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特許7335360プロスタグランジン輸送体阻害のための組成物および関連する治療用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-21
(45)【発行日】2023-08-29
(54)【発明の名称】プロスタグランジン輸送体阻害のための組成物および関連する治療用途
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/8962 20060101AFI20230822BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20230822BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20230822BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20230822BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20230822BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20230822BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20230822BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20230822BHJP
   A61K 36/71 20060101ALI20230822BHJP
   A61K 36/185 20060101ALI20230822BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20230822BHJP
   A61K 36/21 20060101ALI20230822BHJP
【FI】
A61K36/8962
A61P9/12
A61K9/20
A61K9/48
A61K9/08
A61K9/14
A61K9/10
A61K9/107
A61K36/71
A61K36/185
A23L33/105
A61K36/21
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021572107
(86)(22)【出願日】2019-06-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-04
(86)【国際出願番号】 US2019035681
(87)【国際公開番号】W WO2020246976
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2022-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】501394435
【氏名又は名称】サミ-サビンサ グループ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(72)【発明者】
【氏名】マジード ムハンマド
(72)【発明者】
【氏名】ナガブシャナム カリアナム
(72)【発明者】
【氏名】バニ サラン
(72)【発明者】
【氏名】パンデイ アンジャリ
【審査官】長部 喜幸
(56)【参考文献】
【文献】Curr Hypertens Rep,2017年,19, 77,pp. 1-10
【文献】IJPSR,2010年,Vol. 1, No. 5,pp. 1-21
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/21
A61P 9/12
A61K 36/8962
A61K 36/71
A61K 36/185
A23L 33/105
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物における高血圧治療的管理における使用のための組成物であって0.3%w/w以上のS-アリルシステインを含有するように標準化されている、30~60%w/wのニンニク抽出物2%w/w以上のニトラートを含有するように標準化されている、10~30%w/wのビート抽出物0.1%~5%w/wのチモキノン、0.01%~10%w/wのチモヒドロキノン、20%~95%w/wの脂肪酸、0.001%~3%w/wのα-ヘデリンまたはヘデラゲニンを含有するように標準化されている、5~15%w/wのニゲラ・サチバ抽出物と、3%w/wのアルジュノグルコシドを含有するように標準化されている、10~30%w/wのテルミナリア・アルジュナ抽出物を含む組成物。
【請求項2】
高血圧の前記管理が、プロスタグランジン輸送体を阻害/遮断することによってもたらされる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
高血圧の症状が、収縮期血圧および拡張期血圧の上昇、平均動脈圧の上昇、心拍の上昇および酸化窒素レベルの低下を含む群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
