(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-21
(45)【発行日】2023-08-29
(54)【発明の名称】リン酸塩結合剤粒子を含む医薬組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 33/26 20060101AFI20230822BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20230822BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20230822BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20230822BHJP
A61P 3/12 20060101ALI20230822BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20230822BHJP
【FI】
A61K33/26
A61K9/20
A61K47/26
A61K47/36
A61P3/12
A61P13/12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021080281
(22)【出願日】2021-05-11
(62)【分割の表示】P 2018094510の分割
【原出願日】2014-11-26
【審査請求日】2021-06-08
(32)【優先日】2013-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2014-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】509203050
【氏名又は名称】ヴィフォール (インターナショナル) アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Vifor (International) AG
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【氏名又は名称】山口 健次郎
(74)【代理人】
【氏名又は名称】森田 憲一
(72)【発明者】
【氏名】チョフロン,ローラン
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ,エリク
【審査官】篭島 福太郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-503148(JP,A)
【文献】特表2009-525316(JP,A)
【文献】特表2011-529954(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 33/26
A61K 9/20
A61K 47/26
A61K 47/36
A61P 3/12
A61P 13/12
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
経口投与用圧縮錠剤であって、オキシ水酸化鉄(III)とスクロースと1種または複数のデンプンとの混合物を含むリン酸塩結合剤粒子から得られるスクロオキシ水酸化鉄と、少なくとも1種のさらなる薬学的に許容される賦形剤とを含み、前記リン酸塩結合剤粒子
の少なくとも60
%が、4~200μmの
間であり、前記リン酸塩結合剤粒子のd50が30μm~
80μmの間の範囲であり、前記錠剤の硬度が70~200Nの間であり、前記錠剤の崩壊時間が30分未満である、経口投与用圧縮錠剤。
【請求項2】
前記リン酸塩結合剤粒子
が40μm~80μmの間、または42μm~75μmの間のd50を有する粒度分布を有する、請求項1に記載の圧縮錠剤。
【請求項3】
前記リン酸塩結合剤粒子が、40μm~80μmの間のd50を有する粒度分布を有し、前記錠剤における前記リン酸塩結合剤粒度分布の前記粒子の少なくとも60
%が、5~160μmの間、または21~160μmの間である、請求項1又は2に記載の圧縮錠剤。
【請求項4】
下記の特徴の1つまたは複数または全部を満たす
:
i)前記錠剤摩損度が0%~7%の間、または0.05%~7%の間であること、
ii)前記錠剤直径が16mm~30mmの間であり、前記錠剤重量が1500mg~3000m
gの間であり、前記錠剤厚さが4.5mm~7.5mmの間であること、
請求項1に記載の圧縮錠剤。
【請求項5】
下記の特徴の1つまたは複数または全部を満たす:
i)前記リン酸塩結合剤粒度分布中の前記粒子の少なくとも80%が4~200μmの間であること
、
ii)前記錠剤摩損度が0%~7%の間であること、
iii)前記錠剤直径が16mm~30mmの間であり、前記錠剤重量が1500mg~3000mgの間であり、前記錠剤厚さが4.5mm~7.5mmの間であること、および
iv)前記錠剤が1500mg~3000mgの間のスクロオキシ水酸化鉄を含むこと、
請求項1~4のいずれか一項に記載の圧縮錠剤。
【請求項6】
直接圧縮医薬錠剤である、前記請求項1~5のいずれか一項に記載の圧縮錠剤。
【請求項7】
前記リン酸塩結合剤粒子が前記錠剤の総重量(乾燥重量基準)の65重量%超となる、前記請求項1~6のいずれか一項に記載の圧縮錠剤。
【請求項8】
圧縮錠剤の総重量(乾燥重量基準)の80重量%超のスクロオキシ水酸化鉄を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の圧縮錠剤。
【請求項9】
咀嚼錠である、請求項1~8のいずれか一項に記載の圧縮錠剤。
【請求項10】
800mg~3500mgの間のスクロオキシ水酸化鉄を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の圧縮錠剤。
【請求項11】
1500mg~3500mgの間のスクロオキシ水酸化鉄を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の圧縮錠剤。
【請求項12】
ミニタブレットである、請求項1~8のいずれか一項に記載の圧縮錠剤。
【請求項13】
前記スクロオキシ水酸化鉄粒子が40μm~100μmの間の前記粒度分布中のd50を有する、請求項1~
12のいずれか一項に記載の圧縮錠剤。
【請求項14】
リン酸塩結合剤が、少なくとも80体積%、または少なくとも90体積%が4~200μmの範
囲にある粒度分布を有する、請求項1~
13のいずれか一項に記載の圧縮錠剤。
【請求項15】
特に慢性腎機能不全の患者における、高リン酸塩血症状態の予防および治療に使用するための請求項1~
14のいずれか一項に記載の圧縮錠剤。
【発明の詳細な説明】
【詳細な説明の内容】
【0001】
本発明は、一定のリン酸塩結合剤を含む医薬組成物に関し、前記リン酸塩結合剤は改善した錠剤および他の医薬組成物の調製に特に適した一定の粒度分布を有する粒子を含む。
【0002】
国際公開第20101015827号は、高リン血症を治療する方法に使用するための第二鉄組成物であって、式(MxLy(OH)n)(式中、MはFe3+イオンを含む1つまたは複数の金属イオンを表し、Lはカルボン酸リガンドまたはそのイオン化された形態を含む1つまたは複数のリガンドを表し、OHはオキシまたはヒドロキシ基を表す)によって表される固体リガンド修飾ポリオキソ-ヒドロキシ金属イオン材料であり、前記材料が、リガンドLがオキソまたはヒドロキシ基に実質的にランダムに置き換わるポリマー構造を有し、固体リガンド修飾ポオキソ-ヒドロキシ金属イオン材料が1つまたは複数の再現性のある物理化学特性を有する第二鉄組成物を開示している。この文献は固体リガンド修飾ポリオキソ-ヒドロキシ金属イオン材料の一定の粒度に言及しているが、特定の医薬組成物についてのいずれの粒度分布も開示しておらず、新たに調製したリン酸塩結合剤材料の粒度分布にのみ言及している。したがって、この文献は、医薬組成物に使用するための粒度分布の関連性について何も教示していない。国際公開第20101015827号は、具体的な医薬組成物のいずれの例も含まない。
【0003】
米国特許第5514281号明細書は、リン酸イオンおよびタンパク質を含む水性液体供給を、吸着剤基材と共有結合した少なくとも1つの多核金属オキシ水酸化物を含む吸着剤組成物と接触させるステップを含む、タンパク質に有意に悪影響を及ぼすことなく、無機リン酸塩に加えてタンパク質を含む水性液体供給中の無機リン酸塩の量を選択的に減少させる方法に関する。この文献は、吸着剤基材または支持材料(例えば、ケイ酸塩、二酸化ケイ素、グリセリル修飾シリカゲル、グリセリル修飾ガラスおよびポリマー)のある粒度に言及しているが、リン酸塩吸着剤および多核金属オキシ水酸化物には言及していない。例では、リン酸塩結合剤が体外治療に使用されている。既知の可溶性金属オキシ水酸化物/ポリオール錯体を除いて、具体的な投与可能な医薬組成物の開示がない。
【0004】
本発明はさらに、一定の医薬組成物、特に湿式造粒または乾式造粒(例えば、ローラー圧密化)などの事前加工を用いておよび用いないで形成された咀嚼錠、錠剤、ミニタブレット(マイクロタブレット)、特に一定のリン酸塩結合剤化合物(以下、リン酸塩結合剤)の直接圧縮、その調製方法によって形成された顆粒剤および錠剤、錠剤に直接圧縮し、カプセルもしくはサシェまたは他の適当な担体系(例えば、ミニタブレット用のディスペンサ)に充填することができるリン酸塩結合剤を含む新規な散剤に関する。本発明はさらに、例えば、有効成分および特定の賦形剤を新規な配合物にブレンドし、次いで、配合物を最終形態(例えば、直接圧縮錠剤)または充填物に圧縮または直接圧縮することによって、医薬投与形態を調製する方法、および例えば、ディスペンサまたはサシェへの使用に関する。
【0005】
本発明によるリン酸塩結合剤には、特に国際公開第9722266号および国際公開第2009062993号に記載されている「安定化剤によって安定化されたオキシ水酸化鉄」または「安定化されたオキシ水酸化鉄リン酸塩結合剤」が含まれる。「安定化剤によって安定化されたオキシ水酸化鉄」または「安定化されたオキシ水酸化鉄リン酸塩結合剤」という用語は、好ましくは特に炭水化物およびフミン酸を含む安定化剤と一緒のオキシ水酸化鉄を含む。国際公開第9722266号に記載されているように、このような安定化剤は、適当にはオキシ水酸化鉄と錯化合物として結合していない(これは、例えば、安定化されたオキシ酸化鉄を水で洗浄することによって、水溶性安定化剤を除去することができることを意味する)。欧州特許国際公開第9722266号にさらに記載されているように、安定化剤が、オキシ水酸化鉄構造を安定化し、オキシ水酸化鉄の老化を防ぎ、それによってそのリン酸塩吸着能力を確保および保護すると思われる。これは、安定化されたオキシ水酸化鉄(FeOOH)が一般的に、安定化されていないオキシ水酸化鉄と比べて高いリン酸塩吸着能力(欧州特許国際公開第9722266号で測定されている)を有することを意味する。本発明によると、好ましい「安定化剤によって安定化されたオキシ水酸化鉄」は、少なくとも1種の炭水化物および/またはフミン酸を有する、国際公開第9722266号に記載されているように安定化されたβ-オキシ水酸化鉄を含む。本発明によると、鉄部分が好ましくは糖としての共有結合していない炭水化物、特にスクロースによって「包まれた」水和多核オキシ水酸化物配列を含む。糖としての炭水化物、特にスクロースの存在が、多核オキシ水酸化物の水和構造の維持、それゆえ高いリン酸塩結合能力にとって必須であると思われる。スクロースおよびデンプンが好ましく使用される炭水化物である。スクロースは多核オキシ水酸化鉄(III)の脱水(「老化」)を防ぐと思われ、デンプンは製造中の加工性を改善すると思われる。オキシ水酸化鉄(FeOOH)は微結晶の形態、例えば、β-FeOOHの形態であり得る。オキシ水酸化鉄微結晶の反復部分を、分子式FeOOHによって記載することができる。好ましいβ-FeOOH構造(赤金鉱)は、Fe(III)イオンが八面体部位に生じる体心立方配列に配置されたアニオンを含む。この構造は、4回対称b軸に平行に走る辺共有八面体の二重鎖からなる。
【0006】
一般的に、その化学的性質のために、本発明により使用および投与されるオキシ水酸化鉄は、本質的にヒトの体に吸収されない。
【0007】
本明細書で使用される「安定化剤」という用語は、好ましくは特に国際公開第9722266号に記載される少なくとも1種の炭水化物および/またはフミン酸を含む。一実施形態では、少なくとも1種の炭水化物が水溶性である。炭水化物には、少なくとも1種の単糖、二糖または多糖、例えば、アガロース、デキストラン、デキストリン、デキストラン誘導体、セルロースおよびセルロース誘導体、サッカロース(スクロース)、マルトースまたはラクトース、好ましくはサッカロース(スクロース)、デキストリンまたはデンプンが含まれる。
【0008】
本明細書で使用される「デンプン」という用語は、好ましくは直接圧縮に適した天然、α化、分解、修飾および誘導体化形態の任意の慣用的に使用されているデンプン生成物(ジャガイモデンプン、コーンスターチ、イネデンプン、タピオカデンプンなど)ならびにこれらの混合物を含む。最も好ましい生成物には、例えば、10:1~0.5:1の重量範囲、好ましくは3:1~0.5:1の範囲、より好ましくは2:1~1:1の範囲の比(天然-α化)を有する混合物の天然デンプンとα化デンプンが含まれる。
【0009】
好ましくは、リン酸塩結合剤が、オキシ水酸化鉄(III)、スクロース、デンプンの混合物であるスクロオキシ水酸化鉄(USAN名)である、またはATCコードの下でV03AE05としてWHOによって定義されているまたはPA21としても知られている。
【0010】
