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特許7335409縫製装置における搬送装置用のクランプ部
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-21
(45)【発行日】2023-08-29
(54)【発明の名称】縫製装置における搬送装置用のクランプ部
(51)【国際特許分類】
   D05B 35/00 20060101AFI20230822BHJP
   D05B 39/00 20060101ALI20230822BHJP
【FI】
D05B35/00 Z
D05B39/00
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022142744
(22)【出願日】2022-09-08
(65)【公開番号】P2023098583
(43)【公開日】2023-07-10
【審査請求日】2022-09-08
(31)【優先権主張番号】202111624016.6
(32)【優先日】2021-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】000006828
【氏名又は名称】YKK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002712
【氏名又は名称】弁理士法人みなみ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西田 瞳
(72)【発明者】
【氏名】澤田 敏昭
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-167897(JP,A)
【文献】特開2019-55138(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D05B 35/00
D05B 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テーブル(1)に被縫製物(3)を押し付けながら搬送するときに前記被縫製物(3)を押し付けるクランプ部本体(44)を含むクランプ部(41)と、前記クランプ部(41)を搬送する搬送部(42)とを備える縫製装置における搬送装置(4)用のクランプ部(41)において、
前記クランプ部本体(44)は、前記テーブル(1)に前記被縫製物(3)を押さえる押さえ部(46,460)と、少なくとも一点を固定点として前記テーブル(1)に対向する状態で前記押さえ部(46,460)を揺動可能に支持する支持部(47,470)と、前記支持部(47,470)に対して前記押さえ部(46,460)を下方向に押し付ける押付け部(48,480)とを備えることを特徴とする縫製装置における搬送装置(4)用のクランプ部(41)。
【請求項2】
前記押さえ部(46)は、唯一の固定点としての揺動中心から平面視した状態での同一直線上において対称的に延びる二方向を基準揺動方向(L,R)として支持されることを特徴とする請求項1に記載の縫製装置における搬送装置(4)用のクランプ部(41)。
【請求項3】
前記支持部(47)と前記押さえ部(46)のうち一方は、前記押さえ部(46)の揺動中心となる軸(47a,47a0,47a1)を、他方は前記軸(47a,47a0,47a1)を支える軸受(46f,46f1,46f2)を備え、
前記押付け部(48)は、前記押さえ部(46)の揺動中心に対して前記基準揺動方向(L,R)の両側から前記押さえ部(46)を下方向に押し付けるものであることを特徴とする請求項2に記載の縫製装置における搬送装置(4)用のクランプ部(41)。
【請求項4】
前記押さえ部(46)は、前記被縫製物(3)を押さえる押さえ部材(46a)と、前記押さえ部材(46a)から上方に突出すると共に前記支持部(47)に対し揺動可能に支持される揺動部材(46d)であって前記押付け部(48)によって下方向に押し付けられる前記揺動部材(46d)とを備えることを特徴とする請求項3に記載の縫製装置における搬送装置(4)用のクランプ部(41)。
【請求項5】
前記支持部(47)は、前記揺動部材(46d)が揺動するための中心となる前記軸(47a)と、前記揺動部材(46d)の前記基準揺動方向(L,R)の両端における上下方向の揺動を許容する状態で前記揺動部材(46d)を支持すると共に前記軸(47a)を固定するための枠状の支持枠(47h)とを備えることを特徴とする請求項4に記載の縫製装置における搬送装置(4)用のクランプ部(41)。
【請求項6】
前記軸(47a)は前記支持枠(47h)の内側の上面に固定され、
前記揺動部材(46d)が前記支持枠(47h)の内側において前記軸(47a)の下面に対し支持された状態では、前記軸(47a)の真下であって前記支持枠(47h)の内側の下面と前記揺動部材(46d)の下面との間には揺動を許容する間隔(47q)が形成されることを特徴とする請求項5に記載の縫製装置における搬送装置(4)用のクランプ部(41)。
【請求項7】
前記支持枠(47h)は、前記揺動部材(46d)に対して上方に対向する上枠部(47i)と、前記揺動部材(46d)に対して下方に対向する下枠部(47j)と、前記揺動部材(46d)に対して前記基準揺動方向(L,R)に対向する一対の側枠部(47k)とを備えることを特徴とする請求項6に記載の縫製装置における搬送装置(4)用のクランプ部(41)。
【請求項8】
前記押付け部(48)は、前記揺動部材(46d)を上方から押さえると共に前記上枠部(47i)の下方に突出する押さえピン(48a)と、前記押さえピン(48a)を下方に押し込むと共に上下方向に弾性変形可能な弾性部材(48f)と、前記弾性部材(48f)を収容すると共に前記押さえピン(48a)を上下動可能に案内するガイドブロック部(48h)とを備えることを特徴とする請求項7に記載の縫製装置における搬送装置(4)用のクランプ部(41)。
【請求項9】
前記ガイドブロック部(48h)は、前記上枠部(47i)に対して上方に突出すると共に前記弾性部材(48f)を収容するガイドブロック本体(48i)と、前記上枠部(47i)の一部とを備え、
前記上枠部(47i)の一部には前記押さえピン(48a)の下部(48b)を上下動可能に案内するガイド孔(G2)が形成されていることを特徴とする請求項8に記載の縫製装置における搬送装置(4)用のクランプ部(41)。
【請求項10】
前記押付け部(48)は、前記弾性部材(48f)の下方への押し込み力を調整する調整部(49)を備えることを特徴とする請求項8に記載の縫製装置における搬送装置(4)用のクランプ部(41)。
【請求項11】
前記押付け部(48)は、前記弾性部材(48f)の下方への押し込み力を調整する調整部(49)を備えることを特徴とする請求項9に記載の縫製装置における搬送装置(4)用のクランプ部(41)。
【請求項12】
前記押さえ部(460)は、前記支持部(470)における少なくとも一つの固定点としての吊り下げ位置において上下動可能に且つ上下方向に対して傾斜可能な状態で支持されることを特徴とする請求項1に記載の縫製装置における搬送装置(4)用のクランプ部(41)。
【請求項13】
前記クランプ部本体(44)の他に、前記クランプ部本体(44)と前記搬送部(42)とを連結すると共に前記被縫製物(3)を介して前記テーブル(1)に前記クランプ部本体(44)を押し付けたときの衝撃を吸収する衝撃吸収部(45)とを備え、