哺乳動物における心血管系の合併症治療的管理における使用のための組成物であって0.3%w/w以上のS-アリルシステインを含有するように標準化されている、30~60%w/wのニンニク抽出物2%w/w以上のニトラートを含有するように標準化されている、10~30%w/wのビート抽出物0.1%~5%w/wのチモキノン、0.01%~10%w/wのチモヒドロキノン、20%~95%w/wの脂肪酸、0.001%~3%w/wのα-ヘデリンまたはヘデラゲニンを含有するように標準化されている、5~15%w/wのニゲラ・サチバ抽出物と、3%w/wのアルジュノグルコシドを含有するように標準化されている、10~30%w/wのテルミナリア・アルジュナ抽出物とを含み、前記心血管系の合併症の症状が、収縮期血圧および拡張期血圧の上昇、平均動脈圧の上昇、心拍の上昇および心臓マーカーのレベルの上昇からなる群から選択され、前記心臓マーカーが、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼおよびクレアチンキナーゼからなる群から選択される、組成物。
【請求項5】
前記組成物の有効用量が、体重1kgあたり50~400mgである、請求項1又は4に記載の組成物。
【請求項6】
前記哺乳動物がヒトである、請求項1又は4に記載の組成物。
【請求項7】
薬学的に/栄養補給食品として許容される生体利用率増強剤、抗酸化剤、賦形剤、アジュバント、希釈剤または担体と共に製剤化されており、錠剤、カプセル剤、シロップ剤、グミ剤、散剤、懸濁剤、乳剤、チュアブル錠、ドロップ剤または可食剤の形態で投与される、請求項1又は4に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、植物抽出物を含む組成物に関する。より詳細には、本発明は、プロスタグランジン輸送体(PGT)阻害のための組成物および関連する治療用途に関する。
【背景技術】
【0002】
プロスタグランジン(PG)は、異なる器官における様々な病態生理学的過程および恒常性維持機能の媒介に関与する天然の不飽和脂肪酸である。PGは、シクロオキシゲナーゼアイソエンザイムの作用によってアラキドン酸から誘導される。主に、遍在的に産生される4種の生物活性なPG:身体において、自己分泌メディエータおよび傍分泌メディエータとして作用し、恒常性維持機能を維持する、プロスタグランジンE2(PGE2)、プロスタサイクリン(PGI2)、プロスタグランジンD2(PGD2)およびプロスタグランジンF2α(PGF2α)が存在する(Ricciotti et al., Prostaglandins and Inflammation, Arteriosclerosis, Thrombosis, and Vascular Biology. 2011;31:986-1000)。PGは、炎症を含めた、身体における多数の疾患状態の調節に主な役割を果たす。PGの生物学的役割は、科学文献に十分に記載されており、その役割の一部は、本明細書の以下に明記されている:
1. Ricciotti et al., Prostaglandins and Inflammation, Arteriosclerosis, Thrombosis, and Vascular Biology, 2011; 31:986-1000。
2. Harris et al., Prostaglandins as modulators of immunity, Trends in Immunology, 2002; 23(3):144-150。
3. Wand and DuBois, Prostaglandins and Cancer, Recent advances in basic science, http://dx.doi.org/10.1136/gut.2004.047100。
4. Anderson et al., Prostaglandins: Effects on blood pressure, renal blood flow, sodium and water excretion, Kidney International, 1976;10(3):205-215。
5. Klien et al., Prostaglandins: Stimulation of Bone Resorption in Tissue Culture, Endocrinology, 1970; 86(6):1436-1440。
【0003】
PGはまた、炎症におけるその役割とは別に、排卵、GI管における粘液分泌、血管拡張および血管新生においてある役割を果たす。PGは、細胞膜中でその輸送体に結合すると、カスケードシグナルの引き金となることによってその機能を誘発する。プロスタグランジン輸送体(PGT)としても知られている、溶質キャリア有機アニオン輸送体ファミリーのメンバー2A1は、輸送体の12回膜貫通有機アニオン輸送性ポリペプチドスーパーファミリーのメンバーである。コードされるタンパク質は、脳、結腸、心臓、腎臓、肝臓、肺、卵巣、膵臓、胎盤、前立腺、筋骨格、小腸、脾臓および血管内皮を含む、多数の組織および器官において、プロスタグランジンの取込みおよびクリアランスの媒介に関与する。PGTは、今や、細胞および関連臨床状態へのPGの取込みによってもたらされる有害作用を低下させるための薬物の開発に対する標的にますますなりつつある。Chiらは、Development of a High-Affinity Inhibitor of the Prostaglandin Transporter, J Pharmacol Exp Ther. 2011;339(2): 633-641と題するその公表文献において、PGTの阻害のための新規分子N-(2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エチル)-4-((4-((2-(2-(2-ベンズアミドエトキシ)エトキシ)エチル)アミノ)-6-((4-ヒドロキシフェニル)アミノ)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)ベンズアミド(T26A)を開示している。