好ましいリン酸塩結合剤は、スクロースおよびデンプンによって安定化された多核オキシ水酸化鉄(III)(スクロオキシ水酸化鉄またはPA21(PA21-1もしくはPA21-2)として知られている)またはスクロースおよびデンプンによって安定化された多核β-オキシ水酸化鉄(III)(スクロオキシ水酸化鉄またはPA21(PA21-1もしくはPA21-2)として知られている)を含む。オキシ水酸化鉄(III)、スクロースおよびデンプンの特に好ましい混合物は、前記混合物に基づくリン酸塩結合剤粒子の総乾燥重量(すなわち、100重量%)基準で、約25~40重量%のオキシ水酸化鉄(III)、約25~40重量%のスクロースおよび約25~40重量%のデンプンを含む。オキシ水酸化鉄(III)、スクロースおよびデンプンの特に好ましい混合物は、前記混合物に基づくリン酸塩結合剤粒子の総乾燥重量(すなわち、100重量%)基準で、約30~35重量%のオキシ水酸化鉄(III)、約30~35重量%のスクロースおよび約30~35重量%のデンプンを含み、オキシ水酸化鉄(III)が好ましくはβ-オキシ水酸化鉄(III)を含む。
【0011】
本発明では、「スクロオキシ水酸化鉄」という用語は、オキシ水酸化鉄(III)、スクロースおよびデンプンの混合物を網羅し、混合物は1種、2種またはそれ以上のデンプン、例えば、天然デンプンのみ(PA21-1)またはα化デンプンのみまたは天然デンプンとα化デンプンの混合物(PA21-2)等を含む。好ましい「スクロオキシ水酸化鉄」は、本明細書において上に定義される天然デンプンとα化デンプンの混合物を含む。
【0012】
各場合において、特に、請求項および実施例の最終生成物において、最終生成物、医薬製剤および請求項の主題が本明細書に言及される刊行物または特許出願を参照して本出願に組み込まれる。
【0013】
当業者に既知のように、「リン酸塩結合剤」は、水性媒体、例えば、水溶液、特に生理水溶液からのリン酸塩の吸着剤として作用することができる化合物または組成物である。これらは、特に糸球体濾過量の減少による病理学的に増加した血清リン酸塩レベルを有する慢性腎機能不全の患者における、特に高リン酸塩血症状態を予防および治療するための経口用途の製剤中の、無機リン酸塩および食料品に結合しているリン酸塩の吸着剤として特に適している。本発明による「リン酸塩結合剤」という用語は、前記有効成分の任意の塩、異性体、エナンチオマーまたは結晶形態を網羅する。
【0014】
リン酸塩結合剤、例えば、スクロオキシ水酸化鉄を、1種または複数の薬学的に許容される担体および場合により、1種または複数の他の慣用的な医薬補助剤と組み合わせて、錠剤、咀嚼錠、ミニタブレット(マイクロタブレット)、顆粒剤、カプセル剤、カプレット、顆粒剤、散剤等の形態で、経腸的に、例えば、経口的に投与してもよい。経腸組成物は、慣用的な手段または可能化技術によって調製され得る。
【0015】
リン酸塩結合剤、例えば、スクロオキシ水酸化鉄を、高リン血症または不均衡なリン酸塩レベルから生じる状態を治療(例えば、透析を受けている慢性腎疾患(CKD)の患者の血清リン酸塩レベルの制御への治療的使用)するのに有効な量の活性物質(リン酸塩結合剤)を含む医薬組成物であって、薬学的に許容される担体を含み、単位剤形または複数回投与製剤に製剤化される組成物に製剤化してもよい。
【0016】
消化管中で食事リン酸塩を吸着するその能力に照らして、リン酸塩結合剤は、不均衡なリン酸塩レベルおよび不均衡なリン酸塩レベルから生じる状態を治療(例えば、透析を受けているCKDの患者の血清リン酸塩レベルの制御への治療的使用、または高リン血症の治療)するのに有用である。
【0017】
本発明で有用なリン酸塩結合剤、特にスクロオキシ水酸化鉄は、好ましくは湿性/湿潤賦形剤と混合すべきでなく、本質的に圧縮性でない。結果として、それ自体使用される、例えば、投与補助剤を用いてまたは用いないで、カプセル剤またはサシェまたは調剤単位に充填され、錠剤、咀嚼錠、ミニタブレット(マイクロタブレット)または同等の剤形に圧縮または直接圧縮される散剤または顆粒剤の形態の自由流動性および凝集性医薬製剤を提供する必要がある。
【0018】
錠剤は、賦形剤として知られている適当な不活性材料を含むまたは含まない、1種または複数の原薬を含む固形投与医薬形態として定義され得る。錠剤は、医薬製剤を、リン酸塩結合剤および一定の賦形剤を含む散剤または顆粒剤または小型投与装置(例えば、ミニタブレット、ペレット)の形態に圧縮することによって製造される。賦形剤を用いないと、ほとんどの薬物および医薬成分を錠剤に直接圧縮することができない。これは主にほとんどの薬物の流動特性および凝集特性が乏しいためである。
【0019】
錠剤が広範に使用されており、医薬剤形の大部分が錠剤として市販されている。剤形としての錠剤および咀嚼錠の人気の主な理由は、使用の簡便さ、低コストおよび製造速度である。他の理由としては、製剤の安定性、包装、輸送および調剤の簡便さが挙げられる。錠剤は、患者または消費者に、投与の簡便さ、正確な投与量の容易さ、小型性、携帯性、無味性、および投与の容易さを提供する。
【0020】
錠剤は、素、フィルムまたは糖衣二分、エンボス加工、層状または徐放であり得る。これらを、種々のサイズ、形状および色で製造することができる。錠剤を、嚥下しても、咀嚼しても、または頬側口腔中もしくは舌の下で溶解してもよい。これらを局所または局部用途のために水に溶解してもよい。
【0021】
賦形剤および有効成分の他の望ましい特性としては以下が挙げられる:
-低い圧縮力でき強い錠剤をもたらす高い圧縮性;
-狭い粒度分布;
-製剤中の他の成分の流動を改善することができる優れた流動特性;および
-凝集性(加工、輸送および取扱い中に錠剤が崩壊するのを防ぐため)。
【0022】
圧縮錠剤を作製するための4つの商業的に重要な工程が存在する:湿式造粒、引き続いて、圧縮、直接圧縮、乾式造粒(スラッギングまたはローラー圧密化)、引き続いて圧縮および押出(例えば、溶融押出)、引き続いて圧縮。使用する調製法および賦形剤の種類を、錠剤製剤に、錠剤の迅速な圧縮を可能にする所望の物理特性を与えるよう適合させる。圧縮後、錠剤が、外観、硬度、崩壊時間、摩損度、質量の均一性、咀嚼性および溶解プロファイルなどのいくつかの属性を満たさなければならない。充填剤および他の賦形剤の選択は、薬物の化学および物理特性、加工中の混合物の挙動、ならびに最終的な錠剤の特性に依存する。
【0023】
薬物の特性、その剤形および操作の経済学が、最良の打錠方法の選択を決定する。
【0024】
成分の1つ、薬物もしくは賦形剤のいずれか、および/またはその混合物が圧縮するために十分な凝集特性を有する場合に、乾式造粒法が使用され得る。この方法は、成分のブレンド、スラッギング、圧密化、乾式ふるい分け、潤滑および圧縮からなる。
【0025】
湿式造粒法は、粉末混合物を、打錠に適した流動および凝集特性を有する顆粒に変換するために使用される。この手順は、混合物を高せん断造粒機中で混合し、引き続いてせん断下で造粒溶液を混合粉末に添加して顆粒を得るまたは流動床乾燥機中で噴霧することによって液体を添加して顆粒を得ることからなる。湿気のある塊を、適当なふるいを通して選別し、トレイ乾燥または他の適当な乾燥技術によって乾燥させることができる。プロセス全体が、秤量、乾燥粉末ブレンド、湿式造粒、乾燥、製粉、ブレンド潤滑および圧縮を含み得る。
【0026】
典型的には、原薬粉末は硬く強い顆粒を形成するのに十分な接着または凝集特性を有していない。大型粒子(顆粒)を形成するためには通常、結合剤を要する。感熱および感湿薬物は、大部分は湿式造粒を用いて製造することができない。この湿式造粒技術の欠点は、製造コストを生じる加工工程の数および必要とされる加工時間である。
【0027】
直接圧縮は、固形成分を薬物の物理化学特性を変化させることなく直接圧縮する好ましい方法とみなされる。有効成分(複数可)、直接圧縮賦形剤および他の補助物質、例えば、滑剤および潤滑剤を、錠剤に圧縮する前に、ビンブレンダー中でブレンドする。直接圧縮技術の利点としては、例えば、ブレンドの均一性、関与する製造工程の少なさ(すなわち、プロセス全体が粉末の秤量、ブレンドおよび圧縮を含み、したがってコストが制限される);熱および水分の根絶、主な粒子の解離および物理的安定性が挙げられる。
【0028】
医薬製造業者は、有利なコストをもたらす短い加工時間および限られたプロセス工程のために、湿式または乾式造粒法よりも直接圧縮技術を使用することを好む。しかしながら、直接圧縮は通常、有効成分が薬学的に許容される剤形を形成するために要求される許容される物理化学特性を有する場合に限定される。多くの有効成分は全ての必要な特性を示すわけではないので、通常、直接圧縮を可能にするために適した賦形剤と組み合わせなければならない。製剤に添加される各賦形剤は最終製品の錠剤サイズを増加させるので、製造業者はしばしば、圧縮錠剤1個当たり低用量の有効成分を含む製剤に直接圧縮法を使用することに限定される。
【0029】
高用量薬物を含む固形剤形(すなわち、薬物自体が全圧縮錠剤重量の実質的な部分を構成する)は、薬物自体が直接圧縮するために適当な物理特性、例えば、凝集性を有する場合にのみ直接圧縮することができる。
【0030】
リン酸塩結合剤、特にスクロオキシ水酸化鉄を含む請求される医薬組成物は、高用量薬物、すなわち、単位剤形当たり(例えば、錠剤1個当たり)高用量のスクロオキシ水酸化鉄と考えられる。単位投与製剤は、単位剤形当たり(例えば、錠剤1個当たり)60重量%超、70重量%超、80重量%超または90重量%超およびそれ以上のリン酸塩結合剤を含むことができる。リン酸塩結合剤、特にスクロオキシ水酸化鉄の単一経口剤形は、好ましくは400mg超、または800mg超、または1000mg超、または1500mg超、または2000mg超、または2500mg超のリン酸塩結合剤を含むべきである。この高用量薬物は、直接圧縮のためのそのかなり乏しい物理特性と合わせて、許容される物理特性を有する最終製品を調製するために直接圧縮技術を使用することを許してこなかった。リン酸塩結合剤は、自由水の存在下で比較的不安定であり(または微生物学的安定性に乏しい)、これは湿式造粒技術の使用に影響する因子である(十分な単一投与製剤中の大量のリン酸塩結合剤はあまりに多くの水を要するだろう)。
【0031】
特許出願国際公開第2009/062993号に記載されているようなスクロオキシ水酸化鉄を含む以前使用されていた錠剤は、期待される物理特性、例えば、まだ残っている潜在的な凝集性の課題を部分的にしか満たさなかった。錠剤は容易に崩壊し得るので、許容される摩損度も硬度も圧縮性も咀嚼性も崩壊時間も溶解プロファイルもまだ有していなかった。
【0032】
不均衡なリン酸塩レベルを患っている患者(例えば、透析を受けているCKD(慢性腎疾患)の患者)は、数か月または数年にわたって1日に数個の経口剤形を投与される必要があるので、経口剤形の改善、例えば、改善した物理特性が明らかに必要とされている。
【0033】
本明細書の全体を通して全ての重量%(w/w)は、特に指示しない限り、医薬組成物(乾燥組成物)の総重量に関して表される。
【0034】
錠剤製造法としての直接圧縮の別の制限は、圧縮錠剤の潜在的サイズである。湿式造粒法は錠剤の所望の物理特性に寄与するので、湿式造粒で必要とされる賦形剤の量は、直接圧縮に要求される量より少ない。
【0035】
そのため、有効成分の量が高い場合、医薬調合者は、所望の量の有効成分を含む許容されるサイズの錠剤を得るために他の賦形剤を用いて有効成分を湿式造粒することを選択し得る。本明細書に記載されるように、リン酸塩結合剤、特にスクロオキシ水酸化鉄を、好ましくは高薬物負荷のリン酸塩結合剤を含む単一剤形として患者に投与する。さらに、水の存在下での請求されるリン酸塩結合剤の挙動のために、高用量リン酸塩結合剤、特にスクロオキシ水酸化鉄を含む錠剤の直接圧縮を行うことが望ましい。そのため、許容される摩損度、硬度、咀嚼性、凝集性、崩壊時間および溶解プロファイルを示す圧縮(または直接圧縮)大型錠剤を製造するために、克服する必要がある強力な技術的ハードルが存在する。
【0036】
錠剤の意図した使用、すなわち、これがそのまま嚥下するためのものか、急速に崩壊する(口腔中または経口摂取前に少量の液体中で)ためのものか、咀嚼されるものか(例えば、咀嚼錠)に応じて、通常は、賦形剤、例えば、崩壊剤、超崩壊剤、滑剤、潤滑剤、結合剤圧縮助剤などを所望であれば添加してもよい。錠剤を、薬学的に必要または所望の通りに、コーティングしてもしなくてもよい。
【0037】
したがって、本発明の医薬組成物は経口投与に適した任意の剤形を含み、特に、咀嚼形態を含む、錠剤(好ましくはそのまま嚥下するための形態(例えば、フィルムコーティングされたものも)または急速崩壊することができる形態(経口摂取後に口腔中でもしくは経口摂取前に少量の液体中で)の直接圧縮錠剤および丸剤)、ミニタブレット、乾燥散剤、顆粒剤、カプセル剤、またはこれらの顆粒剤もしくはミニタブレット(マイクロタブレット)を含むサシェ、ウエハー、ロゼンジなどを含み得る。そのまま嚥下するための形態を所望であればフィルムコーティングしてもよい。本発明の医薬組成物は、錠剤に圧縮または圧密化することができる散剤または顆粒剤も含む。
【0038】
好ましい剤形には、そのまま嚥下するための形態(例えば、フィルムコーティングされた)または咀嚼形態の錠剤および丸剤、顆粒剤およびカプセル剤またはこれらの顆粒剤を含むサシェ、およびロゼンジが含まれる。経口投与剤形(所望であれば、フィルムコーティングされた)の場合、これらはそのまま嚥下される、ならびに崩壊が胃および/または腸の他の部分で起こり、その後すぐ活性剤がリン酸塩の吸着のために放出されてその全身取り込みを減少させる。
【0039】
本明細書で請求されている医薬製剤、組成物および錠剤では、投与を1日3~4個の単位剤形と最小にすることができる。
【0040】