前記衝撃吸収部(45)は、前記テーブル(1)に対向する状態で延びると共に前記搬送部(42)に連結される連結アーム(45a)と、前記連結アーム(45a)の延びる方向(L,R)の両端部に対して上下動可能に案内されると共に前記支持部(47)が固定される一対のロッド(45b)と、前記連結アーム(45a)と前記支持部(47)との間において前記ロッド(45b)が通される圧縮コイルバネ(45c)と、前記ロッド(45b)を前記連結アーム(45a)に対して吊り下げる形で支持するストッパ(45d)とを備えることを特徴とする請求項1~12の何れかに記載の縫製装置における搬送装置(4)用のクランプ部(41)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーブルに被縫製物を押し付けながら搬送するときに被縫製物を押し付ける縫製装置における搬送装置用のクランプ部に関する。
【背景技術】
【0002】
上記したクランプ部の例として、被縫製物を押さえる部分を一つの平面上に配置したものが知られている(特許文献1,2)。詳しくは以下のとおりである。
【0003】
特許文献1に開示されたクランプ部は、多関節ロボットに連結される平板状のホルダープレートと、ホルダープレートの下面に固定された一対のテープ押さえ部とを備える。一対のテープ押さえ部は、水平方向に延びる角棒状である。そして一対のテープ押さえ部の下面は、被縫製物を押さえる面であり、一つの平面上に離れて配置されている。
【0004】
特許文献2に開示されたクランプ部は保持部と称されている。そして当該クランプ部は、搬送部に連結される圧力シリンダーと、圧力シリンダーの下面に固定される支持板と、圧力シリンダーの下面から支持板を貫通して下方へ突出する圧力シリンダー用のロッドと、ロッドの下端部に固定されると共に支持板に対して下方において平行な取付枠と、取付枠に対し上下に貫通する状態で取り付けられると共に支持杆の両端部の貫通穴にそれぞれ挿入される2本の押圧杆と、支持杆と取付枠の間において各押圧杆が通される圧縮スプリングとを備える。この2本の押圧杆の先端(下端)である突起が被縫製物を押さえることになる。また2つの突起は、押圧杆が取付枠に取り付けられていることから、一つの平面上に離れて配置されていることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2018/216061号
【文献】特開2000-70759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した例のクランプ部は、被縫製物を押さえる部分が一つの平面上に配置されているので、テーブルの搬送面(上面)が平面である場合には、搬送中の押付け状態が概ね安定している。
【0007】
ところでテーブルの搬送面は必ずしも平面であるとは限らず、段差状に凸凹していたり、傾斜していたりといった悪条件の場合が有りうる。より詳しく言えば、テーブルが複数枚の板で構成される場合には、複数枚の板の上面に微妙な高低差ができることがありうるし、板の上面が水平に対して微妙に傾斜することもありうる。
このようにテーブルの搬送面が悪条件であると、上記した例のクランプ部は、被縫製物を強く押さえる部分と弱く押さえる部分とが発生し、押付け状態が不安定になる。そうすると、被縫製物の姿勢が微妙にずれ、縫製の仕上がり具合が悪化するおそれがある。
またテーブルの搬送面は全体的には平面であっても、局部的に凹んだり、異物が付着したりすることもあり、押付け状態を安定させることは望ましいことである。
【0008】
本発明は上記実情を考慮して創作されたもので、その目的は、被縫製物をテーブルに押し付けながら搬送する場合に、被縫製物に対する押付け状態を安定させることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、テーブルに被縫製物を押し付けながら搬送するときに前記被縫製物を押し付けるクランプ部本体を含むクランプ部と、クランプ部を搬送する搬送部とを備える縫製装置における搬送装置を前提とする。
そしてクランプ部本体は、テーブルに被縫製物を押さえる押さえ部と、少なくとも一点を固定点としてテーブルに対向する状態で押さえ部を揺動可能に支持する支持部と、支持部に対して押さえ部を下方向に押し付ける押付け部とを備える。
【0010】
押さえ部が揺動可能に支持される第一の態様は以下の通りである。
押さえ部は、唯一の固定点としての揺動中心から平面視した状態での同一直線上において対称的に延びる二方向を基準揺動方向として支持される。
【0011】
押付け部は、押さえ部を揺動中心に対してどのように押し付けるかを問わないが、押さえ部の姿勢を安定させるには次のようにすることが望ましい。
支持部と押さえ部のうち一方は、押さえ部の揺動中心となる軸を、他方は軸を支える軸受を備えるものとする。その上で押付け部は、押さえ部の揺動中心に対して基準揺動方向の両側から押さえ部を下方向に押し付けるものとする。
【0012】
押さえ部はどのような構成であるかを問わないが、具体的な一例としては次のようにすることが望ましい。
すなわち押さえ部は、被縫製物を押さえる押さえ部材と、押さえ部材から上方に突出すると共に支持部に対し揺動可能に支持される揺動部材であって押付け部によって下方向に押し付けられる揺動部材とを備えることである。
【0013】
支持部はどのような構成であるか否かを問わないが、具体的な一例としては次のようにすることが望ましい。
すなわち支持部は、揺動部材が揺動するための中心となる軸と、揺動部材の基準揺動方向の両端における上下方向の揺動を許容する状態で揺動部材を支持すると共に軸を固定するための枠状の支持枠とを備えることである。
【0014】
支持枠はどのようにして揺動部材を支持しているかの詳細は問わないが、具体的な一例としては次のようにすることが望ましい。
すなわち軸は支持枠の内側の上面に固定され、揺動部材が支持枠の内側において軸の下面に対し支持された状態では、軸の真下であって支持枠の内側の下面と揺動部材の下面との間には揺動を許容する間隔が形成されることである。
【0015】
支持枠はどのような構成であるか否かを問わないが、具体的な一例としては次のようにすることが望ましい。
すなわち支持枠は、揺動部材に対して上方に対向する上枠部と、揺動部材に対して下方に対向する下枠部と、揺動部材に対して基準揺動方向に対向する一対の側枠部とを備えることである。
【0016】
押付け部はどのような構成であるか否かを問わないが、具体的な一例としては次のようにすることが望ましい。
すなわち押付け部は、揺動部材を上方から押さえると共に上枠部の下方に突出する押さえピンと、押さえピンを下方に押し込むと共に上下方向に弾性変形可能な弾性部材と、弾性部材を収容すると共に押さえピンを上下動可能に案内するガイドブロック部とを備えることである。
【0017】
ガイドブロック部はどのような構成であるか否かを問わず、例えば上枠部を兼用して、上枠部だけで構成しても良いが、構成を簡素化するには次のようにすることが望ましい。
すなわちガイドブロック部は、上枠部に対して上方に突出すると共に弾性部材を収容するガイドブロック本体と、上枠部の一部とを備え、上枠部の一部には押さえピンの下部を上下動可能に案内するガイド孔が形成されていることである。
【0018】
押付け部は、弾性部材の下方への押し込み力を調整可能な構成であるか否かを問わないが、被縫製物の種類やテーブルの状況に対応させるには、次のようにすることが望ましい。
