IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーションの特許一覧

特許7335325アンテナ・チップを使用して量子ビットをアニールするための方法
<>
  • 特許-アンテナ・チップを使用して量子ビットをアニールするための方法 図1A
  • 特許-アンテナ・チップを使用して量子ビットをアニールするための方法 図1B
  • 特許-アンテナ・チップを使用して量子ビットをアニールするための方法 図2
  • 特許-アンテナ・チップを使用して量子ビットをアニールするための方法 図3
  • 特許-アンテナ・チップを使用して量子ビットをアニールするための方法 図4
  • 特許-アンテナ・チップを使用して量子ビットをアニールするための方法 図5
  • 特許-アンテナ・チップを使用して量子ビットをアニールするための方法 図6A
  • 特許-アンテナ・チップを使用して量子ビットをアニールするための方法 図6B
  • 特許-アンテナ・チップを使用して量子ビットをアニールするための方法 図6C
  • 特許-アンテナ・チップを使用して量子ビットをアニールするための方法 図7
  • 特許-アンテナ・チップを使用して量子ビットをアニールするための方法 図8
  • 特許-アンテナ・チップを使用して量子ビットをアニールするための方法 図9
  • 特許-アンテナ・チップを使用して量子ビットをアニールするための方法 図10
  • 特許-アンテナ・チップを使用して量子ビットをアニールするための方法 図11
  • 特許-アンテナ・チップを使用して量子ビットをアニールするための方法 図12
  • 特許-アンテナ・チップを使用して量子ビットをアニールするための方法 図13
  • 特許-アンテナ・チップを使用して量子ビットをアニールするための方法 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-21
(45)【発行日】2023-08-29
(54)【発明の名称】アンテナ・チップを使用して量子ビットをアニールするための方法
(51)【国際特許分類】
   H10N 60/00 20230101AFI20230822BHJP
   H01Q 13/08 20060101ALI20230822BHJP
【FI】
H10N60/00 Z
H01Q13/08 ZAA
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021507763
(86)(22)【出願日】2019-08-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-16
(86)【国際出願番号】 EP2019072500
(87)【国際公開番号】W WO2020043596
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-01-25
(31)【優先権主張番号】16/115,001
(32)【優先日】2018-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(72)【発明者】
【氏名】トパログ、ラジット、オヌール
(72)【発明者】
【氏名】ローゼンブラット、サミー
【審査官】上田 智志
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-109717(JP,A)
【文献】特開平05-211355(JP,A)
【文献】国際公開第2016/168642(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/126979(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0241481(US,A1)
【文献】MIGACZ, Justin V. et al.,Thermal Annealing of Nb/Al-AlOx/Nb Josephson Junctions,IEEE TRANSACTIONS ON APPLIED SUPERCONDUCTIVITY,2003年06月,VOL. 13, NO. 2,pp. 123-126,DOI:10.1109/TASC.2003.813661
【文献】GRANATA, C. et al.,Localized laser trimming of critical current in niobium based Josephson devices,APPLIED PHYSICS LETTERS,Vol. 90,2007年06月06日,pp.232503-1-232503-3,DOI: 10.1063/1.2746060
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10N 60/00
H01Q 13/08
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のジョセフソン接合を有する第1の量子ビット、および第2のジョセフソン接合を有する第2の量子ビットを含んでいる超伝導量子ビット・チップと、
前記超伝導量子ビット・チップの上に配置されたアンテナ・チップと、
第1の電磁波を前記第1の量子ビットに向かって方向付ける、前記アンテナ・チップ上の第1のアンテナと、
前記第1のアンテナと前記超伝導量子ビット・チップの間の第1の定義された垂直方向のギャップであって、前記第1の定義された垂直方向のギャップの第1の長さが、前記第1の電磁波が前記第1の量子ビットの1つまたは複数のコンデンサ・パッドの第1のセットの周囲を囲み、それによって、前記第1の量子ビットの前記第1のジョセフソン接合をアニールすることを引き起こすように決定される、前記第1の定義された垂直方向のギャップとを備える、システム。
【請求項2】
前記第1の定義された垂直方向のギャップの前記第1の長さが、円錐としての前記第1の電磁波の放射パターンのモデルに応じて変化し、前記円錐が前記アンテナ・チップ上の前記第1のアンテナから生じ、前記超伝導量子ビット・チップに向かって広がる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の定義された垂直方向のギャップの前記第1の長さが、前記円錐の高さに等しい、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記円錐の基部が、前記1つまたは複数のコンデンサ・パッドの第1のセットの周囲を囲む、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記円錐の頂角が、前記第1の電磁波の前記放射パターンのメイン・ローブの3デシベルの角度のビーム幅に等しい、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1の定義された垂直方向のギャップ内に位置する、前記アンテナ・チップと前記超伝導量子ビット・チップの間の1つまたは複数のスペーサをさらに備え、前記1つまたは複数のスペーサの高さが、前記第1の定義された垂直方向のギャップの前記第1の長さに等しい、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
第2の電磁波を前記第2の量子ビットに向かって方向付ける、前記アンテナ・チップ上の第2のアンテナと、
前記第2のアンテナと前記超伝導量子ビット・チップの間の第2の定義された垂直方向のギャップであって、前記第2の定義された垂直方向のギャップの第2の長さが、前記第2の電磁波が前記第2の量子ビットの1つまたは複数のコンデンサ・パッドの第2のセットの周囲を囲み、それによって、前記第2の量子ビットの前記第2のジョセフソン接合をアニールすることを引き起こすように決定される、前記第2の定義された垂直方向のギャップとをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1のアンテナが、第1の期間の間、前記第1の電磁波を方向付け、前記第2のアンテナが、第2の期間の間、前記第2の電磁波を方向付け、前記第1の期間および前記第2の期間が重複する、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1の電磁波の第1の波長が、前記1つまたは複数のコンデンサ・パッドの第1のセットの第1の物理的寸法に基づいて調整される、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1の波長が、前記1つまたは複数のコンデンサ・パッドの第1のセットの前記第1の物理的寸法の4倍以上である、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
第1の量子ビットおよび第2の量子ビットを含んでいる超伝導量子ビット・チップの上に位置するアンテナ・チップ上の第1のアンテナによって、第1の電磁波を前記第1の量子ビットに向かって方向付けることと、
前記第1のアンテナによって、前記方向付けることに基づいて前記第1の量子ビットの第1のジョセフソン接合をアニールすることであって、前記第1のアンテナと前記超伝導量子ビット・チップの間の第1の定義された垂直方向のギャップの第1の長さが、前記第1の電磁波が前記第1の量子ビットの1つまたは複数のコンデンサ・パッドの第1のセットの周囲を囲むことを引き起こし、それによって、前記第1の量子ビットの前記第1のジョセフソン接合を加熱する、前記アニールすることと、
製造ラインにおいて、マイクロマニピュレータ、ピエゾコントローラ、または一時的取り付け具によって、前記アンテナ・チップを第2の超伝導量子ビット・チップに移動し、前記第2の超伝導量子ビット・チップ上の量子ビットのアニーリングを容易にすることとを含む、コンピュータ実装方法。
【請求項12】
前記第1の定義された垂直方向のギャップの前記第1の長さが、円錐としての前記第1の電磁波の放射パターンのモデルに応じて変化し、前記円錐が前記第1のアンテナから生じ、前記超伝導量子ビット・チップに向かって広がる、請求項11に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項13】
前記第1の定義された垂直方向のギャップの前記第1の長さが、前記円錐の高さに等しい、請求項12に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項14】
前記円錐の基部が、前記1つまたは複数のコンデンサ・パッドの第1のセットの周囲を囲む、請求項13に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項15】
前記円錐の頂角が、前記第1の電磁波の前記放射パターンのメイン・ローブの3デシベルの角度のビーム幅に等しい、請求項13に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項16】
第1の量子ビットおよび第2の量子ビットを含んでいる超伝導量子ビット・チップの上に位置するアンテナ・チップ上の第1のアンテナによって、第1の電磁波を前記第1の量子ビットに向かって方向付けることと、
前記第1のアンテナによって、前記第1の電磁波を方向付けることに基づいて前記第1の量子ビットの第1のジョセフソン接合をアニールすることであって、前記第1のアンテナと前記超伝導量子ビット・チップの間の第1の定義された垂直方向のギャップの第1の長さが、前記第1の電磁波が前記第1の量子ビットの1つまたは複数のコンデンサ・パッドの第1のセットの周囲を囲むことを引き起こし、それによって、前記第1の量子ビットの前記第1のジョセフソン接合を加熱する、前記第1のジョセフソン接合をアニールすることと、
前記アンテナ・チップ上の第2のアンテナによって、第2の電磁波を前記第2の量子ビットに向かって方向付けることと、
前記第2のアンテナによって、前記第2の電磁波を方向付けることに基づいて前記第2の量子ビットの第2のジョセフソン接合をアニールすることであって、前記第2のアンテナと前記超伝導量子ビット・チップの間の第2の定義された垂直方向のギャップの第2の長さが、前記第2の電磁波が前記第2の量子ビットの1つまたは複数のコンデンサ・パッドの第2のセットの周囲を囲むことを引き起こし、それによって、前記第2の量子ビットの前記第2のジョセフソン接合を加熱する、前記第2のジョセフソン接合をアニールすることとを含、コンピュータ実装方法。
【請求項17】
前記第1のアンテナが、第1の期間の間、前記第1の電磁波を方向付け、前記第2のアンテナが、第2の期間の間、前記第2の電磁波を方向付け、前記第1の期間および前記第2の期間が重複する、請求項16に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項18】
前記第1の電磁波の第1の波長が前記1つまたは複数のコンデンサ・パッドの第1のセットの第1の物理的寸法の4倍以上になるように、前記1つまたは複数のコンデンサ・パッドの第1のセットの前記第1の物理的寸法に基づいて前記第1の電磁波の第1の波長を調整することをさらに含んでいる、請求項11に記載のコンピュータ実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は量子ビット・アニーリングに関連しており、より詳細には、アンテナ・チップを使用して量子ビット・アニーリングを容易にするための方法に関連している。
【背景技術】
【0002】
量子ビット(例えば、量子2進数)は、古典的ビットの量子力学的類似物である。古典的ビットは、2つの基礎状態(例えば、0または1)のうちの1つのみを持つことができるが、量子ビットは、これらの基礎状態の重ね合わせ(例えば、α|0>+β|1>、αおよびβは、|α|+|β|=1となるような複素スカラーである)を持つことができ、理論的には、複数の量子ビットが、同じ数の古典的ビットよりも指数関数的に多い情報を保持することができる。したがって、量子コンピュータ(例えば、古典的ビットのみではなく量子ビットを採用するコンピュータ)は、理論的には、古典的コンピュータにとって極めて難しい問題を素早く解くことができる。量子コンピュータの有効性は、多量子ビット・チップの製造および処理を改良することによって、改善することができる。周波数衝突または量子クロストーク(quantum cross-talk)(例えば、複数の隣接する量子ビットが、過度に類似する共振周波数を有しているため、互いに望ましくない相互作用がある)あるいはその両方の現象に起因して、量子ビットの周波数を正確に調整する能力または正確に変更する能力あるいはその両方が、多量子ビット・チップの構築において最も重要になる。そのような周波数制御の従来の解決策は、可変周波数量子ビットの調整および固定周波数量子ビットの熱アニーリングを含む。可変周波数量子ビットは、外部磁場への暴露によって調整することができる共振周波数を有するが、量子ビット・チップ上で必要になる追加の同調回路が、複雑さおよびノイズを不必要に増やす。量子ビットの物理的特性(例えば、共振周波数)を変更するための量子ビットの加熱を伴う固定周波数量子ビットの熱アニーリングは、(超伝導状態に適合する極低温度で実現される)量子ビットの動作中に、そのようなノイズを導入しない。従来、量子ビットの熱アニーリングは、フォトニック・チップを使用することによって実行されており、レーザー光源がマッハツェンダー・スイッチ(室温または超伝導状態以外の温度で実現される)を介してフォトニック・チップ上の様々な位置に物理的に送られる。そのようなシステムでは、多量子ビット・チップ上の複数の量子ビットの並列なアニーリングが可能であるが、フォトニック・チップ上の各位置での最大レーザー出力(したがって、例えば最大アニーリング能力)は、チップ上の他の位置に送られる出力の量によって決まる(例えば、レーザー光源からより多くの出力が位置1に送られる場合、位置2に同時に送るために使用可能なレーザー光源からの出力は少なくなる)。したがって、従来の量子ビットのレーザー・アニーリングは、量子ビットの同時の/並列なアニーリングではなく、連続的アニーリングに最も適している。したがって、従来の量子ビット・アニーリングは、多量子ビット・チップ上の1つまたは複数の量子ビットの独立した、または同時の、あるいはその両方の局所化されたアニーリングを容易にすることができない。
【発明の概要】
【0003】
以下に、本発明の実施形態の基本的理解を可能にするための概要を示す。この概要は、主要な要素または重要な要素を特定するよう意図されておらず、本発明のいずれの範囲も正確に説明するよう意図されていない。この概要の唯一の目的は、後で提示されるより詳細な説明のための前置きとして、概念を簡略化された形態で提示することである。本明細書に記載された本発明の実施形態では、アンテナに基づく量子ビット・アニーリングを容易にするシステムおよびコンピュータ実装方法が説明される。
【0004】