本明細書に記載されるように、リン酸塩結合剤、特にスクロオキシ水酸化鉄は、好ましくは1投与当たり単一剤形の形態で患者に投与され、前記剤形は高負荷のリン酸塩結合剤、すなわち、400mg超、または800mg超、または1000mg超、または2000mg超、または2500mg超のリン酸塩結合剤、好ましくは1500~3000mgの間、または2000~3000mgの間のリン酸塩結合剤を含む。API負荷に応じて、適当な固形剤形の選択が制限される。高い原薬含量を有する単位剤形をもたらすための最も一般的な選択肢は、散剤/顆粒剤/ミニタブレット充填サシェ、発泡錠または咀嚼錠である。咀嚼錠は、水の入手を要求しない、医薬品をすなわち仕事中、旅行中または社交の場で隠れて服用することができるという事実において、より柔軟であるという利点を提供する。さらに、追加の水分摂取の回避は、CKD(慢性腎疾患)の患者群にとって有利となる。また、調査によって、患者が、高用量医薬品のための嚥下可能錠剤または小型の錠剤で要求されるような複数回用量の代わりに、1投与当たり単一用量、例えば錠剤を服用することを好むことが示されている。しかしながら、咀嚼錠の機械的強度は、不適当な機械特性を有する咀嚼錠からの歯または顎関節に対する損傷に関する懸念となり得る。CKD患者は数か月または数年間1日に数個の錠剤を咀嚼しなければならないので、錠剤の咀嚼性は重要である。錠剤の咀嚼性の意味のある評価を得て、咀嚼性の観点からリン酸塩結合剤選択製剤/錠剤の妥当性を確認するという目的でいくつかの試験手順および追加の方法を適用した。
【0041】
本発明において、「医薬組成物」は、散剤(サシェもしくはカプセルに組み込まれる、好ましくは乾燥散剤)、錠剤(錠剤、好ましくは単層、二層もしくは三層錠剤に圧縮される)、丸剤、顆粒剤、または微粒剤、カプセル剤、ペレット、ウエハー、ロゼンジまたはコーティング錠の形態であり得る、有効成分(好ましくは1種、2種または3種)としてのリン酸塩結合剤化合物と、好ましくは少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤とを含む。
【0042】
本発明では、「顆粒剤」という用語は、「微粒剤」も網羅する。顆粒剤を直接投与に使用してもよいし、または錠剤、ミニタブレット、咀嚼錠にさらに加工してもよい。
【0043】
本発明では、「錠剤」という用語は、散剤、顆粒剤(湿式もしくは乾式造粒、打錠、溶融押出によって得られた)、ミニタブレット、微粒剤、ペレットの圧縮または圧密化から得られた任意の型の錠剤を網羅するが、好ましくは直接圧縮錠剤を指す。
【0044】
本発明では、「圧縮」という用語は、固形投与単位をもたらす任意の物理的圧密化工程を網羅する。
【0045】
本発明では、「医薬製剤(または製剤)」という用語は、医薬製品(例えば、医薬組成物)の調製/製造に適した形態である、有効成分(好ましくは1種、2種または3種)と薬学的に許容される賦形剤の混合物を網羅する。本発明では、好ましい製剤が、錠剤への圧密化または圧縮または直接圧縮に適した散剤または顆粒剤である。
【0046】
医薬製剤の形態、好ましくは錠剤に圧縮または直接圧縮することができる自由流動性の凝集性打錠散剤(散剤製剤)の形態の以下に記載されるリン酸塩結合剤を提供することも本発明の目的である。
【0047】
医薬製剤の形態、好ましくは錠剤に圧密化、圧縮または直接圧縮することができるさらなる賦形剤と混合することができる打錠顆粒剤(湿式もしくは乾式造粒または溶融押出によって得られた)の形態の以下に記載されるリン酸塩結合剤を提供することも本発明の目的である。
【0048】
許容される溶解プロファイル、ならびに許容される程度の硬度および耐チッピング性、ならびに許容される摩損度および咀嚼性プロファイル、ならびに速い崩壊時間を有する単位剤形の圧縮(または直接圧縮)リン酸塩結合剤錠剤を提供することが本発明のさらなる目的である。
【0049】
急速崩壊錠剤(口腔中でまたは経口摂取前に少量の液体中で)、例えば、咀嚼錠またはミニタブレットである圧縮(または好ましくは、直接圧縮)リン酸塩結合剤錠剤を提供することが本発明のさらなる目的である。
【0050】
直接圧縮によって単位剤形の圧縮リン酸塩結合剤錠剤を調製する方法を提供することが本発明のさらなる目的である。
【0051】
本発明はまた、十分な硬度、摩損度、咀嚼性、急速な崩壊時間および許容される溶解パターンを有する錠剤に圧縮または直接圧縮することができる、(好ましくは以下に記載される少なくとも1種の追加の薬学的に許容される賦形剤を含む)打錠散剤の形態の打錠自由流動性粒子状リン酸塩結合剤組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】スクロオキシ水酸化鉄原薬(DS)の製造工程のフローチャートである。
【
図2】Beckman Coulter粒度分析器(LS 13 320)を用いて分析したPA21原薬の粒度分布を示す。
【
図3】スクロオキシ水酸化鉄粒子のd50の関数としての硬度を示す。
【
図4】d50が50μmであるスクロオキシ水酸化鉄粒子を含む錠剤の圧縮力プロファイルを示す。
【発明の詳細な説明】
【0053】
本明細書に記載される医薬組成物の開発において、本出願人は、リン酸塩結合剤を含む特に錠剤、好ましくは圧縮錠剤の形態の医薬組成物であって、前記リン酸塩結合剤粒子が、粒子の少なくとも40%が4~200μmの範囲内の粒度を有する粒度分布を有する医薬組成物を使用することが特に有利であることを発見した。
【0054】
好ましくは、
i)リン酸塩結合剤、特にスクロオキシ水酸化鉄の粒子が、好ましくは粒子の少なくとも40(体積)%が4~200μmの範囲の粒度を有する4~200μmの範囲の粒子を有する粒度分布を有する、および/または
ii)リン酸塩結合剤粒子、特にスクロオキシ水酸化鉄粒子が30μm~120μm、または35μm~110μm、または40μm~108μm、または40μm~100μm、または好ましくは40μm~80μm、または42μm~75μmの範囲にある粒度分布中のd50を有する、および/または
iii)錠剤の硬度が70~250N、または85~250N、または85~200Nまたは70~200N、または80~200Nの間である、および/または
iv)錠剤摩損度が0%~7%の間、または0.05%~7%の間である、および/または
v)錠剤が30分未満、好ましくは5~20分の間の崩壊時間を有する、および/またはvi)錠剤直径が15mm~30mmの間であり、錠剤重量が2000mg~3000mgの間であり、錠剤厚さが4.5mm~7.5mmの間である。
【0055】
特に、本発明は、リン酸塩結合剤を含む医薬組成物または圧縮医薬錠剤、好ましくは直接圧縮錠剤に関する。前記リン酸塩結合剤、特にスクロオキシ水酸化鉄は、許容される圧縮、好ましくは直接圧縮医薬錠剤に変換するために不利な物理特性を有する。これらの不利な物理特性は、例えば、かさ高さ、付着、ふんわり感などであり得る。本明細書に記載される医薬組成物および錠剤の開発中に、本出願人は、リン酸塩結合剤、特にスクロオキシ水酸化鉄を含む粒子が、少なくとも40体積%、または少なくとも60体積%、または少なくとも80体積%、または少なくとも90体積%が4~200μmの範囲(好ましくは、5~160μmの範囲)にある粒度分布、ならびに/あるいは30μm~120μm、または35μm~110μm、または40μm~108μm、または40μm~100μm、または好ましくは40μm~80μmの範囲(好ましくは、42μm~75μmの範囲)にある粒度分布中の(粒子の体積に関する)d50を有する場合に、医薬製剤の加工特性または物理特性、例えば、吸湿性、流動性、かさ高さ、ふんわり感が予想外に改善されることを発見した。本出願人はまた、驚くべきことに、錠剤が改善した物理特性、例えば、溶解度、摩損度、吸湿性、硬度、圧縮性、咀嚼性または崩壊を示すことも発見した。
【0056】
選択された粒度分布のさらなる予期しない利点は、錠剤の物理特性のいかなる変更もなく(硬度を除く)、ただし錠剤硬度を標的となる硬度範囲に増加させることができながら、打錠工程中に圧縮力を増加させることができることである。
【0057】
好ましい第1の実施形態(a)では、本発明は、圧縮するための散剤がリン酸塩結合剤(リン酸塩結合剤粒子)、特にスクロオキシ水酸化鉄と、少なくとも1種のさらなる薬学的に許容される賦形剤とを含む粒子を含み、錠剤のリン酸塩結合剤粒度分布の粒子の少なくとも40体積%、好ましくは60体積%、最も好ましくは80体積%、さらにより好ましくは90体積%が4~200μmの間、または5~160μmの間、または21~160μmの間である圧縮錠剤、好ましくは直接圧縮医薬錠剤に関する。
【0058】
好ましい第2の実施形態(b)では、本発明は、圧縮するための散剤がリン酸塩結合剤(リン酸塩結合剤粒子)、特にスクロオキシ水酸化鉄と、少なくとも1種のさらなる薬学的に許容される賦形剤とを含む粒子を含み、リン酸塩結合剤粒子が30μm~120μm、または35μm~110μm、または40μm~108μm、または40μm~100μm、または好ましくは40μm~80μmの範囲、または好ましくは42μm~75μmの範囲の粒度分布中のd50(体積による)を有する圧縮錠剤、好ましくは直接圧縮医薬錠剤に関する。
【0059】
好ましい第3の実施形態(c)では、本発明は、分散剤がリン酸塩結合剤(リン酸塩結合剤粒子)、特にスクロオキシ水酸化鉄と、少なくとも1種のさらなる薬学的に許容される賦形剤とを含む粒子を含み、
i)リン酸塩結合剤粒度分布の粒子の少なくとも40体積%、好ましくは60体積%、最も好ましくは80体積%、さらにより好ましくは90体積%が4~200μmの間、または5~160μmの間、または21~160μmの間である、および
ii)リン酸塩結合剤粒子が30μm~120μm、または35μm~110μm、または40μm~108μm、または40μm~100μmの間、または好ましくは40μm~80μm、または好ましくは42μm~75μmの間の粒度分布中の(体積による)d50を有する、および/または
iii)錠剤の硬度が70~250Nの間である、および/または
iv)錠剤摩損度が0%~7%または0.05%~7%の間である、および/または
v)錠剤が30分未満、好ましくは5~20分の間の崩壊時間を有する、および/またはvi)錠剤直径が16mm~30mmの間であり、錠剤重量が1500mg~3000mg(好ましくは、2000~3000mg)の間であり、錠剤厚さが4.5mm~7.5mmの間である、および/または
vii)錠剤が1500mg~3000mgの間のリン酸塩結合剤、特にスクロオキシ水酸化鉄を含む、
圧縮錠剤、好ましくは直接圧縮医薬錠剤に関する。
【0060】
好ましい第4の実施形態(d)では、本発明は、リン酸塩結合剤、特にスクロオキシ水酸化鉄と、少なくとも1種のさらなる薬学的に許容される賦形剤とを含む粒子を含み、リン酸塩結合剤粒子が30μm~120μm、または35μm~110μm、または40μm~108μm、または40μm~100μmの間、または好ましくは40μm~80μmの間、または42μm~75μmの間の粒度分布中のd50を有し、d50が粒子の体積に関する医薬組成物に関する。
【0061】
好ましい第5の実施形態(e)では、本発明は、リン酸塩結合剤、特にスクロオキシ水酸化鉄と、少なくとも1種のさらなる薬学的に許容される賦形剤とを含む粒子を含み、製剤または組成物の粒度分布の少なくとも40体積%、好ましくは少なくとも60体積%、より好ましくは少なくとも80体積%、または少なくとも90体積%が4~200μmの間、または5~160μmの間、または21~160μmの間である医薬組成物に関する。
【0062】
「少なくとも40%、好ましくは少なくとも60%、または少なくとも80%、または少なくとも90%」という用語は、粒子(リン酸塩結合剤粒子)の少なくとも40%、好ましくは少なくとも60%、または少なくとも80%、または少なくとも90%が前記サイズである、すなわち、前記サイズ範囲に属することを意味する。百分率は体積%である。
【0063】
「d50粒度分布」という用語は、粒子の50%(体積当たり)が定義されるd50値(μmで表される)より上または下の粒度を有することを意味する。
【0064】
「d10粒度分布」という用語は、粒子の10%(体積当たり)がd10値(μmで表される)より低い粒度を有することを意味する。
【0065】
「d90粒度分布」という用語は、粒子の90%(体積当たり)がd90値(μmで表される)より低い粒度を有することを意味する。
【0066】
これらのd値は特に、粒子分布曲線中の累積粒子体積と関係がある。
【0067】
上記第3の実施形態(c)パラメータの組み合わせは、本明細書で上に定義される特に改善した物理特性を有する圧縮錠剤、好ましくは直接圧縮錠剤を提供する。
【0068】
したがって、本発明はまた、リン酸塩結合剤(リン酸塩結合剤粒子)、特にスクロオキシ水酸化鉄と、少なくとも1種のさらなる薬学的に許容される賦形剤とを含む粒子を含み、以下の特徴i)~vii)の1つまたは複数を満たす:
i)錠剤のリン酸塩結合剤粒度分布の粒子の少なくとも40体積%、好ましくは少なくとも60体積%、または好ましくは少なくとも80体積%、または少なくとも90体積%が4~200μmの間、または5~160μmの間、または21~160μmの間である、ii)リン酸塩結合剤粒子が30μm~120μm、または35μm~110μm、または40μm~100μmの間、または好ましくは40μm~80μmの間、または42μm~75μmの間の粒度分布中の(特に体積による)d50を有する、
iii)錠剤の硬度が70~250Nの間である、
iv)錠剤摩損度が0%~7%の間または0.05%~7%の間である、
v)錠剤が30分未満、好ましくは5~20分の間の崩壊時間を有する、
vi)錠剤直径が16mm~30mmの間であり、錠剤重量が2000mg~3000mgの間であり、錠剤厚さが4.5mm~7.5mmの間である、
vii)錠剤が1500mg~3000mgの間のリン酸塩結合剤、特にスクロオキシ水酸化鉄を含む、
圧縮錠剤(例えば、咀嚼錠)、好ましくは直接圧縮錠剤に関する。
【0069】
さらなる実施形態では、本発明は、錠剤の硬度が85~250Nの間、または70~200Nまたは85~200Nの間、または85~200Nの間、または80~200Nの間、または100N~230Nの間である本明細書に記載される圧縮錠剤のいずれかに関する。