すなわち押付け部は、弾性部材の下方への押し込み力を調整する調整部を備えることである。
【0019】
押さえ部が揺動可能に支持される第一の態様は前述したが、第二の態様は以下の通りである。
すなわち押さえ部は、支持部における少なくとも一つの固定点としての吊り下げ位置において上下動可能に且つ上下方向に対して傾斜可能な状態で支持される。
【0020】
本発明の当該クランプ部は、クランプ部本体を搬送部に直接連結するか否かを問わない。ところで被縫製物を介してテーブルにクランプ部本体を押し付けたときには、クランプ部本体に衝撃が伝わる。この衝撃を吸収するには搬送部が衝撃吸収機能を備えるものであっても良いが、搬送部の機能に関係なく、クランプ部が衝撃を吸収するには、次のようにすることが望ましい。
すなわちクランプ部は、クランプ部本体の他に、クランプ部本体と搬送部とを連結すると共に被縫製物を介してテーブルにクランプ部本体を押し付けたときの衝撃を吸収する衝撃吸収部とを備えるものとする。そして衝撃吸収部は、テーブルに対向する状態で延びると共に搬送部に連結される連結アームと、連結アームの延びる方向の両端部に対して上下動可能に案内されると共に支持部が固定される一対のロッドと、連結アームと支持部との間においてロッドが通される圧縮コイルバネと、ロッドを連結アームに対して吊り下げる形で支持するストッパとを備えることである。
【発明の効果】
【0021】
本発明の縫製装置における搬送装置用のクランプ部は、テーブル上の被縫製物を押さえ部で押し付けたうえで、押さえ部が固定部に対して揺動する方向と搬送方向とを合わせて搬送されれば、テーブルの上面が搬送方向に段差のある場合であっても、押さえ部がテーブルの上面の状態に対応した姿勢になり、その対応した姿勢が押付け部の下方向への押付け力によって安定するので、被縫製物に対する押付け状態が安定する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の縫製装置における搬送装置用の第一実施形態のクランプ部を示す正面斜め上から見た斜視図である。
図2】第一実施形態のクランプ部を示す背面図である
図3】第一実施形態のクランプ部を示す平面図である。
図4】第一実施形態のクランプ部を示す左側面図である。
図5図4のV-V線断面図である。
図6図2のVI-VI線断面図である。
図7図2のVII-VII線断面図である。
図8】第一実施形態の搬送装置による搬送状態を示す説明図である。
図9】クランプ部とテーブルとの関係を示す平面図である。
図10】(a)~(c)図はクランプ部の揺動構造の例を示す斜視図である。
図11】第二実施形態のクランプ部を示す背面図である。
図12】第三実施形態のクランプ部を示す背面斜め上から見た斜視図である。
図13図12のXIII-XIII線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の第一実施形態の縫製装置は図8,9に示すように、テーブル1と、ミシン2と、被縫製物3をテーブル1に押し付けながらミシン2に対して上流側から下流側に搬送する搬送装置4とを備える。ちなみに被縫製物3をミシン2で縫製する場合には、被縫製物3は図8,9では右から左に一直線に搬送されるものとする。図では搬送方向は矢印と符号Xを併記して示されている。なお被縫製物3は柔軟な生地である。
【0024】
テーブル1は図9に示すように、ミシン2の針板2tと、針板2tとは別部品の搬送テーブル11とを備える。また本実施形態ではテーブル1は、針板2tと搬送テーブル11の他に、ミシン2の位置決めプレート7の一部を、別部品として備える。針板2tと搬送テーブル11と位置決めプレート7の一部は何れも上面を水平面とすると共に、ほぼ同一平面に位置するように揃えてある。
【0025】
位置決めプレート7は、鉛直な面を有すると共に被縫製物3の端を位置決め可能な位置決め本体部71と、位置決め本体部71に対して直角に屈曲する形で延びると共に被縫製物3の下面側を案内可能な下板部72と、位置決め本体部71に連続すると共にミシン本体2aに固定する固定板部73とを備える。なお下板部72がテーブル1の一部を構成する部分である。
【0026】
位置決め本体部71は鉛直な板で、左右方向に延びている。位置決め本体部71の下端部には下板部72が連続しており、位置決め本体部71の上端部にはミシン本体2aに固定するための固定板部73が連続している。
【0027】
下板部72は針板2tに対して搬送方向Xの下流側に配置されている。
搬送テーブル11は、平面視して搬送方向Xに一直線に延びており、ミシン2に対して上流側と下流側との範囲に亘って左右方向に延びている。また搬送テーブル11にはミシン2から離れる方向に凹んだ凹部11cが形成されており、位置決めプレート7の下板部72と針板2tとが凹部11c内に配置されている。
【0028】
ミシン2は図9に示すように、被縫製物3を縫うミシン本体2aと、被縫製物3をテーブル1の上面に接近するように案内するガイド5と、ガイド5をミシン本体2aに取り付けるブラケット6と、被縫製物3を一直線に搬送しながら縫製する場合にその一直線の方向の目印となる位置決めプレート7とを備える。
【0029】
被縫製物3の搬送方向Xは前述したように一直線に搬送される方向である。より詳しく言えば、ミシン2に対する被縫製物3の搬送方向Xは、搬送装置4の動き(搬送装置4の駆動を制御する制御装置への設定)に依拠する。そして本実施形態の搬送装置4は後述する多関節ロボットで搬送するように構成してあり、被縫製物3を一直線の方向だけでなく、多様な方向に動かすことができるので、当該搬送方向Xが一見定まらないかのように思える。しかしながらミシン2の基本的な使用方法(被縫製物3の基本的な搬送方向)では前述したように被縫製物3を一直線に搬送しながら縫製するので、本実施形態ではこの一直線の方向を被縫製物3の搬送方向Xであるものとしている。そして本実施形態では「被縫製物3の搬送方向X」とは、位置決めプレート7が被縫製物3の端を一直線に案内可能とする方向であるものとする。また被縫製物3の搬送方向Xは、位置決めプレート7以外の目印となるものであっても良いし、目印となるものが無い場合には、ミシン2の取り扱い説明書を参照する。
【0030】
ミシン本体2aは周知のもので、針に通された上糸とテーブル1の針板2tの下側に供給された下糸とを絡めて、針板2t上に載置された被縫製物3に対し縫目を形成する。ちなみに本実施形態では、ミシン本体2aは環縫いミシンであり、搬送装置4との協働によって矩形状の被縫製物3の一辺に対して縁かがり縫いするようになっている。
またミシン本体2aは、テーブル1に対して下側に設置されるベッド部(図示せず)と、ベッド部から起立するポスト部22と、ポスト部22の上部からベッド部に対し上方において対向する状態で延びるミシンヘッド部23とを備える。
【0031】
ミシン本体2aは、ベッド部とミシンヘッド部23とが上下に離れた状態で前後方向に延びており、ベッド部とミシンヘッド部23の後部に挟まれる形でポスト部22が上下に延びている。
【0032】
ベッド部は、その外郭を形成するベッドケースと、ベッドケース内に収容される内部機構とを備える。内部機構は、下糸を上糸に絡める機構である。ベッドケースの上面には針孔1hが形成された針板2tをベッドケースの一部として備える。
【0033】
