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特許7335355サージ保護デバイスおよびモジュール式サージ保護システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-21
(45)【発行日】2023-08-29
(54)【発明の名称】サージ保護デバイスおよびモジュール式サージ保護システム
(51)【国際特許分類】
   H01T 1/14 20060101AFI20230822BHJP
   H01T 4/02 20060101ALI20230822BHJP
   H01T 4/04 20060101ALI20230822BHJP
【FI】
H01T1/14 C
H01T4/02 B
H01T4/02 G
H01T4/04 Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021562942
(86)(22)【出願日】2020-04-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-11
(86)【国際出願番号】 EP2020061252
(87)【国際公開番号】W WO2020216806
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2022-03-01
(31)【優先権主張番号】102019110745.8
(32)【優先日】2019-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】522067846
【氏名又は名称】デーン エスエー
【氏名又は名称原語表記】DEHN SE
【住所又は居所原語表記】Hans-Dehn-Strasse 1 92318 Neumarkt i.d.OPf. Deutschland
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュトラングフェルド、ウーヴェ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィットマン、ゲオルク
(72)【発明者】
【氏名】ダウム、リヒャルト
(72)【発明者】
【氏名】シェーン、シュテファン
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102015114953(DE,A1)
【文献】特表2009-541958(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0231872(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01T 1/14
H01T 4/02
H02H 9/04
H01C 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(50)内に設けられた少なくとも1つの断路デバイス(38)と、熱伝導要素(40)と、表示デバイス(44)を作動させるための作動要素(42)と、係止要素(58)とを備える、サージ保護デバイスであって、
前記熱伝導要素(40)が、前記ハウジング(50)と接触しており、前記作動要素(42)が、前記係止要素(58)によって前記熱伝導要素(40)に締結され、前記係止要素(58)による締結が、前記係止要素(58)で所定温度を超えたときに前記係止要素(58)が前記熱伝導要素(40)および/または前記作動要素(42)から分離し前記作動要素(42)を解放するように構成され
前記係止要素(58)は、感温性材料(62)を含み、その融点が前記所定温度を決定し、
前記係止要素(58)は、前記感温性材料(62)によって前記作動要素(42)および前記熱伝導要素(40)のうちの一方に締結された構成要素(60)を含む、サージ保護デバイス。
【請求項2】
前記作動要素(42)が、拘束位置と解放位置との間で動くことができ、前記係止要素(58)が、前記作動要素(42)を前記拘束位置に固定し、前記作動要素(42)が、前記拘束位置において予張力が付与されるように適合されることを特徴とする、請求項1に記載のサージ保護デバイス。
【請求項3】
前記サージ保護デバイス(14)は、ハウジング(50)をそれぞれ有する、ちょうど1つ、または少なくとも2つ、特に3つまたは4つの断路デバイス(38)を有し、前記熱伝導要素(40)が、前記ハウジング(50)のうちの少なくとも2つ、特にそのすべてと接触していることを特徴とする、請求項1または2に記載のサージ保護デバイス。
