくとも
90%の同一性を有して該配列に相同なアミノ酸配列からなる群より選択され
る、請求項1記載の製剤。
【請求項3】
界面活性剤タンパク質が粒子
の5重量%であり、界面活性剤タンパク質が、配列番号:9のアミノ酸配列またはアミノ酸レベルで少なくとも
90%の配列同一性を有して該配列に相同なアミノ酸配列を含む、請求項
2記載の製剤。
【請求項4】
シナプルチドをさらに含む、請求項1記載の製剤。
【請求項5】
賦形剤がラクトースである、請求項1記載の製剤。
【請求項6】
肺サーファクタント療法を必要とする患者を治療するための、請求項1~
5いずれか記載の製剤。
【請求項7】
患者が、肺サーファクタント欠乏を引き起こす状態に苦しむ、請求項
6記載の製剤。
【請求項8】
肺サーファクタント欠乏が、呼吸窮迫症候群(RDS)により生じる、請求項
7記載の製剤。
【請求項9】
肺サーファクタント欠乏が、喘息、気管支炎、肺移植後の慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症、肺炎、AIDS、急性呼吸促迫症候群(ARDS)、肺浮腫、間質性肺疾患、心肺バイパス後の肺胞蛋白症および喫煙により生じる、請求項
7記載の製剤。
【請求項10】
患者が成人のヒトまたは小児のヒトである、請求項
7記載の製剤。
【請求項11】
小児のヒトが、未熟個体、新生児、乳児、幼児、学齢の個体または青年個体である、請求項
10記載の製剤。
【請求項12】
小児のヒトが、以下:約6~約11歳、約12~約17歳または約6~約17歳の年齢範囲からなる群より選択される、請求項
10記載の製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2017年12月21日に出願された米国仮特許出願第62/609,277号の利益を主張する。上記出願の全教示は、参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
内因性の肺系肺サーファクタント(lung surfactant)(LS)は、肺胞内層の気体-液体界面で表面張力を低減し、呼息の終了時に肺が虚脱することを防ぐ。界面活性剤の欠乏は、未熟幼児における一般的な障害であり、呼吸窮迫症候群(RDS)を引き起こし、該症候群は細かく刻まれた哺乳動物の肺の脂質抽出物である製剤を用いてまたは肺洗浄により効果的に治療され得る。前記製剤は、改変された天然の界面活性剤として公知であり、主にホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)およびホスファチジルグリセロール(PG)などのリン脂質(PL)、ならびに疎水性界面活性剤タンパク質BおよびC(SP-BおよびSP-C)で構成される。かかる製剤は、乳児患者における気管内チューブを介した投与のための気管内懸濁物として調製される。
【0003】
本特許出願に引用されるPLのリストは以下のものである:
・ホスファチジルコリン: PC、
・ホスファチジルエタノールアミン: PE、
・ホスファチジルグリセロール: PG、
・ホスファチジルイノシトール: PI、
・ホスファチジルセリン: PS、
・スフィンゴミエリン: SM、
・1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホグリセロール、一般的にジパルミトイル-ホスファチジルグリセロール: DPPGとして公知、
・1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、一般的にジパルミトイル-ホスファチジルコリン: DPPCとして公知、
・1-パルミトイル-2-オレイル-sn-グリセロ-3-ホスホグリセロール、一般的にパルミトイル-オレイル-ホスファチジルグリセロール: POPGとして公知、
・1-パルミトイル-2-オレイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、一般的にパルミトイル-オレイル-ホスファチジルコリン: POPCとして公知、
・1,2-ジオレイル-sn-グリセロ-3-ホスホグリセロール、一般的にジオレイル-ホスファチジルグリセロール: DOPGとして公知、
・1-パルミトイル-2-リノレイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、一般的にパルミトイル-リノレイル-ホスファチジルコリン: PLPCとして公知、
・1-ステアロイル-2-アラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、一般的にステアロイル-アラキドノイル-ホスホコリン(SAPC)として公知、
・1-パルミトイル-2-アラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(PAPC)、
・1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、一般的にジパルミトイル-ホスファチジルエタノールアミン: DPPEとして公知、
・1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、一般的にジステアロイル-ホスファチジルエタノールアミン: DSPEとして公知、
・1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-L-セリン、一般的にジパルミトイル-ホスファチジルセリン: DPPSとして公知。
【0004】
糖脂質のグリセロール部分は主に、順に、飽和(例えばミリスチン酸、パルミチン酸およびステアリン酸)、一不飽和(例えばオレイン酸)または多不飽和(例えばリノール酸およびアラキドン酸)され得る長鎖脂肪酸(C14-C20)によりエステル化される。特徴付け残基として中性または両親媒性イオン性部分例えばグリセロール(PG)、イノシトール(PI)およびセリン(PS)を含むリン脂質は、酸性リン脂質として公知である。酸性リン脂質の他の例は、DPPG、POPGおよびDPPSである。
【0005】
界面活性剤は通常、気管を通る肺への点滴注入により、水性懸濁液の形態で未熟乳児に投与される。界面活性剤は、成人呼吸促進症候群(ARDS)などの重度の肺動脈弁閉鎖不全を含む種々の病変に罹患する成人にも投与され得る。
【0006】
界面活性剤製剤の最も重要な脂質構成要素の1つは、圧縮の際に気体-液体界面で単分子膜を形成し、表面圧縮の際におそらく位相遷移(固化)を経験し、それにより異なるサイズを有する肺胞の系を安定化するので、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC)である。酸性リン脂質はDPPCの拡散を好むので、良好な活性を得るために、酸性リン脂質が最も重要であることも一般的に知られる。
【0007】
動物組織から得られる界面活性剤製剤は、制限された量でのアベイラビリティ、製造および滅菌プロセスの複雑さならびに関連のある製造コストなどのいくつかの欠陥を提示し、その結果、合成界面活性剤を調製するために多くの努力がなされている。「人工」界面活性剤は、界面活性剤タンパク質を有さず、単に合成化合物、主にリン脂質ならびに脂質組成および天然の界面活性剤の挙動を模倣するように調製される他の脂質の混合物からなる。「再構成された」界面活性剤は、動物から単離されるかまたは組み換え技術により製造される界面活性剤タンパク質が添加される、人工界面活性剤である。
【0008】
ほとんどの先行技術界面活性剤製剤の別の主要な欠点は、該製剤が気管内チューブを介して患者に送達されなければならないということである。吸入による肺系送達に適切で、乳児または欠陥を有する(compromised)肺機能を有する成人への挿管の必要がなく、高められた安定性特性を有する界面活性剤製剤を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0009】
発明の概要
本発明は、任意に界面活性剤タンパク質および/またはポリペプチドを含み、吸入を介した肺系への送達のために製剤化される肺サーファクタントの呼吸可能な乾燥粉末粒子製剤に関する。
【0010】
好ましくは、本発明の製剤は、1つ以上の界面活性剤タンパク質および/またはポリペプチド、1つ以上の肺サーファクタントおよび/またはリン脂質からなる群より選択される活性剤を含む。好ましくは、本発明の製剤は、さらなる活性剤を含まない。好ましくは、該製剤は、シリカゲルなどの乾燥剤と共にパッケージ化される。したがって、本発明は、乾燥剤と組み合わせてパッケージ化される本明細書に記載される製剤を含むカプセルを含む容器を含む。
【0011】
好ましくは、該製剤は、以下の製剤の1つから選択される:
【表1】
【0012】
他の態様において、肺系送達のための呼吸可能な乾燥粉末粒子界面活性剤製剤は:
i) 粒子の少なくとも約30重量%のDPPC;
ii) 粒子の少なくとも約10重量%の量のPOPGを含む任意の賦形剤;
iii) 粒子の約3重量%未満のNaCl;ならびに
iv) ラクトース、トレハロース、ラフィノース、糖アルコール、例えばマルチトール、エリスリトール、ソルビトール、マルトトリトール(maltotritol)、キシリトールおよびマンニトール、例えばそれらの無水物、一水和物および二水和物の形態
を含み;
乾燥粉末粒子の全ての構成要素は100重量パーセントに達する。
【0013】