ミシンヘッド部23は、その外郭を形成するミシンヘッドケース(符号省略)と、ミシンヘッドケース内に収容される内部機構を備えている。ちなみに内部機構とは、針棒上下動機構や天秤駆動機構等である。そしてミシンヘッド部23は、ミシンヘッドケースの先部の下面から針棒駆動機構の針棒23bが下方に突出する状態で配置される。そして針棒23bの下端部に針(図示せず)が下方に延びる状態で取付けられる。
【0034】
ポスト部22は、その外郭を形成するポストケース(符号省略)と、ポストケース内に収容される内部機構とを備える。内部機構とは、例えばミシンヘッド部23の内部機構とベッド部の内部機構とを連動させる機構である。そしてテーブル1に対して上方であってポストケース(ミシン本体2a)に対して被縫製物3の搬送方向Xの上流側を向く面にブラケット6を介してガイド5が固定されている。ちなみに本実施形態ではブラケット6は、異なる形からなる第1のブラケット61と第2のブラケット62とから構成される。第1のブラケット61と第2のブラケット62とはボルトで固定されている。
【0035】
ガイド5は、針よりも搬送方向Xの上流側においてテーブル1に対して上方に配置され、搬送装置4による被縫製物3の搬送を伴って被縫製物3をテーブル1の上面に接近するように案内する。
【0036】
搬送装置4は図8に示すように、被縫製物3をテーブル1に押し付けるクランプ部41と、クランプ部41を搬送する搬送部42とを備える。
【0037】
搬送部42は例えば多軸の多関節ロボットである。そして多関節ロボットの先端のロボットアーム42aが下方に向かって延びており、ロボットアーム42aの先端部である下端部にクランプ部41が固定されている。そして搬送部42は、予め設定された手順に従ってクランプ部41を動かし、テーブル1上にクランプ部41を押し付けながら搬送する。
【0038】
クランプ部41は図1に示すように、テーブル1に被縫製物3を押し付けるクランプ部本体44と、クランプ部本体44とロボットアーム42aの先部とを連結すると共に被縫製物3を介してテーブル1にクランプ部本体44を押し付けたときの衝撃を吸収する衝撃吸収部45とを備える。
【0039】
クランプ部41の説明において次のように方向を定める。
上下方向とは、図2での上下方向である。
左右方向と前後方向とは水平を基準とした場合の方向である。
前後方向とは、図2での紙面に直交する方向である。前方向とは手前を向く方向である。後方向とは奥を向く方向である。
左右方向とは、図2での左右方向である。なお図2は背面図である点に留意する。したがって図2での左方向は図3の平面図での左方向と逆であり、図2での右方向は図3の平面図での右方向と逆である。そして図中での符号L、Rは図3の平面図を基準にして記載してある。なお左右方向L,Rは、後述する基準揺動方向と一致する。
【0040】
クランプ部本体44は図2,5,6に示すように、テーブル1に被縫製物3を押さえる押さえ部46と、一点を固定点としてテーブル1に対向する状態で押さえ部46を揺動可能に支持する支持部47と、支持部47に対して押さえ部46を下方向に押し付けて押さえ部46の姿勢を安定させる押付け部48とを備える。
【0041】
平面視した状態で押さえ部46は、唯一の固定点としての揺動中心に対して二方向のみに揺動可能に支持されている。その二方向とは揺動中心から同一直線上において対称的に延びる二方向のことである。そして揺動中心から同一直線上において対称的に延びる二方向のことを基準揺動方向と称する。本実施形態の基準揺動方向L,Rは左右方向と一致するものとする。なおクランプ部本体44の詳細は衝撃吸収部45の後で説明する。
【0042】
衝撃吸収部45は図2~5に示すように、テーブル1に対向する状態で延びると共に搬送部42のロボットアーム42aの先部に連結される連結アーム45aと、連結アーム45aの延びる方向L,Rの両端部に対して上下動可能に案内されると共にクランプ部本体44が固定される一対のロッド45bと、連結アーム45aとクランプ部本体44との間においてロッド45bが通される圧縮コイルバネ45cと、ロッド45bを連結アーム45aに対して吊り下げる形で支持するストッパ45dとを備えるものとする。なお本実施形態では連結アーム45aが延びる方向を上下方向に直交する方向とし、且つ基準揺動方向L,Rと合わせてある。また基準揺動方向L,Rと搬送方向Xとを合わせながら(平行に保ちながら)クランプ部41が搬送されるものとする。
【0043】
連結アーム45aは、基準揺動方向L,R(左右方向)の中間部をロボットアーム42aの先部への固定部とし、左右方向の左右端部をロッド45bを昇降可能に案内する案内部とする。
【0044】
連結アーム45aの案内部は、基準揺動方向L,R(左右方向)に延びるアーム本体45eの左右両端部と、アーム本体45eの左右端部に固定されると共にロッド45bを上下動可能に案内する案内筒45fとを備える。
【0045】
アーム本体45eは、左右方向に関して左端部と右端部とをその間の部分に対して下方に突出する形状である。この左右端部には上下方向に貫通する貫通穴45hが形成される。各貫通穴45hには案内筒45fが上下に突出する状態で差し込まれる。案内筒45fの上下端部にはその外周面に溝45iが周方向に沿って形成されており、上下の当該溝45iにC字状の止め輪45jが嵌合している。そして止め輪45jによって案内筒45fをアーム本体45eに固定している。
【0046】
ロッド45bは、その下端部をクランプ部本体44にボルトB1で固定し、その上部を連結アーム45aの案内筒45fに通してある。ロッド45bの上端面にはロッド45bよりも直径の大きなストッパ45dがボルトB2で固定されている。なおストッパ45dとボルトB2の頭部との間にはワッシャ45nが挟まれている。ストッパ45dの半径方向外側部分はロッド45bよりも半径方向に鍔状に突出している。したがってストッパ45dは連結アーム45aの上面よりも下方へ移動不能となっている。また連結アーム45aに対するロッド45bの下方への移動はストッパ45dによって規制される。ストッパ45dでロッド45bの下方への移動が規制された状態は、ロッド45bと一体化されたクランプ部本体44が連結アーム45aに対して吊り下げられた状態であり、クランプ部本体44は下方へ移動不能で且つ上方へ移動可能となっている。ロッド45bはクランプ部本体44と連結アーム45aとの間において圧縮コイルバネ45cの内側に通される。
【0047】
圧縮コイルバネ45cは、クランプ部本体44から伝わる衝撃を吸収して連結アーム45aに伝える。つまり被縫製物3をテーブル1上で搬送するときには、搬送部42が駆動してロボットアーム42aを介してクランプ部本体44をテーブル1に押し付けることになる。そうすると、クランプ部本体44に一体化されたロッド45bが連結アーム45aに対して上昇し、圧縮コイルバネ45cがクランプ部本体44と連結アーム45aとの間で収縮して、クランプ部本体44がテーブル1の上面に被縫製物3を押し付けることになる。このようにしてテーブル1とクランプ部本体44に挟まれた形でクランプ部本体44がミシン2に対して上流側から下流側に搬送されることにより、被縫製物3が搬送される。
【0048】
一方、連結アーム45aの固定部は図2,4,6に示すように、アーム本体45eの左右方向の中間部と、連結アーム45aの当該中間部に固定されると共にロボットアーム42aの先部を連結する連結ブロック45pと、連結ブロック45pの上に固定されると共にロボットアーム42aを貫通させる形で挿入する管45uとを備える(図8参照)。
【0049】