【請求項4】
前記少なくとも1つの断路デバイス(38)が、スパーク・ギャップ(52)を有し、前記ハウジング(50)が、前記スパーク・ギャップ(52)を取り囲んでいることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のサージ保護デバイス。
【請求項5】
前記感温性材料(62)はんだであることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のサージ保護デバイス。
【請求項6】
前記構成要素(60)回路基板であり、特に、前記構成要素(60)が、前記作動要素(42)および前記熱伝導要素(40)のうちの他方に恒久的に締結されていることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載のサージ保護デバイス。
【請求項7】
前記熱伝導要素(40)が金属板、特に銅製であり、および/または、前記熱伝導要素(40)が、前記ハウジング(50)に対して前記熱伝導要素(40)を付勢する少なくとも1つのばねセクション(56)を有することを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のサージ保護デバイス。
【請求項8】
前記サージ保護デバイス(14)は、前記熱伝導要素(40)が締結され、前記少なくとも1つの断路デバイス(38)が締結され、および/または前記作動要素(42)が案内される、フレーム(36)および/またはデバイス・ハウジング(32)を有することを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のサージ保護デバイス。
【請求項9】
前記サージ保護デバイス(14)は、表示領域(71)と、前記表示領域(71)に固定された第1の表示面(80)と、可動の第2の表示面(82)とを含む、表示デバイス(44)を有し、
前記第2の表示面(82)が、前記第1の表示面(80)と重なる拘束位置と、前記第1の表示面(80)に対してオフセットして配置される解放位置との間で動くことができる
ことを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載のサージ保護デバイス。
【請求項10】
前記第2の表示面(82)が、可動の表示要素(74)上に形成され、前記表示要素(74)が、前記拘束位置では、前記解放位置の方向にばね(76)によって予張力が付与されて拘束され、前記解放位置では、前記表示要素(74)の拘束が前記作動要素(42)によって解かれることを特徴とする、請求項9に記載のサージ保護デバイス。
【請求項11】
前記作動要素(42)および前記表示要素(74)が、大部分において、前記サージ保護デバイス(14)の異なる側に配置されることを特徴とする、請求項10に記載のサージ保護デバイス。
【請求項12】
ベース部(12)と、請求項1から11のいずれか一項に記載のサージ保護デバイス(14)とを備えるモジュール式サージ保護システムであって、前記ベース部(12)が、前記サージ保護デバイス(14)のための収容部(20)と、予張力付与デバイス(24)とを有し、
前記予張力付与デバイス(24)が、ばね(28)と、前記収容部(20)内に部分的に突出した可動の張力付与部(30)とを有し、
前記張力付与部(30)が、前記サージ保護デバイス(14)の作動要素(42)と係合し、前記ばね(28)が、前記サージ保護デバイス(14)が前記ベース部(12)に挿入されると、前記張力付与部(30)を通して前記作動要素(42)に予張力を付与する、モジュール式サージ保護システム。
【請求項13】
前記サージ保護システム(10)は、リモート信号スイッチ(22)を有し、前記リモート信号スイッチ(22)が、前記ばね(28)、特に前記予張力付与デバイス(24)を含むことを特徴とする、請求項12に記載のモジュール式サージ保護システム。
【請求項14】
ハウジング(50)内に設けられた少なくとも1つの断路デバイス(38)と、熱伝導要素(40)と、表示デバイス(44)を作動させるための作動要素(42)と、係止要素(58)とを備える、サージ保護デバイスであって、
前記熱伝導要素(40)が、前記ハウジング(50)と接触しており、前記作動要素(42)が、前記係止要素(58)によって前記熱伝導要素(40)に締結され、前記係止要素(58)による締結が、前記係止要素(58)で所定温度を超えたときに前記係止要素(58)が前記熱伝導要素(40)および/または前記作動要素(42)から分離し前記作動要素(42)を解放するように構成され、