本発明の実施形態によれば、システムは、第1のジョセフソン接合を有する第1の量子ビット、および第2のジョセフソン接合を有する第2の量子ビットを含んでいる超伝導量子ビット・チップを備えることができる。このシステムは、量子ビット・チップの上に配置されたアンテナ・チップを含むこともできる。第1のアンテナは、アンテナ・チップ上に存在することができる。第1のアンテナは、第1の電磁波を第1の量子ビットに向かって方向付けることができる。さらに、このシステムは、第1のアンテナと超伝導量子ビット・チップの間の第1の定義された垂直方向のギャップを含むことができる。第1の定義された垂直方向のギャップの第1の長さは、第1の電磁波が第1の量子ビットの1つまたは複数のコンデンサ・パッドの第1のセットの周囲を囲み、それによって、第1の量子ビットの第1のジョセフソン接合をアニールすることを引き起こすように、決定され得る。これの利点は、超伝導量子ビット・チップ上の既存の量子回路を活用して(例えば、フォトニック・レーザーの代わりに、アンテナに基づく電磁波を介して)1つまたは複数の量子ビットを熱的にアニールする(例えば、量子ビットまたは量子ビット・チップの既存の構造/回路を変更する必要なく、量子ビットをアニールする)、新しい手法を容易にすることである。これの追加の利点は、量子ビットの局所化されたアニーリング(例えば、隣接する量子ビットの特性に不要な影響を与えずに1つの量子ビットをアニールすること)を容易にすることである。任意選択的に、第1の定義された垂直方向のギャップの第1の長さは、円錐としての第1の電磁波の放射パターンのモデルに応じて変化することができる。この円錐は、アンテナ・チップ上の第1のアンテナから生じることができ、超伝導量子ビット・チップに向かって下方に広がることができる。利点は、局所化されたアニーリングを確実に実行するように(例えば、第1の電磁波がパッドの第1のセットの周囲を囲み/包み、それによって、第1のジョセフソン接合をアニールし、コンデンサ・パッドの第2のセットの周囲を囲まず/包まず、それによって、第2のジョセフソン接合をアニールしないように)第1のアンテナと量子ビット・チップの間に配置され得る、適切な距離の決定を容易にすることである。任意選択的に、システムは、アンテナ・チップ上の第2のアンテナをさらに備えることができる。第2のアンテナは、第2の電磁波を第2の量子ビットに向かって方向付けることができる。さらに、システムは、第2のアンテナと量子ビット・チップの間の第2の定義された垂直方向のギャップを含むことができる。第2の定義された垂直方向のギャップの第2の長さは、第2の電磁波が第2の量子ビットの1つまたは複数のコンデンサ・パッドの第2のセットの周囲を囲み、それによって、第2の量子ビットの第2のジョセフソン接合をアニールすることを引き起こすように、決定され得る。これの利点は、多量子ビット・チップ上の複数の量子ビットの独立した局所化されたアニーリングまたは同時の/並列な局所化されたアニーリングあるいはその両方(例えば、各量子ビットが、隣接する量子ビットのアニーリングのレベルと異なることができるアニーリングの個別のレベルを実現できるように、同じチップ上の2つ以上の量子ビットを同時に独立してアニールすること)を容易にし、それによって、アニーリング・プロセス全体を促進し、連続的アニーリングと比較して時間を節約することに加えて、周波数割り当てを改善し、量子クロストークを低減することである。
【0005】
本発明の実施形態によれば、コンピュータ実装方法は、第1の量子ビットおよび第2の量子ビットを含んでいる超伝導量子ビット・チップの上に位置するアンテナ・チップ上の第1のアンテナによって、第1の電磁波を第1の量子ビットに向かって方向付けることを含むことができる。この方法は、第1のアンテナによって、方向付けに基づいて第1の量子ビットの第1のジョセフソン接合をアニールすることを含むこともできる。さらに、第1のアンテナと量子ビット・チップの間の第1の定義された垂直方向のギャップの第1の長さは、第1の電磁波が第1の量子ビットの1つまたは複数のコンデンサ・パッドの第1のセットの周囲を囲むことを引き起こすことができる。それによって、第1の量子ビットの第1のジョセフソン接合を加熱することができる。さらに、この方法は、第2の量子ビット・チップ上の量子ビットのアニーリングを容易にするために、製造ラインにおいてアンテナ・チップを第2の超伝導量子ビット・チップに移動することを含むことができる。そのような移動は、アンテナ・チップと量子ビット・チップの間のマイクロマニピュレータ、ピエゾコントローラ、または一時的取り付け具によって容易にされ得る。これの利点は、量子ビット・チップ上の既存の量子回路を活用して量子ビットを熱的にアニールする新しい手法を容易にする(例えば、量子ビット・チップ上の既存の量子回路を変更する必要をなくす)ことである。これの追加の利点は、量子ビットの局所化されたアニーリング(例えば、量子ビット・チップ上の隣接する量子ビットを不必要にアニーリングせず、または量子ビット・チップ上の隣接する量子ビットに不要な影響を与えず、あるいはその両方を行わずに、1つの量子ビットをアニールすること)を容易にすることである。任意選択的に、第1の定義された垂直方向のギャップの第1の長さは、円錐としての第1の電磁波の放射パターンのモデルに応じて変化することができる。この円錐は、第1のアンテナから生じることができ、量子ビット・チップに向かって下方に広がることができる。これの利点は、局所化された量子ビット・アニーリング(例えば、隣接する量子ビット/ジョセフソン接合に誤って影響を与えずに対象の量子ビット/ジョセフソン接合をアニールすること)を確実に実行するように第1のアンテナと量子ビット・チップの間に配置するための適切な距離を決定することを、容易にすることである。任意選択的に、この方法は、アンテナ・チップ上の第2のアンテナによって、第2の電磁波を第2の量子ビットに向かって方向付けることをさらに含むことができる。さらに、この方法は、第2のアンテナによって、第2の電磁波の方向付けに基づいて第2の量子ビットの第2のジョセフソン接合をアニールすることを含むことができる。第2のアンテナと量子ビット・チップの間の第2の定義された垂直方向のギャップの第2の長さは、第2の電磁波が第2の量子ビットのコンデンサ・パッドの第2のセットの周囲を囲むことを引き起こすことができる。それによって、第2の量子ビットの第2のジョセフソン接合を加熱することができる。これの利点は、多量子ビット・チップ上の複数の量子ビットの独立した同時の(または連続的な)局所化されたアニーリング(例えば、チップ上の各量子ビットがアニーリングの個別のレベルを実現できるように、かつチップ上の個々の量子ビットのアニーリングの個別のレベルが異なることができるように、多量子ビット・チップ上の2つ以上の量子ビットを同時にアニールすること)を容易にすることである。
【0006】
本発明の実施形態によれば、デバイスは、第1のジョセフソン接合および第2のジョセフソン接合を含んでいる超伝導量子ビット・チップを備えることができる。このデバイスは、量子ビット・チップの上にアンテナ・チップを備えることもできる。第1のアンテナは、アンテナ・チップ上に存在することができ、第1の電磁波を第1のジョセフソン接合に向かって放射することができる。第2のアンテナは、アンテナ・チップ上に存在することができ、第2の電磁波を第2のジョセフソン接合に向かって放射することができる。さらに、このデバイスは、アンテナ・チップと量子ビット・チップの間に定義された垂直方向のギャップを含めて、アンテナ・チップを量子ビット・チップの上に配置することができる、マイクロマニピュレータ、ピエゾコントローラ、または一時的取り付け具を含むことができる。定義された垂直方向のギャップの長さは、第1の電磁波が第1のジョセフソン接合の周囲を囲み、それによって第1のジョセフソン接合をアニールすることを引き起こすように、かつ第2の電磁波が第2のジョセフソン接合の周囲を囲み、それによって第2のジョセフソン接合をアニールすることを引き起こすように、マイクロマニピュレータ、ピエゾコントローラ、または一時的取り付け具によって決定され得る。これの利点は、超伝導量子ビット・チップ上の既存の量子回路を利用して量子ビット・アニーリングの新しい手法を容易にし、それによって、特殊なアニーリング/同調回路を使用してチップを改良する必要性をなくすことである。これの別の利点は、マイクロマニピュレータ、ピエゾコントローラ、または一時的取り付け具によって量子ビット・チップの上のアンテナの正確な信頼できる配置を容易にし、それによって、アンテナ・チップによる量子ビットの信頼できる反復可能なアニーリングを可能にすることである。任意選択的に、定義された垂直方向のギャップの長さは、円錐の高さにほぼ等しくなることができる。円錐の基部は、第1のジョセフソン接合の周囲を囲むことができる。さらに、円錐の頂角は、第1の電磁波の放射パターンのメイン・ローブの3デシベルの角度のビーム幅にほぼ等しくなることができる。これの利点は、局所化されたアニーリング(例えば、隣接する量子ビットに不要な影響を与えずに少なくとも1つの量子ビットを意図的にアニールすること)を効果的かつ確実に実行するようにアンテナ・チップと量子ビット・チップの間に配置するための適切な距離を決定することを、容易にすることである。
【0007】
本発明の実施形態によれば、コンピュータ実装方法は、マイクロマニピュレータ、ピエゾコントローラ、または一時的取り付け具によって、第1のジョセフソン接合および第2のジョセフソン接合を含んでいる超伝導量子ビット・チップの上にアンテナ・チップを配置することを含むことができる。アンテナ・チップと量子ビット・チップの間に、定義された垂直方向のギャップが存在することができる。さらに、この方法は、アンテナ・チップによって、電磁波を第1のジョセフソン接合に向かって放射することを含むことができる。この方法は、アンテナ・チップによって、放射に基づいて第1のジョセフソン接合をアニールすることをさらに含むことができる。定義された垂直方向のギャップの長さは、電磁波が第1のジョセフソン接合の周囲を囲むことを引き起こすように、マイクロマニピュレータ、ピエゾコントローラ、または一時的取り付け具によって決定され得る。これの利点は、超伝導量子ビット・チップ上の既存の量子回路を利用して量子ビット・アニーリングの新しい手法を容易にし、それによって、特殊なアニーリング/同調回路を使用してチップを改良する必要性をなくすことである。これの別の利点は、量子ビットの局所化されたアニーリング(例えば、多量子ビット・チップ上の隣接する量子ビットを誤ってアニールせずに、多量子ビット・チップ上の少なくとも1つの量子ビットをアニールすること)を容易にすることである。任意選択的に、定義された垂直方向のギャップの長さは、円錐としての電磁波の放射パターンのモデルに応じて変化することができる。この円錐は、アンテナ・チップから生じることができ、量子ビット・チップに向かって広がることができる。これの利点は、局所化されたアニーリングを確実に実行するように量子ビット・チップからのアンテナ・チップの可能な距離を決定することを容易にすることである。
【0008】
本発明の実施形態によれば、コンピュータ実装方法は、システムによって、アンテナを含んでいるアンテナ・チップを、第1のジョセフソン接合を含んでいる第1の超伝導量子ビット・チップの上に配置することを含むことができる。この方法は、アンテナを介して第1の電磁波を第1のジョセフソン接合に向かって放射することによって、アンテナによって第1のジョセフソン接合をアニールすることを含むこともできる。この方法は、このシステムによって、第2のジョセフソン接合を含んでいる第2の超伝導量子ビット・チップの上にアンテナ・チップを配置することをさらに含むことができる。この方法は、アンテナを介して第2の電磁波を第2のジョセフソン接合に向かって放射することによって、アンテナによって第2のジョセフソン接合をアニールすることを含むこともできる。これの利点は、(例えば、量子ビット製造ラインにおいて使用するために)アニーリングのための行列に並べられた複数の超伝導量子ビット・チップにわたって、信頼できる反復可能なアニーリング・プロセスを容易にすることである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】本発明の実施形態に従って、アンテナに基づく量子ビット・アニーリングを容易にするシステムの上面概略図である。
図1B】本発明の実施形態に従って、アンテナに基づく量子ビット・アニーリングを容易にするシステムの側面概略図である。
図2】本発明の実施形態に従って、アンテナに基づく量子ビット・アニーリングを容易にするシステムの等価回路図である。
図3】本発明の実施形態に従って、定義された垂直方向のギャップを含む、アンテナに基づく量子ビット・アニーリングを容易にするシステムの側面概略図である。
図4】本発明の実施形態に従って、定義された垂直方向のギャップを含む、アンテナに基づく量子ビット・アニーリングを容易にするコンピュータ実装方法のフロー図である。
図5】本発明の実施形態に従って、アンテナに基づく量子ビット・アニーリングを容易にするシステムの放射パターン・グラフである。
図6A】本発明の実施形態に従って、定義された垂直方向のギャップを含む、局所化されたアンテナに基づく量子ビット・アニーリングを容易にするシステムの斜視概略図である。
図6B】本発明の実施形態に従って、定義された垂直方向のギャップを含む、局所化されたアンテナに基づく量子ビット・アニーリングを容易にするシステムの斜視概略図である。
図6C】本発明の実施形態に従って、定義された垂直方向のギャップを含む、局所化されたアンテナに基づく量子ビット・アニーリングを容易にするシステムの斜視概略図である。
図7】本発明の実施形態に従って、スペーサを使用してアンテナに基づく量子ビット・アニーリングを局所化することを容易にするシステムの側面概略図である。
図8】本発明の実施形態に従って、複数の量子ビットのアンテナに基づく量子ビット・アニーリングを容易にするシステムの側面概略図である。
図9】本発明の実施形態に従って、アンテナに基づく量子ビット・アニーリングによって複数の量子ビットをアニールすることを容易にするコンピュータ実装方法のフロー図である。
図10】本発明の実施形態に従って、放射される電磁波の波長を調整することを容易にするコンピュータ実装方法のフロー図である。
図11】本発明の実施形態に従って、マイクロマニピュレータまたはピエゾコントローラを使用してアンテナに基づく量子ビット・アニーリングを容易にするシステムの側面概略図である。
図12】本発明の実施形態に従って、マイクロマニピュレータまたはピエゾコントローラを使用してアンテナに基づく量子ビット・アニーリングを容易にするコンピュータ実装方法のフロー図である。
図13】本発明の実施形態に従って、アニーリングのための行列に並べられた複数の超伝導量子ビット・チップにわたってアンテナ・チップを移動することによって、アンテナに基づく量子ビット・アニーリングを容易にするコンピュータ実装方法のフロー図である。
図14】本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態を容易にすることができる動作環境のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の詳細な説明は、例にすぎず、本発明または本出願あるいはその両方の実施形態またはそのユーザを制限するよう意図されていない。さらに、先行する「背景技術」または「発明の概要」のセクション、あるいは「発明を実施するための形態」のセクションで提示された、いずれかの明示された情報、または暗示された情報によって制約されるという意図はない。
【0011】
ここで、図面を参照して本発明の実施形態が説明され、全体を通して、類似する参照番号が、類似する要素を参照するために使用されている。以下の説明では、説明の目的で、本発明を十分に理解できるように、多数の特定の詳細が示されている。しかし、これらの特定の詳細がなくても、さまざまな事例において、本発明が実践され得るということは明らかである。
【0012】
超伝導量子ビットは、完全に操作可能な量子コンピュータを構築することに向かう有望な道筋を示す。これは、超伝導量子ビットが、(超伝導量子ビットを既存の集積回路技術によって設計および製造することを可能にする)巨視的レベルで(超伝導量子ビットを量子情報処理に使用することができる)量子力学的挙動を示すことができるためである。超伝導量子ビットの基礎的構成要素は、ジョセフソン接合である。ジョセフソン接合は、2つの超伝導材料の間に非超伝導材料を挟み込むことによって形成することができ、熱アニーリング(例えば、熱処理)によって変更することができる。量子ビットのアニーリング(例えば、量子ビットのジョセフソン接合のアニーリング)は、量子ビットの遷移周波数(例えば、量子ビットの基底状態と励起状態の間の遷移を示す共振周波数)を変更することができる。量子ビットの遷移周波数のそのような操作は、最適化された周波数割り当てを可能にし、それによって、周波数衝突または量子クロストークあるいはその両方を最小限に抑えることができる。例えば、各量子ビットが隣接する量子ビットの遷移周波数とは異なる遷移周波数を有するように、多量子ビット・チップ上の複数の量子ビットを個別に/独立してアニールすることができ、それによって、隣接する量子ビットが、特定の量子ビットのみにおいて応答を引き起こすよう意図されている計算信号または制御信号あるいはその両方に不適切に応答する可能性を低下させる。このようにして、量子ビットの同時の局所化されたアニーリングは、多量子ビット・チップの動作に恩恵をもたらす。しかし、従来技術における問題は、そのような同時の局所化された量子ビット・アニーリングを実行して量子ビットの周波数を変更するための既知の拡張可能な方法/システムが存在しないということである。
【0013】
本発明の実施形態は、従来技術におけるこの問題の解決策を提供することができる。本明細書に記載された本発明の実施形態は、同時の局所化された量子ビット・アニーリングを容易にするシステムおよびコンピュータ実装方法を含む。より詳細には、アンテナまたは電磁エミッタあるいはその両方を使用する同時のまたは局所化されたあるいはその両方の量子ビット・アニーリングの方法に関する本発明の実施形態が説明される。例えば、高周波エミッタ/アンテナが、電磁信号/電磁波をジョセフソン接合の1つまたは複数のコンデンサ・パッドのセットの上に放射することができ、ジョセフソン接合は、超伝導量子ビット・チップ上の量子ビットの構成要素である。パッドのセットは電磁信号/電磁波を受信することができ、すなわち、各パッドは受信アンテナ(例えば、パッチ・アンテナ)として機能することができる。パッドのセットによる受信に基づいて、電磁信号は、1つまたは複数のコンデンサ・パッドのセット内、またはジョセフソン接合からの定義された距離以内(例えば、パッドをジョセフソン接合に電気的に結合する回路線内)、あるいはその両方に、交流電流または交流電圧あるいはその両方を誘導することができる。この交流電流/交流電圧は、ジョセフソン接合を加熱することができる。そのような加熱は、ジョセフソン接合の特性に影響を与え、それによって、量子ビットの遷移周波数を変更することができる。したがって、量子ビット・チップに回路を追加すること、または量子ビット・チップから回路を差し引くこと、あるいはその両方を必要とせずに、局所化された量子ビット・アニーリングが実行され得る。局所化されたアニーリングを複数の量子ビットに対して同時に実行するように、複数の電磁エミッタ/アンテナが同時に実施され得る。このようにして、多量子ビット・チップ上の1つまたは複数の量子ビットの独立した同時の(または連続的な)局所化されたアニーリングを容易にすることによって、当技術分野における問題が対処される。