好ましくは、該製剤はさらに、約1重量%~約10%および好ましくは約1~5重量%、例えば約3重量%または約5重量%の、SP-A、SP-B、SP-CおよびSP-D;配列番号:1~21もしくはそれらの断片、誘導体もしくは改変体、またはアミノ酸レベルで少なくとも90%の配列同一性を有して前述のアミノ酸配列のいずれかと相同なアミノ酸配列からなる群より選択される界面活性剤タンパク質を含む。
【0014】
該製剤はさらに、約1重量%~約10重量%および好ましくは約1~5重量%、例えば約3重量%もしくは約5重量%の「KL4」としても公知であるシナプルチド(sinapultide)、または参照により本明細書に援用される、1993年11月9日に発行されたCochrane et al.による米国特許第5,260,273号に記載されるような他のポリペプチドを含み得る。例えば、該ポリペプチドは、少なくとも10アミノ酸残基および約60以下のアミノ酸残基を含み得、好ましくは20~30残基長の範囲である。ポリペプチドは、交互の疎水性および正に帯電したアミノ酸残基領域を有する配列を含み得る。
【0015】
該ポリペプチドは、交互の疎水性および正に帯電したアミノ酸残基領域を有する配列を含み得る。ポリペプチドは式(Za Ub)c Zdで表され得る。
Zは正に帯電したアミノ酸残基、好ましくは1つのRまたはKである;
UはV、I、L、C、YおよびFからなる群より独立して選択される疎水性アミノ酸残基である。好ましくは、疎水性残基はLである。
aの平均値は約1~約5であり、好ましくは1である。bの平均値は約3~約20であり、好ましくは4~8の範囲であり、より好ましくは約4である。cの値は1~10であり、好ましくは4~8の範囲であり、より好ましくは約4である。dの値は0~3であり、好ましくは1である。
【0016】
重量パーセントは、残りの水、溶媒または不純物に関係なく、乾燥粒子中の固体、脂質および/または賦形剤の総量を反映することを意図する。好ましくは、乾燥粒子の全ての構成要素は100wt%に達する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図面の説明
【
図1】
図1は、乾燥剤と共に保存された製剤1の経時的なXRPDである。
【
図2】
図2は、乾燥剤と共に保存された製剤1の経時的なDSCスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
発明の詳細な説明
用語「a」、「an」および「the」は、本明細書で使用する場合、「1つ以上」を意味し、文脈が不適切でなければ複数を含むように定義される。
【0019】
「含む(including)」、「含む(containing)」または「を特徴とする(characterized by)」と同義である用語「含む(comprising)」は、本明細書で使用する場合、包括的であるかまたは開放型であり、組成物または方法工程のさらなる記載されない要素を排除しない。用語「からなる」は、そうでなければ特定されない任意の要素、工程または成分を排除する。用語「本質的にからなる」は、組成物または方法の範囲を、特定の材料または工程ならびに特定の組成物または方法の基本的および新規の特徴(1つまたは複数)に大きく影響しないものに限定する。
【0020】
用語「乾燥粉末」は、本明細書で使用する場合、吸入デバイス中で分散され得、その後被験体に吸入され得る微細に分散された呼吸可能乾燥粒子を含む組成物をいう。かかる乾燥粉末または乾燥粒子は、約15%の水もしくは他の溶媒、好ましくは約10%までの水もしくは他の溶媒を含み得るか、または好ましくは実質的に水もしくは他の溶媒を含まないかまたは好ましくは無水であり得る。
【0021】
用語「乾燥粒子」は、本明細書で使用する場合、約15%までの水もしくは他の溶媒、好ましくは10%までの水もしくは他の溶媒を含み得るか、または好ましくは実質的に水もしくは他の溶媒を含まないかまたは好ましくは無水であり得る呼吸可能粒子をいう。
【0022】
用語「呼吸可能」は、本明細書で使用する場合、被験体における吸入による気道への送達(例えば肺系送達)に適切な乾燥粒子または乾燥粉末をいう。呼吸可能な乾燥粉末または乾燥粒子は、約10ミクロン未満、好ましくは約5ミクロンおよびより好ましくは約3ミクロン以下の質量中位空気力学的直径(mass median aerodynamic diameter)(MMAD)を有する。「質量中位空気力学的直径」(MMAD)は、本明細書において「空気力学的直径」とも称される。実験的に、空気力学的直径は、重力沈下法(gravitational settling method)を使用して決定され得、粉末粒子の集合が一定の間隔で沈下する時間は、粒子の空気力学的直径を直接推定するために使用される。質量中位空気力学的直径(MMAD)を測定するための間接的な方法は、複数ステージ液体インピンジャー(multi-stage liquid impinge)(MSLI)である。空気力学的直径d
aerは、式:
【数1】
(式中、d
gは幾何学的直径、例えばMMGDであり、ρは粉末密度である)から計算され得る。
【0023】
本明細書で使用する場合、呼吸可能乾燥粒子の用語「投与」または「投与すること」は、呼吸可能乾燥粒子を被験体の気道に導入することをいう。
【0024】
本明細書で使用する場合、用語「気道」は、上気道(例えば鼻通路、鼻腔、喉、咽頭)、呼吸気道(例えば咽頭、気管、気管支、細気管支)および肺(例えば呼吸細気管支、肺胞管、肺胞嚢、肺胞)を含む。深部の肺または肺胞は典型的に、全身薬物送達のための吸入される治療製剤の所望の標的である。本発明の一態様において、粒子の質量のほとんどは、深部の肺または肺胞に沈積する。本発明の別の態様において、送達は主に中心気道に対するものである。他の態様において、送達は上気道に対するものである。
【0025】
「肺系送達」は、該用語を本明細書で使用する場合、気道への送達をいう。肺系送達は、独立吸入、または機械的換気(MV)系などの換気系もしくは持続陽圧気道圧(CPAP)系を介するなどの非侵襲性の機械的換気系(NIMV)を介した吸入を行い得る患者による吸入を含む。
【0026】
用語「動的密度(working density)」は、本明細書で使用する場合、用語「かさ密度」と交換可能であり、メスシリンダー中の測定により決定される場合、本明細書において粉末の重量(m) ÷ 粉末が占める体積(Vo)と定義され、本明細書においてグラムパーリットル(g/L)と表される。簡潔に、最初にメスシリンダーを計量し、ぎっしり詰めずに粉末を充填し、ぎっしり詰めずに必要な場合は平らにし、再度計量する。沈下しない見た目の体積を、最も近い目盛の単位まで読む。動的密度は、式m/Voにより計算される。動的密度はまた、例えばグラムパー立方センチメートル(g/cm3)で表され得る。一態様において、動的密度は0.1g/cm3未満である。一態様において、動的密度は、約0.02g/cm3~約0.05g/cm3の範囲である。一態様において、カプセルは、約0.03g/cm3~約0.06g/cm3の動的密度を有する粉末を含む。別の態様において、カプセルは、約0.04g/cm3~約0.05g/cm3の動的密度を有する粉末を含む。さらなる態様において、カプセルは、約0.04g/cm3の動的密度を有する粉末を含む。さらなる態様において、カプセルは、約0.045g/cm3の動的密度を有する粉末を含む。さらなる態様において、カプセルは、約0.05g/cm3の動的密度を有する粉末を含む。さらなる態様において、カプセルは、約0.035g/cm3の動的密度を有する粉末を含む。さらなる態様において、カプセルは、約0.03g/cm3の動的密度を有する粉末を含む。一態様において、カプセルは、約0.03g/cm3~約0.05g/cm3の動的密度を有する粉末を含む。別の態様において、カプセルは、約0.04g/cm3~約0.06g/cm3の動的密度を有する粉末を含む。別の態様において、カプセルは、約0.05g/cm3~約0.06g/cm3の動的密度を有する粉末を含む。別の態様において、カプセルは、約0.06g/cm3~約0.07g/cm3の動的密度を有する粉末を含む。
【0027】
用語「分散可能」は、呼吸可能エアロゾルに分散される乾燥粉末または乾燥粒子の特徴を記載する当該技術分野の用語である。乾燥粉末または乾燥粒子の分散性を測定する1つの方法は、本明細書において、HELOS/RODOSで測定した場合に、1バールの分散(すなわちレギュレーター)圧力で測定した体積中位幾何学直径(VMGD)を、4バールの分散(すなわちレギュレーター)圧力で測定したVMGDで割った、または0.5バールでのVMGDを4バールでのVMGDで割った商として表される。これらの商は、本明細書においてそれぞれ「1/4バール」および「0.5/4バール」と称され、分散性は、低い商と相関する。例えば1/4バールは、HELOS/RODOSにより4バールで測定した同じ呼吸可能乾燥粒子または粉末のVMGDで割った、HELOSまたは他のレーザー回析系により測定した場合の約1バールでRODOS乾燥粉末分散器(または同等の技術)の開口から放出される呼吸可能乾燥粒子または粉末のVMGDをいう。したがって、高度に分散可能な乾燥粉末または乾燥粒子は、1.0に近い1/4バールまたは0.5/4バールの比を有する。高度に分散可能な粉末は、一緒になって塊になる、集合するもしくは凝集する低い傾向を有し、および/または一緒になって塊になる、集合するもしくは凝集する場合は、該粉末が吸入器から放出され、被験体により呼吸される際に容易に分散されるかまたはばらばらになる。分散性はまた、流速の関数として、吸入器から放出されるサイズを測定することにより評価され得る。