ハウジング(50)をそれぞれ有する、少なくとも2つの断路デバイス(38)を有し、前記熱伝導要素(40)は、前記ハウジング(50)の少なくとも2つと接触する、サージ保護デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サージ保護デバイス、詳細には、タイプ1、タイプ2、またはタイプ1と2の組合せのサージ保護デバイス、および、モジュール式サージ保護システム、詳細には、タイプ1、タイプ2、またはタイプ1と2の組合せのモジュール式サージ保護システムに関する。
【背景技術】
【0002】
タイプ1のサージ保護デバイスは、例えば落雷の際に、建物の入口を保護する役割を果たす。コンパクトなデザイン、すなわちまとめて取り付けられたユニットを構成する、タイプ1のサージ保護デバイスが知られている。
【0003】
タイプ2のサージ保護デバイスは、さらに建物内部に配置され、やはりまたコンパクトなデザインとなり得る。
【0004】
そのようなサージ保護デバイスは、いわゆる集合表示器、すなわちデバイスの状態に関する視覚表示器、およびリモート信号スイッチを備えることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、そのようなコンパクトなサージ保護デバイスでは、落雷後などの不具合が発生するとすぐに、常にユニット全体を取り替えなければならないという欠点がある。したがって、本発明の目的は、集合表示器および/またはリモート信号スイッチを作動させることができ、かつモジュール式のサージ保護デバイスおよびモジュール式サージ保護システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するため、ハウジング内に設けられた少なくとも1つの断路デバイスと、熱伝導要素と、表示デバイスを作動させるための作動要素と、係止要素と、を備えるサージ保護デバイス、具体的にはタイプ1、タイプ2またはタイプ1と2の組合せのサージ保護デバイスが提供される。熱伝導要素は、ハウジングと接触している。作動要素は、係止要素によって熱伝導要素に締結され、係止要素によるこの締結は、係止要素で所定温度を超えたときに、係止要素が熱伝導要素および/または作動要素から分離し作動要素を解放するように形成される。
【0007】
熱伝導要素を用いることによって、作動要素の解放のために断路デバイスでの熱の発生を利用することが可能になる。作動要素はさらに、ここでは表示デバイスの形態である集合表示器、またはリモート信号スイッチの作動に使用され得る。
【0008】
熱伝導要素は、具体的には、過電圧の場合においても、通電部材ではない。
【0009】
本発明の文脈において、「接触している」とは、良好な熱伝導接続があることを意味し、具体的には、熱伝導要素が、ハウジングに、特に外から接触すること、および/または単に熱伝導性ペーストまたは熱伝導性接着剤などが熱伝導要素とハウジングとの間に設けられることを意味する。
【0010】
具体的には、作動要素は、拘束位置と解放位置との間で動くことができ、係止要素は、作動要素を拘束位置に固定し、作動要素は、拘束位置において予張力が付与されるように適合される。予張力により、直接的な作動、したがって短い応答時間が達成される。例えば、予張力は、表示デバイスに向けて作用する。
【0011】
一実施形態では、サージ保護デバイスは、作動要素に予張力を付与するばねを有することができる。
【0012】
例えば、サージ保護デバイスは、ハウジングをそれぞれ有する、ちょうど1つ、または少なくとも2つ、特に3つまたは4つの断路デバイスを有し、熱伝導要素は、ハウジングのうちの少なくとも2つ、特にそのすべてと接触している。このように、OR回路は、熱伝導要素によって実現される。
【0013】
確実で危険のない断路を可能にするため、少なくとも1つの断路デバイスは、スパーク・ギャップを有することができ、ハウジングは、スパーク・ギャップを取り囲んでいてもよい。スパーク・ギャップは、例えば、ホーン状(horn)スパーク・ギャップである。
【0014】
本発明の一実施形態では、係止要素は、感温性材料、特にはんだを含み、その融点は所定温度を決定し、その結果、所定温度、したがって解放閾値の正確な調節が可能になる。
【0015】
感温性材料は、例えば、低温はんだであり、特に、110℃から140℃の間の融点、例えば138℃の融点を有する低温はんだである。
【0016】
信頼性の高い作動を確実にするため、係止要素は、感熱性材料によって作動要素および熱伝導要素のうちの一方に締結された構成要素、特に回路基板を備えることができ、特に、この構成要素は、作動要素および熱伝導要素のうちの他方に恒久的に締結されている。