連結ブロック45pの後面における上下方向の中間部には左右方向に貫通する溝45qが形成されている。この溝45qに連結アーム45aのアーム本体45eの左右方向の中間部を嵌合させて固定する。また連結ブロック45pは平面視して中央部には上下方向に貫通する貫通穴45rが形成され、後面には貫通穴45rに通じる開口部45sが形成されている。開口部45sが狭くなるように連結ブロック45pに対してボルト止めすると、貫通穴45rが僅かに小さくなり、管45uを経て貫通穴45rに挿入されたロボットアーム42aの先部が締め付けられて連結される。つまりロボットアーム42aの先部はいわゆる割り締めによって連結ブロック45pに連結される。このような衝撃吸収部45に連結されているのがクランプ部本体44である。
【0050】
クランプ部本体44の構成のうち押さえ部46は図2,5,6に示すように、被縫製物3を押さえる押さえ部材46aと、押さえ部材46aから上方に突出すると共に支持部47に対し上下方向に揺動可能に支持される揺動部材46dであって押付け部48によって下方向に押し付けられる揺動部材46dと、押さえ部材46aの下面に固定される弾性変形可能なクッション46qとを備える。本実施形態では押さえ部46は、押さえ部材46aと揺動部材46dとクッション46qとを別部品とし、押さえ部材46aと揺動部材46dとをボルトB3で固定して一体化し(図6参照)、押さえ部材46aとクッション46qとを接着で一体化してある。
【0051】
支持部47は押さえ部46を基準揺動方向L,Rの二方向のみに揺動可能に支持する。そして支持部47は、押さえ部46の揺動部材46dが揺動するための中心、つまり固定点となる軸47aと、揺動部材46dの両端における上下方向の揺動を許容する状態で揺動部材46dを支持すると共に軸47aを固定するための枠状の支持枠47hとを備える。
【0052】
支持枠47hは、揺動部材46dに対して上方に対向する上枠部47iと、揺動部材46dに対して下方に対向する下枠部47jと、揺動部材46dに対して左右(基準揺動方向L,R)に対向する一対の側枠部47kとを備える。下枠部47jと一対の側枠部47kとは一体に形成されており、つまり一部品である。そして一部品となった下枠部47jと一対の側枠部47kとは、下枠部47jの左右両端部から一対の側枠部47kが上方に突出する形になっている。
【0053】
また一対の側枠部47kの上には上枠部47iの左右端部が載せられる。上枠部47iと一対の側枠部47kとがボルトB6で固定されることによって、支持枠47hが形成される(図1参照)。支持枠47hの上面に対し衝撃吸収部45の左右のロッド45bが起立する状態で固定される。より詳しく言えば図5に示すように、上枠部47iの左右端部には左右のロッド45bの下端部を通すために上下方向に貫通する貫通穴h1が形成される。一対の側枠部47kと下枠部47jとにはこの貫通穴h1に対応する位置に当該貫通穴h1よりも小径で且つ上下方向に貫通する貫通穴h2が形成される。左右のロッド45bの下面には雌ネジ穴(符号省略)が形成される。一対の側枠部47kと下枠部47jとに形成された貫通穴h2からボルトB1をロッド45bの雌ネジ穴に捻じ込むことで、ボルトB1の頭部とロッド45bとの間に貫通穴h2の周りが挟まれることになり、左右のロッド45bと支持枠47hとが固定される。なお貫通穴h2の下部はそれよりも上側部分に比べて大径に形成され、ボルトB2の頭部を収容する。支持枠47hは前後方向に貫通する矩形状の枠である。そして支持枠47hの内側には揺動部材46dの揺動を許容する空間部47sが形成される。また支持枠47hの内側には揺動部材46d(押さえ部46)の揺動中心、つまり固定点となる軸47aが固定される。なお支持枠47hは前述したように前後方向に貫通する矩形状の枠であるので、支持枠47hの内側には前後方向に貫通する空間部が形成される。この空間部の上面は、支持枠47hの内側の上面に対応しており、より詳しく言えば上枠部47iの下面に対応している。この上枠部47iの下面に固定されるのが軸47aである。
【0054】
軸47aは図5に示すように、端面が半円状に形成された棒である。より詳しく言えば、軸47aは、軸47aの上面47bであって上枠部47iの下面(支持枠47hの内側の上面)に固定される細長い平面状の上面47bと、軸47aの下面47cであって揺動部材46dが嵌合する面としての半円筒面状に湾曲した下面47cとを備える。
軸47aは上枠部47iの下面に固定される。より詳しく言えば、軸47aの上部は上枠部47iの下面のうち左右方向の中間部に対し位置決めされて固定されている。
上枠部47iの下面のうち左右方向の中間部には軸47aの上部を嵌合させる溝47nが形成される。溝47nに嵌合された軸47aと上枠部47iとは図6に示すようにボルトB4で固定される。
【0055】
揺動部材46dは、平面視・正面視して細長い矩形状であり、側面視してL字状である。より詳しく言えば揺動部材46dは、支持枠47hに軸47aを介して揺動可能に支持されると共に左右に延びる揺動部材本体部46eと、揺動部材本体部46eの後部から下方に延びると共に押さえ部材46aが固定される固定部46hとを備える。
【0056】
揺動部材本体部46eは図5,6に示すように、上面の基準揺動方向L,R(左右方向)の中間部に軸47aを支える軸受46fを備える。軸受46fは、揺動部材本体部46eの上面において凹んでおり、軸47aの下部が嵌合する嵌合溝46fである。嵌合溝46fは、軸47aの長手方向(前後方向)に延び、軸47aの長手方向から見て、半円よりも小さな円弧状の湾曲面である。
【0057】
図5はクランプ部41を被縫製物3の上からテーブル1に押し付けて、軸47aに揺動部材本体部46eの嵌合溝46fが嵌合し、揺動部材本体部46eが軸47aに対して揺動可能に水平に支持された状態を示している。つまり図5は、揺動部材46dが支持枠47hの内側において軸47aの下面に対し支持された状態を示している。
【0058】
揺動部材本体部46eは上下方向の厚み46jを、支持枠47hの内側の空間部47sにおける上下方向の間隔47pよりも薄くしてある。また揺動部材46dが支持枠47hの内側において軸47aの下面に対し支持された状態では、軸47aの真下であって支持枠47hの内側の下面(下枠部47jの上面)と揺動部材46dにおける揺動部材本体部46eの下面との間には揺動を許容する間隔47qが形成される。また揺動部材46dがこのように軸47aの下面に支持された状態では、空間部47sのうち軸47aに対して左右両側の部分が、軸47aに嵌合された揺動部材本体部46eの上方に位置する。このようにして揺動部材本体部46eは支持枠47h内での揺動を許容される。したがって揺動部材本体部46eを含む揺動部材46dは、軸47aを中心にして揺動可能であり、揺動部材本体部46eの左右端が上下方向に変位可能な揺動端となる。また揺動部材46dが支持枠47hの内側において軸47aの下面に対し支持された状態では、支持枠47hの下枠部47jの下面と押さえ部材46aの上面との間にも間隔47rが形成される。このようにして押さえ部材46aは支持枠47hに対して揺動可能に支持される。
【0059】
また揺動部材46dは図7に示すように、揺動部材本体部46eと固定部46hとの他に、固定部46hの下面の前部から突出する凸ブロック46uを備える。凸ブロック46uは、固定部46hの前部に位置すると共に固定部46hの左右方向の全長に亘って形成される。凸ブロック46uに嵌合するのが押さえ部材46aである。
【0060】