【0014】
本明細書に記載された本発明の実施形態は、量子ビット・アニーリング(例えば、量子ビットの熱アニーリング)の分野における技術的問題を技術的に解決するために、高度に専門的なハードウェアまたはソフトウェアあるいはその両方を採用するシステムおよびコンピュータ実装方法に関連している。
【0015】
具体的には、量子ビット・アニーリングの分野(量子アニーリングの分野とは全く異なり、分かれている)は、超伝導量子ビット・チップ上の1つまたは複数の超伝導量子ビットを個別に、独立して、または同時に、あるいはその組み合わせでアニールするための拡張可能で効率的なシステムまたはコンピュータ実装方法あるいはその両方の欠如という問題を抱えている。下で詳細に説明されているように本発明の実施形態は電磁送信器/アンテナを利用して超伝導量子ビット・チップ上の超伝導量子ビットのコンデンサ・パッドのセットを励起する拡張可能で効率的なシステムまたはコンピュータ実装方法あるいはその両方を提供することによって、この技術的問題に対処することができる。この送信器/アンテナは、電磁放射線(例えば、電磁波または電磁信号あるいはその両方)を量子ビットのコンデンサ・パッドに放射し、それによって量子ビットを加熱する(したがって、アニールする)ことができる。さらに、送信器/アンテナと量子ビット・チップの間の定義された垂直方向のギャップのサイズは、電磁信号/電磁波が対象の量子ビット/ジョセフソン接合のコンデンサ・パッドの周囲を囲み/包み、それによって、対象の量子ビット/ジョセフソン接合をアニールすること、および隣接する量子ビット/ジョセフソン接合のコンデンサ・パッドの周囲を囲む/包むのを防ぎ、それによって、隣接する量子ビット/ジョセフソン接合の不要な/誤ったアニーリングを防ぐことを引き起こすように、決定される。
【0016】
エミッタ/アンテナが、1対1の方法で量子ビット・チップ上の量子ビットに対応することができ、各エミッタ/アンテナは、個別にまたは独立してあるいはその両方で、電圧または周波数あるいはその両方を調整可能である。すなわち、各エミッタ/アンテナは、エミッタが生成できる電磁波の期間、周波数、または大きさ、あるいはその組み合わせを操作するように制御され得る。次に、各波/信号は、波/信号が放射される量子ビットの個別の量のアニーリングを引き起こすことができる。そのため、各量子ビットは、量子ビット・チップ上の隣接する量子ビットと比較して、アニーリングの一意のまたは定義されたあるいはその両方のレベルを受け取るように、(例えば、量子ビットに対応するエミッタ/アンテナの電圧または周波数あるいはその両方を調整することによって)個別にまたは独立してあるいはその両方でアニールされ得る。言い換えると、量子ビットの各々は、本明細書で開示されたシステムまたはコンピュータ実装方法あるいはその両方によって、アニーリングの定義されたレベルを実現することができる。例えば、本発明の実施形態は、第1の期間の間、第1の電磁信号によって第1の量子ビットをアニールすることと、第2の期間の間、第2の電磁信号によって第2の量子ビットをアニールすることとを容易にすることができ、これら2つの期間は、同じ長さまたは異なる長さあるいはその両方であることができるか、またはこれら2つの信号は、同じ周波数、波長、もしくは大きさ、またはその組み合わせ、または異なる周波数、波長、もしくは大きさ、またはその組み合わせ、あるいはその両方であることができる。さらに、エミッタ/アンテナは同時に動作し、それによって、量子ビットの独立したまたは同時の(または連続的な)あるいはその両方の局所化されアニーリング(例えば、第1の期間の間の第1の量子ビットのアニーリング、および第2の期間の間の第2の量子ビットのアニーリングであって、これら2つの期間が重複すること、または重複しないこと、あるいはその両方が可能である)を容易にすることができる。そのような同時の局所化されたアニーリングは、連続的アニーリングと比較して時間を節約し、周波数衝突または量子クロストークあるいはその両方を除去して多量子ビット・チップの動作/機能を改善するによって、従来技術における問題に対処する。
【0017】
開示されたシステムまたはコンピュータ実装方法あるいはその両方は、超伝導量子ビットを個別におよび同時に、効率的かつ正確にアニールすることができるだけでなく、量子ビットまたは量子ビット・チップあるいはその両方の量子回路を変更すること、修正すること、またはその他の方法で適応させること、あるいはその組み合わせを必要とせずに、アニールすることもできる。例えば、余分なコンデンサ、インダクタ、抵抗器、または任意のその他の回路、あるいはその組み合わせを、アニールされる量子ビットに物理的に半田付けすること、製造プロセスを通じて構築すること、結合すること、またはエッチングすること、あるいはその組み合わせを実行することが不要である。代わりに、本明細書で開示された本発明の実施形態は、量子ビット・チップ上の既存の量子回路を活用する(例えば、電磁波/電磁信号を、ジョセフソン接合にすでに結合されている既存のコンデンサ・パッドに放射する)ことによって、量子ビット・アニーリングを容易にすることができる。したがって、量子ビットの周波数を調整するための追加の同調回路を組み込む必要があるという従来技術の問題を、取り除くことができる。
【0018】
下でさらに詳細に説明される前述の技術的改善は、抽象的ではなく、単なる自然の法則でも自然現象でもなく、特殊な特定の具体的なハードウェアまたはソフトウェアあるいはその両方(例えば、電磁エミッタ/アンテナ、トランズモン・コンデンサ・パッドへの電磁信号の放射など)を使用せずに、人間によって実行することができない。
【0019】
ここで図1Aおよび1Bを参照すると、超伝導量子ビット・チップ102上の量子ビットのアンテナに基づく量子ビット・アニーリングを容易にすることができるシステム100を使用して、量子ビット/ジョセフソン接合の製造段階に関わらず、量子ビット・チップ102上の量子ビット/ジョセフソン接合のアンテナに基づくアニーリングを容易にすることができる。すなわち、システム100は、量子ビット・チップ102上の量子ビット/ジョセフソン接合をアニールするアンテナに基づく量子ビット・アニーリング・システムであることができ、システム100は、量子ビット/ジョセフソン接合の製造後、製造前、または製造中、あるいはその組み合わせでの処理/アニーリングに使用され得る。例えば、量子ビット・チップ102が完全に製造され、アニーリングの定義されたレベルに達した後に量子コンピュータ内に実装される準備ができているように、量子ビット・チップ102には、量子ビット、量子読み出し共振器、またはその他の量子回路が完全にエッチングされ/取り付けられ得る。本発明の他の実施形態では、システム100によるアニールの後に、量子ビット・チップ102上の量子ビット/ジョセフソン接合に対して、追加の製造/処理が行われ得る。本発明のさらに他の実施形態では、システム100を専用の量子ビット製造プロセスまたはジョセフソン接合製造プロセスあるいはその両方に組み込むことができ、量子ビット・チップ102は、1つまたは複数の量子ビット/ジョセフソン接合が構築される専用プラットフォーム/基板であり、量子ビット/ジョセフソン接合は、アニーリング後に量子ビット・チップ102から取り外されて、他の量子コンピューティング・チップに組み込まれる。
【0020】
量子ビット・チップ102は、1つまたは複数の非導電基板の1つまたは複数のシート/層の上または間あるいはその両方に積層された導電材料(例えば、銅など)の1つまたは複数のシート/層を備えているプリント基板であることができる。従来技術において知られた任意の適切な導体または非導電基板あるいはその両方が使用され得る。本発明の他の実施形態では、量子ビット・チップ102は、1つまたは複数の超伝導量子ビットを搬送するのに適した、従来技術において知られた任意のプラットフォームであることができる。量子ビット・チップ102は、その構造に関わらず、その上に1つまたは複数の超伝導量子ビットを含むことができ、超伝導量子ビットは、少なくとも1つのジョセフソン接合を備えている。
【0021】
図1Aに示されているように、量子ビット・チップ102は、その上に超伝導量子ビットを含むことができ、この超伝導量子ビットは、ジョセフソン接合104(図では「X」で示されている)および1つまたは複数のコンデンサ・パッドのセット106を備えることができる。パッド106は、従来技術において知られた任意のコンデンサ・パッド構造を含むことができる。ジョセフソン接合104は、弱連結を介して2つの超伝導体を一緒に結合することによって作成され得る。前述したように、ジョセフソン接合104は、超伝導材料の2つの層の間に、非超伝導材料の薄層を挟み込むことによって実現することができ、この非超伝導材料の層は弱連結である(例えば、S-N-Sジョセフソン接合)。ジョセフソン接合104は、超伝導体を薄い絶縁バリアで分離することによって実現することもでき、この絶縁バリアは弱連結である(例えば、S-I-Sジョセフソン接合)。さらに、ジョセフソン接合104は、2つの超伝導体の間の接点に物理的圧縮を加えることによって実現することができ、この圧縮される点は弱連結である(例えば、S-s-Sジョセフソン接合)。さらに、ジョセフソン接合104は、巨視的構造であるため、既知の集積回路技術または手法あるいはその両方(例えば、フォトリソグラフィ、成膜、スパッタリング、蒸着、不純物添加など)によって構築され得る。
【0022】
ジョセフソン接合104は、クーパー対の量子トンネル効果(例えば、電圧が加えられていないときに弱連結をトンネルする電子)を示すことができ、それによって、十分低い温度で接合を横切る超伝導電流の流れ(例えば、抵抗/散逸なしで流れる電流)を可能にする。巨視的レベルでの量子力学的挙動のため、ジョセフソン接合104は、量子ビット(または量子ビットの一部)(例えば、離散的/量子化されたエネルギー状態およびこれらのエネルギー状態の重ね合わせを占有することができるデバイス)として機能することができる。ジョセフソン接合104はトランズモン量子ビット(例えば、電荷量子ビットの一種)の構成要素になることができ、トランズモン量子ビットの量子化されたエネルギー状態は、ジョセフソン接合104を横断した整数個のクーパー対電子、または一部分においてジョセフソン接合104によって形成された超伝導アイランド上に存在する整数個のクーパー対電子、あるいはその両方に対応することができる。本発明の他の実施形態では、ジョセフソン接合104は、磁束量子ビット(例えば、磁束量子ビットの量子化されたエネルギー状態は、一部分においてジョセフソン接合104によって形成された超伝導ループを貫通する整数個の磁束量子に対応することができる)、位相量子ビット(例えば、位相量子ビットの量子化されたエネルギー状態は、ジョセフソン接合104を横切る量子電荷の発振振幅に対応することができる)などの、他の種類の量子ビットの構成要素になることができる。いずれの場合でも、ジョセフソン接合104の特性は、ジョセフソン接合104のこれらの量子化されたエネルギー状態間の遷移周波数に影響を与えることができ、そのため、ジョセフソン接合104を備えている量子ビットの遷移周波数の調整、修正、または変更、あるいはその組み合わせを実行するように、ジョセフソン接合104のアニーリング(例えば、熱処理)を実施することができる。前述したように、そのような調整、修正、または変更、あるいはその組み合わせを実施して、複数の量子ビット間の周波数衝突または量子クロストークあるいはその両方を減らし、それによって、多量子ビット・チップの機能または動作あるいはその両方を改善することができる。
【0023】
各図面は、トランズモン量子ビット設計、すなわち、ジョセフソン接合104がコンデンサに並列に結合されている超伝導量子ビットを示しており、この設計は、1つまたは複数のコンデンサ・パッドのセット106(「トランズモン・コンデンサ・パッド106」、「コンデンサ・パッド106」、または「パッド106」、あるいはその組み合わせとも呼ばれる)を含んでいる。しかし、当業者は、本発明の実施形態が、トランズモン構成だけでなく、他のコンデンサ・パッド構成(例えば、直列結合または並列結合あるいはその両方)を組み込むことができるということを理解するであろう。量子ビット・アニーリング・システム100で使用できる他の量子ビット設計の一部の例としては、その他の種類の電荷量子ビット、位相量子ビット、磁束量子ビット、フラクソニウム量子ビット(fluxonium qubits)、エックスモン量子ビット(xmon qubits)、およびクアントロニウム量子ビット(quantronium qubits)などが挙げられる。言い換えると、本開示が、トランズモン量子ビット(例えば、トランズモン・コンデンサ・パッド106)の既存の量子回路を活用してトランズモン量子ビットの局所化されたアニーリングを実行することができる方法の詳細について明示的に説明するとしても、当業者は、本明細書に記載されたシステムまたはコンピュータ実装方法あるいはその両方が、他の量子ビット設計で既存の量子回路を活用して、それらの他の量子ビットのアニーリングを同様に容易にするように実装され得るということを理解するであろう。例えば、本明細書に記載されたシステムまたはコンピュータ実装方法あるいはその両方は、量子ビット・アニーリングを容易にするために、アンテナとして電磁信号/電磁波を受信することができる任意の種類の量子回路の構成要素と共に実装することができる。
【0024】
さらに、図1Aおよび1Bが単一のジョセフソン接合104およびコンデンサ・パッドの単一のセット106のみを含んでいる量子ビットを示しているとしても、当業者は、量子ビット・チップ102上の量子ビットが任意の数のジョセフソン接合104または任意の数のコンデンサ・パッド106あるいはその両方を備えることができるということを理解するであろう。さらに、図1Aおよび1Bは量子ビット・チップ102上の単一の超伝導量子ビットのみを示しているが、当業者は、任意の数の超伝導量子ビットが量子ビット・チップ102上に配置され得るということを理解するであろう。同様に、当業者は、追加の量子回路(例えば、読み出し共振器、磁束バイアス線など)を量子ビット・チップ102に組み込むことができ、そのような追加の量子回路が、導電的に、容量的に、または誘導的に、あるいはその組み合わせでジョセフソン接合104またはパッドのセット106あるいはその両方に結合されるということを、理解するであろう。
【0025】
システム100は、エミッタ・チップ108(アンテナ・チップ108または半導体チップ108とも呼ばれ、図1Aに示されていない)およびエミッタ・チップ108上の高周波(RF:radio frequency)エミッタ110(アンテナ110とも呼ばれる)を含むことができる。エミッタ・チップ108は、RFエミッタ/アンテナ110を操作可能なようにエミッタ・チップ108に半田付けするか、エッチングするか、または取り付けるか、あるいはその組み合わせを実行できるように、プリント基板構造または従来技術において知られた任意のその他のコンピュータ・チップ構造あるいはその両方を採用することができる。図1Bに示されているように、エミッタ・チップ108は、RFエミッタ/アンテナ110が量子ビット・チップ102の上に存在するように、量子ビット・チップ102の上に配置されるか、量子ビット・チップ102の上に取り付けられるか、または量子ビット・チップ102の上に存在するか、あるいはその組み合わせであることができる。RFエミッタ/アンテナ110は、ジョセフソン接合104またはパッドのセット106(図1Bに示されている)あるいはその両方の垂直方向の真上または実質的に真上に配置され得る。本発明の他の実施形態では、RFエミッタ/アンテナ110は、量子ビット・チップ102の上に存在するが、ジョセフソン接合104またはパッドのセット106あるいはその両方の垂直方向の真上にも、実質的に真上にも存在しないように、配置され得る。
【0026】
図1Bに示されているように、RFエミッタ/アンテナ110は、1つまたは複数のコンデンサ・パッドのセット106に向かって、コンデンサ・パッドのセット106の上に、または1つまたは複数のコンデンサ・パッドのセット106の上に向けて、あるいはその組み合わせで、電磁信号/電磁波112の放射、生成、局所化、または方向付け、あるいはその組み合わせを実行することができる。RFエミッタ/アンテナ110は、エミッタ・チップ108にエッチングされるか、半田付けされるか、またはその他の方法で取り付けられるか、あるいはその組み合わせである、マイクロストリップ・アンテナ(例えば、パッチ・アンテナ)であることができる。本発明の他の実施形態では、RFエミッタ/アンテナ110は、ダイポール・アンテナ、モノポール・アンテナ、アレイ・アンテナ、ループ・アンテナ、開口アンテナ、ホーン・アンテナ、パラボラ・アンテナ、またはプラズマ・アンテナなどであることができる。本発明のさらに他の実施形態では、RFエミッタ/アンテナ110は、従来技術において知られた、空間/空中を通って(またはその他の方法で導電体を有していない媒体を経由して、あるいはその両方で)電磁信号/電磁波を伝搬することができる任意のデバイス、アンテナ、または信号発生器、あるいはその組み合わせであることができる。
【0027】