非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)もまた、PGの産生および作用を阻害することが知られている。しかし、これらの合成薬は高い副作用を有しており、PGTを阻害することによるPGの作用を軽減する、安全かつ天然の代替物が必要とされている。植物に由来する活性分子が、多数の疾患および障害を処置するために今や広範囲に使用されている。しかし、植物をベースとするPGTを阻害または遮断のための組成物は報告されていない。本発明は、天然の植物をベースとするPGTの阻害のための、かつ関連する治療作用をもたらす組成物を開示することによって、上記の課題を解決する。
【発明の概要】
【0004】
本発明の主要な目的は、PGT阻害剤としての使用のための、有効用量のニンニク(Allium sativum)抽出物、ビート(Beta vulgaris)抽出物、ニゲラ・サチバ(Nigella sativa)抽出物およびテルミナリア・アルジュナ(Terminalia arjuna)抽出物を含む組成物を開示することである。
本発明の別の目的は、ニンニク抽出物、ビート抽出物、ニゲラ・サチバ抽出物およびテルミナリア・アルジュナ抽出物を含む組成物を使用する、高血圧の治療的管理のための方法を開示することである。
本発明の別の目的は、ニンニク抽出物、ビート抽出物、ニゲラ・サチバ抽出物およびテルミナリア・アルジュナ抽出物を含む組成物を使用する、哺乳動物において心臓保護を付与するための方法を開示することである。
本発明は、上記の目的を解決し、さらに関連する利点を実現する。
本発明は、プロスタグランジン輸送体阻害剤としての使用のための、天然の植物をベースとする組成物を提供する。
【0005】
より詳細には、本発明は、PGT阻害剤としての使用のための、0.3%w/w以上のS-アリルシステインを含有するように標準化されているニンニク抽出物、2%w/w以上のニトラートを含有するように標準化されているビート抽出物、0.1%~5%w/wのチモキノン、約0.01%~10%w/wのチモヒドロキノン、約20%~95%w/wの脂肪酸、約0.001%~3%w/wのα-ヘデリンまたはヘデラゲニンを含有するように標準化されているニゲラ・サチバ抽出物、および3%w/wのアルジュノグルコシド(arjunoglucoside)を含有するように標準化されているテルミナリア・アルジュナ抽出物を有効用量で含む組成物を開示する。
【0006】
本発明はまた、0.3%w/w以上のS-アリルシステインを含有するように標準化されているニンニク抽出物、2%w/w以上のニトラートを含有するように標準化されているビート抽出物、0.1%~5%w/wのチモキノン、約0.01%~10%w/wのチモヒドロキノン、約20%~95%w/wの脂肪酸、約0.001%~3%w/wのα-ヘデリンまたはヘデラゲニンを含有するように標準化されているニゲラ・サチバ抽出物、および3%w/wのアルジュノグルコシドを含有するように標準化されているテルミナリア・アルジュナ抽出物を含む組成物を使用して、哺乳動物における高血圧の治療的管理のための方法を開示する。
【0007】
別の態様では、本発明は、0.3%w/w以上のS-アリルシステインを含有するように標準化されているニンニク抽出物、2%w/w以上のニトラートを含有するように標準化されているビート抽出物、0.1%~5%w/wのチモキノン、約0.01%~10%w/wのチモヒドロキノン、約20%~95%w/wの脂肪酸、約0.001%~3%w/wのα-ヘデリンまたはヘデラゲニンを含有するように標準化されているニゲラ・サチバ抽出物、および3%w/wのアルジュノグルコシドを含有するように標準化されているテルミナリア・アルジュナ抽出物を含む組成物を使用して、哺乳動物において心臓保護を付与するための方法を開示する。
本発明の他の特徴および利点は、例として、本発明の原理を例示する、添付の図面と組み合わせた、以下の一層の詳細説明から明白となろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】MDCK細胞におけるPGE2代謝に及ぼす製剤の効果を示すグラフ表示であり、培養培地における細胞外PGE2の発現を分析した。
図2】MDCK細胞におけるPGE2代謝に及ぼす製剤の効果を示すグラフ表示であり、細胞溶解物における細胞内PGE2の発現を分析した。
図3】製剤の異なる濃度で処置したラットにおける、血漿中PGTの発現量を示すグラフ表示である。
図4】製剤の異なる濃度で処置したラットにおける、酸化窒素レベルの発現量を示すグラフ表示である。
図5A】製剤の異なる濃度で処置したラットにおける、収縮期BPを示すグラフ表示である。
図5B】製剤の異なる濃度で処置したラットにおける、拡張期BPを示すグラフ表示である。
図6】製剤の異なる濃度で処置したラットにおける、心拍を示すグラフ表示である。
図7】製剤の異なる濃度で処置したラットにおける、平均動脈圧を示すグラフ表示である。
図8】製剤の異なる濃度で処置したラットにおける、ASTレベルを示すグラフ表示である。
図9】製剤の異なる濃度で処置したラットにおける、LDHおよびCK-MBレベルを示すグラフ表示である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、よりよい理解のため、および当業者が本発明を明示または実施することを可能にするために、それぞれの好ましい実施形態と共に詳細に記載される。