【0028】
本願に特に関係のある分散性を測定する別の方法は、放出される用量(ED)を、乾燥粉末吸入器(DPI)または関連のあるデバイスからの流速の低下の関数として測定することである。好ましくは、本発明のLS粉末は、簡易化されたバージョンのDPデバイス(以降低フローエアロゾル化チャンバーまたはLFACと称する、デバイス)、1端に、粉末を含む穴を開けられたカプセルを収容し得る1つ以上の穴を有する簡単な円筒形のチャンバーからなる)から、分散を補助するために抵抗がほとんど提供されない非常に低い流速(1分あたり10リットル(lpm)以下)で分散し得る。粉末分散性は、28.3lpmの標準的な流速で測定したEDに対する比較的低い流速(すなわち20、15、10または5lpm等)での粉末のEDの比を計算することにより定量され得る。したがって、本明細書に開示されるLS粉末は、従来のDPIデバイスにより投与される従来のDP製剤と比較して、大きく低下したエネルギー(デバイス抵抗の関数およびデバイスを通過する流速)で分散され得、ばらばらにされ得る。
【0029】
高い程度の分散性は、本明細書に開示されるLS粉末の重要で有利な局面である。肺系送達のための従来の乾燥粉末(DP)製剤は、患者が1分あたり20~60リットル(lpm)の範囲の流速でデバイスを通して吸入する際に、粉末の分散および分解を容易にするために働くデバイスに一体化される、比較的中程度から高い程度の抵抗を有する乾燥粉末吸入器(DPI)により投与される。
【0030】
用語「FPF(<5.6)」、「FPF(<5.6ミクロン)」および「5.6ミクロン未満の微粒子画分」は、本明細書で使用する場合、5.6ミクロン未満の空気力学的直径を有する乾燥粒子の試料の画分をいう。例えば、2または3段に折り畳まれたACIを使用してFPF<5.6ミクロンを測定し得る。2段に折り畳まれたACIは、8ステージACIの頂部ステージ(S0)およびフィルターステージのみからなり、2つの別々の粉末画分の回収を可能にする。具体的に、2段に折り畳まれたACIは、S0で回収される粉末の画分が、5.6ミクロンより大きい空気力学的直径を有する呼吸可能でない乾燥粒子で構成されるように目盛を定められる。したがって、S0を通過し、フィルターステージに堆積する粉末の画分は、5.6ミクロン未満の空気力学的直径を有する呼吸可能乾燥粒子で構成される。かかる目盛での気流は約60L/分である。このパラメーターは「FPF TD(<5.6)」とも同定され得、ここでTDは、総用量を意味する。8ステージACIを使用して同様の測定を行い得る。8ステージACIカットオフは、標準的な60L/分の流速で異なるが、FPF TD(<5.6)は、8ステージ完全データセットから外挿され得る。8ステージACIの結果はまた、FPFを決定するために、カプセル内にあったものの代わりに、ACI内に回収された用量を使用するUSP法により計算され得る。
【0031】
用語「FPF(<3.4)」、「FPF(<3.4ミクロン)」および「3.4ミクロン未満の微粒子画分」は、本明細書で使用する場合、3.4ミクロン未満の空気力学的直径を有する呼吸可能乾燥粒子の一塊の画分をいう。例えば、3段に折り畳まれたACIを使用して、FPF<5.6ミクロンおよび<3.4ミクロンの両方を測定し得る。3段に折り畳まれたACIは、回収ステージS0、S2およびフィルターステージからなり、5.6ミクロンより大きい、5.6ミクロン未満および3.4ミクロン未満の空気力学的直径を有する粉末の画分を提供する。このパラメーターはまた、「FPF TD(<3.4)」として同定され、ここでTDは総用量を意味する。8ステージACIを使用して同様の測定を行い得る。8ステージACIの結果はまた、FPFを決定するために、カプセル内にあったものの代わりにACIで回収された用量を使用するUSP法により計算され得る。FPFについての他のカットオフ値(すなわち<5.0ミクロン等)は、ACIについての異なるステージ構成を使用することを介してまたは他に特定の組のステージおよびカットオフ直径について得られた結果から外挿することを介してのいずれかで、同様の様式で使用され得る。
【0032】
本明細書で使用する場合、用語「放出される用量」または「ED」は、発射または分散の事象後の適切な吸入器デバイスからの薬物製剤の送達の指標をいう。より具体的に、乾燥粉末製剤について、EDは、単位用量パッケージから吸い取られ、吸入器デバイスのマウスピースから出る粉末のパーセンテージの基準である。EDは、「名目上の用量」(すなわち発射前に適切な吸入器デバイスに入れられる単位用量当たりの粉末の質量)に対する吸入器デバイスにより送達される用量の比として定義される。EDは、実験的に測定されるパラメーターであり、USP Section 601 Aerosols, Metered-Dose Inhalers and Dry Powder Inhalers, Delivered-Dose Uniformity, Sampling the Delivered Dose from Dry Powder Inhalers, United States Pharmacopia Convention, Rockville, Md., 13th Revision, 222-225, 2007の方法を使用して決定され得る。この方法は、患者投与を模倣するインビトロデバイスセットアップを使用する。
【0033】
用語「カプセル放出粉末質量」または「CEPM」は、本明細書で使用する場合、吸入操作の間のカプセルまたは単位用量容器から放出される乾燥粉末製剤の量をいう。CEPMは、典型的に、吸入操作の前後のカプセルを計量して、除去される粉末製剤の質量を決定することにより重力測定的に測定される。CEPMは、ミリグラムでの除去される粉末の質量として、または吸入操作前のカプセル内の最初の充填粉末質量のパーセンテージとしてのいずれかで表され得る。
【0034】
用語「有効量」は、本明細書で使用する場合、気道粘液(例えば気道内層液)の表面および/またはバルク粘弾性を増加する、気道粘膜のゲル化を(例えば表面および/またはバルクゲル化で)増加する、気道粘膜の表面張力を増加する、気道粘膜の弾性(例えば表面弾性および/またはバルク弾性)を増加する、気道粘膜の粘性(例えば表面粘性および/またはバルク粘性)を増加する、吐き出される粒子の量を低減する、病原体(例えば細菌、ウイルス)負荷を低減する、症状(例えば発熱、咳、くしゃみ、鼻の分泌、下痢等)を低減する、感染の発生を低減する、ウイルス複製を低減する、または呼吸機能の悪化を向上もしくは予防する(例えば1秒間の強制呼吸体積FEV1および/または努力肺活量(forced expiratory volume)の割合としての1秒間の強制呼吸体積FEV1 FEV1/FVCを向上する)、および/または気管支収縮を低減するのに十分な量などの所望の効果を達成するために必要な薬剤の量をいう。特定の使用のための実際の有効量は、特定の乾燥粉末または乾燥粒子、投与の形態、および被験体の年齢、重量、一般的な健康状態、ならびに治療される症状または状態の重症度に従って変化し得る。特定の患者についての投与される乾燥粉末および乾燥粒子の適切な量、ならびに投与スケジュールは、これらおよび他の考察に基づいて通常の技術を有する臨床医により決定され得る。乾燥剤の「有効量」に関して、該量は、乾燥剤なしでパッケージ化される製剤と比較して、シリカゲルなどの乾燥剤と共にパッケージ化される、典型的にサシェ、ポーチまたはパック内にパッケージ化される製剤の保存寿命または安定性を向上するのに十分であることが理解される。
【0035】
用語を本明細書中で使用する場合、好ましい「賦形剤」は、肺に有意な有害の毒物学的効果を有さない、肺に取り込まれ得る賦形剤である。かかる賦形剤は、米国食品医薬品局により一般的に安全(GRAS)とみなされる。かかる賦形剤としては水が挙げられる。
【0036】
用語「患者」または「被験体」は、本明細書において交換可能に使用される場合、本発明の組成物を投与され得る個体である。かかる個体の例としては、成人のヒトおよび小児のヒトが挙げられる。小児のヒトは、生まれてから18歳までの個体を含む。小児の年齢の子供はまた、以下の、限定されないが約28日齢までまたは1ヶ月齢までの新生児個体を含む乳幼児;新生児期から12ヶ月齢までの個体を含む乳児;1~3歳の個体を含む幼児;3~5歳の個体を含む就学前の子供、6~10歳の個体を含む学齢の子供および11~14歳の個体を含む青年を含むサブグループを含み得る。小児の子供はまた、以下の、約6~約11歳、約12~約17歳または約6~約17歳の年齢範囲を有するといわれ得る。未成熟なヒト子供(未熟児)は、約37週未満の妊娠齢にある個体を含む。
【0037】
用語「欠陥を有する(compromised)患者」は、本明細書で使用する場合、強く呼吸しないもしくはできないまたは欠陥を有する肺機能を有する個体を含む。かかる個体の例としては、呼吸窮迫症候群(RDS)に苦しむ未熟乳児および/または新生児、急性呼吸促迫(ARDS)に苦しむ成人、ならびに欠陥を有する肺機能に関連する他の疾患状態(嚢胞性線維症、COPD等)に苦しむ成人および子供が挙げられる。一般的に、該個体は、1分あたり約30リットル未満のピーク吸息流速(PIFR)を有する。一態様において、該患者は、1分あたり約15リットル以下のPIFRを有する。代替的にまたは追加的に、欠陥を有する患者は、2リットル未満、例えば約1.5リットル未満、例えば約1リットル未満、約0.75リットル、例えば約0.5リットル、例えば約0.2リットルまたは例えば約0.1リットル以下の吸息体積を有する。