RFエミッタ/アンテナ110は、電圧または周波数あるいはその両方を調整可能であることができる。すなわち、RFエミッタ/アンテナ110は、信号/波112の特性を制御/操作するように、(例えば、伝搬する信号/波112を生成するためにRFエミッタ/アンテナ110に供給される入力交流電流または交流電圧あるいはその両方を制御/操作することによって)制御/操作され得る。RFエミッタ/アンテナ110は、信号/波112の期間、周波数、または大きさ、あるいはその組み合わせを制御して、ジョセフソン接合104のアニーリングの定義されたレベルを生成することができる。例えば、信号/波112の放射を停止するために、伝搬する信号/波112を生成するためにRFエミッタ/アンテナ110に供給される入力交流電流または交流電圧あるいはその両方が停止され得る(例えば、ゼロに設定され得る)。したがって、RFエミッタ/アンテナ110は、アニーリングの定義されたレベルを達成することに基づいて放射を停止する(例えば、RFエミッタ110が信号/波112の放射を開始してから定義された期間が経過した後に、放射を停止する)ことによって、信号/波112の期間を制御することができる。別の例として、信号/波112の周波数または波長あるいはその両方を増やすか、減らすか、またはその他の方法で制御するか、あるいはその組み合わせを実行するために、伝搬する信号/波112を生成するためにRFエミッタ/アンテナ110に供給される入力交流電流または交流電圧あるいはその両方の発振周波数が、増やされるか、減らされるか、またはその他の方法で制御されるか、あるいはその組み合わせが実行され得る。このようにして、RFエミッタ/アンテナ110は、信号/波112の周波数または波長あるいはその両方を制御して、ジョセフソン接合104のアニーリングを速くするか、または遅くするか、あるいはその両方を実行することができる。さらに別の例として、信号/波112の大きさを増やすか、減らすか、またはその他の方法で制御するか、あるいはその組み合わせを実行するために、伝搬する信号/波112を生成するためにRFエミッタ/アンテナ110に供給される入力交流電流または交流電圧あるいはその両方の大きさが、増やされるか、減らされるか、またはその他の方法で制御されるか、あるいはその組み合わせが実行され得る。このようにして、RFエミッタ/アンテナ110は、信号/波112の大きさを制御して、ジョセフソン接合104のアニーリングを速くするか、または遅くするか、あるいはその両方を実行することができる。RFエミッタ/アンテナ110は、1つまたは複数の電圧制御発振器(VCO)を備えることができ、これらの電圧制御発振器を使用して、電圧を調整可能な信号、電流を調整可能な信号、または周波数を調整可能な信号、あるいはその組み合わせを生成し、RFエミッタ/アンテナ110が信号/波112を生成して制御できるようにする。信号/波112は、(例えば、(300キロヘルツ~300ギガヘルツの範囲内などの)電磁スペクトルのマイクロ波領域に属する)150ギガヘルツ以上の周波数を有することができる。信号/波112は、ジョセフソン接合に与える損傷を制限するために、1ワットの最大電力を有することができる。
【0028】
RFエミッタ/アンテナ110は、信号/波112が実質的に等方性を有するように(例えば、信号/波112が、すべての方向において実質的に同じ強度で放射され、それによって、実質的に球形の放射パターンを有するように)、信号/波112を放射/生成することができる。本発明の他の実施形態では、RFエミッタ/アンテナ110は、信号/波112が無指向性を有するように(例えば、電磁信号/電磁波112が、特定の軸に対して実質的に対称的に放射され、それによって、実質的にトーラス状の放射パターンを有するように)、信号/波112を放射/生成すること、または局所化する/方向付けること、あるいはその両方を実行することができる。本発明のさらに他の実施形態では、RFエミッタ/アンテナ110は、信号/波112が指向性を有するように(例えば、信号/波112が、他の方向よりも強く特定の方向に放射され、それによって、少なくとも1つのメイン・ローブを含む放射パターンを有するように)、信号/波112を放射/生成すること、または局所化する/方向付けること、あるいはその両方を実行することができる。いずれの場合でも、信号/波112は、RFエミッタ/アンテナ110によって、パッドのセット106に向かって、パッドのセット106の上に向けて、またはパッドのセット106の上に、あるいはその組み合わせで、放射され得る。
【0029】
図1Bに示されているように、パッドのセット106は、信号/波112が空間/空中を伝搬するときに、信号/波112の受信または捕捉あるいはその両方を実行することができる。そのような場合、パッドのセット106の各パッドは、信号/波112に曝されることに応答する受信アンテナ(例えば、受信パッチ・アンテナ)として機能することができる。下で説明されているように、パッド106による信号/波112の受信は、ジョセフソン接合104のアニーリングを引き起こすことができる。本開示は、量子ビットに結合された(例えば、ジョセフソン接合104に結合された)既存のパッド(例えば、パッドのセット106)を活用することによる量子ビット・アニーリングについて明示的に説明しているが、当業者は、容量的に、導電的に、または誘導的に、あるいはその組み合わせでジョセフソン接合に結合され、空間/空中を伝搬する電磁放射、電磁波、または電磁信号、あるいはその組み合わせを受信できる、量子ビット・チップ102上にある任意の既存の回路が、本発明の実施形態を実装するために活用され得るということを、理解するであろう。
【0030】
1つまたは複数のコンデンサ・パッドのセット106(または、信号/波112を受信できる量子ビット・チップ102上の任意のその他の回路、あるいはその両方)がジョセフソン接合104のアニーリングをどのように容易にすることができるかをさらによく理解するために、図2について検討する。ここで、図2を参照すると、信号/波112の受信時にパッド106およびジョセフソン接合104がどのように応答するかを示す回路図200が示されている。
【0031】
最初に、高レベルの説明について検討する。図に示されているように、パッド106が、ジョセフソン接合104に並列に結合されたコンデンサを構成しているが、パッドのセット106の別々のパッド(図2では、それぞれ106のラベルが付けられている)が、ジョセフソン接合104に、(集合的に並列にではなく)個別に直列に結合されていると見なされ得る。前述したように、各パッド106は、受信アンテナとして機能し、それによって、信号/波112を受信/捕捉することができる。信号/波112を受信することに基づいて、パッド106は、ジョセフソン接合104からの定義された距離以内(例えば、パッドのセット106をジョセフソン接合104に電気的に結合する回路線内)に、交流電流または交流電圧あるいはその両方を生成することができる。次に、生成された交流電流または交流電圧あるいはその両方はジョセフソン接合104を加熱し、それによって、ジョセフソン接合104をアニールすることができる。
【0032】
ここで、さらに詳細な説明について検討する。前述したように、パッドのセット106の個々のパッドは、ジョセフソン接合104に個別に直列に結合されていると考えられ得る。やはり前述したように、各パッド106は信号/波112を受信/捕捉し、それによって、受信アンテナとして機能することができる。信号/波112に曝されたときに、パッドのセット106の各々に含まれる電子が、信号/波112の特性(例えば、周波数、波長、振幅、大きさなど)に従って発振を開始することができる。パッド106内の電子の発振は、各パッド106内で交流電流206または交流電圧208あるいはその両方を生成/誘導することができ、交流電流206または交流電圧208あるいはその両方は、信号/波112と実質的に同じ(または関連する、あるいはその両方の)周波数または大きさあるいはその両方を有する。したがって、それぞれ別々のパッド106は、信号/波112による励起に基づく別々の発振信号源202(例えば、交流電流源または交流電圧源あるいはその両方)と見なすことができ、各発振信号源202は、交流電流206または交流電圧208あるいはその両方を生成することができる。図2は、2つの別々のパッド106を示しているため、図2は、2つの対応する発振信号源202を示しており、各発振信号源202が交流電流206または交流電圧208あるいはその両方を生成する。しかし、当業者は、追加の、またはより少ない、あるいはその両方のコンデンサ・パッド(およびしたがって、発振信号源)が組み込まれ得るということを理解するであろう。全体として、RFエミッタ/アンテナ110を介したパッドのセット106上への信号/波112の放射の効果は、各パッド106に、空間/空中を伝搬する波/信号としてではなく、パッド106自体を通り、パッド106に結合している回路線を通ってジョセフソン接合104に流れる交流電流206または交流電圧208あるいはその両方として、信号/波112を別々に複製させる(または実質的に複製させる)ことである。
【0033】
交流電流206または交流電圧208あるいはその両方の周波数または大きさあるいはその両方を制御するように、信号/波112の周波数または大きさあるいはその両方が制御され得る。交流電圧208の大きさは、ジョセフソン接合104に損傷を与えるのを防ぐために、50ミリボルト以下に制限され得る。
【0034】
ここで、各交流電流206または交流電圧208あるいはその両方が、対応する発振信号源202で(例えば、対応するパッド106で)生成され、対応する発振信号源202をジョセフソン接合104に電気的に接続する回路線を通って、対応する発振信号源202からジョセフソン接合104に流れることができる。図2で、「Z」は、各発振信号源202からジョセフソン接合104へのインピーダンス204(すなわち、各パッド106から接合104へのインピーダンス)を表している。パッド106は、対称であることができ、そのため2つのインピーダンス204は等しくなることができる。そのような場合、オームの法則の複素数定式化(complex formulation)(例えば、V=I*Z)が、2つの交流電流206も等しくなることができ、(図2に示されているように、2つの交流電流206が反対方向に流れるため)ジョセフソン接合104で合計され得るという結果をもたらす。本発明の他の実施形態では、パッド106は、非対称であることができ、そのため2つのインピーダンス204は異なることができる。そのような場合、オームの法則の複素数定式化は、2つの交流電流206も異なることができ、したがって、ジョセフソン接合104で部分的に打ち消し合うことができるという結果をもたらす。いずれの状況においても、交流電流206は、発振信号源202から(例えば、パッド106から)ジョセフソン接合104につながる回路線を通って前後に発振し、RFエミッタ/アンテナ110が信号/波112を放射する限り、そのような発振が継続することができる。
【0035】
複素電力方程式(complex power equation)(例えば、P=V*I)から知られているように、交流電流206の発振は、熱の形態で電力を散逸させ、それによって、発振信号源202をジョセフソン接合104に接続する回路線を加熱することができる。この発振中に、発振信号源202(例えば、パッド106)自体の温度も上昇することができる。次に、コンデンサ・パッド106およびコンデンサ・パッド106をジョセフソン接合104に結合する線のこの加熱が、(例えば、熱伝導を介して)ジョセフソン接合104を加熱することができる。そのような加熱は、ジョセフソン接合104の物理的特性または電気的特性あるいはその両方(例えば、その臨界電流、その標準状態の抵抗など)を変更し、それに応じて、ジョセフソン接合104を備えている量子ビットの遷移周波数を変更することができる。すなわち、本発明のさまざまな実施形態は、量子ビット・チップ上の既存の量子回路を活用して量子ビットをアニールし、それによって、量子ビットの周波数を調整するために特殊な同調回路を超伝導量子ビット・チップに組み込む必要があるという従来技術の問題に対処する/従来技術の問題を解決することができる。
【0036】
このようにして、ジョセフソン接合104を加熱し、アニーリングの定義されたレベルまたは望ましいレベルあるいはその両方を達成することができる。当業者が理解するであろうように、アニーリングの定義されたレベルは、ジョセフソン接合104が達成するべき定義された遷移周波数または望ましい遷移周波数あるいはその両方に基づくことができる。例えば、ジョセフソン接合104がAの遷移周波数を有するべきである場合、ジョセフソン接合104は、時間Cの間、強度Bでアニールされなければならない。時間Cの間の必要な強度Bを提供するように、信号/波112の期間、周波数、または大きさ、あるいはその組み合わせが制御/調整され得る。さらに、ジョセフソン接合104の標準状態の電気抵抗を監視することによって(例えば、臨界電流を標準状態の抵抗に関連付けるアンベガオカ・バラトフの式に基づいて)、ジョセフソン接合104に対して実行されるアニーリングのレベルが監視され得る。当業者は、従来技術において知られたシステムおよび方法によって(例えば、オーム計などによって)、そのような監視が実施され得るということを理解するであろう。
【0037】
前述したように、図2は、信号/波112の受信に対するコンデンサ・パッド106およびジョセフソン接合104の電気的応答を示す回路図200を示している。前述したように、図面はトランズモン構成(例えば、コンデンサのパッドであって、このコンデンサがジョセフソン接合104に並列に結合される)でパッドのセット106を示しているが、本明細書に記載されたシステムまたは方法あるいはその両方は、コンデンサ・パッド106の代わりにジョセフソン接合104に結合されたさまざまなその他の電気的構成要素と共に実装され得る(例えば、信号/波112を受信して交流電流206または交流電圧208あるいはその両方を生成できる任意の構成要素で十分であることがある)。当業者は、そのような実施形態の電気的特性を説明するために、異なるが類似している回路図を作成できるということを理解するであろう。
【0038】
ここで、図3について検討する。図に示されているように、システム300は、量子ビット・チップ102と、コンデンサ・パッドのセット106を含んでいるジョセフソン接合104と、エミッタ/半導体チップ108と、量子ビット・チップ102の上に配置することができ、信号/波112をジョセフソン接合104に向かって放射する/方向付けることができるRFエミッタ/アンテナ110とを備えることができる。
【0039】
図に示されているように、量子ビット・チップ102は、1つまたは複数のコンデンサ・パッドの第2のセット304と共に第2のジョセフソン接合302を含む、第2の量子ビットをさらに含むことができる。さらに、システム300は、RFエミッタ/アンテナ110と量子ビット・チップ102の間に定義された垂直方向のギャップ306を含むことができる。定義された垂直方向のギャップ306の長さ(例えば、アンテナ110またはアンテナ・チップ108あるいはその両方を量子ビット・チップ102から分離するギャップ306の高さ)は、信号/波112がジョセフソン接合104のパッドのセット106の周囲を囲むことを引き起こすように決定され得る。これによって、実質的に前述したように、ジョセフソン接合104のアニーリングを引き起こすことができる。
【0040】
言い換えると、RFエミッタ/アンテナ110を量子ビット・チップ102から分離する距離(例えば、定義された垂直方向のギャップ306の高さ/長さ)は、第2のジョセフソン接合302の不要なアニーリングを引き起こさずにジョセフソン接合104の局所化されたアニーリングを容易にする適切な(高すぎず、または短すぎず、あるいはその両方である)サイズが決定されるように(例えば、ロボット・アーム、マイクロマニピュレータ、ピエゾコントローラ、スペーサ、およびその他の一時的取り付け具などによって)制御/調節され得る。定義された垂直方向のギャップ306の長さ/高さを制御/調節することによって、信号/波112によって周囲を囲まれる/包まれる量子ビット・チップ102の表面積の量を変更することができる。すなわち、信号/波112の伝播経路(例えば、信号/波112の伝播経路は、ガイドライン308によって示されている)内にある量子ビット・チップ102の表面積の量が、変更/制御され得る。例えば、図3に示されている定義された垂直方向のギャップ306の高さ/長さは、信号/波112がパッド106の周囲を囲む(例えば、パッド106がガイドライン308内にあり、したがって、信号/波112の伝播経路内にある)こと、およびパッド304の周囲を囲まない(例えば、パッド304がガイドライン308内にないため、信号/波112の伝播経路内にない)ことを引き起こすことができる。このようにして、パッド106は信号/波112を受信することができ、それによってジョセフソン接合104をアニールし、一方、パッド304は信号/波112を受信することができず、それによって第2のジョセフソン接合302のアニーリングを防ぐ。
【0041】
定義された垂直方向のギャップ306の高さ/長さは、変更/制御され得る。例えば、定義された垂直方向のギャップ306の高さ/長さが、図3に示されている高さ/長さよりも十分に大きい場合、パッドの第2のセット304の一部が信号/波112の伝播経路内(例えば、ガイドライン308内)に配置され得る。そのような場合、パッド304の少なくとも一部が信号/波112を受信し、それによって、第2のジョセフソン接合302をアニールするか、またはその他の方法で第2のジョセフソン接合302に影響を与えるか、あるいはその両方が発生する可能性がある。すなわち、定義された垂直方向のギャップ306の長さ/高さが大きすぎる場合、隣接する量子ビット/ジョセフソン接合が誤って、または不必要に、あるいはその両方でアニールされる/影響を受ける可能性がある。別の例として、定義された垂直方向のギャップ306の高さ/長さが、図3に示されている高さ/長さよりも十分に小さい場合、パッドの第1のセット106の一部が信号/波112の伝播経路の外側(例えば、ガイドライン308の外側)に配置され得る。そのような場合、パッド106の少なくとも一部が信号/波112を受信せず、それによって、ジョセフソン接合104のアニーリングが最適にならなくなる(または場合によっては、アニーリングが生じなくなる)可能性がある。すなわち、定義された垂直方向のギャップ306の長さ/高さが小さすぎる場合、対象の量子ビット/ジョセフソン接合の不十分な/最適でないアニーリングが発生することがある。
【0042】
前述したように、これの利点は、多量子ビット・チップ上の隣接する量子ビットを不必要にアニールせずに、多量子ビット・チップ上の少なくとも1つの対象の量子ビットの正確な信頼できる局所化されたアニーリングを容易にすることである。さらに具体的には、定義された垂直方向のギャップ306の高さ/長さを適切に決定することによって、隣接する量子ビットの不正確な、または誤った、あるいはその両方のアニーリングの問題を解決することができる。