好ましい実施形態では、本発明は、ニンニク抽出物、ビート抽出物、ニゲラ・サチバ抽出物およびテルミナリア・アルジュナ抽出物からなる植物をベースとする組成物を開示する。関連態様では、ニンニク抽出物は、0.3%以上のS-アリルシステインを含むように標準化されている。別の関連態様では、ビート抽出物は、2%以上のニトラートを含むに標準化されている。さらに別の関連する態様では、ニゲラ・サチバ抽出物は、0.1%~5%w/wのチモキノン、約0.01%~10%w/wのチモヒドロキノン、約20%~95%w/wの脂肪酸、約0.001%~3%w/wのα-ヘデリンまたはヘデラゲニンを含むように標準化されている。別の態様では、テルミナリア・アルジュナ抽出物は、3%w/wのアルジュノグルコシドを含むように標準化されている。別の好ましい実施形態では、本組成物は、プロスタグランジン輸送体阻害剤として使用される。さらに別の好ましい実施形態では、本組成物は高血圧の治療的管理に使用される。さらに好ましい実施形態では、本組成物は、心臓保護剤として使用される。別の関連する態様では、本組成物は、薬学的に/栄養補給食品として許容される生体利用率増強剤、抗酸化剤、賦形剤、アジュバント、希釈剤または担体と共に製剤化されており、錠剤、カプセル剤、シロップ剤、グミ剤、散剤、懸濁剤、乳剤、チュアブル錠、ドロップ剤または可食剤の形態で投与される。
【0010】
別の好ましい実施形態では、本発明は、哺乳動物細胞において、プロスタグランジン輸送体を阻害するための方法であって、プロスタグランジン輸送体を発現する哺乳動物細胞に、30~60%w/wのニンニク抽出物、10~30%w/wのビート抽出物、5~15%w/wのニゲラ・サチバ抽出物および10~30%w/wのテルミナリア・アルジュナ抽出物を含む組成物を接触させるステップを含む、方法を開示する。関連態様では、ニンニク抽出物は、0.3%以上のS-アリルシステインを含有するように標準化されている。別の関連態様では、ビート抽出物は、2%以上のニトラートを含有するように標準化されている。さらに別の関連する態様では、ニゲラ・サチバ抽出物は、0.1%~5%w/wのチモキノン、約0.01%~10%w/wのチモヒドロキノン、約20%~95%w/wの脂肪酸、約0.001%~3%w/wのα-ヘデリンまたはヘデラゲニンを含有するように標準化されている。別の態様では、テルミナリア・アルジュナ抽出物は、3%w/wのアルジュノグルコシドを含有するように標準化されている。関連態様では、プロスタグランジンは、プロスタグランジンE2(PGE2)、プロスタサイクリン(PGI2)、プロスタグランジンD2(PGD2)およびプロスタグランジンF2α(PGF2α)を含む群から選択される。別の関連する態様では、哺乳動物細胞はヒト細胞である。
【0011】
別の好ましい実施形態では、本発明は、プロスタグランジン輸送体阻害剤としての使用のための、30~60%w/wのニンニク抽出物、10~30%w/wのビート抽出物、5~15%w/wのニゲラ・サチバ抽出物および10~30%w/wのテルミナリア・アルジュナ抽出物を含む組成物を開示する。関連態様では、ニンニク抽出物は、0.3%以上のS-アリルシステインを含有するように標準化されている。別の関連態様では、ビート抽出物は、2%以上のニトラートを含有するように標準化されている。さらに別の関連する態様では、ニゲラ・サチバ抽出物は、0.1%~5%w/wのチモキノン、約0.01%~10%w/wのチモヒドロキノン、約20%~95%w/wの脂肪酸、約0.001%~3%w/wのα-ヘデリンまたはヘデラゲニンを含有するように標準化されている。別の態様では、テルミナリア・アルジュナ抽出物は、3%w/wのアルジュノグルコシドを含有するように標準化されている。関連態様では、プロスタグランジンは、プロスタグランジンE2(PGE2)、プロスタサイクリン(PGI2)、プロスタグランジンD2(PGD2)およびプロスタグランジンF2α(PGF2α)を含む群から選択される。
【0012】
さらに別の好ましい実施形態では、本発明は、哺乳動物における高血圧の治療的管理のための方法であって、30~60%w/wのニンニク抽出物、10~30%w/wのビート抽出物、5~15%w/wのニゲラ・サチバ抽出物および10~30%w/wのテルミナリア・アルジュナ抽出物を含む有効用量の組成物を哺乳動物に投与して、高血圧の症状の軽減を引き起こすステップを含む、方法を開示する。関連態様では、高血圧の管理は、プロスタグランジン輸送体を阻害/遮断することによってもたらされる。別の関連する態様では、高血圧の症状は、収縮期血圧および拡張期血圧の上昇、平均動脈圧の上昇、心拍の上昇および酸化窒素レベルの低下を含む群から選択される。別の関連する態様では、本組成物の有効用量は、体重1kgあたり50~400mgである。別の態様では、哺乳動物はヒトである。別の関連する態様では、本組成物は、薬学的に/栄養補給食品として許容される生体利用率増強剤、抗酸化剤、賦形剤、アジュバント、希釈剤または担体と共に製剤化されており、錠剤、カプセル剤、シロップ剤、グミ剤、散剤、懸濁剤、乳剤、チュアブル錠、ドロップ剤または可食剤の形態で投与される。
【0013】