押さえ部材46aは平板状である。押さえ部材46aの上面には凸ブロック46uが嵌合する嵌合穴46bが形成されている。嵌合穴46bは上下方向に貫通すると共に左右方向に長い長穴となっている。
【0061】
クッション46qは板状である。またクッション46qには上下方向に貫通する貫通穴46rが形成されている。貫通穴46rは左右方向に細長い長孔である。そして貫通穴46rの内部には図6に示すように、押さえ部材46aを揺動部材46dに固定するボルトB3の頭部が収容される。またクッション46qは図1,2,4に示すように、左右方向の長さを押さえ部材46aと一致させ、前後方向の長さを押さえ部材46aよりも短くしてある。ちなみにクッション46qと押さえ部材46aとは一体化された状態では、後端に関しては一致させてあり、前端に関してはクッション46qの方が押さえ部材46aよりも後方に位置する状態となる。なおクッション46qは厚み方向に弾性変形可能な材質である。
【0062】
押付け部48は、押さえ部46の基準揺動方向L,Rの中間部である揺動中心(軸47a)に対して基準揺動方向L,Rの両側から押さえ部46を下方向に押し付ける一対の押さえピン48aを備えるものである。より詳しく言えば、押付け部48は図5に示すように、揺動部材46dを上方から押さえると共に上枠部47iの下方に突出する押さえピン48aであって軸47aに対して左右(基準揺動方向L,R)に配置される一対の押さえピン48aと、各押さえピン48aを下方に押し込むと共に上下方向に弾性変形可能な一対の弾性部材48fとしての圧縮コイルバネ48fと、一対の圧縮コイルバネ48fを収容すると共に一対の押さえピン48aを上下動可能に案内するガイドブロック部48hと、一対の圧縮コイルバネ48fの下方への押し込み力を調整する調整部49とを備える。
【0063】
ガイドブロック部48hは、上枠部47iに対して上方に突出すると共に圧縮コイルバネ48fを収容するガイドブロック本体48iと、上枠部47iの一部とを備える。
【0064】
ガイドブロック本体48iは直方体状である。ガイドブロック本体48iは上枠部47iの上面の左右方向の中間部に置かれ、上枠部47iに対してボルトB5で固定されている。そのボルトB5は軸47aに対して左右に配置されている。ちなみに図1,7に示すように上枠部47iの上面には前後方向の中間部において左右方向に延びる溝47oが形成され、この溝47oにガイドブロック本体48iが前後に位置決めされた状態で嵌合される。
【0065】
ガイドブロック本体48iは、本実施形態では上枠部47iと協働して、押さえピン48aを昇降可能に案内する。ガイドブロック本体48iの左端部と右端部には押さえピン48aが上下方向に貫通する貫通穴48jが形成されている。この貫通穴48jは、上面側の部分を下面側の部分よりも小径にしたガイド孔G1としてある。ガイド孔G1の直径は押さえピン48aのうち対応する部分の直径よりも僅かに大きく形成され、押さえピン48aの上部を昇降可能に案内する。また当該貫通穴48jの下側の部分は、押さえピン48aが通された圧縮コイルバネ48fの直径よりも大きく形成され、圧縮コイルバネ48fを収容する収容穴48kとなる。
【0066】
上枠部47iには押さえピン48aの下部48bを上下動可能に案内するガイド孔G2が形成されている。このガイド孔G2は、上枠部47iのうち軸47aを嵌合する溝47nに対して左右に離れた位置において上下方向に貫通している。ガイド孔G2は押さえピン48aの下部48bの直径よりも僅かに大きく形成されており、押さえピン48aの下部を昇降可能に案内する。
【0067】
押さえピン48aは、上下方向に延びる円柱状の棒である。また押さえピン48aの下部48bは、前記したように上枠部47iのガイド孔G2に案内される。押さえピン48aの下端部は、上枠部47iの下方に突出し、揺動部材本体部46eの上面に押し付けられる。また揺動部材本体部46eの上面には、押さえピン48aの下端部が前後方向に位置決めして収容される位置決め凹部46gが形成される。位置決め凹部46gは、揺動部材本体部46eの上面において左右方向に延びる溝になっている。そして位置決め凹部46gと押さえピン48aの下端部とは協働して、揺動部材46dが支持枠47hに対して前後方向に移動不能に規制する位置決め部となる。また位置決め部は、揺動部材46dが支持枠47hから外れないようにする。
また押さえピン48aの下部48bはそれよりも上側部部分に対して太い大径部48bとしてある。押さえピン48aの大径部48bの上面に載せられるのが弾性部材48fとしての圧縮コイルバネ48fである。
【0068】
圧縮コイルバネ48fは、押さえピン48aの上下方向の中間部に通されて、押さえピン48aの当該中間部における周囲を取り囲む状態で、ガイドブロック本体48iの貫通穴48jに収容される。また圧縮コイルバネ48fの上面はガイドブロック本体48iの収容穴48kの上面に押し当てられた状態になり、圧縮コイルバネ48fが収縮し、押さえピン48aの下端部が上枠部47iの下面よりも下方に突出し、支持枠47hの空間部47sに突入した状態になり、揺動部材46d(揺動部材本体部46e)の上面を下方に押し込む。圧縮コイルバネ48fの収縮量を調整するのが調整部49である。
【0069】
調整部49は図5に示すように、ガイドブロック本体48iに対して上方において押さえピン48aの上部を留めるピン留め板49aと、ピン留め板49aとガイドブロック本体48iとの上下間隔を調整する調整摘まみ49hとを備える。
【0070】
ピン留め板49aは水平に左右に延びている。ピン留め板49aの左右には押さえピン48aの上部を貫通させる貫通穴49bが形成される。図7に示すようにこの貫通穴49bに通された押さえピン48aの上側には周方向に沿って溝48cが形成されている。この溝48cにC字状の止め輪48eが嵌められており、止め輪48eによってピン留め板49aが押さえピン48aから上方に抜け外れないようになっている。また図5,6に示すようにピン留め板49aの左右方向の中間部には上下に貫通する雌ネジ穴49cが形成される。
【0071】
調整摘まみ49hは、円盤状の摘まみ部49iと、摘まみ部49iの円盤の中心から下方に延びる雄ネジ部49jとを備える。ちなみに摘まみ部49iの中心には雌ネジ穴(符号省略)が上下方向に貫通して形成され、この雌ネジ穴に雄ネジ部49jが螺合している。
【0072】
雄ネジ部49jはその下部をピン留め板49aの左右方向の中間部に形成された雌ネジ穴49cに螺合させてある。また雄ネジ部49jは、その下端部をピン留め板49aよりも下方に突出させ、その下端をガイドブロック本体48iの上面に押し付けてある。そして雄ネジ部49jのうちピン留め板49aから下方に突出する量を調整することで、ガイドブロック本体48iとピン留め板49aとの上下間隔が調整され、圧縮コイルバネ48fの収縮量、つまり弾性部材48fによる押さえピン48aの押し込み力が調整される。ちなみにナットN1がピン留め板49aの上面に押し付けられる状態で雄ネジ部49jに螺合してあり、雄ネジ部49jの突出量を固定してある。また別のナットN2が摘まみ部49iの下面に押し付けられる状態で螺合してあり、摘まみ部49iに雄ネジ部49jを固定してある。
【0073】