【0043】
図3はRFエミッタ/アンテナ110をジョセフソン接合104の垂直方向の真上または実質的に真上あるいはその両方にあるように示しているが、当業者は、RFエミッタ/アンテナ110がそのように配置される必要がないこと、およびRFエミッタ/アンテナ110のその他の位置/構成が組み込まれ得るということを理解するであろう。さらに、図3は2つのジョセフソン接合(例えば、アニールされる対象のジョセフソン接合104およびアニールされない隣接するジョセフソン接合302)のみを示しているが、当業者は、任意の数の対象の量子ビット/ジョセフソン接合104または任意の数の隣接する量子ビット/ジョセフソン接合302あるいはその両方が量子ビット・チップ102に組み込まれ得るということを理解するであろう。同様に、図3はエミッタ/半導体チップ108上の1つのRFエミッタ/アンテナ110のみを示しているが、当業者は、任意の数のエミッタ/アンテナ110が組み込まれ得るということを理解するであろう。
【0044】
図4は、図3のシステム300によって容易にされ得るコンピュータ実装方法400を示している。
【0045】
ステップ402で、第1の量子ビットおよび第2の量子ビットを含んでいる超伝導量子ビット・チップの上に位置するアンテナ・チップ上の第1のアンテナが、第1の電磁波を第1の量子ビットに向かって方向付けることができる。404で、実質的に前述したように、次に第1のアンテナが、方向付けに基づいて第1の量子ビットの第1のジョセフソン接合をアニールすることができる。さらに、第1のアンテナ(またはアンテナ・チップあるいはその両方)と量子ビット・チップの間の第1の定義された垂直方向のギャップの第1の長さは、第1の波が第1の量子ビットの1つまたは複数のコンデンサ・パッドの第1のセットの周囲を囲むことを引き起こすことができる。それによって、第1の量子ビットの第1のジョセフソン接合を加熱することができる。さらに、図3に関連して上で説明されたように、第1の定義された垂直方向のギャップの第1の長さは、第1の波が第2の量子ビットの1つまたは複数のコンデンサ・パッドの第2のセットの周囲を囲むのを防ぎ、それによって、第2の量子ビットの第2のジョセフソン接合のアニーリングを防ぐことができる。やはり、これの利点は、多量子ビット・チップ上の隣接する量子ビットに誤って影響を与えずに、多量子ビット・チップ上の少なくとも1つの対象の量子ビットの信頼できる反復可能な局所化されたアニーリングを容易にすることである。さらに、406で、マイクロマニピュレータ、ピエゾコントローラ、または一時的取り付け具(例えば、アンテナ・チップを量子ビット・チップの上に一時的に取り付けることができるスペーサ、機械式クランプ、およびデバイス)が、(例えば、アンテナ・チップが第2の量子ビット・チップの上に存在するように)アンテナ・チップを第2の超伝導量子ビット・チップに移動することができる。これによって、実質的に前述したように、第2の量子ビット・チップ上の量子ビットのアニーリングを容易にすることができる。これの利点は、(例えば、量子ビットまたはジョセフソン接合製造ラインなどにおいて)アニーリングのための行列に並べられた複数の量子ビット・チップにわたって、一貫性のある信頼できる量子ビット・アニーリングを容易にすることである。
【0046】
ここで、定義された垂直方向のギャップ306のサイズを適切に決定する方法をさらに詳細に理解するために、図5~6Cについて検討する。図5は、RFエミッタ/アンテナ110によって放射されたか、または方向付けられたか、あるいはその両方である信号/波の強度の方向依存性のグラフ500を示している。
【0047】
図に示されているように、グラフ500は、エミッタ/半導体チップ108上のRFエミッタ/アンテナ110、およびエミッタ/アンテナ110によって生成された対応する放射パターン506を示している。放射パターン506は、RFエミッタ/アンテナ110によって放射された電磁信号/電磁波112のフォワード・ゲイン(例えば、強度)を、方向(例えば、角度θ)の関数としてデシベル・アイソトロピック(dBi:decibel isotropic)の単位で表している。すなわち、グラフ500は、波をすべての方向に均等に放射することができる仮想的等方性アンテナと相対的なアンテナ110のゲインを表している。示されているように、図5は、方向およびゲインの測定の2つの軸を示している。方向は、角度(例えば、角度θ)で表され、水平線の右端(例えば、θ=0°)から反時計回りに測定される。ゲインは、RFエミッタ/アンテナ110を中心とする一連の同心円としてデシベル・アイソトロピック単位(例えば、dBi)で測定される(例えば、グラフ500の最も外側の外周上で0dBiから始まり、同心円がRFエミッタ/アンテナ110に近づくにつれて、-10dBiに進み、次に-20dBiに進み、その後-30dBiに進む、などとなる)。当業者は、特定の方向での負のフォワード・ゲインが大きいほど、その方向での信号がより弱いことを表し、特定の方向での正のフォワード・ゲインが大きいほど、その方向での信号がより強いことを表すということを、理解するであろう。
【0048】
ここで、放射パターン506は、単なる例であり、実験的に収集されたデータとして、または産業への応用に役立つ参照データとして、解釈されるべきではない。代わりに、放射パターン506は、例示的な概念にすぎない。
【0049】
図に示されているように、放射パターン506は、グラフ500の下側の3分の2の部分(例えば、約240°の角度範囲を表す約θ=150°~約θ=30°)で最も強くなる(例えば、負の値が小さく、正の値が大きい)ことができる。したがって、放射パターン500の断面は、RFエミッタ/アンテナ110によって放射された信号/波112のメイン・ローブを表すことができる。図にも示されているように、放射パターン506は、グラフ500の上側の3分の1の部分(例えば、約120°の角度範囲を表す約θ=30°~約θ=150°)で最も弱くなることができる。実際に、放射パターン506のこの部分は、1つまたは複数のバック/サイド・ローブ(例えば、図5に示されている3つのバック/サイド・ローブ)を含むことができる。当業者が理解するであろうように、放射パターンがアンテナによって変化することがあるため、RFエミッタ/アンテナ110に応じて、任意のその他の異なる放射パターンまたは変更された放射パターンあるいはその両方が、本発明のさまざまな実施形態(例えば、より多くのローブまたはより少ないローブあるいはその両方を含む実施形態、異なるゲイン値を含む実施形態など)に組み込まれ得る。
【0050】
ここで、定義された垂直方向のギャップ306の高さ/長さは、円錐としての信号/波112のモデルに応じて変化することができる。言い換えると、放射パターン506のメイン・ローブは、RFエミッタ/アンテナ110から下方に広がる円錐としてモデル化され/表され/近似され得る。これを説明するために、グラフ500は、角度のビーム幅504を使用して、円錐502の投影を示すことができる。すなわち、ビーム幅504は、円錐502の頂角の角度範囲を表すことができる。1つまたは複数の実施形態では、ビーム幅504は、信号/波112のメイン・ローブ(例えば、放射パターン506のメイン・ローブ)の3デシベルの角度のビーム幅を表すことができる。当業者が理解するであろうように、-3dBiのフォワード・ゲインを含んでいる点によって表される3デシベルの角度のビーム幅は、放射パターン506の電力半値点(例えば、放射パターン506の強度が、等方性放射パターンの強度の約半分になる点)に対応することができる。図5に示されているように、3デシベルの角度のビーム幅(例えば、ビーム幅504)は、約60度になることができる(ただし、エミッタ110に応じて、他の値が可能である)。図5は、放射パターン506のメイン・ローブの3デシベルの角度のビーム幅に対応するように角度のビーム幅504を示しているが、当業者は、角度のビーム幅504の他の値が組み込まれ得るということを理解するであろう。
【0051】
したがって、RFエミッタ/アンテナ110の放射パターン・グラフ(例えば、グラフ500など)を調べることによって、放射パターンのメイン・ローブを数学的に近似することができる円錐(例えば、円錐502)の頂角(例えば、角度のビーム幅504)が取得/学習され得る。次に、下で説明されているように、この角度のビーム幅504を基本的な幾何学的計算において使用して、定義された垂直方向のギャップ306の適切な高さ/長さを決定することができる。
【0052】
図6A~6Cは、システム300の斜視図/等角図を示しており、さらに、角度のビーム幅504にほぼ等しい頂角を含んでいる円錐502の3次元斜視図を示すことができる。
【0053】
図に示されているように、円錐502は、RFエミッタ/アンテナ110から生じることができ、量子ビット・チップ102に向かって広がることができる。すなわち、円錐502は、信号/波112の放射パターン506のメイン・ローブを表す/近似することができる。このモデル(例えば、システム600)を使用して、定義された垂直方向のギャップ306の適切な高さ/長さを決定することができる。例えば、定義された垂直方向のギャップ306の長さ/高さは、円錐502の高さにほぼ等しくなることができる。さらに、円錐502の基部は、パッドのセット106の周囲を囲むことができ、パッドの第2のセット304の周囲を囲むのを防ぐことができる。前述したように、これによって、第2のジョセフソン接合302を不必要にアニールせずに、ジョセフソン接合104のアニーリングを容易にすることができる。さらに、前述したように、円錐502の頂角は、信号/波112の放射パターンのメイン・ローブの3デシベルの角度のビーム幅(例えば、ビーム幅504)にほぼ等しくなることができる。
【0054】
そのため、グラフ500などの放射パターン・グラフを調べることから、角度のビーム幅504が学習され/知られ得る。さらに、パッドのセット106の寸法がわかっていると仮定すると、円錐502の基部の半径が学習され得る(例えば、円錐502の基部の直径は、基部がパッドのセット106の周囲を囲むほど十分大きくなることができ、またはパッドのセット304の周囲を囲むのを防ぐほど十分小さくなることができ、あるいはその両方が可能である)。したがって、円錐502の高さは、三角法を使用して取得され得る。具体的には、円錐502の高さ(およびしたがって、定義された垂直方向のギャップ306の高さ/長さ)は、円錐502の基部の半径を角度のビーム幅504の2分の1の正接で割ることによって得られた商にほぼ等しくなることができる(例えば、高さ=半径/(tan((ビーム幅)/2)))。当業者は、定義された垂直方向のギャップ306の高さ/長さを近似する他の方法が組み込まれ得るということを理解するであろう。
【0055】
図6Bおよび6Cは、定義された垂直方向のギャップ306の著しく短い、または著しく長い、あるいはその両方である高さ/長さを含んでいるシステム600の透視図をそれぞれ示している。図6Bに示されているように、定義された垂直方向のギャップ306の高さ/長さが、図6Aに示されている高さ/長さよりも十分小さい場合、円錐502は、パッドのセット106全体の周囲を囲むことができない(例えば、パッド106の少なくとも一部が、円錐502の基部によって覆われ得ない)。例えば、円錐502によって、パッドのセット106の一部602の周囲を囲むことができない。したがって、そのような場合、パッド106の少なくとも一部(例えば、一部602)は信号/波112を受信することができない。前述したように、これは、パッド106が信号/波112によって完全に/適切に励起され得ないため、ジョセフソン接合104の最適でないアニーリングをもたらすことがある。同様に、図6Cに示されているように、定義された垂直方向のギャップ306の高さ/長さが、図6Aに示されている高さ/長さよりも十分大きい場合、円錐502は、パッドの第2のセット304の少なくとも一部(例えば、パッドの第2のセット304の一部604)の周囲を囲むことができる。したがって、そのような場合、パッド304の少なくとも一部(例えば、一部604)は信号/波112を受信することができる。前述したように、これは、パッド304が信号/波112によって部分的に励起され得るため、第2のジョセフソン接合302の不要な、または誤った、あるいはその両方のアニーリング(またはその他の変更あるいはその両方)をもたらすことがある。
【0056】
やはり、放射パターン・グラフ(例えば、グラフ500)を調べて円錐502の適切な頂角(例えば、ビーム幅504)を取得することによって、および円錐502の基部の面積を調節することによって、基本的な三角法を用いて、定義された垂直方向のギャップ306の適切な高さ/長さが取得され得る。このようにして、多量子ビット・チップ上の量子ビットの一貫性のある信頼できる局所化されたアンテナに基づくアニーリングを容易にするように、アンテナを適切に配置する問題が解決され得る。
【0057】
当業者は、図6A~6C(および本明細書における他の図)が一定の縮尺で描かれていないことを理解するであろう。
【0058】
ここで、図7について検討する。図に示されているように、システム700は、量子ビット・チップ102と、パッドのセット106を含む第1のジョセフソン接合104と、パッドの第2のセット304を含む第2のジョセフソン接合302と、エミッタ/半導体チップ108と、信号/波112を方向付けることができるRFエミッタ/アンテナ110とを備えることができる。
【0059】
さらに、システム700は、1つまたは複数のスペーサ702を備えることができる。スペーサ702は、RFエミッタ/アンテナ110(またはアンテナ・チップ108)と量子ビット・チップ102の間の定義された垂直方向のギャップ306に位置することができる。さらに、スペーサ702の高さは、定義された垂直方向のギャップ306の長さ/高さにほぼ等しくなることができる。すなわち、実質的に前述したように、スペーサ702は、十分な空間によってRFエミッタ/アンテナ110および量子ビット・チップ102を分離し、ジョセフソン接合104の局所化されたアニーリングを容易にするように、エミッタ/半導体チップ108と量子ビット・チップ102の間(またはその他の方法でRFエミッタ/アンテナ110と量子ビット・チップ102の間、あるいはその両方)に配置され得る。そのため、スペーサ702のサイズは、定義された垂直方向のギャップ306が特定の高さになり、信号/波112がパッドのセット106の周囲を囲む/包む(例えば、パッド106がガイドライン308内に存在する)こと、およびパッドの第2のセット304の周囲を囲まない/包まない(例えば、パッド304がガイドライン308内に存在しない)ことを引き起こすように、決定され得る。前述したように、これによって、第2のジョセフソン接合302をアニールせずに、ジョセフソン接合104のアニーリングを引き起こすことができる。当業者は、定義された垂直方向のギャップ306のサイズを適切に決定するようにアンテナ・チップ108を量子ビット・チップ102から分離するために、一時的取り付け具のその他の手段(例えば、機械式クランプ、スペーサ・ブロックなど)が組み込まれ得るということを理解するであろう。
【0060】
さらに、当業者は、スペーサ702の高さが、定義された垂直方向のギャップ306の高さと正確に同じになる必要はないということを理解するであろう。実際、図7からわかるように、スペーサ702の高さは、定義された垂直方向のギャップ306の高さ/長さおよびRFエミッタ/アンテナ110の垂直方向の高さ/厚さの合計に等しくなることができる。しかし、RFエミッタ/アンテナ110は、スペーサ702よりも大幅に短くなる(例えば、一部のパッチ・アンテナの場合、0.035ミリメートル程度に薄くなる)ことができる。したがって、当業者は、スペーサ702の高さが、まだ、定義された垂直方向のギャップ306の高さにほぼ等しいといえることを理解するであろう。
【0061】
当業者は、スペーサ702が、対象の接合のアニーリングに悪影響を与えずにアンテナ110を量子ビット・チップ102から確実に分離することができる、従来技術において知られた任意の適切な材料(例えば、絶縁体、プラスチック、木材、金属、セラミックなど)で作られ得るということを理解するであろう。
【0062】
ここで、図8について検討する。図に示されているように、システム800は、量子ビット・チップ102と、パッドのセット106を含むジョセフソン接合104と、パッドの第2のセット304を含む第2のジョセフソン接合302と、エミッタ/半導体チップ108と、電磁信号/電磁波112を方向付けることができるRFエミッタ/アンテナ110とを備えることができる。
【0063】
さらに、システム800は、エミッタ・チップ108上の第2のRFエミッタ/アンテナ802を備えることができる。第2のRFエミッタ/アンテナ802は、第2の電磁信号/電磁波804を第2のジョセフソン接合302に向かって(例えば、第2の量子ビットに向かって)方向付けることができる。さらに、システム800は、第2のRFエミッタ/アンテナ802(またはエミッタ・チップ108)と量子ビット・チップ102の間の第2の定義された垂直方向のギャップ806を含むこともできる。第2の定義された垂直方向のギャップ806の第2の長さは、第2の電磁信号/電磁波804が第2の量子ビットのパッドの第2のセット304の周囲を囲み(例えば、パッド304がガイドライン808内に存在し)、それによって、第2の量子ビットの第2のジョセフソン接合302をアニールすることを引き起こすように、決定され得る。上で説明されたように、これによって、信号/波804がパッドのセット106の周囲を囲まない(例えば、パッド106がガイドライン808内に存在しない)ことを引き起こすことができる。
【0064】