【0070】
好ましい実施形態では、本発明は、本明細書に記載される圧縮錠剤、好ましくは直接圧縮医薬錠剤、好ましくは咀嚼錠のいずれかに関する。
【0071】
好ましい実施形態では、本発明は、i)リン酸塩結合剤がスクロオキシ水酸化鉄であり、ii)錠剤が1500mg~3500mgの間、または2000~3000mgの間のスクロオキシ水酸化鉄を含む、上記の咀嚼錠に関する。
【0072】
好ましくは、製剤または錠剤中のリン酸塩結合剤粒子、特に本明細書に記載されるスクロオキシ水酸化鉄リン酸塩結合剤粒子が、総錠剤質量(総錠剤重量)の65%超、好ましくは錠剤(乾燥重量基準)または製剤の総質量の80重量%超、または90重量%超、または95重量%超となる。
【0073】
上記のように、本発明による医薬組成物に使用するための好ましいリン酸塩結合剤は、スクロースおよびデンプンによって安定化された多核オキシ水酸化鉄(III)(スクロオキシ水酸化鉄もしくはPA21として知られている)またはスクロースおよびデンプンによって安定化された多核β-オキシ水酸化鉄(III)(スクロオキシ水酸化鉄もしくはPA21として知られている)を含む。したがって、すなわち、多核オキシ水酸化鉄(III)、スクロースおよびデンプンから本質的になるスクロオキシ水酸化鉄の粒子は、少なくとも40体積%、または少なくとも60体積%、または少なくとも80体積%、または少なくとも90体積%が4~200μmの範囲(好ましくは、5~160μmの範囲)にある粒度分布、ならびに/あるいは30μm~120μm、または35μm~110μm、または40μm~108μm、または40μm~100μm、または好ましくは40μm~80μmの範囲(好ましくは、42μm~75μmの範囲)にある粒度分布中の(粒子の体積に関する)d50を有する。オキシ水酸化鉄(III)、スクロースおよびデンプンの特に好ましい混合物は、前記混合物のリン酸塩結合剤粒子の総乾燥重量(すなわち、100重量%)基準で、約25~40重量%のオキシ水酸化鉄(III)、約25~40重量%のスクロースおよび約25~40重量%のデンプンを含む。オキシ水酸化鉄(III)、スクロースおよびデンプンの特に好ましい混合物は、前記混合物のリン酸塩結合剤粒子の総乾燥重量(すなわち、100重量%)基準で、約30~35重量%のオキシ水酸化鉄(III)、約30~35重量%のスクロースおよび約30~35重量%のデンプンを含み、オキシ水酸化鉄(III)が好ましくはβ-オキシ水酸化鉄(III)を含む。
【0074】
したがって、本明細書に記載されるスクロオキシ水酸化鉄リン酸塩結合剤粒子は、前記粒子を他の賦形剤と混合する前に、好ましい有効成分粒子(すなわち、スクロースおよびデンプンによって安定化された多核β-オキシ水酸化鉄(III)の粒子)である。好ましくは、スクロオキシ水酸化鉄粒子が粒子(すなわち、追加の賦形剤との混合前の原薬粒子)の乾燥重量基準で95重量%超、または98重量%超のスクロオキシ水酸化鉄を含む。好ましくは、2%~5%以下の製造工程から生じる副産物または不純物がスクロオキシ水酸化鉄粒子中に存在すべきである(例えば、塩化ナトリウム等)。有効成分粒子を原薬(DS)粒子と呼ぶこともできる。
【0075】
好ましくは、錠剤または医薬組成物中のリン酸塩結合剤粒子、特に本明細書に記載されるスクロオキシ水酸化鉄リン酸塩結合剤粒子が、錠剤または医薬組成物の総重量(乾燥重量基準)の65重量%超、好ましくは80重量%超、または好ましくは90重量%超、さらには95重量%超となる。
【0076】
リン酸塩結合剤粒子、特にスクロオキシ水酸化鉄粒子を、噴霧乾燥、または当技術分野で周知の代わりのサイズ増加法、例えば、造粒、直接圧縮等、マイクロ造粒によって形成することができる。
【0077】
好ましくは、スクロオキシ水酸化鉄粒子が、乾燥重量基準で、65重量%のスクロオキシ水酸化鉄、好ましくは80重量%超、または好ましくは90重量%超、またはさらに95重量%超、またはさらに98重量%超のスクロオキシ水酸化鉄さえ含む。
【0078】
さらなる実施形態では、本発明は、リン酸塩結合剤、特にスクロオキシ水酸化鉄の単一経口剤形が、好ましくは400mg超、または800mg超、または1000mg超、または1500mg超、または2000mg超、または3000mg超のリン酸塩結合剤を含む本明細書に記載される錠剤または医薬組成物に関する。
【0079】
さらなる実施形態では、本発明は、リン酸塩結合剤、特にスクロオキシ水酸化鉄の単一経口剤形が、800mg~3500mgの間のスクロオキシ水酸化鉄、または1500mg~3500mgの間のスクロオキシ水酸化鉄、または1500mg~3000mgの間のスクロオキシ水酸化鉄、または2000mg~3000mgの間のスクロオキシ水酸化鉄を含む本明細書に記載される錠剤または医薬組成物に関する。
【0080】
本発明はまた、リン酸塩結合剤粒子が40μm~80μmの間の粒度分布中のd50を有し、錠剤のリン酸塩結合剤粒度分布の粒子の少なくとも60体積%、最も好ましくは少なくとも80体積%が4~200μmの中間、または5~160μmの中間、または21~160μmの中間である、本明細書に記載される錠剤または医薬組成物に関する。
【0081】
リン酸塩結合剤、特にスクロオキシ水酸化鉄の選択された粒度分布が、数ある利点の中でも上記の錠剤の圧密化を可能にするのに特に重要であることが発見された。
【0082】
好ましい実施形態では、本発明によるリン酸塩結合剤が、スクロースと天然デンプン(ジャガイモデンプン、コーンスターチ等)および加工デンプン、例えば、α化デンプンを含む1種または複数のデンプンによって安定化された多核オキシ水酸化鉄(III)を含む、スクロース系リン酸塩結合剤によって安定化された多核オキシ水酸化鉄(III)である。
【0083】
さらなる実施形態では、本発明は、スクロオキシ水酸化鉄粒子と、場合により少なくとも1種のさらなる薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物であって、
i)粒度分布のスクロオキシ水酸化鉄粒子の少なくとも40体積%、または少なくとも60体積%、少なくとも80体積%、または少なくとも90体積%が4~200μmの間、または5~160μmの中間、または21~160μmの中間である、
ii)スクロオキシ水酸化鉄粒子が30μm~120μm、または35μm~110μm、または40μm~100μmの間、または好ましくは40μm~80μmの間の粒度分布中の(体積による)d50を有する、
iii)上に定義されるスクロオキシ水酸化鉄が、乾燥重量基準で、スクロオキシ水酸化鉄粒子の80重量%超、または90重量%超、または95重量%超、または97重量%超となる、
医薬組成物に関する。
【0084】
リン酸塩結合剤粒子に加えてさらなる賦形剤が存在する場合、医薬製剤または医薬組成物もしくは錠剤に含まれる選択されたさらなる賦形剤の粒度分布は、リン酸塩結合剤粒子、好ましくはスクロオキシ水酸化鉄粒子の粒度分布に類似である。「類似」という用語は、錠剤中の賦形剤の粒度分布が、5~400μmの範囲、または5~300μmの間、好ましくは1~200μmの間の粒子を含むことを意味する。好ましくは、賦形剤粒子の少なくとも40体積%、または少なくとも60体積%、少なくとも80体積%、または少なくとも90体積%が5~400μmの範囲、または5~300μmの間、好ましくは1~200μmの間である。
【0085】
適した粒度分布を有する好ましい賦形剤は、例えば、「Handbook of Pharmaceutical Excipients(第6版)、編者Raymond C
Rowe-Publisher:Science and Practice」の使用によって選択することができる。
【0086】
リン酸塩結合剤の粒度、例えば、スクロオキシ水酸化鉄粒度は、結晶化、乾燥、好ましくは噴霧乾燥、圧密化および/または製粉/ふるい分け(非限定的例は下記)によって制御することができる。所望の粒度分布の製造は周知であり、当技術分野で、例えば、「Pharmaceutical dosage forms:第2巻、第2版、編者:H.A.Lieberman、L.Lachman、J.B.Schwartz(第3章:SIZE REDUCTION)」に記載されている。本発明によると、特に好ましく使用されるスクロオキシ水酸化鉄粒子に所望の粒度分布は、噴霧乾燥法によって得られ、これはリン酸塩結合剤粒子(好ましいスクロオキシ水酸化鉄の場合、オキシ水酸化鉄(III)、スクロース、デンプンの混合物で構成されている)の水性懸濁液を噴霧乾燥するステップを含み、リン酸塩結合剤粒子の水性懸濁液を噴霧乾燥前に微粒化に供する。供給物の微粒化は一般的に、一流体ノズルまたは圧力式、二流体ノズルまたは空圧式、および遠心(回転盤)式の基本的な供給装置によって達成され得る。本発明では、微粒化を、好ましくは遠心(回転盤)式噴霧器によって行う。遠心微粒化は、供給液を回転盤にポンピングして、遠心力によって分散を得る。本発明では、特に、Anhydro Spray乾燥プラント型CSD73号での噴霧乾燥が適当な乾燥工程をもたらすと分かった。濃縮水性PA21懸濁液を微粒化するために、液体供給を高速ホイールに供給することによって微粒化する遠心噴霧器CE250を使用することができる。回転噴霧器では、ノズルよりもホイール速度およびそれによって粒度をうまく調整することができる。さらに、回転微粒化は、より短い噴霧乾燥機によく適している。噴霧乾燥工程から受け取った粉末は優れた流動性を有するべきであり、乾燥製品の粒度は小さくなりすぎないべきである。回転噴霧器では、粒度を特にホイール速度の変化によって調整することができる。噴霧器のホイール速度は、噴霧乾燥機の乾燥室に落ち込む液滴のサイズを規定する。液滴のサイズは、乾燥粉末の粒度ならびに乾燥時のその損失に影響を及ぼす。より小さい液滴は含む水が少なく、この水が乾燥室を通るその道中でより速く蒸発するので、ホイール速度が高いほど、より小さい液を生成し、乾燥粉末の粒度が小さくなり、乾燥時の損失が少なくなる。ホイール速度と粒度との間の相関は室の幾何学に依存するので、これを各個々のプラントに適合させなければならない。使用される好ましいAnhydro Spray乾燥プラント型CSD73号の幾何学については、12000~20000rpmの間のホイール速度が所望の粒度分布を達成するのに適していることが分かった。空気の入口温度は、噴霧乾燥機にもたらされる乾燥エネルギーを規定する。入口ガス流と一緒に、これは乾燥能率を規定する。入口ガス流を約1.9x104m3/時間で一定に保った。入口温度は、Anhydro Spray乾燥プラント型CSD73号にとっては130~180℃の範囲が適していると分かった。
【0087】
特に好ましく使用されるスクロオキシ水酸化鉄粒子にとって所望の粒度分布は、リン酸塩結合剤の任意の形態から、特にスクロオキシ水酸化鉄の任意の物理化学形態(例えば、非晶質または結晶形態などの異なる二次構造)から得ることができる。
【0088】
複数の粒度を試験し、本明細書に記載される特定のサイズ範囲が圧縮、好ましくは直接圧縮および特に咀嚼錠にとって予期しない優れた結果をもたらすことが発見された。
【0089】
粒度分布は、当業者によって周知の手順であるふるい分析、またはレーザー回折(国際規格ISO13320-1)、または電子検知ゾーン、光妨害、沈降または顕微鏡法を用いて測定され得る。ふるい分けは、粒度分布によって粉末を分類する最古の方法の1つである。さらなる方法としては、TEMによる体積粒度分布の測定が含まれる(例えば、Clariant Analytical Services TECHNICAL SHEET 106 TEM-Partikelgroeβe参照)。このような方法は周知であり、当技術分野で、例えば、任意の分析化学教科書にまたは米国食品医薬品局(FDA)の強制力をもつ基準を記載する米国薬局方(USP)刊行物USP-NF(2004-第786章(The United States Pharmacopeial Convention,Inc.、Rockville、Md.))によって記載されている。使用される技術は、例えば、Pharmaceutical dosage forms:第2巻、第2版、編者:H.A.Lieberman、L.Lachman、J.B.Schwartzに記載されており、これは好例である。この文献は、追加の方法:電子検知ゾーン、光妨害、空気透過、気体または液体中での沈降にも言及している(187頁)。しかしながら、本発明で使用される粒度分布の値は一般的に、レーザー回折分析技術によって得られる(例えば、http://pharmazie-lehrbuch.de/kapitel/3-1.pdf参照)。より具体的には、粒度分布を、特に完全Mie理論を用いて、特に対応する「LS 13 320 Laser Diffraction Particle Size Analyzer Instructions For Use PN B05577AB(2011年10月)」によるLS 13
320 Laser Diffraction Particle Size Analyzer of Beckmann Coulterで本発明により得る。これらのレーザー回折分析技術は、体積加重分布をもたらす。ここでは、分布中の各粒子の寄与が、その粒子の体積(密度が均一である場合、質量と同じ)に関連する、すなわち、相対的寄与がサイズに比例する。より具体的には、本発明による粒度分布(PSD)を、乾燥粉末システムを備えたレーザー粒度分析器Beckman Coulter LSで分析するリン酸塩結合剤の試料20gで行う。約13’’のランレングスおよび4%のオブスキュレーションを適用する。コンピュータプログラムを用いて、累積百分率網下粒度分布からPSDを計算する。さらなる詳細を以下の実施例4に示す。
【0090】
錠剤厚さは、定規、ノギス、ネジゲージまたは寸法を測定するための任意の電子的方法を用いて測定可能である。このような方法は周知であり、当技術分野で、例えば、任意の分析化学教科書にまたは米国食品医薬品局(FDA)の強制力をもつ基準を記載する米国薬局方(USP)刊行物USP-NF(2004)によって記載されている。