【0038】
用語「ピーク吸息流速」(PFIR)は、本明細書で使用する場合、肺流量計により従来的に評価されるような患者の最大吸入速度をいう。
【0039】
本明細書に開示される配列と同様または相同(例えば少なくとも約70%の配列同一性)な配列も、本発明の一部である。いくつかの態様において、アミノ酸レベルでの配列同一性は、約70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上であり得る。核酸レベルでは、配列同一性は約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上であり得る。代替的に、核酸断片が、選択的ハイブリダイゼーション条件(例えば非常に高いストリンジェントなハイブリダイゼーション条件)下でその相補鎖にハイブリダイズする場合に実質的な同一性が存在する。核酸は、細胞全体中、細胞溶解物中、または部分的に精製されるもしくは実質的に純粋な形態で存在し得る。
【0040】
2つの配列の間の「相同性」または「配列同一性」または「類似性」(該用語は本明細書において交換可能に使用される)の計算は以下の通りに実施される。最適比較目的で配列を整列する(例えば最適整列のために第1および第2のアミノ酸または核酸配列の1つまたは両方にギャップを導入し得、比較目的で非相同配列を無視し得る)。好ましい態様において、比較目的で整列される参照配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも60%、およびさらにより好ましくは少なくとも70%、80%、90%、100%である。次いで、対応するアミノ酸位置またはヌクレオチド位置でのアミノ酸残基またはヌクレオチドを比較する。第1の配列内の位置が第2の配列中の対応する位置と同じアミノ酸残基またはヌクレオチドで占められる場合、かかる位置で分子は同一である(本明細書で使用する場合、アミノ酸または核酸「相同性」は、アミノ酸または核酸「同一性」と同等である)。2つの配列の最適整列のために導入される必要があるギャップの数およびそれぞれのギャップの長さを考慮すると、2つの配列の間のパーセント同一性は、該配列に共有される同一の位置の数の関数である。循環的に(circularly)関連のあるタンパク質の場合、パーセント同一性を計算するために必要な機能的に同等な残基の最適整列を達成するために、パートナーの1つの配列は、2つの区分中で適度に離されて整列される必要がある。
【0041】
アミノ酸およびヌクレオチド配列整列および相同性、類似性または同一性は、本明細書で定義される場合、好ましくはデフォルトパラメーターを使用したアルゴリズムBLAST 2 Sequencesを使用して準備され、決定される(Tatusova, T. A. et al., FEMS Microbiol Lett, 174:187-188 (1999))。代替的に、配列整列のために、デフォルト値に設定されたパラメーターを有するBLASTアルゴリズム(バージョン2.0)を使用する。BLAST (Basic Local Alignment Search Tool)は、プログラムblastp、blastn、blastx、tblastnおよびtblastxに使用される機能的検索アルゴリズムであり;これらのプログラムは、Karlin and Altschul, 1990, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87(6):2264-8の統計学的方法を使用して、それらの所見についての有意さに帰する。
【0042】
発展途上国において新生児RDSの治療のためのLS送達療法の潜在的な実行に関して、気道内点滴注入により未熟乳児に液体形態の代わりのLSを送達するために必要なコスト、資源、設備およびインフラに関するいくつかの重要な制限があり、受動的噴霧化によりかかる製剤を効果的に送達できない。その代り、LSの乾燥粉末製剤は、乾燥粉末LS製剤および送達系の、持続陽圧気道圧(CPAP)系などの非侵襲性換気系への組み込みなどにより非侵襲性の様式で送達され得る。したがって、かかる製剤および送達系は、気道内液体点滴注入が可能でなく、冷凍を必要とする液体形態に対してLS製剤をより安定かつ携帯可能な乾燥粉末形態にしなければならない発展途上地域における使用のための、安価で、有効な代替物を提供し得る。
【0043】
本発明は、有効成分として1つ以上の肺サーファクタント(LS)、1つ以上のリン脂質および任意に1つ以上の肺サーファクタントタンパク質を含む、呼吸可能乾燥粉末粒子を提供する。好ましくは、該製剤はさらなる活性剤を含まない。
【0044】
本発明はさらに、シリカゲル乾燥剤;ゼオライト;アルミナ、ボーキサイト;無水硫酸カルシウム;吸水性粘土;分子ふるい;およびそれらの任意の組合せなどの乾燥剤の存在下で呼吸可能乾燥粉末をパッケージ化することを提供する。乾燥剤は、サシェ、ポーチまたはパック内にパッケージ化され得、カプセルと共にパッケージ内に入れられ得る。乾燥剤はまた、コーティング、吸収または吸着などによりパッケージ自体に組み込まれ得る。例えば、カプセルを含むブリスターパックを密封する膜は、一体化、吸収または吸着などにより、乾燥剤を含み得る。該パッケージはさらに、金属箔シールを有するビンまたはブリスターなどの湿度バリア(barrior)を用いてさらに密封され得る。
【0045】
乾燥剤は、保存の際にパッケージ中の湿度を低減するのに有効な量で添加され、容器サイズおよび湿度への内部暴露条件に依存する。例えば、1gのシリカゲルは、5サイズ00カプセル(HPMCカプセル)を含むパッケージを保護するのに十分である。パッケージ内の湿度または揮発性物質含有量は5wt%未満、好ましくは3wt%未満、例えば1wt%未満まで低減されることが好ましい。好ましい態様において、乾燥剤の量は、40℃での保存の2週間、例えば4週間後に、FPF値を維持するように添加される。用語「FPF値を維持する」は、保存後、FPF<5.6ミクロンが、保存前の同じ製造ロットから試験された対照カプセルのFPF<5.6ミクロンの少なくとも約50%、好ましくは>55%、>60%、>65%、>70%、>75%または>80%であることを意味するように意図される。
【0046】
本発明の呼吸可能乾燥粉末粒子は、疾患状態により生じる界面活性剤の欠乏に苦しむ患者などの本明細書において「欠陥を有する患者」とも称される欠陥を有する肺機能を有する患者による吸入のために特に製剤化される。本発明の乾燥粉末粒子は、例えば乾燥粉末吸入器により、または換気装置による吸入を提供する系を介して吸入され得る。
【0047】
総リン脂質(DPPCおよびもしあればPOPGまたはPOPG-Na)は、少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも約40重量%、より好ましくは少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも約60重量%、より好ましくは少なくとも70重量%、例えば約80重量%である。DPPC 対 さらなるリン脂質の比は、好ましくは少なくとも1:1である。例えば、DPPC:さらなるリン脂質(例えばPOPGまたはPOPG-Na)の比は、約1:1~4:1(例えば1:1、2:1、3:1、4:1)であり得る。好ましくは、該比は約4:1以下である。例えば、DPPC:POPG-Naの比は約7:3よりも高く、例えば約7:3~3:1であり得る。
【0048】
好ましくは、該製剤はさらに、約1重量%~約10重量%および好ましくは約1重量%~約5重量%、例えば約3重量%または5重量%のSP-A、SP-B、SP-CおよびSP-D;配列番号:1~21もしくはそれらの断片、誘導体もしくは改変体またはアミノ酸レベルで少なくとも70%、80%、85%、90%もしくは95%の配列同一性を有して前述のアミノ酸配列のいずれかに相同な任意のアミノ酸配列からなる群より選択される界面活性剤タンパク質を含む。
【0049】
該製剤はさらに、約1重量%~約10重量%および好ましくは約1~5重量%、例えば約3重量%もしくは約5重量%の「KL4」としても公知であるシナプルチド、または参照により本明細書に援用される、1993年11月9日に発行されたCochrane et al.による米国特許第5,260,273号に記載されるような他のポリペプチドを含み得る。例えば、該ポリペプチドは、少なくとも10アミノ酸残基および約60以下のアミノ酸残基を含み得、好ましくは20~30残基長の範囲である。ポリペプチドは、交互の疎水性および正に帯電したアミノ酸残基領域を有する配列を含み得る。
【0050】
重量パーセントは、残りの水、溶媒または不純物に関係なく、乾燥粒子中の固体、脂質および/または賦形剤の総量を反映することを意図する。好ましくは、乾燥粒子の全ての構成要素は100wt%に達する。
【0051】