当業者は、RFエミッタ/アンテナ110、信号/波112、および定義された垂直方向のギャップ306に関する説明の多くが第2のRFエミッタ/アンテナ802、第2の信号/波804、および第2の定義された垂直方向のギャップ806に適用され得るということを理解するであろう。さらに、当業者は、第2の定義された垂直方向のギャップ806の長さ/高さが、定義された垂直方向のギャップ306の長さ/高さと、ほぼ等しくなること、または等しくならないことができ、実質的に同じ方法で決定され得るということを理解するであろう。実質的に前述したように、アンテナ110および802のうちの1つは、各アンテナ110および802によってアニールされる量子ビット/ジョセフソン接合の数またはアニールされない量子ビット/ジョセフソン接合の数あるいはその両方を制御/調節するように、他のアンテナよりも量子ビット・チップ102から近い位置または遠い位置あるいはその両方に存在することができる。例えば、定義された垂直方向のギャップ306は、RFエミッタ/アンテナ110が1つまたは少数あるいはその両方の対象の量子ビット/ジョセフソン接合のみをアニールし、一方、第2のRFエミッタ/アンテナ802が複数またはさらに多くあるいはその両方の量子ビット/ジョセフソン接合をアニールするように、第2の定義された垂直方向のギャップ806よりも大幅に短くなることができる。
【0065】
さらに、RFエミッタ/アンテナ110は、第1の期間の間、信号/波112を方向付けることができる。同様に、第2のRFエミッタ/アンテナ802は、第2の期間の間、第2の信号/波804を方向付けることができる。さらに、第1の期間および第2の期間は、重複することができる(例えば、アンテナ110および802は、ジョセフソン接合104および302を同時にアニールすることができる)。本発明の他の実施形態では、第1の期間および第2の期間は、重複しない(例えば、連続的アニーリングになる)ことができる。さらに、第1および第2の期間は、異なる長さまたは同じ長さあるいはその両方(例えば、同じ持続時間または異なる持続時間あるいはその両方のアニーリング)になることができる。当業者は、アンテナ110および802の動作の持続時間またはタイミングあるいはその両方(例えば、接合104および302のアニーリングの持続時間またはタイミングあるいはその両方)が、産業への応用の背景または環境あるいはその両方(例えば、利用可能な処理時間が少ない場合の並列なアニーリングなど)に基づいて制御され得るということを理解するであろう。
【0066】
同様に、RFエミッタ/アンテナ110および802の各々は、(例えば、生成される信号/波112および804の大きさまたは周波数あるいはその両方を制御するように)独立して電圧または周波数あるいはその両方を調整可能であることができる。この調整可能性を使用して、ジョセフソン接合104および302のアニーリングの定義されたレベルまたは個別のレベルあるいはその両方(例えば、1つの接合を別の接合よりも多くまたは少なくアニールすること)を実現することができる。図8は、ジョセフソン接合104および302の同時のアニーリングの場合に、信号/波112および第2の信号/波804が、互いに実質的に干渉しないで空間/空中を伝搬し得るか、またはそれらの各対象の量子ビット/コンデンサ・パッドによって受信され得るか、あるいはその両方が実行され得るように、それらの各RFエミッタ/アンテナによってそれぞれ独立して局所化され得るということを示している。各波112および804の大きさまたは周波数あるいはその両方が独立して/個別に制御/調整され得るため、各ジョセフソン接合104および302は、アニーリングの定義された/個別のレベルを実現するように独立してアニールすることができ、そのようなアニーリングは、1つの接合のアニーリングが他の接合のアニーリングに実質的に影響を与えることなく、同時に発生することができる。
【0067】
前述したように、これの利点は、各対象の量子ビットが、隣接する量子ビットと比較してアニーリングの個別のレベルを実現できるように、かつ各量子ビットのアニーリングが隣接する量子ビットのアニーリングのレベルに必ずしも影響を与えないように、多量子ビット・チップ上の複数の量子ビットの独立した同時の局所化されたアニーリングを容易にすることである。
【0068】
図9は、コンピュータ実装方法900を示しており、コンピュータ実装方法900はコンピュータ実装方法400を含むことができ、第2のジョセフソン接合のアニーリングをさらに含むことができる。
【0069】
402で、第1の量子ビットおよび第2の量子ビットを含んでいる超伝導量子ビット・チップの上に位置するアンテナ・チップ上の第1のアンテナが、第1の電磁波を第1の量子ビットに向かって方向付けることができる。404で、第1のアンテナが、方向付けに基づいて第1の量子ビットの第1のジョセフソン接合をアニールすることができる。さらに、第1のアンテナと量子ビット・チップの間の第1の定義された垂直方向のギャップの第1の長さは、第1の波が第1の量子ビットの1つまたは複数のコンデンサ・パッドの第1のセットの周囲を囲むことを引き起こし、それによって、第1の量子ビットの第1のジョセフソン接合を加熱することができる。前述したように、これによって、第1の波が第2の量子ビットの1つまたは複数のコンデンサ・パッドの第2のセットの周囲を囲むのを防ぐことを引き起こし、それによって、第2の量子ビットの第2のジョセフソン接合を加熱しないようにすることができる。
【0070】
ここで、902で、アンテナ・チップ上の第2のアンテナが、第2の電磁波を第2のジョセフソン接合に向かって方向付けることができる。904で、第2のアンテナが、第2の波の方向付けに基づいて第2の量子ビットの第2のジョセフソン接合をアニールすることができる。さらに、第2のアンテナと量子ビット・チップの間の第2の定義された垂直方向のギャップの第2の長さは、第2の波が第2の量子ビットのコンデンサ・パッドの第2のセットの周囲を囲むことを引き起こし、それによって、第2の量子ビットの第2のジョセフソン接合を加熱することができる。上で説明されたように、これによって、第2の波がパッドの第1のセットの周囲を囲まないことを引き起こし、それによって、第1の量子ビットの第1のジョセフソン接合を加熱しないようにすることができる。前述したように、各アンテナは、個別に/独立して電圧または周波数あるいはその両方を調整可能であることができる。したがって、これによって、1つの量子ビットのアニーリングが別の量子ビットのアニーリングに実質的に影響を与えないように、多量子ビット・チップ上の複数の量子ビットの独立したまたは同時のあるいはその両方の(または連続的な)局所化されたアニーリングを有利に容易にすることができる。最後に、406で、前述したように、マイクロマニピュレータ、ピエゾコントローラ、または一時的取り付け具が、アンテナ・チップを第2の超伝導量子ビット・チップに移動し、第2の量子ビット・チップ上の量子ビットのアニーリングを容易にすることができる。
【0071】
図10は、放射される電磁波の波長を調整することを容易にするコンピュータ実装方法のフロー図である。
【0072】
最初の2つのステップは、前述したとおりであることができる。402で、第1の量子ビットおよび第2の量子ビットを含んでいる超伝導量子ビット・チップの上に位置するアンテナ・チップ上の第1のアンテナが、第1の電磁波を第1の量子ビットに向かって方向付けることができる。404で、第1のアンテナが、方向付けに基づいて第1の量子ビットの第1のジョセフソン接合をアニールすることができる。さらに、第1のアンテナと量子ビット・チップの間の第1の定義された垂直方向のギャップの第1の長さは、第1の波が第1の量子ビットの1つまたは複数のコンデンサ・パッドの第1のセットの周囲を囲むことを引き起こし、それによって、第1の量子ビットの第1のジョセフソン接合を加熱することができる。前述したように、これによって、第1の波が第2の量子ビットの1つまたは複数のコンデンサ・パッドの第2のセットの周囲を囲むのを防ぐことを引き起こし、それによって、第2の量子ビットの第2のジョセフソン接合を加熱しないようにすることができる。
【0073】
ここで、1002で、第1のアンテナが、パッドの第1のセットの第1の物理的寸法に基づいて第1の波の第1の波長を調整することができる。第1の波長は、パッドの第1のセットの第1の物理的寸法の約4倍以上になることができる。例えば、前述したように、第1のセットの各パッドは、受信パッチ・アンテナとして機能することができる。当業者が理解するであろうように、パッチ・アンテナは、それらのマイクロストリップの伝達長(例えば、第1の物理的寸法)の2倍程度の長さの波長を有する信号/波を効率的に受信/送信することができる。そのようなアンテナは、それらのアンテナ長の4倍程度の長さの波長を有する信号/波を効率的に受信/送信することができる。これの利点は、放射される/方向付けられる波を、コンデンサ・パッドによって確実に受信され得るように制御/調整することである。
【0074】
ここで、図11について検討する。図に示されているように、システム1100は、(1つまたは複数のコンデンサ・パッドの第1のセット1106を伴う)第1のジョセフソン接合1104および(1つまたは複数のコンデンサ・パッドの第2のセット1110を伴う)第2のジョセフソン接合1108を含んでいる超伝導量子ビット・チップ1102を備えることができる。システム1100は、量子ビット・チップ1102の上にアンテナ・チップ1120を含むこともできる。第1のアンテナ1112は、アンテナ・チップ1120上に存在することができ、第1の電磁波1114を第1のジョセフソン接合1104に向かって放射することができる。第2のアンテナ1122は、アンテナ・チップ1120上に存在することができ、第2の電磁波1124を第2のジョセフソン接合1108に向かって放射することができる。さらに、システム1100は、アンテナ・チップ1120(またはアンテナ1112および1122あるいはその両方)と量子ビット・チップ1102の間に定義された垂直方向のギャップ1118を含めて、アンテナ・チップ1120を量子ビット・チップ1102の上に配置することができる、マイクロマニピュレータまたはピエゾコントローラ1116(または図11に示されていない、前述したようなマイクロマニピュレータまたは一時的取り付け具、あるいはその両方)を備えることができる。さらに、定義された垂直方向のギャップ1118の長さ/高さは、第1の波1114が第1のジョセフソン接合1104の周囲を囲む(第2のジョセフソン接合1108の周囲を囲まない)ことを引き起こし、それによって、第1のジョセフソン接合1104をアニールする(第2のジョセフソン接合1108をアニールしない)ように、マイクロマニピュレータまたはピエゾコントローラ1116によって決定され得る。さらに、定義された垂直方向のギャップの長さ/高さは、第2の波1124が第2のジョセフソン接合1108の周囲を囲む(第1のジョセフソン接合1104の周囲を囲まない)ことを引き起こし、それによって、第2のジョセフソン接合1108をアニールする(第1のジョセフソン接合1104をアニールしない)ように、決定され得る。当業者は、図3および図8に関する説明の多くが図11に当てはまることができるということを理解するであろう。
【0075】
ここで、マイクロマニピュレータ/ピエゾコントローラ1116は、アンテナ・チップ1120と物理的に相互作用すること、またはアンテナ・チップ1120を物理的に移動するか、操作するか、配置するか、もしくは方向付けるか、またはその組み合わせを実行すること、あるいはその両方を実行することができる、デバイス(例えば、ロボット・アーム、メカトロニックな爪、その他の微小電気機械デバイスなど)であることができる。マイクロマニピュレータ/ピエゾコントローラ1116は、3軸制御を行うことができる(例えば、3次元空間内でx軸、y軸、またはz軸、あるいはその組み合わせに沿ってアンテナ・チップ1120を配置することができる)。本発明のその他の実施形態では、マイクロマニピュレータ/ピエゾコントローラ1116は、球座標に従って移動する(例えば、方位角、高度、および半径を制御する)ことによって、3次元空間内でアンテナ・チップ1120を配置することができる。本発明のさらに他の実施形態では、より少ない自由度が組み込まれ得る(例えば、定義された垂直方向のギャップ1118の高さを変える/制御するように、アンテナ・チップ1120を垂直方向のみに配置できるか、または量子ビット・チップ1102と平行な平面内のみで移動できるか、など)。量子ビットおよびジョセフソン接合は極端に小さい(例えば、場合によっては、サブミクロン寸法になる)可能性があるため、アンテナ・チップ1120を量子ビット・チップ1102の上に物理的に配置するには、高精度の電気的に制御されたアクチュエータなしでは実現できないレベルの移動精度が必要になることがある。マイクロマニピュレータ/ピエゾコントローラ1116を組み込むことによってこの問題を解決し、それによって、量子ビット・チップ1102の上のアンテナ・チップ1102の位置/向きに対する正確な制御を可能にすることができる。当業者が理解するであろうように、アンテナ・チップ1120と物理的に相互作用するか、またはアンテナ・チップ1120を操作するか、あるいはその両方を行うことができる従来技術において知られた任意の電気機械デバイス(例えば、作動ピストン、サーボ・モータ、DCモータ、圧電アクチュエータ、空気圧式アクチュエータ、微小電気機械アクチュエータなど)が組み込まれ得る。さらに、一時的取り付け具(例えば、スペーサ、機械式クランプなど)も組み込まれ得る。
【0076】
図11は単一のマイクロマニピュレータ/ピエゾコントローラ1116ならびに2つのアンテナ1112および1122のみを示しているが、当業者は、任意の数のマイクロマニピュレータまたはアンテナあるいはその両方が組み込まれ得るということを理解するであろう。
【0077】
前述したように、定義された垂直方向のギャップ1118の長さは、円錐の高さにほぼ等しくなることができる。実質的に前述したように、円錐の基部は、パッドの第1のセット1106の周囲を囲む(例えば、ジョセフソン接合1104の周囲を囲む)ことができ、円錐の頂角は、第1の電磁波1114の放射パターンのメイン・ローブの3デシベルの角度のビーム幅にほぼ等しくなることができる。
【0078】
図12は、マイクロマニピュレータまたはピエゾコントローラを使用してアンテナに基づく量子ビット・アニーリングを容易にするコンピュータ実装方法のフロー図である。
【0079】
1202で、マイクロマニピュレータ、ピエゾコントローラ、または一時的取り付け具が、アンテナ・チップを、第1のジョセフソン接合および第2のジョセフソン接合を含んでいる超伝導量子ビット・チップの上に配置することができる。さらに、マイクロマニピュレータ、ピエゾコントローラ、または一時的取り付け具は、アンテナ・チップと量子ビット・チップの間の定義された垂直方向のギャップを作成することができる。1204で、アンテナが、電磁波を第1のジョセフソン接合に向かって放射することができる。1206で、アンテナが、放射に基づいて第1のジョセフソン接合をアニールすることができる。さらに、定義された垂直方向のギャップの長さは、実質的に前述したように、波が第1のジョセフソン接合の周囲を囲むことを引き起こすように(かつ、例えば、第2のジョセフソン接合の周囲を囲むのを防ぐように)、マイクロマニピュレータ、ピエゾコントローラ、または一時的取り付け具によって決定され得る。
【0080】
さまざまな実施形態では、前述したように、定義された垂直方向のギャップの長さは、円錐としての波の放射パターンのモデルに応じて変化することができる。例えば、この円錐は、アンテナ・チップから生じることができ、量子ビット・チップに向かって広がることができる。定義された垂直方向のギャップの長さは、円錐の高さにほぼ等しくなることができる。そのような場合、円錐の基部は第1のジョセフソン接合の周囲を囲むことができ、円錐の頂角は、波の放射パターンのメイン・ローブの3デシベルの角度のビーム幅にほぼ等しくなることができる。やはり、これによって、多量子ビット・チップ上で局所化された独立した量子ビット・アニーリングを確実に一貫して実行するように、アンテナを量子ビット・チップの上に配置する問題を解決することができる。
【0081】
図13は、アニーリングのための行列に並べられた複数の超伝導量子ビット・チップにわたってアンテナ・チップを移動することによって、アンテナに基づく量子ビット・アニーリングを容易にするコンピュータ実装方法のフロー図である。
【0082】
1302で、システムが、アンテナを含んでいるアンテナ・チップを、第1のジョセフソン接合を含んでいる第1の超伝導量子ビット・チップの上に配置することができる。1304で、アンテナが、第1の電磁波を第1のジョセフソン接合に向かって放射することによって、第1のジョセフソン接合をアニールすることができる。1306で、システムが、アンテナ・チップを、第2のジョセフソン接合を含んでいる第2の超伝導量子ビット・チップの上に配置することができる。1308で、アンテナが、第2の電磁波を第2のジョセフソン接合に向かって放射することによって、第2のジョセフソン接合をアニールすることができる。
【0083】
言い換えると、方法1300は、アニールすることが望ましい/アニールするために行列に並べられた複数の量子ビット・チップにわたってアンテナ・チップ(例えば、エミッタ/アンテナを含んでおり、専用の量子ビット・アニーリング製造プロセスまたは製造ライン内にある半導体チップ)を移動することを容易にすることができる。複数の量子ビット・チップは、組み立てラインまたはコンベヤー・ベルトあるいはその両方を介してアンテナ・チップに提供され得る。アンテナ・チップは、特定の種類/設計の量子ビット・チップ上の複数の量子ビットに1対1方式で対応するように配置された複数のアンテナを含むことができる。そのような場合、複数の量子ビット・チップ(例えば、すべての量子ビット・チップがその特定の種類/設計に一致する)がアンテナ・チップに提供され、組み立てライン方式でアニールされ得る。異なる種類/設計の量子ビット・チップは、(例えば、異なる種類/設計の量子ビット・チップに1対1方式で対応するように異なる構成で半導体チップ上に配置された複数のアンテナを含んでいる)異なる種類/設計の半導体チップを必要とすることがある。当業者は、他の構成が組み込まれ得るということを理解するであろう。
【0084】