【0091】
本発明は特に、分散性錠剤についての本明細書に定義される英国薬局方試験によると、30分未満、または好ましくは5~25分の間の期間内に水中で崩壊して、710μmのメッシュ孔径を有するふるいスクリーンを通過することができる分散体をもたらすことができる圧縮錠剤または直接圧縮錠剤、特に咀嚼錠を提供する。
【0092】
好ましくは、本発明による錠剤の崩壊時間は20分未満、より好ましくは18分未満および最も好ましくは20分未満、さらにより好ましくは12~20分である。
【0093】
さらに、本発明による錠剤で得られる崩壊時間および比較的微細な分散体はまた、リン酸塩吸収能力に関しても有利である。したがって、本発明による錠剤を、水中でまたは咀嚼錠として口腔内で崩壊するように、および直接嚥下するようにも提供することができる。嚥下することを意図した本発明による錠剤を好ましくはフィルムコーティングして適用を容易にする。
【0094】
本発明はまた、医薬組成物、特に圧縮または直接圧縮錠剤を調製するためのリン酸塩結合剤を含む粒子、特にスクロオキシ水酸化鉄を含む粒子の使用であって、粒度分布中の粒子、特にスクロオキシ水酸化鉄粒子の少なくとも40体積%、好ましくは60体積%、最も好ましくは80体積%、さらにより好ましくは90体積%が4~200μmの間、好ましくは5~160μmの間、または21~160μmの中間である使用に関する。
【0095】
本発明はまた、圧縮または直接圧縮錠剤を調製するためのリン酸塩結合剤、特にスクロオキシ水酸化鉄を含む粒子の使用であって、リン酸塩結合剤が40μm~80μmの間、または42μm~75μmの間の粒度分布中のd50を有する使用に関する。
【0096】
本発明はまた、医薬組成物または圧縮もしくは直接圧縮錠剤を調製するためのリン酸塩結合剤、特にスクロオキシ水酸化鉄を含む粒子の使用であって、
i)リン酸塩結合剤が30μm~120μm、または35μm~110μm、または40μm~108μm、または40μm~100μmの間、または好ましくは40μm~80μmの間、または42μm~75μmの間の粒度分布中のd50を有する、および/または
ii)スクロオキシ水酸化鉄粒子の少なくとも40体積%、好ましくは60体積%、最も好ましくは80体積%、さらにより好ましくは90体積%が4~200μmの間、または好ましくは5~160μmの間、または21~160μmの間の粒度分布中の粒子を有する、使用に関する。
【0097】
さらに好ましい実施形態では、医薬組成物が、少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤とさらに混合することができる散剤または顆粒剤の形態、最も好ましくは医薬製剤を錠剤に直接圧縮するまたは顆粒剤に使用する場合には散剤の形態である。
【0098】
好ましい実施形態では、好ましくは使用される医薬製剤が、好ましくはステアリン酸マグネシウムである潤滑剤を含む。
【0099】
有効成分(リン酸塩結合剤粒子)に加えて、医薬組成物(例えば、打錠散剤または打錠顆粒剤)が、賦形剤(または薬学的に許容される賦形剤)として知られているいくつかの不活性材料を含んでもよい。これらを、最終錠剤で果たす役割によって分類することができる。賦形剤は、加工を助け、最終製品の特性を改善するよう選択され、最終錠剤で果たす役割によって分類することができる。これらには、充填剤、結合剤または希釈剤、潤滑剤、崩壊剤および滑剤が含まれ得る。完成錠剤の物理特性に寄与する他の賦形剤には、例えば、着色剤および咀嚼錠の場合、香味剤がある。典型的には、賦形剤を製剤に添加して圧縮している材料に優れた流動および圧縮特性を賦与する。このような賦形剤および対応する範囲は特に、国際特許出願公開第2009/06993号に記載されている。典型的には、35重量%(乾燥重量基準)以下の賦形剤を医薬組成物の全体に添加する。
【0100】
好ましい実施形態では、本発明は、薬学的に許容される賦形剤の少なくとも1種が例えば、0.01重量%~10重量%、または0.01重量%~6重量%、または0.1重量%~6重量%(乾燥重量基準)の量で使用される本明細書に記載される医薬組成物または圧縮錠剤、好ましくは直接圧縮医薬錠剤のいずれかに関する。リン酸塩結合剤粒子としてスクロオキシ水酸化鉄(スクロースおよびデンプンによって安定化されたオキシ水酸化鉄(III)から本質的に(すなわち、不純物を除いて、すなわち、一般的に95または98重量%超)なる)を用いる最も好ましい実施形態では、追加の賦形剤として、香味剤、甘味剤または味覚増強剤、滑剤または潤滑剤(後者は好ましくはステアリン酸マグネシウムまたはコロイドシリカ、例えば、Aerosil(登録商標)から選択される)から選択されるもののみを最大で10重量%、好ましくは最大で6重量%、より好ましくは最大で3重量%(乾燥重量基準)の量で使用する。
【0101】
好ましい実施形態では、本発明は、少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤が潤滑剤、好ましくはステアリン酸マグネシウムおよび香味剤である本明細書に記載される医薬組成物または圧縮錠剤、好ましくは直接圧縮医薬錠剤のいずれかに関する。
【0102】
1種、2種、3種またはそれ以上の希釈剤または充填剤をさらなる薬学的に許容される賦形剤として選択することができる。薬学的に許容される充填剤および薬学的に許容される希釈剤の例としては、それだけに限らないが、例えば、粉砂糖、圧縮糖、デキストラン、デキストリン、デキストロース、ラクトース、マンニトール、微結晶セルロース、粉末セルロース、ソルビトール、スクロールおよびタルクが挙げられる。好ましい希釈剤としては、例えば、微結晶セルロースが挙げられる。微結晶セルロースはいくつかの供給業者から入手可能である。適当な微結晶セルロースとしては、FMC Corporationによって製造されているAvicel製品が挙げられる。別の希釈剤は、例えば、ラクトースである。希釈剤、充填剤は、例えば、それぞれ組成物の約0.1重量%~20重量%および約0.5重量%~40重量%の量で存在し得る。
【0103】
1種、2種、3種またはそれ以上の崩壊剤を選択することができる。薬学的に許容される崩壊剤の例としては、それだけに限らないが、例えば、デンプン;粘土;セルロース;アルギン酸塩;ガム;架橋ポリマー、例えば、架橋ポリビニルピロリドン、架橋カルボキシメチルセルロースカルシウムおよび架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム;大豆多糖;およびグアーガムが挙げられる。崩壊剤は、例えば、組成物の約0.01重量%~約10重量%の量で存在し得る。崩壊剤はまた、錠剤製剤の任意であるが、有用な成分である。崩壊剤を含めて、確実に錠剤が許容される崩壊速度を有するようにする。典型的な崩壊剤としては、デンプン誘導体およびカルボキシメチルセルロースの塩が挙げられる。デンプングリコール酸ナトリウムがこの製剤にとって好ましい崩壊剤である。
【0104】
1種、2種、3種またはそれ以上の潤滑剤を選択することができる。薬学的に許容される潤滑剤および薬学的に許容される滑剤の例としては、それだけに限らないが、コロイドシリカ、三ケイ酸マグネシウム、タルク、第三リン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、ポリエチレングリコールおよびベヘン酸グリセロールが挙げられる。潤滑剤は、例えば、組成物の約0.01~10重量%、または0.1重量%~約6重量%の量で存在し得るが、滑剤は、例えば、約0.01~10重量%、または約0.1重量%~約10重量%の量で存在し得る。典型的には、潤滑剤を添加して錠剤ブレンドがパンチに付着するのを防ぎ、錠剤圧縮中の摩擦を最小化し、圧縮錠剤の型からの取り出しを可能にする。このような潤滑剤を一般的には通常約2重量%またはそれ未満の量で最終錠剤混合物に含める。潤滑剤成分は疎水性であっても親水性であってもよい。このような潤滑剤の例としては、例えば、ステアリン酸、タルクおよびステアリン酸マグネシウムが挙げられる。ステアリン酸マグネシウムは、錠剤の圧縮および取り出し中の、型壁と錠剤混合物との間の摩擦を減らす。これが、錠剤がパンチおよび型と接着するのを防ぐのに役立つ。ステアリン酸マグネシウムはまた、粉末がホッパーおよび型へ流れるのを助ける。好ましい潤滑剤であるステアリン酸マグネシウムを製剤にも使用する。好ましくは、潤滑剤が組成物の約0.01~10重量%、または約0.1重量%~約6重量%の量で錠剤製剤中に存在し;また好ましいのは、約0.1重量%~約4重量%;最も好ましくは約0.1重量%~約2重量%のレベルである。他の考えられる潤滑剤としては、タルク、ポリエチレングリコール、シリカおよび硬化植物油が挙げられる。本発明の任意の実施形態では、潤滑剤が製剤中に存在しないが、これを製剤に直接添加するのではなくて型またはパンチに噴霧する。
【0105】
さらに、錠剤は通常、圧縮のための粒度をもたらすブレンドのかさ重量を増加させるために添加される希釈剤または充填剤を含む(通常、薬物の用量が少ない場合)。
【0106】
慣用的な固形充填剤または担体は、例えば、コーンスターチ、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、モノ-およびジステアリン酸グリセリル、ソルビトール、マンニトール、ゼラチン、天然または合成ガム(例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、アルギン酸塩、デキストラン、アカシアガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、トラガントなど)などの物質であり、希釈剤、結合剤、崩壊剤、着色および香味剤を場合により使用してもよい。
【0107】
結合剤は、粉末状材料に凝集特性を賦与する剤である。賦形剤としての薬学的に許容される結合剤の例としては、それだけに限らないが、デンプン、糖;セルロースおよびその誘導体、例えば、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロース;スクロース;グルコース;デキストロース、ラクトースデキストロース;コーンシロップ;多糖;ならびにゼラチンが挙げられる。臨床試験中に、本出願人は、リン酸塩結合剤の味覚が対象に認めてもらえず、治療的処置のコンプライアンス(治療アドヒアランス)に直接影響を及ぼすことをさらに理解した。明快さのために、有効成分スクロオキシ水酸化鉄またはPA21の一部であるスクロースおよびデンプンを、ここに列挙される結合剤、甘味剤等のように賦形剤としてカウントしないことに留意すべきである。
【0108】
さらなる実施形態では、本発明の製剤、組成物および錠剤が、経口剤形に典型的に使用されている1種または複数の香味または矯味および着色添加剤、例えば、香味剤、甘味剤、味覚増強剤、着色剤などを含む。
【0109】
好ましい実施形態では、本発明の製剤、組成物および錠剤がウッドベリーの香味を有する香味剤を含む。ウッドベリーの香味は、請求されているリン酸塩結合剤錠剤の優れたコンプライアンスおよび認容性を提供する。
【0110】
矯味剤、例えば、味覚増強剤、香味剤および/または天然もしくは人工甘味剤(高甘味度甘味剤を含む)を、咀嚼剤形などの経口剤形に組み込んで、これらにより心地よい味を与えるまたは不快な味を遮る。
【0111】
賦形剤としての典型的な甘味剤としては、それだけに限らないが、糖、例えば、スクロース、フルクトース、ラクトース、粉砂糖、粉末砂糖が挙げられる、または例えば、ソルビトール(例えば、Neosorb)、キシリトール、マンニトール、マルトースおよびポリデキストロースもしくはこれらの混合物であるポリオールがある。典型的な高甘味度甘味剤としては、それだけに限らないが、例えば、アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムKおよび/またはサッカリン誘導体、あるいはこれらの混合物が挙げられ得る。さらなる適当な甘味剤または味覚増強剤としては、例えば、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン(ネオヘスペリジンDCまたはNHDC)、グリチルリチン、グルタメートなどのグリコシドが挙げられる。後者は極めて少量で使用することができるので、以下で味覚増強剤とも呼ばれ得る。上記の全てが単独で、あるいは他の甘味剤および/または香味剤との混合物として使用するのに適している。これらの物質は、甘味が大いに長引くことを保証し、いかなる望ましくない後味も隠す。好ましい甘味剤および/または味覚増強剤としては、ネオヘスペリジンジヒドロカルコンなどのグリコシドが挙げられる。
【0112】
一実施形態では、選択した甘味剤が、組成物の総重量に関して、0.00001~2%(w/w)、好ましくは0.00001~0.1%(w/w)、最も好ましくは0.00001~0.001%(w/w)の量で存在し得る。
【0113】
選択した味覚増強剤が、組成物の総重量に関して、0.1~50ppm、好ましくは1~10ppm、最も好ましくは1~5ppmの量で存在し得る。典型的な香味剤としては、医薬用途に適した任意の天然および人工香味剤、例えば、香辛料、果実または果汁、野菜または野菜汁などに由来する香味剤、例えば、ココア、カラメル、バニラ、リンゴ、アンズ、ベリー(例えば、ブラックベリー、レッドカーラント、ブラックカーラント、イチゴ、ラズベリー、ウッドベリー等)、ミント、パネトーネ、ハチミツ、ナッツ、麦芽、コーラ、ヴェルヴェーヌ(バーベナ)またはこれらの任意の組み合わせ、例えば、カラメル/バニラ、果実/クリーム(例えば、イチゴ/クリーム)などに基づく香味剤が挙げられる。一実施形態では、選択した香味剤が、組成物の総重量に関して、0.01~12%(w/w)、好ましくは0.1~6%(w/w)、最も好ましくは0.1~4%(w/w)の量で存在し得る。
【0114】