さらに別の好ましい実施形態では、本発明は、哺乳動物における高血圧および関連症状の治療的管理のための、30~60%w/wのニンニク抽出物、10~30%w/wのビート抽出物、5~15%w/wのニゲラ・サチバ抽出物および10~30%w/wのテルミナリア・アルジュナ抽出物を含む組成物を開示する。関連態様では、高血圧の管理は、プロスタグランジン輸送体を阻害/遮断することによってもたらされる。別の関連する態様では、高血圧の症状は、収縮期血圧および拡張期血圧の上昇、平均動脈圧の上昇、心拍の上昇および酸化窒素レベルの低下を含む群から選択される。別の関連する態様では、本組成物の有効用量は、体重1kgあたり50~400mgである。別の態様では、哺乳動物はヒトである。別の関連する態様では、本組成物は、薬学的に/栄養補給食品として許容される生体利用率増強剤、抗酸化剤、賦形剤、アジュバント、希釈剤または担体と共に製剤化されており、錠剤、カプセル剤、シロップ剤、グミ剤、散剤、懸濁剤、乳剤、チュアブル錠、ドロップ剤または可食剤の形態で投与される。
【0014】
別の好ましい実施形態では、本発明は、哺乳動物における心血管系の合併症の治療的管理のための方法であって、30~60%w/wのニンニク抽出物、10~30%w/wのビート抽出物、5~15%w/wのニゲラ・サチバ抽出物および10~30%w/wのテルミナリア・アルジュナ抽出物を含む有効用量の組成物を哺乳動物に投与して、心血管系の合併症の症状の軽減を引き起こすステップを含む、方法を開示する。関連態様では、心血管系の合併症の管理は、プロスタグランジン輸送体を阻害/遮断することによってもたらされる。別の関連する態様では、心血管系の合併症の症状は、収縮期血圧および拡張期血圧の上昇、平均動脈圧の上昇、心拍の上昇および心臓マーカーのレベルの上昇を含む群から選択される。別の関連する態様では、心臓マーカーは、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼおよびクレアチンキナーゼを含む群から選択される。別の関連する態様では、本組成物の有効用量は、体重1kgあたり50~400mgである。別の態様では、哺乳動物はヒトである。別の関連する態様では、本組成物は、薬学的に/栄養補給食品として許容される生体利用率増強剤、抗酸化剤、賦形剤、アジュバント、希釈剤または担体と共に製剤化されており、錠剤、カプセル剤、シロップ剤、グミ剤、散剤、懸濁剤、乳剤、チュアブル錠、ドロップ剤または可食剤の形態で投与される。
【0015】
別の好ましい実施形態では、本発明は、哺乳動物における心血管系の合併症および関連症状の治療的管理のための、30~60%w/wのニンニク抽出物、10~30%w/wのビート抽出物、5~15%w/wのニゲラ・サチバ抽出物および10~30%w/wのテルミナリア・アルジュナを含む組成物を開示する。関連態様では、心血管系の合併症の管理は、プロスタグランジン輸送体を阻害/遮断することによってもたらされる。別の関連する態様では、心血管系の合併症の症状は、収縮期血圧および拡張期血圧の上昇、平均動脈圧の上昇、心拍の上昇および心臓マーカーのレベルの上昇を含む群から選択される。別の関連する態様では、心臓マーカーは、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼおよびクレアチンキナーゼを含む群から選択される。別の関連する態様では、本組成物の有効用量は、体重1kgあたり50~400mgである。別の態様では、哺乳動物はヒトである。別の関連する態様では、本組成物は、薬学的に/栄養補給食品として許容される生体利用率増強剤、抗酸化剤、賦形剤、アジュバント、希釈剤または担体と共に製剤化されており、錠剤、カプセル剤、シロップ剤、グミ剤、散剤、懸濁剤、乳剤、チュアブル錠、ドロップ剤または可食剤の形態で投与される。
最も好ましい実施形態を明確に述べる具体的な例示的例は、本明細書の以下に含まれる。
【実施例
【0016】
(実施例1)組成物の詳細
本発明は、PGTの阻害のための、30~60%w/wのニンニク抽出物、10~30%w/wのビート抽出物、5~15%w/wのニゲラ・サチバ抽出物および10~30%w/wのテルミナリア・アルジュナ抽出物を含む組成物を開示する。上述の抽出物は、心臓保護作用および抗高血圧作用を個別に誘発することが報告されている。上記の抽出物の医療特性の一部は、本明細書の以下に明記されている:
【0017】
ニンニクは、アーユルヴェーダの伝統的なシステムに使用されている周知の植物である。ニンニクは、心血管疾患、血圧の調節、血糖およびコレステロールレベルの低下を含む、異なる障害に対して多数の治療作用を誘発することが報告されている。ニンニクは、細菌感染、ウイルス感染、真菌感染および寄生性感染に対しても有効であり、免疫系を増強することが報告されている。この植物はまた、抗腫瘍特性を有する(Ayaz and Alpsoy, Garlic (Allium sativum) and traditional medicine, Turkiye Parazitol Derg. 2007;31(2):145-9)。ニンニクは、その生物活性を担う、アリシン、サポニン、フェノールおよびアミノ酸のような多数の活性分子を含んでいる。アリシンは、遊離ラジカルを捕捉し、NADPHオキシダーゼを阻害する。アリシンは、血管拡張(vasodialation)を引き起こす血管平滑筋細胞の過分極をもたらす、H2Sの生成量を増大させる。サポニン、フェノール、およびs-アリルシステインは、活性酸素種を直接、クエンチし、抗酸化作用を誘発する。この植物はまた、一酸化窒素を生成する前駆体であるアルギニンも産生する。本発明に使用される植物抽出物は、組織内プロセスを使用して0.3%以上のs-アリルシステインを含むように標準化されている。
【0018】