本発明の呼吸可能乾燥粒子は、好ましくは約10ミクロン以下のMMAD、例えば約0.5ミクロン~約10ミクロンのMMADを有する。好ましくは、本発明の乾燥粒子は、約7ミクロン以下(例えば約0.5ミクロン~約7ミクロン)、好ましくは約1ミクロン~約7ミクロン、または約2ミクロン~約7ミクロン、または約3ミクロン~約7ミクロン、または約4ミクロン~約7ミクロン、約5ミクロン~約7ミクロン、約1ミクロン~約6ミクロン、約1ミクロン~約5ミクロン、約2ミクロン~約5ミクロン、約2ミクロン~約4ミクロン、または約3ミクロンのMMADを有する。
【0052】
5.6ミクロン未満の微粒子画分、またはFPF<5.6の粉末は、5.6μm未満の空気力学的直径を有する粉末内の粒子のパーセンテージに相当する。本発明のFPF<5.6の粉末は、好ましくは約40%以上である。ある態様において、FPF<5.6の粉末は、少なくとも約50%、60%または70%である。一態様において、FPF<5.6は、約30%~約90%である。一態様において、FPF<5.6は約70%~約95%である。一態様において、FPF<5.6は約70%~約90%である。一態様において、FPF<5.6は約70%~約85%または約70%~約80%である。
【0053】
3.4ミクロン未満の微粒子画分、またはFPF<3.4の粉末は、3.4μm未満の空気力学的直径を有する粉末中の粒子のパーセンテージに相当する。一態様において、本発明のFPF<3.4の粉末は、約30%以上である。一態様において、FPF<3.4の粉末は少なくとも約40%または50%である。一態様において、FPF<3.4は約30%~60%である。
【0054】
好ましくは、本発明の粉末は、約0.4g/cm3未満のタップ密度を有する。例えば、粉末は、0.02~0.20g/cm3、0.02~0.15g/cm3、0.03~0.12g/cm3、0.05~0.15g/cm3もしくは約0.15g/cm3未満のタップ密度、または約0.10g/cm3未満のタップ密度、約0.15g/cm3未満のタップ密度を有する。一態様において、本発明の粉末は、約0.2g/cm3未満のタップ密度を有する。好ましくは、タップ密度は約0.02~0.175g/cm3である。好ましくは、タップ密度は、約0.06~0.175g/cm3である。
【0055】
タップ密度は、Dual Platform Microprocessor Controlled Tap Density Tester (Vankel, N.C.)またはGEOPYCTM機器(Micrometrics Instrument Corp., Norcross, GA, 30093)などの当業者に公知の機器を使用して測定し得る。タップ密度は、エンベロープ質量密度の標準的な基準である。タップ密度は、USP Bulk Density and Tapped Density, United States Pharmacopia convention, Rockville, Md., 10th Supplement, 4950-4951, 1999の方法を使用して決定し得る。低タップ密度に寄与し得る特性としては、不規則な表面テクスチャーおよび多孔質構造が挙げられる。等方性粒子のエンベロープ質量密度は、粒子の質量 ÷ 粒子が封入され得る最小球エンベロープ体積として定義される。本発明の一態様において、粒子は、約0.4g/cm3未満のエンベロープ質量密度を有する。
【0056】
好ましくは、本発明の呼吸可能乾燥粉末および乾燥粒子製剤は、約15重量%未満、約13重量%未満、約11.5重量%未満、約10重量%未満、約9重量%未満、約8重量%未満、約7重量%未満、約6重量%未満、約5重量%未満、約4重量%未満、約3重量%未満、約2重量%未満、約1重量%未満の水または溶媒含有量を有するかまたは無水である。
【0057】
好ましくは、本発明の乾燥粒子製剤は、約6%未満および約1%より高い、約5.5%未満および約1.5%より高い、約5%未満および約2%より高い、約2%、約2.5%、約3%、約3.5%、約4%、約4.5%または約5%の水または溶媒含有量を有し得る。
【0058】
該製剤はさらに、少なくとも1つの糖、デンプン、多糖または炭水化物を含む。例えば、マンニトール、ソルビトール、マルチトールなどの糖アルコールが使用され得る。追加的にまたは代替的に、ラクトース、マルトース、スクロース、トレハロース、ラフィノース等が使用され得る。マルトデキストリンおよびシクロデキストリンなどの炭水化物が使用され得る。好ましくは、賦形剤は、約40重量%未満、好ましくは約30重量%未満、好ましくは約25重量%未満の量で製剤に添加される。賦形剤の好ましい範囲としては、限定されないが、約5~約40重量%、約10~約30重量%および約15~約25重量%が挙げられる。より好ましくは、賦形剤は、約15重量%または18重量%の量で添加される。好ましい賦形剤としてはラクトース、トレハロースおよびマルチトールが挙げられる。
【0059】
本発明における使用について任意の塩が適切である。好ましくは、約10重量%未満、好ましくは約5重量%未満、好ましくは約3重量%未満、好ましくは約1重量%未満、好ましくは約1重量%未満および好ましくは約0.1重量%~約2重量%の塩が本発明の製剤中に存在する。塩の好ましい範囲としては、限定されないが、約0.1~約10重量%の塩、約0.1~約3重量%の塩および約0.1~約3重量%が挙げられる。好ましくは、本発明の粒子は、約2重量%の塩を含む。好ましい塩としては、限定されないが、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩およびカルシウム塩が挙げられる。好ましい塩は塩化ナトリウム(NaCl)である。好ましくは、乾燥粒子は約2重量%のNaClを含む。
【0060】
好ましくは、界面活性剤タンパク質(SP)が、本発明の乾燥粉末界面活性剤製剤に含まれる。好ましくは、界面活性剤タンパク質としては、限定されないが、SP-A、SP-B、SP-C、SP-D、配列番号:1~21または当該技術分野で周知のような、天然のタンパク質の機能を維持するSPタンパク質のいずれかの任意の断片、誘導体、ホモログ、アナログもしくは改変体が挙げられる。SP-AおよびSP-Bは、肺中で界面活性剤単層の作製における役割を有すると考えられる。SP-AおよびSP-Dはまた、肺中に存在し得る病原体ならびに花粉およびホコリダニ抗原などの他の有機材料への結合の役割を有すると考えられる。
【0061】
全長成熟SP-A、SP-BおよびSP-Cタンパク質の構造的特徴は周知であり、Genbank受託番号でSP-AについてL10123、BC111570、BC111571、BC026229、NM_006926およびNM_005411;SP-BについてL11573、AF400074、BC032785、NM_000542およびNM_198843;ならびにSP-CについてJ03890、U02948、AY357924、AY337315、BC005913およびNM_003018として報告される。上述のGenbank受託のそれぞれは、その全体において参照により本明細書に援用される。成熟SP-A、SP-Bおよび/またはSP-Cの断片を本発明の界面活性剤組成物に使用する場合、脂質関連領域の少なくとも一部を含むそれらの断片を使用することが好ましい。脂質関連領域は、脂質(天然のグリセロリン脂質または合成のホスホリパーゼ抵抗性脂質のいずれか)と分子相互作用して、脂質が導入される得られる組成物の表面活性を促進し得る成熟タンパク質の一部である。かかる断片としては、限定されることなく、脂質と結合し得る両親媒性または疎水性領域を含むSP-Aの断片、脂質と結合し得る両親媒性または疎水性領域を含むSP-Bの断片、脂質と結合し得る両親媒性または疎水性領域を含むSP-Cの断片、ならびに任意の数の合成ペプチドまたはそれらの組合せが挙げられる。1つの例示的なSP-Bペプチドファミリーは、「Mini-Bファミリー」と指定される(Protein Data Bank Coordinate受託番号1SSZ)。Mini-Bファミリー由来の例示的なペプチドとしては、限定されないが、配列番号:1~21が挙げられる。
【0062】
SP-BおよびSP-Cの好ましいペプチド誘導体の例としては、限定されないが、参照により本明細書に援用される米国特許第8,563,683号に記載されるものが挙げられ、限定されないが、表Bの以下の例示的ペプチド:
【表2】
およびアミノ酸レベルで少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有して前述のペプチドのいずれかに相同な任意のアミノ酸配列が挙げられる。
【0063】
本発明の界面活性剤組成物における使用のための好ましいSP-Bペプチドは、配列番号:9のアミノ酸配列またはアミノ酸レベルで少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有して該配列に相同な任意のアミノ酸配列を含む。
【0064】
該製剤はさらに、約1重量%~約10重量%および好ましくは約1~5重量%、例えば約3重量%または約5重量%の「KL4」としても公知のシナプルチドまたは参照により本明細書に援用される、1993年11月9日に発行されたCochrane et al.による米国特許第5,260,273号に記載されるような他のポリペプチドを含み得る。例えば、該ポリペプチドは、少なくとも10アミノ酸残基および約60以下のアミノ酸残基を含み得、好ましくは20~30残基長の範囲である。該ポリペプチドは、交互の疎水性および正に帯電したアミノ酸残基領域を有する配列を含み得る。ポリペプチドは式(Za Ub)c Zdで表され得、式中:
Zは正に帯電したアミノ酸残基、好ましくは1つのRまたはKである;
UはV、I、L、C、YおよびFからなる群より独立して選択される疎水性アミノ酸残基である。好ましい疎水性残基はLである;
aの平均値は約1~約5であり、好ましくは1である。bの平均値は約3~約20であり、好ましくは4~8の範囲であり、より好ましくは約4である。cの値は1~10であり、好ましくは4~8の範囲であり、より好ましくは約4である。dの値は0~3であり、好ましくは1である。
【0065】
本発明の乾燥粉末粒子製剤は、低吸入エネルギーで、欠陥を有する患者などに投与され得る。異なる吸入流速、体積での、および異なる抵抗を有する吸入器からの粉末の分散を関連付けるために、吸入操作を実行するために必要とされるエネルギーが計算され得る。吸入エネルギーは、式E=R2Q2V(式中、Eはジュールの吸入エネルギーであり、RはkPa1/2/LPMの吸入器抵抗であり、QはL/分の安定な流速であり、VはLの吸入される空気の体積である)から計算され得る。
【0066】
本発明の乾燥粉末粒子製剤は、約2ジュール未満または約1ジュール未満または約0.8ジュール未満または約0.5ジュール未満または約0.3ジュール未満の総吸入エネルギーを乾燥粉末吸入器に適用した場合に、乾燥粉末吸入器からの高い放出される用量(例えば少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、好ましくは少なくとも100%のCEPM)を特徴とする。例えば、乾燥粉末吸入器中に約5~約50mg、好ましくは約10mg~約40mg、好ましくは約25mg~約50mg、好ましくは約40mg、または好ましくは約50mgの適切な製剤を含む単位用量容器に含まれる本発明の製剤の少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%のCEPMの放出される用量は、約1ジュール未満(例えば約0.8ジュール未満、約0.5ジュール未満、約0.3ジュール未満)の総吸入エネルギーを乾燥粉末吸入器に適用した場合に達成され得る。乾燥粉末吸入器中に約50mgまたは約40mgの呼吸可能な乾燥粉末を含む、単位用量容器に含まれる少なくとも約70% CEPMの呼吸可能な乾燥粉末の放出される用量は、約0.28ジュール未満の総吸入エネルギーを乾燥粉末吸入器に適用した場合に達成され得る。乾燥粉末は、単位用量容器を充填し得るか、または単位用量容器は、少なくとも40%充満、少なくとも50%充満、少なくとも60%充満、少なくとも70%充満、少なくとも80%充満または少なくとも90%充満であり得る。該単位用量容器は、カプセル(例えばそれぞれ1.37ml、950μl、770μl、680μl、480μl、360μl、270μlおよび200μlの容積測定容量を有するサイズ000、00、0E、0、1、2、3および4)であり得る。代替的に、単位用量容器はブリスターであり得る。ブリスターは、単一ブリスターまたは一組のブリスターの一部、例えば7個のブリスター、14個のブリスター、28個のブリスターまたは30個のブリスターとしてパッケージ化され得る。
【0067】
代替的に、本発明の乾燥粉末製剤は、換気装置を介して間接的に患者に投与され得る。例えば、未熟乳児はしばしば、気道内チューブの使用を必要としない侵襲性機械的換気または非侵襲性換気などのいくつかの種類の換気による。かかる場合では、本発明の乾燥粉末製剤などの吸入可能薬物は、吸入器または本発明の乾燥粉末を放出するように構成された他のデバイスが、換気系に一体化され、吸入可能な薬物を、換気系の作用と共に患者の呼吸器系に送達するように作動される系を介して投与され得る。本発明の製剤は、持続的陽圧気道圧力(CPAP)系などの非侵襲性換気に関して特に有用である。
【0068】
本発明の利点は、広範囲の流速を通じて十分に分散し、比較的に流速非依存的である粉末の製造である。本発明の乾燥粒子および粉末は、広範囲の患者集団に対する単純な受動的DPIの使用、または代替的に全ての種類の換気装置、特に非侵襲性換気を用いた使用を可能にする。
【0069】
本発明の方法は、本発明の界面活性剤乾燥粉末製剤の有効量を、不十分な肺サーファクタント産生を特徴とする疾患の結果として肺機能の修復を必要とする患者に投与する工程を含む。好ましくは、該方法は、不十分なサーファクタント産生により引き起こされる任意の状態に苦しむ新生児、乳児、子供および成人の治療に有効である。
【0070】
サーファクタント産生の異常は、限定されないが、喘息、気管支炎、慢性閉塞性肺疾患および肺移植後を含む種々の肺疾患において記載されている。異常なサーファクタント産生は、嚢胞性線維症、肺炎およびAIDSなどの感染性および化膿性の肺疾患においても見られる。最終的に、不十分なサーファクタントはまた、急性呼吸促迫症候群(ARDS)、肺浮腫、間質性肺疾患、肺胞蛋白症、心肺バイパス後などの疾患および喫煙者を特徴づける。
【0071】
本発明の呼吸可能乾燥粒子および乾燥粉末製剤は、該製剤の投与を必要とする被験体の気道に、点滴注入技術などの任意の適切な方法および/または乾燥粉末吸入器(DPI)もしくは定用量吸入器(MDI)などの吸入デバイスを使用して投与され得る。ARCUS吸入器(例えば参照により本明細書に援用される米国特許第94687288号に記載される吸入器)、米国特許第4,995,385号および同第4,069,819号に開示される吸入器、SPINHALER(登録商標) (Fisons, Loughborough, U.K.)、ROTAHALERS(登録商標)、DISKHALER(登録商標)およびDISKUS(登録商標) (GlaxoSmithKline, Research Triangle Technology Park, N.C.)、FLOWCAPSS(登録商標) (Hovione, Loures, Portugal)、INHALATORS(登録商標) (Boehringer-Ingelheim, Germany)、AEROLIZER(登録商標) (Novartis, Switzerland)ならびに当業者に公知の他のものなどのいくつかのDPIが利用可能である。
【0072】
一般的に、吸入デバイス(例えばDPI)は、単回吸入において最大量の乾燥粉末または乾燥粒子を送達し得、これはブリスター、カプセル(例えばそれぞれ1.37ml、950μl、770μl、680μl、480μl、360μl、270μlおよび200μlの容積測定容量を有するサイズ000、00、0E、0、1、2、3および4)または吸入器中に乾燥粒子もしくは乾燥粉末を含む他の手段の能力に関連する。したがって、所望の用量または有効量の送達は、2以上の吸入を必要とし得る。好ましくは、投与を必要とする被験体に投与されるそれぞれの用量は、呼吸可能乾燥粒子または乾燥粉末の有効量を含み、約4以下の吸入を使用して投与される。例えば、呼吸可能乾燥粒子または乾燥粉末のそれぞれの用量は、1回の吸入または2、3もしくは4回の吸入で投与され得る。呼吸可能乾燥粒子および乾燥粉末は、好ましくは呼吸活性化DPIを使用して、1回の呼吸活性化工程で投与される。この型のデバイスが使用される場合、被験体の吸入のエネルギーは、呼吸可能乾燥粒子を分散し、該粒子を気道に吸い込ませる。
【0073】
呼吸可能乾燥粒子または乾燥粉末は、所望されるように、気道内の所望の領域への吸入により、送達され得る。約1ミクロン~約3ミクロンの空気力学的直径を有する粒子が、肺の深部まで送達され得ることが周知である。より大きな空気力学的直径、例えば約3ミクロン~約5ミクロンは、中心および上気道に送達され得る。
【0074】
上記吸入器のいずれか1つはまた、一般的に未熟乳児および欠陥を有する肺機能に苦しむ他の個体に使用されるものなどの侵襲性機械的換気(MV)または非侵襲性機械的換気(NIMV)と共に使用され得る。非侵襲性機械的換気(NIMV)系としてはCPAP系が挙げられる。現在、NIMVの間に吸入療法用に特異的に設計された市販される系はない。しかしながら、本発明の製剤は、換気系と共に高い用量を放出し得るので、試験により、種々の吸入器が、使用のためにおよび患者の肺への治療有効量の送達を達成するように構成され得ることが示された。
【0075】
好ましくは、治療有効用量は、体重1kg当たり約10mgの界面活性剤製剤~体重1kg当たり約200mgの界面活性剤製剤を含む。
【0076】
好ましくは、粒子中に存在する場合、賦形剤のパーセンテージは、界面活性剤タンパク質のさらなる存在を収容するために、低下されるかまたは排除される。好ましくは、ラクトース、トレハロースまたはマルチトールの量は低減される。代替的に、賦形剤の比は維持され得、そこに界面活性剤タンパク質が添加される。好ましくは約25重量%未満、好ましくは約15重量%未満、好ましくは約10重量%未満および/または約5重量%以下の界面活性剤タンパク質が本発明の製剤中に存在する。界面活性剤タンパク質の好ましい範囲としては、限定されないが、約0.1~約25重量%、約1~約10重量%および約2~約7重量%が挙げられる。好ましくは、本発明の粒子は、約3重量%、4重量%、5重量%、6重量%または7重量%の界面活性剤タンパク質を含む。
【0077】
乾燥粉末および乾燥粒子を調製するための方法