有用な賦形剤のさらなる例は、参照により本明細書に組み込まれるHandbook of pharmaceutical excipients、第3版、編者A.H.Kibbe、出版:American Pharmaceutical Association、ワシントンD.C.、ISBN:0-917330-96-XまたはHandbook of Pharmaceutical Excipients(第4版)、編者Raymond C Rowe-Publisher:Science and Practiceに記載されている。
【0115】
上記製剤は、医薬組成物、例えば、錠剤、圧縮錠剤または好ましくは直接圧縮錠剤、カプレットまたはカプセル剤の製造に特に適しており、当技術分野の先行技術剤形によって要求される例えば、溶解および薬物放出プロファイルに関する必要な物理特性を提供する。そのため、さらなる実施形態では、本発明は、特に造粒、直接圧縮および乾式造粒(スラッギングまたはローラー圧密化)のための上記医薬組成物、錠剤、咀嚼錠、顆粒剤、カプレットまたはカプセル剤のいずれかの使用に関する。
【0116】
上記組成物はまた、錠剤、特に圧縮錠剤、および極めて好ましくは直接圧縮錠剤、例えば、咀嚼錠の製造に特に有用である。
【0117】
特に直接圧縮錠剤または本明細書に記載される直接圧縮錠剤の形態に加工する場合に上記組成物で得られる錠剤は、好ましい摩損度特性、極めて優れた破壊強度、改善した製造頑健性、最適な吸湿性、硬度、圧縮性、咀嚼性、特に直接圧縮錠剤についての低い残留含水量、崩壊後に好ましい粒度分布を有する微細分散をもたらす英国薬局方1988による短い崩壊時間DT(30分未満)を示す。しかし、本出願で請求される崩壊時間DT値は、欧州薬局方(EP)04/2011:20901規定方法論により得た。
【0118】
好ましくは上記圧縮錠剤(例えば、直接圧縮錠剤)が、30分未満、好ましくは5~20分の間の崩壊時間を有する。
【0119】
好ましくは、上記圧縮錠剤(直接圧縮錠剤を含む)は、70N~250Nの間、または80~200Nの間、好ましくは100N~230Nの間を含む錠剤硬度、および0%~7%または0.5%~7%の間の摩損度を有する。
【0120】
本発明のリン酸塩結合剤、特にスクロオキシ水酸化鉄の直接圧縮はブレンドおよび圧縮を含む。特に請求されるスクロオキシ水酸化鉄粒子に添加される賦形剤の等級の選択は、粉末混合物の均質性および最終剤形中のリン酸塩結合剤粒子、特にスクロオキシ水酸化鉄粒子の含量均一性を可能にする範囲内に維持するために、スクロオキシ水酸化鉄粒子の粒度範囲を考慮に入れ、前に説明されるように、医薬製剤または医薬組成物または錠剤に含まれる選択されたさらなる賦形剤の粒度分布は、好ましくはリン酸塩結合剤粒子、好ましくはスクロオキシ水酸化鉄粒子の粒度分布と類似である。これにより、直接圧縮中のホッパー中での粒子の分離が防がれる。請求される医薬組成物を使用することの利点は、組成物が粉末ブレンドの圧縮性、凝集性(これを低下させる)および流動性(これを増加させる)を賦与することである。さらに、直接圧縮の使用によって、競合的な単位生産コスト、貯蔵寿命が提供され、熱および水分が除去され、主な粒子の解離、物理的安定性が可能になり、粒度の均一性が保証される。
【0121】
請求される医薬組成物の記載される利点はまた、例えば、ローラー圧密化もしくは湿式造粒にとって、またはサシェもしくはカプセル剤を充填するのにも極めて有用である。
【0122】
さらなる実施形態では、本明細書に記載および請求される医薬組成物および錠剤(例えば、直接圧縮錠剤)が、1種または複数のさらなるリン酸塩結合剤、好ましくは1種または2種のさらなるリン酸塩結合剤を含む。
【0123】
好ましいさらなるリン酸塩結合剤は特に、例えば、セベラマー塩酸塩などの有機ポリマーである。リン酸塩レベルの管理は、リン酸塩結合剤を用いて血清リン酸塩濃度を低下させるCKD-MBDのための一次治療の1つである。セベラマーは、Genzymeによって、商品名Renagel(登録商標)(塩酸)およびRenvela(登録商標)(炭酸塩製剤)で市販されている。
【0124】
使用され得る他のリン酸塩結合剤としては、特にこれら陽イオンの対応するリン酸塩よりもよく溶解性でありカルシウム、マグネシウム、アルミニウム、鉄、ランタンおよびビスマス塩が挙げられる。さらに、AMG 223(Amgen)およびMCI-196(Colestilan、Mitsubishi)などの陰イオン交換機能を有するリン酸塩結合有機ポリマーが本発明に適した物質である。適当なアルミニウム塩としては、上記要件を満たす全ての薬学的に容認される塩、特に酸化物、特にアルゲルドラートおよび/または水酸化物が挙げられる。上記要件を満たす全ての薬学的に許容される塩、特にその水和物を含む炭酸ランタンがランタン塩として適している。上記要件を満たす全ての薬学的に許容される塩、好ましくは塩化物、硫酸塩、水酸化物、酸化物、炭酸塩および特に重質炭酸マグネシウムがマグネシウム塩として適している。金属塩に基づく好ましいリン酸塩結合剤は、例えば、フェルマガートおよびカルシウム塩、好ましくは炭酸カルシウムおよび/または塩化カルシウム、および特に好ましくは酢酸カルシウムである。
【0125】
本発明はまた、例えば、セベラマー塩酸製剤(Renagel(登録商標))、セベラマー炭酸塩製剤(Renvela(登録商標))、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、鉄、ランタン塩およびビスマス塩のいずれかから選択される第2のリン酸塩結合剤を含む本明細書において上で請求される医薬組成物または錠剤のいずれも網羅する。
【実施例】
【0126】
実施例1:
本明細書において上記のように調製した錠剤を以下のように試験することができる。
錠剤評価方法
1.平均錠剤重量20個の錠剤を化学天秤で秤量し、平均錠剤重量を計算する。
2.錠剤破壊強度N5個の錠剤を、Schleuniger圧壊強度試験器を用いて個々に試験し、平均破壊強度を計算する。
3.摩損度(損失%)正確に秤量した10個の錠剤を、Roche Friabilator(実施例4(C)の条件下で記載および測定)を用いた10分間摩損度試験に供する。錠剤を除塵し、再秤量し、摩損度による重量損失を初期重量の百分率として計算する。本出願で請求される摩損度データおよび値は、Roche摩損度計を用いて、欧州薬局方01/2010:20907にしたがって測定した。
4.崩壊時間DT(欧州薬局方04/2011:20901に定義される)6個の錠剤を上に定義されるEP試験により試験する。
5.分散品質分散性錠剤についての分散試験のBP均一性にしたがって(BP 1988
第2巻 895頁)、2個の錠剤を19~21℃の水100mlに入れ、分散させる。
【0127】
顆粒剤評価方法
1.乾燥減量(LOD)顆粒剤の残留水分含量(LOD)を、製造業者の手順にしたがって操作される、105℃で10分間に設定されたMettler水分計を用いて3~4gの試料で測定することができる。
2.粒度分布(PSD)リン酸塩結合剤としてのスクロオキシ水酸化鉄の試料20gを、特に完全Mie理論を用いて、特に対応する「LS 13 320 Laser Diffraction Particle Size Analyzer Instructions For Use PN B05577AB(2011年10月)」による乾燥粉末システムを備えたレーザー粒度分析器Beckman Coulter LS 13
320で分析する。これらのレーザー回折分析技術は、体積加重分布をもたらす(例えば、
図2参照)。約13’’のランレングスおよび4%のオブスキュレーションを適用する。コンピュータプログラムを用いて、累積体積百分率網下粒度分布からPSDを計算する。
【0128】
実施例2:改善した製造頑健性
異なる賦形剤、例えば、ステアリン酸マグネシウムを含むスクロオキシ水酸化鉄の異なる製剤を用いて、Kilianプレス器で予備的成形性判定を行う。
データは、本出願人らの請求する医薬組成物が、増加するレベルの圧力(圧縮力)で圧縮すると、錠剤強度の実質的に有用な増加を示すことを証明している。特に、例えば、スクロオキシ水酸化鉄とステアリン酸マグネシウムの混合物は、スクロオキシ水酸化鉄が上記請求される粒度分布内にあると、錠剤強度の実質的に有用な増加を示す。これらの結果は、圧縮性の観点から、請求される製剤が明確な改善を提供することを示した。圧力(圧縮力)を増加させると、本出願人らの請求する製剤は錠剤強度の実質的に有用な増加を示す。
上側パンチと下側パンチの両方の力および変位センサを有する装着Fette102iプレス器で圧縮性試験を行う。
これらのデータから、スクロオキシ水酸化鉄錠剤が、適当な粒度を選択しない限り、乏しい硬度/圧壊強度をおそらく有するだろうという明示が得られる。本出願人の請求する製剤は、要求される成形性を提供するのに特に適している。
【0129】
実施例3:摩損度
あるいは、6つの異なる設定でFette 2200プレスを用いて評価を行うことができる:ひずみ速度設定30’000~70’000錠剤/時間および主要圧縮力35~55kN。試験は、錠剤2577.5mgについて直径20mmの平坦面斜角端(FFBE)工具を使用する(試験する錠剤の重量に応じて他の直径を使用する)。本出願で請求される摩損度データおよび値は、Roche摩損度計を用いて、欧州薬局方2.9.7にしたがって測定した。両20mm FFBE錠剤がスクロオキシ水酸化鉄2500mgおよび同一の錠剤厚さを有するように、総錠剤重量を選択した。摩損度、圧縮プロファイル、ひずみ速度プロファイルおよび重量変動が測定した結果である。試験設計および試験から得られた摩損度結果を用いて、硬度の結果に影響を及ぼす変数(製剤の粒度分布、錠剤重量、錠剤厚さおよび重量、錠剤中の含水量等)を決定する。
【0130】
実施例4:レーザー回折によって測定される粒度分布
1~200μm、または4~200μm、または5~160μm、または21~160μmの間の範囲の粒子を有する、あるいは粒度分布中のd50が30μm~120μm、35μm~110μm、または40μm~100μmの間、または好ましくは40μm~80μmの間、または42μm~75μmの間であり、本明細書に記載される製剤、特に直接圧縮錠剤を製造するのに特に適しているスクロオキシ水酸化鉄粒度分布を下記の通り製造することができる。
【0131】
以下の実施例4に記載される方法および値は、本請求項に含まれる値を裏付ける基礎となる。
1.直接圧縮錠剤に適用されるスクロオキシ水酸化鉄を介した粒度分布の調製
本出願人は、リン酸塩結合剤の直接圧縮錠剤に特に適している、特にスクロオキシ水酸化鉄の粒度分布(例えば、主に10~152μmの間の(50体積%超)粒子を有する)(または40μm~80μmの間、または好ましくは42μm~75μmの間の粒度分布のd50を有する)を発見した。
30μm~120μm、または35μm~110μm、または40μm~108μm、または40μm~100μmの間、または好ましくは40μm~80μmの間、または好ましくは42μm~75μmの間の粒度分布のd50で改善した結果が得られる。
レーザー回折法によって測定される粒度分布は、好ましくは以下の通り指定される:d10が5μm以上、d50が35μm以上、好ましくは40μm~80μmの間、または42μm~75μmの間、およびd90が380μm以下である。粒度をレーザー回折によって測定した。
【0132】
機器:
測定装置:例えば、LS 13 320 Laser Diffraction Particle Size Analyzer of Beckmann Coulter、Beckman Coulter International S.A.Switzerland
試料モジュール:真空圧力分散システム、例えば、Dry Powder System(Tornado)、Beckman Coulter International S.A.Switzerland
【0133】
条件:
平均真空:25~30’’H2O;オブスキュレーション約48~10%;ランレングス約25秒。
【0134】
手順:
試料20gをDry Powder分散システムに導入する。
測定:指定される真空を印加して試料を移動させ、取扱い説明書にしたがってレーザー光回折機器を用いて累積体積分布を決定する。試験分散が代表的で、均質で、かつよく分散するように、パラメータを調整してもよい。
評価/判定:累積体積分布から、網下値10%、50%および90%(d10、d50、d90)での粒度、ならびに当の追加の値を決定する。
【0135】
本発明の粒度分布(特に、スクロオキシ水酸化鉄粒度分布)を、非限定的な例である下記の工程によって得ることができる。当業者によって代わりの工程が容易に実施され得る。
A.製造工程
スクロオキシ水酸化鉄原薬を、基本的に欧州特許国際公開第9722266号または特許出願国際公開第2008/062993号に記載されるように調製する。
スクロオキシ水酸化鉄原薬(以下の
図1でPA21と呼ぶ)の製造工程によって、長期間の貯蔵中も維持される特に高いリン酸塩吸着能力を有する安定化された多核β-オキシ水酸化鉄(III)が得られる。
製造工程のフローチャートを以下に提供する。この工程は以下のステップを含む:
・塩基(最良の選択であると分かった炭酸ナトリウム)による鉄塩(例えば、塩化鉄(III))の沈殿によるオキシ水酸化鉄(III)の合成。この工程を、塩化鉄(III)を添加し続け、攪拌速度を調整することによって最適化した。
・脱塩:形成した過剰の塩化ナトリウムを、水による洗浄ステップによって除去する。
・一定の攪拌の下、好ましくは1.5:1.5:1のデンプン:スクロース:鉄の相対質量比で、デンプンおよびスクロースをオキシ水酸化鉄(III)懸濁液に添加する。このステップは、オキシ水酸化鉄(III)を安定化し、さらなる加工を可能にするために行われる。
・上記の制御された条件下で噴霧乾燥する。
【0136】