ビート(ビート根)は、通常の食事と共に広範囲に使用される一般的な野菜である。ビートは、肝臓保護、抗糖尿病作用、コレステロール低下作用および脂質低下作用、抗細菌特性および抗酸化特性を含む、優れた治療的特性を有する。この植物は、赤血球中のキサチンオキシドレダクターゼ(XOR)と呼ばれる、ニトラートをニトリットに変換し、次いで一酸化窒素に変える酵素を増加させる。一酸化窒素は、血管壁を弛緩し、血圧に対する作用を有する。本発明に使用される抽出物は、組織内プロセスを使用して2%以上のニトラートを含有するように標準化された。
【0019】
ニゲラ・サチバは、医薬のアーユルヴェーダ、シッダ、ウナニのシステムにおいて、その多数の治療特性が周知である。この植物は、この植物の有益作用を担う、チモキノン、チモヒドロキノン、ジチモキノン、p-シメン、カルバクロール、4-テルピネオール、t-アネトール、セスキテルペンであるロンギホレン、α-ピネン、チモール、αヘデリンおよびヘデラゲニンのような多数の活性分子を含有することが報告されている(Ahmad et al., A review on therapeutic potential of Nigella sativa: A miracle herb, Asian Pac J Trop Biomed. 2013; 3(5): 337-352)。この植物は、周知の抗酸化剤、心臓抑制薬およびカルシウムチャネル遮断薬であり、ひいては、血圧および心臓機能に作用する。本発明に使用される抽出物は、0.1%~5%w/wのチモキノン、約0.01%~10%w/wのチモヒドロキノン、約20%~95%w/wの脂肪酸、約0.001%~3%w/wのα-ヘデリンまたはヘデラゲニンを含有するように標準化された。
【0020】
テルミナリア・アルジュナまたはアルジュナは、古代のアーユルヴェーダ医薬に使用される周知の医薬植物である。テルミナリア・アルジュナの樹皮は、多数の疾患の処置における使用のために採取され得る、多数の生物活性化合物を含有することが報告されている。テルミナリア・アルジュナの樹皮から得られる化合物であるアルジュノグルコシドは、その心臓保護活性について文献で十分に実証されている。テルミナリア・アルジュナおよびその樹皮抽出物は、その心臓保護特性の他に、抗がん活性、肝臓保護活性、抗ウイルス活性、抗酸化活性、抗喘息活性、避妊活性、抗糖尿活性、創傷治療活性、抗血小板活性および抗血液凝固活性、抗細菌活性および抗真菌活性などの、幅広い範囲の活性が報告されている(Saxena et al., Cytotoxic agents from Terminalia arjuna, Planta Med. 2007;73(14):1486-90)。それはまた、血管におけるアテローム性動脈硬化性病変およびプラーク沈着を低下させることにより、血管の狭小化を予防する。この抽出物は、3%w/wのアルジュノグルコシドを含有するように標準化された。
【0021】
表1は、製剤およびその用量の詳細を開示している。
【表1】
【0022】
(実施例2)プロスタグランジン輸送体の阻害
本製剤は、プロスタグランジン輸送体(PGT)を阻害するその効果について評価した。腎細胞系であるMDCKを30%コンフルエンスで6つのウェルプレートに播種した。3日後、それらの細胞を、様々な期間、37℃において、ビヒクル(DMSO)の存在下、10μMのブラジキニン(内因性PGE2合成を増大させるため、Sigma-Aldrichで入手可能)で処置した。本製剤をこの細胞培養物に段階的濃度で同時に添加し、それを24時間、さらにインキュベートした。PGE2の細胞外濃度を測定するため培地を採取した。細胞をリン酸緩衝液生理食塩水により2回、洗浄し、0.1M HClおよび0.1% Triton X-100を含有する250μlのリン酸緩衝液生理食塩水を用いて室温で15分間、溶解し、プレートから擦り落とした。細胞懸濁液をピペット操作で上下に数回、動かし、完全な溶解を確実にした。細胞溶解物を採取し、10,000g、4℃で10分間、遠心分離した。上清を採集した。上清中の細胞内PGE2を測定した。(Yuling et al., Development of a High-Affinity Inhibitor of the Prostaglandin Transporter. The journal of pharmacology and experimental therapeutics, 2011; 339(2); 633-641)。R&D Systemsから市販されているPGE2 ELISAキットを使用し、細胞内PGE2および細胞外PGE2の両方をユーザーマニュアルに従い測定した。実験は、三連で行った。値は、平均値±標準誤差として表す。
【0023】
培養したMDCK細胞において、本製剤は、PGE2取込みを遮断する。PGE2は、炎症、血管拡張および血管新生を含めた、多種類のシグナルの引き金となる(Weeks JR (1972) Prostaglandins. Annu Rev Pharmacol 12:317-336; Clyman RI, Mauray F, Roman C, and Rudolph AM (1978) PGE2 is a more potent vasodilator of the lamb ductus arteriosus than is either PGI2 or 6 keto PGF1alpha. Prostaglandins 16:259-264; Tsujii M, Kawano S, Tsuji S, Sawaoka H, Hori M, and DuBois RN (1998) Cyclooxygenase regulates angiogenesis induced by colon cancer cells. Cell 93:705-716)。PGシグナル伝達の程度は、細胞表面受容体におけるその濃度にかなり依存し、これは、ひいては、プロスタグランジン輸送体によるPGの合成および代謝および輸送の相対速度によって決まる。細胞外PGE2の測定のため細胞培地を採取し(図1)、細胞内PGE2測定のため細胞を溶解した。製剤処置した細胞における細胞外PGE2のレベルの低下(図2)により、プロスタグランジン輸送体が遮断され、細胞内で形成されたPGE2は、細胞から培地に出ることはできなかったことが示される。