実質的に説明されたように、アンテナ・チップを第1の量子ビット・チップの上に配置すること、およびアンテナ・チップを第2の量子ビット・チップの上に配置することは、マイクロマニピュレータ、ピエゾコントローラ、または一時的取り付け具のうちの少なくとも1つを使用して実行され得る。本発明の他の実施形態では、アンテナ・チップを固定することができ、量子ビット・チップをアニーリングのためにアンテナ・チップに提供することができる。
【0085】
説明を簡単にするために、一連の動作としてコンピュータ実装方法が示され、説明される。本革新技術が、示された動作によって、または動作の順序によって、あるいはその両方によって制限されず、例えば動作が、本明細書において提示されておらず、説明されていない他の動作と共に、さまざまな順序で、または同時に、あるいはその両方で発生できるということが、理解されるべきである。さらに、本発明に従ってコンピュータ実装方法を実装するために、示されているすべての動作が必要でなくてもよい。加えて、当業者は、コンピュータ実装方法が、代替として、状態図を介して相互に関連する一連の状態またはイベントとして表され得るということを理解するであろう。そのようなコンピュータ実装方法をコンピュータに輸送および転送するのを容易にするために、以下および本明細書全体を通じて開示されたコンピュータ実装方法を製品に格納できるということが、さらに理解されるべきである。製品という用語は、本明細書において使用されるとき、任意のコンピュータ可読デバイスまたはコンピュータ可読ストレージ媒体からアクセスできるコンピュータ・プログラムを包含するよう意図されている。
【0086】
開示される対象のさまざまな態様の背景を提供するために、図14および以下の説明は、開示される対象のさまざまな態様が実装され得る適切な環境の概要を示すよう意図されている。図14は、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態を容易にすることができる例示的な非限定的動作環境のブロック図を示している。本明細書に記載された他の実施形態で採用されている類似する要素の説明の繰り返しは、簡潔にするために省略されている。図14を参照すると、本開示のさまざまな態様を実装するための適切な動作環境1400は、コンピュータ1412を含むこともできる。コンピュータ1412は、処理ユニット1414、システム・メモリ1416、およびシステム・バス1418を含むこともできる。システム・バス1418は、システム・メモリ1416を含むが、これに限定されないシステム・コンポーネントを、処理ユニット1414に結合する。処理ユニット1414は、さまざまな使用可能なプロセッサのいずれかであることができる。デュアル・マイクロプロセッサおよびその他のマルチプロセッサ・アーキテクチャが、処理ユニット1414として採用されてもよい。システム・バス1418は、インダストリ・スタンダード・アーキテクチャ(ISA:Industry Standard Architecture)、マイクロ・チャネル・アーキテクチャ(MCA:Micro Channel Architecture)、拡張ISA(EISA:Extended ISA)、インテリジェント・ドライブ・エレクトロニクス(IDE:Intelligent Drive Electronics)、VESAローカル・バス(VLB:VESA Local Bus)、ペリフェラル・コンポーネント・インターコネクト(PCI:Peripheral Component Interconnect)、カード・バス、ユニバーサル・シリアル・バス(USB:Universal Serial Bus)、アドバンスト・グラフィック・ポート(AGP:Advanced Graphics Port)、ファイヤーワイヤ(IEEE 1394)、および小型コンピュータ・システム・インターフェイス(SCSI:Small Computer Systems Interface)を含むが、これらに限定されない、任意のさまざまな使用可能なバス・アーキテクチャを使用する、メモリ・バスもしくはメモリ・コントローラ、ペリフェラル・バスもしくは外部バス、またはローカル・バス、あるいはその組み合わせを含む、複数の種類のバス構造のいずれかであることができる。システム・メモリ1416は、揮発性メモリ1420および不揮発性メモリ1422を含むこともできる。起動中などにコンピュータ1412内の要素間で情報を転送するための基本ルーチンを含んでいる基本入出力システム(BIOS:basic input/output system)が、不揮発性メモリ1422に格納される。不揮発性メモリ1422の例としては、読み取り専用メモリ(ROM:read only memory)、プログラマブルROM(PROM:programmable ROM)、電気的プログラマブルROM(EPROM:electrically programmable ROM)、電気的消去可能プログラマブルROM(EEPROM:electrically erasable programmable ROM)、フラッシュ・メモリ、または不揮発性ランダム・アクセス・メモリ(RAM:random access memory)(例えば、強誘電体RAM(FeRAM:ferroelectric RAM))が挙げられるが、これらに限定されない。揮発性メモリ1420は、外部キャッシュ・メモリとして機能するランダム・アクセス・メモリ(RAM)を含むこともできる。例えばRAMは、スタティックRAM(SRAM:static RAM)、ダイナミックRAM(DRAM:dynamic RAM)、シンクロナスDRAM(SDRAM:synchronous DRAM)、ダブル・データ・レートSDRAM(DDR SDRAM:double data rate SDRAM)、拡張SDRAM(ESDRAM)、シンクリンクDRAM(SLDRAM:Synchlink DRAM)、ダイレクト・ラムバスRAM(DRRAM:direct Rambus RAM)、ダイレクト・ラムバス・ダイナミックRAM(DRDRAM:direct Rambus dynamic RAM)、およびラムバス・ダイナミックRAMなどの、ただしこれらに限定されない、多くの形態で利用可能である。
【0087】
コンピュータ1412は、取り外し可能/取り外し不可能な揮発性/不揮発性のコンピュータ・ストレージ媒体を含むこともできる。例えば図14は、ディスク・ストレージ1424を示している。ディスク・ストレージ1424は、磁気ディスク・ドライブ、フロッピー(R)・ディスク・ドライブ、テープ・ドライブ、Jazドライブ、Zipドライブ、LS-100ドライブ、フラッシュ・メモリ・カード、またはメモリ・スティックなどの、ただしこれらに限定されない、デバイスを含むこともできる。ディスク・ストレージ1424は、コンパクト・ディスクROMデバイス(CD-ROM:compact disk ROM device)、記録可能CDドライブ(CD-Rドライブ:CD recordable drive)、再書き込み可能CDドライブ(CD-RWドライブ:CD rewritable drive)、またはデジタル多用途ディスクROMドライブ(DVD-ROM:digital versatile disk ROM drive)などの光ディスク・ドライブを含むが、これらに限定されないストレージ媒体を、別々に、または他のストレージ媒体と組み合わせて、含むこともできる。システム・バス1418へのディスク・ストレージ1424の接続を容易にするために、インターフェイス1426などの、取り外し可能または取り外し不可能なインターフェイスが通常は使用される。図14は、ユーザと、適切な動作環境1400において説明された基本的なコンピュータ・リソースとの間の仲介として機能するソフトウェアも示している。そのようなソフトウェアは、例えば、オペレーティング・システム1428を含むこともできる。ディスク・ストレージ1424に格納できるオペレーティング・システム1428は、コンピュータ1412のリソースを制御し、割り当てるように動作する。システムのアプリケーション1430は、例えばシステム・メモリ1416またはディスク・ストレージ1424のいずれかに格納されたプログラム・モジュール1432およびプログラム・データ1434を介して、オペレーティング・システム1428によるリソースの管理を利用する。さまざまなオペレーティング・システムまたはオペレーティング・システムの組み合わせを使用して本開示が実装され得るということが、理解されるべきである。ユーザは、入力デバイス1436を介して、コマンドまたは情報をコンピュータ1412に入力する。入力デバイス1436は、マウス、トラックボール、スタイラス、タッチ・パッド、キーボード、マイクロホン、ジョイスティック、ゲーム・パッド、衛星放送受信アンテナ、スキャナ、TVチューナー・カード、デジタル・カメラ、デジタル・ビデオ・カメラ、Webカメラなどのポインティング・デバイスを含むが、これらに限定されない。これらおよびその他の入力デバイスは、インターフェイス・ポート1438を介してシステム・バス1428を通り、処理ユニット1414に接続する。インターフェイス・ポート1438は、例えば、シリアル・ポート、パラレル・ポート、ゲーム・ポート、およびユニバーサル・シリアル・バス(USB)を含む。出力デバイス1440は、入力デバイス1436と同じ種類のポートの一部を使用する。このようにして、例えば、USBポートを使用して、入力をコンピュータ1412に提供し、コンピュータ1412から出力デバイス1440に情報を出力できる。出力アダプタ1442は、特殊なアダプタを必要とする出力デバイス1440の中でも特に、モニタ、スピーカ、およびプリンタのような何らかの出力デバイス1440が存在することを示すために提供される。出力アダプタ1442の例としては、出力デバイス1440とシステム・バス1418の間の接続の手段を提供するビデオ・カードおよびサウンド・カードが挙げられるが、これらに限定されない。リモート・コンピュータ1444などの、その他のデバイスまたはデバイスのシステムあるいはその両方が、入力機能および出力機能の両方を提供するということに、注意するべきである。
【0088】
コンピュータ1412は、リモート・コンピュータ1444などの1つまたは複数のリモート・コンピュータへの論理接続を使用して、ネットワーク環境内で動作できる。リモート・コンピュータ1444は、コンピュータ、サーバ、ルータ、ネットワークPC、ワークステーション、マイクロプロセッサベースの機器、ピア・デバイス、またはその他の一般的なネットワーク・ノードなどであることができ、通常は、コンピュータ1412に関連して説明された要素の多くまたはすべてを含むこともできる。簡潔にするために、メモリ・ストレージ・デバイス1446のみが、リモート・コンピュータ1444と共に示されている。リモート・コンピュータ1444は、ネットワーク・インターフェイス1448を介してコンピュータ1412に論理的に接続されてから、通信接続1450を介して物理的に接続される。ネットワーク・インターフェイス1448は、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN:local-area networks)、広域ネットワーク(WAN:wide-area networks)、セルラー・ネットワークなどの、有線通信ネットワークまたは無線通信ネットワークあるいはその両方を包含する。LAN技術は、光ファイバ分散データ・インターフェイス(FDDI:Fiber Distributed Data Interface)、銅線分散データ・インターフェイス(CDDI:Copper Distributed Data Interface)、イーサネット(R)、トークン・リングなどを含む。WAN技術は、ポイントツーポイント・リンク、総合デジタル通信網(ISDN:Integrated Services Digital Networks)およびその変形などの回路交換網、パケット交換網、およびデジタル加入者回線(DSL:Digital Subscriber Lines)を含むが、これらに限定されない。通信接続1450は、ネットワーク・インターフェイス1448をシステム・バス1418に接続するために採用されたハードウェア/ソフトウェアのことを指す。通信接続1450は、説明を明確にするために、コンピュータ1412内に示されているが、コンピュータ1412の外部に存在することもできる。ネットワーク・インターフェイス1448に接続するためのハードウェア/ソフトウェアは、単に例示の目的で、通常の電話の等級のモデム、ケーブル・モデム、およびDSLモデムを含むモデム、ISDNアダプタ、およびイーサネット(R)・カードなどの、内部および外部の技術を含むこともできる。
【0089】
本発明は、任意の可能な統合の技術的詳細レベルで、システム、コンピュータ実装方法、装置、またはコンピュータ・プログラム製品、あるいはその組み合わせであってよい。コンピュータ・プログラム製品は、プロセッサに本発明の態様を実行させるためのコンピュータ可読プログラム命令を含んでいるコンピュータ可読ストレージ媒体を含むことができる。コンピュータ可読ストレージ媒体は、命令実行デバイスによって使用するための命令を保持および格納できる有形のデバイスであることができる。コンピュータ可読ストレージ媒体は、例えば、電子ストレージ・デバイス、磁気ストレージ・デバイス、光ストレージ・デバイス、電磁ストレージ・デバイス、半導体ストレージ・デバイス、またはこれらの任意の適切な組み合わせであることができるが、これらに限定されない。コンピュータ可読ストレージ媒体のさらに具体的な例の非網羅的リストは、ポータブル・フロッピー(R)・ディスク、ハード・ディスク、ランダム・アクセス・メモリ(RAM:random access memory)、読み取り専用メモリ(ROM:read-only memory)、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM:erasable programmable read-only memoryまたはフラッシュ・メモリ)、スタティック・ランダム・アクセス・メモリ(SRAM:static random access memory)、ポータブル・コンパクト・ディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM:compact disc read-only memory)、デジタル多用途ディスク(DVD:digital versatile disk)、メモリ・スティック、フロッピー(R)・ディスク、パンチカードまたは命令が記録されている溝の中の隆起構造などの機械的にエンコードされるデバイス、およびこれらの任意の適切な組み合わせを含むこともできる。本明細書において使用されるとき、コンピュータ可読ストレージ媒体は、それ自体が、電波またはその他の自由に伝搬する電磁波、導波管またはその他の送信媒体を伝搬する電磁波(例えば、光ファイバ・ケーブルを通過する光パルス)、あるいはワイヤを介して送信される電気信号などの一過性の信号であると解釈されるべきではない。
【0090】
本明細書に記載されたコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読ストレージ媒体から各コンピューティング・デバイス/処理デバイスへ、またはネットワーク(例えば、インターネット、ローカル・エリア・ネットワーク、広域ネットワーク、または無線ネットワーク、あるいはその組み合わせ)を介して外部コンピュータまたは外部ストレージ・デバイスへダウンロードされ得る。このネットワークは、銅伝送ケーブル、光伝送ファイバ、無線送信、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイ・コンピュータ、またはエッジ・サーバ、あるいはその組み合わせを備えることができる。各コンピューティング・デバイス/処理デバイス内のネットワーク・アダプタ・カードまたはネットワーク・インターフェイスは、コンピュータ可読プログラム命令をネットワークから受信し、それらのコンピュータ可読プログラム命令を各コンピューティング・デバイス/処理デバイス内のコンピュータ可読ストレージ媒体に格納するために転送する。本発明の動作を実行するためのコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、命令セット・アーキテクチャ(ISA:instruction-set-architecture)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、集積回路のための構成データ、あるいは、Smalltalk(R)、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語などの手続き型プログラミング言語を含む1つまたは複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソース・コードまたはオブジェクト・コードであることができる。コンピュータ可読プログラム命令は、ユーザのコンピュータ上で全体的に実行すること、ユーザのコンピュータ上でスタンドアロン・ソフトウェア・パッケージとして部分的に実行すること、ユーザのコンピュータ上およびリモート・コンピュータ上でそれぞれ部分的に実行すること、あるいはリモート・コンピュータ上またはサーバ上で全体的に実行することができる。後者のシナリオでは、リモート・コンピュータは、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)または広域ネットワーク(WAN)を含む任意の種類のネットワークを介してユーザのコンピュータに接続することができるか、または接続は、(例えば、インターネット・サービス・プロバイダを使用してインターネットを介して)外部コンピュータに対して行われ得る。一部の実施形態では、本発明の態様を実行するために、例えばプログラマブル論理回路、フィールドプログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA:field-programmable gate arrays)、またはプログラマブル・ロジック・アレイ(PLA:programmable logic arrays)を含む電子回路は、コンピュータ可読プログラム命令の状態情報を利用することによって、電子回路をカスタマイズするためのコンピュータ可読プログラム命令を実行することができる。