【0017】
本発明の一構成では、熱伝導要素は金属板、特に銅製であり、その結果、より離れた断路デバイスと係止要素との間で、信頼性の高い熱伝達もまた達成される。
【0018】
ハウジングとの熱接触を向上させるため、熱伝導要素は、ハウジングに対して熱伝導要素を付勢するばねセクションを有することができる。ばねセクションは、例えば、フレームおよび/またはデバイス・ハウジングを支持する。
【0019】
サージ保護デバイスは、熱伝導要素が締結され、少なくとも1つの断路デバイスが締結され、および/または作動要素が案内される、フレームおよび/またはデバイス・ハウジングを有することができ、したがって、コンパクトなデザインが達成される。
【0020】
サージ保護デバイスの状態を視覚的に表示するために、サージ保護デバイスは、表示領域と、表示領域に固定された第1の表示面と、可動の第2の表示面とを含む、表示デバイスを有することができる。第2の表示面は、第1の表示面と重なる拘束位置と、第1の表示面に対してオフセットして配置される解放位置との間で動くことができ得る。表示デバイスは、集合表示器と称することもできる。
【0021】
例えば、第2の表示面は、可動の表示要素上に形成され、表示要素は、拘束位置では、拘束され解放位置の方向にばねによって予張力が付与され、解放位置では、表示要素の拘束が、作動要素によって解かれる。このように、作動要素は、表示デバイスを作動させることができる。
【0022】
読み取りやすい視覚表示器とリモート信号スイッチの両方を作動させるため、作動要素および表示要素は、大部分において、サージ保護デバイスの異なる側に配置され得る。
【0023】
例えば、表示要素は、大部分において、すなわち自由端を除く大部分、および表示領域も、サージ保護デバイスの上面に設けられ、その一方、作動要素はサージ保護デバイスの側面に設けられる。
【0024】
表示要素および作動要素の動きの方向は、互いに対して垂直、例えば横方向と上方向とすることができる。
【0025】
目的はさらに、ベース部と先述したようなサージ保護デバイスとを備え、ベース部が、サージ保護デバイスのための収容部と予張力付与デバイスとを有する、モジュール式サージ保護システム、具体的には、タイプ1、タイプ2およびタイプ1と2の組合せのモジュール式サージ保護システムによって達成される。予張力付与デバイスは、ばねと、収容部内に部分的に突出した可動の張力付与部とを有し、張力付与部は、サージ保護デバイスの作動要素と係合し、ばねは、サージ保護デバイスがベース部に挿入されると、張力付与部を通して作動要素に予張力を付与する。
【0026】
サージ保護デバイスについて記載した特徴および利点は、モジュール式サージ保護システムにも等しく適用される。
【0027】
本発明の文脈において、ばねは、一般に、復元力を提供するように適合された弾性構成要素を意味するものと理解される。
【0028】
例えば、サージ保護システムは、リモート信号スイッチを有し、リモート信号スイッチは、ばね、特に予張力付与デバイスを含む。したがって、ばねは、リモート信号スイッチを作動させるだけでなく、表示デバイスも作動させ、したがって構成要素の省略になる。
【0029】
本発明のさらなる特徴および利点は、以下の説明および添付の図面の参照から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明によるサージ保護デバイスを有する、本発明によるモジュール式サージ保護システムの図である。
図2a図1によるサージ保護システムのベース部の図である。
図2b図2aによるベース部の一部分の拡大図である。
図3a図1によるサージ保護システムのサージ保護デバイスおよび構成要素の予張力付与デバイスの図である。
図3b図3aによる予張力付与デバイスとサージ保護デバイスとの間の接点の拡大図である。
図4】拘束状態にある、図1によるオープンなサージ保護デバイスの斜視図である。
図5図4によるサージ保護デバイスの熱伝導要素の図である。
図6図4の線VI-VIに沿ったサージ保護デバイスの部分断面図である。
図7】トリガ後の状態にある、図4によるサージ保護デバイスの図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、ベース部12とサージ保護デバイス14とを有する、本発明によるモジュール式サージ保護システム10を示している。
【0032】