【0024】
こうして、本製剤は、PGTの有効な阻害剤として働き、プロスタグランジンの膜を通過する輸送を阻止する。
PGTを遮断/阻害する治療作用は、多種多様である。PGTは、炎症の軽減に重要な役割を果たし、排卵、GI管における粘液分泌、血管拡張および血管新生においてある役割を果たす。PGTを阻害すると、血液循環中のPGが増加することによって、高血圧にある役割を果たし、それによって、血管拡張作用を示す(Yuling et al., Development of a High-Affinity Inhibitor of the Prostaglandin Transporter. The journal of pharmacology and experimental therapeutics, 2011; 339(2); 633-641)。
PGT阻害による製剤の治療作用を、その抗高血圧作用および心臓保護作用によって例示的に評価した。
【0025】
(実施例3)本製剤の抗高血圧作用
方法
正常血圧Wistarラットをこの実験に使用した。これらのラットに、30日間の期間、飲料水中の合成ミネラロコルチコイド誘導体であるDOCA(酢酸デオキシコルチコステロン)を1週間に2回、25mg/kg s.c.および1%w/v NaClを投与することによって自発的に高血圧を誘発させた(モデル:DOCA塩誘発性高血圧ラット)。これらのラットを、それぞれ6匹を含む以下の群に分けた:
【0026】
【表2】

以下のパラメータを推定し、本製剤の抗高血圧作用を評価した。
・ PGTの発現量
・ 一酸化窒素の推定
・ 血圧
・ 心拍
・ 平均動脈圧
・ 尿の量
【0027】
PGTの発現量
溶質キャリア有機アニオン輸送体ファミリーのメンバー2A1もまた、プロスタグランジン輸送体(PGT)として知られている。プロスタグランジン輸送体は、輸送体の12回膜貫通有機アニオン輸送性ポリペプチドスーパーファミリーのメンバーである。コードされるタンパク質は、多数の組織中でプロスタグランジンの取込みおよびクリアランスの媒介に関与している。本製剤の効果は、ELISAによるラットの血漿で推定した。
結果は、塩の取込み量が増加すると、血漿中PGTの発現量が増加し、これは、本製剤によって用量依存的に阻害されることを示した(図3)。
一酸化窒素のレベル
酸化窒素レベルは、塩誘発性群ではかなり低くかった。本製剤は、用量依存的に、血漿中の全一酸化窒素の発現量の増加を示した(図4)。
【0028】
尿排出量
利尿薬は、尿を通じて排出される塩分および水の量を増加させることによって腎臓に働く。塩分が余りにも多いと、血管中に余分な液体の増加を引き起こし、血圧を上昇させる恐れがある。利尿薬は、身体から塩を流し出し、この望ましくない余分な流体を塩分と共に連れ出すことによって血圧を下げる。本製剤の利尿作用は、尿排出量の測定により試験した。結果が、表3に表形式で示されている。
【0029】
【表3】

【0030】
本製剤は200mg/kgで、尿排出量を効果的に増加させて、本製剤は有効な利尿剤として働くことを示している。
血圧、心拍および平均動脈圧
血圧、心拍および平均動脈圧は、標準プロトコルを使用して推定した。塩分の増加、収縮期血圧および拡張期血、心拍および平均動脈圧のレベルの上昇。本製剤は、PGTを効果的に阻害することによって、血圧(図5Aおよび図5B)、心拍(図6)および平均動脈圧(図7)を用量依存的に低下させ、本製剤は、非常に効果的な抗高血圧性組成物となることを示している。
【0031】
(実施例4)製剤の心臓保護作用
植物抽出物を含む製剤は、PGTを阻害することにおいて非常に有効であり、それによって、抗高血圧作用を引き起こす。本製剤は、心拍、収縮期および拡張期血圧の低下に有効であった。心拍の上昇は、心血管系の合併症の発症と関係するので、本製剤によってPGTの阻害による心拍の低下は、心臓保護作用を付与することができる。したがって、ラットにおいて、イソプロテレノール誘発性心毒性で本製剤による心臓保護作用を試験した。
【0032】
合成カテコールアミンおよびβ-アドレナリン作動性アゴニストである、イソプロテレノール[1-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-2-イソプロピルアミノエタノール塩酸塩](ISO)は、心筋における深刻な酸化ストレスを引き起こし、心筋の梗塞のような壊死をもたらす。イソプロテレノールはまた、遊離ラジカルを生成し、脂質過酸化を刺激することが知られている。以下の心臓マーカーを評価した:
a) アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)。
b) 乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)。
c) クレアチンキナーゼ-MB(CK-MB)。
【0033】