【0091】
本発明の態様は、本明細書において、本発明の実施形態に従って、方法、装置(システム)、およびコンピュータ・プログラム製品のフローチャート図またはブロック図あるいはその両方を参照して説明される。フローチャート図またはブロック図あるいはその両方の各ブロック、ならびにフローチャート図またはブロック図あるいはその両方に含まれるブロックの組み合わせが、コンピュータ可読プログラム命令によって実装され得るということが理解されるであろう。これらのコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータまたはその他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサを介して実行される命令が、フローチャートまたはブロック図あるいはその両方の1つまたは複数のブロックに指定される機能/動作を実施する手段を作り出すべく、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサに提供されてマシンを作り出すものであることができる。これらのコンピュータ可読プログラム命令は、命令が格納されたコンピュータ可読ストレージ媒体がフローチャートまたはブロック図あるいはその両方の1つまたは複数のブロックに指定される機能/動作の態様を実施する命令を含んでいる製品を備えるように、コンピュータ可読ストレージ媒体に格納され、コンピュータ、プログラム可能なデータ処理装置、または他のデバイス、あるいはその組み合わせに特定の方式で機能するように指示できるものであることもできる。コンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ上、その他のプログラム可能な装置上、またはその他のデバイス上で実行される命令が、フローチャートまたはブロック図あるいはその両方の1つまたは複数のブロックに指定される機能/動作を実施するように、コンピュータ、その他のプログラム可能なデータ処理装置、またはその他のデバイスに読み込むこともでき、それによって、一連の操作可能な動作を、コンピュータ上、その他のプログラム可能な装置上、またはコンピュータ実装プロセスを生成するその他のデバイス上で実行させる。
【0092】
図内のフローチャートおよびブロック図は、本発明のさまざまな実施形態に従って、システム、コンピュータ実装方法、およびコンピュータ・プログラム製品の可能な実装のアーキテクチャ、機能、および動作を示す。これに関連して、フローチャートまたはブロック図内の各ブロックは、規定された論理機能を実装するための1つまたは複数の実行可能な命令を含んでいる、命令のモジュール、セグメント、または部分を表すことができる。一部の代替の実装では、ブロックに示された機能は、図に示された順序とは異なる順序で発生することができる。例えば、連続して示された2つのブロックは、実際には、含まれている機能に応じて、実質的に同時に実行されるか、またはブロックは場合によっては逆の順序で実行され得る。ブロック図またはフローチャート図あるいはその両方の各ブロック、ならびにブロック図またはフローチャート図あるいはその両方に含まれるブロックの組み合わせは、規定された機能もしくは動作を実行するか、または専用ハードウェアとコンピュータ命令の組み合わせを実行する専用ハードウェアベースのシステムによって実装され得るということにも注意する。
【0093】
上記では、1つのコンピュータまたは複数のコンピュータあるいはその両方で実行されるコンピュータ・プログラム製品のコンピュータ実行可能命令との一般的な関連において、対象が説明されたが、当業者は、本開示がまたその他のプログラム・モジュールと組み合わせて実装され得るということを認識するであろう。通常、プログラム・モジュールは、特定のタスクを実行するか、または特定の抽象データ型を実装するか、あるいはその両方を行うルーチン、プログラム、コンポーネント、データ構造などを含む。さらに、当業者は、本発明のコンピュータ実装方法が、シングルプロセッサ・コンピュータ・システムまたはマルチプロセッサ・コンピュータ・システム、ミニコンピューティング・デバイス、メインフレーム・コンピュータ、ならびにコンピュータ、ハンドヘルド・コンピューティング・デバイス(例えば、PDA、電話機)、マイクロプロセッサベースもしくはプログラム可能な家庭用電化製品または産業用電子機器などを含む、その他のコンピュータ・システム構成を使用して実践され得るということを理解するであろう。示された態様は、通信ネットワークを介してリンクされたリモート処理デバイスによってタスクが実行される、分散コンピューティング環境内で実践されてもよい。ただし、本開示の態様の全部ではないとしても一部は、スタンドアロン・コンピュータ上で実践され得る。分散コンピューティング環境において、プログラム・モジュールは、ローカルおよびリモートの両方のメモリ・ストレージ・デバイスに配置され得る。
【0094】
本出願において使用されるとき、「コンポーネント」、「システム」、「プラットフォーム」、「インターフェイス」などの用語は、1つまたは複数の特定の機能を含むコンピュータ関連の実体または操作可能なマシンに関連する実体を指すことができるか、またはそれらの実体を含むことができるか、あるいはその両方が可能である。本明細書で開示された実体は、ハードウェア、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせ、ソフトウェア、または実行中のソフトウェアのいずれかであることができる。例えば、コンポーネントは、プロセッサ上で実行されるプロセス、プロセッサ、オブジェクト、実行ファイル、実行のスレッド、プログラム、またはコンピュータ、あるいはその組み合わせであることができるが、これらに限定されない。例として、サーバ上で実行されるアプリケーションおよびサーバの両方が、コンポーネントであることができる。1つまたは複数のコンポーネントが、プロセス内または実行のスレッド内あるいはその両方に存在することができ、コンポーネントは、1つのコンピュータ上に局在することが可能か、または2つ以上のコンピュータ間で分散され得るか、あるいはその両方が可能である。別の例では、各コンポーネントは、さまざまなデータ構造が格納されているさまざまなコンピュータ可読媒体から実行できる。コンポーネントは、1つまたは複数のデータ・パケット(例えば、ローカル・システム、分散システム内の別のコンポーネントと情報をやりとりするか、またはインターネットなどのネットワークを経由して、信号を介して他のシステムと情報をやりとりするか、あるいはその両方によって情報をやりとりする、1つのコンポーネントからのデータ)を含んでいる信号などに従って、ローカルまたはリモートあるいはその両方のプロセスを介して通信できる。別の例として、コンポーネントは、電気または電子回路によって操作される機械的部品によって提供される特定の機能を有する装置であることができ、プロセッサによって実行されるソフトウェア・アプリケーションまたはファームウェア・アプリケーションによって操作される。そのような場合、プロセッサは、装置の内部または外部に存在することができ、ソフトウェア・アプリケーションまたはファームウェア・アプリケーションの少なくとも一部を実行できる。さらに別の例として、コンポーネントは、機械的部品を含まない電子コンポーネントを介して特定の機能を提供する装置であることができ、それらの電子コンポーネントは、電子コンポーネントの機能の少なくとも一部を与えるソフトウェアまたはファームウェアを実行するためのプロセッサまたはその他の手段を含むことができる。1つの態様では、コンポーネントは、例えばクラウド・コンピューティング・システム内で、仮想マシンを介して電子コンポーネントをエミュレートすることができる。
【0095】
加えて、「または」という用語は、排他的論理和ではなく、包含的論理和を意味するよう意図されている。すなわち、特に指定されない限り、または文脈から明らかでない限り、「XがAまたはBを採用する」は、自然な包含的順列のいずれかを意味するよう意図されている。すなわち、XがAを採用するか、XがBを採用するか、またはXがAおよびBの両方を採用する場合、「XがAまたはBを採用する」が、前述の事例のいずれかにおいて満たされる。さらに、本明細書および添付の図面において使用される冠詞「a」および「an」は、単数形を対象にすることが特に指定されない限り、または文脈から明らかでない限り、「1つまたは複数」を意味すると一般に解釈されるべきである。本明細書において使用されるとき、「例」または「例示的」あるいはその両方の用語は、例、事例、または実例となることを意味するために使用される。誤解を避けるために、本明細書で開示された対象は、そのような例によって制限されない。加えて、「例」または「例示的」あるいはその両方として本明細書に記載された任意の態様または設計は、他の態様または設計よりも好ましいか、または有利であると必ずしも解釈されず、当業者に知られている同等の例示的な構造および技術を除外するよう意図されていない。
【0096】
本明細書において使用されるとき、「プロセッサ」という用語は、シングルコア・プロセッサと、ソフトウェアのマルチスレッド実行機能を備えるシングルプロセッサと、マルチコア・プロセッサと、ソフトウェアのマルチスレッド実行機能を備えるマルチコア・プロセッサと、ハードウェアのマルチスレッド技術を備えるマルチコア・プロセッサと、並列プラットフォームと、分散共有メモリを備える並列プラットフォームとを含むが、これらに限定されない、実質的に任意の計算処理ユニットまたはデバイスを指すことができる。さらに、プロセッサは、集積回路、特定用途向け集積回路(ASIC:application specific integrated circuit)、デジタル信号プロセッサ(DSP:digital signal processor)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA:field programmable gate array)、プログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC:programmable logic controller)、複合プログラム可能論理デバイス(CPLD:complex programmable logic device)、個別のゲートまたはトランジスタ論理、個別のハードウェア・コンポーネント、あるいは本明細書に記載された機能を実行するように設計されたこれらの任意の組み合わせを指すことができる。さらに、プロセッサは、空間利用を最適化し、ユーザ機器の性能を向上するために、分子および量子ドットベースのトランジスタ、スイッチ、およびゲートなどの、ただしこれらに限定されない、ナノスケール・アーキテクチャを利用することができる。プロセッサは、計算処理ユニットの組み合わせとして実装されてもよい。本開示では、コンポーネントの動作および機能に関連する「ストア」、「ストレージ」、「データ・ストア」、「データ・ストレージ」、「データベース」、および実質的に任意のその他の情報格納コンポーネントなどの用語は、「メモリ・コンポーネント」、「メモリ」内に具現化された実体、またはメモリを備えているコンポーネントを指すために使用される。本明細書に記載されたメモリまたはメモリ・コンポーネントあるいはその両方が、揮発性メモリまたは不揮発性メモリのいずれかであることができるか、あるいは揮発性メモリおよび不揮発性メモリの両方を含むことができるということが、理解されるべきである。不揮発性メモリの例としては、読み取り専用メモリ(ROM)、プログラマブルROM(PROM)、電気的プログラマブルROM(EPROM)、電気的消去可能ROM(EEPROM)、フラッシュ・メモリ、または不揮発性ランダム・アクセス・メモリ(RAM)(例えば、強誘電体RAM(FeRAM))が挙げられるが、これらに限定されない。揮発性メモリは、例えば外部キャッシュ・メモリとして機能できる、RAMを含むことができる。例えばRAMは、シンクロナスRAM(SRAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、シンクロナスDRAM(SDRAM)、ダブル・データ・レートSDRAM(DDR SDRAM)、拡張SDRAM(ESDRAM)、シンクリンクDRAM(SLDRAM)、ダイレクト・ラムバスRAM(DRRAM)、ダイレクト・ラムバス・ダイナミックRAM(DRDRAM)、およびラムバス・ダイナミックRAM(RDRAM:Rambus dynamic RAM)などの、ただしこれらに限定されない、多くの形態で利用可能である。さらに、本明細書において開示されたシステムまたはコンピュータ実装方法のメモリ・コンポーネントは、これらおよび任意のその他の適切な種類のメモリを含むが、これらに限定されない、メモリを含むよう意図されている。
【0097】
本発明の好ましい実施形態では、第1のジョセフソン接合および第2のジョセフソン接合を含んでいる超伝導量子ビット・チップと、超伝導量子ビット・チップの上のアンテナ・チップと、第1の電磁波を第1のジョセフソン接合に向かって放射する、アンテナ・チップ上の第1のアンテナと、第2の電磁波を第2のジョセフソン接合に向かって放射する、アンテナ・チップ上の第2のアンテナと、アンテナ・チップと超伝導量子ビット・チップの間の定義された垂直方向のギャップを伴って超伝導量子ビット・チップの上にアンテナ・チップを配置する、マイクロマニピュレータ、ピエゾコントローラ、または一時的取り付け具とを備えているデバイスが提供されており、定義された垂直方向のギャップの長さが、第1の電磁波が第1のジョセフソン接合の周囲を囲むことを引き起こし、それによって第1のジョセフソン接合をアニールし、第2の電磁波が第2のジョセフソン接合の周囲を囲むことを引き起こし、それによって第2のジョセフソン接合をアニールすることを引き起こすように、マイクロマニピュレータ、ピエゾコントローラ、または一時的取り付け具によって決定される。
【0098】
定義された垂直方向のギャップの長さが円錐の高さにほぼ等しくなり、この円錐の基部が第1のジョセフソン接合の周囲を囲み、この円錐の頂角が、第1の電磁波の放射パターンのメイン・ローブの3デシベルの角度のビーム幅にほぼ等しくなることが好ましい。
【0099】
本発明の好ましい実施形態では、マイクロマニピュレータ、ピエゾコントローラ、または一時的取り付け具によって、アンテナ・チップを、アンテナ・チップと超伝導量子ビット・チップの間の定義された垂直方向のギャップを伴って、第1のジョセフソン接合および第2のジョセフソン接合を含んでいる超伝導量子ビット・チップの上に配置することと、アンテナ・チップによって、電磁波を第1のジョセフソン接合に向かって放射することと、アンテナ・チップによって、放射に基づいて第1のジョセフソン接合をアニールすることとを含んでいるコンピュータ実装方法が提供されており、定義された垂直方向のギャップの長さが、電磁波が第1のジョセフソン接合の周囲を囲むことを引き起こすように、マイクロマニピュレータ、ピエゾコントローラ、または一時的取り付け具によって決定される。
【0100】
定義された垂直方向のギャップの長さが、円錐としての電磁波の放射パターンのモデルに応じて変化し、この円錐がアンテナ・チップから生じ、超伝導量子ビット・チップに向かって広がるのが好ましい。
【0101】
定義された垂直方向のギャップの長さが円錐の高さにほぼ等しくなり、この円錐の基部が第1のジョセフソン接合の周囲を囲み、この円錐の頂角が、電磁波の放射パターンのメイン・ローブの3デシベルの角度のビーム幅にほぼ等しくなることが好ましい。
【0102】
本発明の好ましい実施形態では、システムによって、アンテナを含んでいるアンテナ・チップを、第1のジョセフソン接合を含んでいる第1の超伝導量子ビット・チップの上に配置することと、アンテナを介して第1の電磁波を第1のジョセフソン接合に向かって放射することによって、アンテナによって第1のジョセフソン接合をアニールすることと、システムによって、アンテナ・チップを、第2のジョセフソン接合を含んでいる第2の超伝導量子ビット・チップの上に配置することと、アンテナを介して第2の電磁信号を第2のジョセフソン接合に向かって放射することによって、アンテナによって第2のジョセフソン接合をアニールすることとを含んでいるコンピュータ実装方法が提供されている。
【0103】
アンテナ・チップを第1の超伝導量子ビット・チップの上に配置すること、およびアンテナ・チップを第2の超伝導量子ビット・チップの上に配置することが、マイクロマニピュレータ、ピエゾコントローラ、または一時的取り付け具のうちの少なくとも1つを使用して実行されるのが好ましい。
【0104】
前述した内容は、システムおよびコンピュータ実装方法の単なる例を含んでいる。当然ながら、本開示を説明する目的で、コンポーネントまたはコンピュータ実装方法の考えられるすべての組み合わせについて説明することは不可能であるが、当業者は、本開示の多くのその他の組み合わせおよび並べ替えが可能であるということを認識できる。さらに、「含む」、「有する」、「所有する」などの用語が、発明を実施するための形態、特許請求の範囲、付録、および図面において使用される範囲では、それらの用語は、「備えている」が請求項における暫定的な用語として使用されるときに解釈されるような、用語「備えている」と同様の方法で、包含的であるよう意図されている。さまざまな実施形態の説明は、例示の目的で提示されているが、網羅的であることは意図されていないか、または開示された実施形態に制限されない。本発明の範囲を逸脱することなく多くの変更および変形が可能であることは、当業者にとって明らかであろう。本明細書で使用された用語は、本発明の原理、実際の適用、もしくは市場で見られる技術を超える技術的改良を最も適切に説明するため、または他の当業者が本発明を理解できるようにするために選択されている。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14