呼吸可能乾燥粒子および乾燥粉末は、任意の適切な方法を使用して調製され得る。呼吸可能乾燥粉末および粒子を調製するための多くの適切な方法は、当該技術分野でありきたりであり、一重および二重のエマルジョン溶媒蒸発、噴霧乾燥、スライス削り(例えばジェットスライス削り)、混合、溶媒抽出、溶媒蒸発、位相分離、単純および複雑コアセルベーション、界面重合、超臨界二酸化炭素(CO2)の使用を含む適切な方法、ならびに他の適切な方法が挙げられる。呼吸可能乾燥粒子は、当該技術分野で公知のマイクロスフィアまたはマイクロカプセルを作製するための方法を使用して作製され得る。これらの方法は、所望の空気力学的特性(例えば空気力学的直径および幾何学的直径)を有する呼吸可能乾燥粒子の形成を生じる条件下で使用され得る。所望の場合、サイズおよび密度などの所望の特性を有する呼吸可能乾燥粒子は、ふるい分けなどの適切な方法を使用して選択され得る。
【0078】
呼吸可能乾燥粒子は、好ましくは噴霧乾燥される。例えば「Spray Drying Handbook」, John Wiley & Sons, New York (1984)においてK. Mastersにより適切な噴霧乾燥技術が記載される。一般的に、噴霧乾燥の際に、加熱された空気または窒素などの熱い気体からの熱を使用して、連続液体供給を霧化(atomizing)することにより形成される液体から溶媒を蒸発させる。所望の場合、乾燥粒子を調製するために使用される噴霧乾燥または他の機器、例えばジェットスライス削り機器は、粒子が製造される際に呼吸可能乾燥粒子の幾何学的直径を決定する直線幾何学的整粒器、および/または粒子が製造される際に呼吸可能乾燥粒子の空気力学的直径を決定する直線空気力学的整粒器を含み得る。
【0079】
噴霧乾燥のために、適切な溶媒(例えば水性溶媒、有機溶媒、水性-有機混合物またはエマルジョン)中で製造される乾燥粒子の構成要素を含む溶液、エマルジョンまたは懸濁液を、霧化デバイスを介して乾燥容器に散布させる。例えば、ノズルまたは回転アトマイザーを使用して、溶液または懸濁液を乾燥容器に散布し得る。回転アトマイザーまたはノズルのいずれかと揃えられ得る適切な噴霧乾燥器の例としては、共にNiro, Inc. (Denmark)製のMobile Minor Spray DryerまたはModel PSD-1が挙げられる。実際の噴霧乾燥条件は、噴霧乾燥溶液または懸濁液の組成および材料の流速に部分的に基づいて変化する。
【0080】
噴霧乾燥される溶液、エマルジョンまたは懸濁液の組成、所望の粒子特性および他の要因に基づいて、当業者は適切な条件を決定し得る。一般的に、噴霧乾燥器への流入温度は約50℃~約200℃および好ましくは約60℃~約150℃である。噴霧乾燥器流出温度は、供給温度および乾燥される材料の特性などの要因に応じて変化する。一般的に、流出温度は約40℃~約150℃、好ましくは約50℃~約120℃または約60℃~約90℃である。所望の場合、製造される呼吸可能乾燥粒子は、例えばふるいを使用して、容積測定サイズにより分別され得るか、または例えばサイクロンを使用して空気力学的サイズにより分別され得るか、および/または当業者に公知の技術を使用して密度に従ってさらに分離され得る。
【0081】
本発明の呼吸可能乾燥粒子を調製するために、一般的に、乾燥粉末の所望の構成要素を含む溶液、エマルジョンまたは懸濁液(すなわち供給原料)は、適切な条件下で調製されて、噴霧乾燥される。好ましくは、供給原料中の溶解または懸濁された固体濃度は、少なくとも約1g/L、少なくとも約2g/L、少なくとも約5g/L、少なくとも約10g/L、少なくとも約15g/L、少なくとも約20g/L、少なくとも約30g/L、少なくとも約40g/L、少なくとも約50g/L、少なくとも約60g/L、少なくとも約70g/L、少なくとも約80g/L、少なくとも約90g/Lまたは少なくとも約100g/Lである。適切な構成要素(例えば塩、賦形剤、他の有効成分)を適切な溶媒に溶解または懸濁して単一の溶液または懸濁液を調製することにより供給原料は提供され得る。組合せを形成するための乾燥および/または液体構成要素のバルク混合または液体構成要素の静的混合などの任意の適切な方法を使用して、溶媒、エマルジョンまたは懸濁液を調製し得る。例えば、親水性構成要素(例えば水溶液)および疎水性構成要素(例えば有機溶液)は、静的混合器を使用して合されて、組合せが形成され得る。次いで該組み合わせを霧化して、液滴を生じ得、これを乾燥して呼吸可能乾燥粒子を形成する。好ましくは、霧化工程は、静的混合器で構成要素を合わせた直後に行われる。
【0082】
供給原料、または供給原料の構成要素は、有機溶媒、水性溶媒またはそれらの混合物などの任意の適切な溶媒を使用して調製され得る。使用され得る適切な有機溶媒としては、限定されないが、例えばエタノール、メタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールおよびその他などのアルコールが挙げられる。他の有機溶媒としては限定されないが、パーフルオロカーボン、ジクロロメタン、クロロホルム、エーテル、酢酸エチル、メチルtert-ブチルエーテルおよびその他が挙げられる。使用され得る共溶媒としては、水性溶媒および限定されないが、上述の有機溶媒などの有機溶媒が挙げられる。水性溶媒としては、水および緩衝化溶液が挙げられる。
【0083】
供給原料または供給原料の構成要素は、任意の所望のpH、粘度または他の特性を有し得る。所望の場合、pHバッファは、溶媒もしくは共溶媒に、または形成された混合物に添加され得る。一般的に、混合物のpHは、約3~約8の範囲である。
【0084】
呼吸可能乾燥粒子および乾燥粉末は、作製され得、次いで、例えば濾過またはサイクロンによる遠心分離により分離され得、予め選択されたサイズ分布を有する粒子試料が提供される。例えば、試料中約30%より多く、約40%より多く、約50%より多く、約60%より多く、約70%より多く、約80%より多くまたは約90%より多くの呼吸可能乾燥粒子が選択された範囲の直径を有し得る。呼吸可能乾燥粒子の特定のパーセンテージが該当する選択された範囲は、例えば約0.1~約3ミクロンのVMGDなどの本明細書中に記載されたサイズ範囲のいずれかであり得る。
【0085】
呼吸可能乾燥粒子の直径、例えばそれらのVMGDは、Multisizer lie, (Coulter Electronic, Luton, Beds, England)などの電気帯検知機器(electrical zone sensing instrument)またはHELOS system(Sympatec, Princeton, N.J.)などのレーザー回析機器を使用して測定され得る。粒子の幾何学的直径を測定するための他の機器は当該技術分野で周知である。試料中の呼吸可能乾燥粒子の直径は、粒子組成および合成方法などの要因に応じる範囲である。試料中の呼吸可能乾燥粒子のサイズの分布は、呼吸器系内の標的化された部位内での最適な堆積を可能にするように選択され得る。
【0086】
実験的に、空気力学的直径は、飛行時間(time of flight)(TOF)測定を使用して決定され得る。例えば、Model 3225 Aerosizer DSP Particle Size Analyzer (Amherst Process Instrument, Inc., Amherst, Mass.)などの機器を使用して空気力学的直径を測定し得る。Aerosizerは、個々の呼吸可能乾燥粒子が2つの固定されたレーザービームの間を通過するのにかかる時間を測定する。
【0087】
空気力学的直径はまた、呼吸可能乾燥粒子の試料が特定の間隔で沈下するのに必要な時間を測定する従来の重力沈下法を使用して直接的に実験的に決定され得る。質量中位空気力学的直径を測定するための間接的な方法としては、Andersen Cascade Impactorおよび複数ステージ液体インピンジャー(MSLI)法が挙げられる。粒子の空気力学的直径を測定するための方法および機器は当該技術分野で周知である。
【0088】
タップ密度は、粒子を特徴づけるエンベロープ質量密度の基準である。統計的に等方性の形状の粒子のエンベロープ質量密度は、粒子の質量 ÷ 粒子が封入され得る最小球エンベロープ体積として定義される。低タップ密度に寄与し得る特徴としては、不規則な表面テクスチャーおよび多孔質構造が挙げられる。タップ密度は、Dual Platform Microprocessor Controlled Tap Density Tester (Vankel, N.C.)、GEOPYCTM機器(Micrometrics Instrument Corp., Norcross, Ga.)またはSOTAX Tap Density TesterモデルTD2 (SOTAX Corp., Horsham, Pa.などの当業者に公知の機器を使用することにより測定され得る。タップ密度は、USP Bulk Density and Tapped Density, United States Pharmacopia convention, Rockville, Md., 10th Supplement, 4950-4951, 1999の方法を使用して測定され得る。
【0089】