ASTは、ヒト組織のすべてにおいて生じ、肝臓組織、腎組織、心臓組織および筋骨格組織において多量に存在する。そのレベルは、心筋梗塞、筋ジストロフィーおよび肝疾患では上昇する。本発明におけるASTレベルの上昇は、イソプロテレノールにより増大した心毒性により、心臓への損傷があることを示している。本製剤は、ASTレベルを効果的に低下させて(図8)、それにより、本製剤は、塩分の取込みの増加により発症した心毒性を軽減することを示した。同様に、LDHおよびCK-MBレベル(図9)も、本製剤が投与されたラットでは正常に戻り、本製剤は心臓保護作用があることを示している。
これらの結果は、本製剤が優れたPGT阻害剤であることを示した。本製剤はまた、心拍、血圧および平均動脈圧の上昇を正常レベル近くにまで反転させることにより、抗高血圧であることによって、PGT阻害の関連する治療的利益を付与した。本製剤はまた、上昇した心臓マーカーをほぼ正常なレベル近くにまで低下させることによって、心臓保護作用を付与する。
【0034】
本発明への他の修正および変形が、上述の開示および教示から当業者に明白であろう。したがって、本発明のある種の実施形態しか、本明細書に具体的に記載されていないが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、多数の修正が行われてもよいことは明白であろう。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲に関係づけてのみ解釈されるべきである。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕プロスタグランジン輸送体阻害剤としての使用のための、30~60%w/wのニンニク(Allium sativum)抽出物、10~30%w/wのビート(Beta vulgaris)抽出物、5~15%w/wのニゲラ・サチバ(Nigella sativa)抽出物および10~30%w/wのテルミナリア・アルジュナ(Terminalia arjuna)抽出物を含む組成物。
〔2〕前記ニンニク抽出物が、0.3%以上のS-アリルシステインを含有するように標準化されている、前記〔1〕に記載の組成物。
〔3〕前記ビート抽出物が、2%以上のニトラートを含有するように標準化されている、前記〔1〕に記載の組成物。
〔4〕前記ニゲラ・サチバ抽出物が、0.1%~5%w/wのチモキノン、約0.01%~10%w/wのチモヒドロキノン、約20%~95%w/wの脂肪酸、約0.001%~3%w/wのα-ヘデリンまたはヘデラゲニンを含有するように標準化されている、前記〔1〕に記載の組成物。
〔5〕前記テルミナリア・アルジュナ抽出物が、3%w/wのアルジュノグルコシドを含有するように標準化されている、前記〔1〕に記載の組成物。
〔6〕プロスタグランジンが、プロスタグランジンE2、プロスタサイクリン、プロスタグランジンD2およびプロスタグランジンF2αを含む群から選択される、前記〔1〕に記載の組成物。
〔7〕哺乳動物における高血圧および関連症状の治療的管理における使用のための、30~60%w/wのニンニク抽出物、10~30%w/wのビート抽出物、5~15%w/wのニゲラ・サチバ抽出物および10~30%w/wのテルミナリア・アルジュナ抽出物を含む組成物。
〔8〕高血圧の前記管理が、プロスタグランジン輸送体を阻害/遮断することによってもたらされる、前記〔7〕に記載の組成物。
〔9〕高血圧の症状が、収縮期血圧および拡張期血圧の上昇、平均動脈圧の上昇、心拍の上昇および酸化窒素レベルの低下を含む群から選択される、前記〔7〕に記載の組成物。
〔10〕前記組成物の有効用量が、体重1kgあたり50~400mgである、前記〔7〕に記載の組成物。
〔11〕前記哺乳動物がヒトである、前記〔7〕に記載の組成物。
〔12〕薬学的に/栄養補給食品として許容される生体利用率増強剤、抗酸化剤、賦形剤、アジュバント、希釈剤または担体と共に製剤化されており、錠剤、カプセル剤、シロップ剤、グミ剤、散剤、懸濁剤、乳剤、チュアブル錠、ドロップ剤または可食剤の形態で投与される、前記〔7〕に記載の組成物。
〔13〕哺乳動物における心血管系の合併症および関連症状の治療的管理における使用のための、30~60%w/wのニンニク抽出物、10~30%w/wのビート抽出物、5~15%w/wのニゲラ・サチバ抽出物および10~30%w/wのテルミナリア・アルジュナを含む組成物。
〔14〕心血管系の合併症の前記管理が、プロスタグランジン輸送体を阻害/遮断することによってもたらされる、前記〔13〕に記載の組成物。
〔15〕心血管系の合併症の症状が、収縮期血圧および拡張期血圧の上昇、平均動脈圧の上昇、心拍の上昇および心臓マーカーのレベルの上昇を含む群から選択される、前記〔13〕に記載の組成物。
〔16〕前記心臓マーカーが、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼおよびクレアチンキナーゼを含む群から選択される、前記〔15〕に記載の組成物。
〔17〕前記組成物の有効用量が、体重1kgあたり50~400mgである、前記〔13〕に記載の組成物。
〔18〕前記哺乳動物がヒトである、前記〔13〕に記載の組成物。
〔19〕薬学的に/栄養補給食品として許容される生体利用率増強剤、抗酸化剤、賦形剤、アジュバント、希釈剤または担体と共に製剤化されており、錠剤、カプセル剤、シロップ剤、グミ剤、散剤、懸濁剤、乳剤、チュアブル錠、ドロップ剤または可食剤の形態で投与される、前記〔13〕に記載の組成物。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9