本発明の第一実施形態の縫製装置は、以下の要領で被縫製物3を縫製する。まずテーブル1上に被縫製物3が載せられる。次に搬送部42が駆動して、テーブル1上にクランプ部41を押し付ける。そうすると、押さえ部46に対して支持部47が僅かに下降し、軸受46fとしての嵌合溝46fと軸47aとが嵌合し、軸受46fと軸47aとを揺動中心として押さえ部46が揺動可能な状態になる。またテーブル1にクランプ部41を押し付けた力によって、支持部47の上のロッド45bに沿って連結アーム45aが案内筒45fと一緒に下降し、衝撃吸収部45の圧縮コイルバネ45cが案内筒45fと支持部470との間で収縮してクランプ部41を押し付けたときの衝撃を吸収する。そして搬送部42が駆動してミシンに向かってクランプ部41を搬送し、被縫製物3がミシン2で縫製される。
【0074】
本発明の第一実施形態の縫製装置における搬送装置4用のクランプ部41は、テーブル1上の被縫製物3を押さえ部46で押し付けたうえで、押さえ部46が固定部(軸47a)に対して揺動する方向(基準揺動方向L,R)と搬送方向Xとを合わせて搬送されれば、テーブル1の上面が搬送方向Xに段差のある場合であっても、押さえ部46がテーブル1の上面の状態に対応した姿勢になり、その対応した姿勢が押付け部48の下方向への押付け力によって安定するので、被縫製物3に対する押付け状態が安定する。特にクランプ部41がミシン2の付近を搬送されている間には、クランプ部41がテーブル1のほぼ同一平面上に被縫製物3を介して押し付けられる。つまりクランプ部41はテーブル1の搬送テーブル11、針板2t、位置決めプレート7の下板部72に対し被縫製物3を介して順番に押し付けられて搬送される。そして搬送テーブル11、針板2t、下板部72に僅かな段差があっても、押さえ部46が軸47aを中心に揺動してその段差を吸収するので、被縫製物3に対する押付け状態が安定する。
【0075】
しかも第一実施形態の縫製装置における搬送装置4用のクランプ部41は、押付け部48の一対の押さえピン48aと一対の圧縮コイルバネ48fが軸47aを中心にして左右(基準揺動方向L,Rの両方)に配置され、押付け部48が軸47aを中心にして左右の両方から押さえ部46を下方に押し付けるので、例えば押付け部48が軸47aを中心にして左右の一方から押さえ部46を下方に押し付けるものに比べて、押さえ部46の姿勢(被縫製物3に対する押付け状態)が安定する。
【0076】
また第一実施形態の縫製装置における搬送装置4用のクランプ部41は、1つの調整摘まみ49hを回すだけで一対の押さえピン48aの下方への押付け力(圧縮コイルバネ48fの収縮量)が調整されるので、押付け力の調整が容易である。
【0077】
平面視した状態での押さえ部46の揺動方向は、第一実施形態のクランプ部41では図10(a)に示すように押さえ部46の揺動中心に対して基準揺動方向L,Rである二方向のみであったが、図10(b)の変形例に示すように押さえ部46の揺動中心に対して全方向であっても良いし、図10(c)の変形例に示すように押さえ部46の揺動中心に対して基準揺動方向L,Rに直交する方向と基準揺動方向L,Rの四方向のみであっても良い。より詳しくは以下の通りである。なお第一実施形態では、揺動部材本体部46eの上面には位置決め凹部46gが本来形成されているが、図10(a)は位置決め凹部46gを省略し、押さえ部46の揺動に関連のある軸47aと軸受46fとの嵌合構造を理解し易く示している。図10(b)、(c)についても同様である。
【0078】
図10(a)の第一実施形態において、軸47aは前後方向から見て半円状であり、且つその上面を細長い平面状とし、その下面を半円筒面状の湾曲面にしてある。一方、軸受46fは、押さえ部46(揺動部材本体部46e)の上面に対して凹むと共に前後方向に延びる状態の嵌合溝に形成され、前後方向から見て軸47aの半円よりも小さな円弧状の湾曲面にしてある。そして第一実施形態では平面視した状態で押さえ部46は、軸47aと軸受46fを揺動中心にして左右方向にのみ揺動可能となる。なお基準揺動方向は、前述したように揺動中心から同一直線上において対称的に延びる二方向のことである。そして第一実施形態では、揺動する方向が左右方向だけなので、基準揺動方向L,Rは左右方向である。
【0079】
図10(b)の変形例において、軸47a0はその上面を円形状にし、その下面を半球面状としてある。一方、軸受46f0は半球よりも小さな球面状の穴としてある。そして図10(b)に示す変形例では平面視した状態で押さえ部46は、軸47a0と軸受46f0を揺動中心にして全方向に揺動可能となる。
【0080】
押さえ部46が全方向に揺動可能なので、揺動中心から同一直線上において対称的に延びる二方向は無数に存在することになる。この場合の基準揺動方向L,Rは、無数に存在する二方向のうちどれでもよい。便宜上、図10(b)の変形例では平面視した場合に図示しない一対のロッドを結ぶ直線を、基準揺動方向を定める基礎となる同一直線とすることにし、それ故基準揺動方向L,Rは左右方向にする。
【0081】
また押さえ部46が全方向に揺動可能であるので、図10(b)の変形例では、搬送装置4がテーブル1に被縫製物3を押し付けながら搬送した場合に、テーブル1の上面が搬送方向Xに対して同じ方向に限らず、異なる方向に段差のある状態であっても押さえ部46がテーブル1の上面の状態に対応した姿勢になり、被縫製物3に対する押付け状態が安定する。
【0082】
図10(c)に示す変形例において、軸47a1はその上面を正方形にしてある。軸47a1はその下面を前後左右の四面から形成し、四面の各面を四方向から正対して見た場合のみ半円状に見えるよう形成すると共に、当該四面を前後左右方向のうち正対した方向とは直交する方向に一直線に延びる湾曲面としてある。言い換えれば、軸47a1は、左右方向と前後方向から見た場合にのみ下向きに膨らむ半円状と見えるように、半円状の切断面を有するカッターを左右方向と前後方向に移動させて、上下左右前後の六面を含む正六面体の左右前後の面を恰も切削したかのような形状である。
【0083】
一方、軸受46f1は、前後左右方向に直交する形で延びる縦溝d1と横溝d2との交差部に該当する穴であり、縦溝d1と横溝d2の形状を溝自身が延びる前後方向又は左右方向から見て半円よりも小さな円弧状にしたものである。より詳しく言えば、縦溝d1は前後方向に延びるものとし、横溝d2は左右方向に延びるものとする。そして前後方向から見た縦溝d1と左右方向から見た横溝d2は、いずれも下向きに膨らむ半円よりも小さな円弧状で且つ同じ形にしたものである。そして縦溝d1と横溝d2との交差部が軸受46f1としての穴であり、複雑な形状になっている。
【0084】
そして図10(c)に示す変形例では平面視した状態で押さえ部46は、軸47a1と軸受46f1を揺動中心にして縦溝d1と横溝d2が延びる方向、つまり前後方向と左右方向の四方向、つまり直交する四方向にのみ揺動可能となる。
【0085】
また図10(c)の変形例では押さえ部46が四方向に揺動可能なので、揺動中心から同一直線上において対称的に延びる二方向は二つ存在することになる。この場合の基準揺動方向L,Rは、二つのうちどれでもよい。ただし便宜上、図10(c)の変形例では、図10(b)の変形例と同じく、基準揺動方向L,Rは左右方向にする。
【0086】
また押さえ部46が四方向に揺動可能であるので、図10(c)の変形例では、搬送装置4がテーブル1に被縫製物3を押し付けながら搬送した場合に、クランプ部41の前後方向と左右方向の何れかに搬送方向Xを合わせて搬送すれば、テーブル1の上面が搬送方向Xに対して段差のある状態だけでなく、搬送方向Xに直交する方向に段差のある状態であっても押さえ部46がテーブル1の上面の状態に対応した姿勢になり、被縫製物3に対する押付け状態が安定する。