サージ保護システム10は、サージ保護デバイス14をベース部12から取り外すことができ、例えば落雷後に取り替えることができるという効果を奏するモジュール式である。
【0033】
サージ保護システム10およびサージ保護デバイス14はそれぞれ、タイプ1のサージ保護システムおよびタイプ1のサージ保護デバイスである。
【0034】
図2aには、ベース部12が別に示されており、ベース部12は、端子18を有するハウジング16と収容部20とを含む。
【0035】
サージ保護デバイス14は、収容部20に挿入方向Rに挿入され、そこで保持され得る。そうすることで、サージ保護システム10の動作準備が整う。
【0036】
図2bに示されるように、ハウジング16内には、予張力付与デバイス24を備えるリモート信号スイッチ22(FMスイッチ)が設けられる。
【0037】
リモート信号スイッチ22は、サージ保護システム10またはサージ保護デバイス14の状態を示す建物管理システムまたはスイッチ・キャビネットの制御装置などに組み入れられ得る、リリース(release)27を有するマイクロスイッチ26をさらに備える。
【0038】
予張力付与デバイス24は、ばね28と、ハウジング16を通って収容部20内へと延在する可動の張力付与部30とを備える。
【0039】
張力付与部30は、挿入方向Rに動くことができるように構成される。さらに、張力付与部30は、マイクロスイッチ26、より具体的にはマイクロスイッチ27を作動させることができる。
【0040】
図3aおよび図3bには、サージ保護デバイス14および予張力付与デバイス24が別に示されている。
【0041】
サージ保護デバイス14は、デバイス・ハウジング32と、デバイス・ハウジング32によって覆われない接点34とを有する。サージ保護デバイス14が収容部20に挿入されると、サージ保護デバイス14は、接点34によってベース部12の端子18に電気接続される。
【0042】
図4には、より良く概観するために、デバイス・ハウジング32および接点34がないサージ保護デバイス14が示されている。
【0043】
サージ保護デバイス14は、フレーム36と、ここでは4つである、複数の断路デバイス38と、熱伝導要素40と、作動要素42と、表示デバイス44とを有する。
【0044】
当然のことながら、ちょうど1つ、2つ、3つまたは4つを上回る断路デバイス38を設けることも考えることができる。
【0045】
フレーム36は、具体的には、サージ保護デバイス14の底部としての役割を果たし、そこには、接点34、断路デバイス38、熱伝導要素40および作動要素42が締結、または案内される。
【0046】
フレーム36は、収容部20の底部と直接接触し、収容部20を補完する。
【0047】
フレーム36は、熱伝導要素40および作動要素42が締結されるための側壁46を有する。側壁46は、サージ保護デバイス14の長手方向Lに沿って少なくとも部分的に延在する。
【0048】
本発明の文脈において、サージ保護デバイス14またはサージ保護システム10の上方向Hは、サージ保護デバイス14がベース部12に挿入される挿入方向Rに対して反対方向に延在するように意図される。これは、例示目的に過ぎず、図面の向きに対応する。しかし、通常、サージ保護システム10が取り付けられる向きでは、上方向Hは水平方向に延びる。
【0049】
また、「上」および「下」の方向表示は図面に示した方向を意味する。
【0050】
サージ保護デバイス14は、それぞれサージ保護デバイス14の短辺または長辺の方向に対応する、上方向Hに対して垂直な横方向Qおよび長手方向Lを有する。
【0051】
スロットの形態の案内部48は、サージ保護デバイス14の上方向Hに、側壁46内に形成される。
【0052】
断路デバイス38は、(図4に破線で示される)それぞれのスパーク・ギャップ52、例えばホーン状スパーク・ギャップが形成されたハウジング50を有する。ハウジング50は、例えば金属製である。
【0053】
断路デバイス38は、長手方向Lに相前後して整列するように配置され、特に、ハウジング50の壁54は共通平面内にある。
【0054】
図5の拡大図に示される熱伝導要素40は、壁54を介して各ハウジング50と接触している。熱伝導要素40は、ばねセクション56を有し、ハウジング50、より具体的には壁54と直接的または熱伝導性ペースト、熱伝導性接着剤などだけを用いて接触する。熱伝導要素40は、したがって、ハウジング50に熱的に結合される。
【0055】
熱伝導要素40は、例えば、金属板であり、特に銅、銅合金またはアルミニウム合金からなる。当然のことながら、良好な熱伝導率を有する他の材料も考えられる。
【0056】