結果として生じたスクロオキシ水酸化鉄原薬を、特に遠心微粒化装置を用いて上記の噴霧乾燥設定を適合させることによって、所望の粒度分布で得ることができる。噴霧乾燥によって、噴霧乾燥機の噴霧器の異なる設定を選択して所望の粒度分布を得る。この技術は当業者によって知られており、設定は使用する噴霧乾燥機設備に依存し、適当に適合させることができる。場合により、得られた結果として生じたスクロオキシ水酸化鉄原薬を、機械的応力などの他の周知の技術によってさらに加工して所望の粒度分布を得ることができる。
【0137】
図2は、噴霧乾燥工程から得られ、LS 13 320 Laser Diffraction Particle Size Analyzer of Beckmann Coulterを用いて分析した得られたPA21原薬の粒度分布を示している。
【0138】
B.機械的応力
基本的に、所望の粒度範囲のリン酸塩吸収剤粒子を機械的応力によって得ることもできる。この応力は、衝撃、せん断または圧縮によって媒介され得る。最も商業的に入手可能な粉砕装置では、これらの原理の組み合わせが起こる。上記製造工程によって得られたスクロオキシ水酸化鉄のために、好ましい噴霧乾燥工程とは別に、好ましくは機械的インパクトまたはジェットミルを使用してもよい。最も好ましい機械的インパクトミルは、異なる種類のビーター、スクリーン、ライナーまたはピンプレートを備えることができる。本発明者らの工程のために、プレートビーターおよびスリットスクリーン5*2.5cmを備えたインパクトミルを使用する。衝撃速度は、いずれのバッチ間変動にも適合するよう20~100m/秒(周速として)の間で可変性であるべきである。約40~50m/秒のビーター周速を使用する。
機械的応力、例えば、ローラー圧密化、製粉および/またはふるい分けによっても優れた結果(粒度分布)を得ることができる。
当技術分野で記載され、当業者によって一般的に使用されている他の技術を使用して標的となる粒度範囲を得ることもできる。
異なる粒度分布を有するAPI(医薬品有効成分:スクロオキシ水酸化鉄)バッチの圧縮性を評価するために、約40μm~110μmの範囲を網羅する異なるAPIバッチを選択した。
【0139】
選択されたスクロオキシ水酸化鉄APIバッチの特性:
【表1】
全てのAPIバッチが類似の流動性、密度およびLODを示した。鉄含量の変動はこの種の製品にとっての通常の範囲内であった。主な違いは粒度分布だけであった。
【0140】
C.錠剤圧縮
機器:
打錠工程:20mm平坦面パンチを備えた回転式Killian E 150
錠剤硬度:5個の錠剤を、Schleuniger圧壊強度試験器を用いて個々に試験し、平均破壊強度を計算する。錠剤硬度を欧州薬局方01/2008:20908にしたがって測定する。
錠剤厚さ:5個の錠剤を、キャリパーを用いて個々に測定し、平均厚さを計算する。
錠剤摩損度:摩損度を、Roche摩損度計を用いて、欧州薬局方01/2010:20907にしたがって測定する。
平均質量:10個の錠剤を秤量し、平均質量を計算する。
6個の錠剤に標準的な機器(Sotax DT3崩壊試験器)を用いて崩壊(欧州薬局方04/2011:20901に定義される)を行う。
【0141】
1.医薬製剤散剤の調製
異なるAPIバッチ(異なる粒度範囲を有する)を全てスクロオキシ水酸化鉄粒子を含む散剤の形態に以下の組成(医薬製剤)で製剤化した:
【表2】
【0142】
2.圧縮錠剤の調製
以下の機器をブレンドの調製に使用した:
タンブリングブレンダー(Roehnrad Engelsmann)、Quadro comill 193
PhEur品質のステアリン酸マグネシウム、シリカおよびネオヘスペリジンDHCを購入した。選択した香味剤は、食品および医薬製品に使用されている標準的な香味剤である。
直接圧縮による同一製造工程を全てのAPIバッチに適用してその加工性を比較した。製造工程は以下からなっていた:
・全成分のふるい分けおよびブレンド
・ステアリン酸マグネシウムの添加による潤滑化
・回転打錠機で、直径20mmの二平面型錠剤に打錠
錠剤重量を原薬アッセイにしたがって調整して鉄500mg、すなわちスクロオキシ水酸化鉄2500mgの公称投与量を得た。
錠剤の硬度を最適化するために、打錠試験を行った。前記20mm錠剤について、錠剤の損傷破壊なしに標準的な包装に錠剤を充填することができるためには少なくとも100Nの硬度が必要である。
【0143】
【0144】
当技術分野の知識に基づくと、開発した高負荷直接圧縮錠剤(すなわち、スクロオキシ水酸化鉄2500mg)などの大型錠剤のためには、理想的なd50が200~350μmの間であるべきであった。請求される小型スクロオキシ水酸化鉄粒度が、改善した錠剤(直接圧縮高負荷錠剤)、すなわち、改善した物理特性をもたらすことができることを誰も予想しなかっただろう。
驚くべきことに、d50が109μmであるスクロオキシ水酸化鉄粒子(バッチ番号030609-02)は、まだ許容されるが、最も好ましい標的化硬度を有する錠剤をもたらすことができなかった。打錠機で最高83Nに達し、この点では圧縮力が既に最大であり、機械の騒音が本発明者らに、打錠機を損傷しないよう実験を中止することを余儀なくした。錠剤を最低厚さで圧縮したが、本発明者らは最低硬度を得た。打錠試験のd50が43μmであるE222X383Bおよびd50が75μmであるE222X382Bによって、驚くべきことに、圧縮力が増加し、硬度の増加が得られた(d50が109μmであるバッチではそうでなかった)。このようなバッチ(109μm超のd50)では、いかなる圧縮力を使用しても、改善した硬度を有する錠剤を得ることは不可能であった。そのため、約109μmのd50がまだ許容される上限域である。そのため、合理的な上限は110または120μmの域にある。120μmでは、硬度が約80Nまたは80Nよりわずかに低くなるべきである。
【0145】
d50が42~75μmの範囲にあるスクロオキシ水酸化鉄粒子で行った試験は、材料の驚く程優れた圧縮性を明らかにし、硬度最大140Nまで標的とすることを可能にした。
d50が約42μm未満であるスクロオキシ水酸化鉄粒子は、回転打錠機中での材料のあまりに多い損失をもたらすために、打錠にあまり適していないと考えられた。
実験評価に基づいて、上で請求される改善は、d50が30μm~120μmの間、またはd50が35μm~110μmの間のスクロオキシ水酸化鉄粒子で観察される。d50が40μm~108μm、40μm~100μmの間、または好ましくは40μm~80μmの間であるスクロオキシ水酸化鉄(API)粒子で最良の結果が観察される。
図3は、d50が40~80μmの間であるスクロオキシ水酸化鉄(API)粒子が最小で100Nを得るために特に好ましいことを証明している。
83Nの錠剤についてd50が109μm(バッチ030609-02)であるスクロオキシ水酸化鉄粒子で得られた崩壊時間は、6’28’’で崩壊するd50が42μm(110709-01)であるAPIで得られた類似の硬度(88N)の錠剤よりも300%高かった(19’51’’)。このような差は錠剤の溶解時間に影響を及ぼし得るので、あまり好ましくない。
スクロオキシ水酸化鉄粒子の優れた圧縮性を確認するために、d50が50.3μmである追加のバッチで圧縮プロファイルを調査した。
【0146】
回転打錠機で製造した錠剤バッチ1260111は以下の結果を与えた:
【表4】
図4に示すように、d50が50μmであるスクロオキシ水酸化鉄粒子は、極めて優れた圧縮特性を示し、力の関数で硬度の線形増加を示す。最大187Nまでの錠剤を製造することができた。
【0147】
実施例5:本発明の圧縮咀嚼錠の咀嚼性を試験するための代わりの試験
(直径または半径)硬度(耐圧壊性Ph.Eur.2.9.8)、摩損度(Ph.Eur.2.9.7)および崩壊(Ph.Eur.2.9.1)の薬局方試験を、標準的な機器(Erweka TBH 220硬度試験器、標準ドラムおよび摩耗ドラムを有するErweka TA120摩損度試験器(またはRoche摩損度計)、ならびにSotax DT3崩壊試験器)を用いて行う。いかなる混乱も回避するために、本出願で請求される摩損度値はRoche摩損度計を用いて欧州薬局方01/2010:20907にしたがって測定し、本出願で請求される崩壊値は欧州04/2011:20901にしたがって測定し、標準的な機器(Sotax DT3崩壊試験器)を用いて行い、本出願で請求される錠剤硬度値はSchleuniger圧壊強度試験器、すなわち、欧州薬局方01/2008:20908にしたがって実施例4に記載される条件を用いて測定したことを強調する。
【0148】
さらに、多種多様な材料のテクスチャを測定するために使用されるテクスチャ分析器(TAXt2i(登録商標)Texture Analyser Stabel Micro Systems Ltd、Godalming、英国)を用いて、軸硬度(リングおよびチューブ試験)、粉砕特性(平板試験)も測定する。さらに、噛み特性、パリパリしていることおよび硬さがあることについての情報を提供するために食品業界で使用されるInstron High Wycombe、英国()製のKramerせん断セル、およびKilgore International Inc、Coldwater、Michigan、米国()製のTypodont D85SDP-200Modelも錠剤の咀嚼性を試験するためにこの試験で使用する。テクスチャ分析器によって荷重をTypodont Modelに加えた(これは、Typodontモデルがここで行われる試験におけるテクスチャ分析器に付属することを意味する)。
【0149】
乾燥錠剤と人工唾液で湿らせた錠剤の両方で以下の試験を行う。
人工唾液は、Klimek(1982)(Original:Matzker and
Schreiber(1972))の修正した処方にしたがって調製した。
アスコルビン酸 0.002g/l
グルコース 0.030g/l
NaCl 0.580g/l
CaCl2 0.170g/l
NH4Cl 0.160g/l
KCl 1.270g/l
NaSCN 0.160g/l
KH2PO4 0.330g/l
尿素 0.200g/l
Na2HPO4 0.340g/l
ムチン 2.700g/l
調製した溶液(500ml)を、その限られた貯蔵寿命のために冷蔵(4~6℃)しておいた。
【0150】
リング試験
この試験では、プラスチックツールが錠剤に負荷されている歯をシミュレートし、リングが下顎をシミュレートする。リング試験は実際の噛みつくイベントに近い。
リング外形daは20mmである。リングの金属は厚さが3mmであるので、内径、および結果として中心空洞の直径diは14mmである。接触の丸まった部位を有するプラスチックツールは、テクスチャ分析器の標準的な構成要素である。プラスチックツールの下降の速度は2mm/秒であった。ロードセル50KGを用いて移動距離を5mmに設定し、テクスチャ運転モードは「開始に戻る」とする。
さらに、リング試験は本質的に軸破壊強度である。錠剤はリングに載っている。破壊が生じる力、Fmaxを記録する。及ぼされたエネルギー(力-変位曲線下の面積)を計算する。乾燥錠剤と湿潤錠剤(ピンセットによって人工唾液中に10秒間浸漬することによって湿らせる)で試験を行う。
【0151】
平板試験
平板試験は、反復荷重について最大力を加えることにより貫入深さを測定するものであるので、反復咀嚼動作中の歯貫入の効果をシミュレートする。
ここでは、錠剤をテクスチャ分析器の基板の溝状の裏面に置き、力を錠剤に繰り返し加えて反復咀嚼動作をシミュレートする。
テクスチャ分析器試験設定は、錠剤を破壊させない荷重強度(下降速度0.2mm/秒について35N)を選択した「カウントまでのサイクルモード」とした。接近速度(予備試験速度)は感度増加のために0.5mm/秒とした。テクスチャ分析器が実際の測定を開始する加力を、0.0493Nに設定し、これはトリガーと呼ばれる。10サイクルについての典型的な力-変位曲線を示す。平板試験は、反復荷重について最大力を加えることにより貫入深さを測定するものである。
チューブ試験、Kramerせん断セル試験またはTypodontモデル試験などの他の試験を行うことができる。
【0152】
結論:
リング試験モード(軸破壊強度をもたらす)におけるテクスチャ試験器が、本発明のスクロオキシ水酸化鉄直接圧縮錠剤の咀嚼性の特徴を最もよく特徴付けると考えられる。試験により、本発明の錠剤の咀嚼品質が確認される。
咀嚼錠の咀嚼品質のインビトロでの証拠を提供するために、いくつかの試験を評価する。結果を、2個の商業的に入手可能な咀嚼錠の結果と比較する。
実際の咀嚼動作をより密接に写し出す試験の中で、平板試験モードのテクスチャ分析器が最も信頼できると考えられ、特に人工唾液で湿らせた錠剤が最も差別的で有用であると分かった。約130Nの標的半径硬度内で製造されたスクロオキシ水酸化鉄錠剤がこの試験でうまく働き、変形14I(半径硬度231.2N)でさえ優れた咀嚼特性を示し、適当な230Nの貯蔵寿命を確認した。
【0153】
標的半径硬度限界内のスクロオキシ水酸化鉄錠剤は、最良の非リン酸塩結合剤製品(錠剤A-Calcimagon(登録商標))に近接し、これらの試験で最良のリン酸塩結合剤競合剤(錠剤B-Fosrenol(登録商標))より優れた咀嚼性を示した。
患者のコンプライアンスのためには、何らかの理由で咀嚼が不完全な場合でも咀嚼錠が崩壊し、錠剤の頑健性が適切な取扱いおよび輸送を可能にするのに十分であることが有利である。スクロオキシ水酸化鉄錠剤変形はこの要件を満たす。
【0154】
本発明の好ましい実施形態
以下は、本発明の特に好ましい実施形態を要約するものである。
1.実施形態:
リン酸塩結合剤を含む圧縮錠剤であって、前記リン酸塩結合剤が4~200μmの範囲の粒子を有する粒度分布を有する粒子を含む圧縮錠剤。好ましくは、リン酸塩結合剤が前記粒子からなる。
【0155】
2.実施形態:
リン酸塩結合剤を含む、実施形態1に記載の圧縮錠剤であって、前記リン酸塩結合剤が、粒子の少なくとも40%が4~200μmの範囲内の粒度を有する粒度分布を有する粒子を含む圧縮錠剤。
【0156】
3.実施形態:
リン酸塩結合剤を含む圧縮錠剤であって、前記リン酸塩結合剤が、d50が40μm~80μmの範囲にある粒度分布を有する粒子を含む圧縮錠剤。
【0157】
4.実施形態:
リン酸塩結合剤がオキシ水酸化鉄(III)を含む、前記実施形態のいずれかに記載の圧縮錠剤。
【0158】
5.実施形態:
リン酸塩結合剤がオキシ水酸化鉄(III)および少なくとも1種の炭水化物を含む、前記実施形態のいずれかに記載の圧縮錠剤。
【0159】
6.実施形態:
リン酸塩結合剤がオキシ水酸化鉄(III)およびスクロースを含む、前記実施形態のいずれかに記載の圧縮錠剤。
【0160】
7.実施形態:
リン酸塩結合剤がオキシ水酸化鉄(III)、スクロースおよび少なくとも1種のデンプンを含む、前記実施形態のいずれかに記載の圧縮錠剤。
【0161】
8.実施形態:
特にスクロオキシ水酸化鉄のリン酸塩結合剤粒子と、少なくとも1種のさらなる薬学的に許容される賦形剤とを含み、錠剤のリン酸塩結合剤粒度分布中の粒子の少なくとも40%、または少なくとも60%、または少なくとも80%、または少なくとも90%が4~200μmの間、または5~160μmの間、または21~160μmの間である、前記実施形態のいずれかに記載の圧縮錠剤。
【0162】
9.実施形態:
特にスクロオキシ水酸化鉄のリン酸塩結合剤粒子と、少なくとも1種のさらなる薬学的に許容される賦形剤とを含み、リン酸塩結合剤粒子が30μm~120μm、または35μm~110μm、または40μm~100μmの間、または好ましくは40μm~80μmの間、または42μm~75μmの間のd50を有する粒度分布を有する、圧縮錠剤。
【0163】
10.実施形態:
リン酸塩結合剤粒子が30μm~120μm、または35μm~110μm、または40μm~100μmの間、または好ましくは40μm~80μmの間、または42μm~75μmの間のd50を有する粒度分布を有する、前記実施形態のいずれかに記載の圧縮錠剤。
【0164】
11.実施形態:
リン酸塩結合剤粒子が40μm~80μmの間のd50を有する粒度分布を有する粒度分布を有し、錠剤のリン酸塩結合剤粒度分布の粒子の少なくとも60%、または少なくとも80%が4~200μmの間、または5~160μmの間、または21~160μmの中間である、前記実施形態のいずれかに記載の圧縮錠剤。
【0165】
12.実施形態:
i)リン酸塩結合剤粒子が30μm~120μm、または35μm~110μm、または40μm~100μmの間、または好ましくは40μm~80μmの間、または42μm~75μmの間のd50を有する粒度分布を有する、および/または
ii)錠剤の硬度が70~250Nの間である、および/または
iii)錠剤摩損度が0%~7%の間、または0.05%~7%の間である、および/または
iv)錠剤が30分未満、または5~20分の間の崩壊時間を有する、および/または
v)錠剤直径が16mm~30mmの間であり、錠剤重量が1500mg~3000mg(好ましくは2000~3000mg)の間であり、錠剤厚さが4.5mm~7.5mmの間である、
前記実施形態のいずれかに記載の圧縮錠剤。
【0166】
13.実施形態:
i)錠剤のリン酸塩結合剤粒度分布中の粒子の少なくとも40%、または少なくとも60%、または少なくとも80%、または少なくとも90%が4~200μmの間、または5~160μmの間、または21~160μmの間である、および
ii)リン酸塩結合剤粒子が30μm~120μm、または35μm~110μm、または40μm~100μmの間、または好ましくは40μm~80μmの間、または42μm~75μmの間の粒度分布中のd50を有する、および
iii)錠剤の硬度が70~250Nの間である、および
iv)錠剤摩損度が0%~7%の間、または0.05%~7%の間である、および
v)錠剤が30分未満、または5~20分の間の崩壊時間を有する、および
vi)錠剤直径が16mm~30mmの間であり、錠剤重量が1500mg~3000mgの間であり、錠剤厚さが4.5mm~7.5mmの間である、
前記実施形態のいずれかに記載の圧縮錠剤。
【0167】
14.実施形態:
i)錠剤のリン酸塩結合剤粒度分布中の粒子の少なくとも60%、または少なくとも80%、または少なくとも90%が5~160μmの間である、および
ii)リン酸塩結合剤粒子が30μm~120μm、または35μm~110μm、または40μm~100μmの間、または好ましくは40μm~80μmの間の粒度分布中のd50を有する、および/または
iii)錠剤の硬度が70~250Nの間である、および/または
iv)錠剤摩損度が0%~7%の間、または0.05%~7%の間である、および/または
v)錠剤が30分未満、または5~20分の間の崩壊時間を有する、および/または
vi)錠剤直径が16mm~30mmの間であり、錠剤重量が1500mg~3000mg(好ましくは2000~3000mg)の間であり、錠剤厚さが4.5mm~7.5mmの間である、および/または
vii)錠剤が800mg~3000mgの間のスクロオキシ水酸化鉄を含む、
前記実施形態のいずれかに記載の圧縮錠剤。
【0168】
15.実施形態:
i)スクロオキシ水酸化鉄粒度分布中の粒子の少なくとも80%、または少なくとも90%が4~200μmの間、または5~160μmの中間である、および
ii)スクロオキシ水酸化鉄粒子が30μm~120μm、または35μm~110μm、または40μm~100μmの間、または好ましくは40μm~80μmの間の粒度分布中のd50を有する、および
iii)錠剤の硬度が70~250Nの間である、および
iv)錠剤摩損度が0%~7%の間、または0.05%~7%の間である、および
v)錠剤が30分未満、または5~20分の間の崩壊時間を有する、および
vi)錠剤直径が16mm~30mmの間であり、錠剤重量が1500mg~3000mgの間または2000~3000mgの中間であり、錠剤厚さが4.5mm~7.5mmの間である、および
vii)錠剤が1500mg~3000mgの間のスクロオキシ水酸化鉄を含む、
前記実施形態のいずれかに記載の圧縮錠剤。
【0169】
16.実施形態:
直接圧縮医薬錠剤である、前記実施形態のいずれかのいずれかに記載の圧縮錠剤。
【0170】
17.実施形態:
特にスクロオキシ水酸化鉄を含むリン酸塩結合剤粒子と、少なくとも1種のさらなる薬学的に許容される賦形剤とを含み、リン酸塩結合剤粒子が40μm~105μm、40~100μm、40μm~80μmの間、または42μm~75μmの中間のリン酸塩結合剤粒子の粒度分布中のd50を有する、医薬製剤または医薬組成物。
【0171】
18.実施形態:
特にスクロオキシ水酸化鉄を含むリン酸塩結合剤粒子と、少なくとも1種のさらなる薬学的に許容される賦形剤とを含み、粒度分布中のリン酸塩結合剤粒子の少なくとも40%、または少なくとも60%、または少なくとも80%、または少なくとも90%が4~200μmの間、または5~160μmの間、または21~160μmの間である、医薬製剤または医薬組成物。
【0172】
19.実施形態:
粒度分布中のリン酸塩結合剤粒子の少なくとも40%、または少なくとも60%、または少なくとも80%、または少なくとも90%が4~200μmの間、または5~160μmの間、または21~160μmの間である、実施形態17または18に記載の医薬製剤または医薬組成物。
【0173】
20.実施形態:
リン酸塩結合剤粒子、特にスクロオキシ水酸化鉄リン酸塩結合剤粒子が、錠剤または医薬組成物の総重量(乾燥重量基準)の65重量%超、または80重量%超、または90重量%超、または95重量%超となる、前記実施形態のいずれかに記載の錠剤または医薬組成物。
【0174】
21.実施形態:
乾燥重量基準で、65重量%超、または80重量%超、または90重量%超、または95重量%超、または98重量%超のスクロオキシ水酸化鉄粒子を含む、前記実施形態のいずれかに記載の錠剤、医薬製剤または医薬組成物。
【0175】
22.実施形態:
i)リン酸塩結合剤がスクロオキシ水酸化鉄であり、
ii)スクロオキシ水酸化鉄粒度分布中のスクロオキシ水酸化鉄粒子の少なくとも80%、または少なくとも90%が4~200μmの間、または5~160μmの間であり、
iii)スクロオキシ水酸化鉄粒子が30μm~120μm、または35μm~110μm、または40μm~100μmの間、または好ましくは40μm~80μmの間のスクロオキシ水酸化鉄粒度分布中のd50を有し、
iv)錠剤が800mg~3500mgの間、または1500~3500mgの間のスクロオキシ水酸化鉄を含み、
v)スクロオキシ水酸化鉄リン酸塩結合剤粒子が錠剤の総重量(乾燥重量基準)の80重量%超、または90重量%超となる、
前記実施形態のいずれかに記載の圧縮錠剤。
【0176】
23.実施形態:
咀嚼錠である、前記実施形態のいずれかのいずれかに記載の圧縮錠剤。
【0177】
24.実施形態:
錠剤の硬度が70~250の間、または85~250Nの間、または70~200Nの間、または85~200Nの間である、前記実施形態のいずれかのいずれかに記載の圧縮錠剤。
【0178】
25.実施形態:
単一経口剤形が800mg~3500mgの間のスクロオキシ水酸化鉄、または1500mg~3500mgの間のスクロオキシ水酸化鉄、または1500mg~3000mgの間のスクロオキシ水酸化鉄を含む、前記実施形態のいずれかに記載の錠剤または医薬組成物。
【0179】
26.実施形態:
単一経口剤形が800mg~3500mgの間のスクロオキシ水酸化鉄、または1500mg~3500mgの間のスクロオキシ水酸化鉄、または1500mg~3000mgの間のスクロオキシ水酸化鉄を含み、錠剤のリン酸塩結合剤粒度分布の粒子の少なくとも60%、または少なくとも80%、または少なくとも90%が5~160μmの間であり、リン酸塩結合剤粒度分布のd50が40μm~80μmの間である、前記実施形態のいずれかに記載の錠剤または医薬組成物。
【0180】
27.実施形態:
圧縮または直接圧縮錠剤を調製するためのスクロオキシ水酸化鉄を含む粒子の使用であって、
i)粒度分布中のスクロオキシ水酸化鉄粒子の少なくとも40%、または少なくとも60%、または少なくとも80%、または少なくとも90%が4~200μmの間、好ましくは5~160μmの間、または21~160μmの間である、および/または
ii)スクロオキシ水酸化鉄粒子が30μm~120μm、または35μm~110μm、または40μm~100μmの間、または好ましくは40μm~80μmの間、または42μm~75μmの中間の粒度分布中のd50を有する、
使用。
【0181】
28.実施形態:
医薬組成物または圧縮もしくは直接圧縮錠剤を調製するためのスクロオキシ水酸化鉄粒子の使用であって、
i)スクロオキシ水酸化鉄粒子が30μm~120μm、または35μm~110μm、または40μm~100μmの間、または好ましくは40μm~80μmの間、または42μm~75μmの中間の粒度分布中のd50を有する、および/または
ii)粒度分布のスクロオキシ水酸化鉄粒子の少なくとも40%、または少なくとも60%、または少なくとも80%、または少なくとも90%が4~200μmの間、または好ましくは5~160μmの間、または21~160μmの間である、
使用。
【0182】
29.実施形態:
スクロオキシ水酸化鉄が、医薬組成物または圧縮錠剤の乾燥重量基準で、スクロオキシ水酸化鉄粒子の80重量%超、または90重量%超、または95重量%超となる、実施形態27または28に記載のスクロオキシ水酸化鉄粒子の使用。
【0183】
30.実施形態:
少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤とさらに混合することができる散剤または顆粒剤の形態である、前記実施形態のいずれかのいずれかに記載の医薬製剤。
【0184】
31.実施形態:
錠剤に直接圧縮するまたは顆粒剤に使用するための散剤の形態である、実施形態30に記載の医薬製剤。
【0185】
32.実施形態:
潤滑剤、好ましくはステアリン酸マグネシウムから選択される少なくとも1種のさらなる薬学的に許容される賦形剤を含む、前記実施形態のいずれかに記載の医薬製剤、医薬組成物または圧縮錠剤。
【0186】
33.実施形態:
i)粒度分布中のスクロオキシ水酸化鉄粒子の少なくとも40%、または少なくとも60%、または少なくとも80%、または少なくとも90%が4~200μmの間、5~160μmの間、または21~160μmの間であり、
ii)スクロオキシ水酸化鉄粒子が30μm~120μm、または35μm~110μm、または40μm~100μmの間、または好ましくは40μm~80μmの間の粒度分布中のd50を有する、
スクロオキシ水酸化鉄と、場合により少なくとも1種のさらなる薬学的に許容される賦形剤とを含むスクロオキシ水酸化鉄粒子。
【0187】
34.実施形態:
スクロオキシ水酸化鉄が、粒子の乾燥重量基準で、スクロオキシ水酸化鉄粒子の80重量%超、または90重量%超、または95重量%超となる、前記実施形態のいずれかに記載の錠剤、医薬製剤、医薬組成物または使用。
【0188】
35.実施形態:
圧縮錠剤の製造のための、依然として散剤の形態である、前記実施形態のいずれかに記載の医薬組成物の使用。
【0189】
36.実施形態:
粒度分布中のスクロオキシ水酸化鉄粒子の少なくとも50%、または少なくとも60%が30~200μmの範囲、または好ましくは40~200μmの間の粒度を有する、前記実施形態のいずれかに記載の錠剤、医薬組成物または使用。
【0190】
37.実施形態:
実施形態が錠剤または医薬組成物の乾燥形態を指す、前記実施形態のいずれかに記載の錠剤、医薬組成物または使用。
【0191】
38.実施形態:
スクロオキシ水酸化鉄粒子が
図2に示される粒度分布曲線を有する、前記実施形態のいずれかに記載の錠剤または医薬組成物。
【0192】
39.実施形態
スクロオキシ水酸化鉄粒子が、曲線のピークが50μm~90μmの間である粒度分布曲線を有する、前記実施形態のいずれかに記載の錠剤または医薬組成物。