【0087】
本発明の第二実施形態の縫製装置における搬送装置4用のクランプ部41Aは図11に示すように、軸47aを支持枠47hの左右方向の中間部ではあるが、厳密な中間点ではなく、左右方向の一方に偏った位置に配置したことについて、第一実施形態の縫製装置における搬送装置用のクランプ部41と相違する。
つまり中間部とは、二つの地点の間という意味であり、二つの地点の真ん中に限定されない。したがって支持枠47hの左右方向の中間部とは、支持枠47hの左右の両端の間という意味である。
【0088】
本発明の第三実施形態の縫製装置における搬送装置4用のクランプ部41Bは図12、13に示すように、複数点を固定点としてテーブル1に対向する状態で押さえ部460を揺動可能に支持する構成である支持部470と押さえ部460との構成と、押付け部480の構成に関して第一実施形態のクランプ部41と相違するものである。
【0089】
押さえ部460は、上下動可能に且つ上下方向に対して傾斜可能な状態で支持部470に対して吊り下げられる。なお押さえ部460が支持部470に対して吊り下げられる位置は、本実施形態では4つ、つまり複数である。より詳しく言えば押さえ部460は、平面視して支持部470における四隅部に対して吊り下げられる。そして押さえ部460は四隅部の一つ又は2つを固定点として揺動可能にされる。
【0090】
また押さえ部460は、押さえ部材46aとクッション46qの他に、押さえ部460から上方に突出する複数のガイドポスト461と、各ガイドポスト461の上端部から張り出すガイドストッパ462とを備える。
4つのガイドポスト461は平面視して矩形状の押さえ部材46aの上面の四隅から突出している。またガイドポスト461は棒状、より詳しく言えば円柱状である。
ガイドストッパ462は鍔状、より詳しく言えば環状である。
【0091】
支持部470は左右に延びるブロック状である。支持部470の上面の左右端部には第一実施形態の支持部47と同様に一対のロッド45bが固定される。また支持部470の平面視して四隅部(左右端部の前後部)にはガイドポスト461を案内すると共にガイドストッパ462が通過不能なガイド孔471が上下方向に貫通して形成される。ガイド孔471は、押さえ部460が揺動するときの固定点となる。
【0092】
押さえ部460が支持部470に対して上下動可能に吊り下げられる構成は以下の通りである。ガイドポスト461の上下方向の長さはガイド孔471の上下方向の長さよりも十分に長い。したがってガイドポスト461がガイド孔471に沿って上下動可能になり、ガイドポスト461と一緒に押さえ部460も上下動可能になる。またガイド孔471の直径はガイドストッパ462の直径よりも小さい。したがってガイドストッパ462は押さえ部460を支持部470に対して吊り下げる形で支持する。またガイド孔471の直径はガイドポスト461の直径よりも十分に大きい。したがってガイド孔471の内部でガイドポスト461が上下方向に対して傾斜可能になり、押さえ部460も上下方向に対して傾斜可能になる。
【0093】
押付け部480は、支持部470と押さえ部460との間に収容される複数の圧縮コイルバネ481である。圧縮コイルバネ481は、その内部にガイドポスト461が通されることによって、支持部470と押さえ部460との間に収容される。また支持部470の下面には圧縮コイルバネ481の上部を収容する収容穴472が形成される。収容穴472は、ガイド孔471の下部である。ガイド孔471の下部はそれよりも上側部分に対して大径に形成してある。
【0094】
本発明の第三実施形態の縫製装置における搬送装置4用のクランプ部41Bは、支持部470の四隅部においてガイドポスト461とガイド孔471とにより押さえ部460が揺動可能に支持されている。そして第三実施形態のクランプ部41Bは、テーブル1上の被縫製物3を押さえ部460で押し付けると、支持部470が圧縮コイルバネ481に押し付けられ、支持部470の上のロッド45bに沿って連結アーム45aが案内筒45fと一緒に下降し、衝撃吸収部45の圧縮コイルバネ45cが案内筒45fと支持部470との間で収縮して衝撃を吸収する。また支持部470と押さえ部460との間に挟まれた圧縮コイルバネ481が収縮して、衝撃をさらに吸収する。しかもガイドポスト461がガイド孔471の内部で上下動可能且つ上下方向に対して傾斜可能なので、テーブル1の上面の形状に対応してガイドポスト461が上下方向に対して平行になったり、傾斜したりし、それに合わせて圧縮コイルバネ481が収縮しながら押さえ部460がテーブル1の上面の状態に対応した姿勢になり、その対応した姿勢が押付け部480の圧縮コイルバネ481の収縮による押付け部480の下方向への押付け力によって安定するので、被縫製物3に対する押付け状態が安定する。
【0095】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
例えば、テーブル1は、本実施形態では複数部品(搬送テーブル11、針板2t、位置決めプレート7の下板部72)で構成され、複数部品の上面に僅かな高低差があるものとしていたが、本発明ではこれに限らず、一枚の板で構成されていても良い。一枚の板の場合であっても、本発明のクランプ部を用いることが望ましい。
【符号の説明】
【0096】
1 テーブル
1h 針孔
11 搬送テーブル
11c 凹部
2 ミシン
2a ミシン本体
2t 針板
22 ポスト部
23 ミシンヘッド部
23b 針棒
3 被縫製物
4 搬送装置
41,41A,41B クランプ部
42 搬送部
42a ロボットアーム
44 クランプ部本体
45 衝撃吸収部
45a 連結アーム
45b ロッド
45c 圧縮コイルバネ
45d ストッパ
45e アーム本体
45f 案内筒
45h 貫通穴
45i 溝
45j 止め輪
45n ワッシャ
45p 連結ブロック
45q 溝
45r 貫通穴
45s 開口部
45u 管
46,460 押さえ部
46a 押さえ部材
46b 嵌合穴
46d 揺動部材
46e 揺動部材本体部
46f,46f0,46f1 軸受
46g 位置決め凹部
46h 固定部
46j 厚み
46q クッション
46r 貫通穴
46u 凸ブロック
461 ガイドポスト
462 ガイドストッパ
47,470 支持部
47a,47a0,47a1 軸
47b 上面
47c 下面
47h 支持枠
47i 上枠部
47j 下枠部
47k 側枠部
47n 溝
47o 溝
47p 間隔
47q 間隔
47r 間隔
47s 空間部
471 ガイド孔
472 収容穴
48,480 押付け部
48a 押さえピン
48b 下部(大径部)
48c 溝
48e 止め輪
48f 弾性部材(圧縮コイルバネ)
48h ガイドブロック部
48i ガイドブロック本体
48j 貫通穴
48k 収容穴
481 圧縮コイルバネ
G1 ガイド孔
G2 ガイド孔
49 調整部
49a ピン留め板
49b 貫通穴
49c 雌ネジ穴
49h 調整摘まみ
49i 摘まみ部
49j 雄ネジ部
5 ガイド
6 ブラケット
61 第1のブラケット
62 第2のブラケット
7 位置決めプレート
71 位置決め本体部
72 下板部
73 固定板部
B1,B2,B3,B4,B5,B6 ボルト
N1,N2 ナット
X 搬送方向
L,R 基準揺動方向(左右方向)
d1 縦溝
d2 横溝
h1,h2 貫通穴
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13