熱伝導要素40は、断路デバイス38とデバイス・ハウジング32および部分的に側壁46との間に配置され、さらに、側壁の案内部48の領域内に延在する。
【0057】
熱伝導要素40は、フレーム36または側壁46上、およびばねセクション56によりデバイス・ハウジング32上で支持され、したがって、良好な熱接触を確実にするようにハウジング50に対して押し付けられる。
【0058】
係止要素58は、案内部48の領域内にある、熱伝導要素40上に設けられる。
【0059】
係止要素58は、構成要素60としてFR-4から作られる回路基板と、感温性材料62とを含む。
【0060】
回路基板は、非導電性構造を有する。
【0061】
感温性材料62は、例えば低温はんだ、具体的には110℃から140℃の間の融点、例えば138℃の融点を有する低温はんだである。
【0062】
図示の例示的な実施形態では、構成要素60は、熱伝導要素40に取外し可能に締結され、感温性材料62を用いて作動要素42に恒久的に締結される。
【0063】
作動要素42は、第1のセクション64と、隣接する第2のセクション66とを有する。第1のセクション64は、第1のセクション64と第2のセクション66との間の移行部に係止要素58、より具体的には構成要素60が載る段が形成されるように、第2のセクション66より幅広になるように構成される。
【0064】
第1のセクション64は、案内部48内に受容され、例えば、案内部48を補完するように構成される。案内部48と第1のセクション64は、蟻継ぎを形成することができる。
【0065】
作動要素42は、案内部48内で、拘束位置(図4)と解放位置(図7)との間で上方向Hに動くことができる。
【0066】
段上に係止要素58が配置されると、作動要素42が上方向Hに沿って動くことが阻止され、したがって作動要素42は拘束位置に固定される。
【0067】
第1のセクション64の下端、すなわち第2のセクション66から離れた方に向く端部に、第1のセクション64は、図3bに示されるように、デバイス・ハウジング32の空隙70に配置される突出部68を有する。
【0068】
突出部68は、予張力付与デバイス24の張力付与部30と係合することが明瞭に見ることができる。サージ保護デバイス14が収容部20に完全に挿入されると、予張力付与デバイス24のばね28に作動要素42および張力付与部30によって張力が付与される。換言すると、その場合、作動要素には、ばね28によって挿入方向Rとは反対の上方向Hの予張力が付与される。
【0069】
サージ保護デバイス14の上面、すなわち断路デバイス38の上には、表示デバイス44が設けられる。
【0070】
表示デバイス44は、表示領域71と、ベース・プレート72と、ベース・プレート72に対して可動の表示要素74と、ばね76とを含む。
【0071】
サージ保護デバイス14のデバイス・ハウジング32は、表示領域71内に、表示領域71を見ることができるようにする視認窓88をさらに有することができる。
【0072】
図示の例示的な実施形態では、ベース・プレート72は、断路デバイス38の頂部近くを覆い、ハウジング50上に載る。
【0073】
長手方向Lに延在するベース・プレート72の縁78のうちの少なくとも1つは、下向きに傾斜して上方向Hに延在する。
【0074】
表示要素74は、ベース・プレート72に対して横方向Qに動くことができるように構成され、ベース・プレート72に対して実質的に平行な主セクション84と、隣接する締結セクション86とを含む。
【0075】
表示要素74は、ベース・プレート72において横方向Qに案内され、拘束位置と解放位置を呈することができる。
【0076】
表示領域71内に配置されたベース・プレート72の部分は、固定された第1の表示面80を形成する。第1の表示面80は、例えば赤色であり、具体的には、ベース・プレート72全体が赤色である。
【0077】
表示要素74の主セクション84は、やはりまた可動の、表示デバイス44の第2の表示面82を有する。第2の表示面82は、締結セクション86から離れた方に面する主セクション84の端部に設けられる。
【0078】
第2の表示面82、具体的には、表示要素74全体は緑色である。
【0079】
図4に示される拘束位置では、第2の表示面82は、第1の表示面80と重なり、したがって、緑色の第2の表示面82が視認窓88から見える。
【0080】
図6は、拘束位置にある、表示デバイス44の領域のサージ保護デバイス14を概略的に示しており、ばね76が見える。
【0081】
ばね76は、ベース・プレート72内に設けられ、横方向Qの力で表示要素74を付勢する。ばね76は、具体的には、主セクション84と係合する。