分散された粉末のエアロゾル性能を特徴づけるための1つの方法として微粒子画分が使用され得る。微粒子画分は、空気で運ばれる呼吸可能乾燥粒子のサイズ分布を説明する。カスケードインパクターを使用する重力測定分析は、空気で運ばれる呼吸可能乾燥粒子のサイズ分布または微粒子画分を測定する1つの方法である。Andersen Cascade Impactor (ACI)は、空気力学的サイズに基づいてエアロゾルを9個の別々の画分に分離し得る8ステージインパクターである。それぞれのステージのサイズカットオフは、ACIを操作する流速に依存する。ACIは、一連のノズル(すなわちジェットプレート)および衝突表面(すなわち衝突ディスク)からなる複数のステージで作製される。それぞれのステージで、エアロゾル流は、ノズルを通過し、表面に突き当たる。十分に大きい慣性を有するエアロゾル流中の呼吸可能乾燥粒子は、プレートに衝突する。プレートに衝突するほどに十分な慣性を有さないより小さな呼吸可能乾燥粒子は、エアロゾル流中に残り、次のステージに運ばれる。ACIのそれぞれの連続したステージは、より小さな呼吸可能乾燥粒子がそれぞれの連続したステージで回収され得るように、ノズル中でより高いエアロゾル速度を有する。
【0090】
所望の場合、2または3段に折り畳まれたACIを使用しても、微粒子画分を測定し得る。2段に折り畳まれたACIは、8ステージACIの頂部ステージ(S0)およびフィルターステージのみからなり、2つの別々の粉末画分の回収を可能にする。具体的に、2段に折り畳まれたACIは、S0で回収される粉末の画分が、5.6ミクロンより大きい空気力学的直径を有する呼吸可能でない乾燥粒子で構成されるように目盛を定められる。したがって、S0を通過して、フィルターステージに堆積する粉末の画分は、5.6ミクロン未満の空気力学的直径を有する呼吸可能乾燥粒子で構成される。かかる目盛での気流は約60L/分である。同様に、3段に折り畳まれたACIは、回収ステージS0、S2およびフィルターステージからなり、5.6ミクロンより大きい、5.6ミクロン未満および3.4ミクロン未満の空気力学的直径を有する粉末の画分を提供する。FPF(<5.6)は、粉末を患者の肺に入れ得る粉末の画分に相当することが示されており、一方でFPF(<3.4)は、患者の深部の肺に到達する粉末の画分に相当することが示されている。これらの相当物は、粒子最適化に使用され得る定量的な指標を提供する。
【0091】
ACIは、本明細書において重力測定回収用量および分析的回収用量と称される放出される用量を近似するために使用され得る。「重力測定回収用量」は、ACIの全てのステージフィルター上で計量された粉末 対 名目上の用量の比として定義される。「分析的回収用量」は、ACIの全てのステージ、全てのステージフィルターおよび導入ポートをすすぐことにより回収された粉末 対 名目上の用量の比として定義される。FPF_TD(<5.0)は、ACI上に堆積した5.0μm未満の粉末の挿入された量 対 名目上の用量の比である。FPF_RD(<5.0)は、ACI上に堆積した5.0μm未満の粉末の挿入された量 対 重力測定回復用量または分析的回復用量のいずれかの比である。
【0092】
放出される用量を近似するための別の方法は、乾燥粉末吸入器(DPI)の作動時に、どのくらい多くの粉末がその容器、例えばキャプチャー(capture)またはブリスター内に残るかを決定することである。これはカプセルを残すパーセンテージを考慮するが、DPI上に堆積した任意の粉末は考慮しない。放出される用量は、吸入器作動前の用量を有するカプセルの重量 対 吸入器作動後のカプセルの重量の比である。この測定はカプセル放出粉末質量(CEPM)とも称され得る。
【0093】
複数ステージ液体インピンジャー(MSLI)は、微粒子画分を測定するために使用され得る別のデバイスである。複数ステージ液体インピンジャーは、ACIと同じ原理で作動するが、8ステージの代わりに、MSLIは5個を有する。さらに、それぞれのMSLIステージは、固体プレートの代わりにエタノール湿潤ガラスフリットからなる。湿潤ステージを使用して、ACIを使用した際に起こり得る粒子反発および再飛沫同伴を防ぐ。
【実施例】
【0094】
実施例
本発明は、以下の実施例と関連してよりよく理解される。しかしながら、これらの実施例は例示目的のみのものであり、発明の範囲を限定することを意図しないことが理解されるべきである。種々の変化および変更は当業者に明らかであり、限定されないが、本発明の製剤および/または方法に関連するものを含むかかる変化および変更は、本発明の精神および添付の特許請求の範囲の範囲から逸脱することなくなされ得る。
【0095】
実施例1-材料および方法
略語:
DPPC: ジパルミトイルホスファチジルコリン
gPSD: 平均幾何学的粒径(d50)
n.c.: 計算されず
n.d.: 検出されず
POPG-NaまたはPOPG: 1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-(1'-rac-グリセロール)(ナトリウム塩)
SC-D: 脂質二重層のために半晶質
SC-DE: 脂質二重層および賦形剤のために半晶質
TGA-120: 試料を20℃/分の加熱傾斜で120℃まで加熱することによる総重量消失または揮発
Umまたはμm: マイクロメートル
XRD: X線粉末回析
【0096】
試薬:
1. DPPC (Lipoid GmbH, Steinhausen, Switzerland)
2. POPG-Na (Avanti Polar Lipids, Alabaster, AL, USA)
3. 塩化ナトリウム(VWR, Radnor, PA, USA)
4. エタノール、200プルーフ(Pharmco Products Inc, Brookfield, CT, USA)
5. ラクトース一水和物(Sigma, St. Louis, MO, USA)
6. トレハロース二水和物(Sigma, St. Louis, MO, USA)
7. マルチトール(Sigma, St. Louis, MO, USA)
【0097】
分析:
選択された製剤を以下のパラメーターについて試験した:
1. gPSD (ミクロンの平均幾何学粒径(d50));
2. <5.6umおよび/または3.4umの総用量の微粒子画分(grav.);
3. XRPD (X線粉末回析);
4. 低T1 (20℃/分でDSCスキャン中に観察される第1の熱事象(1つまたは複数)の特徴的温度(1つまたは複数));
5. 低T2 (20℃/分でDSCスキャン中に観察される第2セットの熱事象(1つまたは複数)の特徴的温度(1つまたは複数));および
6. TGA-120(%) (120℃による揮発消失)。
【0098】
実施例2-噴霧乾燥処理パラメーター。
ここに列挙される処理パラメーターを用いてNiro PSD-1を使用して粉末を作製した。
【表3】
【0099】
実施例3-製剤開発。
1gのシリカゲルの存在下での保存ありおよびなしで、安定性を比較する加速された安定性試験を、製剤に対して行った。全ての製剤は本明細書に記載されるとおりに調製した。
【表4】
【表5】
【表6】
【0100】
本発明は特に、その好ましい態様を参照して示され、記載されるが、添付の特許請求の範囲に包含される発明の範囲を逸脱することなく、形態および詳細における種々の変更が本発明においてなされ得ることが当業者に理解されよう。
本発明の態様として以下のものが挙げられる。
項1
i) 粒子の少なくとも約30重量%のDPPC;
ii) 粒子の少なくとも約10重量%のPOPG;
iii) 粒子の約3重量%未満のNaCl;および
iii) トレハロース、ラクトース、またはマルチトールなどの糖アルコールのいずれか1つ以上からなる群より選択される賦形剤
を含む、肺系送達のための呼吸可能な乾燥粉末粒子界面活性剤製剤であって、
乾燥粉末粒子の全ての構成要素が100重量パーセントに達する、製剤。
項2
粒子の約1重量%~約10重量%の、SP-A、SP-B、SP-CおよびSP-Dまたはそれらの任意の活性な断片、誘導体もしくは改変体からなる群より選択される界面活性剤タンパク質をさらに含む、項1記載の製剤。
項3
粒子の約1重量%~約10重量%の、配列番号:1~21またはアミノ酸レベルで少なくとも70%の同一性を有して該配列に相同なアミノ酸配列からなる群より選択される界面活性剤タンパク質をさらに含む、項1記載の製剤。
項4
界面活性剤タンパク質が粒子の約5重量%であり、界面活性剤タンパク質が、配列番号:9のアミノ酸配列またはアミノ酸レベルで少なくとも70%の配列同一性を有して該配列に相同なアミノ酸配列を含む、項3記載の製剤。
項5
シナプルチドをさらに含む、項1記載の製剤。
項6
賦形剤がラクトースである、項1記載の製剤。
項7
製剤:
【表A-1】
から選択される、項1記載の製剤。
項8
肺系送達により、項1~6いずれか記載の少なくとも1つの製剤を投与する工程を含む、肺サーファクタント療法を必要とする患者を治療する方法。
項9
患者が、肺サーファクタント欠乏を引き起こす状態に苦しむ、項8記載の方法。
項10
肺サーファクタント欠乏が、呼吸窮迫症候群(RDS)により生じる、項9記載の方法。
項11
肺サーファクタント欠乏が、喘息、気管支炎、肺移植後の慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症、肺炎、AIDS、急性呼吸促迫症候群(ARDS)、肺浮腫、間質性肺疾患、心肺バイパス後の肺胞蛋白症および喫煙により生じる、項9記載の方法。
項12
患者が成人のヒトまたは小児のヒトである、項9記載の方法。
項13
小児のヒトが、未熟個体、新生児、乳児、幼児、学齢の個体または青年個体である、項12記載の方法。
項14
小児のヒトが、以下:約6~約11歳、約12~約17歳または約6~約17歳の年齢範囲からなる群より選択される、項12記載の方法。
【配列表】