【0082】
図6に示される拘束位置では、締結セクション86の自由端に角度が付いていることを明瞭に見ることができる。この角度付き端部は、ベース・プレート72の縁78と係合し、したがって、表示要素74の横方向Qの動きを阻止する。
【0083】
この目的のため、ベース・プレート72の縁78は、締結端86の端部が係合するアンダカットを有する。
【0084】
さらに、図4および図6で明瞭に見ることができるように、締結セクション86の端部は、作動要素42の上方向Hの上に位置する。
【0085】
図4に示される状態では、作動要素42と表示要素74はともに第1の予張力が付与された拘束位置に配置されている。
【0086】
これは、すべての断路デバイス38が動作しているときのサージ保護デバイス14の正常位置である。
【0087】
サージ保護システム10またはサージ保護デバイス14が動作しているとき、高電圧は断路デバイス38のうちの少なくとも1つによって低減される。特に高い過電圧が生じた場合、適切な断路デバイス38がその機能性を失い得るが、それが表示デバイス44とリモート信号スイッチ22により伝達される。このため、表示デバイス44とリモート信号スイッチ22がともにトリガされる。
【0088】
過電圧が生じた場合、大量の熱が、例えばアークにより、断路デバイス38内で発生する。それによって、適切な断路デバイス38のハウジング50が、または複数の断路デバイス38が電圧低減に関与する場合は複数の断路デバイス38のハウジング50が加熱される。
【0089】
ハウジング50と熱伝導要素40との間の良好な熱接触により、熱伝導要素40が、より具体的には各断路デバイス38で発生した熱によって、加熱される。
【0090】
熱伝導要素40自体の高い熱伝導率により、係止要素58が設けられた熱伝導要素の場所も熱くなる。この場所、より具体的には感温性材料62がこの場合は感温性材料62の融点によって決定される所定温度に達するとすぐに、感温性材料62は融解し、それによって構成要素60は熱伝導要素40とそれ以上連結しなくなる。
【0091】
換言すると、熱伝導要素40は、すべての断路デバイス38で発生した熱を吸収し、それを係止要素58に供給する。熱伝導要素40は、こうして、断路デバイス38のOR動作を引き起こす。
【0092】
構成要素60は、熱伝導要素40から解放されるとすぐに、予張力付与デバイス24のばね28のばね力に抗して作動要素42を拘束位置にそれ以上保持することができなくなる。
【0093】
したがって、作動要素42は、予張力付与デバイス24、より具体的には張力付与部30によって、表示デバイス44の方に向けて上方向Hに動かされ、図7に示されるその解放位置を呈する。
【0094】
それと同時に、マイクロスイッチ26、より具体的にはリリース27が、張力付与部30によって作動され、それによってリモート信号スイッチ22が作動される。
【0095】
解放位置では、作動要素42は、上方向Hに、ベース・プレート72の縁78全体の終わり近くに延在する。これが動くと、作動要素42は、縁78から締結セクション86の端部を分離し、それによって表示要素74の拘束が解かれる。
【0096】
したがって、ここで、表示要素74はばね76によって横方向Qに動かされてその解放位置になる。
【0097】
解放位置では、第2の表示面82は、第1の表示面80に対してオフセットし、したがって、第1の表示面80はもはや覆われなくなる。
【0098】
換言すると、第1の表示面80だけが依然として表示領域71内にあり、したがって視認窓88からは赤色領域が見える。
【0099】
赤色の第1の表示面80は、サージ保護デバイス14を取り替えなければならないような、断路デバイス38の少なくとも1つの不具合を示している。
【0100】
このように、リモート信号スイッチ22と表示デバイス44はともに、断路デバイス38のうちの1つに不具合があるとすぐに作動される。
【0101】
表示デバイス44とリモート信号スイッチ22がともに、係止要素58および予張力付与デバイス24からなる同じアセンブリによってトリガされて作動されるので、表示器が一致しない事態が起こり得ない。
【0102】
さらに、作動機構全体の起動は、サージ保護デバイス14が収容部20に挿入されると生じるので、追加の作業が必要ない。
【0103】
しかし、サージ保護デバイス14自体が作動要素42の予張力の生成のためのばねを有することも考えられる。
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図4
図5
図6
図7